JP2009267462A - 信号処理装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ダイレクトコンバージョン方式の受信機等において、信号の低周波数成分を欠落させることなく、DCオフセットを抑制する信号処理装置を提供する。
【解決手段】入力端子29と、入力信号を増幅して出力信号を生成する利得増幅器31と、出力信号のレベルを基準値と比較する比較器32、33と、容量37と、比較器の比較結果によって出力信号のレベルが基準となる範囲を外れていた場合は容量に蓄積された電荷を充電または放電する電流源回路34、35と、容量の電位によって流れる電流が制御される可変電流源36と、入力端子と可変電流源とに接続され、可変電流源と共に入力端子にバイアスを与える負荷回路38と、を備えている。出力信号のレベルが基準となる範囲に入っている場合は、入力端子のバイアスも変わらないので入力信号の低周波数成分は欠落しない。
【選択図】図8

Description

本発明は、ダイレクトコンバージョン方式等の信号処理装置に関する。特に、DCオフセットを抑制して信号を増幅する信号処理装置に関する。
従来のダイレクトコンバージョン方式受信機の一般的な構成を図1に示す。アンテナで受信したRF信号は入力端子1に入力され、低雑音増幅器(Low Noise Amplifier;以下LNAという)2で増幅された後、2経路に分岐する。それぞれの経路でダウンコンバージョンミキサ(以下ミキサという)3a、3bでダウンコンバージョンされる。この時、ローカル信号入力端子4a、4bから入力される互いに90度の位相差を持つローカル信号(以下LO信号という)cosωt、sinωtは、その周波数が所望RF信号のキャリア周波数と同一に選ばれている。これにより、1回のダウンコンバージョンでベースバンド信号が得られる。
ミキサ3a、3bから出力されるベースバンド信号は、利得可変増幅器5a、5b、7a、7b、チャネル選択のためのローパスフィルタ(以下LPFという)6a、6b、アナログ/ディジタルコンバータ(以下ADCという)8a、8bを通して、ディジタル信号に変換される。変換されたディジタル信号はベースバンド信号処理部(BB)9で処理される。
また、利得制御部(ゲイン設定部)10では、処理された結果のうち受信信号のタイムスロットやビットエラーレートデータ、受信強度等に基づき、適宜LNA2、および利得可変増幅器5a、5b、7a、7bの各段の利得を制御する。
以上述べたダイレクトコンバージョン方式受信装置では、チャネル信号以外の成分を濾波する前にベースバンドへのダウンコンバージョンが行われるため、妨害波の存在などを考慮すると、ミキサ3a、3bよりも前段で充分な利得を稼ぐことができない。従ってダウンコンバージョン後の所望波の強度は基本的に弱く、ミキサ3a、3bの出力におけるDCオフセットの影響が相対的に大きくなる。
DCオフセットは、素子のばらつきによるミキサ3a、3bの出力におけるDCレベルのドリフト以外にも、幾つかの機構により発生することが知られている。主なものを図2から図5に示す。
図2は、ローカル信号入力端子4から入力されるLO信号が、リークなどによる11の経路を通ってミキサ3のRFポートに廻り込むことによって発生する、LO信号同士の自己ミキシングによるDCオフセットである。これは時間と共に変動しない、いわゆるスタティックオフセットである。
図3は、ローカル信号入力端子4から入力されるLO信号が12の経路を通って、LNA2の入力端子1側からミキサ3のRFポートに廻り込むことによって発生するDCオフセットである。これはLNA2の利得設定によってDCオフセット量が変動する。従って、受信開始直後のLNA2の利得設定時には、DCオフセット量が変動する。またLNA2の入力端子1に廻り込んだLO信号がアンテナに逆流し、これが一旦空間に放射された後、再度アンテナからLNA2、ミキサ3へと戻ってくる場合がある。この場合は周囲環境の変化により変動するダイナミックオフセットとなる。
図4はアンテナで受信したRF信号の一部が経路13を通ってミキサ3のLO信号ポート4に入力されることで発生する、RF信号の自己ミキシングによるDCオフセットである。このDCオフセットは、所望RF信号の近傍周波数帯に強い妨害波がある場合に顕著に現れる。妨害波の受信強度はフェージングなどの影響により変動するため、このDCオフセットはダイナミックオフセットとなる。
