JP2009248153A - 鋳鉄母材への肉盛方法および肉盛用鋳鉄母材 - Google Patents
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Abstract
【課題】面倒な肉盛条件の設定や前処理を行うことなく黒鉛のガス化を抑えることができるようにし、もってガス欠陥の少ない肉盛層を容易かつ安定して得ることができる、鋳鉄母材への肉盛方法を提供する。
【解決手段】肉盛対象である鋳鉄母材の組織中における片状黒鉛の面積率を10%以下に抑えるとともに、該片状黒鉛の最大長を140μm以下に抑える。黒鉛の面積率を抑えることで、全体のガス発生量が抑えられ、余分なガス化防止対策が不要になる。また、個々の黒鉛の大きさが小さくなる分、各黒鉛からのガス発生量が少なくなるので、たとえ、肉盛層中にピンホールやブローホールなどのガス欠陥が生じても、該ガス欠陥のサイズが小さくなる。
【選択図】なし
【解決手段】肉盛対象である鋳鉄母材の組織中における片状黒鉛の面積率を10%以下に抑えるとともに、該片状黒鉛の最大長を140μm以下に抑える。黒鉛の面積率を抑えることで、全体のガス発生量が抑えられ、余分なガス化防止対策が不要になる。また、個々の黒鉛の大きさが小さくなる分、各黒鉛からのガス発生量が少なくなるので、たとえ、肉盛層中にピンホールやブローホールなどのガス欠陥が生じても、該ガス欠陥のサイズが小さくなる。
【選択図】なし
Description
本発明は、鋳鉄母材に対する肉盛方法および肉盛用鋳鉄母材に関する。
たとえば、自動車用エンジンを構成するシリンダヘッドのバルブシートは、耐久性を向上させるため、耐摩耗性に優れた材料を肉盛りして形成されることが多い。しかるに、シリンダヘッドの母材が鋳鉄からなっている場合は、肉盛り時の入熱で鋳鉄母材の組織中に存在する黒鉛がガス化し、肉盛金属(肉盛層)中にガスが捕捉されて、肉盛層にピンホール、ブローホール等のガス欠陥が発生しやすくなる。
そこで従来、上記したガス欠陥の発生を防止するため、特許文献1に記載のものでは、肉盛りに際して、鋳鉄母材の表面に所定の厚さ(0.01〜2.0mm)の焼入れ層を形成して黒鉛のガス化を抑制する対策、あるいは肉盛りの前処理として、レーザ照射を行って表面の黒鉛を除去する対策を採っていた。
しかしながら、上記した肉盛りと同時に表面に所定の厚さの焼入れ層を形成する対策では、レーザの照射強度を調整したり、肉盛層が形成される速度を調整するなどの面倒な条件設定が必要で、汎用性に乏しいという問題がある。また、レーザ照射を行って黒鉛を除去する対策では、レーザ照射を行う前行程が別途必要になるため、コスト負担の増大並びにサイクルタイムの延長が避けられないという問題がある。
本発明は、上記した従来の問題点に鑑みてなされたもので、その課題とするところは、面倒な肉盛条件の設定や前処理を行うことなく黒鉛のガス化を抑えることができるようにし、もってガス欠陥の少ない肉盛層を容易かつ安定して得ることができる、鋳鉄母材への肉盛方法および鋳鉄母材を提供することにある。
本発明に係る鋳鉄母材への肉盛方法は、鋳鉄母材の組織中に存在する黒鉛の量を減らすことにより黒鉛のガス化を抑えることを特徴とする。このように行う肉盛方法では、鋳鉄母材における黒鉛の量が減じる分、全体のガス発生量が抑えられる。したがって、肉盛りに際しての面倒な条件設定や鋳鉄母材に対する余分な前処理が不要になり、ガス欠陥の少ない肉盛層を容易かつ安定して得ることができる。
本発明において、上記鋳造母材の種類は任意であり、片状黒鉛鋳鉄であっても、球状黒鉛鋳鉄であってもよい。また、この鋳鉄母材に肉盛りする異種金属の種類も任意であり、鋳鉄母材の表面を改質する種々の金属又は合金を選択することができる。さらに、肉盛りの方式としては、MIG、TIG、プラズマ等のアーク肉盛方式はもちろん、レーザビームを用いるレーザ肉盛方式を採用することができる。
以下に、本発明の態様をいくつか例示し、それらについて項分けして説明する。
以下に、本発明の態様をいくつか例示し、それらについて項分けして説明する。
(1)鋳鉄母材の表面の一部に異種金属を肉盛りする肉盛方法において、前記鋳鉄母材の組織中に存在する黒鉛の面積率を10%以下とすることを特徴とする鋳鉄母材への肉盛方法。
本(1)項記載の鋳鉄母材への肉盛方法においては、鋳鉄母材の組織中に存在する黒鉛の面積率を低く抑えることで、鋳鉄母材表面からのガスの発生量が減少し、肉盛層におけるピンホールやブローホールなどのガス欠陥が少なくなる。
