JP2009254960A - 水素化スズの除害方法および除害装置 - Google Patents

水素化スズの除害方法および除害装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 簡易な構成と簡便な処理によって、安全かつ除去効率の高い水素化スズの除害方法および除害装置を提供すること。
【解決手段】 プロセス装置1からの配管部2と、除害筒3と、排ガス流路4と、流量計5と、流量調整器6と、吸引ポンプ7とから構成される除害装置10において、予め基材の表面に形成させた金属スズあるいはスズ化合物の表層Aを有し、該表層Aとの反応によって水素化スズを分解させるとともに、分解して生成した金属スズあるいはスズ化合物によって形成された新たな表層Bによって、さらに水素化スズを分解させる機能を有する除害剤を用いることを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、水素化スズの除害方法および除害装置に関するもので、例えば、半導体導電膜形成装置や紫外発光装置プラズマ装置等、あるいは光ファイバーや新規材料等に関連する工業において使用された被処理ガス中の水素化スズの除害方法および除害装置に関するものである。ここで、「水素化スズ」とは、スタナン(SnH)およびその2量体(ジスタナン)を含む化合物をいう。
水素化スズは、一時期アモルファスシリコンを用いた積層型太陽電池あるいは透明電導膜の原料として注目されたことがあった。しかしながら、水素化スズは化学的に不安定な物質で、常温で容器に充填して保存した場合あるいは加熱によって、短期間で分解してしまうことから、極めて取扱いが困難であった。また、水素化スズは、極めて反応性の高い毒性・可燃性の液化ガスであり、使用後の排出ガスの処理においては、その特性固有の除害処理が必要となる。具体的には、廃棄および除害方法として、塩化鉄,過マンガン酸などの酸化剤を含浸した粒状またはパウダー状の固形除害剤でスズを酸化物として固定する方法や、アルカリスクラバー式除害装置,燃焼式除害装置等により処理する方法が知られている(非特許文献1参照)。
例えば、アルカリスクラバー式除害装置としては、図5(A)に例示するような循環するアルカリ水への吸収処理を行う装置が知られている。数ppm〜数100ppmの水素化スズを含む被処理ガスを、風量:数m/min〜100m/min(空間速度:0.3〜2m/sec)、気液比(循環液量/風量):0.5〜3L/mで処理することによって、除害効率:80%を確保することができる。循環液の圧力損失が少なく、ホールドアップ量が少ないという特長がある。また、燃焼式除害装置としては、図5(B)に例示するような火炎内での燃焼処理を行う装置が知られている。化学的に安定な酸化(IV)スズ(SnO)に変換し処理することができる(非特許文献2参照)。
また、本出願人は、半導体工業等において使用された被処理ガスの処理装置の研究開発の一部として、水素化スズを含むガス状水素化物の処理方法を検証し、例えば、図6に例示するような装置系を用いたガス状水素化物の除害方法を提案した。シラン類、アルシン、ホスフィン、ジボラン、ゲルマン、スタナン、ガラン、スチビン、水素化テルル、水素化セレン及び硫化水素からなる群から選ばれるガス状水素化物に対して、金属酸化物からなる固体支持体上に室温で循環させることを特徴とする。詳細には、図6において、ガス状水素化物流を加圧容器101から装置内に導入し、一方、稀釈用窒素を弁102を経て導入する。このガス混合物を減圧器103、質量流調節器104及び/又は105、ホモジナイザー108及び/又は109を経てカートリッジ110及び/又は111に通送する;カートリッジ110,111はここではガラス製であり、金属酸化物からなる固体支持体を収容している。水素化物検出器(DHAL)112及び113が固体支持体を収容しているカートリッジの出口側に設けられており、ガス流中に存在する水素化物の分解を制御するために、処理されたガス流の一部の試料を採取する。ついでガス流を114から、ホプカライト型の触媒を収容している容器に通送しついで屋外に還送する。115から導入される再生用ガスの流れを制御するために、質量流調節器106及び107も設けられている。処理サイクルの終了時に装置を洗浄するために、洗浄用ガスとして使用される窒素も116から導入し得る(特許文献1参照)。
