JP2009266459A - 有機el装置および電子機器 - Google Patents

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Abstract

【課題】放出しようとする光の色純度を高めたり発光した光に対する放出しようとする光の割合を高めたりすることができる有機EL装置を提供する。
【解決手段】有機EL装置1は、透明電極24と、透明な電極である光路長調整層31と、これらの電極の間に配置され発光層28を含む有機層と、発光層28からみて透明電極24を挟んだ反対側に配置されて発光層28からの光を光路長調整層31に向けて反射する反射層22と、発光層28からみて光路長調整層31を挟んだ反対側に配置された半透明半反射層32とを備える。反射層22と半透明半反射層32の間の光学的距離L'は、半透明半反射層32を通じて放出される光の所望の波長を強めるように設定されている。さらに、発光層28での最も強く光る位置と反射層22の間の光学的距離L'0も、半透明半反射層32を通じて放出される光の所望の波長を強めるように設定されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、有機EL装置および電子機器に関する。
薄型で軽量なディスプレイを実現できる光源として、有機EL素子(organic electroluminescent device)つまりOLED(organic light emitting diode)素子が注目を集めている。有機EL素子を用いたフルカラーディスプレイには、(1)高い色純度が得られる、(2)消費電力が少ない、といった多くのメリットがある。
有機EL素子の分野において、発光層で発光した光のうちの特定波長の光を干渉または共振によって強め、他の波長の光を弱めて放出させることが知られている。例えば、特許文献1には、発光層の両側に半透明反射層と反射性の電極を配置し、半透明反射層と反射性の電極の間(反射面間)の光学的距離を適切に設定することによって、放出しようとする光のピーク波長を調節することが開示されている。つまり、反射面間の光学的距離を、放出しようとする光のピーク波長に応じて設定することにより、共振構造内部で特定の波長の光の位相を合致させることができる。
この技術によれば、どの発光素子についても発光層の発光色が共通、例えば白色であっても、R(赤色)、G(緑色)、B(青色)の出力色が得られる。また、発光層の発光色が放出しようとする光の色に近似する場合(例えば、Rの色の光を発する発光層を持つ発光素子からRの光を放出させ、Gの色の光を発する発光層を持つ発光素子からGの光を放出させ、Bの色の光を発する発光層を持つ発光素子からBの光を放出させる場合)、光の色の純度を高めることができる。
特許第2797883号公報
しかし、特許文献1に記載の技術では反射面間の光学的距離を最適化しようとしているが、反射面間に介在する発光層の位置については特に調節していない。つまり発光層から反射性の電極までの光路および発光層から半透明反射層までの光路については、特許文献1は言及していない。
本発明は、放出しようとする光の色純度を高めたり発光した光に対する放出しようとする光の割合を高めたりすることができる有機EL装置および電子機器を提供する。
一つの態様では本発明に係る有機EL装置は、透光性を有する第1の電極と、透光性を有する第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極の間に配置され発光層を含む有機層と、前記発光層からみて前記第1の電極を挟んだ反対側に配置されて前記発光層からの光を前記第2の電極に向けて反射する反射層と、前記発光層からみて前記第2の電極を挟んだ反対側に配置された半透明半反射層と、前記第2の電極と同層または前記半透明半反射層と前記第2の電極との間に配置された透光性を有する光路長調整層とを備え、前記反射層と前記半透明半反射層の間の光学的距離L'が、式(1)で表される範囲にあり、前記発光層での最も強く光る位置と前記反射層の間の光学的距離L'0が、式(2)で表される範囲にあり、λは前記第2の電極を通じて放出される光のピーク波長、θは前記反射層で反射するときの波長λの光の位相変化(rad)、θは前記半透明半反射層で反射するときの波長λの光の位相変化(rad)、Nは1以上の整数、N0は1以上の整数である。
0.8×(2π・N+θ+θ)×λ/(4π)≦L'≦1.2×(2π・N+θ+θ)×λ/(4π) ...(1)
0.8×(2π・N0+θ)×λ/(4π)≦L'0≦1.2×(2π・N0+θ)×λ/(4π) ...(2)
このように、反射層と前記半透明半反射層の間の光学的距離L'が、式(1)で表される範囲にあることで、第2の電極を通じて放出される光のうち波長λ付近の色純度を高め、発光層で発光した光に対する波長λの光の割合を高めることができる。さらに、前記発光層での最も強く光る位置と前記反射層の間の光学的距離L'0が、式(2)で表される範囲にあることで、第2の電極を通じて放出される光のうち波長λ付近の色純度を高め、発光層で発光した光に対する波長λの光の割合を高めることができる。
他の一つの態様では本発明に係る有機EL装置は、放出光の色が赤色である発光素子と、放出光の色が緑色である発光素子と、放出光の色が青色である発光素子とを備え、前記発光素子の各々が、透光性を有する第1の電極と、透光性を有する第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極の間に配置され発光層を含む有機層と、前記発光層からみて前記第1の電極を挟んだ反対側に配置されて前記発光層からの光を前記第2の電極に向けて反射する反射層と、前記発光層からみて前記第2の電極を挟んだ反対側に配置された半透明半反射層と、前記第2の電極と同層または前記半透明半反射層と前記第2の電極との間に配置された透光性を有する光路長調整層とを備え、前記発光素子の各々において、前記反射層と前記半透明半反射層の間の光学的距離L'が、式(3)で表される範囲にあり、前記発光素子の各々において、前記発光層での最も強く光る位置と前記反射層の間の光学的距離L'0が、式(4)で表される範囲にあり、λは前記第2の電極を通じて放出される光のピーク波長、θは前記反射層で反射するときの波長λの光の位相変化(rad)、θは前記半透明半反射層で反射するときの波長λの光の位相変化(rad)、Nは1以上の整数、N0は1以上の整数である。
0.8×(2π・N+θ+θ)×λ/(4π)≦L'≦1.2×(2π・N+θ+θ)×λ/(4π) ...(3)
0.8×(2π・N0+θ)×λ/(4π)≦L'0≦1.2×(2π・N0+θ)×λ/(4π) ...(4)
このように、発光素子の各々において、反射層と前記半透明半反射層の間の光学的距離L'が、式(3)で表される範囲にあることで、第2の電極を通じて放出される光のうち波長λ付近の色純度を高め、発光層で発光した光に対する波長λの光の割合を高めることができる。さらに、発光素子の各々において、前記発光層での最も強く光る位置と前記反射層の間の光学的距離L'0が、式(4)で表される範囲にあることで、第2の電極を通じて放出される光のうち波長λ付近の色純度を高め、発光層で発光した光に対する波長λの光の割合を高めることができる。
他の一つの態様では本発明に係る有機EL装置は、放出光の色が赤色である発光素子と、放出光の色が緑色である発光素子と、放出光の色が青色である発光素子とを備え、前記発光素子の各々が、透光性を有する第1の電極と、透光性を有する第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極の間に配置され発光層を含む有機層と、前記発光層からみて前記第1の電極を挟んだ反対側に配置されて前記発光層からの光を前記第2の電極に向けて反射する反射層と、前記発光層からみて前記第2の電極を挟んだ反対側に配置された半透明半反射層と、前記第2の電極と同層または前記半透明半反射層と前記第2の電極との間に配置された透光性を有する光路長調整層とを備え、前記発光素子の各々において、前記発光層は、互いに積層された、発光が黄色または橙色または赤色波長に強度のピークを持つ第1発光層と、発光がシアンまたは青色波長に強度のピークを持つ第2発光層とを有しており、放出光の色が赤色である前記発光素子については、前記反射層と前記半透明半反射層の間の光学的距離L'Rが、式(5)で表される範囲にあり、放出光の色が赤色である前記発光素子については、前記第1発光層での最も強く光る位置と前記反射層の間の光学的距離L'0Rが、式(6)で表される範囲にあり、λRは前記第2の電極を通じて放出される赤色の光のピーク波長、θ1Rは前記反射層で反射するときの波長λRの光の位相変化(rad)、θ2Rは前記半透明半反射層で反射するときの波長λRの光の位相変化(rad)、NRは1以上の整数、N0Rは1以上の整数であり、放出光の色が緑色である前記発光素子については、前記反射層と前記半透明半反射層の間の光学的距離L'Gが、式(7)で表される範囲にあり、放出光の色が緑色である前記発光素子については、前記第1発光層または前記第2発光層での最も強く光る位置と前記反射層の間の光学的距離L'0Gが、式(8)で表される範囲にあり、λGは前記第2の電極を通じて放出される緑色の光のピーク波長、θ1Gは前記反射層で反射するときの波長λGの光の位相変化(rad)、θ2Gは前記半透明半反射層で反射するときの波長λGの光の位相変化(rad)、NGは1以上の整数、N0Gは1以上の整数であり、放出光の色が青色である前記発光素子については、前記反射層と前記半透明半反射層の間の光学的距離L'Bが、式(9)で表される範囲にあり、放出光の色が青色である前記発光素子については、前記第2発光層での最も強く光る位置と前記反射層の間の光学的距離L'0Bが、式(10)で表される範囲にあり、λBは前記第2の電極を通じて放出される青色の光のピーク波長、θ1Bは前記反射層で反射するときの波長λBの光の位相変化(rad)、θ2Bは前記半透明半反射層で反射するときの波長λBの光の位相変化(rad)、NBは1以上の整数、N0Bは1以上の整数である。
0.8×(2π・NR+θ1R+θ2R)×λR/(4π)≦L'R≦1.2×(2π・NR+θ1R+θ2R)×λR/(4π) ...(5)
0.8×(2π・N0R+θ1R)×λR/(4π)≦L'0R≦1.2×(2π・N0R+θ1R)×λR/(4π) ...(6)
0.8×(2π・NG+θ1G+θ2G)×λG/(4π)≦L'G≦1.2×(2π・NG+θ1G+θ2G)×λG/(4π) ...(7)
0.8×(2π・N0G+θ1G)×λG/(4π)≦L'0G≦1.2×(2π・N0G+θ1G)×λG/(4π) ...(8)
0.8×(2π・NB+θ1B+θ2B)×λB/(4π)≦L'B≦1.2×(2π・NB+θ1B+θ2B)×λB/(4π) ...(9)
0.8×(2π・N0B+θ1B)×λB/(4π)≦L'0B≦1.2×(2π・N0B+θ1B)×λB/(4π) ...(10)
この態様でも、発光素子の各々において、第2の電極を通じて放出される光のうち波長λ付近の色純度を高め、発光層で発光した光に対する波長λの光の割合を高めることができる。
他の一つの態様では本発明に係る有機EL装置は、放出光の色が赤色である発光素子と、放出光の色が緑色である発光素子と、放出光の色が青色である発光素子とを備え、前記発光素子の各々が、透光性を有する第1の電極と、透光性を有する第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極の間に配置され発光層を含む有機層と、前記発光層からみて前記第1の電極を挟んだ反対側に配置されて前記発光層からの光を前記第2の電極に向けて反射する反射層と、前記発光層からみて前記第2の電極を挟んだ反対側に配置された半透明半反射層と、前記第2の電極と同層または前記半透明半反射層と前記第2の電極との間に配置された透光性を有する光路長調整層とを備え、前記発光素子の各々において、前記発光層は、互いに積層された、発光が赤色波長に強度のピークを持つ赤色発光層と、発光が緑色波長に強度のピークを持つ緑色発光層と、発光が青色波長に強度のピークを持つ青色発光層とを有しており、放出光の色が赤色である前記発光素子については、前記反射層と前記半透明半反射層の間の光学的距離L'Rが、式(11)で表される範囲にあり、放出光の色が赤色である前記発光素子については、前記赤色発光層での最も強く光る位置と前記反射層の間の光学的距離L'0Rが、式(12)で表される範囲にあり、λRは前記第2の電極を通じて放出される赤色の光のピーク波長、θ1Rは前記反射層で反射するときの波長λRの光の位相変化(rad)、θ2Rは前記半透明半反射層で反射するときの波長λRの光の位相変化(rad)、NRは1以上の整数、N0Rは1以上の整数であり、放出光の色が緑色である前記発光素子については、前記反射層と前記半透明半反射層の間の光学的距離L'Gが、式(13)で表される範囲にあり、放出光の色が緑色である前記発光素子については、前記緑色発光層での最も強く光る位置と前記反射層の間の光学的距離L'0Gが、式(14)で表される範囲にあり、λGは前記第2の電極を通じて放出される緑色の光のピーク波長、θ1Gは前記反射層で反射するときの波長λGの光の位相変化(rad)、θ2Gは前記半透明半反射層で反射するときの波長λGの光の位相変化(rad)、NGは1以上の整数、N0Gは1以上の整数であり、放出光の色が青色である前記発光素子については、前記反射層と前記半透明半反射層の間の光学的距離L'Bが、式(15)で表される範囲にあり、放出光の色が青色である前記発光素子については、前記青色発光層での最も強く光る位置と前記反射層の間の光学的距離L'0Bが、式(16)で表される範囲にあり、λBは前記第2の電極を通じて放出される青色の光のピーク波長、θ1Bは前記反射層で反射するときの波長λBの光の位相変化(rad)、θ2Bは前記半透明半反射層で反射するときの波長λBの光の位相変化(rad)、NBは1以上の整数、N0Bは1以上の整数である。
