JP2009274276A - 補正値算出方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】各色の補正の精度の向上を図る。
【解決手段】補正対象の各色の補正用パターンであって、各色についてそれぞれ複数の階調のサブパターンを含む補正用パターンを媒体に形成するステップと、補正用パターンを読み取ることによって、色ごとに、階調の変化に応じた複数の色情報を取得するステップと、各サブパターン間における階調の変化に対する色情報の変化の割合の最小値を、色情報ごとに算出するステップと、複数の色情報のうち最小値が最も大きい色情報を、色ごとに選択するステップと、各色の補正値を、選択した色情報に基づいてそれぞれ算出するステップと、を有する。
【選択図】図17

Description

本発明は、補正値算出方法に関する。
例えばインクジェットプリンタのような印刷装置によって、媒体(例えば紙)に画像を形成すると、その画像にスジ状の濃度ムラが生じることがある。そこで、その印刷装置を用いてインク色ごとに補正用パターンを印刷し、スキャナ等によって補正用パターンを読み取り、その結果得られた色情報に基づいて補正値を算出して濃度の補正を行うことが行われている(例えば、特許文献1を参照)。
補正パターンを読み取るスキャナは、例えばレッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)の各色情報(例えば階調値)を取得するセンサを有しており、このセンサによって補正用パターンのR、G、Bの各色情報を読み取っている。従来では、濃度ムラの補正を行う際には、インクの色に関わらずR、G、Bの平均値{(R+G+B)/3}であるグレーの色情報に基づいて補正値を求めていた。
特開2005−205691号公報
ところが、インクの種類(色)ごとに、スキャナで読み取られるR、G、Bの色情報の特性が異なっている。これによりグレーの色情報もインクの色ごとに特性が異なる。よって、各インクの補正値を求める際に、その色に関わらずにグレーの色情報を用いることは最適ではない可能性がある。つまり精度の高い補正値を算出できていないおそれがある。
本発明は、各色の補正の精度の向上を図ることを目的とする。
上記目的を達成するための主たる発明は、補正対象の各色の補正用パターンであって、各色についてそれぞれ複数の階調のサブパターンを含む補正用パターンを媒体に形成するステップと、前記補正用パターンを読み取ることによって、前記色ごとに、前記階調の変化に応じた複数の色情報を取得するステップと、各サブパターン間における前記階調の変化に対する前記色情報の変化の割合の最小値を、前記色情報ごとに算出するステップと、複数の前記色情報のうち前記最小値が最も大きい前記色情報を、前記色ごとに選択するステップと、各色の補正値を、選択した前記色情報に基づいてそれぞれ算出するステップと、を有することを特徴とする補正値算出方法である。
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
===開示の概要===
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも、以下の事項が明らかとなる。
補正対象の各色の補正用パターンであって、各色についてそれぞれ複数の階調のサブパターンを含む補正用パターンを媒体に形成するステップと、前記補正用パターンを読み取ることによって、前記色ごとに、前記階調の変化に応じた複数の色情報を取得するステップと、各色の補正値を、少なくとも一つの前記色情報に基づいて対応する前記色の補正値をそれぞれ算出するステップと、を有する補正値算出方法であって、前記色ごとに、前記補正値を算出する際に用いられる前記色情報がそれぞれ異なることを特徴とする補正値算出方法が明らかになる。
このような補正値算出方法によれば、各色の補正の精度の向上を図ることができる。
また、補正対象の各色の補正用パターンであって、各色についてそれぞれ複数の階調のサブパターンを含む補正用パターンを媒体に形成するステップと、前記補正用パターンを読み取ることによって、前記色ごとに、前記階調の変化に応じた複数の色情報を取得するステップと、各サブパターン間における前記階調の変化に対する前記色情報の変化の割合の最小値を、前記色情報ごとに算出するステップと、複数の前記色情報のうち前記最小値が最も大きい前記色情報を、前記色ごとに選択するステップと、各色の補正値を、選択した前記色情報に基づいてそれぞれ算出するステップと、を有することを特徴とする補正値算出方法が明らかになる。
このような補正値算出方法によれば、各色の補正の精度の向上を図ることができる。
かかる補正値算出方法であって、前記色情報を選択するステップと前記補正値を算出するステップとの間に、各色と、選択した前記色情報との対応関係を示すデータを記憶するステップと、別の補正用パターンを媒体に形成するステップと、前記別の補正用パターンを読み取ることによって、前記データの各色に対応する前記色情報を取得するステップと、を有し、各色の前記補正値を、前記別の補正用パターンから取得した前記色情報を用いることによってそれぞれ算出するようにしてもよい。
このような補正値算出方法によれば、補正値を算出する度に色情報の選択を行わなくてもよい。よって色情報を選択する回数を減らすことができる。
かかる補正値算出方法であって、各色の前記補正値を、前記最小値が最も大きい前記色情報を選択する際に取得した前記色情報を用いることによってそれぞれ算出するようにしてもよい。
このような補正値算出方法によれば、補正の精度をより向上させることができる。
かかる補正値算出方法であって、前記最小値は、所定の階調間において求められた値である、ことが望ましい。
このような補正値算出方法によれば、補正の精度を保ちつつデータ量を減らすことができる。
かかる補正値算出方法であって、ある階調に対応する前記色情報の値と、別の階調に対応する前記色情報の値とに基づいて、前記ある階調を形成するための前記補正値を算出することが望ましい。
このような補正値算出方法によれば、補正の精度のばらつきを低減させることができる。
かかる補正値算出方法は、前記補正用パターンが、液体噴射装置から噴射される各色の液体が前記媒体に着弾することに基づいて形成される場合に、補正の精度を特に高めることができる。
===印刷システムについて===
画像の濃度ムラ及び該濃度ムラの抑制方法について説明するにあたって、先ず、媒体に画像を形成するための印刷システム100について図1を参照しながら概説する。図1は、印刷システム100の構成を示すブロック図である。
本実施形態の印刷システム100は、図1に示すように、プリンタ1と、コンピュータ110と、スキャナ120とを有するシステムである。
プリンタ1は、液体としてのインクを媒体に噴射して該媒体に画像を形成(印刷)する液体噴射装置であり、本実施形態ではカラーインクジェットプリンタである。プリンタ1は、紙、布、フィルムシート等の複数種の媒体(以下、印刷媒体)に画像を印刷することが可能である。
コンピュータ110は、インターフェース111を介してプリンタ1と通信可能に接続されており、プリンタ1に画像を印刷させるために、その画像に応じた印刷データをプリンタ1に出力する。このコンピュータ110には、該コンピュータ110にインストールされた各種プログラムを実行するためのCPU112と、当該各種プログラムを記憶するメモリ113と、が備えられている。コンピュータ110にインストールされたプログラムの中には、アプリケーションプログラムから出力された画像データを印刷データに変換するためのプリンタドライバや、該コンピュータ110にインターフェース111を介して通信可能に接続されたスキャナ120、を制御するためのスキャナドライバがある。
スキャナ120は、不図示の原稿台に置かれた原稿に光を照射し、その反射光を読取キャリッジ121に備えられた不図示のセンサ(例えばCCD)により検出し、前記原稿の画像を読み取って、当該画像の色の情報(以下、色情報ともいう)を取得するための装置である。このスキャナ120は、インターフェース122、CPU123、及びメモリ124からなるコントローラ125を有し、インターフェース122を介してコンピュータ110のスキャナドライバに向けて画像の色情報を示すデータを送信する。
<プリンタ1の構成>
次に、図1乃至図2を参照しながら、プリンタ1の構成について説明する。図2は、プリンタ1における搬送処理とドット形成処理を説明するための斜視図である。
