JP2009253016A - 太陽電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】柔軟で、耐久性に富み、そして光透過率が高く、電池としての能力が高く、低廉なコストで得られる太陽電池を提供する。
【解決手段】基板上に少なくとも導電層が設けられた電極基板を有する太陽電池であって、導電層は金属ナノワイヤを用いて構成される。この金属ナノワイヤは互いに絡み合ったもので、交点箇所において圧着されていることが望ましい。また、金属ナノワイヤの材質としては銀が望ましく保護層が設けられていることが望ましい。
【選択図】図2

Description

本発明は太陽電池に関する。特に、金属ナノワイヤが用いられて構成された導電層を備えた電極基板を有する太陽電池に関する。
近年、色素増感型太陽電池が注目を集めている。例えば、表面、即ち、光の入射する側から、ガラス板または樹脂シート、透明導電層、二酸化チタンコロイド発電層、白金ペースト電極層、フレキシブル反射性基材層が、順に積層され、かつ、背面側からシール用積層フィルムを重ねてシールしてなる有機太陽電池の製造方法であって、中間層の二酸化チタンコロイド発電層と白金ペースト電極層とフレキシブル反射性基材層との積層体を、フレキシブル反射性基材層を基材として、その上に白金ペースト電極層と二酸化チタンコロイド発電層とをそれぞれ巻き取り供給方式のコーティング手段で塗布、乾燥して形成することを特徴とする有機太陽電池の製造方法が提案(特開2000−91609)されている。
又、シングルウォールカーボンナノチューブ、マルチウォールカーボンナノチューブ、及びカーボンナノファイバーの群より選択された直径がナノメートルサイズの繊維状炭素からなるナノカーボン膜を電極としたことを特徴とする色素増感型太陽電池が提案(特開2004−111216)されている。
又、樹脂基板の片面に透明高屈折率膜と金属膜とを積層してなる透明電極を形成する工程と、上記透明電極の表面を水酸化アルカリ金属のエタノール溶液で表面処理する工程と、上記表面処理済み透明電極の表面に、酸化チタンを水に分散させた水分散酸化チタンペーストをスピンコート法により塗布する工程と、上記透明電極の表面に塗布した水分散酸化チタンペーストを低温で加熱処理して酸化チタン多孔質膜を形成する工程と、上記酸化チタン多孔質膜に色素を吸着させる工程とを備えた色素増感型太陽電池の製法、及び前記製法によって得られる色素増感型太陽電池が提案(特開2004−119129)されている。
特開2000−91609 特開2004−111216 特開2004−119129
さて、上記提案の太陽電池には各種の問題点が有ることが判って来た。すなわち、問題点についての検討が、鋭意、推し進められて行った結果、特許文献1のものでは、透明導電層が酸化錫やインジウム錫酸化物で構成されていたことから、柔軟性に乏しく、フィルム状に巻き取った場合に、損傷する頻度が高かったからであることが判った。透明導電層がカーボンナノチューブで構成された特許文献2のものでも、耐久性に劣るものであった。又、透明導電層が金属膜で構成された特許文献3のものでは、基本的に、光透過率が低く、電池としての能力が低いものであることが判った。
従って、本発明が解決しようとする課題は、柔軟で、耐久性に富み、そして光透過率が高く、電池としての能力が高く、低廉なコストで得られる太陽電池を提供することである。
前記の課題は、
基板上に少なくとも導電層が設けられた電極基板を有する太陽電池であって、
前記導電層は金属ナノワイヤが用いられて構成されてなる
ことを特徴とする太陽電池によって解決される。
特に、基板上に少なくとも導電層が設けられた電極基板を有する太陽電池であって、
前記導電層は金属ナノワイヤが用いられて構成されてなり、
前記金属ナノワイヤは絡み合っている
ことを特徴とする太陽電池によって解決される。
中でも、上記の太陽電池であって、金属ナノワイヤ同士の交点箇所において、金属ナノワイヤは圧着されてなることを特徴とする太陽電池によって解決される。
更には、上記の太陽電池であって、金属ナノワイヤが銀ナノワイヤであることを特徴とする太陽電池によって解決される。
又、上記の太陽電池であって、導電層上に保護層が設けられてなることを特徴とする太陽電池によって解決される。
