JP2009263806A - 多層繊維構造体およびそれからなるフィルター - Google Patents

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智史 今川
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一 伊澤
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Abstract

【課題】高捕集効率および低圧力損失といった特性を有し、超極細繊維の破損を抑制し、耐熱性にも優れ高温で使用した後もかかる特性が低下しない多層繊維構造体およびそれからなるフィルターを提供する。
【解決手段】下層、中間層、上層の少なくとも3層以上の繊維構造体からなる多層繊維構造体であって、中間層が直径10〜500nmの超極細繊維からなる繊維構造体、上層および下層が直径1〜100μmの繊維からなる繊維構造体であり、中間層が、熱分解温度が300℃以上または融点もしくは軟化点が200℃以上の超極細繊維からなり、上層および/または下層が、融点もしくは軟化点が270〜400℃の熱可塑性繊維または熱可塑性樹脂を含み、さらに上層と下層とが部分的に熱圧着していることを特徴とする多層繊維構造体とする。また、上記の多層繊維構造体からなることを特徴とするフィルターとする。
【選択図】なし

Description

本発明は、超極細繊維層を含む3層以上の繊維構造体を熱圧着させた多層繊維構造体およびそれからなる耐熱フィルターに関する。
鉄鋼、火力発電所、ごみ焼却炉、石炭ボイラー等から排出される気体中には、多くの有害物質が含まれており、これらの除去や回収が要求されている。排出ガスは高温であるため、耐熱フィルターが要求され、その素材には全芳香族ポリアミド繊維、ポリフェニレンサルファイド繊維、ガラス繊維等の不織布や織物等が使用されている。しかしながら、環境保全の観点から排ガス中に含まれる有害物質の規制値が厳しくなり、該有害物質の高捕集効率、低圧力損失、微細粒子の捕集といった特性を有するろ材が求められ、さらには、使用後のフィルターろ材の処分についても、より環境負荷の小さい方法が要求されている。捕集効率を向上させ、微細粒子を捕集するためには、繊維間の空隙が小さいおよび/または繊維表面積が大きいことが適しているが、繊維間の空隙を小さくするために繊維密度を単に増加させた場合は、圧力損失が大きくなるため、繊維表面積を増加、つまり繊維径を小さくする方法が提案されている(例えば、特許文献1)。また、ろ材に超極細繊維を使用する方法も知られているが、超極細繊維は、その単糸強度が非常に低く、表面を軽く擦っただけでも容易に破損する(例えば、特許文献2)。したがって、超極細繊維が破損せず、また取扱性にも優れ、さらに耐熱性をも有する繊維構造体の開発が望まれている。
2002−201560号公報 2007−224466号公報
本発明の目的は、高捕集効率および低圧力損失といった特性を有し、超極細繊維の破損を抑制し、耐熱性にも優れ高温で使用した後もかかる特性が低下しない多層繊維構造体およびそれからなるフィルターを提供することにある。
本発明者らが検討したところ、上記課題は次の構成により達成できることを見出した。すなわち、本発明によれば、下層、中間層、上層の少なくとも3層以上の繊維構造体からなる多層繊維構造体であって、中間層が直径10〜500nmの超極細繊維からなる繊維構造体、上層および下層が直径1〜100μmの繊維からなる繊維構造体であり、中間層が、熱分解温度が300℃以上または融点もしくは軟化点が200℃以上の超極細繊維からなり、上層および/または下層が、融点もしくは軟化点が270〜400℃の熱可塑性繊維または熱可塑性樹脂を含み、さらに上層と下層とが部分的に熱圧着していることを特徴とする多層繊維構造体が提供される。また、上記多層繊維構造体からなることを特徴とするフィルターが提供される。
