JP2009260990A - 基地局、移動通信端末装置およびプライマリセル選択方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】上り無線リンクと下り無線リンクの通信品質が不均衡な、いわゆるリンクインバランスが発生している基地局をプライマリセルとして選択した場合、システム全体のスループットが低下するという問題があった。
【解決手段】本発明は上記のような課題を解決するものであり、本発明にかかる基地局は、移動局から送信された信号を受信して上り無線リンクの状態を推定し、移動局において測定された下り無線リンクの状態を示す状態情報を受信し、上りリンクの品質と下りリンクの品質が、予め設定されたスケジューリング許可条件を満たす場合、移動局へのスケジューリングを許可することにより、リンクインバランスが発生している端末に対してはスケジューリングを許可しないので、システム全体のスループットが増加する。
【選択図】図1
【解決手段】本発明は上記のような課題を解決するものであり、本発明にかかる基地局は、移動局から送信された信号を受信して上り無線リンクの状態を推定し、移動局において測定された下り無線リンクの状態を示す状態情報を受信し、上りリンクの品質と下りリンクの品質が、予め設定されたスケジューリング許可条件を満たす場合、移動局へのスケジューリングを許可することにより、リンクインバランスが発生している端末に対してはスケジューリングを許可しないので、システム全体のスループットが増加する。
【選択図】図1
Description
この発明はW−CDMA(Wideband Code Division Multiple Access:符号分割多重通信)方式で通信を行う基地局、移動通信端末装置に関し、特に端末へのスケジューリングを行うプライマリセルの選択を行う方法に関する。
従来のワイヤレスパケット通信においては、端末にデータが到着次第、データを送信するものであり積極的にスケジューリングを行うことは考慮されていなかった。しかし、送信するデータが高速になるにつれて、端末が送信する電力も大きくなり、必然的に基地局における干渉量も大きくなる。そのため、基地局に設けられたスケジューラにより、各端末の送信を制御することで干渉量の増大を防ぎ、スループットを向上させることが求められている。複数の基地局のうち、端末へのスケジューリングを担当する基地局をプライマリセルもしくはサービングセルと呼ぶ。
しかしながら、FDD(Frequency Division Duplex)を用いた通信システムでは、上り伝送路の通信品質が良好であっても、下り伝送路の通信品質が良好とは限らない。下り伝送路の通信品質が悪い場合、下り伝送路を介して基地局から送信された応答信号(ACK/NACK)を端末が受信することができないため、スループットが低下する。このように、上り伝送路と下り伝送路で通信品質が異なることにより、基地局と端末間で通信不良が発生し、システム全体のスループットが低下する現象をリンクインバランスという。
リンクインバランスの検出方法については特許文献1、上り伝送路の通信品質によってプライマリセルを選択するシステムについては特許文献2、下り伝送路の通信品質によるプライマリセルを選択するシステムについては非特許文献1に開示されている。
3GPP RAN1文書 R1−040492
特許文献1には、リンクインバランスを検出する方法およびその装置について開示されている。しかし、特許文献1が開示しているのは、IS−95と呼ばれるシステムにおいて用いられる方法であって、具体的には、最大アクセスプローブとよばれる端末が、基地局へ接続を試みた回数によって、リンクインバランスの発生をプロトコル的に判断する方法である。
特許文献2には、下りパケット通信を行うために、基地局制御装置が所定の基地局を選択する点が開示されている。この基地局制御装置は、基地局が測定し、基地局制御装置に伝達したSIR(Signal to Interference Ratio)のような上り伝送路の通信品質に基づいて、所定の基地局を選択するものである。特許文献2に開示された基地局制御装置は、基地局を選択するにあたり下り伝送路の通信品質を考慮していない。また、特許文献2に開示された基地局制御装置は、基地局から伝達されたSIRに基づいて所定の基地局を選択するのであるが、基地局から基地局制御装置にSIRを伝達する時間がかかるため、上り伝送路の通信品質が激しく変動する環境下では、適切な基地局を選択できないという問題がある。
非特許文献1には、スケジューリング用のプライマリセルを決定する端末を示唆されている。具体的には、パスロスおよび上り負荷量に基づいて端末はプライマリセルを選択する点が言及されている。
従来の下りパケット通信においては下りの伝送路の品質より、端末がプライマリセルを選択していた。しかし、プライマリセルを選択するにあたり、リンクインバランスの発生を考慮していないため、端末から基地局への上り伝送路の品質がよくない場合、基地局は移動局に対して、過剰な下り送信電力を用いてACK/NACKを送出することになる。本発明は、特にリンクインバランスを考慮してプライマリセルを選択することで、システム全体のスループットを改善する基地局、移動通信端末装置を提供することを主要な目的とする。また、リンクインバランス発生時においても、セル選択およびHARQ方式の選択を切り替えることで、上り伝送路の通信品質を確保し、ACK/NACK送出に必要な下り電力を押さえることができ、さらにはスループットの向上を実現する。
この発明は、上記のような問題点を解消するためになされたもので、リンク数およびそれらのリンク品質に従って、リンクインバランスを回避するプライマリセルを選択および品質を確保するための適切なハイブリッドARQ方法の選択によりスループットを向上させる。さらに上記を実現する端末、基地局、基地局制御装置やその装置を利用した移動体通信システムを提供することを目的とする。
本発明に係る基地局は、移動局から送信され、上り無線リンクを介して伝達された無線リソース割当要求に応じて、移動局に無線リソースの割り当てを行うスケジューリングを行い、このスケジューリングの結果を下り無線リンクを介して移動局に通知する基地局において、移動局から送信された信号を受信して上り無線リンクの状態を推定する上り無線リンク状態推定部と、移動局において測定された下り無線リンクの状態を示す状態情報を受信する下り無線リンク状態情報受信部と、この下り無線リンク状態情報受信部が状態情報を受信しており、かつ上り無線リンク状態推定部が推定した上り無線リンクの状態が、予め設定されたスケジューリング許可条件を満たす場合に、移動局へのスケジューリングを許可するスケジューリング許可判定部とを設けたものである。
本発明に係る移動通信端末装置は、データ送信を行う際に、無線リソースの割り当てを要求するスケジューリング要求信号を、上り伝送路を介して基地局に通知し、下り伝送路を介して通知された前記基地局によるスケジューリング結果に応じて、基地局へのデータ送信を行う移動通信端末装置において、少なくともひとつの基地局から送信された信号を受信して下り無線リンクの状態を推定する下り無線リンク状態推定部と、少なくともひとつの基地局において測定された上り無線リンクの状態を示す状態情報を受信する上り無線リンク状態情報受信部と、上り無線リンク状態情報受信部が状態情報を受信しており、かつ、下り無線リンクの状態が予め設定された条件を満たす基地局を選択するセル選択部と、このセル選択部が選択した基地局に対してスケジューリング要求信号を送信する送信部とを設けたものである。
本発明に係るプライマリセル選択方法は、移動局から送信された信号を受信して、移動局から基地局への上り無線リンクの状態を推定する上り無線リンク状態推定ステップと、基地局から送信された信号を受信して、基地局から移動局への下り無線リンクの状態を示す状態情報を移動局から基地局に送信する下り無線リンク状態情報送信ステップと、下り無線リンク状態情報送信ステップにより送信された、下り無線リンクの状態情報と、上り無線リンク状態推定ステップにより推定された上り無線リンクの状態が所定のスケジューリング許可条件を満足するか判断し、スケジュール許可条件が満足される場合には移動局に無線リソースを割り当てるスケジューリングを許可するスケジューリング許可判定ステップと、このスケジューリング許可判定ステップによりスケジューリングが許可された移動局にスケジューリングを行うとともに、スケジューリング結果を移動局に通知するスケジューリング結果通知ステップと、スケジューリング結果を受信した移動局が基地局をプライマリセルとして決定し、基地局に対してデータを送信するデータ送信ステップとを含むものである。
本発明に係るプライマリセル選択方法は、基地局から送信された信号を受信して、基地局から移動局への下り無線リンクの状態を推定する下り無線リンク状態推定ステップと、移動局から送信された信号を受信して、移動局から基地局への上り無線リンクの状態を示す状態情報を基地局から移動局に送信する上り無線リンク状態情報送信ステップと、上り無線リンク状態情報送信ステップにより送信された、上り無線リンクの状態情報と、下り無線リンク状態推定ステップにより推定された下り無線リンクの状態が予め設定された条件を満たす基地局を選択するセル選択ステップと、このセル選択ステップが選択した基地局に対してスケジューリング要求信号を送信する送信ステップと、スケジューリング結果を受信した移動局が基地局をプライマリセルとして決定し、基地局に対してデータを送信するデータ送信ステップとを含むものである。
本発明に係る基地局は、移動局から送信され、上り無線リンクを介して伝達された無線リソース割当要求に応じて、移動局に無線リソースの割り当てを行うスケジューリングを行い、このスケジューリングの結果を下り無線リンクを介して移動局に通知する基地局において、移動局から送信された信号を受信して上り無線リンクの状態を推定する上り無線リンク状態推定部と、移動局において測定された下り無線リンクの状態を示す状態情報を受信する下り無線リンク状態情報受信部と、この下り無線リンク状態情報受信部が状態情報を受信しており、かつ上り無線リンク状態推定部が推定した上り無線リンクの状態が、予め設定されたスケジューリング許可条件を満たす場合に、移動局へのスケジューリングを許可するスケジューリング許可判定部とを設けたので、リンクインバランスの発生を考慮して、スケジューリング対象となる移動局を適切に選択することができる。
本発明に係る移動通信端末装置は、データ送信を行う際に、無線リソースの割り当てを要求するスケジューリング要求信号を、上り伝送路を介して基地局に通知し、下り伝送路を介して通知された前記基地局によるスケジューリング結果に応じて、基地局へのデータ送信を行う移動通信端末装置において、少なくともひとつの基地局から送信された信号を受信して下り無線リンクの状態を推定する下り無線リンク状態推定部と、少なくともひとつの基地局において測定された上り無線リンクの状態を示す状態情報を受信する上り無線リンク状態情報受信部と、上り無線リンク状態情報受信部が状態情報を受信しており、かつ、下り無線リンクの状態が予め設定された条件を満たす基地局を選択するセル選択部と、このセル選択部が選択した基地局に対してスケジューリング要求信号を送信する送信部とを設けたので、リンクインバランスの発生を考慮して適切にプライマリセルを選択することができる。
本発明に係るプライマリセル選択方法は、移動局から送信された信号を受信して、移動局から基地局への上り無線リンクの状態を推定する上り無線リンク状態推定ステップと、基地局から送信された信号を受信して、基地局から移動局への下り無線リンクの状態を示す状態情報を移動局から基地局に送信する下り無線リンク状態情報送信ステップと、下り無線リンク状態情報送信ステップにより送信された、下り無線リンクの状態情報と、上り無線リンク状態推定ステップにより推定された上り無線リンクの状態が所定のスケジューリング許可条件を満足するか判断し、スケジュール許可条件が満足される場合には移動局に無線リソースを割り当てるスケジューリングを許可するスケジューリング許可判定ステップと、このスケジューリング許可判定ステップによりスケジューリングが許可された移動局にスケジューリングを行うとともに、スケジューリング結果を移動局に通知するスケジューリング結果通知ステップと、スケジューリング結果を受信した移動局が基地局をプライマリセルとして決定し、基地局に対してデータを送信するデータ送信ステップとを実行するので、リンクインバランスの発生を考慮して、適切にプライマリセルを選択することができる。
本発明に係るプライマリセル選択方法は、基地局から送信された信号を受信して、基地局から移動局への下り無線リンクの状態を推定する下り無線リンク状態推定ステップと、移動局から送信された信号を受信して、移動局から基地局への上り無線リンクの状態を示す状態情報を基地局から移動局に送信する上り無線リンク状態情報送信ステップと、上り無線リンク状態情報送信ステップにより送信された、上り無線リンクの状態情報と、下り無線リンク状態推定ステップにより推定された下り無線リンクの状態が予め設定された条件を満たす基地局を選択するセル選択ステップと、このセル選択ステップが選択した基地局に対してスケジューリング要求信号を送信する送信ステップと、スケジューリング結果を受信した移動局が基地局をプライマリセルとして決定し、基地局に対してデータを送信するデータ送信ステップとを実行するので、リンクインバランスの発生を考慮して、スケジューリング対象となる移動局を適切に選択することができる。
実施の形態1.
