JP2009267209A - 三次元集積回路装置の製造方法および三次元集積回路装置 - Google Patents

三次元集積回路装置の製造方法および三次元集積回路装置 Download PDF

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Abstract

【課題】スイッチング部に分子を用いるトランジスタの性能の劣化を防止することができ、かつ製造コストの低減を図ることができる三次元集積回路装置の製造方法を提供する。
【解決手段】ソース電極の頂点とドレイン電極の頂点とが互いに対向して設けられたICチップ11、31、32を実装基板30上に順次積層する。これらの実装基板30およびICチップ11、31、32のそれぞれの間の隙間34に分子溶液を毛細管現象により注入する。自己組織化により分子溶液中の分子をソース電極の頂点とドレイン電極の頂点との間に接続する。
【選択図】図7

Description

この発明は三次元集積回路装置の製造方法および三次元集積回路装置に関し、特に、少なくとも回路の一部に分子を用いた三次元集積回路装置に適用して好適なものである。
近年、半導体産業では、素子の微細化だけでLSIの進化を継続させることが難しくなってきている。この困難を克服する一つの方法として、複数のLSIチップを積層して回路を三次元化することで微細化の限界を乗り越える方法がある(例えば、特許文献1〜3参照。)。
特表平10−502493号公報 特表2006−522461号公報 特表2008−500734号公報 特開2006−108627号公報 特開2006−351623号公報 導電性高分子、緒方直哉編、株式会社講談社サイエンティフィク発行(1990年)
しかしながら、複数のLSIチップを積層する従来の三次元LSIでは、スイッチ素子であるトランジスタの形成後に行われる高温プロセスなどの工程でトランジスタの性能が劣化する問題や製造コストが高くなる問題がある。
そこで、この発明が解決しようとする課題は、スイッチング部に分子を用いるトランジスタの性能の劣化を防止することができるとともに、製造コストの低減を図ることができる三次元集積回路装置の製造方法およびそのような製造方法により製造される三次元集積回路装置を提供することである。
この発明が解決しようとする課題は、より一般的には、少なくとも回路の一部に分子を用いる場合にその分子の劣化を防止することができるとともに、製造コストの低減を図ることができる三次元集積回路装置の製造方法およびそのような製造方法により製造される三次元集積回路装置を提供することである。
上記課題を解決するために、第1の発明は、
ソース電極およびドレイン電極が互いに対向して設けられた基板を少なくとも一つ含む複数の基板を互いに対向して配置する工程と、
上記ソース電極と上記ドレイン電極との間にスイッチング部となる分子を接続する工程とを有する三次元集積回路装置の製造方法である。
第2の発明は、
ソース電極およびドレイン電極が互いに対向して設けられた基板を少なくとも一つ含む複数の基板を互いに対向して配置する工程と、
上記ソース電極と上記ドレイン電極との間にスイッチング部となる分子を接続する工程とを実施することにより製造される三次元集積回路装置である。
第1および第2の発明において、好適には、ソース電極およびドレイン電極がそれぞれ角部を有し、ソース電極の角部の頂点とドレイン電極の角部の頂点とが互いに対向するようにする。この場合、ソース電極の頂点とドレイン電極の頂点との間の間隔はスイッチング部として用いる分子に応じて適宜選ばれるが、一般的には例えば20nm以下、典型的には10nm以下である。このようなソース電極およびドレイン電極を基板上に形成するためには、好適には、それぞれ角部を有し、これらの角部の頂点が互い対向する第1のパターンおよび第2のパターンを含む設計パターンを光または荷電粒子ビームを用いた露光により転写することにより基板上にマスクパターンを形成し、このマスクパターンを転写するようにする。荷電粒子ビームとしては好適には電子ビームが用いられるが、これに限定されるものではない。ソース電極およびドレイン電極は、リフトオフ法により形成してもよいし、ドライエッチングなどのエッチング法により形成してもよい。ソース電極の頂点とドレイン電極の頂点との間にスイッチング部となる分子を接続するためには、好適には、複数の基板をその分子を含む溶液中に浸漬し、これらの複数の基板の間の隙間に毛細管現象によりこの溶液を注入し、この溶液中の分子をソース電極の頂点とドレイン電極の頂点との間に自己組織化により形成し、接続する。