特殊ガス工業会編「半導体プロセスガス安全データ集・増補改訂版」SEMIジャパン(1993年7月30日)第104−105頁 高圧ガス保安協会編・発行「特殊材料ガス講習テキスト」(平成8年2月29日改訂版)第107,111頁 特許3214698号公報
しかしながら、従来の水素化スズの除害プロセスでは、以下のような課題があった。
(i)アルカリスクラバー式除害装置では、循環液への水素化スズの吸収に伴う液中濃度の上昇によって、スケールの目詰まりを生じることがあり、定期的な保守における負担が大きかった。
(ii)燃焼式除害装置では、生成するSnOが燃焼室の壁面あるいは排気系に付着し、有害物として後処理が必要となり、定期的な保守における負担が大きかった。
(iii)また、こうした除害装置は、工場など多種類の特殊材料ガスを含む被処理ガスを一度に除害するには効果的であるが、研究用途など、限定して少量のガスしか除害しない場合には、大規模であるためコスト面での負担が大きく、燃焼用バーナ、ポンプ、ブロワなど大掛かりな付帯設備が必要となる。
(iv)さらに、本出願人が提案したガス状水素化物の除害方法についても、水素化スズを含む多種類の特殊材料ガスを含む被処理ガスを一度に除害するには効果的であったが、その後の水素化スズに限定した除害方法としての検証過程において、さらなる知見を得ることができた。こうした知見に基づく、より簡便で保守性のよい除害方法の検討が、本発明における課題となる。
(v)その一方、昨今例えば、半導体導電膜形成装置や紫外発光装置プラズマ装置等において、水素化スズの有用性が見出され、こうした用途への需要が増大し、その除害方法や除害装置の簡便性や操作性の改善が要請されている。
本発明の目的は、例えば、半導体導電膜形成用装置や紫外発光装置プラズマ装置等に用いる水素化スズを、簡易な構成と簡便な処理によって、安全かつ除去効率の高い水素化スズの除害方法および除害装置を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、以下に示す水素化スズの除害方法および除害装置によって上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに到った。
本発明は、被処理ガス中の水素化スズの除害方法において、予め基材の表面に金属スズあるいはスズ化合物の表層Aを形成させた除害剤を用い、該表層Aとの反応によって水素化スズを分解させるとともに、分解して生成した金属スズあるいはスズ化合物によって形成された新たな表層Bによって、さらに水素化スズを分解させることを特徴とする。
また、本発明は、水素化スズの除害装置であって、予め基材の表面に形成させた金属スズあるいはスズ化合物の表層Aを有し、該表層Aとの反応によって水素化スズを分解させるとともに、分解して生成した金属スズあるいはスズ化合物によって形成された新たな表層Bによって、さらに水素化スズを分解させる機能を有する除害剤を用いることを特徴とする。
従前の水素化スズの除害方法や除害装置においては上記のような課題がある一方、水素化スズの特性や取扱い方法に関する情報はほとんど既述の範囲に限られ、実用可能な具体的な取扱いや除害方法に関する技術的資料は非常に乏しい状況であった。本発明者は、こうした状況下における検証の結果得られたいくつかの知見のうちの1つとして、
(a)水素化スズは、通常使用される配管あるいは容器の素材(例えばステンレス鋼などの接ガス材料をいう)との表面反応によって容易に分解され(ここでは「一次反応」という)、その分解生成されたスズの存在によって、さらにその分解反応が加速する(ここでは「二次反応」という)。
