JP2009252540A - 燃料電池用電極およびそれを用いた膜電極接合体 - Google Patents

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Abstract

【課題】この発明は、燃料電池用電極およびそれを用いた膜電極接合体に関し、電極内の白金触媒が溶出することを防止しつつ、電位変動サイクルに対して耐性を有する燃料電池用の電極およびそれを用いた膜電極接合体を提供することを目的とする。
【解決手段】導電性担体に白金粒子が担持された電極触媒と、前記電極触媒の近傍、かつ、前記白金粒子がイオン化して前記電極触媒から溶出することを防止できる範囲内に配置された弱酸性高分子化合物および/または塩基性高分子化合物と、を備えることを特徴とする燃料電池用電極。
【選択図】図2

Description

この発明は、燃料電池用電極に関し、より詳細には、長時間の電位変動サイクルに対して高い耐性を有する燃料電池用電極およびそれを用いた膜電極接合体に関する。
従来、燃料電池において、その電極内の触媒粒子が溶出することに起因する性能劣化を防止する技術がある。例えば、特許文献1には、電極内に、イオン化した白金触媒を還元するトラップ材を含んだ燃料電池が開示されている。白金触媒のイオン化は、燃料電池の運転条件に応じて起こると考えられ、このイオン化した白金触媒が電極内から溶出することで、電極内の触媒量が低下し、結果、燃料電池の性能が劣化する可能性があった。このため、特許文献1では、イオン化した白金触媒をトラップ材で白金へ還元し、電極内の白金触媒量の低下を防止している。こうすることで、燃料電池の電池寿命を長くすることが可能となる。
特開2005−317467号公報
ところで、燃料電池の電池寿命をより長くするためには、燃料電池の起動および停止により生じる電位変動サイクルに対して耐性を有する必要がある。先述した特許文献1のトラップ材は、具体的には、酸化処理することで還元性官能基が表面に導入されたカーボン担体である。しかし、この表面に導入された官能基は、電位変動サイクルを繰り返すと、カーボン担体表面上から解離してしまう場合がある。そして、解離してしまった場合には、還元性官能基として機能することができなくなってしまう。したがって、特許文献1のトラップ材は、必ずしも電位変動に対して耐性を有するものではなかった。
この発明は、上述の課題を解決するためになされたものである。すなわち、電極内の白金触媒が溶出することを防止しつつ、電位変動サイクルに対して耐性を有する燃料電池用の電極およびそれを用いた膜電極接合体を提供することを目的とする。
第1の発明は、上記の目的を達成するため、燃料電池用電極であって、
導電性担体に白金粒子が担持された電極触媒と、
前記電極触媒の近傍、かつ、前記白金粒子がイオン化して前記電極触媒から溶出することを防止できる範囲内に配置された弱酸性高分子化合物および/または塩基性高分子化合物と、
を備えることを特徴とする。
また、第2の発明は、第1の発明において、
前記弱酸性高分子化合物が、リン酸基、ホスホン酸基およびカルボン酸基からなる群から選ばれる少なくとも1種を有する高分子化合物であることを特徴とする。
また、第3の発明は、第1の発明において、
前記塩基性高分子化合物が、アミノ基を有する高分子化合物であることを特徴とする。
また、第4の発明は、第1または第3の発明において、
前記塩基性高分子化合物が、ポリイミダゾール、ポリチアゾール、ポリオキサゾール、ポリ(ピリジン)、ポリ(ピリミジン)、ポリベンズイミダゾール、ポリベンズチアゾールおよびポリベンズオキサゾールからなる群から選ばれる少なくとも1つの高分子化合物であることを特徴とする。
また、第5の発明は、第1乃至第4のいずれかに記載の燃料電池用電極を用いた膜電極接合体であることを特徴とする。
第1〜第4の発明は、電極内に弱酸性高分子化合物および/または塩基性高分子化合物を含む。この高分子化合物は、電極内の白金触媒が白金イオンとなって溶出することを防止する機能を有する。このため、触媒性能の劣化を防止した燃料電池用電極を提供することができる。また、この高分子化合物は、燃料電池の作動電位範囲において安定であり、燃料電池の電位変動サイクルに対する耐性が高い。このため、電池寿命の長い燃料電池用電極を提供することができる。
