JP2009259324A - 近接場光記録再生方法とこれを用いた光学ピックアップ及び光記録再生装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】近接場光学系の複雑な光学調整を行うことなく、複数の記録層への近接場光を用いた記録、再生を可能とすることを目的とする。
【解決手段】複数の記録層を有する光記録媒体200に近接場光を照射して記録、再生を行うにあたって、制御部28において、焦点距離を変化させたときのトラッキングエラー信号の包絡線を検出して、信号振幅が最大となる位置を基準としてフォーカス制御信号Sfを生成する。フォーカス制御信号Sfに基づき光学調整機構10の収差補正機構11、光学レンズ12及び13を駆動することによって、複雑な光学調整を行うことなく複数の記録層へのフォーカス制御を行って、良好な近接場記録再生を可能とする。
【選択図】図1
【解決手段】複数の記録層を有する光記録媒体200に近接場光を照射して記録、再生を行うにあたって、制御部28において、焦点距離を変化させたときのトラッキングエラー信号の包絡線を検出して、信号振幅が最大となる位置を基準としてフォーカス制御信号Sfを生成する。フォーカス制御信号Sfに基づき光学調整機構10の収差補正機構11、光学レンズ12及び13を駆動することによって、複雑な光学調整を行うことなく複数の記録層へのフォーカス制御を行って、良好な近接場記録再生を可能とする。
【選択図】図1
Description
本発明は、複数の記録層を有する光記録媒体に近接場光を照射して記録、再生の少なくともいずれかを行う近接場光記録再生方法とこれを用いた光学ピックアップ及び光記録再生装置に関する。
近年、光ディスク、磁気ディスクや光メモリーカード等の情報記録媒体において、高記録密度及び高解像度を達成するために、物体同士の間隔がある距離以下となるときに界面から光が漏れ出す近接場(ニアフィールド)光(エバネッセント波ともいう)を用いた記録再生方式が注目されている。
情報記録媒体に近接場光を照射して記録再生を行う手法として、ソリッドイマージョンレンズ(SIL:Solid Immersion Lens)やソリッドイマージョンミラー(SIM:Solid Immersion Mirror)、導波路構造体等を用いた光記録再生方法が提案されている(例えば特許文献1、非特許文献1参照)。この近接場光を利用した記録再生方式は、高密度の情報記録媒体に対し、開口数NAが1を超えるSIL等の近接場光照射手段を用いて、レンズと光記録媒体の表面との距離をエバネッセント波が発生する程度にまで近接させて記録再生を行う技術である。
情報記録媒体に近接場光を照射して記録再生を行う手法として、ソリッドイマージョンレンズ(SIL:Solid Immersion Lens)やソリッドイマージョンミラー(SIM:Solid Immersion Mirror)、導波路構造体等を用いた光記録再生方法が提案されている(例えば特許文献1、非特許文献1参照)。この近接場光を利用した記録再生方式は、高密度の情報記録媒体に対し、開口数NAが1を超えるSIL等の近接場光照射手段を用いて、レンズと光記録媒体の表面との距離をエバネッセント波が発生する程度にまで近接させて記録再生を行う技術である。
近接場光を用いて記録再生する高密度の光記録媒体としては、ガラスやポリカーボネート(PC)等より成る基板上に、Al等より成る反射層、SiO2等より成る誘電体層、GeSbTe等より成る相変化材料層、SiO2等より成る誘電体層が順次積層形成された構造の相変化記録型の光記録媒体や、または、ガラスやPC等より成る基板上に、記録情報に対応した凹凸ピットが形成され、その上にAl等より成る反射層が形成された再生専用型の光記録媒体などが提案され(例えば非特許文献2及び3参照)、その他光磁気記録型の記録媒体や光アシスト磁気記録による磁気記録媒体等も検討されている。
