JP2009257038A - 既存建物の耐震補強方法および耐震補強構造 - Google Patents

既存建物の耐震補強方法および耐震補強構造 Download PDF

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秀司 以頭
Tomita Inoue
富太 井上
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Abstract

【課題】既存建物内部の既存梁を補強するタイプの耐震補強技術でありながら、既存架構(既存柱と既存梁)の周囲に既存架構と同一水平変位を行い得る新設架構を設けることにより、既存架構を有効利用することはもとより、大掛かりな工事を必要とすることなく、所要の補強効果を十分に発揮することができる、施工性、経済性に非常に優れた既存建物の耐震補強方法および耐震補強構造を提供する。
【解決手段】既存建物の柱梁接合部10の周囲に、同柱梁接合部10を内包する鉄骨構造の柱梁接合部1を新設する工程と、水平方向に隣接する鉄骨構造の柱梁接合部1、1は、既存梁12の両側に配置した新設鉄骨梁3、3で接続し、鉛直方向に隣接する鉄骨構造の柱梁接合部1、1は、既存柱11の外周を囲むように配置した新設鉄骨柱2で接続する工程と、前記新設鉄骨梁3を既存床スラブ13、又は既存梁12へ一体的に接合する工程とからなる。
【選択図】図4

Description

この発明は、既存建物の耐震補強方法および耐震補強構造の技術分野に属し、更に云えば、既存架構(既存柱と既存梁)の周囲に既存架構と同一水平変位を行い得る新設架構を設けることにより、建物全体の耐震性能を向上させる既存建物の耐震補強方法および耐震補強構造に関する。
既存建物の耐震補強技術について、既存建物の外側に補強用柱梁架構を構築し、既存建物と補強用柱梁架構とを緊結してなる外付けタイプの耐震補強技術(所謂外殻フレーム工法)が種々開示されている(例えば、特許文献1〜4を参照)。一方、既存建物内部の柱と梁を補強するタイプの耐震補強技術も種々開示されている(例えば、特許文献5〜7を参照)。
外付けタイプの耐震補強技術は、室外で施工できるので、居住空間が狭くなることもなく、居ながらにして既存建物を耐震補強できるメリットがある(例えば、本出願人が先に出願した前記特許文献1の段落[0002]、[0003]、及び[0013]等を参照)。
しかしながら、この外付けタイプの耐震補強技術は、既存建物の外側に新たに補強用柱梁架構を構築(増設)するので、既存建物が文化財等で意匠的な変更が許されない場合や、既存建物が敷地境界線に近接して構築されている場合、或いは建物の所有者や居住者が建物外観の変更を受け入れない場合等には採用できないという問題があった。
一方、既存建物内部の柱と梁を補強するタイプの耐震補強技術について、特許文献5には、同文献5の図1、図2等に示したように、既存建物2を構成する梁および床版のうち、最外周側に位置するものの少なくとも一部を撤去し、当該撤去した部位に新たに既存架構6より大きい剛性を有する補強架構3を設け、当該補強架構3と既存架構6とを連結してなる耐震補強方法が開示されている(請求項1等を参照)。
特許文献6には、同文献6の図1等に示したように、既存柱1、2の外周部の少なくとも一部にスラブ3を貫通し、上階側の既存柱1と下階側の既存柱2に跨って柱用引張補強材4を付加し、既存柱1,2と一体化させて既存柱1、2の引張耐力を向上させる補強方法が開示されている(請求項1等を参照)。
特許文献7には、同文献7の図2a〜図2c等に示したように、既存梁22aに増設梁10を接合して既存建物20を補強する増設梁の接合構造であって、増設梁10の主筋11は、既存梁22aの穿設した鉄筋挿入孔30を貫通して既存梁22の増設梁10が当接している面と反対側の面において固定手段12を介して定着する補強方法が開示されている(段落[0022]〜[0024]を参照)。
この特許文献5〜7に係る補強方法は、建物内部に耐震補強技術を導入するため、前記したような外付けタイプの耐震補強技術に生じる問題点は生じない。
