JP2009261206A - 磁束分流制御回転電機システム - Google Patents

磁束分流制御回転電機システム Download PDF

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Abstract

【課題】
磁石励磁回転電機に於いて,エネルギー効率の良い磁束分流制御回転電機システムを提供する。
【解決手段】
隣接する磁性体突極延長部間に偏倚可能な界磁磁石を配置し,界磁磁石からの磁束を電機子側を通る主磁路,及び電機子を通らないバイパス磁路に分流させて主磁路の磁束量を偏倚に応じて変える。主磁路及びバイパス磁路の磁気抵抗を互いに等しくする最小磁気力条件に設定して上記偏倚を妨げる磁気力を抑制或いは最小磁気力条件から外して現れる磁気力を利用して磁束量を制御可能な回転電機システム,磁束量制御方法を提案している。
【選択図】 図1

Description

本発明は,永久磁石界磁を持つ回転電機に関し,特に弱め界磁制御により出力を最適に制御する回転電機システムに関する。
永久磁石界磁と電機子との相対的回転によって電磁的に生ずる電力を取り出す発電機或いは電機子に供給する電流によって生ずる磁界と永久磁石界磁との相互作用により永久磁石界磁と電機子との相対的回転を生ずる電動機等の回転電機はエネルギー効率に優れ,永久磁石の技術的進歩に伴い日常的に広く使われている。しかしそのような回転電機は、界磁からの磁束が一定であるので電動機として用いられるにしても発電機として用いられるにしても広い回転速度範囲で常に最適の出力が得られる訳ではない。すなわち,電動機の場合は高速回転域では逆起電力(発電電圧)が高すぎる結果となって制御が困難となり,弱め界磁制御として界磁強度を弱める種々の手段が提案されている。また発電機の場合,広い回転速度範囲に於いて発電電圧を所定のレベルとする為に専ら界磁電流制御による定電圧発電或いは半導体による発電電圧の定電圧化回路が用いられている。
電動機では進み位相電流による弱め界磁制御が広く採用されているが,回転に直接寄与しない電流を流す為にエネルギー損失を大とする。永久磁石励磁に制御用電流励磁を併用する場合は回転電機の構造を複雑にし,その上にエネルギー損失を伴う。さらに発電機の場合,大電力での定電圧化電子回路のコスト負担が大であるとの問題があった。したがって,回転電機装置の構成を工夫して電子回路制御を最小限に留めて装置全体としてのコストを低減する方策は以前から求められ,種々の提案が為されてきた。
上記提案例に界磁回転子を二分し,二つの界磁回転子を周方向に相対偏倚させて実効的に界磁強度を制御する方法がある(特許文献1)。前記相対偏倚は機構的に保持出来るので制御の為のエネルギー損失は少ない長所はあるが,電機子に流入する界磁強度の絶対値は変わらないので高速回転域で渦電流損が大きい欠点がある。他の提案例に界磁磁石を含む磁気回路の磁気抵抗を変えて磁束を制御する装置がある(特許文献2,3)。更に他の提案例として界磁磁石を短絡制御する装置がある(特許文献4,5,6)。一般に磁石を含む磁気回路に可動部分が存在する場合,磁気回路を流れる磁束を大にする方向(磁気抵抗を小にする方向)に可動部分を偏倚させようとする磁気力が存在する。界磁磁石は回転電機装置に於いて,力を発生し或いは電力を発生する源泉である。機械的な偏倚により磁気回路の磁気抵抗を制御する或いは界磁磁石を短絡する回転電機装置の提案例に於いて上記磁気力は回転電機の出力に比例し,偏倚制御に大きな力を要すると共に部材の振動或いはハンチング等を招来して精密な制御を困難にする。さらに大出力のアクチュエータ,過分な機械強度を伴う機構等を必要として実現には困難を伴っている。
米国特許3713015「ALTERNATING CURRENT GENERATOR HAVING A TWIN PM ROTOR WHICH IS ADJUSTABLE IN RESPONSE TO OUTPUT VOLTAGE」 特開2004−320864「同期回転電機及びその制御方法」 特開2004−328944「磁束制御型発電機」 米国特許4885493「Output voltage control apparatus of a permanent magnet alternator」 特開2004−357357「永久磁石形モータ及び洗濯機」 特開2006−246662「永久磁石式回転機」
したがって,本発明が解決しようとする課題は,(1)界磁磁石を減磁させる懸念が少ない事,(2)磁束量制御に必要な力を小さく抑える事等の条件を考慮して磁束量制御を容易として出力を最適に制御できる回転電機システム及び磁束量制御方法を提供する事である。
本発明による回転電機システム及び磁束量制御方法は,電機子側に流入させる磁束量を機械的偏倚により変える事が出来る。その具体的な内容は以下の通りである。
請求項1の発明による回転電機システムは,電機子コイルを有する電機子と,電機子と対向して相対回転可能で且つ電機子と対向して周方向に配置された複数の磁性体突極を有する界磁部とを有する回転電機であって,界磁部には表面磁極部と励磁部とが配置され,表面磁極部は電機子との対向面に複数の磁性体突極が周方向に配置されると共に電機子に面しない側に磁性体突極延長部及びバイパス磁極が配置され,励磁部は周方向磁化を持つ界磁磁石が隣接する磁性体突極延長部間及び隣接するバイパス磁極間に配置され,隣接する界磁磁石は互いに周方向磁化を反転させて隣接する磁性体突極を互いに異極に磁化し,界磁磁石には磁性体突極延長部に流入した磁束が電機子,隣接磁性体突極を介して環流する主磁路及びバイパス磁極に流入した磁束が隣接バイパス磁極を介して主として界磁部内で環流するバイパス磁路とが並列に接続され,表面磁極部或いは励磁部の何れかが可動磁極部として界磁磁石が磁性体突極延長部と対向する面積及びバイパス磁極と対向する面積の和が一定に保たれながら前記それぞれの対向面積を変える事が出来るよう可動磁極部が残余に対して相対偏倚可能に構成され,回転電機システムの出力が最適化されるように前記出力に応じて可動磁極部が偏倚して電機子に流れる磁束量が制御される事を特徴とする。
上記構成に於いて,界磁磁石に磁性体突極延長部及びバイパス磁極が微小間隙を介して対向し,磁束は界磁磁石及び磁性体近傍ではそれらの境界面にほぼ直交するので界磁磁石からの磁束はほぼ層流状に磁性体突極延長部及びバイパス磁極に流入し,磁性体突極延長部に分流される磁束量は磁性体突極延長部と界磁磁石の対向面積に比例する。前記微小間隙を可能な限り小にし,さらに界磁磁石との対向面では磁性体突極延長部とバイパス磁極間の間隙も微小に設定すれば前記磁束分布はさらに完全な層流状に近くなり,磁束量の精密な制御が可能になる。また,バイパス磁路の接続により界磁磁石に繋がる磁気抵抗の変動は小さくなるので可動磁極部の偏倚を妨げる磁気力は抑制され,主磁路に流入する磁束量を変更しても界磁磁石にはバイパス磁路が接続されているので界磁磁石が減磁されるリスクは避けられる。
可動磁極部の偏倚手段には種々の手段が適用可能である。例えば,半固定機構として予め手動で設定する機構手段,遠心力を利用するガバナ機構,回転子内にアクチュエータを有する機構手段或いは回転子外からの外力により偏倚させる機構手段等がある。
回転電機には,界磁部が回転し電機子が静止する構造及びその逆の構造,さらに円筒状の電機子と界磁部が径方向に空隙を介して対向する構造,或いは略円盤状の電機子と界磁部が軸方向に空隙を介して対向する構造等のいずれの構造も存在する。本発明は永久磁石励磁の界磁部を持つ上記何れの構造の回転電機システムにも適用される。また,回転電機は電機子コイルへの電流を入力として回転力を出力とすれば電動機であり,回転力を入力として電機子コイルから電流を出力すれば発電機である。電動機或いは発電機に於いて最適の磁極構成は存在するが,可逆的であり,上記の回転電機システムは電動機,発電機の何れにも適用される。
請求項2の発明は,請求項1記載の回転電機システムに於いて,バイパス磁路の磁気抵抗と主磁路の磁気抵抗とを互いにほぼ等しくする最小磁気力条件に設定される事を特徴とする。主磁路の磁気抵抗は磁性体突極と磁性体歯との相対位置により変動するが,本発明で主磁路の磁気抵抗は磁性体突極と磁性体歯間の各相対位置に関して平均化された値としている。バイパス磁路内には磁気的な空隙或いは狭隘部等で構成する磁気抵抗調整部分を有してバイパス磁路の磁気抵抗を設定する。両磁路の磁気抵抗を等しく設定することで界磁磁石に繋がる磁路の磁気抵抗は一定に保たれるので可動磁極部の偏倚を妨げる磁気力は最小となる。「ほぼ等しい」の意味は前記偏倚に用いるアクチュエータの出力以下に前記偏倚を妨げる磁気力を抑制するよう両磁路の磁気抵抗を最小磁気力条件に設定する事である。
前記両磁路の磁気抵抗を最小磁気力条件に設定する事で両磁路間の磁束漏洩を小さく抑制し,前記偏倚を妨げる磁気力を小さく抑制する事が出来るが,磁路の磁気抵抗を変動させる要因は多い。すなわち,量産段階で部品寸法は設定公差内でばらついて各磁路の磁気抵抗を変動させ,磁路間の磁束漏洩が無視できない場合は可動磁極部の偏倚位置が各磁路の磁気抵抗に影響し,磁性体の透磁率は温度の影響を受けやすいので各磁路の磁気抵抗は変化する。更にまた電機子コイルに電流が流れると主磁路の磁気抵抗は実効的に変動する。このように各磁路の磁気抵抗は変動するので回転電機システムの仕様に合わせて回転子の静止状態或いは平均的な運転条件に於いて両磁路の磁気抵抗を最小磁気力条件に設定する。
請求項3の発明は,請求項1記載の回転電機システムに於いて,交流磁束が通り難いよう界磁磁石から磁性体突極に至る磁路は磁性体突極より渦電流損を大とする材質を含んで構成される事を特徴とする。電機子コイルを流れる電流により主磁路の磁気抵抗を実効的に変え,可動磁極部の偏倚に要する力を小とできるが,磁性体突極と磁性体歯の位置に応じて切り替わる電流に応答する高い周波数帯での磁気抵抗変動は可動磁極の振動或いは主磁路及びバイパス磁路間の脈動的な磁束漏洩を誘発して望ましい事ではない。したがって,後者の高い周波数帯での交流磁束は通り難い構成として平滑化する。界磁磁石から磁性体突極に至る磁路の磁気抵抗に周波数特性を持たせ,可動磁極部の偏倚に際して必要な低周波数帯の磁気抵抗変化を許容できるよう磁性体突極延長部の透磁率,導電率及び寸法諸元を設定する。
請求項4の発明は,前記表面磁極部と励磁部の磁束量制御に関連する具体的な構成の一つであり,請求項1記載の回転電機システムに於いて,バイパス磁極は磁性体突極の延長方向に配置され,励磁部を可動磁極部として周方向と直交する面内を偏倚可能に構成される事を特徴とする。界磁磁石は周方向に隣接する磁性体突極延長部のそれぞれ及び周方向に隣接するバイパス磁極のそれぞれに対向しながら周方向と直交する面内を偏倚する。偏倚の方法には上記面内で回転偏倚,平行偏倚等の種々の形態が可能である。バイパス磁極及び磁性体突極延長部の配置及び形状は界磁磁石が磁性体突極延長部と対向する面積及びバイパス磁極と対向する面積の和が一定に保たれながら前記それぞれの対向面積を変える事が出来るよう設定する。
請求項5の発明は,前記表面磁極部と励磁部の磁束量制御に関連する具体的な構成の一つであり,請求項1記載の回転電機システムに於いて,界磁部及び電機子は径方向に対向し,磁性体突極延長部は軸方向に周期的な切除部分を有して切除部分にバイパス磁極が配置され,励磁部に於いて周方向磁化を持つ界磁磁石と非磁性体とが周期的に交互に軸方向に配置され,励磁部を可動磁極部として軸方向に偏倚可能に構成される事を特徴とする。界磁部及び電機子が径方向に対向する回転電機に於いて,軸方向に磁性体突極延長部とバイパス磁極とを交互に配置し,周方向に隣接するそれらの間に界磁磁石と非磁性体を交互に配置して界磁磁石と非磁性体とを軸方向に偏倚させる事により磁性体歯に流入する磁束量を制御する。界磁磁石を含む励磁部を軸方向に偏倚させるので偏倚制御手段をシンプルに構成出来る。
請求項6の発明は,請求項1記載の回転電機システムに於いて,さらに主磁路或いはバイパス磁路の磁気抵抗を調整する磁気抵抗調整手段を有し,可動磁極部の偏倚に必要な力を小とするよう主磁路或いはバイパス磁路の磁気抵抗が調整される事を特徴とする。本発明は磁気抵抗調整手段を有して回転電機の製造後或いは運転中に主磁路或いはバイパス磁路の磁気抵抗を調整して可動磁極部の偏倚制御時に前記偏倚に必要な力を小として精密な磁束量制御を可能にしている。磁気抵抗調整手段により可動磁極部の偏倚制御時に前記偏倚に必要な力を小とする方法は,主磁路とバイパス磁路の磁気抵抗を最小磁気力条件に調整する事,或いは可動磁極部の偏倚をアシストする方向の磁気力を発生させるよう主磁路とバイパス磁路の磁気抵抗を最小磁気力条件からずらして調整する事がある。磁路を形成する寸法諸元の変更制御及び磁路に巻回したコイルへの通電制御等による磁気抵抗調整手段,方法を具体的に提案している。さらに温度或いは磁気飽和等を利用して磁性体の磁気特性を制御する方法もある。
請求項7の発明は,請求項6記載の回転電機システムに於いて,可動磁極部を偏倚させる際に磁気抵抗調整手段によりバイパス磁路の磁気抵抗と主磁路の磁気抵抗とは最小磁気力条件にほぼ等しくなるよう調整される事を特徴とする。可動磁極部を偏倚させる際にバイパス磁路と主磁路の磁気抵抗を最小磁気力条件に調整すれば,偏倚を妨げる磁気力を最小に出来る。前記偏倚に用いるアクチュエータの出力以下に偏倚を妨げる磁気力を抑制して回転電機の運転条件により各磁路の磁気抵抗が初期値から変動する場合でも精密な磁束量制御を可能にする。
請求項8の発明は,請求項6記載の回転電機システムに於いて,電機子を流れる磁束量を増加する時に最小磁気力条件より主磁路の磁気抵抗は小に或いはバイパス磁路の磁気抵抗は大に磁気抵抗調整手段によって調整され,電機子を流れる磁束量を減少させる時に最小磁気力条件より主磁路の磁気抵抗は大に或いはバイパス磁路の磁気抵抗は小に磁気抵抗調整手段によって調整され,同時に可動磁極部が偏倚される事を特徴とする。主磁路或いはバイパス磁路の磁気抵抗差に応じて現れる磁気力は最小磁気力条件を境に方向が変わる。関係するパラメータを最小磁気力条件を基準に所定量ずらして磁気力を発生させる事により偏倚をアシストする磁気力を安定的に得る事が出来る。最小磁気力条件は回転電機の運転状態によって変わり,運転中に学習的に取得する或いは予め設定されたマップデータから取得する。
