JP2009264221A - エンジンNOx排出量演算装置 - Google Patents

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好央 武田
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Goro Iijima
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Abstract

【課題】過給機の特性のばらつきや経年変化による影響を抑制して精度良くNOx排出量を求めることが可能なエンジンNOx排出量演算装置を提供する。
【解決手段】基本排出量演算部64は、燃料噴射量qとエンジン回転数Neとに対応する基本NOx排出量QNbをNOx排出量マップから読み出して出力する。圧力偏差演算部66は、NOx排出量マップを設定した際に予め設定されている基準運転ポイントで得られるブースト圧である基準ブースト圧Pbaseを予め記憶しており、基準運転ポイントでエンジン1が運転されているときの実ブースト圧Pと基準ブースト圧Pbaseとの圧力偏差ΔPを求める。補正係数演算部68は圧力偏差ΔPに対応する補正係数Kを補正係数マップから読み出して出力し、補正演算部70は補正係数Kを基本NOx排出量QNbに乗算することによりエンジン1からの実際のNOx排出量としてNOx排出量QNcを求める。
【選択図】図2

Description

本発明はエンジンNOx排出量演算装置に関し、特に排気還流手段と過給機とを備えたエンジンのNOx排出量を求めるためのエンジンNOx排出量演算装置に関する。
エンジンから排出される排気中には、汚染物質の1つとしてNOx(窒素酸化物)が含まれており、大気中へのNOxの排出量をできるだけ低く抑えるため、様々な技術が開発され、提案されている。
例えば、このNOxを排気中から除去して排気を浄化するための排気浄化装置として、エンジンの排気通路にアンモニア選択還元型NOx触媒(以下SCR触媒という)を配設し、還元剤としてアンモニアをSCR触媒に供給することにより、NOxを還元して排気を浄化するようにした排気浄化装置が知られている。
このような排気浄化装置では、アンモニアをSCR触媒に供給するために、アンモニアに比べて取り扱いが容易な尿素水を排気中に供給するのが一般的であり、尿素水インジェクタなどを用いて排気中に尿素水を噴射する。尿素水インジェクタから排気中に供給された霧状の尿素水は排気の熱により加水分解し、その結果生成されるアンモニアがSCR触媒に供給される。そして、SCR触媒に供給されたアンモニアと排気中のNOxとの間の脱硝反応がSCR触媒によって促進されることによりNOxが還元されて排気の浄化が行われる。このようなNOxの還元による排気の浄化を適切に行うためには、エンジンからのNOx排出量を的確に把握し、そのNOx排出量に見合った量のアンモニアがSCR触媒に供給されるようにする必要がある。
エンジンからのNOx排出量を求める方法としては、エンジンの運転状態を示すパラメータとしてエンジン回転数及びエンジン負荷を用い、これらのパラメータを用いてNOx排出量をマップ化して予め記憶しておく方法が知られており、例えば特許文献1などによって提案されている。
この特許文献1の方法では、そのときのエンジン回転数及びエンジン負荷に対応するNOx排出量をNOx排出量マップから読み出し、読み出したNOx排出量を用いて、これに見合う量のアンモニアがSCR触媒に供給されるように、尿素水の供給が制御される。
ところで、上述のようにエンジンから排出された排気中のNOxをSCR触媒などで排気中から除去するだけではなく、エンジンからのNOx排出量自体を低減させる方法の1つとして、エンジンの排気の一部を吸気側に還流させるようにしたEGR装置が用いられている。即ち、EGR装置では、エンジンの吸気通路と排気通路とを連通するEGR通路を用いて排気の一部を吸気側に還流することにより、燃焼室内の燃焼温度を低下させると共にエンジンの空気過剰率を低下させてエンジンのNOx(窒素酸化物)の排出を抑制する。
このようなEGR装置を有したエンジンにおいて、エンジンに供給される吸入空気を過給する過給機が設けられている場合、過給機の過給によってエンジンのブースト圧が変動するのに伴い、EGR通路を介した排気還流量も変動する。このため、過給機の過給状態の変化に伴いエンジンからのNOx排出量も変化することになる。そこで、上述したNOx排出量マップを作成する際には、エンジンを様々な運転状態で試験運転し、過給機の作動状態も加味した上でエンジン回転数及びエンジン負荷等の運転状態のパラメータとNOx排出量との関係が求められる。
特開2007−154849号公報
ところが、エンジンに過給機が用いられている場合には、過給機毎の特性のばらつきにより、エンジンの運転状態が同じであっても、そのときに得られるブースト圧は過給機毎に相違する場合がある。また、過給機の経年変化により、同じ過給機においてエンジンの運転状態が同じであっても、そのときどきで得られるブースト圧は相違する場合がある。特に、タービン側の排気導入部分に開度が変更可能なベーンを設け、このベーンの開度を調整して排気流路面積を変更することにより、過給圧を変更することができるようにした可変容量過給機の場合には、エンジンの運転状態に応じてベーン開度が制御されるが、同じタイプの過給機であっても過給機毎にベーン開度と過給特性との関係にばらつきがあるため、ベーン開度とブースト圧との関係は全く同一とはならない可能性が高く、更に上述のように経年変化によって徐々に変化していく場合がある。
