JP2009268270A - 車両の走行支援装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】車両の駆動源として設けられた電動機が有する2重回転子の周方向の相対変位角を変更する機能が正常に動作しないとき、傾斜域に基づく情報をドライバに提供する車両の走行支援装置を提供すること。
【解決手段】回転軸の周囲に同心円状に設けられた2つの回転子と、2つの回転子の周方向の相対変位角を変更する位相変更機構とを有する電動機からの動力によって走行する車両の走行支援装置は、位相変更機構の駆動を制御する駆動制御部と、駆動制御部の状態を判定する状態判定部と、車両の現在位置を検出する位置検出部と、勾配率が所定値以上の傾斜域を示す傾斜域情報を記憶する記憶部と、2つの回転子による合成磁束が所定未満となる相対変位角の状態で、駆動制御部が非正常状態と判定されたとき、傾斜域内又は傾斜周辺域内に車両が位置するかを判断する判断部と、傾斜域内又は傾斜周辺域内に車両が位置すると判断されたとき、警告を出力する警告出力部とを備える。
【選択図】図1
【解決手段】回転軸の周囲に同心円状に設けられた2つの回転子と、2つの回転子の周方向の相対変位角を変更する位相変更機構とを有する電動機からの動力によって走行する車両の走行支援装置は、位相変更機構の駆動を制御する駆動制御部と、駆動制御部の状態を判定する状態判定部と、車両の現在位置を検出する位置検出部と、勾配率が所定値以上の傾斜域を示す傾斜域情報を記憶する記憶部と、2つの回転子による合成磁束が所定未満となる相対変位角の状態で、駆動制御部が非正常状態と判定されたとき、傾斜域内又は傾斜周辺域内に車両が位置するかを判断する判断部と、傾斜域内又は傾斜周辺域内に車両が位置すると判断されたとき、警告を出力する警告出力部とを備える。
【選択図】図1
Description
本発明は、車両の駆動源として設けられた電動機が有する2重回転子の周方向の相対変位角を変更する機能が正常に動作しないとき、傾斜域に基づく情報をドライバに提供する車両の走行支援装置に関する。
特許文献1に記載の電動機は、回転軸の周囲に周方向に沿って配置された内周側永久磁石を有する内周側回転子と、内周側回転子と同軸上に配置され、内周側回転子の外側に周方向に沿って配置された外周側永久磁石を有する外周側回転子と、内周側回転子と外周側回転子の周方向の相対変位角を変更可能な回動機構とを備える。なお、回動機構は、非圧縮性流体である作動油(作動液)の油圧(流体圧)によって、内周側回転子と外周側回転子との間の相対的な位相を変更する。回動機構への油圧の制御は電動機制御部が行っている。
回動機構は、電動機制御部による油圧制御に応じて、電動機が界磁強め状態又は界磁弱め状態となるよう内周側回転子と外周側回転子の相対変位角を変更する。界磁強め状態では、内周側回転子及び外周側回転子の対向する各永久磁石の磁化方向は同じである。一方、界磁弱め状態では、内周側回転子及び外周側回転子の対向する各永久磁石の磁化方向は逆である。電動機は、界磁強め状態で最大トルクを出力可能であり、界磁弱め状態に近づくに連れて出力トルクが小さくなる。
上記説明した電動機が備える回動機構への油圧を制御するオイルポンプや油圧バルブ等といった電動機制御部にフェール(故障や異常、重度の性能劣化等)が発生しても、電動機は駆動する。したがって、当該電動機がシリーズ方式のハイブリッド車両や電動車両の駆動源として用いられる場合、電動機制御装置にフェールが発生しても車両は走行できる。しかし、電動機が界磁弱め状態のときに電動機制御装置にフェールが発生すると、電動機の出力可能なトルクが小さいために、勾配の大きな坂道を車両が登れない可能性がある。その結果、車両が立往生したり、車両が目的地に到達できないといった状況が生じ得る。
本発明の目的は、車両の駆動源として設けられた電動機が有する2重回転子の周方向の相対変位角を変更する機能が正常に動作しないとき、傾斜域に基づく情報をドライバに提供する車両の走行支援装置を提供することである。
上記課題を解決して係る目的を達成するために、請求項1に記載の発明の車両の走行支援装置は、回転軸(例えば、実施の形態での回転軸12)の周囲に同心円状に設けられた第1回転子及び第2回転子(例えば、実施の形態での外周側回転子21及び内周側回転子22)と、前記第1回転子及び前記第2回転子の周方向の相対変位角(例えば、実施の形態でのロータ位相差)を変更する位相変更機構(例えば、実施の形態での回動機構30,30′)と、を有する永久磁石界磁型の電動機(例えば、実施の形態での電動機10)からの動力によって走行する車両の走行支援装置であって、前記位相変更機構の駆動を制御する位相変更駆動制御部(例えば、実施の形態での電動機制御部105)と、前記位相変更駆動制御部の状態を判定する状態判定部(例えば、実施の形態でのマネジメントECU115)と、前記車両の現在位置を検出する位置検出部(例えば、実施の形態でのGPS121)と、勾配率が所定値以上の傾斜域を示す傾斜域情報を記憶する記憶部(例えば、実施の形態でのメモリ123)と、前記第1回転子及び前記第2回転子による合成磁束が所定未満となる前記相対変位角の状態で、前記状態判定部によって前記位相変更駆動制御部が非正常状態と判定されたとき、前記位置検出部によって検出された前記車両の現在位置が、前記記憶部に格納された傾斜域情報が示す傾斜域内又は当該傾斜域の周辺の傾斜周辺域内であるかを判断する判断部(例えば、実施の形態でのマネジメントECU115)と、前記車両の現在位置が前記傾斜域内又は前記傾斜周辺域内であると前記判断部によって判断されたとき、警告を出力する警告出力部(例えば、実施の形態でのディスプレイ125)と、を備えたことを特徴としている。
さらに、請求項2に記載の発明の車両の走行支援装置では、前記判断部は、前記傾斜域の端から前記車両の現在位置までの離間距離が所定値以上かを判断し、前記警告出力部は、前記離間距離が前記所定値未満になると前記警告を出力することを特徴としている。
