JP2009248962A - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】フェールセーフにより回転角の推定を行う際に、推定誤差に伴う操舵フィーリングの悪化を抑制する。
【解決手段】推定した相対回転角θeeに推定誤差があるか否かを判定し、推定誤差があると判定されたときに、その相対回転角θeeを補正する。具体的には、各相の電流検出値Ia〜Icが、定格電流よりも大きな所定値αを超えているか否かを判定し(ステップS34〜S36)、所定値αを超えるような過大な電流が流れているときには、推定誤差が発生していると考えられるので、相対角速度ωeeに補正量Δωを加算することでオフセットし補正を行う(ステップS37、S38)。このように、前回の回転角θer(n)に加算される相対角速度ωeeを補正することで、推定される相対回転角θeeの推定誤差を小さくする、又は解消する。
【選択図】図8

Description

本発明は、電動パワーステアリング装置に関するものである。
複数のホールセンサによってモータ回転角を検出すると共に、モータ逆起電圧からモータ回転角を推定し、双方を比較することでホールセンサの異常を検知し、且つホールセンサの異常を検知したら、推定されるモータ回転角の変化傾向に基づいて、アシスト制御を継続するものがあった(特許文献1参照)。
また、レゾルバによってモータ回転角を検出すると共に、操舵トルクからモータ回転角を推定し、レゾルバの異常を検知したら、推定されるモータ回転角に基づいて、アシスト制御を継続するものがあった(特許文献2参照)。
特開2005−335591号公報(図13) 特開2007−118823号公報
しかしながら、上記の特許文献1、2に記載された従来例にあっては、推定したモータ回転角と実際のモータ回転角との間に誤差があると、電動モータに予期せぬ電流が流れ、アシストトルクに振動が発生する可能性がある。
本発明の課題は、フェールセーフにより回転角の推定を行う際に、推定誤差に伴う操舵フィーリングの悪化を抑制することである。
本発明の請求項1に係る電動パワーステアリング装置は、ステアリング系にアシストトルクを伝達する電動モータと、運転者の操舵トルクを検出するトルク検出手段と、前記電動モータの回転角を検出する回転角検出手段と、前記電動モータの回転角を推定する回転角推定手段と、前記回転角検出手段の異常を検知する異常検知手段と、該異常検知手段が異常を検知しなければ、前記回転角検出手段で検出した回転角を選択し、当該異常検知手段が異常を検知したら、前記回転角推定手段で推定した回転角を選択する選択手段と、前記トルク検出手段で検出した操舵トルク及び前記選択手段で選択した回転角に応じて、前記電動モータを駆動制御する制御手段と、を備えた電動パワーステアリング装置であって、前記回転角推定手段で推定した回転角に推定誤差があるか否かを判定する判定手段と、該判定手段で推定誤差があると判定されたときに前記回転角推定手段で推定した回転角を補正する補正手段と、を備えることを特徴とする。
本発明の請求項2に係る電動パワーステアリング装置は、前記判定手段は、前記電動モータの通電電流が所定値を超えたときに、推定誤差があると判定することを特徴とする。
本発明の請求項3に係る電動パワーステアリング装置は、前記制御手段は、前記トルク検出手段で検出した操舵トルクに応じて前記電動モータに対する電流指令値を算出し、算出した電流指令値と、前記選択手段で選択した回転角と、に応じて前記電動モータを駆動制御し、前記判定手段は、前記電動モータの通電電流と前記電流指令値との差分が所定値を超えたときに、推定誤差があると判定することを特徴とする。
本発明の請求項4に係る電動パワーステアリング装置は、前記判定手段は、前記電動モータに発生する逆起電圧のモデル値を前記回転角推定手段で推定した回転角に応じて算出すると共に、前記電動モータに発生する逆起電圧の実値を前記電動モータの通電電流及び線間電圧に応じて算出し、前記モデル値と前記実値との差分が所定値を超えたときに、推定誤差があると判定することを特徴とする。
本発明の請求項5に係る電動パワーステアリング装置は、前記補正手段は、前記回転角推定手段で推定した回転角を、推定誤差修正方向に、所定量だけ補正することを特徴とする。
本発明の請求項6に係る電動パワーステアリング装置は、前記制御手段は、前記判定手段で推定誤差があると判定されたときに、所定時間だけ、前記電動モータの駆動制御を中断することを特徴とする。
本発明によれば、回転角検出手段の異常を検知したら、フェールセーフにより回転角の推定を行い、推定した回転角に推定誤差があるときには、この回転角を補正することで、推定誤差を小さくする、又は解消し、操舵フィーリングの悪化を抑制することができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態を示す全体構成図である。図中、1は通常の車両に搭載されているバッテリであって、このバッテリ1から出力されるバッテリ電圧Vbがヒューズ2を介して制御装置3に入力される。この制御装置3は、ヒューズ2を介して入力されるバッテリ電圧Vbが図3中に示すリレー4を介して入力された操舵系に対して操舵補助力を発生する電動モータ5を駆動するモータ駆動手段としてのモータ駆動回路6を有する。
電動モータ5は、例えば三相交流駆動されるスター(Y)結線されたブラシレスモータで構成され、電動パワーステアリング装置の操舵補助力を発生する操舵補助力発生用モータとして動作する。この電動モータ5は、ステアリングホイール11が接続されたステアリングシャフト12に減速機構13を介して連結され、このステアリングシャフト12がラックピニオン機構14に連結され、このラックピニオン機構14がタイロッド等の連結機構15を介して左右の転舵輪16に連結されている。
ステアリングシャフト12には、ステアリングホイール11に入力された操舵トルクを検出する操舵トルクセンサ17が配設されていると共に、電動モータ5にはモータ回転角を検出するレゾルバ18が配設され、操舵トルクセンサ17で検出した操舵トルク検出信号及びレゾルバ18で検出したモータ回転角検出信号が制御装置3へ入力されている。
操舵トルクセンサ17は、ステアリングホイール11に付与されてステアリングシャフト12に伝達された操舵トルクを検出するもので、例えば、操舵トルクを図示しない入力軸及び出力軸間に介挿したトーションバーの捩れ角変位に変換し、この捩れ角変位を磁気信号で検出し、それを電気信号に変換するように構成されている。この操舵トルクセンサ17は、図2に示すように、入力される操舵トルクが零のときには、所定の中立トルクT0となり、この状態から例えば右切りすると、操舵トルクの増加に応じて中立トルクT0より増加する値となり、操舵トルクが零の状態から左切りすると操舵トルクの増加に応じて中立トルクT0より減少する値となる。
モータ駆動回路6は、図3に示すように、2つの電界効果トランジスタQaa及びQabが直列に接続された直列回路と、この直列回路と並列に接続された同様に2つの電界効果トランジスタQba及びQbbの直列回路、並びに電界効果トランジスタQca及びQcbの直列回路とで構成されるインバータ回路21を有する。このインバータ回路21の電界効果トランジスタQaa及びQabの接続点、電界効果トランジスタQba及びQbbの接続点、並びに電界効果トランジスタQca及びQcbの接続点が、電動モータ5のスター結線された各励磁コイルLa、Lb並びにLcに接続され、さらにインバータ回路21から電動モータ5に出力されるモータ駆動電流Ia、Ibがモータ電流検出回路7で検出される。
