JP2009251055A - ピアノのハンマーシャンク - Google Patents
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Abstract
【課題】乾湿の影響による変形や寸法変化を抑制でき、それにより、ハンマーの円滑で安定した動作を確保することができるピアノのハンマーシャンクを提供する。
【解決手段】鍵1aの押鍵に伴って回動するハンマー3を構成するピアノのハンマーシャンク24であって、ハンマーシャンク24が竹材で構成されている。また、他のハンマーシャンクは、シャンク本体42(52)と、シャンク本体42(52)の一端部に形成され、互いに対向するとともにフレンジ23の両側に平行に延び、フレンジ23に回動自在に支持された二股状の2つの腕部42b、42b(52b、52b)と、竹材で構成され、2つの腕部42b、42b(52b、52b)の外側面にそれぞれ取り付けられた変位抑制部材43、43(52b、52b)と、を備えている。
【選択図】図1
【解決手段】鍵1aの押鍵に伴って回動するハンマー3を構成するピアノのハンマーシャンク24であって、ハンマーシャンク24が竹材で構成されている。また、他のハンマーシャンクは、シャンク本体42(52)と、シャンク本体42(52)の一端部に形成され、互いに対向するとともにフレンジ23の両側に平行に延び、フレンジ23に回動自在に支持された二股状の2つの腕部42b、42b(52b、52b)と、竹材で構成され、2つの腕部42b、42b(52b、52b)の外側面にそれぞれ取り付けられた変位抑制部材43、43(52b、52b)と、を備えている。
【選択図】図1
Description
本発明は、アコースティックピアノなどにおいて、鍵の押鍵に伴って回動するハンマーを構成するピアノのハンマーシャンクに関する。
従来、ハンマーシャンクを有するピアノのハンマーとして、例えば特許文献1に記載のものが知られている。このハンマーは、各鍵に対応するように設けられており、ハンマーシャンクフレンジ(以下、単に「シャンクフレンジ」という)に回動自在に支持されている。各ハンマーは、木材で構成された細長い棒状のハンマーシャンクと、このハンマーシャンクの後端部に固定されたハンマーヘッドなどで構成されている。ハンマーシャンクの前端部には、互いに対向し前方に平行に延びる二股状の左右2つの腕部が形成されている。また、シャンクフレンジは、合成樹脂の成形品で構成されており、ハンマーシャンクレールにねじ止めされている。シャンクフレンジの後端部には、後方に突出する係合部が設けられており、この係合部の両側に、ハンマーシャンクの2つの腕部が係合している。また、両腕部および係合部には、ピンが水平に通されており、このピンは、係合部に固定される一方、両腕部に対して回動自在になっている。これにより、ハンマーは、シャンクフレンジと一体のピンを介して、シャンクフレンジに回動自在に支持されている。また、シャンクフレンジの係合部の両側面は、互いに平行に形成されており、ハンマーシャンクの両腕部の内側面に、若干の隙間をもって対向している。
以上の構成により、鍵が押鍵されると、アクションが作動することによって、ハンマーシャンクが突き上げられることにより、ハンマーが上方に回動し、ハンマーヘッドが弦を打弦することによって、ピアノ音が発生する。また、このハンマーの回動時には、ハンマーシャンクが、その両腕部およびシャンクフレンジの係合部で案内されることにより、ハンマーは、左右にぶれることなく回動する。
一般に、木材は、その異方性および不均一性から、湿度や温度、特に前者の変化に伴う乾湿によって、反りや捻れ、さらには収縮や膨張などの変形が生じやすいという特性を有する。そのため、ハンマーシャンクに反りや捻れが発生すると、打弦を適切に行えず、その結果、良好なピアノ音を発生させることができなくなる。また、乾燥による収縮によって、ハンマーシャンクの両腕部間の寸法が小さくなると、両腕部とシャンクフレンジの係合部との間の隙間がなくなり、ハンマーが円滑に回動しないような動作不良(以下「スティック」という)を生じることがある。逆に、湿潤による膨張によって、両腕部間の寸法が大きくなると、両腕部と係合部の間の隙間が広がり、その結果、ハンマーが回動する際に、左右にぶれたり、がたついたりする。これらの場合も、打弦を適切に行えなくなる。