典型的な一つの例では、実装基板上に上記の複数の基板を配置し(あるいは積層し)、実装基板の端子と複数の基板の少なくとも一つの基板の端子との間をワイヤーボンディングにより配線する。他の典型的な例では、実装基板上に上記の複数の基板を配置し、これらの実装基板および複数の基板のうちの少なくとも互いに隣接する一対のものの端子間を貫通配線により接続する。さらに他の典型的な例では、実装基板上に上記の複数の基板を配置し、これらの実装基板および複数の基板のうちの少なくとも互いに隣接する一対のものの端子間を分子配線により接続する。このような分子配線としては、従来公知のものを用いることができ、従来公知の方法により形成することができる(例えば、特許文献5および非特許文献1参照。)。必要に応じて、上記の三つの例による接続法を混用してもよい。また、上記の三つの例による接続は、好適には、ソース電極とドレイン電極との間にスイッチング部となる分子を接続した後に行うが、これに限定されるものではない。
ソース電極とドレイン電極との間、好適にはソース電極の頂点とドレイン電極の頂点との間に接続する分子としては、例えば、複数の双極子モーメントおよび/または誘電率異方性を有し、かつ電界により配向変化が起きるペンダント分子からなる側鎖が、このペンダント分子の配向変化によって構造変化が起きて電気的特性が変化する共役系分子からなる主鎖に共有結合した機能性分子が用いられる。この機能性分子においては、共役系分子からなる主鎖に導電路が形成され、ペンダント分子に印加される電界の変化によってこの導電路の導電性が制御される。この場合、ペンダント分子に印加される電界の変化によって、このペンダント分子の電界方向との位置関係が変化し、このペンダント分子と共役系分子とがなす角度が変化し、導電路の導電性が制御される。
この機能性分子の共役系分子としては、例えば、オリゴフルオレン、オリゴピリジン、ポルフィリン1次元オリゴマー、オリゴフェニレンビニレン、オリゴパラフェニレン、オリゴナフタレン、オリゴアントラセン、オリゴピレン、オリゴアズレン、オリゴフラン、オリゴチオフェン、オリゴセレノフェン、オリゴ(パラフェニレンスルフィド)、オリゴ(パラフェニレンオキシド)、オリゴアニリンなどの導電性オリゴマーなどが挙げられるが、これに限定されるものではない。また、ペンダント分子としては、例えば、4−ペンチル−4’−シアノビフェニルや、双極子モーメントを有するカルボニル基(C=O)、ハロゲン(−Clなど)、=N−H基、−OH基、=C=S基などを有する分子などが挙げられるが、これに限定されるものではない。典型的には、基板上にペンダント分子に制御用の電界を印加するためのゲート電極が設けられる。
第3の発明は、
第1の電極および第2の電極が互いに対向して設けられた基板を少なくとも一つ含む複数の基板を互いに対向して配置する工程と、
上記第1の電極と上記第2の電極との間に分子を接続する工程とを有する三次元集積回路装置の製造方法である。
第4の発明は、
第1の電極および第2の電極が互いに対向して設けられた基板を少なくとも一つ含む複数の基板を互いに対向して配置する工程と、
上記第1の電極と上記第2の電極との間に分子を接続する工程とを実施することにより製造される三次元集積回路装置である。
第3および第4の発明において、第1の電極と第2の電極との間、好適には第1の電極の頂点と第2の電極の頂点との間に接続する分子は、この分子に持たせる機能に応じたものを用いることができる。この分子は、例えば、トランジスタ、ダイオード、抵抗などとして用いることができる。
第3および第4の発明においては、上記以外のことについては、第1および第2の発明に関連して説明したことが成立する。