図1は、パケット通信システムの構成を示す説明図である。端末100はユーザが利用する装置である。端末100は複数の基地局101a、101b、101cのひとつまたは複数と無線を介して通信する。基地局101a、101b、101cは基地局制御装置102を介してネットワーク側(公衆回線網等)と接続される。このようなシステム構成を用いることにより、端末100は複数の基地局との間で無線リンクを保持するソフトハンドオーバー(Soft Hand Over以下、SHO)とよばれる処理を行うことができる。なお、W−CDMAシステムでは端末100をUE(User Equipment)、基地局101をNode−B、基地局制御装置102をRNC(Radio Network Controller)と呼ぶ。高速な上りパケット通信を行うシステムでは、特定の基地局がある端末に対してスケジューリングを担当する場合がある。スケジューリングを担当する基地局をプライマリセルないしサービングセルと呼ぶ場合もある。また、基地局の別名としてセルという用語も使われる。
図1は、パケット通信システムの構成を示す説明図である。端末100はユーザが利用する装置である。端末100は複数の基地局101a、101b、101cのひとつまたは複数と無線を介して通信する。基地局101a、101b、101cは基地局制御装置102を介してネットワーク側(公衆回線網等)と接続される。このようなシステム構成を用いることにより、端末100は複数の基地局との間で無線リンクを保持するソフトハンドオーバー(Soft Hand Over以下、SHO)とよばれる処理を行うことができる。なお、W−CDMAシステムでは端末100をUE(User Equipment)、基地局101をNode−B、基地局制御装置102をRNC(Radio Network Controller)と呼ぶ。高速な上りパケット通信を行うシステムでは、特定の基地局がある端末に対してスケジューリングを担当する場合がある。スケジューリングを担当する基地局をプライマリセルないしサービングセルと呼ぶ場合もある。また、基地局の別名としてセルという用語も使われる。
図2は、パケット通信システムのチャネル構成を示す説明図である。ここでは例としてW−CDMAシステムの端末100と基地局101間の無線区間におけるチャネル構成を説明する。なお、チャネル名称は仮称であり今後変更されることがありうる。また、実際のチャネルの使われ方としては、複数の制御チャネルを一本のチャネルに相乗りさせることも行われる可能性がある。以下、図2を用いて、基地局から端末に対する下り方向のチャネルを説明する。セル全体にすべてのタイミングの基準を報知するCPICH(Common Pilot Channel)200、その他、報知情報を各端末へ報知するためのP−CCPCH(Primary-Common Control Physical Channel)201がある。また、下り方向の共通チャネルを乗せるためのチャネルとしてS−CCPCH(Secondary-Common Control Physical Channel)202がある。さらに、下り方向のチャネルには、上りパケット通信のために利用されるものとして、制御情報の送信用としてスケジューラによる割り当て位置を通知するための制御情報の送信用としてDL-E−DPCCH(Downlink Enhancement-Dedicated Physical Control Channel)205、基地局の受信の成功/失敗を通知するためのACK/NACK( Ack/Nack Channel)208が存在する。なお、DL-E−DPCCH205およびACK/NACK208は独立したチャネルでなく他のチャネルに相乗りさせる形でもよい。
さらに図2を用いて、端末から基地局に対する上り方向のチャネルを説明する。上りパケット通信が利用されるものとして、端末の送信データの有無など端末の状態を基地局のスケジューラに通知するための制御情報を送信するUL−E−DPCCH(UPLINK Enhancements-Dedicated Physical Control Channel)204、上りパケットのデータ本体であるE−DCH(Enhanced Uplink Dedicated Channel)207が存在する。E-TFCI206は、端末100から基地局101に送信したE−DCH207のトランスポートフォーマットを通知する。基地局101は、E−TFCI206を介して端末100から伝達された、E−DCH207のトランスポートフォーマットに基づいて復調を行う。なお、このE−TFCI206は独立したチャネルにしてもよく、UL−E−DPCCH204に相乗りさせてもよい。また、従来のDPCCHのチャネルに相乗りさせてもよい。
上りおよび下り双方のチャネルに設定されるものとして、特定端末との通信のために個々に設定されるDPCH(Dedicated Physical channel)203があり、上りリンク及び下りリンクにそれぞれ設定され、音声やデータ等の通信や上位レイヤのシグナリングのために利用される。DPCH203は、物理チャネルとしてはデータに関するビットを送信するDPDCH(Dedicated Physical Data channel)と制御に関するビットを送信するDPCCH(Dedicated Physical Control channel)に分けて扱われることもある。
図3は、本発明の実施の形態1に係る基地局の構成を示すブロック図である。図3において、変調部400は、各チャネルの信号を多重化して拡散処理し、所望の搬送波に変調する。電力増幅部401は、変調部400から出力された信号を所望の送信電力まで増幅する。電力増幅部401により増幅された信号は、アンテナ402を介して移動通信端末装置(以下、端末)に送信される。また、アンテナ402は端末から送信された電波を受信する。アンテナ402により受信された受信信号は、低雑音増幅部403において復調処理に必要なレベルまで増幅される。復調部404は、端末側で拡散処理に用いた符号と同一の符号を用いて、端末から送信されて基地局が受信した信号に逆拡散処理を施し、元のチャネルの信号に分離する。
また、個別チャネルの通信に必要な構成として、図3に示す基地局は、制御部405、プロトコル処理部406を備える。さらに、図3に示す基地局は、自らが管轄するセルに存在する各端末の送信電力を個別に制御するため、DPCH受信部407、干渉量測定部408、SIR算出部409、TPCコマンド生成部410、DPCH送信部411を備える。DPCH受信部407、干渉量測定部408、SIR算出部409は、移動局から送信された信号を受信して上り無線リンクの状態を推定する上り無線リンク状態推定部である。制御部405は、データの受け渡しやタイミングなどの制御を行う。プロトコル処理部406は、基地局制御装置と基地局との通信の処理を行うとともに、通信のプロトコルを処理する。DPCH受信部407は、復調部404の復調処理により分離されたDPCCHのデータを取り出して干渉量測定部408に出力する。干渉量測定部408は、低雑音増幅部403からの受信強度および復調部404からの既知コード信号を取り除いて干渉量を測定し、測定結果を干渉量通知部419とSIR算出部409に出力する。
干渉量通知部419は、干渉量測定部408が測定した干渉量を、プロトコル処理部406を介して基地局制御装置に通知する。一方、SIR算出部409は、干渉量測定部408が測定した干渉量より信号と干渉の比(SIR:Signal to Interference Ratio)を算出する。SIR算出部409は算出したSIRをTPCコマンド生成部410に出力する。TPCコマンド生成部410は、基地局制御装置から指定されたターゲットSIR値と、SIR算出部409が算出した現在のSIR値を比較する。そして、現在のSIR値がターゲットSIR値より低い場合、TPCコマンド生成部410は、端末に送信電力を増加させるよう指示するTPC(Transmission Power Control)コマンドを生成する。また、現在のSIR値がターゲットSIR値より高い場合、TPCコマンド生成部410は、端末に送信電力を絞るよう指示するTPCコマンドを生成する。DPCH送信部411は、TPCコマンド生成部410が生成したTPCコマンドをDPCCHに挿入し、端末に送信するために変調部400に出力する。
また、スケジューリングに必要な構成として、図3に示す基地局は、E−DPCCH受信部412、スケジューリング要求情報受信部413、上りスケジューラ414、スケジューリング情報シグナリング部415を備える。図3において、E−DPCCH受信部412は、端末から送信されたスケジューリング要求情報を得るために、復調部404が復調して分離したE−DPCCHに含まれるスケジューリング要求情報を復号する。復号されたスケジューリング要求情報はスケジューリング要求情報受信部413において取り出されて、上りスケジューラ414に入力される。上りスケジューラ414は、端末からスケジューリング要求情報が伝達されたことを契機としてスケジューリングを行う。
ここで、スケジューリング処理について説明する。スケジューリングとは、端末から通知されたスケジューリング要求に応じて、基地局が各端末に対して送信タイミングなどの無線リソースを割り当てる無線リソース制御処理である。基地局は、スケジューリング結果を各端末が反映した場合にセル全体のスループットが最も高くなるように、各端末からの送信電力の増加分が送信電力余裕値以内になるよう無線リソースを制御する。スケジューリング要求を行う際、端末は、送信パケットデータのデータ量などの情報を含むスケジューリング要求を基地局に送信する。基地局は、伝送路の品質や端末の送信電力のマージン等に基づいて無線リソースの割り当て(スケジューリング)を行い、そのスケジューリング結果を下りリンク用のチャネルで端末へ通知する。端末は、基地局から伝達されたスケジューリング結果に従って、データ送信用のチャネルにパケットデータを乗せて基地局に送信する。基地局は、端末から送信されたパケットデータの受信判定結果の結果情報(ACK/NACK)を端末に伝達する。このように、基地局が端末に割り当てる無線リソースの制御、すなわちスケジューリングを行うことにより、上り送信で問題となる基地局における干渉量を適切に制御することができ、これにより高速通信を実現しながら無線リソースの節約を実現できる。
同時に複数の基地局と1つの端末が接続状態にあるSHO状態においてスケジューラの動作のさせ方として2通りが存在する。図4に示すように、端末100とスケジューリングを行う基地局101b(スケジューラ)が1対1となる場合、シグナリングや制御はシンプルである。しかし、端末100とスケジューリングを行う基地局101b間の伝送路の通信品質が悪化した場合、ほかの基地局(たとえば101a、101c)にスケジューラを移すには時間がかかる。また、図5に示すように、端末100とスケジューリングを行う基地局101a〜101c(スケジューラ)が1対多となる場合、端末が複数のスケジューラを同時に利用するため、シグナリングや制御は複雑になる。しかし、端末100とスケジューリングを行う基地局101a、101b、101c間のいずれかの伝送路の通信品質が悪化しても、端末は伝送路の通信品質が良好ないずれかの基地局のスケジューラを利用して通信を継続できる。端末が複数の基地局を同時に利用している場合、端末が伝送路の通信品質に応じて、いずれかひとつの基地局に対してスケジューリング要求を指示することも可能である。端末にとって、スケジューリングをする可能性のある基地局は複数あるが、ある時点において端末へスケジューリングする基地局をプライマリセルとみなす。
図3に示す基地局に設けられた上りスケジューラ414は、端末から送信されたスケジューリング要求に応じてスケジューリングを行い、スケジューリング結果をスケジューリング情報シグナリング部415に出力する。スケジューリング情報シグナリング部415は、スケジューリング要求を基地局に送信した各端末に対してスケジューリング結果を送信する。E−TFCI受信部416は、トランスポートフォーマットおよびHARQ情報等を受信する。HARQ受信処理部417は、基地局から伝達されたスケジューリング結果にしたがって、端末が送信した送信パケットデータを含むE−DCHを受信する。応答信号送信部418は、HARQ受信処理部417が端末から送信された送信パケットデータを問題なく受信できた場合にはACK信号を、受信できなかった場合にはNACK信号を端末に通知するために変調部400に出力する。一方、端末から送信された送信パケットデータを受信できなかった場合、上りスケジューラ414は、端末に再度パケットデータを送信させるための再送処理を行う。干渉量通知部419は、基地局で測った干渉量を基地局制御装置に通知する。
また、図3に示す本発明の実施の形態1に係る基地局は、ある端末のプライマリセルであるか基地局自身が判定するのに必要な構成として、負荷量通知部420、スケジュール許可判定部421、CPICHレベル受信部422、プライマリセル選択指示受信部423、閾値受信部424を備える。スケジュール許可判定部421は、予め設定された閾値などのスケジューリング許可条件を用いて、その基地局がスケジューリングを担当するかを判定する。CPICHレベル情報受信部422は、移動局において測定されたCPICH受信レベルを、下り無線リンクの状態を示す状態情報として受信する下り無線リンク状態情報受信部である。プライマリセル選択指示受信部423においては、端末から送信されたプライマリセルの指示を受信する。負荷量通知部420において、上りスケジューラ414の動作状況を得てプロトコル処理部406を経由して基地局制御装置に負荷状況が通知される。プライマリセル選択指示受信部423は、2つのプライマリセル選択の方法が考えられる。
