JP2009266517A - 有機el表示装置及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】複雑な製造プロセスの追加を伴うことなくリーク電流や発光ムラの発生を抑制する、表示品位の良好な有機EL表示装置及びその製造方法を提供する。
【解決手段】有機EL表示装置10は、各画素領域15を囲むように設けられた撥液性を有する絶縁性のバンク14と、バンク14内に設けられた親液性を有する絶縁性の構造体19と、を備える。
【選択図】図2
【解決手段】有機EL表示装置10は、各画素領域15を囲むように設けられた撥液性を有する絶縁性のバンク14と、バンク14内に設けられた親液性を有する絶縁性の構造体19と、を備える。
【選択図】図2
Description
本発明は、有機EL表示装置、及び、インクジェット方式を用いた有機EL表示装置の製造方法に関する。
近年、液晶表示装置は多種多様な分野でフラットパネルディスプレイとして盛んに用いられているが、視野角によりコントラストや色味が大きく変化したり、バックライトなどの光源を必要とするために低消費電力化が容易ではないこと、薄型化や軽量化に限界があることなどは依然として大きな課題である。また、液晶表示装置はフレキシブル化に関しても依然として大きな課題がある。そこで近年、液晶表示装置に代わる表示装置として、例えば有機エレクトロルミネッセンス(以下、有機EL)素子を用いた自発光型の表示装置が期待されている。有機EL素子は、陽極と陰極とに挟まれた有機EL層に電流を流すことで、有機EL層を構成する有機分子が発光するものであり、その有機EL素子を用いた有機EL表示装置は、自発光型であることから薄型化や軽量化、低消費電力化の点で優れており、また広視野角であるため、次世代のフラットパネルディスプレイの候補として大きな注目を集めている。さらに、フレキシブル化に関しても液晶表示装置より優位である可能性をもっている。実際に、その薄型や広視野角を生かして、携帯型音楽機器や携帯電話のメインディスプレイとして実用化が広がりつつある。
上記有機EL素子は、それを形成している機能性材料の種類によって、一般的に製造方法が異なる。例えば、機能性材料として高分子有機化合物を用いる場合には、機能性材料は、スピンコート方式やスクリーン印刷方式、インクジェット方式等の湿式法によって成膜される。一方、機能性材料として低分子有機化合物を用いる場合には、真空蒸着方式やスパッタリング方式等の乾式法によって成膜される場合が多い。
上記の成膜方法の中で、インクジェット方式は、他方式に比べて一般的に成膜材料の使用効率が高く、マスク不要でパターニングが可能であることや、大面積の有機EL表示装置の製造に容易に対応できる等の優れた利点を有している。このため、従来、上記インクジェット方式による有機EL素子に関する研究が積極的に行われている。
このような技術として、例えば、特許文献1には、電極間に導電性分子を含んだ正孔注入輸送層や発光性の有機分子を含む発光層を有する有機EL素子を作製する場合に、インクジェット式記録ヘッドを用いて、正孔注入輸送層や発光層を形成することが開示されている。
上記インクジェット方式を用いる場合、一般的に、素子を構成する基板には吐出された液滴を画素内に保持するための隔壁(バンク)が形成される。このバンクは、吐出された液滴が隣接画素に漏れ出すことのないように、撥液性を有している場合が多い。例えば、特許文献2によれば、フッ素化合物などを含むガスでプラズマ処理を行うことで、バンクの非親和性(撥液性)を画素内の電極上よりも高めることで、液滴を画素内に閉じ込める方法が開示されている。また、前記文献のようにプラズマ処理を用いなくとも、例えばフッ素化合物を含有する材料でバンクを形成することで、液滴に対するバンクの撥液性を付与することもできる。さらに、UV処理や酸素ガスなどによるプラズマ処理を行うことで、バンクの内側の画素内には親液性を付与すれば、バンクと画素内との液滴に対する親和性の差異がさらに顕著になるために、画素内への液滴保持が一層確実なものになるとされている。
特開2000−106278号公報
特許第374360号公報
ところで、有機EL素子に使用される機能性材料層は、十分な電界が印加されるようにするため、厚さが100nm程度となるように、非常に薄膜に形成される。また、キャリアブロッキング層と呼ばれる、キャリアを発光層内に閉じ込める機能性材料層は、他の機能性材料層に比べて一般的に導電率が低いため、さらに薄い膜厚で形成されることが多い。
ここで、バンクで覆われた画素領域に、インクジェット法を用いて、液滴の供給により正孔輸送層及び発光層を順に積層する場合を考える。
まず、バンク内の陽極上に、正孔注入層となる機能性材料を含んだ液滴を吐出し、乾燥および加熱により溶媒除去を行うことで、正孔輸送層が画素内に形成される。次いで、その膜上に発光層となる機能性材料を含んだ液滴を吐出し、同様に乾燥および加熱により溶媒除去を行うことで、発光層が画素内に形成される。これらの機能性材料層を形成する際に、下地となる層(正孔輸送層に対しては電極、発光層に対しては正孔輸送層)の吐液に対する親液性が不十分である場合や、吐液の表面張力が高い場合は、吐液が十分に画素内に広がらず、下地層を完全に被覆するように液滴がバンク内に保持されないことがある。この場合、乾燥および加熱を経て形成された正孔輸送層や発光層も同様に画素内全面を十分に覆ってはおらず、下地層が一部露出した状態になる。この状態でさらにその上に陰極を真空蒸着法などにより形成した場合、正孔輸送層及び発光層が共に完全に広がっていない部分では、下地の電極が露出しているため、陽極と陰極とが直接接触する。また、発光層のみが画素内を完全に被覆していない部分では、正孔輸送層と陰極とが直接接触することになる。これらの発光層を介しない接触部分は、有機EL素子の各画素に電流を流して発光を得る場合に発光に寄与しないだけでなく、当該部分での電流損失による輝度の低下、リーク電流による発熱、消費電力の増加なども発生させるため、電力効率や素子寿命に重大な問題を引き起こす。したがって、画素内を完全に被覆するような製造方法が必須となる。正孔輸送層や発光層となる吐液の量を増やして被覆性を改善することも考えられるが、適切な量以上の液滴を画素内に吐出するとバンクを乗り越えて想定しない隣接画素へ漏出する危険性があったり、適切量以上の液滴を供給するため、所望の膜厚からずれてしまうという問題点が発生する。