第5の発明によれば、燃料電池の触媒性能劣化を防止した、電池寿命の長い燃料電池用膜電極接合体を提供することができる。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、各図において、同一または相当する部分には同一符号を付してその説明を簡略化ないし省略する。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1の燃料電池用電極を含む、燃料電池用膜電極接合体の構成を説明するための模式図である。図1に示す膜電極接合体は、固体高分子型燃料電池に用いられるものである。
図1に示す膜電極接合体は、電解質膜10を有している。この電解質膜10の両側にはアノード極20及びカソード極30が配置されている。アノード極20及びカソード極30の両外側にはセパレータ40が配置されている。アノード極20側のセパレータ40には水素経路50が接続され、水素経路50には水素供給源(図示せず)が接続されている。水素供給源から、水素経路50及びセパレータ40を介してアノード極20に水素が供給され、アノード極20から水素経路50側に未反応の水素を含むオフガスが排出される。一方、カソード極30側のセパレータ40には酸素経路60が接続されている。酸素経路60及びセパレータ40を介してカソード極30に空気が供給され、カソード極30から酸素経路60側に、未反応の酸素を含む空気オフガス、および反応により発生した水が排出される。
この膜電極接合体が燃料電池の一部として機能する場合、アノード極20およびカソード極30においては、次式(1)および(2)に示す反応が起こることになる。
アノード極:H → 2H+2e ・・・(1)
カソード極:O+4H+4e → 2HO ・・・(2)
この(1)および(2)の反応をまとめると、燃料電池全体では次式(3)のように水の生成反応が起きることになる。
2H+O → 2HO ・・・(3)
このときの電子がアノード極20およびカソード極30の集電板(図示せず)を介して移動し、これにより電流が流れて発電することになる。燃料電池においては、この上式(1)および(2)の反応が起こるように、アノード極20およびカソード極30には、白金粒子が触媒として添加されている。この白金粒子は、通常、カーボン等の導電性担体に担持された状態でアノード極20およびカソード極30に含まれている。
ところで、この白金粒子がイオン化して溶出することに起因する、燃料電池の性能劣化が知られている。図2は、白金のpH/電極電位図である。図2に示すように、白金は、強酸性の下では白金金属として存在する場合と、白金イオンとして存在する場合とがある。具体的には、白金は、強酸性の下、電極電位0.90V以下では白金金属として存在し、0.95V〜1.10Vでは白金イオンとして存在する。
この電極電位を燃料電池の作動電位とすると、電極内の白金の挙動が推定できる。すなわち、白金は、強酸性の下、燃料電池の作動電位0.90V以下では白金金属として存在し、0.95V〜1.10Vでは白金イオンとして存在すると推定できる。
そして、燃料電池の作動電位範囲は、概ね0.90V以下である。このため、白金は、電極内では、白金金属として存在することが考えられる。しかし、実際には、燃料電池を運転する、例えば、強酸性下において燃料電池の作動、停止といった電位変動を繰り返すことで、電極内の白金粒子がイオン化する場合がある。さらに、電極内からこのイオン化した白金粒子が溶出した場合には、電極内の触媒量が低下する。この結果、燃料電池の性能が劣化する場合がある。
一方、図2に示すように、弱酸性の下では、白金は、白金金属または白金酸化物として存在する。また、白金は、図2に示す弱酸性下のみならず、塩基性下であっても同様の挙動を示す。言い換えれば、弱酸性〜塩基性下では、白金は、白金イオンとして存在することはないことになる。
そこで、実施の形態1では、弱酸性高分子化合物および/または塩基性高分子化合物が、カソード極30の白金金属の近傍、かつ、白金金属がイオン化して溶出することを防止できる範囲内に配置される。こうすることで、白金金属の近傍に弱酸性〜塩基性の系を配置し、この系の近傍に移動してきた白金イオンを白金金属として変化させる。この結果、白金金属が白金イオンとなって溶出することを防止できる。