モータ駆動回路6は、インバータ回路21の各電界効果トランジスタを制御するFETゲート駆動回路22を有する。このFETゲート駆動回路22は、インバータ回路21の電界効果トランジスタを、後述するマイクロコンピュータ30から出力される電流指令値Iat、Ibt及びIctに基づいて決定されるデューティ比Da、Db及びDcのPWM(パルス幅変調)信号によってON/OFFされ、実際に電動モータ5に流れる電流Ia、Ib及びIcの大きさが制御される。ここで、デューティ比Da、Db及びDcの大きさに伴って上アームを構成するQaa、Qba、Qcaと、下アームを構成するQab、Qbb、Qcbは、夫々アームショートを避けるためのデッドタイムを持ってPWM駆動される。
制御装置3は、ゲート駆動回路22に対して電動モータ5で操舵補助力を発生させるデューティ比のパルス幅変調信号を供給するマイクロコンピュータ30を有する。
マイクロコンピュータ30には、電動モータ5の各相電流を検出する電流検出回路7から入力される各相電流検出値Ia〜Icと、電動モータ5の各相の端子電圧を検出する端子電圧検出回路8から入力される各相端子電圧Va〜Vcとが入力されると共に、操舵トルクセンサ17で検出した操舵トルク信号がA/D変換回路31を介して入力され、レゾルバ18の出力信号が入力されたモータ回転角信号を出力するモータ回転角検出回路32からのモータ回転角信号sinθ及びcosθ が入力端子に入力され、さらに車速Vを検出する車速センサ33から出力される車速Vが入力される。
マイクロコンピュータ30には、ヒューズ2に接続されて例えば5Vのマイクロコンピュータ用電源を形成する安定化電源回路34から出力される安定化電源が制御電源として入力されている。
モータ回転角検出回路32は、所定の周波数を有する搬送波信号sinωtをレゾルバ18に供給して、この搬送波信号sinωtを正弦波sinθで振幅変調した波形を有する正弦波信号(sinωt・sinθ)及び搬送波信号sinωtを余弦波cosθで振幅変調した波形を有する余弦波信号(sinωt・cosθ)を発生させ、これら正弦波信号(sinωt・sinθ)及び余弦波信号(sinωt・cosθ)をA/D変換器35及び36を介してマイクロコンピュータ30に入力すると共に、搬送波sinωtの例えば正のピーク時期を検出してピーク検出パルスPpをマイクロコンピュータ30に入力する。
マイクロコンピュータ30の構成は、機能ブロック図で表すと図4に示すようになり、後述するフェールセーフ処理部49からのフェールセーフ信号SFによって操舵トルクセンサ17から入力される操舵トルクTの急激な変化を抑制して徐々に変化させる徐変制御部41と、この徐変制御部41で急激な変化が制限された操舵トルクTと車速センサ33で検出した車速Vが入力されると共に、後述する角速度・角加速度検出部から入力される角速度ωe及び角加速度αに基づいてベクトル制御を行って3相の電流指令値Ia*〜Ic*を算出する電流指令値算出部42と、この電流指令値算出部42から出力される電流指令値Ia*〜Ic*を後述するフェールセーフ処理部49からのフェールセーフ信号SFによって制限する電流出力制限部43と、この電流出力制限部43から出力される電流指令値Ia*〜Ic*と電流検出回路7から入力される相電流検出値Ia〜Icを減算して偏差ΔIa〜ΔIcを算出する減算部44と、この減算部44から出力される偏差ΔIa〜ΔIcを例えば比例・積分(PI)制御して指令電圧Va*〜Vc*をモータ駆動回路6のFETゲート駆動回路22に出力する電流制御部45と、電流検出回路7から入力される電流検出値Ia〜Icと、端子電圧検出回路8から入力される端子電圧Va〜Vcとが入力され、これらに基づいて各モータコイルの線間で発生する線間逆起電圧EMFab、EMFbc、EMFcaを演算する逆起電圧演算部46と、モータ回転角検出回路32から入力される正弦波信号(sinωt・sinθ)及び余弦波信号(sinωt・cosθ)とピーク検出パルスPpとに基づいて電気角で表されるモータ回転角θeを演算するモータ回転角演算部47と、逆起電圧演算部46で演算された線間逆起電圧EMFab、EMFbc、EMFcaとモータ回転角演算部47で演算されたモータ回転角θeとに基づいて角速度及び角加速度を算出する回転角速度・角加速度演算部48と、操舵トルクセンサ17で検出した操舵トルクT、車速センサ6で検出した車速V及びモータ回転角演算部47で演算されたモータ回転角θeが入力され、これらに基づいて操舵トルクセンサ17、車速センサ33及びレゾルバ18、モータ回転角検出回路32、モータ回転角演算部47の異常を検知してフェールセーフ信号SFを出力するフェールセーフ処理部49と、を備えている。
電流指令値算出部42は、図5に示すように、操舵トルクセンサ17から入力される操舵トルクT及び車速Vに基づいて操舵補助電流指令値IM *を算出する操舵補助トルク指令値演算部42Aと、この操舵補助トルク指令値演算部42Aで算出した操舵補助電流指令値IM *に対して後述する角速度ωe及び角加速度αに基づいて補償を行う指令値補償部42Bと、この指令値補償部42Bで補償した補償後トルク指令値IM *′に基づいてd−q軸電流指令値を算出し、これを3相電流指令値に変換するd−q軸電流指令値演算部42Cと、を備える。
操舵補助トルク指令値演算部42Aは、図6のマップを参照し、操舵トルクT及び車速Vに基づいて電流指令値である操舵補助トルク指令値IM *を算出する。このマップは、図6に示すように、横軸に操舵トルクTをとり、縦軸に操舵補助トルク指令値IM *をとると共に、車速Vをパラメータとした放物線状の曲線で表される特性線図で構成され、操舵トルクTが“0”からその近傍の設定値T1までの間は操舵補助トルク指令値IM *が“0”を維持し、操舵トルクTが設定値T1を超えると最初は操舵補助指令値IM *が操舵トルクTの増加に対して比較的緩やかに増加するが、さらに操舵トルクTが増加すると、その増加に対して操舵補助トルク指令値IM *が急峻に増加するように設定され、この特性曲線が車速の増加に従って傾きが小さくなるように設定されている。
指令値補償部42Bは、後述するモータ角速度ωeに基づいてヨーレートの収斂性を補償する収斂性補償部51と、後述するモータ角加速度αに基づいて電動モータ5の慣性により発生するトルク相当分を補償して慣性感又は制御応答性の悪化を防止する慣性補償部52と、セルフアライニングトルク(SAT)を推定するSAT推定フィードバック部53と、を備える。
収斂性補償部51は、車速センサ33で検出した車速V及び後述するモータ角速度ωeが入力され、車両のヨーの収斂性を改善するためにステアリングホイール1が振れ回る動作に対して、ブレーキをかけるように、モータ角速度ωe及び車速Vに応じて変更される収斂性制御ゲインKvを乗じて収斂性補償値Icを算出する。
SAT推定フィードバック部53は、操舵トルクT、角速度ω、角加速度α及び操舵補助トルク指令値演算部42Aで算出した操舵補助電流指令値IM *が入力され、これらに基づいてセルフアライニングトルクSATを演算する。
ここで、セルフアライニングトルクSATの算出原理を、図7に基づいて説明する。ドライバがステアリングホイール1を操舵することによって操舵トルクTが発生し、その操舵トルクTに従って電動モータ5がアシストトルクTmを発生し、これによって車輪Wが転舵され、反力としてセルフアライニングトルクSATが発生する。このとき、電動モータ5の慣性J及び摩擦(静摩擦)Frによってステアリングホイール1の操舵の抵抗となるトルクが生じる。これらの力の釣り合いを考えると、下記(1)式のような運動方程式が得られる。
J・α+Fr・sign(ω)+SAT=Tm+T ………(1)
ここで、上記(1)式を初期値ゼロとしてラプラス変換し、セルフアライニングトルクSATについて解くと下記(2)式が得られる。