0.8×(2π・NR+θ1R+θ2R)×λR/(4π)≦L'R≦1.2×(2π・NR+θ1R+θ2R)×λR/(4π) ...(11)
0.8×(2π・N0R+θ1R)×λR/(4π)≦L'0R≦1.2×(2π・N0R+θ1R)×λR/(4π) ...(12)
0.8×(2π・NG+θ1G+θ2G)×λG/(4π)≦L'G≦1.2×(2π・NG+θ1G+θ2G)×λG/(4π) ...(13)
0.8×(2π・N0G+θ1G)×λG/(4π)≦L'0G≦1.2×(2π・N0G+θ1G)×λG/(4π) ...(14)
0.8×(2π・NB+θ1B+θ2B)×λB/(4π)≦L'B≦1.2×(2π・NB+θ1B+θ2B)×λB/(4π) ...(15)
0.8×(2π・N0B+θ1B)×λB/(4π)≦L'0B≦1.2×(2π・N0B+θ1B)×λB/(4π) ...(16)
この態様でも、発光素子の各々において、第2の電極を通じて放出される光のうち波長λ付近の色純度を高め、発光層で発光した光に対する波長λの光の割合を高めることができる。
他の一つの態様では本発明に係る有機EL装置は、放出光の色が赤色である発光素子と、放出光の色が緑色である発光素子と、放出光の色が青色である発光素子とを備え、前記発光素子の各々が、透光性を有する第1の電極と、透光性を有する第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極の間に配置され発光層を含む有機層と、前記発光層からみて前記第1の電極を挟んだ反対側に配置されて前記発光層からの光を前記第2の電極に向けて反射する反射層と、前記発光層からみて前記第2の電極を挟んだ反対側に配置された半透明半反射層と、前記第2の電極と同層または前記半透明半反射層と前記第2の電極との間に配置された透光性を有する光路長調整層とを備え、前記光路長調整層の厚さが、前記発光素子の放出光の色によって異なる。
この態様では、光路長調整層の厚さを発光素子の放出光の色によって適切に調節することによって、発光素子の各々において、第2の電極を通じて放出される光のうち波長λ付近の色純度を高め、発光層で発光した光に対する波長λの光の割合を高めることができる。
好ましくは、前記第1の電極と前記光路長調整層の間にある有機層が、前記発光素子の放出光の色にかかわらず複数の前記発光素子に共通である。「共通である」とは、有機層の厚さおよび材料が、複数の前記発光素子について共通であることをいい、有機層が発光層のみからなる場合には、発光層の厚さおよび材料が複数の前記発光素子について共通であることを意味し、有機層が複数の層からなる場合には、これらの層の各々の厚さおよび材料が複数の前記発光素子について共通であることを意味する。従って、有機層を容易に製造することができる。
本発明では、半透明半反射層と反射層との間の光学的距離を適切に設定することができる。しかし、一般には、発光層の厚さは数nm 変えただけで素子の発光特性(内部発光スペクトル)が著しく変化するため、放出光の色に応じて発光層の厚さを変更することは、内部発光スペクトルの変化につながり好ましくない。また、本発明では、発光層と反射層との間の光学的距離も適切に設定することができる。しかし、一般には、正孔の移動度に比べて電子の移動度は低いため、正孔輸送層および正孔注入層の厚さは大きくすることができてそれらの厚さを数nm変化させても発光素子の電気特性(電流−電圧特性)および発光特性(内部発光スペクトル)の変化は小さいのに対して、電子輸送層および電子注入層の厚さは極めて小さくせざるを得ずそれらの厚さを数nm変えただけで発光素子の電気特性および発光特性が顕著に変化する。従って、半透明半反射層と反射層との間の光学的距離と発光層と反射層の間の光学的距離を最適化する目的で、発光層を変更すること、ならびに(電子輸送層および/または電子注入層が存在する場合に)電子輸送層および/または電子注入層の厚さを変更することは、電気特性および発光特性の最適化の観点からは必ずしも好ましいことではない。だからといって、透明電極ならびに(正孔輸送層および/または正孔注入層が存在する場合に)正孔輸送層および/または正孔注入層の厚さのみを変更することで、放出光の色に応じて、半透明半反射層と反射層の間の光学的距離と発光層と反射層の間の光学的距離の両方を最適化することは困難なことが多い。
そこで、前記第1の電極が陽極であって、前記第2の電極が陰極であると好ましい。この態様では、発光層からみて陽極を挟んだ反対側に反射層が配置され、発光層からみて陰極を挟んだ反対側に半透明半反射層が配置され、陰極と同層または半透明半反射層と陰極との間に光路長調整層が配置される。この態様では、陽極の厚さおよび/または正孔輸送層および/または正孔注入層の厚さを調整することで、放出光の色に応じて発光層と反射層の間の光学的距離を最適化し、さらに光路長調整層の厚さを調整することで、放出光の色に応じて半透明半反射層と反射層の間の光学的距離を最適化するといったように、両方の光学的距離が最適になるように有機EL装置を設計するのが容易である。
本発明に係る電子機器は、前記の有機EL装置を備えるので、放出しようとする光の色純度を高めたり発光した光に対する放出しようとする光の割合を高めたりすることができる。そのような電子機器としては、例えば、有機EL装置を画像表示装置として備える各種の機器がある。
以下、添付の図面を参照しながら本発明に係る様々な実施の形態を説明する。なお、図面においては、各部の寸法の比率は実際のものとは適宜に異なる。
<第1の実施の形態>
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る有機EL装置1の概略を示す断面図である。有機EL装置1は、図示のように複数の発光素子15(15R,15G,15B)を有する。この実施の形態の有機EL装置1は、フルカラーの画像表示装置として使用される。発光素子15Rは放出光の色が赤色である発光素子であり、発光素子15Gは放出光の色が緑色である発光素子であり、発光素子15Bは放出光の色が青色である発光素子である。図では、3つの発光素子15しか示されていないが、実際には、図示よりも多数の発光素子が設けられている。以下、構成要素の添字のR,G,Bは、発光素子15R,15G,15Bに対応する。
本発明は、ボトムエミッションタイプにもトップエミッションタイプにも利用できるが、一例として、図示の有機EL装置1はトップエミッションタイプである。有機EL装置1は、基板20を有する。基板20は、例えばガラスのような透明材料で形成してもよいし、例えばセラミックまたは金属のような不透明材料で形成してもよい。
但し、図1は実施の形態の概略を示しており、図示しないが、基板20には、各発光素子に給電するためのTFT(薄膜トランジスタ)および配線、さらにはこれらを覆う無機絶縁体の層が配置されている。また、図示しないが、公知の隔壁(セパレータ)を配置してもよい。
各発光素子15が備える基板20の上の要素には、反射層22、透明電極(第1の電極)24、正孔注入・輸送層(有機層)26、発光層(有機層)28、電子輸送・注入層(有機層)30、光路長調整層(第2の電極)31、および半透明半反射層32がある。反射層22は例えばアルミニウム、銀またはクロムなどの反射性の高い金属から形成されている。反射層22は透明電極24を透過して進行してきた光(発光層28からの光を含む)を図の上方つまり半透明半反射層32に向けて反射する。
透明電極24は、例えばITO(indium tin oxide)、ZnO(酸化亜鉛)、もしくはIZO(indium zinc oxide)のような透明な導電性の高い材料から形成されている。透明電極24はこの実施の形態では、発光素子にそれぞれ設けられる画素電極であり、例えば陽極である。
正孔注入・輸送層26は、例えば二層構造であって、透明電極24側に配置された正孔注入層と、発光層28側に配置された正孔輸送層を有する。正孔注入層は、例えばCuPc(銅フタロシアニン)または出光興産株式会社製の商品名「HI−406」などの正孔注入材料により形成することができる。正孔輸送層は、例えばNPD(N,N’-Bis(1-naphthyl)-N,N’-diphenyl-4,4-biphenyl)または出光興産株式会社製の商品名「HT−320」などの正孔輸送材料により形成することができる。但し、正孔注入・輸送層26は、正孔輸送層と正孔注入層の機能を兼ねる単一の層であってもよい。正孔注入・輸送層26は、複数の発光素子に共通の厚さに設けられてもよい(つまり、正孔注入・輸送層26R,26B,26Gが同じ厚さであってもよい)。
発光層28では、透明電極24に由来する正孔と半透明半反射層32に由来する電子が結合して発光する。この実施の形態の発光層28は単一層である。発光層28の内部では、一様な強さで発光するのではなく、ある平面(図1の紙面に垂直で図の発光層28と正孔注入・輸送層26との界面に平行な平面)で最も強く発光し、他の位置ではより弱く発光する。図1の仮想線28RSは、発光素子15Rの発光層28R内での最も強く光る平面を示し、仮想線28GSは、発光素子15Gの発光層28G内での最も強く光る平面を示し、仮想線28BSは、発光素子15Bの発光層28B内での最も強く光る平面を示す。発光層28は、複数の発光素子に共通の厚さに設けられてもよい(つまり、発光層28R,28B,28Gが同じ厚さであってもよい)。
電子輸送・注入層30は、例えば二層構造であって、発光層28側に配置された電子輸送層と、半透明半反射層32側に配置された電子注入層を有する。電子輸送層は、例えばAlq3(トリス8-キノリノラトアルミニウム錯体)などの電子輸送材料により形成することができる。電子注入層は、例えばLiF(フッ化リチウム)などの電子注入材料により形成することができる。但し、電子輸送・注入層30は、電子輸送層と電子注入層の機能を兼ねる単一の層であってもよい。電子輸送・注入層30は、複数の発光素子に共通の厚さに設けられてもよい(つまり、電子輸送・注入層30R,30B,30Gが同じ厚さであってもよい)。
光路長調整層31は、透明であって光路長の調整のために配置されている。この実施の形態では、光路長調整層31は複数の発光素子に共通に設けられる共通電極(例えば陰極)としても機能する。このため、光路長調整層31は、例えば、CaO、SrO、ITO、IZOのような透明な導電性の高く電子注入性に優れた材料から形成されている。
半透明半反射層32は、例えばMgAl、MgCu、MgAu、MgAgのような半透明半反射性の金属材料から形成されている。半透明半反射層32を金属材料から形成する場合には、図示しないが、光路長調整層31と半透明半反射層32の間には、例えばSiN、SiON、SiOなどの透明な無機の絶縁性材料を設けて、両者を絶縁すると好ましい。他の実施の形態として、半透明半反射層32は、誘電体ミラーとして知られているSiNとSiOの積層体のような透明な異種の無機の絶縁性材料の積層体であってもよい。半透明半反射層32は、電子輸送・注入層30を透過して進行してきた光(発光層28からの光を含む)の一部を図の上方に透過し、これらの光の他の一部を図の下方つまり透明電極24に向けて反射する。
図示しないが、有機EL素子1の発光層28などの層を水分および酸素から保護するために、公知の封止膜で半透明半反射層32を覆ってもよいし、公知の封止キャップを基板20に接合してもよい。また、この有機EL装置1をカラー画像表示装置として使用する場合、放出光の色の純度を改善するために、光が放出される側にカラーフィルタを配置してもよい。なお、封止膜または封止キャップを設けること、およびカラーフィルタを配置することは、この実施の形態だけでなく、後述する他の実施の形態でも採用してよい。
