JP2009249572A - 放射線硬化型インクジェットインク組成物、インクジェット記録方法、記録物、インクジェット記録用インクセット、インクカートリッジ、およびインクジェット記録装置 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、放射線硬化型インクジェットインク組成物、インクジェット記録方法、記録物、インクジェット記録用インクセット、インクカートリッジ、およびインクジェット記録装置に関する。
インクジェット記録方法は、インク組成物の小滴を飛翔させ、紙等の記録媒体に付着させて印刷を行う印刷方法である。この記録方法は、高解像度、高品位な画像を高速で印刷することができるという特徴を有する。インクジェット記録方法に使用されるインク組成物は、溶媒に着色成分や、分散安定剤などを配合したものが主流である。
近年、紫外線等の放射線によって硬化する放射線硬化型インクの開発が進められている。この放射線硬化型インクは、プラスチック等のインクを吸収しない非吸収メディアに対する記録において、速乾性があり、かつインクの滲みを防止した記録を実現することができる。このような放射線硬化型インクは、重合性化合物、重合開始剤および顔料等から構成されている。
重合性化合物は、その組成や重合方法等によって、ラジカル重合系とカチオン重合系に分類することができる。その中でも、ラジカル重合系の重合性化合物は、重合開始剤等の配合が比較的簡単であるため、開発が進んでいる。このような放射線硬化型インクの重合性化合物が重合して高分子となることにより、たとえば、非吸収メディアに印刷した画像の耐擦過性や密着性(剥がれにくさ)を向上させることができる。
ところが、従来のラジカル重合系の重合性化合物は、インク組成物中において分子量が大きくなると粘度が急激に高くなる。そのため、インクジェット記録方法に用いるときに、たとえば、液滴を飛翔させることができなくなる等の、不具合が生じていた。
一方、近年、櫛状、星形等の高次に分岐構造を有するデンドリティック(樹枝状)ポリマーが開発されている。樹枝状ポリマーは、定義は明確ではないが、デンドリマーとハイパーブランチポリマーに大別される。デンドリマーは、コアから表面へと規則的に分岐を繰り返した、球状の高度に制御された化学構造及び分子量を有しており、これに対してハイパーブランチポリマーは、高度な分岐を有するが、デンドリマーにおける程の規則的な分岐の導入や分子量の高度な制御はなされず、分岐は確率分布に従って形成され、分子量も広い範囲に及ぶ。この種の樹枝状ポリマーは、その分子形状に由来して、溶解性に優れ、その上、溶液の粘性が低いことがわかっている。これらのことから、たとえば、特開2007−182535号公報には、光ラジカル重合性化合物として、樹枝状ポリマーを含有する光硬化型インク組成物が提案されている。
特開2007−182535号公報
しかしながら、インク組成物に単に樹枝状ポリマーを配合しただけでは、低粘度のインクは得られるものの保存安定性が不十分で、印刷した画像の密着性、膜強度も未だ不十分であった。
本発明の目的の1つは、インクジェット記録方法に好適な粘度を有し、保存安定性に優れ、かつ、記録した画像において、記録媒体との密着性、および、記録した画像の引っ掻きに対する硬さ(膜強度)に優れた放射線硬化型インクジェットインク組成物、インクジェット記録方法、記録物、インクセット、およびインクカートリッジを提供することである。
本発明の放射線硬化型インクジェットインク組成物は、
重合性化合物として、
下記、一般式(1)、
〔式中、R1は水素又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、R2は化合物R3(OH)mのうちn個のヒドロキシル基を式中のエステル結合に供与した残り部分を表し、R3(OH)mは、炭素数2〜8の非芳香族の直鎖又は分枝鎖の炭化水素骨格に基づく多価アルコールであるか、該多価アルコールの複数分子がアルコールの脱水縮合によりエーテル結合を介して連結してなる多価アルコールエーテルであるか、又はこれらの多価アルコール又は多価アルコールエーテルとヒドロキシ酸とのエステルであり、ここにm≧nであり、nは2〜20の整数を表す。〕で示される多官能(メタ)アクリレート化合物の(メタ)アクリレート基の一部につき、当該基中のカルボニル基に関してβ位において炭素−炭素二重結合に、
下記、一般式(2)、
〔式中、R4は、単結合であるか、炭素数1の炭化水素基若しくは炭素数2〜5の、骨格中に酸素原子を更に含んでいてよく、直鎖又は分枝鎖であってよい炭化水素基であるか、又はそれら炭化水素基に更に式2のチオメチル基の少なくとも一部と結合しているカルボニルオキシ基を有する基であり、pは2〜6の整数を表し、但しR4が単結合を表すときはpは2を表し、R4の炭素数が1であるときはpは2〜4の整数を表す。〕で示される多価メルカプト化合物を付加させてなる樹枝状ポリマー、を含んでなることを特徴とする。
重合性化合物として、
下記、一般式(1)、
下記、一般式(2)、
このような放射線硬化型インクジェットインク組成物は、インクジェット記録方法に好適な粘度を有し、保存安定性に優れ、かつ、記録した画像において、記録媒体との密着性、および、記録した画像の引っ掻きに対する強さ(膜強度)に優れている。
本発明の放射線硬化型インクジェットインク組成物において、
前記樹枝状ポリマーにおける、前記一般式(2)で示される多価メルカプト化合物のメルカプト基の、前記一般式(1)で示される多官能(メタ)アクリレート化合物の炭素−炭素二重結合に対する付加割合が、該基及び二重結合のモル比で1/200〜1/2とすることができる。
前記樹枝状ポリマーにおける、前記一般式(2)で示される多価メルカプト化合物のメルカプト基の、前記一般式(1)で示される多官能(メタ)アクリレート化合物の炭素−炭素二重結合に対する付加割合が、該基及び二重結合のモル比で1/200〜1/2とすることができる。
本発明の放射線硬化型インクジェットインク組成物において、
さらに、重合性化合物、重合開始剤および重合増感剤を含むことができる。
さらに、重合性化合物、重合開始剤および重合増感剤を含むことができる。
本発明の放射線硬化型インクジェットインク組成物において、
前記樹枝状ポリマーを5質量%ないし30質量%含むことができる。
前記樹枝状ポリマーを5質量%ないし30質量%含むことができる。
本発明の放射線硬化型インクジェットインク組成物において、
さらに、色材を含むことができる。
さらに、色材を含むことができる。
本発明にかかるインクジェット記録方法は、上記の放射線硬化型インクジェットインク組成物を用いて画像を形成する。
本発明にかかる記録物は、上記のインクジェット記録方法により記録媒体上に画像が形成されたものである。
本発明にかかるインクジェット記録用インクセットは、上記の放射線硬化型インクジェットインク組成物を含むインク備えたものである。
本発明にかかるインクカートリッジは、上記のインクジェット記録用インクセットを備えている。
本発明にかかるインクジェット記録装置は、上記の放射線硬化型インクジェットインク組成物、インクジェット記録用インクセット、またはインクカートリッジを備えている。
以下、本発明の好適な実施形態について、詳細に説明する。
1.放射線硬化型インクジェットインク組成物
本実施形態にかかる放射線硬化型インクジェットインク組成物は、重合性化合物として、樹枝状ポリマーを含有する。
本実施形態にかかる放射線硬化型インクジェットインク組成物は、重合性化合物として、樹枝状ポリマーを含有する。
1.1.樹枝状ポリマー
本実施形態の樹枝状ポリマーは、一般式(1)で示される多官能(メタ)アクリレート化合物と一般式(2)で示される多価メルカプト化合物とが、マイケル付加(カルボニル基に関しβ位)により重合したものである。
本実施形態の樹枝状ポリマーは、一般式(1)で示される多官能(メタ)アクリレート化合物と一般式(2)で示される多価メルカプト化合物とが、マイケル付加(カルボニル基に関しβ位)により重合したものである。
一般式(1)で示される多官能(メタ)アクリレート化合物への一般式(2)で示される多価メルカプト化合物のマイケル付加は、得られる樹枝状ポリマーが、その後もなお炭素−炭素二重結合に基づく放射線重合を行うことができるように、一般式(1)で示される化合物が有する炭素−炭素二重結合が、全体として0.1%ないし50%の範囲で残存するように行われることが好ましい。
例えば、一般式(2)で示される多価メルカプト化合物のメルカプト基の、一般式(1)で示される多官能(メタ)アクリレート化合物の炭素−炭素二重結合に対する付加割合は、該基および二重結合のモル比で1/200ないし1/2となるようにすることが好ましく、1/100ないし1/3となるようにすることがより好ましく、1/50ないし1/5となるようにすることが更に好ましく、1/20ないし1/8となるようにすることが特に好ましい。
