JP2009255244A - 主軸装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】エア供給路が設けられたハウジングと、ハウジング内に挿通されてハウジングに対して軸受によって回転可能に支持された主軸10とを備え、エア供給路を介して供給されるエアを主軸の外周面とハウジングとの間に放出する、非接触のエアシール機能を備えた主軸装置1において、主軸10の外周面とハウジングとの間における軸受Jより主軸10の回転軸線ZTに沿った前方であるフロント側の位置に、略環状の形状を有し、その内周面が主軸10の外周面と対向しており、その内周面と主軸10の外周面との間にエアシール機能を果たすエアシール用部材50が、ハウジングに着脱可能に固定されている。
【選択図】図1
Description
しかし、クーラントや異物(切屑)等がハウジングと主軸の間隙から軸受に浸入し易く、クーラント等が軸受にまで浸入すると、軸受が焼き付いてしまう場合がある。そこで、従来より、クーラントや異物等がハウジングと主軸の間隙から浸入し、更に軸受へと浸入することを防止するために、種々のシール構造が用いられており、一般的にはエアシールが用いられている。
なお、図4(A)は主軸110の回転軸線ZTを通る面で切断した断面図(ただし、工具Tと工具ホルダHは断面で示していない)を示しており、図4(B)は図4(A)から工具Tと工具ホルダHを省略してBB方向から見た図を示しており、図5は図4(A)におけるAS1部分の拡大図を示している。
図4(A)に示すように、工具Tは工具ホルダHに固定され、更に工具ホルダHは主軸110の先端部に固定されている。主軸110は、ハウジング内に挿通され(ハウジング本体部20と軸受押さえ蓋部材130にてハウジングを構成している)、ハウジング本体部20に対して軸受Jによって回転軸線ZT回りに回転可能に支持されている。
図4(A)のAS1部の拡大図である図5に示すように、主軸110の外周面には、円周方向に第1環状溝M1と、第2環状溝M2と、第3環状溝M3とが形成されている。また、第1環状溝M1に対向する軸受押さえ蓋部材130の内周面には円周方向に内周側エアポケット溝MAが形成されており、第2環状溝M2に対向する軸受押さえ蓋部材130の内周面には円周方向に内周側エアポケット溝MBが形成されており、第3環状溝M3に対向する軸受押さえ蓋部材130の内周面には円周方向に内周側エアポケット溝MCが形成されている。そして、第1環状溝M1と内周側エアポケット溝MAとでエアポケットAK1を形成し、第2環状溝M2と内周側エアポケット溝MBとで回収用空間AK2を形成し、第3環状溝M3と内周側エアポケット溝MCとでエアポケットAK3を形成している。
そして、エア供給源(図示省略)から供給されるエアは、エア供給路AL1、AL2に分配されて第1環状溝M1(エアポケットAK1)と、第3環状溝M3(エアポケットAK3)に供給されている。エアポケットAK1に供給されたエアは、エアシール用の間隙AG1、AG2から放出されてエアシール機能を果たし、エアポケットAK3に供給されたエアは、エアシール用の間隙AG3、AG4から放出されてエアシール機能を果たす。また、仮にクーラント等がエアシール用の間隙AG1、AG2を通過しても、回収用空間AK2に対向するハウジングの内周面の下方の位置には、浸入したクーラント等を排出する排出路DLが形成されており、軸受Jへのクーラント等の浸入を防止している。
また、エアシール用の間隙AG1〜AG4は、エアシール機能を持たせるために、例えば50μm程度に設定されており、非常に小さな間隙である。このため、作業者の操作ミスや加工プログラムのミス等により、工具T、工具ホルダH、主軸110が他の部材と干渉(衝突)すると、主軸110がハウジング(軸受押さえ蓋部材130)と接触して損傷や固着が発生する場合がある。一般的には、主軸110よりも軸受押さえ蓋部材130のほうが損傷し易い材質を選定しており、衝突の結果、軸受押さえ蓋部材130の損傷が激しい場合、軸受押さえ蓋部材130を交換する必要があるが、比較的大きな部品である軸受押さえ蓋部材130を製作して交換するには、多大な時間と費用がかかる。
