JP2009258660A - 光学補償フィルム付き偏光板、液晶パネル、及び液晶表示装置 - Google Patents

光学補償フィルム付き偏光板、液晶パネル、及び液晶表示装置 Download PDF

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道夫 永井
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Abstract

【課題】温度の急激な変化(例えばヒートショック現象)下における伸縮が抑制され、その結果、良好な光学特性を維持する、光学補償フィルム付き偏光板を提供する。
【解決手段】粘着剤層10と、光学補償フィルム20と、偏光子30とをこの順に有し、該粘着剤層10の60℃における保持力が300μm以下であり、かつ光学補償フィルム20の粘着剤層10側のマルテンス硬さが120N/mm2〜500N/mm2である、光学補償フィルム付き偏光板100である。
【選択図】図1

Description

本発明は、光学補償フィルム付き偏光板、これを備える液晶パネル、及び液晶表示装置に関する。
従来、液晶表示装置には、視野角特性の改善を目的として、光学補償フィルムが用いられている。この光学補償フィルムは、通常、接着剤を利用して、偏光板に貼合されて、液晶表示装置の部材として用いられる。しかし、粘着剤層の存在により、光学補償フィルム付き偏光板を備える表示装置には、高温環境下において表示ムラが発生するという問題がある。また、画面の縁に光漏れが発生し、コントラストが低下するという問題もある。この問題を解決するため、粘着剤層の60℃における保持力、及び60℃における保持力と23℃における保持力の差が300μm下である光学補償フィルム付き偏光板が提案されている(例えば、特許文献1及び2)。
近年、光学補償フィルム付き偏光板を具備する液晶パネル、及びこれを具備する液晶表示装置は、家屋などの室内での鑑賞だけではなく、例えば車内におけるカーナビゲーションシステムやインストゥルメンタルパネルなどの車載用途など、さらに温度・湿度などの気候に左右される過酷な環境での用途が増加しつつある。特に、車載用途として使用する際、外気が低温の状態でエンジンを起動すると、液晶表示装置の温度が急激に上昇する。この現象をヒートショックと呼ぶ。このようなヒートショックを起こすと、液晶表示装置に搭載された光学補償フィルムつき偏光板は、偏光子の吸収軸方向には急激な収縮、透過軸方向には急激な伸長を起こす。ヒートショックを何回も繰り返すと、光学補償フィルム付き偏光板と液晶セルのガラスを介する粘着剤が、光学補償フィルム付き偏光板の収縮及び伸長に追従できず、偏光板の端部から粘着剤がはみ出してしまうという問題が起こる。この問題は、上記で記載した粘着剤の保持力を小さくすることだけで解決することはできない。
一方、液晶表示装置の様々なモードに対して、液晶組成物を硬化させて形成された光学異方性層を有する光学補償フィルムが種々提案されている(例えば、特許文献3及び4)。しかし、従来、前記光学異方性層については、レターデーションの波長分散性等、光学補償能の観点での改良が主に行われ、物理特性の観点での改良はほとんど行われていない。
特開2007−226016号公報 特開2007−226017号公報 特開2007−102205号公報 特開2007−155942号公報
本発明は、温度の急激な変化(例えばヒートショック現象)下における伸縮が抑制され、その結果、良好な光学特性を維持する、光学補償フィルム付き偏光板を提供することを課題とする。
また、本発明は、温湿度の急激な変動(例えばヒートショック現象)下においても、良好な表示特性を示す、液晶パネル及び液晶表示装置を提供することを課題とする。
本発明者は鋭意検討の結果、光学補償フィルム付き偏光板の粘着剤の60℃における保持力を小さくし、かつ光学補償フィルムの粘着剤層側において、表面の硬さの指標であるマルテンス硬さに着目し、マルテンス硬さを大きくすることを組み合わせることにより、前記課題が解決されることを見出した。
前記課題を解決するための手段は以下の通りである。
[1] 粘着剤層と、光学補償フィルムと、偏光子とをこの順に有し、該粘着剤層の60℃における保持力が300μm以下であり、かつ光学補償フィルムの粘着剤層側のマルテンス硬さが120N/mm2〜500N/mm2である、光学補償フィルム付き偏光板。
[2] 前記粘着剤層が、少なくとも(メタ)アクリル系ポリマー(A)と過酸化物(B)とを含む粘着性組成物を架橋させて形成される層である、[1]の光学補償フィルム付き偏光板。
[3] 前記(メタ)アクリル系ポリマー(A)が、アルキル(メタ)アクリレート(a1)と水酸基含有(メタ)アクリレート(a2)との共重合体である、[1]又は[2]の光学補償フィルム付き偏光板。
[4] 前記過酸化物(B)の配合量が、前記(メタ)アクリル系ポリマー(A)100質量部に対して0.01〜1質量部である、[1]〜[3]のいずれかの光学補償フィルム付き偏光板。
[5] 前記粘着性組成物が、イソシアネート系化合物をさらに含む、[2]〜[4]のいずれかの光学補償フィルム付き偏光板。
[6] 前記イソシアネート系化合物の配合量が、前記(メタ)アクリル系ポリマー(A)100質量部に対して0.04〜1質量部である、[5]の光学補償フィルム付き偏光板。
[7] 前記偏光子が、ヨウ素または二色性染料を含有するポリビニルアルコール系樹脂を主成分とする延伸フィルムである、[1]〜[6]のいずれかの光学補償フィルム付き偏光板。
[8] 前記光学補償フィルムが、透明支持体及び光学異方性層を有する、[1]〜[7]のいずれかの光学補償フィルム付き偏光板。
[9] 前記光学異方性層が、液晶組成物を硬化させて形成される層である、[8]の光学補償フィルム付き偏光板。
[10] 前記光学異方性層と透明支持体との間に、前記液晶組成物を配向させるための配向膜を有する、[8]又は[9]の光学補償フィルム付き偏光板。
[11] 前記液晶組成物が、少なくとも1種のディスコティック液晶化合物を含有する、[9]又は[10]の光学補償フィルム付き偏光板。
[12] 前記ディスコティック液晶化合物が、下記式(I)で表される化合物である、[11]の光学補償フィルム付き偏光板。
Figure 2009258660
(一般式(I)中、Y11、Y12およびY13は、それぞれ独立にメチンまたは窒素原子を表し、L1、L2およびL3は、それぞれ独立に単結合または二価の連結基を表し、H1、H2およびH3は、それぞれ独立に下記一般式(I−A)または下記一般式(I−B)を表し、R1、R2およびR3は、それぞれ独立に下記一般式(I−R)を表す。)
Figure 2009258660
(一般式(I−A)中、YA1およびYA2は、それぞれ独立にメチンまたは窒素原子を表し、XAは、酸素原子、硫黄原子、メチレンまたはイミノを表す。*は一般式(I)におけるL1〜L3側と結合する位置を表し、**は上記一般式(I)におけるR1〜R3側と結合する位置を表す。)
Figure 2009258660
(一般式(I−B)中、YB1およびYB2は、それぞれ独立にメチンまたは窒素原子を表し、XBは、酸素原子、硫黄原子、メチレンまたはイミノを表す。*は上記一般式(I)におけるL1〜L3側と結合する位置を表し、**は上記一般式(I)におけるR1〜R3側と結合する位置を表す。)
一般式(I−R)
*−(−L21−Q2n1−L22−L23−Q1
(一般式(I−R)中、*は一般式(I)におけるH1〜H3側と結合する位置を表し、L21は単結合または二価の連結基を表し、Q2は少なくとも1種類の環状構造を有する二価の基を表し、n1は0〜4の整数を表し、L22は、**−O−、**−O−CO−、**−CO−O−、**−O−CO−O−、**−S−、*−N(R)−、**−CH2−、**−CH=CH−または**−C≡C−を表し、**はQ2側と結合する位置を表し、L23は、−O−、−S−、−C(=O)−、−NH−、−CH2−、−CH=CH−および−C≡C−ならびにこれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基を表し、Q1は重合性基または水素原子を表す。n1が2以上のとき、複数個の−L21−Q2は、それぞれ、同一でも異なっていてもよい。)
[13] 前記透明支持体が、セルロースアシレート系ポリマーフィルムである、[8]〜[12]のいずれかの光学補償フィルム付き偏光板。
[14] 前記光学異方性層の厚みが1μm未満である[8]〜[13]のいずれかの光学補償フィルム付き偏光板。
[15] 液晶セルと、該液晶セルの一方の側に配置された第1の偏光板と、該液晶セルの他方の側に配置された第2の偏光板とを有し、前記第1及び第2の偏光板がそれぞれ、[1]〜[14]のいずれかの光学補償フィルム付き偏光板であり、かつ該光学補償フィルム付き偏光板の粘着剤層と液晶セルとが接触して配置されている液晶パネル。
[16] 前記液晶セルが、TNモード及びOCBモードの液晶セルである、[15]の液晶パネル。
[17] [1]〜[14]のいずれかの光学補償フィルム付き偏光板を備える液晶表示装置。
[18] [15]又は[16]の液晶パネルを備える液晶表示装置。
本発明によれば、低温と高温の急激な温度変化(ヒートショック現象)下においても、偏光板の伸縮が抑制された光学補償フィルム付き偏光板を提供することができる。本発明の光学補償フィルム付き偏光板を使用することにより、低温と高温の急激な温度変化(ヒートショック現象)下における、偏光板の過度な収縮が解消され、ヒートショック経時前後においても、良好な表示特性を維持する(黒表示時の色味変化が小さい)。
本発明の光学補償フィルム付き偏光板の二例の断面模式図である。 本発明の光学補償フィルム付き偏光板の作製方法の一例を示す概念図である。 実施例で行った粘着剤層保持力評価の方法を説明するために用いた模式図である。 本発明の液晶パネルの一例を構成する各層の光軸を説明する分解斜視図である。
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明する。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
[光学補償フィルム付き偏光板]
本発明は、粘着剤層と、光学補償フィルムと、偏光子とをこの順に有し、該粘着剤層の60℃における保持力が300μm以下であり、かつ光学補償フィルムの粘着剤層側のマルテンス硬さが120N/mm2〜500N/mm2である、光学補償フィルム付き偏光板に関する。本発明では、これらの特性を満足する粘着剤層と、光学補償フィルムとを組み合わせることにより、例えばヒートショック現象のような急激な温度変化下に置かれても、偏光板が過度に伸縮してしまうのを抑制している。従来、粘着剤層を有する偏光板を、液晶セル基板(通常はガラス板)のように温度変化による伸縮がほとんどない部材に貼合した状態で、温度変化を与える処理を繰り返し行うと、偏光板が過度に伸縮し、一方、粘着剤層はその伸縮に追従できないため、粘着剤層端部が変形して、セル基板に汚れとして付着してしまうことがしばしばあった。本発明者は、種々の検討の結果、この粘着剤層端部の変形及び汚れが、液晶表示装置に同様な温度変化処理を繰り返し与えたときに生じる表示特性の劣化(特に黒表示時の色味変化)の一因であることを見出した。さらに検討を重ね、前記特性を満足する粘着剤層と光学補償フィルムとを組み合わせることにより、偏光板の過度の伸縮による粘着剤層端部の変形を軽減できるとの知見を得、本発明を完成するに至った。従って、本発明の光学補償付きフィルムを使用することにより、ヒートショック経時前後での黒表示時の色味変化を軽減することができる。
(光学補償フィルム付き偏光板の全体構成)
図1は、本発明の一実施形態の光学補償フィルム付き偏光板の概略断面図である。
図1(a)に示す光学補償フィルム付き偏光板100は、粘着剤層10と光学補償フィルム20と、偏光子30とをこの順に有する。図1(a)では、光学補償フィルム20は、透明支持体21と付与層22とを有する。付与層22は、光学補償フィルム20の粘着剤層10側のマルテンス硬さを制御するための層である。付与層がなくても、光学補償フィルムの膜厚方向の素材分布を制御することにより、粘着剤層側のマルテンス硬さを制御することもできるので、その場合には、付与層は不要である。付与層は、例えば、透明支持体上に、塗布又は転写などの方法により設けることができる。
図1(a)では、付与層22が粘着剤層10側となるように配置されているが、図1(b)に示す様に、付与層22は偏光子30側に配置されていてもよい。好ましくは、図1(a)に示す光学補償フィルム付き偏光板100であり、即ち、付与層22は、粘着剤層10側に配置されているのが好ましい。
この光学補償フィルムの付与層は、液晶組成物を硬化させて形成した光学異方性層であることが好ましい。液晶組成物の調製に利用する液晶材料を選択すること、及び硬化条件を調整すること等により、マルテンス硬さが上記範囲の光学異方性層を形成可能である。付与層が、光学異方性層としても機能すれば、例えば、液晶表示装置に用いた場合、液晶セルの光学補償が適切に行なわれ、正面および斜め方向のコントラスト比の高い液晶表示装置を得ることができる。
本発明の光学補償フィルム付き偏光板は、図1に示す構成に限定されるものではない。
例えば、図1中には示していないが、偏光子30の光学補償フィルム20を貼合した面の反対側の面に、保護フィルムを配置するのが好ましい。
また、図1では、光学補償フィルム20は偏光子30の保護フィルムとしても機能しているが、光学補償フィルムとは別に、偏光子と光学補償フィルムとの間に、保護フィルムを配置してもよい。但し、薄型化の観点では、光学補償フィルムが偏光子の保護フィルムを兼ねているのが好ましい。
また、粘着剤層10は、保管及び搬送時にその表面にほこり等が付着して汚れないように、剥離紙等の剥離性の部材が貼付されていてもよい。
以下、本発明の光学補償フィルム付き偏光板の各部材について、その特性、及びその作製に用いられる材料等を詳細に説明する。
(粘着剤層)
本発明の光学補償フィルム付き偏光板(以下、単に「本発明の偏光板」という場合がある)は、粘着剤層を有する。該粘着剤層は、本発明の偏光板を液晶表示装置に組み込む際に、液晶セル基板に接触させて、該粘着剤層の粘着力によって、貼合されるのが好ましい。本発明では、60℃における保持力が300μm以下の粘着剤層を利用する。前記粘着剤層の同温度における保持力は、好ましくは50〜300μm、さらに好ましくは60〜250μm、特に好ましくは70〜200μmである。保持力がこの範囲であれば、高温環境下において発生する表示ムラを抑制し得る。
上記粘着剤層の60℃における保持力をHA、23℃における保持力をHBとしたとき、その差(HA−HB)は、好ましくは100μm以下であり、さらに好ましくは10〜90μmであり、特に好ましくは20〜80μmであり、さらに好ましくは30〜70μmである。(HA−HB)が前記範囲であれば、高温環境下において発生する表示ムラをより効果的に抑制し得る。
上記粘着剤層の厚みは、目的に応じて適宜設定され得る。厚みは、好ましくは2〜50μm、さらに好ましくは2μm〜40μm、特に好ましくは5μm〜35μmである。厚みが前記範囲であると、適切な接着性を示すとともに、且つ一時的に貼付される剥離紙等に対する剥離性が良好な粘着剤層を得ることができる。
上記粘着剤層の23℃における波長590nmの光で測定した透過率は、好ましくは90%以上である。透過率の理論上の上限は100%であり、実用的な上限は96%である。
上記粘着剤層のゲル分率は、好ましくは75%以上、さらに好ましくは75%〜90%、特に好ましくは80%〜85%である。ゲル分率を前記の範囲とすることによって、良好な粘着特性を有する粘着剤層が得られ得る。ゲル分率は、用いる架橋剤の種類、含有量等によって、適宜調節することが可能である。一般的に、粘着剤のポリマーが橋かけされて3次元的な網目構造が形成された部分(ゲル部分ともいう)は、溶剤中に浸漬した場合は、溶剤を吸収して体積を増加させる。この現象を膨潤という。
上記粘着剤層のガラス転移温度(Tg)は、好ましくは−70℃〜−10℃、さらに好ましくは−60℃〜−20℃、特に好ましくは−50℃〜−30℃である。ガラス転移温度を前記の範囲とすることによって、光学補償フィルムに対して強固な接着性を有する粘着剤層を得ることができる。また、液晶セルの基板(ガラス板)に積層した場合に、適度な接着性を有し、且つ一時的に貼付される剥離紙等に対する剥離性に優れる粘着剤層を得ることができる。
上記粘着剤層の水分率は、好ましくは1.0%以下、さらに好ましくは0.8%以下、特に好ましくは0.6%以下、最も好ましくは0.4%以下である。水分率の理論上の下限値は0である。水分率を前記の範囲とすることによって、高温環境下でも発泡の生じにくい粘着剤層を得ることができる。
上記粘着剤層は、上記のような保持力を満足し得る限り、材料については特に制限はない。種々の材料から選択することができる。粘着剤層の一例として、粘着性組成物を硬化させて形成される粘着剤層について説明する。
(粘着性組成物)
上記粘着性組成物は、少なくとも(メタ)アクリル系ポリマー(A)と過酸化物(B)とを含む。(メタ)アクリル系ポリマー(A)は、アクリレート系モノマーおよび/またはメタクリレート系モノマー(本明細書において(メタ)アクリレートという)から合成される重合体または共重合体をいう。(メタ)アクリル系ポリマー(A)が共重合体である場合、その分子の配列状態は特に制限はなく、ランダム共重合体であってもよいし、ブロック共重合体であってもよいし、グラフト共重合体であってもよい。上記(メタ)アクリル系ポリマー(A)の好ましい分子配列状態は、ランダム共重合体である。
(メタ)アクリル系ポリマー(A)は、例えば、アルキル(メタ)アクリレート(a1)を(共)重合して得られる。
アルキル(メタ)アクリレート(a1)のアルキル基は、直鎖状であっても分枝状であっても環状であってもよい。アルキル(メタ)アクリレート(a1)のアルキル基の炭素数は、好ましくは1〜18程度、さらに好ましくは1〜10である。
アルキル(メタ)アクリレート(a1)の具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、iso−ペンチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、iso−ヘキシル(メタ)アクリレート、n−ヘプチル(メタ)アクリレート、iso−ヘプチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、iso−オクチル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、iso−ノニル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレ一トが挙げられる。これらは、単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。2種以上組み合わせる場合、アルキル(メタ)アクリレート(a1)のアルキル基の平均炭素数は、好ましくは3〜9である。