図5は、LNA2で増幅されたRF信号の一部が経路14を通ってミキサ3のLO信号入力端子4に廻り込むことによって発生するDCオフセットで、フェージングなどによるダイナミックDCオフセットの性質と、LNA2の利得変化によるステップ的なDCオフセット変動の性質の両方を有する。このほかに、ミキサ3の2次歪みによってもDCオフセットは変動する。
上記の機構で発生したDCオフセットが利得可変増幅器7a,7bに入力されるとDCオフセット量が増幅される。一般に利得可変増幅器は数倍から数千倍の増幅作用があるためDCオフセット量も数倍から数千倍に増幅される。増幅されたDCオフセットは利得可変増幅器7a,7bの内部で設計時に想定しないバイアスレベルのDC電圧となり利得可変増幅回路7a,7bが動作不可の状態となり、信号処理が不可となる。
ゆえにダイレクトコンバージョン方式受信装置には、DCオフセットの増加を抑圧する回路が必要となる。このダイレクトコンバージョン方式受信装置等におけるDCオフセットを抑制する先行技術として、以下に説明する特許文献1、特許文献2が公開されている。
図6に特許文献1記載の利得制御回路の構成図を示す。この回路は利得制御増幅器16の出力を、増幅器17および積分器18を介して入力側の減算器19に帰還することにより直流利得を下げる構成において、利得制御増幅器16の利得制御に応じて、直流利得が一定になるように積分器18のgm(トランスコンダクタンス)値を制御することにより、利得制御時における利得制御回路20のDCオフセット変動を低減することができる。
図7に特許文献2記載の信号処理装置の構成図を示す。この回路の入力信号は端子21からハイパスフィルタ(以下HPFと言う)23に入力される。HPF23の出力は出力端子22とLPF25の入力に分岐される。HPF23の出力において、DCオフセット電圧が判定素子26であらかじめ設定した電圧を上回ると、スイッチ28をONにしてHPF23の出力ノードをグランドに接続し電荷放電を行う。電荷放電を行うとHPF23の出力DCレベルは下がり、DCオフセット電圧が抑制される。逆にDCオフセット電圧が判定素子26であらかじめ設定した電圧を下回る場合は、スイッチ27をONにしてHPF23の出力ノードを電源に接続し、電荷の充電を行う。電荷の充電を行うとDCレベルが上がり、DCオフセット電圧を抑制する。
特開2001−156566号公報 国際公開2005/112282号パンフレット
上記図6、図7記載の先行技術では、DCオフセットをキャンセルするため、DCオフセットが所定の範囲内に収まっている場合も、低周波数成分の欠落が生じている。
すなわち、図6に示す回路では、入力端子から入力し出力端子から出力されるベースバンド信号自体の帰還を行っているが、「DCオフセットの抑制」と「ベースバンド信号の低域周波数成分の欠落」がトレードオフの関係にある。したがって、「DCオフセットの抑制」を十分に行おうとする場合は、「ベースバンド信号の低域周波数成分の欠落」が生じてしまう。また、ベースバンド信号自体の帰還を行うことによって、増幅器17および積分器18による雑音が入力信号に帰還されるため、雑音指数(以下NFという)の悪化することも懸念される。
また、図7の回路では、HPF23を使用しているため、入力端子21から入力される入力信号の低域周波数成分が欠落してしまう。HPFの通過周波数帯域の下限を低周波数帯域まで伸ばすことも考えられるが、そうしようとするとチップ面積が増大し、コスト増を招いてしまう。
以上述べたように、低周波数成分の欠落を生じることなく、DCオフセットを抑制する信号処理装置が望まれていた。
本発明の1つのアスペクト(側面)に係る信号処理装置は、入力信号を入力する入力端子と、前記入力信号を増幅して出力信号を生成する増幅器と、前記出力信号を出力する出力端子と、前記出力信号のレベルを基準値と比較する比較器と、容量と、前記比較器の比較結果によって、前記出力信号のレベルが基準となる範囲を外れていた場合は、前記容量に蓄積された電荷を充電または放電する充放電器と、前記容量の電位によって流れる電流が制御される可変電流源と、前記入力端子と前記可変電流源とに接続され、前記可変電流源と共に前記入力端子にバイアスを与える負荷回路と、を含んで構成される。
本発明によれば、出力信号のレベルが基準となる範囲に収まっているときは、可変電流源に流れる電流も一定であり、入力端子のバイアスは変わらず、入力信号のDC成分が欠落することはない。