本発明の繊維構造体は、超極細繊維からなる層が他の繊維構造体にて挟まれているため、超極細繊維の毛羽立ちや多層繊維構造体の基材からの剥離を抑制することができ、さらに、超極細繊維層への外部からの接触がなくなるため、超極細繊維層の破損が抑制され、加工性に優れた超極細繊維を含む多層繊維構造体を提供することが可能となる。
本発明の多層繊維構造体は、下層、中間層、上層の少なくとも3層以上の繊維構造体からなる多層繊維構造体であって、中間層が直径10〜500nmの超極細繊維からなる繊維構造体、上層と下層が直径1〜100μmの繊維からなる繊維構造体からなる。
発明においては、中間層が、熱分解温度が300℃以上または融点もしくは軟化点が200℃以上の超極細繊維からなる繊維構造体で構成されている必要があり、多層繊維構造体に高い耐熱性を付与することができる。また、該超極細繊維の直径が10nm未満では、繊維強度が極端に弱く、一方、500nmを超えると圧力損失が高くなる。超極細繊維は、その微小な繊維径による広い表面積の発現を効率良く発現するために、300〜100nmがより好ましい。
上記の超極細繊維を構成するポリマーとしては、例えば、ナイロン66などの脂肪族ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル、全芳香族ポリアミド、ポリアクリルニトリル、ポリビニルアルコールなどを挙げることができる。中でも、全芳香族ポリアミドが耐熱性の点から特に好ましい。
中間層は、目付は捕集効率ならびに圧力損失の点から、0.01〜20g/mであることが好ましく、0.1〜3g/mであることが好ましい。
本発明において、上記超極細繊維は、エレクトロスピニング法により成形された繊維であることがかかる繊維径を容易に達成できるの点から好ましい。
一方、上層および下層の繊維構造体を構成する繊維の直径は、超極細繊維からなる中間層の保護層となるため1〜100μmとする必要があり、好ましくは1nm〜20μmである。
本発明においては、上層および下層に融点もしくは軟化点が270〜400℃の熱可塑性繊維または熱可塑性樹脂を含んでいる必要がある。かかる上下層と、前述した熱分解温度、融点もしくは軟化点の高い超極細繊維からなる中層により多層繊維構造体を構成することで、従来にない優れた耐熱性を発揮することができる。
上記熱可塑性繊維または熱可塑性樹脂を構成するポリマーとしては、例えば、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、熱可塑性ポリイミドなどが挙げられる。中でも中間層の超極細繊維を構成するポリマーの分解点あるいは融点との差が大きく、加工時に該超極細繊維を劣化させない点から、ポリフェニレンサルファイドが好ましい。
上層および下層に熱可塑性繊維が含まれている場合、該上層および下層にはさらに熱可塑性繊維以外の繊維が含まれていてもよい。該繊維としては熱分解温度が300℃以上の繊維が好ましく、例えば、全芳香族ポリアミド繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール(PBO)繊維、ポリベンゾイミダゾール(PBI)繊維、ポリイミド(PI)繊維などを挙げることができるが、特に全芳香族ポリアミド繊維が好ましい。
上層および/または下層が、熱分解温度が300℃以上の繊維、特に全芳香族ポリアミド繊維と前述した上記の熱可塑性繊維で構成されている場合、上層および/または下層の繊維構造体全重量に対する該熱可塑性繊維の重量比率は5〜100重量%が好ましく、20〜50重量%がより好ましい。
本発明においては、上層または下層のいずれか一方にのみ、融点もしくは軟化点が270〜400℃の熱可塑性繊維または可塑性樹脂が含まれていてもよい。その際、他方の層は前述した熱分解温度が300℃以上の繊維を含んでいることが好ましい。具体的には、上層または下層のいずれか一方が全芳香族ポリアミド繊維と上記熱可塑性繊維からなる繊維構造体であり、他方の層が全芳香族ポリアミド繊維のみからなる繊維構造体である構成などを好ましく提示することができる。
