JP2009280419A - TiN基結晶体とその結合体。 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】窒化チタンの3次元的構造体を作製するためには窒化チタン結晶体単体同士の結合が必要となる。Cu又はAgの添加元素を利用して、TiN結晶体の側面に添加元素からなる凸部を形成する。その結果、TiN基結晶体表面部には球状Agやこれらが連なった数珠状あるいは積層型、だるま状型、ゴマ餅状型など多様な形状が点在することによりTiN基結晶体同士接合が容易達成され、3次元的構成体が形成される。
【選択図】図2
Description
この形状故に、使用が危ぶまれるものもあるので、本発明者等は、結晶形状を制御する技術を研究している。
窒化チタン(TiN)は高融点(2930℃)、高硬度(〜2500 ビッカース硬度)、耐酸化性、耐食性、赤外線反射能に優れかつまた金色を呈するなど多彩な特性を有する材料である。
従来の窒化チタンは、材料表面にTiN膜コーテングすることで硬性、耐摩耗性、耐食、耐酸化性が向上した優れた工具材料として利用される。またシリコンなどの半導体デバイス製作工程での拡散阻止膜などに使用されている。
これらTiN膜コーテングは化学蒸着(CVD)法、物理蒸着法(PVD)法が使用され、薄膜を中心にした窒化チタンの2次元的利用が主体となっているのが現状である。
このような形状のものは、TiN結晶の多用途化、特に三次元的な構造構成を可能にするものである。
具体的には、実施例に示すように、窒化チタンの3次元的構成体を作製するためには窒化チタン結晶体単位同士の接合が必要となる。本発明で作製されるTiN基結晶体表面部には球状Agやこれらが連なった数珠状あるいは積層型、だるま状型、ゴマ餅状型など多様な形状が点在(図2-17)しているが、これを介してTiN基結晶体同士接合が容易達成され、3次元的構成体が形成される。
図1は、この発明を実施するための装置の一例を示したものであり、その各部の機能は主に以下の通りである。この図1では、水素、窒素、アルゴンなどの反応ガス導入口(1)(1')、アークプラズマ放電用電極(−)(2)、アークプラズマ(3)、溶融チタン合金(4)、水冷銅ハース(+)(5)、TiN基結晶体搬送領域(6)、TiN基結晶体や雰囲気ガスの冷却器(7)、TiN基結晶体捕集する容器(8)、圧力調整用ポンプ(9)、雰囲気ガス置換用ポンプ(10)、アーク放電用電源(11)。
下記何れの実施例においても、正方形のTiN基結晶の側面に添加元素からなる凸部を有した形状となっていた。
また、TiN基結晶が複数結合した結合体は、前記凸部をバインダーとして、TiN基結晶が線状に連なった形状を呈していた。
すなわち図1に示す装置を用い、以下の条件で、直流アークを、下記構成の雰囲気中にて、溶融合金を加熱・溶融して、強制蒸発し、ナノ粒子TiN基結晶体(Ag含有)を作製した。
溶融金属:70原子%Ti−30原子%Ag合金(実施例1-1)、80原子%Ti−20原子%Ag合金(実施例1-2)。
直流アーク:正極性、電流150A、電圧40〜45V
放電時間:7分
雰囲気ガス:7%窒素−46%水素−47%アルゴン
雰囲気圧力:70-90Kpa
この方法で生成された複合ナノ粒子の構造と組成を、走査型電子顕微鏡と粉末X線回折を用いて解析した。
以下にその解析結果を示す。なお以下の図2〜図13に示す構造は、70原子%Ti−30原子%Ag合金によるものであるが、80原子%Ti−20原子%Ag合金においても同様な外観を呈していた。
図3中、中央左上から右下に角状粒子(TiN基結晶体)と球状粒子(添加元素凸部)(どちらも150nm 程度)交互に連なった数珠状粒子帯が観察される。サイズを異にして1対から複数連なった帯状粒子やTiN基結晶体の一面あるいは複数面から樹枝状に発達した複数の帯群が観察された。
図4では、球状粒子に径の異なる立方体が複数埋没した形やサンドされた状態の粒子群が観察された。
また、城壁(大岩と小石の積み重ね)状に連ねられた粒子群も認められる。
図5 ではTiN基結晶体(立方体)とAg粒子(球状)が交互に付着して成長し、樹枝状に成長している
