JP2009253107A - 磁気冷凍作業物質およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 低コストで生産性に優れる耐食性皮膜形成プロセスを施したR‐Fe‐Si‐H系合金粉末の磁気冷凍作業物質およびその製造方法を提供する。
【解決手段】 実質的にNaZn13型結晶構造を有する化合物相により構成される粉末状の磁気冷凍作業物質であって、粉末表面の全体あるいは一部にアルコキシド溶液による耐食性酸化膜が形成されたことを特徴とする磁気冷凍作業物質。耐食性酸化膜は皮膜厚さが10nm以上1μm以下であることが好ましく、SiO、TiO、MgO、Al、Zrの1種あるいは1種以上から形成されているものがよい。
【選択図】なし

Description

本発明は、オゾン層の破壊や温室ガス排出により地球温暖化に悪影響をおよぼすフロンガスや代替フロンを使用する気体冷凍に代わる環境保全型の冷凍システムとして期待されている磁気冷凍技術に関するものである。磁気冷凍システムにおいては、外部の磁界変化に対して、磁性体内部で大きなエントロピー変化を示す磁気冷凍作業物質が必要である。本発明は、室温近傍で大きな磁気エントロピー変化を示す、R−TM−M−H系の磁気冷凍作業物質およびその製造方法に関するものである。
現在世界規模で、オゾン層破壊および地球温暖化が深刻な社会問題となっている。オゾン層破壊の原因がエアコンや冷蔵庫などの冷凍機に使用されるフロンガスであることが指摘され、1992年モントリオールで開催された国際会議において特定フロンの全廃が定められた。しかし、特定フロンの代替として使用が認められている。
いわゆる代替フロンにおいても二酸化炭素の数千倍から数万倍の温暖化効果が確認されており1997年の地球温暖化防止京都会議において削減対象となった。欧州では、自動車への代替フロンの搭載を全廃することが決定されている。このような状況から、より環境負荷の低い冷凍技術の開発実用化が望まれている。このような背景から、気体冷凍に代わる環境に優しい冷凍空調技術として磁気冷凍技術が注目されている。磁気冷凍は極低温域における冷却技術としては既に利用されている。しかし常温域では作業物質の格子振動による熱容量が大きいこと、また磁気系の熱ゆう乱によるエネルギーが大きくなるため実用化が困難であった。常温での磁気冷凍材料としては、安価で大きな磁気熱量効果が得られる磁性材料が必要とされている。
従来常温磁気冷凍材料として室温付近に磁気変態点(キュリー温度)を有するGdおよびGd合金が知られているが、Gdは希土類元素の中では比較的稀少で高価な金属であり、工業的に実用性の高い磁気冷凍材料ではない。近年、Gdの代わる常温磁気冷凍材料として、常温近傍で一次相転移を示す磁性材料が注目されている。このような磁性材料は、キュリー点近傍の常磁性温度域で外部より磁界を印加することにより強磁性に磁気変態する磁性材料であり、比較的小さな外部磁界により大きな磁化変化に伴う大きなエントロピー変化(磁気熱量効果)が得られるという特長を有する。
このような磁性材料としては、Gd5Si2Ge2系、Mn(As-Sb)系、MnFe(P―As)系、La(Fe-Si)H系などが検討されている。これら提案されている常温磁気冷凍作業物質の中では、原材料コスト、環境負荷、製造工程の中での安全性等を考慮すると、La(Fe-Si)H系合金が実用材料として最も有望な作業物質と考えられる。本磁気冷凍材料に関しては、大学が主体となり物性研究を中心に検討が行われている。(非特許文献1,2,3)
また特許文献1には、L(Fe1−X13系合金(MはSi、Alから選択された1種または2種以上)の100〜1500μmの粒子が磁気冷凍材料として有望であることが開示されている。
常温磁気冷凍材料であるR‐Fe‐Si‐H系合金はNaZn13型結晶構造を有するR‐(Fe‐Si)13結晶格子中に水素を侵入型で固溶させることにより結晶格子を膨張させキュリー温度を上昇させることにより常温近傍にキュリー温度を持つ磁気冷凍材料である。本材料の製造方法としては、アーク溶解や高周波溶解により得られた鋳造合金を不活性雰囲気あるいは真空中で、1000℃以上で100時間以上の長時間溶体化熱処理し得られた合金を機械粉砕で数百μmの粉末とし、水素を含む雰囲気中で水素吸臓することにより製造されていた。(非特許文献4)
