JP2010090512A - 積層構造体およびそれからなる耐熱フィルターろ材 - Google Patents

積層構造体およびそれからなる耐熱フィルターろ材 Download PDF

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Abstract

【課題】耐熱性にも優れ、捕集効率が良好あり圧力損失が少なく、プリーツ加工性に優れ、プリーツ部で毛羽が発生せず、層間の剥離が起きにくい積層構造体およびそれからなるフィルターろ材を提供する。
【解決手段】2層以上からなる積層構造体であって、少なくとも、分解温度が300℃以上または融点もしくは軟化点が300℃以上である直径10nm〜500nmの超極細繊維の繊維構造体からなる超極細繊維層と、融点もしくは軟化点が270〜400℃の熱可塑性繊維または熱可塑性樹脂を含む不織布層とからなり、かつ、該積層構造体の少なくとの一方の面において、線状、波状、または、ジグザグ状の熱圧着部が形成されており、該熱圧着部が複数並列に並んで配されていることを特徴とする積層構造体とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、部分的に熱圧着部が形成された、超極細繊維層を含む2層以上の積層構造体およびそれからなるフィルターろ材に関する。
鉄鋼、火力発電所、ごみ焼却炉、石炭ボイラー等から排出される気体中には、多くの有害物質が含まれており、これらの除去や回収が要求されている。排出ガスは高温であるため、耐熱フィルターが要求され、その素材には全芳香族ポリアミド繊維、ポリフェニレンサルファイド繊維、ガラス繊維等の不織布や織物等が使用されている。
また、フィルターの長寿命化を目的として、フィルターろ材はろ過面積を大きくするために、プリーツ状に折り曲げられ、枠体と一体化したフィルターユニットとして使用される。また、環境保全の観点から排ガス中に含まれる有害物質の規制値が厳しくなっており、該有害物質の高捕集効率、低圧力損失、微細粒子の捕集といった特性を有するろ材が求められている。
高捕集効率および微細粒子の捕集のためには、フィルターろ材を構成する繊維径を小さくし、孔径を小さくする必要があるため、超極細繊維から成るフィルターろ材が使用されることが多くなっている。一方で、プリーツ加工後の形態保持性のためにはフィルターろ材の剛性も必要とされるが、超極細繊維はプリーツ加工ならびに加工後の形態保持に必要な剛性を有しないことが多いため、超極細繊維層の補強層と一体化された複数層のフィルターろ材が使用される。
また、エレクトロスピニング法により製造した超極細繊維は、他の基材上に積層されて使用されるため、基材からの毛羽立ちや剥離も問題となっており、超極細繊維層の加工性は低い。このような問題を解決するために、超極細繊維層を樹脂にて緻密な間隔にて固定し、超極細繊維層の破損を抑制する方法が提案されている(特許文献1)。しかしながら、この方法ではプリーツ加工等を実施する場合に発生する強い摩擦に対して、超極細繊維層を保護することは困難であった。
また、フィルターろ材として超極細繊維を使用する場合、超極細繊維と一体化される補強層は、フィルターの長寿命化層としても使用されるため、補強材を厚くし、嵩高性が高く、フィルターとして種々の加工が可能な剛性を有する繊維構造体が使用される。しかしながら、補強材の厚みおよび嵩高性と剛性を両立させた場合、プリーツ加工が困難であった。
特開2007−224466号公報
本発明の目的は、耐熱性にも優れ、捕集効率が良好あり圧力損失が少なく、プリーツ加工性に優れ、プリーツ部で毛羽が発生せず、層間の剥離が起きにくい積層構造体およびそれからなるフィルターろ材を提供することにある。