本発明は、このような点に鑑みて創案されたものであり、主軸の外周面の全周からより均一にエアを放出するエアシールを実現し、衝突等により部品の交換が必要になった場合であっても比較的短時間かつ低コストで該当部品を交換することが可能な、主軸装置を提供することを課題とする。
請求項1に記載の主軸装置は、エア供給源に接続されるエア供給路が設けられたハウジングと、前記ハウジング内に挿通されて前記ハウジングに対して軸受によって回転可能に支持された主軸と、を備え、前記エア供給源から前記エア供給路を介して供給されるエアを前記主軸の外周面と前記ハウジングとの間に放出する、非接触のエアシール機能を備えた主軸装置において、前記主軸の外周面と前記ハウジングとの間における前記軸受より前記主軸の回転軸線に沿った前方であるフロント側の位置に、略環状の形状を有し、その内周面が前記主軸の外周面と対向しており、前記内周面と前記主軸の外周面との間に前記エアシール機能を果たすエアシール用部材が、前記ハウジングに着脱可能に固定されている。
請求項2に記載の主軸装置は、請求項1に記載の主軸装置であって、前記エアシール用部材の内周面と対向している前記主軸の外周面には、前記内周面に覆われるように、前記主軸の円周方向に第1環状溝が形成されている。
そして、前記第1環状溝には、前記エアシール用部材に設けられた連通孔またはスリットを経由して前記エア供給路が接続されている。
請求項3に記載の主軸装置は、請求項2に記載の主軸装置であって、前記主軸の外周面における前記第1環状溝と前記軸受との間には、前記フロント側から当該フロント側の反対側であるリア側に向かって、前記主軸の円周方向に形成された第2環状溝と第3環状溝とが前記主軸の軸線方向に並んで配置されており、前記第3環状溝には前記エア供給路が接続されており、前記ハウジングにおける前記第2環状溝と対向する下方の位置には、前記ハウジングと前記主軸との間隙に浸入してきた流体及び異物を排出する排出路が形成された主軸装置におけるものである。
そして、前記エアシール用部材は、前記第3環状溝と前記第2環状溝を覆うことなく前記第1環状溝のみを覆う位置に配置されている。
請求項4に記載の主軸装置は、請求項3に記載の主軸装置であって、前記エア供給路は、前記ハウジング内で互いに連通しない第1エア供給路と第2エア供給路にて構成されており、前記第1エア供給路は、前記第1環状溝にエアを供給するように接続され、前記第2エア供給路は、前記第3環状溝にエアを供給するように接続されている。
請求項5に記載の主軸装置は、請求項2〜4のいずれかに記載の主軸装置であって、前記エアシール用部材において、前記第1環状溝と対向する内周面には、第1内周側エアポケット溝が円周方向に形成されており、前記第1内周側エアポケット溝に対する外周面には、第1外周側エアポケット溝が円周方向に形成されており、前記第1外周側エアポケット溝は前記エア供給路と接続されており、前記第1外周側エアポケット溝と前記第1内周側エアポケット溝とを連通する、複数の連通孔または複数のスリット、が全周に渡って形成されている。
請求項6に記載の主軸装置は、請求項2〜5のいずれかに記載の主軸装置であって、前記第1環状溝に供給されたエアは、前記第1環状溝の前記フロント側における前記主軸の外周面と、当該外周面に対向している前記エアシール用部材の内周面と、で形成される第1エアシール用間隙と、前記第1環状溝の前記リア側における前記主軸の外周面と、当該外周面に対向している前記エアシール用部材の内周面と、で形成される第2エアシール用間隙と、に放出されてエアシール機能を果たす。
また、前記第1エアシール用間隙と前記第2エアシール用間隙は、前記第2エアシール用間隙におけるエア放出抵抗よりも、前記第1エアシール用間隙におけるエア放出抵抗のほうが小さくなるように形成されている。
請求項7に記載の主軸装置は、請求項6に記載の主軸装置であって、前記第1エアシール用間隙と前記第2エアシール用間隙は、前記第1エアシール用間隙における前記外周面と前記内周面との間の距離と、前記第2エアシール用間隙における前記外周面と前記内周面との間の距離とが、ほぼ同じとなるように形成されており、前記第2エアシール用間隙における前記回転軸線方向の長さよりも、前記第1エアシール用間隙における前記回転軸線方向の長さのほうが短くなるように形成されている。