また、正孔輸送層が十分に画素内を被覆しておらず、発光層だけが画素内を完全に被覆している場合にも問題は発生する。すなわち、正孔輸送層が画素内を完全に被覆していない部分では、発光層と陽極とが直接接触しているが、正孔輸送層を介しないと発光層への正孔注入量が非常に低下する場合がある。したがって、その部分では、他の正常部に比べて非常に発光し難くなり、ムラの発生要因となるばかりでなく、電力効率や素子寿命にも問題を引き起こす場合がある。
これらは、正孔輸送層の代わりに電子輸送層を使用する場合や、その両者を使用する場合、さらにはキャリアブロッキング層を用いる場合でも同様である。すなわち、いずれの層においても、画素内を完全に被覆していない場合には、良好な発光状態が得られず、有機EL表示装置の表示品位を著しく低下させることになる。
また、特開2005−55821号公報には、段差上に親水性の絶縁部材を形成することで、下方に形成される配線によって生じる画素電極上の段差に発光層を確実に形成させる方法が示されている。しかしながら、前記特許文献に記載の技術は、段差部分での発光層の形成不十分によるリーク電流の防止を目的としたものであり、バンクで囲われた画素内での吐液の被覆性に対しての効果に関して言及はなく、また、前述した画素構造においては、画素電極上に前記特許文献の技術が必要となるような段差の部分は存在しない。
本発明は、斯かる諸点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、複雑な製造プロセスの追加を伴うことなくリーク電流や発光ムラの発生を抑制する、表示品位の良好な有機EL表示装置及びその製造方法を提供することである。
本発明に係る有機EL表示装置は、複数の画素領域がマトリクス状に設けられた有機EL表示装置であって、各画素領域を囲むように設けられた撥液性を有する絶縁性のバンクと、バンク内に設けられた親液性を有する絶縁性の構造体と、を備えたことを特徴とする。
また、本発明に係る有機EL表示装置は、構造体が突状に形成されていてもよい。
さらに、本発明に係る有機EL表示装置は、構造体がバンク内において複数設けられていてもよい。
また、本発明に係る有機EL表示装置は、構造体が透明材料で形成されていてもよい。
さらに、本発明に係る有機EL表示装置は、マトリクス状に設けられた複数の画素領域における各隣接画素領域に渡ってキャリア輸送層が設けられており、バンク及び構造体が、それぞれキャリア輸送層上に設けられていてもよい。
また、本発明に係る有機EL表示装置は、マトリクス状に設けられた複数の画素領域における各隣接画素領域に渡ってキャリア輸送層及びキャリアブロッキング層が設けられており、バンク及び構造体が、それぞれキャリアブロッキング層上に設けられていてもよい。
本発明に係る有機EL表示装置の製造方法は、複数の画素領域がマトリクス状に設けられた有機EL表示装置の製造方法であって、各画素領域を囲むように撥液性を有する絶縁性のバンクを形成する工程と、バンク内に親液性を有する絶縁性の構造体を形成する工程と、構造体が形成されたバンク内にインクジェット方式によって機能性材料を含む組成物を供給して機能性材料層を形成する工程と、を備えたことを特徴とする。
また、本発明に係る有機EL表示装置の製造方法は、構造体をバンク内に供給された組成物の液滴の1/3以上の高さに形成してもよい。
さらに、本発明に係る有機EL表示装置の製造方法は、バンク及び構造体を、互いの間隔が、少なくとも一箇所においてバンク内に供給された組成物の液滴の直径よりも小さくなるように形成してもよい。
また、本発明に係る有機EL表示装置の製造方法は、構造体を突状に形成してもよい。
さらに、本発明に係る有機EL表示装置の製造方法は、構造体をバンク内において複数形成してもよい。
また、本発明に係る有機EL表示装置の製造方法は、構造体を透明材料で形成してもよい。
さらに、本発明に係る有機EL表示装置の製造方法は、マトリクス状に設けられた複数の画素領域における各隣接画素領域に渡ってキャリア輸送層を形成し、バンク及び構造体を、それぞれキャリア輸送層上に形成してもよい。
また、本発明に係る有機EL表示装置の製造方法は、マトリクス状に設けられた複数の画素領域における各隣接画素領域に渡ってキャリア輸送層及びキャリアブロッキング層を形成し、バンク及び構造体を、それぞれキャリアブロッキング層上に形成してもよい。
次に、本発明の上述の構成による作用について従来の構成との対比から詳細に説明する。
図6は、従来の有機EL表示装置100の平面図を示す。図7(a)〜(d)は、有機EL表示装置100の製造工程における、図6のA−A’線断面図を示す。
従来の有機EL表示装置100の製造方法では、例えば、図7(a)のように、まず、薄膜トランジスタ等がマトリクス状に形成された基板111上において、画素領域115に対応するように陽極112が、さらに陽極112を囲むようにSiO2層113及びバンク114が形成される。次いで、インクジェット方式にて正孔輸送材料を含む液滴116’が、バンク114で囲まれた陽極112上に供給され、乾燥および焼成を経て図7(b)に示すような正孔輸送層116が形成される。続いて、同様に、図7(c)に示すように、インクジェット方式にて発光層材料を含む液滴117’がバンク114内の正孔輸送層116上に供給され、図7(d)に示すような発光層117が形成される。その際、陽極112上の吐液に対する濡れ広がり性が十分でなかったり、吐液の表面張力が強いと、吐液が縮まろうとする結果、図7(c)に示すように画素中央部に集まった形で吐液が保持され、バンク114と吐液との間に空隙部分が残る。そして、乾燥および焼成後には、図7(d)に示すように、陽極112が露出した空隙部分119が残存する。この状態のまま、図7(d)に示すように陰極118を形成すれば、発光層117を介さずに、陽極112と陰極118とが接触する。その結果、それらの接触部で発光に寄与しないリーク電流による電流損失や発熱が生じてしまう。