図6では、図5で示された線状に結合した結合体をベースにサイズの異なるTiN基結晶体とAg粒子が付着成長しているのが観察された。
図7では、四角錐を呈した各面にAg粒子が付着しているのが観察できた。
図8では、Ag粒子に径の異なるTiN基結晶体が複数埋没した形(サンドされた状態)やAg粒子にTiN基結晶体が埋没した粒子群が観察された
図9では、TiN基結晶体間をAgが接着して積層された積層型粒子群が観察できた。
図10では、TiN基結晶体がAgで覆われ、だるま状の粒子が観察され、その表面にTiN基結晶体が突き刺さったような粒子群が観察できた。
図11では、TiN基結晶体の全面に小さなAg粒子が(ゴマ餅状)付着した粒子群が観察できた。
図12、13では、TiN基結晶体端面に一面あるいは複数面にAg粒子が付着してダンベル状やこれらが接続した粒子群が観察できた。
70原子%Ti−30原子%Agおよび80原子%Ti−20原子%Ag合金はTiNとAgのピークのみ存在しており、他の金属間化合物や窒化物などは検出されなかった。
このことより、正方形の結晶は、殆ど添加元素が含まれないTiN基結晶体であり、凸部は、添加元素であるAg単独の組成を有するものと推察される。
すなわち図1に示す装置を用い、以下の条件で、直流アークを、下記構成の雰囲気中にて、溶融合金を加熱・溶融して、強制蒸発し、ナノ粒子TiN基結晶体(Cu含有)を作製した。
溶融金属:70原子%Ti−30 原子%Cu合金(実施例2-1)、80原子%Ti−20 原子%Cu合金(実施例2-2)
直流アーク:正極性、電流150A、電圧40〜55V
放電時間:8分
雰囲気ガス:7%窒素−46%水素−47%アルゴン
雰囲気圧力:70-90kpa
この方法で生成された複合ナノ粒子の構造と組成を、走査型電子顕微鏡と粉末X線回折を用いて解析した。
以下に走査型電子顕微鏡で球状CuとTiN基結晶体の粒子群を図15−17に示すような多様な形態を有していた。図15-17は実施例2-1のものだが、実施例2-2においても同様な外観を呈していた。
図16では、粒子状のCu凸部に単数あるいは複数TiN基結晶体が埋没した粒子群が観察できた。
図17では、図14と15が交互に結合して樹枝状に成長した粒子群が観察できた。
70原子%Ti− 30原子%CuはTiNとCuのピークのみ存在しており、他の金属間化合物や窒化物などは検出されなかった。なお、80原子%Ti−20 原子%合金は赤丸部に他の存在が認められるがほぼTiNとCuより構成されているものと推定する。
このことより、正方形の結晶は、殆ど添加元素が含まれないTiN基結晶体であり、凸部は、添加元素であるCu単独の組成を有するものと推察される。
ここで得られる3次元的構成体の特性は現時点では未知である。
この基本概念である3次元的構成体を拡張すると、TiN(Ag含有)粒子同士の接合はAgを介して行われると想定され、純TiN粒子同士の焼結温度(大約1500℃以上)よりも、より低温での焼結(1000℃以下)が可能である。焼結条件操作により、微細孔を有するTiN基焼結体はセラミックフィルターとして、また緻密化焼結体は超硬工具、イミテーションゴールドなどの装身具などが想定される。
1. 反応ガス導入口
1’ 反応ガス導入口
2. アークプラズマ放電用電極
3. アークプラズマ
4. チタン合金
5.水冷銅ハース
6. TiN基結晶体搬送領域
7. TiN基結晶体冷却器
8. TiN基結晶体捕集器
9. 圧力調整用ポンプ
10.雰囲気ガス置換用ポンプ
11.アークプラズマ放電用電源
Claims (3)
- TiNを主成分とするTiN基結晶体であって、その側面に添加元素からなる凸部を有することを特徴とするTiN基結晶体。
- 請求項1に記載のTiN基結晶体において、その添加元素がCu又はAgであることを特徴とする。
- TiNを主成分とするTiN基結晶体の集合体であって、請求項1又は2に記載のTiN基結晶体が添加元素からなる凸部を介して線状に連結していることを特徴とするTiN基結晶体の集合体。
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