一方、特許文献2においては、1000℃以上での溶体化を容易とするために、La‐Fe‐Si系合金溶湯を10℃/秒〜10℃/秒で急冷し、初晶として析出するα鉄を低減かつ微細に分散させた厚さ10〜300μmの薄帯を得ることにより、900〜1200℃で比較的短時間で溶体化処理を可能とする技術が開示されている。
磁気冷凍では磁場による磁性体のエントロピー変化を利用して冷却を行う。磁気冷凍材料としては比較的小さな外部磁界の変化で大きな磁化変化(エントロピー変化)を示す物質が好ましい。磁気冷凍システムでは磁気冷凍作業物質のエントロピー変化により発生する熱を熱交換媒体により熱交換させる。磁気冷凍作業物質の形態としては、一般にハニカム構造や、薄肉小径のパイプ状形態が好ましいといわれているが、R‐Fe‐Si‐H系合金でこのような構造を実現することが困難なため、一般に小球状粒子や数十から数百μmの粉末をユニットの中に充填し、この粒子あるいは粉末の隙間に流体を流すことにより熱交換を行う。
磁気冷凍作業物質と熱交換媒体との間で熱交換が迅速に行われる必要があり、熱交換を迅速に行うためには、磁気冷凍作業物質の比表面積を大きくする必要がある。粒子や粉末で比表面積を大きくするには粒径を小さくすることが有効であるが、逆に粒径を小さくすると熱交換媒体の圧損が大きなるという問題もある。そのため、粒径は、数十から数百μmが用いられる。
特許第3967572号公報 特許第3630164号公報 特開2005−120391号公報 特開2005−226125号公報 固体物理 vol37.(2002)419 Appl. Phys. Lett. Vol 81 (2002) 1276 金 属 vol 137. (2003) 849 Appl. Phys. Lett. Vol 79 (2001) 653 平成15年NEDO研究成果報告 PJID 00A26019a
R‐Fe‐Si‐H系合金粒子または粉末を磁気冷凍作業物質として使用する場合、以下のような問題点がある。磁気冷凍システムにおける熱交換媒体としては、一般に水や水/アルコール(エタノール、エチレングリコール)混合溶液などが使用される。磁気冷凍作業物質は常時熱交換媒体中に暴露されている。一方R‐Fe‐Si‐H系合金は、希土類元素を主成分に含むため耐食性に劣るという欠点を有する。希土類元素の中でも特に、La、Ceなどの軽希土類元素は耐食性に劣り、大気中に放置するだけでも容易に酸化する。これら希土類元素を含むR‐Fe‐Si‐H系合金においても、長時間熱交換媒体中に放置すると錆びの発生が避けられないという問題がある。
このような問題点を解消する手段として、粉末表面にウエットやドライのめっき膜を形成することが提案されている。(特許文献3、4)しかし、ウェットめっきではめっきの前処理工程で酸を使用するため、R‐Fe‐Si‐H系合金粉末より、希土類元素やFeが溶出し磁気特性が低下するという問題点がある。一方ドライプロセスにおいては、磁気特性の低下という問題点は回避出来るものの生産性が低くプロセスコストがかさむという問題点がある。
よって本発明の課題は、低コストで生産性に優れる耐食性皮膜形成プロセスを施したR‐Fe‐Si‐H系合金粉末の磁気冷凍作業物質およびその製造方法を提供することである。
本発明者らは、R‐Fe‐Si‐H系合金粉末表面に耐食性金属酸化膜を付着させ、熱処理することにより容易に耐食性皮膜を形成させることで上記目的が達成できることを見出した。
本発明は、実質的にNaZn13型結晶構造を有する化合物相により構成される粉末状の磁気冷凍作業物質であって、粉末表面の全体あるいは一部にアルコキシド溶液による耐食性酸化膜が形成されたことを特徴とする。
この耐食性酸化膜は皮膜厚さが10nm以上1μm以下であるものが好ましい。また、耐食性酸化膜が、SiO、TiO、MgO、Al、Zrの1種あるいは1種以上から形成されているものが好ましい。
この磁気冷凍作業物質は、組成式でR(TM1-Xbc(但し、RはLaを必須として必要によりCe、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb,Dy、Ho、Er、Tm、Y、Luからなる希土類元素の1種以上を含み、TMはFeを必須として必要によりTi、V、Cr、Mn、Co、Ni、Cu、Znからなる遷移金属元素群より選択される1種以上を含み、MはSiを必須として必要によりAl、Ga、Ge、Snからなる元素群より選択される少なくとも1種以上を含み、かつ、原子%で5.5≦a≦7.5、80.5≦b≦92.5、0<c≦14、0.75≦X≦0.95)で表記されるものを用いることができる。