又、上記の太陽電池であって、色素の酸化還元反応を利用した太陽電池であることを特徴とする太陽電池によって解決される。
太陽電池の電極基板の導電層を金属ナノワイヤで構成させたので、導電層が柔軟である。そして、耐久性に富む。すなわち、基板を樹脂フィルムあるいは樹脂シートで構成させても、この柔軟性を有する基板の撓みに導電層も容易に追随でき、損傷が起き難い。そして、長尺状のものを巻き取ることが出来、即ち、連続成膜が可能になり、低廉なコストで得られる。更には、電極基板の光透過率が高く、光電変換効率が高く、能力が高い太陽電池である。
尚、金属ナノワイヤに関しては、従来からも知られている。例えば、特開2002−266007号公報、特開2004−223693号公報、特開2005−317395号公報、特開2007−115687号公報、特開2007−290045号公報、特開2008−38173号公報、米国特許出願公開2005−056118号公報、Nano Letters 2003 Vol.3,No.5 667〜669においても開示が有る。
しかしながら、何れの文献にあっても、金属ナノワイヤの用途に関しては触れる処が無い。例えば、金属ナノワイヤがナノ電子部品やナノ磁性材料として電子・情報・エレクトロニクス分野において利用可能とは示されているものの、又、導電性塗料組成物や導電性塗膜または配線材料や導電性フィルムへの用途が開示されているものの、具体的に、如何なる製品に好適であるかは示唆すら無い。
特に、太陽電池に応用したならば、優れた太陽電池が得られることを想起させる記載は皆無である。従って、上記文献からは本発明を想到せしめる動機付けが得られない。
本発明は太陽電池である。特に、基板上に少なくとも導電層が設けられた電極基板を有する太陽電池である。そして、前記導電層は金属ナノワイヤが用いられて構成されたものである。金属ナノワイヤは、特に、互いに、絡み合った(例えば、網の如くになった)ものである。すなわち、導電層を構成する金属ナノワイヤが、特に、絡み合ったものであると、金属ナノワイヤ同士は、複数個所で互いに接触しており、これによって導電性が十分に確保されたものとなっている。又、金属ナノワイヤ同士の交点箇所において、金属ナノワイヤは圧着されている。これによって、導電性が更に向上する。尚、金属ナノワイヤは、特に好ましくは、銀ナノワイヤである。そして、前記導電層上には、好ましくは、保護層が設けられる。又、好ましくは、色素の酸化還元反応を利用したタイプの太陽電池である。
以下、更に、詳しく説明する。
本発明は導電層を必要とする太陽電池である。例えば、色素増感型太陽電池、単結晶シリコン系太陽電池、多結晶シリコン系太陽電池、アモルファスシリコン系太陽電池などの間接遷移型半導体を用いた太陽電池が挙げられる。又、CuInSe2(CIS),Cu(In,Ga)Se2(CIGS)等の直接遷移型半導体を用いた太陽電池も挙げられる。但し、特に好ましくは色素増感型太陽電池である。
太陽電池の層構成には格別な制限は無い。例えば、色素増感型太陽電池では、透明基板/透明電極層/光触媒層/電解質層/透明電極層/基板の層構成が一例として挙げられる。シリコン系太陽電池では、透明基板/透明電極/p型半導体/n型半導体の層構成が一例として挙げられる。CIS系太陽電池では、基板/電極/光吸収層/バッファー層/透明電極層/反射防止層の層構成が一例として挙げられる。
尚、上述した通り、本発明は、色素増感型太陽電池に好適に用いられる。従って、以下では、色素増感型太陽電池について詳しく説明する。
基板は2枚必要である。この2枚の基板の中の少なくとも一方は、光透過性を有することが要請される。具体的には、全光線透過率が80%以上、100%以下である。そして、好ましくは、シート状またはフィルム状のものが用いられる。
基板の材質に格別な制限は無い。例えば、ガラスなどのセラミックが挙げられる。又、ポリエステル樹脂、セルロース樹脂、ビニルアルコール樹脂、塩化ビニル樹脂、シクロオレフィン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ABS樹脂などの熱可塑性樹脂が挙げられる。その他にも、光硬化性樹脂や熱硬化性樹脂などが挙げられる。尚、好ましくは、柔軟性の観点から、樹脂製のものである。
基板の厚みは用途によって決まる。シート状の場合には、例えば500μm〜10mmである。フィルム状の場合には、例えば10μm〜500μmである。
