JP2009264786A - 界面動電装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】電極から気泡の発生を防止するために、パラジウム電極をレザバに挿入する前に逆電圧を印加して充電させる方法は、電極をレザバに対して挿抜する動作が必須となるため、動作が煩雑となる場合があった。電極間に逆電圧を印加する方法では、対象物質を意図する方向とは逆に移動させることになり、界面動電の本来の目的を没却してしまう場合があった。電極材料として金属パラジウムに限定する方法では、製法面で金や白金に比べて劣る場合があった。
【解決手段】流路内で対象物を移動させる界面動電装置において、流路内に流体的に連通する電極対とは別に電極を設け、電極対の少なくとも一つに対し界面動電の所定の電位とは逆の電位を印加するように、電圧供給手段を切り替え制御する手段を設ける。
【選択図】図3

Description

本発明は、電気浸透流、電気泳動などの手段により、流路内で対象物を移動させる界面動電装置に関する。
近年、Lab−on−a−chip、μTAS、バイオマイクロチップなどと称される、微量の液体を扱う化学分析システムの開発が盛んに行われている。これは、ガラスやシリコン等の基板上に、流路、反応槽、ポンプ、バルブ、センサなどの要素を集積した構成であり、このチップ内部で、液体の移動、反応、合成、分析等を行うものである。
化学分析システムを小型化することにより、試料の使用量の大幅な低減が可能となる。さらに、小型化によりシステムの低価格化を期待することができる。さらには分析時間の大幅な短縮が可能となる。従って、このような化学分析システムは在宅医療やベッドサイドモニター等の臨床医療分野、DNA解析等のバイオ分野での応用が期待されている。
化学分析システムの一例として、基板内に設けられたμmオーダーの微細な流路に試料を流して、臨床検査を行う小型分析システムが挙げられる。また特に、このような小型分析システムで微量の対象物を所望の方向へ移動させる方法として、ポンプ、バルブなどを用いた機械的手法に代えて、電気的な原理を応用した手法が実用されている。
水のような極性液体に固体が接触すると、固体の表面は電荷を獲得し、その表面電荷は固体表面近傍の液体中の電荷の移動に影響を与える。液体中の正または負のイオンは負または正に荷電した表面に強く引き寄せられ、シュテルン層と呼ばれる極薄層を形成する。シュテルン層の中では、固体表面の電荷と反対の電荷を持ったイオンが液体中から集まって対を生じる。シュテルン層は液体中の電荷分布に影響し、同じ種類の電荷で満ちた拡散層を形成する。シュテルン層と拡散層はヘルムホルツの電気二重層を形成する。拡散層の厚さはデバイ長λDであるといえる。シュテルン層の電荷は固体の最表面に存在するため固定されているが、液体側の拡散層は動くことができる。拡散層の正味の電荷は電界をかけることで動き、シュテルン層と拡散層の境界はすべり面となり、その部位における電位がゼータ電位である。ガラス表面はシラノールで覆われており液体中では水素が溶液中に溶解し、負に帯電するのでゼータ電位は負の値をとる。特に石英ガラスはゼータ電位の値が大きくなる。
上述したような電気二重層とゼータ電位に支配される環境下で、電気的な原理によって対象物を移動させる手段として、電気浸透流、電気泳動などが知られている。これらは総称して界面動電と呼ばれている。
ここで、図12を用いて、界面動電のひとつである電気浸透流の原理を簡単に説明する。2枚の石英ガラス板101が隙間102を介して対向して配置されている。石英ガラス板101の表面103は通常は水酸基で覆われているが、水性媒体である電解質溶液104を隙間102に注入すると、水素イオンが電解質溶液104中に移動する。その結果、表面103には負の電荷105が生じ、電解質溶液104中の陽イオン106が表面103に移動し、ヘルムホルツの電気二重層107を生じる。
そこで、隙間102の両端に電極108と電極109を配置し、電極108に対して正の電圧を、電極109に対して負の電圧を直流電源110から印加すると、陽イオン106が負の電極109の方向へ移動する。そのため粘性流により電解質溶液104自体が負の電極109の方向に移動するが、この現象が電気浸透流である。