さらに、請求項3に記載の発明の車両の走行支援装置では、前記傾斜周辺域は、前記傾斜域の端から外側に所定距離だけ離れた地点までの領域であることを特徴としている。
さらに、請求項4に記載の発明の車両の走行支援装置では、前記位置検出部によって検出された前記車両の現在位置情報、及び前記現在位置より所定時間前に前記車両が位置していた位置情報に基づいて、前記車両の進行方向を予測する進行方向予測部(例えば、実施の形態でのマネジメントECU115)を備え、前記判断部は、前記車両の現在位置が、前記進行方向予測部によって予測された進行方向に進むと上り勾配である傾斜域内又は当該傾斜域の周辺の傾斜周辺域内であるかを判断することを特徴としている。
さらに、請求項5に記載の発明の車両の走行支援装置では、回転軸(例えば、実施の形態での回転軸12)の周囲に同心円状に設けられた第1回転子及び第2回転子(例えば、実施の形態での外周側回転子21及び内周側回転子22)と、前記第1回転子及び前記第2回転子の周方向の相対変位角(例えば、実施の形態でのロータ位相差)を変更する位相変更機構(例えば、実施の形態での回動機構30,30′)と、を有する永久磁石界磁型の電動機(例えば、実施の形態での電動機10)からの動力によって走行する車両の走行支援装置であって、前記位相変更機構の駆動を制御する位相変更駆動制御部(例えば、実施の形態での電動機制御部105)と、前記位相変更駆動制御部の状態を判定する状態判定部(例えば、実施の形態でのマネジメントECU315)と、前記車両の現在位置を検出する位置検出部(例えば、実施の形態でのGPS121)と、道路又は走行領域の勾配情報を含む地図データを記憶する記憶部(例えば、実施の形態でのナビゲーションシステム323)と、前記第1回転子及び前記第2回転子による合成磁束が所定未満となる前記相対変位角の状態で、前記状態判定部によって前記位相変更駆動制御部が非正常状態と判定されたとき、前記位置検出部によって検出された前記車両の現在位置から目的地までに勾配率が所定値以上の傾斜域を含まないルートを、前記地図データから検索するルート検索部(例えば、実施の形態でのナビゲーションシステム323)と、前記ルート検索部によって検索されたルートを案内するルート案内部(例えば、実施の形態でのナビゲーションシステム323)と、を備えたことを特徴としている。
さらに、請求項6に記載の発明の車両の走行支援装置では、前記ルート検索部は、前記第1回転子及び前記第2回転子による合成磁束が所定未満となる前記相対変位角の状態で、前記状態判定部によって前記位相変更駆動制御部が非正常状態と判定されたときに前記目的地が設定されていない場合、前記目的地の設定を要求することを特徴としている。
請求項1〜4に記載の発明の車両の走行支援装置によれば、電動機の位相変更機構が非正常状態のときの電動機の第1回転子及び第2回転子による合成磁束が所定以上となる相対変位角であれば、車両が傾斜域内又は当該傾斜域の周辺の傾斜周辺域内に位置するときに警告を出力する。車両が傾斜周辺域内に位置するときに警告が出力されたとき、ドライバはこの警告に従って傾斜域の走行を回避すれば、車両が坂道を走行できずに立往生して目的地に到達できないといった状況を回避できる。また、車両が傾斜域内に位置するときに警告が出力されたときは、Uターンして引き返せば上記状況を回避できる。
請求項4に記載の発明の車両の走行支援装置によれば、進行方向予測部によって予測された進行方向に基づき、車両にとって傾斜域が上り勾配か下り勾配かを選別できるため、車両の進行方向に進むと下り勾配の傾斜域又は傾斜周辺域に対しては警告が出力されない。
請求項5及び6に記載の発明の車両の走行支援装置によれば、電動機の位相変更機構が非正常状態のときの電動機の第1回転子及び第2回転子による合成磁束が所定以上となる相対変位角であれば、現在位置から目的地までに傾斜域を含まないルートを案内する。ドライバはこの案内に従って運転すれば、車両が坂道を走行できずに立往生して目的地に到達できないといった状況を回避できる。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。シリーズ方式のHEV(Hybrid Electrical Vehicle:ハイブリッド電気自動車)は電動機及び内燃機関を備え、蓄電器を電源として駆動する電動機の動力を利用して走行する。内燃機関は発電のためだけに用いられ、内燃機関の動力によって発電された電力は蓄電器に充電されるか、電動機に供給される。
(第1の実施形態)
図1は、シリーズ方式のHEVの第1の実施形態の内部構成を示すブロック図である。図1に示すシリーズ方式のHEV(以下、単に「車両」という。)は、蓄電器(BATT)101と、第1インバータ(第1INV)103と、電動機(TR Mot)10と、電動機制御部105と、内燃機関(ENG)107と、発電機(GEN)109と、第2インバータ(第2INV)111と、バッテリECU(BATT ECU)113と、GPS121と、メモリ123と、ディスプレイ125と、マネジメントECU(MG ECU)115と、エンジンECU(ENG ECU)117とを備える。
図1は、シリーズ方式のHEVの第1の実施形態の内部構成を示すブロック図である。図1に示すシリーズ方式のHEV(以下、単に「車両」という。)は、蓄電器(BATT)101と、第1インバータ(第1INV)103と、電動機(TR Mot)10と、電動機制御部105と、内燃機関(ENG)107と、発電機(GEN)109と、第2インバータ(第2INV)111と、バッテリECU(BATT ECU)113と、GPS121と、メモリ123と、ディスプレイ125と、マネジメントECU(MG ECU)115と、エンジンECU(ENG ECU)117とを備える。
蓄電器101は、直列に接続された複数の蓄電セルを有し、例えば100〜200Vの高電圧を供給する。第1インバータ103は、蓄電器101からの直流電圧を交流電圧に変換して、3相電流を電動機10に供給する。なお、第1インバータ103内には、蓄電器101から電動機10への電流供給を制御するFET(電界効果トランジスタ)が設けられている。このFETのゲートは、マネジメントECU115からのゲート信号によって制御される。