また、SIL等の近接場光照射部を用いる場合、その表面と情報記録媒体の表面との間の間隔、いわゆるギャップは、照射する光の波長の10分の1以下が望ましいということが報告されている(例えば非特許文献4参照)。
このため、ギャップを精度よく制御する技術や、SIL等を近接させて情報記録媒体と相対的に走行させる際に、衝突を抑制するためのスキュー制御技術等が種々検討されている(例えば特許文献2及び3参照)。
このため、ギャップを精度よく制御する技術や、SIL等を近接させて情報記録媒体と相対的に走行させる際に、衝突を抑制するためのスキュー制御技術等が種々検討されている(例えば特許文献2及び3参照)。
上述したように、近接場光を利用する記録再生方式においては、レンズと情報記録媒体の表面との距離が非常に小さいことを除けば、他の取り扱いは従来の情報記録媒体と同様に取り扱うことが可能である。したがって、より高い記録密度を達成するために、記録層を積層させた多層の光記録媒体に対して、近接場光を用いて記録や再生を行うことも、原理的には可能である。
しかしながら、媒質中の光学的小距離が異なることにより発生する球面収差は開口数NAの4乗に比例するため、大きい開口数NAを達成する近接場光学系ではこの球面収差が大きくなってしまう。したがって、現実的には、複数の記録層に焦点を結ぶ光学系を単に採用するだけでは、球面収差を補正しきれない。これを解決するには、例えばSILを用いる場合はSILの厚さを変化させるなどの非常に複雑な設計が必要となるという問題がある。
また、特に近接場光を用いる記録再生方式においては、元来開口数NAが高いことから、非常に高度な加工精度、組み立て精度が必要となる。特に、複数の記録層に対する記録や再生を可能とするには、SILの形状や、これと組み合わせて対物レンズを構成する非球面レンズの形状、及びこれら2つのレンズの物理的距離等を極めて高精度に調整しなければならない。上述したように多層の記録層を有する光記録媒体に対して記録再生を行おうとすると、各記録層に対応してそれぞれこのような調整が必要となる。したがって、実用に供する光学ピックアップや光記録再生装置においてこれらを調整できる機構を採用することは非常に困難と考えられる。
以上の問題に鑑みて、本発明は、近接場光学系を有する光学ピックアップ及び光記録再生装置において、近接場光学系の調整精度を高めることなく、複数の記録層を有する情報記録媒体に対して記録や再生を行うことを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明による近接場光記録再生方法は、光記録媒体からの戻り光を光検出部で検出し、光検出部で検出されるギャップエラー信号によりギャップ制御信号を生成する。一方、焦点距離を変化させたときに光検出部で検出されるトラッキングエラー信号の振幅が最大となる位置を基準としてフォーカス制御信号を生成する。そして、ギャップ制御信号に基づいて、光記録媒体に対して所定の位置に、光記録媒体に近接場光を照射する近接場光学系を駆動する。また、フォーカス制御信号に基づいて、光記録媒体の複数の記録層に対して、光学調整機構の焦点距離を調整すると共に、焦点位置の移動により発生する球面収差を補正して、光記録媒体の複数の記録層に対する記録、再生の少なくともいずれかを行う。
また、本発明による光学ピックアップは、光源と、光記録媒体からの戻り光を検出する光検出部と、この光検出部で検出されるギャップエラー信号によりギャップ制御信号を生成すると共に、焦点距離を変化させたときに光検出部で検出されるトラッキングエラー信号の振幅が最大となる位置を基準としてフォーカス制御信号を生成する制御部と、光記録媒体に近接場光を照射する近接場光学系と、光記録媒体の複数の記録層に対応して焦点距離を調整すると共に、焦点位置の移動により発生する球面収差を補正する光学調整機構と、ギャップ制御信号に基づいて光記録媒体に対して所定の位置に前記近接場光学系を駆動する駆動部と、フォーカス制御信号に基づいて光学調整機構を駆動する駆動部と、を備える構成とする。