このように、石英ガラス板101で形成された隙間102あるいは石英ガラスでできた流路を、流路の一部に接続し、隙間102あるいは流路の両端に電圧を印加して、流路とともに電解質溶液104を満たす。すると、その隙間102あるいは流路に流れる電気浸透流によって流路全体の電解質溶液104を移動させることができる。この機構が電気浸透流ポンプと呼ばれるものである。
次に、界面動電のひとつである電気泳動の原理を簡単に説明する。電気泳動は、電界によって電荷を有する粒子あるいは分子を移動させる際に広く用いられている。電気泳動には、さまざまな用途があるが、特に分子生物学ではデオキシリボ核酸(DNA)や蛋白質を分離する手法として重要である。例えば、流路電気泳動では、分離用流路の一端側に導入されたDNAまたはタンパク質などの試料に対して、流路の両端間に設けた電極によって直流電圧を印加する。例えば、デオキシリボ核酸(DNA)の分子は負に帯電しているため正の側の電極に向かって試料中を移動する。こうして対象物を流路の端方向に電気泳動をさせることにより分離して検出することができる。
電気泳動や電気浸透流のように界面動電においては、通常、電極は緩衝水溶液中に直接設けられ、外部電源に接続されて電位差を生じる。緩衝水溶液中のイオンの組成によっても異なるが、基本的にはこの電気分解によって、カソード(陰極)にて水素ガスが発生し、アノード(陽極)には酸素ガスが発生する。電気化学的セルを備えるデバイスにおいて、電極表面で気泡が形成されることは、重大な問題を生じさせる。
特許文献1には、電気泳動デバイスおよび電気浸透デバイスのためのバブルフリー電極および圧力発生電極について改良された技術が開示されている。具体的には、バブルフリー電極材料ならびにそれらを使用するシステムおよび方法を提供することによって、電極から気泡を生じる問題を解決している。さらに具体的には、電極構造内に水素を吸収し蓄えるために、カソード(陰極)としてあらかじめ充電されるパラジウム金属製のアノード(陽極)を備え、この電極を電解条件下でアノード(陽極)として使用して気泡を生じないように作動させている。
以上を図13によって説明すると、111と112はレザバ、113は二つのレザバをつなぐ流路、114と115はパラジウム電極、116は直流電源、117a、117b、117c、117dはそれぞれバルブである。通常作動モードの条件下において、パラジウム電極114は、アノードとして作動して、パラジウム電極115はカソード(陰極)として作動する。このパラジウム電極114は、例えばレザバ111に挿入される前に、または通常作動前に、事前の充電期間に電極の電荷を反転させることによって充電される。
特表2005−501234公報
前述の特許文献1で開示されたひとつの方法では、パラジウムアノード(陽極)をレザバに挿入する前に逆電圧を印加して充電させている。このように、電極自身にあらかじめ水素を吸収させておくことで、正規のアノード(陽極)として使用する際に、酸素の発生をキャンセルし、気泡発生の問題を回避している。しかし、電極をレザバに対して挿抜する動作が必須となるため、動作が煩雑となる場合があった。
特許文献1で開示された別の方法では、パラジウムアノード(陽極)とカソード(陰極)の間に逆電圧を印加して、パラジウムアノード(陽極)をカソード(陰極)として作用させている間に充電させる。このように電極自身にあらかじめ水素を吸収させておくことで、正規のアノード(陽極)として使用する際に、酸素の発生をキャンセルし、気泡発生の問題を回避している。しかし、電気浸透流や電気泳動に代表される界面動電は、その効果によって対象物質を移動させたい方向はそのシステムにおいて決まっていることが通常である。気泡発生を防止するために、アノード(陽極)とカソード(陰極)に逆方向の電位差を与えてしまっては、意図する方向とは逆に対象物質を移動させることになり、界面動電の本来の目的を没却してしまう場合があった。
さらには、特許文献1で開示された方法では、電極材料が金属パラジウムに限定されている。内部に気体を吸収しやすいという金属パラジウムに固有の特性を活用したものだが、金属パラジウムは、電極に適した材料である金や白金と比べても著しく安価というわけではなく、調製などの製法面では金や白金に比べて劣る場合があった。
本発明にかかる界面動電装置は、流路と、該流路中の流体に接し得る位置に間隔を設けて配置された界面動電用の一対の電極と、これらの一対の電極に対して界面動電用の一方向の高低差のある電位を印加するための第一の電圧供給手段と、を備えた界面動電装置において、