本発明者らが検討したところ、上記課題は次の構成により達成できることを見出した。すなわち、本発明によれば、2層以上からなる積層構造体であって、少なくとも、分解温度が300℃以上または融点もしくは軟化点が300℃以上である直径10nm〜500nmの超極細繊維の繊維構造体からなる超極細繊維層と、融点もしくは軟化点が270〜400℃の熱可塑性繊維または熱可塑性樹脂を含む不織布層とからなり、かつ、該積層構造体の少なくとの一方の面において、線状、波状、または、ジグザグ状の熱圧着部が形成されており、該熱圧着部が複数並列に並んで配されていることを特徴とする積層構造体が提供される。また、上記積層構造体からなるフィルターろ材が提供される。
2層以上からなる積層構造体であって、少なくとも、分解温度が300℃以上または融点もしくは軟化点が300℃以上である直径10nm〜500nmの超極細繊維の繊維構造体からなる超極細繊維層と、融点もしくは軟化点が270〜400℃の熱可塑性繊維または熱可塑性樹脂を含む不織布層とからなるため、耐熱性を有し、さらに、プリーツ加工を施す部分に線状、波状、ジグザグ状の熱圧着部を有しているため、容易に該加工を行うことができ、該加工やその後の使用においてプリーツ部で毛羽が発生しない。また、上記積層構造体では、超極細繊維層と不織布層が熱圧着により接合一体化されており層間の剥離が起きにくく、超極細繊維層の存在により捕集効率が良好であり、かつプリーツ部以外には熱圧着部が存在しないため圧力損失が極めて少ない。
本発明の積層構造体は、2層以上からなる積層構造体であって、少なくとも、直径10nm〜500nmの超極細繊維の繊維構造体からなる超極細繊維層と、不織布層とからなる積層構造体である。
発明においては、該超極細繊維層は、熱分解温度が300℃以上または融点もしくは軟化点が300℃以上の超極細繊維からなる繊維構造体で構成されている必要があり、積層構造体に高い耐熱性を付与することができる。
また、超極細繊維層を構成する超極細繊維の繊維構造体の目付は捕集効率ならびに圧力損失の点から、0.01〜20g/mであることが好ましく、0.1〜3g/mであることがよりこの好ましい。
上記超極細繊維は、エレクトロスピニング法あるいは海島紡糸法、メルトブロー法により成形することが好ましいが、エレクトロスピニング法により成形された繊維であることがかかる繊維径を容易に達成できるの点から好ましい。
また、上記超極細繊維を構成する重合体は、公知の方法により繊維に成形可能なものであればよく、特にエレクトロスピニング法により紡糸可能はものが好ましい。具体例としては、例えば、全芳香族ポリアミド、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール、ポリイミドなどを挙げることができる。中でも、全芳香族ポリアミドが耐熱性の点から特に好ましい。
一方、不織布層は、積層構造体に熱圧着部を形成するため、不織布層に融点もしくは軟化点が270〜400℃の熱可塑性繊維または熱可塑性樹脂を含んでいる必要がある。かかる不織布層と、前述した熱分解温度、融点もしくは軟化点の高い超極細繊維からなる超極細繊維層により積層構造体を構成することで、従来にない優れた耐熱性を発揮することができる。
上記不織布層を構成する不織布の目付は、フィルター性能およびプリーツ加工性の観点から10〜200g/mが好ましく、20〜70g/mがより好ましい。
上記熱可塑性繊維または熱可塑性樹脂を構成するポリマーとしては、例えば、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、熱可塑性ポリイミドなどが挙げられる。中でも超極細繊維を構成するポリマーの分解点あるいは融点との差が大きく、加工時に該超極細繊維を劣化させない点から、ポリフェニレンサルファイドが好ましい。
不織布層に熱可塑性繊維が含まれている場合、該不織布層にはさらに熱可塑性繊維以外の繊維が含まれていてもよい。該繊維としては熱分解温度が300℃以上の繊維が好ましく、例えば、全芳香族ポリアミド繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール(PBO)繊維、ポリベンゾイミダゾール(PBI)繊維、ポリイミド(PI)繊維などを挙げることができるが、特に全芳香族ポリアミド繊維が好ましい。
