JP2009275022A - イミダゾリウム塩およびそれが固定化された粒子状酸化物 - Google Patents

イミダゾリウム塩およびそれが固定化された粒子状酸化物 Download PDF

Info

Publication number
JP2009275022A
JP2009275022A JP2008130406A JP2008130406A JP2009275022A JP 2009275022 A JP2009275022 A JP 2009275022A JP 2008130406 A JP2008130406 A JP 2008130406A JP 2008130406 A JP2008130406 A JP 2008130406A JP 2009275022 A JP2009275022 A JP 2009275022A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
oxide
imidazolium salt
acid
immobilized
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2008130406A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5315787B2 (ja
Inventor
Koju Hagitani
弘寿 萩谷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Chemical Co Ltd filed Critical Sumitomo Chemical Co Ltd
Priority to JP2008130406A priority Critical patent/JP5315787B2/ja
Publication of JP2009275022A publication Critical patent/JP2009275022A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5315787B2 publication Critical patent/JP5315787B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P20/00Technologies relating to chemical industry
    • Y02P20/50Improvements relating to the production of bulk chemicals
    • Y02P20/52Improvements relating to the production of bulk chemicals using catalysts, e.g. selective catalysts

Landscapes

  • Catalysts (AREA)
  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)

Abstract

【課題】簡便に調製できて回収が容易なイミダゾリウム塩の形態を開発すること。
【解決手段】式(1)
Figure 2009275022

(式中、R、RおよびRはそれぞれ独立に、水素原子または置換されていてもよいアルキル基または置換されていてもよいアリール基を表す。また、RとRとが互いに結合して、それらの結合炭素原子とともに環構造を形成していてもよい。Rは置換されていてもよいアルキレン基を表し、Rは炭素数1〜8のアルキレン基を表し、RおよびRはそれぞれ同一または相異なって、炭素数1〜4のアルキル基を表す。nは0、1または2である。)
で示されるイミダゾリウム塩、および、これと粒子状酸化物とを作用させて得られるイミダゾリウム塩が固定化された粒子状酸化物。
【選択図】なし