さらに、この弱酸性高分子化合物および/または塩基性高分子化合物は、上述した燃料電池の作動電位範囲において分解等することがなく安定である。このため、燃料電池を実際に運転することで作動電位の変化が繰り返されたとしても、白金粒子のイオン化を、繰り返して防止することが可能となる。
次に、図3を用いて、実施の形態1の燃料電池用電極を含む、燃料電池用膜電極接合体を詳細に説明する。図3は、図1の点線(A)で囲む部分を拡大して表した模式図である。
<カソード極>
図3に示すように、カソード極30は、カーボン等からなる導電性担体32に、白金粒子34が担持された電極用の担持体(以下、「電極触媒」ともいう。)を含む。カソード極30は、また、弱酸性高分子化合物および/または塩基性高分子化合物36を含む。
(白金粒子)
カソード極30に含まれる白金粒子34は、カソード極30における反応の活性化エネルギーを下げて、HO生成反応を進行させるために用いられる触媒である。また、この触媒の粒径(平均粒径)としては、1〜30nmであることが好ましく、1〜10nmであることがより好ましく、1〜5nmであることが特に好ましい。触媒の粒径が上記の範囲内であれば、白金粒子34の有効電極面積が増加して触媒活性が高くなることから好ましい。
(導電性担体)
カソード極30に含まれる導電性担体32としては、白金粒子34をその表面に分散して担持させるために十分な比表面積を有し、同時に、集電体として十分な電子導電性を有しているものであればよい。導電性担体32としては、導電性カーボン粒子が好ましく、好ましい導電性カーボン粒子として、カーボンブラック粒子を挙げることができる。また、導電性担体32は、BET比表面積が250〜1,600m/gであることが好ましく、700〜1,400m/gであるとより好ましい。導電性担体32のBET比表面積が上記数値の範囲内であれば、白金粒子34をその表面に高分散して担持することができるため好ましい。
(弱酸性高分子化合物)
カソード極30に含まれる弱酸性の高分子化合物は、電極触媒において、白金粒子34が白金イオン化することを防止できる、弱酸性の官能基を有する高分子化合物であることが好ましい。弱酸性の官能基を有する高分子化合物としては、具体的には、リン酸基、ホスホン酸基およびカルボン酸基からなる群から選ばれる少なくとも1種を有する高分子化合物であることが好ましい。この弱酸性を有する高分子化合物としては、リン酸基、ホスホン酸基、カルボン酸基を有する重合性モノマー1種以上を重合させた高分子化合物、または、この重合性モノマーに他の重合性モノマーを共重合させて得られる高分子化合物を好ましく例示できる。また、この弱酸性の高分子化合物は、単独で使用しても、2種以上を同時に使用しても良い。
上記リン酸基、ホスホン酸基、カルボン酸基を有する重合性モノマーとしては、これらの基を含有するアクリル、メタクリル、スチリル、ビニル、マレイル等の重合性不飽和結合を有する化合物であり、これらの基は直接又はアルキレン基、アリーレン基等の連結鎖を経て間接的に、重合性不飽和結合に連結される。
上記リン酸基、ホスホン酸基、カルボン酸基を有する重合性モノマーと共重合させるモノマー成分としては、例えば、下記(1)〜(10)に挙げる化合物を例示することができる。
(1)2−ヒドロキシエチルアクリレート又は2−ヒドロキシエチルメタクリレート等
の脂肪族水酸基を有するアクリル酸エステル類、及びメタクリル酸エステル類。
(2)アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸−2−クロロエチル、グリシジルアクリレート等のアルキルアクリレート。
(3)メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸−2−クロロエチル、グリシジルメタクリレート等のアルキルメタクリレート。
(4)アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−ヘキシルメタクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−ニトロフェニルアクリルアミド、N−エチル−N−フェニルアクリルアミド等のアクリルアミドもしくはメタクリルアミド。