不織布層が、熱分解温度が300℃以上の繊維、特に全芳香族ポリアミド繊維と前述した上記の熱可塑性繊維で構成されている場合、不織布層の繊維構造体全重量に対する該熱可塑性繊維の重量比率は5〜100重量%が好ましく、20〜50重量%がより好ましい。
本発明においては、不織布層の繊維構造体に融点もしくは軟化点が270〜400℃の熱可塑性樹脂が付着させてもよい。この場合、不織布層の繊維構造体全重量に対する熱可塑性樹脂の重量比率は5〜50重量%が好ましく、20〜50重量%がより好ましい。この際、不織布層に、前述した融点もしくは軟化点が270〜400℃の熱可塑性繊維か、前述した熱分解温度が300℃以上の繊維を含んでいることが好ましい。具体的には、不織布層が、熱分解温度が300℃以上の繊維、特に全芳香族ポリアミド繊維からなり、不織布に、上記の融点もしくは軟化点が270〜400℃の熱可塑性樹脂が付着している構成などを好ましく提示することができる。
上記不織布を形成する繊維の直径は特に限定されないが、積層構造体の剛性の観点より、500nm以上100μm以下が好ましく、1μm以上100μm以下がより好ましい。
本発明においては、積層構造体が上記の超極細繊維層および不織布層からなり、少なくとも該積層構造体の一方の面において、線状、波状、または、ジグザグ状の熱圧着部が形成されており、該熱圧着部が複数並列に配されていることが肝要である。
該熱圧着部において、プリーツ加工を施されることで、容易にプリーツ加工を行うことができ、該加工やその後の使用において磨耗しやすいプリーツ部(屈曲部)が熱融着されていることから超極細繊維の毛羽立ちもなく、層間剥離が起こりにくい。また、上記繊維構造体では、超極細繊維層が積層されていることにより捕集効率が良好で、圧力損失も小さくすることができるが、さらに熱圧着部がプリーツ部のみに形成され、気体や液体が主に通過する部分にはないため、上記性能を遺憾なく発揮することができる。
上記の熱圧着部の形状が、波状およびジグザグ状の場合にはプリーツ加工性の観点から、波状またはジグザグ状の熱圧着部に接する2本の接線間の幅が、熱圧着部の幅が1/2以上1未満であることが好ましく、より好ましくは2/3以上1未満が好ましい。また、積層構造体の熱圧着部の厚みは、プリーツ加工性および熱圧着による積層構造体の脆化の観点より、熱圧着されていない部分(以下、非熱圧着部と称することがある)の厚みに対して5〜70%が好ましい。また、積層構造体の熱圧着部を有する面において、該面全体に対する熱圧着部の面積比率は、ろ材各層の接着性ならびに圧力損失の観点から、0.1〜50%が好ましい。
さらに、本発明の積層構造体は、前述したように、上記積層構造体は、分解温度が300℃以上または融点もしくは軟化点が300℃以上である超極細繊維の繊維構造体からなる超極細繊維層と、融点もしくは軟化点が270〜400℃の熱可塑性繊維または熱可塑性樹脂を含む不織布層とからなるため、耐熱性に優れ、例えば、焼却炉から排出される高温雰囲気下においても使用可能になる。
本発明の繊維構造体は、次の方法により製造することができる。すなわち、不織布層を構成する不織布は、スパンボンド法、トウ開繊法、抄紙法、カーディング法、エアレイド法、フィラメント直交法などにより製造できる。これらの不織布はそのまま用いても良いが、制電加工、撥水加工、親水加工などが目的に応じて施されていてもよい。
さらに、不織布層の上に超極細繊維の繊維構造体を形成する。本発明においては、超極細繊維を形成する手法としてはエレクトロスピニング法に好ましく例示することができる。
エレクトロスピニング法とは、前述した超極細繊維を成形できるポリマーの溶液に、高電圧を印加して繊維構造体上にスプレーして超極細繊維を形成する方法である。また、得られる超極細繊維の繊維径は印加電圧、溶液濃度、スプレーの飛散距離等に依存し、これらの条件を調整することで任意の繊維径とすることができる。