プリンタ1は、図1に示すように、ヘッドユニット20、搬送ユニット30、検出器群40、及びコントローラ50を有する。プリンタ1がコンピュータ110から印刷データを受信すると、コントローラ50が印刷データに基づいて各ユニット(ヘッドユニット20、搬送ユニット30)を制御して印刷媒体に画像を印刷する。プリンタ1内の状況は検出器群40によって監視されており、検出器群40は検出結果に応じた信号をコントローラ50に向けて出力する。
ヘッドユニット20は、紙Sにインクを噴射するためのものである。ヘッドユニット20は、搬送中の紙Sに対してインクを噴射することによって、紙Sにドットを形成し、画像を紙Sに印刷する。本実施形態のプリンタ1はラインプリンタであり、ヘッドユニット20は紙幅分のドットを一度に形成することができる。
図3は、ヘッドユニット20の下面における複数のヘッドの配列の説明図である。図に示すように、紙幅方向に沿って、複数のヘッド23が千鳥列状に並んでいる。各ヘッドには、不図示であるが、ブラックインクノズル列、シアンインクノズル列、マゼンタインクノズル列及びイエローインクノズル列が形成されている。各ノズル列は、インクを噴射するノズルを複数個備えている。各ノズル列の複数のノズルは、紙幅方向に沿って、一定のノズルピッチで並んでいる。
図4は、簡略説明用のヘッド配置とドット形成の様子の説明図である。後述するヘッドユニット20は、説明の簡略化のため、2個のヘッド(第1ヘッド23A、第2ヘッド23B)から構成されているものとする。また、説明の簡略化のため、各ヘッドにはイエローインクノズル列だけが設けられているものとする。更に説明を簡略化するため、各ヘッドのイエローインクノズル列は、ノズルを12個ずつ備えているものとする。また、ヘッドと紙とが相対移動する方向に並ぶドットの列のことを「ラスタライン」と呼ぶ。本実施形態のようなラインプリンタの場合、「ラスタライン」は、紙の搬送方向に並ぶドットの列を意味する。一方、キャリッジに搭載されたヘッドによって印刷するシリアルプリンタの場合、「ラスタライン」は、キャリッジの移動方向に並ぶドットの列を意味する。移動方向と垂直な方向に多数のラスタラインが並ぶことによって、印刷画像が構成されることになる。図に示すように、n番目の位置にあるラスタラインのことを「第nラスタライン」と呼ぶ。
各ヘッドのイエローインクノズル列は、第1ノズル群231と第2ノズル群232とを備えている。各ノズル群は、1/180インチ間隔で紙幅方向に並ぶ6個のノズルから構成されている。第1ノズル群411と第2ノズル群412は、紙幅方向に1/360インチだけずれて構成されている。これにより、各ヘッドのブラックインクノズル列は、紙幅方向に関して1/360インチの間隔で並ぶ12個のノズルから構成されたノズル列となっている。各ヘッドのノズル列に対して、図中の上から順に、番号を付している。
なお、搬送中の紙Sに対して各ノズルから断続的にインク滴が噴射されることによって、各ノズルは、紙に24個のラスタラインを形成する。例えば、第1ヘッド23Aのノズル♯1Aは第1ラスタラインを紙上に形成し、第2ヘッド23Bのノズル♯1Bは第13ラスタラインを紙上に形成する。各ラスタラインは、搬送方向に沿って形成される。
搬送ユニット30は、媒体(例えば、紙Sなど)を搬送方向に搬送させるためのものである。この搬送ユニット30は、上流側ローラ32A及び下流側ローラ32Bと、ベルト34とを有する。不図示の搬送モータが回転すると、上流側ローラ32A及び下流側ローラ32Bが回転し、ベルト34が回転する。給紙された紙Sは、ベルト34によって、印刷可能な領域(ヘッドと対向する領域)まで搬送される。ベルト34が紙Sを搬送することによって、紙Sがヘッドユニット20に対して搬送方向に移動する。印刷可能な領域を通過した紙Sは、ベルト34によって外部へ排紙される。なお、搬送中の紙Sは、ベルト34に静電吸着又はバキューム吸着されている。
コントローラ50は、CPU52によりユニット制御回路54を介してプリンタ1の各ユニットを制御する。また、プリンタ1は、記憶素子を備えたメモリ53を有し、当該メモリ53には、濃度補正値Hが記憶されている(図11参照)。なお、濃度補正値Hについては後述する。
<印刷処理について>
このようなプリンタ1では、コントローラ50が印刷データを受信すると、コントローラ50は、まず、搬送ユニット30によって給紙ローラ(不図示)を回転させ、印刷すべき紙Sをベルト34上に送る。紙Sはベルト34上を一定速度で停まることなく搬送され、ヘッドユニット20の下を通る。ヘッドユニット20の下を紙Sが通る間に、第1ヘッド23A、第2ヘッド23Bの各ノズルからインクが断続的に噴射される。つまり、ドットの形成処理と紙Sの搬送処理が同時に行われる。その結果、紙S上には搬送方向及び紙幅方向に沿った複数のドットからなるドット列が形成され、画像が印刷される。そして、最後にコントローラ50は、画像の印刷が終了した紙Sを排紙する。
<プリンタドライバによる処理の概要>
上記の印刷処理は、前述したように、プリンタ1に接続されたコンピュータ110から印刷データが送信されることにより開始する。当該印刷データは、プリンタドライバによる処理により生成される。以下、プリンタドライバによる処理について、図5を参照しながら説明する。図5は、プリンタドライバによる処理の説明図である。
印刷データは、図5に示すように、プリンタドライバによって解像度変換処理(S011)、色変換処理(S012)、ハーフトーン処理(S013)、及び、ラスタライズ処理(S014)が実行されることにより生成される。
先ず、解像度変換処理では、アプリケーションプログラムの実行により得られたRGB画像データの解像度が、指定された画質に対応する印刷解像度に変換される。次に、色変換処理では、解像度が変換されたRGB画像データがCMYK画像データに変換される。ここで、CMYK画像データとは、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、及び、ブラック(K)の色別の画像データを意味する。そして、CMYK画像データを構成する複数の画素データは、それぞれ256段階の階調値で表される。この階調値は、RGB画像データに基づいて定められるものであり、以下指令階調値ともいう。
次に、ハーフトーン処理では、画像データを構成する画素データが示す多段階の階調値が、プリンタ1で表現可能な少段階のドット階調値に変換される。すなわち、画素データが示す256段階の階調値が、4段階のドット階調値に変換される。具体的には、ドット階調値[00]に対応するドットなし、ドット階調値[01]に対応する小ドットの形成、ドット階調値[10]に対応する中ドットの形成、及び、ドット階調値[11]に対応する大ドットの形成の4段階に変換される。その後、各ドットのサイズについてドット生成率が決められた上で、ディザ法・γ補正・誤差拡散法等を利用して、プリンタ1がドットを分散して形成するように画素データが作成される。
次に、ラスタライズ処理では、ハーフトーン処理で得られた画像データに関し、各ドットのデータ(ドット階調値のデータ)が、プリンタ1に転送すべきデータ順に変更される。そして、ラスタライズ処理されたデータは、印刷データの一部として送信される。
===濃度ムラの抑制===
次に、上記のプリンタ1を用いて印刷する画像に生じる濃度ムラと、当該濃度ムラを抑制する方法について説明する。
<濃度ムラについて>
先ず、濃度ムラについて図6A及び図6Bを参照しながら説明する。図6Aは、理想的にラスタラインが形成されたときの様子を示す図である。図6Bは、濃度ムラが発生した際の様子を示す図である。なお、以下、説明を簡略化するため、単色印刷された画像に濃度ムラが生じた場合を例に挙げて説明する。
ノズルから噴射された所定量のインク(インク滴)が理想的な着弾位置に着弾し、ドットが単位領域に正確に形成されると、図6Aに示すように、各ラスタレインで濃度ムラが発生しない。
しかしながら、実際には、ノズルの加工精度のバラツキ等のために、インク滴が理想的な着弾位置からずれた位置に着弾することがある。図6Bに示す例では、第2ラスタラインが、第3ラスタライン側に寄って形成されている。この結果、第2ラスタラインの濃度が比較的淡くなり、第3ラスタラインの濃度が比較的濃くなる。また、同図に示す例では、第5ラスタラインに向けて噴射されたインクの量が少なく、第5ラスタラインを構成するドットが小さくなっている。この結果、第5ラスタラインの濃度は比較的淡くなる。以上の現象を巨視的に見ると、搬送方向に沿う縞状の濃度ムラ(所謂、バンディング)が視認される。こうした濃度ムラは印刷画像の画質を低下させる原因となる。