また、本発明は、Fe、SiおよびLaを主成分とする磁性粉末をpH6〜12で金属アルコキシド濃度が10mmol/L〜5mol/Lのアルコキシド溶液に30分〜5時間浸漬し、攪拌した後、前記磁性粉末を分離して85〜300℃で脱水縮合させることで10〜500nmの酸化物皮膜を形成することを特徴とする記載の磁気冷凍作業物質の製造方法である。
本発明の金属酸化物膜を被覆したLa-Fe-Si-H系の磁気冷凍作業物質は、熱交換媒体中での経時変化が小さく、安定した磁気熱量効果を長期間にわたり維持することが可能である。
以下に本発明の磁気冷凍作業物質の製造方法を具体的に説明する。本発明は、磁気冷凍システムにおいて熱交換媒体中に浸漬される磁気冷凍作業物質の表面に酸化膜を被覆させることにより、熱交換媒体中での経時安定性に優れる磁気冷凍作業物質の製造方法に係わるものである。この磁気冷凍作業物質は、La、Fe、Siを主たる成分とする、NaZn13型結晶構造を有する強磁性粉末であり、Hを0超〜14原子%含む。
本発明の製造方法おけるアルコキシド溶液とは、酸化物の原料となる金属アルコキシドをIPAやエタノールなどのアルコールに溶解させたものである。金属アルコキシドとしては、Mを金属元素として、M(OCH)n、M(OC)n、M(OHC)nなどのアルキル鎖長の短いものを用いる。金属元素MはMg,Al,Si,Ca,Ti,Sr,Ba,Li,Na,K,Sn,Ge,Bi,CU,Y,Zr,Taから選択される少なくとも1種の元素である。金属アルコキシドは、1種単独に用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。安定した酸化物を形成する元素としては、Si,Ti,Zr,Alが特に好ましい。
これらの金属アルコキシド溶液と前記磁性粉末を混合する。混合の際、アルコキシド溶液の濃度が極端に低いと金属粉末表面に付着する絶縁性酸化膜が十分でなくなるため本発明の効果が得られない。したがってアルコキシド溶液の濃度は10mmol/L以上必要である。濃度が高すぎる場合には粉末に付着せずに廃液として廃棄される量が増加するため製造コストが高くなり好ましくない。均一で緻密な皮膜を形成するには、5mol/L以下さらに膜厚を500nm以下とするには2mol/L以下であることが好ましい。また前記アルコキシド溶液と磁性粉末を混合する時間は、短すぎると反応が進行せず酸化膜を付着させることが出来ないため、30分以上が好ましい。処理時間に上限はないが反応が平衡に達するとそれ以上の付着は進行しないので効果がない。したがって30分から5時間の範囲が好ましい。なお前記アルコキシド溶液はpHにより反応の形態と速度が変化する本目的にはpH6〜12が好ましい。pHが6未満では、磁性粉末から溶液中にFeおよびLaが溶出するため金属アルコキシドによる酸化皮膜を粉末表面に均一に形成することが出来ない。またpHが12を超えると反応速度が速く付着量を過剰となるため、目標とする被覆膜厚を制御出来ない。
形成する酸化膜は磁性粉末全体に均一に被覆されることが望ましい。部分的に酸化膜が欠落している場合にも本発明の効果は得られるものの、欠落部分が大きい場合には本発明の効果が低下する。酸化膜の厚さが1μmを超えると磁性粉末に対する酸化膜の比率が大きくなって磁気特性が低下し、また熱伝達率も低下するために好ましくない。したがって、酸化膜の厚さは1μm以下、より好ましくは500nm以下であることが望ましい。一方本発明の効果を有効とするには、酸化膜の厚さは10nm以上、より好ましくは50nm以上であることが望ましい。
磁性粉末をアルコキシド溶液から取り出した後、粉末を乾燥させる。乾燥工程は一般的なもので、大気中、真空中、不活性雰囲気中いずれでも良く、溶媒や水が蒸発する温度で(50〜300℃)で30〜10時間乾燥すれば良い。磁性粉末表面の酸化膜を安定とするためには、乾燥温度は200℃以上であることが好ましい。逆に乾燥温度が300℃以上では、水素を含む粉末では脱水素反応が開始するため好ましくない。