上述のように構成されたこの発明においては、複数の基板を互いに対向して配置して回路を三次元化した後に、少なくとも一つの基板に設けられたソース電極およびドレイン電極あるいは第1の電極および第2の電極の間に分子を接続し、トランジスタを形成し、あるいは回路を完成するので、従来のようにトランジスタなどの素子の形成後に高温プロセスなどを行う必要がなくなる。
この発明によれば、スイッチング部に分子を用いるトランジスタを有する三次元集積回路装置を製造する場合に、そのトランジスタの性能の劣化を防止することができるとともに、製造コストの低減を図ることができる。より一般的には、少なくとも回路の一部に分子を用いる場合にその分子の劣化を防止することができるとともに、製造コストの低減を図ることができる。
以下、この発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態の全図においては、同一または対応する部分には同一の符号を付す。
まず、この発明の第1の実施形態による三次元ICの製造方法について説明する。
この第1の実施形態においては、まず、図1に示すように、従来公知の半導体テクノロジーを用いてICチップ11を製造する。このICチップ11は、このICチップ11に持たせる機能に応じた構成を有する回路部12および配線13によりこの回路部12と接続された複数のパッド電極14を有する。回路部12は、例えば、論理回路、メモリセルアレイ、センスアンプ、デコーダなどを含み、スイッチング部に分子を用いる分子スイッチやその他の各種の素子のほか、素子間を接続する配線などにより構成されている。パッド電極14は、ICチップ11の周辺部に設けられている。パッド電極14は、例えば、厚さ5nmのチタン(Ti)膜上に厚さ100nmの金(Au)膜が積層されたものであり、真空蒸着法などにより形成される。ICチップ11は、例えば、シリコン(Si)やガリウムヒ素(GaAs)などの半導体基板を用いたものである。
回路部12に含まれる、スイッチング部に分子を用いる分子スイッチの構成の一例を図2および図3に示す。ここで、図2は平面図、図3は図2のX−X線に沿っての拡大断面図である。図2および図3に示すように、この分子スイッチ15においては、半導体基板16上に形成された例えば厚さが100nm程度のSiO2 膜などの絶縁膜17上に、それぞれ角部18a、19aを有するソース電極18およびドレイン電極19が、これらの角部18a、19aの頂点18b、19bがギャップ20を挟んで互いに対向するように設けられている。これらの頂点18b、19bの間には最終的にはスイッチング部となる分子が接続されるが、この時点ではまだ形成されていない。この分子としては、電界の印加により導通を制御することができるものが用いられる。これらの頂点18b、19bの間の間隔、言い換えるとギャップ20の間隔は、スイッチング部に用いる分子の長さに応じて適宜決められるが、一般的には20nm以下、典型的には10nm以下である。絶縁膜17上にはさらに、頂点18b、19bの間に接続される分子を両側から挟むように一対のゲート電極21、22が互いに対向して設けられている。これらのゲート電極21、22間に印加する電圧(ゲート電圧)により分子に電界を印加し、この分子の導通を制御する。なお、実際にはソース電極18、ドレイン電極19およびゲート電極21、22には配線が接続されるが、それらの図示および説明は省略する。
分子スイッチ15のソース電極18、ドレイン電極19およびゲート電極21、22は、例えば次のようにして形成することができる。
まず、図3Aに示すように、半導体基板16上に形成された絶縁膜17上にポジ型レジスト(例えば、東京応化工業株式会社製電子ビーム露光用化学増幅ポジ型レジストOEBR−CAP138 PM)を塗布し、レジスト膜(図示せず)を形成する。
次に、このレジスト膜に、例えば可変成形型電子ビーム露光機を用いた露光により、図4に示すような、ソース電極18、ドレイン電極19およびゲート電極21、22の形成用の設計パターン23を転写する。具体的には、図4に示すように、例えば、ソース電極18に対応するパターン24を転写した後、パターン24の角部24aの頂点24bからx軸方向にΔx、y軸方向にΔy離れた位置に角部25aの頂点25bが配置されるように、ドレイン電極19に対応するパターン25を転写する。Δx、Δyは適宜選ばれるが、一例を挙げるとΔx=Δy=30nmである。次に、ゲート電極21、22に対応するパターン26、27を転写する。