光触媒層には、例えばアナターゼ型酸化チタン、ルチル型酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫、三酸化二ビスマス等の酸化物が用いられる。中でも、ゾル状のアナターゼ型酸化チタンTiOは好ましいものである。それは、ゾル状のアナターゼ型酸化チタンTiOは、接触する相手側が親水性であると、極めて平滑な面を構成するからである。
光触媒層の膜厚は、アナターゼ型TiOが用いられた場合、0.01μm〜10μmであることが好ましい。それは、膜厚が0.01μm未満の薄い場合には、ピンホール等の塗装の欠陥などの不具合が起き易いからである。逆に、膜厚が10μmを越えて厚くなり過ぎると、透過率が低くなるからである。
光触媒層は、酸化チタンTiOの表面にルテニウム錯体からなる色素層を形成(或いは、吸着)させて構成される。斯かる色素としては、太陽光の波長範囲に吸収機能が改善される物質であれば良い。例えば、クロロフィルやローダミンを用いることも出来る。
電解質層にはレドックス酸化還元溶液が用いられる。具体的には、光の照射と電子の供給によって異なる複数の酸化の状態の間を迅速に変化する陰イオンのカップルを電解質として用いることが出来る。このような性質の陰イオンカップルとしては、ヨウ素(I- /I3-)、臭素(Br2-/Br-)、塩素(ClO- /Cl- )などのハロゲンカップルが挙げられる。イオン化の程度はI>Br>Clである。尚、電解液は布、紙等にて代表される多孔質材に含浸して使用しても良い。
以下、本発明になる太陽電池の導電層について述べる。
本発明における導電層は金属ナノワイヤを用いて構成される。金属ナノワイヤは、短軸方向の直径が、例えば1μm以下のものである。そして、ワイヤ形状を呈するものであれば良い。但し、分岐している形状や、粒子を数珠状に繋げた形状よりも、直線状のものが好ましい。なぜならば、直線状の金属ナノワイヤを用いた場合が、最も、効率的に導電回路を作製できたからである。尚、金属ナノワイヤの剛性が低くてバナナ状に湾曲していたり、折れ曲がったりしている場合であっても、これ等のものも、本発明にあっては、直線状金属ナノワイヤであると見做す。直線状の金属ナノワイヤは、その短軸方向の長さが、好ましくは、1nm〜1μmである。更に好ましくは、10nm以上である。そして、500nm以下である。これは、短軸方向の長さが長すぎる(大きすぎる)と、光透過率が低下するからである。すなわち、太陽電池における導電層としては透明性の確保も大事な要件であるからによる。尚、好ましい下限値を上記のように限定したのは合成上の理由である。すなわち、小さすぎると、合成が困難である。長軸方向の長さは、好ましくは、1μm〜1mmである。更に好ましくは、10μm以上である。そして、100μm以下である。これは、長軸方向の長さが短すぎると、導電性が低下するからである。逆に、長すぎると、取扱が困難になる。尚、金属ナノワイヤの形状や大きさは、走査型電子顕微鏡や透過型電子顕微鏡によって確認できる。
金属ナノワイヤの材質は金属である。金属酸化物や窒化物などのセラミックは含まれない。なぜならば、セラミック製のナノワイヤは、圧着によって容易に塑性変形しない為、圧着によっても互いの接続が綺麗に出来ず、接触抵抗が小さくなり難い。そして、導電性が、金属ナノワイヤの導電性に比べて劣るからである。金属ナノワイヤの原料金属としては、例えば鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、カドミウム、オスミウム、イリジウム、白金、金などが用いられる。但し、導電性の観点から、好ましくは、銅、銀、白金、金である。中でも、銀である。すなわち、金属ナノワイヤは銀ナノワイヤが最も好ましい。
金属ナノワイヤは各種の方法で合成できる。例えば、上記した公報や文献に沿って合成できる。例えば、特開2004−223693号公報には、溶液中で硝酸銀を還元する方法や、前駆体表面にプローブの先端部から印加電圧又は電流を作用させ、プローブ先端部で金属ナノワイヤを引き出し、該金属ナノワイヤを連続的に形成する方法が開示されている。又、特開2002−266007号公報には、金属複合化ペプチド脂質からなるナノファイバを還元する方法が開示されている。又、米国特許出願公開2005−056118号公報には、エチレングリコール中で加熱しながら還元する方法が開示されている。又、「Nano Letters 2003 Vol.3,No.5 667〜669」には、クエン酸ナトリウム中で還元する方法が開示されている。勿論、これ等の文献以外の手法が採用されても良い。尚、エチレングリコール中で加熱しながら還元する方法が最も容易に直線状金属ナノワイヤを入手できる。
