本発明は、自動車や建設機械の油や燃料などの冷却管、居住用空間の温湿度を調整する空調機、食品の鮮度を保って保存する冷凍冷蔵庫、化学設備の反応塔等に広く使用される扁平コイル状フィン部材及びその製造方法並びに上記扁平コイル状フィン部材を用いたフィンチューブに係るものである。
従来より、上記の如く自動車の油や燃料などの各種流体用の冷却管等に用いられるフィンチューブとして、特許文献1に示す如く、管部材の外周面に長尺な一定幅の帯材の内周端部をコイル状に巻き付けて成るものが知られている。また、特許文献2、3の図7に示す如く、波形に折曲した帯材をコイル状に巻回し、この巻回した帯材の内周端部に管部材を挿通嵌合して形成したフィンチューブが知られている。また、この特許文献2、3には図9に示す如く、線材をコイル状に巻回して形成した巻回形状が断面略円形のコイル状フィン部材を、管部材の外周面に螺旋状に巻回固定してフィンチューブを形成したものが記載されている。この従来技術は、管部材の外周面に線材により形成したコイル状フィン部材を巻回固定することにより、このコイル状フィン部材により多数の長いエッヂを形成し、フィン部材の表面を流れる流体に乱流を引き起こして境界層を剥離し、吸放熱による熱交換機能を高めることを目的としている。
また、特許文献4に示す如く、管部材の外周面に長尺な一定幅の帯材の内周端部をコイル状に巻き付けるとともに、この帯材とは別個に構成したピン状の乱流化部材を、帯材の表面とは垂直方向に複数個配設してフィンチューブとしたものが知られている。このように帯材の表面にピン状の乱流化部材を配設することにより、表面積を大きくし、この大きな表面積での吸放熱を可能とするとともに、乱流化部材によりエッヂを多数形成し、フィン部材の表面を流れる流体に乱流を引き起こして境界層を剥離し、吸放熱による熱交換機能を高めることを目的としている。
また、特許文献5に示す如く、一本の線材を扁平コイル状に巻回して扁平コイル部材を成形し、この扁平コイル部材の外側部をベルト材の一面に固定して扁平コイル状フィン部材を形成するとともに、この扁平コイル状フィン部材のベルト材の他面を管部材の外周面に面接触させることにより、フィンチューブを形成したものが知られている。この従来技術では線材を扁平コイル状に巻回して扁平コイル状フィン部材を成形することにより、多数の長いエッヂを形成して吸放熱による熱交換機能を高めることを目的としている。また、上述の如くベルト材を用いることにより、扁平コイル状フィン部材の表面積をその分大きくして、扁平コイル部材のみを配置した場合よりも熱交換機能を更に高めるとともに、前記ベルト材の他面を管部材の外周面に面接触させた状態で、扁平コイル状フィン部材を管部材の外周面に容易に巻回固定することを目的としている。
また、特許文献6に示す如く、一本の線材を扁平コイル状に巻回して形成した扁平コイル状フィン部材を、管部材の外周面に被覆した樹脂被膜層の表面に巻回固定することにより、フィンチューブを形成したものが知られている。この従来技術は扁平コイル状フィン部材を用いることにより、上記特許文献5の場合と同様に、多数の長いエッヂを形成して吸放熱による熱交換機能を高めることを目的としている。また、上述の如く管部材の外周面を樹脂被膜層により被覆することにより、管部材の耐食性を高めることを目的としている。
また、特許文献7に示す如く、管部材の外周面にガイド部材を円周方向に配置するとともに、一本の線材を扁平コイル状に巻回して形成した扁平コイル状フィン部材を、上記ガイド部材に接触させて円周方向に配置することにより、フィンチューブを形成したものが知られている。この従来技術は扁平コイル状フィン部材を用いることにより、上記特許文献5、6の場合と同様に、多数の長いエッヂを形成して吸放熱による熱交換機能を高めることを目的としている。また、ガイド部材に沿って扁平コイル状フィン部材を管部材に巻回固定することにより、ガイド部材が支えとなって、扁平コイル状フィン部材の姿勢を安定させながら巻回固定するとともに、扁平コイル状フィン部材の管部材への巻回位置の位置決めを容易なものとすることを目的としている。
特開平09−42573号公報
実開平6−44089号公報
特開平7−142158号公報
特開2003−194486号公報
特開2007−93073号公報
特開2007−147234号公報
特開2007−327735号公報
しかしながら、特許文献1に於いては、フィン部材として帯材を用いているため、更に吸放熱性を高めるためには、より大きな表面積が必要となっていた。また、このように表面が平滑な帯材の表面を流れる流体は整流されるため、この帯材の表面に存在する境界層が厚くなり、吸放熱による熱交換機能を十分発揮することが困難であった。また、特許文献2、3の図7に記載のフィンチューブに於いては、帯材を波形に折曲しているため、帯材の表面を流れる流体を乱流化し、熱交換機能を高めることが可能となるが、更に吸放熱性を高めるためには、流体を更に乱流化するとともに、より大きな表面積を確保することが必要となっていた。
また、特許文献2、3の図9に示す如く、線材をコイル状に巻回してコイル状フィン部材を形成した場合には、特許文献1に比較して表面積が大きくなり管部材の内部を流通する流体と外気との熱交換を容易とし、吸放熱効果を高めることができる。しかし、この従来技術に於いては、コイル状フィン部材の巻回形状を断面略円形としており、コイル状フィン部材が幅広なものとなるため、管部材の外周面に於ける単位面積あたりのコイル状フィン部材の巻き付け量が少なくなり、十分な熱交換機能を発揮することができなかった。また、コイル状フィン部材は捻りや捩れが大きくなり取扱いに手数を要するものであった。