本発明においては、上層および/または下層の繊維構造体に融点もしくは軟化点が270〜400℃の熱可塑性樹脂が付着させてもよい。この場合、上層および/または下層の繊維構造体全重量に対する熱可塑性樹脂の重量比率は5〜50重量%が好ましく、20〜50重量%がより好ましい。この際、上層および/または下層の繊維構造体が、前述した融点もしくは軟化点が270〜400℃の熱可塑性繊維か、前述した熱分解温度が300℃以上の繊維を含んでいることが好ましい。具体的には、上層および下層が、熱分解温度が300℃以上の繊維、特に全芳香族ポリアミド繊維からなる繊維構造体であり、上層または下層の少なくとも一方に、上記の融点もしくは軟化点が270〜400℃の熱可塑性樹脂が付着している構成などを好ましく提示することができる。
上層および/または下層の繊維構造体は織物、編物、不織布などを採用することができるが、特に通気性および剛性の点から不織布が好ましい。
上層および下層の目付は、圧力損失の観点から10〜100g/mが好ましく、20〜70g/mがより好ましい。
さらに、上記多層繊維構造体をフィルターとして用いる場合は、上流側に配する層の目付はフィルター寿命の観点から30〜100g/mが好ましく、50〜100g/mがより好ましい。一方、下流側に配する層の目付は、圧力損失の観点から10〜70g/mが好ましく、10〜50g/mがより好ましい。
下流側に配する層は、該層の繊維構造体からの繊維の脱離を抑制する観点から、加熱または加圧加熱処理により、該繊維構造体を構成する熱可塑性繊維の一部を溶融し、繊維同士を部分的に熱接着させることが好ましい。また、下流側に配する層の繊維構造体に熱可塑性樹脂を付着しておき、加熱または加圧加熱処理をして、繊維同士を部分的に熱接着させてもよい。
本発明の多層繊維構造体においては、熱分解温度が300℃以上の超極細繊維からなる中間層を挟んで、融点または軟化点が270〜400℃の熱可塑性繊維または熱可塑性樹脂を少なくともいずれか一方に含む上層と下層とが部分的に熱圧着されていることが肝要である。かかる多層繊維構造体の構成とすることにより、超極細繊維の破損を抑制し、超極細繊維が多層繊維構造体から剥離したり、毛羽となって発生したりすることがない。また、上層および/または下層が、高融点または高軟化点を有する熱可塑性繊維を有し、それが溶融または軟化して他の繊維または同種の繊維と互いに固着するため、高い耐熱性をも同時に有している。
多層繊維構造体の全表面積に対する熱圧着している部分の数は0.1〜70dot/cmが好ましく、3〜60dot/cmがより好ましい。該部分の数が1dot/cm未満の場合には上層および/または下層と中間層が剥離し易くなり、70dot/cmを超える場合には、多層繊維構造体をフィルターろ材として使用した場合の圧力損失が高くなる。
多層繊維構造体の全表面積に対する熱接着している部分の面積比率は1〜15%が好ましく、3〜8%がより好ましい。該当部分の面積比率が1%未満の場合には、十分な接着強度が得られず、多層繊維構造体の剥離が生じ易くなる。
したがって、以上の観点から、1dot当たりの熱圧着面積は、0.00014〜0.15cmがより好ましく、0.0005〜0.027cmがより好ましい。
多層繊維構造体の熱接着している部分の形状は特に限定されるものではないが、多層構造体をプリーツ状等への加工の際に、熱接着部分への応力集中を考慮して、円形、楕円形、角丸長方形等の交差しておらず、凸状で、閉じた平面状の曲線が好ましい。
なお、前述した多層繊維構造体の全表面積に対する熱圧着している部分とは、上層または下層が、他方の層と熱圧着している、該上層または下層の全表面積に対する熱圧着している部分をいう。また、この熱圧着している面積、形状などは、例えば、ドットパターンを有する加熱エンボスローラとフラットローラで熱圧着させて、多層繊維構造体を形成する場合、該ドットパターンの配置、各ドットの面積や形状などにより任意に変更することができる。
上層または下層の繊維構造体が織物または編物の場合は公知の方法により製織、製編することに製造できる。また、不織布の場合は、スパンレース法、スパンボンド法、メルトブロー法、フラッシュ紡糸法、トウ開繊法、抄紙法、カーディング法、エアレイド法、フィラメント直交法などにより製造できる。これらの繊維構造体はそのまま用いても良いが、制電加工、撥水加工、親水加工などが目的に応じて施されていてもよい。