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたものであり、乾湿の影響による変形や寸法変化を抑制でき、それにより、ハンマーの円滑で安定した動作を確保することができるピアノのハンマーシャンクを提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、請求項1に係る発明は、鍵の押鍵に伴って回動するハンマーを構成するピアノのハンマーシャンクであって、ハンマーシャンクが竹材で構成されていることを特徴とする。
この構成によれば、鍵の押鍵に伴って回動するハンマーを構成するピアノのハンマーシャンクが、竹材で構成されている。竹材は、ハンマーシャンクの材料として従来用いられる木材に比べて、乾湿の影響を受けにくく、高い形状安定性および寸法安定性を有する。したがって、このような特性を有する竹材で構成されたハンマーシャンクでは、乾湿の影響による変形や寸法変化を抑制することができる。それにより、ハンマーの円滑で安定した動作を確保することができる。
請求項2に係る発明は、請求項1に記載のピアノのハンマーシャンクにおいて、竹材は、合成樹脂を含浸した竹材で構成されていることを特徴とする。
この構成によれば、合成樹脂を含浸した竹材でハンマーシャンクが構成される。合成樹脂を竹材に含浸させることにより、合成樹脂の特性、例えば乾湿の影響を受けることがなく、高い強度および剛性を有するという特性を反映する竹材を得ることができる。したがって、そのような竹材でハンマーシャンクを構成することにより、乾湿の影響による変形や寸法変化をより一層抑制することができる。
請求項3に係る発明は、請求項1または2に記載のピアノのハンマーシャンクにおいて、竹材の繊維がハンマーシャンクの長さ方向に延びていることを特徴とする。
この構成によれば、竹材で構成されたハンマーシャンクにおいて、竹材の繊維がハンマーシャンクの長さ方向に延びている。後述するように、竹材では、乾湿による寸法変化量が、ハンマーシャンクの材料として従来用いられる木材に対し、繊維の長さ方向については同程度であるものの、その方向と直交する方向については約1/2〜1/3であることが実験により確認された。したがって、ハンマーシャンクを、その長さ方向に竹材の繊維が延びるように構成することにより、乾湿の影響によるハンマーシャンクの長さ方向と直交する方向の変形や寸法変化を、従来に比べて大幅に抑制することができる。
請求項4に係る発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載のピアノのハンマーシャンクにおいて、竹材は、複数の無垢の竹材を積層した積層竹材で構成されていることを特徴とする。
この構成によれば、複数の無垢の竹材を積層した積層竹材でハンマーシャンクが構成される。竹は通常、中空であるために肉厚が薄く、そのため、竹を長さ方向に沿って切断することなどで得られる無垢の竹材では、厚みや幅が比較的小さい。このため、無垢の竹材のみから所望の形状およびサイズのハンマーシャンクを切り出せないことがある。したがって、ハンマーシャンクを切り出すのに十分な厚みや幅を有する積層竹材を用い、これを切断および/または切削加工することにより、所望の形状およびサイズのハンマーシャンクを容易に得ることができる。
請求項5に係る発明は、鍵の押鍵に伴って回動するハンマーを構成し、フレンジに支持されたピアノのハンマーシャンクであって、木材で構成されたシャンク本体と、このシャンク本体の一端部に形成され、互いに対向するとともにフレンジの両側に平行に延び、フレンジに回動自在に支持された二股状の2つの腕部と、竹材で構成され、2つの腕部の互いに対向する方向の変位を抑制するために、2つの腕部の外側面にそれぞれ取り付けられた変位抑制部材と、を備えていることを特徴とする。