前記界面動電用の一対の電極の少なくとも一方に対して前記流路中の液体に接し得る位置に設けられた逆方向電位印加用の電極と、
前記界面動電用の一対の電極の少なくとも一方と、前記逆方向電位印加用の電極との間に、前記界面動電用とは逆方向の高低差のある電位を印加するための第二の電圧供給手段と、
前記第一の電圧供給手段と前記第二の電圧供給手段とによる電圧の印加を切り替える切替手段と、
を更に有する
ことを特徴とする。
本発明によれば、流路内に電極対を設けた界面動電装置において、水性媒体である電解質溶液において一般には避けがたい気体の発生を抑制することができる。本発明には、特に複雑な要素や機構を追加しないで電極での気泡の発生を抑制できるだけでなく、界面動電の本来の効果を妨げないという効果がある。
本発明にかかる界面動電装置は、流路中に液体が充填された際に液体に接し得る位置に、液体に所望の界面動電を生じさせるための所定の間隔をもって界面動電用の一対の電極を有する。これらの一対の電極の間には、第一の電圧供給手段によって、一方の電極から他方の電極へ一方向の高低差の電位が印加されることにより界面動電による液体の移動(流れ)や液体中に含まれる成分の移動を生じさせる。この一方向の高低差の電位の印加とは、所定の界面動電を行っている電位の印加中において、方向に変化を生じさせない電位差の印加である。本発明にかかる界面動電装置では、界面動電用の一対の電極の少なくとも一方に対して、界面動電用とは逆方向の高低差の電位を印加するための電極(逆方向電位印加用電極)が流路内の液体に接しえる位置に更に設けられる。界面動電用の一対の電極の少なくとも一方と、逆方向電位印加用電極の間への逆方向電位の印加は、第二の電圧供給手段により行われる。界面動電用の一対の電極への第一電圧供給手段からの電圧の印加と、界面動電用の一対の電極の少なくとも一方と逆方向電位印加用電極との間への第二の電圧供給手段からの電圧の印加は切替手段によりスイッチングされる。
界面動電用の一対の電極のそれぞれに対して、逆方向電位用の電極を設ける場合は、界面動電用の一対の電極のそれぞれに対して、逆方向電位用の電極を1つ用意してもよい。
界面動電としては、電気浸透流及び電気泳動の少なくとも一方に基づく界面動電を利用することができる。更に、第一の電圧供給手段によって供給される電気化学当量と第二の電圧供給手段によって供給される電気化学当量とが均等となるように、これらの電圧供給手段によって印加される電位と印加時間を制御することが好ましい。後述するガス発生の防止という観点からは、これらの電気化学当量が、ガス発生が防止可能となるように相殺されるようにこれらの電圧供給手段によって印加される電位と印加時間を制御する。
(実施例1)
以下、図面に基づいて本発明に係る実施例について説明する。
本発明に基づく界面動電装置の構成について、図1ないし図3を参照して説明する。図1は本発明の第一の実施例に基づく界面動電装置の基本構成部を示す平面図であり、ガラス基板上に設けた流路と流路に接して設けた電極の配置及び電気配線等を示す。この装置は、界面動電として電気泳動を利用して物質の分離を行う装置であり、電気泳動用の一対の電極のそれぞれに対して逆方向電位を印加するための電極が設けられている。
図1において、1は流路を設けたガラス基板である。2は緩衝液導入口、3は緩衝液排出口、4は緩衝液導入用流路、5は分離検出用流路である。緩衝液導入口2と緩衝液排出口3は、緩衝液導入用流路4と分離検出用流路5が一本につながり、流体的に連通している。すなわち、流体がこれらの流路に導入された際にこれらの流路間を流体が移動できる構成を有している。6は試料導入口、7は試料排出口、8は試料導入用流路、9は試料排出用流路である。試料導入口6と試料排出口7は、試料導入用流路8と試料排出用流路9が一本につながり、流体的に連通している。緩衝液導入用流路4と分離検出用流路5は、その連結箇所において、試料導入用流路8と試料排出用流路9の連結箇所と交差している。
10はウェルであり、流路11を介して分離検出用流路5の緩衝液導入口2に近い上流側の箇所に接続している。12はウェルであり、流路13を介して分離検出用流路5の緩衝液排出口3に近い下流側の箇所に接続している。