特開平9−203217号公報 特開平11−62264号公報 特開2004−169504号公報 特開2005−290774号公報 特開平11−152905号公報 特開2004−116123号公報 特開2006−125022号公報
特許文献5に係る補強方法は、既存架構を構成する既存梁の一部を撤去して実施するので、工事が非常に大掛かりになり、施工コストが嵩み、工期が長期化するという問題があった。また、撤去した多数の既存梁は産業廃棄物となるので、地球環境問題が重要視される今日においては改善されるべき点である。
特許文献6に係る補強方法は、既存架構を有効利用して実施するので、前記した特許文献5に係る問題は生じない。しかしながら、既存架構の柱梁接合部の表面に鋼板や繊維シートを付加するだけで、果たして所要の補強効果を十分に発揮できるのか甚だ疑問である。
特許文献7に係る補強方法は、既存梁の側面にRC梁を増設するので、その分、建物重量が大幅に増加し、既存架構の力学性能を低下させるおそれがあった。また、型枠工事、配筋工事、コンクリート打設工事等の工事が必要で大掛かりなものとなり、経済的にも工期的にも改善の余地がある。
本発明の目的は、既存建物内部の既存梁を補強するタイプの耐震補強技術でありながら、既存架構(既存柱と既存梁)の周囲に既存架構と同一水平変位を行い得る新設架構を設けることにより、既存架構を有効利用することはもとより、大掛かりな工事を必要とすることなく、所要の補強効果を十分に発揮することができる、施工性、経済性に非常に優れた既存建物の耐震補強方法および耐震補強構造を提供することである。
上記背景技術の課題を解決するための手段として、請求項1に記載した発明に係る既存建物の耐震補強方法は、既存建物の柱梁接合部の周囲に、同柱梁接合部を内包する鉄骨構造の柱梁接合部を新設する工程と、
水平方向に隣接する鉄骨構造の柱梁接合部は、既存梁の両側に配置した新設鉄骨梁で接続し、鉛直方向に隣接する鉄骨構造の柱梁接合部は、既存柱の外周を囲むように配置した新設鉄骨柱で接続する工程と、
前記新設鉄骨梁を既存床スラブ、又は既存梁へ一体的に接合する工程とからなることを特徴とする。
請求項2に記載した発明は、請求項1に記載した既存建物の耐震補強方法において、前記既存建物の柱梁接合部に鉄骨構造の柱梁接合部を新設するのに先行して、既存柱周辺の既存床スラブを撤去することを特徴とする。
請求項3に記載した発明は、請求項1又は2に記載した既存建物の耐震補強方法において、前記新設した鉄骨構造の柱梁接合部は、その上下面をそれぞれ、既存柱の外周に同既存柱を囲む形状で複数に分割された平板状のダイアフラムで形成し、側面を、既存梁の横断面形状に相当する切欠部を有する凹形状のプレートで形成してなる直方体部とし、前記上面のダイアフラムを前記既存梁の上面に載置する構成で既存建物の柱梁接合部を内包していることを特徴とする。
請求項4に記載した発明に係る既存建物の耐震補強構造は、既存建物の柱梁接合部の周囲に、同柱梁接合部を内包する鉄骨構造の柱梁接合部が新設されていること、
水平方向に隣接する鉄骨構造の柱梁接合部は、既存梁の両側に配置した新設鉄骨梁で接続され、鉛直方向に隣接する鉄骨構造の柱梁接合部は、既存柱の外周を囲むように配置した新設鉄骨柱で接続されていること、
前記新設鉄骨梁は、既存床スラブ、又は既存梁に一体的に接合されていることを特徴とする。
請求項5に記載した発明は、請求項4に記載した既存建物の耐震補強構造において、前記新設した鉄骨構造の柱梁接合部は、その上面が、既存梁の上面における既存柱の外周に、同既存柱を囲む形状で複数に分割された平板状のダイアフラムで形成され、側面が、既存梁の横断面形状に相当する切欠部を有する凹形状のプレートで形成され、下面が、前記プレートの下端レベルにおける既存柱の外周に、同既存柱を囲む形状で複数に分割された平板状のダイアフラムで形成されて直方体をなすことを特徴とする。
本発明に係る既存建物の耐震補強方法、および耐震補強構造によれば、既存建物内部の既存梁を補強するタイプの耐震補強技術でありながら、既存架構(既存柱と既存梁)の周囲に既存架構と同一水平変位を行い得る新設架構を設けることにより、既存架構を有効利用することはもとより、大掛かりな工事を必要とすることなく、所要の補強効果を十分に発揮することができる。