(5)エチルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル等のビニルエーテル類。
(6)ビニルアセテート、ビニルクロロアセテート、ビニルブチレート、安息香酸ビニル等のビニルエステル類。
(7)スチレン、α−メチルスチレン、メチルスチレン、クロロメチルスチレン等のスチレン類。
(8)メチルビニルケトン、エチルビニルケトン、プロピルビニルケトン、フェニルビニルケトン等のビニルケトン類。
(9)N−ビニルピロリドン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル。
(10)マレイミド、n−メチルマレイミド、n−シクロヘキシルマレイミド、n−フェニルマレイミド等の不飽和イミド類。
また、これら弱酸性の高分子化合物の共重合の方法としては、従来知られている、グラフト共重合法、ブロック共重合法、ランダム共重合法等が挙げられる。
(塩基性高分子化合物)
また、カソード極30に含まれる塩基性の高分子化合物は、電極触媒において、白金粒子34が白金イオン化することを防止できる、アミノ基を有する高分子化合物であることが好ましい。アミノ基を有する高分子化合物としては、具体的には、アミノ基を有する重合性モノマー1種以上を重合させた高分子化合物であることが好ましい。また、この重合性モノマーに他の重合性モノマーを共重合させて得られる高分子化合物を使用してもよい。
アミノ基を有する高分子化合物の重合性モノマーとしては、アミノ基を含有するアクリル、メタクリル、スチリル、ビニル、マレイル等の重合性不飽和結合を有する化合物であり、これらの基は直接又はアルキレン基、アリーレン基等の連結鎖を経て間接的に、重合性不飽和結合に連結される。また、アミノ基を有する重合性モノマーと共重合させるモノマー成分としては、リン酸基、ホスホン酸基、カルボン酸基またはこれらの基の塩を有する重合性モノマーと共重合させるモノマー成分として例示した化合物と同様の化合物が例示できる。
また、カソード極30に含まれる塩基性の高分子化合物としては、イミダゾール、チアゾール、チアジアゾール、オキサゾール、オキサジアゾール等の塩基性かつ芳香族性窒素含有5員環芳香族構造又はピリジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン等の塩基性かつ芳香族性窒素含有6員環芳香族構造を有するモノマー単位を主な構成成分とした高分子化合物であることが好ましい。また、これらのモノマー単位内にアミノ基が導入された高分子化合物も、好ましい塩基性高分子化合物として例示できる。
これらのモノマー単位を主な構成成分とした高分子化合物としては、ポリイミダゾール、ポリチアゾール、ポリオキサゾール、ポリ(ピリジン)、ポリ(ピリミジン)、ポリベンズイミダゾール、ポリベンズチアゾールおよびポリベンズオキサゾールを例示することができる。実施の形態1で用いる塩基性高分子化合物は、これらポリイミダゾール、ポリチアゾール、ポリオキサゾール、ポリ(ピリジン)、ポリ(ピリミジン)、ポリベンズイミダゾール、ポリベンズチアゾールおよびポリベンズオキサゾール群から選ばれる少なくとも1つの塩基性高分子化合物を含むことが好ましい。さらに、これら塩基性高分子化合物は、上述したアミノ基を有する塩基性高分子化合物との混合物であってもよい。
これらの塩基性高分子化合物は、公知の技術により製造することができる。例えば、ポリベンズイミダゾールは、芳香族テトラアミンと芳香族時カルボン酸フェニルエステルからは、溶融−固相重合縮合によって、あるいは、ポリリン酸を重合溶媒と同時に縮合剤としても用いることによって製造することができる。
上述した弱酸性高分子化合物および塩基性高分子化合物は、弱酸性高分子化合物または塩基性高分子化合物の単独で使用してもよいし、これらの2種以上を同時に使用しても良い。すなわち、カソード極30から白金粒子34が白金イオンとなって溶出することを防止する限りにおいて、単独または同時に使用することができる。
また、弱酸性高分子化合物および/または塩基性高分子化合物は、プロトンを伝導させるアイオノマー中に分散されていることが好ましい。弱酸性高分子化合物および/または塩基性高分子化合物は、このアイオノマー中に均一に分散された状態でカソード極30内に含まれていることが好ましい。このアイオノマーは、特に限定されず、公知のものを用いることができる。アイオノマーとしては、具体的には、NAFION(デュポン社、登録商標)、FLEMION(旭硝子株式会社、登録商標)、ACIPLEX(旭化成ケミカルズ株式会社、登録商標)等が挙げられる。