(メタ)アクリル系ポリマー(A)は、好ましくは、上記アルキル(メタ)アクリレート(a1)と水酸基含有(メタ)アクリレート(a2)とを共重合して得られる。このような共重合体を用いることにより、過酸化物(B)との反応性に優れるため、優れた粘着性を有する粘着剤層を得ることができる。この場合、アルキル(メタ)アクリレート(a1)のアルキル基の炭素数は、好ましくは1〜8、さらに好ましくは2〜8、特に好ましくは2〜6、最も好ましくは4〜6である。アルキル(メタ)アクリレート(a1)のアルキル基は、直鎖状であっても分枝状であってもよい。
上記水酸基含有(メタ)アクリレート(a2)の具体例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、5−ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシ―3―メチルブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、7−ヒドロキシヘプチル(メタ)アクリレート、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、10−ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、12−ヒドロキシラウリル(メタ)アクリレート、(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)−メチルアクリレート等が挙げられる。これらは、単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
水酸基含有(メタ)アクリレート(a2)のヒドロキシアルキル基の炭素数は、好ましくは、アルキル(メタ)アクリレート(a1)のアルキル基の炭素数と同数以上である。さらに、水酸基含有(メタ)アクリレート(a2)のヒドロキシアルキル基の炭素数は、好ましくは2〜8、さらに好ましくは4〜6である。このように、炭素数を調整することにより、過酸化物(B)との反応性を向上させることができ、より一層、優れた粘着性を有する粘着剤層を得ることができる。さらに、後述するインシアネート系化合物(C)との反応性に優れ得る。例えば、水酸基含有(メタ)アクリレート(a2)として、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチルを用いる場合は、アルキル(メタ)アクリレート(a1)として、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレートまたはブチル(メタ)アクリレートが好ましく用いられる。
水酸基含有(メタ)アクリレート(a2)の共重合量は、好ましくは0.1〜10モル%、さらに好ましくは0.2〜5モル%、特に好ましくは0.3〜1.1モル%である。上記範囲の共重合量であれば、密着性、耐久性、応力緩和性に優れる粘着剤層を得ることができる。
上記(メタ)アクリル系ポリマー(A)は、上記アルキル(メタ)アクリレート(a1)、水酸基含有(メタ)アクリレート(a2)の他に、他の成分を共重合させて得ることもできる。他の成分としては、特に限定されないが、ベンジル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシメチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、酢酸ビニル、(メタ)アクリロニトリル等が好ましく用いられる。他の成分の共重合量は、アルキル(メタ)アクリレート(a1)100質量部に対して100質量部以下であることが好ましく、より好ましくは50質量部以下である。
(メタ)アクリル系ポリマー(A)の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは100万以上、さらに好ましくは120万〜300万、特に好ましくは120万〜250万である。なお、Mwは、重合時の溶剤、温度、後述する添加剤等を適宜選択することで調整し得る。
(メタ)アクリル系ポリマー(A)は、任意の適切な方法により製造できる。例えば、バルク重合法、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法等のラジカル重合法を適宜選択できる。ラジカル重合法においては、任意の適切なラジカル重合開始剤(例えば、アゾ系、過酸化物系)を用い得る。反応温度は通常50〜80℃程度であり、反応時間は通常1〜30時間である。
上記重合法の中でも溶液重合法が好ましい。重合温度を高精度に調節し得、重合後のポリマー溶液を反応容器から取り出しやすいからである。溶液重合法に用いられる溶媒としては、一般に、酢酸エチル、トルエン等が挙げられる。溶液濃度は、通常20〜80質量%程度である。溶液重合法を具体的に説明する。例えば、溶媒にモノマーを溶解させ、アゾビスイソブチロニトリル等の重合開始剤を、モノマー100質量部に対して0.01〜0.2質量部添加して溶液を調製する。その後、窒素雰囲気下で、溶液の温度を50℃〜70℃に設定し、8時間〜30時間反応させる。
上記過酸化物(B)は、加熱によりラジカルを発生させて(メタ)アクリル系ポリマー(A)を架橋し、粘着性組成物を硬化させるために添加される。なお、本明細書において「架橋する」とは、ポリマーを化学的に橋かけして、3次元的な網目構造を形成することをいう。過酸化物(B)としては、例えば、ハイドロパーオキサイド類、ジアルキルパーオキサイド類、パーオキシエステル類、ジアシルパーオキサイド類、パーオキシジカーボネート類、パーオキシケタール類、ケトンパーオキサイド類等が挙げられる。具体的には、ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシピバレート、ジラウロイルパーオキサイド、ジ−n−オクタノイルパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシイソブチレート、ジ(4−メチルベンゾイル)パーオキサイド、ジベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシブチレート、ベンゾイル−m−メチルベンゾイルパーオキサイド、m−トルオイルパーオキサイド等が挙げられる。これらの過酸化物は、単独で、または2種類以上を組み合わせて用いることができる。
上記過酸化物の中でも、ジアシルパーオキサイド類が好ましく用いられ、さらに好ましくは、ジベンゾイルパーオキサイドおよび/またはベンゾイルm−メチルベンゾイルパーオキサイドである。これらの過酸化物は、後述する1分間半減期温度が90℃〜140℃であるため、保存安定性に優れ、かつ、架橋反応を高精度に制御し得るからである。
上記過酸化物(B)として、市販品をそのまま用い得る。市販品の具体例としては、パーロイルシリーズ(商品名「IB,335,L,SA,IPP,NPP,TCP等」、日本油脂(株)製)、ナイパーシリーズ(商品名「FF,BO,NS,E,BMT−Y,BMT−K40,BMT−M等」、日本油脂(株)製)等が挙げられる。
上記過酸化物(B)の配合量は、(メタ)アクリル系ポリマー(A)100質量部に対して好ましくは0.01〜1質量部、さらに好ましくは0.05〜0.8質量部、特に好ましくは0.1〜0.5質量部、最も好ましくは0.15〜0.45質量部である。過酸化物(B)の配合量を前記範囲とすることで、粘着剤層が上記保持力を十分に達成し得、さらには、適度な応力緩和性および優れた熱安定性を示し得る。その結果、高温環境下において発生する表示ムラを効果的に抑制し得る。なお、過酸化物を含有させることで、水分率が小さい粘着剤層を得ることができる。粘着剤層の水分率が小さいことも、液晶表示装置の表示ムラの低減に寄与していると考えられる。
上記粘着性組成物は、好ましくはイソシアネート系化合物をさらに含有し得る。粘着剤層と光学補償フィルムとの密着性(投錨力ともいう)が向上し得るからである。イソシアネート系化合物としては、トリレンジイソシアネート、クロルフェニレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリメチロールプロパンキシレンジイソシアネート、水添されたジフェニルメタンジイソシアネート等のイソシアネートモノマー;これらイソシアネートモノマーをトリメチロールプロパン等の多価アルコールと付加したアダクト系イソシアネート化合物;イソシアヌレート物;ビュレット型化合物;さらには任意の適切なポリエーテルポリオールやポリエステルポリオール、アクリルポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオール等を付加反応させたウレタンプレポリマー型のイソシアネート等が挙げられ、これらを単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。これらの中でも、トリメチロールプロパンキシレンジイソシアネートが好ましく用いられる。粘着剤層と光学補償フィルムとの密着性がより向上し得るからである。
上記イソシアネート系化合物として、市販品をそのまま用い得る。市販のイソシアネート系化合物としては、例えば、三井武田ケミカル(株)製 タケネートシリーズ(商品名「D−110N,500,600,700等」)、日本ポリウレタン工業(株)コロネートシリーズ(例えば、商品名「L,MR,EH,HL等」)等が挙げられる。
上記イソシアネート系化合物の配合量は、目的に応じて適切な量が設定され得る。例えば、配合量は、(メタ)アクリル系ポリマー(A)100質量部に対して、好ましくは0.04〜1質量部、さらに好ましくは0.06〜0.8質量部、特に好ましくは0.08〜0.6質量部、最も好ましくは0.1〜0.2質量部である。イソシアネート系化合物の配合量を前記範囲とすることによって、粘着剤層は、上記保持力を十分に達成し得、さらには、適度な応力緩和性および優れた熱安定性を示し得る。その結果、液晶表示装置に用いた場合、高温環境下において発生する表示ムラを効果的に抑制し得る。さらに、過酷な(高温,多湿)環境下でも、粘着剤層と位相差層との密着性が良好となり得る。架橋剤として、過酸化物およびイソシアネート基系化合物を用いることも、表示ムラの低減に寄与していると考えられる。
上記粘着性組成物は、好ましくはシランカップリング剤をさらに含有し得る。粘着剤層と液晶セル基板との密着性が向上し得るからである。シランカップリング剤としては、任意の適切な官能基を有するものを用い得る。官能基としては、例えば、ビニル基、エポキシ基、メタクリロキシ基、アミノ基、メルカプト基、アクリロキシ基、アセトアセチル基、イソシアネート基、スチリル基、ポリスルフィド基等が挙げられる。シランカップリング剤の具体例としては、ビニルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。これらの中でも、アセトアセチル基を有するシランカップリング剤が好ましく用いられる。粘着剤層と液晶セル基板との密着性がより向上し得るからである。
上記シランカップリング剤として、市販品をそのまま用い得る。市販のシランカップリング剤としては、例えば、信越シリコーン(株)製 KAシリーズ(商品名「KA−1003等」)、信越シリコーン(株)製 KBMシリーズ(商品名「KBM−303,KBM−403,KBM−503等」)、信越シリコーン(株)製 KBEシリーズ(商品名「KBE−402,KBE−502,KBE−903等」)、東レ(株)製 SHシリーズ(商品名「SH6020,SH6040,SH6062等」)、東レ(株)製 SZシリーズ(商品名「SZ6030,SZ6032,SZ6300等」)が挙げられる。
上記シランカップリング剤の配合量は、目的に応じて適切な量が設定され得る。例えば、配合量は、(メタ)アクリル系ポリマー(A)100質量部に対して、好ましくは0.001〜2質量部、さらに好ましくは0.005〜2質量部、特に好ましくは0.01〜1質量部、最も好ましくは0.02〜0.5質量部である。シランカップリング剤の配合量を前記範囲とすることによって、より一層、過酷な(高温,多湿)環境下でも、粘着剤層と位相差層との密着性に優れた液晶パネルが得られ得る。
上記粘着性組成物は、さらに適切な任意成分を含でいてもよい。任意成分としては、例えば、金属粉、ガラス繊維、ガラスビーズ、シリカ、充填剤等が挙げられる。任意成分の含有量は、上記粘着剤層を形成する全固形分100質量部に対し、好ましくは0を超え10質量部以下であり、さらに好ましくは0を超え5質量部以下である。また、上記粘着剤層は、隣接する層からの移行物質(例えば、残留溶剤、添加剤、オリゴマーなど)を含んでいてもよい。
また、上記粘着性組成物は、本発明の目的を逸脱しない範囲で各種の添加剤をさらに含有し得る。添加剤としては、例えば、可塑剤、熱安定剤、光安定剤、滑剤、抗酸化剤、紫外線吸収剤、難燃剤、着色剤、帯電防止剤、相溶化剤、架橋剤、増粘剤、顔料等が挙げられる。
上記その他の添加剤の配合量は、目的に応じて適切な量が設定され得る。配合量は、(メタ)アクリル系ポリマー(A)100質量部に対して、好ましくは0を超え5質量部以下である。
上記粘着性組成物は、例えば、以下の工程1Aおよび工程1Bを含む方法により調製される。
工程1A:上記(メタ)アクリル系ポリマー(A)を溶剤で希釈してポリマー溶液(1−A)を調製する工程、
工程1B:工程1Aで得られたポリマー溶液(1−A)に、上記過酸化物(B)、必要に応じて上記イソシアネート系化合物および/または上記添加剤を配合する工程。
前記方法により、より均一な粘着性組成物が得られる。ここで、各成分の配合方法としては、適宜、適切な方法が採用され得る。好ましくは、ポリマー溶液(1−A)に、過酸化物(B)、イソシアネート系化合物、シランカップリング剤をこの順で加える。さらに、(メタ)アクリル系ポリマー(A)が溶液重合法で重合される場合は、得られた反応溶液を前記ポリマー溶液(1−A)としてそのまま用いてもよい。得られた反応溶液に溶剤を加えた希釈溶液をポリマー溶液(1−A)として用いてもよい。
上記調製に用いる溶剤としては、(メタ)アクリル系ポリマー(A)を溶解し得るものであれば特に限定されない。具体的には、トルエン、キシレン、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、フェノール、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、アニソール、テトラヒドロフラン、アセトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、2−ヘキサノン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、n−ブタノール、2−ブタノール、シクロヘキサノール、イソプロピルアルコール、t−ブチルアルコール、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコールジメチルエーテル、2−メチル−2,4−ペンタンジオールジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、アセトニトリル、ブチロニトリル、メチルセロソルブ、酢酸メチルセロソルブ、酢酸エチル、酢酸ブチル等が挙げられ、これらを単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。これらの中でもトルエン、酢酸エチルが好ましく用いられる。生産性、作業性、経済性に優れるからである。
上記ポリマー溶液(1−A)の濃度は、好ましくは15〜45質量%、さらに好ましくは20〜40質量%である。ポリマー溶液(1−A)の濃度を上記の範囲とすることによって、基材への塗工性に優れ、結果として、表面均一性に優れる粘着剤層を得ることができる。
(粘着性組成物の硬化方法)
上記粘着性組成物を硬化させる方法については特に制限はない。種々の方法により、架橋反応を進行させて、硬化させることができる。一例は、粘着性組成物を加熱する方法することによって、架橋反応を進行させる方法である。加熱温度は、好ましくは50℃〜200℃、さらに好ましくは70℃〜190℃、特に好ましくは100℃〜180℃であり、よりさらに好ましくは120℃〜170℃である。加熱温度を前記の範囲にすることによって、(メタ)アクリル系ポリマー(A)と過酸化物(B)との架橋反応が速やかに進行し、優れた粘着特性を有する粘着剤層を形成できる。さらに、副反応を抑制し得る。加熱時間は、特に制限されないが、好ましくは5秒〜20分、さらに好ましくは5秒〜10分、特に好ましくは10秒〜5分である。加熱時間を前記の範囲とすることによって、(メタ)アクリル系ポリマー(A)と過酸化物(B)との架橋反応が効率良く行なわれる。
粘着剤層の形成方法の具体例として、以下の工程1Cおよび工程1Dを含む方法が挙げられる。
工程1C:上記ポリマー溶液(1−B)を基材に塗工する工程、
工程1D:工程1Cで形成された塗工物を、例えば、50℃〜200℃で加熱、乾燥し、基材の表面に粘着剤層を形成する工程。
工程1Cは、ポリマー溶液を基材の上に薄く展開し、薄膜状の塗工物を得るために行なわれる。工程1Dは、塗工物の溶剤を蒸発させ、且つ、過酸化物とポリマーとの架橋反応を進行させるために行なわれる。なお、工程1Dの乾燥は、例えば、異なる温度が設定された複数の温度制御手段を用いて、多段階に行ってもよい。このような方法によれば、厚みバラツキの小さい粘着剤層を効率よく得られるとともに、過酸化物とポリマーとの架橋反応が適切に行なわれて、粘着特性に優れた粘着剤層を得ることができる。
上記ポリマー溶液(1−B)を基材に塗工する方法としては、任意の適切なコータを用いた塗工方式が採用される。コータとしては、例えば、リバースロールコータ、正回転ロールコータ、グラビアコータ、ナイフコータ、ロッドコータ、スロットオリフィスコータ、カーテンコータ、ファウンテンコータ、エアドクタコータ、キスコータ、ディップコータ、ビードコータ、ブレードコータ、キャストコータ、スプレイコータ、スピンコータ、押出コータ、ホットメルトコータ等が挙げられる。好ましくは、リバースロールコータ、グラビアコータ、スロットオリフィスコータ、カーテンコータ、ファウンテンコータである。これらの方法によれば、表面均一性に優れる塗工膜が得られる。
上記基材としては、任意の適切なものが選択され得る。好ましくは、高分子フィルムが用いられる。ロール作製が可能で、生産性を大幅に向上し得るからである。基材は、後述する光学補償フィルムであってもよい。好ましくは、基材は、少なくともポリマー溶液(1−B)が塗工される側の表面に、剥離処理されたものが用いられる。このように剥離処理された基材は、粘着剤層の剥離ライナーとしても機能し得るからである。具体例として、シリコーン系剥離剤で処理されたポリエチレンテレフタレートフィルムが挙げられる。なお、剥離ライナーは、粘着剤層が積層される前に、通常、剥離される。
上記粘着性組成物を加熱または乾燥するための、温度制御手段としては、適宜、適切なものが選択され得る。上記温度制御手段は、例えば、熱風又は冷風が循環する空気循環式恒温オーブン、マイクロ波もしくは遠赤外線などを利用したヒーター、温度調節用に加熱されたロール、ヒートパイプロール又は金属ベルト等方法が挙げられる。