本発明の導電層は、上記金属ナノワイヤが網目状に分散している透明導電層であることが好ましい。ここで、「網目状に分散」とは、「金属ナノワイヤが或る間隔を空けて略等方的に存在している状態」を意味する。例えば、「一方向を向いて配列している状態」や、「間隔を空けずに密集している状態」は除外される。その理由は、間隔が空いて無いと、光透過率が低下するからである。そして、一方向を向いている場合は、ナノワイヤ同士の交点が出来ず、面方向の導電性が得られ難いからである。
本発明の透明導電層にあっては、金属ナノワイヤ同士は互いに接触している。そして、特に好ましくは、金属ナノワイヤ同士が交差しており、この交点部分において、圧着によって互いに繋がったものとなっていることである。すなわち、交点部分を圧着することによって、塑性変形が生じ、金属ナノワイヤ間の接触抵抗が小さくなる。その結果、導電層の表面抵抗が小さくなるからである。尚、「金属ナノワイヤ同士の交点部分」とは、金属ナノワイヤが網目状に分散している導電層を真上から見て、「金属ナノワイヤが重なって見える部分」である。そして、圧着されているとは、当該交点部分が変形し、金属ナノワイヤの接触面積が互いに大きくなっている状態を意味する。尚、本発明においては、当該交点部分が全て圧着されている必要は無い。一部分であっても良い。なぜならば、一部分のみが圧着されているだけであっても、導電層の表面抵抗が低下するからである。尚、金属ナノワイヤ同士の交点部分が圧着されているか否かの判断は、走査型電子顕微鏡や透過型電子顕微鏡による当該交点部分の変形の有無を確認することで行なえる。
本発明になる導電層は、本発明の効果を損なわない範囲において、金属ナノワイヤ以外の成分を有しても良い。例えば、ポリエステル樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂、ビニルアルコール樹脂、ビニル樹脂、シクロオレフィン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ABS樹脂、天然高分子などの熱可塑性樹脂、アクリル系やオキセタン系などの光硬化性樹脂、エポキシ系やメラミン系あるいはシリコン系などの熱硬化性樹脂などのバインダ樹脂を有しても良い。尚、金属ナノワイヤの生成方法としてエチレングリコール中で加熱しながら還元する方法に代表されるポリオール還元を採用する場合、そしてバインダを用いる場合には、このバインダは、溶媒との相性から、即ち、アルコール或いは水に可溶なバインダが用いられることが好ましい。例えば、ポリビニルアルコール、ポリブチラール、部分的に加水分解されたポリ(酢酸ビニル/ビニルアルコール)、ポリビニルピロリドン、セルロースエステル、セルロースエーテル、ポリオキサゾリン、ポリビニルアセトアミド、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリアクリロニトリル、ポリハイドロキシエチルメタクリレート、ポリアルキレンオキシド、スルホン化もしくはリン酸化されたポリエステルおよびポリスチレン、キチン、キトサン、寒天、ゼラチン、ポリ乳酸−ポリエチレングリコール共重合体、ポリビニルアミン、ポリビニル硫酸、ポリビニルスルホン酸、ポリグリコール酸、ポリエチレングリコール等である。又、上記バインダの他にも、界面活性剤や顔料等を有しても良い。又、多層カーボンナノチューブ或いは単層カーボンナノチューブ等のカーボンナノチューブ(透明性の観点から、好ましくは、単層カーボンナノチューブ)を有しても良い。又、フラーレンを有しても良い。金属ナノワイヤとバインダなどの他の成分との配合比率は適宜設定できる。しかしながら、金属ナノワイヤの配合比が少なすぎると、導電性が低下する。従って、導電層全体に占める金属ナノワイヤは、少なくとも10質量%以上有ることが好ましい。更に好ましくは30質量%以上である。尚、金属ナノワイヤのみであっても良いが、導電層を構成する為、上記したバインダ樹脂が用いられることは好ましい。従って、理論的には、導電層における金属ナノワイヤの上限値は100%であるが、好ましくは90質量%以下である。更には、60質量%以下である。