14は電極であり、試料導入口6の内部に設けられている。15は電極であり、試料排出口7の内部に設けられている。電極14と電極15は、試料導入用流路8と試料排出用流路9を介して流体的に連通している。本実施例における電極14及び15は、被測定試料の注入のための電極対である。
16は電極であり、分離検出用流路5の内部であって緩衝液導入口2に近い上流側の箇所、具体的には前述した流路11が交差する箇所に設けられている。17は電極であり、分離検出用流路5の内部であって緩衝液排出口3に近い下流側の箇所、具体的には前述した流路13が交差する箇所に設けられている。電極16と電極17は、分離検出用流路5の内部で流体的に連通している。
18は電極であり、ウェル10の内部に設けられている。電極16と電極18は、流路11を介して流体的に連通している。19は電極であり、ウェル12の内部に設けられている。電極17と電極19は、流路13を介して流体的に連通している。
20と21は分離用流路5の終端側で電気泳動による試料の分離結果を電気抵抗値として測定するための電極対である。
電気配線22、23、24、25、26、27、28、29はガラス基板1上に設けられており、それぞれ各電極14、15、16、17、18、19、20、21に接続されている。電極材料については、公知の材料が利用できるが、イオン化傾向の小さい金(Au)や白金(Pt)を用いることが好ましい。但し、ガラス基板1が使い捨ての場合は製造原価を低く抑えたいという要求があり、また液体組成が稀に酸性であることを考慮すると、電極材質は水素(H)よりもイオン化傾向が小さければ機能を十分に発揮する。したがって銅(Cu)銀(Ag)の利用も可能である。
また、基板もガラスに限らず、樹脂などの高分子素材や、シリコン、石英などの無機材料基板等の従来バイオチップで利用されている基板を利用できる。
図2は、図1に示した界面動電装置の緩衝液導入口2と緩衝液排出口3とを結ぶ直線にそった断面図である。ガラス基板1の上面に各流路が掘られ、その上にガラス板30が接着されている。各電極はガラス板1に埋め込まれている。ガラス板30には導入口31および排出口32が設けられ、それぞれ緩衝液導入口2および緩衝液排出口3と連通している。導入口31および排出口32には、液槽を構成するようにガラス管33と34が取付けてある。同様のガラス管は試料導入口6と試料排出口7にも設けてある。また、ガラス板30には、ウェル10およびウェル12に連通する孔が設けられており、ウェル10およびウェル12は大気に開放されている。
図3は、本発明の第一の実施例に基づく界面動電装置の周辺構成を示す平面図である。界面動電装置の各電極へ電圧を印加するための電源、電圧印加を制御するためのスイッチ等の電気素子、これらの電源と電気素子と前述したガラス基板1上に設けられた電気配線との結線を示している。具体的には、41は電源であり、スイッチ42をオンすることで、電極14に正の電位が印加され、電極15に負の電位が印加されるようになっている。43は電源であり、スイッチ44をオンすることで、電極16に正の電位が印加され、電極17に負の電位が印加されるようになっている。45は電源であり、46と47はそれぞれスイッチである。スイッチ46をオンすることで、電極18に正の電位が印加され、電極16に負の電位が印加されるようになっている。スイッチ47をオンすることで、電極17に正の電位が印加され、電極19に負の電位が印加されるようになっている。48は電源であり、49はスイッチであり、50は電流計である。スイッチ49をオンすることで、電極20と電極21の間を流れる電流を計測できるようになっている。スイッチ44、46、47電源43、45等は、不図示の制御手段によって制御され、全体として切替手段を構成している。本実施例における逆方向電位の印加処理の対象となる電極対は、電極17、16であり、これらの電極のそれぞれに対して個々に逆方向電位の印加処理を行うための電極が、電極18及び19である。第一の電圧供給手段は、電源43、スイッチ44、配線24及び25からなる回路によって構成されている。また、第二の電圧供給手段の第一は、電源45、スイッチ46、配線24及び26からなる回路により構成され、第二の電圧供給手段の第二は、電源45、スイッチ47、配線25及び27からなる回路により構成されている。また、これらの電圧供給手段間のスイッチングのための制御手段は、スイッチ44、46、47とそれらに接続する配線、更にはスイッチのon-offを所望のタイミングで制御する機構(不図示)から構成される。