また、その他の従来の有機EL表示装置の構成としては、図8(a)に示すように、正孔輸送層116のみの画素内被覆性が不十分であり、空隙部分119’が残存する場合もある。また、図8(b)に示すように、発光層117のみの画素内被覆性が不十分であり、空隙部分119’’が残存する場合もある。図8(a)の場合は、陽極112から発光層117への正孔注入量が低いため、正孔輸送層116の空隙部119’で発光ムラが発生する。同図(b)では発光層117の空隙部119’’で発光層117を介さない正孔輸送層116と陰極118との間のリークが発生する。
これに対し、本発明の構成によれば、各画素領域を囲むように設けたバンク内に、親液性を有する絶縁性の構造体を形成することで、吐液が構造体によって所定位置に保持される。そのため、従来の構成で発生していた吐液が縮まって画素中央部に集まる現象が抑制され、正孔輸送層や発光層といった機能性材料の吐液が各画素領域に十分に広がり、画素を完全に被覆することが可能となる。すなわち、上述したような従来の構成における機能性材料層の空隙部分が発生しない。したがって、従来の構成で発生していたリーク電流や発光ムラが良好に抑制される。
また、本発明の構成によれば、構造体が突状に形成されているため、表示に寄与しない構造体の領域を最小限にしながら吐液をバンク内の所定位置に良好に保持することができる。
さらに、本発明の構成によれば、構造体がバンク内において複数設けられているため、より良好に、吐液をバンク内の所定位置に保持することができる。
また、本発明の構成によれば、構造体が透明材料で形成されているため、発光層の発光を吸収せず、透過させる。このため、発光面積の減少を抑制し、発光層の発光を効率良く利用することができる。
さらに、本発明の構成によれば、キャリア輸送層が隣接画素領域に渡って形成されており、バンクおよび構造体がキャリア輸送層上に形成されている。ここで、キャリア輸送層とは、正孔輸送層並びに電子輸送層を示す。これにより、画素内にはキャリア輸送層に空隙部分がなく、また、その上層に形成される機能材料層は、親液性の構造体により十分に広がり画素を完全に被覆する。このため、機能性材料層の空隙部分が発生しない。したがって、従来の構成で発生していたリーク電流や発光ムラが抑制される。
また、本発明の構成によれば、キャリア輸送層およびキャリアブロッキング層が隣接画素領域に渡って形成されており、バンクおよび構造体がキャリアブロッキング層上に形成されている。これにより、画素内のキャリア輸送層およびキャリアブロッキング層に空隙部分がなく、また、その上層に形成される機能材料層が親液性の構造体により十分に広がり、画素を完全に被覆する。このため、機能性材料層の空隙部分が発生しない。したがって、従来の構成で発生していたリーク電流や発光ムラが抑制される。
さらに、本発明の構成によれば、構造体をバンク内に供給された組成物の液滴の1/3以上の高さに形成するため、構造体表面への吐液のぬれ広がり効果が十分に高まり、供給された吐液が縮まり画素中央部に集まることが効果的に抑制され、バンク内の所定位置に確実に保持される。したがって、吐液が画素を完全に被覆し、機能性材料層の空隙部分が発生しない。
また、バンク及び構造体を、互いの間隔が、少なくとも一箇所においてバンク内に供給された組成物の液滴の直径よりも小さくなるように形成する。これにより、供給された吐滴がバンク端と親液性の構造体との両方に接触するため、供給された吐液が縮まり画素中央部に集まる現象が抑制され、バンク内の所定位置に確実に保持される。したがって、吐液が画素を完全に被覆し、機能性材料層の空隙部分が発生しない。
以上に述べたような本発明の作用は、画素領域内に親液性を有する絶縁性の構造体を形成するだけで成し得ることができる。すなわち、本発明では、複雑な製造プロセスの追加を伴うことなくリーク電流や発光ムラの発生を抑制する、表示品位の良好な有機EL表示装置及びその製造方法を提供することが可能となる。
本発明によれば、複雑な製造プロセスの追加を伴うことなくリーク電流や発光ムラの発生を抑制する、表示品位の良好な有機EL表示装置及びその製造方法を提供することができる。
本発明に係る有機EL表示装置は、基板上に複数の薄膜トランジスタ、信号線が形成され、その上方に平坦化層および第1の電極が形成されたアクティブマトリクス基板上、あるいは基板上に複数の信号線と第1の電極が形成されたパッシブマトリクス基板上に、インクジェット方式により塗布された液滴を保持するための絶縁性の隔壁層(バンク)、画素内に形成された親液性を有する絶縁性の構造体、有機化合物の発光層を含む機能性材料層、第2の電極を、この順にそれぞれ積層した構造を有する。
アクティブマトリクス基板上のTFT等のアクティブ素子部と有機EL部とは、平坦化層の機能を有する層間絶縁膜で分離されており、層間絶縁膜に穿たれたコンタクトホールを通る接続用の導電体を介して下層のアクティブ素子部と上層の第1の電極とが電気的に接続されている。前記接続用の導電体として、第1の電極を用いることも可能である。
また、上記機能性材料層は、低分子材料でも高分子材料でも構わない。
上記機能性材料層は、例えば、下記の構成が挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。ここで、キャリア輸送層とは正孔輸送層あるいは電子輸送層を示す。また、電子ブロッキング層は、キャリアブロッキング層の一つである。本発明では、下記における全ての層を総称して機能性材料層と称している
(1)正孔輸送層/有機発光層
(2)有機発光層/電子輸送層
(3)正孔輸送層/有機発光層/電子輸送層
(4)正孔注入層/正孔輸送層/有機発光層/電子輸送層
(5)正孔輸送層/電子ブロッキング層/有機発光層/電子輸送層
上記有機発光層は、一層でも多層構造でもよい。また母体材料にドーパントをドープした層でも構わない。
(1)正孔輸送層/有機発光層
(2)有機発光層/電子輸送層
(3)正孔輸送層/有機発光層/電子輸送層
(4)正孔注入層/正孔輸送層/有機発光層/電子輸送層
(5)正孔輸送層/電子ブロッキング層/有機発光層/電子輸送層
