JP2009278564A - 増幅回路 - Google Patents
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Abstract
【課題】 単電源で動作する増幅回路において、直流成分除去用のコンデンサを備えるにも関わらず、低周波数成分を低下させずに出力すること。
【解決手段】 左音声信号及び右音声信号の低周波数成分において、同位相かつ同振幅レベルであるモノラル音声信号が含まれているという特性を利用し、左音声用負荷及び右音声用負荷が接続される出力端子の極性を反転させ、かつ、各負荷が接続される極性の異なる端子に共通の直流成分除去用のコンデンサを接続することにより、左音声用負荷及び右音声用負荷に供給される電圧の低周波数成分に関しては、コンデンサの影響を受けないので、低周波数成分が低下することを防止できる。
【選択図】図1
【解決手段】 左音声信号及び右音声信号の低周波数成分において、同位相かつ同振幅レベルであるモノラル音声信号が含まれているという特性を利用し、左音声用負荷及び右音声用負荷が接続される出力端子の極性を反転させ、かつ、各負荷が接続される極性の異なる端子に共通の直流成分除去用のコンデンサを接続することにより、左音声用負荷及び右音声用負荷に供給される電圧の低周波数成分に関しては、コンデンサの影響を受けないので、低周波数成分が低下することを防止できる。
【選択図】図1
Description
本発明は、単電源で動作する増幅回路に関し、直流成分除去用のコンデンサによって低周波数成分が低下することを防止する増幅回路に関する。
単電源で動作する増幅回路は、出力電圧が直流成分を含むので、出力電圧から直流成分を除去し、負荷であるスピーカーに出力する必要がある。これを実現するために、トランス結合する、又は、コンデンサを直列に挿入し、コンデンサによって直流成分を除去する方法が行われている。トランスを用いて最少可聴周波数といわれる約20Hzの周波数成分をスピーカーに供給するためには、きわめて大型のトランスが必要となるので、一般的には、コンデンサを用いた直流成分の除去が行われている。しかし、コンデンサを使用する場合には、スピーカーの負荷インピーダンスが数Ω程度であるので、前記周波数成分を通過させるためには必然的に大容量のコンデンサが必要となり、その結果、トランスほどではないにしてもかなり大型のコンデンサを使用する必要がある。
図7〜図9は、従来の単電源型の増幅回路と、その負荷接続構成とを示す回路図である。図7〜図9のいずれの場合においても、増幅回路の出力から負荷までの伝達特性は、負荷抵抗RLとコンデンサCoとの時定数で決まるカットオフ周波数を持つ低域カット特性となる。図7は最も一般的に使用される回路構成であり、入力信号および負荷電圧の両方が接地電位を信号基準点としている。従って、接地電位に対する負荷RLの直流電位は0である。
図8は、図7の回路構成に対して、直流成分除去用のコンデンサを接地電位側に挿入した回路であり、負荷RLは接地電位に対して一定の直流電位を有するが、負荷RLの正負端の電位が同じであるので、直流電流が流れることはない。図9は図8の回路構成の変形例であり、図8における接地電位側のコンデンサを接地電位側と電源EB側に分割したものである。この回路構成の場合、電源オン/オフ時のような過渡状態における負荷電位が安定するまでの時間が短くなるので、図7、図8の回路に比べて電源オン/オフ時のポップノイズに対して有利となる一方、電源の変動やリップル成分がある場合には、負荷の正側にはグランド基準で増幅された信号電圧が加わるのに対し、負側には前記電源の変動成分やリップル成分の約1/2が加わることになるので、これらの成分を打ち消すための工夫が必要となる。
図7〜図9の増幅回路においては、出力電圧の直流成分除去用のコンデンサCoを設ける必要であるので、コンデンサCoの影響により出力電圧の低周波数成分が低下してしまうという問題がある。
本発明は上記従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、単電源で動作する増幅回路において、直流成分除去用のコンデンサを備えるにも関わらず、低周波数成分を低下させずに負荷に出力することができる増幅回路を提供することである。