SAT(s)=Tm(s)+T(s)−J・α(s)−Fr・sign(ω(s)) ………(2)
上記(2)式から明らかなように、電動モータ5の慣性J及び静摩擦Frを定数として予め求めておくことで、モータ角速度ω、回転角加速度α、アシストトルクTm及び操舵トルクTよりセルフアライニングトルクSATを推定することができる。操舵補助電流指令値IM *は、アシストトルクTmに比例するので、この操舵補助電流指令値IM *をアシストトルクTmに代入することで、セルフアライニングトルクSATを演算する。
指令値補償部42Bでは、慣性補償部52からの慣性補償値IiとSAT推定フィードバック部53からのセルフアライニングトルクSATとを加算器54で加算すると共に、この加算器54からの出力と収斂性補償部51からの収斂性補償値Icとを加算器55で加算して指令補償値Icomを算出する。この指令補償値Icomが操舵補助トルク指令値演算部42Aからの操舵補助トルク指令値IM *に加算器56を介して加算されることで補償後トルク指令値IM *′が算出され、この補償後トルク指令値IM *′がd−q軸電流指令値演算部42Cに入力される。
d−q軸電流指令値演算部42Cは、補償後操舵補助トルク指令値IM *′及びモータ角速度ωに基づいてd軸目標電流Id*を算出するd軸目標電流算出部61と、モータ回転角θ及びモータ角速度ωに基づいてd−q軸誘起電圧モデルEMF(Electro Magnetic Force)のd軸EMF成分ed(θ)及びq軸EMF成分eq(θ)を算出する誘起電圧モデル算出部62と、この誘起電圧モデル算出部62からのd軸EMF成分ed(θ)及びq軸EMF成分eq(θ)、d軸目標電流算出部61からのd軸目標電流Id*、補償後操舵補助トルク指令値IM *′、並びにモータ角速度ωに基づいてq軸目標電流Iq*を算出するq軸目標電流算出部63と、d軸目標電流算出部61からのd軸目標電流Id*及びq軸目標電流算出部63からのq軸目標電流Iq*を3相電流指令値Ia*、Ib*、Ic*に変換する2相/3相変換部64と、を備える。
逆起電圧演算部46は、先ず端子電圧検出回路8から入力される各相端子電圧Va〜Vcに基づいて下記(3)式〜(5)式の演算を行って線間電圧Vab、Vbc、Vcaを算出する。
Vab=Va−Vb ………(3)
Vbc=Vb−Vc ………(4)
Vca=Vc−Va ………(5)
次いで、算出した線間電圧Vab、Vbc、Vcaと、電流検出回路7から入力される各相電流検出値Ia〜Icとに基づいて下記(6)式〜(8)式の演算を行って各線間逆起電圧EMFab、EMFbc、EMFcaを算出する。
EMFab=Vab−{(Ra+s・La)・Ia−(Rb+s・Lb)・Ib}…(6)
EMFbc=Vbc−{(Rb+s・Lb)・Ib−(Rc+s・Lc)・Ic}…(7)
EMFca=Vca−{(Rc+s・Lc)・Ic−(Ra+s・La)・Ia}…(8)
ここで、Ra、Rb、Rcはモータの巻線抵抗、La、Lb、Lcはモータのインダクタンス、sはラプラス演算子で、ここでは微分演算(d/dt)を表している。
そして、算出された各線間逆起電圧EMFab、EMFbc及びEMFcaの絶対値を加算して逆起電圧EMF(=|EMFab|+|EMFbc|+|EMFca|)を算出する。ここで、逆起電圧EMFを各線間逆起電圧EMFab、EMFbc及びEMFcaの絶対値を加算して求めるのは、演算を簡素化するためであり、相対角度演算精度を向上させるために逆起電圧EMFを求めるには、各線間逆起電圧EMFab、EMFbc及びEMFcaの二乗和の平方根即ちEMF=√(EMFab2+EMFbc2+EMFca2)を演算する。なお、求められる各線間逆起電圧EMFab、EMFbc及びEMFcaはモータの相対角度が得られる程度の精度でよい。
また、前記(6)〜(8)式では、モータの巻線抵抗Ra、Rb、Rcを固定値としているが、モータの巻線抵抗Ra、Rb、Rcは温度依存性を有するので、モータ温度を検出してモータの巻線抵抗Ra、Rb及びRcを補正することが好ましいが、モータの巻線抵抗Ra、Rb及びRcとして固定値を用い、温度変動等の理由によりモータ抵抗が増減した場合でも、操舵補助制御を継続することに必要なレベルの逆起電圧・角度情報が得られる場合には固定値を採用してもよい。但し、この場合に設定するモータの巻線抵抗Ra、Rb及びRcと不感帯幅設定値は角度情報を得るために温度変化に対して十分なマージンを持った値を設定する必要がある。
モータ回転角演算部47では、モータ回転角検出回路32からピーク検出パルスPpが入力される毎に図示しないモータ回転角算出処理を実行してsinθ及びcosθを算出し、算出したsinθ及びcosθから電気角でなるモータ回転角θeを算出する。
角速度・角加速度演算部48は、図8に示すように、逆起電圧演算部46からの逆起電圧EMFに基づいて相対角速度ωeeを演算する相対角速度演算部48aと、操舵トルクセンサ17からの操舵トルクTに基づいて回転方向を表す符号を取得する符号取得部48bと、角速度演算部48aで演算した相対角速度ωeeに符号取得部48bで取得した符号を乗算する乗算部48cと、電流検出回路7からの電流検出値Ia〜Ic及び電流出力制限部43からの電流指令値Ia*〜Ic*に基づいて乗算部48cからの相対角速度ωeeに推定誤差があるか否かを判定する推定誤差判定部48kと、この推定誤差判定部48kで推定誤差があると判定されたときに相対角速度ωeeの補正量Δωを算出する補正量設定部48pと、乗算部48cからの相対速度ωeeに対して補正量設定部48pで算出した補正量Δωだけ加算する加算部48rと、この加算部48rからの相対角速度ωeeの急激な変化を抑制するレイトリミッタ部48dと、このレイトリミッタ部48dからの相対角速度ωeeを前回のモータ回転角θe(n-1)に加算して相対回転角θeeを算出する加算部48fと、この加算部48fからの相対回転角θeeとモータ回転角演算部47からの実回転角θerとをフェールセーフ信号SFに基づいて選択する回転角選択部48gと、モータ回転角演算部47からの実回転角θerを微分して実角速度ωerを算出する角速度演算部48hと、この角速度演算部48hからの実角速度ωer及び相対角度情報オフセット処理部48eからの相対角速度ωeeをフェールセーフ信号SFに基づいて選択する角速度選択部48iと、角速度選択部48iからの角速度ωeを微分して角加速度αを算出する角加速度演算部48jと、で構成されている。
相対角速度演算部48aでは、逆起電圧演算部46から入力される逆起電圧EMFに基づいて下記(9)式の演算を行って相対角速度ωeeを算出する。
ωee=EMF/Ke ………(9)
ここで、Keはモータの逆起電圧定数[V/rpm]である。
ちなみに、逆起電圧演算部46内の図示しない不感帯設定部では、前述した各線間逆起電圧EMFab、EMFbc及びEMFcaを算出する際に、モータの巻線抵抗Ra〜Rcとして、実際の抵抗値の代わりに抵抗のモデル値を採用する。したがって、相対角速度ωeeには誤差が生じるものの、その誤差はモータ電流に比例したオフセット誤差であるため、電流に比例した不感帯設定を行うことで推定誤差を取り除く。すなわち、相対角速度ωeeは電流(逆起電圧量)に比例し、誤差も電流(逆起電圧量)に比例するため、不感帯の設定値は電流指令値IM *に応じた値に設定する。また、モータ回転速度変化によるインダクタンスの影響も受けることから、モータの回転速度に応じてインダクタンス変動分を逆起電圧演算部46にフィードバックすることにより、インダクタンス変動の影響を除去することが好ましい。
回転角選択部48gは、フェールセーフ処理部49から出力されるフェールセーフ信号SFが論理値“0”であるときにはモータ回転角演算部47から出力される実回転角θerを選択し、論理値“1”であるときに加算部48fから入力される相対回転角θeeを選択する。