請求項9の発明は,請求項6記載の回転電機システムに於いて,さらに主磁路及びバイパス磁路の磁気抵抗が最小磁気力条件から外れる事により可動磁極部に加わる磁気力検知手段を有し,間歇的に変えられた磁気抵抗調整手段に関係するパラメータ,或いは通常の運転中に変わる前記パラメータと前記磁気力との関係を監視し,前記磁気力を小とする前記パラメータを最小磁気力条件パラメータとして設定される事を特徴とする。主磁路及びバイパス磁路の磁気抵抗は,可動磁極部の偏倚位置の影響を受け,温度による磁気特性変化,さらに経時的な磁気特性変化等の影響を受ける。本発明は主磁路及びバイパス磁路の磁気抵抗が最小磁気力条件から外れる事で現れる磁気力の検知手段を有し,最小磁気力条件となるパラメータを学習的に取得してそれらのパラメータを更新する。
請求項10の発明は,請求項6記載の回転電機システムに於いて,磁気抵抗調整手段をバイパス磁路内に配置された空隙に於ける空隙長を調整する空隙長調整手段で構成し,可動磁極部の偏倚に必要な力を小とするようバイパス磁路の磁気抵抗が調整される事を特徴とする。空隙長調整手段はバイパス磁路に設けた空隙を構成する部材の位置を変えて空隙長を変える構成とする。回転電機の組み立て後の調整,或いはアクチュエータを用いて動作中に調整制御する。回転子の加速或いは減速動作を含まないので連続的な界磁制御を可能にする。
請求項11の発明は,請求項6記載の回転電機システムに於いて,磁気抵抗調整手段を回転子を加速或いは減速する方向の予め定められた電流を電機子コイルに供給して主磁路の磁気抵抗を調整する手段で構成し,可動磁極部を偏倚する際に可動磁極部の偏倚に必要な力を小とするよう電機子コイルに予め定められた電流を供給して実効的に主磁路の磁気抵抗が調整される事を特徴とする。回転子を加速或いは減速駆動する場合は主磁路の磁気抵抗が実効的にそれぞれ小,大となる。可動磁極部の偏倚制御時に駆動回路を電機子コイルに接続し,回転子を加速或いは減速方向に駆動する電流を電機子コイルに供給して主磁路の磁気抵抗を実効的に調整する。
請求項12の発明は,請求項6記載の回転電機システムに於いて,磁気抵抗調整手段を予め定められた定電流負荷とし,可動磁極部を偏倚する際に定電流負荷は電機子コイルに接続され,可動磁極部の前記偏倚に必要な力を小とするよう誘起電圧により予め定められた電流を流し,実効的に主磁路の磁気抵抗が調整される事を特徴とする。回転電機が発電機である場合,電機子コイルには鎖交する磁束の変化を妨げる方向の電圧が誘起され,負荷インピーダンスに応じた電流が流れ,実効的に主磁路の磁気抵抗は大となる。主磁路の磁気抵抗を最小磁気力条件より小に設定し,可動磁極部の偏倚制御時に誘起電圧により所定電流が流れるよう制御する所定の定電流負荷を電機子コイルに接続し,電機子コイルに流す電流を調整して主磁路の磁気抵抗を実効的に静止時の値より大として調整する。定電流負荷を実現する手段には種々の方法があり,電機子コイルへの誘起電圧により所定の電流が電機子コイルを流れるよう制御する定電流回路,或いは回転数毎に定めた所定インピーダンスを有する負荷等がある。
請求項13の発明は,請求項1記載の回転電機システムに於いて,さらに可動磁極部の偏倚規制手段を有し,界磁磁石が磁性体突極延長部と対向する面積及びバイパス磁極と対向する面積の和が一定に保たれながら前記それぞれの面積が変わる範囲内に可動磁極部の相対偏倚量が規制される事を特徴とする。これにより可動磁極部の相対偏倚量と主磁路に分流される磁束量とが比例し,界磁制御をシンプルに出来る。
請求項14の発明は,請求項1記載の回転電機システムに於いて,さらに可動磁極部の偏倚位置を保持する手段を有し,間歇的に電機子を流れる磁束量が制御される事を特徴とする。可動磁極部の偏倚制御手段は電源オフの状態,エネルギーを消費しない状態で可動磁極部の偏倚位置を保持する構成とし,磁束量の変更時のみ可動磁極部の偏倚制御を行い,エネルギー消費を抑え高いエネルギー効率の回転電機システムを実現する。
請求項15の発明は,表面磁極部の構成を示す一つであり,請求項1記載の回転電機システムに於いて,表面磁極部に於いて電機子と対向する面には,電機子に対向して磁性体突極と磁気空隙部とが周方向に交互に配置されている事を特徴とする。シンプルな磁性体突極構成であり,励磁部に於ける磁束量制御の範囲を大にできる。
請求項16の発明は,表面磁極部の構成を示す一つであり,請求項1記載の回転電機システムに於いて,表面磁極部に於いて電機子と対向する面には,磁性体突極と略周方向の磁化を持つ永久磁石が周方向に交互に配置され,隣接する磁性体突極を互いに逆方向に磁化するよう隣接する永久磁石は互いに磁化を反転して配置され,励磁部と永久磁石とが磁性体突極を磁化する極性は同じになるよう配置されている事を特徴とする。永久磁石により磁束バリアを構成でき,磁石トルク及びリラクタンストルクを利用する電動機に適する。
請求項17の発明は,表面磁極部の構成を示す一つであり,請求項1記載の回転電機システムに於いて,集合永久磁石は中間磁性体突極の両側面に同一の略周方向磁化を持つ永久磁石板を配置した等価永久磁石とし,表面磁極部に於いて電機子と対向する面には,磁性体突極と集合永久磁石が周方向に交互に配置され,隣接する磁性体突極を互いに逆方向に磁化するよう隣接する集合永久磁石は互いに磁化を反転して配置され,励磁部と集合永久磁石とが磁性体突極を磁化する極性は同じになるよう配置されている事を特徴とする。磁性体突極の中間に周方向磁化を持つ等価永久磁石を有する構造で隣接する磁性体突極は互いに異極に磁化されている。集合永久磁石と界磁磁石とが同じ極性で磁性体突極を磁化するよう界磁磁石を配置する。電機子側に流れる磁束は集合永久磁石による界磁磁束に界磁磁石による界磁磁束とを加算して制御する。
請求項18の発明は,請求項1から請求項17記載の何れかの回転電機システムに於いて,さらに制御装置を有し,回転力を入力とし,発電電力を出力とする回転電機システムであって,制御装置により電機子コイルに誘起される発電電圧が所定の値より大の時は可動磁極部が偏倚されて界磁磁石と磁性体突極延長部とが対向する面積を小とされ,発電電圧が所定の値より小の時は可動磁極部が偏倚されて界磁磁石と磁性体突極延長部とが対向する面積を大とされ,発電電圧が所定の値に制御される事を特徴とする。広範な回転速度範囲で定電圧の発電電圧を得る事が出来,高価な電圧制御装置を不要とし,エネルギー効率を向上出来る。
請求項19の発明は,請求項1から請求項17記載の何れかの回転電機システムに於いて,さらに制御装置を有し,電機子コイルへの供給電流を入力とし,回転力を出力とする回転電機システムであって,制御装置により回転速度が所定の値より大で電機子を流れる磁束量を減少させる時には可動磁極部が偏倚されて界磁磁石と磁性体突極延長部とが対向する面積を小とされ,回転速度が所定の値より小で電機子を流れる磁束量を増大させる時には可動磁極部が偏倚されて界磁磁石と磁性体突極延長部とが対向する面積を大として回転力が最適に制御される事を特徴とする。広範な回転速度範囲で電動機システムとしての出力を最適に制御する。
請求項20の発明は,請求項1から請求項17記載の何れかの回転電機システムに於いて,さらに制御装置を有し,電機子コイルへの供給電流を入力とし,回転力を出力とする回転電機システムであって,回転速度を減少させる場合には制御装置により電機子を流れる磁束量を大とされるよう可動磁極部が偏倚されて界磁磁石と磁性体突極延長部とが対向する面積が大とされて回転エネルギーが発電電力として取り出される事を特徴とする。回生制動の能力を改善して総合的なエネルギー効率を向上させる事が出来る。
請求項21の発明は,電機子コイルを有する電機子と,電機子と対向して相対回転可能で且つ電機子と対向して周方向に配置された複数の磁性体突極を有する表面磁極部と,表面磁極部に対向し,隣接する磁性体突極を互いに逆極性に磁化するよう配置された界磁磁石を含む励磁部とを有する回転電機の電機子を流れる磁束量を制御する磁束量制御方法であって,励磁部と対向する表面磁極部の側に配置された周方向に隣接する磁性体突極延長部間及びバイパス磁極間に界磁磁石を対向するよう配置し,界磁磁石の一方の磁極から磁性体突極延長部に流入する磁束が電機子及び隣接する磁性体突極を介して他方の磁極に環流する主磁路及び界磁磁石の一方の磁極からバイパス磁極に流入する磁束が主として界磁部内で隣接するバイパス磁極を介して他方の磁極に環流するバイパス磁路を界磁磁石に並列に接続し,表面磁極部或いは励磁部の何れかを可動磁極部として界磁磁石が磁性体突極延長部と対向する面積及びバイパス磁極と対向する面積の和を一定に保ちながら前記それぞれの面積を変えるよう可動磁極部を残余に対して相対的に偏倚可能に構成し,可動磁極部を偏倚させて電機子を流れる磁束量を制御する。
磁石励磁回転電機システムに於ける磁束量制御方法であって,磁性体突極を励磁する界磁磁石に磁性体突極及び電機子側を通る主磁路及び電機子側を通らないバイパス磁路とが並列に接続され,主磁路に接続される磁性体突極延長部及びバイパス磁路に接続されるバイパス磁極と界磁磁石の磁極との対向面積を機構偏倚により変えて主磁路,すなわち電機子側を流れる磁束量を制御する。界磁磁石に磁性体突極延長部及びバイパス磁極が対向しているので界磁磁石からの磁束は層流状に磁性体突極延長部及びバイパス磁極に流入し,磁性体突極延長部に分流される磁束量はほぼ磁性体突極延長部と界磁磁石の対向面積に比例する。バイパス磁路の接続により界磁磁石に繋がる磁気抵抗の変動は小さくなるので可動磁極部の偏倚を妨げる磁気力は抑制され,主磁路を流れる磁束量を変更しても界磁磁石には常に磁路が接続されているので界磁磁石が減磁される懸念は少ない。
請求項22の発明は,請求項21記載の磁束量制御方法に於いて以下のステップを含む。バイパス磁路の磁気抵抗及び主磁路の磁気抵抗が互いにほぼ等しいとする最小磁気力条件に設定する。両磁路の磁気抵抗を等しく設定することで界磁磁石に繋がる磁路の磁気抵抗は一定に保たれるので可動磁極部の偏倚を妨げる磁気力は最小となる。「ほぼ等しい」の意味は前記偏倚に用いるアクチュエータの出力以下に前記偏倚を妨げる磁気力を抑制するよう両磁路の磁気抵抗を最小磁気力条件に設定する事である。各磁路の磁気抵抗は回転電機の運転条件によって変動し,界磁制御の仕様により静止状態或いは平均的な運転条件に於いてバイパス磁路及び主磁路の磁気抵抗を最小磁気力条件に設定する。バイパス磁路の磁気抵抗と主磁路の磁気抵抗とが最小磁気力条件に近い状態では主磁路とバイパス磁路間の磁束短絡を小としてさらに精密な磁束分流制御を実現できる。
請求項23の発明は,請求項21記載の磁束量制御方法に於いて以下のステップを含む。さらに主磁路或いはバイパス磁路の磁気抵抗を調整する磁気抵抗調整手段を有し,可動磁極部の偏倚に必要な力を小とするよう主磁路或いはバイパス磁路の磁気抵抗を調整する。本発明は回転電機の製造後或いは運転中に主磁路或いはバイパス磁路の磁気抵抗を調整して可動磁極部の偏倚制御時に前記偏倚に必要な力を小として精密な磁束量制御を可能にする。磁気抵抗調整手段の具体的な構成には磁路を形成する寸法諸元の変更制御,磁路に巻回したコイルへの通電制御,温度或いは磁気飽和等を利用する磁性体の磁気特性制御等がある。磁気抵抗調整手段により可動磁極部の偏倚制御時に前記偏倚に必要な力を小とする方法は,主磁路とバイパス磁路の磁気抵抗を偏倚を妨げる磁気力を最小にする最小磁気力条件に調整する,或いは可動磁極部の偏倚をアシストする方向の磁気力を発生させるよう主磁路とバイパス磁路の磁気抵抗を最小磁気力条件から外して調整する。後者は偏倚に必要な力をさらに小と出来るが,偏倚制御手段の駆動方向切換と共に磁気抵抗調整手段の調整方向切換を同期させる必要があり,磁束量制御方法の仕様に応じて選択する。
請求項24の発明は,請求項23記載の磁束量制御方法に於いて以下のステップを含む。可動磁極部を偏倚させる際に磁気抵抗調整手段によりバイパス磁路の磁気抵抗と主磁路の磁気抵抗とを最小磁気力条件に調整する。可動磁極部を偏倚させる際にバイパス磁路と主磁路の磁気抵抗を最小磁気力条件に調整すれば,偏倚を妨げる磁気力を最小に出来る。前記偏倚に用いるアクチュエータの出力以下に偏倚を妨げる磁気力を抑制して回転電機の運転条件により各磁路の磁気抵抗が初期値から変動する場合でも精密な磁束量制御を可能にする。
請求項25の発明は,請求項23記載の磁束量制御方法に於いて以下のステップを含む。電機子を流れる磁束量を増加する時に磁気抵抗調整手段は最小磁気力条件より主磁路の磁気抵抗を小に或いはバイパス磁路の磁気抵抗を大に調整し,電機子を流れる磁束量を減少させる時に磁気抵抗調整手段は最小磁気力条件より主磁路の磁気抵抗を大に或いはバイパス磁路の磁気抵抗を小に調整し,同時に可動磁極部を偏倚させる。主磁路或いはバイパス磁路の磁気抵抗差に応じて現れる磁気力は最小磁気力条件を境に方向が変わる。関係するパラメータを最小磁気力条件を基準に所定量ずらして磁気力を発生させる事により偏倚をアシストする磁気力を安定的に得る事が出来る。最小磁気力条件は回転電機の運転状態によって変わり,運転中に学習的に取得する或いは予め設定されたマップデータから取得する。
請求項26の発明は,請求項23記載の磁束量制御方法に於いて以下のステップを含む。さらに主磁路及びバイパス磁路の磁気抵抗が最小磁気力条件から外れる事により可動磁極部に加わる磁気力の検知手段を有し,間歇的に変えられた磁気抵抗調整手段に関係するパラメータ,或いは通常の運転中に変わる前記パラメータと可動磁極部に加わる磁気力との関係を監視し,可動磁極部に加わる磁気力を小とする前記パラメータを最小磁気力条件として設定する。主磁路及びバイパス磁路の磁気抵抗は,可動磁極部の偏倚位置の影響を受け,温度による磁気特性変化,さらに経時的な磁気特性変化等の影響を受ける。本発明は主磁路及びバイパス磁路の磁気抵抗が最小磁気力条件から外れる事で現れる磁気力の検知手段を有し,磁気抵抗調整手段に係わるパラメータを学習的に取得して最小磁気力条件としてそれらのデータを更新する。
永久磁石励磁の界磁部を有する回転電機システムに於いて,機械的偏倚により界磁磁石の磁束を主磁路及びバイパス磁路に分流制御させるとして,機械的偏倚の障害となる磁気力を抑制し,或いは磁気力を利用して磁束量を制御可能とした。本発明の磁束分流制御回転電機に於いて弱め界磁制御が容易となり,高エネルギー効率で出力を最適に制御する回転電機システムを実現出来る。
