JP2009264135A - 圧電素子の駆動装置およびポンプ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】環境温度が変化しても圧電素子の駆動電圧の制御を正確に行う。
【解決手段】トランス2と、入力される駆動パルス信号DPSに基づいてトランス2の1次側で電源電圧Vccをスイッチング動作し、2次側に接続されている圧電素子PZに対し、駆動パルス信号DPSのデューティ比に応じた駆動電圧Vdを印加するスイッチ回路3と、温度検出素子8Aと、駆動パルス信号DPSを発生し、温度検出素子8Aの検出温度に応じてスイッチ回路3を制御し、駆動パルス信号DPSのデューティ比を変更可能な制御回路(マイクロコンピュータ5)と、を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、駆動信号の周波数が可変できる圧電素子の駆動装置と、圧電素子の振動により流体の移送を行うポンプ装置とに関する。
液体の噴霧器や各種アクチュエータに好適な圧電素子の駆動回路が知られている(例えば、特許文献1および特許文献2参照)。
この駆動回路は、トランスの1次巻線にスイッチングのためのトランジスタを接続し、2次巻線に圧電素子を接続し、トランジスタのスイッチング動作により、圧電素子の駆動電圧を発生、制御する回路である。
また、圧電素子を用いた超音波モータの駆動回路として、1次側をトランジスタ等でスイッチングしても2次側に正弦波の駆動電圧を発生させるために、圧電素子と並列共振する共振回路を有する駆動回路が知られている(例えば特許文献3参照)。
特許第2618685号公報 特許第3115618号公報 特許第2976489号公報
圧電素子を用いた流体ポンプ装置において、移送する流体量を制御しなければならないことがあるが、このとき圧電素子の駆動電圧を可変にする構成が必要である。
一方で、圧電素子を利用したアクチュエータの用途が、従来の据え置き型機器向けだけでなく、携帯型機器向けにも広がることが考えられる。携帯型機器では、駆動回路の省電力化および小型化が重要である。
小型の機器に限らないが、特に機器が小さく放熱が十分でない場合、機器内部の温度上昇によって圧電素子およびその駆動回路の温度特性が変化し、圧電素子による流体の移送能力が変化しやすい。機器内部の温度上昇を抑えるためにファン式の冷却装置を設けると、機器の小型化、省電力化を妨げる。
この場合、省電力、高効率な駆動が可能な圧電素子を用いて冷却ポンプを構成するとよく、本願と同一な出願人によって、空冷等に適したポンプ装置のための駆動回路が既に出願されている(特願2007−211912号、平成19年8月15日出願)。
本発明は、使用環境の温度が変化しても圧電素子の駆動制御を正確に行える圧電素子の駆動装置を提供するものである。
また、本発明は、上記駆動装置を用いることによって、使用環境の温度が変化しても移送する単位時間当たりの流体量を正確に制御できるポンプ装置を提供するものである。
本発明の一形態(第1形態)に関わる圧電素子の駆動装置は、トランスと、前記トランスの1次側に入力される制御信号に追従して周波数が変化する駆動信号を前記トランスの2次側で発生させ、当該駆動信号を圧電素子に印加する駆動回路と、温度検出素子と、前記制御信号を発生して前記駆動回路に供給し、前記温度検出素子の検出温度に応じて前記制御信号の周波数を制御することによって前記駆動信号の周波数を変更する制御回路と、を有する。
本発明の他の形態(第2形態)に関わる圧電素子の駆動装置は、上記第1形態において、前記制御回路は、前記トランスの2次側で共振回路の共振周波数が温度に応じて変化することに追従して、前記検出温度に応じて前記制御信号の周波数を制御する。
本発明の他の形態(第3形態)に関わる圧電素子の駆動装置は、上記第1形態において、前記圧電素子のインピーダンス変化を検出する検波回路を、さらに有し、前記制御回路は、前記制御信号の周波数を所定の周波数範囲内で複数回変更し、当該変更のたびに前記検波回路の検出値を確認し、当該検出値が前記所定の周波数範囲内で最小となる点に前記駆動信号の周波数を制御し、当該周波数の制御に用いる前記所定の周波数範囲を、前記温度検出素子の検出温度に応じてシフトする。
本発明の他の形態(第4形態)に関わる圧電素子の駆動装置は、上記第1形態において、前記制御回路は、前記制御信号のデューティ比を変更して前記駆動信号の振幅を制御する。
本発明の他の形態(第5形態)に関わる圧電素子の駆動装置は、上記第4形態において、前記圧電素子のインピーダンス変化を検出する検波回路を、さらに有し、前記制御回路は、前記検波回路の出力に基づいて、前記デューティ比を変更後の前記駆動信号の振幅をモニタし、当該モニタした駆動信号の振幅が、前記検出温度に対応する所定値と異なる場合、前記デューティ比をさらに調整する。
本発明の他の形態(第6形態)に関わる圧電素子の駆動装置は、上記第1形態において、前記トランスの1次側または2次側で前記圧電素子と等価的に接続され、前記圧電素子の等価回路におけるキャパシタンス成分および前記トランスのインダクタンス成分と共に、前記制御信号の周波数で共振する共振回路を構成するリアクタンス素子を、さらに有する。
本発明の他の形態(第7形態)に関わる圧電素子の駆動装置は、上記第6形態において、前記リアクタンス素子が、前記圧電素子に並列に等価接続された第1容量と、スイッチを介して前記第1容量と並列接続可能な、少なくとも1つの第2容量と、を含む。
本発明の他の形態(第8形態)に関わる圧電素子の駆動装置は、トランスと、前記トランスの1次側に入力される制御信号に追従して周波数が変化する駆動信号を前記トランスの2次側で発生させ、当該駆動信号を圧電素子に印加する駆動回路と、温度検出素子と、前記制御信号を発生して前記駆動回路に供給し、前記温度検出素子の検出温度に応じて前記制御信号のデューティ比を制御することによって前記駆動信号の振幅を変更する制御回路と、を有する。
本発明の他の形態(第9形態)に関わるポンプ装置は、圧電素子の圧電体で、または、当該圧電体とともに振動する振動部材で、一方の面が塞がれたポンプ室を有し、前記ポンプ室の流体吸入口から吸い込んだ流体を吐出口から排出するポンプと、当該ポンプの前記圧電素子を振動させて駆動する駆動装置と、を有し、前記駆動装置が、トランスと、前記トランスの1次側に入力される制御信号に追従して周波数が変化する駆動信号を前記トランスの2次側で発生させ、当該駆動信号を圧電素子に印加する駆動回路と、温度検出素子と、前記制御信号を発生して前記駆動回路に供給し、前記温度検出素子の検出温度に応じて前記制御信号の周波数を制御することによって前記駆動信号の周波数を変更する制御回路と、を含む。
本発明の他の形態(第10形態)に関わるポンプ装置は、圧電素子の圧電体で、または、当該圧電体とともに振動する振動部材で、一方の面が塞がれたポンプ室を有し、前記ポンプ室の流体吸入口から吸い込んだ流体を吐出口から排出するポンプと、当該ポンプの前記圧電素子を振動させて駆動する駆動装置と、を有し、前記駆動装置が、トランスと、前記トランスの1次側に入力される制御信号に追従して周波数が変化する駆動信号を前記トランスの2次側で発生させ、当該駆動信号を圧電素子に印加する駆動回路と、温度検出素子と、前記制御信号を発生して前記駆動回路に供給し、前記温度検出素子の検出温度に応じて前記制御信号のデューティ比を制御することによって前記駆動信号の振幅を変更する制御回路と、を含む。
以上の構成を有する本発明に関わる第1〜第10形態では、制御回路が、所定の周波数を有する制御信号を発生する。発生した制御信号は駆動回路に与えられる。駆動回路は、与えられた制御信号に基づいて、トランスの2次側に接続されている圧電素子に対し、制御信号に応じた駆動信号を発生して印加する。
温度検出素子が検出した温度(検出温度)の情報が制御回路に入力可能となっている。検出温度が変化した場合、制御回路は制御信号の周波数(及び/又はデューティ比)を変える制御を行う。
