JP5754221B2 - 圧電素子駆動回路 - Google Patents

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Description

本発明は、圧電素子を駆動する圧電素子駆動回路に関する。
生体に対する薬剤の投与を持続的あるいは緩やかに行うためには、一般的に、点滴静脈注射(以下、点滴と略称する)が用いられる。この点滴静脈注射を行うための医療機器を、点滴装置と呼ぶ。点滴装置では、薬液を収容した容器にチューブの一端を接続し、そのチューブの他端に装着された注射針を介して生体内に薬液を注入する。チューブの途中には、薬液の注入速度(単位時間当たりの注入量)を調整するための薬液注入量調整装置が設けられる。従来、薬液注入量調整装置としては、点滴筒およびクランプを有し、看護師などの医療従事者が点滴筒内における薬液の滴下状況を見ながらクランプを操作するものが用いられていた。
これに対し、薬液の移送および注入速度の調整を、薬液注入ポンプと呼ばれる装置を用いて行う場合もある。この薬液注入ポンプでは、例えば、回転数を制御する機構を持ったモータにより注射筒を駆動して、所定の注入速度で生体に対して薬液を注入する。このような薬液注入ポンプを用いた場合には、薬液の移送および注入速度の調整を自動的に行うことが可能である。
ところで、このような点滴装置を小型軽量化すると共に電池駆動して、携帯可能とする製品の開発が進められている。上述したモータを用いた薬液注入ポンプでは、消費電力が大きく、点滴装置を携帯可能とした際の電池駆動に向いていないと共に、小型化も困難である。そこで、点滴装置に用いる薬液注入ポンプとして、圧電素子によるアクチュエータを用いて薬液の移送を行うマイクロポンプを適用する技術の開発が進められている。
この圧電素子をアクチュエータに用いたマイクロポンプは、例えば、薬液が通過する圧力室の片面に圧電素子を接着して設けた構造を有する。このようなマイクロポンプでは、昇圧された所定周期で脈動する周期的なパルスや正弦波の電圧信号を印加することで、圧電素子を駆動してポンプの圧力室の片面を振動させ、この振動よって薬液が通過する圧力室の体積を変化させることで、薬液の移送を行う。薬液の注入速度は、圧電素子に印加する駆動電圧信号の周波数または振幅を制御することで調整できる。
圧電素子を駆動する圧電素子駆動回路としては、例えば、特許文献1〜5に記載されたものが知られている。
ところで、圧電素子は、振動を伝達する対象物に直接接着して利用される力学的な素子であるため、振動方向によってその強度が異なる。すなわち、圧電素子が対象物との接着面側への移動を伴う場合は比較的丈夫であるが、接着面とは反対側への移動を伴う場合、その強度が弱くなる。したがって、圧電素子に対して振幅が正負対象となる駆動を行うようにすると、大きな振幅での駆動を行うことができず、非対称な駆動が求められる場合が多い。また、材料の特性によっては、反対側の電界が大きくなると、圧電材料のもつ分極も反転してしまうため、反転した分極に対する動作、すなわち下の方向へ歪が戻ってゆくといった性質を持つものもある。図8は、典型的な圧電素子材料(TiBO3など)のもつ材料の両端に印加した電界に対する歪の変化を相対的に示したものである。最初は、原点から出発し、ある電圧まで正方向へ印加することで歪がグラフの上方向へ変化し、電圧を反対に下げ始めると歪が少なくなる。ここで、元いた電界ゼロ以下のところでも暫くは、歪が減少し続け、ある電圧に達すると歪の現象が止まる。このときに、圧電材料の分極が反転するとされている。もとの分極と反対になったことで、外部から印加される電界に対してまたもとの上方向への変化を始める。すなわち分極が反転すると、外部電界に対する歪の方向も反転する。電界に対して、単調な変化を求めるアプリケーションでは、図8に示した圧電素子材料の場合、せいぜい−5位から20の範囲のみ、または、−20位から+5位の範囲のみで使用しなければならない。また、頻繁な分極の反転は、圧電素子の寿命にも悪い影響をもたらす。
圧電素子に対して非対称な駆動を行う方法としては、圧電素子に供給される駆動電圧信号に直流バイアスを印加することが知られている(特許文献1、特許文献3、特許文献5参照)。しかしながら、圧電素子の寿命低下を抑制しながら、圧電素子から対象物に伝達される振動を最適化するには、駆動電圧信号に印加する直流バイアスを、圧電素子の耐久性を維持できる範囲で最適な電圧値にする必要がある。これに対して、特許文献1にて開示される駆動回路の構成では、直流バイアスの電圧値を選択することができない。また、特許文献3にて開示される駆動回路では、HVバイアスの記述はあるものの、具体的なバイアス方法が開示されておらず、直流バイアスの電圧値を選択できる構成となっていない。