上記有機発光層は、一層でも多層構造でもよい。また母体材料にドーパントをドープした層でも構わない。
以下、高分子有機発光層を用いた有機ELを例として説明するが、本発明はこれに何ら限定されるものではなく、無論、低分子有機発光層を用いても構わない。また、本発明では上記機能性材料層の全てをインクジェット方式により積層する必要はなく、いずれかの層において、インクジェット方式を用いていればよい。例えば、上記(4)の構成において、正孔輸送層に無機物を使用し、スパッタリング法や蒸着法を用いて基板上に積層した後、有機発光層と電子輸送層をインクジェット方式で積層しても良い。
上記有機発光層形成用塗液は、少なくとも発光材料を含有した溶液であり、一種類もしくは多種類の発光材料を含有していてもよい。また、その他に膜保持材(バインダー)、レベリング材、発光アシスト材、添加材(ドナー、アクセプター等)キャリア輸送材、発光性のドーパント等が含有されていてもよい。
発光材料としては、有機LED素子用の公知の発光材料を用いることが出来る。このような発光材料には高分子発光材料、高分子発光材料の前駆体等に分類される。以下にこれらの具体的な化合物を例示するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
高分子発光材料としては、例えば、ポリ(2−デシルオキシ−1、4−フェニレン)(DO−PPP)、ポリ[2、5−ビス−[2−(N,N,N−トリエチルアンモニウム)エトキシ]−1、4−フェニル−アルト−1、4−フェニレン]ジブロマイド(PPP−NEt3+)、ポリ[2−(2’−エチルヘキシルオキシ)−5−メトキシ−1、4−フェニレンビニレン](MEH−PPV)等が挙げられる。
また、高分子発光材料の前駆体としては、例えば、ポリ(p−フェニレンビニレン)前駆体(Pre−PPV)、ポリ(p−ナフタレンビニレン)前駆体(Pre−PNV)等が挙げられる。
溶剤としては、上記発光材料を溶解または分散できる溶剤であれば良く、例えば、純水、メタノール、エタノール、THF(テトラヒドロフラン)、クロロホルム、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼン等があげられる。但し、バンク内でのぬれ広がり性を向上させ、画素の被覆性を上げるために、表面張力の低い溶剤が好適に用いられる。
正孔輸送層及び電子輸送層(合わせてキャリア輸送層)は、それぞれ単層構造でも多層構造でも良く、また注入層としての機能を兼ねていても構わない。
キャリア輸送層は、発光層材料と同様に、インクジェット方式だけでなく、他の公知の方法でも成膜が可能である。
キャリア輸送材料としては、公知の材料が使用可能である。以下にこれらの具体的な化合物を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
正孔輸送材料としては、例えば、ポルフィリン化合物、N,N’ −ビス−(3−メチルフェニル) −N,N’−ビス−(フェニル) −ベンジジン(TPD)、N,N’−ジ(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ジフェニル−ベンジジン(NPD)等の芳香族第3級アミン化合物、ヒドラゾン化合物、キナクリドン化合物、スチルアミン化合物等の低分子材料、ポリアニリン、3,4−ポリエチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンサルフォネート(PEDOT/PSS)、ポリ(トリフェニルアミン誘導体)、ポリビニルカルバゾール(PVCz)等の高分子材料、ポリ(p−フェニレンビニレン)前駆体、ポリ(p-ナフタレンビニレン)前駆体等の高分子材料前駆体が挙げられる。
電子輸送材料としては、例えば、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、ベンゾキノン誘導体、ナフトキノン誘導体、フルオレン誘導体等の低分子材料、ポリ[オキサジアゾール]等の高分子材料が挙げられる。
キャリアブロッキング層は、単層構造でも多層構造でも良い。
キャリアブロッキング層は、発光層材料と同様に、インクジェット方式だけでなく、他の公知の方法でも成膜が可能である。
キャリアブロッキング材料としては、公知の材料が使用可能である。以下にこれらの具体的な化合物を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
電子ブロッキング材料として、N,N’ −ビス−(3−メチルフェニル) −N,N’−ビス−(フェニル) −ベンジジン(TPD)等の低分子材料、ポリビニルカルバゾール(PVCz)等の高分子材料、正孔ブロッキング材料として、オキサジアゾール誘導体等の高分子材料が挙げられる。
また、溶剤としては、発光材料の形成に使用する溶剤が使用可能である。但し、例えば正孔輸送層の上にインクジェット方式にて発光層を積層する場合、発光材料に使用する溶剤に可溶な正孔輸送材料は発光層成膜時に発光材料の溶剤に溶解し、膜均一性が悪化する。したがって、前段の機能性材料としては、後段に積層される機能性材料に使用されている溶剤には不溶な材料を使用することが望ましい。
電極の各層には、公知の電極材料を用いることが可能である。また、電極層と機能性材料層との界面には、必要に応じてキャリア注入層等の膜を挿入することもできる。
陽極としては、仕事関数の大きな金属材料(Au,Ni,Pt等)や導電性金属酸化物(ITO,IZO,ZnO,SnO2等)を単層あるいは複数の材料の積層膜として用いることができる。また、これらの陽極上に導電性を大きく妨げない程度の厚み(例えば1nm程度)の酸化物を機能性材料層に接する側に積層したものを用いても良い。