との知見を得た。つまり、水素化スズを含む被処理ガスの流路に微量でもスズが発生した場合、そのスズの成長によってやがて流路が閉塞する可能性があるというマイナス面がある一方、特別な触媒あるいは反応成分を準備する必要がなく、水素化スズの分解処理を行い除害することができるという非常に優れた反面的な利点を有している。本発明は、こうして知見を基に、予め基材の表面に金属スズあるいはスズ化合物の表層Aを形成させることによって、被処理ガス中の水素化スズの分解反応の契機を作成するとともに、新たに形成された表層Bによって分解反応の加速的な促進を図ったもので、簡易な構成と簡便な処理によって、安全かつ除去効率の高い水素化スズの除害方法あるいは除害装置を構成することを可能とした。
本発明は、上記水素化スズの除害方法であって、金属スズあるいはスズ化合物のメッキ処理、金属スズあるいはスズ化合物の蒸着処理あるいは前記基材を水素化スズの沸点以上の温度条件で前記被処理ガス中へ曝露すること、のいずれかを行うことによって、前記表層Aが形成されたことを特徴とする。
水素化スズの除害剤は、予め基材の表面に金属スズあるいはスズ化合物の表層Aを形成することが好ましい。基材の表面に金属化合物を被覆する方法は種々あるが、上記知見(a)によれば、表層Aは水素化スズが分解して形成される金属スズの皮膜が好ましい。つまり、本発明における基材の表面に金属スズあるいはスズ化合物の表層Aを形成する方法として、金属スズあるいはスズ化合物のメッキ処理あるいは金属スズあるいはスズ化合物の蒸着処理によって、金属スズの皮膜を形成することが好ましい。これによって、活性度の高い表層Aが形成され、除去効率の高い水素化スズの除害方法を構成することができる。
さらに、上記〔非特許文献1〕第104頁には、
(b)水素化スズは化学的に不安定な物質で、加熱によって短期間で分解してしまう。
とあり、実際に、後述するような温度上昇に伴う水素化スズの分解特性に対する知見を得た。これは、水素化スズの安定供給を行う上においては、マイナス面がある一方、表層Aを形成する特別な触媒あるいは反応成分を準備するが必要なく、水素化スズの分解処理を利用して除害機能の高い金属スズの皮膜を形成し、活性度の高い表層Aを形成することができるという非常に優れた反面的な利点を有している。
本発明は、上記水素化スズの除害方法であって、金属酸化物からなる基材を前記被処理ガス中へ曝露する処理によって、その表面に前記表層Aが形成されたことを特徴とする。
検証の結果得られたいくつかの知見のうちの1つとして、
(c)金属酸化物の水素化スズ除害機能、つまり金属酸化物を基材とした場合、その表層にスズ皮膜を形成させることができる。
との知見を得た。この機能は、本発明者が先に提案したガス状水素化物の処理方法における固体支持体を構成する場合に実証されている。本発明は、こうした機能を利用したもので、金属酸化物からなる基材を被処理ガス中に曝露することによって、別途スズ化合物を準備することなく、被処理ガス中に含まれる水素化スズを用いて速やかに表層Aを形成することができる。特に金属酸化物との反応において生成するSnOが、基材に固定されることから、除害効率の高い表層Aを形成することができる。また、予め表層Aを形成しない金属酸化物を除害筒に充填した場合と比較し、被処理ガス導入当初から高い除害効率を確保することができる点において優れている。後述するように、スズ皮膜が形成された後の二次反応が、スズ皮膜の触媒機能あるいは反応促進機能によって、一次反応よりも高い反応性を有するものと推定される。
本発明は、上記水素化スズの除害方法であって、前記表層Aを有する除害剤と前記金属酸化物からなる基材を混合して充填層を形成し、あるいは前記除害剤からなる充填層と前記金属酸化物からなる充填層を別個に形成し、該金属酸化物からなる基材の表面における水素化スズとの反応による酸化スズの生成に伴う変色度を指標として、前記除害剤の劣化度を判定することを特徴とする。
また、本発明は、上記水素化スズの除害装置であって、前記表層Aを有する除害剤が充填された充填層の上部に金属酸化物からなる基材が配設された除害筒を有する除害装置において、前記被処理ガスの導入口を該除害筒の下部に、供出口をその上部に有するとともに、充填された前記金属酸化物からなる基材が透視可能な窓を該除害筒の側壁に有することを特徴とする。
