JP2009248057A - 排ガス浄化用触媒 - Google Patents

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Abstract

【課題】リッチスパイク時におけるHCの排出を抑制するとともに、NOxの浄化活性に優れた排ガス浄化用触媒を提供する。
【解決手段】排ガス浄化用触媒は、ガス流路10を形成する流路壁15を構成するハニカム基材1と、ハニカム基材1の表面に形成された触媒層2と、触媒層2に担持されたRh、Pt及びNOx吸蔵材とからなる。触媒層2は、ガス流路10の上流側に配置された上流側触媒層21と、上流側触媒層21よりもガス流路10の下流側に配置された下流側触媒層22とからなる。上流側触媒層21は、表層部にPtを担持する外Pt担持層31と、外Pt担持層31よりも内部側に配置されRhを担持する内Rh担持層32とからなる。下流側触媒層22は、表層部にRhを担持してなる外Rh担持層41と、内部側に配置されPtを担持してなる内Pt担持層42とからなる。
【選択図】図1

Description

本発明は、自動車などの内燃機関から排出される排ガスを浄化する排ガス浄化用触媒に関する。
従来、自動車の排ガス浄化用触媒として、多孔質担体上にアルカリ土類金属などのNOx吸蔵材と白金(Pt)、ロジウム(Rh)などの触媒貴金属とを担持させたリーンバーンエンジン用吸蔵還元触媒が実用化されている。リーンバーンエンジンは、酸素過剰雰囲気において希薄燃焼させるもので、燃料の使用が低減され、その燃焼排ガスであるCOの発生を抑制することができる。
この吸蔵還元触媒によるNOxの浄化反応は、排ガス中のNOを酸化してNOxとする第1ステップと、NOx吸蔵材上にNOxを吸蔵する第2ステップと、NOx吸蔵材から放出されたNOxを触媒上で還元する第3ステップとからなることが分かっている。
ところで、この吸蔵還元触媒の主な劣化要因の一つとして、触媒貴金属の熱劣化がある。貴金属触媒の熱劣化は、触媒貴金属が高熱に晒されて、粒成長が生じて、活性点数が低下することによって起こる。このため、高熱に晒されても活性点が低下しにくい触媒貴金属として、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)などの貴金属が用いられる。一般に、Ptは、酸化性能に優れ、Rhは還元性能に優れるため、通常PtとRhとが組み合わされて触媒貴金属として用いられる。
しかしながら、RhをPtと混在させると、Ptと合金化しやすくなる。RhとPtの合金は、Rhの性能に近くなり、NOの酸化活性が低いという性質がある。そのため、Rhの含有量が多くなるにつれてNOを酸化してNOxとする第1ステップの反応性が低下し、第2ステップにおけるNOx吸蔵性能も低下する。
そこで、特許文献1(特許第3589383号公報)には、Ptを表面に高担持量に担持させ酸化性能を高める技術が開示されている。しかし、この技術によっても、Ptの酸化性能は未だ不十分である。
また、NOx触媒を用いたリーンバーンエンジンでは、通常、特許文献2(特開2006−233774号公報)に示されているように、空燃比をリーン側からパルス状にストイキ〜リッチ側になるように制御する所謂リッチスパイク制御が行われている。このリッチスパイク時には、排ガス中にHCが高濃度で含まれるため、NOx浄化に消費されなかったHCが排出されるという不具合があった。
その他にも、NOx及びHCを効率よく浄化する触媒が開示されている。たとえば、特許文献3(特開2000−257417号公報)には、NOx吸蔵還元触媒の下流側に、HC吸着材及び酸化触媒を配設することが開示されている。また、特許文献4(特開2004−16931号公報)には、NOx吸着剤を有する内層と、NOx浄化層からなる表層との間に、内層から放出されたNOxを一時的に保持して表層側への到達を遅延させる隔離手段を介在させることが開示されている。特許文献5(特開平11−226404号公報)には、Pt及びNOx吸蔵材を担持した第1担体と、Rhが担持され且つアルカリ土類金属又は希土類元素の少なくとも一方で安定化されたジルコニアからなる第2担体とを混在させる技術が開示されている。特許文献6(特開2002−361048号公報)には、HC吸着剤、NOx保持材及び触媒成分を含むHC吸着浄化型触媒が開示されている。