さらに、上層または下層の繊維構造体の上に超極細繊維の繊維構造体からなる中間層を形成する。本発明においては、超極細繊維を形成する手法としてはエレクトロスピニング法を好ましく例示することができる。
エレクトロスピニング法とは、ポリマー溶液に、高電圧を印加して繊維構造体上にスプレーして超極細繊維を形成する方法である。また、得られる超極細繊維の繊維径は印加電圧、溶液濃度、スプレーの飛散距離等に依存し、これらの条件を調整することで任意の繊維径とすることができる。超極細繊維を構成する極細繊維が、全芳香族ポリアミドである場合は、溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシドなどを用いることができる。
電解紡糸と条件しては、濃度は1〜16%、電圧は5.0〜70kV、紡糸距離は5.0〜50cm、単位距離あたりの電圧に換算すると、0.5〜7.0kv/cmであるのが好ましい。
具体的には、全芳香族ポリアミドポリマーと溶媒とを5:95〜15:85の重量比で溶解させたポリマー溶液を調製し、5〜70kVの電圧下で行うことにより前述した繊維径を有するアラミド超極細繊維を作製することができる。
紡糸溶液の供給は、ノズルや口金から押し出す方法や、紡糸溶液中に浸した円盤やドラムに、必要量となるように紡糸溶液を付着させ、連続回転させることにより供給する方法が挙げられる。ノズルや口金から供給する場合、吐出部の内径は超極細繊維の繊維径と相関がないため、限定はない。
上層または下層の繊維構造体の上に超極細繊維の繊維構造体からなる中間層を形成した後、さらにその上に反対の層を積層、すなわち上層の繊維構造体上に中間層を形成した場合はその上に下層を、下層の繊維構造体上に中間層を形成した場合はその上に上層を積層し、中間層を介して上層と下層を部分的に熱圧着する。
部分的に熱圧着する方法は特に限定されないが、エンボスローラによる熱接着、つまりエンボス加工が好ましい。より具体的には、前述したドットパターンを有する加熱エンボスローラとフラットローラで熱圧着させて、エンボス加工を行うことができる。この際、エンボスローラ温度は、上層および/または下層に含まれる熱可塑性繊維もしくは熱可塑性樹脂の融点±50℃となる温度領域が好ましく、融点±20℃の温度領域がより好ましい。また、2本のローラ間で付与される線圧も積層される繊維構造体の目付などにより任意に選択すればよいが、例えば、上層の目付を30〜100g/cm、下層の目付を10〜70g/cmとした場合は、線圧を0.1〜1t/30cmでエンボス加工を行うことができる。
また、前述したように、エンボスローラのドットパターンの配置、各ドットの面積や形状などを変更することにより、熱圧着している部分の形状や面積、単位面積あたりの熱圧着部分の数などを任意に変更することができる。
本発明の多層繊維構造体の用途は何ら制限されるものではないが、超極細繊維からなる中間層を含むため、低圧力損失ならびに高捕集効率といった特性を有するため、フィルターとしての使用が好まれる。さらに、該多層繊維構造体は耐熱性繊維から構成されるため、耐熱フィルターとして使用することがより好ましい。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに詳細に説明する。しかし、以下の例によって、本発明が限定されることはない。なお、実施例中の各特性値は下記の方法で測定した。
1.繊維径
上層、中間層、下層の繊維構造体から任意にサンプリングした繊維100本について、走査型電子顕微鏡JSM6330F(JEOL社製)にて測定し、繊維径の平均値を求めた。なお測定は、上層および下層は3,000倍、中層は30,000倍の倍率で行った。
2.熱分解温度、融点、軟化点
熱分解温度は、繊維を空気中にて10℃/minで昇温しながら、繊維の質量を温度の関数として測定する熱重量分析を用いて測定し、繊維の熱分解が無く質量変化の無い直線部分の延長線と、繊維の熱分解により質量が急激に低下し直線状となった部分の延長線との交点における温度とした。