また、特許文献5には、直流バイアス(Va1,Va2)を駆動電圧Vdに加えて、圧電アクチュエータやユニモルフなどの圧電素子に印加する駆動回路が記載されている。ユニモルフなどにおいては、いわゆるヒステリシスによる変位にあわせて適切な直流バイアスを印加しなければならないだけでなく、圧電素子の分極方向に沿ったバイアスには比較的強く、反対方向のバイアスには弱いことを考慮した駆動をしなければならない。しかしながら、いずれもバイアスを印加する必要性は記載されているものの、具体的な直流バイアスのための回路の開示はない。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、圧電素子の寿命低下を招くことなく最適な振幅で圧電素子を駆動することができる圧電素子駆動回路を提供することを目的としている。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる圧電素子駆動回路は、所定周期で極性が変化する周期的電圧信号を一次側から入力し、該周期的電圧信号を昇圧して二次側から出力する変圧器と、カソードが前記変圧器の二次側の2つの端子のうちの一方に接続されたダイオードと、一方の電極が前記ダイオードのアノードに接続された第1のキャパシタと、一方の電極が前記変圧器の二次側の2つの端子のうちの他方に接続され、他方の電極が前記第1のキャパシタの他方の電極に接続された第2のキャパシタと、一方の電極が前記変圧器の二次側の2つの端子のうちの一方と前記ダイオードのカソードとの共通接続点に接続され、他方の電極が前記第2のキャパシタの他方の端子と前記第1のキャパシタの他方の端子との共通接続点に接続された圧電素子と、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、第1のコンデンサと第2のコンデンサとの容量比に応じた直流バイアスが圧電素子を駆動する駆動電圧信号に印加されるので、第1のコンデンサと第2のコンデンサとの容量比を適切に設定することで、駆動電圧信号に印加する直流バイアスを最適な電圧値とすることができ、圧電素子の寿命低下を招くことなく最適な振幅で圧電素子を駆動することができるという効果を奏する。
図1は、薬液注入システムの概略構成を示す構成図である。 図2は、マイクロポンプの構造の一例を示す図である。 図3は、マイクロポンプの動作を説明する図である。 図4は、薬液注入量調整装置における薬液の流量制御の一例を示すフローチャートである。 図5は、本実施形態の圧電素子駆動回路の概略構成を示す回路図である。 図6は、本実施形態の圧電素子駆動回路の動作を説明するための波形図である。 図7は、コンデンサC2・C3の容量比と駆動電圧信号の最大電圧および最低電圧との関係を示す図である。 図8は、典型的な圧電素子材料の両端に印加した電界に対する歪の変化を相対的に示した図である。
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる圧電素子駆動回路の最良な実施の形態を詳細に説明する。以下に示す実施の形態は、薬液注入システムに用いられるマイクロポンプの圧電素子を駆動する駆動回路に本発明を適用した例である。
(薬液注入システム)
先ず、薬液注入システムについて説明する。図1は、本実施形態に適用可能な薬液注入システム200の概略構成を示す構成図である。薬液注入システム200は、生体に注入される薬液LMが収容された容器10と、容器10に一端が接続され、他端に生体22の血管内に一端が刺し入れられる注射針20が取り付け具18を介して設けられ、容器10から生体22内に至る薬液注入管路と、該薬液注入管路の途中に接続された薬液注入量調整装置100とを備えている。
容器10は、薬液LMを生体22の一部、例えば血管内に注入する際に、薬液注入量調整装置100の一端すなわちマイクロポンプ12の一端(供給端)にチューブ15を介して接続される。チューブ15としては、弾力性が高く自己拡張性のある可撓性チューブが使用されている。
薬液注入量調整装置100の他端すなわち流量センサ14の排出端には、チューブ15の一端が、接続される。チューブ15の他端(先端)には、先端に注射針20が固定された取り付け具18が接続される。薬液LMを血管内に注入する際には、看護師などが、注射針20を生体22の内部に体表面を介して刺し入れ、その先端を血管内に留置させる。その際、看護師などは、注射針20の先端が血管内から抜けないよう、注射針20の根元あるいは取り付け具18を、例えば粘着テープ等を用いて、生体22の体表面に固定する。図1では、この固定後の状態が示されている。
チューブ15としては、チューブ15と同様に、可撓性チューブが使用されている。チューブ15が撓むことにより、その先端部が動いても、薬液LMが流れる流路が確保される。
薬液注入システム200において、容器10から生体22の血管まで、順に、チューブ15、薬液注入量調整装置100、チューブ15および注射針20により、薬液LMが流れる流路が構成されている。この流路の途中には、薬液注入量調整装置100の構成各部を含め、流路を閉ざす部材は存在しない。したがって、この流路は、容器10から生体22の血管まで通じる1つの開放路を構成している。
なお、容器10から注射針20まで通じる流路の途中に、薬液LMの逆流を防止する弁を設けてもよい。ただし、この弁は、薬液LMが順方向(容器10から注射針20に向かう方向)に流れる際には、流体に抵抗力を及ぼさない、あるいは抵抗力を及ぼすが無視できる程度のものを用いるものとする。
薬液注入量調整装置100の構成、機能などについて詳細に説明する。薬液注入量調整装置100は、マイクロポンプ12、流量センサ14および制御ユニット16を有する。マイクロポンプ12は、その一端すなわち供給端が上述したチューブ15を介して容器10に接続される。流量センサ14は、マイクロポンプ12の他端すなわち排出端にチューブ15を介して一端すなわち供給端が接続される。制御ユニット16は、マイクロポンプ12および流量センサ14に電気的に接続され、流量センサ14の出力に応じてマイクロポンプ12を制御する。