角速度選択部48iは、フェールセーフ処理部49から出力されるフェールセーフ信号SFが論理値“0”であるときには角速度演算部48hから出力される実角速度ωerを選択し、論理値“1”であるときにはレイトリミッタ部48dから出力される相対角速度ωeeを選択する。
次に、フェールセーフ処理部49で所定時間(例えば10msec)毎に実行されるモータ回転角異常検出処理を、図9のフローチャートに基づいて説明する。
先ずステップS21では、図示しないモータ回転角算出処理で算出された正弦波sinθ及び余弦波cosθを読込む。
続くステップS22では、図10のマップを参照し、正弦波sinθ及び余弦波cosθが正常範囲にあるか否かを判定する。このマップは、図10に示すように、横軸にsinθ、縦軸にcosθをとり、原点G(0,0)を中心に3つの同心円及び2つの四角形が表示されている。3つの同心円について説明すると、一番内側は(sinθ)2+(cosθ)2=Pmin、真ん中は(sinθ)2+(cosθ)2=1、一番外側は(sinθ)2+(cosθ)2=Pmaxの円が表示されている。大きな四角形αは一辺が2・Pmaxの正方形であり、小さな四角形βは一辺が2(Pmin/√2)の四角形である。ここで、正常範囲とは大きな四角形αと小さな四角形βに囲まれた斜線部の範囲を示し、それ以外の領域は異常範囲を示す。
なお、上述した判定基準のPmin及びPmaxは検出の精度やモータの極数などの影響を考慮して、PmaxとPminとにより異常検出精度を調整できる。このPmax及びPminを適切に設定することにより、モータ駆動中の故障やレゾルバ18の異常を検出することができる。そして、(sinθ)2+(cosθ)2=1は通常の正常の判定基準であり、(sinθ)2+(cosθ)2=Pmin、及び(sinθ)2+(cosθ)2=Pmaxは、Pmin<(sinθ)2+(cosθ)2<Pmaxの正常範囲を示すためのものであり、通常の正常の判定基準より広いことになる。
ここで、sinθ及びcosθが正常範囲にある場合にはステップS23に移行し、sinθ及びcosθが異常範囲にある場合にはステップS24に移行する。
ステップS23では、正常であることを示す論理値“0”のフェールセーフ信号SFを角速度・角加速度演算部48に出力してから所定のメインプログラムに復帰する。
ステップS24では、異常であることを表す論理値“1”のフェールセーフ信号FSを角速度・角加速度演算部48に出力してから所定のメインプログラムに復帰する。
上記のように、異常判定用マップを使用して、sinθ及びcosθが正常であるか異常であるかを判定することにより、(sinθ)2+(cosθ)2=1を判定するための(sinθ)2+(cosθ)2の演算を行う必要がなく、マイクロコンピュータ30の処理負荷を大幅に軽減することができると共に、判定時間を大幅に短縮することができる。
次に、電流指令値算出部42で所定時間(例えば10msec)毎に実行される操舵補助制御処理を、図11のフローチャートに基づいて説明する。
先ずステップS1では、操舵トルクセンサ17、車速センサ33等の各種センサの検出値及び角速度・角加速度演算部48で算出した回転角θe、角速度ωe及び角加速度αを読込む。
続くステップS2では、図6のマップを参照し、操舵トルクT及び車速Vに基づいて操舵補助トルク指令値IM *を算出する。
続くステップS3では、収斂性補償部51と同様に、モータ角速度ωe及び車速Vに応じて設定された補償係数Kvを乗算して収斂性補償値Icを算出する。
続くステップS4では、慣性補償部52と同様に、モータ角加速度αに基づいて慣性補償値Iiを算出する。
続くステップS5では、SAT推定フィードバック部53と同様に、前述した(2)式に従い、モータ角速度ωe及びモータ角加速度αに基づいてセルフアライニングトルクSATを算出する。
続くステップS6では、操舵補助トルク指令値IM *に対して、収斂性補償値Ic、慣性補償値Ii、及びセルフアライニングトルクSATを加算して補償後操舵補助トルク指令値IM *′を算出する。
続くステップS7では、d−q軸電流指令値演算部42Bと同様に、補償後操舵補助トルク指令値IM *′にd−q軸指令値演算処理を実行してd軸目標電流Id*及びq軸目標電流Iq*を算出する。
続くステップS8では、2相/3相変換処理を行ってモータ電流指令値Ia*〜Ic*を算出する。
続くステップS9では、モータ電流指令値Ia*〜Ic*からモータ電流Ia〜Icを減算して電流偏差ΔIa〜ΔIcを算出する。
続くステップS10では、電流偏差ΔIa〜ΔIcについてPI制御処理を行って電圧指令値Va*〜Vc*を算出する。
続くステップS11では、電圧指令値Vu*〜Vw*をモータ駆動回路6のFETゲート駆動回路22に出力してから所定のメインプログラムに復帰する。
次に、角速度・角加速度演算部48で所定時間(例えば10msec)毎に実行される相対角速度演算処理を、図12のフローチャートに基づいて説明する。この相対角速度演算処理は、相対角速度演算部48a、符号取得部48b、乗算部48c、推定誤差判定部48k、補正量設定部48p、加算部48r、レイトリミッタ部48d、及び加算部48fの処理に相当する。
先ずステップS31では、逆起電圧EMFを読込む。
続くステップS32では、前記(9)式に従い、逆起電圧EMFに基づいて相対角速度ωeeを算出する。
続くステップS33では、操舵トルクTの符号を相対速度ωeeに乗算する。
続くステップS34では、a相の電流検出値Iaが所定値α以下であるか否かを判定する。αはモータ定格電流よりも大きな値である。ここで、判定結果がIa≦αであるときには、推定された回転角θeeに推定誤差はないと判断してステップS35に移行する。一方、判定結果がIa>αであるときには、推定された回転角θeeに推定誤差があると判断して後述するステップS37に移行する。
ステップS35では、b相の電流検出値Ibが所定値α以下であるか否かを判定する。ここで、判定結果がIb≦αであるときには、推定された回転角θeeに推定誤差はないと判断してステップS36に移行する。一方、判定結果がIb>αであるときには、推定された回転角θeeに推定誤差があると判断して後述するステップS37に移行する。
ステップS36では、c相の電流検出値Icが所定値α以下であるか否かを判定する。ここで、判定結果がIc≦αであるときには、推定された回転角θeeに推定誤差はないと判断して後述するステップS39に移行する。一方、判定結果がIc>αであるときには、推定された回転角θeeに推定誤差があると判断してステップS37に移行する。
ステップS37では、相対角速度ωeeに対する補正量Δωを設定する。ここでは、単に所定量とし、例えばシステムの応答時間に応じて設定するが、電流の大きさに応じて可変にしてもよい。その符号は、補正方向に対応し、相対角速度ωeeや操舵トルクTの方向に応じて定める。
続くステップS38では、相対角速度ωeeに補正量Δωを加算して、この相対角速度ωeeを補正してからステップS39に移行する。
ステップS39では、相対角速度ωee(n)から前回算出した相対角速度ωee(n-1)を減算して変化量Δωeeを算出する。
続くステップS40では、変化量Δωeeの絶対値が所定の上限値Δωsを超えているか否かを判定する。ここで、判定結果が|Δωee|>Δωsであるときには、変化量Δωeeが許容範囲を超えていると判断してステップS41に移行する。一方、判定結果が|Δωee|≦Δωsであるときには、変化量Δωeeが許容範囲にあると判断して後述するステップS44に移行する。