この構成によれば、木材で構成されたシャンク本体の一端部に、互いに対向するとともにフレンジの両側に平行に延びる二股状の2つの腕部が形成され、両腕部がフレンジに回動自在に支持されている。これにより、ハンマーシャンクは、鍵の押鍵に伴い、2つの腕部およびフレンジで案内されながら回動する。また、両腕部の外側面にはそれぞれ、竹材で構成された変位抑制部材が取り付けられている。前述したように、竹材は、乾湿の影響を受けにくく、高い形状安定性および寸法安定性を有している。そのため、竹材で構成された変位抑制部材は、取り付けられた腕部に対し、いわば添え木として機能することで、腕部を拘束し、その結果、両腕部の互いに対向する方向の変位が抑制される。これにより、両腕部間の寸法を安定して維持することができることによって、両腕部の内側面とフレンジの間の隙間の大きさも維持でき、その結果、乾湿によるスティックの発生およびハンマーが回動する際のぶれやがたつきを防止することができる。したがって、ハンマーの円滑で安定した動作を確保することができる。
請求項6に係る発明は、請求項5に記載のピアノのハンマーシャンクにおいて、変位抑制部材は、合成樹脂を含浸した竹材で構成されていることを特徴とする。
この構成によれば、合成樹脂を含浸した竹材で変位抑制部材が構成される。前述したように、例えば乾湿の影響を受けることがなく、高い強度および剛性を有するという特性を反映する竹材を、変位抑制部材として採用することにより、両腕部間の寸法をより一層安定して維持することができる。
請求項7に係る発明は、鍵の押鍵に伴って回動するハンマーを構成し、フレンジに支持されたピアノのハンマーシャンクであって、竹材で構成されたシャンク本体と、このシャンク本体の一端部に形成され、互いに対向するとともにフレンジの両側に平行に延び、フレンジに回動自在に支持された二股状の2つの腕部と、合成樹脂を含浸した竹材で構成され、2つの腕部の互いに対向する方向の変位を抑制するために、2つの腕部の外側面にそれぞれ取り付けられた変位抑制部材と、を備えていることを特徴とする。
この構成によれば、シャンク本体が竹材で構成されているので、前述した請求項1と同様、乾湿の影響による変形や寸法変化を抑制することができる。また、シャンク本体の一端部に形成された2つの腕部の外側面にはそれぞれ、合成樹脂を含浸した竹材で構成された変位抑制部材が取り付けられている。これにより、前述した請求項6と同様、両腕部間の寸法をより一層安定して維持でき、その結果、乾湿によるスティックの発生およびハンマーが回動する際のぶれやがたつきを、より確実に防止することができる。
以下、図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。図1は、本発明の第1実施形態によるハンマーシャンクを用いたグランドピアノの鍵盤1、アクション2およびハンマー3などを、離鍵状態において示している。
鍵盤1は、グランドピアノの左右方向に並んだ多数の鍵1a(1つのみ図示)によって構成されている。各鍵1aは、前後方向(図1の左右方向)に延び、その中央において、棚板上の筬に立設されたバランスピン(いずれも図示せず)を中心として、回動自在に支持されている。
アクション2は、鍵盤1の後部の上方に設けられており、ウィッペン11、ジャック12およびレペティションレバー13などを、鍵1aごとに備えている。ウィッペン11は、前後方向に延び、後端部において、ウィッペンフレンジ14に支持されている。このウィッペンフレンジ14は、上下方向に延びており、左右方向に間隔を隔てて配置された複数のブラケット15(図1では1つのみ図示)に渡されたウイッペンレール16にねじ止めされている。また、ウィッペンフレンジ14の上端部には、二股状の左右2つの腕部14a、14a(図1では左側のもののみ図示)が設けられている。これらの両腕部14a、14a間には、ウィッペン11の後端部が係合し、これらにセンターピン17が水平に通されている。これにより、ウイッペン11は、センターピン17を中心として、ウィッペンフレンジ14に回動自在に支持されている。また、ウィッペン11の前後方向の中央には、下方に突出するヒール部11aが設けられている。ウィッペン11は、このヒール部11aを介して、鍵1aの後部に設けられたキャプスタンスクリュー1bに載置されている。また、ウィッペン11の前端部には、ジャック12が支持されている。