ところで、弱酸性高分子化合物および/または塩基性高分子化合物36は、このアイオノマーと弱酸性高分子化合物および/または塩基性高分子化合物36との混合物に1〜10質量パーセント含まれることが好ましく、2〜8質量パーセント含まれることがより好ましい。上記の数値の範囲内であれば、カソード極としての性能を維持しつつ白金粒子34の溶出を効果的に防止することができるため好ましい。
カソード極30の作製は、電極触媒を含む溶媒に、弱酸性高分子化合物および/または塩基性高分子化合物36を分散させたアイオノマーを混合することにより行われる。具体的には、まず、アイオノマーに弱酸性高分子化合物および/または塩基性高分子化合物36を加え、十分撹拌することで、アイオノマー中に弱酸性高分子化合物および/または塩基性高分子化合物36を分散させた分散溶液を得る。次に、この分散溶液を、別途作製した電極触媒を含む溶媒に、超音波ホモジナイザー等を用いて混合することで混合溶液を得る。カソード極30は、得られた混合溶液を電解質膜10に塗布し、その後、溶媒を除去することで作製される。
<アノード極>
図3に示すアノード極20は、電極触媒を含む。電極触媒としては、カソード極30に用いられる電極触媒と同様の電極触媒が挙げられる。また、アノード極20は、アイオノマーを含んでもよい。好ましいアイオノマーとしては、カソード極30に用いられるアイオノマーと同一の材料が挙げられる。アノード極20は、従来の燃料電池用電極において用いられているように、電極触媒を含む溶媒にアイオノマーを混合した触媒インクを電解質膜10に塗布し、この触媒インクに含まれる溶媒を除去することにより作製される。
<電解質膜>
図3に示す電解質膜10は、プロトンをアノード極20からカソード極30へ伝導する役割をもつプロトン交換膜である。プロトン交換膜としては、特に限定されず、公知のものを用いることができる。好ましいプロトン交換膜としては、カソード極30に用いられるアイオノマーと同一の材料が挙げられる。
実施の形態1の膜電極接合体は、電解質膜10の両面にアノード極20およびカソード極30を形成することで作製することができる。膜電極接合体の作製は、アノード極20およびカソード極30を電解質膜10の上に直接塗布し、溶媒を除去することにより行うことが好ましい。なお、アノード極20およびカソード極30を別途作製し、電解質膜10を挟持した後、ホットプレス等で膜電極接合体を作製することもできる。
以上のように、実施の形態1によれば、電極内の白金粒子が溶出することを防止しつつ、電位変動サイクルに対しても耐性を有する燃料電池用の電極を提供することができる。また、白金粒子の溶出の防止は、電極内の触媒量の減少による燃料電池の性能劣化を防止だけではなく、電極から電解質膜10に移動した白金イオンの析出による電解質膜10の劣化をも防止することが可能となる。
なお、実施の形態1では、カソード極30が弱酸性高分子化合物および/または塩基性高分子化合物36を含んでいる。しかし、アノード極20がこの弱酸性高分子化合物および/または塩基性高分子化合物36を含んでいてもよい。電極が白金粒子34を含んでいる場合、白金粒子34のイオン化が考えられるためである。したがって、アノード極20およびカソード極30が弱酸性高分子化合物および/または塩基性高分子化合物36を含んでもよい。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明する。なお、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。
<実施例>
1.ポリベンズイミダゾールを含む触媒インクの作製
(1)触媒インクに使用した物質
(i)白金担持率が60%である白金担持カーボン
(ii)Nafion(商品名:DE2020。Du Pont(株)製)
(iii)ポリベンズイミダゾール(ポリ(2,2’-(m−フェニレン)-5,5’−ビベンズイミダゾール。シグマアルドリッチジャパン(株)製)
(2)比率