また、特許文献4に示す如きフィンチューブは、複数個のピン状の乱流化部材を個別に形成しなければならず、また、このようなピン状の乱流化部材を一本ずつ帯材に配設しなければならないため、製造に手間がかかるとともに、製造コストが高くつくものであった。また、このようにピン状の乱流化部材を配設したフィン部材とすることにより、表面積を大きくするとともにフィン間の配置間隔にエッヂを形成しているが、管部材からの吸放熱性を高めるためには更に大きい表面積と多数の長いエッヂを形成することが必要とされていた。
また、特許文献5〜7に於いては、扁平コイル状フィン部材の巻回形状を断面長円形としているため、巻回形状を断面略円形とする場合と比較して幅狭なものとすることが可能となり、管部材の外周面に於ける単位面積あたりの扁平コイル状フィン部材の巻き付け量を多くすることができるから、熱交換機能を更に高めることが可能となる。しかしながら、上記特許文献5〜7に於いては、線材を螺旋状に巻回することにより扁平コイル状フィン部材を形成しているため、扁平コイル状フィン部材の長さ方向に捻りや捩れが生じやすく、扁平コイル状フィン部材の長さに比例して、この捻りや捩れは大きなものとなる。そして、この捻りや捩れが大きく生じた状態で扁平コイル状フィン部材を管部材に巻回固定すると、管部材の外周面に配置した扁平コイル状フィン部材に傾斜や倒れが生じ、熱交換のための空間を十分に確保することができず、熱交換効率が低下するおそれがあった。また、このように傾斜や倒れが生じた状態では、扁平コイル状フィン部材の巻回ピッチが不正確となるとともに、密集させて巻回することが困難なものとなるため、扁平コイル状フィン部材の熱交換効率を十分に高められないおそれがあった。
また、上述の如き傾斜や倒れを抑制するためには、扁平コイル状フィン部材を捻りや捩れを矯正しながら管部材の外周面に巻回しなければならないため、高速巻回が困難となり、フィンチューブの製造効率が低下するおそれがあった。また、このように捻りや捩れが生じた状態で、扁平コイル状フィン部材の長さ方向にテンションを加えながら管部材の外周面に巻回すると、上述の如き傾斜や倒れが一層大きくなるから、扁平コイル状フィン部材にテンションを加えながら巻回作業を行うことができず、巻回作業の作業性が低下するおそれがあった。
また、線材を扁平コイル状に巻回して扁平コイル状フィン部材を形成しているため、扁平コイル状フィン部材が長さ方向に伸縮しやすいものとなる。そのため、扁平コイル状フィン部材を管部材に巻回固定する際に、伸縮度合いの差異により扁平コイル状フィン部材と管部材の接触間隔にバラつきが生じやすいものとなり、フィンチューブの部位によって吸放熱性に差異が生じて、熱交換効率が安定しないおそれがあった。
また、特許文献5に於いてはベルト材を扁平コイル部材に予め接着、ろう付け等により固定しておく必要があるし、特許文献6に於いては樹脂被膜層を管部材の外周面に予め形成しておく必要がある。また、特許文献7に於いては、ガイド部材を管部材の外周面に予め固定配置しておくことが必要となる。このように、特許文献5〜7はいずれも、扁平コイル状フィン部材の製造工程が複雑で、製造に手間がかかるとともに、製造コストが高くつくおそれがあった。
そこで本願発明は、上記の如き課題を解決しようとするものであって、吸放熱性を高めるのに十分な表面積を有するとともに多数の長いエッヂを形成し、冷却風の流れを良くして、効率良く吸放熱を行うことができる扁平コイル状フィン部材を配設したフィンチューブを得ようとするものである。また、扁平コイル状フィン部材を捻りや捩れを生じさせることなく管部材の外周面に容易且つ迅速に巻回固定することにより、製造が容易且つ製造コストが低廉な製品を得ようとするものである。
上述の課題を解決するため、第1発明は、1本の線材にて形成した巻回形状が断面略長円で扁平状の扁平コイル部材の内周に線状ガイド部材を挿入して、この線状ガイド部材を扁平コイル部材の内面の長軸方向の一端に当接して配置し、上記線状ガイド部材の配置部両側の扁平コイル部材を内方に変形して前記扁平コイル部材にカシメ部を形成し、このカシメ部により上記扁平コイル部材に上記線状ガイド部材がカシメ固定されている。
また、下記第2〜第4発明は、上記第1発明の扁平コイル状フィン部材の製造方法であって、第2発明は、1本の線材を螺旋状に巻回して巻回形状が断面略円形のコイル部材を成形する工程と、このコイル部材の内周に線状ガイド部材を挿入して内面の長軸方向の一端に当接させる工程と、上記コイル部材を両側から内方に押圧してコイル部材の巻回形状を略長円の扁平コイル状として扁平コイル部材を成形する工程と、上記線状ガイド部材の配置部両側の扁平コイル部材を内方に更に押圧変形してカシメ部を形成することにより、前記扁平コイル部材に上記線状ガイド部材をカシメ固定する工程とから成る。
このように、線材を巻回して巻回形状が断面略円形のコイル部材を形成する工程と、このコイル部材を押圧して扁平コイル部材を形成する工程とを分離することにより、予め線材を扁平コイル状に巻回して扁平コイル部材を形成する場合と比較して、製造工程は一工程多くなるが、線材の巻回作業を容易なものとし高速での成形が可能となる。また、断面略円形のコイル部材の巻回形状を略長円の扁平コイル状として扁平コイル部材を形成する工程と、この扁平コイル部材にカシメ部を形成する工程とを分離することにより、これらの作業を同時に一体的に行う場合と比較して、製造工程が一工程多くなるが、、一工程当りの変形量が少なくなり線材の暴れが生じず、線状ガイド部材が線材から部分的に分離するのを防止することが可能となるとともに、扁平コイル部材や線状ガイド部材に無理な負荷をかけずに正確な変形作業及びカシメ作業をすることが可能となる。