本発明の好ましい実施形態による増幅回路は、単電源で動作する増幅回路であって、第1チャンネル用の負荷が接続可能である、第1極性の第1チャンネル出力端と、第2極性の第1チャンネル出力端と、第2チャンネル用の負荷が接続可能である、第1極性の第2チャンネル出力端と、第2極性の第2チャンネル出力端と、入力される第1チャンネル音声信号を基準電圧に基づいて増幅し、前記第1極性の第1チャンネル出力端に出力する第1増幅部と、入力される第2チャンネル音声信号の位相を反転させる位相反転部と、前記位相反転部から供給される第2チャンネル音声信号を前記基準電圧に基づいて増幅し、前記第2極性の第2チャンネル出力端に出力する第2増幅部と、一端が接地電位又は前記単電源に接続され、他端が前記第2極性の第1チャンネル出力端と、前記第1極性の第2チャンネル出力端とに接続されたコンデンサとを備える。
第1チャンネル音声信号および第2チャンネル音声信号の低周波数成分において同位相かつ同振幅レベルであるモノラル音声信号が含まれているという特性を利用し、第1チャンネル用負荷及び第2チャンネル用負荷が接続される出力端子の極性を反転させ、かつ、各負荷が接続される極性の異なる端子に共通の直流成分除去用のコンデンサを接続することにより、第1チャンネル用負荷および第2チャンネル用負荷に供給される電圧の低周波数成分に関しては、直流成分除去用のコンデンサの影響を受けないので、低周波数成分が低下するという問題を防止することができる。
好ましい実施形態においては、前記コンデンサが第1コンデンサおよび第2コンデンサからなり、前記第1コンデンサの一端が接地電位に接続され、その他端が前記第2極性の第1チャンネル出力端と、前記第1極性の第2チャンネル出力端とに接続され、前記第2コンデンサの一端が前記単電源の正側に接続され、その他端が前記第2極性の第1チャンネル出力端と、前記第1極性の第2チャンネル出力端とに接続されている。
好ましい実施形態においては、増幅回路は、前記第2極性の第1チャンネル出力端と、前記第1極性の第2チャンネル出力端との接続点に生じするリップル成分を抽出し、前記第1増幅部および前記第2増幅部に供給することによって、前記第1チャンネル用の負荷および前記第2チャンネル用の負荷に供給される電圧から前記リップル成分を除去するリップル除去部をさらに備える。
好ましい実施形態においては、前記第1チャンネル音声信号および前記第2チャンネル音声信号の低周波数成分には、同位相かつ同振幅レベルであるモノラル音声信号が含まれている。
好ましい実施形態においては、前記第1チャンネル音声信号および前記第2チャンネル音声信号に基づいて、低周波数成分における同位相かつ同振幅レベルのモノラル音声信号を生成し、前記第1チャンネル音声信号および前記第2チャンネル音声信号に加算する信号生成部をさらに備える。
この場合、第1チャンネル音声信号および第2チャンネル音声信号の低周波数成分にモノラル音声信号が含まれていない場合であっても、第1チャンネル用負荷および第2チャンネル用負荷に供給される電圧の低周波数成分に関しては、直流成分を除去するコンデンサの影響を受けないので、低周波数成分が低下するという問題を防止することができる。
好ましい実施形態においては、前記信号生成部が、前記第1チャンネル音声信号の高周波数成分を抽出する第1高域通過フィルタと、前記第2チャンネル音声信号の高周波数成分を抽出する第2高域通過フィルタと、前記第1チャンネル音声信号の振幅レベルに所定係数を乗算する第1乗算部と、前記第2チャンネル音声信号の振幅レベルに前記所定係数を乗算する第2乗算部と、前記第1乗算部の出力信号と前記第2乗算部の出力信号とを加算する第1加算部と、前記第1加算部の出力信号の低周波数成分を抽出する低域通過フィルタと、前記第1高域通過フィルタの出力信号と前記低域通過フィルタの出力信号とを加算する第2加算部と、前記第2高域通過フィルタの出力信号と前記低域通過フィルタの出力信号とを加算する第3加算部とを有し、前記第2加算部の出力信号が前記第1増幅部に供給され、前記第3加算部の出力信号が前記位相反転部に供給される。