ジャック12は、上下方向に延びるハンマー突上げ部12aと、その下端部から前方にほぼ直角に延びるレギュレーティングボタン当接部12bとにより、側面形状がL字状に形成されている。ウィッペン11の前端部には、二股状の左右2つの腕部11b、11b(図1では左側のもののみ図示)が設けられている。これらの両腕部11b、11b間には、ジャック12の角部が係合し、これらにセンターピン18が水平に通されている。これにより、ジャック12は、センターピン18を中心として、ウィッペン11の前端部に回動自在に支持されている。また、ハンマー突上げ部12aの上端部は、レペティションレバー13の後述するジャック案内孔13aに係合するとともに、レペティションレバー13に載置された後述するシャンクローラ26と若干の間隔を存して対向している。さらに、ジャック12は、後述するレペティションスプリング22によって、復帰方向(図1の反時計方向)に付勢されている。
レペティションレバー13は、斜め前上がりに前後方向に延び、ウィッペン11の前後方向の中央から上方に突出するレバーフレンジ部21に支持されている。このレバーフレンジ部21の上端部には、二股状の左右2つの腕部21a、21a(図1では左側のもののみ図示)が設けられている。これらの両腕部21a、21a間には、レペティションレバー13の中央部が係合し、これらにセンターピン19が水平に通されている。これにより、レペティションレバー13は、センターピン19を中心として、レバーフレンジ部21の上端部に回動自在に支持されている。また、レペティションレバー13は、レバーフレンジ部21に取り付けられたレペティションスプリング22によって、復帰方向(図1の反時計方向)に付勢されている。さらに、レペティションレバー13には、その前部に、上下方向に貫通するジャック案内孔13aが形成され、上面のジャック案内孔13a付近に当接するシャンクローラ26を介して、ハンマー3が載置されている。
図2は、ハンマー3およびこれを支持するシャンクフレンジ23(フレンジ)を示している。ハンマー3は、前後方向に延びるハンマーシャンク24、およびその後端部に設けられたハンマーヘッド25を有しており、ハンマーヘッド25は、上方に張られた弦S(図1参照)に対向している。
ハンマーシャンク24は、竹材で構成され、細長い棒状に形成されている。このハンマーシャンク24は、例えば、図4に示すような積層竹材31から、同図の2点鎖線で示すように切り出されたものである。この積層竹材31は、竹の素材を長さ方向に沿って切断し、板状に加工した後、複数の竹材31aを積層させ、接着によって一体化したものである。したがって、上記のように切り出されたハンマーシャンク24では、その長さ方向に竹材31aの繊維が延びており、互いに隣接する竹材31a、31aの接合面が、ハンマーシャンク24においてほぼ垂直となる。なお、詳細な実験データは省略するが、積層竹材31では、乾湿による寸法変化量が、ハンマーシャンクの材料として従来用いられる木材に対し、以下の実験結果が得られた。
・厚み方向(T方向):約1/2
・幅方向 (W方向):約1/3
・長さ方向(L方向):同程度
・厚み方向(T方向):約1/2
・幅方向 (W方向):約1/3
・長さ方向(L方向):同程度
なお、積層竹材31からのハンマーシャンク24の切出しは、上述した図4と異なり、図5の2点鎖線で示すように行ってもよい。この場合には、互いに隣接する竹材31a、31aの接合面が、ハンマーシャンク24においてほぼ水平となる。また、上記の積層竹材31以外に、複数の竹材31aが上下方向および左右方向に積層された、図6に示す積層竹材31から、ハンマーシャンク24を切り出してもよい。
図2および図3に示すように、ハンマーシャンク24は、前端部の左右方向の幅が他の部分よりも広く形成されるとともに、その前端部の上面および下面が互いに平行な平面で構成されている。なお、以下の説明では、ハンマーシャンク24(後述するハンマーシャンク41および51も含む)の幅の広い前端部を、「拡幅部」と称呼するものとする。
ハンマーシャンク24の拡幅部24aには、二股状の左右2つの腕部24b、24bが形成されている。両腕部24b、24bは、互いに左右方向に所定の間隔を隔てて対向し、前方に平行に延びている。各腕部24bには、左右方向に貫通したピン孔24cが形成されており、このピン孔24cに、フェルトで構成された円筒状の軸受27が取り付けられている。また、拡幅部24aの下面には、支持部材26aを介して、シャンクローラ26が取り付けられている。