<濃度ムラの抑制方法について>
以上のような濃度ムラを抑制するための方策としては、画素データの階調値(指令階調値)を補正することが考えられる。つまり、濃く(淡く)視認され易いラスタラインに対しては、淡く(濃く)形成されるように、そのラスタラインを構成する単位領域、に対応する画素データの階調値を補正すればよい。このため、ラスタラインごとに画素データの階調値を補正する濃度補正値Hを算出することになる。この濃度補正値Hは、プリンタ1の濃度ムラ特性を反映した値である。
ラスタラインごとの濃度補正値Hが算出されていれば、前記濃度補正値Hに基づいてラスタラインごとに画素データの階調値を補正する処理が、ハーフトーン処理の実行に際してプリンタドライバにより行われる。この補正処理により補正された階調値で各ラスタラインが形成されると、当該ラスタラインの濃度が補正される結果、図6Cに示すように、印刷画像における濃度ムラの発生が抑制されることになる。図6Cは、濃度ムラの発生が抑制された様子を示す図である。
<濃度補正値Hの算出について>
次に、ラスタラインごとの濃度補正値Hを算出する処理(以下、補正値取得処理ともいう)について概説する。補正値取得処理は、例えば、プリンタ1の製造工場の検査ラインにおいて、補正値算出システム200の下で行われる。補正値算出システムとは、プリンタ1の濃度ムラ特性に応じた濃度補正値Hを算出するためのシステムであり、上記の印刷システム100と略同様の構成である。つまり、補正値算出システムは、プリンタ1、コンピュータ110、及び、スキャナ120(便宜上、印刷システム100の場合と同一の符号にて表記する)を有する。
プリンタ1は、補正値取得処理の対象機器であり、該プリンタ1を用いて濃度ムラがない画像を印刷するためには、前記補正値取得処理において該プリンタ1用の濃度補正値Hを算出することになる。なお、プリンタ1の構成等については、既述のため省略する。検査ラインに置かれたコンピュータ110には、該コンピュータ110が補正値取得処理を実行するための補正値算出プログラムがインストールされている。
以下、補正値取得処理の概略手順について図7を参照しながら説明する。図7は、補正値取得処理の流れを示す図である。なお、多色印刷が可能なプリンタ1を対象とする場合、各インク色についての補正値取得処理は同様の手順により実施される。以下の説明では、一のインク色(例えば、イエロー)についての補正値取得処理について説明する。
先ず、コンピュータ110が印刷データをプリンタ1に送信し、既述の印刷動作と同様の手順により、プリンタ1が補正用パターンCPを紙Sに形成する(S021)。この補正用パターンCPは、図8に示すように、6種類の濃度のサブパターンCSPで形成される。なお、図8は補正用パターンCPの説明図である。
各サブパターンCSPは、帯状パターンであり、搬送方向に沿うラスタラインが紙幅方向に複数並ぶことにより構成される。また、各サブパターンCSPは、それぞれ一定の階調値(指令階調値)の画像データから生成されたものであり、図8中、左のサブパターンCSPから順に濃度が淡くなっている。なお、これらの6種類のサブパターンの指令階調値を記号Sa(=63)、Sb(=137)、Sc(=182)、Sd(=207)、Se(=232)、Sf(=255)と表記する(括弧内の数字は対応する階調値を示している)。そして、例えば、指令階調値Saにて形成されたサブパターンCSPを、図8に示すように、CSP(1)と表記する。同様に、指令階調値Sb、Sc、Se、Sfにて形成されたサブパターンCSPを、それぞれCSP(2)、CSP(3)、CSP(4)、CSP(5)、CSP(6)と表記する。
次に、検査者は補正用パターンCPが形成された紙Sをスキャナ120にセットする。そして、コンピュータ110は、スキャナ120に補正用パターンCPを読み取らせ、その結果を取得する(S022)。スキャナ120は、例えばR(レッド)、G(グリーン)、B(ブルー)に対応する3つのセンサを有しており、補正用パターンCPに光を照射し、その反射光を各センサによって検出する。そして、Rの読取階調値(以下、レッドの色情報ともいう)、Gの読取階調値(以下、グリーンの色情報ともいう)、Bの読取階調値(以下、ブルーの色情報ともいう)をそれぞれ得ることができる。なお、本実施形態では、取得する色情報をレッドの色情報、グリーンの色情報、ブルーの色情報、及びグレーの色情報(R、G、Bの平均)のうちからインクの色ごとに選択するようにしている。この詳細については後述する。従って、ここでは、上記色情報のうちの少なくとも一つの色情報を取得する。
次に、コンピュータ110は、スキャナ120によって取得された読取階調値(色情報)に基づいて、各サブパターンCSPのラスタラインごとの濃度を算出する(S023)。以下、読取階調値に基づいて算出された濃度のことを算出濃度ともいう。
図9は、指令階調値がSa、Sb、ScのサブパターンCSPについてラスタラインごとの算出濃度を示すグラフである。図9の横軸は、ラスタラインの位置を示し、縦軸は、算出濃度の大きさを示している。図9に示すように、各サブパターンCSPは、それぞれ同一の指令階調値で形成されたにも関わらずラスタラインごとに濃淡が生じている。このラスタラインの濃淡差が、印刷画像の濃度ムラの原因である。
次に、コンピュータ110は、ラスタラインごとの濃度補正値Hを算出する(S024)。なお、濃度補正値Hは、指令階調ごとに算出される。以下、指令階調Sa、Sb、Sc、Sd、Se、Sfについて算出された濃度補正値HのことをそれぞれHa、Hb、Hc、Hd、He、Hfとする。濃度補正値Hの算出手順を説明するために、指令階調値SbのサブパターンCSP(2)のラスタラインごとの算出濃度が一定になるように指令階調値Sbを補正するための濃度補正値Hbを算出する手順を例に挙げて説明する。当該手順では、例えば、指令階調値SbのサブパターンCSP(2)における全ラスタラインの算出濃度の平均値Dbtを、指令階調値Sbの目標濃度として定める。図9において、この目標濃度Dbtよりも算出濃度が淡い第iラスタラインでは、指令階調値Sbを濃くする方へ補正すれば良い。一方、目標濃度Dbtよりも算出濃度が濃い第jラスタラインでは、指令階調値Sbを淡くする方へ補正すれば良い。
図10Aは第iラスタラインについて指令階調値Sbを補正するための濃度補正値Hbを算出する手順についての説明図である。また図10Bは、第jラスタラインについて指令階調値Sbを補正するための濃度補正値Hbを算出する手順についての説明図である。図10A及び図10Bの横軸は指令階調値の大きさを示し、縦軸は算出濃度を示している。
第iラスタラインの指令階調値Sbに対する濃度補正値Hbは、図10Aに示す指令階調値SbのサブパターンCSP(2)における第iラスタラインの算出濃度Db、及び、指令階調値ScのサブパターンCSP(3)における第iラスタラインの算出濃度Dc、に基づいて算出される。より具体的には、指令階調値SbのサブパターンCSP(2)では、第iラスタラインの算出濃度Dbが目標濃度Dbtよりも小さくなっている。換言すると、第iラスタラインの濃度は平均濃度よりも淡くなっている。仮に、第iラスタラインの算出濃度Dbが目標濃度Dbtと等しくなるように該第iラスタラインを形成したいのであれば、該第iラスタラインに対応する画素データの階調値、すなわち、指令階調値Sbを、図10Aに示すように、第iラスタラインにおける指令階調値及び算出濃度の対応関係(Sb,Db)、(Sc,Dc)から直線近似を用いて、下記式(1)により算出される目標指令階調値Sbtまで補正すればよい。
Sbt=Sb+(Sc−Sb)×{(Dbt−Db)/(Dc−Db)}・・(1)
そして、指令階調値Sbと目標指令階調値Sbtから、下記式(2)により、第iラスタラインについて指令階調値Sbを補正するための濃度補正値Hが求められる。
Hb=ΔS/Sb=(Sbt−Sb)/Sb・・(2)
一方、第jラスタラインの指令階調値Sbに対する濃度補正値Hbは、図10Bに示す指令階調値SbのサブパターンCSP(2)における第jラスタラインの算出濃度Db、及び、指令階調値SaのサブパターンCSP(1)における第jラスタラインの算出濃度Da、に基づいて算出される。具体的には、指令階調値SbのサブパターンCSP(2)では、第jラスタラインの算出濃度Dbが目標濃度Dbtよりも大きくなっている。仮に、第jラスタラインの算出濃度Dbが目標濃度Dbtと等しくなるように該第jラスタラインを形成したいのであれば、該第jラスタラインの指令階調値Sbを、図10Bに示すように、第jラスタラインにおける指令階調値及び算出濃度の対応関係(Sa,Da)、(Sb,Db)から直線近似を用いて、下記式(3)により算出される目標指令階調値Sbtまで補正すればよい。