(粘着剤層と光学補償フィルムとの積層)
上記工程1A〜工程1Dにより得られた粘着剤層は、光学補償フィルムの表面(液晶組成物を硬化させて形成された光学異方性層を有する光学補償フィルムでは、好ましくは光学異方性層の表面)に積層するのが好ましい。例えば、以下の工程1Eを含む方法によって、光学補償フィルム上に積層することができる。
工程1E:工程1Dで得られる基材の表面に形成された粘着剤層を、光学補償フィルムに積層して、積層体を得る工程。
この方法によれば、光学補償フィルムの光学特性が変化し難く、優れた光学特性を有する液晶パネルを得ることができる。さらに、表面均一性に優れた液晶パネルが得られ得る。積層に際し、粘着剤層は、基材から剥離してから光学補償フィルムに積層してもよいし、基材から剥離しながら光学補償フィルムに積層してもよいし、光学補償フィルムに積層した後、基材から剥離してもよい。
上記粘着性組成物がイソシアネート系化合物を含む場合、上記積層方法は、好ましくは、以下の工程1Fを含む。
工程1F:工程1Eで得られた積層体を少なくとも3日間保存する工程。
前記工程1Fは、前記粘着剤層を熟成させるために行なわれる。本明細書において「熟成(エージングともいう)」とは、粘着剤層に含まれる物質の拡散や化学反応を進行させ、好ましい性質、状態を得ることをいう。
上記粘着剤層を熟成させる温度(熟成温度)としては、ポリマーや架橋剤の種類、熟成時間等により、適宜、調節され得る。熟成温度は、好ましくは10℃〜80℃、さらに好ましくは20℃〜60℃、特に好ましくは20℃〜40℃である。熟成温度を前記の範囲とすることによって、安定した粘着特性を有する粘着剤層を得ることができる。上記粘着剤層を熟成させる時間(熟成時間)としては、ポリマーや架橋剤の種類、熟成温度等により、適宜、調節され得る。熟成時間は、好ましくは3日間以上、さらに好ましくは5日間以上、特に好ましくは7日間以上である。熟成時間を前記の範囲とすることによって、安定した粘着特性を有する粘着剤層を得ることができる。
上記粘着剤層の形成方法の一例について、図2を参照して説明する。図2では、基材302が、第1の繰り出し部301から繰り出され、コータ部303にて、上記ポリマー溶液(1−B)が塗工される。基材の表面に塗工された塗工物は、温度制御手段(乾燥手段)304に送られ、例えば、50℃〜200℃で加熱、乾燥されて、粘着剤層が形成される。光学補償フィルムが、第2の繰り出し部306から繰り出されて、ラミネートロール307,308にて前記粘着剤層に積層される。このようにして得られた光学補償フィルムと粘着剤層と基材302との積層物309は、巻き取り部310にて巻き取られる。なお、基材302が、例えば、シリコーン系剥離剤で処理されたポリエチレンテレフタレートフィルムである場合は、基材302は、そのまま剥離ライナーとして用いられ得る。
(光学補償フィルム)
本発明の光学補償フィルム付き偏光板は、粘着剤層側のマルテンス硬さが120N/mm2〜500N/mm2の光学補償フィルムを有する。マルテンス硬さは、130N/mm2〜400N/mm2がより好ましく、150N/mm2〜300N/mm2がさらに好ましい。光学補償フィルムの粘着剤層側のマルテンス硬さが120N/mm2を下回ると、光学補償フィルムの粘着剤層側は弾性体的であるが、温度変化による偏光板の伸縮が大きく、粘着剤層の伸縮が偏光子の伸縮に追従できない傾向がある。一方、マルテンス硬さが500N/mm2を超えると、光学補償フィルムの粘着剤層側が剛性になると同時に、光学補償フィルム表面からの脆性破壊が起こりやすくなり、温度変化はなくとも、高温高湿の環境下において、光学補償フィルム自体にひび割れが生じる可能性がある。特に、前記光学補償フィルムが、透明支持体と光学異方性層とを有し、前記光学異方性層が粘着剤層側に配置されていると、ひび割れの可能性が高くなり、好ましくない。
なお、本明細書では、フィルムのマルテンス硬さは、フィルムを適当な大きさ(例えば100mm×100mm)に切り出した試料を、フィッシャースコープ H100(Fischer社製)等の測定装置を用いて、当該面(粘着剤層側の面)の任意の5点について測定し、その平均値として算出された値をいう。測定にはビッカース圧子を用い、最大荷重は100mN、最大荷重までの到達時間は5秒、最大および最小荷重におけるクリープは各5秒とする。
前記光学補償フィルムの好ましい一例は、透明支持体と、透明支持体上に形成された光学異方性層とを有する。以下、この例について説明する。
(透明支持体)
本発明に用いる透明支持体は、透明であるのが好ましく、具体的には、光透過率が80%以上である透明なポリマーフィルムが好ましい。透明支持体として使用可能なポリマーフィルムとしては、セルロースエステル(例:セルロースアセテート、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート)、環状ポリオレフィン系ポリマー、環状ポリオレフィン系コポリマー、ノルボルネン系ポリマー、ポリメチルメタクリレート等からなるポリマーフィルムが挙げられる。市販のポリマー(ノルボルネン系ポリマーでは、ア−トン(登録商標)、及びゼオネックス(登録商標)、アペル(登録商標)など)を用いてもよい。また、セルロースエステルからなるフィルムが好ましく、セルロースの低級脂肪酸エステルからなるフィルムが更に好ましい。低級脂肪酸とは、炭素原子数が6以下の脂肪酸を意味する。特に、炭素原子数が2(セルロースアセテート)、3(セルロースプロピオネート)又は4(セルロースブチレート)が好ましい。そして、これらセルロースエステルの中でも、セルロースアセテートからなるフィルムが特に好ましい。また、セルロースアセテートプロピオネートやセルロースアセテートブチレートのような混合脂肪酸エステルを用いることもできる。
なお、従来知られているポリカーボネートやポリスルホンのような複屈折の発現しやすいポリマーであっても、国際公開WO00/26705号パンフレットに記載のように、分子を修飾することで複屈折の発現性を制御すれば、本発明において、透明支持体として用いることもできる。
前記光学補償フィルムを、偏光板の保護フィルムとして使用する場合は、ポリマーフィルムとしては、酢化度が55.0〜62.5%であるセルロースアセテートを使用することが好ましい。酢化度は、57.0〜62.0%であることが更に好ましい。ここで、酢化度とは、セルロース単位質量当たりの結合酢酸量を意味する。
酢化度は、ASTM:D−817−91(セルロースアセテート等の試験法)におけるアセチル化度の測定及び計算によって求められる。
セルロースアセテートの粘度平均重合度(DP)は、250以上であることが好ましく、290以上であることが更に好ましい。また、セルロースアセテートは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるMw/Mn(Mwは質量平均分子量、Mnは数平均分子量)の分子量分布が狭いことが好ましい。
具体的なMw/Mnの値としては、1.0〜40であることが好ましく、1.0〜1.65であることが更に好ましく、1.0〜1.6であることが特に好ましい。
セルロースアセテートでは、セルロースの2位、3位及び6位のヒドロキシルが均等に置換されるのではなく、6位の置換度が小さくなる傾向がある。
透明支持体として用いるポリマーフィルムでは、セルロースの6位置換度が、2位、3位に比べて同程度又は多い方が好ましい。
2位、3位及び6位の置換度の合計に対する6位の置換度の割合は、30〜40%であることが好ましく、31〜40%であることがより好ましく、32〜40%であることが特に好ましい。また、6位の置換度は0.88以上であることが好ましい。なお、各位置の置換度は、NMRによって測定することできる。
6位置換度が高いセルロースアセテートは、特開平11−5851号公報の段落番号[0043]〜「0044」に記載の合成例1、段落番号[0048]〜[0049]に記載の合成例2、及び段落番号[0051]〜[0052]に記載の合成例3の方法を参照して合成することができる。
なお、本明細書において、Re(λ)、Rth(λ)は、各々、波長λにおける面内のレターデーション、及び厚さ方向のレターデーションを表す。Re(λ)は、KOBRA 21ADH又はWR(王子計測機器(株)製)において、波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定される。測定波長λnmの選択にあたっては、波長選択フィルターをマニュアルで交換するか、または測定値をプログラム等で変換して測定するかできる。
測定されるフィルムが1軸又は2軸の屈折率楕円体で表されるものである場合には、以下の方法によりRth(λ)は算出される。
Rth(λ)は前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADH又はWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフィルム面内の任意の方向を回転軸とする)のフィルム法線方向に対して法線方向から片側50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて全部で6点測定し、その測定されたレターデーション値と、平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値とを基にKOBRA 21ADH又はWRが算出される。
上記において、法線方向から面内の遅相軸を回転軸として、ある傾斜角度にレターデーションの値がゼロとなる方向をもつフィルムの場合には、その傾斜角度より大きい傾斜角度でのレターデーション値は、その符号を負に変更した後、KOBRA 21ADH又はWRが算出される。
なお、遅相軸を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合には、フィルム面内の任意の方向を回転軸とする)、任意の傾斜した2方向からレターデーション値を測定し、その値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基に、以下の数式(I)及び式(II)よりRthを算出することもできる。
Figure 2009258660
式中、Re(θ)は法線方向から角度θ傾斜した方向におけるレターデーション値をあらわす。
また、nxは、面内における遅相軸方向の屈折率を表し、nyは面内においてnxに直交する方向の屈折率を表し、nzはnx及びnyに直交する方向の屈折率を表し、dは膜厚を表す。
測定されるフィルムが1軸や2軸の屈折率楕円体で表現できないもの、いわゆる光学軸(optic axis)がないフィルムの場合には、以下の方法により、Rth(λ)は算出される。
Rth(λ)は、前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADH又はWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して−50度から+50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて11点測定し、その測定されたレターデーション値と、平均屈折率の仮定値、及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADH又はWRが算出される。
上記の測定において、平均屈折率の仮定値は、ポリマーハンドブック(JOHN WILEY&SONS,INC)、各種光学補償フィルムのカタログの値を使用することができる。
また、平均屈折率の値が既知でないものについては、アッベ屈折計で測定することができる。主な光学補償フィルムの平均屈折率の値を以下に例示する:
セルロースアシレート(1.48)、シクロオレフィンポリマー(1.52)、ポリカーボネート(1.59)、ポリメチルメタクリレート(1.49)、ポリスチレン(1.59)である。
これら平均屈折率の仮定値と膜厚を入力することで、KOBRA 21ADH又はWRは、nx、ny、nzを算出する。この算出されたnx,ny,nzよりNz=(nx−nz)/(nx−ny)が更に算出される。
面内に遅相軸を有する透明支持体の場合、Reレターデーション値は、0〜60nmが好ましい。
一方、液晶表示装置の色ずれを改良するには、Rthを制御することも重要である。
可視光領域での波長450nmにおけるReとRthの比Re(450nm)/Rth(450nm)が、波長550nmにおけるRe(550nm)/Rth(550nm)の0.10〜0.95倍であり、0.4〜0.8倍が好ましく、0.5〜0.7倍がより好ましい。
また、波長650nmにおけるRe(650nm)/Rth(650nm)が、Re(550nm)/Rth(550nm)の1.01〜1.9倍であり、1.1〜1.7倍が好ましく、1.3〜1.6倍がより好ましい。
なお、R、G、BそれぞれにおけるRe/Rthは、いずれも0.1〜0.8の範囲であることが好ましい。
また、該光学補償フィルム全体の厚み方向のレターデーション(Rth)は、黒表示時における厚さ方向の液晶層のレターデーションをキャンセルさせるための機能を持っているので、各液晶層の態様によって好ましい範囲も異なる。
このRthを制御する方法としては、後述の液晶層を塗設する方法、もしくは添加剤を使用する方法等が好ましく使用される。
透明支持体にセルロースアセテートフィルムを用いる場合は、レターデーション上昇剤をフィルム中に含有させるのが好ましく、好ましい化合物例、及びその製造方法に関しては、特開2000−154261号公報、及び特開2000−111914号公報に記載されている。
なお、セルロースアセテートフィルムの複屈折率(Δn:nx−ny)は、0.00025〜0.00088であることが好ましい。また、セルロースアセテートフィルムの厚み方向の複屈折率{(nx+ny)/2−nz}は、0.00088〜0.005であることが好ましい。
一方、一般的に光学フィルムは、外力を加えて内部に応力を起こさせると、一時的に光学的異方性を呈し、複屈折を示すようになる。これを光弾性効果という。その指標として用いられる光弾性係数は、絶対値が小さいほうが、光学均一性に優れ、歪による位相差ムラなどが生じにくいため好ましい。前記透明支持体としては、このような光学フィルムを用いることが好ましい。上記光弾性係数の絶対値は、例えば、日本分光株式会社製の製品名 分光エリプソメーター「M−220」を用いて、2cm×10cmの試験片に23℃で応力をかけながら、フィルム面内の位相差値を測定し、位相差値と応力の関数の傾きから算出することができる。
前記透明支持体は、製膜方向及び該製膜方向に直交する方向の光弾性係数の絶対値、波長590nmで測定した値の絶対値(m2/N)が、10.0×10-12以下であるものが好ましい。より好ましくは、8.0×10-12以下、更に好ましくは、6.0×10-12以下である。上記の範囲であれば、例えば、高温度高湿度の環境下における光学補償フィルムそのものの収縮、偏光子の収縮応力や、バックライトの熱によって生じる位相差値のズレやムラが小さく、更には環境に左右されずに安定した光学補償が可能な行われる光学補償フィルムが得られる。その結果として、耐環境性に優れた液晶表示装置を提供することができる。
光弾性係数が前記範囲となるポリマーの好ましい具体例としては、アクリル系樹脂(例えばポリメチルメタクリレート)、環状ポリオレフィン(例えばJSRから市販されているアートンG、アートンF、日本ゼオンから市販されているゼオノア1020R、1060R、1420R、1600R、ゼオネックス480、480R、280R、490R、E48R、E28R、RS820)等が挙げられる。中でも環状ポリオレフィンが好ましい。環状ポリオレフィンの中でも、特にテトラシクロドデセン類の開環重合体またはテトラシクロドデセン類とノルボルネン類の開環共重合体を水素添加させて得られた重合体を構成成分とするポリマーが特に好ましい。即ち、特公平2−9619号および特開平9−263627号の各公報に詳細が記載されている、テトラシクロドデセン(別称ジメタノ−1,4,5,8−オクタヒドロ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−ナフタレン)類の開環重合体またはテトラシクロドデセン類とノルボルネン(別称ビシクロ−〔2・2・1〕−ヘプテン−2)類の開環共重合体を水素添加させて得られた重合体は、吸湿性が極めて小さく、透明性、成形加工性、耐水性に優れていることから、特に好ましい。この重合体におけるテトラシクロドデセン骨格の割合は、耐熱性の点で通常は50モル%以上、好ましくは80モル%以上、特に好ましくは90モル%以上であり、重合体の分子量は、開環重合時にオレフィンあるいはシクロオレフィン等を添加して調節することができるが、一般に1000〜50万、好ましくは1万〜10万である。
前記透明支持体は、溶液流延法、または溶融製膜法を利用して作製することができる。フィルムの面状からすると溶液流延法によるのが好ましいが、溶媒を用いない溶融製膜法は、生産性およびコストの点で優れている。
溶液流延法では、ポリマーを有機溶媒に溶解した溶液(ドープ)を用いてフィルムを製造する。溶液流延法での乾燥は、ドラム(またはバンド)面での乾燥と、フィルム搬送時の乾燥に大きく分かれる。ドラム(またはバンド)面での乾燥時には、使用している溶媒の沸点を越えない温度(沸点を越えると泡となる)でゆっくりと乾燥させることが好ましい。また、フィルム搬送時の乾燥は、ポリマーのガラス転移点±30℃で行うことが好ましく、±20℃で行うことが更に好ましい。
本発明の光学補償フィルム付き偏光板では、偏光子の保護や、さらなる光学補償を目的として、透明支持体を複数に積層することもできる。異なる厚みの透明支持体を選択してもよいし、異なるポリマーから成る透明支持体を選択してもよい。積層する手段としては、シート同士を貼り付けてもよい。また、異なるポリマーが溶解した異なる溶液や溶融液を用いてそれぞれが複数の層に積層されるように製膜してもよいし、異なるポリマーを混合した溶液や溶融液を用いて製膜し、結果的に分離して積層体となるような方法を用いてもよい。また、偏光板で一般的に使用されるロールトゥロール方式により、例えば、一方に粘着剤の敷設された透明支持体、他方に異なる種類のロール状の透明支持体を互いに搬送しながら粘着するような工程により、積層してもよい。積層する透明支持体には、本発明で述べるような光学異方性層がすでに敷設された透明支持体を用いてもよい。あるいは、透明支持体を積層してから、光学異方性層を敷設してもよい。
(光学異方性層)