ここで、チューブ15としては、マイクロポンプ12と流量センサ14とを接続し、両者間に薬液LMを流すことができるのであれば、材質、形態を問わず、いかなる管状部材を使用してもよい。
本実施形態では、マイクロポンプ12として、マイクロマシン技術(MEMS技術)で製造された、圧電素子を駆動源とするダイヤフラムポンプを採用する。ダイヤフラムポンプは、容積ポンプの一種であって、ダイヤフラムの容積の変化を利用して薬液LMを移送する。
図2は、マイクロポンプ12の構造の一例を示す図であり、図2(A)は、マイクロポンプ12の縦断面図、図2(B)は、図2(A)中のB−B線に沿った断面図である。なお、図2(A)は、図2(B)中のA−A線断面に相当する。
図2(A)に示されるように、マイクロポンプ12は、その一部がダイヤフラムの役割を担う板状の第1基板121と、第1基板121の一方の面(−Z側の面)に接合された第2基板122と、第1基板121の他方の面(+Z側の面)の中央部に固定された圧電素子124とを有する。一例として、第1基板121は硼珪酸ガラス、第2基板122はシリコンを用いて構成する。なお、第1基板121の圧電素子124と接する部分を含む部分が、ダイヤフラムの役割を担っている。この部分を、便宜上、ダイヤフラム部DPと呼ぶ。
図2(A)および図2(B)に示されるように、第2基板122には、第1基板121に対向する一面から一定の深さの凹部が形成されている。この凹部は、X軸方向の中央部に位置する平面視矩形の圧力室126と、該圧力室126の−X側の端部に連通する凹溝128aと、圧力室126の+X側の端部に連通する凹溝128bとの3つの部分からなる。なお、圧力室126は、実際には、第1基板121が、第2基板122に形成された凹部を覆うように、第2基板122と接合されることで形成される。図2(A)および図2(B)の例では、便宜上、第2基板122に圧力室126が形成されているものとしている。
凹溝128aの内部の−X端部に対応する第2基板122の底壁には、第2基板122の外部と凹溝128aの内部空間とを連通する貫通孔129aが形成されている。また、凹溝128bの内部の+X端部に対応する第2基板122の底壁には、第2基板122の外部と凹溝128bの内部空間とを連通する貫通孔129bが形成されている。
貫通孔129aは、圧力室126を含むマイクロポンプ12の内部空間への薬液LMの入口の役目を果たし、貫通孔129bは、内部空間からの薬液LMの出口の役目を果たす。以下では、貫通孔129aおよび129bを、それぞれ入口129aおよび出口129bと記述する。入口129aおよび出口129bは、それぞれ、マイクロポンプ12の供給口、排出口をそれぞれ構成する管状部材(図示しない)に接続されている。
図2(B)に例示されるように、凹溝128aおよび128bは、共に、−X端から+X端に向かって、すなわち入口側から出口側に向かって、徐々にその断面積が広くなっており、ディフューザの役目を兼ねる。以下では、凹溝128aおよび128bを、それぞれディフューザ128aおよび128bと記述する。なお、ディフューザは、流体の持つ運動のエネルギを圧力のエネルギに変換するためのものである。
上述のように、本実施形態に適用可能なマイクロポンプ12は、第2基板122に設けられた入口129aから出口129bまで、順に、ディフューザ128a、圧力室126、ディフューザ128bを介して、1つの流路が形成される。この流路は、その途中に流路を閉ざす部材は設けられていないので、入口129aから出口129bまで通じる1つの開放路を構成する。すなわち、マイクロポンプ12は、バルブレスマイクロポンプである。
図3を用いて、マイクロポンプ12の動作について概略的に説明する。圧電素子124に電圧が印加されていない状態では、図3(A)に示されるように、圧電素子124と接合された第1基板121のダイヤフラム部DPは、撓みのない平面状を保っている。この状態の圧力室126は、非収縮状態にある。一方、圧電素子124に電圧が印加されると、図3(B)に示されるように、第1基板121のダイヤフラム部DPは、矢印で示されるように、−Z方向に撓む。これにより、圧力室126は収縮し、収縮状態となる。
したがって、圧電素子124に電圧パルスを印加して駆動させてダイヤフラム部DPを振動させることにより、圧力室126に対し、収縮状態と非収縮状態とを繰り返させることができる。このとき、圧力室126の収縮率(ダイヤフラム部DPの撓み量)は、電圧パルスの電圧値に応じて定まり、圧力室126の収縮/膨張の繰り返し数は、電圧パルスの周波数によって定まる。
図3(A)に示されるように、圧力室126が収縮状態から非収縮状態に遷移すると、入口129aと出口129bの両方から流体(薬液LM)が圧力室126に流れ込む。ここで、入口129aと出口129bから流れ込む流体を、それぞれ、矢印fおよびfを用いて表している。矢印fおよびfの向きが流体の移送される向きを表し、太さが流体の量の程度を表す。