通常、NOx排出量マップは、代表的に選択された標準となる試験用過給機と試験用エンジンとを用いて作成され、実際に各エンジンに装着される個々の過給機について別個に作成されるわけではない。このため、各過給機に上述したようなばらつきがあったり、経年変化が生じたりすると、同じ運転状態で運転されているにもかかわらず、各エンジンにおいて実際に得られるブースト圧がNOx排出量マップを作成した時点での同一運転状態におけるブースト圧とは相違する場合がある。このような場合には、ブースト圧の相違によりEGR通路を介した排気還流量も、実際の量とNOx排出量マップ作成時の量とで相違するため、エンジンからの実際のNOx排出量もNOx排出量マップから得られるNOx排出量と相違することになる。
この結果、例えば実際のNOx排出量に対して少なめのNOx排出量がNOx排出量マップから得られた場合、NOx排出量マップから得られたNOx排出量を尿素水供給制御に用いると、SCR触媒では尿素水が不足して排気中のNOxを十分に還元できず、SCR触媒の排気浄化効率が低下するという問題が生じる。
一方、実際のNOx排出量に対して多めのNOx排出量がNOx排出量マップから得られた場合、NOx排出量マップから得られたNOx排出量を尿素水供給制御に用いると、尿素水から生成されたアンモニアが必要以上にSCR触媒に供給され、SCR触媒で余剰となったアンモニアのSCR触媒からの放出、いわゆるアンモニアスリップが発生するという問題がある。
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、過給機の特性のばらつきや経年変化による影響を抑制して精度良くNOx排出量を求めることが可能なエンジンNOx排出量演算装置を提供することにある。
上記の目的を達成するため、本発明のエンジンNOx排出量演算装置は、エンジンが所定の過給運転領域で運転されているときに上記エンジンの吸入空気を過給する過給機と、上記エンジンの排気の一部を上記エンジンの吸気側に還流する排気還流手段とを備えたエンジンNOx排出量演算装置において、予め選択された上記エンジンの運転状態量を検出する運転状態量検出手段と、上記運転状態量と上記エンジンのNOx排出量との関係が予め設定されたNOx排出量マップから、上記運転状態量検出手段によって検出された上記運転状態量に対応するNOx排出量を基本NOx排出量として求める基本排出量演算手段と、上記エンジンのブースト圧を検出するブースト圧検出手段と、上記NOx排出量マップを設定した際の、上記過給運転領域内に設定された基準運転ポイントで得られるブースト圧として基準ブースト圧を予め記憶し、上記基準運転ポイントで上記エンジンが運転されているときに、上記ブースト圧検出手段で検出された実ブースト圧と上記基準ブースト圧との圧力偏差を求める圧力偏差演算手段と、上記圧力偏差演算手段によって求められた上記圧力偏差に基づき、上記基本排出量演算手段によって求められた基本NOx排出量を補正して上記エンジンのNOx排出量を求める排出量補正手段とを備えることを特徴とする(請求項1)。
このように構成されたエンジンNOx排出量演算装置によれば、予め選択されたエンジンの運転状態量とエンジンのNOx排出量との関係が予め設定されたNOx排出量マップから、実際の運転状態量に対応するNOx排出量が、基本排出量演算手段により基本NOx排出量として求められる。一方、圧力偏差演算手段は、NOx排出量マップを設定した際の、過給機が過給を行う過給運転領域内に設定された基準運転ポイントで得られるブースト圧として基準ブースト圧を予め記憶しており、上記基準運転ポイントでエンジンが運転されているときの実ブースト圧と上記基準ブースト圧との圧力偏差を求める。そして、排出量補正手段は、基本排出量演算手段によって求められた基本NOx排出量を、圧力偏差演算手段によって求められた実ブースト圧と基準ブースト圧との圧力偏差に基づき補正することにより、エンジンのNOx排出量を求める。
NOx排出量マップを設定する際には代表的に選択された試験用過給機を用いたことによって、実際に各エンジンに使用される過給機と試験用過給機との間に特性上のばらつきがある場合、過給機が過給を行う過給運転領域内に設定された基準運転ポイントでエンジンを運転したときに実際に得られる実ブースト圧と、NOx排出量マップを設定する際に基準運転ポイントで得られる基準ブースト圧との間には差異が生じる。
また、個々のエンジンに実際に搭載される過給機を用いてNOx排出量マップを設定するようにした場合には、上述したような過給機間の過給特性のばらつきによる影響は生じないものの、過給機の経年変化による過給特性の変化が生じる。このような場合においても、NOx排出量マップを設定したときから過給機の過給特性が変化することによって、基準運転ポイントでエンジンを運転したときに実際に得られる実ブースト圧と、NOx排出量マップを設定する際に基準運転ポイントで得られる基準ブースト圧との間には差異が生じる。
このように、実際に得られる実ブースト圧と基準ブースト圧との間に差異が生じると、実際の運転状態量に対応してNOx排出量マップから求められた基本NOx排出量と、実際のエンジンのNOx排出量との間に差異が生じるが、本発明では実ブースト圧と基準ブースト圧との圧力偏差に基づき、基本NOx排出量を補正してエンジンのNOx排出量を求めているので、上記のいずれの場合においても、過給機の過給特性のずれによる実ブースト圧と基準ブースト圧との差異に起因した基本NOx排出量からの誤差が修正される。
また、上記エンジンNOx排出量演算装置において、上記基準運転ポイントは、上記エンジンの回転数が上記過給運転領域内の所定回転数となると共に、上記エンジンの負荷が無負荷となる運転ポイントであることを特徴とする(請求項2)。
このように構成されたエンジンNOx排出量演算装置によれば、エンジン回転数が過給機による過給の行われる所定回転数となると共にエンジン負荷が無負荷となる基準運転ポイントにおいてエンジンが運転されているときの実ブースト圧と、NOx排出量マップを設定する際の上記基準運転ポイントにおける基準ブースト圧との圧力偏差が求められる。そして、排出量補正手段は、この圧力偏差に基づき、基本NOx排出量を補正してエンジンのNOx排出量を求める。このように、エンジン負荷が無負荷の状態で検出されたブースト圧を用いて基本NOx排出量の補正が行われるので、エンジンの負荷変動による影響を受けることなく、実ブースト圧と基準ブースト圧との圧力偏差が求められる。