好ましい実施形態においては、前記第1チャンネル音声信号が左音声信号であり、前記第2チャンネル音声信号が右音声信号であり、前記第1極性が正であり、前記第2極性が負である。
第1チャンネル用負荷および第2チャンネル用負荷に供給される電圧の低周波数領域に関しては、直流成分を除去するコンデンサの影響を受けないので、低周波数成分が低下するという問題を防止することができる。
以下、本発明の好ましい実施形態による増幅回路1ついて、図面を参照して具体的に説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。図1は、増幅回路1の構成を示す概略回路図である。増幅回路1は、単電源(片電源ともいう。)EBによって動作され、第1チャンネル音声信号(本例では左音声信号eL)及び第2チャンネル音声信号(本例では右音声信号eR)を含むステレオ音声信号を増幅し、増幅した各音声信号を負荷RL及びRBそれぞれに供給する。
増幅回路1は、第1増幅部2と、第2増幅部3と、直流成分除去用のコンデンサCoと、抵抗R1,R4と、コンデンサC1,C3と、基準電圧生成部4と、位相反転部7とを備える。
第1増幅部2は、電源電圧EBが供給されることにより動作し、入力される左音声信号eLを増幅し、左音声信号用負荷RL(例えば、左チャンネルスピーカーであり、以下、単に負荷RLという。)に供給する。第2増幅部3は、電源電圧EBが供給されることにより動作し、入力される右音声信号eRを増幅し、右音声信号用負荷RR(例えば、右チャンネルスピーカーであり、以下、単に負荷RRという。)に供給する。コンデンサCoは、負荷RL及びRRに供給される左音声信号eL及び右音声信号eRに含まれる直流成分を除去(カット)する。基準電圧生成部4は、第1増幅部2および第2増幅部3が単電源EBで動作する際の基準電圧Vref(例えば、EB/2)を生成し、第1増幅部2及び第2増幅部3に供給する。
第1増幅部2は、例えば、アンプAP1(例えばパワーアンプ用IC)と、抵抗R2,R3と、コンデンサC2とを備える。アンプAP1の正側入力端子はコンデンサC1の一端及び抵抗R1の一端に接続され、その負側入力端子は抵抗R2及びコンデンサC2を介して接地電位(グランド)に接続され、かつ、抵抗R3を介してアンプAP1の出力端に接続されている。アンプAP1の出力端は、左チャンネル用負荷RLが接続される左正側出力端+outLに接続されている。コンデンサC1の他端は左音声信号源4の正側に接続されており、左音声信号eLが入力される。左音声信号源4の負側は接地電位に接続されている。抵抗R1の他端は、基準電圧生成部4に接続され、基準電圧Vrefが供給される。なお、第1増幅部2の構成はこれに限定されない。
第1増幅部2の動作を説明する。左音声信号eLが入力されると、コンデンサC1によって左音声信号eLから直流成分が除去される。コンデンサC1の出力信号に、抵抗R1を介して基準電圧生成部4から供給される直流基準電圧(バイアス電圧)Vrefが加算(重畳)され、Vrefを基準電位とした左音声信号がアンプAP1の正側入力端子に入力される。アンプAP1は、抵抗R2,R3,コンデンサC2等によって決定される所定利得で、入力される左音声信号を基準電圧Vrefに基づいて増幅し、左正側出力端+outLに出力する。
第2増幅部3は、例えば、アンプAP2(例えばパワーアンプ用IC)と、抵抗R5,R6と、コンデンサC4とを備える。アンプAP2の正側入力端子はコンデンサC3の一端及び抵抗R4の一端に接続され、その負側入力端子は抵抗R5及びコンデンサC4を介して接地電位に接続され、かつ、抵抗R6を介してアンプAP2の出力端に接続されている。アンプAP2の出力端は、負荷RRの一端が接続される右負側出力端−outRに接続されている。コンデンサC3の他端は、位相反転部7の出力端に接続されている。位相反転部7の入力端は、右音声信号源6の正側に接続されており、右音声信号eRが入力される。右音声信号源6の負側は接地電位に接続されている。抵抗R4の他端は、基準電圧生成部4に接続され、基準電圧Vrefが供給される。なお、第2増幅部3の構成はこれに限定されない。