ステップS41では、変化量Δωeeが正値又は零である否かを判定する。ここで、判定結果がΔωee≧0であるときにはステップS42に移行する。一方、判定結果がΔωee<0であるときにはステップS43に移行する。
ステップS42では、前回の相対角速度ωee(n-1)に上限値Δωsを加算して、今回の相対角速度ωee(n)を算出してからステップS44に移行する。
ステップS43では、前回の相対角速度ωee(n-1)から上限値Δωsを減算して、今回の相対角速度ωee(n)を算出してからステップS44する。
ステップS44では、前回のモータ回転角θee(n-1)に今回の相対角速度ωeeを加算して、今回のモータ回転角θee(n)を算出してから所定のメインプログラムに復帰する。
以上より、モータ回転角演算部47が「回転角検出手段」に対応し、角速度・角加速度演算部48、及び図12の相対角速度演算処理が「回転角推定手段」に対応し、フェールセーフ処理部49、及び図9のモータ回転角異常検出処理が「異常検知手段」に対応し、回転角選択部48gが「選択手段」に対応し、制御装置3、モータ駆動回路6、及び図11の操舵補助制御処理が「制御手段」に対応する。また、推定誤差判定部48k、及び図12のステップS34〜S36の処理が「判定手段」に対応し、補正量設定部48p、加算部48r、及び図12のステップS37、S38の処理が「補正手段」に対応する。
次に、上記実施形態の動作を説明する。
イグニッションスイッチ37をオン状態とすると、制御装置3にバッテリ1からの電源が投入されて、制御装置3内のマイクロコンピュータ30で、図9に示すモータ回転角異常検出処理、図11に示す操舵補助制御処理及び図12に示す相対角速度算出処理等が実行開始される。
この状態では、マイクロコンピュータ30で実行する図11の操舵補助制御処理では、操舵トルクセンサ17で検出した操舵トルクTを読込み(ステップS1)、次いで、読込んだ操舵トルクTから中立トルクT0を減算して操舵トルクTを算出し(ステップS2)、次いで車速センサ33から車速Vを読込み(ステップS3)、操舵トルクTと車速Vとに基づいて図6に示す操舵補助指令値算出マップを参照して操舵補助指令値IM *を算出する(ステップS4)。
このとき、レゾルバ18、モータ回転角検出回路32及びA/D変換器35,36が正常であるものとすると、図9のモータ回転角異常検出処理を実行したときに、図4に示すモータ回転角演算部47で、モータ回転角検出回路32から入力される正弦波信号(sinωt+sinθ)及び余弦波信号(sinωt+cosθ)とピーク検出パルスPpとに基づいて算出されるsinθ及びcosθを読込み(ステップS21)、読込んだsinθ及びcosθに基づいて図10に示す異常判定マップを参照することにより、sinθ及びcosθで表される点が斜線図示の正常領域内に入ることにより、正常と判断されて論理値“0”のフェールセーフ信号SFが角速度・角加速度演算部48に出力される。(ステップS23)。
このため、図8に示す角速度・角加速度演算部48では、回転角選択部48gでモータ回転角演算部47によって算出される実回転角θerが選択されてこれが回転角θeとされると共に、角速度選択部48iで角速度演算部48hで実回転角θerを微分した実角速度ωerが選択されてこれが角速度ωeとされ、さらに角速度ωeを角加速度演算部48jで微分して角加速度αを算出して、これら回転角θe、角速度ωe及び角加速度αを電流指令値算出部42に出力する。
したがって、電流指令値算出部42で実行する図11の操舵補助制御処理では、ステップS2からステップS3に移行して、角速度ωeに基づいて収斂性補償値Icを算出し、次いでモータ角加速度αに基づいて慣性補償制御用の慣性補償値Iiを算出し(ステップ
S4)、さらに角速度ωe、角加速度α、操舵トルクT及び操舵補助トルク指令値IM *に基づいてセルフアライニングトルクSATを算出する(ステップS5)。
次いで、操舵補助トルク指令値IM *に収斂性補償値Ic、慣性補償値Ii及びセルフアライニングトルクSATを加算して補償後操舵補助トルク指令値IM *′を算出し(ステップS6)、算出した補償後操舵補助トルク指令値IM *′、回転角θe及び角速度ωeに基づいてd−q軸指令値演算処理を実行して、目標d軸電流Id*及び目標q軸電流Iq*を算出し(ステップS7)、これら目標d軸電流Id*及び目標q軸電流Iq*を2相/3相変換処理して3相のモータ電流指令値Ia*、Ib*及びIc*を算出する(ステップS8)。
そして、算出した目標相電流値Ia*、Ib*及びIc*と検出したモータ相電流Ia、Ib及びIcとに基づいて電流フィードバック処理を行って電動モータ5の各相の電圧指令値Va*、Vb*及びVc*を算出し(ステップS10)、これら各相電圧指令値Va*、Vb*及びVc*をモータ駆動回路6のFETゲート駆動回路22に出力する(ステップS11)。
このため、FETゲート駆動回路22で、モータ駆動回路6の電界効果トランジスタQua〜Qwbをパルス幅変調制御することにより、モータ駆動回路6から電動モータ5に三相駆動電流を供給して、この電動モータ5でステアリングホイール1に作用された操舵トルクに応じた方向の操舵補助力を発生させ、これを減速ギヤ13を介して出力軸12に伝達する。
このとき、車両が停車している状態でステアリングホイール1を操舵する所謂据え切り状態では、車速Vが零であって、図6に示す操舵補助指令値算出マップの特性線の勾配が大きいことにより、小さい操舵トルクTで大きな操舵補助指令値IM *を算出するので、電動モータ5で大きな操舵補助力を発生して軽い操舵を行うことができる。
この車両の停車状態から車両を発進させて走行状態とし、この状態でステアリングホイール1を操舵する通常操舵状態では、車速の増加に応じて必要とする操舵補助トルクが小さくなることから、ステアリングホイール1に伝達される操舵トルクも小さい値となり、これが操舵トルクセンサ17で検出されてマイクロコンピュータ30に入力される。このため、操舵補助指令値IM *も小さい値となり、電動モータ5で発生される操舵補助トルクは据切り時の操舵補助トルクに比較して小さくなる。
ところが、例えば車両が走行している状態で、レゾルバ18、モータ回転角検出回路32及びA/D変換器35,36のモータ回転角検出系に断線、ショート、地絡、天絡等の異常が発生すると、モータ回転角検出回路32からマイクロコンピュータ30に入力される正弦波信号(sinωt+sinθ)及び余弦波信号(sinωt+cosθ)が異常となり、これらとピーク検出パルスPpとに基づいて図示しないモータ回転角算出処理で算出されるsinθ及びcosθとの組み合わせが異常となって、図9のモータ異常検出処理で、sinθ及びcosθに基づいて図10に示す異常判定マップを参照したときに、sinθ及びcosθで表される点が斜線図示の正常領域外となり、直ちに論理値“1”のフェールセーフ信号SFが角速度・角加速度演算部48に出力される。
このため、角速度・角加速度演算部48において、回転角選択部48gで加算部48fによって算出された相対回転角θeeが選択されると共に、角速度選択部48iで相対角度情報オフセット処理部48eによって算出される相対角速度ωeeが選択される。このとき、相対回転角θeeの初期値として、レゾルバ18等が正常であった前回の回転角θer(n-1)が加算部48fに供給される。
このように、回転角選択部48g及び角速度選択部48iが切換えられると、その前から実行されている図12の相対回転角算出処理によって逆起電圧EMFに基づく相対(回転)角の算出処理により回転角θe、角速度ωe及び角加速度αが決定される。
このとき、逆起電圧演算部46で、前述した(3)式〜(5)式の演算を行って各線間電圧Vab、Vbc及びVcaを算出し、次いで前記(6)〜(8)式の演算を行うことにより、線間逆起電圧EMFab、EMFbc及びEMFcaを算出し、これらを加算して逆起電圧EMFを算出する。