第1の方法は、そのセルがプライマリセルかどうか、端末が基地局に指示するものである。端末がプライマリセルとして指示した基地局では、スケジュール許可判定部421は端末へのスケジューリングを許可し、スケジューラ414を動作させる。端末100が基地局101にプライマリセルであることを指示し、基地局にスケジューリングさせる方法は、基地局制御装置を介在させない分、基地局と基地局制御装置間のシグナリングを省略でき、処理時間が短縮されるという利点がある。第2の方法は、ある端末のプライマリセルになりうる候補セルを、基地局を介して基地局制御装置に通知し、プライマリセル選択するものである。これはプライマリセルのシグナリングをまとめて一度にできるという利点がある。なお、プライマリセルを端末が決定する場合だけでなく、基地局が決定する場合もある。その場合は、端末からの指示はプライマリセル候補であり、その候補から最終的に基地局がプライマリセルを決定する。
図6は、図3に示す基地局と通信する移動通信端末装置の構成を示すブロック図である。図6において、変調部300は、各チャネルの信号を多重化し、所定の拡散符号を用いて拡散処理し、さらに所望の搬送波に変調する。電力増幅部301は、変調部300から出力された信号を所望の電力まで増幅する。電力増幅部301により増幅された信号は、アンテナ302を介して基地局に送信される。また、アンテナ302は基地局から送信された電波を受信する。アンテナ302により受信された受信信号は、低雑音増幅部303において復調処理に必要なレベルまで増幅される。復調部304は、低雑音増幅部303により増幅された受信信号を逆拡散してもとのチャネルの信号に分離する。
また、個別チャネルの通信に必要な構成として、図6に示す移動通信端末装置は、制御部305、プロトコル処理部306、DPCH送信部307、DPCH受信部308、CPICH受信部309を備える。CPICH受信部309は、下り無線リンクの状態を推定する下り無線リンク状態推定部である。制御部305はデータの受け渡しやタイミングなどの制御を行う。プロトコル処理部306は通信のプロトコルを処理するものである。DPCH送信部307やDPCH受信部308は、プロトコルの信号を送受信する。CPICH受信部309は、共通パイロットチャネルの受信を行い、受信した共通パイロットチャネルのレベルをプロトコル処理部306へ渡す。プロトコル処理部306は、CPICH受信部309から伝達された共通パイロットチャネルの受信レベル基づいて、個別チャネルでソフトハンドオーバーをするセルの候補を基地局制御装置へ通知する。また、送信電力制御に必要な構成として、図6に示す移動通信端末装置は、TPCコマンド受信部310を備える。TPCコマンド受信部310は、DPCH受信部308からの制御情報が含まれるDPCCHを取り出し、その中からTPCコマンドを得る。そして、TPCコマンドの指示に従って、電力増幅部301が行う送信電力増幅処理を制御する。TPCコマンドは基地局から端末に対して、端末の送信電力の上げ下げを指示する。
また、基地局側にスケジューリングを要求するための構成として、図6に示す移動通信端末装置は、送信バッファ311、スケジューリング要求情報作成部312、E-DPCCH送信部313、スケジューリング受信部314、送信許可制御部315、E−DCH送信部316、応答信号受信部317、再送制御部318、CPICH受信レベル情報送信部320を備える。送信バッファ311には制御部305からユーザのデータが入力される。スケジューリング要求情報作成部312は、送信バッファ311に入力されたユーザのデータに基づいてスケジューリング要求情報を作成する。E−DPCCH送信部313は、スケジューリング要求情報作成部312が作成したスケジューリング要求情報を送信可能な形にエンコードし、変調部300に出力する。変調部300は、先に説明したとおり、入力された各種送信物理チャネルのデータ(DPDCH、DPCCH、E-DPCCH)のデータを公知の技術により変調し、送信ベースバンド信号として電力増幅部301に出力する。電力増幅部301は、入力した送信ベースバンド信号を無線周波数信号に変換し、アンテナ302を介して基地局に送信する。
端末からのスケジューリング要求情報を受信した基地局はスケジューリングを行う。そして、スケジューリング結果を端末に送信する。基地局側から伝達されたスケジューリング結果に基づいてデータ送信を行う構成として、図6に示す移動通信端末装置は、スケジューリング受信部314、送信許可制御部315、E−DCH送信部316を備える。スケジューリング受信部314は、基地局側のスケジューラからの指示、すなわちスケジューリング結果を受信する。送信許可制御部315は、スケジューリング受信部314が受信した基地局側から伝達されたスケジューリング結果に応じて送信バッファ311から送信データを出力させる。E−DCH送信部316は、送信バッファ311から出力された送信データをE−DCHが送信可能な形にエンコードして変調部300に出力する。基地局は端末から送信された送信データを正常に受信すると、端末に対してACK信号を送信する。また、基地局は端末から送信された送信データが正常に受信できなかったとき、端末に対してNACK信号を送信する。
端末は基地局から伝達されたACK/NACK信号によって、端末から送信したデータが基地局に確実に伝達されたのか認識する。そして、端末はACK信号を基地局から受信した場合には、次に送信する新しいパケットデータを選択し、NACK信号を基地局から受信した場合には、HARQ(ハイブリッドARQ)モードに従った送信データの再送を行う。HARQモードに従ったデータ再送処理については後述するので、本実施の形態では説明しない。基地局から伝達されたACK/NACK信号に応じて新しいデータ送信ないしデータ再送を行う構成として、図6に示す移動通信端末装置は、応答信号受信部317、再送制御部318を備える。基地局から伝達されたACK/NACK信号は、低雑音増幅部303、復調部304にて復調処理されて応答信号受信部317に入力される。応答信号受信部317は、復調処理された受信信号に含まれるACK/NACK信号を認識して再送制御部318に出力する。再送制御部318は、基地局から伝達された信号がACK信号である場合には次の新しいパケットデータを選択し、NACKの場合はHARQモードに従った再送処理を行う。
なお、ハイブリッドARQ(Automatic Repeat reQuest)とは、ARQ方式とFEC(Forward Error Correction)との組み合わせにより品質を向上させる技術であり、品質が変化する伝送路に対しても再送により誤り訂正が有効に機能するという利点がある。特に再送にあたって初送の受信結果と再送の受信結果の合成をすることで更なる品質向上を得ることも可能である。
リンクインバランスが発生すると、以下のような問題が発生する。たとえば、上りリンクの品質が良好で、下りリンクの品質が不良である場合、基地局は端末から送信された信号を問題なく受信できるが、端末は基地局から送信された応答信号(ACK)を受信できない。基地局からのACK信号を受信できなかった端末は、基地局に信号が届いていないと判断して再送処理を行うので、システム全体のスループットが劣化する。逆に上りリンクの品質が不良で、下りリンクの品質が良好である場合、端末は基地局からのNACK信号に基づいてデータを再送し、あるいは過剰な送信電力で通信をするので、システム全体のスループットが劣化する。
リンクインバランスが発生している状況でプライマリセルを選択すると、以下のような問題が発生する。たとえば、下り伝送路の通信品質に基づいてプライマリセルを選択した場合、そのプライマリセルの基地局と端末間の下り伝送路の品質は良好であるにも関わらず、上り伝送路の品質が良好でない場合がある。このような場合、基地局は端末から送信された信号を受信できないため受信エラーと判定し、端末にNACK信号を送信する。基地局からNACK信号を受信した端末は、事前に定められた制限回数(時間)まで前回送信したパケットデータを再送することになる。このように、下り伝送路の通信品質が良好でも上り伝送路の通信品質が悪いセルはプライマリセルとして適切ではない。
逆に、上り伝送路の通信品質に基づいてプライマリセルを選択した場合、図7に示すように、上り伝送路の通信品質が良好で下り伝送路の通信品質が悪い基地局101bが端末100のプライマリセルとして選択される。このような場合、基地局101bは端末100から送信された信号を問題なく受信できるため、応答信号として端末100にACK信号を送信する。しかし、下り伝送路の通信品質が悪いので、端末100は基地局101bからのACK信号を適切に受信できず、前回送信したデータが基地局で受信できなかったものと判断する。そして、事前に定められた制限回数(時間)まで、端末100は基地局101bにデータを再送することになる。このように、上り伝送路の通信品質が良好でも下り伝送路の通信品質が悪い基地局101bはプライマリセルとして適切ではない。むしろ、上り伝送路の通信品質は基地局101bよりも劣るものの、下り伝送路の品質が良好な基地局101aを端末100のプライマリセルとして選択すべきである。上り高速パケット通信を有効に機能させるためには、上り伝送路および下り伝送路の品質がともに良好であることが必要であり、リンクインバランスが発生していないセルをプライマリセルとして選択することが望ましい。そのためには上り品質のみや下り品質のみではなく両者を考慮したセル選択が必要となる。
図8は本発明の実施の形態1に係る基地局が実行する、上下品質を考慮したプライマリセル選択処理を説明するフローチャートである。基地局は、SIRを測定することにより上り伝送路の状態、たとえば通信品質を推定する。また、基地局は端末から通知されたCPICH受信情報を状態情報として受信し、このCPICH受信レベルに基づいて下り伝送路の通信品質を判断する。このように、基地局がプライマリセルを選択するシステムは、上り伝送路の通信品質の変化に応じた適切なプライマリセル選択ができる。また、上り伝送路および下り伝送路の通信品質に基づいてプライマリセルを選択するので、リンクインバランスが発生しているプライマリセルとして選択することを防止することができ、システム全体のスループットを改善することができる。
以下、図8に基づいて上り伝送路および下り伝送路の通信品質を考慮したプライマリセル選択処理を説明する。ステップST700において、端末は、基地局が端末にタイミングの基準を報知するために用いるCPICH(Common-Pilot Channel)を受信する。このとき、端末は在圏するセルの基地局から送信されたCPICHのみならず、隣接するセルの複数の基地局からCPICHを受信している。ステップST701において、端末は、受信した複数の基地局からのCPICH受信信号の受信レベルを比較して、ACK/NACK応答信号を問題なく受信できる、下り伝送路の通信品質が良好な基地局を特定する。そして、ステップST702において、端末は、CPICHの受信レベルに基づいて判断した受信品質の良好な基地局へ受信CPICHのレベルを状態情報として通知する。端末は、CPICHの受信レベルが悪い基地局に対して、受信CPICHレベルの通知は行わない。このように、端末から基地局に受信CPICHの受信レベルを通知することにより、基地局は下り伝送路の通信品質を認識することができる。言い換えれば、端末は、CPICH受信レベルが良好でない基地局へはCPICH受信レベルの通知を行わないので、基地局側ではCPICH受信レベルを通知してきた端末への下り伝送路の品質は良好なものとみなすことができる。ステップST703において、端末はDPCH送信部307からDPCCHを送信する。
図31は、端末から基地局へ下り伝送路の通信品質情報を通知する信号のフォーマットを示す図である。図31(a)に示す信号のフォーマットは、ACK/NACK部700とCQI(Channel Quality Indicator)部701を含んでいる。下りパケット通信用のCQIはセルを区別する必要はない。一方、図31(b)に示す上りパケット用のフォーマットは、ACK/NACK部700の替わりに、基地局識別子702を含んでいる。また、基地局識別子702は、リンク数によってビット数が増えるため、SHOの各リンクのうち上位の品質のよいもののみに割り付けてビット数を減らすことも考えられる。
基地局制御装置は、ステップST704において、各基地局から過去に通知されたSIR値を比較してプライマリセル選択に用いる閾値を決定し、ステップST705において、閾値を各基地局へ通知する。なお、基地局制御装置は、閾値としてではなくTarget SIR値を各基地局に通知するようにしてもよい。基地局は、基地局制御装置から通知された閾値よりも端末からの上り伝送路の品質がよければ、その端末がその基地局自身とのみ無線リンクを張っている場合(1対1型)にはプライマリセル選択を行う。また、その端末がSHO状態であれば(1対多型)、その端末に無線リソースを割り当てるため、スケジューラを動作させる。ステップST706において、基地局のDPCH受信部407は、端末から送信されたDPCCH信号からパイロット強度を得る。そして、ステップST707において、基地局の干渉量測定部408は干渉を測定する。ステップST706で得たパイロット強度とステップST707で測定した干渉に基づいて、基地局のSIR算出部409は、ステップST708でSIRを算出する。こうして算出したSIRにより、基地局は上り伝送路の通信品質を認識することができる。
ステップST709において、基地局のスケジュール許可判定部421は、端末から通知された状態情報であるCPICH受信レベルを受信し、かつ、ステップST708で算出したSIRが所定のスケジューリング許可条件、ここでは閾値を超えているか判断する。基地局は、CPICH信号を端末から受信していれば、基地局から端末への下り伝送路の通信品質が良好であると判断でき、かつSIRが所定の閾値を超えていれば端末から基地局への上り伝送路の通信品質が良好であると推定できる。このように、基地局は上り伝送路と下り伝送路の通信品質に基づいてプライマリセルの選択を行う。ステップST709の条件が満たされる場合、基地局は上り伝送路および下り伝送路ともに通信品質が良好であると判断してスケジューリングを許可し、ステップST710において、その端末のプライマリセルとしてスケジューリング処理を行う。そして、スケジューリング結果をその端末に通知する。一方、ステップST709の条件が満たされない場合、基地局は、CPICH受信レベルを通知してきた端末への下り伝送路の品質は良好であるものの、上り伝送路の通信品質に問題があり、いわゆるリンクインバランスが生じていると判断する。この場合、基地局はその端末のスケジューリング処理は行わない。つまり、基地局自身がその端末のプライマリセルとしては不適と判断することになる。ステップST712において、端末は基地局から通知されたスケジューリング結果に基づいて、E−DCH送信部316からE-DCHを送信する。
