JP2009274345A - モールド金型及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】金型母材に放電加工を含む加工工程を経て形成されたキャビティ凹部4のうち、少なくともキャビティ底面部5とこれを囲むキャビティ側面部6は面性状が異なり、該キャビティ側面部6の断面形状は周縁部が溝部6aに囲まれた上に凸となる逆クレーター部6bが連なる平滑面に形成されている。
【選択図】図4
Description
モールド金型のキャビティ凹部は、放電加工機で放電加工されて形成される。このとき放電加工によりキャビティ底面部とその周囲を囲むキャビティ側面部は同じ放電面粗度で加工されてきた。
本発明の目的は、上記課題を解決し、キャビティ凹部を形成する底面部と側面部の加工条件を変えることで離型性を向上させたモールド金型及びその製造方法を提供することにある。
キャビティ凹部と位置合わせして搬入されたワークをクランプし、該キャビティ凹部へ封止樹脂が充填されてワークが樹脂封止されるモールド金型であって、金型母材に放電加工を含む加工工程を経て形成された前記キャビティ凹部のうち、少なくともキャビティ底面部とこれを囲むキャビティ側面部は面性状が異なり、該キャビティ側面部の断面形状は周縁部が溝部に囲まれた内部が凸となる逆クレーター部が連なる平滑面に形成されていることを特徴とする。
また、前記キャビティ側面部は、加工条件を変えた二次放電加工が施されて前記キャビティ底面部より面粗度が小さい平滑面に形成されていることを特徴とする。
また、前記キャビティ側面部は、レーザー加工が施されて前記キャビティ底面部より面粗度が小さい平滑面に形成されていることを特徴とする。
また、前記キャビティ側面部は、化学研磨加工が施されて前記キャビティ底面部より面粗度が小さい平滑面に形成されていることを特徴とする。
また、前記二次放電加工に替えて前記キャビティ側面部にレーザー加工を施して逆クレーター部が連なる前記キャビティ底面部より面粗度が小さい平滑面を形成する工程を含むことを特徴とする。
また、前記二次放電加工に替えて前記キャビティ側面部に化学研磨加工を施して前記逆クレーター部が連なる前記キャビティ底面部より面粗度が小さい平滑面を形成する工程を含むことを特徴とする。
また、前記二次放電加工に替えて前記キャビティ側面部に電解研磨加工を施して前記逆クレーター部が連なる前記キャビティ底面部より面粗度が小さい平滑面を形成する工程を含むことを特徴とする。
また、逆クレーター部が連なるキャビティ側面部は、加工条件を変えた放電加工、レーザー加工、化学研磨加工、電解研磨加工のいずれかが施されてキャビティ底面部より面粗度が小さい平滑面に形成されている。これにより、モールド樹脂のキャビティ側面部に食いつく体積が減るので、離型性が飛躍的に向上する。
また、キャビティ凹部を加工する際に、1回目の放電加工で底面部及び側面部を粗く加工し、2回目の加工で側面部のみを鏡面仕上げすることにより、キャビティ凹部の加工時間を短縮することができる。
先ず、モールド金型の概略構成について図1及び図2を参照して説明する。
図1において、モールド金型は耐摩耗性に優れ、精密加工が可能な金属材料が用いられ、金属生材、粉末ハイス鋼、超硬合金、ジルコニア、イットリアセラミックなどの導電性材料が好適に用いられる。
放電加工は、ワーク(モールド金型1)Wと加工形状(キャビティ凹部)と同形の放電電極(例えば黒鉛電極、銅合金電極など)2を絶縁性の加工液(例えば灯油)3のなかに浸漬させ、パルス性のアーク放電を繰り返す。放電エネルギーの大きさはワークWと放電電極2とのギャップGに応じて決まる。図1(a)のようにギャップGが大きいと、放電エネルギーは大きく、加工面はクレーター状の凹部が連続する面性状(粗面P)となる。図1(b)のようにギャップが小さいと、放電エネルギーは小さく、加工面は逆クレーター状の凸部が連続する面性状(微細加工面R)となる。
図2(a)において電極−金型間で放電(アーク)が生じると、図2(b)において金型表面は急激に加熱されて溶解し、同時に加工液3も加熱によりガス化する。このガス化によって、図2(c)において放電エネルギーが十分大きい場合にはモールド金型1の溶解部分1aが吹き飛ばされて除去される。しかしながら、放電エネルギーがそれほど大きくない場合には、図2(d)において、表面張力が作用して溶解した部分が引き戻されて、逆クレーター状の凸部となって固化する。放電電極2が金型加工面に更に接近すると、放電電極−金型間で再度アークが発生して同様の微細放電加工が行なわれる。