この構造を有するある発光素子において、透明電極24と半透明半反射層32の間に電流を流すと、発光層28が発光する。発光層28で発した光のうち図の下方に向かう光は、反射層22で半透明半反射層32に向けて反射する。また発光層28から図の上方に向かう光の一部は、半透明半反射層32で透過し、他の一部は反射層22に向けて反射する。このような反射を繰り返して、各発光素子15においては、干渉または共振によって、特定の波長の光が強められ他の波長の光が弱められる。
図2は、発光層28での内部発光スペクトルを示すグラフである。つまり、図2は、発光素子15での光の干渉または共振作用を利用しない場合の発光層28の発光スペクトルを示す。図2に示すように、発光層28は、単一層でありながらも、620nm(赤色に相当)、540nm(緑色に相当)、470nm(青色に相当)の3つのピークを有する白色光を発する。なお、発光層28R、28G,28Bは必ずしも同一の白色光を発する必要はなく、それぞれの発光層が任意の発光色を発し得る。例えば、発光層28Rが620nmに発光スペクトルのピークを有する赤色光を発し、発光層28Gが540nmに発光スペクトルのピークを有する緑色光を発し、発光層28Bが470nmに発光スペクトルのピークを有する青色光を発しても良い。
上記のような干渉または共振によって、発光素子15Rでは、発光層28で発した白色光のうち赤色が強められて半透明半反射層32から放出される。発光素子15Gでは、発光層28で発した白色光のうち緑色が強められて半透明半反射層32から放出される。発光素子15Bでは、発光層28で発した白色光のうち青色が強められて半透明半反射層32から放出される。
発光素子15Rで赤色のみを強めて半透明半反射層32Rから放出するためには、理論的には、式(17)および式(18)を満たすことが好ましく、式(19)および式(20)を満たすことがさらに好ましい。式(17)および式(18)は、理論的な等式である式(19)および式(20)に±20%の許容差を与えたものである。許容差を与えた理由は、実際には、複雑な多重反射がありうるためである。
0.8×(2π・NR+θ1R+θ2R)×λR/(4π)≦L'R≦1.2×(2π・NR+θ1R+θ2R)×λR/(4π) ...(17)
0.8×(2π・N0R+θ1R)×λR/(4π)≦L'0R≦1.2×(2π・N0R+θ1R)×λR/(4π) ...(18)
(2π・NR+θ1R+θ2R)×λR/(4π)=L'R ...(19)
(2π・N0R+θ1R)×λR/(4π)=L'0R ...(20)
ここで、λRは半透明半反射層32Rを通じて放出される赤色の光のピーク波長(例えば620nmに設定してよい)、θ1Rは反射層22Rで反射するときの波長λRの光の位相変化(rad)、θ2Rは半透明半反射層32Rで反射するときの波長λRの光の位相変化(rad)、NRは1以上の整数、N0Rは1以上の整数である。
式(17)および式(19)のL'Rは、発光素子15Rについての反射層22Rと半透明半反射層32Rの間の光学的距離であり、式(21)で表される。
Figure 2009266459
式(21)において、niRは発光素子15R内の層の屈折率、diRは発光素子15R内の層の厚さを示す。式(21)では、iRは、1以上でX以下であり、反射層22Rと半透明半反射層32Rの間の各層を示し、Xはこれらの層の総数である。
具体的には、図示の実施の形態では、発光素子15Rについての反射層22Rと半透明半反射層32Rの間の光学的距離L'Rは、式(22)で表される。
L'R=n1R・d1R+n2R・d2R+n3R・d3R+n4R・d4R+n5R・d5R ...(22)
ここで、n1Rは透明電極24Rの屈折率であり、d1Rは透明電極24Rの厚さである。n2Rは正孔注入・輸送層26Rの屈折率であり、d2Rは正孔注入・輸送層26Rの厚さである。n3Rは発光層28Rの屈折率であり、d3Rは発光層28Rの厚さである。n4Rは電子輸送・注入層30Rの屈折率であり、d4Rは電子輸送・注入層30Rの厚さである。n5Rは光路長調整層31Rの屈折率であり、d5Rは光路長調整層31Rの厚さである。
式(18)および式(20)のL'0Rは、発光層28Rでの最も強く光る平面28RSと反射層22Rの間の光学的距離であり、式(23)で表される。
Figure 2009266459
式(23)において、niRは発光素子15R内の層の屈折率、diRは発光素子15R内の層の厚さを示す。式(23)では、iRは、1以上でM以下であり、反射層22Rと発光層28Rの間の各層を示し、Mはこれらの層の総数である。nNRは発光層28Rの屈折率、dN1Rは、発光層28Rでの最も強く光る平面28RSと正孔注入・輸送層26Rとの距離を示す。
具体的には、図示の実施の形態では、発光層28Rでの最も強く光る平面28RSと反射層22Rの間の光学的距離L'0Rは、式(24)で表される。
L'0R=n3R・d31R+n1R・d1R+n2R・d2R ...(24)
ここで、d31Rは発光層28Rでの最も強く光る平面28RSと正孔注入・輸送層26Rとの距離を示す。
例えば、透明電極24RをITO(波長620nmの光に対する屈折率n1Rが1.9)で厚さd1Rを150nmに形成し、正孔注入・輸送層26Rの屈折率n2Rが1.7、その厚さd2Rが80nm、発光層28Rの屈折率n3Rが1.7、その厚さd3Rが10nm、電子輸送・注入層30Rの屈折率n4Rが1.7、その厚さd4Rが20nmであると想定する。また、光路長調整層31RをITO(波長620nmの光に対する屈折率n5Rが1.9)で厚さd5Rを35nmに形成したと想定する。この場合、式(21)ひいては式(22)より、発光素子15Rについての反射層22Rと半透明半反射層32Rの間の光学的距離L'Rは、538.5nmである。
また、発光層28Rでの最も強く光る平面28RSと正孔注入・輸送層26Rとの距離d31Rを5nmと想定する。この場合、式(23)ひいては式(24)より、発光素子15Rについて発光層28Rでの最も強く光る平面28RSと反射層22Rの間の光学的距離L'0Rは、429.5nmである。
また、反射層22Rで反射するときの波長620nmの光の位相変化θ1Rが2.460(rad)、半透明半反射層32Rで反射するときの波長620nmの光の位相変化θ2Rが2.311(rad)、NRが1、N0Rが1であると想定する。この場合、(2π・NR+θ1R+θ2R)×λR/(4π)=545.39nmであり、L'Rとの相違は1.3%であるから、式(17)の関係が充足される。また、この場合、(2π・N0R+θ1R)×λR/(4π)=431.37nmであり、L'0Rとの相違は0.4%であるから、式(18)の関係が充足される。
発光素子15Gで緑色のみを強めて半透明半反射層32から放出するためには、理論的には、式(25)および式(26)を満たすことが好ましく、式(27)および式(28)を満たすことがさらに好ましい。式(25)および式(26)は、理論的な等式である式(27)および式(28)に±20%の許容差を与えたものである。許容差を与えた理由は、実際には、複雑な多重反射がありうるためである。
0.8×(2π・NG+θ1G+θ2G)×λG/(4π)≦L'G≦1.2×(2π・NG+θ1G+θ2G)×λG/(4π) ...(25)
0.8×(2π・N0G+θ1G)×λG/(4π)≦L'0G≦1.2×(2π・N0G+θ1G)×λG/(4π) ...(26)
(2π・NG+θ1G+θ2G)×λG/(4π)=L'G ...(27)
(2π・N0G+θ1G)×λG/(4π)=L'0G ...(28)
ここで、λGは半透明半反射層32Gを通じて放出される緑色の光のピーク波長(例えば540nmに設定してよい)、θ1Gは反射層22Gで反射するときの波長λGの光の位相変化(rad)、θ2Gは半透明半反射層32Gで反射するときの波長λGの光の位相変化(rad)、NGは1以上の整数、N0Gは1以上の整数である。
式(25)および式(27)のL'Gは、発光素子15Gについての反射層22Gと半透明半反射層32Gの間の光学的距離であり、式(29)で表される。
Figure 2009266459
式(29)において、niGは発光素子15G内の層の屈折率、diGは発光素子15G内の層の厚さを示す。式(29)では、iGは、1以上でX以下であり、反射層22Gと半透明半反射層32Gの間の各層を示し、Xはこれらの層の総数である。
具体的には、図示の実施の形態では、発光素子15Gについての反射層22Gと半透明半反射層32Gの間の光学的距離L'Gは、式(30)で表される。
L'G=n1G・d1G+n2G・d2G+n3G・d3G+n4G・d4G+n5G・d5G ...(30)
ここで、n1Gは透明電極24Gの屈折率であり、d1Gは透明電極24Gの厚さである。n2Gは正孔注入・輸送層26Gの屈折率であり、d2Gは正孔注入・輸送層26Gの厚さである。n3Gは発光層28Gの屈折率であり、d3Gは発光層28Gの厚さである。n4Gは電子輸送・注入層30Gの屈折率であり、d4Gは電子輸送・注入層30Gの厚さである。n5Gは光路長調整層31Gの屈折率であり、d5Gは光路長調整層31の厚さである。
式(26)および式(28)のL'0Gは、発光層28Gでの最も強く光る平面28GSと反射層22Gの間の光学的距離であり、式(31)で表される。
Figure 2009266459
式(31)において、niGは発光素子15G内の層の屈折率、diGは発光素子15G内の層の厚さを示す。式(31)では、iGは、1以上でM以下であり、反射層22Gと発光層28Gの間の各層を示し、Mはこれらの層の総数である。nNGは発光層28Gの屈折率、dN1Gは、発光層28Gでの最も強く光る平面28GSと正孔注入・輸送層26Gとの距離を示す。
具体的には、図示の実施の形態では、発光層28Gでの最も強く光る平面28GSと反射層22Gの間の光学的距離L'0Gは、式(32)で表される。
L'0G=n3G・d31G+n1G・d1G+n2G・d2G ...(32)
ここで、d31Gは発光層28Gでの最も強く光る平面28GSと正孔注入・輸送層26Gとの距離を示す。
例えば、透明電極24GをITO(波長540nmの光に対する屈折率n1Gが2.0)で厚さd1Gを120nmに形成し、正孔注入・輸送層26Gの屈折率n2Gが1.7、その厚さd2Gが80nm、発光層28Gの屈折率n3Gが1.7、その厚さd3Gが10nm、電子輸送・注入層30Gの屈折率n4Gが1.7、その厚さd4Gが20nmであると想定する。また、光路長調整層31GをITO(波長540nmの光に対する屈折率n5Gが2.0)で厚さd5Gを20nmに形成したと想定する。この場合、式(29)ひいては式(30)より、発光素子15Gについての反射層22Gと半透明半反射層32Gの間の光学的距離L'Gは、467.0nmである。
また、発光層28Gでの最も強く光る平面28GSと正孔注入・輸送層26Gとの距離d31Gを5nmと想定する。この場合、式(31)ひいては式(32)より、発光素子15Gについて発光層28Gでの最も強く光る平面28GSと反射層22Gの間の光学的距離L'0Gは、384.5nmである。
また、反射層22Gで反射するときの波長540nmの光の位相変化θ1Gが2.343(rad)、半透明半反射層32Gで反射するときの波長540nmの光の位相変化θ2Gが2.158(rad)、NGが1、N0Gが1であると想定する。この場合、(2π・NG+θ1G+θ2G)×λG/(4π)=463.42nmであり、L'Gとの相違は0.77%であるから、式(25)の関係が充足される。また、この場合、(2π・N0G+θ1G)×λG/(4π)=370.68nmであり、L'0Gとの相違は3.6%であるから、式(26)の関係が充足される。
発光素子15Bで青色のみを強めて半透明半反射層32から放出するためには、理論的には、式(33)および式(34)を満たすことが好ましく、式(35)および式(36)を満たすことがさらに好ましい。式(33)および式(34)は、理論的な等式である式(35)および式(36)に±20%の許容差を与えたものである。許容差を与えた理由は、実際には、複雑な多重反射がありうるためである。
0.8×(2π・NB+θ1B+θ2B)×λB/(4π)≦L'B≦1.2×(2π・NB+θ1B+θ2B)×λB/(4π) ...(33)
0.8×(2π・N0B+θ1B)×λB/(4π)≦L'0B≦1.2×(2π・N0B+θ1B)×λB/(4π) ...(34)
(2π・NB+θ1B+θ2B)×λB/(4π)=L'B ...(35)
(2π・N0B+θ1B)×λB/(4π)=L'0B ...(36)
ここで、λBは半透明半反射層32Bを通じて放出される青色の光のピーク波長(例えば470nmに設定してよい)、θ1Bは反射層22Bで反射するときの波長λBの光の位相変化(rad)、θ2Bは半透明半反射層32Bで反射するときの波長λBの光の位相変化(rad)、NBは1以上の整数、N0Bは1以上の整数である。
式(33)および式(35)のL'Bは、発光素子15Bについての反射層22Bと半透明半反射層32Bの間の光学的距離であり、式(37)で表される。