また、第3発明は、1本の線材を螺旋状に巻回して巻回形状が断面略円形のコイル部材を成形する工程と、このコイル部材の内周に線状ガイド部材を挿入して内面の長軸方向の一端に当接させる工程と、上記コイル部材を両側から内方に押圧してコイル部材の巻回形状を略長円の扁平コイル状として扁平コイル部材を形成するとともに、これと同時に上記線状ガイド部材の配置部両側の扁平コイル部材を内方に更に押圧変形してカシメ部を形成することにより、前記扁平コイル部材に上記線状ガイド部材をカシメ固定する工程とから成る。
このように線材を巻回して巻回形状が断面略円形のコイル部材を形成する工程と、このコイル部材を押圧して扁平コイル部材を形成する工程とを分離することにより、予め線材を扁平コイル状に巻回して扁平コイル部材を形成する場合と比較して、製造工程は一工程多くなるが、線材の巻回作業を容易なものとし高速での成形が可能となる。また、断面略円形のコイル部材の巻回形状を略長円の扁平コイル状として扁平コイル部材を形成する工程と、この扁平コイル部材にカシメ部を形成する工程とを一体にしているため、これらの作業を別個に行う場合と比較して、扁平コイル部材にかかる負荷が大きくなり、変形作業及びカシメ作業の正確性がやや低下するおそれもあるが、製造工程を簡易なものとし、高速での巻回が可能となる。
また、第4発明は、1本の線材を扁平螺旋状に巻回して巻回形状が断面略長円で扁平コイル状の扁平コイル部材を成形する工程と、この扁平コイル部材の内周に線状ガイド部材を挿入して内面の長軸方向の一端に当接させる工程と、上記線状ガイド部材の配置部両側の扁平コイル部材を内方に変形して前記扁平コイル部材にカシメ部を形成することにより、前記扁平コイル部材に上記線状ガイド部材をカシメ固定する工程とから成る。
このように、予め線材を扁平コイル状に巻回して扁平コイル部材を形成しているため、線材を断面略円形に巻回してコイル部材を形成する工程とこのコイル部材を押圧して扁平コイル部材を形成する工程とを分離する場合と比較して、線材の巻回作業に高度な技術を必要とするが、製造工程を少なくすることが可能となる。
また、第5発明は、第1発明の扁平コイル状フィン部材を用いたフィンチューブであって、1本の線材にて形成した巻回形状が断面略長円で扁平状の扁平コイル部材の内周に線状ガイド部材を挿入して、この線状ガイド部材を扁平コイル部材の内面の長軸方向の一端に当接して配置し、上記線状ガイド部材の配置部両側の扁平コイル部材を内方に変形して前記扁平コイル部材にカシメ部を形成し、このカシメ部により上記扁平コイル部材に上記線状ガイド部材をカシメ固定してなる扁平コイル状フィン部材が、管部材の外周に巻回固定されている。
また、上記第1〜第5発明に於いて用いる線状ガイド部材は、断面形状の外周に少なくとも一つの角部を有するものであっても良いし、表面が粗面化されているものであっても良い。
このように線状ガイド部材に角部を形成したり表面を粗面化したりすることにより、扁平コイル部材と線状ガイド部材との接触部に於いて線状ガイド部材の角部や粗面化した表面が扁平コイル部材に引っ掛かり、滑りにくくなるため、扁平コイル部材に線状ガイド部材をより強固にカシメ固定することが可能となる。そのため、扁平コイル状フィン部材を管部材の外周面に配置する際に、扁平コイル部材と線状ガイド部材の間に緩みがなく、巻回作業の作業性を高めることが可能となる。
また、扁平コイル状フィン部材の管部材の外周への巻回固定は、螺旋状に行うものであっても良い。
また、扁平コイル状フィン部材の管部材の外周への巻回固定は、上記管部材の外周に設けた螺旋状の凹溝に内周端を係合して行うものであっても良い。このように凹溝に扁平コイル状フィン部材の内周端を係合することにより、扁平コイル状フィン部材を管部材に安定して巻回固定することが可能となるとともに、巻回時の巻回位置の位置決めが容易なものとなる。また、扁平コイル状フィン部材と管部材との接触面積を増大させることが可能となるため、フィンチューブによる熱伝導効率を高めることが可能となる。
また、扁平コイル状フィン部材の管部材の外周への巻回固定は、上記管部材の外周に扁平コイル状フィン部材を接着、溶接、ろう付のいずれか一つの方法により固定して行うものであっても良く、これらの方法を用いることにより、巻回固定の際の安定性が増し、フィンチューブの耐振性を向上させることが可能となる。また、扁平コイル状フィン部材と管部材の外周面の接触面積を増加させ、伝熱面積を広くすることが可能となるため、熱交換効率を更に高めることが可能となる。
また、扁平コイル状フィン部材の管部材の外周への巻回固定は、上記管部材の外周面を被覆する少なくとも一層の樹脂被膜層の表面に扁平コイル状フィン部材を巻回固定して行うものであっても良い。このように管部材の外周面を樹脂被膜層により被覆することにより、自動車の床部下面に配置する配管等としてフィンチューブを用いた場合に、飛び石などに対する管部材の耐食性を高めることが可能となる。
本願の第1〜第5発明は、線材を扁平コイル状に巻回して形成した扁平コイル部材を用いているので、扁平コイル状フィン部材の表面積を大きくすることが可能となり、管部材の内部を流通する流体と外気との熱交換を容易とし、吸放熱効果を高めることができる。また、この扁平コイル状フィン部材の巻回形状を断面略長円に形成しているので、巻回形状を断面略円形とする場合と比較して、形成幅を小さくすることができ、扁平コイル状フィン部材の巻き付け間隔を狭めて、管部材の外周面に密集させて巻き付けることが可能となる。従って、上記扁平コイル状フィン部材と管部材とで形成されるフィンチューブのフィン側伝熱面の表面積を大きくして熱交換機能を高めることが可能となる。