次に、以上のようにして露光を行ったレジスト膜を現像することにより、図3Aに示すように、設計パターン23が開口パターンとして転写されたレジストパターン28を形成する。このレジストパターン28はソース電極18、ドレイン電極19およびゲート電極21、22に対応した形状の開口パターンを有するが、図3Aにはソース電極18およびドレイン電極19に対応した形状の開口パターン28a、28bだけが図示されている。レジストパターン28のうちのこれらの開口パターン28a、28bの間の部分28cが最終的にギャップ20となる部分である。
以上のように、ソース電極18に対応するパターン24およびドレイン電極19に対応するパターン25をそれらの頂点24b、25bが互いに対向した状態で配置するように電子ビーム露光により転写している。このため、辺を対向させた状態で配置された設計パターンを転写する場合と比較して、パターン24、25の頂点24b、25bの近傍では電子散乱による近接効果を抑制することができる。この結果、最終的にギャップ20となる、レジストパターン28のうちの開口パターン28a、28bの間の部分28cを微細な幅で形成することが可能となる。
次に、図3Bに示すように、例えば真空蒸着法により、半導体基板16上およびレジストパターン28上に電極膜29を形成する。電極膜29の材料は従来公知の導電材料の中から適宜選ばれるが、例えば、厚さ5nmのクロム(Cr)膜および厚さが20nmの金(Au)間が順次積層された積層膜や不純物がドープされた例えば厚さが50nm程度の多結晶Si膜などが用いられる。
次に、リフトオフ法により、レジストパターン28をその上に形成された電極膜29とともに除去する。これによって、図3Cに示すように、開口パターン28a、28bがあった部分およびゲート電極21、22に対応した形状の開口パターンがあった部分にそれぞれソース電極18、ドレイン電極19およびゲート電極21、22が形成される。この場合、ソース電極18およびドレイン電極19間のギャップ20は例えば20nm以下にすることができる。
以上の方法により実際に作製したソース電極18、ドレイン電極19およびゲート電極21、22の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を図5に示す。図5より、ソース電極18とドレイン電極19との間のギャップ20の間隔は幅11.8nmと極めて狭いことが分かる。
図6に、直径200mmの半導体基板16(半導体ウェハ)の全面に、上記の設計パターン23を電子ビーム露光により転写し、最終的に得られたギャップ20の間隔を測定した結果の度数分布図を示す。図6に示すように、ギャップ20の間隔=20nm付近をピークに、分子素子評価用としては、十分な数の電極パターンが得られていることが確認された。得られたギャップ20のうち、20nm以下の間隔が占める割合は30%程度であった。
以上のように、図4に示す設計パターン23を電子ビーム露光によりレジスト膜に転写することにより、例えば20nm以下のギャップ20を有するソース電極18およびドレイン電極19を歩留まりよく形成することができる。
次に、図7に示すように、実装基板30上に、図1に示すICチップ11およびこのICチップ11と同様な一つまたは複数のICチップを順次積層する。実装基板30上に積層するICチップの数は特に限定されないが、ここでは、一例として三つのICチップ11、31、32を積層する場合について説明する。これらのICチップ11、31、32は同じ構成を有するものであっても、互いに異なるものであってもよい。実装基板30の周辺部には、この実装基板30上に積層するICチップ11、31、32のパッド電極14との接続用のパッド電極33が設けられている。