(2)前記黒鉛が片状黒鉛であり、該片状黒鉛の最大長を140μm以下とすることを特徴とする(1)項に記載の鋳鉄母材への肉盛方法。
本(2)項記載の鋳鉄母材への肉盛方法においては、組織中に存在する黒鉛が片状黒鉛である場合に、その長さの上限を抑えることで、個々の黒鉛の大きさが減じ、各黒鉛から発生するガス量が少なくなって、ガス欠陥のサイズも小さくなる。
(3)組織中に存在する黒鉛の面積率が、10%以下であることを特徴とする肉盛用鋳鉄母材。
(4)前記黒鉛が片状黒鉛であり、該片状黒鉛の最大長が140μm以下であることを特徴とする(3)項に記載の肉盛用鋳鉄母材。
本発明に係る鋳鉄母材への肉盛方法および鋳鉄母材によれば、肉盛りに際して面倒な条件設定が不要になることに加え、鋳鉄母材に対する余分な前処理が不要になるので、ガス欠陥の少ない肉盛層を容易かつ安定して得ることができ、その利用価値は大なるものがある。
以下、本発明を実施するための最良の形態を添付図面に基づいて説明する。
図1および図2は、本発明に係る肉盛方法の一つの実施形態を示したものである。本肉盛方法は、自動車エンジン用シリンダヘッド1のバルブシート部2に対する異種金属の肉盛加工(クラッド加工)を行うもので、肉盛方式としては、ここではレーザ肉盛装置3によるレーザ肉盛方式が採用されている。レーザ肉盛装置3は、バルブシート部2に向けてレーザビームを照射すると共に金属粉末を吐出するレーザ加工ヘッド3aを備えており、肉盛加工に際しては、このレーザ加工ヘッド3aがバルブシート部2に沿って走査され、これによってバルブシート部2には連続した肉盛層4が円環状に形成される。
本実施形態において、シリンダヘッド1の本体としての鋳鉄母材5はねずみ鋳鉄(片状黒鉛鋳鉄)からなっている。この鋳鉄母材5の組織中には、多くの片状黒鉛が分散しているが、ここでは、その片状黒鉛の面積率を10%以下に抑え、かつ該片状黒鉛の最大長を140μm以下に抑えている。片状黒鉛の面積率および最大長を抑える方法は任意であり、たとえば、Cの含有量を低めに設定すること、あるいはCe、Ta等の特殊元素を接種することが有効となる。一方、バルブシート部2に肉盛りされる異種金属としては、耐摩耗性に優れた材料、たとえば、銅系材料が選択される。
上記した鋳鉄母材5を対象に異種金属をレーザ肉盛加工すると、鋳鉄母材5の表面に存在する片状黒鉛がレーザ照射による入熱でガス化しようとする。しかし、本実施形態においては、鋳鉄母材5の組織中に存在する片状黒鉛の面積率(量)が低く抑えられているので、黒鉛のガス化に伴う全体のガス発生量が減少する。すなわち、ガス発生量が減少する結果、肉盛層5におけるピンホールやブローホールなどのガス欠陥が少なくなり、所望の肉盛品質が確保される。また、鋳鉄母材5の組織中に存在する片状黒鉛の最大長が小さく抑えられているので、個々の黒鉛の大きさが減じ、これにより各黒鉛から発生するガス量
が少なくなる。そして、個々の黒鉛から発生するガス量が少なくなる結果、たとえ、肉盛層5中にピンホールやブローホールなどのガス欠陥が生じても、該ガス欠陥のサイズも小さくなり、所望の肉盛品質が確保される。
が少なくなる。そして、個々の黒鉛から発生するガス量が少なくなる結果、たとえ、肉盛層5中にピンホールやブローホールなどのガス欠陥が生じても、該ガス欠陥のサイズも小さくなり、所望の肉盛品質が確保される。
なお、上記実施形態においては、鋳造母材5を片状黒鉛鋳鉄から形成したが、この片状黒鉛鋳鉄は、球状黒鉛鋳鉄に代えてもよいものである。鋳造母材5を球状黒鉛鋳鉄から形成する場合は、上記同様に球状黒鉛の面積率を10%以下に抑えるとともに、その径をできるだけ小さくする。
図1に示したシリンダヘッド1のバルブシート部2と類似の形状の被肉盛部を有する供試ブロックを多数鋳造して、表1に示す成分組成の本発明材と従来材1〜3とを多数製作し、これに、表2に示す成分組成の銅系材料を上記レーザ肉盛装置3を用いてレーザ肉盛加工した。ここで、従来材1、2は、従来汎用のねずみ鋳鉄(片状黒鉛鋳鉄)と同様の成分組成を有しているのに対し、本発明材と従来材3は、汎用のねずみ鋳鉄に対して若干のMoを添加した成分組成となっている。また、本発明材は、従来材1〜3よりもC含有量が低くなっており、また、その鋳造に際しては、Ce、Ra等が接種される。
レーザ肉盛加工は、半導体レーザを使用して、出力1.5kw、ビーム径[7×3]mm、異種金属の粉末供給量0.3g/sec、加工速度500mm/minの条件で行った。そして、肉盛加工後、供試ブロックを切断して組織を顕微鏡観察し、鋳鉄母材の組織中における片状黒鉛の面積率および最大長を測定すると共に、肉盛層中におけるピンホールの総面積を測定した。なお、供試ブロックの個数は、本発明材および実施例材1〜3ともに30個(n=30)とした。