また、本発明による光記録再生装置は、上述の本発明による光学ピックアップと、光記録媒体の装着部と、光記録媒体の装着部を光学ピックアップと相対的に移動させる駆動部と、を有する構成とする。
上述したように、本発明の近接場光記録再生方法、光学ピックアップ及び光記録再生装置においては、焦点距離を変化させたときにトラッキングエラー信号の振幅が最大となる位置を基準としてフォーカス制御信号を生成する。焦点距離を変化させると、光記録媒体の複数の記録層に対して焦点が略合致した位置での信号振幅が最大となる。したがって、このトラッキングエラー信号の振幅が最大となる位置を基準としてフォーカス制御信号を生成することによって、光記録媒体の複数の記録層に対して確実にフォーカス制御を行うことができる。
また本発明においては、光記録媒体の各記録層に対する焦点距離を調整すると共に、記録層間において焦点位置が移動することにより発生する球面収差を、光学調整機構によって同時に補正する。このため、近接場光を照射して記録、再生の少なくともいずれかを行う光記録媒体に対して、近接場光学系の調整精度を高めることなく複数の記録層への記録再生を良好に行うことが可能となる。
本発明によれば、近接場光学系の調整精度を高めることなく、複数の記録層を有する情報記録媒体に対して近接場光による記録や再生を行うことができる。
以下本発明を実施するための最良の形態の例を説明するが、本発明は以下の例に限定されるものではない。
図1は、本発明の一実施の形態に係る光学ピックアップ30を備える光記録再生装置100の概略構成図である。本発明の光記録再生装置としては、記録と再生を行う記録再生装置、再生専用装置に適用でき、また記録装置にも適用可能である。また、本発明の光学ピックアップ、光記録再生装置において対象とする光記録媒体としては、記録層が多層であれば記録態様の種類は問わないが、例えば凹凸ピットによる記録層を複数層有する再生専用光記録媒体や、相変化記録膜を複数層有する記録再生用の光記録媒体等に適用可能である。図1においては光記録媒体200として記録層L1及びL2の2層を有する例を示すが、記録層は3層以上であってもよい。また、図1に示す例においては、近接場光学系20として、光記録媒体200側に配置される半球状又は超半球状のソリッドイマージョンレンズ(SIL)21と、非球面レンズ等よりなる光学レンズ22とより構成する場合を示す。図1においては超半球状のSILを示すが半球状のSILでもよい。
図1は、本発明の一実施の形態に係る光学ピックアップ30を備える光記録再生装置100の概略構成図である。本発明の光記録再生装置としては、記録と再生を行う記録再生装置、再生専用装置に適用でき、また記録装置にも適用可能である。また、本発明の光学ピックアップ、光記録再生装置において対象とする光記録媒体としては、記録層が多層であれば記録態様の種類は問わないが、例えば凹凸ピットによる記録層を複数層有する再生専用光記録媒体や、相変化記録膜を複数層有する記録再生用の光記録媒体等に適用可能である。図1においては光記録媒体200として記録層L1及びL2の2層を有する例を示すが、記録層は3層以上であってもよい。また、図1に示す例においては、近接場光学系20として、光記録媒体200側に配置される半球状又は超半球状のソリッドイマージョンレンズ(SIL)21と、非球面レンズ等よりなる光学レンズ22とより構成する場合を示す。図1においては超半球状のSILを示すが半球状のSILでもよい。
この光学ピックアップ30は、レーザーダイオード等の光源2と、その出射光路上にコリメートレンズ3、無偏光ビームスプリッタ4、偏光ビームスプリッタ5、1/4波長板6、ミラー7を備える。光記録再生装置100において記録を行う場合は、パワー制御部1を設けて、図示しない情報記憶部からの記録情報に対応して光源2の出力をこのパワー制御部1により制御する構成とする。再生時はパワー制御部1からの出力制御を省略して、光源2の出力を一定としてもよい。再生専用の装置として構成する場合はパワー制御部1を省略してもよい。