更に、上記エンジンNOx排出量演算装置において、上記エンジンは動力源として車両に搭載されてパティキュレートフィルタを排気通路に備えると共に、上記車両が停車状態にあるときに上記パティキュレートフィルタの強制再生を行う強制再生手段を備え、上記圧力偏差演算手段は、上記パティキュレートフィルタの上記強制再生を実行中であることを条件として上記基準運転ポイントが設定されていることを特徴とする(請求項3)。
このように構成されたエンジンNOx排出量演算装置によれば、車両を停車状態としてフィルタの強制再生を行っているときに、エンジン回転数が所定回転数となると共にエンジン負荷が無負荷となる基準運転ポイントにおける実ブースト圧と基準ブースト圧との圧力偏差が求められる。そして、排出量補正手段は、この圧力偏差に基づき、基本NOx排出量を補正してエンジンのNOx排出量が求められる。
従って、車両の走行性能に影響を与えることなく、また車両の運転者の運転操作によるエンジンの負荷変動の影響を受けることなく、実ブースト圧と基準ブースト圧との圧力偏差が求められる。
また、上記エンジンNOx排出量演算装置において、上記過給機は、タービン側の排気導入部分に設けられたベーンの開度を調整して排気流路面積を変更することにより、過給圧を変更可能な可変容量過給機であることを特徴とする(請求項4)。
このように構成されたエンジンNOx排出量演算装置によれば、過給機がベーンの開度を調整して過給容量を変更可能な可変容量過給機であるため、過給機毎にベーンの開度と過給圧力との関係にばらつきが生じる可能性や、経年変化によってベーンの開度と過給圧力との関係が変化する可能性があるが、上述したように本発明では、実ブースト圧と基準ブースト圧との圧力偏差に基づき、基本NOx排出量を補正してエンジンのNOx排出量を求めているので、過給機毎の過給特性のばらつきや過給機の経年変化による実ブースト圧と基準ブースト圧との差異に起因した基本NOx排出量の誤差が修正される。
本発明のエンジンNOx排出量演算装置によれば、過給機毎の過給特性のばらつきや過給機の経年変化によって実際に得られるブースト圧と基準ブースト圧との間に差異が生じても、実ブースト圧と基準ブースト圧との圧力偏差に基づき、基本NOx排出量を補正してエンジンのNOx排出量を求めているので、エンジンからの実際のNOx排出量を精度良く求めることが可能である。従って、エンジンからのNOx排出量を正しく把握できないことに起因した排気浄化装置の排気浄化効率の低下や、アンモニア選択還元触媒を用いた場合のアンモニアスリップの発生を良好に抑制することが可能である。
また、このように過給機毎の特性のばらつきが生じても精度良くエンジンのNOx排出量を求めることができるので、NOx排出量マップは代表的に選択された標準となる試験用過給機を用いて設定したものを、試験用過給機と同じタイプの過給機に共通して用いることが可能となる。この結果、過給機毎に個別にNOx排出量マップを設定する必要がなくなり、製造コストを低減することが可能となる。
また、請求項2のエンジンNOx排出量演算装置によれば、エンジン負荷が無負荷の状態で検出されたブースト圧を用いて基本NOx排出量の補正が行われるので、エンジンの負荷変動による影響を受けることなく、実ブースト圧と基準ブースト圧との圧力偏差を精度良く求め、この圧力偏差に基づいて基本NOx排出量を補正することにより、エンジンの実際のNOx排出量を精度良く求めることができる。
更に、請求項3のエンジンNOx排出量演算装置によれば、車両の走行性能に影響を与えることなく、また車両の運転者の運転操作によるエンジンの負荷変動の影響を受けることなく、実ブースト圧と基準ブースト圧との圧力偏差が精度良く求められ、この圧力偏差に基づいて基本NOx排出量を補正することにより、エンジンの実際のNOx排出量を精度良く求めることができる。
しかも、パティキュレートフィルタを備えた車両の場合、パティキュレートフィルタにおけるパティキュレートの堆積状況に応じ、ほぼ確実に車両の停車中にパティキュレートフィルタの強制再生を行う必要が生じる。従って、経年変化によって過給機の過給特性が徐々に変化したとしても、車両停止時のパティキュレートフィルタの強制再生が行われるたびに、実ブースト圧と基準ブースト圧との最新の圧力偏差が求めることが可能となり、過給機の過給特性の変化に対応して適正に基本NOx排出量を補正することができる。
また、請求項4のエンジンNOx排出量演算装置によれば、可変容量過給機のように過給機毎にベーンの開度と過給圧力との関係にばらつきが生じる可能性や過給機の経年変化によって上記関係に変化が生じる可能性がある場合であっても、上述したように、実ブースト圧と基準ブースト圧との圧力偏差に基づき、基本NOx排出量を補正してエンジンのNOx排出量を求めているので、精度良くエンジンの実際のNOx排出量を求めることが可能である。
以下、図面に基づき本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るエンジンNOx排出量演算装置が適用された4気筒のディーゼルエンジン(以下、エンジンという)の全体構成図を示しており、図1に基づき本発明に係るエンジンNOx排出量演算装置について説明する。
車両の駆動源であるエンジン1は各気筒共通の高圧蓄圧室(以下コモンレールという)2を備えており、図示しない燃料噴射ポンプから供給されてコモンレール2に蓄えられた高圧の燃料が各気筒に設けられたインジェクタ4に供給され、各インジェクタ4からそれぞれの気筒内に燃料が噴射される。
吸気通路6には、構成の詳細について後述する可変容量のターボチャージャ(過給機)8が装備されており、図示しないエアクリーナから吸入された吸気は、ターボチャージャ8のコンプレッサ8aに流入し、コンプレッサ8aで過給された吸気はインタークーラ10及び吸気制御弁12を介して吸気マニホールド14に導入される。