Figure 2009266459
式(37)において、niBは発光素子15B内の層の屈折率、diBは発光素子15B内の層の厚さを示す。式(37)では、iBは、1以上でX以下であり、反射層22Bと半透明半反射層32Bの間の各層を示し、Xはこれらの層の総数である。
具体的には、図示の実施の形態では、発光素子15Bについての反射層22Bと半透明半反射層32Bの間の光学的距離L'Bは、式(38)で表される。
L'B=n1B・d1B+n2B・d2B+n3B・d3B+n4B・d4B+n5B・d5B ...(38)
ここで、n1Bは透明電極24Bの屈折率であり、d1Bは透明電極24Bの厚さである。n2Bは正孔注入・輸送層26Bの屈折率であり、d2Bは正孔注入・輸送層26Bの厚さである。n3Bは発光層28Bの屈折率であり、d3Bは発光層28Bの厚さである。n4Bは電子輸送・注入層30Bの屈折率であり、d4Bは電子輸送・注入層30Bの厚さである。n5Bは光路長調整層31Bの屈折率であり、d5Bは光路長調整層31Bの厚さである。
式(34)および式(36)のL'0Bは、発光層28Bでの最も強く光る平面28BSと反射層22Bの間の光学的距離であり、式(39)で表される。
Figure 2009266459
式(39)において、niBは発光素子15B内の層の屈折率、diBは発光素子15B内の層の厚さを示す。式(39)では、iBは、1以上でM以下であり、反射層22Bと発光層28Bの間の各層を示し、Mはこれらの層の総数である。nNBは発光層28Bの屈折率、dN1Bは、発光層28Bでの最も強く光る平面28BSと正孔注入・輸送層26Bとの距離を示す。
具体的には、図示の実施の形態では、発光層28Bでの最も強く光る平面28BSと反射層22Bの間の光学的距離L'0Bは、式(40)で表される。
L'0B=n3B・d31B+n1B・d1B+n2B・d2B ...(40)
ここで、d31Bは発光層28Bでの最も強く光る平面28BSと正孔注入・輸送層26Bとの距離を示す。
例えば、透明電極24BをITO(波長470nmの光に対する屈折率n1Bが2.0)で厚さd1Bを85nmに形成し、正孔注入・輸送層26Bの屈折率n2Bが1.7、その厚さd2Bが80nm、発光層28Bの屈折率n3Bが1.7、その厚さd3Bが10nm、電子輸送・注入層30Bの屈折率n4Bが1.7、その厚さd4Bが20nmであると想定する。また、光路長調整層31BをITO(波長470nmの光に対する屈折率n5Bが2.0)で厚さd5Bを10nmに形成したと想定する。この場合、式(37)ひいては式(38)より、発光素子15Bについての反射層22Bと半透明半反射層32Bの間の光学的距離L'Bは、377.0nmである。
また、発光層28Bでの最も強く光る平面28BSと正孔注入・輸送層26Bとの距離d31Bを5nmと想定する。この場合、式(39)ひいては式(40)より、発光素子15Bについて発光層28Bでの最も強く光る平面28BSと反射層22Bの間の光学的距離L'0Bは、314.5nmである。
また、反射層22Bで反射するときの波長470nmの光の位相変化θ1Bが2.202(rad)、半透明半反射層32Bで反射するときの波長470nmの光の位相変化θ2Bが1.991(rad)、NBが1、N0Bが1であると想定する。この場合、(2π・NB+θ1B+θ2B)×λB/(4π)=391.82nmであり、L'Bとの相違は3.9%であるから、式(33)の関係が充足される。また、この場合、(2π・N0B+θ1B)×λB/(4π)=317.36nmであり、L'0Bとの相違は0.9%であるから、式(34)の関係が充足される。
以上をまとめると、発光素子15の各々において、反射層22と半透明半反射層32の間の光学的距離L'が、式(41)で表される範囲にあり、発光素子15の各々において、発光層28での最も強く光る位置つまり平面と反射層22の間の光学的距離L'0が、式(42)で表される範囲にあると好ましい。
0.8×(2π・N+θ+θ)×λ/(4π)≦L'≦1.2×(2π・N+θ+θ)×λ/(4π) ...(41)
0.8×(2π・N0+θ)×λ/(4π)≦L'0≦1.2×(2π・N0+θ)×λ/(4π) ...(42)
ここで、λは半透明半反射層32を通じて放出される光のピーク波長、θは反射層22で反射するときの波長λの光の位相変化(rad)、θは半透明半反射層32で反射するときの波長λの光の位相変化(rad)、Nは1以上の整数、N0は1以上の整数である。
表1〜表3は、上記の実施の形態の各層のパラメータおよび光の位相変化θおよびθを示す。
Figure 2009266459

Figure 2009266459

Figure 2009266459
以上のようにして導いた光学的距離L'0R,L'0G,L'0Bが最適であるかどうかを確認するために、シミュレーションを行った。このシミュレーションでは、光学的距離L'R,L'G,L'Bを固定し、光学的距離L'0R,L'0G,L'0Bを変更して、スペクトルを得た。
図3は、発光素子15Rにおいて、前述の通り各層の屈折率および厚さを選定し光学的距離L'RおよびL'0Rを最適化した発光素子15Rの放出光のスペクトルを示すグラフである。図3から分かるように、光学的距離L'RおよびL'0Rの最適化により、波長620nm付近での光の強度が他の波長の光の強度に比べて顕著に高く、発光に対する所望波長の放出光の効率が非常に高い好適なスペクトルが得られた。図3において、波長440nm付近に小さい強度ピークが見られるが、波長620nm付近の大きな強度ピークに対して非常に小さく、放出光の色純度が高いことが分かる。
図4は、図3と比較される他の赤色の発光素子の放出光のスペクトルを示すグラフである。具体的には、これらの発光素子では、光路長調整層31Rを設けずに(d5R=0)、半透明半反射層32Rを陰極とした。そして、正孔注入・輸送層26R、発光層28R、電子輸送・注入層30Rを前記の最適化した発光素子15Rと同じにし、透明電極24Rの厚さd1Rが165nm〜195nmの範囲で異なる赤色の発光素子について、放出光のスペクトルを求めた。図4の縦軸の長さは、図3のスペクトルの最大強度を基準にして規格化してある。d5R=0、d1R=165nmの場合、反射層22Rと半透明半反射層32Rの間の光学的距離L'Rは500.5nm、発光層28Rでの最も強く光る平面28RSと反射層22Rの間の光学的距離L'0Rは458.0nmである。また、光路長調整層31Rがないので、半透明半反射層32Rで反射するときの波長620nmの光の位相変化θ2Rが2.390(rad)であるため、(2π・NR+θ1R+θ2R)×λR/(4π)=549.73nmであり、L'Rとの相違は9.8%であり、また、この場合、(2π・N0R+θ1R)×λR/(4π)=431.37nmであり、L'0Rとの相違は5.8%である。d5R=0、d1R=175nmの場合、光学的距離L'Rは519.5nm(549.73nmとの相違は5.8%)、光学的距離L'0Rは477.0nm(431.37nmとの相違は9.6%)である。d5R=0、d1R=185nmの場合、光学的距離L'Rは538.5nm(549.73nmとの相違は2.1%)、光学的距離L'0Rは496.0nm(431.37nmとの相違は13%)である。d5R=0、d1R=195nmの場合、光学的距離L'Rは557.5nm(549.73nmとの相違は1.4%)、光学的距離L'0Rは515.0nm(431.37nmとの相違は16.2%)である。従って、光路長調整層31Rを設けない従来技術であるこれらの比較例では、光路長調整層31Rを設けて光学的距離L'RおよびL'0Rを最適化した実施の形態の発光素子15Rに比べて、光学的距離L'Rと(2π・NR+θ1R+θ2R)×λR/(4π)の差は大きく、光学的距離L'0Rと(2π・N0R+θ1R)×λR/(4π)の差も大きい。つまり、従来技術である比較例では、光学的距離L'RおよびL'0Rの両方を同時に高い精度で最適化することができない。これに対して、実施の形態に係る発光素子15Rでは、光学的距離L'RおよびL'0Rの両方を同時に高い精度で最適化することができる。
図3および図4から分かるように、光路長調整層31Rを設けない比較例では、波長590nm〜640nmで強度ピークがあるが、光路長調整層31Rを設けて最適化した発光素子15Rに比べて、その強度は非常に小さく、発光に対する所望波長の放出光の効率は非常に小さい。しかも、光路長調整層31Rを設けない比較例では、波長440nm〜波長460nmに、所望波長の強度ピークに対して相対的に顕著な強度ピークがあるため、色純度が低い。
図5は、発光素子15Gにおいて、前述の通り各層の屈折率および厚さを選定し光学的距離L'GおよびL'0Gを最適化した発光素子15Gの放出光のスペクトルを示すグラフである。図5から分かるように、光学的距離L'GおよびL'0Gの最適化により、波長540nm付近での光の強度が他の波長の光の強度に比べて顕著に高く、発光に対する所望波長の放出光の効率が非常に高い好適なスペクトルが得られた。図5において、波長440nm付近に小さい強度ピークが見られるが、波長540nm付近の大きな強度ピークよりも非常に小さく、放出光の色純度が高いことが分かる。
図6は、図5と比較される他の緑色の発光素子の放出光のスペクトルを示すグラフである。具体的には、これらの発光素子では、光路長調整層31Gを設けずに(d5G=0)、半透明半反射層32Gを陰極とした。そして、正孔注入・輸送層26G、発光層28G、電子輸送・注入層30Gを前記の最適化した発光素子15Gと同じにし、透明電極24Gの厚さd1Gが120nm〜160nmの範囲で異なる緑色の発光素子について、放出光のスペクトルを求めた。図6の縦軸の長さは、図5のスペクトルの最大強度を基準にして規格化してある。d5G=0、d1G=120nmの場合、反射層22Gと半透明半反射層32Gの間の光学的距離L'Gは427.0nm、発光層28Gでの最も強く光る平面28GSと反射層22Gの間の光学的距離L'0Gは384.5nmである。また、光路長調整層31Gがないので、半透明半反射層32Gで反射するときの波長540nmの光の位相変化θ2Gが2.278(rad)であるため、(2π・NG+θ1G+θ2G)×λG/(4π)=468.57nmであり、L'Gとの相違は9.7%であり、また、この場合、(2π・N0G+θ1G)×λG/(4π)=370.68nmであり、L'0Gとの相違は3.6%である。d5G=0、d1G=130nmの場合、光学的距離L'Gは447.0nm(468.57nmとの相違は4.8%)、光学的距離L'0Gは404.5nm(370.68nmとの相違は8.4%)である。d5G=0、d1G=140nmの場合、光学的距離L'Gは467.0nm(468.57nmとの相違は0.3%)、光学的距離L'0Gは424.5nm(370.68nmとの相違は12.7%)である。d5G=0、d1G=150nmの場合、光学的距離L'Gは487.0nm(468.57nmとの相違は3.8%)、光学的距離L'0Gは444.5nm(370.68nmとの相違は16.6%)である。d5G=0、d1G=160nmの場合、光学的距離L'Gは507.0nm(468.57nmとの相違は7.6%)、光学的距離L'0Gは464.5nm(370.68nmとの相違は20.2%)である。従って、光路長調整層31Gを設けない従来技術であるこれらの比較例では、光学的距離L'GおよびL'0Gの両方を同時に高い精度で最適化することができない。これに対して、光路長調整層31Gを設けた実施の形態に係る発光素子15Gでは、光学的距離L'GおよびL'0Gの両方を同時に高い精度で最適化することができる。
図5および図6から分かるように、光路長調整層31Gを設けない比較例では、波長520nm〜570nmで強度ピークがあるが、光路長調整層31Gを設けて最適化した発光素子15Gに比べて、その強度は非常に小さく、発光に対する所望波長の放出光の効率は非常に小さい。
図7は、発光素子15Bにおいて、前述の通り各層の屈折率および厚さを選定し光学的距離L'BおよびL'0Bを最適化した発光素子15Bの放出光のスペクトルを示すグラフである。図7から分かるように、光学的距離L'BおよびL'0Bの最適化により、波長470nm付近での光の強度が他の波長の光の強度に比べて顕著に高く、発光に対する所望波長の放出光の効率が非常に高い好適なスペクトルが得られた。図7において、波長440nm付近に小さい強度ピークが見られるが、波長470nm付近の大きな強度ピークよりも非常に小さく、放出光の色純度が高いことが分かる。