また、ミラー7の反射光路上には、光学調整機構10及び近接場光学系20が配置される。光学調整機構10には、収差補正機構11と、光学レンズ12及び13より成る焦点調整機構14、いわゆるエキスパンダーが設けられ、図示しないが各部の移動等を可能とする駆動機構が備えられる。焦点調整機構14を構成する光学レンズは3枚以上でもよく、或いは液体レンズ等の可変焦点レンズより構成してもよい。また、偏光ビームスプリッタ5の分岐光路上に集光レンズ24、光検出部25が配置され、無偏光ビームスプリッタ4の分岐光路上に集光レンズ26、光検出部27が配置される。光検出部25及び27は4分割フォトダイオード等より構成される。
更に、光検出部25及び27から得られる検出信号を演算して、制御信号を生成する制御部28が設けられる。この制御部28は、近接場光学系20の駆動部23、光学調整機構10の収差補正機構11、焦点調整機構14を駆動制御する制御信号、すなわちギャップ制御信号Sgやフォーカス制御信号Sfを生成する。また、制御部28において、SIL21の光記録媒体200に対する傾き(チルト)を制御するチルト制御信号も生成して駆動部23に出力する構成としてもよい。
この光記録再生装置100には更に、ディスク状等の光記録媒体200を装着する装着部41と、この装着部41を例えば一点鎖線Csを回転軸として回転駆動することで、光学ピックアップ30の近接場光学系20と光記録媒体200とを相対的に移動させる駆動部42とが設けられる。また、光学ピックアップ30は、光記録媒体200の記録面に沿って平行移動する水平移動機構(図示せず)に搭載される。そしてこの水平移動機構と駆動部42との連動によって、近接場光学系20から照射される近接場光が、光記録媒体200の盤面の記録トラックに沿って例えばスパイラル状又は同心円状に、記録トラック領域の全面にわたって走査される。
この構成において、光源2から出射された光は、コリメートレンズ3により平行光とされて無偏光ビームスプリッタ4及び偏光ビームスプリッタ5を透過し、1/4波長板6を介してミラー7に反射されて、光学調整機構10に入射される。この光学調整機構10において収差補正機構11は、光記録媒体200の各記録層L1又はL2に焦点位置を合わせる際に、焦点距離の変化に伴い発生する球面収差を補正するものである。収差補正機構11の駆動態様は、この焦点距離の変化に伴う球面収差を補正できるものであればよく、例えば収差補正機構11自体を光路上に挿入するとか、または光路から待避することを可能とする移動機構でもよい。または、例えば液晶による位相補正素子のように電気的に収差補正量を制御できる収差補正機構を用いる場合は、電気的な制御を行えばよい。
そして、この収差補正機構11によって必要に応じて収差補正された光は、焦点調整機構14の光学レンズ12及び13に入射されて焦点位置を調整され、近接場光学系20に入射される。この近接場光学系20によって光記録媒体200の表面に近接場光を介して伝搬された光Lは記録層L1又はL2に照射される。記録層L1又はL2からの戻り光は、近接場光学系20、光学調整機構10を介してミラー7により反射され、1/4波長板6を介して偏光ビームスプリッタ5で一部が反射されて集光レンズ24により光検出部25に集光される。更に、偏光ビームスプリッタ5を透過した光の一部が無偏光ビームスプリッタ4で反射され、集光レンズ26により光検出部27に集光される。
光検出部25により検出された光の一部は、再生時には光記録媒体200の記録情報に対応するRF(高周波)信号SRFとして出力される。一方、この光検出部25により検出されるトラッキングエラー信号を利用して、制御部28において後述する方法によりフォーカス制御信号を生成する。また、光検出部27により検出される光を利用して、近接場光学系20のこの場合SIL21と光記録媒体200の表面とのギャップを制御するギャップ制御信号Sgを制御部28において生成する。ギャップ制御信号は、全反射戻り光量や静電容量の変化によりギャップを求める方法等を適宜利用でき、その方法は問わない。また、チルト制御信号を求める場合も同様である。