Sbt=Sb+(Sb−Sa)×{(Dbt−Db)/(Db−Da)}・・(3)
そして、上記式(2)により、第jラスタラインについて指令階調値Sbを補正するための濃度補正値Hbが求められる。
以上のようにして、コンピュータ110は、ラスタラインごとに、指令階調値Sbに対する濃度補正値Hbを算出する。同様に、指令階調値Sa、Sc、Sd、Se、Sfに対する濃度補正値Ha、Hc、Hd、He、Hfを、それぞれラスタラインごとに算出する。また、他のインク色についても、ラスタラインごとに、指令階調値Sa〜Sfの各々に対する濃度補正値Ha、Hc、Hd、He、Hfを算出する。
その後、コンピュータ110は、濃度補正値Hのデータをプリンタ1に送信し、プリンタ1のメモリ53に記憶させる(S025)。この結果、プリンタ1のメモリ53には、図11に図示された、ラスタラインごとに6つの指令階調値Sa〜Sfの各々に対する濃度補正値Hをまとめた補正値テーブルが作成される。図11は、メモリ53に記憶された補正値テーブルを示す図である。
また、図11に示すように、補正値テーブルはインク色別に作成される結果、CMYK4色分の補正値テーブルが形成される。この補正値テーブルは、プリンタ1を用いて画像を印刷する際に、当該画像の画像データを構成する各ラスタラインの階調値を補正するためにプリンタドライバによって参照される。
補正値取得処理が完了した後、プリンタ1は、他の検査工程を経た後に梱包されて出荷される。そして、当該プリンタ1の購入者(ユーザ)の下で画像を印刷する際には、濃度補正値Hによって補正された濃度の画像が印刷されることになる。
例えば、ユーザーのコンピュータ110のプリンタドライバは、各画素データの階調値(以下、補正前の階調値をSinとする)を、その画素データが対応するラスタラインの濃度補正値Hに基づいて補正する(以下、補正後の階調値をSoutとする)。
具体的には、あるラスタラインの階調値Sinが指令階調値Sa、Sb、Sc、Sd、Se、Sfの何れかと同じであれば、コンピュータ110のメモリに記憶されている濃度補正値Hをそのまま用いることができる。例えば画素データの階調値Sin=Sbであれば、補正後の階調値Soutは次式によって求められる。
Sout=Sb×(1+Hb)
一方、画素データの階調値が指令階調値Sa、Sb、Sc、Sd、Se、Sfと異なる場合、その周囲の指令階調値の濃度補正値を用いた補間に基づいて補正値を算出する。例えば指令階調値Sinが指令階調値Sbと指令階調値Scとの間の場合、指令階調値Sbの濃度補正値Hb、及び指令階調値Scの濃度補正値Hcを用いた線形補間により求めた補正値をH´とすると、指令階調値Sinの補正後の階調値Soutは次式によって求められる。
Sout=Sin×(1+H´)
こうして、ラスタラインごとの濃度補正処理が行われる。
===色情報の選択について===
<参考例>
スキャナ120は、例えば主走査方向に沿ったラインセンサ(例えばCCDセンサ)を副走査方向に移動させて画像を読み取る。このラインセンサは、例えばレッド(R)の光を検出するセンサと、グリーン(G)の光を検出するセンサと、ブルー(B)の光を検出するセンサを有している。そして、スキャナ120は、原稿に光を照射し、その反射光を各センサで検出(色分解)することにより、レッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)の色情報(読取階調値)を得る。この色情報は、コンピュータ110に送信されて、濃度補正値Hの算出の際に使用される。
従来、コンピュータ110において、各インクの濃度補正値Hを算出する際、インクの種類に関わらず、グレーの色情報を用いていた。なお、グレーの色情報とは、レッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)の各色情報の平均〔(R+G+B)/3〕のことである。
ところで、後述するようにインクの色ごとによって各読取階調値の特性が異なっている。例えば、イエローインクは、インクの打ち込み量(指令階調値)の変化に対してグレーの色情報(読取階調値)の反応性が低い。つまり、イエローの補正用パターンCPの各サブパターンCSPから得られるグレーの色情報の変化量が小さい。この場合、スキャナ120によって読み取りを行う際の誤差(以下、読み取り誤差ともいう)の影響を受けやすくなり、これにより濃度補正値Hの精度が低下するおそれがあった。そこで、以下の実施形態では、インクの色ごとに適した色情報を選択することにより、濃度補正値Hの精度の向上を図っている。
<本実施形態>
前述した参考例で説明したように、指令階調値の変化に対する読取階調値の変化が小さい場合、読み取り誤差の影響を受けやすくなると考えられる。言い換えると、指令階調値の変化に対して読み取り階調値の変化量が大きいほど、読み取り誤差の影響を受けにくくなるといえる。
そこで、本実施形態では、各指令階調値の各サブパターンCSPを読み取って得られる各色(レッド、グリーン、ブルー、グレー)の読取階調値の変化量を算出し、インク色ごとに読取階調値の最大値と最小値の差(以下ダイナミックレンジともいう)の最も大きい色情報を選択して使用するようにしている。
図12は本実施形態の色情報選択処理のフロー図である。なお、本実施形態では、多数のプリンタ1の製造を始める前の段階(例えば、プリンタ1の開発時や試作時)において、この色情報選択処理を行なうこととする。これにより、一回の色情報選択処理によって、全てのプリンタ1の補正を行う際に取得する色情報が決定される。
そして、プリンタ1の製造工場の検査ラインにおいて、個々のプリンタ1に対して前述した補正値取得処理(図7)を行う際には、予め色情報選択処理フローによって各インク色について選択された色情報(以下、選択色情報ともいう)を取得することとする。
また、以下の実施形態のシステム構成は、補正値取得処理と同じ構成(補正値算出システム200)であることとする。なお、コンピュータ110には、該コンピュータ110が以下の色情報選択処理を実行するためのプログラムがインストールされている。
まず、前述した補正値取得処理(図7のS021)と同様にして、コンピュータ110が印刷データをプリンタ1に送信し、プリンタ1がインクの色(本実施形態の場合、シアン、マゼンタ、イエロー)ごとに補正用パターンCPを紙Sに形成する(S101)。この補正用パターンCPは、補正値取得処理で形成される補正用パターンCPと同一であることとする。よって、各色の補正用パターンCPには、階調の異なるサブパターンCSP(1)〜CSP(6)がそれぞれ含まれている。
次に、作業者は補正用パターンCPが形成された紙Sをスキャナ120にセットする。そして、コンピュータ110は、スキャナ120に各色の補正用パターンCPを順次読み取らせ(S102)、スキャナ120からレッド、グリーン、ブルーの各色情報を取得する(S103)。また、コンピュータ110は、こられの色情報に基づいてグレーの色情報を算出する(S104)。
そして、コンピュータ110は、各色情報のダイナミックレンジを算出し(S105)、そのうちダイナミックレンジの最も大きい色情報を選択する(S106)。
図13A〜図13Cは、補正用パターンCPの階調と、スキャナ120の読み取り結果の関係を示す図である。図13Aは、シアンの補正用パターンCPの読みとり結果を示す図であり、図13Bは、マゼンダの補正用パターンCPの読み取り結果を示す図であり、図13Cは、イエローの補正用パターンCPの読み取り結果を示す図である。なお、図13A〜図13Cにおいて、横軸は補正用パターンCPの階調(指令階調値)の大きさを示し、縦軸は読取階調値の大きさを示している。また、図の各点は、各サブパターンCSPにおける各ラスタラインの読取階調値の平均値を示している。
補正用パターンCPの各サブパターンCSPは、図において左側ほど色が濃く、右側になるほど淡くなっている。例えばCSP(1)は最も濃い色であり、CSP(6)は最も淡い色である。R、G、Bの各読取階調値は、指令階調値が高いサブパターンほど(つまり、図の右側ほど)高い値となる。
図13A〜図13Cより、インクの色ごとに、レッド、グリーン、ブルー、及びグレーの各読取階調値の大小関係や階調間における傾きが異なっていることがわかる。