具体的に、制御回路は、出力する制御信号の周波数(及び/又はデューティ比)を、検出温度に応じた値に制御する。
第3および第5形態では、トランスの2次側に接続されている圧電素子のインピーダンスを検出する検波回路を有している。
第3形態では制御回路が、いわゆる共振点となる周波数のサーチ(以下、共振点サーチという)を行うことにより、検波回路の出力が最小となる最も効率がよい動作点に駆動電圧の周波数が制御される。このとき検出温度に応じてサーチ範囲(所定の周波数範囲)が変化する。サーチ範囲が狭くても温度に応じて当該範囲が追従することから、効率が最もよい動作がサーチ範囲から外れない。
第5形態では、制御回路が、検波回路の出力に基づいて、駆動信号が検出温度に応じた値の振幅となっているかを確認し、なっていない場合は、駆動電圧の振幅が検出温度に対応する所定値となるように制御信号のデューティ比を調整する。
第6形態では、圧電素子と共振回路を構成するリアクタンス素子を含むため、駆動電圧が正弦波もしくは正弦波に近いものとなる。
第7形態では、リアクタンス素子を圧電素子に並列に等価接続される容量で実現する。駆動信号の周波数を変更したような場合、容量値も最適化するほうが望ましいことがある。そこで、リアクタンス素子の定数(容量値)を大きくする目的で、基準となる第1容量に対し、個別のスイッチで並列に付加される第2容量を設けている。このスイッチと第2容量の組は1組以上あれば、その数は任意である。例えばスイッチを1つオンすると、リアクタンス素子の定数(容量値)が、第2容量の値分だけ大きくなる。このためリアクタンス素子を駆動信号の周波数に応じて最適化可能である。
第9および第10形態はポンプ装置に関するもので、上記構成のポンプ装置は、例えば空冷や水冷に用いることができ、ポンプ室の一方面を塞ぐ圧電素子の圧電体に駆動回路により交流電圧が印加されると、圧電体が振動しポンプ室内の圧力が増減する。圧電体がポンプ室の空間を広げるように動作すると、ポンプ室内の圧力が下がり流体吸入口から流体が取り込まれる。つぎに圧電体がポンプ室の空間を縮めるように動作すると、ポンプ室内の流体に圧力がかかり、ポンプ内の流体が吐出口から押し出されて外部に勢いよく排出される。圧電体がポンプ室の空間を広げる動作と縮める動作を所定の周波数で繰り返すように、駆動装置により圧電素子が駆動される。
このとき駆動装置において、前述したように、制御回路により駆動信号の周波数(及び/又は振幅)が制御され、これにより入力電力が変化すると、吐出口から排出される流体の速度等が変化する。また、検出温度に応じた最適な値に、流体の速度等が調整される。したがって、ポンプ装置から出力される流体の速度等を、必要な値で、かつ、環境温度等に応じて任意に変更可能である。
本発明によれば、使用環境の温度が変化しても圧電素子の駆動制御を正確に行える圧電素子の駆動装置が提供される。
また、本発明によれば、上記駆動装置を用いることによって、使用環境の温度が変化しても移送する単位時間当たりの流体量を正確に制御できるポンプ装置が提供される。
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
《第1実施形態》
本実施形態は、本発明の「圧電素子の駆動回路」の実施形態に関する。
図1に、圧電素子PZの駆動回路の回路ブロック図を示す。
図1に図解する駆動回路1は、電磁結合トランス2と、スイッチ回路(SW.C)3と、「制御回路」としてのマイクロコンピュータ(μC)5と、位相シフト回路(PS.C)6と、検波回路(V−DET)7と、温度検出回路(T−DET)8とを有する。
図2は、電磁結合トランス2、スイッチ回路3および検波回路7の、より詳細な構成例を示す回路図である。
以下、図1および図2を参照して各構成を説明する。
電磁結合トランス2は、図2に示すように、1次巻線W1と2次巻線W2、ならびに、2つの巻線間に設けられた1以上の比透磁率をもつ磁性材2Aを有し、1次および2次巻線W1,W2は磁性材2Aによって電気的、磁気的に結合されている。電磁結合トランス2は、1次巻線W1と2次巻線W2の巻線数の比率(巻線比)が、所定の値に設定されている。
電磁結合トランス2の1次巻線W1にスイッチ回路3が接続され、電磁結合トランス2の2次巻線W2に圧電素子PZが接続されている。
図2は、いわゆる2スイッチ構成のスイッチ回路3を例示する。
図示例のスイッチ回路3は、それぞれトランジスタ等から形成される2つのスイッチSW1,SW2を有する。スイッチSW1,SW2は、それぞれ、操作片を2つの接点の何れかに切り替えるスイッチである。スイッチSW1の操作片は電源電圧Vccに接続され、スイッチSW2の操作片は電源電圧の基準となる電圧、例えば接地電圧GNDに接続されている。
スイッチSW1,SW2の各々は、1次巻線W1の一方端に接続される第1接点P1と、1次巻線W1の他方端に接続される第2接点P2とを有し、接点の切り替えを差動的に行う。図2に示すように、スイッチSW1の操作片が第1接点P1に接続されて電源電圧Vccの供給状態にあるときは、スイッチSW2の操作片が第2接点P2に接続されて接地電圧GNDの供給状態にある。逆に、スイッチSW1の操作片の接続先が第2接点P2に切り替えられて接地電圧GNDの供給状態に推移すると、これとほぼ同時に、スイッチSW2の操作片の接続先が第1接点P1に切り替えられて電源電圧Vccの供給状態に推移する。
このような2接点スイッチをトランジスタで実現する場合、スイッチ回路3は4つのトランジスタを、いわゆるHブリッジ構成で接続させるとよい。Hブリッジ構成は、例えば、スイッチSW1を差動的にオンとオフが動作する2つのPMOSトランジスタで形成し、スイッチSW2を差動的に動作する2つのNMOSトランジスタで形成することにより実現できる。
スイッチSW1,SW2の制御は、マイクロコンピュータ5から出力される、所定のデューティ比の駆動パルス信号DPSにより行われる。駆動パルス信号DPSは「制御信号」の一例である。
ある駆動パルスがハイレベル(以下、“H”と表記)のときに、例えば図2に示すような接続状態となる。これにより、当該駆動パルスが“H”をとる短い期間だけ、1次巻線W1においてスイッチSW1側からスイッチSW2側に電流が流れる。この電流を、以下、「正電流I(+)」と表記する。駆動パルスがオフするローレベル(以下、“L”と表記)になると、スイッチSW1,SW2は共にオフして、1次巻線W1はハイインピーダンス状態となる。
次の駆動パルスが入力されると、スイッチ回路3は図2とは反対の接続状態となり、1次巻線W1に流れる電流の向きが反転する。このときの電流を、以下、「負電流I(-)」と表記する。駆動パルスがオフすると、スイッチSW1,SW2は共にオフして、1次巻線W1はハイインピーダンス状態となる。
以上の動作が繰り返されることにより、1次巻線W1に正電流I(+)と負電流I(-)が、それぞれ所定の短い時間だけ交互に流れ、正電流I(+)が流れる期間と負電流I(-)が流れる期間の間に、電流が流れない期間をもつ断続的な電流駆動が行われる。
なお、図2のように1つの駆動パルス信号DPSでスイッチ回路3を駆動する場合、スイッチ回路3内に、2つのスイッチSW1,SW2を、各入力パルスに対して交互に動作させる機能を回路的に実現するとよい。この機能をスイッチ回路3内で回路的に実現した場合、スイッチ回路3の規模が大きくなるため、この方法は余り現実的ではない。
そこで、本実施形態では、図1に示すように位相シフト回路6を設けている。
位相シフト回路6は、マイクロコンピュータ5から駆動パルス信号DPSを入力し、そのまま第1駆動パルス信号DPS1として出力するとともに、駆動パルス信号DPSの位相を180度シフトさせて第2駆動パルス信号DPS2を発生する。第1および第2駆動パルス信号DPS1,DPS2は、位相シフト回路6からスイッチ回路3にパラレルに出力される。