また、上述の如く扁平コイル部材に線状ガイド部材をカシメ固定することにより、扁平コイル状フィン部材の長さ方向への伸縮を抑制することが可能となる。そのため、扁平コイル状フィン部材を管部材に巻回固定してフィンチューブを製造する際に、扁平コイル状フィン部材相互の巻回間隔及び扁平コイル状フィン部材と管部材の接触間隔にバラつきが生じにくくなるとともに、扁平コイル状フィン部材を等間隔で接触させながら管部材の外周面に巻回固定することが可能となる。そのため、フィンチューブの各部の吸放熱性を均一化して、熱交換性能を安定したものとすることができる。
また、上述の如く扁平コイル部材に線状ガイド部材をカシメ固定することにより、扁平コイル状フィン部材が長さ方向に伸縮しないから、扁平コイル部材の各巻回部分を相互に密着させた状態で扁平コイル部材を線状ガイド部材にカシメ固定しておけば、この密着状態を保持したまま扁平コイル状フィン部材を管部材の外周面に巻回固定することが可能となる。この場合には、扁平コイル部材の各巻回部分を相互に一定間隔ずつ分離した場合と比較してフィンチューブの表面積を大きくすることが可能となるため、熱交換効率を更に高めることが可能となる。また、扁平コイル状フィン部材を管部材に巻回固定する際に、この扁平コイル状フィン部材を、各巻回ごとに間隔を設けることなく互いに密着させて、管部材に巻回配置することにより、管部材の外周面と扁平コイル状フィン部材の接触面積を更に大きくすることが可能となる。従って、フィンチューブによる熱交換効率を更に高めることが可能となる。
また、扁平コイル状フィン部材を管部材の外周面に巻回固定する際に線状ガイド部材を管部材の外周面に押しつけることで、扁平コイル部材の内周端を管部材の外周面に確実に密着させることが可能となる。そのため、扁平コイル状フィン部材を管部材の外周面に安定して巻回固定することが可能となるとともに、扁平コイル状フィン部材と管部材の外周面との接触面積を大きくして、熱交換機能を更に高めることが可能となる。
また、上述の如く扁平コイル部材に線状ガイド部材をカシメ固定して扁平コイル状フィン部材を成形することにより、線状ガイド部材の直線形状部分に沿って扁平コイル状フィン部材を部分的に直線状に成形することができるから、扁平コイル状フィン部材の直線性を高めることが可能となる。そのため、扁平コイル状フィン部材の長さ方向に捻りや捩れが発生しにくいものとなり、管部材の外周面への巻回固定時に扁平コイル状フィン部材が傾斜したり倒れたりするのを抑制することが可能となる。従って、扁平コイル状フィン部材を安定した状態で管部材の外周面に正確に立設配置することが可能となり、扁平コイル部材の管部材の外周面からの突出長さが最大径となって、熱交換のための空間を十分に確保して、熱交換効率を高めることが可能となるとともに、扁平コイル状フィン部材の間隔を狭めて安定して正確なピッチで密集させて巻回固定することが可能となり、熱交換効率を更に高めることが可能となる。
また、扁平コイル状フィン部材に傾斜や倒れが生じないとともに扁平コイル状フィン部材の長さ方向の伸縮が抑制されるので、扁平コイル状フィン部材の軸方向にテンションを加えながら巻回作業を行うことが可能となり、巻回作業の作業性を著しく高めることが可能となる。また、扁平コイル状フィン部材の捻りや捩れを矯正しながら巻回作業を行う必要がないので、扁平コイル状フィン部材を高速で管部材の外周面に巻回固定することが可能となり、フィンチューブの製造効率を著しく高めることが可能となる。
また、扁平コイル部材に線状ガイド部材をカシメ固定することにより扁平コイル状フィン部材を形成しているので、扁平コイル部材と線状ガイド部材を固定するのに全長に亘る接着、ろう付け等の固定手段を必ずしも必要としないし、予め管部材に樹脂被膜層を形成したり、予め管部材にガイド部材を組み付けておいたりすることも必ずしも必要としない。そのため、フィンチューブの製造工程を簡易なものとして、製造容易で廉価な製品を得ることが可能となる。
また、第2発明の扁平コイル状フィン部材の製造方法は、線材を巻回して巻回形状が断面略円形のコイル部材を形成する工程と、このコイル部材を押圧して扁平コイル部材を形成する工程とを分離しているので、予め線材を扁平コイル状に巻回して扁平コイル部材を形成する場合と比較して、製造工程は一工程多くなるが、線材の巻回作業を容易なものとし高速での成形が可能となる。また、断面略円形のコイル部材の巻回形状を略長円の扁平コイル状として扁平コイル部材を形成する工程と、この扁平コイル部材にカシメ部を形成する工程とを分離することにより、これらの作業を同時に一体的に行う場合と比較して、製造工程が一工程多くなるが、一工程当りの変形量が少なくなり線材の暴れが生じず、線状ガイド部材が線材から部分的に分離するのを防止することが可能となるとともに、扁平コイル部材や線状ガイド部材に無理な負荷をかけずに正確な変形作業及びカシメ作業をすることが可能となる。
また、第3発明の扁平コイル状フィン部材の製造方法は、線材を巻回して巻回形状が断面略円形のコイル部材を形成する工程と、このコイル部材を押圧して扁平コイル部材を形成する工程とを分離しているので、予め線材を扁平コイル状に巻回して扁平コイル状部材を形成する場合と比較して、製造工程は一工程多くなるが、線材の巻回作業を容易なものとし高速での成形が可能となる。また、断面略円形のコイル部材の巻回形状を略長円の扁平コイル状として扁平コイル部材を形成する工程と、この扁平コイル部材にカシメ部を形成する工程とを一体にしているので、これらの作業を別個に行う場合と比較して、扁平コイル部材にかかる負荷が大きくなり、変形作業及びカシメ作業の正確性が低下するおそれもあるが、製造工程を簡易なものとし、高速での巻回が可能となる。