請求項8に記載の主軸装置は、請求項1〜7のいずれかに記載の主軸装置であって、前記エアシール用部材は、中間嵌めにて前記ハウジングに対して着脱可能に固定されている。
請求項9に記載の主軸装置は、請求項1〜8のいずれかに記載の主軸装置であって、前記主軸と前記エアシール用部材は異なる材質で形成されており、前記エアシール用部材のほうが損傷し易い材質で形成されている。
また、ハウジングに着脱可能に固定するエアシール用部材はハウジングよりも小さな部品であり、より少ない費用で容易に交換することができる。
なお、一般的には主軸のフロント側には工具等が固定され、主軸のリア側にはモータの軸等が固定される。衝突等が発生した場合、このモータの軸等との固定個所を支点として主軸が揺動するので、主軸のリア側よりもフロント側のほうが揺動する距離が大きく、エアシール部の衝突が発生し易い(エアシール部の間隙がフロント側とリア側で同じ場合)。
これにより、第1環状溝と第1内周側エアポケット溝とで形成されるエアポケットに導かれるエアを、全周に渡ってほぼ均一とすることができ、主軸10の外周面の全周から均一にエアを放出することが可能であり、全周に渡って均一なエアシール機能を得ることができる。
これにより、フロント側のエアシール効果をより大きくすることが可能となり、フロント側からの流体及び異物の浸入を、より適切に抑制することができる。
これにより、フロント側からの流体及び異物の浸入を、より適切に抑制することができる。
これにより、主軸の損傷を小さくして主軸の交換を回避し、エアシール用部材の交換のみで済むようにできるので、より短時間に、より低コストで損傷した部品(エアシール用部材)の交換を行うことができる。
なお、全ての図において、X軸、Y軸、Z軸は直交しており、Y軸は鉛直上方を示しており、X軸とZ軸は水平方向を示し、Z軸は主軸10の回転軸線ZTの方向を示している。
図1(A)に示すように、本実施の形態にて説明する主軸装置1は、エア供給路AL1、AL2が設けられたハウジング(本実施の形態では、ハウジング本体部20と軸受押さえ蓋部材30にてハウジングを構成している)と、ハウジング内に挿通され、ハウジングに対して軸受Jによって回転軸線ZT回りに回転可能に支持された主軸10とを備えている。なお、エア供給路AL1、AL2は、図示しないエア供給源に接続され、エアが供給される。
また、工具T(図1の例ではドリル)が工具ホルダHに固定され、更に工具ホルダHは主軸10の回転軸線ZTに沿った前方であるフロント側の先端部に固定(交換可能となるように保持)されている。
また、軸受Jを回転軸線ZTの方向に対して固定する軸受押さえ蓋部材30が、回転軸線ZTの方向から(図1(A)では左側から)ハウジング本体部20に嵌め込まれている。なお、軸受押さえ蓋部材30には、主軸10を挿通可能な孔部が形成されている。
そして、略円環状のエアシール用部材50が、回転軸線ZTの方向から(図1(A)では左側から)軸受押さえ蓋部材30に対して着脱可能に固定されている。例えば、取り外し易さとエア漏れの少なさに優れた中間嵌めや、着脱が非常に容易なボルト留め等にて固定されている。なお、エアシール用部材50の内周面と主軸10の外周面との間隙が全周に渡ってほぼ均一となるように調整して固定する。
そして、ハウジング(ハウジング本体部20と軸受押さえ蓋部材30とで構成)と軸受Jに、主軸10が回転軸線ZTの方向から(図1(A)では左側から)挿通されている。
更に、軸受押さえ蓋部材30とエアシール用部材50のフロント側を覆うように、主軸10を挿通可能な孔部が形成されたハウジング蓋部材40(蓋部材に相当)が取り付けられている。
なお、ハウジング蓋部材40は、図1(B)に示す例では分割境界線40aにて上側ハウジング蓋部材40Uと下側ハウジング蓋部材40Dとの2つに分割されている。
また、軸受押さえ蓋部材30(すなわちハウジング)には、ハウジングと主軸10との間隙から浸入してきたクーラントや異物を排出する排出路DLが形成されている。
また、排出路DLのフロント側においてハウジング蓋部材40と軸受押さえ蓋部材30との境界部には、排出路DL2が形成されている。