融点は、繊維を空気中にて10℃/minで昇温しながら、DSC法にて繊維からの発熱および繊維への吸熱を測定し、融点に相当する吸熱ピークが得られた温度とした。また、軟化点は、繊維を空気中にて10℃/minで昇温しながら、DSC法にて繊維からの発熱および繊維への吸熱を測定し、軟化点に相当する吸熱曲線が得られ始めた温度とした。
3.圧力損失
実施例および比較例の多層繊維構造体を用い、エアーを、面速度10cm/sになるように該多層繊維構造体に該多層繊維構造体の上層側から流し、該多層繊維構造体前後の圧力差(Pa)を微差圧計にて測定し、該圧力差を圧量損失とした。
また、実施例および比較例の多層繊維構造体を180℃で1箇月間暴露した後、上記と同じ方法にて圧力損失を測定した。
これらの圧量損失をそれぞれ、180℃暴露前圧力損失、180℃暴露後圧力損失とした。また、180℃暴露後の圧力損失の保持率を下記式によって求めた。
捕集効率の保持率(%)=(180℃暴露後圧力損失(Pa)/180℃暴露前圧力損失(Pa))×100
4.捕集効率
実施例および比較例の多層繊維構造体を用い、該多層繊維構造体の上層側を上流側、下層側を下流側とし、これに0.3μmのNaCl粒子の試験用粉塵含有空気を面速度10cm/sとなる流量で通過させ、上流側および下流側におけるNaCl粒子濃度CINおよびCOUTを、それぞれパーティクルカウンタによって測定し、下記式によって捕集効率を求めた。
捕集効率(%)=(1−CIN/COUT)×100
また、実施例および比較例の多層繊維構造体を180℃で1箇月間暴露した後、上記と同じ方法にて捕集効率を測定した。
上記の捕集効率をそれぞれ、180℃暴露前捕集効率、180℃暴露後捕集効率とした。また、180℃暴露後の捕集効率の保持率を下記式によって求めた。
捕集効率の保持率(%)=(180℃暴露後捕集効率(%)/180℃暴露前捕集効率(%))×100
[実施例1]
上層の繊維構造体には、全芳香族ポリアミド(ポリメタフェニレンイソフタルアミド)繊維(MPIA)(熱分解温度410℃、繊維長60mm)(帝人テクノプロダクツ製コーネックス)とポリフェニレンサルファイド繊維(PPS)(融点285℃、繊維長60mm)(東洋紡社製プロコン)とを重量比50:50で混綿した目付50g/mの混綿スパンレース不織布を使用した。
また、下層の繊維構造体には、全芳香族ポリアミド(ポリメタフェニレンイソフタルアミド)繊維(MPIA)(熱分解温度410℃、繊維長60mm)(帝人テクノプロダクツ社製コーネックス)とポリフェニレンサルファイド繊維(PPS)(融点285℃、繊維長60mm)(東洋紡社製プロコン)とを重量比が80:20で混綿した目付50g/mの混綿スパンレース不織布を、金属製フラットローラ(上ローラ)と耐熱樹脂製フラットローラ(下ローラ)にて、上ローラ温度を270℃、線圧を50kg/cmの条件でカレンダー加工した不織布を使用した。カレンダー加工後、下層の繊維構造体中の全芳香族ポリアミド繊維はポリフェニレンサルファイド繊維が一部溶融することにより両繊維が部分的に結合されているため、繊維構造体を激しく振動させて場合においても、全芳香族ポリアミド短繊維の繊維構造体からの脱離はなかった。
また、上層及び下層のスパンレース不織布を走査型電子顕微鏡にて観察し、繊維径の測長を行い、その平均値を表1に示した。なお、上層及び下層において、それぞれ全芳香族ポリアミド繊維(MPIA)とポリフェニレンサルファイド繊維(PPS)は、繊維径が同程度のものを使用したので繊維径の測定は繊維の種類を区別せずに行い、それら測定値から平均値を求めた。
さらに、中層を構成する超極細繊維を製造するために、界面重合法により目的ポリマーを製造した。詳細には、イソフタル酸クロライド14.2gを金属ナトリウムにて脱水したテトラヒドロフラン100mlに溶解し、攪拌しながら、メタフェニレンジアミン7.41gをテトラヒドロヒラン100mlに溶解した溶液を細流として徐々に加えていくと白濁した乳化液を作製した。攪拌を約5分継続した後、炭酸ソーダ14.8gおよび食塩28.0gを300mlの水に溶かした水溶液を速やかに加え、約5分間激しく攪拌した。得られた白色重合体を静置して沈殿させ、透明な水溶液相を除去、ろ過することで全芳香族ポリアミドポリマー(ポリメタフェニレンイソフタルアミド)を得た。