また、一般式(1)で示される多官能(メタ)アクリレート化合物へ一般式(2)で示される多価メルカプト化合物を付加して得られる樹枝状ポリマーは、放射線重合のための十分量の官能基を有することが好ましい。このためには、樹枝状ポリマーの分子量は、炭素−炭素二重結合1モル当たりの分子量が100ないし100000の範囲にあることが好ましい。また、本実施形態の樹枝状ポリマーの好ましい分子量は、1000ないし50000であり、より好ましくは1500ないし40000、特に好ましくは2000ないし30000である。
本実施形態の樹枝状ポリマーにおいて、一般式(1)におけるアクリレート基の個数(n)は、好ましくは2ないし20であり、より好ましくは2ないし10、更に好ましくは2ないし6である。一般式(1)で示される多官能(メタ)アクリレート化合物の好ましい具体例としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロバントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロバントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性トリメチロールプロバントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エピクロルヒドリン変性ヘキサヒドロフタル酸ジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ステアリン酸変性ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、エピクロルヒドリン変性フタル酸ジ(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコールテトラメチレングリコール)ジ(メタ)アクリレート、ポリ(プロピレングリコールテトラメチレングリコール)ジ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール−ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エピクロルヒドリン変性プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、シリコーンジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール変性トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリグリセロールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エピクロルヒドリン変性グリセロールトリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性グリセロールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性グリセロールトリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性リン酸トリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、HPA変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンベンゾエート(メタ)アクリレート、トリス((メタ)アクリロキシエチル)イソシアヌレート、アルコキシ変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステルを挙げることができる。これらの化合物は、その1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
本実施形態の樹枝状ポリマーにおいて、一般式(2)で示される多価メルカプト化合物としては、1,2−ジメルカプトエタン、1,3−ジメルカプトプロパン、1,4−ジメルカプトブタン、ビスジメルカプトエタンチオール(HS−CH2CH2−S−CH2CH2−SH)、トリメチロールプロパントリ(メルカプトアセテート)、トリメチロールプロパントリ(メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラ(メルカプトアセテート)、ペンタエリスリトールトリ(メルカプトアセテート)、ペンタエリスリトールテトラ(メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサ(メルカプトアセテート)、ジペンタエリスリトールヘキサ(メルカプトプロピオネート)等が挙げられる。
本実施形態において樹枝状ポリマーの合成に際しては、必要に応じて重合防止剤を加えることができる。重合防止剤としては、(メタ)アクリレート化合物の重合防止に一般に用いられるヒドロキノン系化合物、フェノール系化合物を、本発明においても使用することができる。それらの具体例としては、ハイドロキノン、メトキシハイドロキノン、カテロール、p−tert−ブチルカテコール、クレゾール、ジブチルヒドロキシトルエン、2,4,6−トリ−tert−ブチルフェノール(BHT)等が挙げられるがこれらに限定されない。
本実施形態に用いられる樹枝状ポリマーの合成の完了の確認は、液体クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー、その他の一般的な分析機器により確認することができる。
本実施形態に用いられる樹枝状ポリマーの合成の完了の確認は、液体クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー、その他の一般的な分析機器により確認することができる。
本実施形態に用いられる樹枝状ポリマーにおける、一般式(2)で示される多価メルカプト化合物の、一般式(1)で示される多官能(メタ)アクリレート化合物の(メタ)アクリレート基へのマイケル付加反応は、多官能(メタ)アクリレート化合物(モノマー)と多価メルカプト化合物とを混合し、室温ないし100℃にて、塩基性触媒を添加することにより行うことができる。反応時間は、通常約30分間ないし約6時間である。
本発明に用いる樹枝状ポリマーがインク組成として優れた膜特性を有することの詳細メカニズムは定かではない。しかしながら、一般にチオールとアクリレートを用いた反応はラジカル重合において酸素阻害を受けにくく低エネルギーで硬化することと、硬化収縮が少ない為密着性に優れる特性を有する。本発明に使用する樹枝状ポリマーはチオールとアクリレートから作られる。製造後の樹枝状ポリマーにおいては末端のチオール残基はなく厳密には同様の反応と言えないものの、硬化後の膜特性も同様のメカニズムを有し密着に優れていると推定される。
本実施形態にかかる放射線硬化型インクジェットインク組成物に含まれる樹枝状ポリマーの量は、特に限定されないが、放射線硬化型インクジェットインク組成物に対して、好ましくは1質量%ないし50質量%、より好ましくは5質量%ないし30質量%である。樹枝状ポリマーの含有量がこの範囲よりも小さいと、放射線硬化型インクジェットインク組成物による印刷結果において、記録媒体との十分な密着性が得られなくなることがある。また、樹枝状ポリマーの含有量がこの範囲よりも大きいと、放射線硬化型インクジェットインク組成物の粘度が著しく大きくなることがあり、インクジェット記録方法などにおいて、支障が生じることがある。本実施形態の放射線硬化型インクジェットインク組成物をインクジェット記録方法で使用する場合には、組成物の粘度は、25℃で20mPa・s以下であることが使用上好ましい。
本実施形態に用いられる樹枝状ポリマーは、放射線によってラジカル重合することができる。本実施形態の樹枝状ポリマーをラジカル重合させるための放射線としては、例えば、400nmないし200nmの紫外線、遠紫外線、g線、h線、i線、KrFエキシマレーザー光、ArFエキシマレーザー光、電子線、X線、分子線、またはイオンビーム等が挙げられる。このような放射線のうち、ラジカルを発生させやすい種類のものを用いたり、照射エネルギー量を十分高めれば、重合開始剤が不要となることがある。また、ラジカルを発生させにくい種類の放射線を用いる場合や、照射エネルギー量が小さい場合は、適宜、該放射線によってラジカルを発生するような重合開始剤を、放射線硬化型インクジェットインク組成物に配合することができる。放射線として紫外線を用いる場合に好適な重合開始剤としては、例えば、芳香族ケトン類、芳香族オニウム塩化合物、有機過酸化物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、ケトオキシムエステル化合物、ボレート化合物、アジニウム化合物、メタロセン化合物、活性エステル化合物、炭素ハロゲン結合を有する化合物等を挙げることができる。紫外線重合開始剤としては、さらに具体的には、ベンジルジメチルケタール、α−ヒドロキシアルキルフェノン、α−アミノアルキルフェノン、アシルフォスフィンオキサイド、オキシムエステル、チオキサントン、α−ジカルボニル、およびアントラキノンを挙げることができる。