電動機10は、車両が走行するための動力(トルク)を発生する。電動機10で発生するトルクは、第1インバータ103を介して供給された3相電流の値によって変化する。電動機10で発生したトルクは、トランスミッション131を介して車輪の駆動軸133に伝達される。なお、電動機10は車両の減速時に発電機として動作し、電動機10が発電した電力は回生エネルギとして蓄電器101に回収される。電動機10の詳細については後述する。
電動機制御部105は、マネジメントECU115からの指示に応じて、電動機10の動作及び状態を制御する。また、電動機制御部105は、電動機10の状態を検知して、当該状態を示す情報をマネジメントECU115に送る。
内燃機関107は、発電のためだけに用いられ、内燃機関107の動力によって発電された電力は蓄電器101に充電されるか、電動機10に供給される。発電機109は、内燃機関107の駆動によって電力を発生する。第2インバータ111は、発電機109で発生した交流電圧を直流電圧に変換する。第2インバータ111によって変換された電力は蓄電器101に充電されるか、第1インバータ103を介して電動機10に供給される。なお、電動機10には、通常、蓄電器101からの電力が供給されるが、ドライバがアクセルを全開したときなど、蓄電器101が出力可能な電力以上の電力が必要な場合には、蓄電器101からの電力に加えて、内燃機関107の動力によって発電された電力も供給される。
バッテリECU113は、蓄電器101の状態を検知して、当該状態を示す情報をマネジメントECU115に送る。マネジメントECU115には、バッテリECU113から送られた蓄電器101の状態に関する情報の他、電動機制御部105から送られた電動機10の状態に関する情報が入力される。
GPS121は、図示しないアンテナによってGPS衛星から受信した信号に基づいて、車両の現在位置を検出する。なお、車両の現在位置情報は、緯度及び経度によって示される。GPS121によって判別された現在位置情報は、マネジメントECU115に送られる。メモリ123は、勾配率が所定値以上の道路や走行領域(以下「傾斜域」という。)を示す傾斜域情報を記憶する。なお、メモリ123は、道路や走行領域の勾配情報を含む地図データを記憶しても良い。また、図示しない携帯電話等の通信手段が、サーバから地図データをダウンロードしてメモリ123に格納しても良い。
マネジメントECU115は、電動機10及び電動機制御部105の状態に応じて、GPS121によって判別された現在位置情報及びメモリ123に格納された情報を用いて所定の処理を行い、その処理結果をディスプレイ125に表示する。また、マネジメントECU115は、蓄電器101の状態や車速情報、ドライバ操作情報等に基づいて決定した指令又は信号をエンジンECU117及び第1インバータ103に出力する。マネジメントECU115の詳細については後述する。エンジンECU117は、マネジメントECU115からの指令に応じて、内燃機関107の始動及び停止や回転数を制御する。
次に、図1に示した車両が備える電動機10について詳細に説明する。電動機10は、図2〜図5に示すように、円環状の固定子11の内周側に回転子ユニット20が配置されるインナロータ型のブラシレスDCモータである。固定子11は複数相の固定子巻線11aを有し、回転子ユニット20は軸芯部に回転軸12を有している。
回転子ユニット20は、円環状の外周側回転子21と、この外周側回転子21の内側に同軸上に配置される円環状の内周側回転子22と、を備え、外周側回転子21と内周側回転子22が設定角度の範囲で相対回動可能とされている。例えば、外周側回転子21と内周側回転子22の相対回転角度は、少なくとも電気角で180度の範囲で進角側又は遅角側に変更される。なお、以下の説明では、外周側回転子21と内周側回転子22の周方向の相対変位角を「ロータ位相差」という。
外周側回転子21と内周側回転子22は、回転子本体である円環状のヨーク23,24が、例えば、複数の電磁鋼板を回転軸12に沿う方向に積層してなる積層鋼板によって形成される。各ヨーク23,24には、軸方向に貫通するように形成される複数の磁石装着スロット23a,24aが周方向に所定間隔(本実施形態では22.5°)で配置される。
各磁石装着スロット23a,24aには、厚み方向に磁化された平板状の外周側永久磁石25Aと内周側永久磁石25Bがそれぞれ装着される。そして、本実施形態では、図6に示すように、外周側永久磁石25Aは、着磁方向(厚み方向)が周方向に向くように配置され、内周側永久磁石25Bは、着磁方向(厚み方向)が径方向に向くように配置される。従って、隣接する外周側永久磁石25A,25Aと内周側永久磁石25Bとが略コの字状に配置される。
また、外周側永久磁石25Aと内周側永久磁石25Bは同数(本実施形態では8極対)設けられており、図6に示すように、外周側回転子21上において周方向に隣接する外周側永久磁石25Aの磁極の向きは逆に設定され、内周側回転子22上において周方向に隣接する内周側永久磁石25Bの磁極の向きも逆に設定される。
そして、図6に示すように、隣接する外周側永久磁石25Aの対向N極(またはS極)間に、内周側永久磁石25Bの同極つまりN極(またはS極)が対峙するように、外周側回転子21と内周側回転子22のロータ位相差を調整したときに、回転子ユニット20全体の界磁(合成磁束)が最も強められる「強め位相」の状態(界磁強め状態)となる。なお、この状態のロータ位相差を電気角で0度とする。また、図7に示すように、隣接する外周側永久磁石25Aの対向N極(またはS極)間に、内周側永久磁石25Bの異極つまりS極(またはN極)が対峙するように、外周側回転子21と内周側回転子22のロータ位相差を調整したときに、回転子ユニット20全体の界磁(合成磁束)が最も弱められる「弱め位相」の状態(界磁弱め状態)となる。なお、この状態のロータ位相差を電気角で180度とする。