陰極として用いる電極材料としては、仕事関数が4.0eV以下の低仕事関数を有するCa、Ce、Cs、Rb、Sr、Ba、Mg、Li等を用いることが可能であるが、高分子有機発光層に対しては、Ca、Baが好適に用いられる。陰極は、前述の低仕事関数の電極が酸素や水等による変質を抑えるために、Ni、Os、Pt、Pd、Al、Au、Rh、Ag等の、科学的に比較的安定な金属との合金あるいは積層構造が好適に用いられる。更に、トップエミッション型の有機ELでは、前述の陰極に透光性を与えるために薄く形成する必要がある。従って、電極として十分な導電性を確保するためにITO、IZO、ZnO、SnO2等の導電性金属酸化物を透明電極層として透光性を有する金属層上に形成することが出来る。透明電極層は、単層あるいは複数の材料の積層膜としても良い。
本発明の有機EL部の構造は、第1の電極、少なくとも発光層を含む有機層、第2の電極を少なくとも有するものではあればよく、例えば前述の酸化物層のように第1の電極、少なくとも発光層を含む単層または複数層の機能性材料層、第2の電極以外の層を含んでいても良い。
(実施例1)
次に、本発明の実施例1について、図面を用いて詳細に説明する。
次に、本発明の実施例1について、図面を用いて詳細に説明する。
図1は、本発明の実施例1に係る有機EL表示装置10の各画素領域15の平面図を示す。図2は、図1のC−C’線断面図を示す。有機EL表示装置10は、例えば、ガラスや樹脂等の基板11上において、マトリクス状に設けられた各画素領域15に陽極12が形成されている。また、各画素領域15の陽極12を囲むように、SiO2層13及びバンク14(隔壁)が形成されている。バンク14は、撥液性を有する絶縁性の材料で形成されている。
バンク14内の陽極12上には、構造体19が形成されている。構造体19は、図1に示すように、各画素領域15において、その短辺方向の中央部であって、且つ、長辺方向に延びるように等間隔に複数個配置されている。構造体19は、図2に示すように、陽極12上に起立する突状(より具体的には円柱状)に形成されている。構造体19は、親液性を有する絶縁性の材料で形成されている。構造体19の構成材料としては、さらに透明の材料であれば、画素の発光を吸収せず、より好ましい。
また、陽極12上には、正孔輸送層16及び発光層17(機能性材料層)がこの順で形成されている。さらに、バンク14、発光層17、構造体19等を覆うように陰極18が形成されている。
次に、本発明の実施例1に係る有機EL表示装置10の製造方法について説明する。
まず、アモルファスシリコン膜や多結晶シリコン膜で作製された薄膜トランジスタがマトリクス状に形成された基板11上に、スパッタリング法によってITO膜を100nmの膜厚で形成した。
次いで、フォトリソグラフィー技術を使用し、塩化第二鉄水溶液をエッチング液として、ITO膜のパターニングを行い、各画素領域15ごとに区切られた陽極12を形成した。画素領域15ごとに区切られたこの陽極12は、薄膜トランジスタと平坦化層の機能を有する層間絶縁膜で分離されており、層間絶縁膜に穿たれたコンタクトホールを通して、その下のマトリクス状に形成された薄膜トランジスタに各々接続されている。
次に、ITO膜を形成した基板11上に、SiO2をスパッタリング法によって150nmの膜厚となるように成膜して、SiO2膜を形成した。続いて、フォトリソグラフィー技術によってSiO2膜をパターニングした後、バッファードフッ酸をエッチング液として用い、陽極12が露出するように、SiO2層13を形成した。
次に、パターニングしたSiO2層13及び陽極12上に、撥液性を有する感光性アクリル樹脂を、厚さがほぼ2μmとなるように、スピンコート法で塗布し、露光及び現像を行って、SiO2層13上にバンク14を形成した。感光性アクリル樹脂に撥液性を付与する方法の一つとしては、フッ素系の表面改質剤を添加する方法がある。例えば、大日本インキ化学工業社製のフッ素系表面改質剤メガファックシリーズを固形分に対し0.1〜5wt%添加することで、感光性アクリル樹脂に撥液性を付与することができる。また、フッ素系化合物を基材に有する感光性樹脂を用いることでも撥液性を有するバンク14をパターニング形成することが可能である。
次いで、撥液性を有しない感光性アクリル樹脂を、厚さがほぼ5μmとなるように、スピンコート法で塗布し、露光及び現像を行って、画素内の陽極12上に構造体19を配置形成した。この後、UVオゾンに基板11表面を2分間晒すことにより、SiO2、ITO上および構造体19に親液性を付与した。この時、バンク14は撥液性を有しているために、UVオゾン処理を行っても、親液性を発現せず撥液状態のままであった。
バンク14で区切られた画素領域15は、170μm (行方向:インクジェットヘッドが動いていく方向) ×50μm(列方向)であり、陽極12の露出部は、150μm (行方向:インクジェットヘッドが動いていく方向) ×40μm(列方向)とした。また、画素の形成される間隔は、行方向180μm、列方向60μmとした。さらに、構造体19の直径は20μmであり、構造体19同士の間隔は30μmとした。構造体19の個数は、行方向に4個、列方向に1個とした。
次いで、正孔輸送材料として、PEDOT/PSS(ポリエチレンジオキシチオフェンとポリエチレンスルホン酸との混合物)を用い、PEDOT/PSSを分散又は溶解させる溶媒として水を用いて、正孔輸送層溶液(正孔輸送材料を含む組成物)であるPEDOT/PSS水溶液を調製した。ここで、PEDOT/PSS水溶液は、粘度が約8mPa・s、表面張力が約30mN/mとなるように調製した。インクジェット装置に備えられたノズル径が約20μmの溶液吐出ヘッドから、室温条件下、該正孔輸送層溶液4pl〜6plの吐出量をもつインクジェットヘッドを塗布したい画素の手前で固定し、ステージを画素の行方向に移動速度5mm/sで移動しながら不吐出対策として100発捨て吐出した後、ステージ移動速度を30mm/sに上げ、塗布したい画素領域15に所望量を塗布し始めた。この際、吐液ができるだけ均一に画素内に広がるように、各画素領域15ごとに均等に吐出を行った。すなわち、1つの画素領域15に対し、列方向に30μmの間隔をもった2ノズルにて、行方向に10μmの間隔で16回吐出し、合計32滴の液滴を塗布した。この時、吐液は親液性を有する絶縁性の構造体19の表面にぬれ広がったため、吐液が縮まり画素中央部に集まることなく、各画素領域15全体に均一に保持された。