スイッチ回路3は、第1駆動パルス信号DPS1でスイッチSW1,SW2による正電流I(+)駆動を制御し、第2駆動パルス信号DPS2でスイッチSW1,SW2による負電流I(-)駆動を制御する。これにより、スイッチ回路3は簡単な回路で形成でき、上述したと同様に、1次巻線W1を正電流I(+)と負電流I(-)で交互に、かつ、断続的に駆動できる。
位相シフト回路6の機能を、マイクロコンピュータ5内が有してもよい。また、上述したように、2つのスイッチSW1,スイッチSW2を、各入力パルスに対して交互に動作させる機能をスイッチ回路3内で回路的に実現してもよい。さらに、図2に示す駆動パルス信号DPSを、例えば接地電圧GNDなどの中間レベルを中心に、正側のパルスと負側のパルスが交互に断続的に出現する3値パルスに変更して、これによりスイッチ回路3を駆動してもよい。
これらの何れの場合でも位相シフト回路6は不要であり、よって位相シフト回路6は必須の構成ではない。
検波回路7は、電磁結合トランス2の2次巻線W2に出現する圧電素子PZのインピーダンスの変化を、駆動信号の振幅の変化によって検出する回路である。
検出回路構成は任意であるが、例えば図2に示すような簡単な半波整流回路で検波回路7を実現できる。
図2に示す検波回路7は、3つの抵抗R71〜R73、ダイオードD7およびキャパシタC7により構成されている。
2次巻線W2および圧電素子PZと並列に、抵抗R71とダイオードD7と抵抗R72の直列回路を接続し、抵抗R72と並列にキャパシタC7と抵抗R73を接続している。ダイオードD7のカソードから出力(検出電圧Vdet)が取り出される。
ダイオードD7のアノード電位がカソード電位よりある程度高いときはダイオードD7に順方向の電流が流れるため、この電流が流れる期間にキャパシタC7が充電され、検出電圧Vdetが出力に出現する。アノードとカソードの電位差が減少に転じると、大きな抵抗R73を介して非常にゆっくりとした放電が行われ、これによって検出電圧Vdetの波形が平滑化される(ほぼ一定となる)。この平滑化は、アノードとカソードの電位差が小さくなってダイオードD7に電流が流れなくなり、さらにアノードとカソードの電位が逆転してダイオードD7が逆バイアスされる期間中も続けられる。次に、カソード電位に対してアノード電位がある程度高い期間に再びなると、再度、キャパシタC73の充電が開始されるが、この2回目以降の充電は、その直前の平滑化時の放電による僅かな電位ドロップを補う程度である。
以後、同様にして平滑化と、平滑時の電位ドロップを補う程度の僅かな充電が繰り返されるため、検出電圧Vdetとして、ほぼ一定の直流に近い波形の電圧が得られる。検出電圧Vdetの大きさ(直流電圧レベル)は、2次巻線W2に出現する駆動電圧の振幅に比例している。
このようにして得られた検出電圧Vdetは、マイクロコンピュータ5に入力され、内部のA/Dコンバータで検出電位がディジタル値として読み取られる。
温度検出回路8は、図1に示す圧電素子PZおよびその駆動回路1が設けられた環境温度、例えば、これらが内蔵された電子機器内の温度を常に把握するためも受けられた回路である。温度検出回路8は、温度センサ、あるいは、サーミスタなどの温度に応じて特性が変化するデバイス(温度検出素子8A)を含む。温度検出回路8は、温度検出素子8Aと、電源供給が必要な場合は温度検出素子8Aに電源を供給するとともに、検出した温度そのもの、あるいは、温度に依存する特性変化を示す信号に対し所定の増幅などの処理を行って温度検出信号Stを発生する回路とを含んで構成してよい。
温度検出回路8が出力した温度検出信号Stはマイクロコンピュータ5に送られ、内部のA/Dコンバータで検出電位がディジタル値として読み取られる。
マイクロコンピュータ5は、駆動パルス信号DPSのデューティ比を制御することにより、電磁結合トランス2から出力される駆動電圧Vdを制御する第1の機能と、温度検出回路8から得られる温度検出信号Stに基づいて駆動パルス信号DPSのデューティ比を調整する第2の機能とを有する。
第1の機能に関し、マイクロコンピュータ5は、圧電素子PZの駆動力を強める(または弱める)指令を外部から受け取ると、この指令に含まれる制御量だけ駆動パルス信号DPSのデューティ比を変化させる。このとき検波回路7を有することから、駆動パルス信号DPSのデューティ比を変化させた結果が、電磁結合トランス2の2次巻線W2に出現する駆動電圧Vdに正確に反映されたかをマイクロコンピュータ5が確認できる。マイクロコンピュータ5は、この確認の結果、デューティ比の変化が不十分あるいは過度に行われたことを知ることから、その知った情報を基に所望の駆動電圧Vdにするために駆動パルス信号DPSのデューティ比を微調整できる。
第2の機能を実行するため、マイクロコンピュータ5は、常に温度検出回路8から温度検出信号Stを入力している。
マイクロコンピュータ5は、温度検出信号Stに基づいて、環境温度に有意な変化があったことを知ると、この変化に応じて駆動パルス信号DPSのデューティ比を、現在の値から変更する。このとき検波回路7を有することから、駆動パルス信号DPSのデューティ比を変化させた結果が、電磁結合トランス2の2次巻線W2に出現する駆動電圧Vdに正確に反映されたかをマイクロコンピュータ5が確認できる。マイクロコンピュータ5は、この確認の結果、デューティ比の変化が不十分あるいは過度に行われたことを知るため、その知った情報を基に所望の駆動電圧Vdにするために駆動パルス信号DPSのデューティ比を微調整できる。
第1の機能と第2の機能は、それぞれ独立に、あるいは、重複して実行できる。重複して実行する場合、第1の機能の制御時に精度が温度により低下する場合、その低下によって生じる誤差を削減または低減するために第2の機能を働かせるといった用い方ができる。
次に、共振周波数変更のための構成を説明する。
駆動パルス信号DPSにより制御されるスイッチ回路3は、電磁結合トランス2の1次巻線W1に電流を流すオン状態、電流を流さないオフ状態を、入力される上記駆動パルス信号DPSにより規定される所定の周波数で繰り返し1次巻線W1に設定するように動作する。このとき例えば、上記オン状態が駆動パルスのハイレベル(“H”)に、上記オフ状態が駆動パルスのローレベル(“L”)に対応する。
ここで電磁結合トランス2の1次側電流駆動の周波数(周期T)を電流駆動周波数と定義する。電流駆動周波数は、電磁結合トランス2の2次側で形成され圧電素子PZを含む共振回路の共振周波数に、望ましくは一致するように設定される。ここで電流駆動周波数が共振周波数と完全に一致しなくても動作は可能であるが、圧電素子PZの印加電圧波形を正弦波にして、効率良い駆動を行うには、電流駆動周波数が共振周波数と一致することが望ましい。
このための構成として、図2に示すように、リアクタンス素子4を電磁結合トランス2の2次巻線W2に並列接続している。
電磁結合トランス2の1次側の電流駆動を、上記オン状態とオフ状態を繰り返すことにより断続的に行うと、1次側のスイッチ回路3で消費される電力は、持続時間が短いパルス電流による電力消費の時間平均であるため、比較的小さくてすむ。
パルス電流が電磁結合トランス2の1次側に一度印加されると、2次側の共振回路の共振現象により、圧電素子PZに交流電圧(駆動電圧Vd)が印加され、そのままオフ状態に放置すると該交流電圧は次第に減衰する。この減衰は、共振回路(巻線回路)の銅損等でエネルギーが失われるため生じる。本実施形態では、望ましくは、電磁結合トランス2の2次側で圧電素子PZに与えられる交流電圧において正負のそれぞれで波高値が減衰する前の短い時間の間だけ、1次側から次のパルス電流によるエネルギー補充を行い、これが周期的に繰り返される。ただし、圧電素子PZに与えられる交流電圧がある程度減衰してから短い時間だけ周期的にエネルギー補充を行ってもよい。
本実施形態では、上記共振回路から外(例えばGND線)への放電経路がなく、実質的に外への放電は行われない。共振回路の銅損等でエネルギーが失われることを1次側からの間欠的な電流駆動で補うことは既に述べたが、そのエネルギー損失を全て1次側から必要最小限補う。