本発明の光学補償フィルム付き偏光板が有する光学補償フィルムの一例は、液晶化合物を含有する液晶組成物から形成された光学異方性層を、前記透明支持体上に有する。本発明では、光学補償フィルムの粘着剤層側のマルテンス硬さが所定の範囲であることが特徴であるが、液晶組成物を硬化させて形成された層は、液晶材料を選択することによって、及び/又は硬化条件を調整することによって、その空気界面のマルテンス硬さを所望の範囲に調整可能である。従って、前記光学異方性層が、粘着剤層側に配置されている態様であると、マルテンス硬さの調整が容易であるので好ましい。なお、前記光学異方性層は、透明支持体の表面に直接形成してもよいし、透明支持体上に配向膜を形成し、該配向膜上に形成してもよい。また、別の基材に形成した液晶化合物層を、粘着剤等を用いて、透明支持体上に転写することで、本発明の光学補償フィルム付き偏光板を作製することも可能である。その際、光学異方性層を仮に支持する支持体は、透明でなくてもよく、被転写支持体が透明支持体であればよい。
光学異方性層の形成に用いる液晶化合物としては、棒状液晶化合物及びディスコティック液晶化合物が挙げられる。棒状液晶化合物及びディスコティック液晶化合物は、高分子液晶でも低分子液晶でもよく、更に、低分子液晶が架橋され液晶性を示さなくなったものも含まれる。
[棒状液晶化合物]
本発明に使用可能な棒状液晶化合物としては、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類及びアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が好ましく用いられる。
なお、棒状液晶化合物には、金属錯体も含まれる。また、棒状液晶化合物を繰り返し単位中に含む液晶ポリマーも用いることができる。言い換えると、棒状液晶化合物は、(液晶)ポリマーと結合していてもよい。
棒状液晶化合物については、季刊化学総説第22巻「液晶の化学(1994)日本化学会編」の第4章、第7章、及び第11章、及び液晶デバイスハンドブック日本学術振興会第142委員会編の第3章に記載がある。
本発明に用いる棒状液晶化合物の複屈折率は、0.001〜0.7の範囲にあることが好ましい。
棒状液晶化合物は、その配向状態を固定するために、重合性基を有することが好ましい。重合性基は、不飽和重合性基又はエポキシ基が好ましく、不飽和重合性基が更に好ましく、エチレン性不飽和重合性基が特に好ましい。
[ディスコティック液晶化合物]
ディスコティック液晶化合物には、C.Destradeらの研究報告、Mol.Cryst.71巻、111頁(1981年)に記載されているベンゼン誘導体、C.Destradeらの研究報告、Mol.Cryst.122巻、141頁(1985年)、Physics lett,A,78巻、82頁(1990)に記載されているトルキセン誘導体、B.Kohneらの研究報告、Angew.Chem.96巻、70頁(1984年)に記載されたシクロヘキサン誘導体及びJ.M.Lehnらの研究報告、J.Chem.Commun.,1794頁(1985年)、J.Zhangらの研究報告、J.Am.Chem.Soc.116巻、2655頁(1994年)に記載されているアザクラウン系やフェニルアセチレン系マクロサイクルが含まれる。
前記ディスコティック液晶化合物には、分子中心の母核に対して、直鎖のアルキル基、アルコキシ基、又は置換ベンゾイルオキシ基が母核の側鎖として放射線状に置換した構造の、液晶性を示す化合物も含まれる。分子又は分子の集合体が、回転対称性を有し、一定の配向を付与できる化合物であることが好ましい。
ディスコティック液晶化合物から光学異方性層を形成した場合、最終的に光学異方性層に含まれる化合物は、もはや液晶性を示す必要はない。
例えば、低分子のディスコティック液晶化合物が熱、又は光で反応する基を有しており、熱又は光によって該基が反応して、重合又は架橋し、高分子量化することによって光学異方性層が形成される場合などは、光学異方性層中に含まれる化合物は、もはや液晶性を失っていてもよい。
ディスコティック液晶化合物の好ましい例は、特開平8−50206号公報に記載されている。また、ディスコティック液晶化合物の重合については、特開平8−27284号公報に記載がある。
ディスコティック液晶化合物を重合により固定するためには、ディスコティック液晶化合物の円盤状コアに、置換基として重合性基を結合させる必要がある。ただし、円盤状コアに重合性基を直結させると、重合反応において配向状態を保つことが困難になる。そこで、円盤状コアと重合性基との間に、連結基を導入する。
従って、重合性基を有するディスコティック液晶化合物は、下記一般式(V)で表わされる化合物であることが好ましい。
Figure 2009258660
上記一般式中、Dは円盤状コアであり、Lは二価の連結基であり、Qは重合性基であり、nは4〜12の整数である。
円盤状コア(D)の例として、(D1)〜(D15)を以下に示す。以下の各例において、LQ(又はQL)は、二価の連結基(L)と重合性基(Q)との組み合わせを意味する。
Figure 2009258660
Figure 2009258660
Figure 2009258660
Figure 2009258660
また、上記一般式において、二価の連結基(L)は、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、−CO−、−NH−、−O−、−S−及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基であることが好ましい。
二価の連結基(L)は、アルキレン基、アリ−レン基、−CO−、−NH−、−O−及び−S−からなる群より選ばれる二価の基を少なくとも二つ組み合わせた二価の連結基であることが更に好ましい。
二価の連結基(L)は、アルキレン基、アリーレン基、−CO−及び−O−からなる群より選ばれる二価の基を少なくとも二つ組み合わせた二価の連結基であることが特に好ましい。
前記アルキレン基の炭素原子数は、1〜12であることが好ましい。前記アルケニレン基の炭素原子数は、2〜12であることが好ましい。前記アリ−レン基の炭素原子数は、6〜10であることが好ましい。
二価の連結基(L)の例として、(L1〜L24)を以下に示す。左側が円盤状コア(D)に結合し、右側が重合性基(Q)に結合する。ALはアルキレン基又はアルケニレン基、ARはアリーレン基を意味する。なお、アルキレン基、アルケニレン基及びアリ−レン基は、置換基(例、アルキル基)を有していてもよい。
L1:−AL−CO−O−AL−
L2:−AL−CO−O−AL−O−
L3:−AL−CO−O−AL−O−AL−
L4:−AL−CO−O−AL−O−CO−
L5:−CO−AR−O−AL−
L6:−CO−AR−O−AL−O−
L7:−CO−AR−O−AL−O−CO−
L8:−CO−NH−AL−
L9:−NH−AL−O−
L10:−NH−AL−O−CO−
L11:−O−AL−
L12:−O−AL−O−
L13:−O−AL−O−CO−
L14:−O−AL−O−CO−NH−AL−
L15:−O−AL−S−AL−
L16:−O−CO−AR−O−AL−CO−
L17:−O−CO−AR−O−AL−O−CO−
L18:−O−CO−AR−O−AL−O−AL−O−CO−
L19:−O−CO−AR−O−AL−O−AL−O−AL−O−CO−
L20:−S−AL−
L21:−S−AL−O−
L22:−S−AL−O−CO−
L23:−S−AL−S−AL−
L24:−S−AR−AL−
上記一般式の重合性基(Q)は、重合反応の種類に応じて決定する。重合性基(Q)は、不飽和重合性基又はエポキシ基であることが好ましく、不飽和重合性基であることが更に好ましく、エチレン性不飽和重合性基であることが特に好ましい。
また、上記一般式において、nは4〜12の整数である。具体的な数字は、円盤状コア(D)の種類に応じて決定される。なお、複数のLとQの組み合わせは、異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。
また、本発明では、下記一般式(I)で表されるディスコティック液晶化合物を用いるのが特に好ましい。さらに、特開2006−76992号公報明細書中の段落番号[0052],特開2007−2220号公報明細書中の段落番号[0040]〜[0063]に記載の化合物が特に好ましい。
Figure 2009258660
前記一般式(I)中、Y11、Y12、及びY13は、それぞれ独立にメチン又は窒素原子を表す。
11、Y12、及びY13がメチンの場合、メチンの水素原子は置換基によって置換されていてもよい。ここで、メチンとは、メタンから水素原子を3個除いて得られる原子団をいう。
メチンの炭素原子が有していてもよい置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ハロゲン原子及びシアノ基を好ましい例として挙げることができる。
これらの置換基の中では、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、ハロゲン原子及びシアノ基がより好ましく、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数2〜12アルコキシカルボニル基、炭素数2〜12アシルオキシ基、ハロゲン原子、及びシアノ基が更に好ましい。
11、Y12及びY13は、いずれもメチンであることがより好ましく、メチンは無置換であることが更に好ましい。
上記一般式(I)中、L1、L2、及びL3は、それぞれ独立に単結合、又は二価の連結基を表す。L1、L2、及びL3が、二価の連結基の場合、それぞれ独立に、−O−、−S−、−C(=O)−、−NR7−、−CH=CH−、−C≡C−、二価の環状基及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基であることが好ましい。
上記R7は炭素原子数1〜7のアルキル基又は水素原子であり、炭素原子数1〜4のアルキル基又は水素原子であることが好ましく、メチル基、エチル基、又は水素原子であることがより好ましく、水素原子であることが特に好ましい。
1、L2、及びL3における二価の環状基とは、少なくとも1種類の環状構造を有する二価の連結基(以下、環状基ということがある)である。環状基は5員環、6員環、又は7員環を有することが好ましく、5員環、又は6員環を有することがより好ましく、6員環を有することが更に好ましい。環状基に含まれる環は、縮合環であってもよい。ただし、縮合環よりも単環であることが好ましい。
また、環状基に含まれる環は、芳香族環、脂肪族環、及び複素環のいずれでもよい。芳香族環としては、ベンゼン環、及びナフタレン環が好ましい例として挙げられる。
脂肪族環としては、シクロヘキサン環が好ましい例として挙げられる。
複素環としては、ピリジン環、及びピリミジン環が好ましい例として挙げられる。
環状基は、芳香族環、又は複素環がより好ましい。なお、環状基は、環状構造のみ(但し、置換基を含む)からなる2価の連結基であることがより好ましい。
1、L2、及びL3で表される二価の環状基のうち、ベンゼン環を有する環状基としては、1,4−フェニレン基が好ましい。
ナフタレン環を有する環状基としては、ナフタレン−1,5−ジイル基及びナフタレン−2,6−ジイル基が好ましい。
シクロヘキサン環を有する環状基としては、1,4−シクロへキシレン基であることが好ましい。
ピリジン環を有する環状基としては、ピリジン−2,5−ジイル基が好ましい。
ピリミジン環を有する環状基としては、ピリミジン−2,5−ジイル基が好ましい。
1、L2、及びL3で表される二価の環状基は、置換基を有していてもよい。該置換基としては、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数1〜16のアルキル基、炭素原子数2〜16のアルケニル基、炭素原子数が2〜16アルキニル基、炭素原子数1〜16のハロゲン置換アルキル基、炭素原子数1〜16のアルコキシ基、炭素原子数2〜16のアシル基、炭素原子数1〜16のアルキルチオ基、炭素原子数2〜16のアシルオキシ基、炭素原子数2〜16のアルコキシカルボニル基、カルバモイル基、炭素原子数2〜16のアルキル基で置換されたカルバモイル基、及び炭素原子数2〜16のアシルアミノ基が含まれる。
1、L2、及びL3としては、単結合、*−O−CO−、*−CO−O−、*−CH=CH−、*−C≡C−、*−二価の環状基−、*−O−CO−二価の環状基−、*−CO−O−二価の環状基−、*−CH=CH−二価の環状基−、*−C≡C−二価の環状基−、*−二価の環状基−O−CO−、*−二価の環状基−CO−O−、*−二価の環状基−CH=CH−、及び*−二価の環状基−C≡C−が好ましい。
この中でも、単結合、*−CH=CH−、*−C≡C−、*−二価の環状基−O−CO−、*−CH=CH−二価の環状基−、及び*−C≡C−二価の環状基−がより好ましく、単結合が更に好ましい。
ここで、上記「*」は、一般式(I)中のY11、Y12、及びY13を含む6員環側に結合する位置を表す。
1、H2、及びH3は、それぞれ独立に、下記一般式(I−A)、又は下記一般式(I−B)を表す。
Figure 2009258660
一般式(I−A)中、YA1及びYA2は、それぞれ独立にメチン又は窒素原子を表す。YA1及びYA2は、少なくとも一方が窒素原子であることが好ましく、両方が、窒素原子であることがより好ましい。XAは、酸素原子、硫黄原子、メチレン、又はイミノを表し、酸素原子が好ましい。
ここで、上記一般式(I−A)中、「*」は上記一般式(I)におけるL1〜L3側と結合する位置を表し、「**」は上記一般式(I)におけるR1〜R3側と結合する位置を表す。また、前記イミノは、−NH−で表されるもの(Hが置換基で置換されているものを含む)をいう。
Figure 2009258660
上記一般式(I−B)中、YB1及びYB2は、それぞれ独立にメチン又は窒素原子を表す。YB1及びYB2は、少なくとも一方が窒素原子であることが好ましく、両方が、窒素原子であることがより好ましい。
XBは、酸素原子、硫黄原子、メチレン又はイミノを表し、酸素原子が好ましい。
ここで、上記一般式(I−B)中、「*」は、上記一般式(I)におけるL1〜L3側と結合する位置を表し、「**」は、上記一般式(I)におけるR1〜R3側と結合する位置を表す。
1、R2、及びR3は、それぞれ独立に下記一般式(I−R)を表す。
Figure 2009258660
上記一般式(I−R)中、「*」は、一般式(I)におけるH1〜H3側と結合する位置を表す。
また、上記一般式(I−R)中、L21は、単結合、又は二価の連結基である。L21が二価の連結基の場合、−O−、−S−、−C(=O)−、−NR7−、−CH=CH−、及びC≡C−、並びにこれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基であることが好ましい。上記R7は炭素原子数1〜7のアルキル基又は水素原子であり、炭素原子数1〜4のアルキル基又は水素原子であることが好ましく、メチル基、エチル基又は水素原子であることがより好ましく、水素原子であることが特に好ましい。
また、上記一般式(I−R)中、L21は、単結合、並びに、***−O−CO−、***−CO−O−、***−CH=CH−、及び***−C≡C−(ここで、「***」は、一般式(I−R)中の「*」側を表す)のいずれかが好ましく、単結合がより好ましい。
また、上記一般式(I−R)中、Q2は少なくとも1種類の環状構造を有する二価の基(環状基)を表す。このような環状基としては、5員環、6員環、又は7員環を有する環状基が好ましく、5員環又は6員環を有する環状基がより好ましく、6員環を有する環状基が特に好ましい。上記環状基に含まれる環状構造は、縮合環であってもよい。ただし、縮合環よりも単環であることがより好ましい。
また、環状基に含まれる環は、芳香族環、脂肪族環、及び複素環のいずれでもよい。芳香族環としては、ベンゼン環、及びナフタレン環が好ましい例として挙げられる。
脂肪族環としては、シクロヘキサン環が好ましい例として挙げられる。
複素環としては、ピリジン環及びピリミジン環が好ましい例として挙げられる。
環状基は、芳香族環又は複素環がより好ましい。なお、環状基は、環状構造のみ(但し、置換基を含む)からなる2価の連結基であることがより好ましい。
また、上記一般式(I−R)中、Q2のうち、ベンゼン環を有する環状基としては、1,4−フェニレン基が好ましい。
また、ナフタレン環を有する環状基としては、ナフタレン−1,5−ジイル基、及びナフタレン−2,6−ジイル基が好ましい。
また、シクロヘキサン環を有する環状基としては、1,4−シクロへキシレン基であることが好ましい。
また、ピリジン環を有する環状基としては、ピリジン−2,5−ジイル基が好ましい。
また、ピリミジン環を有する環状基としては、ピリミジン−2,5−ジイル基が好ましい。これらの中でも、特に、1,4−フェニレン基、及び1,4−シクロへキシレン基が好ましい。
また、上記一般式(I−R)中、Q2は、置換基を有していてもよい。置換基の例には、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数1〜16のアルキル基、炭素原子数2〜16のアルケニル基、炭素原子数2〜16のアルキニル基、炭素原子数1〜16のハロゲンで置換されたアルキル基、炭素原子数1〜16のアルコキシ基、炭素原子数2〜16のアシル基、炭素原子数1〜16のアルキルチオ基、炭素原子数2〜16のアシルオキシ基、炭素原子数2〜16のアルコキシカルボニル基、カルバモイル基、炭素原子数2〜16のアルキル置換カルバモイル基、及び炭素原子数2〜16のアシルアミノ基が含まれる。
これらの中でも、ハロゲン原子、シアノ基、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のハロゲンで置換されたアルキル基が好ましく、ハロゲン原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のハロゲンで置換されたアルキル基がより好ましく、ハロゲン原子、炭素原子数が1〜3のアルキル基、トリフルオロメチル基が特に好ましい。
n1は、0〜4の整数を表す。n1としては、1〜3の整数が好ましく、1又は2が更に好ましい。
22は、**−O−、**−O−CO−、**−CO−O−、**−O−CO−O−、**−S−、*−N(R)−、**−CH2−、**−CH=CH−、又は**−C≡C−を表し、「**」は、Q2側と結合する位置を表す。
22は、好ましくは、**−O−、**−O−CO−、**−CO−O−、**−O−CO−O−、**−CH2−、**−CH=CH−、**−C≡C−であり、より好ましくは、**−O−、**−O−CO−、**−O−CO−O−、**−CH2−である。
23は、−O−、−S−、−C(=O)−、−NH−、−CH2−、−CH=CH−及びC≡C−、並びに、これらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基を表す。
ここで、−NH−、−CH2−、及び−CH=CH−の水素原子は、置換基で置換されていてもよい。
このような置換基としては、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のハロゲンで置換されたアルキル基、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、炭素原子数2〜6のアシル基、炭素原子数1〜6のアルキルチオ基、炭素原子数2〜6のアシルオキシ基、炭素原子数2〜6のアルコキシカルボニル基、カルバモイル基、炭素原子数2〜6のアルキルで置換されたカルバモイル基、及び炭素原子数2〜6のアシルアミノ基が好ましい例として挙げられ、ハロゲン原子、炭素原子数1〜6のアルキル基がより好ましい。