Description

本発明は、イミダゾリウム塩およびそれが固定化された粒子状酸化物に関する。
スルホン酸側鎖を持つイミダゾリウム塩は、例えば、カルボン酸のエステル化反応や芳香族化合物のニトロ化反応に、触媒として用いられることが知られている(例えば、特許文献1、非特許文献1および非特許文献2参照。)。かかるイミダゾリウム塩は、イオン性液体の性質を利用して回収し、リサイクル使用することが可能であるが、工業的には、より回収が容易な形態であることが好ましい。
このような回収が容易なイミダゾリウム塩の形態として、アリル基をその1位に有するイミダゾリウム塩が、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランで修飾されたシリカゲルに固定化された粒子状酸化物が知られている(例えば、非特許文献3参照。)。しかしながら、かかるイミダゾリウム塩が固定化された粒子状酸化物は、調製が煩雑であるため、さらに簡便に調製できて回収が容易なイミダゾリウム塩の形態の開発が求められていた。
国際公開第2005/028446号 J.Am.Chem.Soc.,124,5962(2002) Chem.Lett.,33,808(2004) J.Mol.Cat.A:Chemical,246,65(2006)
このような状況のもと、本発明者は、簡便に調製できて回収が容易なイミダゾリウム塩の形態を開発すべく鋭意検討したところ、アルコキシシリルアルキル基をその1位に有するイミダゾリウム塩を用いれば、イミダゾリウム塩が固定化された粒子状酸化物を簡便に調製できることを見出した。すなわち、アルコキシシリルアルキル基をその1位に有するイミダゾリウム塩と、シリカゲル等の粒子状酸化物とを反応させれば、イミダゾリウム塩が固定化された粒子状酸化物が容易に得られる。かかるイミダゾリウム塩が固定化された粒子状酸化物をプロトン酸で処理することにより、カルボン酸のエステル化反応や芳香族化合物のニトロ化反応に利用できることを見出し、本発明に至った。
すなわち本発明は、下記〔1〕〜〔14〕に記載の発明を提供するものである。
〔1〕式(1)
Figure 2009275022
(式中、R、RおよびRはそれぞれ独立に、水素原子または置換されていてもよいアルキル基または置換されていてもよいアリール基を表す。また、RとRとが互いに結合して、それらの結合炭素原子とともに環構造を形成していてもよい。Rは置換されていてもよいアルキレン基を表し、Rは炭素数1〜8のアルキレン基を表し、RおよびRはそれぞれ同一または相異なって、炭素数1〜4のアルキル基を表す。nは0、1または2である。)
で示されるイミダゾリウム塩。
〔2〕式(2)
Figure 2009275022
(式中、R〜Rおよびnはそれぞれ上記と同じ意味を表す。)
で示されるイミダゾール化合物と、式(3)
Figure 2009275022
(式中、Rは上記と同じ意味を表す。)
で示されるスルトン化合物とを反応させる工程を含む式(1)
Figure 2009275022
(式中、R、RおよびRはそれぞれ独立に、水素原子または置換されていてもよいアルキル基または置換されていてもよいアリール基を表す。また、RとRとが互いに結合して、それらの結合炭素原子とともに環構造を形成していてもよい。Rは置換されていてもよいアルキレン基を表し、Rは炭素数1〜8のアルキレン基を表し、RおよびRはそれぞれ同一または相異なって、炭素数1〜4のアルキル基を表す。nは0、1または2である。)
で示されるイミダゾリウム塩の製造方法。
〔3〕式(1)
Figure 2009275022
(式中、R、RおよびRはそれぞれ独立に、水素原子または置換されていてもよいアルキル基または置換されていてもよいアリール基を表す。また、RとRとが互いに結合して、それらの結合炭素原子とともに環構造を形成していてもよい。Rは置換されていてもよいアルキレン基を表し、Rは炭素数1〜8のアルキレン基を表し、RおよびRはそれぞれ同一または相異なって、炭素数1〜4のアルキル基を表す。nは0、1または2である。)
で示されるイミダゾリウム塩と、粒子状酸化物とを作用させて得られる式(1)で示されるイミダゾリウム塩が固定化された粒子状酸化物。
〔4〕粒子状酸化物が、ケイ素酸化物、ホウ素酸化物、アルミニウム酸化物、チタン酸化物またはジルコニウム酸化物である上記〔3〕に記載の式(1)で示されるイミダゾリウム塩が固定化された粒子状酸化物。
〔5〕粒子状酸化物が、ケイ素酸化物である上記〔3〕に記載の式(1)で示されるイミダゾリウム塩が固定化された粒子状酸化物。
〔6〕式(1)で示されるイミダゾリウム塩と粒子状酸化物とを、非プロトン性有機溶媒の存在下、20〜100℃で作用させて式(1)で示されるイミダゾリウム塩が固定化された粒子状酸化物を得る工程をさらに含む上記〔2〕に記載の製造方法。
〔7〕粒子状酸化物が、ケイ素酸化物、ホウ素酸化物、アルミニウム酸化物、チタン酸化物またはジルコニウム酸化物である上記〔6〕に記載の製造方法。
〔8〕粒子状酸化物が、ケイ素酸化物である上記〔7〕に記載の製造方法。
〔9〕式(1)
Figure 2009275022
(式中、R、RおよびRはそれぞれ独立に、水素原子または置換されていてもよいアルキル基または置換されていてもよいアリール基を表す。また、RとRとが互いに結合して、それらの結合炭素原子とともに環構造を形成していてもよい。Rは置換されていてもよいアルキレン基を表し、Rは炭素数1〜8のアルキレン基を表し、RおよびRはそれぞれ同一または相異なって、炭素数1〜4のアルキル基を表す。nは0、1または2である。)
で示されるイミダゾリウム塩が固定化された粒子状酸化物をプロトン酸で処理してなる式(1’)
Figure 2009275022
(式中、R〜Rおよびnはそれぞれ上記と同じ意味を表す。Xはプロトン酸の対アニオンを表す。)
で示されるイミダゾリウム塩が固定化された粒子状酸化物。
〔10〕Xが、ハロゲン化物イオン類、ホウ酸イオン類、リン酸イオン類、アンチモン酸イオン類、スルホン酸イオン類、カルボン酸イオン類または硝酸イオン類である上記〔9〕に記載の式(1’)で示されるイミダゾリウム塩が固定化された粒子状酸化物。
〔11〕式(1)で示されるイミダゾリウム塩が固定化された粒子状酸化物をプロトン酸で処理する式(1’)で示されるイミダゾリウム塩が固定化された粒子状酸化物の製造方法。
〔12〕プロトン酸が、ハロゲン化水素酸類、ホウ酸類、リン酸類、アンチモン酸類、スルホン酸類、カルボン酸類または硝酸類である上記〔11〕に記載の製造方法。
〔13〕芳香族化合物をニトロ化する反応における触媒としての上記〔9〕または〔10〕に記載の式(1’)で示されるイミダゾリウム塩が固定化された粒子状酸化物の使用。
〔14〕カルボン酸類とアルコール類とからエステル類を与える反応における触媒としての上記〔9〕または〔10〕に記載の式(1’)で示されるイミダゾリウム塩が固定化された粒子状酸化物の使用。
本発明によれば、カルボン酸のエステル化反応や芳香族化合物のニトロ化反応における触媒等として有用なイミダゾリウム塩が固定化された粒子状酸化物を簡便に得ることができる。また、かかるイミダゾリウム塩が固定化された粒子状酸化物は、容易に回収することができ、リサイクル使用が可能である。
まず、上記式(1)で示されるイミダゾリウム塩(以下、イミダゾリウム塩(1)と略記する。)について説明する。
式(1)においてR、RおよびRで示されるアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、デシル基、シクロプロピル基、2,2−ジメチルシクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、メンチル基等の直鎖状、分枝鎖状または環状の炭素数1〜20のアルキル基が挙げられる。これらのアルキル基上に置換していてもよい基としては、フェニル基、ナフチル基、4−メチルフェニル基、4−メトキシフェニル基等の置換されていてもよいアリール基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、トリフルオロメトキシ基、ベンジルオキシ基、4−メチルベンジルオキシ基、4−メトキシベンジルオキシ基、3−フェノキシベンジルオキシ基等の置換されていてもよいアルコキシ基;フェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基、4−メトキシフェノキシ基、3−フェノキシフェノキシ基等の置換されていてもよいアリールオキシ基;アセチル基、プロピオニル基、ベンジルカルボニル基、4−メチルベンジルカルボニル基、4−メトキシベンジルカルボニル基等の置換されていてもよいアルキルカルボニル基;ベンゾイル基、2−メチルベンゾイル基、4−メチルベンゾイル基、4−メトキシベンゾイル基等の置換されていてもよいアリールカルボニル基;カルボキシ基;フッ素原子;等が例示される。かかる基で置換されたアルキル基の具体例としては、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、メトキシメチル基、エトキシメチル基、メトキシエチル基、ベンジル基、4−フルオロベンジル基、4−メチルベンジル基、フェノキシメチル基、2−オキソプロピル基、2−オキソブチル基、フェナシル基、2−カルボキシエチル基等が挙げられる。
アリール基としては、例えばフェニル基、ナフチル基等の炭素数6〜10のアリール基が挙げられる。これらのアリール基上に置換していてもよい基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロペンチル基、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、メトキシメチル基、エトキシメチル基、メトキシエチル基等の置換されていてもよいアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、フルオロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基、メトキシメトキシ基、エトキシメトキシ基、メトキシエトキシ基等の置換されていてもよいアルコキシ基;フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;等が例示される。かかる基で置換されたアリール基の具体例としては、2−メチルフェニル基、4−クロロフェニル基、4−メチルフェニル基、4−メトキシフェニル基等が挙げられる。
とRとが互いに結合して、それらの結合炭素原子とともに形成してなる式(4)
Figure 2009275022
で示される環構造の具体例としては、シクロペンテノイミダゾール、シクロヘキセノイミダゾール、ベンズイミダゾール、ナフトイミダゾール等が挙げられる。
で示されるアルキレン基としては、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、ブチレン基、イソブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン、ヘプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基、ウンデシレン基等の直鎖状または分岐鎖状の炭素数1〜20のアルキレン基が挙げられる。これらのアルキレン基上に置換していてもよい基としては、フェニル基、ナフチル基、4−メチルフェニル基、4−メトキシフェニル基等の置換されていてもよいアリール基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、トリフルオロメトキシ基、ベンジルオキシ基、4−メチルベンジルオキシ基、4−メトキシベンジルオキシ基、3−フェノキシベンジルオキシ基等の置換されていてもよいアルコキシ基;フッ素原子;等が例示される。かかる置換基で置換されたアルキレン基の具体例としては、1,2−ジフルオロエチレン基、2,2−ジクロロプロピレン基、2−エトキシプロピレン基等が挙げられる。