このようにして、行方向に100画素分塗布した。この時、列方向には18画素分を同時に塗布した。18画素はヘッドに構成されているノズル数により決定される最大の列方向塗布可能画素数である。次に列方向に1080μm移動させ、同様にして行方向に100画素を塗布した。この走査を繰り返すことで、列方向には360画素の塗布を行った。
その後、画素内に正孔輸送層溶液が塗布された基板11を減圧乾燥機にて、室温下、1Torr下で20分放置し、正孔輸送層溶液中の溶媒成分である水を乾燥除去した後、ホットプレート上で200℃にて5分間焼成を行うことにより正孔輸送層16を形成した。
次に、発光層材料としてポリフルオレン系緑色発光材料を使用し、溶媒を芳香族系の混合溶媒として発光層溶液(発光層材料を含む組成物)を作成した。発光層溶液の粘度は約15mPa・s、表面張力が約40mN/mに調製した。正孔輸送層16と同様の塗布方法を用いて、インクジェット方式により、正孔輸送層16が形成された画素領域15に発光層17を塗布した。この時、発光層17の吐液は正孔輸送層16と同様に、親液性を有する絶縁性の構造体19の表面にぬれ広がることによって、画素内に均一に保持された。その後、画素領域15に発光層溶液が塗布された基板11を、N2雰囲気内のホットプレート上で、200℃にて、60分間乾燥させて、発光層溶液中の溶媒成分を乾燥除去することにより発光層17を形成した。
次いで、公知の技術を用いて、正孔輸送層16および発光層17が形成された基板11上に、BaとAlとを積層して陰極18を形成した。
上記の手順によって製造した有機EL表示装置10によれば、正孔輸送層16および発光層17の吐液が各画素領域15に十分に広がり、それらの層で画素領域15が完全に被覆されるために、図7(d)示したようなの空隙部分119が存在しなかった。したがって、電極同士が直接接触することがなくなり、従来の構成で発生していたリーク電流が抑制された。
なお、本実施例では、アクティブマトリクス型の有機EL表示装置10を示したが、薄膜トランジスタが形成されていないパッシブマトリクス型の有機EL表示装置10においても同様に実施が可能である。この場合、行方向には陽極12を線状に連続的に形成し、一方で陰極18を蒸着時にマスクなどを用いることにより、列方向に線状に連続な膜として形成すれば良い。
また、本実施例では、正孔輸送層材料としてPEDOT/PSS、発光層17としてポリフルオレン系緑色発光材料を使用したが、これに限らず、他の機能性材料を使用することが可能である。
さらに、本実施例では、正孔輸送層16および発光層17をインクジェット方式にて成膜したが、これに限らず、機能性材料層のいずれかの層の形成にインクジェット方式を用いていれば良い。すなわち、正孔輸送層16をスプレー方式にて成膜し、発光層17をインクジェット方式で成膜した場合においても同様に実施が可能である。
また本実施例では、正孔輸送層16と発光層17のみを機能性材料層として使用したが、その他に電子輸送層やキャリアブロッキング層などの層を追加積層することが可能である。さらには、機能性材料層として発光層17のみを成膜してもよい。
さらに、本実施例では、親液性を有する絶縁性の構造体19を感光性樹脂にて形成したが、これに限らず、親液性を発現し得るものであれば良く、例えばSiNなどの無機膜をCVD等の方法を用いて成膜し、パターニングすることでも形成することが可能である。
(実施例2)
次に、本発明の実施例2について、図面を用いて詳細に説明する。
次に、本発明の実施例2について、図面を用いて詳細に説明する。
図3は、本発明の実施例2に係る有機EL表示装置20の画素領域25の断面図を示す。有機EL表示装置20は、例えば、ガラスや樹脂等の基板21上において、マトリクス状に設けられた各画素領域25に陽極22が形成されている。また、各画素領域25の陽極22を囲むように、SiO2層23が形成されている。
陽極22及びSiO2層23上には、キャリア輸送層である正孔輸送層26(機能性材料層)が各隣接画素領域25に渡って形成されている。
正孔輸送層26上のSiO2層23に対応する領域には、バンク24(隔壁)が形成されている。バンク24は、撥液性を有する絶縁性の材料で形成されている。
バンク24内には、構造体29が形成されている。構造体29は、実施例1と同様に、各画素領域25において、その短辺方向の中央部であって、且つ、長辺方向に延びるように等間隔に複数個配置されている。構造体29は、正孔輸送層26上に起立する突状(より具体的には円柱状)に形成されている。構造体29は、親液性を有する絶縁性の材料で形成されている。構造体29の構成材料としては、さらに透明の材料であれば、画素の発光を吸収せず、より好ましい。
また、正孔輸送層26上には、発光層27(機能性材料層)が形成されている。さらに、バンク24、発光層27、構造体29等を覆うように陰極28が形成されている。
次に、本発明の実施例2に係る有機EL表示装置20の製造方法について説明する。
実施例2において、まず、実施例1とSiO2層23をパターニングするところまでは同様の処理を行った。その後、真空蒸着法により、蒸着マスクを用いて所望の部分に酸化モリブデン膜を20nmの膜厚で形成し、正孔輸送層26を形成した。この時、酸化モリブデン膜は、隣接画素領域25に渡って形成した。
次いで、実施例1と同様に、撥液性を有する感光性アクリル樹脂を、厚さがほぼ2μmとなるように、スピンコート法で塗布し、露光及び現像を行って、正孔輸送層26上にバンク24を形成した。
続いて、撥液性を有しない感光性アクリル樹脂を、厚さがほぼ5μmとなるように、スピンコート法で塗布し、露光及び現像を行って、各画素領域25の正孔輸送層26上に、構造体29を配置形成した。この後、UVオゾンに基板21表面を2分間晒すことにより、正孔輸送層26および構造体29に親液性を付与した。それ以降の発光層27および陰極28の形成に関しては、実施例1と同様にし、有機EL表示装置20を作製した。
本実施例の構成によれば、正孔輸送層26が隣接画素領域25に渡って形成されており、各画素領域25に図7(d)で示したような空隙部分は存在しなかった。また、発光層27については、親液性の構造体29によって各画素領域25に吐液が均一に保持されたため、正孔輸送層26を完全に被覆することで、図7(d)で示したような空隙部分は存在しなかった。その結果、正孔輸送層26と陰極28とは接触せず、接触部によるリーク電流が抑制された。