そして、相対回転角算出処理で、算出された逆起電圧EMFを読込み(ステップS31)、次いで逆起電圧EMFに基づいて前記(9)式の演算を行って、相対角速度ωeeを算出する(ステップS32)。
次いで、算出した相対角速度ωeeに操舵トルクセンサ17で検出した操舵トルクTの符号を付加することにより、電動モータ5の回転方向に応じた符号を有する現在の相対角速度ωee(n)が算出される(ステップS33)。
そして、算出された現在の相対角速度ωee(n)から前回の相対角速度ωee(n-1)を減算して変化量Δωeeを算出し(ステップS39)、この変化量Δωeeの絶対値が変化量上限値Δωs以下であるときにはそのまま相対角速度ωee(n)を現在値とするが、変化量Δωeeの絶対値が変化量上限値Δωsを超えているときには変化量が大き過ぎるものと判断して前回の相対角速度ωee(n-1)に変化量上限値Δωsを加減算して相対角速度ωeeの変化量を制限する(ステップS40〜S43)。
こうして、相対角速度ωee(n)を確定し、これを加算部48fで前回の回転角θer(n-1)に加算することにより、相対回転角θeeを推定する(ステップS44)。
この推定された相対回転角θeeが回転角選択部48gで選択されて回転角θeとして電流指令値算出部42に出力されると共に、相対角速度ωee(n)が角速度選択部48iで選択されて角速度ωeとして電流指令値算出部42に出力され、さらに角速度ωeを角加速度演算部48jで微分して角加速度αを算出し、この角加速度αも電流指令値算出部42に出力される。
このため、電流指令値算出部42で、実行される図11の操舵補助制御処理によって、異常となった実回転角θer、これに基づく実角速度ωer、角加速度αに代えて、相対回転角θee、相対角速度ωee及び相対角加速度αが適用されて、これら相対角速度情報に基づく指令値補償処理及びd−q軸指令値演算処理が実行されて、操舵補助制御処理が継続される。
しかも、電動モータ5の逆起電圧EMFに基づいて相対角速度ωeeを算出する場合には、電動モータ5の回転方向を捉えることが困難で、例えば電動モータ5に供給する電流の相転流や逆起電圧の見え方によってモータ回転方向を決定するようにしてもよいが、運転者の意志に反した操舵補助力を発生する可能性が残るので、上記第1の実施形態のように運転者の直接的な意志を表す操舵トルクTの方向で決定することにより、運転者の意志に応じた回転方向を設定することができる。
ところで、推定した相対回転角θeeと実際のモータ回転角との間に誤差があると、電動モータ5に予期せぬ電流が流れ、アシストトルクに振動が発生する可能性がある。そこで、相対回転角θeeに推定誤差があるか否かを判定し、推定誤差があるときには、その相対回転角θeeを補正する。つまり、二重のフェールセーフである。
先ず、各相の電流検出値Ia〜Icが、定格電流よりも大きな所定値αを超えているか否かを判定し(ステップS34〜S36)、所定値αを超えるような過大な電流が流れているときには、推定誤差が発生していると考えられるので、相対角速度ωeeに補正量Δωを加算することでオフセットし補正を行う(ステップS37、S38)。このように、前回の回転角θer(n)に加算される相対角速度ωeeを補正することで、図13に示すように、推定される相対回転角θeeの推定誤差を小さくする、又は解消し、操舵フィーリングの悪化を抑制することができる。しかも、新たなセンサ類を設けることなく、推定誤差を判定し、そして補正することができるので、コストアップを防ぐことができ、また専用の故障モードを考慮する必要もない。
ちなみに、相対回転角θeeに基づいて電動モータ5を回転駆動することができる原理は、以下の通りである。
すなわち、ブラシレスモータのロータとステータとの磁界ベクトル相対角誤差とロータに発生するエネルギーの絶対値との関係は図14に示すようになる。
ここで、ロータ位置を考慮せずにステータに固定の電流を流すと、図14の「状態1」に示すように、ロータとステータの磁界ベクトルが一致する所までモータはトルクを発生して回転する。
そして、「状態2」に示すように、ロータとステータの磁界ベクトルが一致すると、ロータはステータの磁界に拘束されて動かなくなる(モータトルク=0Nm)。つまり、完全なd軸への通電状態となる。この「状態2」でモータを回したい方向と回転速度にしたがって相電流を変化させると、ロータはステータの磁界に拘束された状態で回転することになる。このときの拘束力は相電流に比例する。
このように、上記の実施形態では、電動モータ5の回転角を検出する回転角検出系統に異常が発生したときに、逆起電圧EMFに基づいて相対角速度ωeeを算出することにより、運転者の操舵系に対する操舵量に応じた相対回転角θee及び相対角加速度αを算出して、操舵補助制御を継続することができるものであるが、より安全性を考えると、回転角検出系統に異常が発生したときに、操舵補助制御の感度を低下させて操舵補助制御を継続することが好ましい。
この場合には、前述した図4の機能ブロック図で電流指令値算出部42の前後に徐変制御部41及び電流出力制限部43を設け、これら徐変制御部41及び電流出力制限部43をフェールセーフ処理部49から入力されるフェールセーフ信号SFが論理値“0”であるときには徐変機能及び制限機能を停止させ、論理値“1”であるときに徐変機能及び制限機能を発揮させるようにして、電流指令値Ia*〜Ic*を制限して、電動モータ5で発生させる操舵補助力を低下させることが好ましい。
また、指令値補償部42Bについても、回転角検出系統が正常の場合には必要でも、逆起電圧に基づく相対角速度ωeeに基づく相対回転角θeeを使用する際には不必要に反応してしまう補償部についてはその出力を“0”とするか、“1”以下のゲイン倍することにより、正常時に比較して小さい値とすることで補償部の影響を小さくし、逆にいっそうの補償が必要となる補償部については通常よりも大きな補償値を採用するように構成することが好ましい。
具体的には、角度情報を基にした補償制御(モータの位置を基準に補償を行うもの)は補償停止とすべきであるが、相対角度に対する実角度の誤差を小さくする効果を持つか、ゲインを正常時よりも小さくするか大きくすることで相対角と実角度の誤差を小さくする効果を持つ補償制御は行うべきである。換言すると、相対角と実角度の誤差を大きくする要素となりうる補償制御は停止とすべきである。
さらに、上記の実施形態においては、線間電圧Vab〜Vcaに基づいて線間逆起電圧EMFab〜EMFcaを算出して、これらを加算してモータ逆起電圧EMFを算出するようにしたので、電動モータ5の結線即ちY結線やΔ結線に依存することなく逆起電圧から相対角速度ωeeを算出することができると共に、別途検出回路等を設けることなく逆起電圧を検出することができる利点がある。
なお、上記の実施形態では、逆起電圧EMFを線間電圧Vac〜Vcaを用いて(6)式〜(8)式に従って線間逆起電圧EMFab〜EMFcaを算出し、これらを加算して算出する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、電動モータ5としてY結線モータを適用する場合に、電動モータの中点電圧を検出して、この中点電圧を各モータ端子電圧Va〜Vcから減算して相電圧Vih(i=a〜c)を算出し、この相電圧Vihに基づいて下記(10)式の演算を行って各相の逆起電圧eiを算出し、算出した逆起電圧ea〜ecに基づいて下記(11)の演算を行って相対角速度ωeeを算出するようにしてもよい。この場合には演算負荷を大きくすることなく相対角速度ωeeと実角度の間の誤差量を小さくすることができ、回転角検出系統を省略して、相対角速度ωeeに基づいて正確な操舵補助制御処理を実行することができる。