本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
本発明の実施形態に係る信号処理装置は、入力信号を入力する入力端子(たとえば、入力端子29)と、入力信号を増幅して出力信号を生成する増幅器(たとえば、利得増幅器31)と、出力信号を出力する出力端子(たとえば出力端子30)と、出力信号のレベルを基準値と比較する比較器(たとえば、比較器32、33)と、容量(たとえば、容量37)と、比較器の比較結果によって前記出力信号のレベルが基準となる範囲を外れていた場合は容量に蓄積された電荷を充電または放電する充放電器(たとえば、電流源回路34、35)と、前記容量の電位によって流れる電流が制御される可変電流源(たとえば、可変電流源36)と、前記入力端子と前記可変電流源とに接続され、前記可変電流源と共に前記入力端子にバイアスを与える負荷回路(たとえば、負荷回路38、39、40)と、を備えて構成される。
上記構成によれば、出力信号のレベルが基準となる範囲を外れていたときは、出力信号のレベルが基準となる範囲に収まるように入力端子にバイアスをかけることができる。一方、出力信号のレベルが基準となる範囲に収まっているときは、充放電器による充放電は行われないので、可変電流源に流れる電流は一定であり、入力端子に与えるバイアスも一定となるので、入力信号のDC成分が欠落することもない。
以下、実施例に即し、図面を参照してさらに詳しく説明する。
図8は、本発明の第1の実施例の信号処理装置の構成を示す図である。この実施例の信号処理装置は、利得増幅器31、比較器32,33、電流源回路34,35、可変電流源36、容量37、負荷回路38を含んで構成される。信号処理装置の入力端子29は、利得増幅器31の入力に接続され、利得増幅器31の出力は信号処理装置の出力端子30に接続される。また、利得増幅器31の出力は比較器32、33の比較信号入力端子にも接続される。比較器32、33の出力は、それぞれ電流源回路34、35の電流制御端子に接続される。また、電流源回路34、35は電源とグランドの間に直列に接続される。電流源回路34と35の接続点は可変電流源36の電流制御端子と容量37の一端とに接続される。また、容量37の他端はグランドに接続される。可変電流源36はグランドと負荷回路38との間に設けられ、負荷回路38は、入力端子29と電源にも接続される。
負荷回路38は具体的には、図9に示すような抵抗負荷39であってもよいし、図10のカレントミラー回路40のようなトランジスタ負荷であってもよい。また図8の回路において、入力端子29に接続される前段回路の出力インピーダンスが負荷回路38のインピーダンスに対して充分低い場合には、可変電流源36と負荷回路38によるバイアスのコントロールが十分な効果を発揮しにくい。そのような場合には図11に示すようなコレクタ出力回路を入力端子29の前段に付加する事でインピーダンスを高くして動作させることもできる。この場合、ベースバンド信号は入力端子a41から入力される。
次に、第一の実施例の動作について説明する。図8においてベースバンド信号は入力端子29から入力され利得増幅器31で所望のレベルにまで増幅される。増幅されたベースバンド信号は利得増幅器31の出力端子において分岐し、一方は出力端子30から出力され、もう一方は比較器32,33に入力される。あらかじめ比較器32には閾値レベルVth1、比較器33には閾値レベルVth2が設定されているので、比較器32,33は入力されたベースバンド信号レベルと設定された閾値レベルとを比較し、その結果に応じて「ハイレベル信号」および「ローレベル信号」を出力する。比較器32,33から出力された信号は電流源回路34,35の制御端子に入力される。図12に示すように電流源回路34,35は入力された「ハイレベル信号」と「ローレベル信号」の組み合わせによって「容量37に電荷を充電する状態」、「容量37の電荷を放電する状態」、「ハイインピーダンスの状態」の3種類の状態になる。この時、容量37の端子には電荷の充放電に伴う電圧変化が生じ、その電圧変化は可変電流源36の制御電圧となる。可変電流源36は上記の制御電圧に応じて電流を流す。可変電流源36は電源から負荷回路38を介して流れる。入力端子29のDC電位は電源から繋がっている負荷回路38と可変電流源36の電流値によって生じる電圧降下によって決定される。