で示される炭素数1〜8のアルキレン基としては、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、ブチレン基、イソブチレン基、ペンチレン基、イソペンチレン基、ヘキシレン、ヘプチレン基、オクチレン基等が挙げられる。
およびRで示される炭素数1〜4のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等が挙げられる。
かかるイミダゾリウム塩(1)としては、1−{1−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−3−イミダゾリオ}エタン−2−スルホネート、1−{1−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−3−イミダゾリオ}プロパン−3−スルホネート、1−{1−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−3−イミダゾリオ}ブタン−4−スルホネート、1−{1−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]−3−イミダゾリオ}エタン−2−スルホネート、1−{1−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]−3−イミダゾリオ}プロパン−3−スルホネート、1−{1−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−4−メチル−3−イミダゾリオ}ブタン−4−スルホネート、1−{1−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]―2−メチル−3−イミダゾリオ}ブタン−4−スルホネート、1−{1−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−5−メチル−3−イミダゾリオ}ブタン−4−スルホネート、1−{1−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−4−メチル−3−イミダゾリオ}プロパン−3−メチル−3−スルホネート、1−{1−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−3−ベンゾイミダゾリオ}プロパン−3−メチル−3−スルホネート、1−{1−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−3−ベンゾイミダゾリオ}ブタン−4−スルホネート、1−{1−[4−(トリメトキシシリル)ブチル]−3−イミダゾリオ}エタン−2−スルホネート、1−{1−[4−(トリメトキシシリル)ブチル]−3−イミダゾリオ}プロパン−3−スルホネート、1−{1−[4−(トリエトキシシリル)ブチル]−3−イミダゾリオ}エタン−2−スルホネート、1−{1−[4−(トリエトキシシリル)ブチル]−3−イミダゾリオ}プロパン−3−スルホネート、1−{1−[4−(トリメトキシシリル)ブチル]−4−メチル−3−イミダゾリオ}ブタン−4−スルホネート、1−{1−[4−(トリメトキシシリル)ブチル]−2−メチル−3−イミダゾリオ}ブタン−4−スルホネート、1−{1−[4−(トリメトキシシリル)ブチル]−5−メチル−3−イミダゾリオ}ブタン−4−スルホネート、1−{1−[8−(トリメトキシシリル)オクチル]−3−イミダゾリオ}ブタン−4−スルホネート、1−{1−[4−(トリメトキシシリル)ブチル]−3−ベンズイミダゾリオ}プロパン−3−メチル−3−スルホネート、1−{1−[4−(トリメトキシシリル)ブチル]−3−ベンズイミダゾリオ}ブタン−4−スルホネート等が挙げられる。
これらイミダゾリウム塩(1)は新規化合物であり、例えば上記式(2)で示されるイミダゾール化合物(以下、イミダゾール(2)と略記する。)と、上記式(3)で示されるスルトン化合物(以下、スルトン(3)と略記する。)とを反応させることにより得られる。
イミダゾール(2)としては、例えば1−[2−(トリメトキシシリル)エチル]イミダゾール、1−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]イミダゾール、1−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]イミダゾール、1−[4−(トリメトキシシリル)ブチル]イミダゾール、1−[8−(トリメトキシシリル)オクチル]イミダゾール、1−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−2−メチルイミダゾール、1−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−4−メチルイミダゾール、1−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]ベンズイミダゾール、1−[4−(トリメトキシシリル)ブチル]ベンズイミダゾール等が挙げられる。これらは、市販のものを用いてもよいし、例えばSynthesis,622(2005)等に記載の公知の方法により製造したものを用いてもよい。
スルトン(3)としては、例えば1,1−メタンスルトン、1,2−エタンスルトン、1,3−プロパンスルトン、1,4−ブタンスルトン、1,5−ペンタンスルトン、1,7−ヘキサンスルトン、2,4−ブタンスルトン、2,5−ペンタンスルトン等が挙げられる。これらは、市販のものを用いてもよいし、例えばJustus Liebigs Annalen der Chemie,588,71(1954)等に記載の公知の方法により製造したものを用いてもよい。
スルトン(3)の使用量は、通常、イミダゾール(2)に対して1モル倍以上であればよい。その上限は特に無く、溶媒を兼ねて過剰量用いてもよい。
イミダゾール(2)とスルトン(3)の反応は、通常、溶媒の存在下で実施される。溶媒としては、例えば、メチルtert−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジグライム等のエーテル溶媒;アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル溶媒;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン溶媒;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素溶媒;等が挙げられる。溶媒を使用する場合、その使用量は特に制限されないが、容積効率等を考慮すると、実用的には、イミダゾール(2)に対して、通常100重量倍以下である。
反応温度は、通常−20〜200℃の範囲である。また、常圧条件下で反応を実施してもよいし、加圧条件下で反応を実施してもよい。反応の進行は、例えばガスクロマトグラフィ、高速液体クロマトグラフィ、薄層クロマトグラフィ、NMR、IR等の通常の分析手段により確認することができる。
反応試剤の混合順は、特に制限されない。必要により溶媒の存在下に、イミダゾール(2)とスルトン(3)の混合物を反応温度で処理すればよい。1,1−メタンスルトンのような熱力学的に不安定なスルトン(3)を用いる場合等には、スルトン(3)の調製と本反応とを同時に行うこともできる。
反応終了後の混合物にはイミダゾリウム塩(1)が含まれており、該混合物をそのまま後述する固定化に供してもよいし、該混合物に、例えばろ過、デカンテーション、濃縮、分液等の処理を施すことによりイミダゾリウム塩(1)を単離して後述する固定化に供してもよい。単離されたイミダゾリウム塩(1)は、例えば晶析、カラムクロマトグラフィ等の手段によりさらに精製されてもよい。
次に、イミダゾリウム塩(1)が固定化された粒子状酸化物の製造方法について説明する。本発明において固定化とは、粒子状酸化物上にイミダゾリウム塩(1)を、物理的または化学的に結合させる処理をいう。物理的に結合させる方法とは、例えば吸着等が挙げられ、化学的に結合させる方法とは、例えば、イミダゾリウム塩(1)上の−SiR (OR3−n基と粒子状酸化物表面の水酸基とを反応させ、ROHを脱離させることによりイミダゾリウム塩(1)と粒子状酸化物とを結合させる方法が挙げられる。
粒子状酸化物としては、水酸基を表面上に有する粒子状の金属酸化物であれば、特に限定されない。通常、ケイ素酸化物、ホウ素酸化物、アルミニウム酸化物、チタン酸化物、ジルコニウム酸化物およびこれらの複合酸化物が挙げられる。これらは、天然のものであっても、市販のものであっても、任意の方法により調製したものであってもよい。
具体的な粒子状酸化物としては、例えば、シリカゲル、ヒュームドシリカ、コロイダルシリカ、MCM、HMS等のケイ素酸化物;酸化ホウ素、ホウ酸等のホウ素酸化物;α−アルミナ、γ−アルミナ等のアルミニウム酸化物;酸化チタン、オルソチタン酸、チタニアゲル等のチタン酸化物;酸化ジルコニウム、水酸化ジルコニウム等のジルコニウム酸化物;アルミノシリケート、ジルコン等の複合酸化物;等が挙げられる。ケイ素酸化物が好ましく、なかでもシリカゲルならびにMCMおよびHMS等のメソ細孔性シリカがより好ましい。
粒子状酸化物の使用量は特に限定されず、通常、イミダゾリウム塩(1)に対して0.1〜10重量倍の範囲で用いれば、本発明の目的を達成できる。
固定化は、通常、有機溶媒の存在下において実施される。有機溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素溶媒;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素溶媒;ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素溶媒;ジエチルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル等のエーテル溶媒;酢酸エチル等のエステル溶媒;等の非プロトン性有機溶媒が挙げられる。その使用量は特に制限されないが、容積効率等を考慮すると、実用的には、イミダゾリウム塩(1)に対して、通常100重量倍以下である。
固定化は、通常−20〜200℃、好ましくは20〜100℃の温度範囲で実施される。
固定化は、必要により有機溶媒の存在下、イミダゾリム塩(1)と粒子状酸化物とを混合することにより実施され、それらの混合順序は特に限定されない。
常圧条件下で固定化を実施してもよいし、加圧条件下で固定化を実施してもよい。また、固定化の進行は、例えばNMR、IR等の通常の分析手段により確認することができる。
固定化終了後、得られた混合物を、そのまま後述するプロトン酸処理に供してもよいし、該混合物に、ろ過やデカンテーション等の通常の固液分離を施すことにより固体を得、必要により該固体に洗浄や乾燥等の処理を施すことにより、イミダゾリウム塩(1)が固定化された粒子状酸化物を取り出して、後述するプロトン酸処理に供してもよい。
該洗浄処理に用いる溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素溶媒;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素溶媒;ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素溶媒;ジエチルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル等のエーテル溶媒;酢酸エチル等のエステル溶媒;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン溶媒;アセトニトリル等のニトリル溶媒;等の有機溶媒が挙げられる。
続いて、イミダゾリウム塩(1)が固定化された粒子状酸化物をプロトン酸で処理することにより、上記式(1’)で表されるイミダゾリウム塩(以下、イミダゾリウム塩(1’)と略記する。)が固定化された粒子状酸化物を得る方法について説明する。