コンプレッサ8aより上流側の吸気通路6には、エンジン1への吸入空気流量を検出する吸気量センサ16が設けられており、吸気制御弁12の下流側の吸気通路6には、吸気通路6内の吸気圧力を検出する吸気圧センサ(ブースト圧検出手段)18が設けられている。
一方、エンジン1の各気筒から排気が排出される排気ポート(図示せず)は、排気マニホールド20を介して排気管22に接続されている。なお、排気マニホールド20と吸気マニホールド14との間には、EGR弁24を介して排気マニホールド20と吸気マニホールド14とを連通することにより、エンジン1の排気の一部を吸気側に還流するEGR通路26が設けられている。従って本実施形態では、EGR弁24及びEGR通路26が本発明の排気還流手段に相当する。
排気管22はターボチャージャ8のタービン8bを経た後、排気絞り弁28を介して排気後処理装置30に接続されている。
ターボチャージャ8は、タービン8bの回転軸がコンプレッサ8aの回転軸と連結されており、タービン8bが排気管22内を流動する排気を受けてコンプレッサ8aを駆動することにより過給が行われる。
また、ターボチャージャ8には、過給圧を変更するための機構として、タービン8b側の排気導入部分に開度が変更可能なベーンが設けられている。ターボチャージャ8は、このベーンの開度を調整してタービン8bへの排気流路面積を変更することにより、タービン8bに供給される排気の流速を変更し、過給圧を変更することができるようになっている。なお、このベーンについては既に広く知られている機構であるので、ここでは図示及び詳細な説明を省略するが、ベーンの開度が全閉側に近付くほど過給圧が上昇するようになっている。更に、ターボチャージャ8にはベーンに連結されたアクチュエータ32が設けられており、アクチュエータ32の作動によりベーンの開度を変更可能となっている。
排気後処理装置30は、排気管22に接続された筒状の上流側ケーシング34と、上流側ケーシング34の下流側に連通路36で連通された筒状の下流側ケーシング38とで構成される。排気管22から上流側ケーシング34内に流入した排気は、上流側ケーシング34内を通過した後に連通路36を介して下流側ケーシング38内に流入し、下流側ケーシング38内を通過した排気は、テールパイプ40から大気中に排出される。
上流側ケーシング34内には、前段酸化触媒42が収容されると共に、この前段酸化触媒42の下流側にはパティキュレートフィルタ(以下フィルタという)44が収容されている。フィルタ44は、排気中のパティキュレートを捕集してエンジン1の排気を浄化するために設けられる。フィルタ44はハニカム型のセラミック体からなり、エンジン1の排気が内部を流通することによって排気中のパティキュレートを捕集する。前段酸化触媒42は排気中のNOを酸化させてNOを生成するので、このように前段酸化触媒42とフィルタ44とを配置することにより、フィルタ44に捕集され堆積しているパティキュレートは前段酸化触媒42から供給されたNOと反応して酸化し、フィルタ44の連続再生が行われるようになっている。
一方、下流側ケーシング38内には、排気中のアンモニアを還元剤として排気中のNOxを選択還元して排気を浄化するアンモニア選択還元型NOx触媒(以下SCR触媒という)46が収容されると共に、このSCR触媒46の下流側には、SCR触媒46から流出したアンモニアを除去するための後段酸化触媒48が収容されている。後段酸化触媒48は、後述するフィルタ44の強制再生でパティキュレートが焼却される際に発生するCO(一酸化炭素)を酸化し、CO(二酸化炭素)として大気中に排出する機能も有している。
前段酸化触媒42によって生成されたNOの一部は、上述したようにフィルタ44の連続再生に使用されるが、残りのNOはSCR触媒46に供給され、排気中のNOに対するNOの比率を高めることによってSCR触媒46の排気浄化効率を上昇させる。
なお、上流側ケーシング34のフィルタ44下流側には、フィルタ44から流出して連通路36へと流入する排気中に尿素水を噴射供給する尿素水インジェクタ50が設けられており、図示しない尿素水タンクから尿素水インジェクタ50に対して尿素水が供給されるようになっている。
尿素水インジェクタ50から噴射された尿素水は、排気の熱により加水分解してアンモニアとなり、SCR触媒46に供給される。SCR触媒46は供給されたアンモニアと排気中のNOxとの脱硝反応を促進することにより、NOxを還元して無害なNとする。なお、このときアンモニアがNOxと反応せずにSCR触媒46から流出した場合には、このアンモニアが後段酸化触媒48によって無害なNに変換され、テールパイプ40から大気中に放出される。
上流側ケーシング34には、フィルタ44上流側の排気圧力を検出する上流圧力センサ52がフィルタ44の上流側に設けられると共に、フィルタ44下流側の排気圧力を検出する下流圧力センサ54及びフィルタ44から流出する排気の温度を検出する排気温センサ56がフィルタ44の下流側に設けられている。
ECU58は、エンジン1の運転制御をはじめとして総合的な制御を行うための制御装置であり、CPU、メモリ、タイマカウンタなどから構成され、様々な制御量の演算を行うと共に、その制御量に基づき各種デバイスの制御を行っている。
ECU58の入力側には、各種制御に必要な情報を収集するため、上述した吸気量センサ16、吸気圧センサ18、上流圧力センサ52、下流圧力センサ54及び排気温センサ56のほか、エンジン1の回転数を検出する回転数センサ(運転状態量検出手段)60、及びアクセルペダル(図示せず)の踏込量を検出するアクセル開度センサ62などの各種センサ類が接続されている。また、ECU58の出力側には、演算した制御量に基づき制御が行われる各気筒のインジェクタ4、吸気制御弁12、EGR弁24、ターボチャージャ8のアクチュエータ32及び排気絞り弁28などの各種デバイス類が接続されている。