次に利得増幅器31から出力されたベースバンド信号レベルが比較器32,33で設定した閾値と比較して「閾値Vth1とVth2の範囲内の場合」、「閾値レベルVth1より高い場合」、「閾値レベルVth2より低い場合」についての本発明の動作を説明する。
図13は利得増幅器31の出力信号のレベルが「閾値Vth1とVth2の範囲内の場合」の回路動作を示す。出力信号が閾値Vth1とVth2の範囲内の場合、比較器32,33は両方とも「ローレベル信号」を出力する。「ローレベル信号」を受けた電流源回路34,35は「ハイインピーダンス状態」となる。
このとき、容量37には電荷を保持している為、容量37の端子間には電圧が生じている。この電圧が可変電流源36の制御電圧となり、負荷回路38を介して電源から電流を引き込んでいる。この電流と負荷回路38で生じる電圧降下の値で入力端子29のDC電位が決定する。このDC電位が利得増幅器31の出力DC電位を所望の値に安定させる。
次に、図14に利得増幅器31の出力信号のレベルが「閾値レベルVth1より高い場合」の回路動作を示す。利得増幅器31の出力されるベースバンド信号のDCオフセット量が閾値レベルVth1より高い場合、比較器32は「ハイレベル信号」、比較器33は「ローレベル信号」を出力する。「ハイレベル信号」を受けた電流源回路34は「容量37を充電する状態」となる。また「ローレベル信号」を受けた電流源回路35は「ハイインピーダンス状態」となる。電流源回路34が「容量37を充電する状態」となるため、容量37の端子電圧は上昇し、この電圧上昇が可変電流源36の制御電圧となり、可変電流源36の引き込み電流量を増加させる。可変電流源36の引き込み電流量が増加すると、負荷回路38で生じる電圧降下が大きくなり、入力端子29のDC電位は下がる。入力端子29のDC電位が下がることによって利得増幅器31から出力されるDC電位も下がり、DCオフセット量を抑制する事ができる。
次に、図15に利得増幅器31の出力信号のレベルが「閾値レベルVth2より低い場合」の回路動作を示す。利得増幅器31から出力されるベースバンド信号のDCオフセット量が閾値レベルVth2より低い場合、比較器32は「ローレベル信号」、比較器33は「ハイレベル信号」を出力する。「ローレベル信号」を受けた電流源回路34は「ハイインピーダンス状態」となる。また「ハイレベル信号」を受けた電流源回路35は「容量37を放電する状態」となる。電流源回路35が「容量37を放電する状態」となるため、容量37の端子電圧は降下し、この電圧降下が可変電流源36の制御電圧となり、可変電流源36が引き込む電流量を減少させる。可変電流源36の引き込む電流量が減少すると、負荷回路38で生じる電圧降下が小さくなり、入力端子29のDC電位は上がる。入力端子29のDC電位が上がることによって利得増幅器31から出力されるDC電位も上がり、DCオフセット量を抑制する事ができる。
以上の動作をまとめると、比較器32、33は、利得増幅器31の出力信号のレベルが、閾値レベルVth1を超えている場合は、比較器32が、過大レベル信号として「ハイレベル信号」を電流源回路34へ出力し、電流源回路34、35からなる充放電器は容量の充電を行う。また、利得増幅器31の出力信号のレベルが、閾値レベルVth2を下回っている場合は、比較器33が、過小レベル信号として「ハイレベル信号」を電流源回路35へ出力し、電流源回路34、35からなる充放電器は容量に蓄積された電荷の放電を行う。さらに、利得増幅器31の出力信号のレベルが、閾値Vth1とVth2の範囲内の場合、充放電器は充放電を行わず、容量は電荷を保持する。可変電流源36は、容量に蓄積された電荷量(電位)に基づいた電流を流し、負荷回路と共に入力端子に一定のバイアスを与える。入力端子に与えられたバイアスによって、利得増幅器の出力信号のレベルも変化する。以上に述べた動作により、回路全体を所望のDC電位に安定させ、DCオフセット量を抑圧する事が可能となる。
また、この実施例において可変電流源36はグランド、負荷回路38(または39,40)は電源に接続されているが、可変電流源36を電源、負荷回路38(または39,40)をグランドに接続しても同様の効果を得る事ができる。
上記実施例によれば、ベースバンド信号成分を比較器32,33の閾値レベル判定のみにしか使用していないので、従来例図6で示す負帰還回路を用いた回路構成で生じるベースバンド信号成分の欠落を生じる事が無い。