ここで、インクの色がイエローの場合(図13C)では、レッドと、グリーンのダイナミックレンジ(読取階調値の最大値と最小値との差)が、非常に小さくなっている。つまり、指令階調の変化に対する読取階調値の変化が小さい。言い換えると、イエローインクの打ち込み量(指令階調値)が変化しても、レッド及びグリーンの読取階調値に違いが現れにくいということになる。また、このため、R、G、Bの平均であるグレーの色情報のダイナミックレンジが、シアン(図13A)やマゼンダ(図13B)の場合に比べて小さくなっている。
よって、この場合、濃度補正値Hを算出する際にグレーの色情報を使用すると、スキャナ120による読み取り誤差の影響を受けやすくなる。そして、これにより正確な濃度補正値Hを算出することができないおそれがあると考えられる。
そこで、本実施形態では、コンピュータ110は、インクの色ごとに、スキャナ120から取得したレッド、グリーン、ブルー、及びグレーの各色情報のうち最もダイナミックレンジの大きいものを選択し、その色情報に基づいて濃度補正値Hの算出を行うようにしている。
図14は、各インクの色と、レッド、グリーン、ブルー、及びグレーの各色情報のダイナミックレンジとの関係を示す図である。なお、図14の縦軸はダイナミックレンジの大きさを示している。なお、図14の各ダイナミックレンジは図13A〜図13Cから得られたものである。
図の左側から順に、レッド(R)の色情報のダイナミックレンジ、グリーン(G)の色情報のダイナミックレンジ、ブルー(B)の色情報のダイナミックレンジ、及びグレーの色情報のダイナミックレンジ(R、G、Bの平均)が、インクの色(シアン、マゼンダ、イエロー)ごとについて示されている。例えば、図の左側の3つのグラフは、レッドの色情報のダイナミックレンジを示しており、左側から順に、シアンの補正用パターンCP、マゼンダの補正用パターンCP、イエローの補正用パターンCPの各サブパターンCSPをそれぞれ読み取って得られたダイナミックレンジとなっている。
この図より、イエローの場合、レッドの色情報及びグリーンの色情報のダイナミックレンジが非常に小さいことがわかる。また、グレーの色情報のダイナミックレンジが、シアン、マゼンダの場合に比べてかなり小さくなっている。このことにより、イエローの場合にグレーの色情報を用いると、読取階調値の変化が小さいので、読み取り誤差の影響を受けやすいことになる。そこで、本実施形態では、各色情報のうちでダイナミックレンジの最も大きいものを選択するようにしている。例えば、インクの色がイエローの場合、ダイナミックレンジが最も大きいのは、図13C及び図14よりブルーの色情報である。そこで、コンピュータ110は、この結果に基づき、イエローについてブルーの色情報を選択する。
コンピュータ110は、インクの全ての色について色情報の選択が終了していない場合(S107でNO)、スキャナ120に残りの色の補正用パターンCPを読み取らせるステップS202を実行し、その色について同様の処理を行う。一方、全ての色について色情報の選択が終了していれば(S107でYES)、インクの各色と選択された色情報(選択色情報)との対応関係を示すデータをメモリ113に記憶し(S108)、色情報選択処理を終了する。
図15は、第1実施形態におけるインクの各色と、選択色情報との対応関係を示す図である。上述したように、シアンの場合にはレッドの色情報が選択され、マゼンダの場合にはグリーンの色情報が選択され、イエローの場合にはブルーの色情報が選択される。なお、第1実施形態において選択される色情報は、全て各インクの色の補色になっている。
図16は補色について説明するための図である。補色とは、色相環で対向する位置にあり、混ぜると無彩色になる色のことである。図に示すようにシアンの補色はレッド、マゼンダの補色はグリーン、イエローの補色はブルーである。
そして、プリンタ1の検査ラインにおいて前述した補正値取得処理(図7参照)の補正用パターンの読み取り(S022)を行なう際には、コンピュータ110は、メモリ113に記憶されたデータを参照し、各色の選択色情報をスキャナ120から取得する。
なお、本実施形態では、プリンタ1の製造を始める前の段階において色情報選択処理を行ない、プリンタ1の製造工場で行われる補正値取得処理では、予め選択された色情報(選択色情報)を取得することとしたが、例えばプリンタ1の補正値取得処理を行うごとに色情報選択処理を行うようにしてもよい。この場合、前述したように紙Sに形成する補正用パターンCPを色情報選択処理と補正値取得処理で共通にしているので、読取階調値(色情報)も共通に使用できる。具体的には、まず、プリンタ1について色情報選択処理(図12)を行った後、取得した色情報のうちの選択色情報を用いて、補正値取得処理(図7)のラスタライン毎の濃度の算出(S023)を行うようにしてもよい。これにより図7の補正値取得処理における補正用パターンの形成(S021)及び補正用パターンの読み取り(S022)が省略されることになる。また、こうすることによって、例えばプリンタ1のインクの吐出特性にばらつきがある場合でも、プリンタ1ごとに適した色情報を選択することができ、補正の精度をより高めることができる。
このように、本実施形態では補正用パターンCPをスキャナ120で読み取って濃度補正値Hを算出する際に使用する色情報として、ダイナミックレンジの最も大きくなる色情報を選択するようにしている。これにより、スキャナ120で読み取りを行う際の誤差の影響を受けにくくすることができ、補正用パターンCPの各サブパターンCSPの算出濃度をより正確に求めることができる。よって、濃度補正値Hの精度の向上を図ることができる。
また、もし仮に、ダイナミックレンジの小さい色情報を用いると、例えば図10Aの指令階調値間の直線の傾きが小さくなる。例えば、図の直線BCにおいて、算出濃度Dcと算出濃度Dbの差が小さくなる。よって、基準算出濃度Dbtと直線BCとの交点を求める際にばらつきが生じやすくなる。従って図のΔSにばらつきが生じやすくなり、このことにより濃度補正値Hにばらつきが生じやすくなる。本実施形態では、インクの各色に対してダイナミックレンジの最も大きい色情報を用いるので、例えば前述した図10Aにおいて指令階調値Sbと指令階調値Sc間の算出濃度の直線近似を行う場合、指令階調値Sbと目標指令階調値Sbtとの差ΔSを正確に算出できる。これにより濃度補正値Hを求める際のばらつきを抑えることができる。
===第2実施形態===
例えば、図13Aにおいて、レッドの読取階調値のダイナミックレンジは、グリーン、ブルー、グレーに比べて大きいが、指令階調値の低いCSP(1)とCSP(2)では読取階調値がほとんど変化していない。つまりこの2点間における読取階調値の変化量(傾き)が小さい。このため、例えばシアンに対してレッドの色情報を選択すると、第1実施形態と同様の理由により、階調値の低い側において誤差の影響を受けやすくなる。
そこで、第2実施形態では、隣接するサブパターンごとの読取階調値の変化量(以下、階調間傾きともいう)を算出し、色情報ごとに変化量の最小値を求める。なお、階調間傾きは、階調の変化に対する色情報の変化の割合に相当する。そして、各最小値を比較して、最小値の最も大きい色情報を選択するようにしている。こうすることにより、局所的に誤差の影響を受けやすい部分を含んでいない色情報を選択することができるので、濃度補正値Hの精度の向上を図ることができる。
図17は第2実施形態の色情報選択処理のフロー図である。第2実施形態においても第1実施形態と同様に、多数のプリンタ1の製造を始める前の段階(例えば、プリンタ1の開発時や試作時)において、この色情報選択処理を行なうこととする。これにより、一回の色情報選択処理によって、全てのプリンタ1の補正を行う際に取得する色情報が決定される。
そして、プリンタ1の製造工場の検査ラインにおいて、個々のプリンタ1に対して前述した補正値取得処理(図7)を行う際には、予め色情報選択処理フローによって各インク色について選択された色情報を取得することとする。
まず、前述した補正値取得処理(図7のS021)と同様にして、コンピュータ110が印刷データをプリンタ1に送信し、プリンタ1がインクの色(本実施形態の場合、シアン、マゼンタ、イエロー)ごとに補正用パターンCPを紙Sに形成する(S201)。この補正用パターンCPは、補正値取得処理で形成される補正用パターンCPと同一であることとする。よって、各色の補正用パターンCPには、階調の異なるサブパターンCSP(1)〜CSP(6)がそれぞれ含まれている。