以下に本発明による回転電機システムについて,その実施例及び原理作用等を図面を参照しながら説明する。
本発明による回転電機システムの第一実施例を図1から図8までを用いて説明する。第一実施例は,ラジアルギャップ構造の回転電機システムであり,励磁部を軸方向に偏倚制御して電機子を流れる磁束量を制御する。励磁部の偏倚制御時に電機子コイルに予め定めた電流を供給して回転子を加速或いは減速方向に駆動して実効的に主磁路及びバイパス磁路の磁気抵抗を互いに等しくしている。図1は回転電機の縦断面図,図2,3は電機子と回転子との構成を示す断面図,図4は回転子の構成を示す斜視図,図5は磁性体突極とバイパス磁極と界磁磁石との関係を示す断面図,図6は偏倚した励磁部と磁性体突極との関係を示す断面図,図7は主磁路の磁気抵抗調整条件を学習的に取得するタイムチャート,図8は弱め界磁を行う回転電機システムのブロック図をそれぞれ示す。
図1はラジアルギャップ構造の回転電機に本発明を適用した実施例を示し,回転軸11がベアリング13を介してハウジング12に回動可能に支持されている。電機子はハウジング12に固定された円筒状磁気ヨーク15と,磁性体歯14と,電機子コイル16とから構成されている。回転子は表面磁極部と励磁部とを含む界磁部17,回転子支持体1bを有し,励磁部18は可動磁極部として軸方向に偏倚するよう構成されている。回転軸11は中空に構成され,中空部1d内に配置された摺動棒1h,プッシュロッド1e,アクチュエータ1f,スプリング19,回転軸11に設けられたスリット1c,スリット1cを介して摺動棒1hに接する励磁部支持体1aは励磁部18を軸方向に偏倚制御する手段を構成している。番号1jはロードセルを,番号1gは回転子に固定された冷却ファンを示す。
図2,図3は図1のA−A’に沿う電機子及び回転子の断面図を示す。励磁部18は軸方向に界磁磁石と非磁性体とが交互に配置された構成であり,図2は励磁部18の界磁磁石を含む軸方向位置での電機子及び回転子の断面図を,図3は励磁部18の界磁磁石が含まれない軸方向位置での電機子及び回転子の断面図をそれぞれ示し,相互の関係を説明する為に構成部分の一部に番号が付されている。電機子はハウジング12に固定された円筒状磁気ヨーク15と,円筒状磁気ヨーク15から径方向に延び,周方向に磁気空隙を有する複数の磁性体歯14と,磁性体歯14に巻回された電機子コイル16とを含んでいる。本実施例では9個の電機子コイル16を有し,それらは三相に結線されている。
電機子の磁性体歯14先端には径方向に短い可飽和磁性体結合部28を隣接する磁性体歯14先端部間に設けてある。磁性体歯14及び可飽和磁性体結合部28はケイ素鋼板を型で打ち抜いて積層し,電機子コイル16を巻回した後,円筒状磁気ヨーク15と組み合わせて電機子としている。可飽和磁性体結合部28は磁性体歯14と一体として磁性体歯14の支持強度を向上させ,磁性体歯14の不要な振動を抑制させる。可飽和磁性体結合部28の径方向の長さは短く設定して容易に磁気的に飽和する形状としたので電機子コイル16が発生させる磁束或いは界磁磁石からの磁束によって容易に飽和し,その場合に電機子コイル16が発生させる磁束及び界磁磁束の短絡を僅かな量とする。電機子コイル16に電流が供給されると,時間と共に可飽和磁性体結合部28は磁気的に飽和させられて周辺に磁束を漏洩させるが,磁気飽和した可飽和磁性体結合部28に現れる実効的な磁気空隙の境界はクリアではないので漏洩する磁束の分布は緩やかとなり,可飽和磁性体結合部28はこの点でも磁性体歯14に加わる力の時間変化を緩やかにして振動抑制に寄与する。
図2,3に於いて,回転子の界磁部17は表面磁極部と励磁部18とに区分して構成され,表面磁極部は磁性体歯14と対向する面に磁性体突極と磁気空隙部とを周方向に交互に有する構造とし,隣接する磁性体突極を番号21,22で代表させ,磁気空隙部を番号23で示している。磁性体突極21,22は幅の狭い可飽和磁性体部26で連結された構成としてケイ素鋼板を所定の型で打ち抜き,積層して構成されている。磁気空隙部23を含む非磁性体の部分には非磁性で且つ比抵抗の大きい材料,レジン,樹脂等を充填して構成している。
表面磁極部と励磁部18との関係及び構成はさらに図4,図5をも用いて説明する。図4は3次元的な構成を理解しやすいように励磁部18の一部を引き出して示した分解斜視図である。図5(a)は図2及び図3に於いてB−B’に沿う軸方向の磁性体突極及びバイパス磁極等の断面を示し,図5(b)は図2及び図3に於いてC−C’に沿う軸方向の励磁部18断面を示し,図5(c)は図2及び図3に於いてD−D’で示す周方向の一部に沿う軸方向の磁性体突極延長部及びバイパス磁極及び励磁部18の断面図を示している。
図5(a)に示されるように,磁性体突極21の延長部は軸方向に周期的な切除部を持ち,切除部にバイパス磁極31が配置されている。周方向に隣接する磁性体突極22延長部も同じ構成でバイパス磁極32が配置されている。図2,3,及び図5(a)に示すようにバイパス磁極31,32は円筒状ベース磁極25と微小間隙33を介して磁気的に結合している。
図5(b)及び図4に示されるように,励磁部18は界磁磁石24と非磁性体27を軸方向に交互に有し,周方向に隣接する磁性体突極21延長部と磁性体突極22延長部間,及びバイパス磁極31とバイパス磁極32間に配置されて軸方向に摺動可能に構成されている。
図5(c)は隣接する磁性体突極21延長部,磁性体突極22延長部,隣接するバイパス磁極31,バイパス磁極32と励磁部18との関係を示す断面図であり,界磁磁石24の両端が周方向に隣接する磁性体突極21延長部,磁性体突極22延長部に対向し,さらに隣接するバイパス磁極31,バイパス磁極32に対向している状態を示している。界磁磁石24内の矢印は磁化方向を示している。
界磁磁石24の一方の磁極から磁性体突極21延長部に流入した磁束が磁性体突極21,磁性体歯14,磁性体突極22,磁性体突極22延長部を介して界磁磁石24の他方の磁極に環流する主磁路と,界磁磁石24の一方の磁極からバイパス磁極31に流入した磁束がベース磁極25,バイパス磁極32を介して界磁磁石24の他方の磁極に環流するバイパス磁路とが界磁磁石24に並列接続される構成であり,励磁部18の軸方向偏倚により界磁磁石24と磁性体突極21延長部及び磁性体突極22延長部との対向面積を変えて主磁路及びバイパス磁路に分流する磁束量を変える事が出来る。バイパス磁路の磁気抵抗はバイパス磁極31,32と円筒状ベース磁極25間の微小間隙33での対向面積及び長さを磁気抵抗調整部分とし,回転電機の静止時に於いて主磁路の磁気抵抗とほぼ等しく設定している。バイパス磁路内及び主磁路内に直列に含まれる界磁磁石数は等しいので両者の磁気抵抗を同じに設定する。これが最小磁気力条件であり,主磁路の磁気抵抗は磁性体突極21と磁性体歯14との相対位置により変動するので平均化した磁気抵抗にバイパス磁路の磁気抵抗をほぼ等しく設定している。
本実施例に於いて,図5(a),(b)に示すように界磁磁石24の長さ54は磁性体突極21延長部左端からバイパス磁極31左端までの距離51に等しく設定し,磁性体突極21延長部の長さ52及びバイパス磁極31の長さ53は等しく設定している。界磁磁石24は磁性体突極21延長部及びバイパス磁極31に常に対向し,且つ偏倚移動する長さは磁性体突極21延長部の長さ52以内に限定している。したがって,界磁磁石24が磁性体突極21延長部及びバイパス磁極31と対向する面積の和は常に一定であり,且つ主磁路とバイパス磁路の磁気抵抗は等しく(最小磁気力条件)設定されるので界磁磁石24からの総磁束量は常に一定であり,励磁部の軸方向偏倚を妨げる磁気力は理論的に発生しない。
図6は図5(c)に対応して励磁部18の位置が異なる場合を示している。図6(a)は界磁磁石24が磁性体突極21延長部及び磁性体突極22延長部に最大限の面積で対向し,殆どの磁束を主磁路に供給している状態を示している。図6(b)は界磁磁石24がバイパス磁極31及び32に最大限の面積で対向し,殆どの磁束をバイパス磁路に供給している状態を示している。図6(a),(b)に示した場合の中間状態では界磁磁石24が磁性体突極21延長部及びバイパス磁極31の双方に対向して界磁磁石24からの界磁磁束は磁性体突極21延長部との対向面積に比例して主磁路に流入し,主磁路の磁束量が制御される。
上記構成に於いて,界磁磁石に磁性体突極延長部及びバイパス磁極が微小間隙を介して対向し,磁束は界磁磁石及び磁性体近傍ではそれらの境界面にほぼ直交するので界磁磁石からの磁束はほぼ層流状に磁性体突極延長部及びバイパス磁極に流入し,磁性体突極延長部に分流される磁束量は磁性体突極延長部と界磁磁石の対向面積に比例する。層流状の磁束分布を維持する為に前記微小間隙を可能な限り小とするべく摺動させる事が望ましく,さらに界磁磁石との対向面では磁性体突極延長部とバイパス磁極間の間隙も微小に設定し,対向面から離れた部分では間隙を大にして分流された磁束の短絡を小さくする構成が望ましい。
図5(a),図5(b)に示すように磁性体突極21延長部,バイパス磁極31の長さは等しく設定され,界磁磁石24の長さを磁性体突極21延長部の長さ及び磁性体突極21延長部,バイパス磁極31間間隙長の和に等しくなるよう設定し,主励磁部18の偏倚量は磁性体突極21延長部の長さ以下としている。
一般に磁石を含む磁気回路の一部に可動部分が有る場合には磁束量を大にする方向(磁気回路の磁気抵抗を小にする方向と同じ意味である)に可動部分を動かそうとする磁気力が現れる。本発明に先行して界磁磁束を制御する目的で磁気回路の一部を偏倚させて界磁磁石を短絡し或いは磁路の磁気抵抗を変えようとする提案は多い。しかし,界磁磁石はその回転電機に於いて,磁石トルク或いは電力を発生させる源泉であり,前記偏倚を妨げる磁気的な力は大きく,精密な磁束量制御を困難にしていた。上記に説明した本発明の構成により磁気力は小さく抑制され,精密な磁束量制御が可能となる。
本実施例では界磁磁石が微小間隙を介して磁性体突極延長部及びバイパス磁極に対向している。主磁路とバイパス磁路の磁気抵抗を厳密に等しくするのは困難であり,両者の磁気抵抗に差があるとして界磁磁石から磁性体を介して磁性体突極延長部及びバイパス磁極に対向させると,界磁磁石からの磁束はそれぞれの磁路の磁気抵抗に応じて前記磁性体内で分流して主磁路を流れる磁束は界磁磁石と磁性体突極延長部間の対向面積には比例しない事になり,磁束量の制御は困難となる。構造上の制約から界磁磁石から磁性体を介して磁性体突極延長部及びバイパス磁極に対向させる場合には,磁性体として異方性の強い磁性体或いは厚みの薄い磁性体として磁性体内で磁束が分流し難い構成とする。この構成は実質的に界磁磁石の端面で磁束を分流させる点で本発明の趣旨に含まれる。
励磁部18を軸方向に偏倚させる事により電機子に流れる磁束量を制御できることを説明した。以下では励磁部18を軸方向に偏倚させる手段を図1により説明する。励磁部支持体1aの3つの突部は回転軸11に設けた3個のスリット1cを介して摺動棒1hに接し,摺動棒1hは回転軸11の中空部内を軸方向に摺動可能に構成されてアクチュエータ1fのプッシュロッド1eと接している。スプリング19は回転子支持体1bと励磁部支持体1aとの間に配置されて励磁部支持体1aを右方向に付勢し,アクチュエータ1fはプッシュロッド1eを軸方向左右に駆動させる構成であるので励磁部支持体1a及び界磁磁石24はアクチュエータ1fにより軸方向に偏倚させられる。アクチュエータ1fはステップモータとネジ機構で構成してステップモータを回転駆動する事でプッシュロッド1eを軸方向左右に駆動させ,ステップモータを駆動させない場合はプッシュロッド1eの軸方向位置を保持する構成としている。
励磁部18の偏倚が図6(a),(b)に示した範囲内に留まれば,界磁磁石24と磁性体突極21延長部,バイパス磁極31それぞれの対向面積の和は一定であり,それらの面積は偏倚に従って変化し,主磁路に分流される磁束量と偏倚量はほぼ比例する。偏倚量が前記範囲を超えても界磁制御を行う事は出来るが,偏倚量と主磁路を流れる磁束量の関係は不定となり,磁束量制御は複雑化する。本実施例では前記範囲内に偏倚量を留めるようスリット1cの位置及び軸方向長さを設定して偏倚規制手段としている。
主磁路とバイパス磁路の磁気抵抗を最小磁気力条件に設定する事で両磁路間の磁束漏洩を小さく抑制し,前記偏倚を妨げる磁気力を小さく抑制する事が出来るが,磁路の磁気抵抗を変動させる要因は多い。すなわち,量産段階で部品寸法は設定公差内でばらついて各磁路の磁気抵抗を変動させ,磁路間の磁束漏洩が無視できない場合は可動磁極部の偏倚位置が各磁路の磁気抵抗に影響し,磁性体の透磁率は温度の影響を受けやすいので各磁路の磁気抵抗は変化する。更にまた電機子コイルに電流が流れると主磁路の磁気抵抗は実効的に変動する。
本実施例では以下のように回転電機の動作中に磁束量制御を間歇的に行っている。回転電機を電動機として電機子コイルに回転子を加速する方向の電流を供給する場合は界磁磁束を引き込み,電機子に流れる磁束量を大としようとし,回転子を減速駆動する場合はその逆になる。したがって,回転子を加速或いは減速駆動する場合は主磁路の磁気抵抗が実効的にそれぞれ小,大となる。主磁路とバイパス磁路の磁気抵抗を互いに等しくするよう電機子コイルに供給する電流を最小磁気力電流とし,可動磁極部の偏倚制御時に電機子コイルに最小磁気力電流を供給して回転子を加速或いは減速方向に駆動して実効的に主磁路及びバイパス磁路の磁気抵抗を等しくさせ,同時にアクチュエータを駆動する。さらに最小磁気力電流は回転電機の運転中に学習的に取得する構成として種々の原因による主磁路の磁気抵抗変化に適応させている。
最小磁気力電流を学習的に取得する構成及び手順を図1及び図7を用いて説明する。図1に於いて,番号1jはロードセルを示し,プッシュロッド1eに加えられる力を検出する。主磁路及びバイパス磁路の磁気抵抗に差があると,界磁磁石24は磁気抵抗の小さい側の磁極となる磁性体突極21延長部或いはバイパス磁極31との対向面積を増す方向に偏倚する磁気力を受ける。アクチュエータ1fは軸方向位置を保持しようとするので摺動棒1h,プッシュロッド1e内の圧力は変化し,ロードセル1jにより前記磁気力を検出する事が出来る。