透明導電層が設けられる透明基板と該透明導電層との間の密着性が低い場合、或いは透明導電層の膜強度が低い場合には、透明導電層上に保護層を設けることが好ましい。保護層に用いる材料には格別な制限は無い。但し、好ましくは、光透過性を有することである。例えば、ポリエステル樹脂、セルロース樹脂、ビニルアルコール樹脂、ビニル樹脂、シクロオレフィン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ABS樹脂などの熱可塑性樹脂が挙げられる。又、光硬化性樹脂が挙げられる。又、シラン系やエポキシ系などの熱硬化性樹脂も挙げられる。尚、保護層の材料が透明性を有することが好ましいことは上述した通りであるが、透明基板との密着性が高いことも好ましい要件である。この観点から、保護層の材料は、基板と同系の材料が好ましい。例えば、基板がポリエステル樹脂の場合には、保護層もポリエステル樹脂であることが好ましい。或いは、導電層を形成する以外の工程で加熱工程が有る場合には、シラン系などの熱硬化性樹脂と言った耐熱性の高い材料が用いられることも好ましい。尚、保護層は、その厚さが厚すぎると、透明導電層の接触抵抗が大きくなる。逆に、薄すぎると、保護層としての効果が奏され難い。従って、保護層の厚さは、好ましくは、1nm〜1μmである。更に好ましくは10nm以上である。そして、100nm以下である。
又、カラーフィルター層を設けることも出来る。
尚、色素増感型太陽電池以外の太陽電池も上述の導電層を利用できる。
本発明による透明導電層の表面抵抗値は、0.1Ω/□〜100000Ω/□であることが好ましい。更には、1Ω/□以上であることが好ましい。又、1000Ω/□以下であることが好ましい。特に、100Ω/□以下であることが好ましい。中でも、10Ω/□以下であることが好ましい。それは、表面抵抗値が高すぎると、電極等として利用できる可能性が低下するからである。逆に、表面抵抗値が低すぎると、光透過率が低下し、太陽電池としての基本的性能(発電能力)が低下するからである。本発明に用いる導電層の全光線透過率は用いる基材によっても異なるが、全光線透過率が60%以上であることが好ましい。更に好ましくは70%以上である。もっと好ましくは80%以上である。透過率は100%であっても良いが、現実的には、上限値は99%程度である。そして、90%以下が好ましい。それは、全光線透過率が高すぎると、引き替えに、表面抵抗値が高くなり過ぎ、電極等として利用できる可能性が低下するからである。尚、全光線透過率が低すぎると、太陽電池としての基本的性能(発電能力)が低下するからである。
本発明の太陽電池は以下の工程にて作製できる。
工程1:金属ナノワイヤ同士が互いに接触するように金属ナノワイヤを基板上に塗布する工程
工程2:工程1により塗布された金属ナノワイヤの交点部分を圧着して導電層を得る工程
工程3:工程2で得られた電極基板上に光電変換層を形成する工程
尚、工程1〜工程3はこの順番で行なわれることが好ましい。
以下、各々の工程を更に詳しく説明する。
[工程1]
本工程は、所謂、ウェットコートによって行なわれる。例えば、PVDやCVDの手法は用いられ無い。すなわち、物理蒸着法や化学蒸着法などの真空蒸着法や、プラズマ発生技術を用いたイオンプレーティング法やスパッタリング法などのドライコートは用いられ無い。ここで、ウェットコートとは、基板上に液体を塗布することによって成膜するプロセスを指す。尚、ウェットコートには格別な制限は無い。例えば、スプレーコート、バーコート、ロールコート、ダイコート、インクジェットコート、スクリーンコート、ディップコート、凸版印刷法、凹版印刷法、グラビア印刷法などを用いることが出来る。そして、塗布する方法や材料の条件によっては、本工程の後で基板を加熱し、塗布材料中の溶媒を除去するプロセスや、分散剤など成膜した透明導電層中に含まれる不純物を洗浄によって洗い流すプロセスなどが含まれていても良い。
本工程は、1回だけではなく、複数回繰り返して行なわれても良い。塗布条件によっては、1回の塗布で所望の膜厚に達しない場合も有るからである。