ここで、流体fおよびfは、それぞれディフューザ128aおよび128bを通過する。ディフューザ128aおよび128bは、上述したように、何れも、+X方向に向けて断面積が徐々に広くなっている。そのため、ディフューザ128aおよび128bは、+X方向に流れる流体に対し小さい抵抗を、−X方向に流れる流体に対し大きな抵抗を、それぞれ及ぼす。したがって、図3(A)の状態では、流体fはディフューザ128aにより小さい抵抗を受け、流体fはディフューザ128bにより大きな抵抗を受けるため、流体fの流量は、流体fの流量より大きくなる。
一方、図3(B)に示されるように、圧力室126が非収縮状態から収縮状態に遷移すると、圧力室126から入口129aと出口129bの両方へ流体が流れ出る。ここで、入口129aと出口129bへ流れ出る流体を、それぞれ、矢印fおよびfを用いて表している。矢印fおよびfの向きが流体の移送される向きを表し、太さが流量を表す。流体fはディフューザ128aより大きな抵抗を受け、流体fはディフューザ128bより小さな抵抗を受けるため、流体fの流量は、流体fの流量より大きくなる。
圧力室126が1回、収縮状態から非収縮状態に遷移すると、入口129aから圧力室126に対し、正味|f−f|の量の流体が流れ込むと共に、圧力室126から出口129bに対し、正味|f−f|の量の流体が流れ出る。したがって、入口129aから出口129bに対し、正味f=|f−f|=|f−f|の量の流体が流れる。
ここで、流体は非圧縮性であることを想定している。なお、圧力室126の容積を容積W、非収縮状態の容積に対する収縮状態の容積の比である収縮率を収縮率βとすると、関係f=W(1−β)が成り立つ。
圧力室126が収縮状態および非収縮状態を繰り返すことにより、入口129aから出口129bに対する定常的な流体の流れが発生する。圧力室126の収縮状態および非収縮状態の単位時間の繰り返し回数をωとすると、単位時間当たりの体積流量F=ωf=ωW(1−β)の流体が、入口129aから出口129bに流れる。
体積流量Fは、圧電素子124に印加する電圧パルスの電圧値Vとパルスの周波数の少なくとも一方を調整することにより、制御することができる。圧電素子124に印加する電圧パルスの電圧値Vを大きくすれば、圧電素子124の伸縮量、すなわち、ダイヤフラム部DPの撓みが大きくなる。同様に、圧電素子124に印加する電圧パルスの電圧値Vを小さくすれば、圧電素子124の伸縮量、すなわち、ダイヤフラム部DPの撓みが小さくなる。したがって、圧電素子124に印加する電圧パルスの電圧値を変えることによって、圧力室126の収縮率βを調整することができる。それにより、流量F=ωW(1−β)を制御することができる。
また、パルスの周波数を大きくすれば、ダイヤフラム部DPの振動数、すなわち、圧力室126の収縮状態および非収縮状態の単位時間の繰り返し回数ωが大きくなる。同様に、パルスの周波数を小さくすれば、ダイヤフラム部DPの振動数、すなわち、圧力室126の収縮状態および非収縮状態の単位時間の繰り返し回数ωが小さくなる。したがって、圧電素子124に印加する電圧パルスの周波数を変えることによって、圧力室126の収縮状態および非収縮状態の単位時間の繰り返し回数ωを調整することができる。それにより、流量F=ωW(1−β)を制御することができる。
なお、原理上、電圧パルスの周波数は、圧力室126の収縮状態および非収縮状態の単位時間の繰り返し回数ωに等しいので、電圧パルスの周波数を文字ωを用いて表記する。
流量センサ14としては、一例として熱質量式センサが用いられている。熱質量式センサでは、その内部に設けられた管路に流体(薬液LM)を流し、管壁を介して流体からセンサへ、あるいはセンサから流体へ伝導する熱量を計測することによって、管路内を流れる流体の流量を計測する。この熱質量式センサを流量センサ14として採用した場合、流体内にプローブを挿入することがないので、流体の流れに障害を与えることなく、その流量を計測することができる。
制御ユニット16は、例えばマイクロプロセッサをその中枢部として構成されており、薬液注入量調整装置100全体を統括的に制御する。
制御ユニット16と、マイクロポンプ12および流量センサ14とは、電気的に接続されている。流量センサ14から制御ユニット16に、薬液LMの流量の計測情報が供給される。制御ユニット16は、その流量の計測情報に基づいて、薬液LMの流量が定められた目標量に一致するように、マイクロポンプ12(正確には、圧電素子124)に印加する電圧パルスの電圧値Vおよび周波数ωの少なくとも一方を調整する。マイクロポンプ12の制御の詳細については、後述する。
なお、制御ユニット16と、マイクロポンプ12および流量センサ14の少なくとも一方とを、無線の通信路を介して接続してもよい。
制御ユニット16は、マイクロポンプ12の動力の監視も行っている。マイクロポンプ12の動力は、流体(薬液LM)を順方向に流すためにその流体に加える圧力(正確には、圧力のエネルギ)であるが、動力として、実際にマイクロポンプ12が流体(薬液LM)に加えている具体的な圧力を考える必要はなく、その圧力に関係する量を考えれば良い。動力Pは、マイクロポンプ12の構成より、印加される電圧パルスの電圧値Vと周波数ωとの関数P(V,ω)となる。