本発明において、プロトン酸処理とは、イミダゾリウム塩(1)が固定化された粒子状酸化物とプロトン酸と接触させることにより、粒子状酸化物に固定化されたイミダゾリウム塩(1)のスルホアニオンをプロトン化してスルホン酸に変化させるとともに、プロトン酸の解離アニオンをイミダゾリウム塩の対アニオンとすることにより、イミダゾリウム塩(1’)が固定化された粒子状酸化物を得る処理をいう。
プロトン酸の具体例としては、フッ化水素酸、塩酸、臭化水素酸等のハロゲン化水素酸類;ホウ酸、ホウフッ化水素酸等のホウ酸類;リン酸、ポリリン酸、モノメチルリン酸、ヘキサフルオロリン酸等のリン酸類;ヘキサフルオロアンチモン酸等のアンチモン酸類;硫酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、クロロスルホン酸等のスルホン酸類;酢酸、ギ酸、安息香酸、トリフルオロ酢酸等のカルボン酸類;硝酸;等が挙げられる。
プロトン酸の使用量は、粒子状酸化物に固定化されたイミダゾリウム塩(1)に対して、通常1モル倍以上であればよく、その上限は特にない。
式(1’)におけるXはプロトン酸の対アニオンを表し、その具体例としては、塩化物イオン、臭化物イオン、フッ化物イオン等のハロゲン化物イオン類;ホウ酸アニオン、テトラフルオロホウ酸アニオン等のホウ酸イオン類;リン酸アニオン、モノメチルリン酸アニオン、ヘキサフルオロリン酸アニオン等のリン酸イオン類;ヘキサフルオロアンチモン酸アニオン等のアンチモン酸イオン類;硫酸アニオン、メタンスルホン酸アニオン、p−トルエンスルホン酸アニオン、トリフルオロメタンスルホン酸アニオン、クロロスルホン酸アニオン等のスルホン酸イオン類;酢酸アニオン、ギ酸アニオン、安息香酸アニオン、トリフルオロ酢酸アニオン等のカルボン酸アニオン;硝酸アニオン;等が挙げられる。
プロトン酸処理は、溶媒を用いることなく実施されてもよいし、溶媒を兼ねてプロトン酸を大過剰量用いて実施されてもよいが、通常、溶媒の存在下に実施される。かかる溶媒としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素溶媒;トルエン、クロロベンゼン等の芳香族溶媒;アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル溶媒;ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素溶媒;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド溶媒;アセトン、メチルイソブチルケトン等のケトン溶媒;酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル溶媒;水;等が挙げられる。これらの溶媒は、単独で用いてもよいし、2種以上を同時に用いてもよい。溶媒の使用量は特に制限されないが、容積効率等を考慮すると、実用的には、イミダゾリウム塩(1)が固定化された粒子状酸化物に対して100重量倍以下である。
プロトン酸処理時の温度は、通常−20〜200℃、好ましくは0〜100℃の範囲である。
プロトン酸処理は、必要により溶媒の存在下で、イミダゾリウム塩(1)が固定化された粒子状酸化物とプロトン酸とを混合することにより実施され、それらの混合順序は特に限定されない。該処理により得られるイミダゾリウム塩(1’)が固定化された粒子状酸化物を、後述する芳香族化合物をニトロ化する反応における触媒として用いる場合は、硝酸を用いてプロトン酸処理と芳香族化合物のニトロ化とを同時に行うこともできる。また、該処理により得られるイミダゾリウム塩(1’)が固定化された粒子状酸化物を、後述するカルボン酸類とアルコール類とからエステル類を与える反応における触媒として用いる場合は、カルボン酸類を用いてプロトン酸処理とエステル化とを同時に行うこともできる。
常圧条件下でプロトン酸処理を実施してもよいし、加圧条件下でプロトン酸処理を実施してもよい。また、プロトン酸処理の進行は、例えばイオンクロマトグラフィ、NMR、IR等の通常の分析手段により確認することができる。
プロトン酸処理後、得られた混合物を、そのまま後述する芳香族化合物をニトロ化する反応や、カルボン酸類とアルコール類とからエステル類を与える反応等の反応に供してもよいし、該混合物に、ろ過やデカンテーション等の通常の固液分離処理を施すことにより固体を得、必要により該固体に洗浄や乾燥等の処理を施すことにより、イミダゾリウム塩(1’)が固定化された粒子状酸化物を取り出して、後述する反応に供してもよい。
該洗浄処理に用いる溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素溶媒;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素溶媒;ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素溶媒;ジエチルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル等のエーテル溶媒;酢酸エチル等のエステル溶媒;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン溶媒;アセトニトリル等のニトリル溶媒;等の有機溶媒が挙げられる。
かくして得られたイミダゾリウム塩(1’)が固定化された粒子状酸化物は、例えば、芳香族化合物をニトロ化する反応や、カルボン酸類とアルコール類とからエステル類を与える反応等の反応における触媒として用いることができる。以下、かかる2つの反応について説明する。
まず、芳香族化合物をニトロ化する反応(以下、芳香族ニトロ化反応と略記する。)について説明する。
芳香族化合物は、そのニトロ化を受ける芳香核上に水素原子を1つ以上有する化合物であれば、特に限定されず、複素芳香族化合物であってもよい。無置換の芳香族化合物の具体例としては、ベンゼン、チオフェン、ピロール、フラン、ピリジン、ピリミジン等の単環式芳香族化合物;ナフタレン、アントラセン、インデン、インドール、キノリン、イソキノリン等の縮合多環式芳香族化合物;ビフェニル、ターフェニル等の多量体芳香族化合物;が挙げられる。これらの芳香環は、ニトロ化反応を阻害しない置換基を有していてもよい。かかる置換基としては、例えば、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜12のアルケニル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数2〜20のアルカンカルボニル基、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基、カルバモイル基(該カルバモイル基上の窒素原子は炭素数1〜3のアルキル基で置換されていてもよい)、アミノ基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシ基、水酸基等が挙げられる。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
炭素数1〜20のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−デシル基、シクロプロピル基、2,2−ジメチルシクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、メンチル基等が挙げられる。
炭素数2〜12のアルケニル基としては、例えばエテニル基、1−プロペニル基、1−メチルエテニル基、1−ブテニル基、1−メチル−1−プロペニル基、2−メチル−1−プロペニル基、1−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、1−デセニル基、1−シクロペンテニル基、1−シクロヘキセニル基等が挙げられる。
炭素数1〜20のアルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−デシルオキシ基、シクロプロピルオキシ基、2,2−ジメチルシクロプロピルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、メンチルオキシ基等が挙げられる。
炭素数2〜20のアルカンカルボニル基としては、例えばアセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基、ヘキサノイル基、オクタノイル基、デカノイル基、ドデカノイル基、ヘキサデカノイル基、オクタデカノイル基、シクロヘキサンカルボニル基等が挙げられる。
炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基としては、例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基、sec−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、n−ペンチルオキシカルボニル基、n−デシルオキシカルボニル基、シクロプロピルオキシカルボニル基、2,2−ジメチルシクロプロピルオキシカルボニル基、シクロペンチルオキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル基、メンチルオキシカルボニル基等が挙げられる。
カルバモイル基(該カルバモイル基上の窒素原子は炭素数1〜3のアルキル基で置換されていてもよい)としては、例えばカルバモイル基、N−メチルカルバモイル基、N−エチルカルバモイル基、N−n−プロピルカルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基、N,N−ジエチルカルバモイル基等が挙げられる。
これらの基で置換された芳香族化合物としては、例えばトルエン、エチルベンゼン、キシレン、フルオロベンゼン、クロロベンゼン、ブロモベンゼン、シアノベンゼン、安息香酸メチル、ニトロベンゼン、アニソール、トリフルオロメチルベンゼン、フェノール、m−クレゾール、p−クレゾール、安息香酸、p−ジクロロベンゼン、m−ジフルオロベンゼン、1−クロロ−4−メチルベンゼン、1−クロロ−4−シアノベンゼン、アセトフェノン、アニリン、ビベンジル、ナフタレン、ビフェニル、ピリジン、ニコチンアミド、2−メチルピリジン、4−クロロピリジン、2−メチルフラン等が挙げられる。これらの芳香族化合物は、市販のものであっても、任意の公知の方法により製造されたものであってもよい。
芳香族ニトロ化反応に用いるニトロ化剤としては、通常、硝酸が用いられる。硝酸は、取り扱いの容易さ、反応性等の面から、35〜90重量%のものが好ましく、50〜70重量%のものがより好ましい。芳香族化合物上の水素原子を1つだけニトロ化する場合の硝酸の使用量は、芳香族化合物に対して、通常1〜5モル倍、好ましくは1〜3モル倍の範囲である。芳香族化合物上の水素原子を2つ以上ニトロ化する場合の硝酸の使用量は、反応を所望する水素原子に対して1モル倍以上の範囲で適宜調整して用いればよい。
芳香族ニトロ化反応は、溶媒を用いることなく実施されてもよいし、溶媒の存在下に実施されてもよい。かかる溶媒としては、例えば、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素溶媒;ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素溶媒;水;等が挙げられる。溶媒の使用量は特に制限されないが、容積効率等を考慮すると、実用的には、芳香族化合物に対して、通常100重量倍以下である。
イミダゾリウム塩(1’)が固定化された粒子状酸化物の使用量は、通常、芳香族化合物1モルに対し、イミダゾリウムカチオンが0.005〜0.5モル含まれる範囲であり、好ましくは0.01〜0.3モル含まれる範囲である。