以上より、極めて効率的な動作が可能で、低消費電力である。
圧電素子PZは、用途に応じて等価的な容量値の大きさが決まり、マイクロコンピュータ5が発生する駆動パルス信号DPSの周波数(電流駆動周波数)を変更するだけでは、当該電流駆動周波数と、共振回路の共振周波数を一致させる、あるいは、ほぼ等しくすることは困難な場合がある。
そのため、電流駆動周波数と、各共振回路の共振周波数を一致させる、あるいは、ほぼ等しくするために、共振回路にリアクタンス素子4を追加している。リアクタンス素子4は、圧電素子PZの等価回路におけるキャパシタンス成分および電磁結合トランス2のインダクタンス成分と(電流)駆動周波数で並列共振する共振回路を構成している。
共振回路へのリアクタンス素子4の追加は、図2に示すように圧電素子PZと並列にコンデンサを接続することで達成される。あるいは、圧電素子PZと並列または直列にインダクタを接続してもよい。
つぎに、以上のように構成されている駆動回路1の動作を、図2〜図4を適宜参照しつつ説明する。
図3(A)〜図3(E)は、図2の回路の動作波形図である。図4は、圧電素子PZの等価回路図である。
圧電素子PZは、図4に示すように、直列接続の容量C1とインダクタンスL1と抵抗R1とを有するとともに、それらに並列な容量C0を有してなる等価回路として表すことができる。
このとき圧電素子PZ1の等価容量成分(主にC1)とリアクタンス素子4としての容量C(図2)との合成容量、ならびに、圧電素子PZの等価インダクタンス成分(L1)と第2巻線コイルW21との合成インダクタンスにより共振回路の共振周波数が決められる。
スイッチ回路3は、図1に示す位相シフト回路6から出力される第2駆動パルス信号DPS2が“L”で第1駆動パルス信号DPS1が“H”となると、図2に示すように、スイッチSW1が電源電圧Vccへの接続状態、スイッチSW2が接地電圧GNDへの接続状態となるため、正電流I(+)が1次巻線W1に流れる。
また、第1駆動パルス信号DPS1が“L”の状態で第2駆動パルス信号DPS2が“H”になると、向きが反対の負電流I(-)が1次巻線W1に流れる。
第1駆動パルス信号DPS1の“H”の期間は、図3(A)に示すように、一定の半周期T/2より短い時間(ON(+)で表示)だけ持続するパルスで規定され、このパルスが一定の周期Tで繰り返される。
第2駆動パルス信号DPS2の“H”の期間は、図3(B)に示すように、第1駆動パルス信号DPS1のパルスと180度位相が異なる同一周期Tのパルスの、短い持続時間(ON(-)で表示)により規定される。2つのパルスの持続時間(いわゆるパルス幅)は異なってもよいが、ここでは同じとする。
以下、第1駆動パルス信号DPS1のパルス持続時間を「正電流駆動時間、または、ON(+)時間」、第2駆動パルス信号DPS2のパルス持続時間を「負電流駆動時間、または、ON(-)時間」と称する。
ON(+)時間と次のON(-)時間との間、当該ON(-)時間と次のON(+)時間との間には、それぞれ、1次巻線W1に電流が流れない一定のオフ状態の期間が存在する。
オフ状態の期間は、図2に示すスイッチSW1,SW2が共にオフしていることから、1次巻線W1の両端からスイッチ回路3を見てハイインピーダンス状態となる。よって、オフ状態の期間にはトランジスタのオフリーク程度しか電流が流れないため、実質的に消費電力はゼロに等しい。
図3(C)は、正電流I(+)と負電流I(-)の大きさ(絶対値:|I|)を示す波形図である。
パルスをオンして電流が流れ始め、続いて飽和するが、図3(C)の例では、その飽和時点でパルスをオフするようにON(+)時間、ON(-)時間が決められている。また、未飽和領域では電流値が減少し、入力電力は低下する。一方、飽和後は、それ以上パルス幅を長くしても動作的に余り意味がなく、電力消費が増えるだけである。よって、ON(+)時間とON(-)時間をそれぞれ最大で電流飽和の時間付近に設定することが望ましい。
1次巻線W1の両端の電圧を、図2の接地電圧GNDへの接続が制御される端を基準とした電源電圧Vccへの接続が制御される端の電圧(1次側電圧Vi)と定義し、その波形を図3(D)に示す。
トランジスタのオン抵抗が無視できるとすると、ON(+)時間の1次側電圧Vi(+)、ON(-)時間の1次側電圧Vi(-)は、ともにほぼ電源電圧Vccの大きさ(例えば5[V]程度)となる。この間欠的な短い時間の電圧は、強制的に1次側の動作で1次巻線W1に設定される。一方、その間のオフ期間は1次巻線W1に対し1次側の電圧強制力が解除されるが、2次側の影響で共振回路の共振周波数に依存した電圧が1次側にも現れる。
1次側電圧Viと2次側電圧(駆動電圧Vd)の波高値の比率は、電磁結合トランス2の巻線比によって決められる。
この動作では、前述したように電流駆動周波数(1次側電圧Vi(+)とVi(-)の設定を繰り返す動作の周波数)と、共振回路の共振周波数がほぼ一致している場合、図3(D)のように1次側電圧Viの波形がほぼ正弦波となる。このため圧電素子の駆動がスムーズで効率的であり、望ましい。
完全に周波数が一致していない場合、間欠的な1次側の電圧設定時に1次側電圧Viの波形の不連続点が生じるが、動作周波数自体は1次側の電流駆動周波数で決まるため、一定の周波数で圧電素子を駆動すること自体は可能である。ただし、この場合、駆動のスムーズさは失われ、効率としても低下する。
図5(A)と図5(B)は、マイクロコンピュータ5が駆動パルス信号DPSのデューティ比を変化させたときの波形図である。図5では便宜上、第1駆動パルス信号DPS1、正電流I(+)および駆動電圧Vdの各波形のみを示す。
デューティ比(ON(+)/T)が小さい図5(A)の場合から、デューティ比(ON(+)/T)を大きくした図5(B)の場合、デューティ比が大きくなる分だけ駆動電圧Vdの波高値も大きくなることが分る。
例えば、このようなデューティ比制御を行っている最中に環境温度が変化すると、マイクロコンピュータ5が温度検出回路8からの温度検出信号Stに基づいて、その温度上昇後も最も効率的に圧電素子PZの駆動を行うような制御を実行する。
具体的には、マイクロコンピュータ5は、温度変化に伴う駆動電圧Vdの時間平均された振幅変化、あるいは、入力電力変化を元に戻すように、駆動パルス信号DPSのデューティ比を変化させて、温度変化後も同じ駆動力で圧電素子PZが駆動されるように制御する。
このときの温度とデューティ比の関係は、例えばマイクロコンピュータ5に内蔵の、あるいは、マイクロコンピュータ5に接続された不図示のメモリに、当該関係をテーブルとして持つとよい。テーブルには温度と制御量とが対応付けられて記憶されている。
マイクロコンピュータ5は入力された温度検出信号Stをテーブルに照らして、制御量、即ち、目標のデューティ比、または、目標が得られるデューティ比の変化量をテーブルから読み出し、読み出したデューティ比が得られるように駆動パルス信号DPSを制御する。
なお、周期Tが決められている場合、テーブルに記憶する制御量は、駆動パルスのオン時間でもよい。また、温度ごとに制御量を記憶する必要はなく、ある温度幅ごとに制御量が記憶されていてもよい。この場合、マイクロコンピュータ5は、温度検出信号Stが示す検出温度を温度幅の境界に対応した複数の閾値の各々と逐次比較し、どの温度幅の制御量を読み出すかを決める作業を行うとよい。
テーブルで制御量を記憶する以外の方法としては、検出温度に応じて制御量を計算により求めてもよい。
本実施形態では、温度変化の影響を排除して正確に圧電素子PZを駆動することが可能となる。
《第2実施形態》
第2実施形態では、圧電素子の駆動回路(特定的にはマイクロコンピュータ5)が、温度変化による影響を排除する目的で、「制御信号」としての駆動パルス信号DPSの周期(周波数)を制御する第3の機能を有する。
第3の機能は、第1実施形態の前述した第1および第2の機能に付加してもよいし、単独で第3の機能をもつ駆動回路を実現してもよい。