エンジン1の各気筒への燃料供給量の演算、及び演算した燃料供給量に基づくインジェクタ4からの燃料供給制御もECU58によって行われる。エンジン1の運転に必要な燃料噴射量(主噴射量)は、回転数センサ60によって検出されたエンジン1の回転数とアクセル開度センサ62によって検出されたアクセルペダルの踏込量とに基づき、予め記憶しているマップから読み出して決定する。各気筒に供給される燃料の量は、インジェクタ4の開弁時間によって調整され、決定された燃料量に対応した駆動時間で各インジェクタ4が開弁駆動され、各気筒に主噴射が行われることにより、エンジン1の運転に必要な燃料量が供給される。
また、ECU58は、エンジン1の各気筒における空気過剰率が目標空気過剰率となるように、EGR弁24の開度を制御してエンジン1の吸気側への排気還流量を調整する。目標空気過剰率は、エンジン1の出力特性に大きな影響を与えることのない範囲でエンジン1からのNOx排出量を極力抑えることができる空気過剰率として、エンジン1の回転数や負荷などの運転状態に応じて予め設定されている。EGR弁24の制御による排気還流量の調整については既に広く知られており、ここでは詳細な説明を省略する。
更に、ECU58はエンジン1の運転状態に応じて適正な過給圧が得られるよう、ターボチャージャ8のアクチュエータ32を制御する。即ち、ECU58はターボチャージャ8の過給圧とベーンの開度との関係を予めベーン開度マップとして記憶しており、エンジン1の運転状態に応じた適正な過給圧として設定された目標過給圧が得られるように、このベーン開度マップから目標過給圧に対応して読み出したベーン開度を目標開度として、アクチュエータ32の制御を行う。このようなターボチャージャ8のベーン開度の調整による過給圧の制御についても既に広く知られており、ここでは詳細な説明を省略する。なお、ターボチャージャ8は、排気のエネルギをタービン8bで受けて過給を行うものであるため、エンジン1の回転数がアイドル回転数からある程度上昇するまではコンプレッサ8aによる過給が行われず、エンジン1の回転数が所定の下限回転数(例えば1000pm)以上となる過給運転領域において過給を行う。
ECU58は、これらのエンジン1の運転制御のほか、排気後処理装置30による排気浄化機能を良好に維持するための様々な制御を行っており、その1つとしてフィルタ44を強制再生して機能回復させるための強制再生制御も行う。
フィルタ44に堆積したパティキュレートは、前述したように前段酸化触媒42からフィルタ44に流入するNOとの反応による連続再生によって酸化除去されるが、排気温度が低い運転状態が長時間続いた場合などでは、このような連続再生だけでは堆積したパティキュレートが十分に酸化除去されない場合がある。このような状態が継続すると、フィルタ44内にパティキュレートが過剰に堆積し、フィルタ44が目詰まりを起こすおそれがある。そこでECU58は、フィルタ44におけるパティキュレートの堆積状況に応じ、ECU58は適宜フィルタ44の強制再生を行う。
パティキュレートの堆積状況は、フィルタ44の上流側及び下流側にそれぞれ設けられた上流圧力センサ52及び下流圧力センサ54や吸気量センサ16の検出値などに基づき推定され、フィルタ44へのパティキュレート堆積量が所定量に達したと判断したときに強制再生の制御が開始される。
この強制再生制御では、排気温センサ56が検出した排気温度に基づき、必要に応じて吸気制御弁12や排気絞り弁28を閉方向に制御して排気温度を上昇させると共に、エンジン1の膨張行程や排気行程でインジェクタ4からポスト噴射による排気中への燃料供給を行い、フィルタ44に堆積したパティキュレートを焼却することが可能な温度までフィルタ44を昇温する。
即ち、インジェクタ4からのポスト噴射によって排気中に供給されたHCは前段酸化触媒42に達し、前段酸化触媒42でのHCの酸化反応によって更に温度が上昇した高温の排気がフィルタ44内に流入する。フィルタ44に堆積したパティキュレートは、このようにして高温となった排気により焼却され、フィルタ44が強制再生される。
従って、本実施形態においては、ECU58及びエンジン1の各気筒に設けられたインジェクタ4が本発明の強制再生手段に相当する。
このようなフィルタ44の強制再生は、車両の走行に大きな影響を及ぼすことなく上述のようにして排気温度を上昇可能である場合には、車両が走行中であるか否かにかかわらず、パティキュレートの堆積状態に応じて自動的に実行される(以下、このような強制再生を自動強制再生という)。しかしながら、車両の走行中に上述のようにして排気温度を上昇させることが困難な状態が長く継続した場合には、フィルタ44の自動強制再生が行われずに、パティキュレートがフィルタ44に過剰に堆積してしまうおそれがある。そこで、ECU58は、強制再生が必要な状態までパティキュレートがフィルタ44に堆積しているにもかかわらず自動強制再生を実行困難な場合には、車室内の警告灯を点灯させ、運転者に車両を停止させて手動強制再生を行うように促す。運転者は、警告灯の点灯を確認すると、車両を最寄りの駐車場などに停車させた上で、強制再生を実行するための手動スイッチを操作し、ECU58はこの手動スイッチの操作を受けて、フィルタ44の手動強制再生を実行する。
このようにして車両停止中にフィルタ44の手動強制再生を行う場合においても、排気の昇温によるフィルタ44の強制再生は上述したようにして行われるが、エンジン1から排出される排気の温度をできるだけ高くするため、エンジン1の回転数をアイドル回転数より高速となる所定の再生用回転数(例えば1500rpm)に保持する。
またECU58は、排気後処理装置30による排気浄化機能を良好に維持するためのもう1つの制御として、排気中のNOxを選択還元して排気を浄化するために必要な量のアンモニアをSCR触媒46に供給するための尿素水供給制御も行う。
尿素水供給制御においてECU58は、エンジン1からのNOx排出量を求め、このNOx排出量に対してSCR触媒46によるNOxの選択還元に必要なアンモニアの量から尿素水の目標供給量を求める。そして、この目標供給量に基づきECU58が尿素水インジェクタ50を制御することにより、フィルタ44から流出して連通路36を介しSCR触媒46へと向かう排気中に尿素水インジェクタ50から尿素水が供給される。