制御部28において生成されたギャップ制御信号Sgは、近接場光学系20を駆動する駆動部23に出力される。駆動部23は例えばボイスコイルモーターを含む2軸アクチュエータや3軸アクチュエータ等より構成される。なお、ギャップ制御用の駆動部と、チルト制御用の駆動部とを別々に設け、各駆動部に制御信号をそれぞれ入力する構成としてもよい。
一方、制御部28において生成されたフォーカス制御信号Sfは、光学調整機構10の焦点調整機構14に出力される。フォーカス制御信号Sfに基づき、焦点調整機構14の各光学レンズ12及び13の配置構成を変化させて、光記録媒体200の記録層L1又はL2に焦点位置を調整する。またこのフォーカス制御信号Sfを利用して、焦点位置の移動によって発生する収差を補正するように、収差補正機構11を駆動してもよい。または、記録層を選択する信号を別途出力し、それに基づき収差補正機構11を駆動してもよい。
次に、図2〜図4を参照して、トラッキングエラー信号からフォーカス制御信号を生成する方法について説明する。図2は、本発明の実施の形態に係る光学ピックアップ30の制御部28を含む要部の一例の概略構成図である。この例においては、制御部28として、光検出部25側から包絡線検出部281、ローパスフィルター等より成るDC(直流)成分検出部282、振幅最大値検出部283を設ける構成とする。
図3Aに示すように、焦点調整機構14により調整される焦点距離が光記録媒体の記録層L1(又はL2)の位置に合致している場合、図3Bに示すように、トラッキングエラー信号TEの振幅a1は最大となる。一方、図4A又は図4Bに示すように、焦点調整機構14により調整される焦点距離が光記録媒体の記録層L1(又はL2)の位置から手前や奥にずれてしまう場合、図4Cに示すように、トラッキングエラー信号TEの振幅a2は最大振幅a1と比べて小さくなる。したがって、焦点位置、すなわち焦点調整機構14の焦点距離を変化させて振幅の変化を検出し、振幅が最大となる焦点距離を求め、その位置を基準として制御信号を生成することで、目的とする記録層に対してフォーカス制御を行うことが可能となる。
具体的には、先ず、図2に示す包絡線検出部281において、光検出部25からの検出信号に基づいて、焦点距離を変化させたときのトラッキングエラー信号振幅の包絡線を検出する。そして例えばローパスフィルターより成るDC成分検出部282において高周波成分を除去し、振幅最大値検出部283で振幅が最大となる値を検出する。この振幅が最大となる焦点位置が、目的とする記録層に対してフォーカス制御する基準位置となる。
例えば、記録層を2層とする光記録媒体の場合は、図5に示すように、焦点距離の変化に対して2箇所の位置F1,F2においてトラッキングエラー信号がそれぞれ最大となり、すなわち極大値となる。すなわちこの場合、トラッキングエラー信号が極大値となる焦点位置F1,F2にフォーカスが制御されるように、トラッキングエラー信号振幅の包絡線を検出し、その値が極大値となるようにフォーカス制御信号を生成する。このようにすることで、フォーカス位置を記録層L1又はL2に良好に制御することができる。
例えば、記録層を2層とする光記録媒体の場合は、図5に示すように、焦点距離の変化に対して2箇所の位置F1,F2においてトラッキングエラー信号がそれぞれ最大となり、すなわち極大値となる。すなわちこの場合、トラッキングエラー信号が極大値となる焦点位置F1,F2にフォーカスが制御されるように、トラッキングエラー信号振幅の包絡線を検出し、その値が極大値となるようにフォーカス制御信号を生成する。このようにすることで、フォーカス位置を記録層L1又はL2に良好に制御することができる。
実際に、SIL21を用いた近接場光学系20を有する光学ピックアップ30によって、トラッキングエラー信号振幅を検出した測定結果を図6に示す。この例においては、近接場光学系20及び光記録媒体200を下記の構成とし、また記録再生方式を下記の条件とした。