また、上記実施例の動作はベースバンド信号が定常状態時には電流源回路34,35が「ハイインピーダンス状態」となり、充電も放電も行わないため、容量37の端子に生じる電圧は保持され、電流源回路34,35起因の雑音が発生しない。よって信号に雑音が混ざる可能性も少ない。
さらに、従来例図7のようにHPF23を使用した回路構成の場合には信号を低周波から通過させるためにはチップ面積が大きくなってしまうが、本発明の回路構成ではHPFが無い為、ベースバンド信号のDC付近まで通す事ができ、チップ面積も小さくすることができる。
すなわち、上記実施例によれば、ベースバンド信号の信号レベルを比較器で比較し、その結果に基づいてDCオフセットを補償する可変電流源のコンデンサで保持されている制御電圧を変化させる構成となっている。ゆえに、ベースバンド信号自体を負帰還する必要が無いことでベースバンド信号に負帰還回路起因の雑音を抑えられ、回路全体のNFを悪化させない。またHPFを用いない回路構成であることからベースバンド信号のDC成分近辺の劣化がなく、ベースバンド信号成分を欠落無く伝達することができ、チップ面積を小さくする事もできる。
図8において入力端子29からバースト状の外乱が入った場合、図8に示した実施例では外乱に合わせたDCオフセット量を補正しようと動作する。その結果、外乱が無くなった時のDCオフセット量が大きくなってしまい、ベースバンド信号を増幅する事が不可能となる場合があり得る。
そこで図16に示した第2の実施例では、比較器32、33による電流源回路34、35の制御を比較器出力制御クロック43の任意倍に設定した時間のみ有効とする制御を行うことで、DCオフセットキャンセル回路を動作させる時間を制御する事ができる。この構成ならば外乱に対して常にDCオフセットキャンセル回路を追従させることなくDCオフセット量抑制ができ、ベースバンド信号を増幅する事が可能となる。なお、図16において、第1の実施例と構成、動作が同一である部分については、図8と同一符号をつけ、説明を省略する。
この実施例では、比較器出力制御ブロック42は、比較器出力制御クロック43をカウントするカウンタを内部に備えており、比較器32、33が出力する信号をそのまま電流源回路34、35へ伝えDCオフセットの調整を行う期間と、比較器32、33が「ハイレベル信号」を出力しているときであっても、強制的に「ローレベル信号」を出力し出力信号のレベルの如何によらず、容量の電荷を保持しDCオフセットの調整を保留する期間とを、カウンタが所定の数カウントする毎に繰り返すことができる。図17に示すタイミングチャートでは、比較器出力制御クロック43を2クロックカウントする毎に、比較器32、33の出力をそのままで電流源回路34、35へ伝える動作と、比較器32、33の出力を遮断する動作を繰り返している。
また、この実施例では、カウンタをプリセッタブルなカウンタとして、系全体を制御するマイクロコンピュータやディジタル回路により、DCオフセットの調整を行う期間と、DCオフセットの調整を保留する期間とを自在に設定し、DCオフセット調整に対する感度を調整することもできる。
図18に第3の実施例の構成図を示す。図18において、第1の実施例と構成、動作が同一である部分については、図8と同一符号をつけ、説明を省略する。本構成は第1の実施例(図8)の利得増幅器31を可変利得増幅器44、電流源回路34,35を電流量制御型可変電流源回路45,46に置き換えている。可変利得増幅器44の利得と電流量制御型可変電流源回路45,46の電流量は利得制御端子47で制御され、可変利得増幅器44の利得が大きい時には電流量制御型可変電流源回路45,46の電流を少なくし、可変利得増幅器44の利得が小さい時には電流量制御型可変電流源回路45,46の電流を多くする動作をする。上記のような制御をすることによって、ベースバンド信号のDCオフセット量の抑制にかかる時間を常に一定にする事ができる。
図19に第4の実施例の構成図を示す。図19において、第1の実施例と構成、動作が同一である部分については、図8と同一符号をつけ、説明を省略する。図19は図8に示す実施例1の構成図の比較器32,33の出力と電流源回路34,35の入力の間に比較器出力制御ブロック48を追加している。比較器出力制御ブロック48は比較器出力制御クロック43がハイレベルであるときは比較器32,33の出力を通過させ、ローレベルであるときは比較器32,33の出力を遮断し電流源回路34,35を「ハイインピーダンス状態」に設定するブロックである。