尿素水インジェクタ44から噴射された霧状の尿素水は、前述したように、排気の熱により加水分解してアンモニアとなり、このアンモニアがSCR触媒46に供給される。SCR触媒46は、供給されたアンモニアを吸着し、吸着したアンモニアと排気中のNOxとの脱硝反応を促進することにより、NOxを還元して無害なNとする。
このような尿素水インジェクタ50による尿素水の供給を適正に行うためには、エンジン1からのNOx排出量を正確に把握する必要がある。そこでECU58は、エンジン1からのNOx排出量を求めるためのNOx排出量演算制御を実行する。なお、このNOx排出量演算制御はエンジン1の始動に伴って開始され、エンジン1の停止に伴って終了する。
図2は、NOx排出量演算制御におけるECU58の処理を示すブロック図である。NOx排出量演算制御では、予め選択されたエンジン1の運転状態量として燃料供給制御における燃料噴射量q(即ちエンジン負荷)及び回転数センサ60が検出したエンジン1の回転数Neが基本排出量演算部(基本排出量演算手段)64に入力される。基本排出量演算部64には、燃料噴射量q及びエンジン回転数Neをパラメータとしてエンジン1からのNOx排出量である基本NOx排出量を定めたNOx排出量マップが予め記憶されている。
このNOx排出量マップは、次のようにして作成されている。即ち、ターボチャージャ8に対応した試験用ターボチャージャを含め、予めエンジン1と同様の装備を有する試験用エンジンを用いた実験により、試験用エンジンの運転状態を種々変更したときの燃料噴射量q及びエンジン回転数NeとNOx排出量との関係を求める。そして、この関係に基づき、燃料噴射量q及びエンジン回転数Neをパラメータとして基本NOx排出量を定めることによりNOx排出量マップを作成している。
基本排出量演算部64は、このようにして設定されたNOx排出量マップから、燃料供給制御における燃料噴射量qと回転数センサ60が検出したエンジン1の回転数Neに対応する基本NOx排出量QNbを読み出して出力する。従って、本実施形態においては燃料噴射量qと回転数センサ60が検出したエンジン1の回転数Neが本発明における予め選択されたエンジン1の運転状態量に相当し、回転数センサ60と併せ、ECU58が運転状態量検出手段に相当する。
一方、圧力偏差演算部(圧力偏差演算手段)66は、エンジン1の運転状態が予め設定された基準運転ポイントにあるときに、吸気圧センサ18が検出した吸気圧力を実ブースト圧Pとして入力し、この実ブースト圧Pと、予め記憶している基準ブースト圧Pbaseとの圧力偏差ΔPを求めて出力する。
ここで基準運転ポイントは、前述したECU58によるフィルタ44の手動強制再生が実行されているときのエンジン1の運転状態であって、エンジン負荷が無負荷状態であると共にエンジン回転数が再生用回転数である運転状態を基準運転ポイントとしている。なお、再生用回転数は、ターボチャージャ8による過給が行われる過給運転領域の下限回転数よりも高く設定されており、基準運転ポイントにおいてはターボチャージャ8による過給が行われている。
このように、手動強制再生が実行されていることを条件とし、このときのエンジン1の運転状態を基準運転ポイントとすることにより、車両の走行性能に影響を与えず、また車両の運転者の運転操作によるエンジン1の負荷変動の影響を受けることなく、実ブースト圧Pと基準ブースト圧Pbaseとの圧力偏差ΔPを精度良く求めることができる。
また、基準ブースト圧Pbaseは、上述したようにして試験用エンジンを用いて運転状態を種々変更してNOx排出量マップを作成した際に、試験用エンジンの運転状態が、上記基準運転ポイントとなったときのブースト圧である。圧力偏差演算部66は、試験用エンジンを用いてNOx排出量マップを作成した際に得られた基準運転ポイントにおけるブースト圧を基準ブースト圧Pbaseとして予め記憶している。
なお、圧力偏差演算部66は、フィルタ44の手動強制再生が行われるたびに、吸気圧センサ18が検出した吸気圧力を実ブースト圧Pとして入力し、この実ブースト圧Pと基準ブースト圧Pbaseとの圧力偏差ΔPを求めて出力することにより、圧力偏差ΔPを最新の値に更新していく。
フィルタ44の手動強制再生は、フィルタ44におけるパティキュレートの堆積状況に応じ、実行する必要がほぼ確実に生じる。従って、手動強制再生が行われるたびに、実ブースト圧Pと基準ブースト圧Pbaseとの圧力偏差ΔPが更新され、経年変化によるターボチャージャ8の過給特性の変化に対応して最新の圧力偏差ΔPを得ることができる。
エンジン1に実際に搭載されているターボチャージャ8は、組み付け誤差や製造加工誤差などにより、ベーンの開度と過給圧との関係が試験用エンジンに搭載されていた試験用ターボチャージャとは必ずしも一致していない。このため、エンジン1が基準運転ポイントで運転されているときの実ブースト圧Pは、基準ブースト圧Pbaseと一致しない場合がある。このようなブースト圧のずれはエンジン1が基準運転ポイント以外の運転状態で運転されているときにも同様に発生するものと考えることができる。そして、実際のブースト圧である実ブースト圧Pの方が基準ブースト圧Pbaseより高い場合には、EGR通路26を介して吸気側に還流される排気の量が、同じEGR弁24の開度であっても減少するため、その分だけエンジン1からのNOx排出量が増大する。一方、実際のブースト圧である実ブースト圧Pの方が基準ブースト圧Pbaseより低い場合には、EGR通路26を介して吸気側に還流される排気の量が、同じEGR弁24の開度であっても増大するため、その分だけエンジン1からのNOx排出量が減少する。