図8は、図7と比較される他の青色の発光素子の放出光のスペクトルを示すグラフである。具体的には、これらの発光素子では、光路長調整層31Bを設けずに(d5B=0)、半透明半反射層32Bを陰極とした。そして、正孔注入・輸送層26B、発光層28B、電子輸送・注入層30Bを前記の最適化した発光素子15Bと同じにし、透明電極24Bの厚さd1Bが80nm〜110nmの範囲で異なる青色の発光素子について、放出光のスペクトルを求めた。図8の縦軸の長さは、図7のスペクトルの最大強度を基準にして規格化してある。d5B=0、d1B=80nmの場合、反射層22Bと半透明半反射層32Bの間の光学的距離L'Bは347.0nm、発光層28Bでの最も強く光る平面28BSと反射層22Bの間の光学的距離L'0Bは304.5nmである。また、光路長調整層31Bがないので、半透明半反射層32Bで反射するときの波長470nmの光の位相変化θ2Bが2.154(rad)であるため、(2π・NB+θ1B+θ2B)×λB/(4π)=397.92nmであり、L'Bとの相違は14.7%であり、また、この場合、(2π・N0B+θ1B)×λB/(4π)=317.36nmであり、L'0Bとの相違は4.2%である。d5B=0、d1B=90nmの場合、光学的距離L'Bは367nm(397.92nmとの相違は8.4%)、光学的距離L'0Bは324.5nm(317.36nmとの相違は2.2%)である。d5B=0、d1B=100nmの場合、光学的距離L'Bは387.0nm(397.92nmとの相違は2.8%)、光学的距離L'0Bは344.5nm(317.36nmとの相違は7.9%)である。d5B=0、d1B=110nmの場合、光学的距離L'Bは407.0nm(397.92nmとの相違は2.2%)、光学的距離L'0Bは364.5nm(317.36nmとの相違は12.9%)である。従って、光路長調整層31Bを設けない従来技術であるこれらの比較例では、光学的距離L'BおよびL'0Bの両方を同時に高い精度で最適化することができない。これに対して、光路長調整層31Bを設けた実施の形態に係る発光素子15Bでは、光学的距離L'BおよびL'0Bの両方を同時に高い精度で最適化することができる。
図7および図8から分かるように、光路長調整層31Bを設けない比較例では、波長450nm〜490nmで強度ピークがあるが、光路長調整層31Bを設けて最適化した発光素子15Bに比べて、その強度は小さく、発光に対する所望波長の放出光の効率は小さい。しかも、光路長調整層31Bを設けない比較例では、波長520nm〜波長540nmに、所望波長の強度ピークに対して相対的に顕著な強度ピークがあるため、色純度が低い。
表1に示すように、この実施の形態では、透明電極24と光路長調整層31の間にある有機層(正孔注入・輸送層26、発光層28、電子輸送・注入層30)が、発光素子15R,15G,15Bの放出光の色にかかわらず発光素子15R,15G,15Bに共通である。つまり、正孔注入・輸送層26、発光層28、電子輸送・注入層30の各々の厚さおよび材料が複数の発光素子15R,15G,15Bについて共通である。従って、同種の層を複数の発光素子15R,15G,15Bにわたって同時に形成することができ、有機層を容易に製造することができる。
上述の通り、半透明半反射層32と反射層22との間の光学的距離L'を適切に設定するにあたって、一般には、発光層28の厚さは数nm 変えただけで発光素子15の発光特性(内部発光スペクトル)が著しく変化するため、放出光の色に応じて発光層28の厚さを変更することは、内部発光スペクトルの変化につながり好ましくない。また、発光層28と反射層22の間の光学的距離L'0を適切に設定するにあたって、一般には、正孔の移動度に比べて電子の移動度は低いため、正孔注入・輸送層26の厚さは大きくすることができてその厚さを数nm変化させても発光素子15の電気特性(電流−電圧特性)および発光特性(内部発光スペクトル)の変化は小さいのに対して、電子輸送・注入層30の厚さは極めて小さくせざるを得ずその厚さを数nm変えただけで発光素子15の電気特性および発光特性が顕著に変化する。従って、半透明半反射層32と反射層22の間の光学的距離L'と発光層28と反射層22の間の光学的距離L'0を最適化する目的で、発光層28を変更すること、ならびに電子輸送・注入層30の厚さを変更することは、電気特性および発光特性の最適化の観点からは必ずしも好ましいことではない。だからといって、透明電極24ならびに正孔注入・輸送層26の厚さのみを変更することで、放出光の色に応じて、半透明半反射層32と反射層22の間の光学的距離L'と発光層28と反射層22の間の光学的距離L'0の両方を最適化することは困難なことが多い。
この実施の形態では、透明電極24が陽極であって、光路長調整層31が陰極であるので、発光層28からみて陽極を挟んだ反対側に反射層22が配置され、発光層28からみて陰極を挟んだ反対側に半透明半反射層32が配置され、陰極と同層に光路長調整層31が配置される。この実施の形態は、透明電極24の厚さおよび/または正孔注入・輸送層26の厚さを調整することで、放出光の色に応じて発光層28と反射層22の間の光学的距離L'0を最適化し、さらに光路長調整層31の厚さを調整することで、放出光の色に応じて半透明半反射層32と反射層22の間の光学的距離L'を最適化するといったように、両方の光学的距離L'L'0が最適になるように有機EL装置を設計するのが容易である。
<第2の実施の形態>
図9は、本発明の第2の実施の形態に係る有機EL装置10の概略を示す断面図である。図9では第1の実施の形態と共通する構成要素を示すために同一の符号が使用されており、それらを詳細には説明しない。第2の実施の形態の有機EL装置10は、第1の実施の形態の有機EL装置1と基本的に類似する構造を有し、第1の実施の形態の説明は、以下の説明と矛盾しない限り、第2の実施の形態でも同様である。また、第1の実施の形態に関する変更は第2の実施の形態にも施すことができる。
但し、第1の実施の形態は単一の発光層28を有するが、図9の第2の実施の形態は、二つの互いに積層された発光層38,39を、正孔注入・輸送層26と電子輸送・注入層30の間に有する。発光層38は、発光が黄色または橙色または赤色波長に強度のピークを持つ第1発光層である。つまり、第1発光層38は通電されると、黄色または橙色または赤色に相当する波長に強度のピークを有する光(赤色および緑色に相当する波長の光成分を含む)を発する。他方、発光層39は、発光がシアンまたは青色波長に強度のピークを持つ第2発光層である。つまり、第2発光層39は通電されると、シアンまたは青色に相当する波長に強度のピークを有する光(青色および緑色に相当する波長の光成分を含む)を発する。図9では、第1発光層38が正孔注入・輸送層26側に配置され、第2発光層39が電子輸送・注入層30側に配置されているが、発光層38,39の順序つまり位置は逆でもよい。
このように二色の発光層38,39が積層されていることにより、ある発光素子15に通電すると、その発光素子15の発光層38,39は協働して白色光を発することができる。但し、各発光素子15においては、干渉または共振によって、特定の波長の光が強められ他の波長の光が弱められる。つまり、発光素子15Rでは、発光層38,39で発した白色光(特に第1発光層38で発した光)のうち赤色が強められて半透明半反射層32から放出される。発光素子15Gでは、発光層38,39で発した白色光のうち緑色が強められて半透明半反射層32から放出される。発光素子15Bでは、発光層38,39で発した白色光(特に第2発光層39で発した光)のうち青色が強められて半透明半反射層32から放出される。
発光層38,39の各々の内部では、一様な強さで発光するのではなく、ある平面(図9の紙面に垂直で図の発光層38と正孔注入・輸送層26との界面に平行な平面)で最も強く発光し、他の位置ではより弱く発光する。図9の仮想線38RSは、発光素子15Rの発光層38R内での最も強く光る平面を示し、仮想線38GSは、発光素子15Gの発光層38G内での最も強く光る平面を示し、仮想線39BSは、発光素子15Bの発光層39B内での最も強く光る平面を示す。
発光素子15Rで赤色のみを強めて半透明半反射層32Rから放出するためには、理論的には、式(43)および式(44)を満たすことが好ましく、式(45)および式(46)を満たすことがさらに好ましい。式(43)および式(44)は、理論的な等式である式(45)および式(46)に±20%の許容差を与えたものである。許容差を与えた理由は、実際には、複雑な多重反射がありうるためである。
0.8×(2π・NR+θ1R+θ2R)×λR/(4π)≦L'R≦1.2×(2π・NR+θ1R+θ2R)×λR/(4π) ...(43)
0.8×(2π・N0R+θ1R)×λR/(4π)≦L'0R≦1.2×(2π・N0R+θ1R)×λR/(4π) ...(44)
(2π・NR+θ1R+θ2R)×λR/(4π)=L'R ...(45)
(2π・N0R+θ1R)×λR/(4π)=L'0R ...(46)
ここで、λRは半透明半反射層32Rを通じて放出される赤色の光のピーク波長(例えば620nmに設定してよい)、θ1Rは反射層22Rで反射するときの波長λRの光の位相変化(rad)、θ2Rは半透明半反射層32Rで反射するときの波長λRの光の位相変化(rad)、NRは1以上の整数、N0Rは1以上の整数である。
式(43)および式(45)のL'Rは、発光素子15Rについての反射層22Rと半透明半反射層32Rの間の光学的距離であり、式(47)で表される。
Figure 2009266459
式(47)において、niRは発光素子15R内の層の屈折率、diRは発光素子15R内の層の厚さを示す。式(47)では、iRは、1以上でX以下であり、反射層22Rと半透明半反射層32Rの間の各層を示し、Xはこれらの層の総数である。
具体的には、図示の実施の形態では、発光素子15Rについての反射層22Rと半透明半反射層32Rの間の光学的距離L'Rは、式(48)で表される。
L'R=n1R・d1R+n2R・d2R+n3R・d3R+n4R・d4R+n5R・d5R+n6R・d6R ...(48)
ここで、n1Rは透明電極24Rの屈折率であり、d1Rは透明電極24Rの厚さである。n2Rは正孔注入・輸送層26Rの屈折率であり、d2Rは正孔注入・輸送層26Rの厚さである。n3Rは第1発光層38Rの屈折率であり、d3Rは第1発光層38Rの厚さである。n4Rは第2発光層39Rの屈折率であり、d4Rは第2発光層39Rの厚さである。n5Rは電子輸送・注入層30Rの屈折率であり、d5Rは電子輸送・注入層30Rの厚さである。n6Rは光路長調整層31Rの屈折率であり、d6Rは光路長調整層31Rの厚さである。
式(44)および式(46)のL'0Rは、第1発光層38Rでの最も強く光る平面38RSと反射層22Rの間の光学的距離であり、式(49)で表される。
Figure 2009266459
式(49)において、niRは発光素子15R内の層の屈折率、diRは発光素子15R内の層の厚さを示す。式(49)では、iRは、1以上でM以下であり、反射層22Rと第1発光層38Rの間の各層を示し、Mはこれらの層の総数である。nNRは第1発光層38Rの屈折率、dN1Rは、第1発光層38Rでの最も強く光る平面38RSと正孔注入・輸送層26Rとの距離を示す。
具体的には、図示の実施の形態では、第1発光層38Rでの最も強く光る平面38RSと反射層22Rの間の光学的距離L'0Rは、式(50)で表される。
L'0R=n3R・d31R+n1R・d1R+n2R・d2R ...(50)
ここで、d31Rは第1発光層38Rでの最も強く光る平面38RSと正孔注入・輸送層26Rとの距離を示す。
発光素子15Gで緑色のみを強めて半透明半反射層32から放出するためには、理論的には、式(51)および式(52)を満たすことが好ましく、式(53)および式(54)を満たすことがさらに好ましい。式(51)および式(52)は、理論的な等式である式(53)および式(54)に±20%の許容差を与えたものである。許容差を与えた理由は、実際には、複雑な多重反射がありうるためである。
0.8×(2π・NG+θ1G+θ2G)×λG/(4π)≦L'G≦1.2×(2π・NG+θ1G+θ2G)×λG/(4π) ...(51)
0.8×(2π・N0G+θ1G)×λG/(4π)≦L'0G≦1.2×(2π・N0G+θ1G)×λG/(4π) ...(52)
(2π・NG+θ1G+θ2G)×λG/(4π)=L'G ...(53)
(2π・N0G+θ1G)×λG/(4π)=L'0G ...(54)
ここで、λGは半透明半反射層32Gを通じて放出される緑色の光のピーク波長(例えば540nmに設定してよい)、θ1Gは反射層22Gで反射するときの波長λGの光の位相変化(rad)、θ2Gは半透明半反射層32Gで反射するときの波長λGの光の位相変化(rad)、NGは1以上の整数、N0Gは1以上の整数である。
式(51)および式(53)のL'Gは、発光素子15Gについての反射層22Gと半透明半反射層32Gの間の光学的距離であり、式(55)で表される。
Figure 2009266459
式(55)において、niGは発光素子15G内の層の屈折率、diGは発光素子15G内の層の厚さを示す。式(55)では、iGは、1以上でX以下であり、反射層22Gと半透明半反射層32Gの間の各層を示し、Xはこれらの層の総数である。