例えば、印加される電圧パルスの電圧値Vと周波数ωとの積を動力Pと定義することができる。より具体的には、動力Pは、P(V,ω)≡Vωと定義することができる。これに限らず、印加される電圧パルスの電圧値が常に一定値Vであり、周波数ωのみが可変である場合、単にP(V,ω)≡ωと定義してもよい。また、周波数が常に一定周波数ωであり、電圧値Vのみが可変である場合、単にP(V,ω)≡Vと定義してもよい。
ここで、制御ユニット16は、記憶装置(図示しない)を備えており、所定の時間(Δtとする)毎に、動力Pの監視結果を記憶装置に記憶する。記憶された監視結果は、記憶されてから一定時間後に消去される。従って、記憶装置内には、常に現在から一定時間内の監視結果(一定数の最新の監視結果)が保存される。
制御ユニット16は、マイクロポンプ12の動力Pの監視情報に基づいて、後述する方法により薬液LMの投薬状況を診断する。そして、制御ユニット16は、投薬状況の異常を検知した際には、薬液LMの注入を停止したり、警報を発する、といった緊急処置を実行する。そして、正常に、定められた量(目標注入量)の薬液LMの注入が完了した際に、薬液LMの注入を停止する、といった終了処置を実行する。
その他、制御ユニット16には、操作者が薬液LMの(目標)注入量と(目標)注入時間などを入力するための図示されない操作パネル、薬液LMの注入状況を表示する図示されない表示パネル、注入状況の異常を伝える図示されない警報装置などのインターフェースが備えられている。
次に、図4のフローチャートを用いて、薬液注入量調整装置100における薬液LMの流量制御の一例について説明する。図4のフローチャートの各処理は、制御ユニット16内のマイクロプロセッサの制御により実行される。
薬液LMの注入開始に先立って、操作者が、操作パネル上から、生体22に注入する薬液LMの総量(目標注入量)Wとその量の薬液LMの注入を完了する目標注入時間Tを入力する。その後、操作者が操作パネルを操作して、注入開始の指示を入力すると、図4のフローチャートの処理が開始される。
ステップS202で、先ず、制御ユニット16は、入力された目標注入量Wと目標注入時間Tとを記憶装置に記憶すると共に、目標注入量Wと目標注入時間Tとに基づいて、単位時間当たりの薬液LMの目標流量(目標量)Fを決定する。そして、次のステップS204で、制御ユニット16は、マイクロポンプ12の稼働を開始する。
次のステップS206〜ステップS212で、制御ユニット16は、流量センサ14から供給される薬液LMの流量Fと、先に決定された目標量Fとの比較結果に基づき、流量Fが目標量Fに一致するように、マイクロポンプ12の動力P(V,ω)を調整する。すなわち、制御ユニット16は、ステップS206で流量Fと目標量Fとを比較し、流量Fと目標量Fとが異なっているか否かを判定する。若し、異なっていない、すなわち流量Fと目標量Fとが等しいと判定されたら、処理はステップS214に移行される。
一方、ステップS206で、流量Fと目標量Fとが異なっていると判定されたら、処理はステップS208に移行され、流量Fが目標量Fを超えているか否かが判定される。若し、超えていると判定されたら、処理がステップS210に移行され、制御ユニット16は、動力P(V,ω)を弱める。一方、流量Fが目標量F以下であると判定されたら、処理はステップS212に移行され、制御ユニット16は、動力P(V,ω)を強める。ステップS210またはステップS212の処理が行われると、処理はステップS214に移行される。
ここで、制御ユニット16は、流体の流量Fの調整のため、圧電素子124に印加する電圧パルスの周波数ωを一定に保ちつつ電圧値Vを調整しても良いし、電圧値Vを一定に保ちつつ周波数ωを調整しても良いし、あるいは電圧値Vと周波数ωとの両方を調整してもよい。
ステップS214で、制御ユニット16は、薬液LMの注入量F・t(tは経過時間)と目標注入量Wとを比較し、注入量F・tが目標注入量W以上になったか否かを判定する。若し、注入量F・tが目標注入量W未満、すなわち、注入量F・tが目標注入量Wに満たない場合、処理がステップS206に戻され、ステップS206〜212の処理を再び行う。
一方、ステップS214で、注入量F・tが目標注入量W以上になったと判定されたら、処理はステップS216に移行される。この場合には、薬液LMの注入が正常に終了したと判断することができる。ステップS216では、制御ユニット16は、マイクロポンプ12の稼働を停止する。それと共に、警報を発するなどの終了処置を実行する。そして、図4のフローチャートによる一連の処理が終了される。
(圧電素子駆動回路)
次に、マイクロポンプ12の圧力室126を収縮状態および非収縮状態にさせる圧電素子124を駆動するための圧電素子駆動回路について、さらに詳しく説明する。ここで、既に説明したように、圧電素子124は、接着構造から来る特性として、駆動電圧信号の電位の正負によって機械的な強度が異なる。そこで、本実施形態の圧電素子駆動回路は、圧電素子124を駆動するための駆動電圧信号に対して直流バイアスを印加して圧電素子124に供給する構成となっている。
図5は、本実施形態の圧電素子駆動回路の概略構成を示す回路図である。なお、図5では、本実施形態に特徴的な部分のみが示され、例えばトランス(変圧器)Tの一次側に入力される周期的電圧信号Vinを生成するための詳細な回路構成など、本実施形態に特徴的でない部分は省略されている。また、容量性負荷である圧電素子124は、等価回路的にはキャパシタとみなせるため、図5においては、圧電素子124をキャパシタC1として表現している(以下では、圧電素子C1と表記する)。