そこで、このような傾向に対応し、補正係数演算部68では、圧力偏差演算部66から出力された最新の圧力偏差ΔPに基づき、基本排出量演算部64から出力された基本NOx排出量QNbを補正するための補正係数Kを、予め記憶している補正係数マップから読み出して出力する。この補正係数マップには、圧力偏差ΔPと補正係数Kとの関係が定められており、本実施形態で用いる補正係数マップにおける圧力偏差ΔPと補正係数Kとの関係は、図3に示すようになっている。図3に示されるように補正係数マップでは、圧力偏差ΔPが正の値、即ち実ブースト圧Pの方が基準ブースト圧Pbaseより高い場合には、1より大きい値の補正係数Kが与えられ、圧力偏差ΔPが負の値、即ち実ブースト圧Pの方が基準ブースト圧Pbaseより低い場合には、1より小さい値の補正係数Kが与えられるようになっている。また、ΔPが0、即ち実ブースト圧Pと基準ブースト圧Pbaseとが等しい場合には、補正係数Kの値は1となるようになっている。
このような圧力偏差ΔPと補正係数Kとの関係は、次のようにして求めている。即ち、基本NOx排出量QNbを求めるためのNOx排出量マップを作成した際に、実験によって実際のブースト圧Pと基準ブースト圧Pbaseとを故意に相違させ、このときの試験用エンジンからの実際のNOx排出量に対する基本NOx排出量QNbの比を、補正係数Kとして求める。そして、実際のブースト圧Pと基準ブースト圧Pbaseとの圧力偏差ΔPを様々に変化させた場合の補正係数Kを求めることにより、圧力偏差ΔPと補正係数Kとの関係を求めて補正係数マップを作成する。
圧力偏差ΔPが正の値の場合には、実ブースト圧Pの方が基準ブースト圧Pbaseより高いので、上述したように、その分だけエンジン1の実際のNOx排出量は基本NOx排出量より増大する。従って、補正係数Kの値は1より大きくなる。一方、圧力偏差ΔPが負の値の場合には、実ブースト圧Pの方が基準ブースト圧Pbaseより低いので、上述したように、その分だけエンジン1の実際のNOx排出量は基本NOx排出量より減少する。従って、補正係数Kの値は1より小さくなる。
なお、本実施形態では図3に示されるように、圧力偏差ΔPに対して補正係数Kが直線的に変化しているが、エンジン1の特性などにより圧力偏差ΔPと補正係数Kとの関係は様々な形をとりうる。
補正係数演算部68は、こうして設定された補正係数マップを用い、圧力偏差演算部66から出力された最新の圧力偏差ΔPに対応する補正係数Kを読み出して出力する。
補正演算部70は、基本排出量演算部64から出力された基本NOx排出量QNbと補正係数演算部68から出力された補正係数Kとを入力し、基本NOx排出量QNbに補正係数Kを乗算することによって基本NOx排出量QNbを補正し、エンジン1からの実際のNOx排出量としてNOx排出量QNcを求める。従って本実施形態では、補正係数演算部68及び補正演算部70が本発明の排出量補正手段に相当する。
こうして補正演算部70によって求められたNOx排出量QNcは、ECU58によって実行される前述の尿素水供給制御において、尿素水の目標供給量の設定に使用される。
このようにECU58によってNOx排出量演算制御が行われることにより、NOx排出量マップを作成した際に使用した試験用エンジンの試験用ターボチャージャと、エンジン1のターボチャージャ8との間に過給特性のずれがあったとしても、実ブースト圧Pと基準ブースト圧Pbaseとの圧力偏差ΔPに対応した補正係数Kを用いて、上述のように基本NOx排出量QNbを補正することによりエンジンのNOx排出量QNcを求めているので、エンジン1からの実際のNOx排出量を精度良く求めることができる。
更に、ターボチャージャ8の過給特性が経年変化によって徐々に変化していったとしても、上述のように実ブースト圧Pと基準ブースト圧Pbaseとの圧力偏差ΔPに対応した補正係数Kを用いて基本NOx排出量QNbを補正することによりエンジン1のNOx排出量QNcを求めているので、エンジン1からの実際のNOx排出量を精度良く求めることができる。
しかも、実ブースト圧Pと基準ブースト圧Pbaseとの圧力偏差ΔPは、前述したようにフィルタ44の手動強制再生が行われるたびに更新されていくので、ターボチャージャ8の経年変化に伴う過給特性の変化に対応して圧力偏差ΔPを精度良く求めることができる。このことから、圧力偏差ΔPに基づく基本NOx排出量QNbの補正によって得られるエンジン1からの実際のNOx排出量も精度の高いものとなる。
従って、こうして求められたNOx排出量QNcを用いて尿素水供給制御を行うことにより、ターボチャージャ8の過給特性にばらつきがあったり経年変化が生じたりしても、SCR触媒46において排気中のNOxを還元して排気を浄化するのに必要な尿素水の目標供給量を過不足なく適切に設定することが可能となる。この結果、SCR触媒46の排気浄化効率を良好に維持すると共に、SCR触媒46からのアンモニアスリップの発生を良好に抑制することが可能となる。
また本実施形態では、このようにターボチャージャ8毎の過給特性のばらつきが生じても精度良くエンジン1のNOx排出量を求めることができるので、NOx排出量マップは代表的に選択された試験用ターボチャージャを用いて設定したものを同じタイプのターボチャージャ8に共通して用いている。この結果、ターボチャージャ8毎に個別にNOx排出量マップを設定する必要がなくなり、製造コストを低減することが可能となる。
以上で本発明の一実施形態に係るエンジンNOx排出量演算装置についての説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