23は、−O−、−C(=O)−、−CH2−、−CH=CH−、及びC≡C−、並びに、これらの組み合わせからなる群より選ばれることが好ましい。
23は、炭素原子を1〜20個含有することが好ましく、炭素原子を2〜14個を含有することがより好ましい。更に、L23は、−CH2−を1〜16個含有することが好ましく、−CH2−を2〜12個含有することが更に好ましい。
1は、重合性基又は水素原子を表す。本発明で用いる液晶性化合物を位相差が熱により変化しないものが好ましい光学補償フィルム等に用いる場合には、Q1は重合性基であることが好ましい。
重合反応は、付加重合(開環重合を含む)、又は縮合重合であることが好ましい。すなわち、重合性基は、付加重合反応、又は縮合重合反応が可能な官能基であることが好ましい。当該重合性基の例を以下に示す。
Figure 2009258660
更に、重合性基は付加重合反応が可能な官能基であることが特に好ましい。そのような重合性基としては、重合性エチレン性不飽和基、又は開環重合性基が好ましい。
重合性エチレン性不飽和基の例としては、下記の式(M−1)〜(M−6)が挙げられる。
Figure 2009258660
式(M−3)、(M−4)中、Rは、水素原子又はアルキル基を表し、その中でも、水素原子、又はメチル基が好ましい。
本発明の重合性エチレン性不飽和基は、上記式(M−1)〜(M−6)の中では、(M−1)、又は(M−2)が好ましく、(M−1)がより好ましい。
開環重合性基は、環状エーテル基が好ましく、エポキシ基、又はオキセタニル基がより好ましく、エポキシ基が特に好ましい。
本発明で用いる液晶性化合物としては、下記一般式(II)で表される液晶性化合物がさらに好ましい。
Figure 2009258660
一般式(II)中、Y31、Y32、及びY33は、それぞれ独立にメチン又は窒素原子を表し、一般式(I)中の、Y11、Y12、及びY13と同義であり、好ましい範囲も同義である。
一般式(II)中、R31、R32、及びR33は、それぞれ独立に下記一般式(II−R)を表す。
Figure 2009258660
一般式(II−R)中、A31及びA32は、それぞれ独立に、メチン又は窒素原子を表し、少なくとも一方が、窒素原子であることが好ましく、両方が窒素原子であることが更に好ましい。X3は、酸素原子、硫黄原子、メチレン、又はイミノを表し、その中でも酸素原子が好ましい。
31は、6員環状構造を有する二価の連結基(以下、6員環環状基ということがある)を表す。
なお、この6員環は、縮合環であってもよい。ただし、縮合環よりも単環であることがより好ましい。
また、6員環環状基に含まれる環は、芳香族環、脂肪族環、及び複素環のいずれでもよい。芳香族環としては、ベンゼン環、及びナフタレン環が好ましい例として挙げられる。
脂肪族環としては、シクロヘキサン環が好ましい例として挙げられる。
複素環としては、ピリジン環、及びピリミジン環が好ましい例として挙げられる。
31は、6員環状構造のみからなる二価の連結基(但し、置換基を有していてもよい)であることが好ましい。
31のうち、ベンゼン環を有する6員環環状基としては、1,4−フェニレン基、及び1,3−フェニレン基が好ましい。
ナフタレン環を有する環状構造としては、ナフタレン−1,5−ジイル基、及びナフタレン−2,6−ジイル基が好ましい。
シクロヘキサン環を有する環状構造としては、1,4−シクロへキシレン基であることが好ましい。
ピリジン環を有する環状構造としては、ピリジン−2,5−ジイル基が好ましい。
ピリミジン環を有する環状構造としては、ピリミジン−2,5−ジイル基が好ましい。これらの中でも、特に、1,4−フェニレン基、及び1,3−フェニレン基がより好ましい。
31の環状構造は、置換基を有していてもよい。置換基の例には、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数1〜16のアルキル基、炭素原子数2〜16のアルケニル基、炭素原子数2〜16のアルキニル基、炭素原子数1〜16のハロゲン原子で置換されたアルキル基、炭素原子数1〜16のアルコキシ基、炭素原子数2〜16のアシル基、炭素原子数1〜16のアルキルチオ基、炭素原子数2〜16のアシルオキシ基、炭素原子数2〜16のアルコキシカルボニル基、カルバモイル基、炭素原子数2〜16のアルキル置換カルバモイル基、及び炭素原子数2〜16のアシルアミノ基が含まれる。
6員環環状基の置換基としては、ハロゲン原子、シアノ基、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のハロゲン原子で置換されたアルキル基が好ましく、ハロゲン原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のハロゲン原子で置換されたアルキル基がより好ましく、ハロゲン原子、炭素原子数1〜3のアルキル基、トリフルオロメチル基が更に好ましい。
n3は、1〜3の整数を表し、1又は2が好ましい。
31は、*−O−、*−O−CO−、*−CO−O−、*−O−CO−O−、*−S−、*−N(R)−、*−CH2−、*−CH=CH−、又は*−C≡C−を表す。
なお、「*」は、Q31側と結合する位置を表し、具体的には、一般式(DI−R)中のL22と同義であり、好ましい範囲も同義である。
32は、−O−、−S−、−C(=O)−、−NH−、−CH2−、−CH=CH−、及びC≡C−、並びにこれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基を表し、具体的には、一般式(I−R)中のL23と同義であり、好ましい範囲も同義である。
また、一般式(II−R)中のQ32は、重合性基、又は水素原子を表し、具体的には、一般式(I−R)中のQ1と同義であり、好ましい範囲も同義である。
以下に、一般式(I)で表される液晶性化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2009258660
本発明で用いる液晶性化合物は、良好なモノドメイン性を示す液晶相を発現することが望ましい。モノドメイン性を良好なものとすることにより、得られる構造が、ポリドメインとなり、ドメイン同士の境界に配向欠陥が生じ、光を散乱するようになるのを効果的に防ぐことができる。更に、良好なモノドメイン性を示すと、位相差板がより高い光透過率を有するため好ましい。
本発明で用いる液晶性化合物が発現する液晶相としては、カラムナー相、及びディスコティックネマチック相(ND相)を挙げることができる。これらの液晶相の中では、良好なモノドメイン性を示し、かつ、ハイブリッド配向が可能なディスコティックネマチック相(ND相)が特に好ましい。
本発明で用いる液晶性化合物は異方性の波長分散性が小さいほどよい。具体的には液晶性化合物が発現する位相差(波長λにおける液晶層の面内レターデーション値(nm))をRe(λ)としたとき、Re(450)/Re(650)が1.25未満であることが好ましく、1.20以下であることがより好ましく、1.15以下であることが特に好ましい。
本発明で用いる液晶化合物は、支持体上に設けられた配向膜上で配向させるために、等方性転移温度Tisoが、100〜180℃であることが好ましく、100〜165℃であることがより好ましく、100〜150℃であることが特に好ましい。
ハイブリッド配向では、本発明の液晶性化合物の物理的な対称軸と、後述する第2の光学異方性層の面との角度、すなわち傾斜角が、第2の光学異方性層の深さ(すなわち、第2の光学異方性層に垂直な方向でかつ偏光膜の面からの距離)の増加と共に増加又は減少している。
前記傾斜角は、距離の増加と共に減少することが好ましい。更に、傾斜角の変化としては、連続的増加、連続的減少、間欠的増加、間欠的減少、連続的増加と連続的減少を含む変化、又は、増加及び減少を含む間欠的変化が可能である。間欠的変化は、厚さ方向の途中で傾斜角が変化しない領域を含んでいる。角度が変化しない領域を含んでいても、全体として増加又は減少していればよい。しかしながら、傾斜角は連続的に変化することが好ましい。
一般に、ディスコティック液晶性化合物の物理的な対称軸の平均方向は、ディスコティック液晶性化合物、又は配向膜の種類を選択することにより、あるいは、ラビング処理方法を選択することにより、調整することができる。また、表面側(空気側)のディスコティック液晶性化合物の物理的な対称軸方向は、一般にディスコティック液晶性化合物又はディスコティック液晶性化合物と共に使用する添加剤の種類を選択することにより調整することができる。
ディスコティック液晶性化合物と共に使用する添加剤の例としては、可塑剤、界面活性剤、重合性モノマー、ポリマー及び低分子化合物などを挙げることができる。長軸の配向方向の変化の程度も、上記と同様に液晶性化合物と添加剤との選択により調整できる。
本発明の液晶性化合物と共に使用する可塑剤、重合性モノマーは、本発明の液晶性化合物と相溶性を有し、ディスコティック液晶性化合物の傾斜角に変化を与えられるか、あるいは配向を阻害しないものが採用される。
界面活性剤は、フッ素系化合物が好ましい。フッ素系界面活性剤は、例えば、下記構造式に示す化合物を用いることができる。
Figure 2009258660
本発明では、前記光学異方性層の厚さは、0.1〜20μmであることが好ましく、0.2〜5μmであることがより好ましく、0.3〜2μmであることがさらに好ましく、なおさらに好ましくは、0.4μm〜1μmである。光学異方性層の厚みが厚すぎると、光学異方性層を構成する素材が弾性的であれば、マルテンス硬さが小さくなるため、好ましくない。光学異方性層の厚さが0.4mを下回ると、マルテンス硬さは硬くなるものの、液晶表示装置の光学補償に必要な位相差を与えられなかったり、均一な製膜が困難になったりするため、好ましくない。
本発明では、1種類の液晶性化合物を用いてもよいし、複数種類の化合物を組み合わせて用いることが好ましい。本発明では、ディスコティック液晶化合物と、棒状液晶化合物との組み合わせも好ましい。ディスコティック液晶化合物は、上記に示した円盤状コア(D1)〜(D15)を有するディスコティック液晶性化合物ならびに前記式(I)及び(II)で表される化合物の中から選択されることが好ましく、前記式(I)及び(II)で表される化合物から選択されるのがより好ましい。
これらの化合物を組み合わせることによって、前記光学異方性層のマルテンス硬さ、前記異方性の波長分散性、前記液晶化合物の当方性転移温度Tiso、前記ハイブリッド配向の傾斜角、及び前記ディスコティック液晶性化合物の物理的な対称軸の平均方向を制御することができる。
(配向膜)
前記光学補償フィルムは、透明支持体と光学異方性層との間に配向膜を有しているのが好ましい。
本発明において、前記配向膜は、架橋されたポリマーからなる層であるのが好ましい。
配向膜に使用されるポリマーは、それ自体架橋可能なポリマーであっても、架橋剤により架橋されるポリマーのいずれも使用することができる。
上記配向膜は、官能基を有するポリマーあるいはポリマーに官能基を導入したものを、光、熱又はPH変化等により、ポリマー間で反応させて形成するか、又は、反応活性の高い化合物である架橋剤を用いてポリマー間に架橋剤に由来する結合基を導入して、ポリマー間を架橋することにより形成することができる。
架橋されたポリマーからなる配向膜は、通常、上記ポリマー又はポリマーと架橋剤との混合物を含む塗布液を、透明支持体上に塗布した後、加熱等を行なうことにより形成することができる。
後述のラビング工程において、配向膜の発塵を抑制するために、架橋度を上げておくことが好ましい。前記塗布液中に添加する架橋剤の量(Mb)に対して、架橋後に残存している架橋剤の量(Ma)の比率(Ma/Mb)を1から引いた値(1−(Ma/Mb))を架橋度と定義した場合、架橋度は50〜100%が好ましく、65〜100%がより好ましく、75〜100%が特に好ましい。
本発明において、前記配向膜に使用されるポリマーは、それ自体架橋可能なポリマーあるいは架橋剤により架橋されるポリマーのいずれも使用することができる。なお、双方の機能を有するポリマーを使用することもできる。
上記ポリマーの例としては、ポリメチルメタクリレート、アクリル酸/メタクリル酸共重合体、スチレン/マレインイミド共重合体、ポリビニルアルコール、及び変性ポリビニルアルコール、ポリ(N−メチロールアクリルアミド)、スチレン/ビニルトルエン共重合体、クロロスルホン化ポリエチレン、ニトロセルロース、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリオレフィン、ポリエステル、ポリイミド、酢酸ビニル/塩化ビニル共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリカーボネート等のポリマー及びシランカップリング剤等の化合物を挙げることができる。
好ましいポリマーの例としては、ポリ(N−メチロールアクリルアミド)、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、ポリビニルアルコール及び変性ポリビニルアルコール等の水溶性ポリマーであり、更にゼラチン、ポリビルアルコール、及び変性ポリビニルアルコールが好ましく、特にポリビルアルコール及び変性ポリビニルアルコールを挙げることができる。
上記ポリマーの中で、ポリビニルアルコール、又は変性ポリビニルアルコールが好ましい。ポリビニルアルコールとしては、例えば鹸化度70〜100%のものであり、一般に鹸化度80〜100%のものであり、より好ましくは鹸化度85〜95%のものである。
重合度としては、100〜3,000の範囲が好ましい。変性ポリビニルアルコールとしては、共重合変性したもの(変性基として、例えば、COONa、Si(OX)3、N(CH33・Cl、C919COO、SO3、Na、C1225等が導入される)、連鎖移動により変性したもの(変性基として、例えば、COONa、SH、C1225等が導入されている)、ブロック重合による変性をしたもの(変性基として、例えば、COOH、CONH2、COOR、C65等が導入される)等のポリビニルアルコールの変性物を挙げることができる。
重合度としては、100〜3,000のも範囲が好ましい。これらの中で、鹸化度80〜100%の未変性〜変性ポリビニルアルコールが好ましく、より好ましくは鹸化度85〜95%の未変性、又はアルキルチオ変性ポリビニルアルコールである。
配向膜に用いる変性ポリビニルアルコールとして、下記一般式(2)で表わされる化合物とポリビニルアルコールとの反応物が好ましい。なお、下記一般式(2)において、R1は無置換のアルキル基、又はアクリロリル基、メタクリロイル基もしくはエポキシ基で置換されたアルキル基を表わし、Wはハロゲン原子、アルキル基、又はアルコキシ基を表わし、Xは活性エステル、酸無水物又は酸ハロゲン化物を形成するために必要な原子群を表わし、lは0又は1を表わし、nは0〜4の整数を表わす。
Figure 2009258660
また、配向膜に用いる変性ポリビニルアルコールとして、下記一般式(3)で表わされる化合物とポリビニルアルコールとの反応物も好ましい。なお、下記一般式(3)において、X1は活性エステル、酸無水物又は酸ハロゲン化物を形成するために必要な原子群を表わし、mは2〜24の整数を表わす。
Figure 2009258660
前記一般式(2)、及び一般式(3)により表される化合物と反応させるために用いられるポリビニルアルコールとしては、上記変性されていないポリビニルアルコール、及び上記共重合変性したもの、即ち連鎖移動により変性したもの、ブロック重合による変性をしたもの等のポリビニルアルコールの変性物、を挙げることができる。
上記特定の変性ポリビニルアルコールの好ましい例としては、特開平8−338913号公報に詳しく記載されている。
配向膜にポリビニルアルコール等の親水性ポリマーを使用する場合、硬膜度の観点から、含水率を制御することが好ましく、制御される含水率としては、0.4〜2.5%であることが好ましく、0.6〜1.6%であることがより好ましい。含水率は、市販のカールフィッシャー法の水分率測定器で測定することができる。
なお、配向膜は、10μm以下の膜厚であるのが好ましい。
<光学補償フィルムの製造方法>
次に、前記好ましい光学補償フィルムを連続的に製造する方法について説明する。
<<ロール状光学補償フィルムの製造方法>>
前記光学補償フィルムは、ロール状光学補償フィルムとして製造することができる。その製造方法の一例では、下記工程(1)〜(4)を連続して行う。
工程(1):長手方向に搬送される長尺状の透明支持体の表面又は該透明支持体上に形成された配向膜の表面に、ラビングロールによりラビング処理を施す工程。
工程(2):液晶性化合物を含む塗布液を前記ラビング処理面に塗布する工程。
工程(3):塗布された塗布液を乾燥するのと同時に又は乾燥した後に、液晶転移温度以上の温度で前記液晶化合物を配向させ、その配向を固定して光学異方性層を作製する工程。
工程(4):前記光学異方性層が形成された長尺状の積層体を巻き取る工程。
前記製造方法によれば、液晶化合物の分子対称軸の透明支持体面への正射影の平均方向、即ち、前記光学異方性層の分子対称軸の平均方向と、透明支持体の面内遅相軸、即ち、透明支持体の長手方向とが異なり、更に該分子対称軸の平均方向とラビング方向の間の角度が、実質的に0°、好ましくは−2〜2°、更に好ましくは−1〜1°である光学補償フィルムを連続的に安定に製造することができ、大量生産に適する。
TNモードの液晶表示装置用の光学補償フィルム付き偏光板を作製する場合は、光学補償フィルムと、偏光子とを、ロールtoロールで貼合することが好ましく、該分子対称軸の平均方向と透明支持体の面内の遅相軸、即ち、透明支持体の長手方向との角度が、実質的に0°であることが好ましい。
OCBモードの液晶表示装置用の光学補償フィルム付き偏光板を作製する場合は、光学補償フィルムと、偏光子とを、ロールtoロールで貼合することが好ましく、該分子対称軸の平均方向と透明支持体の面内の遅相軸、即ち、透明支持体の長手方向との角度が、実質的に45°であることが好ましい。
更に、前記光学補償フィルムの製造方法においては、以下の(a)〜(d)のいずれかの要件を含むことが望ましい。なお、これらの各工程の詳細は、特開平9−73081号公報に記載されている。
(a)上記工程(2)において、液晶化合物として架橋性官能基を有する重合性液晶化合物を用い、上記工程(3)において、連続的に塗布層を光照射して重合性液晶化合物を重合により硬化させて配向状態に固定し、その後、連続的に上記工程(4)を行なう。
(b)上記工程(1)において、前記透明支持体又は配向膜の表面を除塵しながら、ラビングロールでラビング処理する。
(c)上記工程(2)の前に、ラビング処理した前記透明支持体又は前記配向膜の表面を除塵する工程を行う。
(d)上記工程(4)の前に、形成した光学異方性層の光学特性を連続的に測定することにより検査する検査工程。