周期的電圧信号発生器Vは、所定周期で極性が変化する周期的電圧信号Vinを生成し、トランス(変圧器)Tの一次側の端子TR1,TR2に入力する。
トランスTは、一次側の端子TR1,TR2に入力された周期的電圧信号Vinを、一次側と二次側の巻線比に応じた昇圧比で昇圧し、二次側の端子T3,T4から駆動電圧信号Voutとして出力する。トランスTは、一次側の端子TR1と、二次側の端子TR4とで極性が一致するように構成される。トランスTの一次側と二次側の巻線比は、例えば1:25とされる。この場合、二次側の端子TR3,TR4から出力される駆動電圧信号Voutは、一次側の端子TR1,TR2に入力された周期的電圧信号Vinを25倍に昇圧した電圧信号となる。
トランスTの二次側の端子TR4には、ダイオードD1のカソードが接続される。ダイオードD1のアノードには、コンデンサC2(第1のキャパシタ)の一方の電極が接続される。これらダイオードD1とコンデンサC2の直列接続により整流回路が構成され、この整流回路によって直流バイアス電圧が発生する。なお、コンデンサC2としては、例えば容量が2μF(マイクロファラド)程度のものが用いられる。
トランスTの二次側の端子TR3には、コンデンサC3(第2のキャパシタ)の一方の電極が接続される。コンデンサC3の他方の電極は、整流回路を構成するコンデンサC2の他方の電極に接続される。圧電素子C1は、一方の電極が、トランスTの二次側の端子TR4と整流回路を構成するダイオードD1のカソードとの共通接続点に接続され、他方の電極が、コンデンサC3の他方の電極と整流回路を構成するコンデンサC2の他方の電極との共通接続点に接続される。つまり、圧電素子C1は、トランスTの二次側に対して、整流回路と並列に接続される。
本実施形態の圧電素子駆動回路では、以上の回路構成によって、トランスTの二次側の端子TR4とダイオードD1のカソードとの共通接続点と、コンデンサC3の他方の電極とコンデンサC2の他方の電極との共通接続点との間、すなわち、圧電素子C1に供給される駆動電圧信号Voutの電圧成分に対して、コンデンサC2とコンデンサC3との容量比で決まる直流バイアスを印加することができる。そして、この直流バイアスが印加された駆動電圧信号Voutにて圧電素子C1が駆動される。
ここで、コンデンサC3としては、静電容量が圧電素子C1よりも十分に大きなものを用いることが望ましい。例えば、圧電素子C1の静電容量が10nF(ナノファラド)の場合、コンデンサC3としては、例えば容量が1μF(マイクロファラド)程度のものを用いることが望ましい。コンデンサC3の容量を圧電素子C1の100倍程度とすれば、トランスTの二次側から出力される駆動電圧信号Voutの電圧(すなわち、トランスTの二次側の端子TR3,TR4間で発生する電圧)の交流成分のほとんど全て(約99%)を、圧電素子C1に印加させることが可能となる(すなわち、トランスTの二次側出力と負荷である圧電素子C1とを、コンデンサC3によって良好に交流結合させることができる)。
駆動電圧信号Voutに印加される直流バイアスは、コンデンサC2とコンデンサC3の直列容量でダイオードD1によって整流された直流電圧となる。つまり、コンデンサC3に充電される直流電圧をVdc3、駆動電圧信号Voutのピーク間電圧をVpp、コンデンサC2の容量をC2、コンデンサC3の容量をC3とすると、Vdc3=Vpp×C2/(C2+C3)だけ、駆動電圧信号Voutが直流的に正方向にバイアスされる。したがって、コンデンサC2の容量とコンデンサC3の容量の比率の設定によって、駆動電圧信号Voutに印加する直流バイアスを最適な電圧値とすることが可能であり、圧電素子C1の寿命低下を招くことなく最適な振幅で圧電素子C1を駆動することができる。換言すると、本実施形態の圧電素子駆動回路では、狙いとする直流バイアスの電圧値に応じてコンデンサC2とコンデンサC3の容量比を定めておくことにより、圧電素子C1の寿命低下を招くことなく最適な振幅で圧電素子C1を駆動することができる。
図5に示した本実施形態の圧電素子駆動回路は、いわゆる自己バイアス印加機能付き昇圧回路の構成を有している。自己バイアス印加機能付き昇圧回路とは、一次側から入力した周期的電圧信号を二次側で昇圧する変圧器を有し、電圧波形の一部を整流して得る直流電圧を変圧器の二次側より得た周期的電圧信号に印加する。本実施形態の圧電素子駆動回路は、具体的には、一次側から入力した周期的電圧信号を二次側で昇圧する変圧器としてのトランスTと、電圧波形の一部を整流して得る直流電圧を、トランスTの二次側より得た周期的電圧信号に印加する自己バイアス印加回路(ダイオードD1とコンデンサC2の整流回路およびコンデンサC3)と、直流電圧が印加された周期的電圧信号によって駆動される圧電素子C1と、を備える。そして、圧電素子C1が、一次側より二次側の巻数が多いトランスTの二次側に対して、容量(コンデンサC3)と直列に接続され、かつ、ダイオードD1と並列に接続されている。