また、第4発明の扁平コイル状フィン部材の製造方法は、予め線材を扁平コイル状に巻回して扁平コイル部材を形成しているので、線材を巻回形状が断面略円形に巻回してコイル部材を形成する工程とこのコイル部材を押圧して扁平コイル部材を形成する工程とを分離する場合と比較して、線材の巻回作業に高度な技術を必要とするが、製造工程を少なくすることが可能となる。
以下、本発明の実施例1を図1〜図4に於て説明する。まず、本願第1及び第2発明の扁平コイル状フィン部材の製造方法について図1a〜eに於いて説明すると、図1aに示す如く、(1)はコイル部材で、アルミ、アルミ合金、銅、銅合金、鉄鋼、ステンレス鋼等により形成した一本の直線状の線材(2)を、巻回形状が断面略円形となるように螺旋状に巻回して形成する。このように線材(2)を螺旋状に巻回してコイル部材(1)を形成することにより、コイル部材(1)の表面積を大きし、且つ、エッヂを連続して設けることが可能となるため、後述の如くこのコイル部材(1)を扁平コイル状フィン部材(3)として管部材(4)の外周面に巻回固定した際に、管部材(4)の内部を流通する流体と外気との熱交換を容易とし、吸放熱効果を高めることができる。
次に、図1bに示す如く上記コイル部材(1)の内周に、アルミ、アルミ合金、銅、銅合金、鉄鋼、ステンレス鋼等により形成し断面形状が略円形の線状ガイド部材(5)を挿入するとともに、図1cに示す如くこの線状ガイド部材(5)を上記コイル部材(1)の内面の後の工程で長軸方向の一端となる位置に当接させる。次に、内面に平坦な押圧面(19)を設けた一対の第1金型(6)の配置間隔に上記コイル部材(1)を挿入配置する。そして、図1dに示す如く、上記一対の第1金型(6)により両側からコイル部材(1)を内方に押圧する。これによりコイル部材(1)の巻回形状が断面略円形から断面略長円に塑性変形し、扁平コイル部材(9)が形成される。
このように巻回形状が断面略円形のコイル部材(1)を押圧して、巻回形状が断面略長円の扁平コイル部材(9)を形成することにより、後述の工程により形成する扁平コイル状フィン部材(3)を幅狭なものとすることが可能となる。そのため、後述の如く扁平コイル状フィン部材(3)を管部材(4)の外周面に巻回固定した際に、形成幅を小さくすることができ、巻き付け間隔を狭めて扁平コイル状フィン部材(3)を管部材(4)の外周面に密集させて巻き付けることが可能となる。従って、上記扁平コイル状フィン部材(3)と管部材(4)とで形成されるフィンチューブ(7)のフィン側伝熱面の表面積を大きくして熱交換機能を高めることが可能となる。
次に、一対の第2金型(8)の配置間隔に前記扁平コイル部材(9)を配置する。この第2金型(8)は内面に設けた押圧面(19)の下方に、図1eに示す如く、円弧状の凸部(10)とこの凸部(10)の下部に位置する円弧状の凹部(11)とからなる押圧カシメ部(12)を形成している。また、この押圧カシメ部(12)は、一方の第2金型(8)に形成したものと他方の第2金型(8)に形成したものとを左右対称としている。そして、図1eに示す如く、前記押圧カシメ部(12)により、扁平コイル部材(9)において上記線状ガイド部材(5)の配置部の両側に位置する線材(2)を内方に押圧する。これにより、上記押圧カシメ部(12)の凸部(10)の形状に沿って、扁平コイル部材(9)に於いて線状ガイド部材(5)の配置部の両側に位置する線材(2)が内方に塑性変形し、扁平コイル部材(9)にカシメ部(13)が形成される。
そして、このカシメ部(13)により上記扁平コイル部材(9)に上記線状ガイド部材(5)がカシメ固定され、扁平コイル状フィン部材(3)が形成される。このように扁平コイル部材(9)に線状ガイド部材(5)をカシメ固定して扁平コイル状フィン部材(3)を形成することにより、線状ガイド部材(5)の軸方向の直線形状部分に沿って扁平コイル状フィン部材(3)を部分的に直線状に成形することが可能となり、扁平コイル状フィン部材(3)の直線性を高めることが可能となる。そのため、扁平コイル状フィン部材(3)の長さ方向に捻りや捩れが起こるのを防止することが可能となる。
また、前述の如く、扁平コイル部材(9)に線状ガイド部材(5)をカシメ固定することにより扁平コイル状フィン部材(3)を形成しているので、扁平コイル部材(9)と線状ガイド部材(5)を全長に亘り接着、ろう付け等の固定手段により固定することを必ずしも必要としない。そのため、フィンチューブ(7)の製造工程を簡易なものとして、製造容易で廉価な製品を得ることが可能となる。
そして、上述の如く形成した扁平コイル状フィン部材(3)を、図2、図3に示す如く管部材(4)の外周面に螺旋状に巻回固定することによりフィンチューブ(7)を形成する。その際、本実施例に於いては前述の如く、扁平コイル状フィン部材(3)の長さ方向への伸縮を抑制することが可能となるため、扁平コイル状フィン部材(3)相互の巻回間隔及び扁平コイル部材(9)と管部材(4)の接触間隔にバラつきが生じにくいものとなる。そのため、扁平コイル状フィン部材(3)を等間隔で接触させながら、管部材(4)の外周面に巻回固定することが可能となる。そのため、フィンチューブ(7)の各部の吸放熱性を均一化して、熱交換性能を安定したものとすることができる。