一般に、金属スズおよび酸化されて安定化した酸化(IV)スズ(SnO)は、白色であるが、検証過程において
(d)金属酸化物(例えば酸化銅)の基材と水素化スズの反応によって生成する皮膜は、黒色を示す。つまり、酸化(II)スズ(SnO)を含む皮膜が形成されていると推測される。
との知見を得た。本発明は、こうした知見を基に変色度を指標とすることによって、金属酸化物に接触する被処理ガス中の水素化スズの残量をモニタできることを利用するもので、
(i)該金属酸化物からなる基材を除害剤(黒色以外の表層Aを有する基材)の下流側に配設することによって、その変色度によって除害剤の劣化度の判定ができる。
(ii)両者を混合することによって、除害剤の充填層の上流から下流に至る劣化度の判定ができる。
という機能を確保することができる。また、本発明においては、除害筒に透視可能な窓を設けることによって、可視的(目視を含む)あるいは可視センサを用いてこうした変色度を判別することが可能となる。
本発明は、上記水素化スズの除害装置であって、前記表層Aが、金属スズあるいはスズ化合物のメッキ処理、金属スズあるいはスズ化合物の蒸着処理、前記基材を水素化スズの沸点以上の温度条件で前記被処理ガス中へ曝露すること、のいずれかを行うことによって、あるいは前記基材を金属酸化物として予め前記被処理ガス中へ曝露する処理を行うことによって、あるいはこれらのいくつかを組み合わせた処理によって、形成されたことを特徴とする。
上記のように、水素化スズの除害機能は、表層Aに金属スズを含む皮膜が形成されることが好ましく、検証の結果、(1)金属スズあるいはスズ化合物のメッキ処理、(2)金属スズあるいはスズ化合物の蒸着処理、(3)基材を水素化スズの沸点以上の温度条件で被処理ガス中へ曝露する処理、(4)基材を金属酸化物として予め被処理ガス中へ曝露する処理、(5)これらのいくつかを組み合わせた処理、のいずれかによって、活性度の高い表層Aを形成することが可能となり、除去効率の高い水素化スズの除害装置を構成することができる。
本発明は、上記水素化スズの除害装置であって、少なくとも水素化スズの消費設備であるプロセス装置から前記導入口までの前記被処理ガスの配管部および前記除害筒の内部が樹脂コーティングされるとともに、前記配管部が水冷温度(10℃)以下水素化スズの沸点(−50℃)以上の温度範囲に制御されることを特徴とする。
水素化スズの除害装置としては、その分解反応を利用することが好ましい一方、水素化スズの消費設備であるプロセス装置から除害筒の導入口までの配管部および除害筒の内部において分解反応(一次反応)が生じると、壁面や狭窄部分へのスズの付着、さらには二次反応による付着物の成長や流路の閉塞を招来する可能性がある。こうした分解反応を防止するには、既述の文献においても水素化スズを含むガスや液体を−70〜−150℃に維持することが必要であるとされている(特開昭60−42203号公報:請求の範囲の記載参照)。本発明者の検証においても、後述するように同様の結果が得られたが、その一方、以下の新たな知見を得た。
(e)分解反応を低減するには、こうした一次反応を抑制することが非常に重要であり、水素化スズの分解に起因するファクタとして、温度、圧力、表面の3つがある。
(f)できるだけ高い温度・圧力条件で分解を抑制するためには、表面での分解反応を抑えるための皮膜を形成することが好ましい。
(g)こうした機能は低温ほど高く、温度制御が容易な10〜−50℃の温度での温度範囲に保持することが好ましい。
従って、接ガス部の表面処理および低温処理を行うことによって、大幅に分解反応を低減することが可能となった。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。ここでは、予め基材の表面に形成させた金属スズあるいはスズ化合物の表層Aを有し、該表層Aとの反応によって水素化スズを分解させるとともに、分解して生成した金属スズあるいはスズ化合物によって形成された新たな表層Bによって、さらに水素化スズを分解させる機能を有する除害剤を用いる水素化スズの除害装置を基本とする。