主軸装置1には、エア供給源からエア供給路AL1、AL2を介してエア(圧縮エア)が供給され、供給されたエアが主軸10の外周面とハウジングの内周面との間から放出される、非接触のエアシール機能を備えている。このエアシール機能を有するための構造を、図2を用いて説明する。なお、図2は図1(A)におけるAS部分の拡大図である。
ハウジングに挿通されている部分の主軸10における軸受Jよりもフロント側の外周面には、フロント側からリア側(フロント側と反対側)に向かって(図2の例では、左側から右側に向かって)、主軸10の円周方向に形成された第1環状溝M1と、第2環状溝M2と、第3環状溝M3と、の各々の溝が並んで配置されている。
そして、ハウジングにおける第2環状溝M2に対向する下方の位置には、ハウジングと主軸10との間隙に浸入してきた流体(クーラント等)や異物等を排出するための排出路DLが形成されている(図1(A)、(B)参照)。
エアシール用部材50において、第1環状溝M1と対向する内周面には第1内周側エアポケット溝MAが円周方向に形成されており、第1内周側エアポケット溝MAに対する外周面には第1外周側エアポケット溝MAAが円周方向に形成されている。
そして、第1外周側エアポケット溝MAAと第1内周側エアポケット溝MAとは、複数の連通孔HA(または複数のスリット等)にて連通されている。なお、複数の連通孔HA(またはスリット等)は、全周に渡って等間隔に形成されていることが好ましい。
そして、エアポケットAK1に導かれたエアは、主軸10における第1環状溝M1のフロント側の外周面とエアシール用部材50における第1内周側エアポケット溝MAのフロント側の内周面とで形成される第1エアシール用間隙AG1から、全周に渡ってほぼ均一の量のエアが放出され、全周に渡ってほぼ均一となるエアシール効果を得ることができる。同様に、主軸10における第1環状溝M1のリア側の外周面とエアシール用部材50における第1内周側エアポケット溝MAのリア側の内周面とで形成される第2エアシール用間隙AG2から、全周に渡ってほぼ均一の量のエアが放出され、全周に渡ってほぼ均一となるエアシール効果を得ることができる。
そこで、第2エアシール用間隙AG2におけるエア放出抵抗よりも、第1エアシール用間隙AG1におけるエア放出抵抗のほうが小さくなるように、第1エアシール用間隙AG1と第2エアシール用間隙AG2を形成する。
例えば、第1エアシール用間隙AG1における主軸10の外周面とエアシール用部材50の内周面との間の距離と、第2エアシール用間隙AG2における主軸10の外周面とエアシール用部材50の内周面との間の距離とをほぼ同じに設定する。そして、第2エアシール用間隙AG2における回転軸線ZT方向の長さLG2よりも、第1エアシール用間隙AG1における回転軸線ZT方向の長さLG1のほうが短くなるように、第1エアシール用間隙AG1と第2エアシール用間隙AG2とを形成する。
これにより、第2エアシール用間隙AG2からのエア放出量よりも、第1エアシール用間隙AG1からのエア放出量を多くして、シール性能を向上させることができる。
これにより、第1環状溝M1と第1内周側エアポケット溝MAとで形成されるエアポケットAK1と、第3環状溝M3と内周側エアポケット溝MC(第2内周側エアポケット溝に相当)とで形成されるエアポケットAK3と、の各々から安定した量のエアを放出することができる。エア供給路AL1とAL2とを連通した場合、一方のエアポケットからのエア放出抵抗が小さい場合、そちら側のエア放出量が増加して他方のエアポケットからのエア放出量が減少するので好ましくない。
また、第2環状溝M2と内周側エアポケット溝MBとで形成される回収用空間AK2は、第2エアシール用間隙AG2からのエアと第3エアシール用間隙AG3からのエアを回収するとともに、浸入したクーラントや異物等を回収する空間であり、回収したエア、クーラント、異物等は排出路DLから排出される。
次に、図2を用いて、クーラントや異物等の浸入をより低減するために、主軸10とハウジングとの間隙の一部に形成した、迷路状に入り組んだ間隙であるラビリンス構造について説明する。
主軸10のフロント側の外周面におけるハウジングからの突出部には、主軸10の円周方向にラビリンス用環状溝MRが形成されている。