[近接場光学系]
実効的開口数NAeff:1.45
[光記録媒体]
表面保護層の屈折率:1.5
表面保護層の膜厚:1μm
記録層の構成:相変化記録層2層構成
記録層間隔:3μm
実効的開口数NAeff:1.45
[光記録媒体]
表面保護層の屈折率:1.5
表面保護層の膜厚:1μm
記録層の構成:相変化記録層2層構成
記録層間隔:3μm
[記録再生記録方式]
線速:3.08m/s
再生パワー:0.5mW
変調方式:1−7ランダム変調
線密度:70nm/bit
線速:3.08m/s
再生パワー:0.5mW
変調方式:1−7ランダム変調
線密度:70nm/bit
以上の条件として図1に示す光記録再生装置100によりフォーカス制御を行った。この例では、光記録媒体200の記録や再生動作を行う前に、先ず光記録媒体200の目標トラックへシークした後にトラッキングを行わない状態で、光検出部25によりトラッキングエラー信号を検出した。図6は、検出されたトラッキングエラー信号の振幅を、焦点調整機構14のレンズ調整量(相対値)を横軸としてプロットした結果を示す。図6から明らかなように、調整量に対し上に凸の放物線特性を示し、最大値を有する。また、光検出部25から検出される再生信号SRFの振幅も同様の特性を示すことがわかる。
このトラッキングエラー信号振幅の包絡線を検出し、その値が最大になるように焦点調整機構14の制御を行うことによって、各記録層L1又はL2に応じたピックアップ調整が可能となる。その後、トラッキング制御をオンとし、記録再生を行うことで良好な記録再生信号が得られる。
図7においてはこのようなフォーカス制御を行わない場合、図8においては上述した本実施の形態によるフォーカス制御を行った場合の再生信号(RF)及びトラッキングエラー信号(TE)をそれぞれ示す。近接場光学系及び光記録媒体の構成、記録再生方式の条件等は上記の例と同様である。図7から明らかなように、上述したフォーカス制御を行わない場合は、トラッキングエラー信号の振幅が比較的小さく、再生信号の振幅も変化していることがわかる。一方、図8から明らかなように、上述の本実施の形態によるフォーカス制御を行った場合は、トラッキングエラー信号の振幅が十分大きく、再生信号の振幅も大きくなっていることがわかる。
この制御信号は、上述したように最初にトラッキングエラー信号振幅の包絡線の検出を行い、その信号のDC成分を例えばローパスフィルター等を用いて検出し、この値が最大値となるフォーカス制御用の基準信号を記憶しておくことによって得られる。実際に記録再生する際には、トラッキングエラー信号を検出すると同時に記憶しておいた基準信号とトラッキングエラー信号振幅とを比較することで、フォーカス制御信号が得られる。
なお、光記録媒体の記録層L1上に表面保護層を設ける場合、この表面保護層の膜厚のばらつきがフォーカス制御に影響することが考えられる。また、記録層間の中間層の膜厚についても同様である。この場合、制御すべき焦点距離の基準が例えばトラック1周内でばらついてしまうので、代表値のみの制御では精度よいフォーカス制御が困難となる恐れがある。このような場合は、予めトラック1周のうち何点かでトラッキングエラー信号振幅の測定を行い、それぞれ信号振幅が極大となる位置を基準位置として記憶しておくことが望ましい。すなわち、対応する所定のトラック領域ではその領域で求めたトラッキングエラー信号振幅が最大となる基準位置に焦点調整機構を駆動させてフォーカス制御を行う。これにより、光記録媒体の表面保護層や記録層間の中間層の膜厚のばらつきが問題となる場合においても、光記録媒体の全面において良好にフォーカス制御を行い、各記録層に対して安定した再生信号を得ることが可能となる。
以上説明したように、本発明によれば、光記録媒体に近接場光を用いて記録、再生を行う近接場光記録再生方法において、多層媒体への適応が比較的容易に行える様になり、現実的な構成にて実現できる。また、光学ピックアップ及び光記録再生装置の構成として、実用的な機構にて焦点調整を行うことができる。これにより、近接場光記録媒体の大容量化が可能となる。
