JP2009248229A - 微小マニピュレータ、及びそれを備えた観察装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】試料300(400)を把持するための対向する一対のアーム71と、アームを支持するベース部11と、ベース部に取り付けられてアームを開閉させる開閉アクチュエータ35とを有するマニピュレータ部100aと、マニピュレータ部の変位を検出する変位検出部110a1、110a2と、ベース部と外部装置200との間に取り付けられ、マニピュレータ部を試料に対して3次元移動させる移動機構120と、変位検出部によって検出された変位を打ち消すように、移動機構を制御する制御部130とを備えた微小マニピュレータである。
【選択図】図1
Description
さらに、原子間力顕微鏡(AFM)の通常のカンチレバーに、もう一つのカンチレバーを隣接配置し、このカンチレバーを熱膨張アクチュエータで変位させることで、両カンチレバー間でピンセット動作を行う技術が開示されている(非特許文献1参照)。
このような構成とすると、変位検出部によって検出された変位信号に基づき、制御部は、この変位を打ち消すような制御信号を生成して移動機構を制御するので、フィードバック制御により、マニピュレータ部の振動振幅が低減し、微小な試料(や付着物等)をマニピュレータ部が確実に把持することができる。
このような構成とすると、アームの鏡面で反射された光に基づいて検出するので、アーム先端の変位を高精度で検出できる。又、この際に、鏡面がアームの開閉方向と垂直な面に対して所定の角度をなしているので、アームの開閉による変位を検出することがなく、マニピュレータ部全体の変位を検出でき、制振のためのフィードバック制御を確実に行える。
本発明によれば、マニピュレータ部の振動を低減するので、従来は困難であった最大径が1μm以下の試料を操作できる。
本発明によれば、マニピュレータ部と外部装置との固定部を構造的に変えることなく、マニピュレータ部の振動を低減することができるので、マニピュレータ部の取り付けのスペースに制限がある鏡筒から荷電粒子線を放射するタイプの外部装置に好適に適用することができる。
<第1の実施形態>
図1は本発明の第1の実施形態に係る微小マニピュレータ及び観察装置の全体構成を示す断面図である。
図1において、集束イオンビーム(FIB)である外部装置(観察装置)200に、微小マニピュレータ(100、110、120、130、140、142、144)が取付けられ、外部装置200の試料ステージ上の試料300(や付着物400)をハンドリング可能になっている。なお、本発明において、「試料」とは、試料だけでなく、試料の付着物や欠陥等、微小マニピュレータが把持する対象すべてを含む。
外部装置200は、真空容器210と、真空容器210の中心に配置されて荷電粒子ビームを試料300へ向かって垂直に放射する鏡筒(イオン源)206と、図示しないレンズと、鏡筒206の直下に配置された試料ステージ202と、試料ステージ上の試料300から反射される信号(二次電子や二次イオン)を検出する荷電粒子検出器208とを備えている。
詳細は後述するが、マニピュレータ部100aは試料上に位置し、一対のアームにより試料(や付着物等)をハンドリングする。移動機構120は3次元方向に変位し、マニピュレータ部100aを試料300上の所定位置に3次元移動させる。移動機構120は、例えばX,Y、X軸にそれぞれ変位する3つのアクチュエータ(ピエゾ素子やステッピングモータ等)からなる。
FIB装置は鏡筒から放射されるイオンビームによって試料を観察するタイプであるため、試料近傍に荷電粒子ビーム等の光学系を配置する必要がある。
片持ち支持部140(第1片持ち支持部140a、第2片持ち支持部140bを総称して適宜「片持ち支持部」という)は、外部装置200の機能(光学系)と干渉しないよう、微小マニピュレータを装置内壁から片持ち構造で支えるためのものである。
レーザ光源110a1からのレーザ光は、マニピュレータ部100aの図示しない鏡面で反射されて位置検出センサ110a2に受光され、そのときの光の強度や方向からマニピュレータ部100aの変位を検出するようになっている。以下、レーザ光源110a1と位置検出センサ110a2を総称し適宜「変位検出部」110という。