そして、ラビリンス用環状溝MRに対して、全周に渡って、ラビリンス用環状溝MRに触れないように、ハウジング蓋部材40の内周側の凸部40Tが主軸10の径方向からラビリンス用環状溝MRに挿入され、ラビリンス用環状溝MRと凸部40Tとの間に形成されるラビリンス間隙AGRは迷路状に入り組んだ構造となっている。
そこで、ハウジング蓋部材40を2つ以上に分割する。本実施の形態では、ハウジング蓋部材40を、分割境界線40aにて上側ハウジング蓋部材40Uと下側ハウジング蓋部材40Dに分割している。
そして上側ハウジング蓋部材40Uと下側ハウジング蓋部材40Dは、それぞれ回転軸線ZTに直交する方向から、凸部40Tをラビリンス用環状溝MRに挿入するように取り付けられ、軸受押さえ蓋部材30にボルト等にて固定されている。
これにより、分割境界線40aにクーラント等が浸入しても、浸入したクーラントは下方に流れ、主軸10とハウジングとの間隙には到達しない。
ハウジング蓋部材40に接しているハウジングのフロント側の先端部(この場合、軸受押さえ蓋部材30のフロント側の先端部)には、ハウジングから突出しないようにクーラントノズルを収容する単数または複数の収容穴30Kが、フロント側からリア側に向かって形成されている。また、収容穴30Kに対向するハウジング蓋部材40の位置には、開口穴40Kが形成されている。なお、各クーラントノズルCNの軸方向、及び各収容穴30Kの軸方向は、クーラントを噴出する方向に向けて傾斜がつけられている。
既に説明したように、2つ以上に分割したハウジング蓋部材40を回転軸線ZTに直交する方向から組み付けるので、クーラントノズルCNが干渉しないように、ハウジング蓋部材40に接しているハウジングのフロント側の先端部には凸部(突出部)が無いようにしておく。
また、ラビリンスシール部のリア側には、ラビリンス間隙AGRの間隙よりも大きな空間となる回収用空間AKKが主軸10の円周方向に全周に渡って形成されている。
回収用空間AKKは、ハウジング蓋部材40の内周面に円周方向に形成された環状溝Mαと、主軸10の外周面に円周方向に形成された環状溝MKにて形成されている(図2の例では、環状溝Mαの一部をエアシール用部材50にて構成している)。なお、回収用空間AKKにおける主軸10の外周面(環状溝MKの底面)は、リア側からフロント側に向かって主軸10の径が大きくなるような傾斜面が形成されている。
この傾斜面により、回収用空間AKKにクーラント等が浸入しても、浸入したクーラントは主軸10の回転による遠心力にて傾斜面を登る方向(すなわち、リア側からフロント側に向かう方向)に移動し、更に奥には浸入しにくくなる構造としている。
また、排出路DL2は、ハウジング蓋部材40と軸受押さえ蓋部材30との境界部における環状溝MKに対向する下方の位置に形成されており(図1(A)、(B)参照)、回収用空間AKKに接続されている。
この回収用空間AKKの更に奥には、すでに説明したエアシール用間隙AG1〜AG4が配置されており、これらを全て通って軸受Jに到達できるクーラント等は、ほとんど無く、軸受Jの焼き付きを適切に防止することができ、主軸装置1の信頼性をより向上させることができる。
また、本実施の形態の説明に用いた数値は一例であり、この数値に限定されるものではない。
10 主軸
20 ハウジング本体部
30 軸受押さえ蓋部材
40 ハウジング蓋部材
40a 分割境界線
40U 上側ハウジング蓋部材
40D 下側ハウジング蓋部材
40T 凸部
50 エアシール用部材
AL1、AL2 エア供給路
AK1、AK3、AKA エアポケット
AK2、AKK 回収用空間
AG1〜AG4 エアシール用間隙
AGR ラビリンス間隙
DL 排出路
DL2 排出路
M1 第1環状溝
M2 第2環状溝
M3 第3環状溝
MR ラビリンス用環状溝
MK、Mα 環状溝
MA 内周側エアポケット溝(第1内周側エアポケット溝)
MB 内周側エアポケット溝
MC 内周側エアポケット溝(第2内周側エアポケット溝)
MAA 外周側エアポケット溝(第1外周側エアポケット溝)
HA 連通孔
ZT 回転軸線
Claims (9)
- エア供給源に接続されるエア供給路が設けられたハウジングと、
前記ハウジング内に挿通されて前記ハウジングに対して軸受によって回転可能に支持された主軸と、を備え、