本発明による合金粉末は、組成式でR(TM1-Xbc(但し、RはLaを必須として必要によりCe、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb,Dy、Ho、Er、Tm、Y、Luからなる希土類元素の1種以上を含み、TMはFeを必須として必要余によりTi、V、Cr、Mn、Co、Ni、Cu、Znからなる遷移金属元素群より選択される1種以上を含み、MはSiを必須として必要によりAl、Ga、Ge、Snからなる元素群より選択される少なくとも1種以上を含み、かつ、原子%で5.5≦a≦7.5、80.5≦b≦92.5、0<c≦14、0.75≦X≦0.95)で表記されるものが好ましい。
この磁性合金は液体窒素温度においては強磁性を示し、常温では水素と窒素の固溶量により、強磁性あるいは常磁性を示す。ここで、実質的に結晶構造がNaZn13単相からなる、とは組織の95%以上がNaZn13相で構成されることを示す。
希土類量aが5.5原子%未満あるいはbが92.5原子%超では、希土類元素が不足し反応生成物中に強磁性のFe-Si相が析出するため好ましくない。またaが7.5原子%超あるいはbが80.5原子%未満では、希土類元素が過剰となり合金中にRTMやRTMなどの希土類リッチな非磁性相あるいは希土類酸化物等が生成されるため水素吸蔵後の磁気熱量効果を低下させる。
R元素の内、Laは50原子%以下とすることが好ましい。Laが50原子%を超えるとR元素を含む異相が析出し、実質的にNaZn13相単相とならないため好ましくない。Laの一部を50原子%以下の範囲で置換することにより、磁気変態温度(キュリー温度)を意図的に変えることが可能となる。
また、Feの一部をTi、V、Cr、Mn、Co、Ni、Cu、Znより選択される1種または1種以上で置換することにより、α鉄の析出を抑制したり、キュリー温度を制御したり、粉末の耐食性を改善したりすることが可能である。Fe量が少ないと磁気特性(飽和磁化)が低下するため、Fe量は75原子%以上が好ましい。
水素量cは磁気熱量効果そのものには直接影響を及ぼさないが、cが増加すると結晶格子が膨張し磁気変態温度が上昇する。cの量を14原子%以下の範囲に制御することによりキュリー温度を245〜330Kの温度域で制御することが可能である。
また、水素の一部が窒素に置換されてても良い。水素と窒素が共存する雰囲気ガス中で、適正な反応温度と反応時間、水素濃度を選択することにより、短時間で所定の水素量が固溶した均一な合金が得られる。水素および窒素を含む反応ガス中550〜700Kで、0.5〜5時間、好ましくは1〜3時間熱処理することにより、水素および窒素吸収分布が均一な磁性粉末を得ることが可能である。反応ガスとしては、水素と窒素の混合ガス、水素とアンモニアの混合ガス、アンモニアガスなどが使用できる。合金組成中の窒素は、原子%で0.07≦d<5.0の範囲にすることが好ましい。
以下実施例により、本発明の効果を説明するが、本発明の効果はこれに限定されるものではない。
(実施例1)
原子%で、La6.5%、Fe71.9%、Si9.7%、H11.9%なる組成のLa-Fe-Si-H合金粉末500gを、テトラアルコキシシラン(関東化学)/IPA溶液と混合し、プロペラ攪拌機を用いて3時間攪拌混合した。その後、合金粉末とテトラアルコキシシラン(関東化学)/IPA溶液を分離し、100℃で1時間乾燥させた。乾燥させた粉末をさらに250℃で3時間熱処理し、シリカ被覆を施したLa-Fe-Si-H系の磁気冷凍作業物質とした。粉末断面のSEM写真により測定したシリカ膜厚は、240μmであった。この粉末の耐候性を85℃で相対湿度85%の環境に2000時間まで暴露し、粉末表面の錆びの発生状況および77Kでの飽和磁化の経時変化を測定することにより評価した。比較試料には、被覆なしの同一組成の粉末を用いた。
表1および表2に示すように、被覆なし粉末では500時間以上の暴露で粉末表面に赤錆が発生し、200時間暴露後の飽和磁化が約10%低下した。一方、シリカを被覆した粉末では、赤錆の発生がなく飽和磁化の低下はないことがわかった。
Figure 2009253107
Figure 2009253107