以下、第1実施形態に第3の機能を追加した場合で、本実施形態の説明を行う。したがって、第1実施形態の説明および図1〜図5は本実施形態でも同様に適用される。
図6に、温度上昇による影響を示す。図6は、検波回路7から出力される検出電圧Vdetの周波数依存性のグラフである。
定常状態の温度、例えば室温(25度)では、マイクロコンピュータ5が出力する駆動パルス信号DPSの周波数fが上がると、一般的な傾向では、検出電圧Vdetでモニタされている電磁結合トランス2の出力電圧(駆動電圧Vd)の時間平均された振幅も上昇し、より大きな駆動力が圧電素子PZに与える。しかし、ある周波数f0より低い周波数領域では、リアクタンス素子4を含む電磁結合トランス2の2次側の共振回路において、インダクタンス成分より容量成分が支配的になることに起因して、周波数fの上昇とともに駆動電圧Vdの平均的振幅(検出電圧Vdet)も低下する。
よって、図6に示すように検出電圧Vdetの周波数依存特性のカーブは、周波数f0で最小の値をとる。この周波数f0は共振回路の共振周波数に対応しており、この周波数f0で駆動回路1は最も効率がよい省電力駆動を行う。
ところが、温度が上昇すると、図6に破線で示すカーブのように検出電圧Vdetの最小点(高効率ポイント)が低周波側にシフトする現象が観測される。
マイクロコンピュータ5は、温度検出回路8からの温度検出信号Stに基づいて、その温度変化分の周波数シフト量だけ電流駆動周波数を変化させるように、駆動パルス信号DPSの周期を変更する。このとき、第2の機能によって温度変化に応じて最適化されたデューティ比を維持してもよいし、さらに、電流駆動周波数の変化に適応して所望の駆動電圧Vdが得られるように、さらにデューティ比を調整してもよい。
図6の例で、温度が上昇することによって検出電圧Vdetが最小の周波数f0が、より低い周波数f1に変化したとする。
マイクロコンピュータ5は、周波数変化量Δf(=f0−f1)だけ電流駆動周波数が小さくなるように駆動パルス信号DPSの周期Tを大きくする制御を行う。
温度が低下する場合は、以上と逆の操作を行う。
この制御では、温度と制御量(周波数変化量Δf、または、制御目標の周期T等)との関係を、例えばテーブルに記憶させておく必要がある。マイクロコンピュータ5は、このテーブルを参照して、検出温度から制御量を取得し、取得した制御量を用いて電流駆動周波数の変更を実行する。
本実施形態によれば、温度変化があっても、駆動回路1は最も効率的な省電力駆動を圧電素子PZに対して行うことが引き続き維持される。
《第3実施形態》
本実施形態は、いわゆる共振点サーチを行うものであり、第2実施形態の変形となる。
マイクロコンピュータ5は、温度検出回路8から出力される温度検出信号Stにより温度上昇なのか温度低下なのかを知ると、その温度変化の向きに所定ステップで電流駆動周波数を変化させ、その度に、検出電圧Vdetを確認する。そして、マイクロコンピュータ5は、その周波数変化範囲内で最小の検出電圧Vdetから、例えば図6の周波数f1を探し当てる。マイクロコンピュータ5は、周波数変化量Δf(=f0−f1)だけ電流駆動周波数が小さく(または大きく)なるように駆動パルス信号DPSの周期Tを大きく(または小さく)する制御を行う。
なお、周波数変化範囲内で図6のような検出電圧Vdetの極小点がない場合、マイクロコンピュータ5は、極小点が検出されるまで周波数変化範囲を拡大してもよい。
また、圧電素子PZは、その材料や構造によって、温度上昇に伴って検出電圧Vdetの極小点が低周波側にシフトする以外に、高周波側にシフトするように作製することが可能である。よって、使用する圧電素子PZの、かかる特性に応じて、マイクロコンピュータ5が極小点を探索する周波数変化範囲を決めることもできる。
第3実施形態においても、温度検出信号Stが示す検出温度と制御量の関係を記憶するテーブル等の手段は必要である。第3実施形態では共振点サーチを行うため、処理に時間を要するが、その情報の記憶量はサーチ範囲に限られ、その分、ハードウェハが簡素化できる。また、共振点サーチを行うため圧電素子PZの個体差による誤差が排除され、より制御の精度が高い。さらに、圧電素子PZの種類が変更されても的確な制御が可能であり、汎用的な駆動回路が実現できる。
《第4実施形態》
本実施形態では、共振点サーチのサーチ範囲(所定の周波数範囲)を、検出温度に応じてシフトさせる。
図7(A)に、上記第3および第4実施形態で理想的なサーチ範囲(所定の周波数範囲)の一例を示す。
サーチ範囲は、例えば図7(A)に示すように、検出電圧Vdetの極小点が存在する場合、その極小点からΔVだけ大きいラインが検出電圧Vdetのカーブと交差する2点の幅で規定できるようにすると、サーチの両端の周波数から極小点(共振点)までの周波数差がほぼ等しく、好ましい。
このようにサーチ範囲を規定すると、検出電圧Vdetの極小点に適合して、次に検出電圧Vdetの極小点を見つけるときのサーチ範囲を自動で決めるため、温度によって検出電圧Vdetの極小点が推移しても、それに追従してサーチ範囲も移動する。ただし、サーチ範囲を、極小点を基準としてその都度決めていたのでは処理負担が大きく制御のレスポンスが悪いことも考えられる。サーチ範囲が小さく、かつ、温度で特性が大きくずれると、この方法では極小点がサーチ範囲から外れることも考えられる。
そのため、本実施形態では、図1に示す温度検出素子8Aの検出温度に応じて、図7(B)に示すように、温度変化に対応して予想される向きに、予想される量だけサーチ範囲を予め移動させる制御を制御回路(マイクロコンピュータ5)が行う。このため、温度変化に追従して自動的にサーチ範囲が変化し、レスポンスがよく共振点サーチが行える。また、サーチ範囲を小さくしても極小点がサーチ範囲から外れることがない。
《第5実施形態》
本実施形態は、第1〜第4実施形態に示す駆動回路の適用例として、ポンプ装置を示すものである。本発明のポンプ装置は、エアその他の気体、液体などの流体のポンプ装置として広く適用可能であるが、ここでは、特に、発熱した空冷対象物(例えばIC等の電子デバイス)を空冷する空冷装置、あるいは、細い管に一定の空気流を起こす装置等に応用できるエアポンプ装置を一例として説明する。
エアポンプ装置は、モバイル機器や据え置き機器におけるセット内温度上昇対策システムとして有用である。特にモバイル機器は、筐体が小型であるため、旧来のファン式の空冷装置が配置できない場合がある。
圧電素子を用いたエアポンプ装置(以下、単に、「圧電ポンプ」という)は、小型でエアの排出圧がファン式では得られないほど高くできるという特徴を有するため、モバイル機器のセット内温度上昇対策システムとして特に有用である。
図8に、圧電ポンプの電子機器内配置を模式的に示す。
図8に図解する電子機器は、静止画または動画を撮影するディジタルカメラ、ゲーム機、携帯電話、音楽や映像の(録画)再生機、コンピュータ、カーナビゲーション装置、その他のマルチメディア機器など、どのようなものでもよい。
図8に示す電子機器100は、その筐体100A内に、回路基板(複数でもよい)101を内蔵し、回路基板101に多数のICその他の回路部品102、電源制御部品103などが高密度で実装されている。
本実施形態の電子機器100は、回路部品102や電源制御部品103などの全ての発熱部品からの放熱を効率的に集めることができる位置、大きさ、形状、材質の、ある程度遮蔽された空間を形成する集熱部104を有している。
集熱部104は、熱伝導率が高い材質から形成され集熱のためのフィン(不図示)を各部品の放熱部分に接触または近接するようにして配置されている。集熱部104内の空間内のエアは、集熱部104のフィンや外壁を通して集められた熱により熱せられる。
筐体100Aの外面に、集熱部104内の空間に連通する吸気口100Bと排気口100Cが設けられている。吸気口100Bおよび排気口100Cの径は数ミリと比較的小さくてよい。吸気口100Bおよび排気口100Cは、手のひらや指で完全には塞がれないように、一段窪んだ箇所や突起の根元などに位置させるなどの工夫がされている。