超極細繊維を構成する極細繊維が、全芳香族ポリアミドである場合は、溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシドなどを用いることができる。
電解紡糸と条件しては、濃度は1〜16%、電圧は5.0〜70kV、紡糸距離は5.0〜50cm、単位距離あたりの電圧に換算すると、0.5〜7.0kv/cmであるのが好ましい。
具体的には、全芳香族ポリアミドポリマーと溶媒とを5:95〜16:84の重量比で溶解させたポリマー溶液を調製し、5〜70kVの電圧下で行うことにより前述した繊維径を有するアラミド超極細繊維を作製することができる。
紡糸溶液の供給は、ノズルや口金から押し出す方法や、紡糸溶液中に浸した円盤やドラムに、必要量となるように紡糸溶液を付着させ、連続回転させることにより供給する方法が挙げられる。ノズルや口金から供給する場合、吐出部の内径は超極細繊維の繊維径と相関がないため、限定はない。
不織布層の上に超極細繊維層を成形した後、これらの層を部分的に熱圧着する。熱圧着部を形成する方法は特に限定されないが、エンボスロールによる熱圧縮が好ましい。エンボスロール温度は、不織布層に含まれる熱可塑性繊維あるいは樹脂の融点の±50℃となる温度領域が好ましく、融点−20℃から融点+20℃の温度領域がより好ましい。
本発明の部分的に熱圧着部が形成された、超極細繊維層を含む2層以上の不織布の剛軟度は、プリーツ加工性ならびにプリーツ形状維持の観点から、カンチレバー法において7cm以上が好ましい。
プリーツの加工法は特に限定されるものではないが、レシプロ式プリーツ加工機、ロータリー式プリーツ加工機などを用いることができる。
本発明の積層構造体の用途は何ら制限されるものではないが、超極細繊維からなる層を含むため、低圧力損失ならびに高捕集効率といった特性を有するため、フィルターとしての使用が好まれる。また、2層以上の繊維構造体は、その片側あるいは両側に熱圧着部を有するため、プリーツ形状への加工も容易であり、プリーツ形状の耐熱性を有するフィルターろ材として使用することがより好ましい。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに詳細に説明する。しかし、以下の例によって、本発明が限定されることはない。なお、実施例中の各特性値は下記の方法で測定した。
(1)繊維径
超極細繊維層から任意にサンプリングした繊維100本について、走査型電子顕微鏡JSM6330F(JEOL社製)にて測定し、繊維径の平均値を求めた。なお測定は、30,000倍の倍率で行った。
(2)熱分解温度、融点、軟化点
熱分解温度は、繊維を空気中にて10℃/minで昇温しながら、繊維の質量を温度の関数として測定する熱重量分析を用いて測定し、繊維の熱分解が無く質量変化の無い直線部分の延長線と、繊維の熱分解により質量が急激に低下し直線状となった部分の延長線との交点における温度とした。
融点は、繊維を空気中にて10℃/minで昇温しながら、DSC法にて繊維からの発熱および繊維への吸熱を測定し、融点に相当する吸熱ピークが得られた温度とした。また、軟化点は、繊維を空気中にて10℃/minで昇温しながら、DSC法にて繊維からの発熱および繊維への吸熱を測定し、軟化点に相当する吸熱曲線が得られ始めた温度とした。
(3)剛軟度
JIS L1096記載のカンチレバー法に準じて求めた。
(4)熱圧着部の厚みの非熱圧着部の厚みに対する比率
熱圧着部および非熱圧着部の厚みは、積層構造体の断面をJSM6330F(JEOL社製)にて100倍の倍率で観察し、任意にサンプリングした部分10個について測定し、平均値を求めた。測定した平均値より、熱圧着部の非熱圧着部に対する厚みの割合を算出した。
(5)圧力損失
実施例および比較例の積層構造体を用い、空気を面速度5.3cm/sになるように試験用フィルターに流し、フィルター前後の圧力差を微差圧計にて測定し、該圧力差を圧量損失とした。