また、回転子ユニット20は、外周側回転子21と内周側回転子22を相対回動させるための回動機構30を備える。この回動機構30は、外周側回転子21と内周側回転子22の相対変位角を任意に変更するための位相変更機構13を構成するものであり、非圧縮性の作動流体である作動油(作動液)の油圧(流体圧)によって駆動される。位相変更機構13は、回動機構30と、回動機構30に対する作動油の給排を制御する上記説明した電動機制御部105と、を主要な要素として構成される。
回動機構30は、図2〜図4に示すように、回転軸12の外周に一体回転可能にスプライン嵌合されるベーンロータ31と、ベーンロータ31の外周側に相対回動可能に配置される環状ハウジング32と、を備える。
ベーンロータ31は、図2に示すように、環状ハウジング32及び内周側回転子22の軸方向両端面を跨ぐ円板状の一対の第1ドライブプレート14A,14B、及び環状ハウジング32の軸方向両端部の開口を閉塞する円板状の一対の第2ドライブプレート15A,15Bを介して外周側回転子21に連結される。従って、外周側回転子21、第1ドライブプレート14A,14B、第2ドライブプレート15A,15B、ベーンロータ31、及び回転軸12が一体化されるので、外周側回転子21の駆動力が第1ドライブプレート14A,14Bを介して回転軸12に伝達される。
なお、図中の符号16は、第1ドライブプレート14A,14B、第2ドライブプレート15A,15B、及びベーンロータ31を一体的に連結するボルトで、符号26は、外周側回転子21と第1ドライブプレート14Aとの間に介装されるロストモーション用の皿バネで、符号27は、第1ドライブプレート14A,14B、第2ドライブプレート15A,15B、及びベーンロータ31の位置決めを行う位置決めピンである。
環状ハウジング32は、図2及び図5に示すように、その外周面に、内周側回転子22と、内周側回転子22を軸方向に挟むように配置され、磁石装着スロット24aから内周側永久磁石25Bが抜け出ることを防止する一対の端面板33,33と、環状ハウジング32の軸方向端部に形成される鍔部32aとの間に内周側回転子22及び一対の端面板33,33を挟み込むカラー34と、が一体的に嵌合固定される。従って、環状ハウジング32及び内周側回転子22が一体化される。
また、ベーンロータ31は、回転軸12にスプライン嵌合される円筒状のボス部35の外周に、径方向外側に突出する複数のベーン36が周方向等間隔で設けられる。環状ハウジング32は、内周面に周方向等間隔に複数の凹部37が設けられ、これら各凹部37にベーンロータ31の対応するベーン36が収容配置される。各凹部37は、ベーン36の先端部の回転軌道にほぼ合致する円弧面を有する底壁38と、隣接する凹部37同士を画成する仕切壁39と、によって構成され、ベーンロータ31と環状ハウジング32の相対回動時に、ベーン36が一方の仕切壁39と他方の仕切壁39の間を移動する。
また、各ベーン36の先端部には、底壁38と軸方向に沿うように摺接するシール40aと、シール40aを底壁38に向けて押圧するスプリング40bと、によって構成されるシール部材40が設けられており、このシール部材40は、ベーン36と底壁38との間を液密にシールする。また、各仕切壁39の先端部には、ボス部35の外周面と軸方向に沿うように摺接するシール41aと、シール41aをボス部35の外周面に向けて押圧するスプリング41bと、によって構成されるシール部材41が設けられており、このシール部材41は、仕切壁39とボス部35の外周面との間を液密にシールする。
第2ドライブプレート15A、15Bは、環状ハウジング32の軸方向端面に摺動自在に密接し、環状ハウジング32の各凹部37の側方をそれぞれ閉塞する。従って、環状ハウジング32の各凹部37は、ベーンロータ31のボス部35と両側の第2ドライブプレート15A,15Bと共にそれぞれ独立した空間を形成し、この空間は、作動油が導入される導入空間となっている。各導入空間内は、ベーンロータ31の対応する各ベーン36によってそれぞれ2室に隔成され、一方の室が進角側作動室42とされ、他方の室が遅角側作動室43とされている。
進角側作動室42は、内部に導入された作動油の圧力によって内周側回転子22を外周側回転子21に対して進角方向に相対回動させ、遅角側作動室43は、内部に導入された作動油の圧力によって内周側回転子22を外周側回転子21に対して遅角方向に相対回動させる。この場合、「進角」とは、内周側回転子22を外周側回転子21に対して図3中の矢印Rで示す電動機10の主回転方向に進めることを言い、「遅角」とは、内周側回転子22を外周側回転子21に対して電動機10の主回転方向Rと逆側に進めることを言うものとする。
また、各進角側作動室42と遅角側作動室43に対する作動油の給排は回転軸12を通して行われるようになっている。具体的には、進角側作動室42は、回転軸12に形成される通路孔44aと、回転軸12の外周面に形成され、通路孔44aと接続される環状溝44bと、ベーンロータ31のボス部35に略径方向に形成される複数の導通孔44cと、を介して油圧制御装置に接続される。また、遅角側作動室43は、回転軸12に形成される通路孔45aと、回転軸12の外周面に形成され、通路孔45aと接続される環状溝45bと、ベーンロータ31のボス部35に略径方向に形成される複数の導通孔45cと、を介して電動機制御部105に接続される。
本実施形態では、外周側回転子21と第1ドライブプレート14A,14Bとの連結は、図2〜図4及び図6に示すように、外周側回転子21のヨーク23の外周側永久磁石25A間のうちの均等間隔(本実施形態では180°間隔、図3の12時及び6時方向)に位置する2箇所の外周側永久磁石25A間の周方向中央部にそれぞれ形成される長穴形状の第1貫通穴51と、この2箇所の第1貫通穴51にそれぞれ挿通され、その両端部が第1ドライブプレート14A,14Bの内側面に形成されるピン保持穴17に挿入又は圧入される円筒形状のトルク伝達ピン61と、によって行われる。