第2増幅部3の動作を説明する。右音声信号eRが入力されると、位相反転部7によって、左音声信号eLに対して180度位相が反転される。位相反転部7の出力信号はコンデンサC3に供給され、コンデンサC3によって右音声信号から直流成分が除去される。コンデンサC3の出力信号に、抵抗R4を介して基準電圧生成部4から供給される直流基準電圧(バイアス電圧)Vrefが加算(重畳)され、Vrefを基準電位とした右音声信号がアンプAP2の正側入力端子に入力される。アンプAP2は、抵抗R5,R6,コンデンサC4等によって決定される所定利得で、入力される右音声信号を基準電圧に基づいて増幅し、右負側出力端−outRに出力する。
位相反転部7によって右音声信号の位相が反転されているが、第2アンプAP2の出力端が接続されている右負側出力端−outRの極性(マイナス)が、第1アンプAP1の出力端が接続されている左正側出力端+outLの極性(プラス)と反対になっているので、各負荷RL,RRに供給される音声信号の位相関係が同じになっている。
ここで、増幅回路1が有する各素子の値の関係を説明すると、R1=R3=R4=R6、R2=R5、C1=C3、C2=C4の関係になっている。
基準電圧生成部4は、図2に示すように、オペアンプOPと、抵抗R7,R8とコンデンサC5とを有する。オペアンプOPの正側入力端子は抵抗R7,R8,コンデンサC5の各一端に接続され、オペアンプOPの負側入力端子はその出力端に接続され、その出力端が基準電圧生成部4の出力端になっている。抵抗R7の他端は電源EBの正側に接続され、抵抗R8,コンデンサC5の各他端は接地電位に接続されている。基準電圧生成部4は、電源電圧EBが供給されることにより、基準電圧Vref(=EB/2)を生成する。
図1に戻って、コンデンサCoは、その一端がコンデンサC2の他端とコンデンサC4の他端と接地電位とに接続され、その他端が左負側出力端−outLと右正側出力端+outRとに接続されている。コンデンサCoは、上記の通り、第1増幅部2から負荷RLに供給される左音声信号、及び、第2増幅部3から負荷RRに供給される右音声信号から、直流成分(基準電圧Vref)を除去する。
以上の構成を有する増幅回路1についてその作用を説明する。図3は、増幅回路1の作用を説明するための等価回路である。第1増幅部2(左正側出力端+outL)の出力電圧をEL、第2増幅部3(右負側出力端−outR)の出力電圧をER、コンデンサCoの電圧(左負側出力端−outL及び右正側出力端+outRの電圧)をVc、コンデンサCoの容量をCo、各負荷RL、RRの抵抗値をRとする。負荷RLの両端に供給される電圧VoLは下記式1、負荷RRの両端に供給される電圧VoRは下記式2のようになる。
上記式5、式6から明らかなように、左音声信号と右音声信号との周波数ωが、コンデンサCoと負荷抵抗RL,RRの抵抗値Rとで決定される周波数ωoよりも十分に高い周波数帯域においては、自己のチャンネルの成分のみが各負荷に出力される。つまり、式5に示すように、負荷RLに供給される電圧VoLは、ER成分が0に近似され、EL成分のみによって決定される値になる。また、式6に示すように、負荷RRに供給される電圧VoRは、EL成分が0に近似され、ER成分のみによって決定される値になる。
一方、左音声信号と右音声信号との周波数ωが、コンデンサCoと負荷抵抗RL,RRの抵抗値Rとで決定される周波数ωoよりも低い周波数帯域においては、自己のチャンネルの成分と、他方のチャンネルの成分との差分に基づく電圧が供給される。つまり、式5に示すように、負荷RLに供給される電圧VoLは、EL成分からER成分を減算した電圧になる。また、式6に示すように、負荷RRに供給される電圧VoRは、EL成分からER成分を減算した電圧になる。