具体的に、請求項1〜3に記載した既存建物の耐震補強方法によれば、外付けタイプの耐震補強技術と比して、既存建物の意匠的外観を一切損なわずに実施できる。補強工事の大部分を天井内で行い得るので、竣工後の居住者への影響は小なくて済む。既存架構を構成する既存柱はもとより、既存梁を一切撤去することなく有効利用して実施できるので合理的であり、経済性、及び環境性に優れている。また、主たる補強材を鉄骨構造で実施しているので、建物重量増加を極力抑制して実施することができる。さらに、型枠工事、配筋工事、コンクリート打設工事等の大掛かりな工事をすることなく実施できるので、経済性、及び施工性に非常に優れている。
請求項4、5に記載した既存建物の耐震補強構造によれば、新設鉄骨梁と新設鉄骨柱から成る新設架構は、既に既存建物の鉛直荷重による変形が安定している状態で設けられるので、当該新設架構に既存建物の常時鉛直荷重は作用せず、水平力作用時の応力のみに作用する。よって、水平力作用時に対しては既存架構に新設架構が付加されたことになり、その分、既存建物の耐震性能の向上に大きく寄与する。
以下、添付図面を参照して本発明の好ましい実施の形態について説明する。
図1は、本発明に係る既存建物の耐震補強構造の全体を概略的に示した平断面図であり、図2は、その立断面図である。図3は、本発明に係る既存建物の耐震補強構造の枢要部を示した斜視図である。図4は、前記枢要部を示した立断面図であり、図5は、図4のa−a断面図であり、図6は図4のb−b断面図であり、図7は、図4のc−c断面図である。
図1〜図4に示したように、本発明に係る既存建物の耐震補強構造は、既存建物の柱梁接合部10の周囲に、同柱梁接合部10を内包する鉄骨構造の柱梁接合部1が新設されている。
水平方向に隣接する鉄骨構造の柱梁接合部1、1は、既存梁(既存大梁を含む。以下同じ。)12の両側に配置した新設鉄骨梁3、3で接続され、鉛直方向に隣接する鉄骨構造の柱梁接合部1、1は、既存柱11の外周を囲むように配置した新設鉄骨柱2で接続されている。
前記新設鉄骨梁3、3は、既存床スラブ13(図8参照)、又は既存梁12(図9参照)に一体的に接合されている(請求項4記載の発明)。
ちなみに、図中の符号4は、ブラケットを示している。
本実施例に係る鉄骨構造の柱梁接合部1は、図1に示したように、既存建物の柱梁接合部10のうち、最外周側に位置するものを除いた柱梁接合部10に新設している。また図2に示したように、最上階を除いた中間階の柱梁接合部10に新設している。これは、既存建物の外観を変更しないための配慮である。
なお、鉄骨構造の柱梁接合部1を設ける部位は図示例に限定されるものではなく、構造力学的に耐震補強を必要とする柱梁接合部10にのみ設けて実施すれば足りる。ただし、少なくとも同一階及び上下階の隣接する柱梁接合部の4箇所に設ける必要はある。
また、最外周側に位置する柱梁接合部10であっても、既存建物の外周壁と離間して設けられている場合には本発明を適用することができる。
ちなみに図3に示した柱梁接合部10は、図1中の柱梁接合部10のうち、その中心に位置する柱梁接合部10を例示している。
前記新設した鉄骨構造の柱梁接合部1は、その上面が、既存梁12の上面における既存柱11の外周に、同既存柱11を囲む形状で複数に分割(本実施例ではコ字形状に2分割)された平板状のダイアフラム5で形成され、側面が、既存梁12の横断面形状に相当する切欠部を有する凹形状のプレート7で形成され、下面が、前記プレート7の下端レベルにおける既存柱11の外周に、同既存柱11を囲む形状で複数に分割(本実施例ではコ字形状に2分割)された平板状のダイアフラム6で形成されて直方体部をなす(請求項5記載の発明)。
この鉄骨構造の柱梁接合部1を構成する前記の各構成要素5、6、7は、一般に、鋼板の加工品又は鋳鋼製品で製作される。
具体的に、上部のダイアフラム5、および下部のダイアフラム6はそれぞれ、少なくとも半割り状に2分割された平板状部材からなり、図3と図4に示したように、既存柱11の外周を囲い込むような方形の枠状(鍔状)に形成して実施している。また、上部のダイアフラム5、および下部のダイアフラム6は、平面方向から見てほぼ一致する同形状で実施している。