図8に示すように、実装基板30とICチップ11との間、ICチップ11とICチップ31との間およびICチップ31とICチップ32との間には所定の間隔の隙間34を設ける。このために、実装基板30とICチップ11との間、ICチップ11とICチップ31との間およびICチップ31とICチップ32との間にそれぞれ所定の厚さのスペーサ35を設ける。このスペーサ35としては例えばガラスビーズが用いられるが、これに限定されるものではない。隙間34の大きさ(間隔)は適宜選ばれるが、後述のようにスイッチング部に用いられる分子を含む溶液(以下、分子溶液という)を毛細管現象によりこの隙間34に注入することができる大きさに選ばれ、具体的には、例えば30μm程度に選ばれる。
次に、図9に示すように、実装基板30のパッド電極33とICチップ11、31、32のパッド電極14との間をワイヤー36によりボンディングする。
次に、こうして実装基板30上にICチップ11、31、32を積層し、ワイヤー36によりボンディングを行ったものを分子溶液中に浸漬することにより、この分子溶液を毛細管現象により実装基板30およびICチップ11、31、32の間のそれぞれの隙間34に注入する。この分子溶液の注入時の温度は適宜選ぶことができるが、例えば室温で行う。こうして隙間34に分子溶液が注入されると、図10に示すように、この分子溶液中の分子37が自己組織化によりソース電極18およびドレイン電極19のギャップ20に入って頂点18b、19b間に接続される。この後、実装基板30上にICチップ11、31、32を積層したものを分子溶液から大気中に取り出す。こうしてソース電極18およびドレイン電極19間に分子37が接続されてスイッチング部が形成されることにより分子スイッチ15が完成し、ひいてはICチップ11、31、32が完成する。残された溶媒分子は分子スイッチ15の完成後に、例えば真空中で除去する。
以上により、目的とする三次元ICが製造される。
次に、分子スイッチ15のスイッチング部として用いられる分子37について説明する。
この分子37としては、例えば、特許文献4に開示された機能性分子を用いることができる。すなわち、この分子37としては、複数の双極子モーメントおよび/または誘電率異方性を有し、かつ電界により配向変化が起きるペンダント分子からなる側鎖が、このペンダント分子の配向変化によって構造変化が起きて電気的特性が変化する共役系分子からなる主鎖に共有結合した機能性分子を用いることができる。
図11AおよびBにこの機能性分子を模式的に示す。図11AおよびBに示すように、この機能性分子においては、共役系を有していて非局在化したπ電子により導電性を示す線状または膜状の主鎖41に対して、複数の双極子モーメントおよび/または誘電率異方性を有し、かつ電界により配向変化が起きるペンダント分子からなる側鎖42が共有結合している。側鎖42は、複数の双極子モーメントおよび/または誘電率異方性を有するため、電界中では電界の向きに対して特定の方向(具体的には、分子の長軸方向が電界の向きと一致する平行な方向または直交する方向)に配向しようとする傾向を有する。
このため、側鎖42に印加する電界を変化させることにより、側鎖42の位置を電界方向に対して変化させ、その結果として、側鎖42と主鎖41とがなす角度を変化させ、それによって主鎖41の導電性(電子の流れやすさ)を制御することができる。図11Aに示す状態では、共役系分子からなる主鎖41の二面角(ねじれ角)が平面のものに近く、この状態では共役系分子からなる主鎖41内の電子は妨げられることなく流れることができ、この機能性分子は導通(オン)状態にある。これに対し、図11Bに示す状態では、側鎖42の配向が変化したため、主鎖41の二面角が平面のものに比べて大きく変化して主鎖41の平面性が失われている。この状態では、共役系分子からなる主鎖41内の電子は主鎖41のねじれに遮られて流れることができず、この機能性分子は非導通(オフ)状態にある。
図12は上述の機能性分子の具体例を示す。この機能性分子は構造液晶側鎖付きπ共役系分子であり、オリゴフルオレン主鎖および4−ペンチル−4’−シアノビフェニルからなる液晶側鎖を有し、オリゴフルオレン主鎖の一端および他端にはチオール基(−SH)が結合している。この機能性分子のオリゴフルオレン主鎖の長さはオリゴフルオレンの重合度によって異なるが、例えば重合度が7〜10の場合には約7〜10nmである。