特許文献7(特開2004−181374号公報)には、第1担体と第2担体とを直列に配列させて、これらに担持させるPt、Rh、Pdなどの触媒金属の担持量及びセル担持量を変えることで、浄化活性を保持しつつ触媒貴金属の使用量を低減させる技術が開示されている。特許文献8(特開平9−299795号公報)には、NO酸化触媒と、アルカリ金属、アルカリ土類金属及び希土類金属から選ばれる少なくとも一種のNOx吸蔵元素と貴金属とを担持してなるNOx吸蔵触媒とを組み合わせることにより、NO浄化の第1ステップを促進させようとする技術が開示されている。特許文献9(特開平5−293376号公報)には、触媒の上流部の最表層がPt及びPdの少なくとも一方を含み、下流部にはRhを含むこと、Rhは、失活防止のため、Pt、Pdと互いに分離して担持されることがよいことがよいことが開示されている。特許文献10(特開2002−30924号公報)には、触媒の上流側の担体上にNOを酸化する触媒を担持させ、下流側にはNOをCOにより還元する触媒を担持させることが開示されている。
しかしながら、特許文献3〜10は、リッチスパイク時におけるHCの排出を抑制し且つNOxの浄化活性にも優れるものではない。また、特許文献3,6の触媒は、HC吸着材を用いているため、触媒浄化活性が求められる400℃付近でも有効な浄化活性を発揮することはできない。
特許第3589383号公報 特開2006−233774号公報 特開2000−257417号公報 特開2004−16931号公報 特開平11−226404号公報 特開2002−361048号公報 特開2004−181374号公報 特開平9−299795号公報 特開平5−293376号公報 特開2002−30924号公報
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、リッチスパイク時におけるHCの排出を抑制するとともに、NOxの浄化活性に優れた排ガス浄化用触媒を提供することを課題とする。
前記課題を解決するため,請求項1に係る発明は、排ガスが流通するガス流路を形成する流路壁の上流側に形成された上流側触媒層と、前記流路壁の前記上流側触媒層よりも下流側に形成された下流側触媒層と、をもつ排ガス浄化用触媒であって、前記上流側触媒層及び前記下流側触媒層の少なくとも一方は、NOx吸蔵材を担持しているとともに、前記上流側触媒層は、表層部にPtを担持する外Pt担持層と、該外Pt担持層よりも内部側に配置されRhを担持する内Rh担持層とからなり、前記下流側触媒層は、表層部にRhを担持してなる外Rh担持層をもつことを特徴とする。
請求項2に係る発明は、前記上流側触媒層及び前記下流側触媒層の全体は、前記NOx吸蔵材を含むことを特徴とする。
請求項3に係る発明は、前記下流側触媒層は、前記外Rh担持層よりも内部側に、貴金属触媒及び前記NOx吸蔵材を担持してなる内触媒担持層を有することを特徴とする。
請求項4に係る発明は、前記上流側触媒層の長さ及び前記下流側触媒層の長さを合わせた合計長さに対する前記上流側触媒層の長さの比率は、40〜90%であることを特徴とする。
請求項5に係る発明は、前記流路壁は、表面に前記上流側触媒層及び前記下流側触媒層が形成された基材であることを特徴とする。
請求項6に係る発明は、前記流路壁は、表面に前記上流側触媒層が形成された上流側基材と、表面に前記下流側触媒層が形成された下流側基材とから構成されていることを特徴とする。
前記請求項1に係る発明によれば、上流側触媒層が、表層部にPtを担持する外Pt担持層と、この外Pt担持層よりも内部側に配置されRhを担持する内Rh担持層とからなる。Ptは、リーン雰囲気下で、NO及びHCを酸化する性能が優れている。このため、リーン雰囲気において、上流側触媒層の表層部に担持されているPtの酸化活性が高くなり、NO及びHCの酸化が促進される。また、NOが酸化されて生成したNOxは、NOx吸蔵材によって吸蔵されるため、NOx吸蔵量が増加する。したがって、リーン雰囲気では、主として上流側触媒層において、NOを酸化及び吸蔵する性能及びHC浄化活性を発揮することができる。
また、下流側触媒層は、表層部にRhを担持してなる外Rh担持層をもつ。Rhは、リッチ雰囲気で、NOxを還元浄化し、HCを酸化浄化する性能に優れる。このため、リッチ雰囲気で、上流側触媒層でNOx還元に消費されなかったHCが、下流側触媒層の外Rh担持層によって、NOxを還元浄化する。したがって、リッチ雰囲気では、主として下流側触媒層において、NOxの還元浄化及びHCの酸化浄化が行われ、NOx及びHCが排ガス浄化用触媒から排出されることを抑制できる。