また、扁平コイル状フィン部材(1)を管部材(4)の外周面に巻回固定する際に線状ガイド部材(5)を管部材(4)の外周面に押しつけることで、扁平コイル部材(9)の内周端を管部材(4)の外周面に確実に密着させることが可能となる。そのため、扁平コイル状フィン部材(1)を管部材(4)の外周面に安定して巻回固定することが可能となるとともに、扁平コイル状フィン部材(1)と管部材(4)の外周面との接触面積を大きくして、熱交換機能を更に高めることが可能となる。
また、前述の如く扁平コイル部材(9)に線状ガイド部材(5)をカシメ固定して扁平コイル状フィン部材(3)を形成し、扁平コイル状フィン部材(3)の長さ方向に捻りや捩れが発生しにくいものとしているため、巻回固定時に扁平コイル状フィン部材(3)が管部材(4)の外周面に於いて傾斜したり倒れたりするのを抑制することが可能となる。これにより、扁平コイル状フィン部材(3)を安定した状態で管部材(4)の外周面に正確に立設配置することが可能となり、扁平コイル部材(9)の管部材(4)の外周面からの突出長さが最大径となって、熱交換のための空間を十分に確保して、熱交換効率を高めることが可能となる。
また、扁平コイル状フィン部材(3)の間隔を狭めて正確なピッチで密集させて巻回固定することが可能となり、熱交換効率を更に高めることが可能となる。また、扁平コイル状フィン部材(3)に傾斜や倒れが生じないとともに扁平コイル状フィン部材(3)の長さ方向の伸縮が抑制されるから、扁平コイル状フィン部材(3)の軸方向にテンションを加えながら巻回作業を行うことが可能となり、巻回作業の作業性と扁平コイル状フィン部材(3)と管部材(4)との密着性を著しく高めることが可能となる。また、扁平コイル状フィン部材(3)の捻りや捩れを矯正しながら巻回作業を行う必要がないから、扁平コイル状フィン部材(3)を高速で管部材(4)の外周面に巻回固定することが可能となり、フィンチューブ(7)の製造効率を飛躍的に高めることが可能となる。
また、前述の如く扁平コイル状フィン部材(3)を管部材(4)の外周面に安定した状態で巻回固定することが可能となるので、予め管部材(4)に樹脂被膜層を形成したり、予め管部材(4)にガイド部材を組み付けておいたりすることも必ずしも必要としない。そのため、フィンチューブ(7)の製造工程を簡易なものとして、製造容易で廉価な製品を得ることが可能となる。
また、本実施例に於いては図4の矢印aに示す如く、前記カシメ部(13)の下方に於いて扁平コイル部材(9)を管部材(4)の外周に、好ましくは線状ガイド部材(5)とともに接着、溶接又はろう付により固定している。このように、接着、溶接又はろう付のいずれかの方法により扁平コイル状フィン部材(3)を管部材(4)の外周に固定することにより、巻回固定部分の安定性が増し、フィンチューブ(7)の耐振性を向上させることが可能となる。また、扁平コイル状フィン部材(3)と管部材(4)外周面間の接触面積を増加させ、伝熱面積を広くすることが可能となるため、熱交換効率を更に高めることが可能となる。
また、本実施例に於いては、図4の矢印aに示す如く、カシメ部(13)の下方に於いて好ましくは扁平コイル部材(9)と線状ガイド部材(5)の両方を管部材(4)の外周面に接着、溶接又はろう付にて固定しているが、他の異なる実施例に於いては、図4の矢印bに示す如く、カシメ部(13)の形成間隔で、線状ガイド部材(5)のみを管部材(4)に上記方法により固定しても良い。この場合には、扁平コイル部材(9)と線状ガイド部材(5)の両方を管部材(4)に固定する本実施例の場合と比較して、固定作業を簡易なものとすることができる。また、カシメ部(13)の下方と、カシメ部(13)の形成間隔の両方で扁平コイル状フィン部材(3)を管部材(4)の外周面に固定することも勿論可能であり、この場合には扁平コイル状フィン部材(3)と管部材(4)とをより強固に固定することが可能となる。
また、上記実施例1に於いては、一対の第1金型(6)により扁平コイル部材(9)の巻回形状を略長円の扁平コイル状に押圧変形して扁平コイル部材(9)を形成する工程と、一対の第2金型(8)の押圧カシメ部(12)により上記扁平コイル部材(9)にカシメ部(13)を形成する工程とを分離しているが、本願の第3発明である実施例2に於いては、これらの工程を同時に一体的に行っている。
本実施例2を図5、図6に於いて以下に説明すると、まず、本実施例2の扁平コイル状フィン部材(3)の製造方法については、上記実施例1と同様に、一本の線材(2)を螺旋状に巻回して、図5aに示す如く巻回形状が断面略円形のコイル部材(1)を成形する。そして、図5bに示す如く上記コイル部材(1)の内周に断面長方形の線状ガイド部材(5)を挿入し、図5cに示す如く内面の後の工程で長軸方向の一端となる位置に当接させる。次に、押圧面(19)の下方に凸部(10)と凹部(11)とからなる押圧カシメ部(12)を備えた一対の第3金型(14)の配置間隔に、上述の如く巻回形状を断面略円形としたコイル部材(1)を配置する。また、上記第3金型(14)の押圧カシメ部(12)は、図5dに示す如く、上述の如く長方形とした線状ガイド部材(5)の断面形状に合わせて、上記凹部(11)の下端に略矩形の段部(15)を設けている。