<本発明に係る水素化スズの除害装置の基本構成例>
図1は、本発明に係る水素化スズの除害装置(以下「本装置10」という)を例示する概略図である。本装置10は、水素化スズの消費設備である半導体製造装置や紫外発光装置プラズマ装置等の各種のプロセス装置1からの配管部2と、これに接続し除害剤が充填された除害筒3と、該除害筒3から供出される排ガス流路4と、その流量をモニタする流量計5と、流量調整器6と、吸引ポンプ7と、必要に応じて配管部2に配設されるバイパス流路8とバイパス流量調整器8aから構成される。プロセス装置1から排出された水素化スズを含む排出ガスが除害筒3に導入され、水素化スズを選択的に除害されて清浄化された排ガスが放出される。ここで、配管部2,排ガス流路4およびバイパス流路8には、別途必要に応じてフィルタや開閉弁,圧力調整器,圧力検出器,マスフローコントローラ等が配設される(図示せず)。
ここで、配管部2および除害筒3を含む本装置10を構成する配管あるいは開閉弁等の接ガス部は、全て耐圧性・耐低温性に優れたステンレス鋼で構成することが好ましい。また、バイパス流路8は、排出ガス中の水素化スズの濃度が高い場合や変動が大きい場合等に、除害筒の除害能力安定のために窒素などの希釈用の不活性ガスを導入することができるとともに、除害装置の清浄化のためのパージ処理に用いることができる。
〔除害機能について〕
本発明に用いる除害剤は、予め基材の表面に形成させた金属スズあるいはスズ化合物の表層Aを有し、該表層Aとの反応によって水素化スズを分解させるとともに、分解して生成した金属スズあるいはスズ化合物によって形成された新たな表層Bによって、さらに水素化スズを分解させる機能を有することを特徴とする。つまり、上記知見(a)「水素化スズは、例えばステンレス鋼などの接ガス材料との表面反応によって容易に分解され(一次反応)、その分解生成されたスズの存在によって、さらにその分解反応が加速する(二次反応)」、を基に、予め一次反応によって表層Aを形成させ、被処理ガスとの二次反応によって新たな表層Bを形成させることによって、自助的に除害反応を維持することができる機能を生かした除害筒3を構成する。このとき、表層Aとして、水素化スズが分解して形成される金属スズの皮膜あるいはこうした皮膜構成に近いスズ化合物の皮膜(以下「スズ皮膜」という)が好ましい。
本装置10においては、以下の方法によって表層Aを形成することが好ましい。なお、基材の形状は、特に限定されるものではなく、除害筒3の形状や機能に応じて、粒状、ペレット状,板状あるいはハニカム状等、任意に選択することが可能である。
(1)基材に金属スズあるいはスズ化合物のメッキ処理を行う方法
具体的には、金属材料(鉄、ニッケル、銅等)や無機材料(アルミナ、シリカ、ゼオライト等)を基材とし、その表面に金属スズあるいはスズ化合物のメッキ処理を行うことによって、スズ皮膜を形成することができる。
(2)基材に金属スズあるいはスズ化合物の蒸着処理を行う方法
具体的には、上記(1)と同様の基材を用い、その表面に金属スズあるいはスズ化合物の蒸着処理を行うことによって、スズ皮膜を形成することができる。蒸着処理の方法としては、一般の真空蒸着法を用いことが好ましく、物理蒸着(PVD)と化学蒸着(CVD)等を問うものではない。
(3)基材を水素化スズの沸点以上の温度条件で被処理ガス中へ曝露する方法
水素化スズの化学的特性に係る上記知見(b)「水素化スズは化学的に不安定な物質で、加熱によって短期間で分解してしまう。」に基づく処理方法で、具体的には、除害筒3あるいは相当する所定の容積を有する容器に、全体が曝露可能な量の基材を充填し、常温以上の温度条件で被処理ガスを導入して、所定時間曝露することによって、スズ皮膜を形成することができる。
(4)金属酸化物からなる基材を被処理ガス中へ曝露する方法