上記説明の本発明の実施の形態1に係る基地局は、端末からCPICH受信レベルが通知されることにより、基地局から端末への下り伝送路の通信品質が良好であることを認識する。また、基地局は、端末から送信されたDPCCH信号のパイロット強度と干渉から求められたSIRを閾値と比較することにより、端末から基地局への上り伝送路の品質が良好か判定する。そして、下り伝送路の品質と上り伝送路の品質がともに良好であれば、その端末に無線リソースを割り当てるスケジューリング処理を行う。このように、基地局自身が端末との上りおよび下り伝送路にリンクインバランスが発生していないか判断し、その端末のプライマリセルとして適当か判断するので、基地局と移動局間で不要の通信を抑制することができ、スループットを改善することができる。また、基地局制御装置ではなく、基地局が所定の移動局のプライマリセルとして適当か判断するので、たとえば、上り伝送路の通信品質などを基地局制御装置に通知する処理が不要となる。したがって、プライマリセル選択処理に要する時間を短縮でき、上り伝送路の通信品質の変化に速やかに対応することができる。より詳細には、伝送路の変化に速やかに対応できることにより、AMC(Adaptive Modulation and Coding:適応変調符号化)を現在の伝送路品質に応じて適切に実行することが可能となり、伝送エラーの低減およびスループットの向上という効果を得ることも期待できる。
上記説明の基地局は、端末が測定したCPICH受信レベルが状態情報として通知されたことに基づいて、下り伝送路の通信品質が良好と判断していた。そして、SIRに基づいて上り伝送路の品質が良好と推定すれば、その端末へのスケジューリング処理を行っていた。しかし、端末から単にCPICH受信レベルを状態情報として通知するのではなく、CPICH受信レベルに応じて上り伝送路の通信品質を「間引く」ための係数(選択ペナルティ)を、状態情報として基地局に通知する方法も考えられる。そこで、図9を用いて、端末から通知された「選択ペナルティ」に基づいて、プライマリセル選択を行う基地局の処理について説明する。なお選択ペナルティとは、基準となるCPICH受信レベルよりも悪いCPICH受信レベルにペナルティ係数を設定するものであるが、逆に、基準となるCPICH受信レベルよりも良好なCPICH受信レベルに係数を設定してもよい。いずれにせよ、基準となるCPICH受信レベルに対して相対的に係数を設定するものであり、いずれを採用しても差し支えない。なお、ペナルティを送信することは一例であり、ペナルティ値を送信する替わりに、現在の品質を状態情報として送信(品質インジケータ)し、それをもとに受信側でペナルティを得るように構成しても、同様の効果を得ることができる。
図9は、本発明の実施の形態1に係る基地局が実行する、上下品質を考慮したプライマリセル選択処理の変形例を説明するフローチャートである。なお、図9には図示していないが、図9のステップST1100を実行する前に図8に示すステップST700、ステップST701、ステップST703を実行しているものとする。また、基地局は、ステップST1101を実行する前に図8に示すステップST706〜ステップST708を実行しているものとする。図9に示すフローチャートでは、上り伝送路の通信品質として基地局で測定し、上り無線リンク状態推定結果として求めたSIR、下り伝送路の通信品質として端末から通知された選択ペナルティに基づいてプライマリセルが決定される。ここでいう選択ペナルティとは、下り伝送路の通信品質が悪いセルを選択しないようにするため、下り伝送路の通信品質が良くない場合、上り伝送路の通信品質を下り伝送路の通信品質に基づいて「間引き」、実際の上り伝送路の通信品質よりも仮想的に悪い品質とみなすための一種のパラメータである。選択ペナルティ係数を基地局に通知することにより、CPICH受信レベルを基地局に通知するよりもビット数や通信回数を減少させることができる。
図9のステップST1100において、端末は、CPICH受信部309が測定したCPICHレベルに基づいて、プライマリセル選択部319において選択ペナルティ値を算出する。そして、プライマリセル選択部319が算出した選択ペナルティ値を、E−DPCCH送信部313を介して基地局へ通知する。基地局は、ステップST1101において、SIR算出部409が算出した上り伝送路の通信品質(SIR)を、端末から通知された選択ペナルティを用いて補正する。この処理により、上り伝送路の通信品質がよいセルであっても、下り伝送路の通信品質が悪い場合には、選択ペナルティ係数によって、上り伝送路の通信品質が「間引き」補正され、上り伝送路の通信品質が実際より低いものとみなされる。ステップST1102において、基地局は、端末から通知された選択ペナルティにより補正された上り伝送路の通信品質(みなし上り伝送路品質とよぶ)が閾値を越えているかを判断する。みなし上り伝送路品質が閾値以上であれば、ステップST1103においてスケジューリング処理を行う。そして、ステップST1104において、スケジューリング結果を端末に通知する。
上記説明の「選択ペナルティ」とは、プライマリセル選択時に逆方向のチャネルの品質を反映した補正係数もしくは補正閾値であり、具体的な決定方法の例を以下に示す。図10は、選択ペナルティ決定処理を説明するフローチャートである。図10に示す選択ペナルティ決定処理は、図9のステップST1100において端末により実行されるものである。以下、図10を参照しながら、選択ペナルティ決定処理の詳細について説明する。ステップST1500において、端末100は複数の基地局からCPICHを受信し、各CPICHの受信レベルを測定する。ステップST1501において、端末100は、測定した複数のCPICHの受信レベルに基づいて、最もCPICH受信レベルのよいセルを特定し、このセルのCPICH受信レベルを「1」(100%)とする。そして、ステップST1502において、端末100は、測定した複数のCPICH受信レベルのうち、ACK/NACKを受信できる程度の受信レベルは有するものの、最もCPICH受信レベルがよくないセルを特定し、このセルからのCPICH受信レベルを「0」(0%)とする。以上の処理で、端末100は、ACK/NACKを受信できるセルのうち、最もCPICH受信レベルのよいセルと、最もCPICH受信レベルが悪いセルを認識したことになる。さらに端末100は、ステップST1503において、「1」としたCPICH受信レベルと「0」としたCPICH受信レベルを基準として、各セルのCPICH受信レベルを0%〜100%の間で係数を設定する。そして、端末100は上記説明のように設定したペナルティ係数をCPICH受信レベルを測定した各基地局101に通知する。
図11は、図10に示すような処理を行って設定した選択ペナルティ係数を基地局に通知する信号のフォーマットを示す図である。図11に示す信号は、基地局識別子600と係数601を含む。基地局識別子600は選択ペナルティ係数の通知先となる基地局を識別するための識別子である。使用チャネルによって基地局が自動的に識別できる場合、たとえば、送信先となる基地局と個別に対応付けられる個別チャネルを用いて選択ペナルティ係数を基地局に通知する場合には、図11に示す信号から基地局識別子600を省略することができる。選択ペナルティ係数601は、実際の通信品質より低い値とみなす比率を送信する。なお係数の値の示し方としては真値でもよく、対数的な値でもよい。
図12は、ある基地局において、選択ペナルティ係数を用いずにプライマリセルを選択する場合と、選択ペナルティ係数を用いてプライマリセルを選択する場合の比較例を示す説明図である。以下の説明をするにあたり、上り伝送路の通信品質は端末2よりも端末1が良好であり、下り伝送路の通信品質は端末1よりも端末2が良好であると仮定する。また、下り伝送路の通信品質に基づいて、端末1は50%、端末2は100%の選択ペナルティ係数を基地局に通知しているものとする。図12(a)はある基地局がそれぞれ測定した端末1および端末2の上り伝送路の通信品質A、B(ともに上りSIR値)を用いてプライマリセルを選択するケースについて説明するものである。また、図12(b)はある基地局がそれぞれ測定した端末1および端末2の上り伝送品質を、端末1および2から通知された選択ペナルティ係数(係数が50%、100%)を用いて間引き補正した「みなし上り品質」CおよびDを用いてプライマリセルを選択するケースについて説明するものである。図12(a)の場合、端末1の上り伝送品質A、端末2の上り伝送品質Bともに閾値THを超えているので、基地局はいずれの端末のプライマリセルとなってもかまわない。
一方、図12(b)は、ある基地局がそれぞれ測定した端末1および端末2の上り伝送路の通信品質A、Bを、選択ペナルティ係数により補正したみなし上り品質C、Dを用いてプライマリセルを選択する場合を説明するものである。この場合、端末1のみなし上り品質Cは閾値THを下回るが、端末2のみなし上り品質D(=上り品質B)は閾値THを上回るので、基地局は端末2をプライマリセルとして動作し、端末2のスケジューリングを行う。このように、上記説明の基地局は、下り伝送路の通信品質が反映された選択ペナルティ係数を用いて上り伝送路の通信品質を補正してみなし上り伝送路品質を求め、プライマリセルを選択するので、下りチャネルのACK/NACKエラーによるスループットの減少を防ぐことができる。
図9に示すプライマリセル選択処理は、端末が基地局に下り伝送路の通信品質に応じた選択ペナルティを通知し、基地局はこの選択ペナルティに応じて上り伝送路の通信品質を補正することで、上り伝送路の通信品質が良好でも下り伝送路の通信品質が悪い端末のスケジューリングを行わないようにしていた。しかし、端末が基地局に下り伝送路の通信品質に応じた選択ペナルティを通知するのではなく、基地局がプライマリセル選択に用いる閾値、つまりスケジューリング許可条件を下り伝送路の通信品質に応じて調整するようにしても良い。そこで、図13を用いて、下り伝送路の通信品質に応じて基地局側の閾値を調整するプライマリセル選択処理について説明する。
図13のステップST1200において、基地局制御装置はプライマリセル選択処理に用いる閾値を、たとえばパスロス情報に基づいて設定して各基地局に通知する。一方、ステップST1201において、端末は下りCPICH受信レベルを測定する。もし下りCPICH受信レベルが低い(つまりACK/NACKのエラーとなる確率が高い)場合、ステップST1202において、端末は、E−DPCCH送信部313を介してプライマリセル選択に用いられる閾値を上げる制御コマンドを状態情報として基地局へ通知する。端末から基地局に閾値を上げるよう通知した結果、スケジューリングを行って無線リソースを割り当てる基地局がなくなってしまう可能性がある。そこで、端末は、ステップST1203において、スケジューリング情報受信部314が基地局からスケジューリング結果が通知されるか監視することで、スケジューリングを行う基地局があるか判定する。
スケジューリングを行う基地局の有無を判定する方法として、スケジューラからの通知により判断する方法と端末が自身で判断する方法が考えられる。スケジューラからの通知により判断する方法では、基地局は、SIRレベルが閾値を越えたら端末に対してスケジューリング情報としてスケジューリング対象である通知をする。一方、SIRレベルが閾値を超えない場合、端末にスケジューリング対象外である通知をする。端末が自身で判断する方法では、端末は、一定期間内にスケジューリング情報が来る基地局はスケジューリング対象とみなし、一定期間内にスケジューリング情報が来なかった場合はその基地局はスケジューリング対象外になったとみなす。スケジューリング結果を通知する基地局がないと判断した場合、ステップST1204において、端末は、E−DPCCH送信部313を介してプライマリセル選択に用いられる閾値を下げるコマンドを状態情報として基地局へ通知する。
閾値制御コマンドを基地局へ通知する方法として、閾値を値として送信する方法と閾値の上げ下げを指示する制御コマンドを送信する方法が考えられる。図14は、閾値を基地局に通知する信号のフォーマットを示す図である。図14(a)は、閾値の値を基地局に通知する際に用いる信号フォーマットであり、図14(b)は、閾値の上げ下げを指定するコマンドを基地局に通知する際に用いる信号フォーマットである。図14(a)のように、閾値を基地局に送信する場合には、基地局識別子800と閾値801、エラーを検出するためのCRC802を付加する。そのチャネルの受信先が特定の基地局だけとなっている場合は、基地局識別子800は省略できる。CRC802を信号フォーマットに含ませることは必須ではない。しかし、受信を誤った場合に閾値が大きく変化してしまうため、エラー時に閾値の変更をしないために必要とするものである。閾値を直接基地局に通知する利点として、基地局側で閾値を速やかに変化させることができる点にある。しかしながら、通信するシグナリングは多くなるという問題もある。これを乗せるチャネルとしては末から基地局への制御情報を伝達するためにはUL−E−DPCCH204を利用する。
また、図14(b)に示すフォーマットを用いて、閾値の上げ下げを指定するコマンドを基地局に通知する方法もある。図14(b)に示す信号フォーマットは、基地局識別子800、閾値上下コマンド804を含む。閾値上下コマンド804は、閾値を上げ/下げを指定するものであるから、情報量としては1ビットで済む。しかし、複数ビット利用することもでき、複数ビット存在することでステップ幅を増やすことができる。また、1つのコマンドを複数ビットに渡って冗長に表現することでエラーを防ぐこともできる。これを乗せるチャネルとしては末から基地局への制御情報を伝達するためにはUL−E−DPCCH204を利用するが、シグナリングビット数が少ない場合には従来の個別チャネルの一部であるDPCCHに存在するフィードバックビット(FBI)を利用することも可能である。
実施の形態2.