(実施例3)
次に、本発明の実施例3について、図面を用いて詳細に説明する。
次に、本発明の実施例3について、図面を用いて詳細に説明する。
図4は、本発明の実施例3に係る有機EL表示装置30の画素領域の断面図を示す。有機EL表示装置30は、例えば、ガラスや樹脂等の基板31上において、マトリクス状に設けられた各画素領域35に陽極32が形成されている。また、各画素領域35の陽極32を囲むように、SiO2層33が形成されている。
陽極32及びSiO2層33上には、キャリア輸送層である正孔輸送層36(機能性材料層)及びキャリアブロッキング層41が、この順で各隣接画素領域35に渡って形成されている。
キャリアブロッキング層41上のSiO2層33に対応する領域には、バンク34(隔壁)が形成されている。バンク34は、撥液性を有する絶縁性の材料で形成されている。
バンク34内には、構造体39が形成されている。構造体39は、実施例1と同様に、各画素領域35において、その短辺方向の中央部であって、且つ、長辺方向に延びるように等間隔に複数個配置されている。構造体39は、キャリアブロッキング層41上に起立する突状(より具体的には円柱状)に形成されている。構造体39は、親液性を有する絶縁性の材料で形成されている。構造体39の構成材料としては、さらに透明の材料であれば、装置の発光面積を減少させず、より好ましい。
また、キャリアブロッキング層41上には、発光層37(機能性材料層)が形成されている。さらに、バンク34、発光層37、構造体39等を覆うように陰極38が形成されている。
次に、本発明の実施例3に係る有機EL表示装置30の製造方法について説明する。
実施例3において、まず、実施例1とSiO2層33をパターニングするところまでは同様の処理を行った。その後、正孔輸送材料として、PEDOT/PSSを用い、PEDOT/PSSを分散又は溶解させる溶媒として水を用いて、正孔輸送層溶液であるPEDOT/PSS水溶液を調製した。次いで、PEDOT/PSSをスピンコート法によって基板31全面に塗布した後、不要な部分を純水にて除去し、ホットプレート上で200℃にて5分間焼成を行うことで、正孔輸送層36を形成した。
次に、キャリアブロッキング材料としてトリフェニルアミン化合物を用い、トリフェニルアミン化合物をキシレンに溶解させ、キャリアブロッキング層溶液を調製した。次いで、キャリアブロッキング層溶液をスピンコート法によって基板31全面に塗布した後、不要な部分をアセトンにて除去した。その後、N2雰囲気内のホットプレート上で、200℃にて、60分間乾燥させて、キャリアブロッキング層溶液中の溶媒成分を乾燥除去して、キャリアブロッキング層41を形成した。この乾燥過程により、キャリアブロッキング層41は発光層溶液にほとんど不溶となる。
次いで、実施例1と同様に、撥液性を有する感光性アクリル樹脂を、厚さがほぼ2μmとなるように、スピンコート法で塗布し、露光及び現像を行って、キャリアブロッキング層41上にバンク34を形成した。続いて、撥液性を有しない感光性アクリル樹脂を、厚さがほぼ5μmとなるように、スピンコート法で塗布し、露光及び現像を行って、各画素領域35のキャリアブロッキング層41上に、構造体39を配置形成した。この時、正孔輸送層36およびキャリアブロッキング層41は、各隣接画素領域35に渡って形成した。
その後、N2雰囲気中でUV照射を2分間実施し、キャリアブロッキング層41および構造体39に親液性を付与した。N2雰囲気とした理由は、大気中でのUV照射にて発生するオゾンによって正孔輸送層36およびキャリアブロッキング層41が損傷するのを防止するためである。それ以降の発光層37および陰極38の形成に関しては、実施例1と同様にし、有機EL表示装置30を作製した。
本実施例の構成によれば、正孔輸送層36およびキャリアブロッキング層41が各隣接画素領域35に渡って形成されており、図7(d)で示したような空隙部分は存在しなかった。また、発光層37については、親液性の構造体39によって各画素領域35に吐液が均一に保持されたため、正孔輸送層36を完全に被覆し、図7(d)で示したような空隙部分は存在しなかった。その結果、正孔輸送層36と陰極38とは接触せず、接触部によるリーク電流が抑制された。
なお、実施例1〜3では、親液性を有する絶縁性の構造体19,29,39の高さをそれぞれ略5μmとしたが、これに限らず、機能性材料層を各画素領域15,25,35に均一に形成できる効果を発現するものであれば、高さはこれに限らない。但し、本発明の効果を十分に発現させるためには、親液性の構造体19,29,39の高さは各画素領域15,25,35に塗布された組成物の液滴の高さの1/3以上であることが望ましい。例えば、本実施例では、各画素領域15,25,35に塗布された合計32滴の液滴は、その高さが略13μmであった。したがって、13μmの1/3以上、すなわち4.3μm以上の高さを有する親液性の構造体19,29,39を形成することが望ましい。
また、実施例1〜3では、円柱状の構造体19,29,39を各画素領域15,25,35の長辺方向に1列配置としたが、これに限らず、機能性材料層を画素内に均一に形成できる効果を発現するものであれば、様々な配列・形状のものを用いることができる。
構造体19,29,39は、例えば、それぞれ図5(a)に示すように、長辺方向に延びる列を2列配置した構造体19a,29a,39aであってもよい。また、図5(b)に示すように、長辺方向に延びるように、1列と2列とに交互に配置した構造体19b,29b,39bであってもよい。さらに、図5(c)に示すように、四角柱状に形成した構造体19c,29c,39cであってもよい。また、図5(d)に示すように、三角柱状に形成した構造体19d,29d,39dであってもよい。また、これら以外にも、各構造体19,29,39を、高さ方向にも辺長が変化するテーパ状または逆テーパ状等に形成してもよい。