集熱部104内に、周囲の空間からエアを吸引して排気口100Cに効率よく排気が可能な位置に、「ポンプ装置」としての圧電ポンプPZPが固定されている。
圧電ポンプPZPは、図1に示す圧電素子PZを内蔵し、駆動回路1に接続されている。駆動回路1は回路基板101に実装してよい。また、そのうち温度検出回路8内の温度検出素子8Aは、図7における集熱部104内、排気口100Cの近くなど、個々の部品からの発熱を統合して決まるセット内温度を的確に検出可能な位置に配置される。
圧電ポンプPZPは、このような電子機器100の構造と、その構造内への配置によって、集熱部104内で風を起こし、IC等の発熱体からの熱を強制的にこの風によって放出するエア移送駆動源として機能する。
図9に、圧電ポンプPZPの組み立て図を示す。
図解する圧電ポンプPZPは、「圧電素子PZ」としての圧電体ユニット31、保護リング32、ダイヤフラム33、第1スペーサ34、中板35、第2スペーサ36、天板37を有する。
保護リング32は、例えばステンレス等の腐食に強く高剛性の材料からなり、内部空間を確保するリング形状に形成されている。保護リング32の内部に圧電体ユニット31が収容され、圧電体ユニット31の非振動部分が保護リング32に固定される。保護リング32に対し、ダイヤフラム33を挟んで第1スペーサ34が重ねられる。
第1スペーサ34は、例えばステンレス等の腐食に強く高剛性の材料からなり、内部空間がポンプ室34Aとなるようにリング形状に形成されている。
ダイヤフラム33は、圧電体ユニット31の圧電体が振動するのに合わせて振動する振動部材の一種であり、薄くて変形自在であるが強度的には強い材質が用いられる。またダイヤフラム33は、第1スペーサ34との接触面で気密性を高める役目もある。
中央に小さな連通口35Aが空けられた中板35が、第1スペーサ34の上面に重ねられて両者が接触面で気密性が高くなるように固着される。このためポンプ室34Aは、連通口35Aのみで外部に通じることになる。したがって、圧電体ユニット31の圧電体が振動しダイヤフラム33が上下運動すると、ポンプ室34Aの内部容積が拡大と縮小を繰り返すため、連通口35Aからエアが高速で出入りする。
中板35には、さらに、例えばステンレス等の腐食に強く高剛性の第2スペーサ36と天板37が、互いに密着面で気密性が高くなるように固着される。
第2スペーサ36は、例えば四方からエアの吸入経路を確保する内部の空間(4つの通路)が形成されている。4つの通路の先端はほぼ閉じられているが、小さい吸入口が開口している。また、天板37の中央にエアの吐出口37Aが開口している。これにより、吐出口37Aと連通口35Aに連通するベンチュリノズル部36Aが第2スペーサ36の中央部に形成される。
図10(A)および図10(B)は、圧電ポンプPZPの、エアの経路を示す概略断面図である。図10(A)は吸引時、図10(B)は吐出時を示す。
圧電体ユニット31によってゆっくりダイヤフラム33を上下させた場合、吸引によってポンプ室34Aの容積が大きくなり外部から図10(A)に示す経路でエアが入ってくる。また、吐出によってポンプ室34Aの容積が小さくなり内部のエアが、図10(B)のように連通口35A、ベンチュリノズル部36Aを通って吐出口37Aから勢いよく吐き出される。
この吸引と吐出を高速(周波数が20[kHz]またはそれ以上)で繰り返すと、吐出口37Aからはほぼ圧力が一定の連続エア流が噴出する動作となる。この高速駆動では、図10(A)のように吐出口37Aがエアの吸入口になることはなく、専ら吐き出し口として機能する。そのためエアの吸入は、図9に示す第2スペーサ36に形成されている四方の吸入経路の空間とその先端の小さな穴(吸入口)を通して行われる。
図10(C)は、冷却装置として好適な圧電ポンプPZPの概観と、動作時のエア経路を示す図である。
圧電ポンプPZPは、上面視が20[mm]程度、厚さが1[mm]程度の小型の空冷装置として用いることができる。駆動回路は第1実施形態に既に説明した図2に示すものを使用し、20[VP-P]、20[kHz]駆動の場合、吐出口37Aから噴出する連続エア流の静圧が1〜数[Pa]が得られる。
以上のような構造を有し、作用を奏する圧電ポンプPZPは、図1の圧電素子PZに置き換えて適用し、駆動回路1により駆動される。
このとき、図5を用いて第1実施形態で説明したように、駆動パルス信号DPSのデューティ比に応じて駆動電圧Vdの振幅を変えて圧電ポンプPZPから排出される風量(時間当たりのエア移送量)を制御できる。あるいは、第3および第4実施形態で説明したように、制御信号(駆動パルス信号DPS)の周波数を変更して、駆動信号(駆動電圧Vd)の周波数を変更できる。これにより、特に第4実施形態のように、共振点サーチを行って、最も効率がよい周波数を見つけ、その周波数での駆動が可能である。
圧電ポンプPZPからの風量は、圧電振動素子(圧電体ユニット31)をベースとしているため、大きな駆動電圧Vdを圧電ポンプPZPに入力すれば、圧電ポンプPZP内部の圧電振動板が大きく振れるため、風量や背圧を多く確保することができる反面、消費電力は大きくなる。
また、小さな駆動電圧Vdを圧電ポンプPZPに入力すれば、圧電ポンプPZP内部の圧電振動板の振幅が減るため、風量や背圧は少なくなるが、小さい、細い風の通り道である風洞でも風の流れを十分確保できるだけの背圧を持っているため、消費電力を少なく抑えつつも、あるレベルの放熱の役割を持たせることは可能となる。
図11に、駆動電圧Vdの最大振幅をパラメータとした圧電ポンプから吐出されるエアの流量の背圧依存性を示す。
ここで「背圧」とは、図8における集熱部104の内圧に相当する。背圧が大きいと、いくら駆動電圧Vdを大きくしても所望の風量(圧電ポンプPZPからのエア流量)が得られないことが、図11から分かる。これは、外気からエアの供給量が多すぎて、圧電駆動効率が低下するためである。
また、駆動電圧Vdの振幅を大きくするほど流量も大きくできる。とくに駆動電圧Vdを20[VP-P]で背圧を0.5[kPa]程度以下にすると、流量が1[L/min]以上にでき、ファン式では得られないほど大きくなる。
図8の構造では吸気口100Bの径が比較的小さいため背圧は比較的小さく保てることから、冷却効率を高くできる。
なお、特別に吸気口100Bや排気口100Cを設けなくても、機器筐体の隙間からエアを出し入れするようにしても、集熱部104がある程度、気密性が保たれていれば背圧を小さくできる。ただし、集熱部104にエアの排出口、吸入口は必要である。
駆動回路1の動作自体は第1〜第4実施形態で既に説明したため、ここでの重複した説明は省略する。
ただし、空冷システムへの適用においては、図1に示す第1および第2駆動パルス信号DPS1,DPS2のように、お互いに180°位相がずれている2相信号による駆動が望ましい。
マイクロコンピュータ5からの駆動パルス信号DPSによる単相信号駆動でも同様な効果が得られるが、駆動周波数によっては、単相信号駆動の場合、1周期時間で電磁結合トランス2の巻き線ロス等による損失が発生するので、駆動レベルが下がってしまうことがある。
このような場合、損失を防止し駆動波形を一定レベルに抑えるため、お互いが180°位相がずれている2相信号駆動方式の適用が望ましい。
圧電振動素子のようなリアクタンス負荷の場合、低電力駆動を実現するため、それに含まれる容量性リアクタンス、誘導性リアクタンスを打ち消しあうように駆動周波数を設定すれば、インピーダンス分は純抵抗のみとなり、リアクタンス負荷の仕事量として、効率が最大となる。
その意味で、共振回路の共振周波数での駆動が望ましい。よって、駆動周波数が共振周波数に制御しにくい場合、図2に示すようにリアクタンス素子4を設けることは有効である。また、第2および第3実施形態のように電磁結合トランス2の1次側における電流駆動周波数を、2次側の共振回路の共振周波数に一致させることが望ましい。