また、実施例および比較例の積層構造体を180℃で1箇月間暴露した後、上記と同じ方法にて圧力損失を測定した。
これらの圧量損失をそれぞれ、180℃暴露前圧力損失、180℃暴露後圧力損失とした。180℃暴露前の圧力損失との比較により、180℃暴露後の圧力損失の保持率を下記式によって求めた。
捕集効率の保持率(%)=(180℃暴露後圧力損失(Pa)/180℃暴露前圧力損失(Pa))×100
(6)捕集効率
実施例および比較例の積層構造体を用い、0.3μmのNaCl粒子の試験用粉塵含有空気を面速度5.3cm/sになるように試験用フィルターに流し、上流側および下流側におけるNaCl粒子濃度CINおよびCOUTを、それぞれパーティクルカウンタによって測定し、下記式によって捕集効率を求めた。
捕集効率(%)=(1−CIN/COUT)×100
また、実施例および比較例の積層構造体を180℃で1箇月間暴露した後、上記と同じ方法にて捕集効率を測定した。
上記の捕集効率をそれぞれ、180℃暴露前捕集効率、180℃暴露後捕集効率とした。また、180℃暴露後の捕集効率の保持率を下記式によって求めた。
捕集効率の保持率(%)=(180℃暴露後捕集効率(%)/180℃暴露前捕集効率(%))×100
(7)プリーツ加工性の評価
プリーツ加工性の評価は、プリーツ先端が均一で鋭角なものを○、プリーツ先端がやや均一で鋭角なものを△、プリーツ先端が不均一で一部鈍角なものを×とした。
(8)層間剥離の評価
プリーツ加工後における熱圧着部の層間剥離の評価は、熱圧着部が剥離していないものを○、熱圧着部が剥離しているものを×とした。
(9)毛羽立ちの評価
プリーツ部の毛羽立ちの評価は、毛羽立ちがないを○、少しの毛羽立ちはあるが目立たないを△、毛羽立ちが目立つを×と定義し、判定を行った。
[実施例1]
不織布層には、全芳香族ポリアミド(ポリメタフェニレンイソフタルアミド)繊維(MPIA)(熱分解温度410℃、繊維径2.2dtex、繊維長51mm)(帝人テクノプロダクツ製コーネックス)とポリフェニレンサルファイド繊維(PPS)(融点285℃、繊維径2.2dtex、繊維長51mm)(東洋紡社製プロコン)とを重量比50:50で混綿した目付50g/mの混綿スパンレース不織布を、金属製フラットローラにて、ローラ温度を285℃、上下ローラのクリアランスが0.25mmの条件でカレンダー加工した不織布を使用した。
界面重合法により目的ポリマーを製造した。イソフタル酸クロライド14.2gを金属ナトリウムにて脱水したテトラヒドロフラン100mlに溶解し、攪拌しながら、メタフェニレンジアミン7.41gをテトラヒドロヒラン100mlに溶解した溶液を細流として徐々に加えていくと白濁した乳化液を作製した。攪拌を約5分継続した後、炭酸ソーダ14.8gおよび食塩28.0gを300mlの水に溶かした水溶液を速やかに加え、約5分間激しく攪拌した。得られた白色重合体を静置して沈殿させ、透明な水溶液相を除去、ろ過することで芳香族ポリアミドポリマー(ポリメタフェニレンイソフタルアミド)を得た。
エレクトロスピニングは特開2006−336173号公報記載の方法に準じ、超極細繊維を製造した。すなわち、得られた芳香族ポリアミドポリマー(ポリメタフェニレンイソフタルアミド)をN,N−ジメチルアセトアミドに、10重量%となるように溶解し、1kV/cmとなるように電界をかけてエレクトロスピニングを20分行い、下層となるスパンレース不織布上に超極細繊維層を形成した。この超極細繊維層の目付は、0.1g/mであった。
得られた超極細繊維を走査型電子顕微鏡にて観察し、繊維径の測長を行い、その平均値を表1に示した。
次にこの積層体を、金属製で回転方向と直交する方向に線状の彫刻がなされた加熱ローラ(上ローラ)と平滑な耐熱性樹脂ローラ(下ローラ)を用いて、エンボスの熱圧着部の幅が60mm、積層体における熱圧着部の面積比率が10%となるエンボス加工を上ローラの温度を285℃、上下ローラ間の線圧0.5t/30cm、加圧時の上下ローラ間の間隔を0.05mmとして行い、熱圧着部を有する超極細繊維層ならびに不織布層からなる2層繊維構造体を得た。