また、本発明においては、PtとRhは、上流側触媒層及び下流側触媒層の互いに異なる位置に分離して担持されている。このため、Ptは、Rhと合金化しにくい。ゆえに、Ptは、Rhとの合金化によってRhの性能に近くなることが抑制されて、Ptの失活を抑制でき、RhとPtの双方の触媒性能を十分に発揮することができる。
前記請求項2に係る発明によれば、上流側触媒層及び下流側触媒層の全体にNOx吸蔵材が含まれている。このため、上流側触媒層及び下流側触媒層の全体で、NOx吸蔵還元反応の第2ステップのNOx吸蔵反応が行われる。ゆえに、第1ステップのNO酸化反応から第3ステップのNOx還元浄化反応までの反応がスムーズに行われ、NOx吸蔵還元反応全体が促進される。
前記請求項3に係る発明によれば、下流側触媒層が、外Rh担持層よりも内部側に、貴金属触媒及びNOx吸蔵材を担持してなる内触媒担持層を有する。このため、下流側触媒層の内部を、NOxが酸化され吸蔵されるスペースとして有効利用することができ、NOx浄化活性が更に向上する。
前記請求項4に係る発明によれば、上流側触媒層の長さ及び下流側触媒層の長さを合わせた合計長さに対する、上流側触媒層の長さの比率が、40〜90%である。このため、排ガス浄化用触媒のNOx浄化活性及びHC浄化活性の双方が優れている。
前記請求項5に係る発明によれば、流路壁が、表面に上流側触媒層及び下流側触媒層の双方が形成された1つの基材である。このため、基材の排ガス経路への組み付けが容易である。
前記請求項6に係る発明によれば、流路壁が、表面に上流側触媒層が形成された上流側基材と、表面に下流側触媒層が形成された下流側基材とから構成されている。このため、上流側触媒層と下流側触媒層との境界が明確になり、上流側触媒層に担持されている貴金属触媒と、下流側触媒層に担持されている貴金属触媒とを完全に分離することができ、貴金属触媒の合金化を抑止することができる。
本発明の排ガス浄化用触媒は、排ガスが流通するガス流路を形成する流路壁の上流側に形成された上流側触媒層と、流路壁の上流側触媒層よりも下流側に形成された下流側触媒層とをもつ。流路壁は、ガス流路を有する構造を備えた基材から構成されている。基材は、例えば、ハニカム形状、プレート形状などのものを用いることができる。基材の材質は特に限定されず、コージェライト、SiCなどのセラミックス製のもの、あるいは金属製のものなど公知のものを用いることができる。
流路壁は、表面に上流側触媒層及び下流側触媒層の双方を形成した1つの基材から構成されていてもよい。また、流路壁は、表面に上流側触媒層を形成した上流側基材と、表面に下流側触媒層を形成した下流側基材の2つの基材から構成されていてもよい。2つの基材から流路壁が構成されている場合には、例えば、上流側基材と下流側基材とは近接した位置に配置する。
流路壁の表面には、上流側触媒層及び下流側触媒層が形成されている。ここで、流路壁がハニカム基材から構成されている場合には、複数のガス流路を区画しているハニカム基材の隔壁の表面に上流側触媒層及び下流側触媒層が形成されている。
上流側触媒層及び下流側触媒層は、担体と、担体に担持された触媒成分とからなる。触媒成分は、PtとRhとNOx吸蔵材とを含む。Pt及びRhは、後述するように、別々の部位に互いに分離して担持されている。また、NOx吸蔵材は、上流側触媒層及び下流側触媒層の全体に担持されているとよい。
NOx吸蔵材としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属及び希土類金属から選ばれる少なくとも一種の元素を用いることができる。アルカリ金属としては、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、セシウム(Cs)が挙げられる。アルカリ土類金属は、周期表2A族元素をいい、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)が挙げられる。希土類金属としては、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジウム(Pr)などが挙げられる。