ここで、上記工程(1)〜(4)の詳細について、以下に説明する。
[工程(1)]
前記工程(1)では、長手方向に搬送される長尺状の透明支持体の表面又は該透明支持体上に形成された配向膜の表面に、ラビングロールによりラビング処理を施す。
前記工程(1)に用いるラビングロールの直径は、ハンドリング適性、及び布寿命の観点から、100〜500mmであることが好ましく、200〜400mmであることが更に好ましい。
ラビングロールの幅は、搬送するフィルムの幅よりも広いことが必要であり、フィルム幅×21/2以上であることが好ましい。
また、ラビングロールの回転数は、発塵の観点から低く設定することが好ましく、液晶化合物の配向性にもよるが、100〜1,000rpmであることが好ましく、250〜850rpmであることが更に好ましい。
ラビングロールの回転数を低くしても液晶化合物の配向性を維持するには、ラビング時の透明支持体又は配向膜を加熱することが好ましい。加熱温度は、透明支持体又は配向膜表面の膜面温度で、(素材のTg−50℃)〜(素材のTg+50℃)であることが好ましい。ポリビニルアルコールからなる配向膜を使用する場合は、ラビングの環境湿度を制御することが好ましく、25℃の相対湿度として25〜70%RHであることが好ましく、30〜60%RHであることが更に好ましく、35〜55%RHであることが特に好ましい。
透明支持体の搬送速度は、生産性の観点と液晶の配向性の観点から、10〜100m/分であることが好ましく、15〜80m/分であることが更に好ましい。搬送は、従来、フィルムの搬送に用いられる種々の装置を用いて行うことができ、特に搬送方式については制限されない。
なお、配向膜は、前述のポリビニルアルコール等の素材を、水及び/又は有機溶媒等に溶解した塗布液を、透明支持体の表面に塗布して、乾燥することによって作製することができる。配向膜の作製は、上記一連の工程の前に行うことができ、搬送される長尺状の透明支持体の表面に配向膜を連続的に作製してもよい。
[工程(2)]
上記工程(2)では、液晶性化合物を含む塗布液を前記ラビング処理面に塗布する。光学異方性層形成用の塗布液の調製に使用する溶媒としては、有機溶媒が好ましく用いられる。
有機溶媒の例には、アミド(例、N,N−ジメチルホルムアミド)、スルホキシド(例、ジメチルスルホキシド)、ヘテロ環化合物(例、ピリジン)、炭化水素(例、ベンゼン、ヘキサン)、アルキルハライド(例、クロロホルム、ジクロロメタン、テトラクロロエタン)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸ブチル)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン)、エーテル(例、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン)が含まれる。アルキルハライド及びケトンが好ましい。二種類以上の有機溶媒を併用してもよい。
均一性の高い光学異方性層を作製するためには、塗布液の表面張力は、25mN/m以下であることが好ましく、22mN/m以下であるのが更に好ましい。
前記塗布液のラビング処理面への塗布は、公知の方法(例、ワイヤーバーコーティング法、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、ダイコーティング法)により実施することができる。塗布量は、光学異方性層の所望の厚みに基づいて適宜決定することができる。
[工程(3)]
上記工程(3)では、塗布された塗布液を乾燥するのと同時、又は乾燥した後に、液晶転移温度以上の温度で前記液晶化合物を配向させ、その配向を固定して光学異方性層を作製する。液晶化合物は、乾燥時の加熱によってもしくは乾燥後の加熱によって、所望の配向となる。
乾燥温度は、塗布液に用いた溶媒の沸点、ならびに透明支持体及び配向膜の素材を考慮して決定することができる。液晶化合物の配向温度は、用いる液晶化合物の液晶相−固相転移温度に応じて決定することができる。
液晶化合物として、ディスコティック液晶化合物を用いる場合は、配向温度は、70〜300℃が好ましく、70〜170℃が更に好ましい。
また、液晶状態の粘度は、10〜10,000cpであることが好ましく、100〜1,000cpであることが更に好ましい。
粘度が低すぎると、配向時の風の影響を受けやすく、連続生産のために、非常に高精度の風速/風向制御が必要となる。一方、粘度が高いと風の影響は受けにくいが、液晶の配向が遅くなり、生産性が非常に悪化することとなる。
液晶層の粘度は、液晶化合物の分子構造によって適宜制御できる。また、上述の添加剤(特にセルロース系のポリマー、等)、及びゲル化剤等を適量使用することで所望の粘度に調整する方法が好ましく用いられる。ポリマーの添加量は、ディスコティック液晶性化合物の配向との関係をすると、ディスコティック液晶性化合物に対して0.1〜10質量%であることが好ましく、0.1〜8質量%であることが更に好ましい。
加熱は、所定の温度の温風を送風することによって、又は所定の温度に維持された加熱室内を搬送することによって実施できる。
更に、配向させた液晶化合物を、配向状態を維持して固定し、光学異方性層を形成する。液晶化合物の固定は、固相転移温度まで冷却することによって、又は重合反応により実施することができるが、重合反応により行うのが好ましい。重合反応には、熱重合開始剤を用いる熱重合反応と光重合開始剤を用いる光重合反応とが含まれる。光重合反応が好ましい。
光重合開始剤の例には、α−カルボニル化合物(米国特許2367661号、及び米国特許2367670号の各明細書に記載)、アシロインエーテル(米国特許2448828号明細書に記載)、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許2722512号明細書に記載)、多核キノン化合物(米国特許3046127号、及び米国特許2951758号の各明細書に記載)、トリアリールイミダゾールダイマーと、p−アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許3549367号明細書に記載)、アクリジン及びフェナジン化合物(特開昭60−105667号公報、及び米国特許4239850号明細書に記載)、及びオキサジアゾール化合物(米国特許4212970号明細書に記載)が含まれる。
光重合開始剤の使用量は、塗布液の固形分の0.01〜20質量%の範囲にあることが好ましく、0.5〜5質量%の範囲にあることが更に好ましい。
液晶化合物の重合を進行させて固定するための光照射は、紫外線を用いることが好ましい。照射エネルギーは、20〜50J/cm2の範囲にあることが好ましく、20〜5,000mJ/cm2の範囲にあることがより好ましく、100〜800mJ/cm2の範囲にあることが更に好ましい。
また、光重合反応を促進するため、加熱条件下で光照射を実施してもよい。光照射は、光学異方性層形成用塗布液を塗布した透明支持体を、1以上の光源が上下及び左右のいずれかの位置に配置された搬送路を通過させることによって実施することができる。特に、光学異方性層のマルテンス硬さを制御するという観点では、40℃〜120℃の加熱条件下で、100〜800mJ/cm2の紫外線照射を行うことが好ましい。また、上記のような光照射を、複数回行うことが好ましい。2回〜10回が好ましく、3回〜5回がより好ましい。
上記工程(4)に移行する前に、上記工程(3)で作製した光学異方性層の上に、保護層を設けることもできる。例えば、あらかじめ作製した保護層用フィルムを、長尺状に作製された光学異方性層の表面に連続的にラミネートしてもよい。
上記工程(4)では、前記光学異方性層が形成された長尺状の積層体を巻き取る。巻き取りは、例えば、連続的に搬送される光学異方性層を有する透明支持体を、円筒状の芯に巻きつけることによって行ってもよい。
上記工程(4)により得られる光学補償フィルムは、ロール形態であるので、大量に製造した場合にもその取り扱いが容易である。そのままの形態で保管・搬送できる。
前記製造方法の各工程の諸条件、使用可能な装置等の詳細については、特開平9−73081号公報に記載の諸条件、装置を適用することができる。
[光学補償フィルムの光学特性]
本発明の液晶表示装置に用いられる偏光板を構成する光学補償フィルムは、その光学特性として、上記数式(I)で定義されるレターデーション値Reが、波長550nmにおいて20nm以上80nm以下であることが好ましく、25以上70以下であることがより好ましく、30nm以上60nm以下であることが特に好ましい。
ここで、前記光学補償フィルムの遅相軸をあおり軸として、あおり角を±40°として測定したRe(40°)、及びRe(−40°)がRe(40°)>Re(−40°)であり、1.5以上20以下を満たすことが好ましい。1.6以上10以下であることが更に好ましく、1.8以上3以下であることが特に好ましい。
(偏光子)
本発明の光学補償フィルム付き偏光板は、偏光子を有する。該偏光子は、Optiva Inc.に代表される塗布型偏光子、又はバインダーとヨウ素、もしくは二色性色素とからなる偏光子が好ましい。
前記ヨウ素及び二色性色素は、バインダー中で配向することで偏光性能を発現する。ヨウ素及び二色性色素は、バインダー分子に沿って配向するか、もしくは二色性色素が液晶のような自己組織化により一方向に配向することが好ましい。
現在市販の偏光子は、延伸したポリマーを、浴槽中のヨウ素もしくは二色性色素の溶液に浸漬し、バインダー中にヨウ素、もしくは二色性色素をバインダー中に浸透させることで作製されるのが一般的である。
また、市販の偏光子は、ポリマー表面から4μm程度(両側合わせて8μm程度)にヨウ素もしくは二色性色素が分布しており、十分な偏光性能を得るためには、少なくとも10μmの厚みが必要である。浸透度は、ヨウ素もしくは二色性色素の溶液濃度、同浴槽の温度、同浸漬時間により制御することができる。
したがって、上記のように、バインダーの厚みの下限は、10μmであることが好ましい。厚みの上限は、偏光板を液晶表示装置に使用した場合に発生する光漏れ現象の観点からは、薄ければ薄い程よい。現在市販の偏光板(約30μm)以下であることが好ましく、25μm以下が好ましく、20μm以下が更に好ましい。20μm以下であると、光漏れ現象は、17インチの液晶表示装置で観察されなくなる。
偏光子のバインダーは架橋されていてもよい。偏光子の作製に、バインダーとして、それ自体架橋可能なポリマーを用いてもよい。官能基を有するポリマー、又はポリマーに官能基を導入して得られたポリマーに、光、熱あるいはpH変化を与えて、官能基を反応させてポリマー間を架橋させ、偏光子を形成することができる。
また、架橋剤によりポリマーに架橋構造を導入してもよい。反応活性の高い化合物である架橋剤を用いてバインダー間に架橋剤に由来する結合基を導入して、バインダー間を架橋することにより形成することができる。
架橋は一般に、架橋可能なポリマー、又はポリマーと架橋剤との混合物を含む塗布液を、透明支持体上に塗布した後、加熱することにより実施できる。最終商品の段階で耐久性が確保できればよいため、架橋させる処理は、最終の偏光板を得るまでのいずれの段階で行なってもよい。
上記した様に、偏光子の作製に、バインダーとして、それ自体架橋可能なポリマーあるいは架橋剤により架橋されるポリマーのいずれも使用することができる。
ポリマーの例には、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリ(N−メチロールアクリルアミド)、ポリビニルトルエン、クロロスルホン化ポリエチレン、ニトロセルロース、塩素化ポリオレフィン(例、ポリ塩化ビニル)、ポリエステル、ポリイミド、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、カルボキシメチルセルロース、ポリプロピレン、ポリカーボネート及びそれらのコポリマー(例、アクリル酸/メタクリル酸共重合体、スチレン/マレインイミド共重合体、スチレン/ビニルトルエン共重合体、酢酸ビニル/塩化ビニル共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体)が含まれる。シランカップリング剤をポリマーとして用いてもよい。
水溶性ポリマー(例、ポリ(N−メチロールアクリルアミド)、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、ポリビニルアルコール及び変性ポリビニルアルコール)が好ましく、ゼラチン、ポリビニルアルコール及び変性ポリビニルアルコールが更に好ましく、ポリビニルアルコール及び変性ポリビニルアルコールが特に好ましい。
ポリビニルアルコール及び変性ポリビニルアルコールの鹸化度は、70〜100%が好ましく、80〜100%が更に好ましく、95〜100%が特に好ましい。ポリビニルアルコールの重合度は、100〜5,000が好ましい。
変性ポリビニルアルコールは、ポリビニルアルコールに対して、共重合変性、連鎖移動変性あるいはブロック重合変性により変性基を導入して得られる。共重合変性では、変性基として、COONa、Si(OH)3、N(CH33・Cl、C919COO、SO3Na、C1225を導入することができる。連鎖移動変性では、変性基として、COONa、SH、SC1225を導入することができる。
変性ポリビニルアルコールの重合度は、100〜3,000が好ましい。変性ポリビニルアルコールについては、特開平8−338913号公報、特開平9−152509号公報、及び特開平9−316127号公報に記載がある。
また、鹸化度が85〜95%の未変性ポリビニルアルコール、及びアルキルチオ変性ポリビニルアルコールが特に好ましい。
更に、ポリビニルアルコール、及び変性ポリビニルアルコールは、二種以上を併用してもよい。
架橋剤については、米国再発行特許23297号明細書に記載があり、本発明に用いることができる。また、ホウ素化合物(例、ホウ酸、硼砂)も、架橋剤として用いることができる。
バインダーの架橋剤は、多く添加すると、偏光子の耐湿熱性を向上させることができる。ただし、バインダーに対して架橋剤を50質量%以上添加すると、ヨウ素、もしくは二色性色素の配向性が低下する。架橋剤の添加量は、バインダーに対して、0.1〜20質量%が好ましく、0.5〜15質量%が更に好ましい。
バインダーは、架橋反応が終了した後でも、反応しなかった架橋剤をある程度含んでいる。ただし、残存する架橋剤の量は、バインダー中に1.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることが更に好ましい。
バインダー中に1.0質量%を超える量で架橋剤が含まれていると、耐久性に問題が生じる場合がある。すなわち、架橋剤の残留量が多い偏光子を液晶表示装置に組み込み、長期使用、あるいは高温高湿の雰囲気下に長期間放置した場合に、偏光度の低下が生じることがある。
前記二色性色素としては、アゾ系色素、スチルベン系色素、ピラゾロン系色素、トリフェニルメタン系色素、キノリン系色素、オキサジン系色素、チアジン系色素あるいはアントラキノン系色素が用いられる。二色性色素は、水溶性であることが好ましい。二色性色素は、親水性置換基(例、スルホ、アミノ、ヒドロキシル)を有することが好ましい。
二色性色素の例には、C.I.ダイレクト・イエロー12、C.I.ダイレクト・オレンジ39、C.I.ダイレクト・オレンジ72、C.I.ダイレクト・レッド39、C.I.ダイレクト・レッド79、C.I.ダイレクト・レッド81、C.I.ダイレクト・レッド83、C.I.ダイレクト・レッド89、C.I.ダイレクト・バイオレット48、C.I.ダイレクト・ブルー67、C.I.ダイレクト・ブルー90、C.I.ダイレクト・グリ−ン59、C.I.アシッド・レッド37が含まれる。
二色性色素については、特開平1−161202号公報、特開平1−172906号公報、特開平1−172907号公報、特開平1−183602号公報、特開平1−248105号公報、特開平1−265205号公報、特開平7−261024号公報に記載がある。
二色性色素は、遊離酸、又はアルカリ金属塩、アンモニウム塩、もしくはアミン塩等の塩として用いられる。二種類以上の二色性色素を配合することにより、各種の色相を有する偏光子を製造することができる。偏光軸を直交させた時に黒色を呈する化合物(色素)を用いた偏光子、あるいは黒色を呈するように各種の二色性分子を配合した偏光子又は偏光板が、単板透過率及び偏光率とも優れており、好ましい。
偏光子は、バインダーを偏光子の長手方向(MD方向)に延伸した後に、ヨウ素、二色性染料で染色することが好ましい。
延伸法の場合、延伸倍率は、2.5〜30.0倍が好ましく、3.0〜10.0倍が更に好ましい。延伸は、空気中でのドライ延伸で実施できる。
また、水に浸漬した状態でのウェット延伸を実施してもよい。ドライ延伸の延伸倍率は、2.5〜5.0倍が好ましく、ウェット延伸の延伸倍率は、3.0〜10.0倍が好ましい。
延伸工程は、数回に分けて行ってもよい。数回に分けることによって、高倍率延伸でもより均一に延伸することができる。
延伸前に、横あるいは縦に若干の延伸(幅方向の収縮を防止する程度)を行ってもよい。延伸は、二軸延伸におけるテンター延伸を左右異なる工程で行うことによって実施できる。上記二軸延伸は、通常のフィルム製膜において行われている延伸方法と同様である。
偏光子と光学補償フィルム及び保護フィルムとの貼り合せには接着剤を用いてもよく、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂(アセトアセチル基、スルホン酸基、カルボキシル基、オキシアルキレン基による変性ポリビニルアルコールを含む)やホウ素化合物水溶液を接着剤として用いることができる。これらの中でも、ポリビニルアルコール系樹脂が好ましい。
接着剤層の厚みは、乾燥後に0.01〜10μmの範囲にあることが好ましく、0.05〜5μmの範囲にあることが特に好ましい。
本発明の光学補償フィルム付き偏光板は、他の機能層を有していてもよい。他の機能層としては、反射防止層等が挙げられる。特に、液晶パネル及び液晶表示装置に用いる態様では、反射防止層を形成するのが好ましく、該層は、視認側表面に設置するのが好ましい。また、該反射防止層を偏光子の視認側の保護層と兼用してもよい。
液晶表示装置の視角による色味変化抑制の観点から、反射防止層の内部ヘイズを50%以上にすることが好ましい。これら好ましい具体例としては、特開2001−33783号公報、特開2001−343646号公報、及び特開2002−328228号公報に記載がある。
液晶表示装置のコントラスト比を高めるためには、偏光子(偏光子)の透過率は高い方が好ましく、偏光度も高い方が好ましい。
前記偏光子の透過率は、波長550nmの光において、30〜50%の範囲にあることが好ましく、35〜50%の範囲にあることが更に好ましく、40〜50%の範囲にあることが特に好ましい。
偏光度は、波長550nmの光において、90〜100%の範囲にあることが好ましく、95〜100%の範囲にあることが更に好ましく、99〜100%の範囲にあることが特に好ましい。