本発明に基づく界面動電装置の計測操作にともなう本装置の各部の動作・作用について、図4ないし図10、さらに図11に示したフローチャートを参照して、以下に説明する。
説明途中のステップ数の記載は、図11のフローチャートと対応している。まず初めに、緩衝液を試料槽33に入れる(ステップ1)。緩衝液は毛細管力などにより緩衝液導入用流路4、分離検出用流路5、試料導入用流路8、試料排出用流路9等に充填される。次に、試料導入口6に取付けた試料槽から被測定試料を入れる(ステップ2)。試料導入用流路8はすでに緩衝液で満たされているため、図4に示すように、スイッチ42をオンし、電極14と15に電源41の電圧を印加して、試料導入流路8に電気浸透流を起こす。この電気浸透流によって、試料導入流路8にすでに満たされていた緩衝液を試料排出口7に排出し、替わって被測定試料を注入する(ステップ3)。試料導入流路8に被測定試料が注入された後、スイッチ42をオフし、電極14と15の間への電圧印加を止める(ステップ4)。この操作により、緩衝液導入用流路4と分離検出用流路5の間に位置する部分には被測定試料が注入される。ここで、図5に示すように、スイッチ49をオンして、電極20と電極21の間に電圧を印加する(ステップ5)。
次に、図6に示すように、スイッチ44をオンし、分離検出用流路5の両側に配置した電極16と17の間に電源43の電圧を印加する。この電圧印加により、試料導入用流路8に注入された被測定試料のうち緩衝液導入用流路4と分離検出用流路5の間に位置する被測定試料が、分離検出用流路5における電気浸透流の作用により分離検出用流路5に導入される(ステップ6)。この被測定試料は引き続き分離検出用流路5の中を、電極16から電極17の方向へ電気浸透流の作用により移動する。被測定試料は分離検出用流路5の中を移動しながら、電気泳動の作用により、液体中における移動のしやすさの差に基づいて、被測定試料中の各成分が分離される。
電極16と電極17の間に電源43による電圧を印加してから所定の時間T1が経過したかを判断する(ステップ7)。この時間T1は、本実施例では0.2秒に設定している。時間T1が経過したらスイッチ44をオフする(ステップ8)。
続いて、図7に示すように、スイッチ46をオンして、電極16と電極18の間に電源45の電圧を印加する(ステップ9)。電極16には負の電位がかけられるため、先の工程で正の電位となっていた際に発生した酸素を再び水酸基イオンに戻すことができる。すなわち、電極16の表面に凝集し気泡の形態になりかけた酸素に対して再び電子を与え、水を分解しながら、酸素(気体)を水酸基イオンに戻す。こうして電極16は還元されたことになる。このとき、電極16と電極17の間には電位差が生じていないため、分離検出用流路5内での電気浸透流と電気泳動の作用は生じない。すなわち、分離検出用流路5内での被測定試料の移動や各成分の分離の機能は休止することになる。スイッチ46をオンして電極16と電極18の間に電源45の電圧を印加してから所定の時間T2が経過したかを判断する(ステップ10)。この時間T2は、本実施例では0.02秒に設定している。時間T2が経過したらスイッチ46をオフする(ステップ11)。続いて、図8に示すように、スイッチ47をオンして、電極17と電極19の間に電源45の電圧を印加する(ステップ12)。電極17には正の電位がかけられるため、先の工程で負の電位となっていた際に発生した水素を再び水素イオンに戻すことができる。すなわち、電極17の表面に凝集し気泡の形態になりかけた水素から再び電子を奪い、水素(気体)を水素イオンに戻す。こうして電極17は酸化されたことになる。このときも、電極16と電極17の間には電位差が生じていないため、分離検出用流路5内での電気浸透流と電気泳動の作用は生じない。すなわち、分離検出用流路5内での被測定試料の移動や各成分の分離の機能は休止することになる。スイッチ47をオンして電極16と電極18の間に電源45の電圧を印加してから所定の時間T3が経過したかを判断する(ステップ13)。この時間T3は、本実施例では0.02秒に設定している。時間T3が経過したらスイッチ47をオフする(ステップ14)。