とくに、環境によりセット使用状態が異なると、圧電ポンプPZPの負荷は絶えず変動している。このため、駆動周波数を固定化しておくと共振周波数にずれが生じ、有効電力のみならず、無効電力が発生し、圧電振動素子で風を発生させる効率が落ち、かつ圧電ポンプPZP自体も発熱してしまう。
環境変動要因として、環境温度による周波数特性のずれ(図6参照)は大きく、このずれを補正して常に最も効率が高い適な動作周波数を制御することは、省電力化において有効である。
また、第2実施形態のように、周波数と温度の関係を予め調べて記憶させておくだけでは、最適化が難しい場合もある。このような場合、第3実施形態の「共振点サーチ」により、現在の最適動作周波数を常に探索できるシステム構成とすれば、柔軟な制御が可能であり、さらに望ましい。
さらに、第4実施形態のように、共振点サーチにおいて検出温度に応じてサーチ範囲をシフトすれば、サーチ範囲そのものを小さくしても、サーチ範囲から共振点が外れない。
共振点サーチでは、周波数を短い時間で変化させるため、その変化が空冷ではエアのうねりとなって認識されることがある。よって、特に録音等を行う機器の空冷装置では共振点サーチ時のエアのうねりは極力抑制しなければならない。
第4実施形態のように検出温度に応じてサーチ範囲をシフトするとサーチ範囲から共振点が外れないため、サーチ範囲を、共振点を含む小さい周波数範囲に限定できる。よって、共振点サーチ時のエアのうねりを十分に抑制できるという利益が得られる。
つぎに、第1〜第4実施形態と任意に組み合わせることが可能な変形例を説明する。
<変形例1>
図2に示すリアクタンス素子4は、電磁結合トランス2の1次側巻線W1に、1次巻線W1と並列接続することも可能である。
リアクタンス素子4の耐電圧仕様やリアクタンス値に応じて、リアクタンス素子4を接続する巻線側を、電磁結合トランス2の1次側と2次側の何れにするかを決定すればよい。
スイッチ回路3の構成は、2点切り替えの2つのスイッチ構成、これを4つのトランジスタにより実現したHブリッジ構成に限らず、1つのトランジスタ(および、逆流防止用のダイオード)による構成でもよい。この場合、2相信号駆動はできないため効率の点では低いが、スイッチ回路3が簡素化できる利点がある。
<変形例2>
周波数変更を、駆動パルスを所定の規則で周期的に停止させることで行ってもよい。この停止制御は、マイクロコンピュータ5が行うか、これとは別に、図1等に示す駆動回路1に停止制御回路を追加することで実現できる。
スイッチ回路3においてスイッチング動作が行われている期間において、任意の期間、駆動パルスのスイッチ回路3への入力を停止すると、共振回路(巻線回路)の銅損等で失われるエネルギーを電磁結合トランス2の1次側からの間欠的な電流駆動で補う動作が停止するため、停止期間が長いほど入力電力は下がる。このため圧電素子PZの振動エネルギーも低下する。つまり、停止制御を行うと、圧電素子PZの動作(振動エネルギー、あるいは、平均的な振動振幅)を、任意の期間、停止させることで調整することができる。
圧電素子PZが、例えば水冷や空冷のために流体をポンピングする圧電ポンプPZPに用いられる場合(第4実施形態参照)等にあっては、例えばマイクロコンピュータ5等が、例えば温度検出回路8からの温度検出信号Stに応じて、駆動パルス信号DPSの駆動パルスが出現する周期Tを、2T、3T、…と周期Tの倍数で変更可能に決定してよい。
パルス入力がない期間は、発振回路の共振周波数で駆動電圧Vdが変化するが、振幅は徐々に低下する。次の駆動パルスの入力によって駆動電圧Vdの振幅が回復する。駆動電圧Vdは、振幅の減衰と回復を繰り返す波形となるが圧電素子の駆動への影響はないか、または、軽微である。
変形例2では、駆動パルスを周期的、かつ、冷却対象の状態に適応して停止させることにより、圧電素子PZへの周期的な短時間の電力印加において電力印加の頻度が下がり、結果として、時間平均としての入力電力を必要量まで低下させることが可能となる。
<変形例3>
変形例3は、圧電素子の小型化に関する。
図2に示すスイッチ回路3をHブリッジ構成とする場合、2つのPMOSトランジスタと2つのNMOSトランジスタを組み合わせてブリッジ接続する。このような回路は、ディスクリートの電子部品を回路基板に実装させる回路である必要は必ずしもなく、何らかのIC内部に形成することができる。
電磁結合トランス2の1次巻線W1に流れる電流は数十[mA]のオーダーであるから、電磁結合トランス2の巻線の線径は太くする必要はなく、またコア内の磁束密度も大きくはないからコアの断面積も小さくすることができる。
近年では巻線をフィルムに配線パターンをメッキあるいは蒸着工程により形成したシート状巻線もあり、これらを積層化することで小型の多巻線トランスを形成することもできる。これにより小型の多巻線トランスが実現できる。
以上の本実施形態では、携帯機器に適応した、小型かつ低消費電力の圧電素子の駆動回路が実現できる。
<その他の変形例>
環境温度に応じた制御に加えて、温度上昇は電源投入からの時間経過に応じて高くなることがある程度予測できるため、この経過時間に応じて流量を上げることができる。その場合でも、正確な制御のために温度を検出し、検出温度に応じて圧電素子駆動を行う。ただし、検出温度に応じる圧電素子駆動は、電源投入からある程度時間が経ったときから有効にすることもできる。これにより無駄な制御に要するマイクロコンピュータ5の負担が低減できる利益が得られる。
第4実施形態では、空冷に適したエア圧電ポンプPZP装置に、本発明の駆動回路を適用した例を述べたが、本発明の適用範囲は、空冷に限らず、液体の冷却媒体(水等)の配管内で冷却媒体に一定の流量を与える圧電ポンプPZP装置としても用いることができる。また、撮像素子等に対し振動を与えて埃を除去する埃除去装置、その他の振動を発生させるアクチュエータに応用できる。
さらに本発明の圧電素子の駆動回路は、液晶等の表示装置画面のタッチセンサにクリック感を与える装置、さらには、電磁結合トランス2の2次巻線回路を2回路に増やすことで、スイッチ回路3を増やすことなく同相駆動出力と同時に、逆相駆動出力を得ることができるので、逆相駆動による圧電モータへの応用も可能である。
以上の第1〜第5実施形態および変形例によれば、以下の利益が得られる。
第1実施形態では、環境温度に応じて所望の駆動電圧Vdを正確に制御でき、環境温度の影響を排除した高精度な圧電素子駆動が可能である。
第2実施形態では、検出温度に応じて駆動周波数を変えることができるため、さらに高精度な圧電素子駆動が可能である。
とくに第3実施形態のように「共振点サーチ」が可能な構成にすると、圧電素子特性の個体差を吸収し、圧電素子のタイプが異なる場合でも高精度な圧電素子駆動ができる汎用的な駆動回路の実現ができる。また、第4実施形態では「共振点サーチを行う範囲(所定の周波数範囲)」を小さくして、共振点サーチによる弊害、例えば空冷装置に適用した場合のエアのうねりを極力抑制しても、温度変化によって小さい範囲から共振点が外れることがない。
第5実施形態は、第1〜第4実施形態の駆動回路を冷却ポンプ装置に適用したものであるが、この場合、使用する機器の小型化に寄与し、冷却効果も高いといる利点がある。とくに背圧を低く保てる機器内部構造との組み合わせによって、冷却効率を最大化できる。
以上の第1〜第5実施形態は任意に組み合わせることができ、その場合、効果(利点)も組み合わせに応じたものが得られる。
さらに、「制御回路」としてマイクロコンピュータ5を用い、マイクロコンピュータ5によって制御されるスイッチ回路3のみで圧電素子駆動が可能である。
この点について、以下に説明する。
例えば特許文献1および特許文献2等に示す液体吸い上げ装置においては、トランスを用いて電力増幅し正弦波に波形整形した後、電圧と電流の位相を比較し制御して、圧電振動素子の駆動効率を高める回路が提案されている。