具体的には、図示の実施の形態では、発光素子15Gについての反射層22Gと半透明半反射層32Gの間の光学的距離L'Gは、式(56)で表される。
L'G=n1G・d1G+n2G・d2G+n3G・d3G+n4G・d4G+n5G・d5G+n6G・d6G ...(56)
ここで、n1Gは透明電極24Gの屈折率であり、d1Gは透明電極24Gの厚さである。n2Gは正孔注入・輸送層26Gの屈折率であり、d2Gは正孔注入・輸送層26Gの厚さである。n3Gは第1発光層38Gの屈折率であり、d3Gは第1発光層38Gの厚さである。n4Gは第2発光層39Gの屈折率であり、d4Gは第2発光層39Gの厚さである。n5Gは電子輸送・注入層30Gの屈折率であり、d5Gは電子輸送・注入層30Gの厚さである。n6Gは光路長調整層31Gの屈折率であり、d6Gは光路長調整層31Gの厚さである。
式(52)および式(54)のL'0Gは、第1発光層38Gでの最も強く光る平面38GSと反射層22Gの間の光学的距離であり、式(57)で表される。
Figure 2009266459
式(57)において、niGは発光素子15G内の層の屈折率、diGは発光素子15G内の層の厚さを示す。式(57)では、iGは、1以上でM以下であり、反射層22Gと第1発光層38Gの間の各層を示し、Mはこれらの層の総数である。nNGは第1発光層38Gの屈折率、dN1Gは、第1発光層38Gでの最も強く光る平面38GSと正孔注入・輸送層26Gとの距離を示す。
具体的には、図示の実施の形態では、第1発光層38Gでの最も強く光る平面38GSと反射層22Gの間の光学的距離L'0Gは、式(58)で表される。
L'0G=n3G・d31G+n1G・d1G+n2G・d2G ...(58)
ここで、d31Gは第1発光層38Gでの最も強く光る平面38GSと正孔注入・輸送層26Gとの距離を示す。
発光素子15Bで青色のみを強めて半透明半反射層32から放出するためには、理論的には、式(59)および式(60)を満たすことが好ましく、式(61)および式(62)を満たすことがさらに好ましい。式(59)および式(60)は、理論的な等式である式(61)および式(62)に±20%の許容差を与えたものである。許容差を与えた理由は、実際には、複雑な多重反射がありうるためである。
0.8×(2π・NB+θ1B+θ2B)×λB/(4π)≦L'B≦1.2×(2π・NB+θ1B+θ2B)×λB/(4π) ...(59)
0.8×(2π・N0B+θ1B)×λB/(4π)≦L'0B≦1.2×(2π・N0B+θ1B)×λB/(4π) ...(60)
(2π・NB+θ1B+θ2B)×λB/(4π)=L'B ...(61)
(2π・N0B+θ1B)×λB/(4π)=L'0B ...(62)
ここで、λBは半透明半反射層32Bを通じて放出される青色の光のピーク波長(例えば470nmに設定してよい)、θ1Bは反射層22Bで反射するときの波長λBの光の位相変化(rad)、θ2Bは半透明半反射層32Bで反射するときの波長λBの光の位相変化(rad)、NBは1以上の整数、N0Bは1以上の整数である。
式(59)および式(61)のL'Bは、発光素子15Bについての反射層22Bと半透明半反射層32Bの間の光学的距離であり、式(63)で表される。
Figure 2009266459
式(63)において、niBは発光素子15B内の層の屈折率、diBは発光素子15B内の層の厚さを示す。式(63)では、iBは、1以上でX以下であり、反射層22Bと半透明半反射層32Bの間の各層を示し、Xはこれらの層の総数である。
具体的には、図示の実施の形態では、発光素子15Bについての反射層22Bと半透明半反射層32Bの間の光学的距離L'Bは、式(64)で表される。
L'B=n1B・d1B+n2B・d2B+n3B・d3B+n4B・d4B+n5B・d5B+n6B・d6B ...(64)
ここで、n1Bは透明電極24Bの屈折率であり、d1Bは透明電極24Bの厚さである。n2Bは正孔注入・輸送層26Bの屈折率であり、d2Bは正孔注入・輸送層26Bの厚さである。n3Bは第1発光層38Bの屈折率であり、d3Bは第1発光層38Bの厚さである。n4Bは第2発光層39Bの屈折率であり、d4Bは第2発光層39Bの厚さである。n5Bは電子輸送・注入層30Bの屈折率であり、d5Bは電子輸送・注入層30Bの厚さである。n6Bは光路長調整層31Bの屈折率であり、d6Bは光路長調整層31Bの厚さである。
式(60)および式(62)のL'0Bは、第2発光層39Bでの最も強く光る平面39BSと反射層22Bの間の光学的距離であり、式(65)で表される。
Figure 2009266459
式(65)において、niBは発光素子15B内の層の屈折率、diBは発光素子15B内の層の厚さを示す。式(65)では、iBは、1以上でM以下であり、反射層22Bと第2発光層39Bの間の各層を示し、Mはこれらの層の総数である。nNBは第2発光層39Bの屈折率、dN1Bは、第2発光層39Bでの最も強く光る平面39BSと第1発光層38Bとの距離を示す。
具体的には、図示の実施の形態では、第2発光層39Bでの最も強く光る平面39BSと反射層22Bの間の光学的距離L'0Bは、式(66)で表される。
L'0B=n4B・d41B+n1B・d1B+n2B・d2B+n3B・d3B ...(66)
ここで、d41Bは第2発光層39Bでの最も強く光る平面39BSと第1発光層38Bとの距離を示す。
第2の実施の形態では、放出光の色が緑色である発光素子15Gについての光学的距離L'0Gは、第1発光層38Gでの最も強く光る平面38GSと反射層22Gの間の光学的距離である。しかし、光学的距離L'0Gは、第2発光層39Gでの最も強く光る平面と反射層22Gの間の光学的距離であってもよい。例えば、第1発光層38Gでの発光における緑色波長の成分の強度が第2発光層39Gでの発光における緑色波長の成分より高い場合には、光学的距離L'0Gは、第1発光層38Gでの最も強く光る平面38GSと反射層22Gの間の光学的距離であることが好ましく、逆の場合には、光学的距離L'0Gは、第2発光層39Gでの最も強く光る平面と反射層22Gの間の光学的距離であると好ましい。
<第3の実施の形態>
図10は、本発明の第3の実施の形態に係る有機EL装置11の概略を示す断面図である。図10では第1の実施の形態と共通する構成要素を示すために同一の符号が使用されており、それらを詳細には説明しない。第3の実施の形態の有機EL装置11は、第1の実施の形態の有機EL装置1と基本的に類似する構造を有し、第1の実施の形態の説明は、以下の説明と矛盾しない限り、第3の実施の形態でも同様である。また、第1の実施の形態に関する変更は第3の実施の形態にも施すことができる。
図10の第3の実施の形態は、三つの互いに積層された発光層47,48,49を、正孔注入・輸送層26と電子輸送・注入層30の間に有する。発光層47は、発光が赤色波長に強度のピークを持つ赤色発光層である。つまり、赤色発光層47は通電されると、赤色に相当する波長に強度のピークを有する光を発する。発光層48は、発光が緑色波長に強度のピークを持つ緑色発光層である。つまり、緑色発光層48は通電されると、緑色に相当する波長に強度のピークを有する光を発する。発光層49は、発光が青色波長に強度のピークを持つ青色発光層である。つまり、青色発光層49は通電されると、青色に相当する波長に強度のピークを有する光を発する。図10では、赤色発光層47が正孔注入・輸送層26側に配置され、青色発光層49が電子輸送・注入層30側に配置されているが、発光層47,48,49の順序つまり位置は図示の形態に限られない。
このように三色の発光層47,48,49が積層されていることにより、ある発光素子15に通電すると、その発光素子15の発光層47,48,49は協働して白色光を発することができる。但し、各発光素子15においては、干渉または共振によって、特定の波長の光が強められ他の波長の光が弱められる。つまり、発光素子15Rでは、発光層47,48,49で発した白色光(特に赤色発光層47で発した光)のうち赤色が強められて半透明半反射層32から放出される。発光素子15Gでは、発光層47,48,49で発した白色光(特に緑色発光層48で発した光)のうち緑色が強められて半透明半反射層32から放出される。発光素子15Bでは、発光層47,48,49で発した白色光(特に青色発光層49で発した光)のうち青色が強められて半透明半反射層32から放出される。
発光層47,48,49の各々の内部では、一様な強さで発光するのではなく、ある平面(図10の紙面に垂直で図の発光層47と正孔注入・輸送層26との界面に平行な平面)で最も強く発光し、他の位置ではより弱く発光する。図10の仮想線47RSは、発光素子15Rの赤色発光層47R内での最も強く光る平面を示し、仮想線48GSは、発光素子15Gの緑色発光層48G内での最も強く光る平面を示し、仮想線49BSは、発光素子15Bの青色発光層49B内での最も強く光る平面を示す。
発光素子15Rで赤色のみを強めて半透明半反射層32Rから放出するためには、理論的には、式(66)および式(67)を満たすことが好ましく、式(68)および式(69)を満たすことがさらに好ましい。式(66)および式(67)は、理論的な等式である式(68)および式(69)に±20%の許容差を与えたものである。許容差を与えた理由は、実際には、複雑な多重反射がありうるためである。
0.8×(2π・NR+θ1R+θ2R)×λR/(4π)≦L'R≦1.2×(2π・NR+θ1R+θ2R)×λR/(4π) ...(66)
0.8×(2π・N0R+θ1R)×λR/(4π)≦L'0R≦1.2×(2π・N0R+θ1R)×λR/(4π) ...(67)
(2π・NR+θ1R+θ2R)×λR/(4π)=L'R ...(68)
(2π・N0R+θ1R)×λR/(4π)=L'0R ...(69)
ここで、λRは半透明半反射層32Rを通じて放出される赤色の光のピーク波長(例えば620nmに設定してよい)、θ1Rは反射層22Rで反射するときの波長λRの光の位相変化(rad)、θ2Rは半透明半反射層32Rで反射するときの波長λRの光の位相変化(rad)、NRは1以上の整数、N0Rは1以上の整数である。
式(66)および式(68)のL'Rは、発光素子15Rについての反射層22Rと半透明半反射層32Rの間の光学的距離であり、式(70)で表される。
Figure 2009266459
式(70)において、niRは発光素子15R内の層の屈折率、diRは発光素子15R内の層の厚さを示す。式(70)では、iRは、1以上でX以下であり、反射層22Rと半透明半反射層32Rの間の各層を示し、Xはこれらの層の総数である。
具体的には、図示の実施の形態では、発光素子15Rについての反射層22Rと半透明半反射層32Rの間の光学的距離L'Rは、式(71)で表される。
L'R=n1R・d1R+n2R・d2R+n3R・d3R+n4R・d4R+n5R・d5R+n6R・d6R+n7R・d7R ...(71)
ここで、n1Rは透明電極24Rの屈折率であり、d1Rは透明電極24Rの厚さである。n2Rは正孔注入・輸送層26Rの屈折率であり、d2Rは正孔注入・輸送層26Rの厚さである。n3Rは赤色発光層47Rの屈折率であり、d3Rは赤色発光層47Rの厚さである。n4Rは緑色発光層48Rの屈折率であり、d4Rは緑色発光層48Rの厚さである。n5Rは青色発光層49Rの屈折率であり、d5Rは青色発光層49Rの厚さである。n6Rは電子輸送・注入層30Rの屈折率であり、d6Rは電子輸送・注入層30Rの厚さである。n7Rは光路長調整層31Rの屈折率であり、d7Rは光路長調整層31Rの厚さである。
式(67)および式(69)のL'0Rは、赤色発光層47Rでの最も強く光る平面47RSと反射層22Rの間の光学的距離であり、式(72)で表される。
Figure 2009266459
式(72)において、niRは発光素子15R内の層の屈折率、diRは発光素子15R内の層の厚さを示す。式(72)では、iRは、1以上でM以下であり、反射層22Rと赤色発光層47Rの間の各層を示し、Mはこれらの層の総数である。nNRは赤色発光層47Rの屈折率、dN1Rは、赤色発光層47Rでの最も強く光る平面47RSと正孔注入・輸送層26Rとの距離を示す。
具体的には、図示の実施の形態では、赤色発光層47Rでの最も強く光る平面47RSと反射層22Rの間の光学的距離L'0Rは、式(73)で表される。
L'0R=n3R・d31R+n1R・d1R+n2R・d2R ...(73)
ここで、d31Rは赤色発光層47Rでの最も強く光る平面47RSと正孔注入・輸送層26Rとの距離を示す。
発光素子15Gで緑色のみを強めて半透明半反射層32から放出するためには、理論的には、式(74)および式(75)を満たすことが好ましく、式(76)および式(77)を満たすことがさらに好ましい。式(74)および式(75)は、理論的な等式である式(76)および式(77)に±20%の許容差を与えたものである。許容差を与えた理由は、実際には、複雑な多重反射がありうるためである。