上流側触媒層のNOx吸蔵材の担持量及び下流側触媒層のNOx吸蔵材の担持量は、いずれも0.02〜2.0mol/Lであることが好ましい。0.02mol/L未満の場合には、NOx吸蔵反応が低下するおそれがあり、2.0mol/Lを超える場合には、効果が飽和する。
流路壁の上流側に形成されている上流側触媒層は、表層部に形成された外Pt担持層と、外Pt担持層よりも内部側に形成されRhを担持している内Rh担持層とからなる。
上流側触媒層の表層部に配置されている外Pt担持層は、担体と、担体に担持され貴金属触媒としてのPtとからなる。外Pt担持層は、Ptは担持しているが、Rhは担持していないことが望ましい。Ptは、リーン雰囲気でNOの酸化反応を促進する。外Pt担持層は、Ptのほかに、NOx吸蔵材を担持しているとよい。NOx吸蔵材は、PtによるNO酸化反応によって生成したNOxを硝酸塩の形で吸蔵する。また、外Pt担持層は、Ptのほかに、Pd、Irなどの貴金属触媒を含んでいても良い。外Pt担持層の担体は、例えば、アルミナ、セリア−ジルコニア、ジルコニア−チタニア、アルミナ−セリアなどの複合酸化物を用いることができる。
上流側触媒層の外Pt担持層のPtの担持量は、0.05〜10g/L(リットル)であることが好ましい。0.05g/L未満の場合には、リーン雰囲気でのHC及びNOの酸化活性が低下するおそれがあり、10g/Lを超える場合には、効果が飽和するとともにコストの増加を招く。
上流側触媒層の外Pt担持層における表面部のPtの担持量は、外Pt担持層の内部のPtの担持量よりも大きいことが好ましい。例えば、外Pt担持層における表面部のPt担持量は1.0〜10g/Lであり、内部のPt担持量は0.05〜1.0g/Lであるとよい。これにより、酸化活性が活発な表層部にPtが多く存在することになり、リーン雰囲気でのNOの酸化性能を効率よく向上させることができる。
上流側触媒層の外Pt担持層を形成するにあたっては、担体粉末を含むスラリーを内Rh担持層上にウォッシュコートした後に、Ptを担持する方法(1)、又は担体粉末に予めPtを担持した触媒担持粉末を含むスラリーを内Rh担持層上にウォッシュコートする方法(2)を行うとよい。前記のように、外Pt担持層におけるPtの担持量を表面に向かって大きくする場合には、前記(1)の方法を行うとよい。
上流側触媒層の内部側に配置されている内Rh担持層は、担体と、担体に担持され貴金属触媒としてのRhとからなる。内Rh担持層は、Rhを担持しているが、Ptを担持していないことが望ましい。Rhは、外Pt担持層で酸化されたNOxを、リッチ雰囲気下で還元浄化する。
上流側触媒層の内Rh担持層は、Rhのほかに、NOx吸蔵材を担持しているとよい。内Rh担持層は、Rhのほかに、Pdなどの貴金属触媒を担持していてもよい。内Rh担持層の担体は、例えば、ジルコニアを含む酸化物よりなるものがよい。この場合には、Rhの水蒸気改質反応活性が向上する。かかる担体は、ジルコニア単独でもよいし、アルカリ土類金属及び希土類元素(Ceを除く)の少なくとも一方で安定化されたジルコニアなどを用いることができる。担体に好適に用いられるアルカリ土類金属としては、Mg、Ca、Sr、Baなどがあり、希土類元素としては、La、Sc、Y、Pr、Nd、Sm、Ybなどがあり、中でもLaがよい。担体の具体例として、Zr−La、Zr−Ba、Zr−Ca、Zr−Yなどを挙げることができる。
上流側触媒層の内Rh担持層のRhの担持量は、0.05〜2.0g/Lであることが好ましい。0.05g/L未満の場合には、NOx還元浄化活性が低下するおそれがあり、2.0g/Lを超える場合には、効果が飽和し、コストの増加を招く。
上流側触媒層の内Rh担持層を形成するにあたっては、担体粉末を含むスラリーを基材上にウォッシュコートした後に、Rhを担持する方法(3)、又は担体粉末に予めRhを担持した触媒担持粉末を含むスラリーを基材上にウォッシュコートする方法(4)を行うとよい。
上流側触媒層では、内Rh担持層の厚みに対する外Pt担持層の厚みの比率は、3〜4であることが好ましい。3未満の場合には、外Pt担持層の容積が相対的に小さくなり、リーン雰囲気下でNO酸化性能及びHC酸化性能が低下するおそれがある。4を超える場合には、内Rh担持層の容積が相対的に小さくなり、リッチ雰囲気下で、表層部で酸化生成されたNOxの還元浄化活性が低下するおそれがある。なお、本明細書において、「厚み」とは、平均厚みを意味する。