原子%で、La6.6%、Fe73.8%、Si10.0%、H9.6%なる組成のLa-Fe-Si-H合金粉末500gを、テトラアルコキシシラン(関東化学)/IPA溶液と混合し、プロペラ攪拌機を用いて3時間攪拌混合した。その後、合金粉末とテトラアルコキシシラン(関東化学)/IPA溶液を分離し、100℃で1時間乾燥させた。乾燥させた粉末を250℃で3時間熱処理し、シリカ被覆施したLa-Fe-Si-H粉末とした。IPA溶液中のテトラアルコキシシランの濃度を変えることにより、皮膜厚さを0.1〜1μmまで変えた。これらの粉末を、水/エタノール混合水中に10,000時間まで浸漬したところ、皮膜なし粉末を除いて錆びの発生は認められなかった。また浸漬前後の、77Kの飽和磁化を比較したところ被覆なし粉末では磁化が15%低下したが、被覆粉末では飽和磁化の低下はみられなかった。結果を表3に示す。
Figure 2009253107
原子%で、La6.6%、Fe73.8%、Si10.0%、H9.6%の組成のLa-Fe-Si-H合金粉末500 gを無水エタノール中で攪拌しながら、チタンイソプロポキシド(Ti[OCH(CH3)2]4)を添加し、さらに無水エタノールで希釈したH2Oを添加して、3時間攪拌混合した。その後、合金粉末と攪拌溶液を分離し、100℃で1時間乾燥させた。乾燥させた粉末を250℃で3時間熱処理をし、酸化チタン被覆La-Fe-Si-H粉末とした。チタンイソプロポキシドの代わりにアルミニウムイソプロポキシド(Al[OCH(CH3)2]3)、ジルコニウムブトキシド(Zr(OC4H9)4)をそれぞれ添加し同様の処理を行うことによって、それぞれ、アルミナ、ジルコニア被覆La-Fe-Si-H粉末を得た。また、チタンイソプロポキシドの代わりに、テトラエトキシシランとジルコニウムブトキシドを95:5の割合で添加することによってシリカ-ジルコニア複合被覆La-Fe-Si-H粉末を得た。
粉末断面のSEM写真により測定した各皮膜の膜厚は200 nmであった。この粉末の耐候性を温度85℃、相対湿度85%の環境に2000時間まで暴露し、粉末表面の錆の発生状況および77Kでの飽和磁化の経時変化を測定することにより評価した。表4に示すように、被覆をした粉末はいずれも2000 時間経過後も赤錆の発生は見られなかった。
Figure 2009253107

Claims (5)

  1. 実質的にNaZn13型結晶構造を有する化合物相により構成される粉末状の磁気冷凍作業物質であって、粉末表面の全体あるいは一部にアルコキシド溶液による耐食性酸化膜が形成されたことを特徴とする磁気冷凍作業物質。
  2. 前記耐食性酸化膜は皮膜厚さが10nm以上1μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の磁気冷凍作業物質。
  3. 前記耐食性酸化膜が、SiO、TiO、MgO、Al、Zrの1種あるいは1種以上から形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の磁気冷凍作業物質。
  4. 前記磁気冷凍作業物質は、組成式でR(TM1-Xbc(但し、RはLaを必須として必要によりCe、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb,Dy、Ho、Er、Tm、Y、Luからなる希土類元素の1種以上を含み、TMはFeを必須として必要によりTi、V、Cr、Mn、Co、Ni、Cu、Znからなる遷移金属元素群より選択される1種以上を含み、MはSiを必須として必要によりAl、Ga、Ge、Snからなる元素群より選択される少なくとも1種以上を含み、かつ、原子%で5.5≦a≦7.5、80.5≦b≦92.5、0<c≦14、0.75≦X≦0.95)で表記されるものであることを特徴とする請求項1乃至請求項3に記載の磁気冷凍作業物質。
  5. Fe、SiおよびLaを主成分とする磁性粉末をpH6〜12で金属アルコキシド濃度が10mmol/L〜5mol/Lのアルコキシド溶液に30分〜5時間浸漬し、攪拌した後、前記磁性粉末を分離して85〜300℃で脱水縮合させることで10〜500nmの酸化物皮膜を形成することを特徴とする記載の磁気冷凍作業物質の製造方法。
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