また、Vicure 10、30(Stauffer Chemical社製)、Irgacure 127、184、500、651、2959、907、369、379、754、1700、1800、1870、819、OXE01、Darocur 1173、TPO、ITX(チバ・スペシャリティーケミカルズ社製)、QuantacureCTX(Aceto Chemical社製)、Kayacure、DETX−S(日本化薬社製)、ESACURE KIP150(Lamberti社製)の商品名で入手可能なラジカル重合開始剤も使用することができる。
1.2.その他の重合性化合物
本実施形態にかかる放射線硬化型インクジェットインク組成物は、さらに、重合性化合物として上記の樹枝状ポリマーのほかに、単官能重合性化合物および多官能重合性化合物を含有することができる。これらの重合性化合物としては、何らかのエネルギー付与により重合反応を生起し、硬化する化合物であれば特に制限されることはなく、モノマー、オリゴマー、ポリマーの種を問わず使用することができる。
本実施形態にかかる放射線硬化型インクジェットインク組成物は、さらに、重合性化合物として上記の樹枝状ポリマーのほかに、単官能重合性化合物および多官能重合性化合物を含有することができる。これらの重合性化合物としては、何らかのエネルギー付与により重合反応を生起し、硬化する化合物であれば特に制限されることはなく、モノマー、オリゴマー、ポリマーの種を問わず使用することができる。
本実施形態において、重合性化合物として用いることができるカチオン性重合性化合物としては、例えば、特開平6−9714号、特開2001−31892号、特開2001−40068号、特開2001−55507号、特開2001−310938号、特開2001−310937号、特開2001−220526号などの各公報に記載されているエポキシ化合物、ビニルエーテル化合物、オキセタン化合物などが挙げられる。
本実施形態において使用可能なエポキシ化合物としては、芳香族エポキシド、脂環式エポキシドなどが挙げられる。エポキシ化合物の中でも、硬化速度に優れるという観点から、芳香族エポキシドおよび脂環式エポキシドが好ましく、脂環式エポキシドが特に好ましい。
ビニルエーテル化合物としては、硬化性、被記録媒体との密着性、形成された画像の表面硬度などの観点から、ジまたはトリビニルエーテル化合物が好ましく、ジビニルエーテル化合物が特に好ましい。
オキセタン化合物は、オキセタン環を有する化合物を指し、特開2001−220526号、特開2001−310937号、特開2003−341217号の各公報に記載されている公知のオキセタン化合物を使用できる。
本実施形態に用いることができるオキセタン環を有する化合物としては、その構造内にオキセタン環を1個ないし4個有する化合物が好ましい。このような化合物を使用することにより、放射線硬化型インクジェットインク組成物の粘度をハンドリング性の良好な範囲に維持することが容易となり、また硬化後の被記録媒体との高い密着性を得ることができる。
このようなオキセタン環を有する化合物については、前記特開2003−341217号公報、段落[0021]ないし[0084]に詳細に記載されており、ここに記載されている化合物は本実施形態にも好適に用いることができる。本実施形態で使用可能なオキセタン化合物の中でも、放射線硬化型インクジェットインク組成物の粘度と粘着性の観点から、オキセタン環を1個ないし2個有する化合物を用いることが好ましい。
本実施形態の放射線硬化型インクジェットインク組成物は、さらに、重合性化合物としてラジカル開始剤から発生する開始種により重合反応を生じる各種公知のラジカル重合性化合物を使用することもできる。ラジカル重合性化合物としては、(メタ)アクリレート類、(メタ)アクリルアミド類、芳香族ビニル類、等が挙げられる。なお、本明細書中において、「アクリレート」、「メタクリレート」の双方あるいはいずれかを指す場合「(メタ)アクリレート」と、「アクリル」、「メタクリル」の双方あるいはいずれかを指す場合「(メタ)アクリル」と、それぞれ記載することがある。
本実施形態において使用可能な単官能(メタ)アクリレートとしては、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、tert−オクチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、4−n−ブチルシクロへキシル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルジグリコール(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−クロロエチル(メタ)アクリレート、4−ブロモブチル(メタ)アクリレート、シアノエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ブトキシメチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、アルコキシメチル(メタ)アクリレート、アルコキシエチル(メタ)アクリレート、2−(2−メトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2−(2−ブトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2,2,2−テトラフルオロエチル(メタ)アクリレート、1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシル(メタ)アクリレート、4−ブチルフェニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、2,4,5−テトラメチルフェニル(メタ)アクリレート、4−クロロフェニル(メタ)アクリレート、フェノキシメチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、グリシジロキシブチル(メタ)アクリレート、グリシジロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジロキシプロピル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、トリメトキシシリルプロピル(メタ)アクリレート、トリメトキシシリルプロピル(メタ)アクリレート、トリメチルシリルプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレンオキシドモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、オリゴエチレンオキシドモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレンオキシド(メタ)アクリレート、オリゴエチレンオキシド(メタ)アクリレート、オリゴエチレンオキシドモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレンオキシドモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレンオキシドモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート、オリゴプロピレンオキシドモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート、2−メタクリロイロキシエチルコハク酸、2−メタクリロイロキシヘキサヒドロフタル酸、2−メタクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、ブトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、トリフロロエチル(メタ)アクリレート、パーフロロオクチルエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、EO変性フェノール(メタ)アクリレート、EO変性クレゾール(メタ)アクリレート、EO変性ノニルフェノール(メタ)アクリレート、PO変性ノニルフェノール(メタ)アクリレート、EO変性−2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートが挙げられる。