流路壁の下流側に形成されている下流側触媒層は、表層部にRhを担持してなる外Rh担持層を有している。外Rh担持層は、上流側触媒層の内Rh担持層と同様に、担体と、担体に担持されたRhとからなる。下流側触媒層の外Rh担持層は、Rhを担持しているが、Ptを担持していないことが望ましい。Rhによって、リッチ雰囲気時に上流側触媒層の外Pt担持層で消費されなかったHCが酸化浄化されるとともに、HCの酸化によって、NOxが還元浄化される。
下流側触媒層の外Rh担持層は、Rhのほかに、NOx吸蔵材を担持しているとよい。外Rh担持層は、Rhのほかに、Pdなどの貴金属触媒を担持していてもよい。外Rh担持層の担体は、例えば、上流側触媒層の内Rh担持層の担体と同様のものを用いるとよく、外Rh担持層のRhの担持量は、上流側触媒層の内Rh担持層のRh担持量と同様であるとよい。外Rh担持層を形成するにあたっては、例えば、上流側触媒層の内Rh担持層の担体と同様の方法を行うことができる。
下流側触媒層の外Rh担持層の厚みは、10〜75μmであるとよい。これにより、リッチ雰囲気時に、上流側触媒層で消費されなかったHCを、十分に酸化浄化することができるとともに、HC酸化によってNOxを十分に還元浄化することができる。
下流側触媒層は、外Rh担持層よりも内部側に、担体と少なくとも貴金属触媒及びNOx吸蔵材とからなる内触媒担持層を有しているとよい。これにより、下流側触媒層の内部層が、NOの酸化及びNOxの吸蔵を行うスペースとして有効利用されて、NOxの浄化活性向上につながる。下流側触媒層の内触媒担持層は、貴金属触媒としてPtを含んでいるとよく、その他にもPdなどを含んでいてもよい。
内触媒担持層の貴金属触媒の担持量は0.05〜10g/Lであるとよい。0.05g/L未満の場合には、NOの酸化及びNOxの吸蔵反応が低下するおそれがあり、10g/Lを超える場合には、効果は飽和し、コストの増大を招くおそれがある。
上流側触媒層の長さ及び下流側触媒層の長さを合わせた合計長さL1に対する、上流側触媒層の長さL2の比率(L2/L1)は、40〜90%であるとよい。40%未満の場合には、上流側触媒層の外Pt担持層の長さが相対的に短くなり、リーン雰囲気でのNO酸化活性が十分に発揮されず、また、NOx吸蔵反応が生じるスペースが少なく、NOx吸蔵量が低下するおそれがある。90%を超える場合には、下流側触媒層の外Rh担持層の長さが相対的に短くなり、リッチ雰囲気でのHC浄化活性及びNOx還元浄化活性が低下するおそれがある。更に、好ましくは、前記比率(L2/L1)は、50〜80%である。これにより、NOx還元浄化活性及びHC酸化活性が更に向上する。なお、上流側触媒層の長さL2は、上流側触媒層のガス流路を流れる排ガスのガス流れ方向の長さをいい、下流側触媒層の長さは、下流側触媒層のガス流路を流れる排ガスのガス流れ方向の長さをいい、合計長さL1は、上流側触媒層の長さL2と下流側触媒層の長さを合わせた合計長さをいう。
本発明の排ガス浄化用触媒は、NOx吸蔵還元触媒などに適している。
以下、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明する。
(実施例1)
本例の排ガス浄化用触媒は、図1に示すように、ガス流路10を形成する流路壁15をもつハニカム基材1と、ハニカム基材1の表面に形成された触媒層2とを有する。触媒層2は、流路壁15の上流側の表面に形成された上流側触媒層21と、上流側触媒層21よりも流路壁15の下流側の表面に形成された下流側触媒層22とからなる。
上流側触媒層21は、表層部にPtを担持する外Pt担持層31と、外Pt担持層31よりも内部側に配置されRhを担持する内Rh担持層32とからなる。下流側触媒層22は、表層部にRhを担持してなる外Rh担持層41と、外Rh担持層41よりも内部側に配置されPtを担持する内Pt担持層42とからなる。触媒層2全体には、NOx吸蔵材であるBa、Kが均一に担持されている。
触媒層2のガス流れ方向の全長L1に対する上流側触媒層21のガス流れ方向の長さL2の比率(L2/L1)は、80%である。前記全長L1に対する下流側触媒層22の長さL3の比率(L3/L1)は、20%である。触媒層2の厚みD1(平均厚みを意味する。以下、同様)は150μmである。上流側触媒層21では、内Rh担持層32の厚みD3に対する外Pt担持層31の厚みD2の比率(D2/D3)は、4である。下流側触媒層22の外Rh担持層41の厚みD4は、30μmであり、内Pt担持層42の厚みD5は、120μmである。