図4は、負荷RLに供給される電圧VoLのEL成分およびER成分の周波数特性を示すシミュレーション結果である。横軸に周波数ωを、縦軸に利得を示す。周波数ωがωoよりも小さい帯域では、EL成分がEL/2に、ER成分がER/2になっている。そのため、EL成分からER成分を減算した電圧になることが分かる。また、EL成分は周波数ωがωo以上において利得が1/2から1まで連続的に増加し、ER成分は2ωo以上において利得が1/2から0まで連続的に減少している。従って、周波数ωがωoよりも十分に大きい場合に、ER成分の利得が0であるので、EL成分のみの電圧になることが分かる。
ここで、ステレオ音声信号は、左音声信号eL及び右音声信号eRに、同位相成分が多く含まれているという特性を有する。特に、ステレオ音声信号の低周波数成分については、左音声信号eL及び右音声信号のeRの両方に、同位相かつ同レベル(同振幅値)の音声信号(すなわち、モノラル音声信号)が含まれている。これは次の理由による。1つ目は、ステレオペアーマイクによるライブ録音では波長の長い低周波数成分は、各マイク間の位相差もレベル差も僅かであるということ、2つ目は、人間の聴覚特性上、一般に100Hz以下の低周波数成分においては、その音源方向を感知することが困難であるので、低周波数成分は左音声信号及び右音声信号の両方に含める方がリソースの有効利用になるという経済的理由である。
従って、左音声信号eLと右音声信号eRが同位相かつ同レベル(モノラル音声信号)である場合、ER=−ELであるので、負荷RLに供給される電圧VoLは下記式7になり、負荷RRに供給される電圧VoRは下記式8になる。
上記式7,8に示すように、VoL,VoRの式にはコンデンサCoの容量が含まれないので、コンデンサCoの影響を受けず、フラットな周波数特性を与えることがわかる。従って、図1の回路構成を採用することによって、ステレオ音声信号に含まれる低周波数成分のモノラル音声信号に関しては、事実上、直流成分除去用のコンデンサCoの影響を受けずに再生することができる。その結果、コンデンサCoを設けているにも関わらず、低周波数成分がコンデンサCoによって低下することを防止することができる。
以上のように、本実施形態によると、ステレオ音声信号の低周波数成分においては、同位相かつ同レベルであるモノラル音声信号が左音声信号及び右音声信号の両方に含まれるという特性を利用し、図1の回路構成を採用することによって、単電源で動作する増幅回路であっても、低周波数成分を低下させずに音声信号を再生することができる。
次に、本発明の別の好ましい実施形態による増幅回路11を、図5を参照し、説明する。図1の増幅回路1と同一部分には同一符号を付け、説明を援用する。増幅回路11では、直流成分を除去するためのコンデンサとして、図1のコンデンサCoの代わりに、コンデンサCo1(容量はCo/2),Co2(容量はCo/2)が設けられている。コンデンサCo1は、一端が接地電位に接続され、他端が左負側出力端−outLと右正側出力端+outRとに接続されている。また、コンデンサCo2は、一端が電源EBの正側に接続され、他端が左負側出力端−outLと右正側出力端+outRとに接続されている。
このような回路構成においても、図1の増幅回路1の場合と同様の作用効果が得られる。すなわち、ステレオ音声信号の低周波数成分においては、同位相かつ同レベルであるモノラル音声信号が左音声信号及び右音声信号の両方に含まれるという特性を利用し、図5の回路構成を採用することによって、単電源用の増幅回路であっても、低周波数成分を低下させずに再生することができる。
なお、増幅回路11によると、コンデンサCo2の一端が電源EBに接続されているので、電源電圧に含まれるリップル成分がコンデンサCo2の他端(つまり、左負側出力端−outLおよび右正側出力端+outR)に現れてしまう。一方、アンプAP1、AP2の正側入力端子に入力される音声信号は基準電圧生成部4から供給されるVrefを基準とした信号であるので、アンプAP1,AP2から出力される電圧はリップル成分を含まない。その結果、負荷RL,RRの各両端に供給される電圧にはリップル成分が含まれるという問題が生じる。