(i):((ii)+(iii))の重量比が5:2となるように調製した。また、ここで、(i):((ii)+(iii))の固形分比が1:1となるように調整した。また、((ii)+(iii))中の(iii)の含有率が5%となるように調製した。
(3)触媒インクの調製方法
(i)に純水を加え、撹拌させて触媒粉に水をなじませた。その後、(ii)および(iii)を加え、十分撹拌させた後、超音波ホモジナイザーで混合処理した。得られた混合溶液に脱泡処理を施すことで触媒インクを調製した。
2.膜電極接合体の作製
得られた触媒インクを、スプレー法により電解質膜に塗布し、オーブン中で加熱、真空乾燥を行うことで触媒インクに含まれている溶媒を除去した。その後、電極基材としてカーボンペーパーを触媒層にホットプレスすることで圧着させた。この結果、ベンズイミダゾールを触媒インク中に含む膜電極接合体を得た。
<比較例>
上記実施例において、(iii)を混合せずに触媒インクを作製した。
3.膜電極接合体の評価方法
サイクリックボルタンメトリー測定法により耐久試験を行うことで評価をした。
作製した膜電極接合体を燃料電池セルに組み込み、セル温度80℃、飽和加湿条件下において、電位変動測定により耐久試験を行った。電位変動測定は、印加する電位を開放電圧および0.7Vとして、20秒間隔でこれらの電位の印加を切り替えることで行った。得られたサイクリックボルタモグラフに基づいて、膜電極接合体の触媒層中のPt有効表面積を測定した。
図4は、膜電極接合体の白金の電気化学的有効表面積の結果を示す。図4の実施例に示すように、Pt捕捉剤を含む触媒インクを用いることで、約130時間(約12,000回の電位変動サイクル)の耐久試験を行った後であっても、高い状態のPt有効表面積を維持することができた。一方、比較例に示すように、Pt捕捉剤を含まない触媒インクを用いた膜電極接合体では、約65時間(約6,000回の電位変動サイクル)の耐久試験を行ったところで、Pt有効表面積が50%を下回る結果となった。
実施の形態1における燃料電池用膜電極接合体の構成を説明するための模式図である。 白金のpH/電極電位図である。 実施の形態1における燃料電池用膜電極接合体について説明するための図である。 実施の形態1で作製した膜電極接合体をサイクリックボルタンメトリー測定法により耐久試験し、耐久時間に対する白金の電気化学的有効表面積を表したグラフである。
符号の説明
10 電解質膜
20 アノード極
30 カソード極
32 導電性担体
34 白金粒子
36 弱酸性高分子化合物および/または塩基性高分子化合物

Claims (5)

  1. 導電性担体に白金粒子が担持された電極触媒と、
    前記電極触媒の近傍、かつ、前記白金粒子がイオン化して前記電極触媒から溶出することを防止できる範囲内に配置された弱酸性高分子化合物および/または塩基性高分子化合物と、
    を備えることを特徴とする燃料電池用電極。
  2. 前記弱酸性高分子化合物が、リン酸基、ホスホン酸基およびカルボン酸基からなる群から選ばれる少なくとも1種を有する高分子化合物であることを特徴とする、請求項1に記載の燃料電池用電極。
  3. 前記塩基性高分子化合物が、アミノ基を有する高分子化合物であることを特徴とする、請求項1に記載の燃料電池用電極。
  4. 前記塩基性高分子化合物が、ポリイミダゾール、ポリチアゾール、ポリオキサゾール、ポリ(ピリジン)、ポリ(ピリミジン)、ポリベンズイミダゾール、ポリベンズチアゾールおよびポリベンズオキサゾールからなる群から選ばれる少なくとも1つの高分子化合物であることを特徴とする、請求項1または3に記載の燃料電池用電極。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の燃料電池用電極を用いた燃料電池用膜電極接合体。
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KR20140045808A (ko) * 2012-10-09 2014-04-17 삼성에스디아이 주식회사 연료 전지용 촉매, 이의 제조 방법, 이를 포함하는 연료 전지용 전극, 이를 포함하는 연료 전지용 막-전극 어셈블리, 이를 포함하는 연료 전지 시스템

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