図1、図2に示すように、ハニカム基材1は、隔壁12によって複数のセル11に区画されている。隔壁12の表面は、触媒層2により被覆されており、触媒層2の表面にはガス流路10が形成されている。ガス流路10では、長手方向の上流側から下流側に排ガスが流通する。ハニカム基材1は、ストレートフロー型である。ハニカム基材1は、直径3cm、長さ5cm、容量0.035リットル、セル11の断面形状が一辺1.2mmの正方形のコージェライト製である。
次に、本例の排ガス浄化用触媒の製造方法について説明する。
<コート層用スラリー調製>
ジルコニア担体粉末に硝酸Rh溶液を加え、1時間攪拌し、乾燥、焼成して、Rhを0.9質量%含むRh担持粉末を調製した。このRh担持粉末94質量%と、アルミナバインダー(Al:40質量%、以下、同様。)6質量部と、イオン交換水と混合して、スラリー1とした。
アルミナ粉末97質量部、セリアジルコニア粉末21.6質量部、ジルコニアチタニア粉末107質量部、アルミナバインダー14.4質量部、及びイオン交換水を混合し、スラリー2とした。
アルミナ粉末43質量%、セリアジルコニア粉末9質量%、及びジルコニアチタニア粉末48質量%を混合し、その混合粉末に硝酸Pt溶液を加え、1時間攪拌し、乾燥、焼成して、Ptを0.9質量%含むPt担持粉末を調製した。このPt担持粉末225.6質量部、アルミナバインダー14.4質量部、及びイオン交換水を混合し、スラリー3を調製した。
<コート層形成>
図1に示すように、ハニカム基材1の上流側の上流端部21aから全長L1の4/5の長さL2までの部分に、スラリー1をウォッシュコートし、次いで、ハニカム基材の下流側の下流端部22aから全長L1の1/5の長さL3までの下流部分22bに、スラリー3をウォッシュコートし、その後乾燥、焼成した。これにより、ハニカム基材1の表面に、上流側触媒層21の内部層である内Rh担持層32、下流側触媒層22の内部層である内Pt担持層42を形成した。
次に、内部層を形成したハニカム基材1の上流部分21bに、スラリー2をウォッシュコートし、次いで、ハニカム基材の下流部分22bに、スラリー1をウォッシュコートし、その後乾燥、焼成した。これにより、ハニカム基材1の表面に形成した内Rh担持層32及び内Pt担持層42の上に、上流側触媒層21の表層部である外Pt担持層31、下流側触媒層22の表層部である外Rh担持層41を形成した。
その後、内部層及び表層部を形成したハニカム基材1の上流部分21bをジニトロアミン白金溶液に浸漬して、Ptを吸着担持させた後、乾燥、焼成して、貴金属担持触媒を得た。Ptは、上流側触媒層21の外Pt担持層31の表面部31a(外Pt担持層31の表面から内方に向かって60μmまでの部分)に3g/L担持され、外Pt担持層31の内部31b(外Pt担持層31の内面から外方に向かって60μmまでの部分)には表面部31aよりも少ない量の1g/Lで担持されて、外Pt担持層31のPt平均担持量は2.0g/Lであった。
上流側触媒層21の内部層である内Rh担持層32のRh担持量、及び下流側触媒層22の表層部である外Rh担持層41のRh担持量は、いずれも0.5g/Lであった。下流側触媒層22の内Pt担持層42のPt担持量は、2.0g/Lであった。
次に、貴金属担持触媒を、酢酸Baと酢酸Kとを混合してなる混合溶液に浸漬し、引き上げ、余分な溶液を吹き払い、乾燥、焼成することにより、Pt、Rh、Ba、Kが担持された本例の排ガス浄化用触媒を得た。Ba、Kは、ハニカム基材1上の触媒層2の全体に均一に担持され、その担持量は、Baが0.2mol/L、Kが0.15mol/Lであった。
(比較例1)
本比較例の排ガス浄化用触媒は、図3に示すように、貴金属触媒であるPtとRhがハニカム基材1上の触媒層2全体に混在して、触媒層2全体がPt/Rh混合担持層5からなる点が、実施例1と相違する。
以下、本比較例の排ガス浄化用触媒の製造方法について説明する。まず、実施例1のスラリー1の調製段階で調製されたRh担持粉末56.4質量部、アルミナ粉末100.6質量部、セリアジルコニア粉末21.6質量部、ジルコニアチタニア粉末107質量部、アルミナバインダー14.4重量部、及びイオン交換水を混合し、スラリー4とした。