この問題を解決するために、増幅回路11は、リップル除去部12,13をさらに備えている。リップル除去部12は、抵抗R12とコンデンサC12との直列回路を含み、コンデンサCo2の電圧から直流成分を除去し、リップル成分のみを抽出し、アンプAP1の正側入力端子に入力される信号にリップル成分を加算する。これにより、アンプAP1から出力される電圧にもコンデンサCo2の電圧に含まれるリップル成分と同じリップル成分が含まれるようになるので、負荷RLの両端に供給される電圧からリップル成分を相殺して除去することができる。
同様に、リップル除去部13は、抵抗R13とコンデンサC13との直列回路を含み、コンデンサCo2の電圧から直流成分を除去し、リップル成分のみを抽出し、アンプAP2の正側入力端子に入力される信号にリップル成分を加算する。これにより、アンプAP2から出力される電圧にもコンデンサCo2の電圧に含まれるリップル成分と同じリップル成分が含まれるようになるので、負荷RRの両端に供給される電圧からリップル成分を相殺して除去することができる。
次に、本発明のさらに別の実施形態を説明する。図1の増幅回路1(又は図5の増幅回路11、以下同様。)においては、入力されるステレオ音声信号の低周波数成分において、同位相かつ同レベルであるモノラル信号が左音声信号eL及び右音声信号eRの両方に含まれていない場合には、低周波数成分を低下させることなく再生できるという作用効果を得ることができない。
そこで、本実施形態では、増幅回路1が、左音声信号源5及び右音声信号源6と、コンデンサC1及び位相反転部7との間に、図6に示す信号生成部21をさらに備えている。信号生成部21は、入力される左音声信号eL及び右音声信号eRに基づいて、低周波数成分の同位相かつ同レベルの音声信号(モノラル音声信号)を生成し、左音声信号eL及び右音声信号eRそれぞれに加算して出力する。その結果、入力されるステレオ音声信号の低周波数成分において、同位相かつ同レベルであるモノラル信号が左音声信号eL及び右音声信号eRの両方に含まれていない場合であっても、信号生成部21によって低周波数成分において同位相かつ同レベルであるモノラル音声信号が左音声信号eL及び右音声信号eRの両方に含ませることができ、低周波数成分の低下を防止できる。
信号生成部21は、乗算器22,23と、加算器24と、高域通過フィルタ25,26と、低域通過フィルタ27と、加算器28,29とを有する。左音声信号eLは、高域通過フィルタ25によって所定周波数以上の高周波数成分が抽出され、加算器28に供給される。同様に、右音声信号eRは、高域通過フィルタ26によって前記所定周波数以上の高周波数成分が抽出され、加算器29に供給される。
また、左音声信号eLは、乗算器22によってレベル(振幅値)が例えば0.5倍に乗算されて、加算器24に供給される。同様に、右音声信号eRは、乗算器23によってレベル(振幅値)が例えば0.5倍に乗算されて、加算器24に供給される。加算器24は、乗算器22から供給される左音声信号と乗算器23から供給される右音声信号とを加算し、低域通過フィルタ27に供給する。低域通過フィルタ27は、加算器24からの出力信号から前記所定周波数以下の低周波数成分を抽出し、加算器28,29に供給する。加算器28は、高域通過フィルタ25からの音声信号と低域通過フィルタ27からの音声信号とを加算して、左音声信号eL’を生成する。左音声信号eL’は、図1の増幅回路1においてコンデンサC1に供給される。同様に、加算器29は、高域通過フィルタ26からの音声信号と低域通過フィルタ27からの音声信号とを加算して、右音声信号eR’を生成する。右音声信号eR’は、図1の増幅回路1において位相反転部7に供給される。
以上のように、信号生成部21が生成する左音声信号eL’及び右音声信号eR’には、低周波数成分において同位相かつ同レベルのモノラル音声信号(低域通過フィルタ27からの音声信号)が含まれる。従って、入力される左音声信号eL及び右音声信号eRの低周波数成分にモノラル音声信号が含まれていない場合であっても、低周波数成分を低下させずに再生することができる。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。図5の回路構成において、直流成分を除去するためのコンデンサは、コンデンサCo2のみとして、コンデンサCo1を設けなくてもよい。