次に、特開2006−336173号公報記載の方法に準じ、エレクトロスピニングにより、超極細繊維を製造した。すなわち、得られた全芳香族ポリアミドポリマー(ポリメタフェニレンイソフタルアミド)をN,N−ジメチルアセトアミドに、10重量%となるように溶解し、1kV/cmとなるように電界をかけてエレクトロスピニングを20分間行い、下層となる混綿スパンレース不織布上に超極細繊維からなる中間層を形成した。この中間層の目付は、0.1g/mであった。
得られた超極細繊維を走査型電子顕微鏡にて観察し、繊維径の測長を行い、その平均値を表1に示した。
さらに、この中間層の繊維構造体上を前述した上層となる混綿スパンレース不織布で覆い、上層、中間層、下層の3層からなる積層体とした。
次にこの積層体を、円形ドットパターンを有する金属製ローラ(上ローラ)と、耐熱樹脂製フラットローラ(下ローラ)を用いて、3層繊維構造体の全表面積に対するエンボスの熱圧着面積が7.8%、エンボス熱圧着数が62dot/cm(1dot当たりの熱圧着面積0.0013cm)となるよう点状(円形)エンボス加工を上ローラの温度を160℃、上下ローラ間の線圧0.5t/30cmとして行い、中間層を挟み上層と下層を部分的に熱圧着させ、上層、中間層、下層からなる多層繊維構造体(3層繊維構造体)を得た。
得られた3層繊維構造体は中間層を構成する超極細繊維が上層および下層に保護されているため、これを折り曲げた場合でも超極細繊維が破損せず、取扱性の優れるものであった。結果を表1に示すが、耐熱性フィルターとして十分な性能を有していた。
[実施例2]
下層の熱処理をカレンダー加工による加熱から300℃のスルーエアーの加熱に変更する以外は実施例1と同様に、下層上に中間層となる超極細繊維を製造し、中間層を上層と下層で挟んだ後、エンボス加工を実施することで3層繊維構造体を製造した。該3層繊維構造体は実施例1同様取扱性に優れるものであった。結果を表1に示すが、耐熱性フィルターとして十分な性能を有していた。
[実施例3]
上ローラをエンボス総面積が28%、エンボス数が165dot/cm、1dot当りの面積が0.0017cmの円形ドットパターンを有する加熱ローラに変更した以外は実施例1と同様に3層繊維構造体を製造した。該3層繊維構造体は実施例1同様取扱性に優れるものであった。結果を表1に示すが、耐熱性フィルターとして十分な性能を有していた。
[実施例4〜5]
エレクトロスピニングにより超極細繊維を下層の繊維構造体上に成形する時間を変更し中層の繊維構造体の目付を表1のようにした以外は実施例1と同様に3層繊維構造体を製造した。該3層繊維構造体は実施例1同様取扱性に優れるものであった。結果を表1に示すが、耐熱性フィルターとして十分な性能を有していた。
[実施例6]
上層の目付を変更した以外は実施例1と同様に3層繊維構造体を製造した。該3層繊維構造体は実施例1同様取扱性に優れるものであった。結果を表1に示すが、耐熱性フィルターとして十分な性能を有していた。
[実施例7]
上ローラをエンボス総面積が13.8%、エンボス数が9.5dot/cm、1dot当りの面積が0.015cmの角丸長方形ドットパターンを有する加熱ローラに変更した以外は実施例1と同様に3層繊維構造体を製造した。該3層繊維構造体は実施例1同様取扱性に優れるものであった。結果を表1に示すが、耐熱性フィルターとして十分な性能を有していた。
[実施例8]
全芳香族ポリアミドポリマー(ポリメタフェニレンイソフタルアミド)をN,N−ジメチルアセトアミドに、16重量%となるように溶解し、1kV/cmとなるように電界をかけてエレクトロスピニングを20分間行った以外は、実施例1同様に3層構造体を製造した。該3層構造体は実施例1同様取扱性に優れるものであった。結果を表1に示すが、耐熱性フィルターとして十分な性能を有していた。
[比較例1]