次に、作業者は補正用パターンCPが形成された紙Sをスキャナ120にセットする。そして、コンピュータ110は、スキャナ120に各色の補正用パターンCPを順次読み取らせ(S202)、スキャナ120からレッド、グリーン、ブルーの各色情報を取得する(S203)。また、コンピュータ110は、こられの色情報に基づいてグレーの色情報を算出する(S204)。
次に、コンピュータ110は、各色情報の階調間傾きを算出し(S205)、階調間傾きの最も小さい色情報を選択する(S206)。
図18は、補正用パターンCPの各サブパターンCSPのレッド、グリーン、ブルーの各色情報、及びグレーの色情報と、各サブパターン間の階調間傾きの算出結果の一例を示す説明図である。第2実施形態のコンピュータ110は、スキャナ120から取得した各色情報に基づいて階調間傾きを算出する。なお、階調間傾きとは、指令階調値の変化量に対する読取階調値の変化量のことであり、例えば、図13A〜図13Cにおいて隣接する2点間の傾きのことである。
図18の左側は、各測定色(インク色)についての各サブパターンの読取階調値(各ラスタラインの平均値)を示している。また、図18の右側は、各サブパターン間の階調間傾きを色情報ごとに示している。例えば、各測定色の各色情報について、図の上側から順に、サブパターンCSP(6)とCSP(5)の階調間傾き、サブパターンCSP(5)とCSP(4)の階調間傾き、サブパターンCSP(4)とCSP(3)の階調間傾き、サブパターンCSP(3)〜CSP(2)の階調間傾き、サブパターンCSP(2)〜CSP(1)の階調間傾きとなっている。
例えば、測定色がシアンの場合、指令階調値Sf(=255)のサブパターンCSP(6)と指令階調値Se(=232)のサブパターンCSP(5)との階調間傾きは、サブパターンCSP(6)の読取階調値(243.16)と、サブパターンCSP(5)の読取階調値(180.48)の差を指令階調値の差(255−232)で除算することで得られる。つまり、(243.16−180.48)/(255−232)=2.725となる。他の場合も同様にして階調間傾きが求められている。
図19は、図18に示した階調間傾きのうち、各色情報(R、G、B、及びグレー)の中で最も小さい値(最小値)を示した図である。
例えば、シアンに関しては、レッドの色情報の階調間傾きの最小値は、0.107、グリーンの色情報の階調間傾きの最小値は、0.377、ブルーの色情報の階調間傾きの最小値は0.254、グレーの色情報の階調間傾きの最小値は、0.289である。第2実施形態のコンピュータ110は、この最小値が最も大きい値となる色情報を選択する。例えば、図19において、シアンの場合、階調間傾きの最小値が最も大きいのはグリーンの0.377である。
また、マゼンダの場合、階調間傾きの最小値が最も大きいのはブルーの色情報の0.470であり、イエローの場合、階調間傾きの最小値が最も大きいのは、ブルーの色情報の0.158である。
コンピュータ110は、インクの全ての色について色情報の選択が終了していない場合(S207でNO)、スキャナ120に残りの色の補正用パターンCPを読み取らせるステップS202を実行し、その色について同様の処理を行う。一方、全ての色について色情報の選択が終了していれば(S207でYES)、インクの各色と選択色情報との対応関係を示すデータを例えばメモリ113に記憶し(S208)、色情報選択処理を終了する。
図20は、第2実施形態におけるインクの各色と選択色情報との対応関係を示す図である。図20より、第2実施形態では、シアンの場合にはグリーンの色情報が選択され、マゼンダの場合にはブルーの色情報が選択され、イエローの場合にはブルーの色情報が選択される。コンピュータ110は、補正値取得処理において補正用パターンCPの読み取りを行う際(図7のステップS022)に、図20のデータを参照してインク色ごとに選択した色情報をスキャナ120から取得し、その色情報を用いて濃度補正値Hの算出を行う。
なお、上記実施形態では、プリンタ1の製造を始める前の段階において色情報選択処理を行ない、プリンタ1の製造工場で行われる補正値取得処理では、予め選択された色情報(選択色情報)を取得することとしたが、例えばプリンタ1の補正値取得処理を行うごとに色情報選択処理を行うようにしてもよい。この場合、前述したように紙Sに形成する補正用パターンCPを色情報選択処理と補正値取得処理で共通にしているので、読取階調値(色情報)も共通に使用できる。具体的には、まず、プリンタ1について色情報選択処理(図12)を行った後、取得した色情報のうちの選択色情報を用いて、補正値取得処理(図7)のラスタライン毎の濃度の算出(S023)を行うようにしてもよい。これにより図7の補正値取得処理における補正用パターンの形成(S021)及び補正用パターンの読み取り(S022)が省略されることになる。また、こうすることによって、例えばプリンタ1のインクの吐出特性にばらつきがある場合でも、プリンタ1ごとに適した色情報を選択することができ、補正の精度をより高めることができる。
このように、各階調値間の傾きの最小値を求め、その値が最大である色情報を選択することにより、各階調間において局所的に読取階調値の変化の小さい部分を含んでいない色情報を選択することができる。例えば、図13Aにおいて、指令階調値の低い側で読取階調値の変化が小さいレッドの色情報を除外することができる。
このようにすることで、誤差の影響を受けやすい部分が含まれない色情報を選択することができる。よって、濃度補正値Hの算出の精度の向上を図ることができる。
===第3実施形態===
例えば図13Aの場合、ダイナミックレンジが最も大きいのはレッドの色情報であるが、この場合、階調の低い側において階調間の傾き(以下、階調間傾きともいう)が小さくなっている。つまり階調間傾きの大きい部分と小さい部分が混在している(階調間傾きの変化量が大きい)。このため、階調の高い側では読み取り誤差の影響を受けにくく、高い精度で濃度補正値Hを求めることができるが、階調値の低い側では、読み取り誤差の影響を受けやすく濃度補正値Hの精度が低下するおそれがある。このように、各階調で算出される濃度補正値Hの精度のばらつきが大きくなっている可能性がある。
そこで、第3実施形態では、各階調間における傾き(階調間傾き)の変化が最も小さい色情報を選択するようにしている。言い換えると、各階調で算出される濃度補正値Hの精度のばらつきが最も生じにくい色情報を選択するようにしている。こうすることにより、補正の精度の向上を図っている。
図21は第3実施形態の色情報選択処理のフロー図である。図21のS301〜S304は、第1実施形態(図12)のS101〜S104とそれぞれ対応しているので説明を省略する。
次に、コンピュータ110は、インク色ごとに、各色情報の階調間傾きを算出する(S305)。そして、階調間傾きの最大値と最小値との差をインク色ごとに算出する(S306)。
図22は、図18における階調間傾きの最大値と最小値との差を示す図である。例えば図18において測定色(インク色)がシアンの場合、レッドの色情報の階調間傾きの最大値は2.725であり、最小値は0.107である。よって、レッドの色情報の階調間傾きの最大値と最小値との差は、2.62(=2.725−0.107)となる。また、測定色がシアンの場合、ブルーの色情報の階調間傾きの最大値は0.522であり、最小値は0.254である。よって、ブルーの色情報の階調間傾きの最大値と最小値との差は、0.27(=0.522−0.254)となる。他の場合も同様にして、階調間傾きの最大値と最小値との差を求める。
そして、コンピュータ110は、階調間傾きの最大値と最小値との差が最も小さい色情報を選択する(S307)。例えば、図22において測定色がシアンの場合、階調間傾きの最大値と最小値との差が最も小さいのはブルーの色情報の0.27である。これは、測定色がシアンの場合に、各階調で算出される濃度補正値Hの精度のばらつきが最も小さいのはブルーの色情報であることを意味している。
コンピュータ110は、インクの全ての色について色情報の選択が終了していない場合(S308でNO)、スキャナ120に残りの色の補正用パターンCPを読み取らせるステップS302を実行し、その色について同様の処理を行う。一方、全ての色について色情報の選択が終了していれば(S308でYES)、インクの各色と選択色情報との対応関係を示すデータを例えばメモリ113に記憶し(S309)、色情報選択処理を終了する。