以上説明したステップ5からステップ14までの操作を複数回繰り返す。図9に示すように、ステップ14の次はステップ5の状態に戻る。ステップ5からステップ14までの操作を1回と数え、所定の回数Nを繰り返したかどうかを判断する(ステップ15)。この回数Nは本実施例では100回に設定している。回数Nを数えたらスイッチ49をオフする(ステップ15)。分離検出用流路5での電気泳動により分離された試料成分が電極20と電極21の位置に到達すると、電極20と電極21の間に電源48の電圧を印加してあるため、流れる電流の変化として各試料成分の流れが検出される。電流の変化は電流計50により測定する。ステップ5からステップ14までの操作をN回繰り返し、最終的にスイッチ49をオフするまでの間、電流計50はモニターされている。
以上説明したように、ステップ16を終了して、計測操作にともなう本装置の一連の動作・作用が終了する。
ここで、本発明の特徴の一つである、電気分解による気体の発生についての定量的把握と、上記時間T1・T2・T3などの設定方法の考え方について説明する。
ステップ6において電極16と電極17の間に電源43による電圧を印加することで、電極16には正の電位が、電極17には負の電位が印加される。このとき、緩衝液および試料の主要な組成物である水が電気分解されて、陽極となっている電極16の表面には酸素が、陰極になっている電極17の表面には水素が、それぞれ発生する。電気分解による気体の発生量は、よく知られているように「ファラデーの電気分解の法則」にしたがう。すなわち、「ファラデーの電気分解の法則」の第一法則によると、析出(電気分解)された物質の量は、流れた電気量に比例する。第二法則によると、電気化学当量は化学当量と等しく、同じものである。
「ファラデーの電気分解の法則」の第二法則を式で示すと次のようになる。
n=m/M=(I・t)/(z・F)
ここで、
n〔mol〕: 物質量
m〔g〕: 質量
M〔g/mol〕: 分子量
I〔A〕: 電流
t〔s〕: 時間
z: イオン化数
F=9.65×104〔C/mol〕: ファラデー定数
いま、例として、陰極になっている電極17の表面に発生する水素の量を、ある条件のもとで試算する。
I=0.005〔A〕
t=0.2〔s〕
z=1
F=9.65×104〔C/mol〕
上記の数値を使うと、n=1.04×10-8〔mol〕となり、これは、0℃・1気圧のもとで、2.3×105〔L〕=0.23〔μL〕の体積となる。
本実施例では、電極16と電極17の間に電源43による電圧を印加してから時間T1後に、スイッチ44をオフする。時間T1は、具体的には0.2秒を設定している。気体が発生しやすい陰極となっている電極17について考えると、印加電圧が10ボルト程度で5マイクロアンペア程度の電流が流れている場合、前述した試算で示したように水素が発生し、総量で十分の数マイクロリットルの水気泡になる。電極17の寸法や流路の寸法などさまざまな要因で変わってくるが、発生した気体が電極17から離脱する前に、逆の電圧を印加して発生した気体を消滅させる条件に設定することが重要である。
本実施例では、電極16と電極17の間に電源43による電圧を印加する時間T1に対して、電極16と電極17に逆の電位を印加する時間T2・T3を短く設定している。この理由は、電気分解によって析出される物質を、逆の変化によってもとの物質に戻すためには電気化学当量が等しくなればよいからである。本実施例では、電源45の発生する電圧を電源43が発生する電圧の10倍として電極に流れる電流も約10倍ととし、スイッチ46ないしスイッチ47をオンする時間T2・T3は、スイッチ44をオンした時間T1の十分の一の0.02秒に設定している。電流と時間の積は流れる総電気量となり、おおよそ等しい電気化学当量によって、気体の発生を抑止もしくは発生しかけた気体を消滅させることができる。
また、本実施例で示すように、電極16と電極17の間に電源43による電圧を印加する時間T1に対して、電極16と電極17に逆の電位を印加する時間T2・T3を大幅に短く設定しているため、気泡発生を抑制するための時間が全体に占める割合は低い。したがって、電極間の電位を切替制御しても、界面動電装置の計測操作に要する時間はそれほど遅延せず、大きな問題にはならない。本実施例では、ステップ5からステップ14までの操作を繰り返す回数を100回としたが、これは界面動電装置の構成から決められるものである。分離検出用流路5の長さに応じて電気浸透流にかかる時間や、電気泳動により対象物質を分離するのにかかる時間から設定すればよい。