そして、上記一対の第3金型(14)により両側からコイル部材(1)を内方に押圧する。これによりコイル部材(1)の巻回形状が断面略円形から断面略長円に塑性変形し、扁平コイル部材(9)が形成される。これと同時に、図5dに示す如く、前記押圧カシメ部(12)により扁平コイル部材(9)において上記線状ガイド部材(5)の配置部の両側に位置する線材(2)を内方に押圧する。これにより、上記押圧カシメ部(12)の形状に沿って扁平コイル部材(9)に於ける線状ガイド部材(5)の配置部の両側に位置する線材(2)が内方に塑性変形し、扁平コイル部材(9)にカシメ部(13)が形成される。そして、このカシメ部(13)により上記扁平コイル部材(9)に上記線状ガイド部材(5)がカシメ固定され、扁平コイル状フィン部材(3)が形成される。このように、コイル部材(1)の巻回形状を略長円の扁平コイル状に押圧変形して扁平コイル部材(9)を形成する工程とこの扁平コイル部材(9)にカシメ部(13)を形成する工程とを一体的に行うことにより、これらの作業を別個に行う上記実施例1の場合と比較して、製造工程を簡易なものとすることができる。
次に、上述の如く形成した扁平コイル状フィン部材(3)を図6に示す如く管部材(4)の外周に巻回固定する。また、この管部材(4)の外周には、螺旋状の凹溝(16)を形成しており、この螺旋状の凹溝(16)に扁平コイル状フィン部材(3)の内周端を図6に示す如く係合することにより、本実施例2のフィンチューブ(7)を形成している。このように、凹溝(16)に扁平コイル状フィン部材(3)の内周端を係合することにより、平坦な管部材(4)の外周面に扁平コイル状フィン部材(3)を巻回固定する場合と比較して、扁平コイル状フィン部材(3)を管部材(4)の外周面に更に安定して巻回固定することが可能となるとともに、巻回固定時の巻回位置の位置決めが容易なものとなる。
また、扁平コイル状フィン部材(3)と管部材(4)との接触面積を増大させることが可能となるため、フィンチューブ(7)による熱伝導効率を更に高めることが可能となる。また、管部材(4)の外周面と扁平コイル状フィン部材(3)のろう付け、接着作業も更に容易に行うことが可能となるとともに、このろう付け、接着作業により扁平コイル状フィン部材(3)と管部材(4)との接触面積を更に増大させて、固定強度を更に高め、且つ、扁平コイル状フィン部材(3)と管部材(4)との間の熱伝達も更に高めることが可能となる。
また、上記実施例1、2に於いては、上述の如く一本の線材(2)を螺旋状に巻回固定して巻回形状が断面略円形のコイル部材(1)を成形し、このコイル部材(1)を両側から内方に押圧して、コイル部材(1)の巻回形状を略長円の扁平コイル状として扁平コイル部材(9)を形成しているが、本願の第4発明である本実施例3に於いては、線材(2)を巻回時に予め扁平コイル状に巻回して扁平コイル部材(9)を形成している。
本実施例3を図7〜9に於いて以下に説明すると、まず、本実施例3の扁平コイル状フィン部材(3)の製造方法については、図7aに示す如く一本の線材(2)を扁平螺旋状に巻回して巻回形状が断面略長円で扁平コイル状の扁平コイル部材(9)を成形する。このように、予め線材(2)を扁平コイル状に巻回しておくことにより、線材(2)を巻回形状が断面略円形に巻回してコイル部材(1)を形成する工程とこのコイル部材(1)を押圧して扁平コイル部材(9)を形成する工程とを分離する実施例1、2の場合と比較して、線材(2)の巻回作業に高度な技術を必要とするが、製造工程を簡易なものとすることが可能となる。
そして、図7bに示す如く上記扁平コイル部材(9)の内周に断面円形の線状ガイド部材(5)を挿入し、図7cに示す如く内面の長軸方向の一端に当接させる。次に、前記実施例1に於いて用いたものと同一形状の一対の第2金型(8)の配置間隔に、上述の如く巻回形状を扁平コイル状としたコイル部材(1)を配置する。次に、図7dに示す如く、前記押圧カシメ部(12)により扁平コイル部材(9)に於いて上記線状ガイド部材(5)の配置部の両側に位置する線材(2)を内方に押圧する。これにより、上記押圧カシメ部(12)の形状に沿って、線状ガイド部材(5)に於いて配置部の両側に位置する線材(2)が、扁平コイル部材(9)にカシメ部(13)が形成される。そして、このカシメ部(13)により上記扁平コイル部材(9)に上記線状ガイド部材(5)がカシメ固定され、扁平コイル状フィン部材(3)が形成される。
そして、上述の如く形成した扁平コイル状フィン部材(3)を、管部材(4)の外周に巻回固定する。また、この管部材(4)は、図8に示す如く樹脂被膜層(17)により外周を被覆しており、この樹脂被膜層(17)の表面に扁平コイル状フィン部材(3)を巻回固定して、扁平コイル状フィン部材(3)を形成する。このように、管部材(4)の外周面を樹脂被膜層(17)により被覆することにより、管部材(4)の耐食性を更に高めることが可能となる。なお、本実施例3に於いては、亜鉛又は亜鉛系のメッキを施して第1メッキ層(18)を形成するとともに、この第1メッキ層(18)の表面に、6価、好ましくは3価のクロメート処理あるいは上層メッキを施して第2メッキ層(20)を形成し、この第2メッキ層(20)の表面に、押出成形装置等により前記樹脂被膜層(17)を形成している。このように、第1、第2メッキ層(18)(20)の表面に樹脂被膜層(17)を形成することにより、樹脂被膜層(17)のみを形成する場合と比較して、管部材(4)の耐食性を更に高めることが可能となる。
また、本実施例では、第1メッキ層(18)の表面にクロメート処理を行うことにより第2メッキ層(20)を形成しているが、他の異なる実施例では、クロメート処理に代わってクロムフリーの塗膜処理を行うことにより第2メッキ層(20)を形成しても良い。また、第1メッキ層(18)としてニッケル又はニッケル基合金をメッキし、第2メッキ層(20)として亜鉛又は亜鉛基合金をメッキしても良いし、更にクロメート処理や樹脂被膜層(17)との密着性を向上させるために、エポキシプライマー等を設けても良い。