図23は、第3実施形態におけるインクの各色と選択色情報との対応関係を示す図である。図23より、第3実施形態では、シアンの場合にはブルーの色情報が選択され、マゼンダの場合にはレッドの色情報が選択され、イエローの場合にはレッドの色情報が選択される。コンピュータ110は、補正値取得処理において補正用パターンCPの読み取りを行う際(図7のステップS022)に、図23のデータを参照してインク色ごとに選択した色情報をスキャナ120から取得し、その色情報を用いて濃度補正値Hの算出を行う。
このように、階調間の傾きの最大値と最小値との値が最小である色情報を選択することにより、各階調での精度のばらつきの小さい色情報を選択することができ、濃度補正値Hの算出の精度の向上を図ることができる。
===第4実施形態===
第1実施形態で説明したように、濃度補正値Hを算出する際には、読取階調値のダイナミックレンジの大きいことが望ましい(例えば図13Aのレッド)。しかし、図13Aの場合、階調の低い側において階調間の傾き(以下、階調間傾きともいう)が小さくなっている。このため階調の高い側では、読み取り誤差の影響を受けにくく濃度補正値Hの精度を高めることができるが、階調値の低い側では誤差の影響を受けやすく濃度補正値Hの精度が低下するおそれがある。言い換えると、階調値の高い側と階調値の低い側とで、算出される濃度補正値Hの精度が異なるおそれがある。
一方、第3実施形態で説明したように、濃度補正値Hを算出する際に、各階調間において一定の精度を得るためには、全階調に亘って階調間傾きの変化が小さいことが望ましい。例えば図13Aのブルーのように階調間傾きの変化が小さいと、各階調において一定の精度で濃度補正値Hを算出できる。しかし、この場合、ダイナミックレンジが小さいので全体的に濃度補正値Hの算出の精度が低くなるおそれがある。
このように、ダイナミックレンジの大きいことと、階調間傾きの変化量の小さいこととは、ともに望ましいが同時に実現できない場合のあることが考えられる。そこで、第3実施形態では、ダイナミックレンジと、各階調間傾きの変化量(最大値と最小値の差)とにそれぞれ優先度をつけた指標を定め、その比較を行うことにより適用する色情報を選択するようにしている。具体的には、ダイナミックレンジと、傾きの変化量の重み付け演算を行い、その演算結果に基づいて選択する色情報を決定する。
図24は第4実施形態の色情報選択処理のフロー図である。図24のS401〜S404は、第1実施形態(図12)のS101〜S104とそれぞれ対応しているので説明を省略する。
次に、コンピュータ110は、インク色ごとに、各色情報のダイナミックレンジを算出し、その正規化を行う(S405)。
図25は、各色情報のダイナミックレンジと、その正規化について説明するための図である。図25の左側は、各色情報のダイナミックレンジを示している。例えば、測定色がシアンの場合、レッドの色情報の最大値は243.16であり、最小値は38.76である(図18参照)。よって、レッドの色情報のダイナミックレンジは204.4(=243.16−38.76)となる。他の場合についても、同様にしてダイナミックレンジが算出されている。なお、ダイナミックレンジが最大となるのは、前述したように、シアンの場合はレッドの色情報であり、マゼンダの場合はグリーンの色情報であり、イエローの場合はブルーの色情報である。
また、図25の右側は、図25の左側のダイナミックレンジの値を正規化した値を示している。ダイナミックレンジの正規化は、算出されたダイナミックレンジを階調の最大値(255)で除算することによって行われる。例えば、測定色がシアンの場合に、レッドのダイナミックレンジは、204.4であるので、これを正規化すると0.80(=204.4/255)となる。他の場合も同様にして、正規化した値が算出されている。
さらに、コンピュータ110は、インク色ごとに、各色情報の階調間傾きの最大値と最小値との差を算出し、その正規化を行う(S406)。
図26は、各色情報の各階調間傾きの変化量と、その正規化について説明するための図である。なお、階調間傾きの変化量とは、階調間傾きの最大値(max)と、階調間傾きの最小値(min)との差である。
図26の左側は、各色情報の各階調間傾きの変化量の算出結果を示している。例えば、図18より測定色がシアンの場合、レッドの階調間傾きの最大値はサブパターンCSP(6)とCSP(5)間の2.725であり、最小値はサブパターンCSP(2)とCSP(1)間の場合の0.107である。よって、この場合、階調間傾きの変化量(最大値と最小値の差)は2.62(=2.725−0.107)となる。他の場合も同様にして、各階調間傾きの変化量が算出されている。
図26の右側は、各階調間傾きの変化量の値を正規化した値を示している。この正規化は、各色情報の階調間傾きの変化量の値を、各色情報のうちの最大値で除算することによって行われる。
例えば、シアンの場合、レッド、グリーン、ブルー、グレーの各色情報における階調間傾きの変化量(max−min)は、図26の左側に示すように、それぞれ2.62、0.88、0.27、1.12となっている。この中で最大値はレッドの2.62である。よって上記各値を2.62で除算することによって、階調間傾きの変化量(max−min)が正規化されることになる。
また、マゼンダの場合、階調間傾きの変化量が最大であるのはグリーンの色情報の1.57である。よって、マゼンダの場合、各色情報の階調間傾きの変化量(max−min)を、1.57で除算することによってそれぞれ正規化される。
さらに、イエローの場合、階調間傾きの変化量が最大であるのはブルーの色情報の1.91である。よって、イエローの場合、各色情報の階調間傾きの変化量(max−min)を、1.91で除算することによってそれぞれ正規化される。
そして、第4実施形態のコンピュータ110は、ダイナミックレンジと、階調間傾きの変化量(max−min)にそれぞれ重みを付けた演算を行い、その演算結果が最大となる色情報を選択する(S407)。例えばダイナミックレンジを正規化した値をAとし、階調間傾きの変化量を正規化した値をBとすると、重み付けの算出式は、次式(4)のようになる。
A×W+(1-B)×W・・・(4)
なお、Wはダイナミックレンジの重み係数であり、Wは階調間傾きの変化量の重み係数である。本実施形態ではW=2とし、W=1としている。つまり、ダイナミックレンジの大きさの方の重みを大きくしている。
図27は、重み付けの演算結果を示す図である。この図より、例えばシアンについては、グレーの2.083が最大である。また、マゼンダについてもグレーの1.734が最大である。イエローについては、ブルーの1.266が最大である。
コンピュータ110は、インクの全ての色について色情報の選択が終了していない場合(S408でNO)、スキャナ120に残りの色の補正用パターンCPを読み取らせるステップS402を実行し、その色について同様の処理を行う。一方、全ての色について色情報の選択が終了していれば(S408でYES)、インクの各色と選択色情報との対応関係を示すデータを例えばメモリ113に記憶し(S409)、色情報選択処理を終了する。
図28は、第4実施形態におけるインクの各色と選択色情報との対応関係を示す図である。図に示すようにシアン及びマゼンダについては、グレーの色情報〔(R+G+B)/3〕が選択され、イエローについてはブルーの色情報が選択される。コンピュータ110は、補正値取得処理において補正用パターンCPの読み取りを行う際(図7のステップS022)に、図28のデータを参照してインク色ごとに選択した色情報をスキャナ120から取得し、その色情報を用いて濃度補正値Hの算出を行う。
このようにすることで、各階調間の傾きの変化量とダイナミックレンジとを考慮した色情報の選択を行うことができる。つまり、階調間における精度のばらつきが小さく、且つ、各階調で精度の高い濃度補正値Hを算出することができる。なお、階調間傾きの変化量とダイナミックレンジとの重み(WとWの値)を変えることに応じて、選択される色情報も変わることになる。
===その他の実施形態===
以上、上記実施形態に基づき、主に、本発明に係る補正値算出装置について説明したが、上記の説明には、色情報の選択を実行するための色情報選択システム、及び、色情報選択システム中のコンピュータ110に色情報選択処理を実行させるためのプログラムの開示も含まれている。また、上記した発明の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはもちろんである。
<プリンタ1について>