本実施形態において使用可能な二官能(メタ)アクリレートとしては、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、2,4−ジメチル−1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、ブチルエチルプロパンジオール(メタ)アクリレート、エトキシ化シクロヘキサンメタノールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、オリゴエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、2−エチル−2−ブチル−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、EO変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFポリエトキシジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、オリゴプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、2−エチル−2−ブチル−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
本実施形態において使用可能な三官能の(メタ)アクリレートとしては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンのアルキレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスルトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ((メタ)アクリロイルオキシプロピル)エーテル、イソシアヌル酸アルキレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリ((メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ヒドロキシピバルアルデヒド変性ジメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ソルビトールトリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化グリセリントリアクリレート等が挙げられる。
本実施形態において使用可能な四官能の(メタ)アクリレートとしては、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ソルビトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、プロピオン酸ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
本実施形態において使用可能な五官能の(メタ)アクリレートとしては、ソルビトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートが挙げられる。
本実施形態において使用可能な六官能の(メタ)アクリレートとしては、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ソルビトールヘキサ(メタ)アクリレート、フォスファゼンのアルキレンオキサイド変性ヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
本実施形態の放射線硬化型インクジェットインク組成物に使用可能な(メタ)アクリルアミド類の例としては、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−n−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−t−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルフォリンが挙げられる。
本実施形態の放射線硬化型インクジェットインク組成物に使用可能な芳香族ビニル類の具体例としては、スチレン、メチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、クロルメチルスチレン、メトキシスチレン、アセトキシスチレン、クロルスチレン、ジクロルスチレン、ブロムスチレン、ビニル安息香酸メチルエステル、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、3−エチルスチレン、4−エチルスチレン、3−プロピルスチレン、4−プロピルスチレン、3−ブチルスチレン、4−ブチルスチレン、3−ヘキシルスチレン、4−ヘキシルスチレン、3−オクチルスチレン、4−オクチルスチレン、3−(2−エチルヘキシル)スチレン、4−(2−エチルヘキシル)スチレン、アリルスチレン、イソプロペニルスチレン、ブテニルスチレン、オクテニルスチレン、4−t−ブトキシカルボニルスチレン、4−メトキシスチレン、4−t−ブトキシスチレン等が挙げられる。
さらに、本実施形態の放射線硬化型インクジェットインク組成物に使用可能なラジカル重合性化合物としては、ビニルエステル類(酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニルなど)、アリルエステル類(酢酸アリルなど)、ハロゲン含有単量体(塩化ビニリデン、塩化ビニルなど)、ビニルエーテル(メチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル、メトキシビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、クロロエチルビニルエーテルなど)、シアン化ビニル((メタ)アクリロニトリルなど)、オレフィン類(エチレン、プロピレンなど)などが挙げられる。
これらのうち、本実施形態の放射線硬化型インクジェットインク組成物に用いるラジカル重合性化合物としては、硬化速度の観点から(メタ)アクリレート類、(メタ)アクリルアミド類が好ましく、特に硬化速度の観点から(メタ)アクリレート類が好ましい。さらに、放射線硬化型インクジェットインク組成物の粘度の観点から、上記の(メタ)アクリレートと、単官能もしくは二官能の(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミドを併用することができる。
放射線硬化型インクジェットインク組成物中の重合性化合物の含量は、組成物の全固形分に対して50質量%ないし95質量%が適当であり、好ましくは、60質量%ないし92質量%、さらに好ましくは、70質量%ないし90質量%の範囲である。
本実施形態にかかる放射線硬化型インクジェットインク組成物に上記の重合性化合物を使用する場合は、該重合性化合物はPII値(Primary Irritation Index、一次皮膚刺激性)が2以下のものを選択することが好ましい。
1.3.添加剤
本実施形態の放射線硬化型インクジェットインク組成物は、以上説明した他に、さらに種々の物質を添加することができる。
本実施形態の放射線硬化型インクジェットインク組成物は、以上説明した他に、さらに種々の物質を添加することができる。
1.3.1.色材
本実施形態にかかる放射線硬化型インクジェットインク組成物は、そのままでもいわゆるクリアインクとして機能することができるが、さらに色材を含むことができる。この場合に用いられる色材は、染料または顔料のいずれであってもよい。本実施形態にかかる放射線硬化型インクジェットインク組成物は、プラスチックメディア等の水性インクを吸収しない非吸収メディアに直接印刷する目的で使用されることもできる。その場合は、色材としては、印刷物の耐久性の観点から色材は顔料を選択する方が好ましい。
本実施形態にかかる放射線硬化型インクジェットインク組成物は、そのままでもいわゆるクリアインクとして機能することができるが、さらに色材を含むことができる。この場合に用いられる色材は、染料または顔料のいずれであってもよい。本実施形態にかかる放射線硬化型インクジェットインク組成物は、プラスチックメディア等の水性インクを吸収しない非吸収メディアに直接印刷する目的で使用されることもできる。その場合は、色材としては、印刷物の耐久性の観点から色材は顔料を選択する方が好ましい。