本発明の光学補償フィルム付き偏光板は、例えば、矩形状等の所望の形状に切断した後、上述の光学補償フィルムを偏光子と貼り合せてもよいし、長尺状の偏光子と貼り合せた後、所望の形状に切断することもできる。
本発明の偏光板は、偏光機能のみならず、優れた光学補償機能をも有し、しかも容易に液晶表示装置に組み込むことができる。また、前記光学補償フィルムを偏光子の保護膜とした態様は、液晶表示装置の薄型化にも寄与する。
[液晶パネル]
本発明の液晶パネルは、液晶セルと、該液晶セルの一方の側に配置された第1の偏光板と、該液晶セルの他方の側に配置された第2の偏光板とを有し、前記第1及び第2の偏光板がそれぞれ、本発明の光学補償フィルム付き偏光板であり、且つ該光学補償フィルム付き偏光板の粘着剤層と液晶セルとが接触して配置されていることを特徴とする。
液晶セルのモードについては特に制限はないが、一般的に、一対の偏光板の偏光軸を画面左右方向に対して45°の方向で直交させる、TNモード及びOCBモード等において、高い効果を示すであろう。
[液晶表示装置]
本発明は、本発明の偏光板を有する液晶表示装置にも関する。本発明の偏光板は、反射型、透過型、及び半透過型の液晶表示装置のいずれに用いても優れた効果を示す。
透過型液晶表示装置は、液晶セル及びその両側に配置された二枚の偏光板からなる。二枚のうちいずれかの偏光板として本発明の偏光板を使用することで、本発明の効果が得られるが、双方の偏光板が本発明の偏光板であると、より優れた効果が得られるので好ましい。
本発明の液晶表示装置は、いずれの液晶モードを利用したものであってもよい。各液晶モードにおける光学異方性層の好ましい形態について、以下で説明する。
(TNモード液晶表示装置)
TNモードの液晶セルは、カラーTFT液晶表示装置として最も多く利用されており、多数の文献に記載がある。TNモードの黒表示における液晶セル中の配向状態は、セル中央部で棒状液晶性分子が立ち上がり、セルの基板近傍では棒状液晶性分子が寝た配向状態にある。
図4は、図1の光学補償フィルム付き偏光板を有する、液晶パネルの一例200を構成する各層の光軸を説明する分解斜視図である。第1の偏光子30および第2の偏光子30’は、代表的には、その吸収軸が互いに実質的に直交するようにして配置されている。第1の偏光子30は、代表的には、その吸収軸が液晶セル40の基板41の配向方向と実質的に平行となるように配置される。さらに、第2の偏光子30’は、代表的には、その吸収軸が液晶セル40の基板42の配向方向と実質的に平行となるように配置される。
光学補償フィルム20(20’)の透明支持体21(21’)の遅相軸方向は、偏光子30(30’)の吸収軸方向と実質的に直交である。ここで、「実質的に直交」とは、光学補償フィルム20(20’)の透明支持体21(21’)の遅相軸方向と偏光子30(30’)の吸収軸方向とのなす角度が、90°±2.0°の範囲を包含する。好ましくは90°±1.0°であり、さらに好ましくは90°±0.5°である。
1つの実施形態においては、光学補償フィルム20(20’)の遅相軸方向が、液晶パネルの一辺に対して45°(または135°)である。別の実施形態においては、光学補償フィルム20の透明支持体21(21’)の遅相軸方向は、液晶パネルの一辺に対して90°(または0°)である。好ましくは、光学補償フィルム20は、その光学補償フィルムが液晶パネルの一辺に対して45°(または135°)となるように配置される。このような配置を採用した場合、正面方向のコントラスト比を格段に高くすることができる。さらに、斜め方向から画面を見た場合には、360°どの方位から見ても一定のコントラスト比を得ることができる。
OCBモードの液晶セルは、棒状液晶性分子を液晶セルの上部と下部とで実質的に逆の方向に(対称的に)配向させるベンド配向モードの液晶セルを用いた液晶表示装置であり、米国特許4583825号明細書、及び米国特許5410422号明細書に開示されている。棒状液晶分子が液晶セルの上部と下部とで対称的に配向しているため、ベンド配向モードの液晶セルは、自己光学補償機能を有する。
そのため、この液晶モードは、OCB(Optically Compensatory Bend)液晶モードとも呼ばれる。ベンド配向モードの液晶表示装置は、応答速度が速いとの利点がある。
また、OCB方式は、高速応答駆動が可能なため、フィールドシーケンシャル駆動方式と組み合わせることが好ましい。
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、割合、操作などは、本発明を達成するための一例であり、本発明の精神から逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に制限されるものではない。
(粘着剤層保持力評価方法)
10mm×30mmの試験片S(光学フィルム付き付偏光板)を作製する。図3に示すように、試験片Sの上端部10mm×10mmをベーク板Pに、粘着剤層を介して貼着して試験板Bを得る。次いで、得られた試験板Bを50℃、5気圧の条件下で15分間、オートクレーブ処理した後、室温で1時間放置する。
その後、図3に示すように、60℃の恒温槽内で、試験片Sの下端部に500gの荷重Wを負荷して1時間放置する。放置後の試験片Sとベーク板Pとのズレ幅(保持力)を、レーザー式クリープ試験機により測定する。
(光学補償フィルムの粘着剤層側マルテンス硬さの測定方法)
100mm×100mmの光学補償フィルムを適宜切り出し、粘着剤層側となる光学異方性層側のマルテンス硬さをフィッシャースコープ H100(Fischer社製)を用いて任意の5点を測定し、平均値を求めた。測定にはビッカース圧子を用い、最大荷重は100mN、最大荷重までの到達時間は5秒、最大および最小荷重におけるクリープは各5秒とした。
(光学異方性層膜厚評価方法)
薄膜用分光光度計[大塚電子(株)製 製品名「瞬間マルチ測光システム MCPD−2000」]を用いて測定した。
[実施例1]
(光学補償フィルム付き偏光板001の作製方法)
・ 粘着剤層Aの作製
冷却管、窒素導入管、温度計および攪拌装置を備えた反応容器に、ブチルアクリレート99質量部と、4−ヒドロキシブチルアクリレート1.0質量部と、2,2−アゾビスイソブチロニトリル0.3質量部と、酢酸エチルとを加え、溶液を調製した。次に、この溶液に窒素ガスを吹き込みながら攪拌して、60℃で4時間重合反応を行い、重量平均分子量165万のアクリル系コポリマーを得た。
上記で得られたアクリレート系コポリマーに、さらに酢酸エチルを加えて希釈し、全固形分濃度30質量%のポリマー溶液(1−A)を調製した。次に、このポリマー溶液(1−A)に、アクリレート系コポリマー100質量部に対して0.3質量部のジベンゾイルパーオキシド[日本油脂(株)製 商品名「ナイパーBO−Y」]と、0.18質量部のトリメチロールプロパンキシリレンジイソシアネート[三井武田ケミカル(株)製 商品名「タケネートD110N」]と、0.2質量部のアセトアセチル基を含むシランカップリング剤[総研化学(株)製 商品名「A−100」]とをこの順に配合して、ポリマー溶液(1−B)を調製した。
上記で得られたポリマー溶液(1−B)を、基材(シリコーン系剥離剤で処理されたポリエチレンテレフタレートフィルム)の表面に、ファウンテンコータで均一に塗工した。その後、155℃の空気循環式恒温オーブンで70秒間乾燥し、基材の表面に粘着剤層Aを形成した。得られた粘着剤層の60℃における保持力は120μmであった。
(偏光子の作製)
ポリビニルアルコールを主成分とする高分子フィルム[クラレ(株)製 商品名「9P75R(厚み75μm、平均重合度=2,400、ケン化度=99.9モル%)」]をヨウ素とヨウ化カリウム配合の染色浴(30℃±3℃)にて、ロール延伸機を用いて、染色しながら2.5倍に一軸延伸した。次いで、ホウ酸とヨウ化カリウム配合の水溶液中(60±3℃)で、架橋反応を行いながら、ポリビニルアルコールフィルムの元長の6倍となるように一軸延伸した。得られたフィルムを50℃±1℃の空気循環式恒温オーブン内で30分間乾燥させて、偏光子を得た。
(光学補償フィルム101の作製方法)
・ 透明支持体B−1の作製
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、30℃に加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、セルロースアセテート溶液を調製した。
(セルロースアセテート溶液組成)
セルロースアセテート溶液組成 内層 外層
酢化度60.9%のセルロースアセテート 100質量部 100質量部
トリフェニルホスフェート(可塑剤) 7.8質量部 7.8質量部
ビフェニルジフェニルホスフェート(可塑剤) 3.9質量部 3.9質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 293質量部 314質量部
メタノール(第2溶媒) 71質量部 76質量部
1−ブタノール(第3溶媒) 1.5質量部 1.6質量部
シリカ微粒子(AEROSIL R972、日本アエロジル(株)製)
0質量部 0.8質量部
下記レターデーション上昇剤 1.5質量部 0質量部
Figure 2009258660
得られた内層用ドープ及び外層用ドープを、三層共流延ダイを用いて、0℃に冷却したドラム上に流延した。残留溶剤量が70質量%のフィルムをドラムから剥ぎ取り、両端をピンテンターにて固定して搬送方向のドロー比を110%として搬送しながら80℃で乾燥させ、残留溶剤量が10%となったところで、110℃で乾燥させた。その後、140℃の温度で30分乾燥し、残留溶剤が0.3質量%のセルロースアシレートフィルム(外層:3μm、内層:75μm、外層:3μm)を作製した。得られたセルロースアシレートフィルムの幅は1490mmであり、厚さは80μmであった。
・ 透明支持体B−1の鹸化処理
上記ロールフィルムの片面を温度60℃の誘電式加熱ロール上を通過させ、フィルム表面温度を40℃に昇温した後に、下記の組成のアルカリ溶液を、バーコーターを用いて、14mL/m2塗布し、110℃に加熱したスチーム式遠赤外線ヒーター((株)ノリタケカンパニー製)の下に10秒間滞留させた後、同じくバーコーターを用いて純水を3mL/m2塗布した。このときのフィルム温度は40℃であった。次いでファウンテンコーターによる水洗とエアナイフによる水切りを3回繰り返して後に、70℃の乾燥ゾーンに2秒滞留させて乾燥した。
アルカリ溶液組成
水酸化カリウム 4.7質量部
水 15.7質量部
イソプロパノール 64.8質量部
プロピレングリコール 14.9質量部
1633O(CH2CH2O)10H(界面活性剤) 1.0質量部
・ 配向膜の形成
その後さらに、下記の組成の塗布液を#16のワイヤーバーコーターで28mL/m2塗布した。60℃の温風で60秒、さらに90℃の温風で150秒乾燥した。次に、形成した膜に、透明支持体B−1の流延方向と平行な方向に配向するようにラビング処理を実施した(即ち、ラビング軸は透明支持体B−1の流延方向と平行であった)。
配向膜塗布液組成
下記変性ポリビニルアルコール 20質量部
水 470質量部
メタノール 160質量部
グルタルアルデヒド(架橋剤) 1.0質量部
イルガキュア2959(チバガイギー製) 0.5質量部
Figure 2009258660
・ 光学異方性層K−1の形成
下記の組成物を、120質量部のメチルエチルケトンに溶解して塗布液を調製した。
光学異方性層K−1の塗布液組成
下記ディスコティック液晶性化合物A 41.01質量部
エチレンオキサイド変成トリメチロールプロパントリアクリレート
(V#360、大阪有機化学(株)製) 4.06質量部
セルロースアセテートブチレート
(CAB551−0.2、イーストマンケミカル社製) 0.34質量部
セルロースアセテートブチレート
(CAB531−1、イーストマンケミカル社製) 0.11質量部
下記フッ素系化合物1 0.03質量部
下記フッ素系化合物2 0.23質量部
光重合開始剤(イルガキュアー907、チバガイギー社製) 1.35質量部
増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製) 0.45質量部
Figure 2009258660
Figure 2009258660
Figure 2009258660
形成した透明支持体の配向膜側に、透明支持体B−1の流延方向と平行な方向に配向するようにラビング処理を実施した(即ち、ラビング軸は透明支持体B−1の流延方向と平行であった)。
前記ラビング処理された透明支持体B−1を用いた配向膜上に、上記光学異方性層形成用塗布液を、#2.9のワイヤーバーを1800回転でフィルムの搬送方向と同じ方向に回転させて、36m/分で搬送されている上記ロールフィルムの配向膜面に室温(25℃)で連続的に塗布した。調製後の塗布液はリザーバタンクに蓄積してあり、モレキュラーシーブにて脱水したメチルエチルケトンを随時添加する工程を含む循環配管を経由して一定の液密度をフィードバック制御により随時保持した。またリザーバタンク内は低速で攪拌しており、タンク内に脱水目的のモレキュラーシーブが入ったメッシュ状の容器を固定した。室温から100℃に連続的に加温する工程で、溶媒を乾燥させ、その後、ディスコティックネマティック相をとる135℃の乾燥ゾーンで、ディスコティック液晶化合物層にあたる膜面風速がフィルム搬送方向に平行に1.5m/secとなるようにし、約90秒間加熱し、ディスコティック液晶化合物を配向させた。次に、80℃の乾燥ゾーンに搬送させて、フィルムの表面温度が約100℃の状態で、紫外線照射装置(紫外線ランプ:出力160W/cm、発光長1.6m)により、照度600mWの紫外線を4秒間照射し、架橋反応を進行させ、ディスコティック液晶化合物をその配向に固定した。その後、室温まで放冷し、円筒状に巻き取ってロール状の形態にした。以上により光学補償フィルム101を作製した。
得られた光学補償フィルム101の光学異方性層の膜厚は900nmであった。また、光学異方性層の空気界面側(後に粘着剤層を形成する側)のマルテンス硬さは130N/mm2であった。
・ 光学補償フィルムの鹸化処理
上記光学補償フィルム101を1.5モル/Lで55℃の水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬した後、水で十分に水酸化ナトリウムを洗い流した。その後、0.005モル/Lで35℃の希硫酸水溶液に1分間浸漬した後、水に浸漬し希硫酸水溶液を十分に洗い流した。最後に試料を120℃で十分に乾燥させた。
・ 光学補償フィルム付き偏光板の作製
前記のように鹸化処理を行った光学補償フィルム101の光学異方性層側に、上記基材の表面に形成された粘着剤層Aを積層して、積層体A−1を得た。次いで、積層体A−1を、70℃の空気循環式恒温オーブン中で7日間熟成させた。なお、粘着剤層の厚みは、21μmであった。熟成させた積層体A−1の透明支持体側に、ポリビニルアルコール系接着剤(厚み0.1μm)を介して、上記で得られた偏光子を積層した。さらに、偏光子のもう片側(積層体A−1が積層されていない側)に、ポリビニルアルコール系接着剤(厚み0.1μm)を介して、保護層[トリアセチルセルロースフィルム、富士フイルム製、商品名:フジタック]を積層した。その際、偏光子の長手方向と、光学補償フィルム101の透明支持体の長手方向、更には、保護層の長手方向とが全て平行になるように配置した。このようにして光学補償フィルム付き偏光板001を得た。
(液晶表示装置の作製)
市販のTNモードの液晶セルを含む液晶表示装置([BenQ製 商品名「FP71E+」]、必要であれば要変更)から液晶パネルを取り出し、液晶セルの上下に配置されていた偏光板等の光学フィルムを全て取り除いた。得られた液晶セルのガラス基板(表裏)を洗浄し、液晶セルAを得た。液晶セルAの両側に、上記で得られた光学補償フィルム付き偏光板001を貼り付けて液晶パネルA−1を得た。その際、各偏光子の吸収軸が互いに実質的に直交するように貼り付けた。また、偏光子の吸収軸が、隣接する液晶セルのガラス基板の配向方向と実質的に平行となるように貼り付けた。得られた液晶パネルA−1をバックライトユニットと結合し、液晶表示装置A−1を得た。
[実施例2]
(光学補償フィルム付き偏光板002の作製)
(光学異方性層K−2の組成)
下記の組成物を、120質量部のメチルエチルケトンに溶解して塗布液を調製した。
光学異方性層K−2の塗布液組成
ディスコティック液晶性化合物(D−534) 41.01質量部
エチレンオキサイド変成トリメチロールプロパントリアクリレート
(V#360、大阪有機化学(株)製) 4.06質量部
下記フッ素系化合物 0.26質量部
光重合開始剤(イルガキュアー907、チバガイギー社製) 1.35質量部
増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製) 0.45質量部
Figure 2009258660
実施例1で形成した透明支持体B−1の配向膜側に、透明支持体B−1の流延方向と平行な方向に配向するようにラビング処理を実施した(即ち、ラビング軸はセルロースアシレートフィルムの流延方向と平行であった)。
前記ラビング処理された透明支持体B−1を用いた配向膜上に、下記光学異方性層形成用塗布液T−2を、#2.9のワイヤーバーを1800回転でフィルムの搬送方向と同じ方向に回転させて、36m/分で搬送されている上記ロールフィルムの配向膜面に室温(25℃)で連続的に塗布した。調製後の塗布液はリザーバタンクに蓄積してあり、モレキュラーシーブにて脱水したメチルエチルケトンを随時添加する工程を含む循環配管を経由して一定の液密度をフィードバック制御により随時保持した。またリザーバタンク内は低速で攪拌しており、タンク内に脱水目的のモレキュラーシーブが入ったメッシュ状の容器を固定した。室温から100℃に連続的に加温する工程で、溶媒を乾燥させ、その後、ディスコティックネマティック相をとる135℃の乾燥ゾーンで、ディスコティック液晶化合物層にあたる膜面風速がフィルム搬送方向に平行に1.5m/secとなるようにし、約90秒間加熱し、ディスコティック液晶化合物を配向させた。次に、80℃の乾燥ゾーンに搬送させて、フィルムの表面温度が約100℃の状態で、紫外線照射装置(紫外線ランプ:出力160W/cm、発光長1.6m)により、照度600mWの紫外線を4秒間照射し、架橋反応を進行させ、ディスコティック液晶化合物をその配向に固定した。その後、室温まで放冷し、円筒状に巻き取ってロール状の形態にした。以上により光学補償フィルム102を作製した。
このとき得られた光学補償フィルム102の光学異方性層の膜厚は900nmであり、また、光学異方性層の空気界面側(後に粘着剤層を形成する側)のマルテンス硬さは140N/mm2であった。
・ 光学補償フィルム付き偏光板の作製
光学補償フィルム102を積層する以外は、実施例1と同様の方法で鹸化処理を行った光学補償フィルム102の光学異方性層側に、上記基材の表面に形成された粘着剤層Aを積層して、積層体A−2を得た。さらに、実施例1と同様の方法で偏光子、光学補償フィルム102、保護層を配置した。このようにして光学補償フィルム付き偏光板002を得た。
(液晶表示装置の作製)