また、樹脂被膜層(17)は、ポリアミド12等のポリアミド(PA)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)等で形成したものであって、管部材(4)の外周面に1層のみ配置している。尚、本発明の樹脂被膜層(17)はPA、PP、PE等を単体で使用する他に、これらの樹脂を適宜複合させて使用することも可能である。また、他の異なる実施例では樹脂被膜層(17)を1層のみに限らず、複数層管部材(4)に配置して、耐食性を更に高めることも可能である。
また、本実施例に於いては、前記の如く管部材(4)に第1メッキ層(18)及び第2メッキ層(20)を設けて管部材(4)を形成しているが、他の異なる実施例では、第1メッキ層(18)及び第2メッキ層(20)等を設けずに、管部材(4)の外周面に樹脂被膜層(17)を直接被覆したものであっても良い。このように第1メッキ層(18)や第2メッキ層(20)を設けない管部材(4)を使用した場合であっても、管部材(4)の外周面に樹脂被膜層(17)を被覆することにより耐食性に優れた製品を得ることができる。
また、前記実施例1に於いては各カシメ部(13)を一定の形成間隔を介して形成しているが、本実施例3に於いては、図9に示す如く、各カシメ部(13)の線材(2)の基端側を密着させて形成している。そして、本願発明に於いては前述の如く、扁平コイル部材(9)に線状ガイド部材(5)をカシメ固定することにより、扁平コイル状フィン部材(3)の長さ方向への伸縮を抑制しているため、扁平コイル部材(9)の各巻回部分を相互に密着させた状態で扁平コイル部材(9)を線状ガイド部材(5)にカシメ固定しておけば、この密着状態を保持したまま扁平コイル状フィン部材(3)を管部材(4)の外周面に巻回固定することができ、上記各カシメ部(13)の密着形成を容易に行うことができる。そして、この場合には、扁平コイル部材(9)の各カシメ部(13)を相互に一定間隔ずつ分離した場合と比較してフィンチューブ(7)の表面積を大きくすることが可能となるため、熱交換効率を更に高めることが可能となる。また、扁平コイル状フィン部材(3)を管部材(4)に巻回固定する際に、この扁平コイル状フィン部材(3)を、各巻回ごとに間隔を設けることなく互いに密着させて、管部材(4)に巻回配置することにより、管部材(4)の外周面と扁平コイル状フィン部材(3)の接触面積を更に大きくすることが可能となる。従って、フィンチューブ(7)による熱交換効率を更に高めることが可能となる。
なお、本実施例に於いては、断面形状を円形とした管部材(4)の外周面に扁平コイル状フィン部材(3)を固定配置しているため、扁平コイル状フィン部材(3)は管部材(4)の外周面に、図9に示す如く放射状に配置されるものとなる。そのため、上述の如く各カシメ部(13)の線材(2)の基端側を密着させた状態で、扁平コイル状フィン部材(3)を管部材(4)に巻回固定した場合にも、線材(2)の先端側には間隔(22)が形成されるものとなる。従って、この間隔(22)を外気が流通可能となるため、吸放熱効果を良好に保つことができる。
また、本実施例及び上記実施例1に於いては、図10(a)に示す如く線状ガイド部材(5)の断面形状を円形とするとともに、上記実施例2では図10(h)に示す如く長方形としているが、他の異なる実施例に於いては、前記線状ガイド部材(5)の断面形状を、図10に示す如く、楕円形(b)、正方形(c)、三角形(d)、ひし形(e)、台形(f)、長円形(g)、五角形(i)、粗面化した円形(j)(k)、逆U字型(l)等とすることができる。そして、図10(f)(h)(i)に示す如く線状ガイド部材(5)の断面形状の外周に角部(21)を設けたり、図10(j)(k)に示す如く線状ガイド部材(5)の表面を粗面化することにより、扁平コイル部材(9)と線状ガイド部材(5)との接触部に於いて線状ガイド部材(5)の角部(21)や粗面化した表面が扁平コイル部材(9)に引っ掛かり、滑りにくくなるため、扁平コイル部材(9)に線状ガイド部材(5)をより強固にカシメ固定することが可能となる。そのため、扁平コイル状フィン部材(3)を管部材(4)の外周面に配置する際に、扁平コイル部材(9)と線状ガイド部材(5)の間に緩みがなく、巻回作業の作業性を高めることが可能となる。
また、本実施例3及び上記実施例1、2では、図11(a)に示す如く線材(2)の断面形状を円形としているが、他の異なる実施例においては、図11に示す如く、楕円形(b)、正方形(c)、三角形(d)、ひし形(e)、台形(f)、長円形(g)、長方形(h)、五角形(i)、等の如く任意の形状としても良い。
なお、本実施例3及び前記実施例1、2に於いてはいずれも、扁平コイル状フィン部材(3)を管部材(4)の外周面に巻回固定して使用しているが、他の異なる実施例に於いては扁平コイル状フィン部材(3)を異形断面管や棒材等、任意の部材に巻回して使用することができる。
実施例1の扁平コイル状フィン部材及びその製造方法を示す断面図。
実施例1のフィンチューブを示す断面図。
図2の矢印A方向からの側面図。
図3の部分拡大図。
実施例2の扁平コイル状フィン部材の製造方法を示す断面図。
実施例2のフィンチューブを示す断面図。
実施例3の扁平コイル状フィン部材の製造方法を示す断面図。
実施例3のフィンチューブを示す断面図。
図8の矢印B方向からの拡大側面図。
実施例1〜3及び他の異なる実施例を示す線状ガイド部材の断面図。
実施例1〜3及び他の異なる実施例を示す線材の断面図。
符号の説明
1 コイル部材
2 線材
3 扁平コイル状フィン部材
4 管部材
5 線状ガイド部材
7 フィンチューブ
9 扁平コイル部材
13 カシメ部
16 凹溝
17 樹脂被膜層