ei=Vih−(Ri+s・Li)・Ii ………(10)
ωee=2×{max(|ea|,|eb|,|ec|)}/Ke ………(11)
この場合、中点電圧を検出する場合に代えて、中点電圧はモータ駆動回路印加電圧の1/2となることから、モータ駆動回路印加電圧1/2の値を中点電圧Vnとして相電圧Vah〜Vchを算出するようにしてもよい。
さらに、下記(12)式のように電動モータ5の各モータ端子電圧の総和を求めて、その値をモータの相数で除した値をモータ中点電圧Vnとして各相電圧を算出するようにしてもよい。
Vn=(Va+Vb+Vc+……+Vx)÷モータ相数) ………(12)
また、逆起電圧eiを算出する場合に、上記(10)式に代えて、下記(13)式に示すように、電流制御部45から出力される電圧指令値Vi*(i=a〜c)に基づいてFETゲート駆動回路22で算出されるデューティ比Diとバッテリ電圧Vbatとモータ電流Iiとに基づいて逆起電圧eiを算出するようにしてもよい。
ei=Di・Vbat−(Ri+s・Li)・Ii ………(13)
この場合には、モータ端子電圧Va〜Vcを使用することなく逆起電圧eiを算出することができるので、上記(13)式に基づいて逆起電圧eiを算出する逆起電圧演算部を前述した逆起電圧演算部46に代えて設けることにより、モータ端子電圧検出部8を省略することができ、この分制御装置3の構成を簡略化することができる。
また、上記(13)式に基づいて逆起電圧eiを算出する逆起電圧演算部を前記逆起電圧演算部46と並列に設けることにより、逆起電圧演算部46で逆起電圧eiを演算できない異常状態が発生した場合に、逆起電圧eiの代替え演算を行うことが可能となる。
さらに、上記の実施形態では、操舵トルクに基づいて回転方向を付与する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、回転方向を付与する為に、情報の信頼性が保てる場合には、例えば舵角センサからの操舵回転方向情報と、相転流状況や逆起電圧の見え方などの2つ以上の異なる情報源から回転方向を判断して方向付与することが望ましい。
また、上記の実施形態では、逆起電圧EMFに基づいて相対角速度ωeeを算出し、この相対角速度ωeeを前回のモータ回転角θee(n-1)に加算することによりモータ回転角θeeを算出する場合について説明したが、線間逆起電圧EMFab、EMFbc及びEMFcaは正弦波となるので、この線間逆起電圧EMFab、EMFbc及びEMFcaの0クロス点を検出し、0クロス点を検出した時点で一意に決まるモータ回転角(電気角)でモータ回転角θeeを下記表1に示すように補正することにより、より正確なモータ回転角θeeを算出することができる。
Figure 2009248962
さらに、上記の実施形態では、相対回転角θeeの初期値としてレゾルバ18等が正常であった前回の相対回転角θer(n-1)を加算部48fに供給する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、上述したように相対角度に基づいて確実にモータを駆動することができるので、初期値として任意の回転角θerを設定することができる。このため、モータ回転角が異常と判断されるまでは相対角度を算出せず、モータ回転角が異常と判断された時又は異常の兆候を捉えられた時から相対角度の算出を開始し、算出した相対角度に基づいてモータ駆動を行うようにしてもよい。この場合には演算処理装置の処理負荷を小さくすることができる。
また、上記の実施形態では、逆起電圧EMFに基づいて相対角度情報としての相対速度ωeeを算出する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、操舵角センサから得られた操舵角の角度変化量に基づいて相対速度ωeeを算出するようにしてもよく、さらには逆起電圧を求めることができない二重故障状態である場合は、操舵角センサから得た操舵量に切換えて直接相対角度θeeを算出するようにしてもよい。
また、上記の実施形態では、相対回転角θeeに推定誤差があると判定されたときに、相対角速度ωeeに補正量Δωを加算することで、相対回転角θeeを補正しているが、これに限定されるものではない。要は、最終的に相対回転角θeeを補正できればよいので、角速度演算部48aから出力されるωeeを補正したり、レイトリミッタ部48dから出力されるωeeを補正したり、加算部48fから出力される相対回転角θeeを補正してもよい。
また、上記の実施形態では、電流検出値Ii(i=a、b、c)が所定値αを超えた時点で、推定誤差があると判定しているが、これに限定されるものではなく、電流検出値Iiが所定値αを超えた状態で所定時間が経過したときに、推定誤差があると判定するようにしてもよい。これによれば、ノイズによる誤判定を避けられる。
また、上記の実施形態では、相対回転角θeeに推定誤差があると判定されたときに、相対回転角θeeを補正して電動モータ5の駆動制御を継続しているが、これに限定されるものではなく、所定時間だけ、電界効果トランジスタの全てのゲートをOFFにすることで、電動モータ5の駆動制御を中断してもよい。これによれば、電動モータ5に無駄電流が流れることを防ぐことができる。
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
この第2実施形態は、図15に示すように、相対回転角θeeの推定誤差を判定する方法が異なる。すなわち、前述したステップS34〜S36を新たなステップS51〜S53に変更したことを除いては、図12の相対角速度演算処理と同様であり、同一部分の詳細説明は省略する。
ステップS51では、a相の電流指令値Ia*と電流検出値Iaとの差分|Ia*−Ia|が、所定値β以下であるか否かを判定する。ここで、判定結果が|Ia*−Ia|≦βであるときには、推定された回転角θeeに推定誤差はないと判断してステップS52に移行する。一方、判定結果が|Ia*−Ia|>βであるときには、推定された回転角θeeに推定誤差があると判断して前記ステップS37に移行する。
ステップS52では、b相の電流指令値Ib*と電流検出値Ibとの差分|Ib*−Ib|が、所定値β以下であるか否かを判定する。ここで、判定結果が|Ib*−Ib|≦βであるときには、推定された回転角θeeに推定誤差はないと判断してステップS53に移行する。一方、判定結果が|Ib*−Ib|>βであるときには、推定された回転角θeeに推定誤差があると判断して前記ステップS37に移行する。
ステップS53では、c相の電流指令値Ic*と電流検出値Icとの差分|Ic*−Ic|が、所定値β以下であるか否かを判定する。ここで、判定結果が|Ic*−Ic|≦βであるときには、推定された回転角θeeに推定誤差はないと判断して前記ステップS39に移行する。一方、判定結果が|Ic*−Ic|>βであるときには、推定された回転角θeeに推定誤差があると判断して前記ステップS37に移行する。
以上より、ステップS51〜S53の処理が「判定手段」に対応する。
この第2実施形態では、各相の電流指令値Ii*(i=a、b、c)と電流検出値Iiとの差分が、所定値βを超えているか否かを判定し(ステップS51〜S53)、図16に示すように、所定値βを超えるほど電流指令値Ii*と電流検出値Iiとが乖離しているときには、推定誤差が発生していると考えられるので、相対角速度ωeeに補正量Δωを加算することでオフセットし補正を行う(ステップS37、S38)。このように、電流指令値Ii*と電流検出値Iiとの差分に基づいても、推定誤差を確実に検知することができる。