また、バンク14,24,34及び構造体19,29,39を、互いの間隔が、少なくとも一箇所においてバンク14,24,34内に供給された組成物の液滴の直径よりも小さくなるように形成することが好ましい。これにより、吐出された液滴が、バンク14,24,34の表面と親液性を有する絶縁性の構造体19,29,39の表面との両方に接触することになり、液滴がそれらの表面で保持される。このため、吐液が縮まる現象が効果的に抑制される。本実施例でいえば、1滴の液滴量を4plとした場合、液滴の直径は略20μmとなるため、バンク14,24,34端と構造体19,29,39との間隔をそれ以下とすることが望ましい。ただし、構造体19,29,39を透明材料で形成しない場合は、構造体19,29,39の存在する部分が発光しないため、その分、発光面積が小さくなる。したがって、構造体19,29,39の配置は、本発明の効果と発光面積の減少との兼ね合いによって決定すべきである。
以上説明したように、本発明は、有機EL表示装置及びその製造方法について有用である。
10,20,30 有機EL表示装置
11,21,31 基板
12,22,32 陽極
13,23,33 SiO2層
14,24,34 バンク
15,25,35 画素領域
16,26,36 正孔輸送層
17,27,37 発光層
18,28,38 陰極
19,29,39,19a,29a,39a,19b,29b,39b,19c,29c,39c,19d,29d,39d 構造体
41 キャリアブロッキング層
11,21,31 基板
12,22,32 陽極
13,23,33 SiO2層
14,24,34 バンク
15,25,35 画素領域
16,26,36 正孔輸送層
17,27,37 発光層
18,28,38 陰極
19,29,39,19a,29a,39a,19b,29b,39b,19c,29c,39c,19d,29d,39d 構造体
41 キャリアブロッキング層
Claims (14)
- 複数の画素領域がマトリクス状に設けられた有機EL表示装置であって、
各画素領域を囲むように設けられた撥液性を有する絶縁性のバンクと、
上記バンク内に設けられた親液性を有する絶縁性の構造体と、
を備えた有機EL表示装置。 - 請求項1に記載された有機EL表示装置において、
上記構造体は、突状に形成されている有機EL表示装置。 - 請求項1に記載された有機EL表示装置において、
上記構造体は、上記バンク内において複数設けられている有機EL表示装置。 - 請求項1に記載された有機EL表示装置において、
上記構造体は、透明材料で形成されている有機EL表示装置。 - 請求項1に記載された有機EL表示装置において、
上記マトリクス状に設けられた複数の画素領域における各隣接画素領域に渡ってキャリア輸送層が設けられており、
上記バンク及び上記構造体は、それぞれ上記キャリア輸送層上に設けられている有機EL表示装置。 - 請求項1に記載された有機EL表示装置において、
上記マトリクス状に設けられた複数の画素領域における各隣接画素領域に渡ってキャリア輸送層及びキャリアブロッキング層が設けられており、
上記バンク及び上記構造体は、それぞれ上記キャリアブロッキング層上に設けられている有機EL表示装置。 - 複数の画素領域がマトリクス状に設けられた有機EL表示装置の製造方法であって、
各画素領域を囲むように撥液性を有する絶縁性のバンクを形成する工程と、
上記バンク内に親液性を有する絶縁性の構造体を形成する工程と、
上記構造体が形成された上記バンク内にインクジェット方式によって機能性材料を含む組成物を供給して機能性材料層を形成する工程と、
を備えた有機EL表示装置の製造方法。 - 請求項7に記載された有機EL表示装置の製造方法において、
上記構造体を、上記バンク内に供給された組成物の液滴の1/3以上の高さに形成する有機EL表示装置の製造方法。 - 請求項7に記載された有機EL表示装置の製造方法において、
上記バンク及び上記構造体を、互いの間隔が、少なくとも一箇所において上記バンク内に供給された組成物の液滴の直径よりも小さくなるように形成する有機EL表示装置の製造方法。 - 請求項7に記載された有機EL表示装置の製造方法において、
上記構造体を突状に形成する有機EL表示装置の製造方法。 - 請求項7に記載された有機EL表示装置の製造方法において、
上記構造体を上記バンク内において複数形成する有機EL表示装置の製造方法。 - 請求項7に記載された有機EL表示装置の製造方法において、
上記構造体を透明材料で形成する有機EL表示装置の製造方法。 - 請求項7に記載された有機EL表示装置の製造方法において、
上記マトリクス状に設けられた複数の画素領域における各隣接画素領域に渡ってキャリア輸送層を形成し、
上記バンク及び上記構造体を、それぞれ上記キャリア輸送層上に形成する有機EL表示装置の製造方法。 - 請求項7に記載された有機EL表示装置の製造方法において、
上記マトリクス状に設けられた複数の画素領域における各隣接画素領域に渡ってキャリア輸送層及びキャリアブロッキング層を形成し、
上記バンク及び上記構造体を、それぞれ上記キャリアブロッキング層上に形成する有機EL表示装置の製造方法。
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---|---|---|---|
JP2008113426A JP2009266517A (ja) | 2008-04-24 | 2008-04-24 | 有機el表示装置及びその製造方法 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2012203226A (ja) * | 2011-03-25 | 2012-10-22 | Toppan Printing Co Ltd | 光学素子及びその製造方法 |
WO2020065937A1 (ja) * | 2018-09-28 | 2020-04-02 | シャープ株式会社 | 表示装置 |
-
2008
- 2008-04-24 JP JP2008113426A patent/JP2009266517A/ja active Pending
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