得られた2層繊維構造体の剛軟度を測定し、レシプロ式プリーツ加工機にて熱圧着部の間隔でプリーツ加工した。
得られた2層繊維構造体はプリーツ加工性に優れ、層間の剥離も認められず、超極細繊維の毛羽立ちも観察されなかった。結果を表1に示す。
[実施例2]
上ローラをエンボスの熱圧着部の幅が80mm、積層体における熱圧着部の面積比率が20%となる加熱ローラに変更した以外は実施例1と同様に2層積層構造体を製造した。得られた2層繊維構造体はプリーツ加工性に優れ、層間の剥離も認められず、超極細繊維の毛羽立ちも観察されなかった。これらの結果を表1に示す。
[実施例3]
上ローラを金属製で回転方向と直交する方向に波状の彫刻がなされた、エンボスの熱圧着部の幅が80mm、積層体における熱圧着部の面積比率が20%となる加熱ローラに変更した以外は実施例1と同様に2層積層構造体を製造した。得られた2層繊維構造体はプリーツ加工性に優れ、層間の剥離も認められず、超極細繊維の毛羽立ちも観察されなかった。これらの結果を表1に示す。
[実施例4〜5]
エレクトロスピニング時間を変更した以外は実施例1と同様に2層からなる繊維構造体を製造した。得られた2層繊維構造体はプリーツ加工性に優れ、層間の剥離も認められず、超極細繊維の毛羽立ちも観察されなかった。これらの結果を表1に示す。
[実施例6]
不織布層の目付け70g/mを変更した以外は実施例1と同様に2層からなる繊維構造体を製造した。得られた2層繊維構造体はプリーツ加工性に優れ、層間の剥離も認められず、超極細繊維の毛羽立ちも観察されなかった。これらの結果を表1に示す。
[実施例7]
芳香族ポリアミドポリマー(ポリメタフェニレンイソフタルアミド)をN,N−ジメチルアセトアミドに、16重量%となるように溶解させる以外は実施例1と同様に2層からなる繊維構造体を製造した。得られた2層繊維構造体はプリーツ加工性に優れ、層間の剥離も認められず、超極細繊維の毛羽立ちも観察されなかった。これらの結果を表1に示す。
[実施例8]
上ローラを、積層体における熱圧着部の面積比率が40%となる加熱ローラに変更した以外は実施例1と同様に2層積層構造体を製造した。得られた2層繊維構造体はプリーツ加工性に優れ、層間の剥離も認められず、超極細繊維の毛羽立ちも観察されなかった。圧力損失がやや高くなったが実用的なレベルであった。これらの結果を表1に示す。
[実施例9]
上ローラを、金属製で回転方向と直交する方向に図2に示す波状の彫刻がなされたもので、熱圧着部の幅(a)が60mm、熱圧着部に接する接線の幅(b)が90mm、a/bが2/3、積層体における熱圧着部の面積比率が40%となる加熱ローラに変更した以外は実施例1と同様に2層積層構造体を製造した。得られた2層繊維構造体はプリーツ加工性に優れ、層間の剥離も認められず、超極細繊維の毛羽立ちも観察されなかった。これらの結果を表1に示す。
[実施例10]
上ローラを、金属製で回転方向と直交する方向に図3に示すジグザク状の彫刻がなされたもので、熱圧着部の幅(a)が60mm、熱圧着部に接する接線の幅(b)が90mm、a/bが2/3、積層体における熱圧着部の面積比率が40%となる加熱ローラに変更した以外は実施例1と同様に2層積層構造体を製造した。得られた2層繊維構造体はプリーツ加工性に優れ、層間の剥離も認められず、超極細繊維の毛羽立ちも観察されなかった。これらの結果を表1に示す。
[比較例1]
実施例1と同様の製造方法に従い、エンボス加工を実施しない以外は、実施例1と同様の操作を行った。得られた2層繊維構造体はプリーツ加工性に劣り、層間で剥離が発生しやすく、超極細繊維の毛羽立ちが観察された。この結果を表1に示した。
[比較例2]
上ローラを、積層体の熱圧着部の面積比率が7.8%、エンボス熱圧着数が62dot/cm(1dot当たりの熱圧着面積0.0013cm)となるよう点状(円形)の加熱ロールに変更する以外は実施例1と同様に2層積層構造体を製造した。得られた2層繊維構造体は、層間で剥離はないものの、プリーツ加工性に劣り、超極細繊維の毛羽立ちが観察された。これらの結果を表1に示す。