次に、本発明の第3実施形態について説明する。
この第3実施形態は、図17に示すように、相対回転角θeeの推定誤差を判定する方法が異なる。すなわち、前述したステップS34〜S36を新たなステップS61〜S65に変更したことを除いては、図12の相対角速度演算処理と同様であり、同一部分の詳細説明は省略する。
ステップS61では、電動モータ5に発生する逆起電圧のモデル値EMFMDLを、相対回転角θeeに基づいて算出する。
続くステップS62では、下記(14)式に示すように、電動モータ5に発生する各相の逆起電圧の実値EMFREALを、電流検出値Ii及び電圧検出値Viに基づいて算出する。Riは各相の抵抗モデル値である。
EMFiREAL=Vi−(2/3)×(Va+Vb+Vc)−Ii×Ri
………(14)
続くステップS63では、a相のモデル値EMFMDLと実値EMFaREALとの差分|EMFMDL−EMFaREAL|が、所定値γ以下であるか否かを判定する。ここで、判定結果が|EMFMDL−EMFaREAL|≦γであるときには、推定された回転角θeeに推定誤差はないと判断してステップS64に移行する。一方、判定結果が|EMFMDL−EMFaREAL|>γであるときには、推定された回転角θeeに推定誤差があると判断して前記ステップS37に移行する。
ステップS64では、b相のモデル値EMFMDLと実値EMFbREALとの差分|EMFMDL−EMFbREAL|が、所定値γ以下であるか否かを判定する。ここで、判定結果が|EMFMDL−EMFbREAL|≦γであるときには、推定された回転角θeeに推定誤差はないと判断してステップS65に移行する。一方、判定結果が|EMFMDL−EMFbREAL|>γであるときには、推定された回転角θeeに推定誤差があると判断して前記ステップS37に移行する。
ステップS65では、c相のモデル値EMFMDLと実値EMFcREALとの差分|EMFMDL−EMFcREAL|が、所定値γ以下であるか否かを判定する。ここで、判定結果が|EMFMDL−EMFcREAL|≦γであるときには、推定された回転角θeeに推定誤差はないと判断して前記ステップS39に移行する。一方、判定結果が|EMFMDL−EMFcREAL|>γであるときには、推定された回転角θeeに推定誤差があると判断して前記ステップS37に移行する。
以上より、ステップS61〜S65の処理が「判定手段」に対応する。
この第3実施形態では、逆起電圧のモデル値EMFMDLと実値EMFiREALとの差分が、所定値γを超えているか否かを判定し(ステップS61〜S65)、図18に示すように、所定値γを超えるほどモデル値EMFMDLと実値EMFiREALとが乖離しているときには、推定誤差が発生していると考えられるので、相対角速度ωeeに補正量Δωを加算することでオフセットし補正を行う(ステップS37、S38)。このように、逆起電圧のモデル値EMFMDLと実値EMFiREALとの差分に基づいても、推定誤差を確実に検知することができる。
電動パワーステアリング装置の概略構成である。 トルクセンサの検出信号である。 制御装置のブロック図である。 マイクロコンピュータのブロック図である。 電流指令値算出部のブロック図である。 操舵補助指令値の算出に用いるマップである。 セルフアライニングトルクの模式図である。 角速度・角加速度演算部のブロック図である。 モータ回転角異常検出処理を示すフローチャートである。 異常判定に用いるマップである。 操舵補助制御処理を示すフローチャートである。 第1実施形態の相対角速度演算処理を示すフローチャートである。 電流検出値のタイムチャートである。 磁界ベクトルの相対角度に応じたロータの回転エネルギーを示す。 第2実施形態の相対角速度演算処理を示すフローチャートである。 電流指令値、及び電流検出値のタイムチャートである。 第3実施形態の相対角速度演算処理を示すフローチャートである。 逆起電圧のモデル値、及び実値のタイムチャートである。
符号の説明
1…車載バッテリ、3…制御装置、5…電動モータ、6…モータ駆動回路、11…ステアリングホイール、12…ステアリングシャフト、13…減速装置、17…トルクセンサ、18…レゾルバ、21…インバータ回路、22…FETゲート駆動回路、30…マイクロコンピュータ、32…モータ回転角検出回路、33…車速センサ、42…電流指令値算出部、42A…操舵補助トルク指令値演算部、42B…指令値補償部、42C…d−q軸電流指令値演算部、44…減算部、45…電流制御部、46…逆起電圧演算部、47…モータ回転角演算部、48…角速度・角加速度演算部、48a…相対角速度演算部、48b…符号取得部、48c…乗算部、48k…推定誤差判定部、48p…補正量設定部、48r…加算部、48d…レイトリミッタ部、48f…加算部、48g…回転角選択部、48h…角速度演算部、48i…角速度選択部、48j…角加速度演算部、49…フェールセーフ処理部

Claims (6)

  1. ステアリング系にアシストトルクを伝達する電動モータと、運転者の操舵トルクを検出するトルク検出手段と、前記電動モータの回転角を検出する回転角検出手段と、前記電動モータの回転角を推定する回転角推定手段と、前記回転角検出手段の異常を検知する異常検知手段と、該異常検知手段が異常を検知しなければ、前記回転角検出手段で検出した回転角を選択し、当該異常検知手段が異常を検知したら、前記回転角推定手段で推定した回転角を選択する選択手段と、前記トルク検出手段で検出した操舵トルク及び前記選択手段で選択した回転角に応じて、前記電動モータを駆動制御する制御手段と、を備えた電動パワーステアリング装置であって、
    前記回転角推定手段で推定した回転角に推定誤差があるか否かを判定する判定手段と、該判定手段で推定誤差があると判定されたときに前記回転角推定手段で推定した回転角を補正する補正手段と、を備えることを特徴とする電動パワーステアリング装置。
  2. 前記判定手段は、前記電動モータの通電電流が所定値を超えたときに、推定誤差があると判定することを特徴とする請求項1に記載の電動パワーステアリング装置。
  3. 前記制御手段は、前記トルク検出手段で検出した操舵トルクに応じて前記電動モータに対する電流指令値を算出し、算出した電流指令値と、前記選択手段で選択した回転角と、に応じて前記電動モータを駆動制御し、
    前記判定手段は、前記電動モータの通電電流と前記電流指令値との差分が所定値を超えたときに、推定誤差があると判定することを特徴とする請求項1又は2に記載の電動パワーステアリング装置。
  4. 前記判定手段は、前記電動モータに発生する逆起電圧のモデル値を前記回転角推定手段で推定した回転角に応じて算出すると共に、前記電動モータに発生する逆起電圧の実値を前記電動モータの通電電流及び線間電圧に応じて算出し、前記モデル値と前記実値との差分が所定値を超えたときに、推定誤差があると判定することを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の電動パワーステアリング装置。
  5. 前記補正手段は、前記回転角推定手段で推定した回転角を、推定誤差修正方向に、所定量だけ補正することを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の電動パワーステアリング装置。
  6. 前記制御手段は、前記判定手段で推定誤差があると判定されたときに、所定時間だけ、前記電動モータの駆動制御を中断することを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の電動パワーステアリング装置。
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