このスラリー4を、実施例1と同様のハニカム基材にウォッシュコートし、乾燥、焼成を行い、均一な厚みの触媒層2を形成した。
続いて、この触媒層2を形成したハニカム基材1全体をジニトロジアミン白金溶液に浸漬して、Ptを吸着担持させた後、乾燥、焼成して貴金属担持触媒を得た。これにより、触媒層2にPtが担持されて、Pt/Rh混合担持層5が形成された。また、Pt/Rh混合担持層5の表面部5a(Pt/Rh混合担持層5の表面から内方に向かって75μmまでの部分)にPtが3.5g/L担持され、Pt/Rh混合担持層5の内部5b(Pt/Rh混合担持層5の内面から外方に向かって75μmまでの部分)にはPtが表層部よりも少ない量の0.5g/Lで担持されて、Pt/Rh混合担持層5のPt平均担持量は2.0g/Lであった。また、Rhは、Pt/Rh混合担持層5に均一に担持されており、Rh担持量は0.5g/Lであった。
更に、貴金属担持触媒を、酢酸Baと酢酸Kとを混合してなる混合溶液に浸漬し、引き上げ、余分な溶液を吹き払い、乾燥、焼成して、Pt、Rh、Ba、Kが担持された本比較例の排ガス浄化用触媒を得た。Ba、Kは、Pt/Rh混合担持層5からなる触媒層2の全体に均一に担持され、その担持量は、Baが0.2mol/L、Kが0.15mol/Lであった。触媒層2の厚みは、実施例1と同様とした。
(比較例2)
本比較例の排ガス浄化用触媒は、図4に示すように、ハニカム基材1の全長にわたって、実施例1の上流側触媒層が形成されている。即ち、ハニカム基材1上には、その全長に亘って、内層としての内Rh担持層32と、表層部としての外Pt担持層31とが形成されている。
以下、本比較例の排ガス浄化用触媒の製造方法について説明する。まず、実施例1と同様のハニカム基材1に、実施例1で調製したスラリー1をウォッシュコートし、乾燥、焼成を行い、内層を形成した。次に、この内層の表面に、実施例1で調製したスラリー2をウォッシュコートし、乾燥、焼成を行い、表層部を形成した。
その後、内層及び表層部を形成したハニカム基材1をジニトロジアミン白金溶液に浸漬して、Ptを吸着担持させた後、乾燥、焼成して貴金属触媒を得た。これにより、Ptは、実施例1と同様に外Pt担持層31の表面部31aが内部31bよりも多く担持されて、外Pt担持層31のPt平均担持量は2.0g/Lであった。また、Rhは、内Rh担持層32に均一に担持されており、Rh担持量は0.5g/Lであった。
更に、貴金属担持触媒を、酢酸Baと酢酸Kとを混合してなる混合溶液に浸漬し、引き上げ、余分な溶液を吹き払い、乾燥、焼成して、Pt、Rh、Ba、Kが担持された本比較例の排ガス浄化用触媒を得た。Ba、Kは、ハニカム基材1上の触媒層2の全体に均一に担持され、その担持量は、Baが0.2mol/L、Kが0.15mol/Lであった。触媒層2、内Rh担持層32及び外Pt担持層31の厚みは、実施例1と同様とした。
(比較例3)
本比較例の排ガス浄化用触媒は、図5に示すように、下流側触媒層22が、貴金属触媒であるPt及びRhが混在したPt/Rh混合担持層5からなる点が、実施例1と相違する。上流側触媒層21は、実施例1と同様に、内層としての内Rh担持層32と、表層部としての外Pt担持層31とからなる。
以下、本比較例の排ガス浄化用触媒の製造方法について説明する。まず、実施例1と同様のハニカム基材1を準備した。ハニカム基材1の上流側触媒層21の上流端部21aから全長L1の4/5の長さL2までの上流部分21bに、実施例1で調製したスラリー1をウォッシュコートし、次いで、ハニカム基材1の下流側触媒層22の下流端部22aから全長L1の1/5の長さL3までの下流部分22bに、比較例1で調製したスラリー4をウォッシュコートし、その後乾燥、焼成した。これにより、ハニカム基材1の表面に、上流側触媒層21の内部層である内Rh担持層32、下流側触媒層22の内部層を形成した。
次に、内部層を形成したハニカム基材1の上流部分21bに、スラリー2をウォッシュコートし、次いで、ハニカム基材の下流部分22bに、再度スラリー4をウォッシュコートし、その後乾燥、焼成した。これにより、ハニカム基材1の表面に形成した内Rh担持層32及び下流側触媒層22の内部層の上に、上流側触媒層21の表層部、及び下流側触媒層22の表層部を形成した。なお、スラリー1、2、4をそれぞれの部分にウォッシュコートするときは、スラリへのハニカム基材の投入量を調節することにより、スラリーのコート部位を制御した。