芳香族ニトロ化反応は、通常−20〜200℃の範囲で行われる。
芳香族ニトロ化反応は、必要により溶媒の存在下、芳香族化合物と、ニトロ化剤と、イミダゾリウム塩(1’)が固定化された粒子状酸化物とを混合することにより実施され、それらの混合順序は、特に制限されない。溶媒と芳香族化合物と、イミダゾリウム塩(1’)が固定化された粒子状酸化物との混合物に、反応温度条件下で、ニトロ化剤を加えていく実施態様が好ましい。
常圧条件下で芳香族ニトロ化反応を実施してもよいし、加圧条件下で芳香族ニトロ化反応を実施してもよい。また、芳香族ニトロ化反応の進行は、例えばガスクロマトグラフィ、高速液体クロマトグラフィ、薄層クロマトグラフィ、NMR、IR等の通常の分析手段により確認することができる。
反応終了後、得られた反応混合物に、例えばろ過やデカンテーション等の固液分離処理施して、イミダゾリウム塩(1’)が固定化された粒子状酸化物を除いた後、得られた反応溶液に、例えば晶析、分液、濃縮等の通常の単離処理を施すことにより、芳香族ニトロ化合物を単離することができる。得られた芳香族ニトロ化合物は、例えば蒸留、カラムクロマトグラフィ等の通常の精製処理により、さらに精製されてもよい。
かくして得られる芳香族ニトロ化合物としては、例えばニトロベンゼン、2−ニトロトルエン、3−ニトロトルエン、4−ニトロトルエン、4−ニトロエチルベンゼン、2−ニトロ−1,4−ジメチルベンゼン、3−ニトロ−1,5−ジメチルベンゼン、3−ニトロ−1,5−ジメチルベンゼン、4−ニトロ−1,2−ジメチルベンゼン、3−ニトロフルオロベンゼン、4−ニトロクロロベンゼン、4−ニトロブロモベンゼン、3−ニトロシアノベンゼン、3−ニトロ安息香酸メチル、m−ジニトロベンゼン、4−ニトロアニソール、3−ニトロトリフルオロメチルベンゼン、2−ニトロフェノール、4−ニトロフェノール、4−ニトロ−3−メチルフェノール、2−ニトロ−4−メチルフェノール、3−ニトロ安息香酸、1,4−ジクロロ−2−ニトロベンゼン、1,3−ジフルオロ−5−ニトロベンゼン、1−クロロ−3−ニトロ−4−メチルベンゼン、3−ニトロアセトフェノン、1−フェノキシ−4−ニトロベンゼン、4−ニトロアニリン、4−フェニルメチル−1−ニトロベンゼン、4−ニトロビフェニル、4−ニトロピリジン、2−ニトロピリジン、2−メチル−3−ニトロピリジン、2−ニトロ−4−クロロピリジン、2−ニトロピリミジン、4−ニトロキノリン、1−ニトロイソキノリン、2−ニトロインドール、2−メチル−5−ニトロフラン等が挙げられる。
上記固液分離処理により回収されたイミダゾリウム塩(1’)が固定化された粒子状酸化物は、そのまま、あるいは必要に応じて洗浄等の処理を施された後、芳香族ニトロ化反応や、後述するカルボン酸類とアルコール類とからエステル類を与える反応等における触媒として再使用することができる。
次に、カルボン酸類とアルコール類とからエステル類を与える反応(以下、直接エステル化反応と略記する。)について説明する。
本発明に用いるカルボン酸類は、分子内にカルボニル基を1以上有する有機化合物であれば特に限定されず、その代表例としては、式(a)
Figure 2009275022
(式中、Rは置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基または置換されていてもよいアリール基を表す。)
で示されるカルボン酸類(以下、カルボン酸(a)と略記する。)が挙げられる。かかるカルボン酸類は、市販のものを用いてもよいし、任意の公知方法により製造したものを用いてもよい。
式(a)において、Rで示されるアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−デシル基、シクロプロピル基、2,2−ジメチルシクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、メンチル基等の炭素数1〜20のアルキル基が挙げられる。これらのアルキル基上に置換していてもよい基としては、例えば、フッ素原子等のハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基;アセチル基、プロピオニル基、ベンゾイル基等のアシル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基;フェニル基、ナフチル基等のアリール基;フェノキシ基、1−ナフトキシ基、2−ナフトキシ基等のアリールオキシ基;エテニル基、1−プロペニル基、1−メチルエテニル基、1−ブテニル基、1−メチル−1−プロペニル基、2−メチル−1−プロペニル基、1−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、1−デセニル基等のアルケニル基;等が挙げられる。かかる置換基で置換されたアルキル基の具体例としては、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、メトキシメチル基、エトキシメチル基、3−オキソブチル基、メトキシエチル基、メトキシカルボニルメチル基、ベンジル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1−メチル−2−プロペニル基、2−ペンテニル基、3−ペンテニル基、3,3−ジメチル−2−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロピル基、3,3−ジメチル−2−(1−プロペニル)シクロプロピル基等が挙げられる。
アルケニル基としては、例えばエテニル基、1−プロペニル基、1−メチルエテニル基、1−ブテニル基、1−メチル−1−プロペニル基、2−メチル−1−プロペニル基、1−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、1−デセニル基、1−シクロペンテニル基、1−シクロヘキセニル基等の直鎖状、分枝鎖状または環状の炭素数2〜12のアルケニル基が挙げられる。これらのアルケニル基上に置換していてもよい基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基;フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基等のアリール基;フェノキシ基、1−ナフトキシ基、2−ナフトキシ基等のアリールオキシ基;アセチル基、プロピオニル基、ベンゾイル基等のアシル基;等が挙げられる。かかる置換基で置換されたアルケニル基の具体例としては、3−フルオロ−1−プロペニル基、3−メトキシ−1−プロペニル基、3−フェノキシ−1−ブテニル基、スチリル基等が挙げられる。
アリール基としては、例えばフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基等の炭素数6〜10のアリール基が挙げられる。これらのアリール基上に置換していてもよい基としては、例えば、前記置換されていてもよいアルキル基;前記置換されていてもよいアルケニル基;フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基等のアリール基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基;アセチル基、プロピオニル基、ベンゾイル基等のアシル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基;シアノ基;ニトロ基;等が挙げられる。かかる置換基で置換されたアリール基の具体例としては、2−メチルフェニル基、4−クロロフェニル基、4−メチルフェニル基、4−メトキシフェニル基、4−アセチルフェニル基;等が挙げられる。
カルボン酸(a)に代表されるカルボン酸類としては、例えば酢酸、プロピオン酸、n−ブタン酸、n−ペンタン酸、n−ヘキサン酸、n−ヘプタン酸、n−オクタン酸、シクロヘキサンカルボン酸、ピバル酸、tert−ブチル酢酸、アクリル酸、ピルビン酸、桂皮酸、フェニル酢酸、安息香酸、2−フルオロ安息香酸、2−クロロ安息香酸、2−ブロモ安息香酸、3−フルオロ安息香酸、3−クロロ安息香酸、3−ブロモ安息香酸、4−フルオロ安息香酸、4−クロロ安息香酸、4−ブロモ安息香酸、2,4−ジフルオロ安息香酸、2,4−ジクロロ安息香酸、3,5−ジフルオロ安息香酸、3−フェノキシ安息香酸、4−メチル安息香酸、3−トリフルオロメチル安息香酸、2−メトキシ安息香酸、1−ナフトエ酸、3,3−ジメチル−2−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸、3,3−ジメチル−2−(1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸等が挙げられる。
アルコール類としては、分子内にヒドロキシ基またはメルカプト基を1以上有する有機化合物であれば特に限定されず、その代表例としては、式(b)
Figure 2009275022
(式中、Rは置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基または置換されていてもよいアリール基を表す。Qは、酸素原子または硫黄原子を表す。)
で示されるアルコール類(以下、アルコール類(b)と略記する。)が挙げられる。かかるアルコール類は、市販のものを用いてもよいし、任意の公知方法により製造したものを用いてもよい。
式(b)において、Rで示される置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基および置換されていてもよいアリール基としては、Rとして前述したものと同様の基が例示される。
かかるアルコール類(b)としては、例えばメタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロパノール、1−ブタノール、1−ブタンチオール、イソブタノール、tert−ブタノール、1−ペンタノール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、シクロヘキサンチオール、1−ヘキサノール、1−ヘキサンチオール、1−ヘプタノール、1−オクタノール、1−ノナノール、1−デカノール、ベンジルアルコール、2−フルオロベンジルアルコール、3−フルオロベンジルアルコール、4−フルオロベンジルアルコール、2−ブチン−1−オール、2−クロロベンジルアルコール、4−クロロベンジルアルコール、4−ブロモベンジルアルコール、4−メトキシベンジルアルコール、アリルアルコール、(5−フェノキシ−3−フリル)メチルアルコール、4−メトキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジルアルコール、4−メチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジルアルコール、2,3,5,6−テトラフルオロベンジルアルコール、フェノール、チオフェノール等が挙げられる。
アルコール類の使用量は特に限定されず、通常、カルボン酸類の反応を所望するカルボキシ基1モルに対して、アルコール類の反応を所望するヒドロキシ基またはメルカプト基が1モル存在する量を用いれば、本発明の目的を達成できるが、反応性や経済性等の観点により、溶媒を兼ねて、どちらか一方を過剰量用いてもよい。アルコール類の使用量の好ましい範囲は、カルボン酸類の反応を所望するカルボキシ基1モルに対して、アルコール類の反応を所望するヒドロキシ基またはメルカプト基が0.5〜2モルの範囲である。
直接エステル化反応は、有機溶媒を用いることなく実施されてもよいし、有機溶媒の存在下に実施されてもよい。