実施の形態1では、リンクインバランス発生時に適切なプライマリセル選択処理を実行するため、基地局が上り伝送路および下り伝送路の通信品質を考慮して、プライマリセルの選択処理をしていた。しかし、端末に上り伝送路と下り伝送路の通信品質を考慮したプライマリセル選択処理を実行させることも可能である。図15は本発明の実施の形態2に係る端末の構成を示すブロック図である。図15において、プライマリセル選択部319は、上り無線リンクの状態情報を受信しており、かつ下り無線リンクの通信品質が予め設定されたスケジューリング許可条件を満たす基地局を選択するセル選択部であり、スケジューリング処理を行うプライマリセルを上り伝送路の通信品質と下り伝送路の通信品質を考慮して選択する。DPCH受信部308は、基地局において測定された上り無線リンクの状態を示す状態情報、たとえばSIR値を受信する上り無線リンク状態情報受信部である。なお、図15において図6と同一の符号は同一又は相当部分を示すので説明は省略する。また、図16は図15に示す移動通信端末装置と通信を行う基地局の構成を示すブロック図である。図16に示す基地局は、図3に示す基地局からプライマリセル選択に必要な構成である、負荷量通知部420、スケジュール許可判定部421、CPICHレベル情報受信部422、プライマリセル選択指示受信部423、閾値受信部424を除いたものである。図16に示すその他の符号は図3に示す符号と同一又は相当部分を示すので説明は省略する。
実施の形態1では、リンクインバランス発生時に適切なプライマリセル選択処理を実行するため、基地局が上り伝送路および下り伝送路の通信品質を考慮して、プライマリセルの選択処理をしていた。しかし、端末に上り伝送路と下り伝送路の通信品質を考慮したプライマリセル選択処理を実行させることも可能である。図15は本発明の実施の形態2に係る端末の構成を示すブロック図である。図15において、プライマリセル選択部319は、上り無線リンクの状態情報を受信しており、かつ下り無線リンクの通信品質が予め設定されたスケジューリング許可条件を満たす基地局を選択するセル選択部であり、スケジューリング処理を行うプライマリセルを上り伝送路の通信品質と下り伝送路の通信品質を考慮して選択する。DPCH受信部308は、基地局において測定された上り無線リンクの状態を示す状態情報、たとえばSIR値を受信する上り無線リンク状態情報受信部である。なお、図15において図6と同一の符号は同一又は相当部分を示すので説明は省略する。また、図16は図15に示す移動通信端末装置と通信を行う基地局の構成を示すブロック図である。図16に示す基地局は、図3に示す基地局からプライマリセル選択に必要な構成である、負荷量通知部420、スケジュール許可判定部421、CPICHレベル情報受信部422、プライマリセル選択指示受信部423、閾値受信部424を除いたものである。図16に示すその他の符号は図3に示す符号と同一又は相当部分を示すので説明は省略する。
図17は、本発明の実施の形態2に係る移動通信端末装置のプライマリセル選択処理を示すフローチャートである。以下、図17を用いてプライマリセル選択処理について説明する。ステップST800において、基地局は端末から基地局への上り伝送路の通信品質を測定し、測定した上り伝送路の通信品質を状態情報として端末に通知する。この上り伝送路の通信品質としては上り個別チャネルのSIR値を利用する。ステップST801において、端末はCPICH受信部309により、基地局からのCPICHを受信する。このCPICHの受信レベルを測定することにより端末は下り伝送路の通信品質を認識することができる。そして、ステップST802において、端末は、基地局から通知された上り伝送路の通信品質と、CPICHを受信することにより測定した下り伝送路の通信品質に基づいてプライマリセルを選択する。具体的には、上り伝送路の通信品質が良好で、かつCPICHの受信レベルが応答信号を受信するのに充分良好なセルをサーチする。端末は、このように決定した上り伝送路および下り伝送路ともに通信品質が良好なセルを基地局に通知する。この上り伝送路および下り伝送路ともに通信品質が良好なセルの通知には例えばUL−E−DPCCH204を利用する。端末が選択したセルの情報が基地局に通知されると、ステップST804において、基地局の上りスケジューラ414は、端末に無線リソースを割り当てるスケジューリング処理を行う。そして、ステップST805において、基地局はスケジューリング情報を端末にシグナリングする。このスケジューリング情報の通知には例えばDL-E−DPCCH205を利用する。スケジューリング情報を受信した端末は、ステップST806において、E−DCH送信部316を介してE−DCHを送信する。
上記説明の本発明の実施の形態2に係る移動通信端末装置は、基地局から上り伝送路の通信品質が通知されることにより上り伝送路の通信品質が良好であることを認識し、CPICH受信レベルを測定することにより下り伝送路の通信品質が良好であることを認識する。そして、上り伝送路の通信品質が良好で、下り伝送路の通信品質がACK/NACK応答信号の受信に必要な強度を持つ基地局にスケジューリング要求をするので、上りおよび下り伝送路にリンクインバランスが発生している基地局をプライマリセルとする問題を防止できる。したがって、基地局と移動局の信号の伝達が順調に行われるため、いわゆるスループットを改善することができる。また、端末自身が基地局からの下り伝送路の品質に基づいてプライマリセルを選択するので、最新の下り伝送路の通信品質が反映されていることになる。
上記説明の端末は、基地局から通知された上り伝送路の通信品質により上り伝送路の通信品質が良好か判断していた。しかし、基地局から端末に通知する状態情報は、上り伝送路の通信品質そのものではなく、上り伝送路の通信品質を反映した選択ペナルティ係数を採用しても良い。そこで、図18を用いて、基地局から通知された「選択ペナルティ」に基づいて、プライマリセル選択を行う端末の処理について説明する。なお、ここでいう選択ペナルティとは、上り伝送路の通信品質が良くないセルをプライマリセルとして選択しないように、下り伝送路の通信品質を上り伝送路の通信品質に応じて補正するための一種の係数であり、下り伝送路の通信品質を実際の通信品質よりも仮想的に悪いものとみなすために用いる。この方法の利点として下り伝送路の通信品質の測定結果を直接基地局に通知するのに比べて、シグナリングのビット数や頻度を減らすことができる。
図18は、本発明の実施の形態2に係る移動通信端末装置が実行する、上下品質を考慮したプライマリセル選択処理の変形例を説明するフローチャートである。ステップST1300において、基地局はスケジューリング情報シグナリング部415を介して上り品質の悪い端末に対してペナルティ係数をシグナリングする。これはDL−E−DPCCHでもよいし他のチャネルを用いてもよい。基地局から通知されたペナルティ係数は上り伝送路の通信品質を反映したものであるので、端末はこのペナルティ係数から上り伝送路の通信品質を認識することができる。端末は、ステップST1301において、基地局から送信されているCPICHを受信する。端末は受信したCPICHの受信レベルから下り伝送路の通信品質を認識することができる。端末は、ステップ1302において、下り伝送路の通信品質を表すCPICHの受信レベルにペナルティ係数を掛けて、下り伝送路の通信品質を実際の通信品質よりも悪く見積もった上で、プライマリセルの選択を行う。そして、端末は、上記のように選択したプライマリセルを、ステップST1303においてE−DPCCHを用いて基地局に通知する。
図19は基地局による選択ペナルティ係数決定処理を説明するフローチャートである。以下、図19を参照して、基地局によるペナルティ係数の決定処理について説明する。ステップST1600において、基地局はSIR算出部409を用いて、現在のSIR値を得る。このSIR値は値が大きいほど品質がよいことを示す。ステップST1601において、SIR算出部409は、現在のSIR値とTargetSIRとの差を求める。TargetSIR値とは、所望品質を確保するために必要なSIRレベルを意味する。ステップST1602において、SIR算出部409は、測定したSIRのレベルがTargetSIRで規定する通信品質を満たしているか(現在のSIRはTargetSIR以上の値である)を判断する。測定したSIRが、TargetSIRが規定する通信品質を満たしている場合には、上り伝送路の通信品質は十分良好であると判断する。測定したSIRが、TargetSIRが規定する通信品質を満たしていない場合には、上り伝送路の通信品質は良好ではないと判断し、ステップST1603に進む。ステップST1603において、SIR算出部409は、現在のSIR値とTargetSIRとの差に比例した係数を決定する。現在のSIR値とTargetSIRとの差が大きいほど、上り伝送路の通信品質が悪いとみなす。つまり、選択ペナルティ係数値が大きくなる。ステップST1604において、スケジューリング情報シグナリング部415は、上記処理により決定した選択ペナルティ係数を状態情報として端末に送信する。
次にこのペナルティ係数を基地局から端末にシグナリングするフォーマットについて説明する。図20は、選択ペナルティ係数、閾値上下コマンドを端末に送信する信号のフォーマットを示す図である。図20(a)は、選択ペナルティ係数を共通チャネルで端末に通知する信号フォーマット、図20(b)は、閾値上下コマンドを共通チャネルで端末に通知する信号フォーマット、図20(c)は、選択ペナルティ係数を個別チャネルで端末に通知する信号フォーマット、図20(d)は、閾値上下コマンドを個別チャネルで端末に通知する信号フォーマットを示す。図20(a)、(b)のように、共通チャネルで選択ペナルティ係数、閾値上下コマンドを通知する場合には、あて先となる端末を個別に通知する必要がある。そのため端末識別子900を信号フォーマットに含める必要がある。なお、この端末識別子900として、新たに専用の識別子を定義してもよいが、以下の、1)Serving RNC(Radio Network Controller)/BSS(Base Station Subsystem) RNTI(s-RNTI:Radio Network Temporary Identity)、2)Drift RNC/BSS RNTI(d-RNTI);3)Cell RNTI(c-RNTI);4)UTRAN(Universal Terrestrial Radio Access Network)/GERAN(GSM EDGE Radio Access Network) RNTI(u-RNTI);5)DSCH(Downlink Shared Channel) RNTI(DSCH-RNTI);6)HS-DSCH(High Speed Downlink Shared Channel) RNTI(HS-DSCH RNTI);、6種類の既存の端末識別子を流用することもできる。また、端末識別子に加えて、選択ペナルティ係数を通知する場合には、CRCビット902を付けて誤りを検出可能にすることが望ましい。