つまり、本実施形態の圧電素子駆動回路は、圧電素子C1と容量(コンデンサC3)とを直列に変圧器(トランスT)に接続し、かつ、圧電素子C1と並列にダイオードD1を接続する(したがって、容量(コンデンサC3)は、ダイオードD1とも直列に変圧器(トランスT)と接続される。)。このように構成することで、圧電素子C1に印加される周期的な電圧は、容量(コンデンサC3)を通していわゆる交流結合を起こし、かつ、同じ容量(コンデンサC3)によってダイオードD1で整流された直流電圧を蓄える一種の平滑回路としても働く。したがって、圧電素子C1には、交流結合による周期的波形が印加されると同時に容量(コンデンサC3)に蓄えられた直流電圧が加算されるため、圧電素子C1の耐久性の弱い向きへの電圧の印加をなくすことができる。
図5に示した本実施形態の圧電素子駆動回路では、トランスTの一次側からVinが入力され、一次側より二次側の巻数が多い巻数比1:25のトランスTにより25倍の電圧に昇圧される。そして、トランスTの二次側から出力される周期的な高電圧波形が容量(コンデンサC3)を通して、その大部分の電圧が圧電素子C1に印加される。また、ダイオードD1とコンデンサC2によって構成される整流回路からは、ダイオードD1によって整流された直流電圧がコンデンサC2に蓄えられるため、圧電素子C1には、直流バイアスが加わった周期的な高電圧波形が印加されることになる。つまり、コンデンサC2の他方の電極側がトランスTの二次側の端子TR3に対して負側に充電されることにより、コンデンサC2の他方の電極側を基準としてトランスTの二次側の端子TR3は、周期的な高電圧の振幅分だけ正側へバイアスされ、これが圧電素子C1に印加されるため、圧電素子C1の一方の電極(図5の上側の電極)に向かって正電位側(Vout)へ直流バイアスが印加されることになる。したがって、耐久性に方向性のある圧電素子C1を図5の下側に対しVout側が正電位方向に強い向きに接続すればよい。また、圧電素子C1の耐久性の向きを反対にするときは、ダイオードD1の向きを反対にすることで同様の効果が得られる。
次に、本実施形態の圧電素子駆動回路による動作の一例について、図6を用いて簡単に説明する。図6(A)は、トランスTの一次側に入力される周期的電圧信号Vin(トランスTの一次側の端子TR1,TR2間の電圧)の波形、図6(B)は、トランスTの二次側から出力される駆動電圧信号Vout(トランスTの二次側の端子TR3,TR4間の電圧)の波形、図6(C)は、直流バイアスが印加された駆動電圧信号Vout(トランスTの二次側の端子TR4とダイオードD1のカソードとの共通接続点と、コンデンサC3の他方の電極とコンデンサC2の他方の電極との共通接続点との間の電圧)の波形について、それぞれシミュレーションにより得られた波形図を示している。また、図6(D)は、トランスTに流れる電流と圧電素子C1に流れる電流との差を取って示したもので、直流バイアスが安定するまでに流れる電流Id1のシミュレーション結果を示している。
図6(A)に示すように、トランスTの一次側には、±5Vのやや立ち上がりおよび立ち下がりの遅い台形波の周期的電圧信号Vinが入力される。そして、この周期的電圧信号VinがトランスTによって約25倍に昇圧され、トランスTの二次側からは、図6(B)に示すように、周期的電圧信号Vinと同様に上下の電圧の振り幅が対象な±125V(250Vpp)の台形波の駆動電圧信号Voutが出力される。なお、ここでは、トランスTの一次側に入力される周期的電圧信号Vinを台形波としているが、これに限定されるものではなく、トランスTの帯域が許す限り方形波や正弦波でもよい。
本実施形態の圧電素子駆動回路では、このトランスTの二次側から出力される±125Vの駆動電圧信号Voutに対して、ダイオードD1で整流された−125VをコンデンサC2およびコンデンサC3で分圧した直流電圧が、直流バイアスとして印加される。その結果、圧電素子C1に対しては、図6(C)に示すように、コンデンサC2とコンデンサC3との容量比に応じて正電位側にシフトした駆動電圧信号Voutが印加される。
このとき、コンデンサC3に比較的容量の大きなものを用いているため、直流バイアスが安定するまでに時間を要し、その間、圧電素子C1に供給される駆動電圧信号Voutのピーク間電圧が減少して、その分、圧電素子C1には図6(D)に示すような余分な電流が流れる。しかしながら、直流バイアスは10数ミリ秒程度の極めて短時間で安定し、その後は圧電素子C1に供給される駆動電圧信号Voutも安定して、圧電素子C1に余分な電流も流れないため、問題となることはない。
また、圧電素子C1に供給される駆動電圧信号Voutは、図6(C)に示すように、負極側の電圧が初期状態から略一定であるため、圧電素子C1の強度的に弱い方向への振動が不安定になることはなく、圧電素子C1の耐久性の観点からも有利である。
図7は、コンデンサC2とコンデンサC3との容量比に対する圧電素子C1に供給される駆動電圧信号Voutの最大電圧および最低電圧の関係をシミュレーションした結果を示す図である。図7では、横軸が、コンデンサC3の容量を1μFで固定とし、コンデンサC2の容量を可変とした場合のコンデンサC2とコンデンサC3との容量比を示し、縦軸が、圧電素子C1に供給される駆動電圧信号Voutの最大電圧および最低電圧の電圧値を示している。なお、図中の上側のグラフが、圧電素子C1に供給される駆動電圧信号Voutの定常状態(直流バイアスが安定した後の状態)での最大電圧の変化を表し、下側のグラフが、圧電素子C1に供給される駆動電圧信号Voutの定常状態での最低電圧の変化を表している。