塗布後における塗膜中に含まれている溶剤の除去は適宜な手法が用いられる。例えば、加熱炉や遠赤外炉などを用いての加熱(乾燥)によって溶剤を除去できる。真空乾燥などの手法を用いることも出来る。
[工程2]
本工程は金属ナノワイヤの交点部分を圧着して導電層を得る工程である。すなわち、直線状の金属ナノワイヤが網目状に分散している透明導電層を、真上から見て、金属ナノワイヤが重なって見える部分を変形させ、金属ナノワイヤの接触面積が互いに大きくなる状態にする工程である。本工程によって、金属ナノワイヤ間の接触抵抗が下がることになる。具体的には、透明導電層の膜面を加圧する方法が挙げられる。本工程は格別な制限は無い。例えば、工程1で得られた膜を硬質平面上に固定し、硬質棒で点加圧し、加圧点を移動させることによって面加圧する方法や、2本のロールの間に工程1で得られた膜を挟み込んで線加圧し、ロールを回転させることによって面全体を加圧する方法などが挙げられる。
加圧時の圧力は金属ナノワイヤが変形する程度のものであれば良い。好ましくは、1kgf/cm〜100kgf/cmである。更に好ましくは10kgf/cm以上である。そして、50kgf/cm以下である。
ロールによって圧着させる場合は、基材の送り速度(ライン速度)も実用的な範囲において適宜選択すれば良い。好ましくは、10mm/分〜10000mm/分である。更に好ましくは10mm/分以上である。そして、100mm/分以下である。これは、速すぎると、十分な加圧時間が取れないからである。しかしながら、ロールの本数を増やすことで、圧着回数を増やし、加圧時間を増やすことも可能である。
尚、工程1のみで所望の表面抵抗値が得られている場合は、本工程を省略することも可能である。
[工程3]
工程2で得られた電極基板上に光電変換層を形成する工程である。そして、目的とする太陽電池の形式、即ち、色素増感型太陽電池、シリコン系太陽電池、CIGS系太陽電池にもよって異なるが、何れも公知の方法を用いることが出来る。尚、本工程において加熱する工程が有る場合は、1500℃以下であることが好ましい。それは、金属ナノワイヤが蒸発する恐れも有るからによる。
[工程2a]
尚、上記工程2と工程3との間に、工程2a「工程2で得られた導電層上に保護層を形成する工程」を設けても良い。
本工程は、導電層との密着性が低い基材を用いる場合、導電層の膜強度が低い場合に用いることが好ましい。保護層を形成する方法としては各種の手法を採用できる。但し、ウェットコートによることが好ましい。それは、生産効率が高いからである。具体的には、例えばスプレーコート、バーコート、ロールコート、ダイコート、インクジェットコート、スクリーンコート、ディップコート等を用いることが出来る。本工程は導電層上に行う為、塗工装置が基板に接触しないコート法が好ましい。具体的には、スプレーコート、ダイコート、インクジェットコート、ディップコート等が挙げられる。
又、塗布する方法や材料の条件によっては工程2aの後に基板を加熱し、塗布した材料に用いた溶媒を除去するプロセスを経ることも可能である。
以下、具体的実施例を挙げて本発明を説明する。
[実施例1]
[銀ナノワイヤ分散液の調製]
1Lの三口フラスコに、エチレングリコール(和光純薬工業社製)333.9g、塩化ナトリウム(和光純薬工業社製)48ng、及びトリス(2,4−ペンタンジオネート)鉄(III)(アルドリッチ社製)41ngを投入し、160℃に加熱した。
上記混合溶液中に、エチレングリコール(和光純薬工業社製)200g、塩化ナトリウム(和光純薬工業社製)29ng、トリス(2,4−ペンタンジオネート)鉄(III)(アルドリッチ社製)25ng、及び硝酸銀(和光純薬工業社製)2.88gからなる混合溶液と、エチレングリコール(和光純薬工業社製)200g、塩化ナトリウム(和光純薬工業社製)2.1mg、トリス(2,4−ペンタンジオネート)鉄(III)(アルドリッチ社製)128ng、及びポリビニルピロリドン(Mw.55000 アルドリッチ社製)3.1gからなる混合溶液とを6分間で滴下し、そして3時間に亘って攪拌し、銀ナノワイヤの分散液を得た。
このようにして得られた銀ナノワイヤを走査型電子顕微鏡にて観察した結果を図1および図2に記す。この写真から、本実施例で得られた銀ナノワイヤの長軸方向の長さは3μm〜20μmであり、短軸方向の長さは100nm〜300nmであることが判った。
[電極基板の作製]