例えば、上記実施形態では、フィルタ44の手動強制再生が行われるエンジン1の運転状態を基準運転ポイントとして設定したが、基準運転ポイントとして設定されるエンジン1の運転状態はこれに限定されるものではない。即ち、エンジン1の運転中に実際に起こりうる運転状態であると共に、過給が行われる運転状態であればどのような運転状態でも基準運転ポイントに設定可能である。但し、その運転状態が確実に得られるものであると共に、ターボチャージャ8の経年変化に伴う過給特性の変化に対応して、実ブースト圧Pと基準ブースト圧Pbaseとの圧力偏差ΔPを適度の頻度で更新可能であることが好ましい。そこで、本実施形態ではフィルタ44の手動強制再生が行われるエンジン1の運転状態を基準運転ポイントとして設定しているのであるが、例えば、アクセルペダルの踏み込みが解除されて車両が減速走行している場合などのように、エンジン1の回転数がターボチャージャ8による過給が行われる下限回転数より高い所定の中高速回転数にあってエンジン負荷が無負荷となる運転状態を基準運転ポイントとしても良い。このような場合においても、エンジン負荷は無負荷であるので、車両の走行性能に影響を与えることなく、また車両の運転者の運転操作によるエンジン1の負荷変動の影響を受けることなく、精度良く圧力偏差ΔPを求めることができる。
また、上記実施形態では、手動強制再生を実行中はエンジン回転数を一定の再生用回転数に保持し、このような運転状態を基準運転ポイントとしたが、再生用回転数とは別の回転数に基準運転ポイントを定め、手動強制再生を実行している間に、一時的にエンジン1の運転状態を基準運転ポイントに保持した上で圧力偏差ΔPを求め、圧力偏差ΔPを求めた後は再生用回転数に戻すようにしても良い。
また、上記実施形態では、実ブースト圧Pと基準ブースト圧Pbaseとの圧力偏差ΔPから求めた補正係数Kを基本NOx排出量QNbに乗算することにより基本NOx排出量QNbを補正するようにしたが、圧力偏差ΔPに基づく基本NOx排出量QNbの補正の方法は、これに限定されるものではない。例えば、実ブースト圧Pと基準ブースト圧Pbaseとの圧力偏差ΔPから求めた補正量を基本NOx排出量QNbに加算するようにしても良いし、実ブースト圧Pと基準ブースト圧Pbaseとの圧力偏差ΔPから求めた補正係数で基本NOx排出量QNbを除算することにより基本NOx排出量QNbを補正するようにしても良い。
また、上記実施形態では、過給機として可変容量のターボチャージャ8を用いたが、過給機のタイプはこれに限定されるものではない。固定容量のターボチャージャや、機械式過給機であっても、過給機毎の過給特性のばらつきや経年変化に伴う過給特性の変化が生じるので、これらの過給機を採用した場合であっても、本発明を適用することによって同様の効果を得ることができる。
また、上記実施形態では、求められたエンジン1のNOx排出量を尿素水供給制御に用いたが、NOx排出量を用いる制御はこれに限定されるものではなく、様々な制御に使用することができる。
更に、上記実施形態で用いられたエンジン1の種類及び形式、並びに排気後処理装置30の構成については、いずれもこれに限定されるものではなく、必要に応じて様々に変更することが可能である。
本発明の一実施形態に係るエンジンNOx排出量演算装置が適用されたエンジンの全体構成図である。 NOx排出量演算制御におけるECUの処理を示すブロック図である。 NOx排出量演算制御で用いられる補正係数マップにおける圧力差ΔPと補正係数Kとの関係を示すグラフである。
符号の説明
1 エンジン
4 インジェクタ(強制再生手段)
8 ターボチャージャ(過給機)
18 吸気圧センサ(ブースト圧検出手段)
24 EGR弁(排気還流手段)
26 EGR通路(排気還流手段)
44 フィルタ(パティキュレートフィルタ)
58 ECU(運転状態量検出手段、強制再生手段)
60 回転数センサ(運転状態量検出手段)
64 基本排出量演算部(基本排出量演算手段)
66 圧力偏差演算部(圧力偏差演算手段)
68 補正係数演算部(排出量補正手段)
70 補正演算部(排出量補正手段)

Claims (4)

  1. エンジンが所定の過給運転領域で運転されているときに上記エンジンの吸入空気を過給する過給機と、
    上記エンジンの排気の一部を上記エンジンの吸気側に還流する排気還流手段と
    を備えたエンジンNOx排出量演算装置において、
    予め選択された上記エンジンの運転状態量を検出する運転状態量検出手段と、
    上記運転状態量と上記エンジンのNOx排出量との関係が予め設定されたNOx排出量マップから、上記運転状態量検出手段によって検出された上記運転状態量に対応するNOx排出量を基本NOx排出量として求める基本排出量演算手段と、
    上記エンジンのブースト圧を検出するブースト圧検出手段と、
    上記NOx排出量マップを設定した際の、上記過給運転領域内に設定された基準運転ポイントで得られるブースト圧として基準ブースト圧を予め記憶し、上記基準運転ポイントで上記エンジンが運転されているときに、上記ブースト圧検出手段で検出された実ブースト圧と上記基準ブースト圧との圧力偏差を求める圧力偏差演算手段と、
    上記圧力偏差演算手段によって求められた上記圧力偏差に基づき、上記基本排出量演算手段によって求められた基本NOx排出量を補正して上記エンジンのNOx排出量を求める排出量補正手段と
    を備えることを特徴とするエンジンNOx排出量演算装置。
  2. 上記基準運転ポイントは、上記エンジンの回転数が所定回転数となると共に、上記エンジンの負荷が無負荷となる運転ポイントであることを特徴とする請求項1に記載のエンジンNOx排出量演算装置。
  3. 上記エンジンは動力源として車両に搭載されてパティキュレートフィルタを排気通路に備えると共に、上記車両が停車状態にあるときに上記パティキュレートフィルタの強制再生を行う強制再生手段を備え、
    上記圧力偏差演算手段は、上記パティキュレートフィルタの上記強制再生を実行中であることを条件として上記基準運転ポイントが設定されていることを特徴とする請求項2に記載のエンジンNOx排出量演算装置。
  4. 上記過給機は、タービン側の排気導入部分に設けられたベーンの開度を調整して排気流路面積を変更することにより、過給圧を変更可能な可変容量過給機であることを特徴とする請求項1に記載のエンジンNOx排出量演算装置。
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