或いは、キャビティ凹部4全面を所望の面粗度や面性状に一次放電加工した後、放電電極2を替えて、キャビティ側面部6のみに放電電極との隙間などの加工条件を変えて二次放電加工(微細放電加工)を施すようにしても良い。
キャビティ側面部6の断面形状は周縁部が溝部6aに囲まれた内部が凸となる逆クレーター部6bが連なる平滑面に形成されている。逆クレーター部6bの表面部は平坦面に仕上がっている。
具体的には、従来のキャビティ凹部4の表面粗さは一律で、中心線平均粗さ(Ra)で2.5(Ra)〜1.5(Ra)であったが、キャビティ側面部6の微細放電加工面の、中心線平均粗さ(Ra)が、0.5(μRa)〜0.3(μRa)若しくは十点平均粗さ(Rz)で1.2(Rz)以下の鏡面のように平滑面とすることができた。
これに対して、従来のモールド金型では、図6(a)(b)に示すように、キャビティ側面部6は周縁部が突部(外輪山)8aで囲まれたクレーター部8b(凹面部)が形成されていたため、該クレーター部8bに嵌り込むモールド樹脂7の体積が増えて、図の矢印方向へ離型させるにためには大きなせん断力を要していた。また、仮に離型できたとしても、モールド樹脂7に欠け7bが生じたり、モールド金型のキャビティ凹部4に残留する樹脂(樹脂汚れ)7cの樹脂量が増えたりするため、メンテナンスを頻繁に行なう必要がある。
従来は、図9(b)において、キャビティ凹部4は、少なくともキャビティ側面部6を含むキャビティ面が、突部(外輪山)8aで囲まれたクレーター部8b(凹面部)が連続する連続面となっていた。よって、モールド樹脂7のキャビティ側面部6に食い付く体積が増えるので、離型するのに大きなせん断力を要し、パッケージに欠けが生ずるおそれがある。
G ギャップ
1 モールド金型
2 放電電極
3 加工液
4 キャビティ凹部
5 キャビティ底面部
6 キャビティ側面部
6a 溝部
6b 逆クレーター部
8a 突部
8b クレーター部
7 モールド樹脂
9a 化学研磨液
9b 電解研磨液
10 マスク
11 基板
Claims (8)
- キャビティ凹部と位置合わせして搬入されたワークをクランプし、該キャビティ凹部へ封止樹脂が充填されてワークが樹脂封止されるモールド金型であって、
金型母材に放電加工を含む加工工程を経て形成された前記キャビティ凹部のうち、少なくともキャビティ底面部とこれを囲むキャビティ側面部は面性状が異なり、該キャビティ側面部の断面形状は周縁部が溝部に囲まれた内部が凸となる逆クレーター部が連なる平滑面に形成されているモールド金型。 - 前記キャビティ側面部は、加工条件を変えた二次放電加工が施されて前記キャビティ底面部より面粗度が小さい平滑面に形成されている請求項1に記載のモールド金型。
- 前記キャビティ側面部は、レーザー加工が施されて前記キャビティ底面部より面粗度が小さい平滑面に形成されている請求項1に記載のモールド金型。
- 前記キャビティ側面部は、化学研磨加工が施されて前記キャビティ底面部より面粗度が小さい平滑面に形成されている請求項1に記載のモールド金型。
- キャビティ凹部と位置合わせして搬入されたワークをクランプし、該キャビティ凹部へ封止樹脂を充填しワークを樹脂封止するモールド金型の製造方法であって、
ワークの加工形状に合わせた放電電極を絶縁性の加工液に浸漬させて一次放電加工を行なって、前記キャビティ凹部のキャビティ底面部および該キャビティ底面部を囲むキャビティ側面部が所定の面粗度となるように当該キャビティ凹部を形成する工程と、
前記キャビティ底面部を囲む前記キャビティ側面部に対する放電電極の隙間を狭めて二次放電加工を行なって、周縁部が溝部に囲まれた内部が凸となる逆クレーター部が連なる前記所定の面粗度より小さい面粗度の平滑面を形成する工程を含むモールド金型の製造方法。 - 前記二次放電加工に替えて前記キャビティ側面部にレーザー加工を施して逆クレーター部が連なる前記キャビティ底面部より面粗度が小さい平滑面を形成する工程を含む請求項5に記載のモールド金型の製造方法。
- 前記二次放電加工に替えて前記キャビティ側面部に化学研磨加工を施して前記逆クレーター部が連なる前記キャビティ底面部より面粗度が小さい平滑面を形成する工程を含む請求項5に記載のモールド金型の製造方法。
- 前記二次放電加工に替えて前記キャビティ側面部に電解研磨加工を施して前記逆クレーター部が連なる前記キャビティ底面部より面粗度が小さい平滑面を形成する工程を含む請求項5に記載のモールド金型の製造方法。
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