前記エア供給源から前記エア供給路を介して供給されるエアを前記主軸の外周面と前記ハウジングとの間に放出する、非接触のエアシール機能を備えた主軸装置において、
前記主軸の外周面と前記ハウジングとの間における前記軸受より前記主軸の回転軸線に沿った前方であるフロント側の位置に、略環状の形状を有し、その内周面が前記主軸の外周面と対向しており、前記内周面と前記主軸の外周面との間に前記エアシール機能を果たすエアシール用部材が、前記ハウジングに着脱可能に固定されている、
主軸装置。 - 請求項1に記載の主軸装置であって、
前記エアシール用部材の内周面と対向している前記主軸の外周面には、前記内周面に覆われるように、前記主軸の円周方向に第1環状溝が形成されており、
前記第1環状溝には、前記エアシール用部材に設けられた連通孔またはスリットを経由して前記エア供給路が接続されている、
主軸装置。 - 請求項2に記載の主軸装置であって、
前記主軸の外周面における前記第1環状溝と前記軸受との間には、前記フロント側から当該フロント側の反対側であるリア側に向かって、前記主軸の円周方向に形成された第2環状溝と第3環状溝とが前記主軸の軸線方向に並んで配置されており、
前記第3環状溝には前記エア供給路が接続されており、
前記ハウジングにおける前記第2環状溝と対向する下方の位置には、前記ハウジングと前記主軸との間隙に浸入してきた流体及び異物を排出する排出路が形成された主軸装置において、
前記エアシール用部材は、前記第3環状溝と前記第2環状溝を覆うことなく前記第1環状溝のみを覆う位置に配置されている、
主軸装置。 - 請求項3に記載の主軸装置であって、
前記エア供給路は、前記ハウジング内で互いに連通しない第1エア供給路と第2エア供給路にて構成されており、
前記第1エア供給路は、前記第1環状溝にエアを供給するように接続され、
前記第2エア供給路は、前記第3環状溝にエアを供給するように接続されている、
主軸装置。 - 請求項2〜4のいずれかに記載の主軸装置であって、
前記エアシール用部材において、
前記第1環状溝と対向する内周面には、第1内周側エアポケット溝が円周方向に形成されており、
前記第1内周側エアポケット溝に対する外周面には、第1外周側エアポケット溝が円周方向に形成されており、
前記第1外周側エアポケット溝は前記エア供給路と接続されており、
前記第1外周側エアポケット溝と前記第1内周側エアポケット溝とを連通する、複数の連通孔または複数のスリット、が全周に渡って形成されている、
主軸装置。 - 請求項2〜5のいずれかに記載の主軸装置であって、
前記第1環状溝に供給されたエアは、
前記第1環状溝の前記フロント側における前記主軸の外周面と、当該外周面に対向している前記エアシール用部材の内周面と、で形成される第1エアシール用間隙と、
前記第1環状溝の前記リア側における前記主軸の外周面と、当該外周面に対向している前記エアシール用部材の内周面と、で形成される第2エアシール用間隙と、に放出されてエアシール機能を果たし、
前記第1エアシール用間隙と前記第2エアシール用間隙は、
前記第2エアシール用間隙におけるエア放出抵抗よりも、前記第1エアシール用間隙におけるエア放出抵抗のほうが小さくなるように形成されている、
主軸装置。 - 請求項6に記載の主軸装置であって、
前記第1エアシール用間隙と前記第2エアシール用間隙は、
前記第1エアシール用間隙における前記外周面と前記内周面との間の距離と、前記第2エアシール用間隙における前記外周面と前記内周面との間の距離とが、ほぼ同じとなるように形成されており、
前記第2エアシール用間隙における前記回転軸線方向の長さよりも、前記第1エアシール用間隙における前記回転軸線方向の長さのほうが短くなるように形成されている、
主軸装置。 - 請求項1〜7のいずれかに記載の主軸装置であって、
前記エアシール用部材は、中間嵌めにて前記ハウジングに対して着脱可能に固定されている、
主軸装置。 - 請求項1〜8のいずれかに記載の主軸装置であって、
前記主軸と前記エアシール用部材は異なる材質で形成されており、前記エアシール用部材のほうが損傷し易い材質で形成されている、
主軸装置。
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