また、本実施形態では、第1貫通穴51は、径方向の幅B1がトルク伝達ピン61の直径Dより大きく、周方向の幅B2がトルク伝達ピン61の直径Dと略同一に設定される。このため、トルク伝達ピン61と第1貫通穴51とが周方向に接触するので、外周側回転子21の駆動力が第1ドライブプレート14A,14Bに伝達され、また、トルク伝達ピン61と第1貫通穴51との間に径方向のクリアランスが形成されるので、遠心力でヨーク23が変形したとしても、トルク伝達ピン61に変形荷重が作用することはない。
また、本実施形態では、外周側回転子21のヨーク23の外周側永久磁石25A間のうちの均等間隔(本実施形態では180°間隔、図3の3時及び9時方向)に位置する2箇所の外周側永久磁石25A間の周方向中央部に円形状の第2貫通穴52が形成され、この第2貫通穴52に円筒形状の剥離防止ピン62が圧入される。このため、ヨーク23を構成する積層鋼板が軸方向に一体的に固定されるので、ヨーク23の積層鋼板の剥離が防止されると共に、ヨーク23の一端側の上下左右方向の位置が規制されれば、外周側回転子21の軸心が確保される。さらに、トルク伝達ピン61及び剥離防止ピン62は、交互に周方向に均等(90°間隔で)に配置される。
また、本実施形態では、図3に示すように、剥離防止ピン62の内径は、剥離防止ピン62の内径側の面積と第1貫通穴51の面積が同等となるように設定される。このため、遠心力によりヨーク23に作用する応力が周方向に均等化される。
また、本実施形態では、図8に示すように、第1ドライブプレート14Aの内側面にヨーク23の内径と同一径を有する段部18が形成されており、この段部18にヨーク23が外嵌される。このため、第1ドライブプレート14Aの段部18により外周側回転子21の上下左右方向の位置が規制され、外周側回転子21が第1ドライブプレート14Aと同一軸心に配置されるので、外周側回転子21の軸心が確保されると共に、外周側回転子21が内周側回転子22と同軸上に配置される。
さらに、第1ドライブプレート14A,14Bの内側面には、剥離防止ピン62との間に所定のクリアランスを設ける凹部19が形成される。このため、第1ドライブプレート14A,14Bと剥離防止ピン62とは径方向・周方向ともに接触することはない。
また、本実施形態では、図2及び図6に示すように、外周側回転子21のヨーク23の外周側永久磁石25A間のうちのトルク伝達ピン61及び剥離防止ピン62が配置される以外の外周側永久磁石25A間の周方向中央部には、上記第1貫通穴51がそれぞれ形成される。このため、遠心力によりヨーク23に作用する応力が周方向に均等化される。
このように構成された電動機10では、界磁特性を変更する場合、電動機制御部105による作動油の給排により、進角側作動室42と遅角側作動室43の一方に作動油を供給すると共に他方から作動油を排出する。そして、こうして作動油の給排が制御されると、ベーンロータ31と環状ハウジング32が相対的に回動し、それにともなって外周側回転子21と内周側回転子22の相対位相が操作される。
外周側回転子21と内周側回転子22のロータ位相差が操作されると、図6に示す強め位相の状態(界磁強め状態)と、図7に示す弱め位相の状態(界磁弱め状態)の間で、固定子11に及ぼす磁界の強さが変化する。磁界の強さが変化すると、それに伴って誘起電圧定数が変化し、その結果、電動機10の特性が変更される。即ち、図9に示すように、強め界磁によって誘起電圧定数Keが大きくなると、電動機10として運転可能な許容回転速度は低下するものの、出力可能な最大トルクは増大し、逆に、弱め界磁によって誘起電圧定数Keが小さくなると、電動機10として出力可能な最大トルクは減少するものの、運転可能な許容回転速度は上昇する。
上記説明した回動機構30は、ベーンタイプの位相変更機構であるが、以下説明するプラネタリタイプの位相変更機構であっても良い。図10は、プラネタリタイプの回動機構を備えた電動機の内部構成を示す図である。図10に示す回動機構30′は、内周側回転子22の内周側の中空部に配置されたシングルピニオン型の遊星歯車機構であり、外周側回転子21と同軸且つ一体に形成された第1リングギアR1、内周側回転子22と同軸且つ一体に形成された第2リングギアR2、第1リングギアR1と噛合する第1プラネタリギア71、第2リングギアR2に噛合する第2プラネタリギア72、第1プラネタリギア71及び第2プラネタリギア72と噛合するアイドルギアであるサンギアS、第1プラネタリギア71を回転自在に支持すると共に回転軸12に回転可能に軸支された第1プラネタリキャリアC1、及び第2プラネタリギア72を回転自在に支持すると共に固定子11に固定された第2プラネタリキャリアC2を備える。
第1リングギアR1及び第2リングギアR2は略同等のギア形状であり、第1プラネタリギア71及び第2プラネタリギア72も略同等のギア形状である。また、サンギアSの回転軸73は電動機10の回転軸12と同軸に配置されると共に、軸受け74により回転可能に軸支されている。このため、第1プラネタリギア71及び第2プラネタリギア72がサンギアSと噛合し、外周側回転子21と内周側回転子22が同期して回転する。さらに、第1プラネタリキャリアC1の回転軸75は、電動機10の回転軸12と同軸に配置されると共に、上記説明した電動機制御部105に含まれるアクチュエータ125に接続されており、第2プラネタリキャリアC2は固定子11に固定されている。
アクチュエータ125は、マネジメントECU115から入力される制御信号に応じて、油圧により第1プラネタリキャリアC1を正転方向又は逆転方向に回転させ、或いは回転軸2回りの第1プラネタリキャリアC1の回転を規制する。アクチュエータ125によって第1プラネタリキャリアC1が回転すると、外周側回転子21と内周側回転子22間のロータ位相差が変化する。