図7は間歇的に磁束量を制御するタイムチャートであり,横軸76は時間を示す。番号71は学習区間を示し,番号72は磁束量制御区間を示している。それ以外の時間帯では回転電機が電動機であれば回転駆動を,発電機であれば発電電力の取り出しを行う。学習区間71では電機子コイル16に供給する電流の条件を変えて回転子を駆動し,その期間に於けるロードセル1jの出力を監視する。ロードセル1jの出力が小になる電流が主磁路及びバイパス磁路の磁気抵抗を実効的に互いに等しくする最小磁気力電流であり,この最小磁気力電流を制御装置に記憶或いは設定し直す。
番号72は磁束量を制御する区間であり,前記の学習過程で得られた最小磁気力電流を電機子コイル16に供給し,同時にアクチュエータ1fを制御して励磁部18を軸方向に偏倚させる。主磁路及びバイパス磁路の磁気抵抗は実効的にほぼ等しくされるのでアクチュエータ1fによる上記制御は円滑に行われる。この場合,回転子は短時間であるが駆動されるので回転速度73は変化する。磁束量の制御区間72では回転子が減速され,僅かではあるが,減速されている状態が回転速度73に示されている。番号74は磁束量を示し,学習区間71ではアクチュエータ1fは軸方向位置を保持しているので磁束量74は変化しないが,磁束量制御区間72では磁束量74が変化する様子が示されている。
番号75は回転電機が発電機である場合に於ける発電電圧を示している。学習区間71及び磁束量制御区間72では発電電力を取り出せないので発電電圧75が途切れている状態を示し,磁束量制御区間72前後では発電電圧75が変化している状態が示されている。本実施例では静止時に於いてバイパス磁路の磁気抵抗を主磁路の磁気抵抗と等しくなるように設定されているので磁束量制御の際に電機子コイル16に供給する最小磁気力電流が回転子を加速或いは減速する程度は小さく抑えられる。
本実施例では学習区間71を設定して最小磁気力電流を取得したが,特に学習区間71を設定しない学習方法も可能である。例えば,回転電機が電動機である場合には回転子を駆動する為に電機子に供給される電流とロードセル1j出力との関係を常時監視し,最もロードセル1j出力が小になる電流を最小磁気力電流とする。
以上,図1から図7に示した回転電機に於いて,励磁部18を軸方向に偏倚制御し,電機子に流れる磁束量を制御できることを示した。以下には磁束量を制御して出力を最適に制御する回転電機システムを,図8のブロック図を用いて説明する。図8は磁束量制御を行う回転電機システムのブロック図を示している。図8に於いて,回転電機81は入力82,出力83を有するとし,制御装置85は回転電機81の出力83及び励磁部18位置を含む状態信号84を入力として制御信号86を介して回転電機81の磁束量を制御する。番号87は電機子コイル16の駆動回路を示す。回転電機81が発電機として用いられるのであれば,入力82は回転力であり,出力83は発電電力となる。回転電機81が電動機として用いられるのであれば,入力82は駆動回路87から電機子コイル16に供給される駆動電流であり,出力83は回転トルク,回転速度となる。
回転電機装置が電動機として用いられる場合において,弱め界磁制御を行って回転力を最適に制御する電動機システムを説明する。制御装置85は出力83である回転速度が所定の値より大となり電機子に流れる磁束量を小とする時には磁束量制御区間72の時間帯に電機子コイル16に駆動回路87を介して最小磁気力電流を供給して主磁路及びバイパス磁路の磁気抵抗を実効的に互いに等しくし,制御信号86によりアクチュエータ1fを駆動して励磁部18を図6(a),(b)に於いて右方向に偏倚させて界磁磁石24と磁性体突極21延長部とが対向する面積を小にする。偏倚制御後はアクチュエータ1fを停止させて励磁部18の軸方向位置を保持する。回転速度が所定の値より小となり電機子に流れる磁束量を大とする時には磁束量制御区間72の時間帯に電機子コイル16に駆動回路87を介して最小磁気力電流を供給して主磁路及びバイパス磁路の磁気抵抗を実効的に互いに等しくし,制御信号86によりアクチュエータ1fを駆動して励磁部18を図6(a),(b)に於いて左方向に偏倚させて界磁磁石24と磁性体突極21延長部とが対向する面積を大にする。偏倚制御後はアクチュエータ1fを停止させて励磁部18の軸方向位置を保持する。
回転電機装置が発電機として用いられる場合において,弱め界磁制御を行って発電電圧を所定の電圧となるよう制御する定電圧発電機システムを説明する。制御装置85は出力83である発電電圧が所定の値より大となり電機子に流れる磁束量を小とする時には磁束量制御区間72の時間帯に電機子コイル16に駆動回路87を介して最小磁気力電流を供給して主磁路及びバイパス磁路の磁気抵抗を実効的に互いに等しくし,制御信号86によりアクチュエータ1fを駆動して励磁部18を図6(a),(b)に於いて右方向に偏倚させて界磁磁石24と磁性体突極21延長部とが対向する面積を小にする。偏倚制御後はアクチュエータ1fを停止させて励磁部18の軸方向位置を保持する。発電電圧が所定の値より小となり電機子に流れる磁束量を大とする時には磁束量制御区間72の時間帯に電機子コイル16に駆動回路87を介して最小磁気力電流を供給して主磁路及びバイパス磁路の磁気抵抗を実効的に互いに等しくし,制御信号86によりアクチュエータ1fを駆動して励磁部18を図6(a),(b)に於いて左方向に偏倚させて界磁磁石24と磁性体突極21延長部とが対向する面積を大にする。偏倚制御後はアクチュエータ1fを停止させて励磁部18の軸方向位置を保持する。
本実施例で採用した主磁路の磁気抵抗の補正手段は回転電機を加速或いは減速駆動を伴うので,長時間に渡って磁束量制御が連続する場合は回転電機の運転に影響を与える可能性がある。しかし,通常の運転状態では回転速度の変化も磁束量の変更制御も連続的に行われるので大きな問題となる事はない。また,予め定めたレベル以上に磁束量を変える場合には複数回に分けて間歇的に実施する手法を取り入れる事で大きな支障が現れる事はない。
主磁路の磁気抵抗を設計値から許容範囲内に納める事が出来る場合には本実施例で採用した運転中に主磁路の磁気抵抗を調整する過程は不要とする事が出来る。また,運転中に於ける主磁路の磁気抵抗が初期状態から大きくずれない場合には回転電機の組み立て後の初期調整設定のみを採用して本実施例で採用した学習過程を省略する事が出来る。回転電機システムの仕様或いは運転条件により本実施例に於ける主磁路の磁気抵抗補正方法を部分的に採用して最適の回転電機システムとする事が出来る。
本発明による回転電機システムの第二実施例を図9から図13までを用いて説明する。第二実施例は,ラジアルギャップ構造の回転電機システムであり,励磁部を径方向に偏倚させて電機子を流れる磁束量を制御する。励磁部の偏倚制御時に電機子コイルに定電流負荷を接続し,誘起電圧により予め定めた電流を流して主磁路の磁気抵抗を実効的に調整している。図9は回転電機の縦断面図,図10は電機子と回転子との構成を示す断面図,図11は回転子の一部を拡大した断面図,図12は励磁部の偏倚制御手段の斜視図,図13はスリーブ,回転軸の斜視図を示す。
図9はラジアルギャップ構造の回転電機に本発明を適用した実施例を示し,回転軸11がベアリング13を介してハウジング12に回動可能に支持されている。電機子はハウジング12に固定された円筒状磁気ヨーク15と,磁性体歯14と,電機子コイル16とから構成されている。回転子は表面磁極部91と表面磁極部91内に配置された励磁部とで構成され,励磁部は可動磁極部として径方向に偏倚するよう構成されている。番号92は回転子支持体を示す。励磁部を径方向に偏倚制御する手段は,番号93,94で示すガイドプレート,スライドバー96,円筒状のスリーブ97,スプリング98,回転軸11に設けられた斜交溝99,プッシュロッド1e,摺動棒1h,ハウジング12に固定されたアクチュエータ1fとから構成されている。番号95はガイドプレート93,94を連結する連結棒が摺動する連結孔を示している。
図10は図9のE−E’に沿う電機子及び回転子の断面を示し,相互の関係を説明する為に構成部分の一部に番号を付して示している。電機子の構成は第一の実施例と同じであり,説明は省略する。番号10cはガイドプレート93,94を連結する3本の連結棒を示している。
図10に於いて,表面磁極部は電機子との対向面に磁性体突極と集合磁石とを周方向に交互に有する構造である。中間磁性体突極103の両側面に磁化方向をほぼ同じくする磁石板105,106が配置構成された集合磁石は磁気的には磁石と等価であり,表面磁極部は一様な磁性体を周方向に等間隔に配置された集合磁石によって区分された磁性体突極101,102及び集合磁石とから構成されている。さらに隣接する磁性体突極101,102は互いに異なる方向に磁化されるよう隣接する集合磁石の略周方向磁化方向は互いに反転して構成されている。磁性体突極101,102それぞれの周方向両側面に配置された磁石板104,105,106,107はV字状の配置であり,磁石板104,105の交差角度,磁石板106,107の交差角度は磁束バリアに好適な角度に設定する。磁石板104,105,106,107に付された矢印は磁石板104,105,106,107の板面にほぼ直交する磁化方向を示す。番号108は磁石板105,106間の磁気抵抗を大にする為の磁気空隙部を示す。
磁性体突極101,102は内周方向への延長部10d,10eをそれぞれ持ち,それぞれの延長上にバイパス磁極10a,10bが配置されている。界磁磁石109は隣接する磁性体突極延長部10dと磁性体突極延長部10e間,及び隣接するバイパス磁極10a,10b間に径方向に摺動可能に配置されている。さらに界磁磁石109が偏倚する径方向の範囲は周囲の寸法により界磁磁石109が常に磁性体突極延長部10d及びバイパス磁極10aそれぞれと対向するよう規制されている。界磁磁石109は周方向の磁化を持ち,隣接する界磁磁石109の磁化方向は互いに反転して配置されて磁性体突極101,102を互いに異極に磁化している。界磁磁石109内に記載した矢印は磁化方向を示す。本実施例では界磁磁石109及びその支持部分が励磁部を構成し,磁性体突極101,102それぞれを集合磁石及び励磁部が同じ磁化方向に励磁するよう表面磁極部と励磁部の配置が設定されている。
集合磁石を構成する磁石板105,106は界磁磁束を発生すると共に周方向に磁気抵抗の大きな領域を形成する為の磁束バリアの役割をもっている。本実施例に於いては励磁部から十分な界磁磁束を供給出来,また磁束量制御が目的であるので磁石板105,106からの界磁磁束は磁束量制御の観点からは障害になる存在である。中間磁性体突極103中に設けたスリットで構成した磁気空隙部108は磁石板105,106の磁束が通る磁路の磁気抵抗を大として電機子側に流れる界磁磁束への磁石板105,106の寄与を小にする為である。これにより,励磁部を表面磁極部に対して径方向に偏倚させ,電機子側に流れる磁束量を広い範囲で制御出来る。
本実施例では主磁路とバイパスに加えて集合磁石を通る第三の磁路が界磁磁石109に並列接続されている。磁石板105,106部分を空隙として算出した第三の磁路の磁気抵抗を主磁路の磁気抵抗より大になるよう設定する。本実施例では中間磁性体突極103中に設けた磁気空隙部108により第三の磁路の磁気抵抗を主磁路の磁気抵抗を大として主磁路に流入する磁束量が影響されないよう構成する役割も果たしている。
図11は界磁部の一部を拡大した図であって磁束の流れを説明する。磁石板105,106は磁性体突極101をN極に,磁性体突極102をS極に磁化してそれらからの磁束は番号111で示す磁路に沿って流れる。界磁磁石109も磁石板105,106と同じく磁性体突極101をN極に,磁性体突極102をS極に磁化し,磁性体突極延長部10dに流入した磁束は番号112に示す主磁路に沿って図示していない磁性体歯14,隣接する磁性体突極102を通って界磁磁石109に環流する。また界磁磁石109からバイパス磁極10aに流入した磁束は番号113で示すバイパス磁路に沿って隣接するバイパス磁極10bを通って界磁磁石109に環流する。番号115は界磁磁石109の支持部であり,非磁性のステンレススチールで構成している。
隣接するバイパス磁極10a,10bは微小な間隙114を介して対向し,間隙114の間隙長或いは対向する面積を調整してバイパス磁路の磁気抵抗は主磁路の磁気抵抗よりやや大に設定されている。本実施例では回転電機装置の運転中に電機子コイル16に予め定めた定電流負荷を接続して主磁路の磁気抵抗を大としてバイパス磁路の磁気抵抗とほぼ等しい最小磁気力条件に調整する。界磁磁石109を径方向(図11に於いては上下方向)に偏倚させた場合,界磁磁石109の磁極と磁性体突極延長部10d及びバイパス磁極10aそれぞれとの対向する面積の和は一定であり,磁性体突極延長部10d及びバイパス磁極10aそれぞれと接続している主磁路及びバイパス磁路の磁気抵抗は最小磁気力条件に調整されると界磁磁石109に接続される磁気抵抗は一定となり,界磁磁石109の偏倚を妨げる磁気力は小さく抑えられる。
界磁磁石109と磁性体突極延長部10d,磁性体突極延長部10e,バイパス磁極10a,10b間には磁気吸引力が働くが,界磁磁石109の偏倚方向とは直交して偏倚を妨げる磁気力とは成らない。また,それらの磁気力は界磁磁石109の両側で逆方向となるので相殺される。界磁磁石109と磁性体突極延長部10d,磁性体突極延長部10e,バイパス磁極10a,10b間の間隙は可能な限り小として上記磁気力を十分に相殺させ,それらの対向面には二硫化モリブデン等の固体潤滑剤を塗布して摩擦力を軽減させる構成としている。
励磁部を径方向に偏倚制御する手段は図9,図12,図13を参照して説明する。図12は図9に示した励磁部を径方向に偏倚させるガイドプレート93,94,及びそれらの連結構造を示し,一組の界磁磁石109と支持部115のみを示している。図13(a)はスリーブ97の斜視図を,図13(b)は回転軸11の斜視図をそれぞれ示す。励磁部の径方向への偏倚は,2段階に区分されて行われる。すなわち,アクチュエータ1fがプッシュロッド1eを軸方向左右に駆動してスリーブ97を周方向に偏倚させ,スリーブ97の周方向偏倚をガイドプレート93,94により径方向への偏倚に変換して励磁部を偏倚させる。