図3は、本発明材および従来材1〜3における片状黒鉛の面積率と最大長との関係を示
したものである。これより、本発明材の片状黒鉛は、面積率10%以下、最大長140μm以下の範囲にあるのに対し、従来材1〜3の片状黒鉛は、面積率10.5%以上、最大長150μm以上の範囲にあり、両者の間には、組織中に分散する片状黒鉛の量および大きさに明らかに相違が認められる。
したものである。これより、本発明材の片状黒鉛は、面積率10%以下、最大長140μm以下の範囲にあるのに対し、従来材1〜3の片状黒鉛は、面積率10.5%以上、最大長150μm以上の範囲にあり、両者の間には、組織中に分散する片状黒鉛の量および大きさに明らかに相違が認められる。
図4は、本発明材および従来材1〜3に対する肉盛層中に存在するピンホールの面積(総面積)を示したものである。これより、本発明材におけるピンホールの面積が0.05mm2未満と著しく小さくなっているのに対し、従来材1〜3のそれは、0.35mm2以上と著しく大きくなっており、本発明の肉盛方法が、ピンホールの低減に大きく寄与することが明らかである。
図5は、本発明材および従来材1、2のミクロ組織を示したもので、同図には、顕鏡部における片状黒鉛の面積率Sと最大長Lとを付記している。これより、本発明材の組織中に存在する片状黒鉛の量および大きさ(長さ)は、従来1、2の組織中に存在する片状黒鉛の量および大きさより明らかに低減しており、このことが、上記したピンホールの低減に寄与したものと推定される。
1 シリンダヘッド
2 バルブシート部
3 レーザ肉盛装置
3a レーザ加工ヘッド
4 肉盛層
5 鋳鉄母材
2 バルブシート部
3 レーザ肉盛装置
3a レーザ加工ヘッド
4 肉盛層
5 鋳鉄母材
Claims (4)
- 鋳鉄母材の表面の一部に異種金属を肉盛りする肉盛方法において、前記鋳鉄母材の組織中に存在する黒鉛の面積率を10%以下とすることを特徴とする鋳鉄母材への肉盛方法。
- 前記黒鉛が片状黒鉛であり、該片状黒鉛の最大長を140μm以下とすることを特徴とする請求項1に記載の鋳鉄母材への肉盛方法。
- 組織中に存在する黒鉛の面積率が、10%以下であることを特徴とする肉盛用鋳鉄母材。
- 前記黒鉛が片状黒鉛であり、該片状黒鉛の最大長が140μm以下であることを特徴とする請求項3に記載の肉盛用鋳鉄母材。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008100566A JP2009248153A (ja) | 2008-04-08 | 2008-04-08 | 鋳鉄母材への肉盛方法および肉盛用鋳鉄母材 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2008100566A JP2009248153A (ja) | 2008-04-08 | 2008-04-08 | 鋳鉄母材への肉盛方法および肉盛用鋳鉄母材 |
Publications (1)
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JP2009248153A true JP2009248153A (ja) | 2009-10-29 |
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JP2008100566A Pending JP2009248153A (ja) | 2008-04-08 | 2008-04-08 | 鋳鉄母材への肉盛方法および肉盛用鋳鉄母材 |
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JP (1) | JP2009248153A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2015158010A (ja) * | 2014-02-21 | 2015-09-03 | 斗山インフラコア株式会社 | 片状黒鉛鑄鉄およびその製造方法 |
-
2008
- 2008-04-08 JP JP2008100566A patent/JP2009248153A/ja active Pending
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