金属酸化物と水素化スズとの反応性に係る上記知見(c)「金属酸化物の水素化スズ除害機能、つまり金属酸化物を基材とした場合、その表層にスズ皮膜を形成させることができる。」に基づく処理方法で、具体的には、除害筒3あるいは相当する所定の容積を有する容器に、全体が曝露可能な量の金属酸化物からなる基材を充填し、所定時間曝露することによって、スズ皮膜を形成することができる。金属酸化物としては、酸化銅、酸化ニッケル、酸化マンガンあるいはこれらの混合物等を挙げることができる。後述する金属酸化物との反応によって、基材表面に酸化スズの皮膜が形成され、上記(1)〜(3)によって形成されたスズ皮膜と同等の活性度を確保することができる。
上記(1)〜(3)および(4)の方法によって形成された表層Aを有する基材は、水素化スズを含む被処理ガスと接触すると、水素化スズが以下の反応式に従って反応し、新たな表層Bを形成する。
(i)触媒反応:上記(1)〜(3)の方法によって形成された表層Aのスズ皮膜が触媒として機能し、下式1の化学反応式に従い水素化スズを分解させる。
Sn+SnH→2Sn+2H 式1
(ii)水素化:上記(4)の方法によって形成された表層Aのスズ皮膜が触媒として機能する(式1)とともに、下式2の化学反応式に従い酸化スズを形成し、水素化スズの除害を促進させる。下式2は、金属酸化物として酸化銅を用いた場合を例示する。
2CuO+SnH→SnO+2CuO+2H 式2
〔除害筒の構成〕
除害筒3は、上記除害反応が均一かつ効率よく行うことができるような構成とするとともに、金属酸化物と水素化スズとの反応性に係る上記知見(d)「金属酸化物(例えば酸化銅)の基材と水素化スズの反応によって生成する皮膜は、黒色を示す。つまり、酸化(II)スズ(SnO)を含む皮膜が形成されていると推測される。」に基づく特有の機能を有する構成を可能にした。つまり、金属酸化物からなる基材による変色反応により表層Aを有する基材の劣化度を判定するとともに、該金属酸化物自体が有する反応性によって充填された基材全体で除害機能を確保することができるという優れた機能を有することができる。具体的には、図2(A)および(B)に例示するような構成を挙げることができる。
図2(A)は、粒状、ペレット状あるいはハニカム状の基材を用いた除害筒3の構成例を示し、表層Aを有する基材からなる充填層3aの上部に金属酸化物からなる基材からなる充填層3bが配設され、かつ透視可能な窓3cを除害筒3の側壁に有する。除害筒3の下部に設けられた導入口3dから被処理ガスが導入され、充填層3aおよび充填層3bを経由して、除害筒3の上部に設けられた供出口3eから供出される。こうした構成を有することによって、充填層3aで除害処理ができなくなった状態において生じる充填層3bでの変色度を、可視的(目視を含む)あるいは可視センサを用いて判別することができる。例えば、金属酸化物として酸化銅を用いた場合には、反応前の緑色が反応後の黒色に変化する。
また、粒状あるいはペレット状の基材を用い、充填層3aと充填層3bを分離せずに、表層Aを有する基材と金属酸化物からなる基材を混合して均一に充填した除害筒3を構成することも可能である。金属酸化物からなる基材による除害処理機能を示す変色部分が除害筒3の下部から順に上部まで拡大し、筒上部において変色が及んだ場合には未処理の水素化スズが排出される可能性が生じ、劣化度が高いとの判別をすることができる。
図2(B)は、板状の基材3fを用いた除害筒3の構成例を示し、筒上部に金属酸化物からなる基材3fbが配設され、かつ透視可能な窓3cを除害筒3の側壁に有する。こうした構成によって、表層Aを有する基材3faで除害処理ができなくなった状態において生じる金属酸化物からなる基材3fbでの変色度を、可視的(目視を含む)あるいは可視センサを用いて判別することができる。このとき、水素化スズとの接触面積を極力増やすために、図2(B)に示すような金属製の蛇腹形状の基材3fを複数設けた構成とすることが好ましい。
〔プロセス装置から除害筒までの流路構成について〕