図9及び図13を参照してアクチュエータ1fがプッシュロッド1eを軸方向左右に駆動してスリーブ97を周方向に偏倚させる構成を説明する。図13(b)に示されるように斜交溝99は回転軸11の軸方向に斜めに延び中空部に貫通する構造であり,図13(a)に示されるようにスリーブ97に固定されたピン131が斜交溝99に貫通係合している。図9に示されるようにスプリング98は回転子の支持部92,スリーブ97間に配置されて右方向にスリーブ97を押すよう付勢され,摺動棒1hはピン131に接触してスリーブ97を同図に於いて左方向にアクチュエータ1f,プッシュロッド1eにより付勢し,スリーブ97は両者の力がバランスする軸方向位置に止まるよう構成されている。アクチュエータ1fがスリーブ97を左右に駆動すると,スリーブ97に固定されたピン131は斜交溝99に係合しているのでスリーブ97を周方向に偏倚させる。さらにスリーブ97の外周には凹状溝132が形成され,ガイドプレート93の内周側突部122が軸方向に摺動可能に係合しているのでスリーブ97の周方向偏倚に従ってガイドプレート93も周方向に偏倚させられる。
図12に示されるようにガイドプレート93,94は3本の連結棒10cで連結されて一体化され,ガイドプレート93が周方向に偏倚されるとガイドプレート94も周方向に偏倚させられる。ガイドプレート93,94には徐々に径を変えながら周方向に延びるガイドグルーブ121が6個配置され,ガイドプレート93,94のガイドグルーブ121には界磁磁石109と支持部115のスライドバー96が摺動可能に配置されている。図12には図をシンプルにする為に一組の界磁磁石109と支持部115のみを示すが,図9に示す実施例では6組の界磁磁石109と支持部115が組み込まれている。界磁磁石109と支持部115は図10に示されるように磁性体突極延長部10d,10e間及びバイパス磁極10a,10b間を径方向に摺動可能に配置され,界磁磁石109と支持部115に固定されたスライドバー96はガイドグルーブ121内を摺動可能に配置されている。ガイドプレート93,94が周方向に偏倚させられると,ガイドグルーブ121内をスライドバー96が摺動して界磁磁石109と支持部115より構成される励磁部を径方向に偏倚させる。
アクチュエータ1fがプッシュロッド1e,摺動棒1hを左方向に偏倚させると,スリーブ97は図13(a)に於いて時計回り方向に回転偏倚し,図12に於いてガイドプレート93,94を時計回り方向に偏倚させて界磁磁石109を内径側に偏倚させ,主磁路を流れる磁束量を減少させる。アクチュエータ1fがプッシュロッド1eを右方向に偏倚させた場合には主磁路を流れる磁束量を増大させる事になる。
種々の要因による各磁路の磁気抵抗は変動するが,本実施例では以下のように回転電機の動作中に磁束量制御を間歇的に行って対処している。回転電機が発電機である場合,電機子コイルには鎖交する磁束の変化を妨げる方向の電圧が誘起され,負荷インピーダンスに応じた電流が流れ,実効的に主磁路の磁気抵抗は大となる。主磁路の磁気抵抗を最小磁気力条件より小に設定し,回転電機の組み立て後に主磁路とバイパス磁路との磁気抵抗を最小磁気力条件に等しくさせる為に電機子コイルに接続する定電流負荷を検出し,回転電機内に設定或いは制御データとして記憶させる。これにより回転電機個々に於ける主磁路の磁気抵抗バラツキを調整出来る。,可動磁極部の偏倚制御時に電機子コイルにに定電流負荷を接続して誘起電圧により予め定めた電流を流して主磁路の磁気抵抗を大とする方向に調整し,同時にアクチュエータを駆動する。定電流負荷を実現する手段には種々の方法があり,電機子コイルへの誘起電圧により予め定めた電流が電機子コイルを流れるよう制御する定電流回路,或いは回転数毎に定めた所定インピーダンスを有する負荷等がある。本実施例では定電流回路(図示していない)を用いている。
電機子コイルを流れる電流により主磁路の磁気抵抗を実効的に変え,可動磁極部の偏倚に要する力を小とできるが,磁性体突極と磁性体歯の位置に応じて切り替わる電流に応答する高い周波数帯での磁気抵抗変動は可動磁極部の振動或いは主磁路及びバイパス磁路間の脈動的な磁束漏洩を誘発して望ましい事ではない。したがって,後者の高い周波数帯での交流磁束は通り難い構成として平滑化する事が望ましい。本実施例では磁性体突極延長部10d,10eを鉄のブロックで構成して交流磁束を通り難い構成としている。界磁磁石109から磁性体突極101,102に至る磁路の磁気抵抗に周波数特性を持たせ,可動磁極部の偏倚に際して必要な低周波数帯の磁気抵抗変化を許容できるよう磁性体突極延長部10d,10eの透磁率,導電率及び寸法諸元を設定する。また,本実施例では界磁磁石109から分流された磁束が磁性体突極延長部10d,10eとバイパス磁極10a,10bとの間の間隙で短絡し難いように界磁磁石109との対向面を離れた部分では間隙長が大となるよう設定している。さらにまた間隙に配置された導体板は交流磁束を通過し難くする効果を期待できる。
以上,図9から図13に示した回転電機に於いて,アクチュエータ1fを駆動制御する事により励磁部を表面磁極部に対して偏倚制御し,磁束量を制御できることを示した。以下には磁束量を制御して出力を最適に制御する回転電機システムを図8のブロック図を用いて説明する。
回転電機が電動機として用いられる場合において,弱め界磁制御を行って回転力を最適に制御する電動機システムを説明する。定電流負荷は回転子の減速駆動を伴い,主磁路の磁気抵抗を実効的に大とする方向への調整であり,磁束量制御は以下のステップで実行される。制御装置85は出力83である回転速度が所定の値より大となり電機子に流れる磁束量を小とする時には電機子コイル16に定電流回路(図示していない)を接続して誘起電圧により予め定めた電流を流して実効的に主磁路の磁気抵抗をバイパス磁路の磁気抵抗以上とし,制御信号86によりアクチュエータ1fを左方向に駆動して励磁部を内周方向に偏倚させ,界磁磁石109と磁性体突極延長部10d,磁性体突極延長部10eとが対向する面積を小にする。偏倚制御後はアクチュエータ1fを停止させて偏倚した励磁部の位置を保持する。回転速度が所定の値より小となり電機子に流れる磁束量を大とする時には電機子コイル16への通電を停止し,制御信号86によりアクチュエータ1fを右方向に駆動して励磁部を外周方向に偏倚させ,界磁磁石109と磁性体突極延長部10d,磁性体突極延長部10eとが対向する面積を大にする。偏倚制御後はアクチュエータ1fを停止させて偏倚した励磁部の位置を保持する。
回転電機が発電機として用いられる場合において,弱め界磁制御を行って発電電圧を所定の電圧となるよう制御する定電圧発電機システムを説明する。定電流負荷は回転子の減速駆動を伴い,主磁路の磁気抵抗を実効的に大とする方向への調整であり,磁束量制御は以下のステップで実行される。制御装置85は出力83である発電電圧が所定の値より大となり電機子に流れる磁束量を小とする時には電機子コイル16に定電流回路(図示していない)を接続して誘起電圧により予め定めた電流を流して実効的に主磁路の磁気抵抗をバイパス磁路の磁気抵抗以上とし,制御信号86によりアクチュエータ1fを左方向に駆動して励磁部を内周方向に偏倚させ,界磁磁石109と磁性体突極延長部10d,磁性体突極延長部10eとが対向する面積を小にする。偏倚制御後はアクチュエータ1fを停止させて偏倚した励磁部の位置を保持する。発電電圧が所定の値より小となり電機子に流れる界磁磁束を大とする時には電機子コイル16に大きなインピーダンス負荷を接続して流れる電流を小とし,制御信号86によりアクチュエータ1fを右方向に駆動して励磁部を外周方向に偏倚させ,界磁磁石109と磁性体突極延長部10d,磁性体突極延長部10eとが対向する面積を大にする。偏倚制御後はアクチュエータ1fを停止させて偏倚した励磁部の位置を保持する。
上記システムの制御に於いて,磁束量を増大させる場合には定電流負荷を電機子コイルに接続せず,主磁路の磁気抵抗をバイパス磁路の磁気抵抗より小の状態として現れる磁気力を可動磁極部偏倚へのアシストに利用した。しかし,前記磁気力が大きすぎる場合には,磁束量を増大させる場合にも電機子コイルに定電流負荷を接続して主磁路の磁気抵抗を調整して前記磁気力を小とさせる。
本実施例で採用した主磁路の磁気抵抗調整手段は回転電機の減速駆動を伴うので,長時間に渡って磁束量制御が連続する場合は回転電機の運転に影響を与える可能性がある。しかし,通常の運転状態では回転速度の変化も磁束量の変更制御も連続的に行われるので大きな問題となる事はない。また,経時変化或いは温度変化により主磁路の磁気抵抗変化が大きく見込まれる場合には主磁路の磁気抵抗の補正条件を学習的に取得する構成を採用する。また,回転電機の運転中に主磁路及びバイパス磁路の磁気抵抗を変動させるパラメータは主に電機子コイルに流れる電流条件,回転速度,温度,可動磁極部の偏倚位置等である。これら動作条件を示すパラメータと最適な定電流負荷条件の初期設定条件からの変動量との関係は同一設計の回転電機では統計データに基づいて推定出来る。回転電機の組み立て後に最適な定電流負荷条件と動作条件を示すパラメータとの間のマップデータを作成して設定し,運転中に最適な定電流負荷条件を選定してさらに円滑な磁束量制御を実現する事が出来る。
本発明による回転電機システムの第三実施例を図14から図17までを用いて説明する。第三実施例は,ラジアルギャップ構造の回転電機システムであり,励磁部を周方向と直交する面内に偏倚制御して電機子を流れる磁束量を制御する。励磁部の偏倚制御時に電機子コイルに最小磁気力電流からずらした電流を供給して磁気力を発生させ,励磁部の偏倚をアシストさせる。図14は回転電機の縦断面図,図15,16は電機子と回転子との構成を示す断面図,図17は励磁部の偏倚手段を示す縦断面図を示す。
図14はラジアルギャップ構造の回転電機に本発明を適用した実施例を示し,回転軸11がベアリング13を介してハウジング12に回動可能に支持されている。電機子はハウジング12に固定された円筒状磁気ヨーク15と,磁性体歯14と,電機子コイル16とから構成されている。回転子は表面磁極部141と表面磁極部141内に配置された励磁部は界磁磁石109及び支持部115を有し,励磁部は可動磁極部として周方向と直交する面内に偏倚するよう構成されている。励磁部を偏倚制御する手段は,番号144,145で示す回転アーム,スライドプレート142,連結棒143,スプリング98,回転軸11に設けられたスリット1c,プッシュロッド1e,摺動棒1h,ハウジング12に固定されたアクチュエータ1fとから構成されている。
図15,16はそれぞれ図14のF−F’,G−G’に沿う電機子及び回転子の断面を示し,相互の関係を説明する為に構成部分の一部に番号を付して示している。電機子の構成は第一の実施例と同じであり,説明は省略する。
図15に於いて,表面磁極部141は電機子との対向面に磁性体突極と永久磁石とを周方向に交互に有する構造である。表面磁極部141は一様な磁性体を周方向に等間隔に配置された永久磁石153によって区分された磁性体突極151,152及び永久磁石153とから構成されている。さらに隣接する磁性体突極151,152は互いに異なる方向に磁化されるよう隣接する永久磁石153の略周方向磁化方向は互いに反転して構成されている。永久磁石153内に記載した矢印は磁化方向を示す。磁性体突極151,152は内周方向への延長部をそれぞれ持ち,それぞれの延長上にバイパス磁極10a,10bが配置されている。界磁磁石109は隣接する磁性体突極151延長部と磁性体突極152延長部間,及び隣接するバイパス磁極10a,10b間に摺動可能に配置されている。さらに界磁磁石109が偏倚する径方向の範囲は周囲の寸法により界磁磁石109が常に磁性体突極151延長部及びバイパス磁極10aそれぞれと対向するよう規制されている。本実施例では界磁磁石109及びその支持部分が励磁部を構成し,磁性体突極151,152それぞれを永久磁石153及び励磁部が同じ磁化方向に励磁するよう表面磁極部と励磁部の配置が設定されている。これが逆の場合には永久磁石153と界磁磁石109とが閉磁気回路を構成し,励磁部の偏倚制御に際して妨げとなる大きな磁気力を発生させ,精密な制御を困難にする。
永久磁石153による界磁磁束への寄与分は励磁部による磁束量の制御範囲を狭くするとの意味に於いては好ましい存在ではない。しかし,磁性体突極先端部の空隙間に永久磁石を配置して空隙部に於ける漏洩磁束を低減する構造,またリラクタンストルクを利用する回転電機に於いて一様な磁性体を周方向に磁化を持つ永久磁石で区分して磁性体突極を形成すると共に磁束バリアとする構造が存在する。本実施例はこのような従来の回転電機に於いて磁束量制御を容易にする実施例として意味がある。第三の実施例は第二の実施例に於いて,集合磁石に替えて永久磁石153を配置した構成であって,励磁部構成,界磁磁石109からの磁束が主磁路及びバイパス磁路に分流する動作原理は第二の実施例と同じであるので説明は省略する。
本実施例では主磁路とバイパスに加えて永久磁石153を通る第三の磁路が界磁磁石109に並列接続されている。永久磁石153部分を空隙として算出した第三の磁路の磁気抵抗を主磁路の磁気抵抗より大になるよう設定する。本実施例では永久磁石153の長さは十分に大として主磁路に流入する磁束量が影響されない。
励磁部を偏倚制御する構成及び動作は図14,16,17を用いて説明する。図14及び図17に示されるように界磁磁石109及び支持部115で構成された励磁部は回転子支持体92と回転アーム144,145により支持されている。回転アーム144,145はピン171により回転子支持体92に,ピン172により励磁部に回動可能に支持され,励磁部は周方向と直交する面内で回転軸11と平行に偏倚可能に構成されている。更に励磁部は連結棒143によりスライドプレート142に連結されている。連結棒143はピン173により励磁部に,ピン174によりスライドプレート142に回動可能に結合され,スライドプレート142の軸方向への偏倚により励磁部が周方向と直交する面内で偏倚させられる構成である。スライドプレート142の3つの突部は回転軸11に設けた3個のスリット1cを介して摺動棒1hに接し,摺動棒1hは回転軸11の中空部内を軸方向に摺動可能に構成されてアクチュエータ1fのプッシュロッド1eと接している。スプリング98は回転子支持体92とスライドプレート142との間に配置されてスライドプレート142を右方向に付勢し,アクチュエータ1fはプッシュロッド1eを軸方向左右に駆動させる構成であるのでスライドプレート142及び界磁磁石109はアクチュエータ1fにより軸方向に偏倚させられる。アクチュエータ1fはステップモータとネジ機構で構成してステップモータを回転駆動する事でプッシュロッド1eを軸方向左右に駆動させ,ステップモータを駆動させない場合はプッシュロッド1eの軸方向位置を保持する構成としている。