次に、図1に示した車両が備えるマネジメントECU115について、図11及び図12を参照して詳細に説明する。マネジメントECU115は、図11のフローチャートによって示される処理を行う。図11は、第1の実施形態のマネジメントECU115が行う処理を示すフローチャートである。図11に示すように、マネジメントECU115は、電動機制御部105から得られた電動機10の動作を示す状態に基づいて、電動機制御部105がフェール状態(故障や異常、重度の性能劣化等)か否かを判断し(ステップS101)、フェール状態でなければ処理を終了し、フェール状態であればステップS103に進む。ここで、フェール状態の判断は、例えば、指令油圧に対しての実油圧が所定の値以上でない場合にフェールと判断する。また、位相の指令値と実値の差分が所定値以上である場合もフェールと判断する。
ステップS103では、マネジメントECU115は、電動機制御部105から出力された電動機10の状態を示す情報に含まれるロータ位相差θsを読み込む。次に、マネジメントECU115は、ステップS103で読み込んだロータ位相差θsが例えば170度といった所定値(α)より大きいかを判断し(ステップS105)、所定値以下であれば処理を終了し、所定値より大きければステップS107に進む。なお、ロータ位相差θsの値が大きい程、外周側回転子21及び内周側回転子22によって構成される回転子ユニット20全体の界磁は弱い、すなわち、外周側回転子21及び内周側回転子22による合成磁束は小さい。
ステップS107では、マネジメントECU115は、GPS121から出力された車両の現在位置情報を読み込む。次に、マネジメントECU115は、現在位置よりτ秒前に車両が位置していた位置情報を読み込む(ステップS109)。次に、マネジメントECU115は、ステップS107で読み込んだ現在位置情報とステップS109で読み込んだ位置情報とから、車両の進行方向を予測する(ステップS111)。
次に、マネジメントECU115は、メモリ123から傾斜域情報を読み込む(ステップS113)。なお、マネジメントECU115は、現在位置情報が示す位置を中心として所定距離内に位置する傾斜域を示す一部の傾斜域情報をメモリ123から読み込んでも良い。次に、マネジメントECU115は、ステップS113で読み込んだ傾斜域情報に含まれ、ステップS107で読み込んだ現在位置情報が示す位置に最も近く、ステップS111で予測した進行方向に進むと上り勾配である傾斜域(以下「走行回避域」という。)を特定し、現在位置から走行回避域の端までの距離(β)を算出する(ステップS115)。
次に、マネジメントECU115は、ステップS115で算出した走行回避域までの距離(β)が所定値(γ)未満かを判断し、所定値以上であれば処理を終了し(ステップS117)、図12に示すように所定値未満であればステップS119に進む。ステップS119では、マネジメントECU115は、車両が走行不可能な坂道に向かっている旨の警告をディスプレイ125に表示したり、警告メッセージ音を出力する。
本実施形態によれば、電動機10が界磁弱め状態のときに電動機制御部105がフェールすると、ロータ位相差を変更できないため電動機10は最大トルクを出力することができない。このような状態の電動機10を駆動力とする車両が勾配の大きい坂道を走行することは非常に困難と考えられるため、車両が当該坂道に近づくと警告が出力される。ドライバがこの警告に従って坂道を回避すれば、車両が坂道を走行できずに立往生して目的地に到達できないといった状況を回避できる。
(第2の実施形態)
第2の実施形態では、シリーズ方式のHEVが備えるマネジメントECUのメモリに格納される傾斜域情報が第1の実施形態と部分的に異なる。第1の実施形態の傾斜域情報には、傾斜域(勾配率が所定値以上の道路又は走行領域)に関する情報が含まれるが、第2の実施形態の傾斜域情報には、当該傾斜域に加えて、その周辺の勾配率が所定値未満の道路又は走行領域(以下「傾斜周辺域」という。)に関する情報も含まれる。また、第2の実施形態では、マネジメントECUによる処理が第1の実施形態と部分的に異なる。これら以外は第1の実施形態と同様である。
第2の実施形態では、シリーズ方式のHEVが備えるマネジメントECUのメモリに格納される傾斜域情報が第1の実施形態と部分的に異なる。第1の実施形態の傾斜域情報には、傾斜域(勾配率が所定値以上の道路又は走行領域)に関する情報が含まれるが、第2の実施形態の傾斜域情報には、当該傾斜域に加えて、その周辺の勾配率が所定値未満の道路又は走行領域(以下「傾斜周辺域」という。)に関する情報も含まれる。また、第2の実施形態では、マネジメントECUによる処理が第1の実施形態と部分的に異なる。これら以外は第1の実施形態と同様である。
以下、第2の実施形態のマネジメントECUについて、図13及び図14を参照して詳細に説明する。第2の実施形態のマネジメントECUは、図13のフローチャートによって示される処理を行う。図13は、第2の実施形態のマネジメントECUが行う処理を示すフローチャートである。図13に示すように、マネジメントECUは、第1の実施形態で図11に示したステップS101〜S107を行った後、ステップS113を行い、ステップS201に進む。ステップS201では、マネジメントECUは、ステップS107で読み込んだ現在位置情報が示す位置が、ステップS113で読み込んだ傾斜域情報が示す傾斜域内又は傾斜周辺域内であるかを判断し、図14に示すように現在位置が傾斜域内又は傾斜周辺域内であればステップS119に進んでドライバに警告を行い、傾斜域外及び傾斜周辺域外であれば処理を終了する。
本実施形態によれば、電動機10が界磁弱め状態のときに電動機制御部105がフェールした状態で、車両が傾斜域内又は傾斜周辺域内に位置するとき警告が出力される。ドライバがこの警告に従って傾斜域を回避すれば、車両が坂道を走行できずに立往生して目的地に到達できないといった状況を回避できる。
(第3の実施形態)