この構造液晶側鎖付きπ共役系分子をソース電極18の頂点18bとドレイン電極19の頂点19bとの間に接続した状態を図13に模式的に示す。図13に示すように、この構造液晶側鎖付きπ共役系分子のオリゴフルオレン主鎖の一端および他端がチオール基を介してソース電極18の頂点18bおよびドレイン電極19の頂点19bにそれぞれ結合している。
上述の構造液晶側鎖付きπ共役系分子において電界印加により導電率の変調が起きるメカニズムを図14A〜Cに基づいて説明する。図14A〜Cに示すように、電界印加前、すなわちゲート電圧=0Vでは、オリゴフルオレン主鎖は側鎖間のパッキングによって安定化した状態で緩やかにねじれたらせん構造を有している。電界を印加すると、すなわちゲート電圧を印加すると、側鎖の配向の変化により、オリゴフルオレン主鎖を含む分子全体の安定した構造が変化し、ゲート電圧の増大に伴ってオリゴフルオレン主鎖の二面角が変化し、その結果、導電性が発現する。なお、オリゴフルオレンは、側鎖が異なると、安定な二面角が変化することが知られている。
以上のように、この第1の実施形態によれば、分子スイッチ15のソース電極18、ドレイン電極19およびゲート電極21、22が形成され、スイッチング部が形成されていないICチップ11、31、32を実装基板30上に積層して回路を三次元化している。そして、この後、ICチップ11、31、32間の隙間34に毛細管現象により分子溶液を注入し、この分子溶液中の分子を自己組織化によりソース電極18の頂点18aとドレイン電極19の頂点19aとの間に接続するようにしている。このため、分子スイッチ15の完成後に高温プロセスなどを施す必要がなく、スイッチング部に用いられる分子37の劣化を防止することができ、ひいては分子スイッチ15の性能の劣化を防止することができる。また、ICチップ11、31、32間の隙間34に毛細管現象により分子溶液を注入するだけでソース電極18の頂点18aとドレイン電極19の頂点19aとの間にスイッチング部としての分子37を接続することができるので、従来の三次元ICに比べて製造工程の簡略化を図ることができ、ひいては製造コストの低減を図ることができる。
次に、この発明の第2の実施形態による三次元ICの製造方法について説明する。
図15に示すように、この第2の実施形態においては、第1の実施形態と異なり、ICチップ11、31、32および実装基板30は、それぞれを貫通して設けられた貫通配線51により相互に電気的に接続されている。この場合、ICチップ11、31、32にはパッド電極14が設けられておらず、同様に、実装基板30においてはパッド電極33が設けられておらず、貫通配線51がこれらのパッド電極14、33と同様な役割を果たしている。
貫通配線51は、具体的には、例えば、ICチップ11、31、32および実装基板30にこれらを貫通するヴィアホールを形成し、このヴィアホールの内壁にSiO2 膜などの絶縁膜を形成した後、このヴィアホールの内部にCuなどの導電材料を埋め込むことにより形成することができる。このヴィアホールの直径は適宜決められるが、例えば100μm程度である。
この第2の実施形態においては、上記以外のことは第1の実施形態と同様である。
この第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様な利点を得ることができる。
次に、この発明の第3の実施形態による三次元ICの製造方法について説明する。
図16に示すように、この第3の実施形態においては、第1および第2の実施形態と異なり、ICチップ11、31、32および実装基板30は、それぞれを貫通して設けられた貫通配線51およびこの貫通配線51に接続された分子配線52により相互に電気的に接続されている。この場合、ICチップ11、31、32にはパッド電極14が設けられておらず、同様に、実装基板30においてはパッド電極33が設けられておらず、貫通配線51がこれらのパッド電極14、33と同様な役割を果たしている。
分子配線52は特に限定されるものではないが、例えば、ポリピロールが用いられる。分子配線52としてポリピロールを用いる場合についてこの分子配線52を電解重合により形成する方法について説明すると、次のとおりである。