図17(a),17(b)は励磁部を含む回転子の一部の縦断面を拡大して示した図であり,図17(a)は励磁部が径方向外側に偏倚して界磁磁石109が隣接する磁性体突極151延長部と磁性体突極152延長部に最大に面積で対向し,主磁路に流れる磁束量が最大となる状態を示している。この場合,アクチュエータ1fはスライドプレート142を軸と平行に左方向に偏倚させ,界磁磁石109を含む励磁部は軸と平行に左方向に偏倚されると共に径方向外方に偏倚させられている。図17(b)は励磁部が径方向内方に偏倚して界磁磁石109が隣接するバイパス磁極10a,10bに最大に面積で対向し,主磁路に流れる磁束量が最小となる状態を示している。この場合,アクチュエータ1fはスライドプレート142を軸と平行に右方向に偏倚させ,界磁磁石109を含む励磁部は軸と平行に右方向に偏倚されると共に径方向内方に偏倚させられている。
励磁部を支持する回転アーム144,145及びピン171,172が配置され,励磁部の偏倚に従って回転アーム144,145及びピン172も偏倚する。回転アーム144,145及びピン171,172が占有するスペースはバイパス磁極10a,10bの一部を切除して割り当てられている。図16は図14に於いて,G−G’に沿う電機子及び回転子の断面図を示し,バイパス磁極10a,10bが微小間隙を介して互いに対向する部分が切除されている。バイパス磁極10a,10bが微小間隙を介して互いに対向する部分の軸方向長さが第二実施例より短くなるが,飽和磁束密度の大きな鉄のブロックで構成されているので互いに対向する部分が磁気的に飽和する懸念はなく,バイパス磁路の磁気抵抗はバイパス磁極10a,10b間の空隙長と共に軸方向長さも考慮して主磁路の磁気抵抗とほぼ等しくなるよう調整されている。
主磁路とバイパス磁路の磁気抵抗を等しく設定する条件は最小磁気力条件として可動磁極部の偏倚に抗する磁気力を最小にできる。量産段階では構成部材の寸法は公差内で変動しさらに磁気特性の変動等が存在して主磁路とバイパス磁路の磁気抵抗が最小磁気力条件から外れてしまう事が多く,各種の磁気抵抗調整手段を提案している。本実施例では磁束量制御に際して,電機子コイルに予め定めた電流を供給して可動磁極部の前記偏倚をアシストさせる方向の磁気力を発生させ,偏倚に必要な力を小とする手段,方法を採用している。
回転子を加速,減速方向に駆動する電流を電機子コイルに供給すると,主磁路の磁気抵抗は実効的にそれぞれ小,大となる。それに伴い主磁路の磁気抵抗がバイパス磁路の磁気抵抗より小或いは大になると可動磁極部は界磁磁石と磁性体突極延長部との対向面積をそれぞれ大,小とする方向の磁気力を受ける。主磁路とバイパス磁路の磁気抵抗を等しくする(最小磁気力条件)電機子コイル電流を最小磁気力電流として次のように偏倚制御を実施する。すなわち,電機子を流れる磁束量を増す場合に磁性体突極延長部と界磁磁石との対向面積を増す方向に偏倚制御手段を駆動すると共に回転子を加速する方向に最小磁気力電流から所定量ずらした電流を電機子コイルに供給し,電機子を流れる磁束量を減じる場合には磁性体突極延長部と界磁磁石との対向面積を減じる方向に偏倚制御手段を駆動すると共に回転子を減速する方向に最小磁気力電流から所定量ずらした電流を電機子コイルに供給して電機子を流れる磁束量を制御する。電機子コイルに流す電流により偏倚制御手段をアシストする磁気力を発生させる構成であって偏倚制御手段に過大なアクチュエータを要する事無く界磁制御を容易とする。
主磁路とバイパス磁路の磁気抵抗を実効的に等しく(最小磁気力条件)させるよう電機子コイルに供給する最小磁気力電流は回転電機の運転状態に応じてマップデータから取得する。回転電機の運転中に主磁路及びバイパス磁路の磁気抵抗を変動させるパラメータは主に温度,可動磁極部の偏倚位置,回転速度等である。これら動作条件を示すパラメータと最小磁気力電流の初期設定からの変動量との関係は同一設計の回転電機では統計データに基づいて推定出来る。回転電機の組み立て後に最小磁気力電流と動作条件を示すパラメータとの間のマップデータを作成して設定する。
磁束量を制御して出力を最適に制御する第三の実施例の回転電機システムを,図8のブロック図を用いて説明する。回転電機が電動機として用いられる場合において,弱め界磁制御を行って回転力を最適に制御する電動機システムを説明する。制御装置85は出力83である回転速度が所定の値より大となり電機子に流れる磁束量を小とする時には回転子を減速する方向に最小磁気力電流から予め定めた量をずらした電流を電機子コイル16に供給し,同時に制御信号86によりアクチュエータ1fを駆動して励磁部を右方向に偏倚させて界磁磁石109と磁性体突極151延長部とが対向する面積を小にする。偏倚制御後はアクチュエータ1fを停止させて励磁部の位置を保持する。回転速度が所定の値より小となり電機子に流れる磁束量を大とする時には回転子を加速する方向に最小磁気力電流から予め定めた量をずらした電流を電機子コイル16に供給し,同時に制御信号86によりアクチュエータ1fを駆動して励磁部を左方向に偏倚させて界磁磁石109と磁性体突極151延長部とが対向する面積を大にする。偏倚制御後はアクチュエータ1fを停止させて励磁部の位置を保持する。
回転電機が発電機として用いられる場合において,弱め界磁制御を行って発電電圧を所定の電圧となるよう制御する定電圧発電機システムを説明する。制御装置85は出力83である発電電圧が所定の値より大となり電機子に流れる磁束量を小とする時には回転子を減速する方向に最小磁気力電流から予め定めた量をずらした電流を電機子コイル16に供給し,同時に制御信号86によりアクチュエータ1fを駆動して励磁部を右方向に偏倚させて界磁磁石109と磁性体突極151延長部とが対向する面積を小にする。偏倚制御後はアクチュエータ1fを停止させて励磁部の位置を保持する。発電電圧が所定の値より小となり電機子に流れる磁束量を大とする時には回転子を加速する方向に最小磁気力電流から予め定めた量をずらした電流を電機子コイル16に供給し,同時に制御信号86によりアクチュエータ1fを駆動して励磁部18を左方向に偏倚させて界磁磁石109と磁性体突極151延長部とが対向する面積を大にする。偏倚制御後はアクチュエータ1fを停止させて励磁部の位置を保持する。
上記の磁束量制御は運転状況に応じて磁束量制御のステップを簡略化出来る。すなわち,回転電機が加速駆動中であり,その加速駆動の程度が磁束量制御の為に回転子を加速する程度以上であれば,偏倚制御手段の駆動のみとする事が出来る。減速駆動中であり,その減速駆動の程度が磁束量制御の為に回転子を減速する程度以上であれば,偏倚制御手段の駆動のみとする事が出来る。回転電機を発電機とする場合には常時減速駆動されている電動機と同じ状態であり,磁束量制御のステップを簡略化出来る。最小磁気力電流をマップデータから取得したが,経時変化が大きい場合には学習的に取得する方法としてさらに精密な磁束量制御が可能になる。
本発明による回転電機システムの第四実施例を図18,図19を用いて説明する。第四実施例は,励磁部を周方向と直交する面内で偏倚制御して電機子を流れる磁束量を制御する。また,バイパス磁路内の空隙長を調整してバイパス磁路の磁気抵抗を調整する手段を有する。図18は回転電機の縦断面図,図19は電機子と回転子との構成を示す断面図を示す。
図18はラジアルギャップ構造の回転電機に本発明を適用した実施例を示し,回転軸11がベアリング13を介してハウジング12に回動可能に支持されている。電機子の構成は第一実施例と同じである。回転子は第三の実施例とほぼ同じ構成であり,表面磁極部を181とし,バイパス磁極を軸方向左に延ばしてバイパス磁極延長部182として回転子の端面に突出させる構成である。バイパス磁極延長部182は円環状磁気コア183と微小間隙を介して対向し,円環状磁気コア183はハウジング12に固定された磁気コア支持体184にネジ機構で支持され,円環状磁気コア183を回転させる事により軸方向に偏倚する構造である。円環状磁気コア183外周にはネジが配置され,ウオームギア185が噛み合うよう配置されている。励磁部を偏倚制御する手段は,第三の実施例と同じである。番号1jはロードセルを示す。
図19は図18のH−H’に沿う電機子及び回転子の断面を示し,相互の関係を説明する為に構成部分の一部に番号を付して示している。電機子の構成は第一の実施例と同じであり,説明は省略する。
図19に於いて,表面磁極部181は一様な磁性体を周方向に等間隔に配置された永久磁石によって区分されて構成され,隣接する磁性体突極を番号191,192及び永久磁石を番号153で代表して示している。さらに隣接する磁性体突極191,192は互いに異なる方向に磁化されるよう隣接する永久磁石153の略周方向磁化方向は互いに反転されている。永久磁石153内に記載した矢印は磁化方向を示す。磁性体突極191,192は内周方向への延長部193,194をそれぞれ持ち,それぞれの延長上にバイパス磁極195,196が配置されている。周方向磁化方向を有する界磁磁石109は隣接する磁性体突極191の延長部193と磁性体突極192の延長部194間,及び隣接するバイパス磁極195,196間に摺動可能に配置されている。さらに界磁磁石109が偏倚する径方向の範囲は周囲の寸法により界磁磁石109が常に磁性体突極延長部193及びバイパス磁極195それぞれと対向するよう規制されている。
本実施例では界磁磁石109及びその支持部115が励磁部を構成し,磁性体突極191,192それぞれを永久磁石153及び励磁部が同じ磁化方向に励磁するよう表面磁極部と励磁部の配置が設定されている。これが逆の場合には永久磁石153と界磁磁石109とが閉磁気回路を構成し,励磁部の偏倚制御に際して妨げとなる大きな磁気力を発生させ,精密な制御を困難にする。磁性体突極延長部193,磁性体突極延長部194は交流磁束が通り難いようにケイ素鋼板の積層体で構成されている磁性体突極191,192より平均的な導電率が大の軟鉄製ブロックで構成されている。励磁部を支持する回転アーム144,145及びピン171,172は励磁部の偏倚に従って偏倚し,それらが占有するスペースはバイパス磁極195,196間に割り当てられている。
表面磁極部及び励磁部の構成は第三実施例に類似するが,隣接するバイパス磁極195,196は磁気的に独立に構成されている点が異なっている。図18に示したようにバイパス磁極195,196は回転子の端部に突出するバイパス磁極延長部182(バイパス磁極195,196の軸方向への延長部を代表して示している)を有し,微小間隙を介して円環状磁気コア183と対向している。界磁磁石109からバイパス磁極195に流入した磁束は,バイパス磁極延長部182,円環状磁気コア183,バイパス磁極延長部182,バイパス磁極196を介して界磁磁石109に環流してバイパス磁路を形成している。バイパス磁路の磁気抵抗をバイパス磁極延長部182と円環状磁気コア183間の微小間隙長を調整して主磁路の磁気抵抗とほぼ等しく設定している。界磁磁石109からの磁束はバイパス磁極195,196中を軸方向に流れるのでバイパス磁極195,196は磁束密度が大きく,等方性である鉄のブロックで構成している。さらに,円環状磁気コア183内を磁束は周方向に流れるので渦電流損を減少させる為に円環状磁気コア183はケイ素鋼板帯をスパイラル状に巻いて径方向に積層して構成している。他に比抵抗の大きい磁性体で構成しても良い。表面磁極部及び励磁部のその他の構成は第三実施例と同じであるので磁束が主磁路及びバイパス磁路に分流される動作の説明は省略する。また,界磁磁石109を含む励磁部の偏倚制御手段は第三の実施例と同じであるので説明は略す。
種々の要因により各磁路の磁気抵抗は変動し,主磁路とバイパス磁路の磁気抵抗の差が大になると,励磁部の偏倚を妨げる磁気力が大になる。本実施例ではバイパス磁路内の間隙の大きさを調整する事により主磁路及びバイパス磁路の磁気抵抗を互いに等しくさせ,種々の原因による磁路の磁気抵抗変化に適応させて前記偏倚を妨げる磁気力を小さく抑制している。図18に示したウオームギア185を図示していないステップモータで駆動して円環状磁気コア183を回転させて磁気コア支持体184との間のネジ機構により円環状磁気コア183を軸方向に偏倚させ,円環状磁気コア183とバイパス磁極延長部182間の間隙長を変える。
図18に於いて,番号1jはロードセルを示している。主磁路とバイパス磁路の磁気抵抗が最小磁気力条件から外れると,界磁磁石109は磁気抵抗の小さい側の磁極(磁性体突極延長部193或いはバイパス磁極195)と界磁磁石109との対向面積を増す方向に偏倚させる磁気力を受ける。アクチュエータ1fは軸方向位置を保持しようとするのでプッシュロッド1e内の圧力は変化し,ロードセル1jにより前記磁気力を検出する事が出来る。磁気力は主磁路とバイパス磁路の磁気抵抗の差に比例するので磁気力を予め定めた範囲内に収まるよう図示していないステップモータでウオームギア185を駆動して円環状磁気コア183を回転させて磁気コア支持体184との間のネジ機構により円環状磁気コア183を軸方向に偏倚させ,円環状磁気コア183とバイパス磁極延長部182間の間隙長を変える。常に両磁路の磁気抵抗を最小磁気力条件に近く維持できるので精密な磁束量制御が可能である。
磁束量を制御して出力を最適に制御する回転電機システムを,図8のブロック図を用いて説明する。回転電機が電動機として用いられる場合において,弱め界磁制御を行って回転力を最適に制御する電動機システムを説明する。制御装置85は出力83である回転速度が所定の値より大となり電機子に流れる磁束量を小とする時には制御信号86を介してアクチュエータ1fを駆動して励磁部を右方向に偏倚させて界磁磁石109と磁性体突極延長部193とが対向する面積を小にする。偏倚制御後はアクチュエータ1fを停止させて励磁部の位置を保持する。回転速度が所定の値より小となり電機子に流れる磁束量を大とする時には制御信号86を介してアクチュエータ1fを駆動して励磁部を左方向に偏倚させて界磁磁石109と磁性体突極延長部193とが対向する面積を大にする。偏倚制御後はアクチュエータ1fを停止させて励磁部の位置を保持する。