有機溶媒としては、例えば、メチルtert−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジグライム等のエーテル溶媒;アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル溶媒;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素溶媒;n−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素溶媒;等が挙げられる。また、水と共沸する溶媒の存在下、副生物である水を共沸により連続的に除去しながら直接エステル化反応を実施することもできる。
有機溶媒の使用量は特に制限されないが、容積効率等を考慮すると、実用的には、カルボン酸類に対して、通常100重量倍以下である。反応温度は、通常−20〜200℃の範囲である。
イミダゾリウム塩(1’)が固定化された粒子状酸化物の使用量は、カルボン酸類の反応を所望するカルボキシ基1モルに対して、通常、0.001〜0.05モルの範囲である。
反応試剤の混合順序は特に制限されず、通常、カルボン酸類、アルコール類およびイミダゾリウム塩(1’)が固定化された粒子状酸化物ならびに必要により有機溶媒を任意の順序で混合し、次いで反応温度を調整することにより実施される。反応温度条件下で混合する場合は、カルボン酸類、イミダゾリウム塩(1’)が固定化された粒子状酸化物ならびに必要により有機溶媒を任意の順序で混合し、該混合物中にアルコール類を加えていくことが好ましい。
直接エステル化反応は、常圧条件下で実施してもよいし、減圧条件あるいは加圧条件下で実施してもよい。また、反応の進行は、例えばガスクロマトグラフィ、高速液体クロマトグラフィ、薄層クロマトグラフィ、NMR、IR等の通常の分析手段により確認することができる。
反応終了後、得られた反応混合物に、例えばろ過やデカンテーション等の固液分離処理施して、イミダゾリウム塩(1’)が固定化された粒子状酸化物を除いた後、得られた反応溶液に、例えば晶析、分液、濃縮等の通常の単離処理を施すことにより、目的のエステル類を単離することができる。得られたエステル類は、例えば蒸留、カラムクロマトグラフィ等の通常の精製処理により、さらに精製されてもよい。
直接エステル化反応により得られるエステル類は、カルボン酸類の反応を所望するカルボキシ基と、アルコール類の反応を所望するヒドロキシ基またはメルカプト基とが、脱水縮合し、エステル結合を形成することにより得られる化合物である。例えば、カルボン酸類としてカルボン酸(a)を用い、アルコール類としてアルコール類(b)を用いた場合、得られるエステル類は、式(c)
Figure 2009275022
(式中、R、RおよびQは、それぞれ上記と同一の意味を表す。)
で示されるカルボン酸エステルである。
かかるエステル類としては、例えば酢酸エチル、プロピオン酸メチル、n−ブタン酸イソプロピル、n−ペンタン酸オクチル、n−ヘキサン酸ベンジル、n−ヘプタン酸ペンチル、n−オクタン酸メチル、シクロヘキサンカルボン酸ベンジル、ピバル酸ベンジル、tert−ブチル酢酸ブチル、アクリル酸エチル、桂皮酸エチル、桂皮酸(1−オクチル)、フェニル酢酸ベンジル、安息香酸メチル、安息香酸イソプロピル、2−フルオロ安息香酸メチル、2−フルオロ安息香酸ベンジル、2−クロロ安息香酸メチル、2−ブロモ安息香酸エチル、3−フルオロ安息香酸プロピル、3−クロロ安息香酸ブチル、3−ブロモ安息香酸ペンチル、4−フルオロ安息香酸メチル、4−クロロ安息香酸メチル、4−ブロモ安息香酸メチル、2,4−ジフルオロ安息香酸ベンジル、2,4−ジクロロ安息香酸エチル、3,5−ジフルオロ安息香酸メチル、3−フェノキシ安息香酸メチル、4−メチル安息香酸メチル、3−トリフルオロメチル安息香酸メチル、2−メトキシ安息香酸メチル、チオ安息香酸S-フェニル、チオ安息香酸S-ブチル、4−フェニルブタン酸(1−オクチル)、4−フェニルブタン酸(シクロヘキシル)、1−メトキシカルボニルナフタレン、3,3−ジメチル−2−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸(2,3,5,6−テトラフルオロベンジル)、3,3−ジメチル−2−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸(2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジル)、3,3−ジメチル−2−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸(2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシベンジル)、3,3−ジメチル−2−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸(2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル)、3,3−ジメチル−2−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸(3−フェノキシベンジル)、3,3−ジメチル−2−(1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸(2,3,5,6−テトラフルオロベンジル)、3,3−ジメチル−2−(1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸(2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジル)、3,3−ジメチル−2−(1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸(2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシベンジル)、3,3−ジメチル−2−(1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸(2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル)、3,3−ジメチル−2−(1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸(3−フェノキシベンジル)、ピルビン酸ヘプチル、3,3−ジメチル−2−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸〔3−(2−プロペニル)−2−メチル−4−オキソ−2−シクロペンテニル〕、3,3−ジメチル−2−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸〔3−(2−プロピニル)−2−メチル−4−オキソ−2−シクロペンテニル〕等が挙げられる。
上記固液分離処理により回収されたイミダゾリウム塩(1’)が固定化された粒子状酸化物は、そのまま、あるいは必要に応じて洗浄等の処理を施された後、芳香族ニトロ化反応や、直接エステル化反応等における触媒として再使用することができる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例により限定されるものではない。
実施例1(イミダゾリウム塩(1)の製造)
還流冷却管を付した100mLフラスコに、1−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]イミダゾール8.8g(純度90%)と1,3−プロパンスルトン5gとアセトン50gとを仕込み、内温を60℃に調整した。内容物を同温度で18時間攪拌した後、室温まで冷却した。得られた反応混合物からアセトンを30g留去した後、得られた濃縮物を氷水で冷却したところ、結晶が析出した。該結晶は、1−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]イミダゾールに含まれる不純物に由来するものであった。該結晶をろ別し、得られたろ液を濃縮すると、無色の油状物が得られた。該油状物と酢酸エチル10gとを混合したところ、混合物は2層に分離した。分液操作により該混合物から酢酸エチル層を除去した。得られた無色の油状物と酢酸エチル10gとを混合し、分液操作により該混合物から酢酸エチル層を除去した。得られた無色の油状物を減圧乾燥し、薄茶色の油状物4.2gを得た。該油状物をH−NMRにより分析したところ、1−{1−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−3−イミダゾリオ}プロパン−3−スルホネートと同定された。収率:35%。
H−NMR(δppm、DMSO−d、TMS基準):0.53(m,2H)、1.89(m,2H+2H)、2.49(m,2H)、3.25(s,9H)、4.20(m,2H+2H)、7.83(bs,2H)、9.23(bs,1H)
実施例2(イミダゾリウム塩(1)のシリカゲルへの固定化)
還流冷却管を付した100mLフラスコに、実施例1で得た1−{1−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−3−イミダゾリオ}プロパン−3−スルホネート4gとシリカゲル(富士シリシア製、Cariact(登録商標) Q−10)4.3gおよびクロロホルム80gを仕込み、内容物を加熱還流させながら24時間撹拌した。得られた混合物を室温まで冷却した後、ろ過処理することにより固体を分取し、該固体をアセトニトリル30gで洗浄し、減圧乾燥させることにより、イミダゾリウム塩が固定化されたシリカゲル5.7gを得た。
元素分析値: C:12.1、H:2.2、N:2.8、S:2.7、Si:33.4
実施例3(イミダゾリウム塩(1)シリカゲル固定化物のプロトン酸処理)
還流冷却管を付した50mLフラスコに、実施例2で合成したイミダゾリウム塩が固定化されたシリカゲル1.9gをクロロホルム50gに分散させ、ここにトリフルオロメタンスルホン酸640mgを加え、室温で1時間攪拌した。混合物中に分散されたシリカゲルは、すぐに白色から橙色に変色した。ろ過処理することにより固体を分取し、該固体をアセトニトリル30gで洗浄し、減圧乾燥させることにより、酸性イミダゾリウム塩が固定化されたシリカゲル2.4gを得た。
元素分析値: C:10.3、H:2.4、N:2.1、S:6.4、Si:25.1、F:6.4
実施例4(トルエンのニトロ化反応)
還流冷却管を付した50mLフラスコに、トルエン1gと実施例2で合成したイミダゾリウム塩が固定化されたシリカゲル200mgと70重量%硝酸2gを仕込み、内容物を70℃で3時間加熱した。得られた反応混合物を室温まで冷却し、イミダゾリウム塩が固定化されたシリカゲルをろ別した後、ろ液をガスクロマトグラフィ(内部標準法)にて分析して、ニトロトルエン類の収率を算出したところ、o−ニトロトルエンが44%、p−ニトロトルエンが31%、m−ニトロトルエンが5%、それぞれ得られ、原料トルエンが18%回収された。
実施例5(トルエンのニトロ化反応)
還流冷却管を付した50mLフラスコに、トルエン1gと実施例4で回収したイミダゾリウム塩が固定化されたシリカゲルと70重量%硝酸2gを仕込み、内容物を70℃で3時間加熱した。得られた反応混合物を室温まで冷却し、イミダゾリウム塩が固定化されたシリカゲルをろ別した後、ろ液をガスクロマトグラフィ(内部標準法)にて分析して、ニトロトルエン類の収率を算出したところ、o−ニトロトルエンが41%、p−ニトロトルエンが29%、m−ニトロトルエンが4%、それぞれ得られ、原料トルエンが19%回収された。
実施例6(直接エステル化反応)
還流冷却管を付した50mLフラスコに、テレフタル酸250mgと実施例3で合成した酸性イミダゾリウム塩が固定化されたシリカゲル50mgとメタノール3gを仕込み、内容物を加熱還流させながら、6時間攪拌した。得られた反応混合物を室温まで冷却し、イミダゾリウム塩が固定化されたシリカゲルをろ別した後、ろ液をガスクロマトグラフィ(内部標準法)にて分析したところ、テレフタル酸ジメチルエステルの収率は33%であり、テレフタル酸が65%回収された。