除害処理された被処理ガスは、清浄ガスであり排出系において特別な処理を必要とするものではないが、配管部2および除害筒3の内部において分解反応(一次反応)が生じると、壁面や狭窄部分へのスズの付着、さらには二次反応による付着物の成長や流路の閉塞を招来する可能性がある。そこで、本装置10は、上記知見(e)「分解反応を低減するには、こうした一次反応を抑制することが非常に重要であり、水素化スズの分解に起因するファクタとして、温度、圧力、表面の3つがある」、知見(f)「できるだけ高い温度・圧力条件で分解を抑制するためには、表面での分解反応を抑えるための皮膜を形成することが好ましい」、知見(g)「こうした機能は低温ほど高く、温度制御が容易な10〜−50℃の温度での温度範囲に保持することが好ましい」に基づく特有の機能として、プロセス装置1から除害筒3の導入口3dまでの配管部2および除害筒3の内部を樹脂コーティングし、配管部2が水冷温度(10℃)以下水素化スズの沸点(−50℃)以上の温度範囲に制御する構成とした。
つまり、配管部2および除害筒3の内部を樹脂コーティングすることによって、水素化スズの分解反応における上記一次反応を制限し、大幅に分解反応を低減することができるとともに、本装置10は、配管部2および除害筒3の温度を水冷温度(10℃)以下水素化スズの沸点(−50℃)以上の温度範囲である10〜−50℃に保持することによって、水やアンモニア等の入手が容易な冷媒を用いることができ、比較的容易に低温を維持することができる。
こうした水素化スズの除害機能および流通系の温度は制御部(図示せず)によって制御管理され、各構成要素の容量や被処理ガスや希釈ガスなどの流量は要求される仕様によって任意に選択される。なお、本装置10は、図1に例示する構成要素以外に、その構成・機能を形成するために必要な制御手段や流量調整弁や流量計等が設けられる。さらに、実機においては、冬季などにおける流路の温度低下に伴う供給用ガスの凝縮を防止するために、配管温度や環境温度などを測定する温度センサや配管加熱用のヒータ、供給流量を調整するための絞りや流量調整部などが設けられる(いずれも図示せず)。これらは、全て耐圧性・耐低温性に優れたステンレス鋼で構成することが好ましく、上記同様樹脂コーティングすることが好ましい。
〔水素化スズ分解反応の検証〕
水素化スズ(スタナン)の分解反応における反応メカニズムの検証を行った。
(i)実験条件
所定容積(7.4cc)の配管(SUS316L−EPtube)に室温にてスタナンを封止した際の圧力上昇から、その分解反応を検証した。つまり、スタナンは分解すると、下式3のように水素(H)を発生し、その結果配管内圧力が上昇することから、分解反応の時間的推移を検証することができる。
SnH→Sn+2H 式3
また、これを複数回繰り返すことによって、水素化スズの分解反応の反応メカニズムを推定することができる。
(ii)実験結果
図3に示すような実験結果を得た。封止1回目では、ある程度まで圧力を保持しており分解せずに保たれているが、一度スタナンが分解して内面にスズ皮膜のついた配管では、その後(2回目以降)スタナンを封止するとすぐに分解が起こっていることが分かる。二次反応に相当する分解促進効果あるいは生成したスズ皮膜の触媒効果によるものと推定することができる。また、スズ皮膜を付ける温度条件は、室温(25℃)で十分であり、エネルギーを使って加温する必要はないことが判った。
〔除害性能の検証〕
上記除害筒3を用い、実際に水素化スズ(スタナン)を導入してその除害効率を実験的に確認した。
(i)実験条件
図4に示す実験装置を用いた。高圧容器Sに充填された水素化スズをマスフローコントローラM1で流量を調整した後、マスフローコントローラM2で流量調整された窒素で希釈して希釈濃度を0.2%とし、流量250scc/minで除害筒3へ導入した。除害筒3の後段には、スタナンのガス検知器Dを設置し、除害できず通過したスタナンを検知した時間を寿命時間とし、除害筒3の除害能力を求めた。除害筒3には、以下の2種類の除害剤を充填した。
(i−1)上記(1)の方法によって作製された、スズメッキして表層Aを形成したペレット状のステンレス製基材を13g充填した。
(i−2)上記(4)の方法によって作製された、予めスタナンを数分曝露して表層Aを形成した粒状の酸化銅の基材を10g充填した。
(ii)実験結果
表1および表2に示すような結果となった。
(ii−1)スズメッキステンレス製基材1g当りのスタナン除害量として、表1に示すように、31cc/gとの結果を得た。