回転電機が発電機として用いられる場合において,弱め界磁制御を行って発電電圧を所定の電圧となるよう制御する定電圧発電機システムを説明する。制御装置85は出力83である発電電圧が所定の値より大となり電機子に流れる磁束量を小とする時には制御信号86を介してアクチュエータ1fを駆動して励磁部を右方向に偏倚させて界磁磁石109と磁性体突極延長部193とが対向する面積を小にする。偏倚制御後はアクチュエータ1fを停止させて励磁部の位置を保持する。発電電圧が所定の値より小となり電機子に流れる磁束量を大とする時には制御信号86を介してアクチュエータ1fを駆動して励磁部を左方向に偏倚させて界磁磁石109と磁性体突極延長部193とが対向する面積を大にする。偏倚制御後はアクチュエータ1fを停止させて励磁部の位置を保持する。
本発明による回転電機システムの第五実施例を図20から図22までを用いて説明する。第五実施例は,ラジアルギャップ構造で且つアウターロータ構造の回転電機システムであり,励磁部は回転子内に配置されて遠心力を利用して磁束量を制御する。図20は回転電機の縦断面図,図21は電機子と回転子との構成を示す断面図,図22は励磁部構成を示す為に回転子の一部を拡大した断面図をそれぞれ示す。
図20はアウターロータ構造の回転電機に本発明を適用した実施例を示し,表面磁極部及び励磁部は外周にある回転子に配置されている。基板209に固定軸201が固定され,さらに固定軸201に電機子が固定されている。ロータハウジング202が固定軸201にベアリング203を介して回動可能に支持され,その内側に表面磁極部及び励磁部を含む界磁部207が配置されている。番号20aは外部機器と回転力の伝達の為に回転子のロータハウジング202に設けられたプーリー部を示している。電機子は電機子支持部208上の円筒状磁気ヨーク205と,磁性体歯204と,電機子コイル206とから構成されている。
図21は図20のI−I’に沿う電機子及び回転子の断面図を示し,相互の関係を説明する為に構成部分の一部に番号を付して示している。電機子は電機子支持部208に固定された円筒状磁気ヨーク205と,円筒状磁気ヨーク205から径方向に延び,周方向に磁気空隙を有する複数の磁性体歯204と,磁性体歯204に巻回された電機子コイル206とから構成されている。本実施例では24個の電機子コイル206より構成され,それらは三相に結線されている。磁性体歯204と円筒状磁気ヨーク205はケイ素鋼板から所定の型で打ち抜かれた後,積層して構成され,電機子コイル206が巻回されている。
図21に於いて,ロータハウジング202の内周側に磁性体歯204に対向して界磁部207が配置されている。界磁部207は表面磁極部と励磁部とから構成され,表面磁極部の磁性体歯204との対向面には磁性体突極211,磁気空隙部213,磁性体突極212,磁気空隙部213が周方向に順次配置されている。さらに表面磁極部は磁性体突極延長部方向の外側にバイパス磁極を有し,隣接する磁性体突極211,212延長部間及び隣接するバイパス磁極215,216間にに界磁磁石214が径方向に摺動可能に配置され,バイパス磁極215,216と微小間隙を介して環状磁気コア217が配置されている。隣接する界磁磁石214は互いに磁化方向を反転するよう配置されて隣接する磁性体突極211,212を互いに異極に磁化する。界磁磁石214内の矢印は磁化方向を示す。番号218は界磁磁石214を内径方向に付勢するスプリングを示し,番号219は非磁性体部分を示している。この構成で界磁磁石214が励磁部に相当する。
図22は界磁磁石214周辺の構成を拡大した断面図で界磁磁束の分流制御の説明を行う。界磁磁石214に並列接続する二つの磁気回路の一方である主磁路は界磁磁石214からの磁束が磁性体突極211,磁性体歯204,磁性体突極212を介して環流する磁路であり,他方のバイパス磁路は界磁磁石214からの磁束がバイパス磁極215,円筒状磁気コア217,バイパス磁極216を介して環流する磁路であり,主磁路及びバイパス磁路を流れる磁束をそれぞれ点線222,223で示している。
本実施例では回転電機の平均的な運転条件に於いてバイパス磁極215,216と円筒状磁気コア217間の微小間隙221の対向面積及び間隙長を調整して主磁路とバイパス磁路の磁気抵抗を等しく設定する(最小磁気力条件)。界磁磁石214が磁性体突極211延長部,磁性体突極212延長部と対向する面積及びバイパス磁極215,216と対向する面積との和は常に一定となるので界磁磁石214が径方向に偏倚するに際して妨げとなる磁気力は小さく抑えられる。
回転子が静止状態或いは低回転速度ではではスプリング218が内径側に界磁磁石214を付勢して界磁磁石214の殆どの面積は磁性体突極211延長部,磁性体突極212延長部に対向し,主磁路を流れる磁束量を最大とさせている。回転子の回転速度が増すと界磁磁石214に働く遠心力がスプリング218に抗して外周側に界磁磁石214を偏倚させ,界磁磁石214がバイパス磁極215,216と対向する面積を増す。磁性体歯204側を通る主磁路の磁束量はほぼ界磁磁石214と磁性体突極211延長部,磁性体突極212延長部との対向面積に比例し,回転子の低回転速度では主磁路の磁束量は多く,高回転速度では主磁路の磁束量は少なくなるよう制御される。主磁路を流れる磁束量と回転速度との関係は界磁磁石214の質量とスプリング218の特性及び不要な振動を低減させる為に設定する界磁磁石214とその周囲との間の摩擦係数で設定される。
本発明による第六実施例を図23を用いて説明する。第六実施例は第一実施例の回転電機システムをハイブリッドカーの発電機兼電動機として用いた回転電機システムである。同図に於いて,番号231は第一の実施例で示した回転電機を示し,回転電機231はハイブリッドカーのエンジン232とベルトで回転力を伝達するよう結合された回転軸239を持ち,回転軸239の回転力はトランスミッション233を介して駆動軸23aに伝えられる。制御装置234は上位制御装置からの指令23bを受け,駆動回路235を介して回転電機231を電動機として駆動し,磁束量制御回路236を介して回転電機装置231の磁束量を制御する。更に制御装置234は上位制御装置からの指令23bを受け,電機子コイル16の引き出し線23cに現れる発電電力を整流回路237を介して整流し,バッテリー238を充電する構成としている。
制御装置234は指令23bの指示により駆動回路235を介して回転電機231を電動機として駆動し,エンジン232の回転をアシスト或いは単独で回転軸239を回転駆動させ,トランスミッション233,駆動軸23aを介してハイブリッドカーの駆動力に寄与する。低回転速度域で磁石トルクを強化する必要がある場合は制御装置234が磁束量制御区間72の時間帯に主磁路の磁気抵抗をバイパス磁路の磁気抵抗に実効的に等しくするよう電機子コイル16に駆動回路235を介して最小磁気力電流を供給し,磁束量制御回路236を介して電機子に流れる磁束量を大とするようアクチュエータ1fを駆動して励磁部18を偏倚させて磁性体突極21延長部と界磁磁石24とが対向する面積を大とする。
高回転速度域で弱め界磁とする場合には制御装置234が磁束量制御区間72の時間帯に主磁路の磁気抵抗をバイパス磁路の磁気抵抗に実効的に等しくするよう電機子コイル16に駆動回路235を介して最小磁気力電流を供給し,磁束量制御回路236を介して電機子に流れる磁束量を小とするようアクチュエータ1fを駆動して励磁部18を偏倚させて磁性体突極21延長部と界磁磁石24とが対向する面積を小とする。
エンジン232の回転力のみでハイブリッドカーを駆動できる時は,指令23bにより電機子コイル16の引き出し線23cに現れる発電電力を整流回路237を介して直流に変え,バッテリー238を充電させる。その場合に制御装置234は磁束量制御区間72の時間帯に主磁路の磁気抵抗をバイパス磁路の磁気抵抗に実効的に等しくするよう電機子コイル16に駆動回路235を介して最小磁気力電流を供給し,バッテリー238を充電する最適な電圧になるよう磁束量制御回路236を介してアクチュエータ1fを駆動制御する。バッテリー238を充電する場合に回転電機システムを定電圧発電機とする事で発電電圧を変換するコンバータは不要である。また,更にバッテリー238が電圧の種類の異なる複数種のバッテリーで構成される場合でも切り替え回路を付け加えてそれぞれのバッテリーに最適の発電電圧に制御する事で高価なコンバータを不要に出来る。
本実施例はまたハイブリッドカーの制動時に於けるエネルギー回収システムとしても有効に機能する。指令23bを通じて回生制動の指示を受けると,制御装置234は磁束量制御区間72の時間帯に主磁路の磁気抵抗をバイパス磁路の磁気抵抗に実効的に等しくするよう電機子コイル16に駆動回路235を介して最小磁気力電流を供給し,磁束量制御回路236を介して電機子に流れる磁束量を大とするようアクチュエータ1fを駆動して励磁部18を偏倚させて磁性体突極21延長部と界磁磁石24とが対向する面積を大とし,発電電力でバッテリー238に充電させる。複数のバッテリー238を有する場合には最も充電余力のあるバッテリー238の充電電圧に合わせた発電電圧が得られるよう磁束量制御回路236を介してアクチュエータ1fを駆動制御して電機子に流れる磁束量を制御する。回転電機211は駆動用電動機として用いられる体格であるので回生制動用の発電機として十分な制動力を発生できる。
本実施例は本発明をハイブリッドカーの発電機兼電動機として用いた回転電機システムであるが,電気自動車に於ける回転電機システムとする事も当然に可能である。その場合には上記実施例に於いてハイブリッドカーのエンジン232を取り除き,本発明による回転電機システムのみで駆動及び制動時に於けるエネルギー回収システムを構成する。
以上,本発明の回転電機システムについて,実施例を挙げて説明した。これらの実施例は本発明の趣旨,目的を実現する例を示したのであって本発明の範囲を限定するわけでは無い。上記実施例を組み合わせる,或いは実施例の一部を組み合わせて本発明の趣旨,目的を実現するシステムを完成させる等が可能な事は勿論である。例えば,上記の実施例に於いて電機子は磁性体歯を有する構造が示されたが,従来のアキシャルギャップ構成の回転電機では磁性体歯を配置しない構造例も存在する。また,ラジアルギャップ構成に於いても電機子構成を円筒状磁気ヨーク上に印刷配線された電機子コイルを配置して磁性体歯を持たない例も存在する。本発明は磁性体歯の有無に拘わらず適用可能であり,回転電機システムの仕様に沿って最適の電気子構成を採用する事が出来る。
本発明による回転電機システムは従来の磁石トルク,リラクタンストルクを利用する回転電機の磁石励磁近傍の構成を変えて電機子に流れる磁束量を容易に制御可能とした。同回転電機システムは従来の回転電機と同様に高出力の電動機として利用できる事に加えて実用出来る回転速度範囲を拡大し,更に発電機能を改善し,またその発電機能を制御できる。
移動体の発電機兼電動機システムに用いて,駆動用電動機としては従来以上の回転速度範囲での使用が期待できる他に制動時のエネルギー回収を可能として総合的なエネルギー消費量を改善できる。更に定電圧発電機システムとして広い回転速度範囲で発電電圧を一定に制御できるので定電圧制御回路を不要とし,更に電圧の異なる複数種のバッテリー充電にもコンバータを不要に出来,全体のシステムコストを低減出来る。
第一の実施例による回転電機の縦断面図である。 図1に示された回転電機の電機子と回転子とを示す断面図である。 図1に示された回転電機の電機子と回転子とを示す断面図である。 図1に示された回転電機の回転子構成を示す斜視図である。 図1に示された回転電機の励磁部構成を示す縦断面図である。 図1に示された回転電機の偏倚した励磁部を示す縦断面図である。 主磁路の磁気抵抗調整条件を学習的に取得するタイムチャートを示す図である。 弱め界磁制御を行う回転電機システムのブロック図である。 第二の実施例による回転電機の縦断面図である。 図9に示された回転電機の電機子と回転子とを示す断面図である。 図9に示された回転電機の回転子の一部を拡大して示す断面図である。 図9に示された回転電機のガイドプレート組み立ての斜視図である。 図9に示された回転電機の(a)はスリーブの斜視図,(b)は回転軸の斜視図である。 第三の実施例による回転電機の縦断面図である。 図14に示された回転電機の電機子と回転子とを示す断面図である。 図14に示された回転電機の電機子と回転子とを示す断面図である。 図14に示された回転電機の励磁部を偏倚させる構成を示し,(a)は励磁部が最外周に偏倚された場合,(b)は励磁部が最内周に偏倚された縦断面図をそれぞれ示す。 第四の実施例による回転電機の縦断面図である。 図18に示された回転電機の電機子と回転子とを示す断面図である。 第五の実施例による回転電機の縦断面図である。 図20に示された回転電機の電機子と回転子とを示す断面図である。 図20に示された回転電機の励磁部を拡大して示す断面図である。 第六の実施例による回転電機システムのブロック図である。
符号の説明
11・・・回転軸, 12・・・ハウジング,
13・・・ベアリング, 14・・・磁性体歯,
15・・・円筒状磁気ヨーク, 16・・・電機子コイル,
17・・・界磁部, 18・・・励磁部,
19・・・スプリング, 1a・・・励磁部支持体,
1b・・・回転子支持体, 1c・・・スリット,
1d・・・中空部, 1e・・・プッシュロッド,
1f・・・アクチュエータ, 1g・・・冷却ファン,
1j・・・ロードセル
21,22・・磁性体突極, 23・・・磁気空隙部,
24・・・界磁磁石, 25・・・ベース磁極,
26・・・可飽和磁性体部, 27・・・非磁性体,
28・・・可飽和磁性体結合部
31,32・・バイパス磁極, 33・・・微小間隙
51・・・距離, 52・・・磁性体突極21延長部の長さ,
53・・・バイパス磁極31の長さ, 54・・・界磁磁石24の長さ
71・・・学習区間, 72・・・界磁強度制御区間,
73・・・回転速度, 74・・・界磁磁束量,
75・・・発電電圧, 76・・・時間
81・・・回転電機, 82・・・入力,
83・・・出力, 84・・・状態信号,
85・・・制御装置, 86・・・制御信号,
87・・・駆動制御回路
91・・・表面磁極部, 92・・・回転子支持体,