まず、第2の実施形態と同様にして、ICチップ11、31、32および実装基板30に貫通配線51を形成する。
次に、第1の実施形態と同様にして、実装基板30上にICチップ11、31、32を順次積層する。
次に、一番上のICチップ32の上面に導電性板(図示せず)を設け、貫通配線51と電気的に接触させる。
次に、実装基板30、ICチップ11、31、32および上記の導電性板の全体を電解溶液に浸漬する。電解溶液としては、脱酸素したアセトニトリルを溶媒としたピロール溶液を用いる。このピロール溶液は、例えば、濃度0.05〜0.1mol/ml、電解質濃度0.1〜0.3mol/mlである。電解質としては、例えば、LiClO4 、LiBF4 、Et4 NCl4 、Et4 NBF4 などを用いる。
電解溶液中には対極を設け、この対極を負極、上記の導電性板を正極として用い、両者の間に例えば約3.5Vの電圧を印加し、電解溶液中で電解重合を行う。この場合、電解溶液中の、モノマー溶液であるピロール溶液が毛細管現象により実装基板31およびICチップ11、31、32の間のそれぞれの隙間34に注入される。これによって、ICチップ11、31、32および実装基板30の隙間34を介して互いに対向する貫通配線51間に、ピロールの電解重合によりポリピロールが形成される。こうして分子配線52が形成される。必要に応じて、ポリピロールが正極側から生成される性質を利用して、貫通配線51間にダイオードなどの素子を形成することも可能である。
この第3の実施形態においては、上記以外のことは第1の実施形態と同様である。
この第3の実施形態によれば、第1の実施形態と同様な利点を得ることができる。
以上、この発明の実施形態について具体的に説明したが、この発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、この発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
例えば、上述の実施形態において挙げた数値、構造、構成、形状、材料、条件、プロセスなどはあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれらと異なる数値、構造、構成、形状、材料、条件、プロセスなどを用いてもよい。
この発明の第1の実施形態による三次元ICの製造方法を説明するための略線図である。 この発明の第1の実施形態による三次元ICの製造方法を説明するための平面図および断面図である。 この発明の第1の実施形態による三次元ICの製造方法を説明するための断面図である。 この発明の第1の実施形態による三次元ICの製造方法において電子ビーム露光によりソース電極、ドレイン電極およびゲート電極を形成する際に用いる設計パターンを示す平面図である。 図4に示す設計パターンを用いて電子ビーム露光によりソース電極、ソース電極、ドレイン電極およびゲート電極を形成した結果を示す図面代用写真である。 図4に示す設計パターンを用いて電子ビーム露光によりソース電極、ソース電極、ドレイン電極およびゲート電極を形成した際のギャップの間隔の度数分布を示す略線図である。 この発明の第1の実施形態による三次元ICの製造方法を説明するための斜視図である。 図7のY−Y線に沿っての断面図である。 この発明の第1の実施形態による三次元ICの製造方法を説明するための斜視図である。 この発明の第1の実施形態による三次元ICの製造方法においてソース電極およびドレイン電極間のギャップにスイッチング部として分子を形成した状態を示す断面図である。 この発明の第1の実施形態による三次元ICの製造方法においてソース電極およびドレイン電極間のギャップにスイッチング部として形成する分子の一例を示す略線図である。 図11に示す分子の具体例を示す略線図である。 この発明の第1の実施形態による三次元ICの製造方法においてソース電極およびドレイン電極間のギャップにスイッチング部として図12に示す分子を形成した状態を示す断面図である。 図13に示す分子の導電性が電界印加により制御されるメカニズムを説明するための略線図である。 この発明の第2の実施形態による三次元ICの製造方法により製造された三次元ICを示す斜視図である。 この発明の第3の実施形態による三次元ICの製造方法により製造された三次元ICを示す断面図である。