Figure 2009254960
(ii−2)酸化銅の基材1g当りのスタナン除害量として、表2に示すように、約38cc/gとの結果を得た。
Figure 2009254960
本発明に係る水素化スズの除害装置の基本構成例を示す概略図 本発明に係る水素化スズの除害筒を例示する説明図 水素化スズ分解反応の検証結果を例示する説明図 本発明に係る除害筒の性能を検証する実験装置を例示する説明図 従来技術に係る水素化スズの除害装置を例示する概略図 従来技術に係るガス状水素化物の除害方法を例示する概略図
符号の説明
1 プロセス装置
2 配管部
3 除害筒
3a,3b 充填層
3c 窓
3d 導入口
3e 供出口
3f,3fa,3fb 基材
4 排ガス流路
5 流量計
6 流量調整器
7 吸引ポンプ
8 バイパス流路
8a バイパス流量調整器
10 除害装置(本装置)

Claims (8)

  1. 被処理ガス中の水素化スズの除害方法において、予め基材の表面に金属スズあるいはスズ化合物の表層Aを形成させた除害剤を用い、該表層Aとの反応によって水素化スズを分解させるとともに、分解して生成した金属スズあるいはスズ化合物によって形成された新たな表層Bによって、さらに水素化スズを分解させることを特徴とする水素化スズの除害方法。
  2. 金属スズあるいはスズ化合物のメッキ処理、金属スズあるいはスズ化合物の蒸着処理あるいは前記基材を水素化スズの沸点以上の温度条件で前記被処理ガス中へ曝露すること、のいずれかを行うことによって、前記表層Aが形成されたことを特徴とする請求項1記載の水素化スズの除害方法。
  3. 金属酸化物からなる基材を前記被処理ガス中へ曝露する処理によって、その表面に前記表層Aが形成されたことを特徴とする請求項1または2記載の水素化スズの除害方法。
  4. 前記表層Aを有する除害剤と前記金属酸化物からなる基材を混合して充填層を形成し、あるいは前記除害剤からなる充填層と前記金属酸化物からなる充填層を別個に形成し、該金属酸化物からなる基材の表面における水素化スズとの反応による酸化スズの生成に伴う変色度を指標として、前記除害剤の劣化度を判定することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の水素化スズの除害方法。
  5. 予め基材の表面に形成させた金属スズあるいはスズ化合物の表層Aを有し、該表層Aとの反応によって水素化スズを分解させるとともに、分解して生成した金属スズあるいはスズ化合物によって形成された新たな表層Bによって、さらに水素化スズを分解させる機能を有する除害剤を用いることを特徴とする水素化スズの除害装置。
  6. 前記表層Aが、金属スズあるいはスズ化合物のメッキ処理、金属スズあるいはスズ化合物の蒸着処理、前記基材を水素化スズの沸点以上の温度条件で前記被処理ガス中へ曝露すること、のいずれかを行うことによって、あるいは前記基材を金属酸化物として予め前記被処理ガス中へ曝露する処理を行うことによって、あるいはこれらのいくつかを組み合わせた処理によって、形成されたことを特徴とする請求項5記載の水素化スズの除害装置。
  7. 前記表層Aを有する除害剤が充填された充填層の上部に金属酸化物からなる基材が配設された除害筒を有する除害装置において、前記被処理ガスの導入口を該除害筒の下部に、供出口をその上部に有するとともに、充填された前記金属酸化物からなる基材が透視可能な窓を該除害筒の側壁に有することを特徴とする請求項5または6記載の水素化スズの除害装置。
  8. 少なくとも水素化スズの消費設備であるプロセス装置から前記導入口までの前記被処理ガスの配管部および前記除害筒の内部が樹脂コーティングされるとともに、前記配管部が水冷温度(10℃)以下水素化スズの沸点(−50℃)以上の温度範囲に制御されることを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載の水素化スズの除害装置。
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