第2の実施形態では、シリーズ方式のHEVが、第1又は第2の実施形態で説明したメモリの代わりにナビゲーションシステムを備える。また、第3の実施形態では、マネジメントECUによる処理が第1又は第2の実施形態と異なる。
第2の実施形態では、シリーズ方式のHEVが、第1又は第2の実施形態で説明したメモリの代わりにナビゲーションシステムを備える。また、第3の実施形態では、マネジメントECUによる処理が第1又は第2の実施形態と異なる。
図15は、シリーズ方式のHEVの第3の実施形態の内部構成を示すブロック図である。図15に示すシリーズ方式のHEV(以下、単に「車両」という。)は、図1に示した車両が備える蓄電器(BATT)101、第1インバータ(第1INV)103、電動機(TR Mot)105、電動機制御部105、内燃機関(ENG)107、発電機(GEN)109、第2インバータ(第2INV)111、バッテリECU(BATT ECU)113、GPS121、ディスプレイ125及びエンジンECU(ENG ECU)117を備え、さらに、ナビゲーションシステム(NAVI)323及びマネジメントECU(MG ECU)315を備える。図15において、図1と共通する構成要素には同じ参照符号が付されている。
ナビゲーションシステム323は、道路や走行領域の勾配情報を含む地図データが格納された記録媒体を有し、GPS121によって判別された現在位置情報及びドライバによって入力された目的地情報に基づいて、現在位置から目的地までのルートを映像や音声を用いて案内する。なお、図示しない携帯電話等の通信手段が、サーバから地図データをダウンロードしてナビゲーションシステム323に格納しても良い。マネジメントECU315は、電動機10及び電動機制御部105の状態に応じて、GPS121によって判別された現在位置情報と、設定された目的地と、ナビゲーションシステム323に格納された地図データとを用いて所定の処理を行い、その処理結果をディスプレイ125に表示する。
図15に示した車両が備えるマネジメントECU315について、図16を参照して詳細に説明する。第3の実施形態のマネジメントECU315は、図16のフローチャートによって示される処理を行う。図16は、第3の実施形態のマネジメントECU315が行う処理を示すフローチャートである。図16に示すように、マネジメントECU315は、第1の実施形態で図11に示したステップS101〜S105を行った後、ロータ位相差θsが所定値(α)以下であれば処理を終了し、所定値より大きければステップS301に進む。
ステップS301では、ナビゲーションシステム323に目的地が設定されているかを判断し、目的地が設定されていなければステップS303に進み、設定されていなければステップS307に進む。ステップS303では、ナビゲーションシステム323が目的地の設定を要求する。次に、ステップS305では、ナビゲーションシステム323に目的地が設定されたかを判断し、目的地が設定されればステップS307に進み、設定されなければ処理を終了する。
ステップS307では、マネジメントECU115が、GPS121から出力された車両の現在位置情報を読み込む。次に、ステップS309では、ナビゲーションシステム323が、ステップS307で読み込まれた現在位置情報と、設定された目的地を示す目的地情報と、道路や走行領域の勾配情報を含む地図データとを用いて、現在位置から目的地までのルートを検索する。なお、ナビゲーションシステム323がこのとき行うルート検索は、地図データに含まれる勾配情報を鑑みて行われる。すなわち、ナビゲーションシステム323は、現在位置から目的地までに傾斜域(勾配率が所定値以上の道路又は走行領域)を含まないルートを地図データから検索する。次に、ステップS311では、ナビゲーションシステム323は、ステップS309で検索した結果得られたルートを映像及び音声を用いて案内する。
本実施形態によれば、電動機10が界磁弱め状態のときに電動機制御部105がフェールした状態では、傾斜域を含まないルートに基づいてドライバを目的地まで案内する。ドライバがこの案内に従って運転すれば、車両が坂道を走行できずに立往生して目的地に到達できないといった状況を回避できる。
上記実施形態では、シリーズ方式のHEVを例に説明したが、PHEV(Plug-in Hybrid Electrical Vehicle:プラグインハイブリッド電気自動車)に適用しても良い。PHEVは、HEVが有する機能に加え、家庭用電源等の外部電源から蓄電器に充電可能な機能を備える。このため、走行を終えたPHEVのドライバが、車両に搭載されたプラグをコンセントに差し込んでおけば、次回の走行時には蓄電器が十分に充電された状態となる。また、HEVに限らず、内燃機関を備えないEV(Electrical Vehicle:電気自動車)に適用しても良い。
10 電動機(TR Mot)
101 蓄電器(BATT)
103 第1インバータ(第1INV)
105 電動機制御部
107 内燃機関(ENG)
109 発電機(GEN)
111 第2インバータ(第2INV)
113 バッテリECU(BATT ECU)
121 GPS
123 メモリ
125 ディスプレイ
115,315 マネジメントECU(MG ECU)
117 エンジンECU(ENG ECU)
323 ナビゲーションシステム(NAVI)
11 固定子
12 回転軸
13 位相変更手段
14A 第1ドライブプレート
14B 第1ドライブプレート
20 回転子ユニット
21 外周側回転子
22 内周側回転子
23 ヨーク
24 ヨーク
25A 外周側永久磁石
25B 内周側永久磁石
30,30′ 回動機構
31 ベーンロータ
32 環状ハウジング
51 第1貫通穴
52 第2貫通穴
53 第3貫通穴
61 トルク伝達ピン
62 剥離防止ピン
B1 第1貫通穴の径方向の幅
B2 第1貫通穴の周方向の幅
B3 第3貫通穴の周方向の幅
D トルク伝達ピンの直径
R1 第1リングギア
R2 第2リングギア
71 第1プラネタリギア
72 第2プラネタリギア
73,75 回転軸
74 軸受け
S サンギア