本実施形態において使用可能な染料としては、直接染料、酸性染料、食用染料、塩基性染料、反応性染料、分散染料、建染染料、可溶性建染染料、などの通常インクジェット記録に使用される各種染料を挙げることができる。
本実施形態において使用可能な顔料としては、特別な制限はなく、無機顔料、有機顔料を挙げることができる。無機顔料としては、酸化チタン、および酸化鉄に加え、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法などの公知の方法によって製造されたカーボンブラックを使用することができる。また、有機顔料としては、アゾ顔料(アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料などを含む)、多環式顔料(たとえば、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キノフラロン顔料など)、染料キレート(たとえば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレートなど)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラックなどを使用することができる。
本実施形態で使用可能な顔料の具体例のうち、カーボンブラックとしては、C.I.ピグメントブラック7が挙げられ、たとえば、三菱化学株式会社から入手可能なNo.2300、No.900、MCF88、No.33、No.40、No.45、No.52、MA7、MA8、MA100、No.2200B等が、コロンビアケミカルカンパニー社から入手可能なRaven5750、同5250、同5000、同3500、同1255、同700等が、また、キャボット社から入手可能なRegal400R、同330R、同660R、MogulL、同700、Monarch800、同880、同900、同1000、同1100、同1300、同1400等が、さらに、デグッサ社から入手可能なColorBlackFW1、同FW2、同FW2V、同FW18、同FW200、ColorBlackS150、同S160、同S170、Printex35、同U、同V、同140U、SpecialBlack6、同5、同4A、同4等が挙げられる。
また、本実施形態にかかる放射線硬化型インクジェットインク組成物をイエローインクとする場合に使用しうる顔料としては、たとえば、C.I.ピグメントイエロー1、2、3、12、13、14、16、17、73、74、75、83、93、95、97、98、109、110、114、120、128、129、138、150、151、154、155、180、185、213等が挙げられる。
また、本実施形態にかかる放射線硬化型インクジェットインク組成物をマゼンダインクとする場合に使用される顔料としては、たとえば、C.I.ピグメントレッド5、7、12、48(Ca)、48(Mn)、57(Ca)、57:1、112、122、123、168、184、202、209、C.I.ピグメントバイオレット19等が挙げられる。
また、また、本実施形態にかかる放射線硬化型インクジェットインク組成物をシアンインクとする場合に使用される顔料としては、たとえば、C.I.ピグメントブルー1、2、3、15:3、15:4、60、16、22が挙げられる。
本実施形態で使用可能な顔料の平均粒子径は、好ましくは10nmないし200nmの範囲であり、より好ましくは50nmないし150nmの範囲である。
本実施形態の放射線硬化型インクジェットインク組成物に添加しうる顔料の添加量は、好ましくは0.1質量%ないし25質量%であり、より好ましくは0.5質量%ないし15質量%である。
さらに、本実施形態にかかる放射線硬化型インクジェットインク組成物は、複数の色材を混合して作製することができる。放射線硬化型インクジェットインク組成物に使用可能な色材としては、例えば、上記のイエロー、マゼンタおよびシアンの顔料を挙げることができる。ここで、たとえば、イエロー、マゼンタおよびシアンから選択される2種の顔料を適量混合してもよいが、印刷結果におけるブラックの色調をより高めるために、イエロー、マゼンタ、シアンの3色の顔料を混合して配合することもできる。また、上記のイエロー、マゼンタ、シアンの3色の顔料のほかに、ライトマゼンタ、ライトシアン等の同系列の淡色顔料を加えることもできる。
本実施形態の放射線硬化型インクジェットインク組成物は、これらの顔料の良好な分散を得るために、分散剤または界面活性剤を含むことができる。好ましい分散剤としては、顔料分散液を調製するのに慣用されている分散剤、例えば高分子分散剤を使用することができる。高分子分散剤の具体例としては、ポリオキシアルキレンポリアルキレンポリアミンなどを例示することができる。
1.3.2.重合促進剤
本実施形態にかかる放射線硬化型インクジェットインク組成物は、さらに重合促進剤を含むことができる。本実施形態において用い得る重合促進剤としては、特に限定されないが、DarocurEHA、EDB(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社から入手可能)等が挙げられる。また、本実施形態の放射線硬化型インクジェットインク組成物は、熱ラジカル重合禁止剤を含有することもできる。これにより、放射線硬化型インクジェットインク組成物の保存安定性が向上する。なお、熱ラジカル重合禁止剤としては、IrgastabUV−10(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社から入手可能)等が挙げられる。
本実施形態にかかる放射線硬化型インクジェットインク組成物は、さらに重合促進剤を含むことができる。本実施形態において用い得る重合促進剤としては、特に限定されないが、DarocurEHA、EDB(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社から入手可能)等が挙げられる。また、本実施形態の放射線硬化型インクジェットインク組成物は、熱ラジカル重合禁止剤を含有することもできる。これにより、放射線硬化型インクジェットインク組成物の保存安定性が向上する。なお、熱ラジカル重合禁止剤としては、IrgastabUV−10(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社から入手可能)等が挙げられる。
1.3.3.界面活性剤
さらに、本実施形態にかかる放射線硬化型インクジェットインク組成物は、保存安定性等を向上させるために、界面活性剤を含有することができる。界面活性剤としては、例えばシリコーン系界面活性剤として、ポリエステル変性シリコーンやポリエーテル変性シリコーンを用いることができ、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン又はポリエステル変性ポリジメチルシロキサンを用いることが特に好ましい。具体例としては、BYK−347、BYK−348、BYK−UV3500、3510、3530、3570(ビックケミー・ジャパン株式会社から入手可能)を挙げることができる。
さらに、本実施形態にかかる放射線硬化型インクジェットインク組成物は、保存安定性等を向上させるために、界面活性剤を含有することができる。界面活性剤としては、例えばシリコーン系界面活性剤として、ポリエステル変性シリコーンやポリエーテル変性シリコーンを用いることができ、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン又はポリエステル変性ポリジメチルシロキサンを用いることが特に好ましい。具体例としては、BYK−347、BYK−348、BYK−UV3500、3510、3530、3570(ビックケミー・ジャパン株式会社から入手可能)を挙げることができる。
1.3.4.その他の成分
本実施形態にかかる放射線硬化型インクジェットインク組成物には、その他の成分として、公知公用の湿潤剤、浸透溶剤、pH調整剤、防腐剤、防黴剤等を添加してもよい。さらに、必要に応じて、レベリング添加剤、マット剤、記録物の物性を調整するためのポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ゴム系樹脂、ワックス類を添加することができる。
本実施形態にかかる放射線硬化型インクジェットインク組成物には、その他の成分として、公知公用の湿潤剤、浸透溶剤、pH調整剤、防腐剤、防黴剤等を添加してもよい。さらに、必要に応じて、レベリング添加剤、マット剤、記録物の物性を調整するためのポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ゴム系樹脂、ワックス類を添加することができる。