なお、この実施形態では、位置検出センサ110a2は4分割フォトディテクタとなっていて、「光てこ」方式で変位の検出を行う。つまり、位置検出センサ110a2上に入射したレーザ光のスポットは、マニピュレータ部100aの変位に応じてディテクタ面内を動くので、4分割された各フォトディテクタ面の差分を検出することにより、マニピュレータ部100aの変位を検出することができる。
上記フィードバック制御により、マニピュレータ部100aの振動振幅は従来の値(数100nm程度)より小さくなるので、最大径が1μm以下である試料(や付着物等)を操作できる。
マニピュレータ部100aは、試料を把持するための対向する一対のアーム71と、アームを支持するベース部11と、ベース部に取り付けられてアームを開閉させる開閉アクチュエータ35と、各アーム71の上面71aにそれぞれ形成された鏡面80とを有する。鏡面80は、アームの開閉方向Zと垂直な面PLに対して90の角度をなしている。又、各アーム71の先端部の対向面には、三角錐状の突起部72がその先端同士を同一軸上に対向してそれぞれ形成されている。突起部71はシリコン結晶からなり、先端が先鋭化されているため、極めて微小な試料(DNA等)を把持できる。なお、試料の大きさに応じて、突起部71を設けなくてもよい。
各アーム71は長片状のシリコンからなり、例えば幅250μm程度、長さを1250μm程度とすることができる。
第1熱膨張部75及び第2熱膨張部76を総称して、適宜「開閉アクチュエータ」35と称する。
そして、各シリコンプローブ35の固定部74同士が対向し、固定部74の外側に第1熱膨張部75が位置し、第1熱膨張部75の外側に第2熱膨張部76が位置している。
さらに、固定部74の先端は縮径のヒンジ73を介してアーム71の基部に一体に接続され、第1熱膨張部75及び第2熱膨張部76の先端は90度内側へ曲げられてアーム71の基部のそれぞれ異なる位置に接続されている。
より具体的には、第1熱膨張部75のアーム71との接続位置が、第2熱膨張部76のアーム71との接続位置よりヒンジ73側に近いので、第1熱膨張部75が熱膨張すると、各アーム71の間が開き、第2熱膨張部76が熱膨張すると各アーム71の間が閉じるようになっている。
なお、第1熱膨張部75及び第2熱膨張部76(開閉アクチュエータ35)としては、上記したシリコンの他、静電型アクチュエータ、圧電型アクチュエータ(ピエゾ素子等)としてもよい。
例えば、この実施形態では、各アーム71は実際にはヒンジ73を中心に円弧状に開閉するが、各アームの対向位置(この実施形態では突起部72の先端同士)を結ぶ線の方向を開閉方向Zとする。
そして、開閉方向Zと垂直な面PLに対して所定の角度をなして鏡面80を形成することにより、アームの開閉による変位を検出せず、マニピュレータ部100a全体の振動を検出できる。つまり、開閉方向Zと垂直な面PLと平行に鏡面80を形成すると、アームの開閉をマニピュレータ部100aの変位として検出してしまい、制振のためのフィードバック制御が困難となる。
まず、ベース部11、酸化シリコン等からなる絶縁部22、シリコン層(開閉アクチュエータ35やアーム71となるもの)となる層を順に積層したシリコン基板を準備する。シリコン基板として、いわゆるSOI(Silicon on insulator)を用いてもよく、ガラス基板上にシリコン層を形成したものや、アモルファスシリコンやポリシリコン基板上にSOI層を形成したものであってもよい。
次に、シリコン層表面にレジスト膜を形成し、フォトリソグラフィによってレジスト膜をパターンニングする。そして、エッチング及びレジスト膜の剥離をすることによって、図2に示す構造を作製することができる。
鏡面80は、一般的な半導体プロセスによって作製されたアーム71の所定の面をそのまま鏡面として使用することができる。該プロセスによるシリコン表面は十分平滑であるためである。また、上記したアーム71の所定の面に、さらにアルミニウム、金などの金属膜を蒸着すると、光の反射が強くなり、変位検出感度が高くなるのでより好ましい。