C1 第1プラネタリキャリア
C2 第2プラネタリキャリア
101 蓄電器(BATT)
103 第1インバータ(第1INV)
105 電動機制御部
107 内燃機関(ENG)
109 発電機(GEN)
111 第2インバータ(第2INV)
113 バッテリECU(BATT ECU)
121 GPS
123 メモリ
125 ディスプレイ
115,315 マネジメントECU(MG ECU)
117 エンジンECU(ENG ECU)
323 ナビゲーションシステム(NAVI)
11 固定子
12 回転軸
13 位相変更手段
14A 第1ドライブプレート
14B 第1ドライブプレート
20 回転子ユニット
21 外周側回転子
22 内周側回転子
23 ヨーク
24 ヨーク
25A 外周側永久磁石
25B 内周側永久磁石
30,30′ 回動機構
31 ベーンロータ
32 環状ハウジング
51 第1貫通穴
52 第2貫通穴
53 第3貫通穴
61 トルク伝達ピン
62 剥離防止ピン
B1 第1貫通穴の径方向の幅
B2 第1貫通穴の周方向の幅
B3 第3貫通穴の周方向の幅
D トルク伝達ピンの直径
R1 第1リングギア
R2 第2リングギア
71 第1プラネタリギア
72 第2プラネタリギア
73,75 回転軸
74 軸受け
S サンギア
C1 第1プラネタリキャリア
C2 第2プラネタリキャリア
Claims (6)
- 回転軸の周囲に同心円状に設けられた第1回転子及び第2回転子と、前記第1回転子及び前記第2回転子の周方向の相対変位角を変更する位相変更機構と、を有する永久磁石界磁型の電動機からの動力によって走行する車両の走行支援装置であって、
前記位相変更機構の駆動を制御する位相変更駆動制御部と、
前記位相変更駆動制御部の状態を判定する状態判定部と、
前記車両の現在位置を検出する位置検出部と、
勾配率が所定値以上の傾斜域を示す傾斜域情報を記憶する記憶部と、
前記第1回転子及び前記第2回転子による合成磁束が所定未満となる前記相対変位角の状態で、前記状態判定部によって前記位相変更駆動制御部が非正常状態と判定されたとき、前記位置検出部によって検出された前記車両の現在位置が、前記記憶部に格納された傾斜域情報が示す傾斜域内又は当該傾斜域の周辺の傾斜周辺域内であるかを判断する判断部と、
前記車両の現在位置が前記傾斜域内又は前記傾斜周辺域内であると前記判断部によって判断されたとき、警告を出力する警告出力部と、
を備えたことを特徴とする車両の走行支援装置。 - 請求項1に記載の車両の走行支援装置であって、
前記判断部は、前記傾斜域の端から前記車両の現在位置までの離間距離が所定値以上かを判断し、
前記警告出力部は、前記離間距離が前記所定値未満になると前記警告を出力することを特徴とする車両の走行支援装置。 - 請求項1に記載の車両の走行支援装置であって、
前記傾斜周辺域は、前記傾斜域の端から外側に所定距離だけ離れた地点までの領域であることを特徴とする車両の走行支援装置。 - 請求項1〜3のいずれか一項に記載の車両の走行支援装置であって、
前記位置検出部によって検出された前記車両の現在位置情報、及び前記現在位置より所定時間前に前記車両が位置していた位置情報に基づいて、前記車両の進行方向を予測する進行方向予測部を備え、
前記判断部は、前記車両の現在位置が、前記進行方向予測部によって予測された進行方向に進むと上り勾配である傾斜域内又は当該傾斜域の周辺の傾斜周辺域内であるかを判断することを特徴とする車両の走行支援装置。 - 回転軸の周囲に同心円状に設けられた第1回転子及び第2回転子と、前記第1回転子及び前記第2回転子の周方向の相対変位角を変更する位相変更機構と、を有する永久磁石界磁型の電動機からの動力によって走行する車両の走行支援装置であって、
前記位相変更機構の駆動を制御する位相変更駆動制御部と、
前記位相変更駆動制御部の状態を判定する状態判定部と、
前記車両の現在位置を検出する位置検出部と、
道路又は走行領域の勾配情報を含む地図データを記憶する記憶部と、
前記第1回転子及び前記第2回転子による合成磁束が所定未満となる前記相対変位角の状態で、前記状態判定部によって前記位相変更駆動制御部が非正常状態と判定されたとき、前記位置検出部によって検出された前記車両の現在位置から目的地までに勾配率が所定値以上の傾斜域を含まないルートを、前記地図データから検索するルート検索部と、
前記ルート検索部によって検索されたルートを案内するルート案内部と、
を備えたことを特徴とする車両の走行支援装置。 - 請求項5に記載の車両の走行支援装置であって、
前記ルート検索部は、前記第1回転子及び前記第2回転子による合成磁束が所定未満となる前記相対変位角の状態で、前記状態判定部によって前記位相変更駆動制御部が非正常状態と判定されたときに前記目的地が設定されていない場合、前記目的地の設定を要求することを特徴とする車両の走行支援装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008115499A JP2009268270A (ja) | 2008-04-25 | 2008-04-25 | 車両の走行支援装置 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2019082692A1 (ja) | 2017-10-27 | 2019-05-02 | コベルコ建機株式会社 | 走行ルートガイダンス装置 |
-
2008
- 2008-04-25 JP JP2008115499A patent/JP2009268270A/ja not_active Withdrawn
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2019082692A1 (ja) | 2017-10-27 | 2019-05-02 | コベルコ建機株式会社 | 走行ルートガイダンス装置 |
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