この構成にすることでDCオフセットキャンセル回路は動作状態と待機状態が存在する。ベースバンド信号が定常状態時にはDCオフセットキャンセル回路は動作する必要が無いので、任意時間ごとにDCオフセット量の抑圧を行えば、ベースバンド信号は問題なく増幅される。
比較器出力制御クロック43のハイレベルとローレベルのデューティーを最適に調整することで、DCオフセットの消費電力を削減しつつ、DCオフセットキャンセル回路を動作させる事ができる。第2の実施例においては、比較器出力制御ブロック42の内部にカウンタを設ける必要があったが、この第4の実施例では、比較器出力制御ブロック48の内部には、カウンタを設ける必要はなく、比較器出力制御クロック43の周波数とデューティー比を変えることにより、自在に信号処理装置を制御し、DCオフセットを調整することができる。
次に、本発明の信号処理装置をダイレクトコンバージョン受信機に用いた実施例について説明する。図20は、そのブロック図である。図20において、従来例図1と実質的に同一な部分は同一の符号をつけ、その説明も省略する。図1では、ローパスフィルタ6a、6bの後段には、利得可変増幅器7a、7bが接続されていたが、この実施例では、利得可変増幅器7a、7bに代えて、信号処理装置50a、50bが接続されている。信号処理装置50a、50bは、図18記載の実施例3の信号処理装置をそのまま用いることができる。ローパスフィルタ6a、6bの出力は、図18の入力端子29に接続される。また、ADコンバータ8a、8bには、図18の出力端子30が接続される。また、利得制御部(ゲイン設定部)10から出力される利得制御信号は、図18記載の信号処理装置の利得制御端子47に接続される。
なお、この実施例において、ゲイン設定を信号処理装置50a、50bの内部で行う必要がなければ、50a、50bの信号処理装置に実施例1、2、4の信号処理装置を使用することも可能である。また、信号処理装置50a、50bを配置する位置も、ダウンコンバージョンミキサ3a,3bでダウンコンバージョンされた後であって、アナログ/ディジタルコンバータ8a、8bでディジタル信号に変換する前であるならば、どこに配置してもよい。
以上、本発明を実施例に即して説明したが、本発明は上記実施例の構成にのみ制限されるものでなく、本発明の範囲内で当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。
たとえば、第2、または第4の実施例と第3の実施例とを任意に組み合わせることもできる。
また、上記実施例では、いずれも、利得増幅器31の入力と出力が同相の正転増幅器であり、可変電流源36が電流制御端子に印加される電圧が上昇すれば、電流も増加する可変電流源であるが、これに限定されるものではない。要は、出力信号のレベルが基準となる範囲を外れていた場合に、出力信号を基準となる範囲に戻すように負帰還をかける制御系であればよく、利得増幅器が反転増幅器であり、可変電流源が電流制御端子に印加される電圧が下降すれば、電流が増加する様な可変電流源であっても、たとえば、比較器と充放電器との接続を入れ替えることによって、適用できる。
さらに、容量もグランドとの間に設けるものに限られず、たとえば、他の固定電位との間に設けたものであってもよいことは言うまでもない。
従来の一般的なダイレクトコンバージョン受信機の構成を示すブロック図である。 従来の信号処理装置において、DCオフセットが生じるメカニズムの一例を説明する図面である。 従来の信号処理装置において、DCオフセットが生じる別なメカニズムを説明する図面である。 従来の信号処理装置において、DCオフセットが生じるさらに別なメカニズムを説明する図面である。 従来の信号処理装置において、DCオフセットが生じるまた別なメカニズムを説明する図面である。 特許文献1に記載の従来の信号処理装置の構成を示す図である。 特許文献2に記載の従来の信号処理装置の構成を示す図である。 本発明の一実施例の信号処理装置の構成を示す図である。 本発明の一実施例における負荷回路の一例を示す図である。 本発明の一実施例における負荷回路の別な例を示す図である。 本発明の一実施例における入力回路の一例を示す図である。 本発明の一実施例における比較器の入出力特性を示す図である。 本発明の一実施例においてDCオフセットがないときの動作を説明する図である。 本発明の一実施例において正のDCオフセットがあるときの動作を説明する図である。 本発明の一実施例において負のDCオフセットがあるときの動作を説明する図である。 本発明の実施例2の信号処理装置の構成を示す図である。 本発明の実施例2における動作を説明するタイミングチャートである。 本発明の実施例3の信号処理装置の構成を示す図である。 本発明の実施例4の信号処理装置の構成と動作を示す図である。 本発明の信号処理装置をダイレクトコンバージョン方式の受信機に用いた実施例5のブロック図である。