[実施例2]
前記実施例1は、電気浸透流と電気泳動を用いて対象物質を分離検出する界面動電装置について説明したが、本発明は他の形態にも適用することができる。例えば、先例として示した、特許文献1が開示する圧力発生電極のような装置にも適用することができる。課題の項で説明したように、気泡発生を回避するためには電極をレザバに対して挿抜する動作が必須となる状況でも、あらたに電極を設け、電位を切替制御する手段を設けることで問題を解決することができる。すなわち、対象となる電極に通常とは逆の電位を与えることで、気体の発生を抑止ないしは発生した気体を消去することができる。
本発明の第一の実施例に基づく界面動電装置の基本構成を示す平面図である。 本発明の第一の実施例に基づく図1における断面図である。 本発明の第一の実施例に基づく界面動電装置の周辺構成を示す平面図である。 本発明の第一の実施例に基づく界面動電装置の動作・作用を説明する平面図である。 本発明の第一の実施例に基づく界面動電装置の動作・作用を説明する平面図である。 本発明の第一の実施例に基づく界面動電装置の動作・作用を説明する平面図である。 本発明の第一の実施例に基づく界面動電装置の動作・作用を説明する平面図である。 本発明の第一の実施例に基づく界面動電装置の動作・作用を説明する平面図である。 本発明の第一の実施例に基づく界面動電装置の動作・作用を説明する平面図である。 本発明の第一の実施例に基づく界面動電装置の動作・作用を説明する平面図である。 本発明の第一の実施例に基づく界面動電装置の動作作用を説明するフローチャートである。 電気浸透流の原理の説明図である。 従来例の概略構成を示す断面図である。
符号の説明
1 ガラス基板
2 緩衝液導入口
3 緩衝液排出口
4 緩衝液導入用流路
5 分離検出用流路
6 試料導入口
7 試料排出口
8 試料導入用流路
9 試料排出用流路
10 ウェル
11 流路
12 ウェル
13 流路
14〜21 電極
22〜29 電気配線
30 ガラス板
31 導入口
32 排出口
33 ガラス管
34 ガラス管
41 電源
42 スイッチ
43 電源
44 スイッチ
45 電源
46 スイッチ
47 スイッチ
48 電源
49 スイッチ
50 電流計
101 石英ガラス板
102 隙間
103 表面
104 電解質溶液
105 負の電荷
106 陽イオン
107 電気二重層
108 電極
109 電極
110 直流電源
111 レザバ
112 レザバ
113 流路
114 パラジウム電極
115 パラジウム電極
116 直流電源
117 バルブ

Claims (4)

  1. 流路と、該流路中の流体に接し得る位置に間隔を設けて配置された界面動電用の一対の電極と、これらの一対の電極に対して界面動電用の一方向の高低差のある電位を印加するための第一の電圧供給手段と、を備えた界面動電装置において、
    前記界面動電用の一対の電極の少なくとも一方に対して前記流路中の液体に接し得る位置に設けられた逆方向電位印加用の電極と、
    前記界面動電用の一対の電極の少なくとも一方と、前記逆方向電位印加用の電極との間に、前記界面動電用とは逆方向の高低差のある電位を印加するための第二の電圧供給手段と、
    前記第一の電圧供給手段と前記第二の電圧供給手段とによる電圧の印加を切り替える切替手段と、
    を更に有する
    ことを特徴とする界面動電装置。
  2. 前記界面動電は電気浸透流であることを特徴とする請求項1に記載の界面動電装置。
  3. 前記界面動電は電気泳動であることを特徴とする請求項1に記載の界面動電装置。
  4. 前記第一の電圧供給手段によって供給される電気化学当量と前記第二の電圧供給手段によって供給される電気化学当量とが均等となるように、これらの電圧供給手段によって印加される電位と印加時間を制御することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の界面動電装置。
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