以上説明した本実施形態にかかる放射線硬化型インクジェットインク組成物は、単位質量当たりに多数の二重結合を有する放射線硬化型の樹枝状ポリマーを含有している。そのため、直鎖状のポリマーの場合に比して、樹枝状ポリマーの含有量が高くても、粘度が低く、インクジェット記録方法に好適に用いることができる。これにより、インクジェット記録方法において、装置への負荷を小さくすることができる。さらに、本実施形態にかかる放射線硬化型インクジェットインク組成物は、保存安定性に優れ、インクジェット記録方法によって記録した画像においても、記録媒体との密着性、および、記録した画像の引っ掻きに対する強さ(膜強度)に優れている。
2.インクジェット記録方法および記録物
本実施形態にかかるインクジェット記録方法として、記録媒体上に放射線硬化型インクジェットインク組成物を吐出し、記録媒体上に付着させて塗膜を形成した後に、該塗膜に放射線として紫外線を照射するものを例示する。
本実施形態にかかるインクジェット記録方法として、記録媒体上に放射線硬化型インクジェットインク組成物を吐出し、記録媒体上に付着させて塗膜を形成した後に、該塗膜に放射線として紫外線を照射するものを例示する。
本実施形態にかかるインクジェット記録方法では、インクジェットプリンタを用いて、記録媒体上に放射線硬化型インクジェットインク組成物を吐出する。インクジェットプリンタは、インクジェット式記録ヘッド、本体、トレイ、ヘッド駆動機構、キャリッジおよびキャリッジの側面に搭載された紫外線照射装置などを備えたものを例示できる。インクジェット式記録ヘッドは、少なくともシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの4色のインクカートリッジを備えており、フルカラー印刷ができるように構成されている。この少なくとも1つのインクカートリッジに、本実施形態にかかる放射線硬化型インクジェットインク組成物を充填し、設置する。また、このインクジェットプリンタは、内部に専用のコントロールボード等を備えており、インクジェット式記録ヘッドのインクの吐出タイミングおよびヘッド駆動機構の走査を制御することができる。
紫外線の照射には、インクジェットプリンタ内のキャリッジ側面に搭載された紫外線照射装置を適用することができる。照射光源の波長は、特に制限されないが、好ましくは350nm以上、450nm以下である。光の照射量は、好ましくは10mJ/cm2以上、20000mJ/cm2以下であり、より好ましくは50mJ/cm2以上、15000mJ/cm2以下の範囲で行う。この範囲内における紫外線照射量であれば、十分硬化反応を行うことができる。
紫外線の照射方法としては、その他にもメタルハライドランプ、キセノンランプ、カーボンアーク灯、ケミカルランプ、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプなどの光を光ガイド等によって塗膜に導いて行うことも可能である。また、光源としては、たとえば、Fusion System社等から入手可能なHランプ、Dランプ、Vランプ等の市販されているものを用いて行うことができる。また、光源としては、紫外線発光ダイオード(紫外線LED)や紫外線発光半導体レーザ等の紫外線発光半導体素子を用いることができ、このような光源からの紫外線を照射することもできる。
本実施形態にかかるインクジェット記録方法は、その用途として、金属、ガラス、プラスチック等の非吸収性メディアに対する印刷、カラーフィルター作成およびプリント基板へのマーキング等に好ましく用いることができる。
そして、本実施形態にかかるインクジェット記録方法によって得られる記録物は、上述の放射線硬化型インクジェットインク組成物を用いて形成されるため、塗膜の記録媒体との密着性、および、記録した画像の引っ掻きに対する硬さ(膜強度)に優れたものである。
3.インクセット
本実施形態にかかるインクセットとして、少なくとも1種類の上記放射線硬化型インクジェットインク組成物を含むインクを備えたものを例示する。
本実施形態にかかるインクセットとして、少なくとも1種類の上記放射線硬化型インクジェットインク組成物を含むインクを備えたものを例示する。
上記の放射線硬化型インクジェットインク組成物を含むインクをそれぞれ単独または複数備えたインクセットとしてもよいし、さらに一または複数の他のインク組成物を含むインクを備えたインクセットとしてもよい。インクジェット記録用インクセットに備えることができる他のインク組成物としては、シアン、マゼンタ、イエロー、ライトシアン、ライトマゼンタ、ダークイエロー、レッド、グリーン、ブルー、オレンジ、バイオレット等のカラーインク組成物、ブラックインク組成物、ライトブラックインク組成物等が挙げられる。
4.インクカートリッジおよびインクジェット記録装置
本実施形態にかかるインクカートリッジとして、上記のインクセットを備えたものを例示する。これによれば、上記の放射線硬化型インクジェットインク組成物を備えたインクセットを容易に運搬することができる。本実施形態にかかるインクジェット記録装置は、上述の放射線硬化型インクジェットインク組成物、インクジェット記録用インクセット、またはインクカートリッジを備えたものであり、たとえば、上記インクジェット記録方法の項で述べたインクジェットプリンタを例示できる。
本実施形態にかかるインクカートリッジとして、上記のインクセットを備えたものを例示する。これによれば、上記の放射線硬化型インクジェットインク組成物を備えたインクセットを容易に運搬することができる。本実施形態にかかるインクジェット記録装置は、上述の放射線硬化型インクジェットインク組成物、インクジェット記録用インクセット、またはインクカートリッジを備えたものであり、たとえば、上記インクジェット記録方法の項で述べたインクジェットプリンタを例示できる。
5.実施例および比較例
実施例を参照して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
実施例を参照して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
5.1.樹枝状ポリマーの合成
[樹枝状ポリマーAの合成]
樹枝状ポリマーAは、1L容の4つ口フラスコ内に、トリメチロールプロパントリメルカプトアセテート25g(メルカプト基0.28モル)、ペンタエリスリトールテトラアクリレート177g(炭素−炭素二重結合2.01モル)、ハイドロキノン0.1g、およびベンジルジメチルアミン0.01gを加え、60℃で12時間反応させて得た。得られた樹枝状ポリマーAにつき、ヨードメトリー法によりメルカプト基の消失を確認した。ゲル濾過クロマトグラフィーによれば、得られた樹枝状ポリマーAの分子量は、4400であった。
[樹枝状ポリマーAの合成]
樹枝状ポリマーAは、1L容の4つ口フラスコ内に、トリメチロールプロパントリメルカプトアセテート25g(メルカプト基0.28モル)、ペンタエリスリトールテトラアクリレート177g(炭素−炭素二重結合2.01モル)、ハイドロキノン0.1g、およびベンジルジメチルアミン0.01gを加え、60℃で12時間反応させて得た。得られた樹枝状ポリマーAにつき、ヨードメトリー法によりメルカプト基の消失を確認した。ゲル濾過クロマトグラフィーによれば、得られた樹枝状ポリマーAの分子量は、4400であった。
[樹枝状ポリマーBの合成]
樹枝状ポリマーBは、1L容の4つ口フラスコ内に、ペンタエリスリトールテトラ(メルカプトアセテート)20g(メルカプト基0.19モル)、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとジペンタエリスリトールペンタアクリレートとの混合物212g(炭素−炭素二重結合2.12モル)、ハイドロキノン0.1g、およびベンジルジメチルアミン0.01gを加え、60℃で12時間反応させて得た。得られた樹枝状ポリマーBにつき、ヨードメトリー法にてメルカプト基の消失を確認した。ゲル濾過クロマトグラフィーによれば、得られた樹枝状ポリマーBの分子量は、11000であった。
樹枝状ポリマーBは、1L容の4つ口フラスコ内に、ペンタエリスリトールテトラ(メルカプトアセテート)20g(メルカプト基0.19モル)、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとジペンタエリスリトールペンタアクリレートとの混合物212g(炭素−炭素二重結合2.12モル)、ハイドロキノン0.1g、およびベンジルジメチルアミン0.01gを加え、60℃で12時間反応させて得た。得られた樹枝状ポリマーBにつき、ヨードメトリー法にてメルカプト基の消失を確認した。ゲル濾過クロマトグラフィーによれば、得られた樹枝状ポリマーBの分子量は、11000であった。