まず、コントローラ130は、試料の座標(X0,Y0,Z0)設定を行う(ステップS101)。この設定は、例えば作業者が装置の画面を見ながら、操作したい試料(や付着物)の位置を選択することで、選択した座標をコントローラ130が取得することで行う。
コントローラ130は、ステップS101で取得した座標(X0,Y0,Z0)を、マニピュレータ部100aの移動目標値として設定する(ステップS103)。このとき、マニピュレータ部100aが振動していなければ、マニピュレータ部100aを移動目標値まで移動させればよいが、実際にはマニピュレータ部100aが振動しているため、以下の処理を行う。
次に、コントローラ130は、この変位を打ち消すような制御信号(フィードバック量)(X0-X1, Y0-Y1, Z0-Z1)を算出し(ステップS107)、移動機構用ドライバ142に送信する(ステップS109)。
移動機構用ドライバ142は制御信号に従って移動機構120を動作させ、マニピュレータ部100aを移動目標値に近づける。そして、ステップS105〜S107を繰り返すフィードバック制御を行うことにより、マニピュレータ部100aの振動振幅が低減し、マニピュレータ部100aを移動目標値に近付けて微小な試料(や付着物等)を確実に把持することができる。
なお、フィードバック量を算出するフィードバック回路は上記制御基板上に実装されるハードウェアである。
又、ステップS105〜S107の処理は、装置の起動の間、継続して行うようにすれば好ましい。
図4は本発明の第2の実施形態に係る微小マニピュレータ及び観察装置の全体構成を示す断面図である。第2の実施形態は、微小マニピュレータにおける変位検出部110の構成と、鏡面80の形成位置が異なること以外は、第1の実施形態と同一であるので、同一部分の構成を同一符号を付してその説明を省略する。
図5は本発明の第3の実施形態に係る微小マニピュレータ及び観察装置の全体構成を示す断面図である。第3の実施形態は、微小マニピュレータにおける変位検出部110の構成が異なること、及びマニピュレータ部に鏡面が形成されていないこと以外は、第1の実施形態と同一であるので、同一部分の構成を同一符号を付してその説明を省略する。
なお、第3の実施形態において、マニピュレータ部100cは鏡面が形成されていないため、上記特許文献2(国際公開第03/045838号パンフレット)と同一の構造とすることができる。
又、本発明は上記した実施形態に限定されず、本発明の思想と範囲に含まれる様々な変形及び均等物に及ぶことはいうまでもない。
35(75、76) 開閉アクチュエータ
100a〜100c マニピュレータ部
110a1、110a2、110b、110c 変位検出部
120 移動機構
130 制御部
200 外部装置(観察装置)
206 (外部装置)の鏡筒
300 試料
400 試料上の付着物
Claims (5)
- 試料を把持するための対向する一対のアームと、前記アームを支持するベース部と、前記ベース部に取り付けられて前記アームを開閉させる開閉アクチュエータとを有するマニピュレータ部と、
前記マニピュレータ部の変位を検出する変位検出部と、
前記ベース部と外部装置との間に取り付けられ、前記マニピュレータ部を前記試料に対して3次元移動させる移動機構と、
前記変位検出部によって検出された変位を打ち消すように、前記移動機構を制御する制御部とを備えた微小マニピュレータ。 - 前記マニピュレータ部は、前記アームの表面に形成され、前記アームの開閉方向と垂直な面に対し所定の角度をなす鏡面をさらに有し、
前記変位検出部は、前記鏡面に光を照射し、その反射光に応じて前記アームの前記開閉方向と異なる方向の変位を検出する請求項1記載の微小マニピュレータ。 - 前記試料の最大径が1μm以下である請求項1又は2記載の微小マニピュレータ。
- 前記外部装置は、鏡筒から放射される荷電粒子線によって試料を観察する請求項1〜3のいずれかに記載の微小マニピュレータ。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の微小マニピュレータを備えた観察装置。
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