プレート7は、その上半部に、既存梁12の横断面形状に相当する切欠部を有し、全体的に、既存柱11の外周を必要な隙間を確保して囲い込む角筒状に形成している。本実施例に係るプレート7は、4枚の凹形状のプレート7の左右の端部を、隣接するプレート7の端部と溶接等の接合手段で接合して実施している。また、上下部のダイアフラム5、6とプレート7との当接部もまた、溶接等の接合手段で接合して実施している。
ちなみに図中の符号7a、7bは、補強リブプレートであり、プレート7の内側面の水平方向、及び鉛直方向にバランスよく且つ効果的に設けて実施している。
既存梁12の両側に平行に配置した新設鉄骨梁3、3はそれぞれ、その軸方向両端部に設けたブラケット4を介して、同一階の隣接する柱梁接合部10、10に新設した鉄骨構造の柱梁接合部1の上下面を形成する上下部のダイアフラム5、6へ水平力を伝達可能に接合して実施している。この新設鉄骨梁3、3は、同形同大で、鉄骨構造の柱梁接合部1のプレート7の左右両端部の近傍位置に、既存梁12を対称軸とする線対称配置に設けて実施することが構造力学上好ましい。ちなみに、新設鉄骨梁3、3自体は格別新規ではなく、市販のH形鋼、或いはI形鋼などの形鋼が好適に用いられる。
なお、本実施例に係る新設鉄骨梁3、ブラケット4、及びダイアフラム5、6との接合手段は溶接で実施しているがこれに限定されず、ボルト止めやリベット止め等の手段により一体的に接合することも勿論できる。
既存柱11の外周を囲むように配置した新設鉄骨柱2は、図3、図4、及び図6に示したように、4枚の鋼板(分割片)を溶接等の接合手段で接合して、既存柱11の外周を必要な空洞部(隙間)15を確保して囲い込む角筒状に形成している。また、前記新設鉄骨柱2は、鉛直方向(上下階)に隣接する鉄骨構造の柱梁接合部1、1とそれぞれ、溶接等の接合手段で接合(接続)している。本実施例に係る新設鉄骨柱2は、平面方向から見て、前記プレート7とほぼ一致する構成で実施している。
また、本実施例に係る新設鉄骨梁3、3は、図8に示したように、既存床スラブ13とグラウト14を介して一体化している。グラウト14を充填する部位には、新設鉄骨梁3の上面にスタッドボルト8を設けると共に、既存床スラブ13の下面に後施工アンカー9を施工することにより、水平力を伝達させるための工夫が施されている。ちなみに図中の符号16は、割裂防止筋を示している。
なお、新設鉄骨梁3、3は、図9に示したように、既存梁12の両側面にグラウト(コンクリート)を充填して当該既存梁12と一体化して実施することもできる。
したがって、上記構成の既存建物の耐震補強構造によれば、既存建物内部の既存梁12を補強するタイプの耐震補強技術でありながら、既存架構(既存柱と既存梁)の周囲に既存架構と同一水平変位を行い得る新設架構(新設鉄骨柱2および新設鉄骨梁3)を設けることにより、既存架構を有効利用することはもとより、大掛かりな工事を必要とすることなく、所要の補強効果を十分に発揮することができる。
具体的には、既存柱11を取り囲むように設けた新設鉄骨柱2と、既存梁12の両側に設けた新設鉄骨梁3、3とを、新設した鉄骨構造の柱梁接合部1を介して接続して新設架構を形成する構成であり、当該新設架構は、既に既存建物の鉛直荷重による変形が安定している状態で設けられるので、当該新設架構に既存建物の常時鉛直荷重は作用せず、水平力作用時の応力のみに作用する。よって、水平力作用時に対しては既存架構に新設架構が付加されたことになり、その分、既存建物の耐震性能の向上に大きく寄与する。
ここで、上記構成の既存建物の耐震補強構造を実現する耐震補強方法について説明する。
この既存建物の耐震補強方法は、先ず、既存柱11周辺の既存床スラブ13を、前記鉄骨構造の柱梁接合部1、及びブラケット4を新設するのに必要な分だけ撤去する(図4参照、請求項2記載の発明)。なお、この工程は、所謂吹き抜け構造など、予め、柱梁接合部10が露出している部位に実施する場合は無用である。
次に、既存建物の既存梁12のうち、耐震補強を必要とする、水平方向および鉛直方向に隣接する柱梁接合部10にそれぞれ、同柱梁接合部10を内包する鉄骨構造の柱梁接合部1を新設する。