[比較ポリマーCの合成]
比較ポリマーCは、まず、1L容の4つ口フラスコ内に、下記、一般式(3)、4−カスケード:1,4−ジアミノブタン[4]:プロピルアミン
を4.32g、ラウリルアクリレート144g及び酢酸エチル199gを入れ、75℃で3時間反応させた。このとき、反応物を一部サンプリングし、13C−NMRを測定したところ、アクリル基由来のピークがほぼ消失していた。続いて2−メタクリロイロオキシエチルイソシアネート31gと酢酸エチル31gとの混合溶液を投入し、3〜4時間加熱し反応させた。この間、間欠的にIRスペクトルを取得し、IRチャートのNCO基特性吸収(2270cm−1)が消失した時点を反応終点とした。その後、反応溶媒として用いた酢酸エチルをエバボレータで脱溶剤することにより、比較ポリマーC(ビニル基含有デンドリマー)を得た。得られた分子量は1000であった。
比較ポリマーCは、まず、1L容の4つ口フラスコ内に、下記、一般式(3)、4−カスケード:1,4−ジアミノブタン[4]:プロピルアミン
[比較ポリマーDの合成]
比較ポリマーDは、まず1L容の4つ口フラスコ内に、グリシジルメタクリレート120g、メチルメタクリレート80g、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを300g入れ、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AlBN)を8g投入し、80℃で6時間、重合を行った。これに続いてアクリル酸61g、及びトリフェニルホスフィン1gを投入し、120℃で24時間反応させた。得られた溶液の酸価を測定したところ0であり、反応が終了していることが確認された。このようにして得られた比較ポリマーDの分子量は、15000であった。
比較ポリマーDは、まず1L容の4つ口フラスコ内に、グリシジルメタクリレート120g、メチルメタクリレート80g、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを300g入れ、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AlBN)を8g投入し、80℃で6時間、重合を行った。これに続いてアクリル酸61g、及びトリフェニルホスフィン1gを投入し、120℃で24時間反応させた。得られた溶液の酸価を測定したところ0であり、反応が終了していることが確認された。このようにして得られた比較ポリマーDの分子量は、15000であった。
5.2.他の重合性化合物および重合開始剤
樹枝状ポリマーと比較するために、比較例の重合性化合物として、ジペンタエリスルトールヘキサアクリレート(日本化薬株式会社製DPHA)を準備した。また、実施例および比較例において、主となる重合性化合物として、シクロヘキシルアクリレートを用いた。重合開始剤としては、Irgacure1870を用いた。
樹枝状ポリマーと比較するために、比較例の重合性化合物として、ジペンタエリスルトールヘキサアクリレート(日本化薬株式会社製DPHA)を準備した。また、実施例および比較例において、主となる重合性化合物として、シクロヘキシルアクリレートを用いた。重合開始剤としては、Irgacure1870を用いた。
5.3.色材および分散剤
実施例の一部および比較例に用いる顔料として、ピグメントブラック−7(ブラック)、ピグメントブルー−15:3(シアン)、ピグメントバイオレット−19(マゼンダ)、およびピグメントイエロー−155(イエロー)を準備した。また、顔料を分散させるために、顔料を配合する試料には、分散剤として、ポリオキシアルキレンポリアルキレンポリアミンを配合した。
実施例の一部および比較例に用いる顔料として、ピグメントブラック−7(ブラック)、ピグメントブルー−15:3(シアン)、ピグメントバイオレット−19(マゼンダ)、およびピグメントイエロー−155(イエロー)を準備した。また、顔料を分散させるために、顔料を配合する試料には、分散剤として、ポリオキシアルキレンポリアルキレンポリアミンを配合した。
5.4.放射線硬化型インクジェットインク組成物の調製
上記記載の樹枝状ポリマーAおよび樹枝状ポリマーBから選択されるいずれか1種と、シクロヘキシルアクリレート、重合開始剤、顔料および分散剤を表1に示す組成(質量%)で配合し、実施例1ないし実施例11の放射線硬化型インクジェットインク組成物を調製した。また、樹枝状ポリマーC、樹枝状ポリマーD、およびジペンタエリスリトールヘキサアクリレートから選択されるいずれか1種と、シクロヘキシルアクリレート、重合開始剤、顔料および分散剤を表1に示す組成(質量%)で配合し、比較例1ないし比較例4の放射線硬化型インクジェットインク組成物を調製した。なお比較例のインク組成物は、本実施形態の樹枝状ポリマーが配合されていないものである。また、実施例2の放射線硬化型インクジェットインク組成物は、色材(および分散剤)を含有しないものである。
上記記載の樹枝状ポリマーAおよび樹枝状ポリマーBから選択されるいずれか1種と、シクロヘキシルアクリレート、重合開始剤、顔料および分散剤を表1に示す組成(質量%)で配合し、実施例1ないし実施例11の放射線硬化型インクジェットインク組成物を調製した。また、樹枝状ポリマーC、樹枝状ポリマーD、およびジペンタエリスリトールヘキサアクリレートから選択されるいずれか1種と、シクロヘキシルアクリレート、重合開始剤、顔料および分散剤を表1に示す組成(質量%)で配合し、比較例1ないし比較例4の放射線硬化型インクジェットインク組成物を調製した。なお比較例のインク組成物は、本実施形態の樹枝状ポリマーが配合されていないものである。また、実施例2の放射線硬化型インクジェットインク組成物は、色材(および分散剤)を含有しないものである。
5.5.評価試験
〔塗膜の評価〕
〔密着性〕
インクジェットプリンタPX−G920(セイコーエプソン株式会社製)を用いて、実施例および比較例の各組成物を、それぞれプリンタのREDノズル列に充填した。常温・常圧下で液滴を着弾させてPETフィルム上にベタパターンを印刷した。実際の印字色は、REDノズル列に充填した組成物の色となっている。そして、照射強度17mW/cm2の紫外線照射装置を用いて、365nmの波長の紫外線を各試料に10分間照射した。その後、印字面に幅約25mm、長さ約7.5cmの透明感圧付着テープを貼った。そして、テープの面と印字面とのなす角をできるだけ60度に維持して、0.5秒ないし1.0秒の時間の間でテープを剥がした。剥がしたテープおよび印刷物を観察し、印刷が剥がれずに密着が維持されている面積割合を評価し記録した。密着性は、剥離したテープ側にインクが全く付着していない場合をAA、テープ接触面の半分未満の面積でインクがテープに付着した場合をA、テープ接触面の半分以上の面積でインクがテープに付着した場合をBとする指標によって評価した。各例の評価結果は、表1に記載した。
〔塗膜の評価〕
〔密着性〕
インクジェットプリンタPX−G920(セイコーエプソン株式会社製)を用いて、実施例および比較例の各組成物を、それぞれプリンタのREDノズル列に充填した。常温・常圧下で液滴を着弾させてPETフィルム上にベタパターンを印刷した。実際の印字色は、REDノズル列に充填した組成物の色となっている。そして、照射強度17mW/cm2の紫外線照射装置を用いて、365nmの波長の紫外線を各試料に10分間照射した。その後、印字面に幅約25mm、長さ約7.5cmの透明感圧付着テープを貼った。そして、テープの面と印字面とのなす角をできるだけ60度に維持して、0.5秒ないし1.0秒の時間の間でテープを剥がした。剥がしたテープおよび印刷物を観察し、印刷が剥がれずに密着が維持されている面積割合を評価し記録した。密着性は、剥離したテープ側にインクが全く付着していない場合をAA、テープ接触面の半分未満の面積でインクがテープに付着した場合をA、テープ接触面の半分以上の面積でインクがテープに付着した場合をBとする指標によって評価した。各例の評価結果は、表1に記載した。
〔膜強度〕
密着性の評価の場合と同様に、各実施例および各比較例のベタパターンを印刷して硬化させた。膜強度は、硬化した表面を爪で一定の力をかけて擦り、傷発生の有無を目視で観察して評価した。表面に傷が付かない場合をA、表面に傷が付く場合をBとして結果を表1に示した。
密着性の評価の場合と同様に、各実施例および各比較例のベタパターンを印刷して硬化させた。膜強度は、硬化した表面を爪で一定の力をかけて擦り、傷発生の有無を目視で観察して評価した。表面に傷が付かない場合をA、表面に傷が付く場合をBとして結果を表1に示した。
〔組成物の粘度の評価〕