符号の説明
1、21、29 入力端子
2 低雑音増幅器(LNA)
3a、3b ダウンコンバージョンミキサ
4、4a、4b ローカル信号入力端子
5a、5b、7a、7b 利得可変増幅器
6a、6b ローパスフィルタ
8a、8b アナログ/ディジタルコンバータ
9 ベースバンド信号処理部(BB)
10 利得制御部(ゲイン設定部)
11、12、13、14 経路
16 利得制御増幅器
17 増幅器
18 積分器
19 減算器
20 利得制御回路
22、30 出力端子
23 ハイパスフィルタ(HPF)
25 ローパスフィルタ(LPF)
26 判定素子
27、28 スイッチ
31 利得増幅器
32、33 比較器
34、35 電流源回路(可変電流源)
36 可変電流源
37 容量
38、39、40 負荷回路
41 入力端子a
42、48 比較器出力制御ブロック
43 比較器出力制御クロック
44 可変利得増幅器
45、46 電流量制御型可変電流源回路
47 利得制御端子
50a、50b 信号処理装置

Claims (7)

  1. 入力信号を入力する入力端子と、
    前記入力信号を増幅して出力信号を生成する増幅器と、
    前記出力信号のレベルを基準値と比較する比較器と、
    容量と、
    前記比較器の比較結果によって、前記出力信号のレベルが基準となる範囲を外れていた場合は、前記容量に蓄積された電荷を充電または放電する充放電器と、
    前記容量の電位によって流れる電流が制御される可変電流源と、
    前記入力端子と前記可変電流源とに接続され、前記可変電流源と共に前記入力端子にバイアスを与える負荷回路と、
    を含む信号処理装置。
  2. 前記比較器が、
    前記出力信号の電圧レベルを第一の基準電圧と比較し前記出力信号の電圧レベルが前記第一の基準電圧より高いときに過大レベル信号を出力する第一の比較器と、
    前記出力信号の電圧レベルを前記第一の基準電圧より低い第二の基準電圧と比較し前記出力信号の電圧レベルが前記第二の基準電圧より低いときに過小レベル信号を出力する第二の比較器と、を備え、
    前記充放電器が、
    前記過大レベル信号または過小レベル信号のうち一方の信号を受けて前記容量を充電する第一の電流源回路と、前記過大レベル信号または過小レベル信号のうち残る他方の信号を受けて前記容量を放電する第二の電流源回路とを備えた
    請求項1記載の信号処理装置。
  3. 前記充放電器が前記比較器の比較結果による充放電を行うか、行わないかを制御する比較器出力制御部をさらに備え、前記比較器出力制御部は、制御クロックに基づいて、前記比較結果による前記充放電を行う状態と、前記出力信号のレベルが基準となる範囲を外れていても充放電を行わない状態とを切り替える請求項1または2に記載の信号処理装置。
  4. 前記比較器出力制御部が、前記制御クロックをカウントし、そのカウント値に基づいて、前記充放電器による充放電を行うか、行わないかを切り替える請求項3記載の信号処理装置。
  5. 前記比較器出力制御部が、前記制御クロックの論理レベルにより、前記充放電器による充放電を行うか、行わないかを切り替える請求項3記載の信号処理装置。
  6. 前記増幅器が可変利得増幅器であって、前記第一、第二の電流源回路が、いずれも、電流量制御型可変電流源回路であって、前記可変利得増幅器の利得と連動して電流量が制御される電流制御型可変電流源回路である請求項2記載の信号処理装置。
  7. 前記信号処理装置が、ダイレクトコンバージョン受信機において、受信信号をローカル信号とミキシングした後のベースバンド信号の増幅に用いられる信号処理装置であって、前記入力端子には、前記ベースバンド信号が入力され、前記出力信号は、デジタル信号に変換されて前記ダイレクトコンバージョン受信機のベースバンド信号処理部に接続されている請求項1乃至6いずれか1項記載の信号処理装置。
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