93,94・・ガイドプレート, 95・・・連結孔,
96・・・スライドバー, 97・・・スリーブ,
98・・・スプリング, 99・・・斜交溝
101,102・・磁性体突極, 103・・・中間磁性体突極,
104,105,106,107・・磁石板,
108・・・磁気空隙部, 109・・・界磁磁石,
10a,10b・・バイパス磁極, 10c・・・連結棒,
10d,10e・・磁性体突極延長部
111・・・磁石板105,106の磁路,
112・・・主磁路, 113・・・バイパス磁路,
114・・・間隙
121・・・ガイドグルーブ, 122・・ガイドプレート93の内周側突部
131・・・ピン, 132・・・凹状溝
141・・・表面磁極部, 142・・・スライドプレート,
143・・・連結棒, 144,145・・回転アーム
151,152・・磁性体突極, 153・・・永久磁石
171,172,173,174・・ピン
181・・・表面磁極部, 182・・・バイパス磁極延長部,
183・・・円環状磁気コア, 184・・・磁気コア支持体,
185・・・ウオームギア
191,192・・磁性体突極, 193,194・・磁性体突極延長部,
195,196・・バイパス磁極
201・・・固定軸, 202・・・ロータハウジング,
203・・・ベアリング, 204・・・磁性体歯,
205・・・円筒状磁気ヨーク, 206・・・電機子コイル,
207・・・磁極部, 208・・・電機子支持部,
209・・・基板, 20a・・・プーリー部
211,212・・磁性体突極, 213・・・磁気空隙部,
214・・・界磁磁石, 215,216・・バイパス磁極,
217・・・環状磁気コア, 218・・・スプリング,
219・・・非磁性体部分
221・・・微小間隙, 222・・・主磁路,
223・・・バイパス磁路
231・・・第一の実施例で示した回転電機,
232・・・ハイブリッドカーのエンジン,
233・・・トランスミッション, 234・・・制御装置,
235・・・駆動回路, 236・・・磁束量制御回路,
237・・・整流回路, 238・・・バッテリー,
239・・・回転軸, 23a・・・駆動軸,
23b・・・上位制御装置からの指令, 23c・・・電機子コイルの引き出し線

Claims (26)

  1. 電機子コイルを有する電機子と,電機子と対向して相対回転可能で且つ電機子と対向して周方向に配置された複数の磁性体突極を有する界磁部とを有する回転電機であって,界磁部には表面磁極部と励磁部とが配置され,表面磁極部は電機子との対向面に複数の磁性体突極が周方向に配置されると共に電機子に面しない側に磁性体突極延長部及びバイパス磁極が配置され,励磁部は周方向磁化を持つ界磁磁石が隣接する磁性体突極延長部間及び隣接するバイパス磁極間に配置され,隣接する界磁磁石は互いに周方向磁化を反転させて隣接する磁性体突極を互いに異極に磁化し,界磁磁石には磁性体突極延長部に流入した磁束が電機子,隣接磁性体突極を介して環流する主磁路及びバイパス磁極に流入した磁束が隣接バイパス磁極を介して主として界磁部内で環流するバイパス磁路とが並列に接続され,表面磁極部或いは励磁部の何れかを可動磁極部として界磁磁石が磁性体突極延長部と対向する面積及びバイパス磁極と対向する面積の和が一定に保たれながら前記それぞれの対向面積を変える事が出来るよう可動磁極部が残余に対して相対偏倚可能に構成され,回転電機システムの出力が最適化されるように前記出力に応じて可動磁極部が偏倚して電機子に流れる磁束量が制御される事を特徴とする回転電機システム
  2. 請求項1記載の回転電機システムに於いて,バイパス磁路の磁気抵抗と主磁路の磁気抵抗とを互いにほぼ等しいとする最小磁気力条件に設定される事を特徴とする回転電機システム
  3. 請求項1記載の回転電機システムに於いて,交流磁束が通り難いよう界磁磁石から磁性体突極に至る磁路は磁性体突極より渦電流損を大とする材質を含んで構成される事を特徴とする回転電機システム
  4. 請求項1記載の回転電機システムに於いて,バイパス磁極は磁性体突極の延長方向に配置され,励磁部を可動磁極部として周方向と直交する面内を偏倚可能に構成される事を特徴とする回転電機システム
  5. 請求項1記載の回転電機システムに於いて,界磁部及び電機子は径方向に対向し,磁性体突極延長部は軸方向に周期的な切除部分を有して切除部分にバイパス磁極が配置され,励磁部に於いて周方向磁化を持つ界磁磁石と非磁性体とが周期的に交互に軸方向に配置され,励磁部を可動磁極部として軸方向に偏倚可能に構成される事を特徴とする回転電機システム
  6. 請求項1記載の回転電機システムに於いて,さらに主磁路或いはバイパス磁路の磁気抵抗を調整する磁気抵抗調整手段を有し,可動磁極部の偏倚に必要な力を小とするよう主磁路或いはバイパス磁路の磁気抵抗が調整される事を特徴とする回転電機システム
  7. 請求項6記載の回転電機システムに於いて,可動磁極部を偏倚させる際に磁気抵抗調整手段によりバイパス磁路の磁気抵抗と主磁路の磁気抵抗とは最小磁気力条件にほぼ等しくなるよう調整される事を特徴とする回転電機システム
  8. 請求項6記載の回転電機システムに於いて,電機子を流れる磁束量を増加する時に最小磁気力条件より主磁路の磁気抵抗は小に或いはバイパス磁路の磁気抵抗は大に磁気抵抗調整手段によって調整され,電機子を流れる磁束量を減少させる時に最小磁気力条件より主磁路の磁気抵抗は大に或いはバイパス磁路の磁気抵抗は小に磁気抵抗調整手段によって調整され,同時に可動磁極部が偏倚される事を特徴とする回転電機システム
  9. 請求項6記載の回転電機システムに於いて,さらに主磁路及びバイパス磁路の磁気抵抗が最小磁気力条件から外れる事により可動磁極部に加わる磁気力検知手段を有し,間歇的に変えられた磁気抵抗調整手段に関係するパラメータ,或いは通常の運転中に変わる前記パラメータと前記磁気力との関係を監視し,前記磁気力を小とする前記パラメータが最小磁気力条件パラメータとして設定される事を特徴とする回転電機システム
  10. 請求項6記載の回転電機システムに於いて,磁気抵抗調整手段をバイパス磁路内に配置された空隙に於ける空隙長を調整する空隙長調整手段で構成し,可動磁極部の偏倚に必要な力を小とするようバイパス磁路の磁気抵抗が調整される事を特徴とする回転電機システム
  11. 請求項6記載の回転電機システムに於いて,磁気抵抗調整手段を回転子を加速或いは減速する方向の予め定められた電流を電機子コイルに供給して主磁路の磁気抵抗を調整する手段で構成し,可動磁極部を偏倚する際に可動磁極部の偏倚に必要な力を小とするよう電機子コイルに予め定められた電流を供給して実効的に主磁路の磁気抵抗が調整される事を特徴とする回転電機システム
  12. 請求項6記載の回転電機システムに於いて,磁気抵抗調整手段を予め定められた定電流負荷とし,可動磁極部を偏倚する際に定電流負荷は電機子コイルに接続され,可動磁極部の前記偏倚に必要な力を小とするよう誘起電圧により予め定められた電流を流し,実効的に主磁路の磁気抵抗が調整される事を特徴とする回転電機システム
  13. 請求項1記載の回転電機システムに於いて,さらに可動磁極部の偏倚規制手段を有し,界磁磁石が磁性体突極延長部と対向する面積及びバイパス磁極と対向する面積の和が一定に保たれながら前記それぞれの面積が変わる範囲内に可動磁極部の相対偏倚量が規制される事を特徴とする回転電機システム
  14. 請求項1記載の回転電機システムに於いて,さらに可動磁極部の偏倚位置を保持する手段を有し,間歇的に電機子を流れる磁束量が制御される事を特徴とする回転電機システム
  15. 請求項1記載の回転電機システムに於いて,表面磁極部に於いて電機子と対向する面には,電機子に対向して磁性体突極と磁気空隙部とが周方向に交互に配置されている事を特徴とする回転電機システム
  16. 請求項1記載の回転電機システムに於いて,表面磁極部に於いて電機子と対向する面には,磁性体突極と略周方向の磁化を持つ永久磁石が周方向に交互に配置され,隣接する磁性体突極を互いに逆方向に磁化するよう隣接する永久磁石は互いに磁化を反転して配置され,励磁部と永久磁石とが磁性体突極を磁化する極性は同じになるよう配置されている事を特徴とする回転電機システム
  17. 請求項1記載の回転電機システムに於いて,集合永久磁石は中間磁性体突極の両側面に同一の略周方向磁化を持つ永久磁石板を配置した等価永久磁石とし,表面磁極部に於いて電機子と対向する面には,磁性体突極と集合永久磁石が周方向に交互に配置され,隣接する磁性体突極を互いに逆方向に磁化するよう隣接する集合永久磁石は互いに磁化を反転して配置され,励磁部と集合永久磁石とが磁性体突極を磁化する極性は同じになるよう配置されている事を特徴とする回転電機システム
  18. 請求項1から請求項17記載の何れかの回転電機システムに於いて,さらに制御装置を有し,回転力を入力とし,発電電力を出力とする回転電機システムであって,制御装置により電機子コイルに誘起される発電電圧が所定の値より大の時は可動磁極部が偏倚されて界磁磁石と磁性体突極延長部とが対向する面積を小とされ,発電電圧が所定の値より小の時は可動磁極部が偏倚されて界磁磁石と磁性体突極延長部とが対向する面積を大とされ,発電電圧が所定の値に制御される事を特徴とする回転電機システム
  19. 請求項1から請求項17記載の何れかの回転電機システムに於いて,さらに制御装置を有し,電機子コイルへの供給電流を入力とし,回転力を出力とする回転電機システムであって,制御装置により回転速度が所定の値より大で電機子を流れる磁束量を減少させる時には可動磁極部が偏倚されて界磁磁石と磁性体突極延長部とが対向する面積を小とされ,回転速度が所定の値より小で電機子を流れる磁束量を増大させる時には可動磁極部が偏倚されて界磁磁石と磁性体突極延長部とが対向する面積を大として回転力が最適に制御される事を特徴とする回転電機システム
  20. 請求項1から請求項17記載の何れかの回転電機システムに於いて,さらに制御装置を有し,電機子コイルへの供給電流を入力とし,回転力を出力とする回転電機システムであって,回転速度を減少させる場合には制御装置により電機子を流れる磁束量を大とされるよう可動磁極部が偏倚されて界磁磁石と磁性体突極延長部とが対向する面積が大とされて回転エネルギーが発電電力として取り出される事を特徴とする回転電機システム
  21. 電機子コイルを有する電機子と,電機子と対向して相対回転可能で且つ電機子と対向して周方向に配置された複数の磁性体突極を有する表面磁極部と,表面磁極部に対向して隣接する磁性体突極を互いに逆極性に磁化するよう配置された界磁磁石を含む励磁部とを有する回転電機の電機子を流れる磁束量を制御する磁束量制御方法であって,励磁部と対向する表面磁極部の側に配置された周方向に隣接する磁性体突極延長部間及びバイパス磁極間に界磁磁石を対向するよう配置し,界磁磁石の一方の磁極から磁性体突極延長部に流入する磁束が電機子及び隣接する磁性体突極を介して他方の磁極に環流する主磁路及び界磁磁石の一方の磁極からバイパス磁極に流入する磁束が主として界磁部内で隣接するバイパス磁極を介して他方の磁極に環流するバイパス磁路を界磁磁石に並列に接続し,表面磁極部或いは励磁部の何れかを可動磁極部として界磁磁石が磁性体突極延長部と対向する面積及びバイパス磁極と対向する面積の和を一定に保ちながら前記それぞれの面積を変えるよう可動磁極部を残余に対して相対的に偏倚可能に構成し,可動磁極部を偏倚させて電機子を流れる磁束量を制御する。
  22. 請求項21記載の磁束量制御方法に於いて以下のステップを含む。バイパス磁路の磁気抵抗及び主磁路の磁気抵抗が互いにほぼ等しいとする最小磁気力条件に設定する。
  23. 請求項21記載の磁束量制御方法に於いて以下のステップを含む。さらに主磁路或いはバイパス磁路の磁気抵抗を調整する磁気抵抗調整手段を有し,可動磁極部の偏倚に必要な力を小とするよう主磁路或いはバイパス磁路の磁気抵抗を調整する。
  24. 請求項23記載の磁束量制御方法に於いて以下のステップを含む。可動磁極部を偏倚させる際に磁気抵抗調整手段によりバイパス磁路の磁気抵抗と主磁路の磁気抵抗とを最小磁気力条件にほぼ等しくなるよう調整する。
  25. 請求項23記載の磁束量制御方法に於いて以下のステップを含む。電機子を流れる磁束量を増加する時に磁気抵抗調整手段は最小磁気力条件より主磁路の磁気抵抗を小に或いはバイパス磁路の磁気抵抗を大に調整し,電機子を流れる磁束量を減少させる時に磁気抵抗調整手段は最小磁気力条件より主磁路の磁気抵抗を大に或いはバイパス磁路の磁気抵抗を小に調整し,同時に可動磁極部を偏倚させる。
  26. 請求項23記載の磁束量制御方法に於いて以下のステップを含む。さらに主磁路及びバイパス磁路の磁気抵抗が最小磁気力条件から外れる事により可動磁極部に加わる磁気力の検知手段を有し,間歇的に変えられた磁気抵抗調整手段に関係するパラメータ,或いは通常の運転中に変わる前記パラメータと可動磁極部に加わる磁気力との関係を監視し,可動磁極部に加わる磁気力を小とする前記パラメータを最小磁気力条件パラメータとして設定する。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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ITUD20120213A1 (it) * 2012-12-07 2014-06-08 Univ Degli Studi Trieste Rotore per un motore elettrico a magneti permanenti

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2012081392A1 (ja) * 2010-12-17 2012-06-21 アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 回転電機
ITUD20120213A1 (it) * 2012-12-07 2014-06-08 Univ Degli Studi Trieste Rotore per un motore elettrico a magneti permanenti

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