各実施例、各比較例の組成物の粘度測定は、粘弾性試験機MCR−300(Pysica社製)を用いて20℃での粘度測定を行った。粘度の値が、20mPa・s未満である場合をA、20mPa・s以上の場合をBとして、結果を表1に示した。
各実施例、各比較例の組成物の粘度測定は、粘弾性試験機MCR−300(Pysica社製)を用いて20℃での粘度測定を行った。粘度の値が、20mPa・s未満である場合をA、20mPa・s以上の場合をBとして、結果を表1に示した。
〔保存安定性〕
各実施例、各比較例の組成物の初期粘度を上述の粘度測定の方法に従って測定した後、該組成物をいずれも、60℃で7日間放置した。その後、再度、各組成物の粘度測定を同様の方法で行った。保存安定性は、初期粘度と放置後の粘度の変化率が10%未満である場合をA、初期粘度と放置後の粘度の変化率が10%以上である場合をBとする指標によって評価した。各例の保存安定性の評価結果は、表1に記載した。
各実施例、各比較例の組成物の初期粘度を上述の粘度測定の方法に従って測定した後、該組成物をいずれも、60℃で7日間放置した。その後、再度、各組成物の粘度測定を同様の方法で行った。保存安定性は、初期粘度と放置後の粘度の変化率が10%未満である場合をA、初期粘度と放置後の粘度の変化率が10%以上である場合をBとする指標によって評価した。各例の保存安定性の評価結果は、表1に記載した。
5.6.評価結果
表1に見られるように、密着性試験では、比較例の硬化物において剥がれが見られたのに対し、各実施例の硬化物では剥がれはほとんど認められず、優れた密着性が確認された。膜強度評価においても、各実施例の硬化物は、硬化物に擦過痕が生じにくかった。ただし、実施例8に用いた放射線硬化型インクジェットインク組成物は、樹枝状ポリマーBの含有量が3質量%と低いため、膜強度の評価結果は若干悪かった。組成物の粘度の評価結果においては、実施例9を除く各実施例の放射線硬化型インクジェットインク組成物の粘度は、インクジェットプリンタに特に好適な範囲であった。実施例9の組成物は、樹枝状ポリマーBの含有量が35質量%と高いため、20mPa・sを越えていたが、インクジェットプリンタに用いることのできる範囲内であった。さらに、各実施例の硬化物は、比較例の硬化物のいずれと比べても、良好な保存安定性を示した。以上のように、各実施例にかかる放射線硬化型インクジェットインク組成物は、硬化物の密着性、膜強度、および保存安定性の点で、いずれの比較例組成物よりも優れており、粘度を含めて総合的に優れた放射線硬化型インクジェットインク組成物であることが判明した。
表1に見られるように、密着性試験では、比較例の硬化物において剥がれが見られたのに対し、各実施例の硬化物では剥がれはほとんど認められず、優れた密着性が確認された。膜強度評価においても、各実施例の硬化物は、硬化物に擦過痕が生じにくかった。ただし、実施例8に用いた放射線硬化型インクジェットインク組成物は、樹枝状ポリマーBの含有量が3質量%と低いため、膜強度の評価結果は若干悪かった。組成物の粘度の評価結果においては、実施例9を除く各実施例の放射線硬化型インクジェットインク組成物の粘度は、インクジェットプリンタに特に好適な範囲であった。実施例9の組成物は、樹枝状ポリマーBの含有量が35質量%と高いため、20mPa・sを越えていたが、インクジェットプリンタに用いることのできる範囲内であった。さらに、各実施例の硬化物は、比較例の硬化物のいずれと比べても、良好な保存安定性を示した。以上のように、各実施例にかかる放射線硬化型インクジェットインク組成物は、硬化物の密着性、膜強度、および保存安定性の点で、いずれの比較例組成物よりも優れており、粘度を含めて総合的に優れた放射線硬化型インクジェットインク組成物であることが判明した。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、さらに種々の変形が可能である。たとえば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(たとえば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的および効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成または同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
Claims (10)
- 重合性化合物として、
下記、一般式(1)、
下記、一般式(2)、
- 請求項1において、
前記樹枝状ポリマーにおける、前記一般式(2)で示される多価メルカプト化合物のメルカプト基の、前記一般式(1)で示される多官能(メタ)アクリレート化合物の炭素−炭素二重結合に対する付加割合が、該基及び二重結合のモル比で1/200〜1/2である、放射線硬化型インクジェットインク組成物。 - 請求項1または請求項2において、
さらに、重合性化合物、重合開始剤および重合増感剤を含む、放射線硬化型インクジェットインク組成物。 - 請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、
前記樹枝状ポリマーを5質量%ないし30質量%含んでなる、放射線硬化型インクジェットインク組成物。 - 請求項1ないし請求項4のいずれか1項において、
さらに、色材を含む、放射線硬化型インクジェットインク組成物。 - 請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の放射線硬化型インクジェットインク組成物を用いて画像を形成する、インクジェット記録方法。
- 請求項6に記載のインクジェット記録方法により、記録媒体上に画像が形成されてなる、記録物。
- 請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の放射線硬化型インクジェットインク組成物を含むインクを備えた、インクジェット記録用インクセット。
- 請求項8に記載されたインクジェット記録用インクセットを備えた、インクカートリッジ。
- 請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載されたインク組成物、または請求項8に記載されたインクジェット記録用インクセット、または請求項9に記載されたインクカートリッジを備えた、インクジェット記録装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008101667A JP2009249572A (ja) | 2008-04-09 | 2008-04-09 | 放射線硬化型インクジェットインク組成物、インクジェット記録方法、記録物、インクジェット記録用インクセット、インクカートリッジ、およびインクジェット記録装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2009249572A true JP2009249572A (ja) | 2009-10-29 |
Family
ID=41310565
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JP2008101667A Withdrawn JP2009249572A (ja) | 2008-04-09 | 2008-04-09 | 放射線硬化型インクジェットインク組成物、インクジェット記録方法、記録物、インクジェット記録用インクセット、インクカートリッジ、およびインクジェット記録装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2009249572A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US9175180B2 (en) | 2010-06-16 | 2015-11-03 | Konica Minolta, Inc. | Inkjet ink and inkjet image formation method using same |
CN106687505A (zh) * | 2015-05-22 | 2017-05-17 | 日油株式会社 | 固化性树脂组合物 |
CN114683694A (zh) * | 2020-12-25 | 2022-07-01 | 精工爱普生株式会社 | 喷墨方法及喷墨装置 |
-
2008
- 2008-04-09 JP JP2008101667A patent/JP2009249572A/ja not_active Withdrawn
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