上記実施形態では、媒体の搬送方向と交差する紙幅方向にノズルが並んだラインヘッドプリンタを例に挙げているがこれに限らない。例えば、ヘッドユニットをノズル列方向と交差する移動方向に移動しながら、移動方向に沿ったドット列を形成するドット形成動作と、ノズル列方向である搬送方向に用紙を搬送する搬送動作(移動動作)とを交互に繰り返すプリンタであってもよい。
また、上記実施形態では、液体の一例であるインクを噴射するインクジェットプリンタについて説明したが、これには限られず、インク以外の他の液体を噴射する液体噴射装置に適用することも可能である。例えば、布地に模様をつけるための捺染装置、カラーフィルタ製造装置や有機ELディスプレイ等のディスプレイ製造装置、チップへDNAを溶かした溶液を塗布してDNAチップを製造するDNAチップ製造装置、回路基板製造装置等であってもよい。また、プリンタ1が有するノズルからインクを噴射させるためのインク噴射方式としては、ピエゾ素子の駆動によりインク室を膨張・収縮させるピエゾ方式であってもよいし、発熱素子を用いてノズル内に気泡を発生させ該気泡によってインクを噴射させるサーマル方式であってもよい。
さらに、プリンタ1がインクジェットプリンタであることとしたが、例えばレーザーを用いて画像を形成するプリンタであっても、濃度を補正する際に、本発明を適用することができる。
<スキャナ120について>
上記実施形態では、スキャナ120は、R、G、Bの各センサ(例えばCCD)を有し、原稿に照射された光の反射光を各センサで読取ることによりR、G、Bの色情報を取得するセンサ方式のものを用いていたがこれには限定されない。例えば、R、G、Bの各色の蛍光ランプを順次点滅し、モノクロイメージセンサで反射光を読み取り、R、G、Bの色情報を取得する光源切り替え方式や、あるいは、光源とセンサの間にR、G、Bのカラーフィルタを設け、このカラーフィルタを順次切り替えることによりR、G、Bの色情報を取得するフィルタ切り替え方式のものを用いてもよい。
<補正用パターンCPについて>
上記実施形態では、補正用パターンCPを用いて、ラスタライン単位で濃度の補正を行っていたが、本発明はこれには限定されず、スキャナを用いて補正パターンの読み取りを行うことによって濃度の補正を行う場合に適用することができる。
また、上記実施形態では、補正用パターンCPのサブパターンCSP(1)〜CSP(6)について全てスキャナで読み取りを行なっていたが、これらは全て必要なわけではない。例えば最も階調の高いCSP(6)、及び、最も階調の低いCSP(1)は、人間の視覚特性において、階調の変化を感じにくい。よって、人間の視覚特性が敏感である階調についてのサブパターン(例えば、CSP(2)〜CSP(5))を用いて、上述したような実施形態を行うようにしてもよい。
<色情報について>
また、上記実施形態では、濃度ムラの補正にRGB色空間のレッド、グリーン、ブルーの各色情報を用いることとしたが、上記のRGB色空間を、例えば、L*a*b*色空間に変換して、この変換したL*a*b*色空間における色情報に基づいて濃度ムラの補正を行うようにしてもよい。
印刷システム100の構成を示すブロック図である。 プリンタの搬送処理とドット形成処理を説明するための斜視図である。 複数のヘッドの配列の説明図である。 簡略説明用のヘッド配置とドット形成の様子の説明図である。 プリンタドライバによる処理の説明図である。 図6Aは、理想的にラスタラインが形成されたときの様子を示す図である。図6Bは、濃度ムラが発生した際の様子を示す図である。図6Cは、濃度ムラの発生が抑制された様子を示す図である。 補正値取得処理の流れを示す図である。 補正用パターンCPの説明図である。 サブパターンCSPについてラスタラインごとの算出濃度を示すグラフである。 図10Aは、第iラスタラインについて指令階調値Sbを補正するための濃度補正値Hを算出する手順についての説明図である。図10Bは、第jラスタラインについて指令階調値Sbを補正するための濃度補正値Hを算出する手順についての説明図である。 補正値テーブルを示す図である。 第1実施形態の色情報選択処理のフロー図である。 補正用パターンCPの階調と、スキャナ120の読み取り結果の関係を示す図である。図13Aは、シアンの補正用パターンCPの読みとり結果を示す図であり、図13Bは、マゼンダの補正用パターンCPの読み取り結果を示す図であり、図13Cは、イエローの補正用パターンCPの読み取り結果を示す図である。 各インクの色と、各色情報のダイナミックレンジとの関係を示す図である。 第1実施形態におけるインクの各色と選択色情報との対応関係を示す図である。 補色について説明するための図である。 第2実施形態の色情報選択処理のフロー図である。 各サブパターンCSPの各色情報と、各階調間の傾きの算出結果を示す説明図である。 階調間傾きのうち、各色情報の中で最も小さい値を示した図である。 第2実施形態におけるインクの各色と選択色情報との対応関係を示す図である。 第3実施形態の色情報選択処理のフロー図である。 階調間傾きの最大値と最小値との差を示す図である。 第3実施形態におけるインクの各色と選択色情報との対応関係を示す図である。 第4実施形態の色情報選択処理のフロー図である。 ダイナミックレンジとその正規化について説明するための図である。 階調間傾きの変化量と、その正規化について説明するための図である。 重み付けの演算結果を示す図である。 第4実施形態におけるインクの各色と選択色情報との対応関係を示す図である。
符号の説明
1 プリンタ、
20 ヘッドユニット、23 ヘッド、23A 第1ヘッド、23B 第2ヘッド、
30 搬送ユニット、32A 上流側ローラ、32B 下流側ローラ、34 ベルト、
40 検出器群、50 コントローラ、51 インターフェース、52 CPU、
53 メモリ、54 ユニット制御回路、
100 印刷システム、110 コンピュータ、111 インターフェース、
112 CPU、113 メモリ、
120 スキャナ、121 読取キャリッジ、122 インターフェース、
123 CPU、124 メモリ、125 コントローラ

Claims (6)

  1. 補正対象の各色の補正用パターンであって、各色についてそれぞれ複数の階調のサブパターンを含む補正用パターンを媒体に形成するステップと、
    前記補正用パターンを読み取ることによって、前記色ごとに、前記階調の変化に応じた複数の色情報を取得するステップと、
    各サブパターン間における前記階調の変化に対する前記色情報の変化の割合の最小値を、前記色情報ごとに算出するステップと、
    複数の前記色情報のうち前記最小値が最も大きい前記色情報を、前記色ごとに選択するステップと、
    各色の補正値を、選択した前記色情報に基づいてそれぞれ算出するステップと、
    を有することを特徴とする補正値算出方法。
  2. 請求項1に記載の補正値算出方法であって、
    前記色情報を選択するステップと前記補正値を算出するステップとの間に、
    各色と、選択した前記色情報との対応関係を示すデータを記憶するステップと、
    別の補正用パターンを媒体に形成するステップと、
    前記別の補正用パターンを読み取ることによって、前記データの各色に対応する前記色情報を取得するステップと、
    を有し、
    各色の前記補正値を、前記別の補正用パターンから取得した前記色情報を用いることによってそれぞれ算出する、
    ことを特徴とする補正値算出方法。
  3. 請求項1に記載の補正値算出方法であって、
    各色の前記補正値を、前記最小値が最も大きい前記色情報を選択する際に取得した前記色情報を用いることによってそれぞれ算出する、
    ことを特徴とする補正値算出方法。
  4. 請求項1〜3の何れかに記載の補正値算出方法であって、
    前記最小値は、所定の階調間において求められた値である、
    ことを特徴とする補正値算出方法。
  5. 請求項1〜4の何れかに記載の補正値算出方法であって、
    ある階調に対応する前記色情報の値と、別の階調に対応する前記色情報の値とに基づいて、前記ある階調を形成するための前記補正値を算出する、
    ことを特徴とする補正値算出方法。
  6. 請求項1〜5の何れかに記載の補正値算出方法であって、
    前記補正用パターンは、液体噴射装置から噴射される各色の液体が前記媒体に着弾することに基づいて形成される、
    ことを特徴とする補正値算出方法。
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