符号の説明
11、31、32…ICチップ、12…回路部、13…配線、14…パッド電極、15…分子スイッチ、16…半導体基板、17…絶縁膜、18…ソース電極、19…ドレイン電極、20…ギャップ、21、22…ゲート電極、23…設計パターン、28…レジストパターン、29…電極膜、30…実装基板、33…電極パッド、34…隙間、35…スペーサ、36…ワイヤー、37…分子、41…主鎖、42…側鎖、51…貫通配線、52…分子配線

Claims (13)

  1. ソース電極およびドレイン電極が互いに対向して設けられた基板を少なくとも一つ含む複数の基板を互いに対向して配置する工程と、
    上記ソース電極と上記ドレイン電極との間にスイッチング部となる分子を接続する工程とを有する三次元集積回路装置の製造方法。
  2. 上記ソース電極および上記ドレイン電極はそれぞれ角部を有し、上記ソース電極の上記角部の頂点と上記ドレイン電極の上記角部の頂点とが互いに対向している請求項1記載の三次元集積回路装置の製造方法。
  3. 上記ソース電極の上記頂点と上記ドレイン電極の上記頂点との間の間隔が20nm以下である請求項2記載の三次元集積回路装置の製造方法。
  4. それぞれ角部を有し、これらの角部の頂点が互い対向する第1のパターンおよび第2のパターンを含む設計パターンを光または荷電粒子ビームを用いた露光により転写することにより上記基板上にマスクパターンを形成し、このマスクパターンを転写することにより上記基板上に上記ソース電極および上記ドレイン電極を形成するようにした請求項3記載の三次元集積回路装置の製造方法。
  5. 上記複数の基板を上記分子を含む溶液中に浸漬し、上記複数の基板の間の隙間に毛細管現象により上記溶液を注入し、上記溶液中の上記分子を上記ソース電極の上記頂点と上記ドレイン電極の上記頂点との間に自己組織化により接続する請求項4記載の三次元集積回路装置の製造方法。
  6. 実装基板上に上記複数の基板を配置し、上記実装基板の端子と上記複数の基板の少なくとも一つの基板の端子との間をワイヤーボンディングにより配線する請求項5記載の三次元集積回路装置の製造方法。
  7. 実装基板上に上記複数の基板を配置し、上記実装基板および上記複数の基板のうちの少なくとも互いに隣接する一対のものの端子間を貫通配線により接続する請求項5記載の三次元集積回路装置の製造方法。
  8. 実装基板上に上記複数の基板を配置し、上記実装基板および上記複数の基板のうちの少なくとも互いに隣接する一対のものの端子間を分子配線により接続する請求項5記載の三次元集積回路装置の製造方法。
  9. 上記分子は、複数の双極子モーメントおよび/または誘電率異方性を有し、かつ電界により配向変化が起きるペンダント分子からなる側鎖が、上記ペンダント分子の上記配向変化によって構造変化が起きて電気的特性が変化する共役系分子からなる主鎖に共有結合した機能性分子である請求項1記載の三次元集積回路装置の製造方法。
  10. 上記基板上に上記ペンダント分子に制御用の電界を印加するためのゲート電極が設けられている請求項9記載の三次元集積回路装置の製造方法。
  11. ソース電極およびドレイン電極が互いに対向して設けられた基板を少なくとも一つ含む複数の基板を互いに対向して配置する工程と、
    上記ソース電極と上記ドレイン電極との間にスイッチング部となる分子を接続する工程とを実施することにより製造される三次元集積回路装置。
  12. 第1の電極および第2の電極が互いに対向して設けられた基板を少なくとも一つ含む複数の基板を互いに対向して配置する工程と、
    上記第1の電極と上記第2の電極との間に分子を接続する工程とを有する三次元集積回路装置の製造方法。
  13. 第1の電極および第2の電極が互いに対向して設けられた基板を少なくとも一つ含む複数の基板を互いに対向して配置する工程と、
    上記第1の電極と上記第2の電極との間に分子を接続する工程とを実施することにより製造される三次元集積回路装置。
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