中間層を構成するポリマーをポリアクリロニトリル(PAN)(軟化点190℃)(東邦テナックス社製)に変更する以外は、実施例1と同様に3層繊維構造体を製造した。該3層繊維構造体は実施例1同様取扱性に優れるものであった。この結果を表1に示す。ただし、180℃暴露後の捕集効率は大きく低下しており、高温で使用した後に性能が低下するため、耐熱フィルターとして不適であった。
[比較例2]
上層および下層の熱可塑性繊維を、ポリフェニレンサルファイド繊維からポリエステル不織布(PE)(融点125℃、日東紡社製スパンファブ)を開繊し、繊維長が60mmとなるようにカットしたものに変更し、下層の繊維構造体にカレンダー加工する際の金属フラットローラ(上ローラ)の温度を120℃に変更する以外は、実施例1と同様に3層繊維構造体を製造した。該3層繊維構造体は実施例1同様取扱性に優れるものであった。この結果を表1に示す。ただし、180℃暴露後には3層繊維構造体形状を維持していなかったため、該暴露後の性能は測定不能であった。
[比較例3]
エンボス加工を実施しない以外は、実施例1と同様にして3層繊維構造体を製造した。該3層繊維構造体は上層、中間層、下層が容易に剥離するため、フィルターとして不適であった。このため性能評価は実施しなかった。
[比較例4]
上層の不織布を積層せず、またエンボス加工を実施しない以外は、実施例1と同様して2層繊維構造体を製造した。該2層繊維構造体は超極細繊維が表面に露出しているため、超極細繊維面への軽い摩擦でも超極細繊維が破損し、フィルターとして不適であった。このため性能評価は実施しなかった。
Figure 2009263806
本発明によれば、高捕集効率および低圧力損失といった特性を有し、超極細繊維の破損することがなく、耐熱性にも優れ高温で使用した後も上記特性が低下しない多層繊維構造体を提供することができる。また、これを用いたフィルターを提供することができる。このため、上記の繊維構造体及びフィルターは各種フィルターに広く用いることができ、特に耐熱性が要求される用途でその性能を十分に発揮するものである。

Claims (11)

  1. 下層、中間層、上層の少なくとも3層以上の繊維構造体からなる多層繊維構造体であって、中間層が直径10〜500nmの超極細繊維からなる繊維構造体、上層および下層が直径1〜100μmの繊維からなる繊維構造体であり、中間層が、熱分解温度が300℃以上または融点もしくは軟化点が200℃以上の超極細繊維からなり、上層および/または下層が、融点もしくは軟化点が270〜400℃の熱可塑性繊維または熱可塑性樹脂を含み、さらに上層と下層とが部分的に熱圧着していることを特徴とする多層繊維構造体。
  2. 中間層を構成する超極細繊維が、全芳香族ポリアミドからなる請求項1記載の多層繊維構造体。
  3. 中間層の超極細繊維が、エレクトロスピニング法により成形された超極細繊維である請求項1記載の多層繊維構造体。
  4. 上層または下層に含まれる熱可塑性繊維または熱可塑性樹脂が、ポリフェニレンサルファイドからなる請求項1記載の多層繊維構造体。
  5. 上層および/または下層に、熱分解温度が300℃以上の繊維を含む請求項1記載の多層繊維構造体。
  6. 熱分解温度が300℃以上の繊維が、繊維全芳香族ポリアミド繊維である請求項5記載の多層繊維構造体。
  7. 上層と下層の繊維構造体の熱圧着が、エンボス加工による熱圧着である請求項1記載の多層繊維構造体。
  8. エンボス加工により熱圧着している部分の形状が、円、楕円、角丸長方形のいずれかである請求項7記載の多層繊維構造体。
  9. 多層繊維構造体の全表面積に対する熱圧着している部分の面積の比率が、1〜15%であり、該部分の数が1〜70dot/cmである請求項7または8記載の多層繊維構造体。
  10. 上層または下層の、繊維構造体の少なくとも一方が、加熱処理または加圧加熱処理されている請求項1に記載の多層繊維構造体。
  11. 請求項1〜10のいずれかに記載の多層繊維構造体からなることを特徴とするフィルター。
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