光学補償フィルム付き偏光板002を液晶セルAに貼り付けた以外は、実施例1と同様の方法で、液晶パネルA−2を得た。また、液晶パネルA−2をバックライトユニットと結合した以外は、実施例1同様の方法で、液晶表示装置A−2を得た。
[実施例3]
(光学補償フィルム付き偏光板003の作製)
・ 光学異方性層K−3の形成
実施例2の光学異方性層K−2形成用塗布液の組成において、107質量部のメチルエチルケトンに溶解した以外は、実施例2と同様の方法で実施例2の光学異方性層K−3形成用塗布液を調製した。
実施例1で形成した透明支持体B−1の配向膜側に、透明支持体B−1の流延方向と平行な方向に配向するようにラビング処理を実施した(即ち、ラビング軸はセルロースアシレートフィルムの流延方向と平行であった)。
前記ラビング処理された透明支持体B−1を用いた配向膜上に、下記光学異方性層形成用塗布液T−3を、#3.2のワイヤーバーを1800回転でフィルムの搬送方向と同じ方向に回転させて、36m/分で搬送されている上記ロールフィルムの配向膜面に室温(25℃)で連続的に塗布した。それ以降は実施例2と同様の方法で光学補償フィルム103を作製した。
このとき得られた光学補償フィルム103の光学異方性層の膜厚は1350nm、また、光学異方性層の空気界面側(後に粘着剤層を形成する側)のマルテンス硬さは150N/mm2であった。
・ 光学補償フィルム付き偏光板の作製
光学補償フィルム103を積層する以外は、実施例1と同様の方法で鹸化処理を行った光学補償フィルム103の光学異方性層側に、上記基材の表面に形成された粘着剤層Aを積層して、積層体A−3を得た。さらに、実施例1と同様の方法で偏光子、光学補償フィルム103、保護層を配置した。このようにして光学補償フィルム付き偏光板003を得た。
(液晶表示装置の作製)
光学補償フィルム付き偏光板003を液晶セルAに貼り付けた以外は、実施例1と同様の方法で、液晶パネルA−3を得た。また、液晶パネルA−3をバックライトユニットと結合した以外は、実施例1同様の方法で、液晶表示装置A−3を得た。
[実施例4]
・ 光学異方性層K−4の形成
実施例2の光学異方性層K−2の塗布液組成において、ディスコティック液晶化合物D−534 41.01質量部を32.81質量部とし、さらにディスコティック液晶化合物Aを9.0質量部追加した以外は、実施例2と同様の方法で組成物を120質量部のメチルエチルケトンに溶解し、光学異方性層K−4形成用塗布液を調製した。尚、ディスコティック液晶化合物AとD−534の重量比は、ディスコティック液晶化合物Aが80、D−534が20である。
実施例1で形成した透明支持体B−1の配向膜側に、透明支持体B−1の流延方向と平行な方向に配向するようにラビング処理を実施した(即ち、ラビング軸はセルロースアシレートフィルムの流延方向と平行であった)。
・ 光学異方性層の形成
光学異方性層K−4形成用塗布液を用いた以外は、実施例2と同様の方法で、光学異方性層を形成し、光学補償フィルム104を作製した。このとき得られた光学補償フィルム104の光学異方性層の膜厚は900nmであり、光学異方性層の空気界面側(後に粘着剤層を形成する側)のマルテンス硬さは123N/mm2であった。
・ 光学補償フィルム付き偏光板の作製
光学補償フィルム104を積層する以外は、実施例1と同様の方法で鹸化処理を行った光学補償フィルム104の光学異方性層側に、上記基材の表面に形成された粘着剤層Aを積層して、積層体A−4を得た。さらに、実施例1と同様の方法で偏光子、光学補償フィルム104、保護層を配置した。このようにして光学補償フィルム付き偏光板004を得た。
(液晶表示装置の作製)
光学補償フィルム付き偏光板004を液晶セルAに貼り付けた以外は、実施例1と同様の方法で、液晶パネルA−4を得た。また、液晶パネルA−4をバックライトユニットと結合した以外は、実施例1同様の方法で、液晶表示装置A−4を得た。
[実施例5]
(光学補償フィルム付き偏光板005の作製)
・光学異方性層K−5の形成
実施例2の光学異方性層K−2の塗布液組成において、ディスコティック液晶化合物D−534 41.01質量部の代わりにディスコティック液晶化合物D−536 41.01質量部を用いた以外は、実施例2と同様の方法で組成物を120質量部のメチルエチルケトンに溶解し、光学異方性層K−5形成用塗布液を調製した。
実施例1で形成した透明支持体B−1の配向膜側に、透明支持体B−1の流延方向と平行な方向に配向するようにラビング処理を実施した(即ち、ラビング軸はセルロースアシレートフィルムの流延方向と平行であった)。
・ 光学異方性層の形成
光学異方性層形成用塗布液T−5を用いた以外は、実施例2と同様の方法で、光学異方性層を形成し、光学補償フィルム105を作製した。このとき得られた光学補償フィルム105の光学異方性層の膜厚は900nmであり、光学異方性層の空気界面側(後に粘着剤層を形成する側)のマルテンス硬さは150N/mm2であった。
・ 光学補償フィルム付き偏光板の作製
光学補償フィルム105を積層する以外は、実施例1と同様の方法で鹸化処理を行った光学補償フィルム105の光学異方性層側に、上記基材の表面に形成された粘着剤層Aを積層して、積層体A−5を得た。さらに、実施例1と同様の方法で偏光子、光学補償フィルム105、保護層を配置した。このようにして光学補償フィルム付き偏光板005を得た。
(液晶表示装置の作製)
光学補償フィルム付き偏光板005を液晶セルAに貼り付けた以外は、実施例1と同様の方法で、液晶パネルA−5を得た。また、液晶パネルA−5をバックライトユニットと結合した以外は、実施例1同様の方法で、液晶表示装置A−5を得た。
[実施例6]
(光学補償フィルム付き偏光板006の作製)
・ 粘着剤層の作製
トリメチロールプロパンキシリレンジイソシアネートを0.09質量部とした以外は、実施例1の粘着剤層Aの形成方法と同様の方法で、粘着剤層Bを形成した。得られた粘着剤層Bの60℃における保持力は245μmであった。
・ 光学補償フィルム付き偏光板の作製
粘着剤層Bを積層する以外は、実施例2と同様の方法で鹸化処理を行った光学補償フィルム102の光学異方性層側に、上記基材の表面に形成された粘着剤層Bを積層して、積層体A−6を得た。さらに、実施例2と同様の方法で偏光子、光学補償フィルム102、保護層を配置した。このようにして光学補償フィルム付き偏光板006を得た。
(液晶表示装置の作製)
光学補償フィルム付き偏光板006を液晶セルAに貼り付けた以外は、実施例1と同様の方法で、液晶パネルA−6を得た。また、液晶パネルA−6をバックライトユニットと結合した以外は、実施例1同様の方法で、液晶表示装置A−6を得た。
[実施例7〜15]
(塗布液組成)
下記の組成の光学異方性層形成用塗布液を調製した。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
メチルエチルケトン 270.0質量部
下記表中に示すディスコティック液晶性化合物1 90.0質量部
下記表中に示すディスコティック液晶性化合物2 10.0質量部
下記の空気界面配向制御剤1 1.0質量部
光重合開始剤「イルガキュア907」チバガイギー社製 3.0質量部
増感剤「カヤキュアーDETX」日本化薬(株)製 1.0質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
Figure 2009258660
Figure 2009258660
Figure 2009258660
Figure 2009258660
(光学補償フィルムの作製)
上記の各光学異方性層形成用塗布液を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で、光学異方性層を形成し、実施例7〜15の光学補償フィルム121〜129を作製した。
(光学補償フィルム付き偏光板の作製)
光学補償フィルム121〜129のそれぞれを実施例と同様にして鹸化処理した。
鹸化処理を行った光学補償フィルム121〜129のそれぞれの光学異方性層側に、実施例1と同様にして粘着剤層Aを積層して、積層体A−21〜29をそれぞれ得た。さらに、実施例1と同様の方法で偏光子、積層体A−21〜29、保護層を配置し、光学補償フィルム付き偏光板021〜029をそれぞれ作製した。
(液晶表示装置の作製)
光学補償フィルム付き偏光板021〜029のそれぞれを、液晶セルAに貼り付けた以外は、実施例1と同様の方法で、液晶パネルA−21〜29をそれぞれ作製した。また、液晶パネルA−21〜29のそれぞれをバックライトユニットと結合した以外は、実施例1と同様の方法で、液晶表示装置A−21〜29をそれぞれ作製した。
[比較例1]
(光学補償フィルム付き偏光板011の作製方法)
特開2007−226017号公報の実施例1と同様の方法で、光学補償フィルムに「WVフィルムEA(富士フイルム(株)製)」を用いた、光学補償フィルム付き偏光板011を作製した。尚、粘着剤層の作製方法は、本発明の実施例1と同様である。光学異方性層の膜厚は1350nm、光学異方性層の空気界面側(後に粘着剤層が形成される側)のマルテンス硬さは100N/mm2であった。
(液晶表示装置の作製)
光学補償フィルム付き偏光板011を液晶セルAに貼り付けた以外は、実施例1と同様の方法で、液晶パネルA−11を得た。また、液晶パネルA−11をバックライトユニットと結合した以外は、実施例1同様の方法で、液晶表示装置A−11を得た。
[比較例2]
(光学補償フィルム付き偏光板012の作製方法)
・ 粘着剤層の作製
トリメチロールプロパンキシリレンジイソシアネートを0.02質量部とした以外は、実施例2と同様の方法で、粘着剤層Cを作製した。得られた粘着剤層Cの60℃における保持力は380μmであった。
・ 光学補償フィルム付き偏光板の作製
粘着剤層Cを積層する以外は、実施例2と同様の方法で鹸化処理を行った光学補償フィルム102の光学異方性層側に、上記基材の表面に形成された粘着剤層Bを積層して、積層体A−6を得た。さらに、実施例2と同様の方法で偏光子、光学補償フィルム102、保護層を配置した。このようにして光学補償フィルム付き偏光板012を得た。
(液晶表示装置の作製)
光学補償フィルム付き偏光板012を液晶セルAに貼り付けた以外は、実施例1と同様の方法で、液晶パネルA−12を得た。また、液晶パネルA−12をバックライトユニットと結合した以外は、実施例1同様の方法で、液晶表示装置A−12を得た。
[比較例3]
(光学補償フィルム付き偏光板013の作製方法)
特開2007−226017号公報の比較例1と同様の方法で、光学補償フィルムに「WVフィルムEA(富士フイルム(株)製)」を用いた、光学補償フィルム付き偏光板013を作製した。尚、粘着剤層の作製方法は、本発明の比較例2と同様であった。
(液晶表示装置の作製)
光学補償フィルム付き偏光板013を液晶セルAに貼り付けた以外は、実施例1と同様の方法で、液晶パネルA−13を得た。また、液晶パネルA−13をバックライトユニットと結合した以外は、実施例1同様の方法で、液晶表示装置A−13を得た。
上記の実施例及び比較例で得られた光学補償フィルム付き偏光板及び液晶表示装置の一覧を表1、表4に示す。
Figure 2009258660
Figure 2009258660
(端部粘着剤汚れ)
実施例1〜15及び比較例1〜3で得られた液晶表示装置A−1〜6、A−21〜29及びA−11〜13を用いて、ヒートショック試験(−40℃30分、85℃30分のサイクルを360サイクル)を行い、セル基板に付着した端部粘着剤の汚れを調べた。尚、評価基準は以下の通りである。
◎:四辺のいずれの方向も粘着剤汚れ部分が0.1mm以内
○:四辺のいずれの方向も粘着剤汚れ部分が0.1〜0.3mm
△:四辺のいずれの方向も粘着剤汚れ部分が0.1〜0.5mm
×:四辺のいずれの方向も粘着剤汚れ部分が0.5mmより大きい
(色味変化)
実施例1〜15及び比較例1〜3で得られた液晶表示装置A−1〜6、A−21〜29及びA−11〜13を用いて、ヒートサイクル試験(−40℃30分と85℃30分のサイクルを1サイクルとし、360サイクル)を行い、360サイクル開始前と終了後の黒表示時のCIE表色系におけるb*値の変化幅を測定した。ELDIM社製 製品名「EZ Contrast160D」を用いて測定し、尚、評価基準は以下のとおりである。b*の変化幅は、「ヒートサイクル試験前のb*値」と「ヒートサイクル試験後のb*値」の「差の絶対値」とした。
◎:b*の変化幅が5%以下
○:b*の変化幅が5〜10%
△:b*の変化幅が10〜25%
×:b*の変化幅が25%以上
上記の試験結果を、下記表に示す。
Figure 2009258660
本発明の光学補償フィルム付き偏光板を使用することにより、低温と高温の温度変化(ヒートショック)起因の偏光板の伸縮による、偏光板の端部粘着剤残りが解消され、かつヒートショック経時前後の偏光板色味変化が小さくなる。また、このような問題が解消された液晶パネル、及び液晶表示装置を提供することができる。
10 粘着剤層
20、20’ 光学補償フィルム
21、21’ 透明支持体
22、22’ 付与層
30、30’ 偏光子
40 液晶セル
41、42 液晶セル基板
100 光学補償フィルム付き偏光板
200 液晶パネル
301 第1の繰り出し部
302、305 基材
303 コータ部
304 温度制御手段(乾燥手段)
306 第2の繰り出し部
307、308 ラミネートロール
309 光学補償フィルムと粘着剤層と基材との積層物
310 巻き取り部

Claims (18)

  1. 粘着剤層と、光学補償フィルムと、偏光子とをこの順に有し、該粘着剤層の60℃における保持力が300μm以下であり、かつ光学補償フィルムの粘着剤層側のマルテンス硬さが120N/mm2〜500N/mm2である、光学補償フィルム付き偏光板。
  2. 前記粘着剤層が、少なくとも(メタ)アクリル系ポリマー(A)と過酸化物(B)とを含む粘着性組成物を架橋させて形成される層である、請求項1に記載の光学補償フィルム付き偏光板。
  3. 前記(メタ)アクリル系ポリマー(A)が、アルキル(メタ)アクリレート(a1)と水酸基含有(メタ)アクリレート(a2)との共重合体である、請求項1又は2に記載の光学補償フィルム付き偏光板。
  4. 前記過酸化物(B)の配合量が、前記(メタ)アクリル系ポリマー(A)100質量部に対して0.01〜1質量部である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学補償フィルム付き偏光板。
  5. 前記粘着性組成物が、イソシアネート系化合物をさらに含む、請求項2〜4のいずれか1項に記載の光学補償フィルム付き偏光板。
  6. 前記イソシアネート系化合物の配合量が、前記(メタ)アクリル系ポリマー(A)100質量部に対して0.04〜1質量部である、請求項5に記載の光学補償フィルム付き偏光板。
  7. 前記偏光子が、ヨウ素または二色性染料を含有するポリビニルアルコール系樹脂を主成分とする延伸フィルムである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の光学補償フィルム付き偏光板。
  8. 前記光学補償フィルムが、透明支持体及び光学異方性層を有する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の光学補償フィルム付き偏光板。
  9. 前記光学異方性層が、液晶組成物を硬化させて形成される層である、請求項8に記載の光学補償フィルム付き偏光板。
  10. 前記光学異方性層と透明支持体との間に、前記液晶組成物を配向させるための配向膜を有する、請求項8又は9に記載の光学補償フィルム付き偏光板。
  11. 前記液晶組成物が、少なくとも1種のディスコティック液晶化合物を含有する、請求項9又は10に記載の光学補償フィルム付き偏光板。
  12. 前記ディスコティック液晶化合物が、下記式(I)で表される化合物である、請求項11に記載の光学補償フィルム付き偏光板。
    Figure 2009258660
    (一般式(I)中、Y11、Y12およびY13は、それぞれ独立にメチンまたは窒素原子を表し、L1、L2およびL3は、それぞれ独立に単結合または二価の連結基を表し、H1、H2およびH3は、それぞれ独立に下記一般式(I−A)または下記一般式(I−B)を表し、R1、R2およびR3は、それぞれ独立に下記一般式(I−R)を表す。)
    Figure 2009258660
    (一般式(I−A)中、YA1およびYA2は、それぞれ独立にメチンまたは窒素原子を表し、XAは、酸素原子、硫黄原子、メチレンまたはイミノを表す。*は一般式(I)におけるL1〜L3側と結合する位置を表し、**は上記一般式(I)におけるR1〜R3側と結合する位置を表す。)
    Figure 2009258660
    (一般式(I−B)中、YB1およびYB2は、それぞれ独立にメチンまたは窒素原子を表し、XBは、酸素原子、硫黄原子、メチレンまたはイミノを表す。*は上記一般式(I)におけるL1〜L3側と結合する位置を表し、**は上記一般式(I)におけるR1〜R3側と結合する位置を表す。)
    一般式(I−R)
    *−(−L21−Q2n1−L22−L23−Q1
    (一般式(I−R)中、*は一般式(I)におけるH1〜H3側と結合する位置を表し、L21は単結合または二価の連結基を表し、Q2は少なくとも1種類の環状構造を有する二価の基を表し、n1は0〜4の整数を表し、L22は、**−O−、**−O−CO−、**−CO−O−、**−O−CO−O−、**−S−、*−N(R)−、**−CH2−、**−CH=CH−または**−C≡C−を表し、**はQ2側と結合する位置を表し、
    23は、−O−、−S−、−C(=O)−、−NH−、−CH2−、−CH=CH−および−C≡C−ならびにこれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基を表し、Q1は重合性基または水素原子を表す。n1が2以上のとき、複数個の−L21−Q2は、それぞれ、同一でも異なっていてもよい。)
  13. 前記透明支持体が、セルロースアシレート系ポリマーフィルムである、請求項8〜12のいずれか1項に記載の光学補償フィルム付き偏光板。
  14. 前記光学異方性層の厚みが1μm未満である請求項8〜13のいずれか1項に記載の光学補償フィルム付き偏光板。
  15. 液晶セルと、該液晶セルの一方の側に配置された第1の偏光板と、該液晶セルの他方の側に配置された第2の偏光板とを有し、前記第1及び第2の偏光板がそれぞれ、請求項1〜14のいずれか1項に記載の光学補償フィルム付き偏光板であり、かつ該光学補償フィルム付き偏光板の粘着剤層と液晶セルとが接触して配置されている液晶パネル。
  16. 前記液晶セルが、TNモード及びOCBモードの液晶セルである、請求項15に記載の液晶パネル。
  17. 請求項1〜14のいずれか1項に記載の光学補償フィルム付き偏光板を備える液晶表示装置。
  18. 請求項15又は16に記載の液晶パネルを備える液晶表示装置。
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