本発明は、例えばオーディオ用のパワーアンプとして特に好適に採用され得る。
1 増幅回路
2 第1増幅部
3 第2増幅部
4 基準電圧生成部
5 左チャンネル信号源
6 右チャンネル信号源
7 位相反転部
RL,RR 負荷
Co コンデンサ
2 第1増幅部
3 第2増幅部
4 基準電圧生成部
5 左チャンネル信号源
6 右チャンネル信号源
7 位相反転部
RL,RR 負荷
Co コンデンサ
Claims (7)
- 単電源で動作する増幅回路であって、
第1チャンネル用の負荷が接続可能である、第1極性の第1チャンネル出力端と、第2極性の第1チャンネル出力端と、
第2チャンネル用の負荷が接続可能である、第1極性の第2チャンネル出力端と、第2極性の第2チャンネル出力端と、
入力される第1チャンネル音声信号を基準電圧に基づいて増幅し、前記第1極性の第1チャンネル出力端に出力する第1増幅部と、
入力される第2チャンネル音声信号の位相を反転させる位相反転部と、
前記位相反転部から供給される第2チャンネル音声信号を前記基準電圧に基づいて増幅し、前記第2極性の第2チャンネル出力端に出力する第2増幅部と、
一端が接地電位又は前記単電源に接続され、他端が前記第2極性の第1チャンネル出力端と、前記第1極性の第2チャンネル出力端とに接続されたコンデンサとを備える、増幅回路。 - 前記コンデンサが第1コンデンサおよび第2コンデンサからなり、
前記第1コンデンサの一端が接地電位に接続され、その他端が前記第2極性の第1チャンネル出力端と、前記第1極性の第2チャンネル出力端とに接続され、
前記第2コンデンサの一端が前記単電源の正側に接続され、その他端が前記第2極性の第1チャンネル出力端と、前記第1極性の第2チャンネル出力端とに接続されている、請求項1に記載の増幅回路。 - 前記第2極性の第1チャンネル出力端と、前記第1極性の第2チャンネル出力端との接続点に生じするリップル成分を抽出し、前記第1増幅部および前記第2増幅部に供給することによって、前記第1チャンネル用の負荷および前記第2チャンネル用の負荷に供給される電圧から前記リップル成分を除去するリップル除去部をさらに備える、請求項2に記載の増幅回路。
- 前記第1チャンネル音声信号および前記第2チャンネル音声信号の低周波数成分には、同位相かつ同振幅レベルであるモノラル音声信号が含まれている、請求項1〜3のいずれかに記載の増幅回路。
- 前記第1チャンネル音声信号および前記第2チャンネル音声信号に基づいて、低周波数成分における同位相かつ同振幅レベルのモノラル音声信号を生成し、前記第1チャンネル音声信号および前記第2チャンネル音声信号に加算する信号生成部をさらに備える、請求項1〜4のいずれかに記載の増幅回路。
- 前記信号生成部が、前記第1チャンネル音声信号の高周波数成分を抽出する第1高域通過フィルタと、
前記第2チャンネル音声信号の高周波数成分を抽出する第2高域通過フィルタと、
前記第1チャンネル音声信号の振幅レベルに所定係数を乗算する第1乗算部と、
前記第2チャンネル音声信号の振幅レベルに前記所定係数を乗算する第2乗算部と、
前記第1乗算部の出力信号と前記第2乗算部の出力信号とを加算する第1加算部と、
前記第1加算部の出力信号の低周波数成分を抽出する低域通過フィルタと、
前記第1高域通過フィルタの出力信号と前記低域通過フィルタの出力信号とを加算する第2加算部と、
前記第2高域通過フィルタの出力信号と前記低域通過フィルタの出力信号とを加算する第3加算部とを有し、
前記第2加算部の出力信号が前記第1増幅部に供給され、
前記第3加算部の出力信号が前記位相反転部に供給される、請求項5に記載の増幅回路。 - 前記第1チャンネル音声信号が左音声信号であり、
前記第2チャンネル音声信号が右音声信号であり、
前記第1極性が正であり、
前記第2極性が負である、請求項1〜6のいずれかに記載の増幅回路。
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