Claims (14)

  1. 式(1)
    Figure 2009275022
    (式中、R、RおよびRはそれぞれ独立に、水素原子または置換されていてもよいアルキル基または置換されていてもよいアリール基を表す。また、RとRとが互いに結合して、それらの結合炭素原子とともに環構造を形成していてもよい。Rは置換されていてもよいアルキレン基を表し、Rは炭素数1〜8のアルキレン基を表し、RおよびRはそれぞれ同一または相異なって、炭素数1〜4のアルキル基を表す。nは0、1または2である。)
    で示されるイミダゾリウム塩。
  2. 式(2)
    Figure 2009275022
    (式中、R〜Rおよびnはそれぞれ上記と同じ意味を表す。)
    で示されるイミダゾール化合物と、式(3)
    Figure 2009275022
    (式中、Rは上記と同じ意味を表す。)
    で示されるスルトン化合物とを反応させる工程を含む式(1)
    Figure 2009275022
    (式中、R、RおよびRはそれぞれ独立に、水素原子または置換されていてもよいアルキル基または置換されていてもよいアリール基を表す。また、RとRとが互いに結合して、それらの結合炭素原子とともに環構造を形成していてもよい。Rは置換されていてもよいアルキレン基を表し、Rは炭素数1〜8のアルキレン基を表し、RおよびRはそれぞれ同一または相異なって、炭素数1〜4のアルキル基を表す。nは0、1または2である。)
    で示されるイミダゾリウム塩の製造方法。
  3. 式(1)
    Figure 2009275022
    (式中、R、RおよびRはそれぞれ独立に、水素原子または置換されていてもよいアルキル基または置換されていてもよいアリール基を表す。また、RとRとが互いに結合して、それらの結合炭素原子とともに環構造を形成していてもよい。Rは置換されていてもよいアルキレン基を表し、Rは炭素数1〜8のアルキレン基を表し、RおよびRはそれぞれ同一または相異なって、炭素数1〜4のアルキル基を表す。nは0、1または2である。)
    で示されるイミダゾリウム塩と、粒子状酸化物とを作用させて得られるイミダゾリウム塩が固定化された粒子状酸化物。
  4. 粒子状酸化物が、ケイ素酸化物、ホウ素酸化物、アルミニウム酸化物、チタン酸化物またはジルコニウム酸化物である請求項3に記載のイミダゾリウム塩が固定化された粒子状酸化物。
  5. 粒子状酸化物が、ケイ素酸化物である請求項3に記載のイミダゾリウム塩が固定化された粒子状酸化物。
  6. 式(1)で示されるイミダゾリウム塩と粒子状酸化物とを、非プロトン性有機溶媒の存在下、20〜100℃で作用させてイミダゾリウム塩が固定化された粒子状酸化物を得る工程をさらに含む請求項2に記載の製造方法。
  7. 粒子状酸化物が、ケイ素酸化物、ホウ素酸化物、アルミニウム酸化物、チタン酸化物またはジルコニウム酸化物である請求項6に記載の製造方法。
  8. 粒子状酸化物が、ケイ素酸化物である請求項7に記載の製造方法。
  9. 式(1)
    Figure 2009275022
    (式中、R、RおよびRはそれぞれ独立に、水素原子または置換されていてもよいアルキル基または置換されていてもよいアリール基を表す。また、RとRとが互いに結合して、それらの結合炭素原子とともに環構造を形成していてもよい。Rは置換されていてもよいアルキレン基を表し、Rは炭素数1〜8のアルキレン基を表し、RおよびRはそれぞれ同一または相異なって、炭素数1〜4のアルキル基を表す。nは0、1または2である。)
    で示されるイミダゾリウム塩が固定化された粒子状酸化物をプロトン酸で処理してなる式(1’)
    Figure 2009275022
    (式中、R〜Rおよびnはそれぞれ上記と同じ意味を表す。Xはプロトン酸の対アニオンを表す。)
    で示されるイミダゾリウム塩が固定化された粒子状酸化物。
  10. が、ハロゲン化物イオン類、ホウ酸イオン類、リン酸イオン類、アンチモン酸イオン類、スルホン酸イオン類、カルボン酸イオン類または硝酸イオンである請求項9に記載のイミダゾリウム塩が固定化された粒子状酸化物。
  11. 式(1)で示されるイミダゾリウム塩が固定化された粒子状酸化物をプロトン酸で処理する式(1’)で示されるイミダゾリウム塩が固定化された粒子状酸化物の製造方法。
  12. プロトン酸が、ハロゲン化水素酸類、ホウ酸類、リン酸類、アンチモン酸類、スルホン酸類、カルボン酸類または硝酸である請求項11に記載の製造方法。
  13. 芳香族化合物をニトロ化する反応における触媒としての請求項9または10に記載のイミダゾリウム塩が固定化された粒子状酸化物の使用。
  14. カルボン酸類とアルコール類とからエステル類を与える反応における触媒としての請求項9または10に記載のイミダゾリウム塩が固定化された粒子状酸化物の使用。
JP2008130406A 2008-05-19 2008-05-19 イミダゾリウム塩およびそれが固定化された粒子状酸化物 Expired - Fee Related JP5315787B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008130406A JP5315787B2 (ja) 2008-05-19 2008-05-19 イミダゾリウム塩およびそれが固定化された粒子状酸化物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008130406A JP5315787B2 (ja) 2008-05-19 2008-05-19 イミダゾリウム塩およびそれが固定化された粒子状酸化物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2009275022A true JP2009275022A (ja) 2009-11-26
JP5315787B2 JP5315787B2 (ja) 2013-10-16