図20(b)に示す、共通チャネルを用いて閾値上下コマンドを通知する信号フォーマットについて説明する。この場合は最低1ビットの情報があればよい。そのため端末識別子900に閾値上下コマンド904を付ける。なお複数ビットにすることで冗長度を増加させ、受信誤りを低減させることもできる。また、図20(c)に示す、個別チャネルを用いて選択ペナルティ係数を通知する信号フォーマットについて説明する。個別チャネルを用いる場合、端末識別子は不要であり、信号フォーマットには選択ペナルティ係数(値)901を含めればよい。また、図20(d)に示す、個別チャネルを用いて閾値上下コマンドを通知する信号フォーマットについても、端末識別子は不要であり、閾値上下コマンド904を含めればよい。端末は、選択したプライマリセルをUL E−DPCCH204チャネルを介して基地局に通知する。このチャネルが個別チャネルとして利用される場合は、単にプラマリセルとして選択する/しないの1ビットの情報を送信すればよい。一方、UL E−DPCCH204が共通チャネルとして用いられる場合には、基地局識別子Cell Identifierをつけて送信する。なお、実際には、1ビットのみでは誤りが発生しやすいため複数ビットにして送信することが望ましい。
基地局は、端末からの通知によりプライマリセルとして選択されたことを認識すると、ステップST1304において、スケジューリングを行って無線リソースを端末に割り当て、ステップST1305において、スケジューリング情報を端末に通知する。端末は、ステップ1306において、基地局から通知されたスケジューリング情報に基づいて、E−DCHを用いてパケットデータの送信を行う。以上のように、上記説明の端末は、基地局から通知された選択ペナルティから上り伝送路の通信品質を、CPICH受信レベルから下り伝送路の通信品質を認識し、CPICH受信レベルを選択ペナルティに基づいて、実際よりも通信品質が悪いものと見積もることにより、リンクインバランスの発生を考慮してプライマリセルを選択することができる。なお、ペナルティの替わりにオフセット(Cell Individual Offset)を利用して端末でのCPICH受信レベルに対して実際よりも通信品質がよいものと見積もることでも同様の機能を実現できる。
上記説明の端末は、基地局から通知された、上り伝送路の通信品質を反映した選択ペナルティ係数を用いて下り伝送路の通信品質を実際よりも悪く見積もり、プライマリセルを選択していた。しかし、基地局で上り伝送路の通信品質を測定して、それに見合ったペナルティ係数を端末にシグナリングするのではなく、各基地局から送信されるTPCコマンドに基づいて端末自身が上り伝送路の通信品質を推定し、プライマリセルを選択するようにしてもよい。この方法の利点として上り品質を通知するためのシグナリングを追加する必要がなく、また、端末がセルを選択することができるので、基地局のハードウェアを簡略にすることができる。言い換えるなら、TPCコマンドは個別チャネルに乗せられ基地局(Node-B)と端末の個々に存在するものであり端末識別子が不要である。また、TPCコマンドは現在のSIR値とTargetSIR値と差が反映されたコマンドといえる。つまりTPCコマンドを流用することで、非明示的シグナリング(直接的なシグナリング送信なしで間接的に同様の情報を類推するタイプのシグナリング)を実現することができる。
図21は、本発明の実施の形態2に係る移動通信端末装置が実行する、上下品質を考慮したプライマリセル選択処理の変形例を説明するフローチャートである。基地局は上りリンクの通信品質に応じて、移動局の送信電力を制御するためのTPCを設定して移動局に通知する。移動局はこのTPCを、上り伝送路の通信品質が反映された一種の状態情報として利用することができる。ステップST1400において、基地局は端末にTPCコマンドを送信する。ステップST1401において、端末はTPCコマンド受信部310で、平均化もしくは信頼度チェックを行い、TPC受信エラーの影響を排除して、基地局から通知されたTPCコマンドを認識する。ステップST1402において、端末はTPCコマンドに含まれる、端末の送信電力の上げ/下げを指示する送信電力制御指示に基づいて上り伝送路の通信品質を推定する。たとえば、TPCコマンドの送信電力制御指示が「送信電力上げ」を指示している場合、上り伝送路の通信品質は良好ではなく、逆に「送信電力下げ」を指示している場合、上り伝送路の通信品質は良好であることを推定できる。
図21のステップST1401において、TPCコマンドエラーを回避するために施す処理を説明する。TPCコマンドエラーを回避する第1の方法(移動局側の処理)として、信頼度の低いTPCを除外する方法がある。信頼度は、CPICH受信レベルもしくはDPCCH内の個パイロットより信号対干渉比(SIR)を得る。そして、そのSIR値が低い場合、その基地局からのTPCコマンドは信用できないものとみなし除外する。ただし、この第1の方法は、上り伝送路の通信品質がよく、下り伝送路の通信品質が悪い、つまりリンクインバランスが発生しているセルにおいて適用するには、端末側で実行した信頼度チェックにより、基地局からのTPCが無視されてしまうので、利用できる状況に制約がある。また、TPCコマンドエラーを回避する第2の方法として、平均化をする方法がある(移動局側の処理)。平均化はある種のフィルタとみなすことができ、このようなフィルタリング処理を行うことにより、TPCの誤りを取り除くことができる。平均化により、エラーの影響を防ぐことができるが、平均時間が長い場合には結果が出るまでに時間的遅れが生じる問題がある。この対応策として、信頼度に応じて平均時間を可変にする方法が考えられる。つまり、信頼度の高いときには平均化の時間を短くし、信頼度の高い場合には平均化の時間を長くする。
また、TPCコマンドエラーを回避する第3の方法としては、TPCの送信電力を大きくすることが考えられる(基地局側の処理)。DPDCHに対するDPCCHのパワーオフセット(電力の増加分の指定パラメータ)として3つのパラメータが指定できるようになっており、PO1(Power Offset 1)がTFCI(Transport format combination indicator)のパワーオフセット、PO2がTPC(Transmission power control)コマンドのパワーオフセット、PO3がDPCCHのパイロットのパワーオフセットである。アップリンクエンハンスメントを利用する場合、すなわち、基地局が基地局制御装置からE−DCHなどの上りリンクの大容量チャネルを追加するように指示された場合に、このTPC用のパワーオフセット(PO2)を通常より増加させることでTPCのエラーを防ぐことができる。図21に対応付けて説明すると、ステップST1400において、移動局が基地局から受信したTPCコマンドは、基地局制御装置からE−DCHを追加するように指示された基地局によりパワーオフセットが増加されたものである。
さらに第1の方法による信頼度チェックが個別チャネルパイロットを利用する場合、PO2に加えてDPCCHのパイロットのパワーオフセットPO3も増加させることで、信頼度チェックにより除外されることを防ぐことができる。第3の方法はTPC送信電力自体を増加させるため、効果が期待できる。しかし、基地局の送信電力を余分に利用してしまう欠点がある。第1の方法と併用される場合には、このパワー増加する基地局を上りの品質がよい基地局(TPCで電力を下げる指示を端末に出している基地局)に対してのみ適用する。端末にとって必要な情報は上り伝送路の通信品質がよい基地局であり、第1の方法と併用して信頼度の低い基地局のTPCは除外されることにより、上り伝送路の通信品質が悪い基地局を上り伝送路の通信品質が良いと間違える可能性はなくなるため、上り伝送路の通信品質が悪い基地局の電力は上げなくてもよい。したがって、基地局の送信電力を節約することができる。
また、TPCコマンドエラーを回避する第4の方法(基地局側と移動局側の処理)としては、TPCに加えて別の明示的シグナリングを併用するものである。シグナリングを追加しないというメリットを損なわないようにするためには、TFCIハードスピリットモードを利用する方法がある。TFCIハードスピリットモードとは、W−CDMAシステムにおいて基地局から端末への下り方向のみに存在するもので、TFCIビットを前と後ろで分割し、これら分割したTFCIビットを2種類のTFCIとして送信するものである。本来は同時に2種類のTFCIを送信するために存在するものであるが、そのうちの一方はTFCIとして利用し、もう一方をTPCコマンド、もしくはそれに基づくシグナリングをこのビットに割り当てるものである。これによりTPCに加えてTFCIにも同様の信号を載せることができTPCのみの場合に対してエラーの影響を減らすことができる。第3の方法も併用するとした場合には、TFCIの品質自体も向上させるためにはTFCIのパワーオフセットPO1も増加させることが望ましい。
図21のステップ1403において、端末は基地局から送信されたCPICHを受信する。ここで受信したCPICHの受信レベルを測定することにより、端末は下り伝送路の通信品質を認識することができる。ステップ1404において、端末はTPCコマンドから推定した上り伝送路の通信品質が良好であり、かつ、CPICH受信レベルから認識した下り伝送路の通信品質がACK/NACK応答信号を受信可能な程度によいセルをサーチし、これをプライマリセルとして選択する。以下のステップST1405〜ステップST1408はすでに説明した処理と同様であるので説明は省略する。
この実施の形態によれば上り品質のみまたは下り品質のみのどちらか一方でセルを選択する場合と比較してリンクインバランスを避けるセルを選択することができスループットの向上および不適切なセルを選択する場合の無線リソースの浪費を避ける効果がある。
実施の形態3.