なお、本発明は上述の実施形態例において説明した構成に限定されるものではなく、その他本発明構成を逸脱しない範囲において種々の変形、変更が可能である。
1.パワー制御部、2.光源、3.コリメートレンズ、4.無偏光ビームスプリッタ、5.偏光ビームスプリッタ、6.4分の1波長板、7.ミラー、10.光学調整機構、11.収差補正機構、12,13.光学レンズ、14.焦点調整機構、20.近接場光学系、21.ソリッドイマージョンレンズ(SIL)、22.光学レンズ、23.駆動部、24.集光レンズ、25.光検出部、26.集光レンズ、27.光検出部、28.制御部、30.光学ピックアップ、41.装着部、42.駆動部、100.光記録再生装置、200.光記録媒体、281.包絡線検出部、282.DC成分検出部、283.振幅最大値検出部
Claims (5)
- 光記録媒体からの戻り光を光検出部で検出し、
前記光検出部で検出されるギャップエラー信号によりギャップ制御信号を生成し、
焦点距離を変化させたときに前記光検出部で検出されるトラッキングエラー信号の振幅が最大となる位置を基準としてフォーカス制御信号を生成し、
前記ギャップ制御信号に基づいて、前記光記録媒体に対して所定の位置に、前記光記録媒体に近接場光を照射する近接場光学系を駆動し、
前記フォーカス制御信号に基づいて、前記光記録媒体の複数の記録層に対して光学調整機構の焦点距離を調整すると共に、焦点位置の移動により発生する球面収差を補正して、
前記光記録媒体の複数の記録層に対する記録、再生の少なくともいずれかを行う
近接場光記録再生方法。 - 前記光学調整機構の焦点距離を変化させたときの前記トラッキングエラー信号振幅の包絡線を予め検出して、前記包絡線の極大値から、前記トラッキングエラー信号の振幅が最大となる位置を求める請求項1記載の近接場光記録再生方法。
- 前記トラッキングエラー信号の振幅が最大となる位置を、前記光記録媒体の所定トラック領域内で複数サンプリングして、各サンプリング位置に対して前記フォーカス制御信号を生成してフォーカス制御を行う請求項1記載の近接場光記録再生方法。
- 光源と、
光記録媒体からの戻り光を検出する光検出部と、
前記光検出部で検出されるギャップエラー信号によりギャップ制御信号を生成すると共に、焦点距離を変化させたときに前記光検出部で検出されるトラッキングエラー信号の振幅が最大となる位置を基準としてフォーカス制御信号を生成する制御部と、
前記光記録媒体に近接場光を照射する近接場光学系と、
前記光記録媒体の複数の記録層に対応して焦点距離を調整すると共に、焦点位置の移動により発生する球面収差を補正する光学調整機構と、
前記ギャップ制御信号に基づいて前記光記録媒体に対して所定の位置に前記近接場光学系を駆動する駆動部と、
前記フォーカス制御信号に基づいて前記光学調整機構を駆動する駆動部と、を備える
光学ピックアップ。 - 光源と、
光記録媒体からの戻り光を検出する光検出部と、
前記光検出部で検出されるギャップエラー信号によりギャップ制御信号を生成すると共に、焦点距離を変化させたときに前記光検出部で検出されるトラッキングエラー信号の振幅が最大となる位置を基準としてフォーカス制御信号を生成する制御部と、
前記光記録媒体に近接場光を照射する近接場光学系と、
前記光記録媒体の複数の記録層に対応して焦点距離を調整すると共に、焦点位置の移動により発生する球面収差を補正する光学調整機構と、
前記ギャップ制御信号に基づいて前記光記録媒体に対して所定の位置に前記近接場光学系を駆動する駆動部と、
前記フォーカス制御信号に基づいて前記光学調整機構を駆動する駆動部と、を備える光学ピックアップと、
前記光記録媒体の装着部と、
前記光記録媒体の装着部を前記光学ピックアップと相対的に移動させる駆動部と、を有する
光記録再生装置。
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