この鉄骨構造の柱梁接合部1は、その上下面をそれぞれ、既存柱11の外周に同既存柱11を囲む形状で複数に分割(本実施例ではコ字形状に2分割)された平板状のダイアフラム5、6で形成し、側面を、既存梁12の横断面形状に相当する切欠部を有する凹形状のプレート7で形成してなる直方体部とし、前記上面のダイアフラム5を、既存梁12の(端部側の)上面に載置する構成で既存建物の柱梁接合部1を内包している(請求項3記載の発明)。
ちなみに、前記上面のダイアフラム5は、図3に係る柱梁接合部10については、平面方向から見て、既存柱11を中心に十字形状に接合された4本の既存梁12の上面に載置する構成で実施しているが、これに限定されない。図1に示したように、鉄骨構造の柱梁接合部1を設けた柱梁接合部10の設置部位に応じて、既存柱11を中心にT字形状に接合された3本の既存梁12の上面に載置する構成で実施する場合もあるし、直角方向に接合された2本の既存梁12の上面に載置する構成で実施する場合もある。
上部のダイアフラム5、および下部のダイアフラム6はそれぞれ、半割り状に2分割された平板状の分割片相互の当接部を溶接等の手段で一体的に接合して正規の形状とする。プレート7も同様に、隣接するプレート7との当接部を溶接等の手段で一体的に接合して角筒状とする。上下部のダイアフラム5、6とプレート7との各当接部もそれぞれ溶接等の手段で一体的に接合する。
次に、水平方向に隣接する鉄骨構造の柱梁接合部1、1を、既存梁12の両側に配置した新設鉄骨梁3、3で接続すると共に、鉛直方向(上下階)に隣接する鉄骨構造の柱梁接合部1、1を、既存柱11の外周を囲むように配置した新設鉄骨柱2で接続する。
前記新設鉄骨梁3、3は、既存梁12を対称軸とする線対称配置に設け、その軸方向両端部に設けたブラケット4を介して、鉄骨構造の柱梁接合部1の上下面を形成する上下部のダイアフラム5、6へ水平力を伝達可能に接合(接続)する。新設鉄骨梁3とブラケット4、及びブラケットとダイアフラム5、6との接合は溶接で実施している。
なお、本実施例に係るブラケット4は、その上面が、上部のダイアフラム5の上面とほぼ面一となり、その下面が、下部のダイアフラム6の下面とほぼ面一となる高さ寸法で実施している。また、新設鉄骨梁3は、経済性を考慮し、ブラケット4よりせいが小さい高さ寸法で実施している。
前記新設鉄骨柱2は、4枚の鋼板(分割片)を溶接等の接合手段で角筒状で成形すると共に、鉛直方向(上下階)に隣接する鉄骨構造の柱梁接合部1、1とそれぞれ、溶接等の接合手段で接合(接続)している。
続いて、前記新設鉄骨梁3、3をそれぞれ、隣接する鉄骨構造の柱梁接合部1、1へ接続した後、前記新設鉄骨梁3、3を、既存床スラブ13と、グラウト14により一体化して耐震補強方法を終了する(図8参照)。グラウト14を充填する際には、グラウト14漏れを防止するべく金属板や木板を添えて実施する。
なお、新設鉄骨梁3、3は、図9に示したように、既存梁12の両側面にグラウト(コンクリート)14を充填して当該既存梁12と一体化して実施することもできる。この場合には、新設鉄骨梁3、3と既存床スラブ13とが型枠の側面と上面を兼用するので、既存梁12の下面レベルに金属板を添えるだけの簡易な型枠構造でグラウト14の充填作業を行い得る。
したがって、上記した既存建物の耐震補強方法によれば、既存建物内部の既存梁12を補強するタイプの耐震補強技術でありながら、既存架構(既存柱と既存梁)の周囲に既存架構と同一水平変位を行い得る新設架構を設けることにより、既存架構を有効利用することはもとより、大掛かりな工事を必要とすることなく、所要の補強効果を十分に発揮することができる。
具体的には、外付けタイプの耐震補強技術と比して、既存建物の意匠的外観を一切損なわずに実施できる。補強工事の大部分を天井内で行い得るので、竣工後の居住者への影響は小さい。既存架構を構成する既存柱11はもとより、既存梁12を一切撤去することなく有効利用して実施できるので合理的であり、経済性、及び環境性に優れている。また、主たる補強材を鉄骨構造で実施しているので、建物重量増加を極力抑制して実施することができる。さらには、型枠工事、配筋工事、コンクリート打設工事等の大掛かりな工事をすることなく実施できるので、経済性、及び施工性に非常に優れている。