上記説明の実施の形態2では、上り伝送路の通信品質と下り伝送路の通信品質を考慮して端末がプライマリセルを決定し、プライマリセルとして決定された基地局からのスケジューリング情報に従ってパケットデータの送信を行う端末について説明した。以下説明する端末は、上り伝送路の通信品質と下り伝送路の通信品質が不均衡になるリンクインバランスの発生に関わらず、最適な上り伝送路の通信品質を確保するために適切なHARQ(Hybrid Automatic Repeat reQuest)方式を選択し、スループットを向上させるものである。
上記説明の実施の形態2では、上り伝送路の通信品質と下り伝送路の通信品質を考慮して端末がプライマリセルを決定し、プライマリセルとして決定された基地局からのスケジューリング情報に従ってパケットデータの送信を行う端末について説明した。以下説明する端末は、上り伝送路の通信品質と下り伝送路の通信品質が不均衡になるリンクインバランスの発生に関わらず、最適な上り伝送路の通信品質を確保するために適切なHARQ(Hybrid Automatic Repeat reQuest)方式を選択し、スループットを向上させるものである。
ここで、HARQ方式について説明する。HARQとはARQ方式とFEC(Forward Error Correction)との組み合わせにより上り伝送路の通信品質を向上させる技術であり、通信品質が変化する伝送路に対しても再送により誤り訂正が有効に機能するという利点がある。特に再送にあたって初送の受信結果と再送の受信結果の合成をすることで更なる品質向上を得ることも可能である。HARQ方式の一例として"Chase Combining"がある。Chase Combiningとは初送と再送に同じデータ系列を送信するものの、再送において初送のデータ系列と再送のデータ系列の合成を行うことで利得を向上させる方式である。これは初送データに誤りがあったとしても部分的に正確なものも含まれており、部分的に正確な初送データと再送データとを合成することでより高精度にデータを送信できるという考え方に基づいている。
また、HARQ方式の一例として"IR(Incremental Redundancy)"がある。IRとは冗長度を増加させるものであり、再送においてパリティビットを送信することで初送と組み合わせて冗長度を増加させ、誤り訂正機能により品質を向上させるものである。誤りが多い場合には再送した方が冗長度が高いので、訂正能力が向上する。したがって、IRを用いるほうがChase Combiningを用いるより効果的な局面もある。しかし、IRを利用した場合にはセル間のHARQ状態の同期を取る必要がある。セルが離れている場合、スケジューラ同士で連絡をとり、現在のHARQ状態を知ることは困難である。つまり、どれか一つのスケジューラがACKを送出した場合に、他のセルにあるスケジューラは、端末にACKが送出されたことを知ることができない。SHO状態ではIRを利用することは現在何回目の送信になっているのかを基地局が把握する必要があるためシグナリングを多く必要とする。
先に説明した図5に示すように、1台の端末が複数の基地局と通信している状況下では、ある基地局101aが端末100からの送信信号を受信できずにNACKを返し、別の基地局101bが端末100からの送信信号を受信してACKを返すことがある。このような場合、基地局101aのスケジューラは端末100からの再送を待つが、基地局101bは端末100から次のパケットデータの送信を待つことになる。基地局101aと101bの同期を取る場合には基地局制御装置102が介入しなければならないので、基地局制御装置102を経由した信号のやり取りや基地局制御装置102での処理に時間がかかってしまい、結果的にシステム全体のスループットが低下してしまうという問題が生じる。
図22はChase CombiningとIRの特性の説明する説明図である。図22に示すグラフは、縦軸が伝送効率を、横軸が伝送路品質を表している。そして、縦軸は原点から離れるほど伝送効率が向上し、横軸は原点から離れるほど誤り率が高くなり、つまり伝送路品質が悪化することを示す。図22において、初送でほとんどの場合に送信できるほど伝送路品質が良好な場合(区間A)、IRを用いるのが効率がよい。IRは、Chase Combiningよりも初送に情報ビットの数を多く乗せるため、高速伝送が可能となるためである。再送が必要となる場合(区間B)においては、Chase Combiningがより効率がよい。これはChase Combiningによる初送と再送の合成が効果を表していることによる。さらに伝送路品質が悪く(区間C)なるとIRを用いるのが効率がよい。Chase Combiningでは再送してもパリティビットの量は変化しないのに対して、IRは複数回の再送によりパリティビットをさらに送信し、より高い冗長度を実現できるためである。つまり、IRは回線品質が良好で高速データ通信が必要な場合や、回線品質が著しく悪い場合に有効な方式である。
さらに、HARQ方式の一例として「マクロ選択合成」がある。マクロ選択合成とは、端末が送信したデータを複数の基地局で受信し、そのデコード結果がCRC OKとなるものをさらに基地局制御装置で選択するものである。図23は、端末が複数の基地局と通信するSHO状態であり、かつマクロ選択合成を行っている状態を説明する説明図である。図23において、基地局101bがCRC OKとなった場合に基地局制御装置102は基地局101bを選択する。これにより伝送路が変動する場合においても、状況のよいどれか一つの基地局が受信成功すればよく信頼性の高い伝送が可能となる。この点、図23には、受信結果のCRCチェックがエラーになった基地局101aと101cは端末100にNACKを送信し、受信結果のCRCチェックがOKであった基地局101bは端末100にACKを送信する。しかしながら、このマクロ選択合成を利用する場合にはハイブリッドARQの方式においてChase Combiningを用いることが望ましい。なぜなら、初送と再送が同じものであれば、通信品質が常に変化する伝送路において初送を受信できなかった場合においても再送においてデコードが可能となるためである。これによりマクロ選択合成のメリットを生かすことが可能となる。なお、上りパケットにおいては、マクロ選択合成は図4に示すスケジューラと端末が1対1の場合でも、図5に示すスケジューラと端末が1対多の場合でもどちらでも可能である。
以下、複数の基地局と端末間の上り伝送路の通信品質と下り伝送路の通信品質に応じて、Chase Combining、IR、マクロ選択合成のうち、適切なHARQ(Hybrid Automatic Repeat reQuest)方式を選択する端末の動作および構成について説明する。説明の便宜上、複数の基地局と端末間の上り伝送路と下り伝送路の通信品質について、下記の2つのケースを想定して説明する。まずケース1として、「複数のセルのうち、他のセルと比較して、所定のセルとの伝送路の通信品質が突出してよい」ケースを想定する。また、ケース2として、「複数のセルのうち、各セルとの伝送路の通信品質が良くない」ケースを想定する。
図24は、本発明の実施の形態3に係る移動通信端末装置の構成を示すブロック図である。以下説明する移動通信端末装置は、プライマリセルの選択結果をもとにHARQモードを切り替えて再送を指示をする機能が必要となる。そのため、HARQ切替部321が設けられる。HARQ切替部321は、プライマリセル選択部319の結果に従って、再送制御部318にHARQ方式の切替えを指示するものである。なお、図24において図15と同一の符号は同一又は相当部分を示すので説明は省略する。
まずケース1の「複数のセルのうち、他のセルと比較して、所定のセルとの伝送路の通信品質が突出してよい」場合、端末が実行するHARQ方式選択処理について説明する。図25は、ケース1の状況を示す説明図である。図25には、端末100が基地局101aとリンク1を介して、基地局101bとリンク2を介して、基地局101cとリンク3を介して通信するSHO状態であることが示される。具体的にはリンク1とリンク2が上り伝送路の通信品質がよいが、下り伝送路の通信品質が悪い状態であり、リンク3が上り伝送路、下り伝送路の通信品質がよい状態を示す。図25には、リンク1、リンク2は上り伝送路の通信品質と下り伝送路の通信品質が不均衡な、いわゆるリンクインバランスが生じているが、リンク3にはリンクインバランスが生じていない。このような場合、端末100は、HARQ方式としてマクロ選択合成ではなくIRを採用することとし、通信品質がもっとも良好なリンク3を介して基地局101cとのみ通信を行うことにする。IRは、初送でほぼ確実にデータが送信できる程度に伝送路品質が良好な場合に伝送効率が高く、かつIRの弱点であるセル間のHARQ状態の同期についても、通信する基地局をひとつに限定すれば問題にならないからである。IRを用いることにより、対象基地局と確実に通信できるのであれば、マクロ選択合成を使えない点についても問題にはならない。
端末100は、図17で説明したように、プライマリセルを選択するために、複数の基地局との上り伝送路の通信品質および下り伝送路の通信品質を認識する。したがって、端末100は、ステップST802の処理を行う際に、複数のセルのうち突出して通信品質の良い基地局を認識することができ、この基地局をプライマリセルとして選択するとともに、ステップST803で、当該基地局にプライマリセルとして選択したこと及びHARQ方式としてIRを用いることを通知する。そして、図24に示すHARQ切替部321をIRを用いて通信するよう設定する。プライマリセルとして選択した基地局からスケジューリング情報を受信すると、ステップST806において、端末100は、IRを用いてパケットデータの送信を行う。
図26は、プライマリセルとして選択した基地局とデータ送信に用いるHARQ方式を通知するため、端末が送信する信号のフォーマットを示す。図26において、NDI(New Data Indicator)600は、基地局に送信データが初送か、あるいは再送かを認識させるための識別子である。Chase/IR識別子601は、データ送信に用いるHARQモードを基地局に認識させるための識別子である。基地局番号602は、HARQモードとしてIRを選択した場合にどの基地局と通信するか認識させるための識別子である。リダンダンシーバージョン603ではIRにおいて情報ビット/パリティビットの識別をするものである。なお、このケース1においては再送回数が少ないことが想定されるため、リダンダンシーバージョンのビット数を少なくすることが可能である。例えば送信回数は2回までということであれば1回目と2回目を区別する1ビット存在すればよい。
上記説明のように、ケース1においては、伝送路の通信品質が初送でほぼ確実にデータを送信できる程度に良好な基地局に対して、端末が基地局にIRを用いてデータ送信することにより情報ビットを効率よく送信することができる。特に、上り伝送路において高速レートの通信を行う際に顕著な効果を発揮する。
次に、ケース2の「複数のセルのうち、各セルとの伝送路の通信品質が良くない」場合、端末が実行するHARQ方式選択処理について説明する。図27は、ケース2の状況を示す説明図である。図27には、端末100が基地局101aとリンク1を介して、基地局101bとリンク2を介して、基地局101cとリンク3を介して通信するSHO状態であることが示される。具体的にはリンク1とリンク3が上り伝送路の通信品質が悪いが、下り伝送路の通信品質がよい状態であり、リンク2が上り伝送路の通信品質がよいが、下り伝送路の通信品質が悪い状態を示す。図27には、リンク1〜リンク3は上り伝送路の通信品質と下り伝送路の通信品質が不均衡な、いわゆるリンクインバランスが生じている点で、リンク1〜リンク3の通信品質が悪いケースが示されている。このように、リンク1〜リンク3の通信品質が全体的に悪い場合には、冗長度が不足するChase Combiningは不適切である。また、すべてのリンクの通信品質が悪い場合には、マクロ選択合成も効果的ではない。このような状況下で、端末がChase Combiningを利用してデータ送信を行った結果、NACKを受信した場合、端末は、上り伝送路の通信品質は悪く、下り伝送路の通信品質は良好と推定できる。このように、上り伝送路の通信品質が悪い場合には、冗長度が不足するChase CombiningからIRにHARQ方式を切り換えることで、基地局への送信が成功する可能性がある。
ケース2に示す状況下で、マクロ選択合成が効果を発揮していないことを把握して、IRに切り換える判断は、端末ないし基地局制御装置が行うことが考えられる。端末は、複数の基地局から送信された応答信号に基づいて、マクロ選択合成が機能しているか判断することができる。たとえば、基地局からNACKを受信した場合、基地局は何らかの受信をしたものの誤り訂正能力が不足しエラーとなったことが判断できる。また、NACKが受信できたということは、下り伝送路の通信品質は良好と判断できる。一方、基地局からの応答信号が受信できなかった場合には、その原因として、上り伝送路の通信品質が著しく悪く、端末からの送信信号が基地局に届いていない場合と、下り伝送路の通信品質が著しく悪く、基地局からの応答信号が端末に届いていない場合と2通り考えられる。どちらにしても、応答信号が端末に届かない基地局はプライマリセルとして選択することは不適切であるので、端末は、NACKを受信できた基地局に対してE−DCHを送信することになる。このとき、IRを利用することにより送信が成功する可能性が高い。
図28は、端末がHARQ方式をマクロ選択合成からIRに切り換える処理を説明するフローチャートである。ステップST1000において、図15に示す端末は、受信可能な複数の基地局から通知された応答信号(ACK/NACK)を応答信号受信部317を用いて受信する。ステップST1001において、端末は、応答信号受信部317が受信した複数の基地局からの応答信号に基づいて、プライマリセル選択部319でマクロ選択合成が機能しているか判断する。プライマリセル選択部319は、応答信号としてACKを通知した基地局が、たとえば全くない場合、マクロ選択合成が機能していないと判断し、ステップST1002の処理を実行する。応答信号としてACKを通知した基地局が存在する場合、マクロ選択合成は機能しており、したがって、HARQ方式をIRに切り換える必要性もないので処理を終了する。
応答信号としてACKを通知した基地局がない場合に実行されるステップST1002において、端末のプライマリセル選択部319は、応答信号としてNACKを通知した基地局のうち1つをプライマリセルとして選択する。NACKを通知している基地局は、上り伝送路の通信品質が良くないものの、何らかの信号が基地局に届く程度の通信品質はあり、また、下り伝送路の通信品質は、少なくともNACKを受信できる程度に良好と推定できる。そこで、端末はステップST1003において、送信信号の冗長度を上げて上り伝送路の通信を成功させるためにHARQ方式としてIRを用いることを決定して基地局に通知する。そして、端末は、IRを用いてE−DCHを基地局に対して送信する。なお、端末でIRへの切替を判断する場合には、端末から基地局に直接通知するためリダンダンシーバージョン(RV情報)の一部として組み込むことが望ましい。リダンダンシーバージョンとは初送と再送がことなる場合や再送も回数ごとにパリティの含みかた(バージョン)が異なるばあいにどのようなパリティが入っているかを示すものである。
図29は、ケース2の状況下で、端末から基地局にIRモードを使用することを基地局に通知する信号のフォーマットである。図29において、リダンダンシーバージョン603は、ケース2の場合、再送が多く発生することが想定されるため、その分リダンダンシーバージョンは多数のパリティの含み方が存在する。なお、図26と同一の符号は同一又は相当部分を示すので説明は省略する。例えば4回までの送信を考えるなら2ビットは必要であり、8回までの送信を考えるなら3ビット必要である。
また、マクロ選択合成が効果を発揮していないことを把握してIRに切り換える判断を基地局制御装置が行う場合、基地局制御装置は、各基地局から通知された受信結果(各セルからのCRC結果)を比較して、マクロ選択合成が機能しているか判断する。そして、マクロ選択合成が機能していないと判断した場合には、複数の基地局のうち、NACKを送信した基地局を選択し、HARQ方式としてIRを用いることを決定する。そして、端末にプライマリセルとして選択した基地局と使用するHARQ方式(この場合はIR)を通知する。ただし、基地局制御装置で上記処理を行う場合、IRへの切替えを端末へシグナリングする時間がかかる。基地局制御装置において、各基地局からのCRC結果によりIRへの切替を判断する場合はRRCシグナリングにより端末にIRの利用を指示する。
以上のように実施の形態3のケース2においては、品質がよくない場合にIRにより冗長度を高くして誤り訂正をすることを特徴とする。Chase Combiningでは冗長度が不足する場合に効果を発揮する。
実施の形態4.