0.8×(2π・NG+θ1G+θ2G)×λG/(4π)≦L'G≦1.2×(2π・NG+θ1G+θ2G)×λG/(4π) ...(74)
0.8×(2π・N0G+θ1G)×λG/(4π)≦L'0G≦1.2×(2π・N0G+θ1G)×λG/(4π) ...(75)
(2π・NG+θ1G+θ2G)×λG/(4π)=L'G ...(76)
(2π・N0G+θ1G)×λG/(4π)=L'0G ...(77)
ここで、λGは半透明半反射層32Gを通じて放出される緑色の光のピーク波長(例えば540nmに設定してよい)、θ1Gは反射層22Gで反射するときの波長λGの光の位相変化(rad)、θ2Gは半透明半反射層32Gで反射するときの波長λGの光の位相変化(rad)、NGは1以上の整数、N0Gは1以上の整数である。
式(74)および式(76)のL'Gは、発光素子15Gについての反射層22Gと半透明半反射層32Gの間の光学的距離であり、式(78)で表される。
Figure 2009266459
式(78)において、niGは発光素子15G内の層の屈折率、diGは発光素子15G内の層の厚さを示す。式(78)では、iGは、1以上でX以下であり、反射層22Gと半透明半反射層32Gの間の各層を示し、Xはこれらの層の総数である。
具体的には、図示の実施の形態では、発光素子15Gについての反射層22Gと半透明半反射層32Gの間の光学的距離L'Gは、式(79)で表される。
L'G=n1G・d1G+n2G・d2G+n3G・d3G+n4G・d4G+n5G・d5G+n6G・d6G+n7G・d7G ...(79)
ここで、n1Gは透明電極24Gの屈折率であり、d1Gは透明電極24Gの厚さである。n2Gは正孔注入・輸送層26Gの屈折率であり、d2Gは正孔注入・輸送層26Gの厚さである。n3Gは赤色発光層47Gの屈折率であり、d3Gは赤色発光層47Gの厚さである。n4Gは緑色発光層48Gの屈折率であり、d4Gは緑色発光層48Gの厚さである。n5Gは青色発光層49Gの屈折率であり、d5Gは青色発光層49Gの厚さである。n6Gは電子輸送・注入層30Gの屈折率であり、d6Gは電子輸送・注入層30Gの厚さである。n7Gは光路長調整層31Gの屈折率であり、d7Gは光路長調整層31Gの厚さである。
式(75)および式(77)のL'0Gは、緑色発光層48Gでの最も強く光る平面48GSと反射層22Gの間の光学的距離であり、式(80)で表される。
Figure 2009266459
式(80)において、niGは発光素子15G内の層の屈折率、diGは発光素子15G内の層の厚さを示す。式(80)では、iGは、1以上でM以下であり、反射層22Gと緑色発光層48Gの間の各層を示し、Mはこれらの層の総数である。nNGは緑色発光層48Gの屈折率、dN1Gは、緑色発光層48Gでの最も強く光る平面48GSと赤色発光層47Gとの距離を示す。
具体的には、図示の実施の形態では、緑色発光層48Gでの最も強く光る平面48GSと反射層22Gの間の光学的距離L'0Gは、式(81)で表される。
L'0G=n4G・d41G+n1G・d1G+n2G・d2G+n3G・d3G ...(81)
ここで、d41Gは緑色発光層48Gでの最も強く光る平面48GSと赤色発光層47Gとの距離を示す。
発光素子15Bで青色のみを強めて半透明半反射層32から放出するためには、理論的には、式(82)および式(83)を満たすことが好ましく、式(84)および式(85)を満たすことがさらに好ましい。式(82)および式(83)は、理論的な等式である式(84)および式(85)に±20%の許容差を与えたものである。許容差を与えた理由は、実際には、複雑な多重反射がありうるためである。
0.8×(2π・NB+θ1B+θ2B)×λB/(4π)≦L'B≦1.2×(2π・NB+θ1B+θ2B)×λB/(4π) ...(82)
0.8×(2π・N0B+θ1B)×λB/(4π)≦L'0B≦1.2×(2π・N0B+θ1B)×λB/(4π) ...(83)
(2π・NB+θ1B+θ2B)×λB/(4π)=L'B ...(84)
(2π・N0B+θ1B)×λB/(4π)=L'0B ...(85)
ここで、λBは半透明半反射層32Bを通じて放出される青色の光のピーク波長(例えば470nmに設定してよい)、θ1Bは反射層22Bで反射するときの波長λBの光の位相変化(rad)、θ2Bは半透明半反射層32Bで反射するときの波長λBの光の位相変化(rad)、NBは1以上の整数、N0Bは1以上の整数である。
式(82)および式(84)のL'Bは、発光素子15Bについての反射層22Bと半透明半反射層32Bの間の光学的距離であり、式(86)で表される。
Figure 2009266459
式(86)において、niBは発光素子15B内の層の屈折率、diBは発光素子15B内の層の厚さを示す。式(86)では、iBは、1以上でX以下であり、反射層22Bと半透明半反射層32Bの間の各層を示し、Xはこれらの層の総数である。
具体的には、図示の実施の形態では、発光素子15Bについての反射層22Bと半透明半反射層32Bの間の光学的距離L'Bは、式(87)で表される。
L'B=n1B・d1B+n2B・d2B+n3B・d3B+n4B・d4B+n5B・d5B+n6B・d6B+n7B・d7B ...(87)
ここで、n1Bは透明電極24Bの屈折率であり、d1Bは透明電極24Bの厚さである。n2Bは正孔注入・輸送層26Bの屈折率であり、d2Bは正孔注入・輸送層26Bの厚さである。n3Bは赤色発光層47Bの屈折率であり、d3Bは赤色発光層47Bの厚さである。n4Bは緑色発光層48Bの屈折率であり、d4Bは緑色発光層48Bの厚さである。n5Bは青色発光層49Bの屈折率であり、d5Bは青色発光層49Bの厚さである。n6Bは電子輸送・注入層30Bの屈折率であり、d6Bは電子輸送・注入層30Bの厚さである。n7Bは光路長調整層31Bの屈折率であり、d7Bは光路長調整層31Bの厚さである。
式(83)および式(85)のL'0Bは、青色発光層49Bでの最も強く光る平面49BSと反射層22Bの間の光学的距離であり、式(88)で表される。
Figure 2009266459
式(88)において、niBは発光素子15B内の層の屈折率、diBは発光素子15B内の層の厚さを示す。式(88)では、iBは、1以上でM以下であり、反射層22Bと青色発光層49Bの間の各層を示し、Mはこれらの層の総数である。nNBは青色発光層49Bの屈折率、dN1Bは、青色発光層49Bでの最も強く光る平面49BSと緑色発光層48の距離を示す。
具体的には、図示の実施の形態では、青色発光層49Bでの最も強く光る平面49BSと反射層22Bの間の光学的距離L'0Bは、式(89)で表される。
L'0B=n5B・d51B+n1B・d1B+n2B・d2B+n3B・d3B+n4B・d4B ...(89)
ここで、d51Bは青色発光層49Bでの最も強く光る平面49BSと緑色発光層48の距離を示す。
<他の変形>
上記の実施の形態の有機EL装置1,10,11では、発光層は低分子材料であり、陽極から陰極までの各層は、例えば蒸着のような堆積法で真空中で形成する。しかし、発光層を高分子材料とし、陽極から陰極までの各層の少なくともいずれかをインクジェット法、ディスペンサ法などの液体供給方法で、形成してもよい。
また、陽極から陰極までの各層は、図示の形態に限定されず、他の層があってもよいし、電子輸送・注入層30が削除されてもよい。
上記の実施の形態の有機EL装置1,10,11では、反射層22は透明電極24に接している。しかし、両者の間に例えば酸化珪素などの絶縁性透明材料から形成された層を配置してもよい。
図11は、上述した各種の実施の形態で使用されうる層の配置の変形を示す断面図である。上記の実施の形態の有機EL装置1,10,11では、共通電極と光路長調整層を同一層の光路長調整層31で実現している。しかし、図11に示すように、陰極である共通電極(第2の電極)33を光路長調整層31と別途設け、共通電極33が有機層である電子輸送・注入層30に接するように配置してもよい。この変形では、半透明半反射層32と共通電極33の間に光路長調整層31が配置される。共通電極33は、CaO、SrO、ITO、IZOのような透明な導電性の高い材料から形成されている。光路長調整層31は、例えばSiN、SiON、SiOなどの透明な無機の絶縁性材料から形成される。電気特性または製造上の寸法精度などの各種の理由で共通電極を厚くするのが困難な場合があり、このような場合に、放出される光の色に応じて、光学的距離L'を最適化するため、共通電極の厚さを発光素子の放出光の色ごとに変えるのは実用的でないことがありうる。光路長調整層31を共通電極33と別途設けることで、光路長調整層31の厚さを放出光の色ごとに変えて、放出される光の色に応じて、光学的距離L'を最適化することが容易になる。また、半透明半反射層32が例えばMgAl、MgCu、MgAu、MgAgのような導電体から形成される場合には、無機の絶縁材料から形成された光路長調整層31は、半透明半反射層32と共通電極33の間を絶縁することができて好ましい。
図11の変形において、状況によっては光学的距離L'を最適化するため、光路長調整層31に加えて、共通電極33の厚さを発光素子の放出光の色ごとに変えてもよい。この場合には、共通電極33を第2の光路長調整層とみなすことができる。さらに、光路長調整層31と共通電極33の間または光路長調整層31と半透明半反射層32の間に透光性の高い材料から形成された層(発光素子の放出光の色にかかわらず均一な厚さの層)を配置してもよい。
上記の実施の形態の有機EL装置1,10,11は、トップエミッションタイプである。しかし、本発明をボトムエミッションに利用することも可能である。ボトムエミッションタイプの場合には、反射層を半透明半反射層よりも基板から遠い位置に配置し、反射層と半透明半反射層の間に発光層を配置すればよい。
<応用>
次に、本発明に係る有機EL装置を適用した電子機器について説明する。図12は、上記実施形態に係る有機EL装置1,10または11を画像表示装置に利用したモバイル型のパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。パーソナルコンピュータ2000は、表示装置としての有機EL装置1と本体部2010とを備える。本体部2010には、電源スイッチ2001およびキーボード2002が設けられている。
図13に、上記実施形態に係る有機EL装置1,10または11を適用した携帯電話機を示す。携帯電話機3000は、複数の操作ボタン3001およびスクロールボタン3002、ならびに表示装置としての有機EL装置1を備える。スクロールボタン3002を操作することによって、有機EL装置1に表示される画面がスクロールされる。
図14に、上記実施形態に係る有機EL装置1,10または11を適用した情報携帯端末(PDA:Personal Digital Assistant)を示す。情報携帯端末4000は、複数の操作ボタン4001および電源スイッチ4002、ならびに表示装置としての有機EL装置1を備える。電源スイッチ4002を操作すると、住所録やスケジュール帳といった各種の情報が有機EL装置1に表示される。
本発明に係る有機EL装置が適用される電子機器としては、図12から図14に示したもののほか、デジタルスチルカメラ、テレビ、ビデオカメラ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電子ペーパー、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、ビデオプレーヤ、タッチパネルを備えた機器等が挙げられる。
本発明の第1の実施の形態に係る有機EL装置の概略を示す断面図である。 図1の有機EL装置の発光層での内部発光スペクトルを示すグラフである。 第1の実施の形態での赤色を放出する発光素子の放出光のスペクトルを示すグラフである。 図3と比較される他の赤色の発光素子の放出光のスペクトルを示すグラフである。 第1の実施の形態での緑色を放出する発光素子の放出光のスペクトルを示すグラフである。 図5と比較される他の緑色の発光素子の放出光のスペクトルを示すグラフである。 第1の実施の形態での青色を放出する発光素子の放出光のスペクトルを示すグラフである。 図7と比較される他の青色の発光素子の放出光のスペクトルを示すグラフである。 本発明の第2の実施の形態に係る有機EL装置の概略を示す断面図である。 本発明の第3の実施の形態に係る有機EL装置の概略を示す断面図である。 本発明の実施の形態で使用されうる層の配置の変形を示す断面図である。 本発明に係る有機EL装置を適用した電子機器を示す斜視図である。 本発明に係る有機EL装置を適用した他の電子機器を示す斜視図である。 本発明に係る有機EL装置を適用したさらに他の電子機器を示す斜視図である。
符号の説明
1 有機EL装置、10 有機EL装置、11 有機EL装置、15(15R,15G,15B) 発光素子、20 基板、22 反射層、24 透明電極(第1の電極)、26 正孔注入・輸送層(有機層)、28 発光層(有機層)、30 電子輸送・注入層(有機層)、31 光路長調整層(第2の電極)、32 半透明半反射層、33 共通電極(第2の電極)、38 第1発光層、39 青色発光層、47 赤色発光層、48 緑色発光層、49 青色発光層。

Claims (8)

  1. 透光性を有する第1の電極と、
    透光性を有する第2の電極と、
    前記第1の電極と前記第2の電極の間に配置され発光層を含む有機層と、
    前記発光層からみて前記第1の電極を挟んだ反対側に配置されて前記発光層からの光を前記第2の電極に向けて反射する反射層と、
    前記発光層からみて前記第2の電極を挟んだ反対側に配置された半透明半反射層と、
    前記第2の電極と同層または前記半透明半反射層と前記第2の電極との間に配置された透光性を有する光路長調整層とを備え、
    前記反射層と前記半透明半反射層の間の光学的距離L'が、式(1)で表される範囲にあり、
    前記発光層での最も強く光る位置と前記反射層の間の光学的距離L'0が、式(2)で表される範囲にあり、
    λは前記第2の電極を通じて放出される光のピーク波長、θは前記反射層で反射するときの波長λの光の位相変化(rad)、θは前記半透明半反射層で反射するときの波長λの光の位相変化(rad)、Nは1以上の整数、N0は1以上の整数である、有機EL装置。
    0.8×(2π・N+θ+θ)×λ/(4π)≦L'≦1.2×(2π・N+θ+θ)×λ/(4π) ...(1)
    0.8×(2π・N0+θ)×λ/(4π)≦L'0≦1.2×(2π・N0+θ)×λ/(4π) ...(2)
  2. 放出光の色が赤色である発光素子と、
    放出光の色が緑色である発光素子と、
    放出光の色が青色である発光素子とを備え、
    前記発光素子の各々が、
    透光性を有する第1の電極と、
    透光性を有する第2の電極と、
    前記第1の電極と前記第2の電極の間に配置され発光層を含む有機層と、
    前記発光層からみて前記第1の電極を挟んだ反対側に配置されて前記発光層からの光を前記第2の電極に向けて反射する反射層と、
    前記発光層からみて前記第2の電極を挟んだ反対側に配置された半透明半反射層と、
    前記第2の電極と同層または前記半透明半反射層と前記第2の電極との間に配置された透光性を有する光路長調整層とを備え、
    前記発光素子の各々において、前記反射層と前記半透明半反射層の間の光学的距離L'が、式(3)で表される範囲にあり、
    前記発光素子の各々において、前記発光層での最も強く光る位置と前記反射層の間の光学的距離L'0が、式(4)で表される範囲にあり、
    λは前記第2の電極を通じて放出される光のピーク波長、θは前記反射層で反射するときの波長λの光の位相変化(rad)、θは前記半透明半反射層で反射するときの波長λの光の位相変化(rad)、Nは1以上の整数、N0は1以上の整数である、有機EL装置。
    0.8×(2π・N+θ+θ)×λ/(4π)≦L'≦1.2×(2π・N+θ+θ)×λ/(4π) ...(3)
    0.8×(2π・N0+θ)×λ/(4π)≦L'0≦1.2×(2π・N0+θ)×λ/(4π) ...(4)
  3. 放出光の色が赤色である発光素子と、
    放出光の色が緑色である発光素子と、
    放出光の色が青色である発光素子とを備え、
    前記発光素子の各々が、
    透光性を有する第1の電極と、
    透光性を有する第2の電極と、
    前記第1の電極と前記第2の電極の間に配置され発光層を含む有機層と、
    前記発光層からみて前記第1の電極を挟んだ反対側に配置されて前記発光層からの光を前記第2の電極に向けて反射する反射層と、
    前記発光層からみて前記第2の電極を挟んだ反対側に配置された半透明半反射層と、
    前記第2の電極と同層または前記半透明半反射層と前記第2の電極との間に配置された透光性を有する光路長調整層とを備え、
    前記発光素子の各々において、前記発光層は、互いに積層された、発光が黄色または橙色または赤色波長に強度のピークを持つ第1発光層と、発光がシアンまたは青色波長に強度のピークを持つ第2発光層とを有しており、
    放出光の色が赤色である前記発光素子については、前記反射層と前記半透明半反射層の間の光学的距離L'Rが、式(5)で表される範囲にあり、
    放出光の色が赤色である前記発光素子については、前記第1発光層での最も強く光る位置と前記反射層の間の光学的距離L'0Rが、式(6)で表される範囲にあり、
    λRは前記第2の電極を通じて放出される赤色の光のピーク波長、θ1Rは前記反射層で反射するときの波長λRの光の位相変化(rad)、θ2Rは前記半透明半反射層で反射するときの波長λRの光の位相変化(rad)、NRは1以上の整数、N0Rは1以上の整数であり、
    放出光の色が緑色である前記発光素子については、前記反射層と前記半透明半反射層の間の光学的距離L'Gが、式(7)で表される範囲にあり、
    放出光の色が緑色である前記発光素子については、前記第1発光層または前記第2発光層での最も強く光る位置と前記反射層の間の光学的距離L'0Gが、式(8)で表される範囲にあり、
    λGは前記第2の電極を通じて放出される緑色の光のピーク波長、θ1Gは前記反射層で反射するときの波長λGの光の位相変化(rad)、θ2Gは前記半透明半反射層で反射するときの波長λGの光の位相変化(rad)、NGは1以上の整数、N0Gは1以上の整数であり、
    放出光の色が青色である前記発光素子については、前記反射層と前記半透明半反射層の間の光学的距離L'Bが、式(9)で表される範囲にあり、
    放出光の色が青色である前記発光素子については、前記第2発光層での最も強く光る位置と前記反射層の間の光学的距離L'0Bが、式(10)で表される範囲にあり、
    λBは前記第2の電極を通じて放出される青色の光のピーク波長、θ1Bは前記反射層で反射するときの波長λBの光の位相変化(rad)、θ2Bは前記半透明半反射層で反射するときの波長λBの光の位相変化(rad)、NBは1以上の整数、N0Bは1以上の整数である、有機EL装置。
    0.8×(2π・NR+θ1R+θ2R)×λR/(4π)≦L'R≦1.2×(2π・NR+θ1R+θ2R)×λR/(4π) ...(5)
    0.8×(2π・N0R+θ1R)×λR/(4π)≦L'0R≦1.2×(2π・N0R+θ1R)×λR/(4π) ...(6)
    0.8×(2π・NG+θ1G+θ2G)×λG/(4π)≦L'G≦1.2×(2π・NG+θ1G+θ2G)×λG/(4π) ...(7)
    0.8×(2π・N0G+θ1G)×λG/(4π)≦L'0G≦1.2×(2π・N0G+θ1G)×λG/(4π) ...(8)
    0.8×(2π・NB+θ1B+θ2B)×λB/(4π)≦L'B≦1.2×(2π・NB+θ1B+θ2B)×λB/(4π) ...(9)
    0.8×(2π・N0B+θ1B)×λB/(4π)≦L'0B≦1.2×(2π・N0B+θ1B)×λB/(4π) ...(10)
  4. 放出光の色が赤色である発光素子と、
    放出光の色が緑色である発光素子と、
    放出光の色が青色である発光素子とを備え、
    前記発光素子の各々が、
    透光性を有する第1の電極と、
    透光性を有する第2の電極と、
    前記第1の電極と前記第2の電極の間に配置され発光層を含む有機層と、
    前記発光層からみて前記第1の電極を挟んだ反対側に配置されて前記発光層からの光を前記第2の電極に向けて反射する反射層と、
    前記発光層からみて前記第2の電極を挟んだ反対側に配置された半透明半反射層と、
    前記第2の電極と同層または前記半透明半反射層と前記第2の電極との間に配置された透光性を有する光路長調整層とを備え、
    前記発光素子の各々において、前記発光層は、互いに積層された、発光が赤色波長に強度のピークを持つ赤色発光層と、発光が緑色波長に強度のピークを持つ緑色発光層と、発光が青色波長に強度のピークを持つ青色発光層とを有しており、
    放出光の色が赤色である前記発光素子については、前記反射層と前記半透明半反射層の間の光学的距離L'Rが、式(11)で表される範囲にあり、
    放出光の色が赤色である前記発光素子については、前記赤色発光層での最も強く光る位置と前記反射層の間の光学的距離L'0Rが、式(12)で表される範囲にあり、
    λRは前記第2の電極を通じて放出される赤色の光のピーク波長、θ1Rは前記反射層で反射するときの波長λRの光の位相変化(rad)、θ2Rは前記半透明半反射層で反射するときの波長λRの光の位相変化(rad)、NRは1以上の整数、N0Rは1以上の整数であり、
    放出光の色が緑色である前記発光素子については、前記反射層と前記半透明半反射層の間の光学的距離L'Gが、式(13)で表される範囲にあり、
    放出光の色が緑色である前記発光素子については、前記緑色発光層での最も強く光る位置と前記反射層の間の光学的距離L'0Gが、式(14)で表される範囲にあり、
    λGは前記第2の電極を通じて放出される緑色の光のピーク波長、θ1Gは前記反射層で反射するときの波長λGの光の位相変化(rad)、θ2Gは前記半透明半反射層で反射するときの波長λGの光の位相変化(rad)、NGは1以上の整数、N0Gは1以上の整数であり、
    放出光の色が青色である前記発光素子については、前記反射層と前記半透明半反射層の間の光学的距離L'Bが、式(15)で表される範囲にあり、
    放出光の色が青色である前記発光素子については、前記青色発光層での最も強く光る位置と前記反射層の間の光学的距離L'0Bが、式(16)で表される範囲にあり、
    λBは前記第2の電極を通じて放出される青色の光のピーク波長、θ1Bは前記反射層で反射するときの波長λBの光の位相変化(rad)、θ2Bは前記半透明半反射層で反射するときの波長λBの光の位相変化(rad)、NBは1以上の整数、N0Bは1以上の整数である、有機EL装置。
    0.8×(2π・NR+θ1R+θ2R)×λR/(4π)≦L'R≦1.2×(2π・NR+θ1R+θ2R)×λR/(4π) ...(11)
    0.8×(2π・N0R+θ1R)×λR/(4π)≦L'0R≦1.2×(2π・N0R+θ1R)×λR/(4π) ...(12)
    0.8×(2π・NG+θ1G+θ2G)×λG/(4π)≦L'G≦1.2×(2π・NG+θ1G+θ2G)×λG/(4π) ...(13)
    0.8×(2π・N0G+θ1G)×λG/(4π)≦L'0G≦1.2×(2π・N0G+θ1G)×λG/(4π) ...(14)
    0.8×(2π・NB+θ1B+θ2B)×λB/(4π)≦L'B≦1.2×(2π・NB+θ1B+θ2B)×λB/(4π) ...(15)
    0.8×(2π・N0B+θ1B)×λB/(4π)≦L'0B≦1.2×(2π・N0B+θ1B)×λB/(4π) ...(16)
  5. 放出光の色が赤色である発光素子と、
    放出光の色が緑色である発光素子と、
    放出光の色が青色である発光素子とを備え、
    前記発光素子の各々が、
    透光性を有する第1の電極と、
    透光性を有する第2の電極と、
    前記第1の電極と前記第2の電極の間に配置され発光層を含む有機層と、
    前記発光層からみて前記第1の電極を挟んだ反対側に配置されて前記発光層からの光を前記第2の電極に向けて反射する反射層と、
    前記発光層からみて前記第2の電極を挟んだ反対側に配置された半透明半反射層と、
    前記第2の電極と同層または前記半透明半反射層と前記第2の電極との間に配置された透光性を有する光路長調整層とを備え、
    前記光路長調整層の厚さが、前記発光素子の放出光の色によって異なる、有機EL装置。
  6. 前記第1の電極と前記光路長調整層の間にある有機層が、前記発光素子の放出光の色にかかわらず複数の前記発光素子に共通である、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の有機EL装置。
  7. 前記第1の電極が陽極であって、前記第2の電極が陰極である、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の有機EL装置。
  8. 請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の有機EL装置を備える電子機器。
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