図7のシミュレーションの結果から、コンデンサC2の容量が大きくなるほど(図7の横軸右方向)、駆動電圧信号Voutの振幅はそのままで、最低電圧がゼロボルトに近づくことがわかる。コンデンサC2の容量が大きくなると、電源投入時の電流は、図6(D)に示したように、余分な電流Id1が加わる分だけ大きくなるが、定常状態に達した後は、余分な電流はほとんど流れない。逆に、コンデンサC2の容量がコンデンサC3の容量に比べ小さくなると、圧電素子C1に供給される駆動電圧信号Voutは、電圧の極性方向に関して限りなく対象な振動電圧になることがわかる。もしこれ以上低い電圧にシフトしたい場合は、ダイオードD1の極性を変えるか、圧電素子C1自体の極性を反対に接続すればよい。
以上説明したように、本実施形態の圧電素子駆動回路によれば、低電圧の周期的電圧信号VinをトランスTにより昇圧した電圧信号である駆動電圧信号Voutに対し、コンデンサC2とコンデンサC3の容量比に応じた直流バイアスを印加して、バイアスされた駆動電圧信号Voutにより圧電素子C1を駆動するので、圧電素子C1の耐久性を維持できる範囲で、最適な振幅で圧電素子C1を非対称に駆動することができる。すなわち、本実施形態の圧電素子駆動回路では、上記の回路構成によって、圧電素子C1に供給される駆動電圧信号Voutに印加する直流バイアスの電圧値を、コンデンサC2とコンデンサC3の容量比により、駆動電圧信号Voutのピーク間電圧Vppの半分程度の範囲で選択できるので、コンデンサC2とコンデンサC3の容量比を適切に設定することで、駆動電圧信号Voutに印加する直流バイアスを最適な電圧値とすることができ、圧電素子C1の寿命低下を招くことなく最適な振幅で圧電素子C1を駆動することができる。また、波形の加工をしやすい低電圧で周期的な波形信号を整形したのち昇圧し、かつ、直流バイアス電圧を加えるようにしているので、圧電素子C1の耐久性の弱い向きへの電圧印加を抑え、圧電素子C1を長時間安定に駆動することができる。
また、本実施形態の圧電素子駆動回路では、コンデンサC3として、静電容量が圧電素子C1よりも十分に大きなものを用いることにより、トランスTの二次側から出力される駆動電圧信号Voutの電圧成分のほとんど全てを圧電素子C1に印加させることができ、圧電素子C1を効率よく駆動することが可能となる。
なお、本発明は、上記の実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で様々な変形や変更を加えて具体化することができる。また、上記の実施形態は、薬液注入システム200に用いられるマイクロポンプ12の圧電素子124(C1)を駆動するための圧電素子駆動回路に本発明を適用した例であるが、本発明は、この例に限らず、様々な用途で用いられる圧電素子を駆動するための各種圧電素子駆動回路に対して広く適用可能である。
124(C1) 圧電素子
T トランス(変圧器)
D1 ダイオード
C2 コンデンサ(第1のキャパシタ)
C3 コンデンサ(第2のキャパシタ)
特開昭58−10903号公報 特開昭61−44653号公報 特開2001−197596号公報 特表平9−506189号公報 特開平6−232469号公報

Claims (4)

  1. 所定周期で極性が変化する周期的電圧信号を一次側から入力し、該周期的電圧信号を昇圧して二次側から出力する変圧器と、
    カソードが前記変圧器の二次側の2つの端子のうちの一方に接続されたダイオードと、
    一方の電極が前記ダイオードのアノードに接続された第1のキャパシタと、
    一方の電極が前記変圧器の二次側の2つの端子のうちの他方に接続され、他方の電極が前記第1のキャパシタの他方の電極に接続された第2のキャパシタと、
    一方の電極が前記変圧器の二次側の2つの端子のうちの一方と前記ダイオードのカソードとの共通接続点に接続され、他方の電極が前記第2のキャパシタの他方の端子と前記第1のキャパシタの他方の端子との共通接続点に接続された圧電素子と、を備えることを特徴とする圧電素子駆動回路。
  2. 前記第1のキャパシタと前記第2のキャパシタとの容量比は、前記圧電素子に印加する直流バイアスの電圧値に応じて予め定められた容量比であることを特徴とする請求項1に記載の圧電素子駆動回路。
  3. 前記第2のキャパシタは、静電容量が前記圧電素子よりも大きいことを特徴とする請求項1または2に記載の圧電素子駆動回路。
  4. 一次側から入力した周期的電圧信号を二次側で昇圧する変圧器と、
    ダイオードと容量とを含み、電圧波形の一部を整流して得る直流電圧を、前記変圧器の二次側より得た前記周期的電圧信号に印加する自己バイアス印加回路と、
    前記直流電圧が印加された前記周期的電圧信号によって駆動される圧電素子と、を備え、
    前記圧電素子は、一次側より二次側の巻数が多い前記変圧器の二次側に対して、前記容量と直列に接続され、かつ、前記ダイオードと並列に接続されていることを特徴とする圧電素子駆動回路。
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