一方、シャンクフレンジ23は、合成樹脂の成形品で構成されており、複数のブラケット15の間に渡されたハンマーシャンクレール29(図1参照)の上面にねじ止めされている。図3に示すように、シャンクフレンジ23は、前後方向に延び、断面が矩形状に形成されている。シャンクフレンジ23の後端部には、ハンマーシャンク24の両腕部24b、24b間の寸法よりも若干小さい幅を有するとともに後方に突出し、両腕部24b、24b間に係合する係合部23aが設けられている。この係合部23aには、左右方向に貫通するピン取付孔23bが形成されている。そして、係合部23aが、両腕部24b、24b間に、それらの内側面との間に若干の隙間をもって配置された状態で、センターピン20が、軸受27、27およびこれらの間のピン取付孔23bに通されている。センターピン20は、その中央部がピン取付孔23bに固定されるとともに、両端部が軸受27、27に対し回動自在になっている。これにより、ハンマー3は、シャンクフレンジ23と一体のセンターピン20を介して、シャンクフレンジ23に回動自在に支持されている。
以上の構成によれば、図1に示す離鍵状態から鍵1aが押鍵されると、ウィッペン11が、キャプスタンスクリュー1bを介して突き上げられることにより、センターピン17を中心として上方に回動するとともに、ジャック12およびレペティションレバー13も、それぞれのセンターピン18および19を中心として回動する。そして、ハンマー3は、ジャック12によりシャンクローラ26を介して突き上げられ、ハンマーシャンク24の両腕部24b、24bおよびシャンクフレンジ23の係合部23aで案内されながら、センターピン20を中心として、図1の時計方向に回動する。これにより、ハンマー3が弦Sを打弦し、それによりピアノ音が発生する。
以上のように、本実施形態では、ハンマー3を構成するハンマーシャンク24が竹材で構成されている。竹材は、ハンマーシャンクの材料として従来用いられる木材に比べて、乾湿の影響を受けにくく、高い形状安定性および寸法安定性を有する。したがって、ハンマーシャンク24では、乾湿の影響による変形や寸法変化を抑制でき、それにより、ハンマー3の円滑で安定した動作を確保することができる。
また、ハンマーシャンク24を作製する際に、ハンマーシャンク24の強度や剛性を高めるための合成樹脂(例えばウレタン系樹脂)を、積層竹材31に含浸させてから、ハンマーシャンク24を切り出してもよい。この場合には、ハンマーシャンク24の強度や剛性をより一層高めることができるとともに、乾湿の影響をより一層受けにくくすることができる。したがって、乾湿の影響による変形や寸法変化をより一層抑制することができる。
図7は、本発明の第2実施形態によるハンマーシャンクの前半部を示している。このハンマーシャンク41は、前述した第1実施形態のハンマーシャンク24とほぼ同じ形状およびサイズを有するシャンク本体42と、このシャンク本体42の拡幅部42aの2つの腕部42b、42bの外側面にそれぞれ取り付けられた変位抑制部材43、43とで構成されている。
シャンク本体42は、強度が比較的高い堅木(例えばシデ)で構成されている。一方、変位抑制部材43は、板状の無垢の竹材で構成されており、拡幅部42aの外側面とほぼ同じ横長矩形状に形成されるとともに、竹材の繊維が長さ方向に延びている。また、変位抑制部材43の所定位置には、前記軸受27が係合する孔43aが形成されている。このように構成された変位抑制部材43は、シャンク本体42の拡幅部42aの両外側面全体にそれぞれ接着されている。
この第2実施形態では、ハンマーシャンク41の拡幅部42aの両外側面に取り付けられた竹材の変位抑制部材43、43が、両腕部42b、42bに対し、いわば添え木として機能することで、両腕部42b、42bを拘束し、その結果、両腕部42b、42bの互いに対向する方向の変位が抑制される。これにより、両腕部42b、42b間の寸法を安定して維持できることによって、両腕部42b、42bの内側面とシャンクフレンジ23の間の隙間の大きさも維持でき、その結果、乾湿によるスティックの発生およびハンマー3が回動する際のぶれやがたつきを防止することができる。したがって、ハンマー3の円滑で安定した動作を確保することができる。
また、上記の変位抑制部材43を、前述した第1実施形態と同様の合成樹脂を含浸した竹材で構成してもよい。それにより、両腕部42b、42b間の寸法をより一層安定して維持することができる。