以上に実施形態を図面に基づいて説明したが、本発明は、図示例の実施形態の限りではなく、その技術的思想を逸脱しない範囲において、当業者が通常に行う設計変更、応用のバリエーションの範囲を含むことを念のために言及する。
例えば、本発明に係る鉄骨構造の柱梁接合部1、新設鉄骨柱2、及び新設鉄骨梁3の大きさ等の形態は、適用する既存建物の架構の大きさ等の形態に応じて適宜設計変更して実施される。
本発明に係る既存建物の耐震補強構造の全体を概略的に示した平断面図である。 図1の立断面図である。 本発明に係る既存建物の耐震補強構造の枢要部を示した斜視図である。 本発明に係る既存建物の耐震補強構造の枢要部を示した立断面図である。 図4のa−a線矢視断面図である。 図4のb−b線矢視断面図である。 図4のc−c線矢視断面図である。 本発明に係る新設鉄骨梁と既存床スラブとの接合状態を示した立断面図である。 本発明に係る新設鉄骨梁と既存梁との接合状態を示した立断面図である。
符号の説明
1 新設した鉄骨構造の柱梁接合部
2 新設鉄骨柱
3 新設鉄骨梁
4 ブラケット
5 上部のダイアフラム
6 下部のダイアフラム
7 プレート
7a、7b 補強リブプレート
8 スタッドボルト
9 後施工アンカー
10 既存の柱梁接合部
11 既存柱
12 既存梁
13 既存床スラブ
14 グラウト(コンクリート)
15 空洞部
16 割裂防止筋

Claims (5)

  1. 既存建物の柱梁接合部の周囲に、同柱梁接合部を内包する鉄骨構造の柱梁接合部を新設する工程と、
    水平方向に隣接する鉄骨構造の柱梁接合部は、既存梁の両側に配置した新設鉄骨梁で接続し、鉛直方向に隣接する鉄骨構造の柱梁接合部は、既存柱の外周を囲むように配置した新設鉄骨柱で接続する工程と、
    前記新設鉄骨梁を既存床スラブ、又は既存梁へ一体的に接合する工程と、
    からなることを特徴とする、既存建物の耐震補強方法。
  2. 前記既存建物の柱梁接合部に鉄骨構造の柱梁接合部を新設するのに先行して、既存柱周辺の既存床スラブを撤去することを特徴とする、請求項1に記載した既存建物の耐震補強方法。
  3. 前記新設した鉄骨構造の柱梁接合部は、その上下面をそれぞれ、既存柱の外周に同既存柱を囲む形状で複数に分割された平板状のダイアフラムで形成し、側面を、既存梁の横断面形状に相当する切欠部を有する凹形状のプレートで形成してなる直方体部とし、前記上面のダイアフラムを前記既存梁の上面に載置する構成で既存建物の柱梁接合部を内包していることを特徴とする、請求項1又は2に記載した既存建物の耐震補強方法。
  4. 既存建物の柱梁接合部の周囲に、同柱梁接合部を内包する鉄骨構造の柱梁接合部が新設されていること、
    水平方向に隣接する鉄骨構造の柱梁接合部は、既存梁の両側に配置した新設鉄骨梁で接続され、鉛直方向に隣接する鉄骨構造の柱梁接合部は、既存柱の外周を囲むように配置した新設鉄骨柱で接続されていること、
    前記新設鉄骨梁は、既存床スラブ、又は既存梁に一体的に接合されていることを特徴とする、既存建物の耐震補強構造。
  5. 前記新設した鉄骨構造の柱梁接合部は、その上面が、既存梁の上面における既存柱の外周に、同既存柱を囲む形状で複数に分割された平板状のダイアフラムで形成され、側面が、既存梁の横断面形状に相当する切欠部を有する凹形状のプレートで形成され、下面が、前記プレートの下端レベルにおける既存柱の外周に、同既存柱を囲む形状で複数に分割された平板状のダイアフラムで形成されて直方体をなすことを特徴とする、請求項4に記載した既存建物の耐震補強構造。
JP2008110129A 2008-04-21 2008-04-21 既存建物の耐震補強方法および耐震補強構造 Pending JP2009257038A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2018119274A (ja) * 2017-01-23 2018-08-02 株式会社竹中工務店 既存建物の床高さ変更方法

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