上記銀ナノワイヤの分散液を遠心分離(装置名:高速冷却遠心機CR22GII 日立工機社製 3000G×5分間)し、残渣を水と2−プロパノールとの混合溶液(50/50vol%)10mlに分散させた。尚、この分散液中の固形分濃度は1.3wt%であった。
そして、この銀ナノワイヤ分散液をウェット膜厚が3μmになるようにPETフィルム(商品名:コスモシャインA4100 東洋紡社製)上にバーコートした。そして、80℃で3分間乾燥し、積層膜を得た。
得られた積層膜を離型紙を介してメノウ乳棒で擦り、銀ナノワイヤの交点部分を圧着し、透明導電層を得た。
尚、得られた透明導電層付基板の全光線透過率を直読ヘーズコンピュータ(スガ試験機社製)で調べた処、全光線透過率は83%であった。又、表面抵抗値をロレスタ−FP(ダイアインスツルメンツ社製)で調べた処、表面抵抗値は30Ω/□であった。
そして、透明導電層上にポリエステル樹脂(商品名バイロンUR−4800 東洋紡社製)を膜厚が10nmになるようにスプレーコートた。
そして、このようにして得られた電極基板を一定の半径を持つ棒に巻き付け、一定荷重で引っ張りながら表面抵抗を2端子法にて測定し、表面抵抗値が急激に上昇した半径を限界曲率半径として求めた処、限界曲率半径は2mm以下であった。すなわち、柔軟性に富んでいることが判る。
[太陽電池の作製]
酸化チタンパウダー(旭産業株式会社製)3gと、硝酸水溶液(pH4)4mlと、エタノール13mlとを混合し、1分間に亘って超音波照射し、酸化チタン分散液を作製した。この酸化チタン分散液を上記電極基板上に膜厚50μmになるように塗工し、室温で5分間に亘って乾燥させた(図3参照)。
この後、電気炉(ADVANTEC社製)にて窒素雰囲気下450℃で30分間焼成した。
一方、マローブルー(旭産業株式会社製)を蒸留水に浸漬し、マローブルー水溶液を作製した。そして、上記焼成した電極をマローブルー水溶液に浸漬し、酸化チタン層に吸着させた。
次に、上記酸化チタン層付電極と、未処理の電極とを電極同士が向き合うように重ね、対向する2辺を常温硬化型エポキシ樹脂(商品名 クイック5 コニシ株式会社製)で固定した。
この後、ヨウ化物電解質溶液(0.5Mヨウ化カリウム溶液と0.05Mヨウ素溶液との混合物)を電極間に注入し、色素増感型太陽電池を作製した(図4,5参照)。
そして、上記のようにして得られた太陽電池にUV照射装置(商品名 トスキュア401 ハリソン東芝ライティング社製)でUVを照射した処、電気出力特性は電圧500mV、電流5.3μAであった。
[比較例1]
銀ナノワイヤを用いて導電層を構成する代わりに、カーボンナノチューブを用いて導電層を構成した以外は実施例1に準じて行なった。
このようにして得られた太陽電池にUV照射装置でUVを照射した処、電気出力特性は電圧260mV、電流2.1μAであった。
銀ナノワイヤの走査型電子顕微鏡写真 銀ナノワイヤの走査型電子顕微鏡写真 電極の構成図(上面図) 太陽電池セルの構成図(上面図) 太陽電池セルの構成図(断面図)
符号の説明
1 酸化チタン層
2,4 透明電極基板
3 エポキシ樹脂
5 電解質溶液

特許出願人 株式会社クラレ
代 理 人 宇 高 克 己

Claims (6)

  1. 基板上に少なくとも導電層が設けられた電極基板を有する太陽電池であって、
    前記導電層は金属ナノワイヤが用いられて構成されてなる
    ことを特徴とする太陽電池。
  2. 基板上に少なくとも導電層が設けられた電極基板を有する太陽電池であって、
    前記導電層は金属ナノワイヤが用いられて構成されてなり、
    前記金属ナノワイヤは絡み合っている
    ことを特徴とする太陽電池。
  3. 金属ナノワイヤ同士の交点箇所において、金属ナノワイヤは圧着されてなる
    ことを特徴とする請求項1又は請求項2の太陽電池。
  4. 金属ナノワイヤが銀ナノワイヤである
    ことを特徴とする請求項1〜請求項3いずれかの太陽電池。
  5. 導電層上に保護層が設けられてなる
    ことを特徴とする請求項1〜請求項4いずれかの太陽電池。
  6. 色素の酸化還元反応を利用した太陽電池である
    ことを特徴とする請求項1〜請求項5いずれかの太陽電池。
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