図8は、本発明の第3実施形態によるハンマーシャンクの前半部を示している。このハンマーシャンク51は、前述した第2実施形態のハンマーシャンク41と同様、シャンク本体52および変位抑制部材53、53で構成されている。このシャンク本体52は、前述した第1実施形態と同様、竹材で構成されている。一方、変位抑制部材53は、第1実施形態と同様の合成樹脂を含浸した板状の竹材で構成されており、第2実施形態の変位抑制部材43と同じ形状およびサイズを有している。
この第3実施形態では、シャンク本体52が竹材で構成されているので、前述した第1実施形態と同様、乾湿の影響による変形や寸法変化を抑制することができる。また、合成樹脂を含浸した竹材で構成された変位抑制部材53、53が、両腕部52b、52bの外側面にそれぞれ取り付けられているので、両腕部52b、52b間の寸法をより一層安定して維持することができ、その結果、乾湿によるスティックの発生およびハンマー3が回動する際のぶれやがたつきを、より確実に防止することができる。
なお、本発明は、説明した上記実施形態に限定されることなく、種々の態様で実施することができる。実施形態では、本発明のハンマーシャンク24、41、51をグランドピアノのハンマー3に適用した場合について説明したが、アップライトピアノのハンマーにも、もちろん適用することができる。また、各実施形態で示したハンマーシャンク24、41、51の細部の構成などは、あくまで例示であり、本発明の趣旨の範囲内で適宜、変更することができる。
1 鍵盤
1a 鍵
3 ハンマー
23 シャンクフレンジ(フレンジ)
24 ハンマーシャンク
24b 腕部
31 積層竹材
31a 竹材
41 ハンマーシャンク
42 シャンク本体
42b 腕部
43 変位抑制部材
51 ハンマーシャンク
52 シャンク本体
52b 腕部
53 変位抑制部材
S 弦
1a 鍵
3 ハンマー
23 シャンクフレンジ(フレンジ)
24 ハンマーシャンク
24b 腕部
31 積層竹材
31a 竹材
41 ハンマーシャンク
42 シャンク本体
42b 腕部
43 変位抑制部材
51 ハンマーシャンク
52 シャンク本体
52b 腕部
53 変位抑制部材
S 弦
Claims (7)
- 鍵の押鍵に伴って回動するハンマーを構成するピアノのハンマーシャンクであって、
当該ハンマーシャンクが竹材で構成されていることを特徴とするピアノのハンマーシャンク。 - 前記竹材は、合成樹脂を含浸した竹材で構成されていることを特徴とする請求項1に記載のピアノのハンマーシャンク。
- 前記竹材の繊維が前記ハンマーシャンクの長さ方向に延びていることを特徴とする請求項1または2に記載のピアノのハンマーシャンク。
- 前記竹材は、複数の無垢の竹材を積層した積層竹材で構成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のピアノのハンマーシャンク。
- 鍵の押鍵に伴って回動するハンマーを構成し、フレンジに支持されたピアノのハンマーシャンクであって、
木材で構成されたシャンク本体と、
このシャンク本体の一端部に形成され、互いに対向するとともに前記フレンジの両側に平行に延び、当該フレンジに回動自在に支持された二股状の2つの腕部と、
竹材で構成され、前記2つの腕部の互いに対向する方向の変位を抑制するために、当該2つの腕部の外側面にそれぞれ取り付けられた変位抑制部材と、
を備えていることを特徴とするピアノのハンマーシャンク。 - 前記変位抑制部材は、合成樹脂を含浸した竹材で構成されていることを特徴とする請求項5に記載のピアノのハンマーシャンク。
- 鍵の押鍵に伴って回動するハンマーを構成し、フレンジに支持されたピアノのハンマーシャンクであって、
竹材で構成されたシャンク本体と、
このシャンク本体の一端部に形成され、互いに対向するとともに前記フレンジの両側に平行に延び、当該フレンジに回動自在に支持された二股状の2つの腕部と、
合成樹脂を含浸した竹材で構成され、前記2つの腕部の互いに対向する方向の変位を抑制するために、当該2つの腕部の外側面にそれぞれ取り付けられた変位抑制部材と、
を備えていることを特徴とするピアノのハンマーシャンク。
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20110607 |