上記説明の実施の形態1及び実施の形態2では、基地局及び端末が、リンクインバランスによるスループットの低下を防ぐため、それぞれ上り伝送路の通信品質と下り伝送路の通信品質を考慮してプライマリセルを選択していた。しかし、上り伝送路を高速で大容量のデータを送信する需要があり、高速で大容量のデータを送信するには上り伝送路の通信品質が良好であることが条件となる。プライマリセルを選択するにあたり、上り伝送路の通信品質を優先させる考え方もある。そこで、上り伝送路の通信品質によってプライマリセルを選択する基地局について説明する。この方法の利点として上り信号の品質を測定できる基地局がセル選択をするので、高速な上り伝送路の変化に追従できる。
上記説明の実施の形態1及び実施の形態2では、基地局及び端末が、リンクインバランスによるスループットの低下を防ぐため、それぞれ上り伝送路の通信品質と下り伝送路の通信品質を考慮してプライマリセルを選択していた。しかし、上り伝送路を高速で大容量のデータを送信する需要があり、高速で大容量のデータを送信するには上り伝送路の通信品質が良好であることが条件となる。プライマリセルを選択するにあたり、上り伝送路の通信品質を優先させる考え方もある。そこで、上り伝送路の通信品質によってプライマリセルを選択する基地局について説明する。この方法の利点として上り信号の品質を測定できる基地局がセル選択をするので、高速な上り伝送路の変化に追従できる。
図30は、上り伝送路の通信品質に基づいてプライマリセルを選択する基地局の処理を示すフローチャートである。ステップST100において、基地局制御装置は、各基地局から通知された過去のSIR値を比較し、プライマリセル選択の基準となる閾値を決定する。この際には少なくとも1つの基地局からはスケジューリングが行われるようにする。ステップST101において、基地局制御装置は、プライマリセル選択の閾値を各基地局へ通知する。基地局制御装置から通知された閾値を受信した基地局は、閾値受信部421に閾値を格納する。端末から基地局への上り伝送路の通信品質がこの閾値よりよい場合、プライマリセル選択処理(1対1型)、スケジューリング(1対多型)を行う。一方、ステップST102において、端末は、DPCH送信部307を用いてDPCCHを基地局に送信する。端末から送信されたDPCCHを受信した基地局は、ステップST103において、受信したDPCCHからパイロット強度を測定する。そして、ステップST104において、基地局は干渉量測定部419により干渉を測定し、ステップST105において、SIR算出部409によりSIRを算出する。このSIRは端末から基地局への上り伝送路の通信品質を示すパラメータとして用いる。ステップST106において、基地局は、スケジュール許可判定部421を用いてSIRと閾値に基づいて、上り伝送路の通信品質が所定のレベルを超えているか判定する。
ステップST106において、たとえば、SIRで示される上り伝送路の通信品質が閾値を超えている場合、基地局は、ステップST107においてスケジューリングを行い、ステップ108において、スケジューリング情報を端末に通知する。基地局からのスケジューリング情報を受信した端末は、スケジューリング結果に基づいて、ステップST109において、E−DCH送信部を介してE−DCHを基地局に送信する。この方式の欠点として伝送路の状況は刻々と変化するため最終的にスケジューリングする基地局の数がわからない。そこでその閾値を上下させるシグナリングを用意し端末から指示する。そのシグナリングは直接基地局へ通知してもよいし、RRCとよばれるシグナリングにより基地局制御装置へ通知してもよい。そこで、ステップST110において、端末は、必要であればプライマリセル選択部319において閾値を変更する。変更した閾値は、E−DPCCH送信部307より基地局へ直接通知してもよいし、またDPCH送信部305よりRRCのシグナリングとして基地局制御装置へ通知してもよい。閾値のシグナリング方法としてはRRCシグナリングでもかまわないが、基地局制御装置を経由して基地局に通知されるため時間がかかってしまう。したがって、より高速に基地局において閾値を変化させるため、物理レイヤシグナリングで閾値の上げ下げを指示するものが望ましい。これにより、端末は、閾値を上げることで不必要にスケジューリングするセルを減らし、閾値を下げることで、スケジューリングするセルを増やすことができる。
上記説明によれば、上り伝送路の通信品質に基づいてスケジューリングを行うにあたり、適切なスケジューリングを担当する基地局の選択ができる。また、基地局において閾値を持たせる場合には、上り伝送路の通信品質を反映していながら、変動する伝送路品質に対応した高速なセル選択をすることが可能になり、上り伝送路のスループットを向上させる効果がある。特に、端末から物理レイヤシグナリングで基地局の閾値を変更する場合は、端末が利用しない不要なスケジューリングを抑えることができ、かつ無線リソースの節約が可能である。
この発明の活用例として上りパケット通信をサポートする携帯電話の端末および基地局に利用できる。
100 端末、101 基地局、102 基地局制御装置、312 スケジューリング要求情報作成部、313 E-DPCCH送信部、314 スケジューリング受信部、315 送信許可制御部、316 E−DCH送信部、317 応答信号受信部、318 再送制御部、319 プライマリセル選択部、320 CPICH受信レベル情報送信部、412 E−DPCCH受信部、413 スケジューリング要求情報受信部、415 スケジューリング情報シグナリング部、420 負荷量通知部、421 スケジュール許可判定部、422 CPICHレベル受信部、423 プライマリセル選択指示受信部、424 閾値受信部。
Claims (15)
- 移動局から送信され、上り無線リンクを介して伝達された無線リソース割当要求に応じて、前記移動局に無線リソースの割り当てを行うスケジューリングを行い、このスケジューリングの結果を下り無線リンクを介して前記移動局に通知する基地局において、
前記移動局から送信された信号を受信して前記上り無線リンクの状態を推定する上り無線リンク状態推定部と、
前記移動局において測定された下り無線リンクの状態を示す状態情報を受信する下り無線リンク状態情報受信部と、
この下り無線リンク状態情報受信部が前記状態情報を受信しており、かつ前記上り無線リンク状態推定部が推定した前記上り無線リンクの状態が、予め設定されたスケジューリング許可条件を満たす場合に、前記移動局へのスケジューリングを許可するスケジューリング許可判定部とを設けたことを特徴とする基地局。 - 下り無線リンク状態情報受信部は、移動局において測定されて上り無線リンクを介して送信された、下り無線リンクの受信レベルを状態情報として受信することを特徴とする請求項1記載の基地局。
- 下り無線リンク状態情報受信部は、あて先となる基地局を識別する識別子と下り無線リンクの伝送路品質を示す情報とを少なくとも含む、移動局において生成された信号を受信することを特徴とする請求項2記載の基地局。
- データ送信を行う際に、無線リソースの割り当てを要求するスケジューリング要求信号を、上り伝送路を介して基地局に通知し、下り伝送路を介して通知された前記基地局によるスケジューリング結果に応じて、前記基地局へのデータ送信を行う移動通信端末装置において、
少なくともひとつの前記基地局から送信された信号を受信して前記下り無線リンクの状態を推定する下り無線リンク状態推定部と、
少なくともひとつの前記基地局において測定された上り無線リンクの状態を示す状態情報を受信する上り無線リンク状態情報受信部と、
前記上り無線リンク状態情報受信部が前記状態情報を受信しており、かつ、前記下り無線リンクの状態が予め設定された条件を満たす前記基地局を選択するセル選択部と、
このセル選択部が選択した前記基地局に対して前記スケジューリング要求信号を送信する送信部とを設けたことを特徴とする移動通信端末装置。 - 上り無線リンク状態情報受信部は、基地局において測定されて下り無線リンクを介して送信された、上り無線リンクの受信レベルを状態情報として受信することを特徴とする請求項4記載の移動通信端末装置。
- 上り無線リンク状態情報受信部は、少なくとも上り無線リンクの伝送路品質を示す情報を含む、基地局において生成された状態情報通知信号を受信することを特徴とする請求項5記載の移動通信端末装置。
- 状態情報通知信号は、下り無線リンクを構成するチャネルのうち、共通チャネルを介して伝達される場合、さらにあて先となる移動通信端末装置を識別する識別子を含むことを特徴とする請求項6記載の移動通信端末装置。
- 上り無線リンク状態情報受信部は、基地局において上り無線リンクの状態に応じて設定される送信電力制御コマンドを状態情報として受信することを特徴とする請求項4記載の移動通信端末装置。
- 上り無線リンク状態情報受信部は、基地局から受信した送信電力制御コマンドの受信誤りを防ぐためにフィルタリングすることを特徴とする請求項8記載の移動通信端末装置。
- 上り無線リンク状態情報受信部は、基地局から受信した送信電力制御コマンドの受信誤りを防ぐために、平均化処理することを特徴とする請求項8記載の移動通信端末装置。
- 送信電力制御コマンドは、上りリンクの高速通信を行う際に基地局制御装置から大容量チャネルの追加を指示された基地局により、送信電力を増加させるパラメータであるオフセットが追加されていることを特徴とする請求項8記載の移動通信端末装置。
- 送信電力制御コマンドは、送信先である端末に対して送信電力を下げるように指示する場合、基地局によりオフセットが追加されていることを特徴とする請求項11記載の移動通信端末装置。
- 移動局から送信された信号を受信して、前記移動局から基地局への上り無線リンクの状態を推定する上り無線リンク状態推定ステップと、
前記基地局から送信された信号を受信して、前記基地局から前記移動局への下り無線リンクの状態を示す状態情報を前記移動局から前記基地局に送信する下り無線リンク状態情報送信ステップと、
前記下り無線リンク状態情報送信ステップにより送信された、前記下り無線リンクの状態情報と、前記上り無線リンク状態推定ステップにより推定された前記上り無線リンクの状態が所定のスケジューリング許可条件を満足するか判断し、前記スケジュール許可条件が満足される場合には前記移動局に無線リソースを割り当てるスケジューリングを許可するスケジューリング許可判定ステップと、
このスケジューリング許可判定ステップによりスケジューリングが許可された前記移動局にスケジューリングを行うとともに、スケジューリング結果を前記移動局に通知するスケジューリング結果通知ステップと、
スケジューリング結果を受信した前記移動局が前記基地局をプライマリセルとして決定し、前記基地局に対してデータを送信するデータ送信ステップとを含むことを特徴とするプライマリセル選択方法。 - 下り無線リンク状態情報送信ステップは、基地局からの下り無線リンクの受信レベルを測定するステップと、測定した受信レベルに基づいて前記基地局を選択するステップと、選択された前記基地局に前記受信レベルを状態情報として送信するステップを含むことを特徴とする請求項13記載のプライマリセル選択方法。
- 基地局から送信された信号を受信して、前記基地局から移動局への下り無線リンクの状態を推定する下り無線リンク状態推定ステップと、
前記移動局から送信された信号を受信して、前記移動局から前記基地局への上り無線リンクの状態を示す状態情報を前記基地局から前記移動局に送信する上り無線リンク状態情報送信ステップと、
前記上り無線リンク状態情報送信ステップにより送信された、前記上り無線リンクの状態情報と、前記下り無線リンク状態推定ステップにより推定された前記下り無線リンクの状態が予め設定された条件を満たす前記基地局を選択するセル選択ステップと、
このセル選択ステップが選択した前記基地局に対してスケジューリング要求信号を送信する送信ステップと、
スケジューリング結果を受信した前記移動局が前記基地局をプライマリセルとして決定し、前記基地局に対してデータを送信するデータ送信ステップとを含むことを特徴とするプライマリセル選択方法。
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- 2009-06-30 JP JP2009155098A patent/JP2009260990A/ja active Pending
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