[比較例3]
超極細繊維を、芳香族ポリアミド繊維からポリアクリロニトリル繊維(軟化点190℃)に変更する以外は実施例1と同様に2層積層構造体を製造した。得られた2層繊維構造体はプリーツ加工性に優れ、層間剥離も認められず、超極細繊維の毛羽立ちも観察されなかったものの、180℃高温暴露後の捕集効率は、180℃高温暴露前と比較して大きく低下しており、耐熱性に劣っていた。これらの結果を表1に示す。
[比較例4]
不織布層を平均繊維径25μmで、目付け50g/mのポリエステル(融点125℃)からなるスパンボンド不織布に変更する以外は実施例1と同様に2層積層構造体を製造した。得られた2層繊維構造体は、プリーツ加工性に優れ、層間の剥離も認められず、超極細繊維の毛羽立ちも観察されなかったものの、耐熱性に劣り、180℃高温暴露後にはフィルター形状を保持していなかった。
Figure 2010090512
本発明によれば、耐熱性に優れた、高捕集効率、低圧力損失、微細粒子の捕集能を有する繊維構造体のプリーツ加工が容易になり、さらにプリーツ部における超極細繊維の毛羽立ちが抑制され、例えば、プリーツ加工を施し、フィルターユニットに加工した場合の圧力損失が低くなり、高捕集効率のフィルターユニットを得られ、焼却炉等から排出されるガスの冷却工程を短縮することができるため繊維産業に有用である。
線状の熱圧着部を有する本発明の積層構造体の表面の概略図である。 波状の熱圧着部を有する本発明の積層構造体の表面の概略図である。 ジグザグ状の熱圧着部を有する本発明の積層構造体の表面の概略図である。 本発明の積層構造体の断面の概略図である。
符号の説明
A 熱圧着部
a 熱圧着部の幅
b 熱圧着部に接する2本の接線間の幅
c 熱圧着部の厚み
d 非熱圧着部の厚み

Claims (12)

  1. 2層以上からなる積層構造体であって、少なくとも、分解温度が300℃以上または融点もしくは軟化点が300℃以上である直径10nm〜500nmの超極細繊維の繊維構造体からなる超極細繊維層と、融点もしくは軟化点が270〜400℃の熱可塑性繊維または熱可塑性樹脂を含む不織布層とからなり、かつ、該積層構造体の少なくとの一方の面において、線状、波状、または、ジグザグ状の熱圧着部が形成されており、該熱圧着部が複数並列に並んで配されていることを特徴とする積層構造体。
  2. 超極細繊維が、エレクトロスピニング法により成形された超極細繊維である請求項1記載の多層繊維構造体。
  3. 不織布層に含まれる熱可塑性繊維または熱可塑性樹脂がポリフェニレンサルファイドからなる請求項1記載の積層構造体。
  4. 不織布層に、熱分解温度が300℃以上の繊維を含む請求項1記載の積層構造体。
  5. 熱分解温度が300℃以上の繊維が、全芳香族ポリアミドである請求項4記載の積層構造体。
  6. 波状またはジグザク状の熱圧着部に接する2本の接線間の幅が、熱圧着部の幅の1/2以上1未満である請求項1記載の積層構造体。
  7. 熱圧着部の厚みが、熱圧着されていない部分の厚みの5〜70%である請求項1記載の積層構造体。
  8. 積層構造体の熱圧着部を有する面において、該面全体に対する熱圧着部の面積比率が0.1〜50%である請求項1記載の積層構造体。
  9. 繊維構造体のカンチレバー法による剛軟度が7cm以上である請求項1記載の積層構造体。
  10. 熱圧着部が、一対のエンボスロール、または、エンボスロールとフラットロールによる熱圧着によって成形されている請求項1記載の積層構造体。
  11. 熱圧着部においてプリーツ状に折り曲げられている請求項1記載の積層構造体。
  12. 請求項1〜11のいずれか1項に記載の積層構造体からなるフィルターろ材。
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