Family

ID=41440772

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008130406A Expired - Fee Related JP5315787B2 (ja) 2008-05-19 2008-05-19 イミダゾリウム塩およびそれが固定化された粒子状酸化物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5315787B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP2860183A1 (en) * 2013-03-25 2015-04-15 Sumitomo Riko Company Limited Reactive ionic liquid and ion-immobilized metal oxide particles produced using same, ion-immobilized elastomer, and transducer
WO2018230514A1 (ja) * 2017-06-14 2018-12-20 日産化学株式会社 親水性コート膜形成用組成物、及びそれを用いた親水性コート膜

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2005028446A1 (ja) * 2003-09-18 2005-03-31 Sumitomo Chemical Company, Limited イオン性液体及びそれを使用する反応方法
JP2007501815A (ja) * 2003-08-11 2007-02-01 メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフトング 固定化することができるイミダゾリウム塩
CN1990106A (zh) * 2005-12-28 2007-07-04 中国科学院兰州化学物理研究所 硅胶担载含硒阴离子的离子液体催化剂及其制备方法和应用
JP2009242280A (ja) * 2008-03-31 2009-10-22 Sanyo Chem Ind Ltd エーテル化合物の製造方法

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007501815A (ja) * 2003-08-11 2007-02-01 メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフトング 固定化することができるイミダゾリウム塩
WO2005028446A1 (ja) * 2003-09-18 2005-03-31 Sumitomo Chemical Company, Limited イオン性液体及びそれを使用する反応方法
CN1990106A (zh) * 2005-12-28 2007-07-04 中国科学院兰州化学物理研究所 硅胶担载含硒阴离子的离子液体催化剂及其制备方法和应用
JP2009242280A (ja) * 2008-03-31 2009-10-22 Sanyo Chem Ind Ltd エーテル化合物の製造方法

Non-Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
JPN6013017788; Qiu Hongdeng et al.: Journal of Chromatography A Vol.1163(1-2), 2007, p.63-69 *
JPN6013017790; Qiao Kun et al.: Journal of Molecular Catalysis A: Chemical Vol.246(1-2), 2006, p.65-69 *
JPN6013017792; Stefano Brenna et al.: Chem. Eur. J. Vol.12, 2006, p.2880-2888 *
JPN6013017795; Jiang Yang-yang et al.: The Chinese Journal of Process Engineering Vol.7(1), 2007, p.194-201 *

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP2860183A1 (en) * 2013-03-25 2015-04-15 Sumitomo Riko Company Limited Reactive ionic liquid and ion-immobilized metal oxide particles produced using same, ion-immobilized elastomer, and transducer
EP2860183A4 (en) * 2013-03-25 2016-04-06 Sumitomo Riko Co Ltd REACTIVE IONIC LIQUID AND IONALLY IMMOBILIZED METAL OXIDE PARTICLES, ION-IMPROVEDIZED ELASTOMERS AND CONVERTERS MADE THEREFOR
US9954162B2 (en) 2013-03-25 2018-04-24 Sumitomo Riko Company Limited Reactive ionic liquid, and ion-immobilized metal oxide particle, ion-immobilized elastomer, and transducer using same
WO2018230514A1 (ja) * 2017-06-14 2018-12-20 日産化学株式会社 親水性コート膜形成用組成物、及びそれを用いた親水性コート膜
KR20200018447A (ko) * 2017-06-14 2020-02-19 닛산 가가쿠 가부시키가이샤 친수성 코트막 형성용 조성물, 및 그것을 사용한 친수성 코트막
JPWO2018230514A1 (ja) * 2017-06-14 2020-04-16 日産化学株式会社 親水性コート膜形成用組成物、及びそれを用いた親水性コート膜
JP7200937B2 (ja) 2017-06-14 2023-01-10 日産化学株式会社 親水性コート膜形成用組成物、及びそれを用いた親水性コート膜
KR102611591B1 (ko) 2017-06-14 2023-12-07 닛산 가가쿠 가부시키가이샤 친수성 코트막 형성용 조성물, 및 그것을 사용한 친수성 코트막

Also Published As

Publication number Publication date
JP5315787B2 (ja) 2013-10-16

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7772446B2 (en) Method for producing substituted biphenyls
Kore et al. Synthesis and applications of highly efficient, reusable, sulfonic acid group functionalized Brönsted acidic ionic liquid catalysts
CN106946685B (zh) 2-甲基-3-甲氧基苯甲酸及其中间体的制备方法
WO2009156359A2 (de) Verfahren zur herstellung von substituierten biphenylen
Abid et al. Synthesis of trifluoromethyl-imines by solid acid/superacid catalyzed microwave assisted approach
Durgun et al. Pd-loaded NaY zeolite as a highly active catalyst for ligandless Suzuki–Miyaura reactions of aryl halides at low Pd loadings under aerobic conditions
JP5315787B2 (ja) イミダゾリウム塩およびそれが固定化された粒子状酸化物
Sreedhar et al. Scientific advances in sulfuric acid free toluene nitration
US20120130071A1 (en) Method for oxidizing methane
CN110526806B (zh) 一种固体酸催化苯乙炔制备苯乙酮类化合物的方法
DE69206423T2 (de) Verfahren zur Herstellung von 5-(2,4-Difluorphenyl)-Salizylsäure.
WO2018112776A1 (en) Process for the preparation of levulinate esters
WO2012176930A1 (en) Process for producing carboxylic acid ester
Ghorbani-Choghamarani et al. Preparation of alkyl formates from corresponding alcohols using ethyl formate catalyzed by poly (4-vinylpyridinium tribromide) under neutral and solvent-free conditions
CN108689874B (zh) 一种制备2-芳基丙二酰胺的方法及其应用
WO2009050366A2 (fr) Procede de synthese d'arylamines
EP0883603A1 (en) Method for producing unsymmetrically substituted biphenyls
WO2012049513A1 (en) Methods for the nitration of aromatic compounds
EP3558925B1 (en) Process for the preparation of levulinate esters
US5856583A (en) Synthesis of 2-hydroxyarylaldehydes
WO1996036587A1 (en) Catalytic nitration
Joo et al. Pd-catalyst Anchored on Schiff Base-modified Chitosan-CNT Nanohybrid for the Suzuki–Miyaura Coupling Reaction
Azadi et al. N-Methyl-2-chloropyridinium iodide/NaNO2/Wet SiO2: Neutral reagent system for the nitration of activated aromatic compounds under very mild conditions
Alizadeha et al. N, N-Dimethylbiguanide immobilized on mesoporous and magnetically separable silica: Highly selective and feasible organocatalyst for synthesis of β-nitroalcohols
JPH02275829A (ja) 3,3,3―トリフルオロプロパノールの製造法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20110209

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130416

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20130418

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130517

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130611

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130624

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees