図1は、本発明のEL表示装置の画素構成である。また、図3は、画素16がマトリックス状に配置された表示領域31に、ゲートドライバ回路12およびソースドライバIC14が接続された構成図である。
ゲートドライバ回路12には、クロック信号(CLK)、スタート信号(ST1、ST2)などは、アップダウン信号(UP)が印加される。クロック信号(CLK)は、水平同期信号(HD)に同期している。また、必要に応じて、EL表示装置内に内蔵する発振モジュールでクロック信号(CLK)を発生させる。スタート信号(ST2)を制御することにより、点灯率制御を実現できる。クロック信号(CLK)、スタート信号(ST1、ST2)、アップダウン信号(UP)などゲートドライバ回路12に印加する信号は、ソースドライバIC14で発生し、アレイ基板に形成したレベルシフタ回路でレベルシフトしてゲートドライバ回路12に印加される。
点灯率にあわせてEL表示装置で表示する階調数を変化させることが好ましい。例えば、点灯率が50%以上では、フル階調の1/2の範囲(1024階調の場合は、512階調)で、画像を表示し、50%以下では、フル階調の範囲で画像を表示する。
なお、点灯率とは、duty駆動などピーク電流を抑制しないノーマルの駆動方式において、最大階調での白ラスター表示を100%とした割合である。したがって、黒ラスター表示では点灯率は0%である。
クロック信号(CLK)は、選択する画素行を順次移動させるための信号である。スタートパルス信号(ST)は、選択する画素行を指定するための信号である。スタートパルス信号(ST)はクロック信号(CLK)により、ゲートドライバ回路12のシフトレジスタ回路内を移動する。アップダウン信号は、画面の上下反転切換信号である。シフトレジスタ回路内のスタートパルス位置にしたがって、ゲート信号線17が選択される(ゲート信号線17にオン電圧(VGL)が印加される)。
一例としてカソード電圧Vssは、−4.5V〜−1.0Vであり、アノード電圧Vddは、3.5V〜7.0Vである。Vss、Vdd、VGH、VGLなどは電源回路から供給され、必要に応じて各電圧の値は変更設定される。
図1において、画素16は、2つのコンデンサ19a、19bと5つのスイッチ用トランジスタ(11b、11c、11d、11e、11f)と1つの駆動用トランジスタ11aで構成される。トランジスタ11bは、トランジスタ11aをダイオード接続(Diode-connected)させて、閾値電圧を補償するための閾値電圧補償トランジスタである。トランジスタ11fは、コンデンサ19aを初期化させるためリセット電圧Vrstを印加するための初期化トランジスタである。トランジスタ11dは、EL素子15の発光を制御するためのトランジスタである。
スイッチ用トランジスタ11b、11fはオフリークと小さくする必要があるため、ディアルゲート以上の複数ゲート構成にする。ただし、スイッチ用トランジスタ11b、11fのオフ特性が十分である場合は、シングルゲート構成であってもよい。
コンデンサ19aは、駆動トランジスタ11aのゲート端子の電位を保持する保持用のコンデンサである。コンデンサ19bは、ソース信号線18に印加され、画素16に印加された映像信号を画素16内で保持するものである。
スイッチ用トランジスタ11cは、ゲート信号線17aにゲート電極が接続され、ソース信号線18にソース電極が接続され、ゲートドライバ回路12aからの選択信号によりオンオフ制御される。
駆動トランジスタ11aは、トランジスタ11cのドレイン電極にソース電極が接続される。閾値電圧補償トランジスタ11bのソースまたはドレイン電極と、コンデンサ19aの第1の端子が共通接続され、駆動用トランジスタ11aのゲート電圧が決定される。したがって、駆動用トランジスタ11aは、ゲート電極に印加された電圧に相当する駆動電流を生成する。
閾値電圧補償トランジスタ11bは、前記駆動トランジスタ11aのゲート電極とソース電極との間に接続され、ゲート信号線17cに印加されるスキャン信号に応答して駆動用トランジスタ11aをダイオード接続させる。したがって、前記スキャン信号によって駆動用トランジスタ11aは、ダイオードのような状態になり、駆動用トランジスタ11aのゲート端子に電圧Vdata−Vth[V]が印加され、これは、前記駆動用トランジスタ11aのゲート電圧となる。なお、電圧Vdataは、ソースドライバIC14がソース信号線18に出力された映像信号である。また、Vthでは、駆動用トランジスタ11aに閾値電圧である。
初期化トランジスタ11fは、リセット電圧ラインVrstとコンデンサ19aの第1の端子との間に接続され、ゲート信号線17dのスキャン信号に応答して、前記コンデンサ19aに充填された電荷は前記リセット電圧ラインVrstを介して放電させることによって、前記コンデンサ19aを初期化させる。
トランジスタ11eは、第1の電源電圧ラインVddと駆動用トランジスタ11aのソース電極との間に接続され、ゲート電極に接続したゲート信号線17bを介して伝達される発光制御信号によりオンとなり、第1の電源電圧Vddを前記駆動用トランジスタ11aのソース電極に印加する。
トランジスタ11dは、駆動用トランジスタ11aとEL素子15との間に接続され、ゲート電極に接続した前記ゲート信号線17bを介して伝達される発光制御信号に応答して前記駆動用トランジスタ11aで生成される前記駆動電流を前記EL素子15に伝達する。
コンデンサ19aは、第1の電源電圧ラインVddと駆動用トランジスタ11aのゲート電極との間に接続され、第1の電源電圧Vddと前記駆動用トランジスタ11aのゲート電極に印加される電圧Vdata−Vth[V]の電圧差に該当する電荷を1フレームの間に維持する。
なお、ゲート信号線17に印加される電圧は、オフ電圧(VGH)とオン電圧(VGL)であり、VGH電圧の印加により、スイッチ用トランジスタ11(11b、11c、11d、11e、11f)がオフし、VGL電圧の印加により、スイッチ用トランジスタ11(11b、11c、11d、11e、11f)がオンする。ただし、図3に図示するように、VGH電圧は、ゲートドライバ回路12aとゲートドライバ回路12bで共通であるば、VGL電圧は、ゲートドライバ回路12aでは、VGL1とし、ゲートドライバ回路12bでは、VGL2としている。つまり、ゲートドライバ回路12aと12bでは、オン電圧を異ならせている。
したがって、ゲート信号線17a、ゲート信号線17cに印加されるオン電圧はVGL1であり、ゲート信号線17b、ゲート信号線17dに印加されるオン電圧はVGL2である。また、VGL1>VGL2なる関係となるように設定されている。なお、ゲート信号線17aに印加されるVGHとゲート信号線17dに印加されるVGHとを異ならせてもよい。
なお、本発明実施例において、駆動用トランジスタ11aはPチャンネルトランジスタたがこれに限定するものでなく、Nチャンネルトランジスタであってもよい。この場合は、オン電圧がVGHとなり、オフ電圧がVGLとなる。また、また、駆動用トランジスタ11aのソース端子はアノード電圧Vddと接続されているとして説明するが、これに限定するものではない。例えば、カソード電圧Vssあるいはグランド電圧GNDに接続されていてもよい。また、コンデンサ18は、トランジスタ11のゲート絶縁膜容量によるコンデンサで代用してもよい。
ゲートドライバ回路12aには、ゲート信号線17aを選択するスタートパルスST1、ゲート信号線17cを選択するスタートパルスST2、スタートパルスを順次シフトするクロック信号(CLK)が印加される。UDは、ゲートドライバ回路12a内のスタートパルスの上下シフトレジスタ方向を切り替える信号である。ゲートドライバ回路12bには、ゲート信号線17bを選択するスタートパルスST3、ゲート信号線17dを選択するスタートパルスST4、スタートパルスを順次シフトするクロック信号(CLK)が印加される。なお、必要に応じて、ゲートドライバ回路12には、イネーブル制御端子を付加することが好ましい。ゲートドライバ回路12内には、シフトレジスタ回路が形成されており、スタートパルスをクロック信号(CLK)に同期して順次シフトさせ、選択するゲート信号線17位置を変化させる。
図2は、ゲート信号線17a、17b、17c、17dに印加される駆動電圧、ソース信号線18の映像信号電圧、EL素子15の発光状態を示す。
なお、図2では、説明を容易にするため、オフ電圧をVGHとし、オン電圧をVGLとする。また、ソース信号線18に印加される電圧Vdataは、グランド電圧(GND)=0Vとし、アノード電圧Vdd以下としている。なお、1Hとは1水平走査期間である。また、図2は模式的なものであり、1Hが数Hとしてもよく、1Hは1Hより短い期間としてもよい。なお、VGH電圧は、Vdd電圧よりも0.5V以上3.0V以下の電圧に設定される。
画素16には、1tからatの期間に、ゲート信号線17dにオン電圧が印加される。オン電圧(VGL)の印加により、トランジスタ11fがオンし、リセット電圧Vrstが駆動用トランジスタ11aのゲート端子にリセット電圧Vrstが印加される(a点)。
リセット電圧Vrstの印加により、駆動用トランジスタ11aは、リセット状態になる。なお、リセット電圧Vrstは、GND電圧以下−5(V)以上の電圧に設定すべきである。また、リセット電圧Vrstは、映像信号電圧Vdataに対応して変化させてもよい。例えば、映像信号の階調番号に対応させてリセット電圧Vrstを変化させる。また、リセット電圧Vrstは、赤(R)、緑(G)、青(B)の映像信号電圧で変化させてもよい。RGBで映像信号の振幅が異なるからである。この場合は、階調番号に対応せず、各RGBで固定のリセット電圧Vrstを設定してもよい。また、リセット電圧Vrstは、表示画面で消費される電流に対応させて変化させてもよい。
ゲート信号線17cは、リセット電圧Vrstの印加後(at)、オン電圧が印加される。オン電圧(VGL)を印加する期間は、1H以上としているが、これに限定するものではなく、1H以下の期間であってもよい。少なくともゲート信号線17cにオン電圧(VGL)を印加する期間は、ゲート信号線17aにオン電圧(VGL)を印加する期間よりも長くする。また、オーバーラップさせる。なお、リセット電圧Vrstの印加時間は、2μsec以上に時間を確保することが好ましい。
ゲート信号線17aオン電圧(VGL)を印加することにより、スイッチ用トランジスタ11cがオンし、ソース信号線18に印加したVdataがコンデンサ19b印加される。a点に印加されて映像信号Vdataは、スイッチ用トランジスタ11bがオンしている期間保持される。
なお、図2に図示するゲート信号線17aの斜線部は、オン電圧(VGL)を印加してもオフ電圧(VGH)を印加してもよい。
スイッチ用トランジスタ11c、スイッチ用トランジスタ11がオンすることにより、ソース信号線18から、駆動用トランジスタのおよびトランジスタ11bのチャンネル間のパスが発生し、コンデンサ11aに電荷が充電される。Vdataの印加により、駆動用トランジスタ11aは、Vdataに対応する電流を流すように、ゲート端子b点の電位を変化させ、変化後の電圧が、コンデンサ19aに保持される。この動作により、駆動用トランジスタ11aのオフセットがキャンセルされる。コンデンサ19bの電位は1フレームの期間保持される。
以上のオフセットキャンセルの動作後、ゲート信号線17bにオン電圧が印加され、スイッチ用トランジスタ11eがオンし、Vdd電圧が駆動用トランジスタ11aのソース端子に供給される。また、スイッチ用トランジスタ11dがオンし、駆動用トランジスタ11aからEL素子15の駆動用電流がEL素子15に供給される。EL素子15は、印加された電流により発光する。
ゲート信号線17bには、オン電圧またはオフ電圧が印加され、オンオフ電圧に同期してEL素子15に電流が供給される。このオンオフ電圧の印加状態に同期してEL素子は発光または消灯する。
EL素子15が発光または消灯している動作時(電圧プログラム時以外の期間、3t〜の期間)では、トランジスタ11bはオープン状態である。この時、トランジスタ11aのソース端子は、EL素子15が発光しているときは、アノード電圧Vdd(トランジスタ11eのチャンネル電圧降下は無視する)が印加されている。EL素子15が消灯時は、トランジスタ11eおよびトランジスタ11dをオープン状態にされる。このEL素子15が消灯時は、駆動用トランジスタ11aのソース端子は、コンデンサ19bによりほぼ、アノード電位Vddに保持されている。したがって、トランジスタ11aの電位安定度がよい。もちろん、EL素子15の点灯および消灯は、トランジスタ11dをduty制御(トランジスタ11dなどをオンオフさせて、表示画面31に帯状の非表示領域を発生し、前記非表示領域を画面31の上下方向に、フレーム周期に同期して画像表示させる)してもよい。
図10は、図1の変形例である。コンデンサ19bの一端子は、ゲート信号線17aに接続されている。ゲート信号線17aには、オン電圧(VGL)またはオフ電圧(VGH)が印加されるが、映像信号電圧を画素16に書き込んだ後(電圧プログラム時以降)以外の期間は、オフ電圧(VGH)が印加されている。したがって、コンデンサ19bは一定の電荷を保持して安定である。
図11は、図1の変形例である。コンデンサ19bの一端子は、ゲート信号線17bに接続されている。ゲート信号線17bには、オン電圧(VGL)またはオフ電圧(VGH)が印加される。しかし、映像信号電圧を画素16に書込み時(電圧プログラム時)の期間は、オフ電圧(VGH)が印加される。したがって、コンデンサ19bは一定の電荷を保持して安定状態を維持されている。
なお、図11において、コンデンサ19bの一端子は、ゲート信号線17bと接続するとしたが、これに限定するものではなく、ゲート信号線17dと接続してもよい。ゲート信号線17dには、リセット電圧Vrstを印加するときだけ、オン電圧(VGL)が印加される。しかし、他の期間には、オフ電圧(VGH)が印加される。オフ電圧(VGH)が印加される。したがって、コンデンサ19bは一定の電荷を保持して安定状態を維持されている。
図4は、図1の変形例である。図1と図4の差異は、コンデンサ11cが追加形成された点である。コンデンサ11cは、ゲート信号線17aに印加された電圧の変化(VGL→VGL)により、突き抜け電圧が発生しより良好な黒表示(高コントラスト表示)を実現することを1つの目的とする。VGL→VGHの動作とは、画素16に映像信号を書き込み保持させる動作である。つまり、スイッチ用トランジスタ11cの制御動作である。
前記コンデンサ19cは、第1の電極が現在ゲート信号線17a及びトランジスタ11cのゲート端子に共通接続され、第2の電極が前記コンデンサ19a及び駆動用トランジスタ11aのゲート端子に共通接続されている。なお、駆動用トランジスタ11aがNチャンネルトランジスタの場合は、ゲート信号線17aに印加する電圧(映像信号を画素に書き込み、保持させる動作時に使用する電圧)をVGL→VGHとなるように画素16を構成する。
つまり、前記補助コンデンサ19bは、スキャン期間から発光期間に変化しながら、駆動トランジスタ11aのゲート電圧(b点)をブースト(boost)させる役目をする。
ゲート信号線に印加するオフ電圧をVGH、オン電圧をVGLとすると、ゲート信号線17aに印加する電圧を、VGLからVGHに変化させると、駆動用トランジスタ11aのゲート電圧は、前記コンデンサ19aと補助コンデンサ19bのカップリングによる補正電圧だけ上昇するようになる。したがって、駆動用トランジスタ11aのゲート端子の電圧が、Vdd電圧側にシフトし、良好な黒表示を実現できる。
図5は、図1または図4の変形例である。図5の構成も本発明のEL表示装置に用いることができる。図5において、画素16は、2つのコンデンサ19a、19bと5つのスイッチ用トランジスタ(11b、11c、11d、11e、11f)と1つの駆動用トランジスタ11aで構成される。トランジスタ11bは、トランジスタ11aをダイオード接続(Diode-connected)させて、閾値電圧を補償するための閾値電圧補償トランジスタである。トランジスタ11fは、コンデンサ19aを初期化させるためリセット電圧Vrstを印加するための初期化トランジスタである。そして、トランジスタ11dは、EL素子15の発光を制御するためのトランジスタである。
なお、スイッチ用トランジスタ11b、11fはオフリークと小さくする必要があるため、ディアルゲート以上の複数ゲート構成にする。
スイッチ用トランジスタ11cは、ゲート信号線17aにゲート電極が接続され、ソース信号線18にソース電極が接続され、ゲートドライバ回路12aからの選択信号によりオンオフ制御される。
駆動トランジスタ11aは、トランジスタ11cのドレイン電極にソース電極が接続される。閾値電圧補償トランジスタ11bのソースまたはドレイン電極とコンデンサ19aの第1の端子が共通接続され、駆動用トランジスタ11aのゲート電圧が決定される。したがって、駆動用トランジスタ11aは、ゲート電極に印加された電圧に相当する駆動電流を生成する。
閾値電圧補償トランジスタ11bは、前記駆動トランジスタ11aのゲート電極とソース電極との間に接続され、ゲート信号線に印加されるスキャン信号に応答して駆動用トランジスタ11aをダイオード接続させる。したがって、前記スキャン信号によって駆動用トランジスタ11aは、ダイオードのような状態になり、駆動用トランジスタ11aのゲート端子に電圧Vdata−Vth[V]が印加され、これは、前記駆動用トランジスタ11aのゲート電圧となる。
初期化トランジスタ11fは、リセット電圧ラインVrstとコンデンサ19aの第1の端子との間に接続され、ゲート電極に接続したn−1番目ゲート信号線17aのスキャン信号に応答して、先行フレームのとき前記コンデンサ19aに充填された電荷は前記リセット電圧ラインVrstを介して放電させることによって、前記コンデンサ19aを初期化させる。
トランジスタ11eは、第1の電源電圧ラインVddと駆動用トランジスタ11aのソース電極との間に接続され、ゲート電極に接続したゲート信号線17bを介して伝達される発光制御信号によりオンとなり、第1の電源電圧Vddを前記駆動用トランジスタ11aのソース電極に印加する。
トランジスタ11dは、駆動用トランジスタ11aとEL素子15との間に接続され、ゲート電極に接続した前記ゲート信号線17bを介して伝達される発光制御信号に応答して前記駆動用トランジスタ11aで生成される前記駆動電流を前記EL素子15に伝達する。
コンデンサ19aは、第1の電源電圧ラインVddと駆動用トランジスタ11aのゲート電極との間に接続され、第1の電源電圧Vddと前記駆動用トランジスタ11aのゲート電極に印加される電圧Vdata−Vth[V]の電圧差に該当する電荷を1フレームの間に維持する。
前記補助コンデンサ19bは、第1の電極が現在ゲート信号線17a及びトランジスタ11bのゲート端子に共通接続され、第2の電極が前記コンデンサ19a及び駆動用トランジスタ11aのゲート端子に共通接続されている。
ゲート信号線17aからゲート信号線17a1とゲート信号線17a2が分岐されており、ゲート信号線17a1には、インバータ回路51が配置されている。したがって、ゲート信号線17a1とゲート信号線17a2には、VGHとVGLが反転して電圧が印加される。
また、ソース信号線18aとソース信号線18bを有しており、上下方向に隣接した画素16(16a、16b)は異なるソース信号線18に接続されている。図5の実施例では、画素16bはソース信号線18bに接続されており、画素16aはソース信号線18aと接続されている。
図6は、図5の画素構成において、ゲート信号線17およびソース信号線18との接続状態を示している。図5、図6のように構成することにより、リセット電圧Vrstを印加するためのスイッチ用トランジスタ11fを制御するゲート信号線と、映像信号を印加するためのスイッチ用トランジスタ11cを制御するゲート信号線とを共通にすることができる。そのため、ゲート信号線17数を削減でき、画素16の開口率を向上できる。
また、複数画素行を同時にオフセットキャンセル状態にすることができ、良好なオフセットキャンセルを実現できる。
EL表示装置のゲートドライバ回路12について説明する。
図2に示すように、表示画面31の左端にゲートドライバ回路12aを設け、右端にゲートドライバ回路12bを設けている。なお、ゲートドライバ回路12は、表示パネルの空き領域に形成すればよい。
ゲートドライバ回路12aは、ゲート信号線17aを制御し、ゲートドライバ回路12bはゲート信号線17bを制御する。ゲートドライバ回路12a、12bには、ゲート信号線17のオン電圧(VGL)と、ゲート信号線17のオフ電圧(VGH)が供給されている。オフ電圧(VGH)は、アノード電圧Vdd以上または近傍の電圧である。オン電圧(VGL)は、カソード電圧Vssまたはグランド電圧(GND)近傍の電圧である。なお、近傍の電圧とは、±3Vの範囲の電圧である。
本実施形態では、トランジスタ31のオフ電圧をVGHとし、オン電圧をVGLとして説明するがこれに限定するものではない。オン電圧(VGL)とオフ電圧(VGH)の極性は、駆動用トランジスタ31aのチャンネルの種類(PチャンネルまたはNチャンネル)に対応して設定する。また、図31に示すように、ゲートドライバ回路12の電圧の1つまたは複数をGND電圧としてもよい。図31では、ゲートドライバ回路12bは、VGH電圧と、VGL=GND電圧で動作しており、ゲートドライバ回路12aは、VGH電圧とVGL1電圧で動作している。
本実施形態では、駆動用トランジスタ31aはPチャンネルトランジスタとしている。この場合は、オン電圧をVGLとし、オフ電圧をVGHとする。駆動用トランジスタ31aがNチャンネルトランジスタの場合は、オン電圧をVGHとし、オフ電圧をVGLとする。なお、図2に適合するように、VGH1、VGH2、VGL1、VGL2を内蔵させてもよい。EL表示装置を駆動する電源(回路)ICからのON1コマンドで、AVddとVGH1、VGH2、VGL1、VGL2を同時に起動し、ON2でVdd、Vssを起動させる。
ソースドライバ回路(IC)18とソース信号線18間に3選択回路481を形成してもよい。なお、選択回路481の選択数は3に限定するものではなく、6選択などの他の選択数に構成してもよい。
なお、本実施形態のEL表示装置においては、ゲートドライバ回路12aは、オン電圧VGH1、オフ電圧VGL1とし、ゲートドライバ回路12bは、オン電圧VGH2、オフ電圧VGL2とする。また、VGH1=VGH2、VGL1<VGL2にしている。本実施形態では、画素26を選択し映像信号を書き込むゲート信号線17の駆動電圧(VGH2、VGL1)と、EL素子35に流す電流を制御するゲート信号線17の駆動電圧(VGH2、VGL2)とを異ならせている。
ソースドライバ回路24の電源電圧をAVdd(V)とし、アノード電圧をVdd(V)としたとき、Vdd−1.5(V)≦AVdd≦Vddの関係を満足するように構成している。
また、ゲートドライバ回路のオン電圧またはオフ電圧をVGH(V)とし、アノード電圧をVdd(V)としたとき、Vdd+0.2(V)≦VGH≦Vdd+2.5(V)の関係を満足するように構成している。
図14は、本発明におけるEL表示パネルの1列分の回路を示したものである。ここでソース信号線18は切り替え手段141を介して、1列に対して2本のソース信号線18aと18bが存在し、偶数行と奇数行の画素で接続されるソース信号線が異なる構成となっていることが特徴である(図6なども参照のこと)。
各画素16の構成は例えば図1、図4、図10、図25、図29、図42、図46といった回路で構成されている。ゲートドライバ12aは、シフトレジスタ構成となっており、クロックごとにパルスが1段ずつシフトされる。ゲート信号線17に対する接続を、図14のように行うことで、図15に示すような信号波形を実現することができる。
シフトクロックの周期を1水平走査期間に設定し、1水平走査期間のみパルスが出力されるようなスタートパルスが入力される。これで各行1水平走査期間ずつずれたタイミングで1水平走査期間の間パルスが発生する回路が実現できる。
シフトレジスタの各段出力を図14のようにゲート信号線17に取り込み、切り替え手段141を図15に示すように動作させることで、始めの1水平走査期間では、1行目の画素16aの駆動用トランジスタ11aのゲート電圧をVrst電源により、初期化する。同時にソース信号線から所定の階調に対応する1行目の画素に対応する信号電圧が切り替え手段141を介してソース信号線18bに充電される。ソース信号線18aには充電されない。切り替え手段141でソースドライバ出力から切り離されている。
次の1水平走査期間においては切り替え手段141を動作させ、ソース信号線18aを充電するようにする。このときソース信号線18bは、ソースドライバ出力から切り離されているために、ソース信号線の浮遊容量142bにより1行目の画素に対応する信号電圧が充電されたままである。そこで、ゲート信号線17a及びゲート信号線17cを走査し、画素16aのトランジスタ11c、11bを導通状態とし、画素の駆動用トランジスタ11aに階調信号の書き込みと、特性バラツキのキャンセル動作を実施する。同時に2行目の画素に対応して、画素16bに対応する階調信号電圧がソース信号線18aに充電され、駆動トランジスタ11aのゲート電極がVrst電源により初期化される。
ソース信号線18aとソース信号線18bを水平走査期間ごとに切り替えて利用することで、ソース信号線に印加させる階調信号が2水平走査期間保持されるため、画素回路16に信号を書き込む時間を長くすることができるようになる。
図1などの画素回路の構成では、駆動トランジスタ11aに階調信号を書き込みながら、特性バラツキをキャンセルする動作を行う。特性バラツキをキャンセルする動作は、トランジスタ11f、11d、11eがオフでトランジスタ11bがオン状態のときに行われ、駆動トランジスタ11aのドレイン電流が0になるように、駆動トランジスタ11aのゲート電位が変化することで、特性バラツキのキャンセルを行っている。
駆動トランジスタ11aのゲート電位を変化させているのは、ドレイン電流による電荷であり、最終状態が0もしくは限りなく小さい電流(ピコアンペアオーダー)であることから、ゲート電位を支えている蓄積コンデンサ19aの電荷の充放電に時間がかかる。そのため、キャンセル動作には時間がかかることがわかる。
1水平走査期間が長い場合には、1水平走査期間内にキャンセル動作を完了させることができるが、垂直ライン数が多く、1水平走査期間が40μ秒よりも短い場合には、キャンセル動作が最後まで行われず、特性補償が不完全となり、その結果、特性ばらつきに応じたムラが発生する問題があった。
そこで、キャンセル時間を1水平走査期間以上に拡大する方法として、図16に示すようにゲートドライバ12aを更に2本のゲートドライバ12a1、12a2で構成させ、駆動トランジスタ11aの初期化を、対応する映像信号が入力される1水平走査期間前に予め実施しておき、ソース信号線18aもしくは18bに映像信号が入力される水平走査期間から駆動トランジスタ11aに階調電圧の書き込み及び特性キャンセル動作を行うようにする。切り替え部141の動作により、2水平走査期間の間映像信号が保持されるため、階調電圧の書き込み及び特性キャンセル動作を2水平走査期間中実施することが可能となる。
これを実現するために、図17に示すように、シフトレジスタ12a2のスタートパルス172bを入力する。各行のトランジスタ17a及び17cが2水平走査期間オンされる。オンされるタイミングはソース信号線18及び18a、18bの映像信号に同期して実施される。映像信号が偶数行と奇数行で2つのソース信号線18a及び18cに振り分けられることで周波数が半分となり、書き込み時間を2倍にすることができた。
なお、イネーブル信号173については、パルス伝播の際の波形なまりによる複数の行の画素で同時選択されることを防止するための信号であり、同時選択が起きない場合や、同時選択でも問題なく動作する場合には、不要であり、イネーブル信号173がなくても本発明を実施することができる。例えば図21のように、特性キャンセルを行うための信号を生成するゲートドライバ12a2のイネーブル信号を削除した場合の入力波形及び動作を示す。
図17の波形によれば、2水平走査期間の間駆動用トランジスタ11aの特性補正動作が可能であるが、予め映像信号が入力される1水平走査期間前に駆動トランジスタ11aを初期化するための動作が必要であり、1水平走査期間前に予め動作させることが必要であり、先頭行が検知できない場合には、予め初期化ができなくなる恐れがある。
そこで図18に示すように、初期化動作を、1行目の映像信号入力時と同時に実施する信号パターンを考案した。初期化動作時には、特性補正動作ができないため、2水平走査期間の間で、初期化後特性補正動作を行う。
図18の構成では、2水平走査期間のうちの始めの水平走査期間の前半に初期化動作を行い、残りの半分と次の水平走査期間で画素への信号書き込みと特性補償動作を実施する。ゲートドライバがシフトレジスタ構成である場合には、水平走査期間とシフトクロックが一致する場合には、イネーブル信号でパルス幅をカットする方法により、水平走査期間の前半と後半で異なるスイッチの動作を実現する。
ゲート信号線17dがローレベルの時が、駆動トランジスタ11aの初期化期間となり、ゲート信号線17a及び17cがローレベルのときに、駆動トランジスタ11aの特性キャンセルと、画素に階調を書き込む期間となる。17a及び17cのローレベル期間が1水平走査期間より長く設定できるため、水平走査期間が30μ秒であっても、従来比1.5倍の期間が取れることから45μ秒のキャンセル期間がとれ、駆動トランジスタの特性ばらつきを補正することが可能となる。初期化動作自体は、2〜10μ秒程度で完了するため、最大2水平走査期間から2〜10μ秒を引いた時間までキャンセル期間を拡大することができる。
ゲートドライバ12aのシフトレジスタが1系統でかつキャンセル期間を1水平走査期間以上に拡大する方法を図19及び図20に示す。
例えば2水平走査期間の間キャンセルする場合には、2水平走査期間ゲート信号線17a及び17cが導通状態にある必要がある。そこでゲートドライバ12aのスタートパルスを2水平走査期間の長さだけ入力する。これにより、キャンセル及び階調書き込み時間を2水平走査期間に設定できる。同様に初期化を実施するためのゲート信号線17d用のパルスを生成する必要がある。
また、図1、図25に示すような画素回路構成であることから、ゲート信号線17dと11a、11cを同時に導通状態としてはならないため(異なる電圧がショートする)初期化用のパルスは、同一行の画素に対するキャンセル及び階調書き込み用のパルスと重ならないようにする必要がある。
具体的には、2水平走査期間前のパルスを初期化用のパルスとして利用すればよい。図19に示すように、シフトレジスタに対して、ゲート信号線17dと共通の出力をキャンセル及び階調信号書き込み用ゲート信号線を用いる場合には、2行分後段(つまり2水平走査期間後)の信号を利用すると、同一画素16aに対して、図20に示すように、201、202の2水平走査期間で初期化を実施し、203、204の2水平走査期間で駆動トランジスタ11aの特性キャンセル及び階調信号書き込みを実施している。16b、16cの画素においても同様に1水平走査期間ずつ遅れたタイミングで実施している。
この方法は、2水平走査期間のキャンセルばかりでなく、3水平走査期間以上、必要な場合でも実施が可能である。1列分の画素に対応するソース信号線の数を必要とする水平走査期間の数(整数)分を用意し、ゲートドライバ12aのスタートパルスのパルス幅を必要な水平走査期間数入力する。初期化に対応するゲート信号を取り出すシフトレジスタの段から必要な水平走査期間数分後段のシフトレジスタから特性キャンセル及び階調信号書き込み用のゲート信号をとりだして、同一行の画素に入力すれば実現が可能である。
映像信号が、対応する行の画素に書き込まれるようにするため、スタートパルスは、映像信号に対して予め入力する必要がある。少なくともキャンセルを行う水平走査期間の長さ分だけ早く入力が必要である。図20においても2水平走査期間早く、入力している。
ソースドライバのコスト削減のために、1出力から時系列に複数の画素に対応する電圧を出力する選択駆動方式を採用することがある。選択駆動方式がない場合に比べて、当該画素に対応する映像信号が入力されるタイミングが表示色によって異なるようになる。
例えば、赤緑青の3画素分を1出力で行う3選択駆動の場合においては、図22に示すように、赤色に対して、緑及び青は水平走査期間の始めではなく、途中で信号が変化していることがわかる。ゲート信号線17a及び17cを221の波形により入力すると緑及び青色の画素については、1行前の映像信号が画素に書き込まれ、ソース信号線の変化により当該行の映像信号が書き込まれるようになる。
液晶などでは、書き込み時の最終電圧(ゲート信号線がオフになる瞬間の電圧)が1フレーム間画素に保持され、所定輝度で表示されるため問題がないが、本発明における画素構成を持つ有機EL表示パネルにおいては、映像信号を駆動用トランジスタ11aに書き込む際に駆動用トランジスタ11aの特性バラツキを補正する動作を行っている。補正に要する時間を短縮するため、書き込みを行う前に、初期化動作を行い、駆動用トランジスタ11aのゲート電極に低い電圧(白表示時よりもさらに駆動用トランジスタ11aが電流を流す電圧)に予め初期化を行っている。
初期化の電圧は低いほど特性補正が高速化される。選択駆動時に1行前の電圧が少しでも印加されると、駆動用トランジスタ11aのゲート電圧が1行前の電圧に変化してしまい、1行前の電圧が印加された状態で、当該行の映像信号による階調信号の書き込みとトランジスタばらつき特性補正を行うこととなり、初期化を行う効果がなくなってしまう。これは3選択駆動でなくても、2選択以上の信号線選択駆動を実施する際に共通の課題である。
本発明では、選択駆動を行う際に、同一水平走査期間で書き込みを行う信号線の電圧がすべて確定した後に特性キャンセル動作を行うようにした。
図23、図24及び図26に実施形態の1つを示す。ここで選択駆動は赤緑青の3つの信号線を順に選択する3選択駆動方式としている。2選択や、4選択以上でも同様に実現できる。
キャンセル時間を確保するために、各列に対して2本の信号線を用意し、偶数行と奇数行で異なるソース信号線を利用している。図23ではゲートドライバ12aをシフトレジスタ回路1系統で実施する構成を示しています。図23のゲートドライバ12aを用いた場合の信号入力と、信号線選択回路232の動作を図26に示す。1水平走査期間内で赤(R)、緑(G)、青(B)に信号線を切り替えている。また1水平走査期間ごとに奇数行用のソース線18b、偶数行用のソース線18aを切り替えて選択を行っている。
この方式では、初期化のタイミングと当該行の映像信号線の書き込みが同一で、画素内部への映像信号の書き込みは、次の水平走査期間にて実施されている。したがって、駆動用トランジスタ11aへの信号線書き込み及び特性ばらつき補正中に映像信号が変わることはなく、選択駆動時でもこれまで同様の駆動が実施可能である。
1画素分に注目したタイミングチャートを図24に示す。ここではこれまで記載していなかった、ゲート信号線17bについても記載を行っている。17bについては、初期化期間及び特性キャンセル、階調信号を駆動用トランジスタに書き込みを行っている期間では必ず、接続されるスイッチが非導通状態である必要があるが、その他の期間では、導通、非導通状態いずれであってもかまわない。これは本発明のほかの実施の形態でも同様である。図24では、導通非導通を繰り返し実施している例を示している。
ソース信号線18は3選択駆動対応用に1水平走査期間の間に3画素分の信号を送っている。信号線選択回路により奇数行目の青画素に対応するソース信号線18bBの電圧変化は241に示す波形のようになる。
1行目に対応する階調信号の変化は242のタイミングで変化する。このときゲート信号線17bがオフ状態となっており、駆動用トランジスタ11aのゲート電極に1行前の映像信号が書き込まれることが無いようになっている。ゲート信号線17aについては、図23のゲートドライバの構成によればオフとなっているが、オン状態であってもかまわない。ゲートドライバの構成を変更してオンとしてもよい。駆動用トランジスタ11aのソース電極に1行前の電圧が印加されるが、初期化されているゲート電極には印加されることが無いためである。
時間2t以降でゲート信号線17c、17aが導通状態となり、駆動用トランジスタ11aに階調電圧及び特性キャンセル動作が行われる。このとき、ソース信号線18bBは図26でもあったように、信号線選択回路232により各ソース信号線から切り離された状態となり、ソース信号線の浮遊容量233により、ソースドライバから書き込まれた電圧が2水平走査期間の間保持される。保持された電圧値が画素に書き込まれ、所定電圧が書き込まれている。時間2t〜3tの間で、駆動用トランジスタ11aのゲート電圧は書き込まれるソース電圧(Vsig)から閾値電圧(Vth)分低下した電位に徐々に変化し、(Vsig−Vth)となる。時間3tで所定電圧に書き込まれた後、ゲート信号17bを導通状態にすることで所定電流がEL素子15に流れ、発光する。
図27はゲートドライバ12aをシフトレジスタ2系統で構成した場合の図である。これによればスタートパルスの個別設定にて、ゲート信号線17dに対してゲート信号線17a及び17cのパルス幅を異ならせて設定することが可能である。
図28にゲートドライバ12a1及び12a2の入力波形と、各ゲート信号線波形を示す。初期化用の信号を生成するゲートドライバ12a1について、初期化を行うためのパルスを生成する。初期化に要する時間はVrstを発生する電源能力によるが10μ秒程度で初期化が完了する。ゲート信号線17dがオン状態となるのは短い時間で実施している。
時間がかかる特性キャンセル期間と初期化期間は同時に実施することができないため、2水平走査期間内で初期化〜特性キャンセル、階調信号書き込みを実施するためには、初期化を短くすることが重要であるためである。
図28では赤色にソース出力が選択された期間のみで実施しているが、赤と緑色の選択期間もしくは赤色の選択期間の一部などであってもよい。最も当該行の映像信号が書き込まれるのが遅い青色のソース信号線18aBもしくは18bBにおいては青色の選択期間になるまで当該画素に対応する電圧がソース信号線18aBもしくは18bBに印加されていないため、特性キャンセル期間に移行することができない。
特性キャンセルができないことから、赤緑選択期間は初期化期間としても問題が無い。特性キャンセル及び階調信号書き込みであるが、ゲートドライバ12a2のシフトレジスタ回路により2水平走査期間選択できるパルスを生成し、初期化期間もしくは映像信号が書き込まれていない期間を除くように、奇数行偶数行別にイネーブル期間を設けるイネーブル信号を有する。
1行目の特性キャンセル及び階調信号書き込み期間は281で示される期間となる。281の期間の始めは、青画素書き込み終了後となっているが、青画素が信号線選択回路で選択され所定電圧にソース信号線18aBもしくは18bBが変化した後であれば、ゲート信号線17a及び17cをローレベルにしてもよい。281の期間の終わりは、次に同一のソース信号線に異なる行の画素に対応する電圧が印加される前に設定すればよい。信号線選択速度が速い場合には、書き込み終了後〜次の水平走査期間の最後まで特性キャンセル期間を設定することができ、駆動用トランジスタ11aの閾値電圧補正能力が高い表示が実現可能である。
なお、ゲート信号線17aについては、2水平走査期間すべてにおいてローレベルとしてもよい。トランジスタ11cが導通状態となっても、駆動用トランジスタ11aのゲート電圧には影響がないためである。この場合、ゲート信号線17c用にはイネーブル信号を介してシフトレジスタ出力が入力され、ゲート信号線17a用にはイネーブル信号を介さずもしくは、別途のイネーブル信号を介してシフトレジスタ出力が入力される構成となる。
これまでは画素回路16に用いられるトランジスタはPチャンネルトランジスタで説明を行ってきたが、図29に示すNチャンネルトランジスタで構成してもよい。また有機EL素子15については、アノードとカソードの向きが逆でかつ、Vss電位>Vdd電位という構成であってもよい。図29ではコンデンサ19bが形成されているが、コンデンサ19bがなくても本発明を同様に実施することが可能である。
なお、図29と図4とを比較すると、図4は、突き抜けコンデンサ19cがゲート信号線17aと駆動用トランジスタ11aのゲート端子間に配置されているのに対して、図29では、突き抜けコンデンサ19cがゲート信号線17cと駆動用トランジスタ11aのゲート端子間に配置されている。
コンデンサ19bが形成されていると、次に画素に映像信号が書き込まれるまでの1フレーム間電圧が保持されるため、a点の電位が保持される。あるいは、次にトランジスタ11cがオンし映像信号が画素16に書き込まれる時までa点に印加された(書き込まれた)電圧が保持される。
保持された電位を元にトランジスタ11bを導通状態とすれば階調信号に応じた信号で、駆動用トランジスタ11aの特性バラツキをキャンセルすることが可能である。これが図30に示すキャンセル期間302となる。
このキャンセル期間は水平走査期間の長さによらずゲートドライバの構成によって任意に設定することが可能である。映像信号の書き込みと駆動用トランジスタ11aの初期化は、キャンセル期間302の前に実施される(期間301)。トランジスタ11fと11cのみ導通状態である。これでVrst電源により駆動用トランジスタ11aのゲート電位を初期化し、同時にソース信号線18からコンデンサ19bに所定電圧の書き込みを行っている。
コンデンサ19bに所定階調電圧を保持することから、ソース信号線18は1本で、1水平走査期間のみトランジスタ11cをオンさせるだけでよい。ソース信号線18を2本用意する方法でソース信号線18の浮遊容量とコンデンサ19bの両方で階調電圧を保持する方法をとってもよい。この場合、コンデンサ19bは小さくすることができる。
キャンセルまで完了したら、EL素子15に電流を印加して所定輝度による発光を得る。この期間が発光期間304である。このときトランジスタ11dと11eが導通状態となりEL素子15に電流を供給する。前後にある非発光期間303は、黒挿入を行い動画視認性向上等の効果を得る際に挿入される期間である。このときは少なくともトランジスタ11dもしくは11eのいずれか一方が非導通状態になっている。また、常時点灯状態にして黒挿入を行わない場合には、期間303はなくても差し支えない。
なお、本発明における切り替え部141及び信号線選択回路232は必ずしもアレイ基板上に形成する必要が無く、ソースドライバICに内蔵される構成であってもよい。
本発明において、同一列に形成された画素に接続されるソース信号線は2本である例で説明をおこなったが、3本以上の複数のソース信号線であっても同様に実施が可能である。一般にN本のソース信号線を用意し、N画素おきにソース信号線を接続すれば、N水平走査期間の間ソース信号線は階調電圧を保持することが可能となり、特性キャンセル期間を長く取ることができる。キャンセル期間を確保することにより、より駆動用トランジスタ11aの特性に近づいたゲート電圧を画素回路で保持することができるようになり、表示ムラが改善する。
N本のソース信号線について、少なくとも隣接画素間で異なるソース信号線に画素回路を接続しておけば、2水平走査期間の間ソース信号線に階調信号が保持されることから、同様に特性キャンセル期間を拡大することができ、表示ムラが少ないEL表示装置を得ることができる。
図31は、駆動用トランジスタ11aのゲート電圧を初期化するための電源を、電圧源から電流源に変更した回路である。図32に図31の回路構成におけるゲート信号線の波形を示す。図31の回路構成において、1画素での動作は、1フレームの間に、書き込み期間321、発光期間324、非発光期間323に分けられる。非発光期間323は、黒挿入を行って動作視認性を向上させる場合などに用いられる。本発明の実施においては、非発光期間323は、あってもなくてもよい。特性バラツキの補償能力向上を同様に実現できる。
書き込み期間321において、トランジスタ11b、11c、11fが導通状態となる。これによりソース信号線18の電圧が駆動用トランジスタ11aのソース電極に印加される。駆動用トランジスタ11aのゲートとドレイン電極はトランジスタ11bにより同電位となり、電流源312により供給される電流が駆動用トランジスタ11aのドレイン電流となるようなゲート、ドレイン電圧となる。
したがって、書き込み期間321において、トランジスタ11aのゲート電圧は、ソース信号線18の電圧がVsigであったとすると、(Vsig−Vt1)となる。ここでVt1は、駆動用トランジスタ11aに電流源312の電流(Irst)を流したときのソースドレイン間電圧であり、駆動トランジスタ11aの特性により異なる電圧値となる。
Irstが駆動用トランジスタ11aつまりEL素子15に流れるときには、特性バラツキを補正した電圧が駆動用トランジスタ11aのゲート電極に印加され、表示ムラのないEL表示装置が実現できる。
従来の構成においては、Irst=0つまり黒表示時に完全に特性ばらつきを補正し、電流が増加するにつれ、補正ができない移動度ばらつきに起因する電流ばらつきが発生し、高階調ほど表示ムラが発生しやすい状況であった。表示ムラは輝度が低いほど視認しにくく、中間調〜高階調では視認しやすい性質があり、階調0に相当する電流で特性補正を行うよりも、視認しやすい中間〜高階調での補正が望ましい。初期化用の電流源Irstの電流値を中間〜高階調に設定すれば、視認されやすい階調での表示ムラを優先してなくし、視認しにくい階調では、移動度ばらつきがおこる構成であっても見えにくいことを利用し、全階調領域における表示ムラレベルの向上を図った。駆動用トランジスタの特性バラツキのキャンセル動作中に電流Irstを流し、特性キャンセルがもっともよく行われる電流領域を変更させることができるようにしたことが特徴である。
図33の回路は、図31の構成に対して、さらに初期化用の電圧源331及び電圧源331と電流源312の切り替えを行う切り替え部333を有することが特徴である。これは、電流源312によりトランジスタ11aの電圧を変化させる場合に、1フレーム前に黒表示をした画素であると、駆動トランジスタ11aに流れる電流がIrstに変化するまでに時間がかかり、書き込み期間321内に駆動用トランジスタ11aのゲート電圧がVsig−Vt1になりにくい問題を解消するためである。
駆動用トランジスタ11aのドレイン電流が多いほど、書き込み期間321における駆動用トランジスタ11aのゲート電圧を変化させやすい。電流が多く流れるほど蓄積コンデンサ19aの電荷の充放電速度が速くなるため、ゲート電圧が変化しやすくなる。そこで、ゲート電圧の変化速度向上を目的として、電圧源331を用意し、書き込み期間321の初期に、電流源312に変わり、低電圧(白表示ほど低電圧の図33の回路構成の場合)の電圧を駆動トランジスタ11aに供給することで、書き込み期間321の初期に駆動用トランジスタ11aのドレイン電流が多くなるようにして、残りの期間での、リセット電流源312によるキャンセル動作を高速化するようにした。
図34に図33の回路構成におけるゲート信号及び切り替え手段の動作を示した。書き込み期間321のうち電圧源が供給される期間341において、駆動用トランジスタ11aのゲート電圧はVrstとなる。
Vrstは低い電圧であるほど、切り替え手段333により電流源312に切り替えた際のゲート電圧の変化を高速化させるが、低下させすぎると、所定階調とのゲート電位の差が大きくなりすぎ、所定値まで電圧が変化しきれない可能性がある。
したがって、Vrstは、(白表示時の電圧)〜(白表示時の電圧−5[V])程度が好ましい。続く342の期間において、電流源312と書き込まれるソース信号線電圧Vsigに基づいてゲート電圧がVsig−Vt1に変化する。このとき図32の構成に比べて、トランジスタ11aのドレイン電流が多く、蓄積コンデンサ19の電荷の充放電速度が高速化されることから、Vsig−Vt1までに変化する速度は、電圧印加期間341を含めても高速化され、より短時間での特性補正が可能となる。
図35はゲート信号線をトランジスタ11eと11dで個別制御にした回路構成を示している。1画素において、1フレームは、リセット期間361、映像信号書き込みと特性キャンセル期間362、非発光期間363、発光期間364からなる。
駆動用トランジスタ11aの初期化(リセット)を行う電源が、電圧源331、電流源312の2つがあり、電圧源331が印加されるリセット期間を365、電流源312が印加されるリセット期間を366とする。
なお、リセット期間361は電流源312から出力される電流を元に駆動トランジスタ11aを初期化し、かつ同一列で同一のリセット線311を利用して画素にリセット電圧及び電流を書き込むことから、1水平走査期間以内で実施する必要がある。
映像信号書き込みと特性キャンセル期間362は、同一列で同一のソース信号線18から映像信号に対応する電圧が供給されることから、1水平走査期間以内で実施する必要がある。リセット及び特性キャンセルに時間がかからない場合においては、リセット期間361と映像信号書き込みと特性キャンセル期間362を1水平走査期間内に実施してもよい。
本発明の方式においては、駆動用トランジスタ11aのゲート電圧の初期化を、電圧源331ばかりでなく、電流源312を用いて実施することが特徴である。
図36に示すようにリセット期間361のうちの期間365において、従来と同様に電圧源331により駆動用トランジスタ11aのゲート電圧をVrstに初期化する。このときゲート信号線17e及び17cによりトランジスタ11e及び11bについては、オンでもオフでも構わない。しかし、Vdd電源からVrst電源に駆動用トランジスタ11aの特性により貫通電流が流れることを防止する観点から少なくとも一方のトランジスタについてはオフにすることが好ましい。
本発明ではリセット期間361の間にさらに期間366を設け、切り替え手段333の接続を切り替え、電流源312により駆動用トランジスタ11aの初期化を行う。電流源312の電流が駆動用トランジスタ11aのドレイン電流となるように、トランジスタ11f、11b、11eをオン状態とする。
電流源312の電流値は、期間366において、駆動用トランジスタ11aのゲート電圧が電圧源331のVrst付近になるような電圧に設定することが好ましい。駆動用トランジス11aの特性バラツキがあるため、EL表示装置に形成された画素の平均電圧がVrstであってもよい。期間366により駆動用トランジスタ11aのゲート電圧はVrst+ΔV1に変化する。ここでΔV1は電流源312の電流(Irst)を流したときのゲート電圧ばらつきに相当する。
映像信号書き込みと特性キャンセル期間362においてソース信号線18から映像信号が入力され、トランジスタ11bがオン状態であり、トランジスタ11fがオフ状態であることで、駆動用トランジスタ11aのゲート電圧は映像信号電圧をVsigとするとVsig−Vth(Vthは閾値電圧)となるまで変化する。Vsig−Vthとなるのは、特性キャンセル期間が十分長い時間である場合であって、1水平走査期間で362の期間を終わらせる必要があることから、特性キャンセル期間は40μ秒程度しか取れない。
そのためゲート電圧は期間366が存在しない図41の構成であれば、(Vsig−Vth−ΔV2)までしか変化できない。ΔV2分の電位変化が不足となる。そのためΔV2に相当する分だけたくさん駆動用トランジスタ11aのドレイン電流ΔI2が流れる。ΔI2は、駆動用トランジスタ11aの特性バラツキによってばらつく。この影響でEL素子15に流れる電流にバラツキが発生し、表示ムラが発生する。
期間366が存在すると、期間361の終わりの電位がΔV1だけずれるため、期間362の終了時のゲート電圧は(Vsig−Vth−ΔV2+ΔV1)となる。電流源により一定電流を印加した結果トランジスタ11aのゲート電圧がΔV1だけずれていることから、ΔV2に対するΔI2が大きい駆動用トランジスタ11aの場合(よく電流を流すトランジスタ)には、ΔV1は大きくなり、ΔV2に対するΔI2が小さい駆動用トランジスタ11aの場合には、ΔV1は小さくなる(負の値を含む)。
表示ムラにおいてたくさん電流が流れる画素(ΔV2に対するΔI2が大きい)では、ΔV1が大きくなり、ゲート電圧が上昇する。少ない電流の画素ではΔV1が小さくなることからゲート電圧が下降する。電流が流れやすい画素では11aのゲート電圧が上昇し電流が流れに食うなり、電流が流れにくい画素ではゲート電圧が低下することで電流が流れるようになることから、画素ごとの電流量の差が小さくなる方向となり、表示ムラを改善することが可能となる。
図40に異なる電流−電圧特性を持つ駆動用トランジスタ11aに対する、リセット期間361を電圧源のみで実現した場合(a)と、電流源を用いて実現した場合(b)の映像信号書き込みと特性キャンセル期間362終了後の電流値の違いを示す。
図40(a)では電圧源のみで駆動用トランジスタ11aの初期化を行っているため、401と402の特性を示す2つの画素の駆動用トランジスタ11aにおいて、ゲート電圧がVrstとなるが、そのときの電流値はIrst1、Irst2と異なる値となる。
401の特性では点403a、402の特性では点403bである。次に映像信号書き込みと特性キャンセル期間362において、駆動用トランジスタ11aのソース電位に映像信号が書き込まれ、ゲート電位は閾値キャンセル動作によりソース電位から閾値電圧分下がった点まで変化しようとする。一例として変化に要する時間は100μ秒程度かかる、したがって、1水平走査期間では、十分にキャンセル電圧406にまで変化せず、405に示す点までの変化となる。
電圧変化量は流れる電流と浮遊容量により決められ、電圧変化量ΔV=i×T/C(ここでi:流れる電流、T:キャンセル期間362の長さ、C:浮遊容量)であらわされ、403a点の方が、403b点に比べて電流が多いことから、曲線401で示されるトランジスタの方は電位変化量が大きく、V2まで電圧が変化する。
曲線402では、点403bでの電流が少ないため変化量が少なくなり、V1までしか電圧が変化しない。点405a及び405bでのドレイン電流がI2とI1で異なり、この差が表示ムラとして視認される可能性がある。
一方で電流源を用いてリセットを実施した場合には、図40(b)に示すように、リセット期間361の終了時には、ドレイン電流がIrst、ゲート電圧が曲線401と402で異なり、Vrst1、Vrst2となる。(点404a、404b)次に映像信号書き込みと特性キャンセル期間362においてキャンセルを行うと、流れる電流はIrstと同じで、浮遊容量にばらつきがなく、キャンセル時間は同一パネルであることから同一に設定できるため、ΔVは曲線401、402とも同一となり、それぞれ同一電位だけシフトしたV1及びV2の電圧となる。(点405c、405d)このときのドレイン電流はいずれもI1となり、駆動用トランジスタ11aの特性に違いがあったとしても特性キャンセル期間362終了後の書き込まれた電流値が同一となり、表示ムラがなくなる構成を実現できる。
リセット期間で、一定電流により駆動用トランジスタ11aのゲート電圧を個別に設定することで、キャンセル期間が短いことにより駆動用トランジスタ11aのゲート電圧が完全に特性キャンセルされた電圧とずれたとしても、電流ばらつきが小さい構成を実現することができる。
期間365はなく、期間366の電流源のみでのリセットをおこなってもよいが、電流源312によりVrst電圧付近までゲート電圧を変化させるのに時間がかかることから、予め電圧源331によりVrst付近まで電圧を変化させてから電流源312によるリセットを行うことが好ましい。リセット期間361が長く、電流源312のみでVrst+ΔV1まで電圧が変化できるのであれば、電圧源331、切り替え手段333、期間365はなくてもよい。
図35の画素回路構成のEL表示装置は、同一列の画素に対して複数のソース信号線を用意し、ソース信号線方向に隣接する画素で、異なるソース信号線から映像信号を書き込むようにすることで、書き込み時間を長くする構成と組み合わせて実施することも可能である。例えば、2本のソース信号線を用意した場合の回路を図37に示す。
ソース信号線18を2本用意すれば、図14、図16、図19などで説明したように、ソース信号線18に印加される階調信号は2水平走査期間ごとに変化することから、映像信号書き込みと特性キャンセル期間362を最大2水平走査期間まで拡大させることが可能となる。例えば図38に示すような駆動波形を実現することができる。期間362が拡大することで駆動用トランジスタ11aのゲート電圧を変化させる時間を長く取ることができ、誤差ΔV2の絶対値を小さくすることができ、より正確にキャンセルを行うことが可能となる。
図37の構成でリセット線311は1列分の画素に1本であるが、ソース信号線18と同様に複数本(例えば2本)を形成すれば、リセット期間361についても最大2水平走査期間に拡大することができ、リセット電圧もより駆動用トランジスタ11aの特性に応じた電圧にすることが可能となる。
図37の構成や、図35の構成において、リセット線311に切り替え手段333を介して電流源312、電圧源331が接続されているが、電圧源311がなくても、1水平走査期間以内に、電流源312によって、所定の初期化電位になるまで、駆動用トランジスタ11aのゲート電圧を変化させることができれば、電流源のみでリセット期間361を構成することができる。このとき図39に示すような1フレーム期間の動作となる。
駆動用トランジスタ11aのゲート電圧はVrst+ΔV1に収束する。電圧源331を併用した場合でも図36、図38に示すようにVrst+ΔV1と同一値であり、初期化の効果はかわらず同等であるため、電流源のみの構成でもよい。
以上のように、図40などでも説明したように、駆動用トランジスタ11aがPチャンネルトランジスタの場合、ゲート端子電圧が高くなるほどチャンネルを流れる電流が減少する。図49ではその関係を図示している。図49は、横軸を駆動用トランジスタ11aのゲート端子電圧を示す。右側が正である。上のグラフの縦軸は、駆動用トランジスタ11aのチャンネル間(ソース−ドレイン端子間)に流れる電流を示す。上が正である。下のグラフの縦軸は、経過時間を示す。上が正である。
上図において、リセット電圧Vraが駆動用トランジスタ11aに印加され、トランジスタ11bがクローズしてオフセット動作が開始すると、駆動用トランジスタ11aのドレイン電流は低下していく。リセット電圧Veaが印加された最初に流れる電流は、Iiaであるが、時間の経過とともに電流が減少し、ある設定階調(第1階調と呼ぶ)の電圧Veaで流れる電流はIea、他のある設定階調(第2階調と呼ぶ)の電圧Vecで流れる電流はIecとする。
下図は、ゲート端子電圧と、経過時間を示す。リセット電圧VraからVeaまでに必要とする時間は、taである。しかし、リセット電圧VraからVecまでに達するのに必要な電圧は、一点破線で示すように非常に時間がかかる。したがって、駆動用トランジスタ11aのゲート端子電圧がVecになるまでには非常に長いオフセット時間を必要とする。
リセット電圧VrstがVrbであれば、下図の点線のカーブでゲート電圧は変化する。チェンネルに流れる電流はIrbから時間経過とともに低下する。ゲート端子電圧が、Veaに到達する時間は、tbであり、Vecに到達する時間は、tcである。
リセット電圧Vrst=Vrbであれば、経過時間tcで、ゲート端子電圧Vecとなり、電流はIecとなる。したがって、下図の実線のように、電流Iecに達する時間は、非常に長時間となることはなく、比較的短時間に目標値Iecに到達する。
図49の関係から、第1階調と第2階調で、リセット電圧Vrstを可変することにより、規定の経過時間(オフセットキャンセル時間)に、目標値の電流がEL素子15に流れるように設定することができる。
図50に図示するように、階調電圧(駆動用トランジスタ11aに印加する電圧)とリセット電圧Vrstと適正な関係がある。
図50は、横軸は電圧(駆動用トランジスタ11aに印加する電圧)であり、縦軸は、階調番号である。図50では、駆動用トランジスタ11aとPチャンネルトランジスタとしている。したがって、階調が大きい方が、駆動用トランジスタ11aのゲート端子電圧が低く、階調が小さい方が、駆動用トランジスタ11aのゲート端子電圧は高い(アノード電圧に近い)。
図50では、駆動電圧(階調電圧、プログラム電圧)を点線で示す。リセット電圧Vrstは、階調電圧に対して一定値以下の電圧をリセット電圧として印加すればよい。実線にリセット電圧1として、図示している。階調1023では、リセット電圧Vrstは−2Vであり、階調511では、リセット電圧Vrstは約1.3Vである。
以上のリセット電圧1は、階調電圧(駆動電圧)に対して、一定電圧を下となる電圧印加する場合であるが、これに限定するものではない。例えば、図50の一点鎖線(リセット電圧2)のように階調に対して直線であってもよい。その他、リセット電圧は、階調に対して非線形であってもよいし、ステップ状であってもよい。
また、図51に図示するように、階調に対してリセット電圧(実線)を非線形の関係にしてもよい。階調が大きいほど、リセット電圧を低くし、階調が小さいほど、駆動電圧とリセット電圧Vrstとの差を小さくしてもよい。図51にように、リセット電圧Vrstを設定するのは、高階調の領域では、オフセット時に駆動用トランジスタ11aのチャンネルが大きく、リセット電圧Vrstと駆動電圧との絶対電圧が大きくても、十分にオフセットキャンセルできるからである。また、オフセット電圧に十分収束しなくとも階調表示に問題がないからである。一方、図51にように、リセット電圧Vrstを設定するのは、高階調の領域では、オフセット時に駆動用トランジスタ11aのチャンネルが大きく、リセット電圧Vrstと駆動電圧との絶対電圧が大きくても、十分にオフセットキャンセルできるからである。また、オフセット電圧に十分収束しなくとも階調表示に問題がないからである。低階調の領域では、オフセット時に駆動用トランジスタ11aのチャンネルが小さく、リセット電圧Vrstと駆動電圧との絶対電圧を小さくしなくては、オフセットキャンセルが十分できないからである。
以上のように、本発明は、階調電圧に対応させてリセット電圧Vrstを変化させるのが本発明の1つの技術的思想である。つまり、映像信号電圧に対応させてリセット電圧Vrstを変化させるのが本発明の技術的思想である。対応させてリセット電圧Vrstを変化させるとは、少なくとも任意の第1の階調と任意の第2の階調とで、リセット電圧Vrstを変化あるいは異ならせることである。図42などで説明する駆動方式は、以上の効果、方式を適用したものある。
以下、図42を参照しながら、本発明の他の実施例ついて説明する。図42の駆動用トランジスタ11aと駆動用トランジスタ11aのソース端子間にコンデンサ19bが配置または形成されていることである。コンデンサ19bは、リセット電圧Vrstが印加される配線とソース信号線17からの映像信号Vsigが印加される配線とに接続される。または形成される。コンデンサ19bの容量は、コンデンサ19aの容量の50%以上150%以下に形成される。
以下の説明では、理解を容易にするため、コンデンサ19aの容量がコンデンサ19bに比較して非常に大きいとし、コンデンサ19bのa端子の電圧の変化が、b端子にそのまま変化するとして説明をする(現実の構成ではないが、理解を容易にするためである)。例えば、a点の電位が、5Vから3Vに変化すると、b点の電位が5−3=2V変化するものとする。
コンデンサ19bの機能は、リセット電圧Vrstの電位を映像信号電圧Vsigで変動させる機能を有する。したがって、コンデンサ19bの配置位置(形成位置)は、一端子にリセット電圧Vrstが印加される配線あるいはリセット電圧Vrstが伝達される配線接続され、他方が、映像信号電圧Vsigがいんかされる配線あるいは映像信号電圧Vsigが伝達される配線に接続され、かつ、コンデンサ19bにに前記映像信号電圧Vsigとリセット電圧Vrstが印加されることにより、その相互作用により発生した電圧を駆動用トランジスタ11aのゲート端子に印加あるいは保持される電圧または電位に作用するものである。
図43は、図42の画素構成の動作を説明するための説明図である。図42などにおいて、電流経路は、点線で示しており、各スイッチ用トランジスタ11は、スイッチで図示している。スイッチがオープンの時、トランジスタ11がオフ状態を示し、スイッチがクローズの時、トランジスタ11がオン状態を示す。また、図44は、図43の動作をタイミングチャートに図示したものである。ただし、本明細書において、タイミングチャートは模式的に図示している。このことは本発明の他の実施例においても同様である。
図43(a)はEL素子15に電流が供給され、EL素子15が発光(点灯)している状態である。
図43(b)からが電圧プログラム(画素16のEL素子15に流れる電流を書き換える動作あるいは期間)の動作である。まず、スイッチ用トランジスタ11fがオンすることにより、リセット電圧Vrstが駆動用トランジスタ11aのゲート端子に印加される。リセット電圧Vrstは、−2V以上3V以下の電圧であることが好ましい。
スイッチ用トランジスタ11fがオンすることにより、図44の1tからat期間にリセット電圧Vrstが印加される。リセット電圧Vrstが印加されている期間は、スイッチ用トランジスタ11b、11e、11c、11dはオフ状態である。
次に図43(c)に示すように、スイッチ用トランジスタ11cをオンさせる。スイッチ用トランジスタ11cのオンにより、図42のa点に映像信号電圧Vsigが印加される。一例として、映像信号電圧Vsigは、0V以上5V以下の電圧である。映像信号電圧Vsigは、映像信号により変化する。
以上の動作より、図42のb点にリセット電圧Vrstが印加され、次に、a点に映像信号電圧Vsigが印加される。Vsig電圧は、理想的にはコンデンサ19aと19bで分圧される。分圧される割合は、コンデンサ19aとコンデンサ19bの容量比で決まる。
説明を容易にするため、リセット電圧Vrstを−1Vとし、映像信号電圧の1Vまたは4Vとする。また、1Vは、EL素子15に最大の電流(白表示電流)を流す電圧と仮定し、4Vは、EL素子15に電流を流さない電流(黒表示電流)であると仮定する。また、アノード電圧Vddは、5Vであるとする。
今、映像信号電圧Vsigを1Vとすると、図43(b)では、a点に1Vが印加され、b点には−1Vが印加されている。a点に1Vが印加される以前は、図43(a)の状態であるから、a点には、5Vが印加されている。
以上の状態で、a点に印加される電圧が、Vsig電圧により、5Vから1Vに変化する。a点の電位が5Vから1Vに変化することにより(電圧変化5−1=4V)、b点の電位も4V変化する(コンデンサ19aの容量が、コンデンサ19bの容量に比較して非常に大きいとする)。したがって、b点の電位は、−1Vから−5V(−1V+(−4)V)に変化する。以上の動作により、映像信号電圧Vsigが1Vの時は、駆動用トランジスタ11aのゲート端子電圧(b点)の電位は、−5Vとなる。
映像信号電圧Vsigを4Vとすると、図43(b)では、a点に4Vが印加され、b点には−1Vが印加されている。a点に4Vが印加される以前は、図43(a)の状態であるから、a点には、5Vが印加されている。
以上の状態で、a点に印加される電圧が、Vsig電圧により、5Vから4Vに変化する。a点の電位が5Vから4Vに変化することにより(電圧変化5−4=1V)、b点の電位も1V変化する(コンデンサ19aの容量が、コンデンサ19bの容量に比較して非常に大きいとする)。したがって、b点の電位は、−1Vから−2V(−1V+(−1)V)に変化する。以上の動作により、映像信号電圧Vsigが4Vの時は、駆動用トランジスタ11aのゲート端子電圧(b点)の電位は、−2Vとなる。
映像信号電圧Vsigが1Vの時は、駆動用トランジスタ11aのゲート端子電圧(b点)の電位は、−5Vとなる。したがって、映像信号電圧Vsigとリセット電圧Vrstとの電位差は、1−(−5)=6Vである。
映像信号電圧Vsigが4Vの時は、駆動用トランジスタ11aのゲート端子電圧(b点)の電位は、−2Vとなる。したがって、映像信号電圧Vsigとリセット電圧Vrstとの電位差は、4−(−2)=6Vである。
つまり、映像信号電圧Vsig=1Vでは、リセット電圧Vrst=−5Vからオフセットキャンセル動作が開始する(図43(d))。映像信号電圧Vsig=4Vでは、リセット電圧Vrst=−2Vからオフセットキャンセル動作が開始する(図43(d))。
以上のことから、図42の実施例では、映像信号に対応してリセット電圧Vrstが変化する。したがって、図50で説明した、映像信号電圧(駆動電圧)とリセット電圧1の関係が実現できていることになる。
図43(c)が上記の映像信号電圧Vsigで、オフセットキャンセルを開始するリセット電圧Vrstが決定される(設定される)。映像信号電圧Vsigの大きさに対応して初期(図43(b))に印加したリセット電圧Vrstが、変化するからである(図50)。
以上の実施例では、理解を容易にするため、あるいは説明を容易にするため、コンデンサ19aの容量がコンデンサ19bの容量に比較して十分大きく、図42のa点に印加された電位が、b点に反映される、もしくは図42のb点に印加された電位が、a点に反映されることを前提として説明している。
しかし、実際には、b点に反映される(変化する)電圧は、コンデンサ19a、19bの容量、駆動用トランジスタ11aの寄生容量、他のスイッチング用トランジスタ11の寄生容量およびゲート信号線17などの突き抜け電圧などにより変化する。したがって、本発明はこれらの影響を考慮してコンデンサ19の容量、各スイッチング用トランジスタ11の動作を決定する。これらの事項などは本発明の技術的思想を逸脱するものではない。なお、コンデンサ19bと19aの容量または容量比をb点に設定する設定電圧に対応して決定する。
例えば、コンデンサ19には、絶縁膜の特性などにより、容量Cを印加電圧に対して非線形性を持たせることができる。したがって、適正にあるいは考慮してコンデンサ19などを形成することにより、図42の構成と駆動方式であっても、図51のように、駆動電圧Vsigに対してリセット電圧Vrstを変化(非線形)にすることが可能である。
また、図42(b)のリセット電圧Vrstを印加する際、スイッチ用トランジスタ11eをオフした状態で、リセット電圧Vrstを印加すれば、a点の電位が変化する。次の図42(c)で、映像信号電圧Vsigを印加すれば、a点が変化した後を基準にしてb点の電位が変化する。以上のように、各トランジスタ11の制御タイミングを各状態に設定あるいは変更することにより多種多様な方式、a点b点などの電位制御を実現できる。
図43(c)を実施している期間が、図44のat〜bt期間である。リセット電圧Vrstを映像信号電圧Vsigの関係で変化する。
図43(d)がオフセットキャンセル期間である。スイッチ用トランジスタ11e、11d、11fがオープンに制御され、スイッチ用トランジスタ11c、11bがクローズに制御される。以上のスイッチ用トランジスタ11の設定により、映像信号電圧Vsigが駆動用トランジスタ11aのチャンネル間を介して、駆動用トランジスタ11aのゲート端子に印加される。映像信号電圧Vsigに対する電流(ドレイン電流)は、図49に図示するように、リセット電圧Vrstを印加後、非線形カーブで低下する。1H以内(1水平走査期間、図44のbt〜2t)の間、オフセットキャンセルされる。
図43(e)がEL素子15の発光期間である(図44の2t〜4t、5t〜)。スイッチ用トランジスタ11c、11b、11fがオフ(オープン)され、スイッチ用トランジスタ11e、11dがオン(クローズ)される。EL素子15には、アノード電圧源Vddから、スイッチ用トランジスタ11e、駆動用トランジスタ11a、スイッチ用トランジスタ11dを介してEL素子15に電流が供給される。
図43(f)の表示期間の動作であるが、EL素子15の消灯期間である(図44の4t〜5t)。スイッチ用トランジスタ11dまたは11eのうち、少なくとも一方をオンオフ制御することにより、図12、図13の画像表示を実現できる(duty駆動)。duty駆動、ピーク電流抑制駆動により、高画質化、電流抑制を実現できる。なお、各スイッチ用トランジスタ1の動作に対応させて各ゲート信号線17のオンオフ電圧を印加する制御タイミングを制御する。ゲートドライバ回路12の制御は図3のように、ソースドライバIC14からの信号をレベルシフト回路32でレベルシフトさせて印加することにより実現する。
表示期間は、図43(e)、図43(f)の駆動方法を実施する。スイッチ用トランジスタ11dまたは11eのうち、表示する画像が動画あるいは静止画あるいは中間動画の種類を自動判別し、少なくとも一方をオンオフする期間、タイミングを制御することにより、動画/静止画に対応する適切な画像表示を実現できる。
図45は、図43で説明した本発明の駆動方法の他の実施例である。図45の駆動方法では、図43(d)の期間が2つの期間(図45(d1)(d2))に分かれる。
図45の駆動方法は、駆動用トランジスタ11aのモビリティバラツキを補正するものである。図43の駆動方法は、Vtバラツキのみを主として補正する駆動方法である。
図45(d)の期間では、スイッチ用トランジスタ11eがオフ状態である(図45(d1)と同一)が、図45(d2)は、スイッチ用トランジスタ11eをオン状態にしている。したがって、図45(d2)に図示するように、点線の経路で電流が流れる。図43(e)では、スイッチ用トランジスタ11eはオンであるが、スイッチ用トランジスタ11bがオフである。つまり、図45(d2)は、図43(e)期間前に、スイッチ用トランジスタ11bをオンした状態で、短期間、スイッチ用トランジスタ11eをオンさせた駆動方法である。もしくは、スイッチ用トランジスタ11eをオンする際、短時間の間、スイッチ用トランジスタ11bのオン状態を継続する駆動方式である。
短時間とは、0.1μ秒以上5μ秒以下の時間である。前記短時間は、画素に印加する映像信号電圧Vsigに対応させて変化させることが好ましい。また、点灯率に対応させて変化させることが好ましい。この変化は、線形、非線形に対応させることを含むほか、ステップ状(例えば、点灯率50%以上では、短時間とは0.5μ秒、点灯率50%未満では、2μ秒)に対応させてもよい。
この短時間を調整することあるいは設定することにより、駆動用トランジスタ11aのモビリティばらつきを一定量、補償できる。短時間は、パネルの駆動用トランジスタ11aの特性に適合させて設定することが好ましい。
図43、図45の実施例では、オフセットキャンセル期間は、図44のbt〜2tの1H以下の期間としたが、本発明はこれに限定するものではない。図43(d)において、スイッチ用トランジスタ11cをオフし、スイッチ用トランジスタ11bをオン状態(他のスイッチ用トランジスタ11e、11f、11dはオフ)にして、1H期間以上(図44の2t以降の期間)保持してもよい。スイッチ用トランジスタ11cをオフしてもa点に映像信号電圧Vsigが保持されているため、オフセットキャンセル状態が持続するからである。したがって、オフセットキャンセル時間が不足することはなくなる。以上の図43(d)において、スイッチ用トランジスタ11cをオフし、スイッチ用トランジスタ11bをオン状態(他のスイッチ用トランジスタ11e、11f、11dはオフ)にする状態の期間は、画素16に印加する映像信号電圧Vsigの大きさに対応して変化させることが好ましい。
他の構成は、図1などと同様であるので説明を省略する。なお、図42の構成においても、ソースドライバIC14の出力端に3選択回路を配置してもよいことは言うまでもない。以上の事項は本発明の他の実施例においても同様である。
図46は、図42の変更例である。図42との際は、図1と同様にコンデンサ11cが付加された点である。基本的には、コンデンサ11cの機能は、図1の機能および仕様と同様である。
図47は、図46の画素構成の動作を説明するための説明図である。図47などにおいても図43を同様に、電流経路は、点線で示しており、各スイッチ用トランジスタ11は、スイッチで図示している。スイッチがオープンの時、トランジスタ11がオフ状態を示し、スイッチがクローズの時、トランジスタ11がオン状態を示す。
図47(a)はEL素子15に電流が供給され、EL素子15が発光(点灯)している状態である。
図47(b)では、スイッチ用トランジスタ11fがオンすることにより、リセット電圧Vrstが駆動用トランジスタ11aのゲート端子に印加される。リセット電圧Vrstは、−2V以上3V以下の電圧であることが好ましい。
スイッチ用トランジスタ11fがオンすることにより、駆動用トランジスタ11aのゲート端子にリセット電圧Vrstが印加される。リセット電圧Vrstが印加されている期間は、スイッチ用トランジスタ11b、11e、11c、11dはオフ状態である。
次に図47(c)に示すように、スイッチ用トランジスタ11cをオンさせる。スイッチ用トランジスタ11cのオンにより、図42のa点に映像信号電圧Vsigが印加される。
以上の動作より、図42のb点にリセット電圧Vrstが印加され、次に、a点に映像信号電圧Vsigが印加される。Vsig電圧は、理想的にはコンデンサ19aと19bで分圧される。分圧される割合は、コンデンサ19aとコンデンサ19bの容量比で決まる。
図47(c)の動作は、図43(c)の動作と同一である。また、図47(d)の動作は、図43(d)の動作と同様である。
図43の実施例との差異は、図47(e)の動作である。つまり、コンデンサ19cの一端子(図46のa点)に印加された電圧により、スイッチ用トランジスタ11cがオフした後も、映像信号電圧Vsigが駆動用トランジスタ11aに供給され、オフセットキャンセル期間が持続する点である。したがって、コンデンサ19cの効果によりソースドライバIC14からの映像信号電圧Vsigの供給の有無にかかわらず、オフセットキャンセル期間が持続する。なお、図47(f)は、図43(e)と同一の動作である。
図46の実施例において、実際には、b点に反映される(変化する)電圧は、コンデンサ19a、19bの容量、駆動用トランジスタ11aの寄生容量、他のスイッチング用トランジスタ11の寄生容量およびゲート信号線17などの突き抜け電圧などにより変化する。したがって、本発明はこれらの影響を考慮してコンデンサ19の容量、各スイッチング用トランジスタ11の動作を決定する。これらの事項などは本発明の技術的思想を逸脱するものではない。なお、コンデンサ19bと19aの容量または容量比をb点に設定する設定電圧に対応して決定する。この点も図42の実施例と同様である。また、図51のように、駆動電圧Vsigに対してリセット電圧Vrstを変化(非線形)にすることが可能である。
図48は、図46の実施例に対して、図45で説明した本発明の駆動方法の他の実施例である。図48の駆動方法では、図47(e)の期間が2つの期間(図45(e1)(e2))に分かれる。
図48(e2)は、図48(f)期間前に、スイッチ用トランジスタ11bをオンした状態で、短期間、スイッチ用トランジスタ11eをオンさせた駆動方法である。もしくは、スイッチ用トランジスタ11eをオンする際、短時間の間、スイッチ用トランジスタ11bのオン状態を継続する駆動方式である。この点も図45の実施例と同様である。
他の構成は、図1などと同様であるので説明を省略する。なお、図42の構成においても、ソースドライバIC14の出力端に3選択回路を配置してもよいことは言うまでもない。以上の事項は本発明の他の実施例においても同様である。
本発明のトランジスタは、TFTばかりでなく、バイポーラトランジスタでも同様に実現が可能である。またTFTについても、ポリシリコン、結晶シリコン、アモルファスシリコンなど構成材料によらず同様に実施が可能である。
図1などの本発明の実施例において、トランジスタ11e、トランジスタ11dの少なくとも一方をオンオフ制御することにより、図12(b)に図示するようなduty駆動を実現できる。図12において、121はプログラム画素行(映像信号を書き込んでいる画素行)であり、123は非表示領域(トランジスタ11eとトランジスタ11dのうち、少なくとも一方をオフさせることにより、非表示(EL素子15に電流が流れていない、または流れても小さい状態)とした画素行または画素行の群)である。122は表示領域(トランジスタ11eとトランジスタ11dの両方をオンさせ、EL素子15に電流が供給されている画素行または画素行の群である。非表示領域123および表示領域122はフレーム周期または水平同期信号に同期して、表示画面31の上下方向に走査される。
図13(a)の表示では、1つの表示領域122が画面の上から下方向に移動する。フレームレートが低いと、表示領域122が移動するのが視覚的に認識される。特に、まぶたを閉じた時、あるいは顔を上下に移動させた時などに認識されやすくなる。
この課題に対しては、図12(b)(c)に図示するように、表示領域122を複数に分割するとよい。分割された表示領域122は等しく(等分に)する必要はない。例えば、表示領域を4つの領域に分割し、分割された表示領域122aが面積1で、分割された表示領域122bが面積2で、分割された表示領域122cが面積1で、分割された表示領域122dが面積4でもよい。
数フレーム(フィールド)での表示領域122の面積が平均して目標の大きさになるように制御してもよいことは言うまでもない。例えば、表示画面31に占める表示領域122の面積を1/10にするとした時、1フレーム(フィールド)目は表示領域122の面積を1/10とし、2フレーム(フィールド)目は表示領域122の面積を1/20とし、3フレーム(フィールド)目は表示領域122の面積を1/20とし、4フレーム(フィールド)目は表示領域122の面積を1/5とし、以上の4フレーム(フィールド)で所定の表示面積(表示輝度)の1/10を得る駆動方法が例示される。
また、R、G、Bのそれぞれが、数フレーム(フィールド)でLの期間の平均が等しくなるように駆動してもよい。しかし、前記数フレーム(フィールド)は4フレーム(フィールド)以下にすることが好ましい。表示画像によってはフリッカが発生する場合があるからである。
なお、本発明での1フレームあるいは1フィールドとは、画素16の画像書き換え周期または表示画面31が上から下まで(下から上まで)走査される周期と同義あるは類似の意味と考えてもよい。
また、R、G、Bで、数フレーム(フィールド)でLの期間の平均を異ならせ、適度なホワイトバランスがとれるように駆動してもよい。この駆動方法は、RGBの発光効率が異なるときに特に有効である。また、RGBで分割数K(表示領域122を複数に分割する数)を異ならせても良い。特にGでは視覚的にめだつため、Gでは分割数をRBに対して多くすることが有効である。
なお、以上の実施例では理解を容易にするために表示領域122の面積を分割するとして説明している。しかし、面積を分割するとは、期間(時間)を分割することである。したがって、図1ではトランジスタ11dのオン期間を分割することになるから、面積を分割することは、期間(時間)を分割することと同義あるいは類似である。
以上のように、表示領域122を複数に分割することにより画面のちらつきは減少する。したがって、フリッカの発生はなく、良好な画像表示を実現できる。なお、分割はもっと細かくしてもよい。しかし、分割するほど動画表示性能は低下する。また、画像表示のフレームレートを低減することができ、低消費電力化を実現できる。例えば、非点灯領域123を一括にした場合は、フレームレート45Hz以下になるとフリッカが発生する。しかし、非点灯領域123を6分割以上とした場合は、20Hz以下までフリッカが発生しない。
図13(a)は図13のように表示領域122が連続している場合の明るさ調整方式である。図13(a1)の表示画面31の表示輝度が最も明るい。図13(a2)の表示画面31の表示輝度が次に明るく、図13(a3)の表示画面31の表示輝度が最も暗い。図13(a1)から図13(a3)への変化(あるいはその逆)は、先にも記載したようにゲートドライバ回路12のシフトレジスタ回路61などの制御により、容易に実現できる。この際、図1のVdd電圧(アノード電圧など)は変化させる必要がない。また、ソースドライバ回路14が出力するプログラム電流あるいはプログラム電圧の大きさも変化させる必要がない。つまり、電源電圧を変化させず、また、映像信号を変化させずに表示画面31の輝度変化を実施できる。
また、図13(a1)から図13(a3)への変化の際、画面のガンマ特性は全く変化しない。したがって、表示画面31の輝度によらず、表示画像のコントラスト、階調特性が維持される。これは本発明の効果のある特徴である。
従来の画面の輝度調整では、表示画面31の輝度が低い時は、階調性能が低下する。つまり、高輝度表示の時は64階調表示を実現できても、低輝度表示の時は、半分以下の階調数しか表示できない。これに比較して、本発明の駆動方法では、画面の表示輝度に依存せず、最高の64階調表示を実現できる。
図13(b)は、図12で説明したように表示領域122が分散している場合の明るさ調整方式である。図13(b1)の表示画面31の表示輝度が最も明るい。図13(b2)の表示画面31の表示輝度が次に明るく、図13(b3)の表示画面31の表示輝度が最も暗い。図13(b1)から図13(b3)への変化(あるいはその逆)は、先にも記載したようにゲートドライバ回路12のシフトレジスタ回路61などの制御により、容易に実現できる。図13(b)のように表示領域122を分散させれば、低フレームレートでもフリッカが発生しない。
さらに、低フレームレートでも、フリッカが発生しないようにするには、図13(c)のように表示領域122を細かく分散させればよい。しかし、動画の表示性能は低下する。したがって、動画を表示するには、図13(a)の駆動方法が適している。静止画を表示し、低消費電力化を要望する時は、図13(c)の駆動方法が適している。図13(a)から図13(c)の駆動方法の切り替えも、シフトレジスタ61の制御により容易に実現できる。
図13は非表示領域123が等間隔で構成されているが、これに限定するものではない。表示画面31の1/2の面積が連続して表示領域122をし、残りの面積50が図13(c1)のように等間隔に表示領域122と非表示領域123が繰り返すように駆動してもよいことは言うまでもない。
また、EL表示装置に入力される映像信号を加算あるいは重み付け処理を行うことにより、表示画面に流れる電流を求め、または予測し、前記求めた電流などにより画像画面に黒帯状の非点灯領域を発生させ、この黒帯状の非点灯領域の大きさを変化させる。または、黒帯状の非点灯領域の幅は一定にし、映像信号の振幅を変化させることにより、表示画面に流れる電流の大きさが一定以上にならないように制御する。また、この制御により、電源回路から表示画面に流れる電流を一定以下となるようにすることができ、EL表示装置の発熱を抑制できる。また、電源回路(電源IC)が出力する電圧を可変することによりEL表示装置の発熱を抑制できる。
つぎに、本発明の駆動方式を実施するEL表示装置を表示ディスプレイとして用いた本発明の表示機器(EL表示装置)について説明をする。
図7はEL表示装置の一例である情報端末装置の携帯電話の平面図である。筐体73にアンテナ71などが取り付けられている。72aは、表示画面の明るさを変化させる切換キー、72bは電源オンオフキー、72cがゲートドライバ回路12bの動作フレームレートを切り替えるキーである。75はホトセンサである。ホトセンサ75は、外光の強弱にしたがって、duty比などを変化させて、表示画面22の輝度を自動調整する。
図8はビデオカメラの斜視図である。ビデオカメラは撮影(撮像)レンズ部83とビデオカメラ本体73と具備している。本発明のEL表示パネルは表示モニター74としても使用されている。表示画面22は支点81で角度を自由に調整できる。表示画面22を使用しない時は、格納部83に格納される。
本実施の形態のEL表示パネルあるいはEL表示装置などはビデオカメラだけでなく、図9に示すような電子カメラにも適用することができる。本発明のEL表示装置はカメラ本体91に付属されたモニター22として用いる。カメラ本体91にはシャッタ93の他、スイッチ72a、72cが取り付けられている。
なお、本明細書で説明した本発明の技術的思想は相互に組み合わせることができる。例えば、図1のコンデンサ19bを形成する実施例と、図16の複数のソース信号線を形成した実施例の組み合わせが例示される。また、図1のコンデンサ19bを形成する実施例と、図31の電流源312を使用する実施例との組み合わせが例示される。また、図1のコンデンサ19bを形成する実施例と、図32のコンデンサ19bを形成する実施例との組み合わせが例示される。また、図1のコンデンサ19bを形成する画素構成の実施例ぬ、図45、図48の駆動方法との組み合わせが例示される。また、図31と図42あるいは図45の構成の組み合わせが例示される。
また、2つの組み合わせだけでなく、3つ以上の技術的思想の組み合わせが例示される。
また、画素構成あるいは駆動方法だけでなく、図6あるいは図3にドライバ構成なども適時、各構成あるいは駆動方法に組み合わせることができる。また、画素構成あるいは駆動方法だけでなく、図12あるいは図13に他の駆動方法なども適時、各構成あるいは駆動方法に組み合わせることができる。
なお、以上の構成あるいは駆動方法、また複数の構成あるいは駆動方法を組み合わせたものを図7、図8、図9などに適用したものも本発明である。