圧電振動素子のようなリアクタンス負荷の場合、それに含まれる容量性リアクタンス、誘導性リアクタンスを打ち消しあうように駆動周波数を設定すれば、インピーダンス分は純抵抗のみとなり、リアクタンス負荷の仕事量として、効率が最大となる。この周波数とは、共振周波数である。
温度変化があれば駆動電圧と駆動電流との位相差が変化する場合もあるため、温度変化があっても圧電素子駆動を最適駆動できると考えられる。
しかしながら、上記位相を比較する回路では、電圧と電流の位相を把握し、圧電振動素子駆動の効率を高めるため位相比較器を設けるなどシステムを実現するためのハードウェア回路が複雑である。また、圧電振動素子の仕事量を可変するため、駆動スイッチ回路の入力側の信号を位相比較器からのコントロール信号を基に制御するハードウェア回路を搭載するなど、システムが複雑である。
これに対し、第1〜第5実施形態では、トランスを用いた圧電素子のスイッチ回路3とマイクロコンピュータ5を使うことで、回路構成が簡素で、よりシンプルな制御ができる。圧電素子PZや圧電ポンプPZPを制御する方法として、機器内部に温度検出素子8Aを設け、温度検出素子8Aからの情報により、風の流量を柔軟に制御可能となるよう、マイクロコンピュータ5を使用する。スイッチ回路3は簡単なスイッチ回路で構成し、その制御を、マイクロコンピュータ5が駆動電圧Vdのデューティ比を検出温度に応じて行うことで、回路の複雑化を防いでいる。
第5実施形態の図8に示す構成では、吸気口100Bが手で塞がれて背圧が高くなり流量(冷却効率)が低下する可能性もあるが、このような場合でも、シンプルな制御による迅速なデューティ比制御によって所望の流量が得られるように駆動電圧Vdの振幅が変更できる。
吸気口100Bを設けない場合、吸気口100Bが手で塞がれて背圧が高くなるリスクが低減できる。また、セット外装に風の通り道などのために、大きな風洞を開けなくても良いので、概観も美しく保てる。この点は、大きな風洞を必要とするファン式の冷却装置に対しても大きな利点である。
第1〜第4実施形態に関わる駆動回路の構成を示す回路ブロック図である。 第1〜第4実施形態に関わる、スイッチ回路や検波回路の、より詳細な構成例を示す回路図である。 図2に示す回路の動作波形図である。 圧電素子の等価回路図である。 第1〜第5実施形態に関わり、駆動デューティ比を変化させたときの動作波形図である。 第1〜第5実施形態に関わり、検出電圧の周波数依存性のグラフである。 第4実施形態に関わり、検出電圧の周波数依存性のグラフにおいてサーチ範囲とそのシフトを説明する図である。 第5実施形態に関わる電子機器の構造と圧電ポンプの配置を示す図である。 第5実施形態に関わる、空冷装置として用いるエア圧電ポンプ装置の組立図である。 第5実施形態に関わる圧電ポンプのエア経路を示す断面図および斜視図である。 第5実施形態に関わり、駆動電圧の最大振幅をパラメータとした、圧電ポンプから吐出されるエアの流量の背圧依存性を示すグラフである。
符号の説明
1…駆動回路、2…電磁結合トランス、3…スイッチ回路、4…リアクタンス素子、5…マイクロコンピュータ、6…位相シフト回路、7…検波回路、8…温度検出回路、8A…温度検出素子、PZ…圧電素子、PZP…圧電ポンプ、W1…1次巻線、W2…2次巻線、DPS…駆動パルス信号、Vd…駆動電圧、Vdet…検出電圧、St…温度検出信号

Claims (10)

  1. トランスと、
    前記トランスの1次側に入力される制御信号に追従して周波数が変化する駆動信号を前記トランスの2次側で発生させ、当該駆動信号を圧電素子に印加する駆動回路と、
    温度検出素子と、
    前記制御信号を発生して前記駆動回路に供給し、前記温度検出素子の検出温度に応じて前記制御信号の周波数を制御することによって前記駆動信号の周波数を変更する制御回路と、
    を有する圧電素子の駆動装置。
  2. 前記制御回路は、前記トランスの2次側で共振回路の共振周波数が温度に応じて変化することに追従して、前記検出温度に応じて前記制御信号の周波数を制御する
    請求項1に記載の圧電素子の駆動装置。
  3. 前記圧電素子のインピーダンス変化を検出する検波回路を、さらに有し、
    前記制御回路は、前記制御信号の周波数を所定の周波数範囲内で複数回変更し、当該変更のたびに前記検波回路の検出値を確認し、当該検出値が前記所定の周波数範囲内で最小となる点に前記駆動信号の周波数を制御し、当該周波数の制御に用いる前記所定の周波数範囲を、前記温度検出素子の検出温度に応じてシフトする
    請求項1に記載の圧電素子の駆動装置。
  4. 前記制御回路は、前記制御信号のデューティ比を変更して前記駆動信号の振幅を制御する
    請求項1に記載の圧電素子の駆動装置。
  5. 前記圧電素子のインピーダンス変化を検出する検波回路を、さらに有し、
    前記制御回路は、前記検波回路の出力に基づいて、前記デューティ比を変更後の前記駆動信号の振幅をモニタし、当該モニタした駆動信号の振幅が、前記検出温度に対応する所定値と異なる場合、前記デューティ比をさらに調整する
    請求項4に記載の圧電素子の駆動装置。
  6. 前記トランスの1次側または2次側で前記圧電素子と等価的に接続され、前記圧電素子の等価回路におけるキャパシタンス成分および前記トランスのインダクタンス成分と共に、前記制御信号の周波数で共振する共振回路を構成するリアクタンス素子を、さらに有する
    請求項1に記載の圧電素子の駆動装置。
  7. 前記リアクタンス素子が、
    前記圧電素子に並列に等価接続された第1容量と、
    スイッチを介して前記第1容量と並列接続可能な、少なくとも1つの第2容量と、
    を含む請求項6に記載の圧電素子の駆動装置。
  8. トランスと、
    前記トランスの1次側に入力される制御信号に追従して周波数が変化する駆動信号を前記トランスの2次側で発生させ、当該駆動信号を圧電素子に印加する駆動回路と、
    温度検出素子と、
    前記制御信号を発生して前記駆動回路に供給し、前記温度検出素子の検出温度に応じて前記制御信号のデューティ比を制御することによって前記駆動信号の振幅を変更する制御回路と、
    を有する圧電素子の駆動装置。
  9. 圧電素子の圧電体で、または、当該圧電体とともに振動する振動部材で、一方の面が塞がれたポンプ室を有し、前記ポンプ室の流体吸入口から吸い込んだ流体を吐出口から排出するポンプと、
    当該ポンプの前記圧電素子を振動させて駆動する駆動装置と、を有し、
    前記駆動装置が、
    トランスと、
    前記トランスの1次側に入力される制御信号に追従して周波数が変化する駆動信号を前記トランスの2次側で発生させ、当該駆動信号を圧電素子に印加する駆動回路と、
    温度検出素子と、
    前記制御信号を発生して前記駆動回路に供給し、前記温度検出素子の検出温度に応じて前記制御信号の周波数を制御することによって前記駆動信号の周波数を変更する制御回路と、
    を含むポンプ装置。
  10. 圧電素子の圧電体で、または、当該圧電体とともに振動する振動部材で、一方の面が塞がれたポンプ室を有し、前記ポンプ室の流体吸入口から吸い込んだ流体を吐出口から排出するポンプと、
    当該ポンプの前記圧電素子を振動させて駆動する駆動装置と、を有し、
    前記駆動装置が、
    トランスと、
    前記トランスの1次側に入力される制御信号に追従して周波数が変化する駆動信号を前記トランスの2次側で発生させ、当該駆動信号を圧電素子に印加する駆動回路と、
    温度検出素子と、
    前記制御信号を発生して前記駆動回路に供給し、前記温度検出素子の検出温度に応じて前記制御信号のデューティ比を制御することによって前記駆動信号の振幅を変更する制御回路と、
    を含むポンプ装置。
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