その後、内部層及び表層部を形成したハニカム基材1の全体をジニトロアミン白金溶液に浸漬して、Ptを吸着担持させた後、乾燥、焼成して、貴金属担持触媒を得た。上流側触媒層21の表層部及び下流側触媒層2には、Pt平均担持量2.0g/LでPtが担持され、それぞれ外Pt担持層31及びPt/Rh混合担持層5が形成された。また、本例の外Pt担持層31及びPt/Rh混合担持層5は、それぞれ実施例1の外Pt担持層31及び比較例1のPt/Rh混合担持層5と同様に、表面部31a、5aが内部31b、5bよりもPt担持量が多くなった。上流側触媒層21の内部層である内Rh担持層32及び下流側触媒層22を構成しているPt/Rh混合担持層5は、いずれも均一な濃度でRhを担持しており、Rh担持量は、0.5g/Lであった。触媒層2、上流側触媒層21の外Pt担持層31及び内Rh担持層32の厚みは、実施例1と同様とした。
(実施例2)
本例の排ガス浄化用触媒においては、図1に示すように、触媒層2のガス流れ方向の全長L1に対する上流側触媒層21の長さL2の比率(L2/L1)が、50%である。即ち、前記全長L2に対する上流側触媒層21の長さL2の比率(L2/L1)は50%であり、下流側触媒層22の長さL3の比率(L3/L1)は50%である。その他は、実施例1と同様である。
(実施例3)
本例の排ガス浄化用触媒においては、図1に示すように、触媒層2の全長L1に対する上流側触媒層21の長さL2の比率(L2/L1)が、20%である。前記全長L2に対する下流側触媒層22の長さL3の比率(L3/L1)は80%である。その他は、実施例1と同様である。
(比較例4)
本比較例の排ガス浄化用触媒においては、触媒層2のガス流れ方向の全長L1に亘って、実施例1の下流側触媒層22が配置されている。即ち、全長L1に対する上流側触媒層21の長さL1の比率(L2/L1)が0%であり、下流側触媒層22の長さL3の比率(L3/L1)が100%である。本比較例の排ガス浄化用触媒を製造するに当たっては、実施例1の下流側触媒層22を形成する方法を用いて、ハニカム基材1の全長L1に亘って、下流側触媒層を構成する内Pt担持層42及び外Rh担持層41を形成する。その他は、実施例1と同様である。
(評価)
前記実施例1〜3及び比較例1〜4の排ガス浄化用触媒について、大気中750℃、5時間焼成することにより耐久試験を行った。
耐久試験後、固定床流通式反応装置を用いて、エンジン排ガスを模擬した反応ガスを導入することにより、触媒性能評価を行った。排ガス浄化用触媒に導入する反応ガスの組成の切換は、リーン雰囲気60秒間の後にリッチ雰囲気5秒間を行った。リーン雰囲気及びリッチ雰囲気の反応ガスの組成を表1に示した。リーン雰囲気の空燃比は、21相当とし、リッチ雰囲気の空燃比は、12相当とした。反応ガスの流量は、リーン雰囲気及びリッチ雰囲気のいずれも、15L/min(SV(空間速度)=25714/h)とした。
触媒性能評価は、実施例1及び比較例1〜3の触媒については、NOx排出量及びHC排出量を測定した。また、実施例1〜3及び比較例2、4については、NOx吸蔵量、リッチ雰囲気でのNOx浄化率及びHC浄化率、並びにリーン雰囲気からリッチ雰囲気までの間のNOx浄化率及びHC浄化率を測定した。
Figure 2009248057
(実験結果1)
図6には耐久後の実施例1及び比較例1〜3の触媒のNOx排出量(NOx)の経時変化を示し、図7には実施例1及び比較例1〜3の触媒のHC排出量(THC)の経時変化を示した。両図において、横軸は、時間(秒)を示し、縦軸は各排出量(ppm)を示した。
図6、図7より知られるように、リーン雰囲気では、実施例1及び比較例2、3ともにNOx、HC排出量が少なく、高い浄化活性を示した。これに対して、比較例1は、NOx、HCのいずれも低い浄化活性であった。これは、図1に示すように、実施例1では、外Pt担持層31、42と内Rh担持層32,41とが分離して配置されているため、PtとRhが同一層に存在していない。また、比較例2についても、図4に示すように、外Pt担持層31と内Rh担持層32とが分離しているため、PtとRhが同一層に存在していない。比較例3については、触媒層2の全長に対する上流側触媒層21の長さ分である4/5(80%)でPtとRhとが分離しているため、触媒中のPtとRhの多くは同一層には存在していない。このため、実施例1及び比較例2、3では、RhによるPtの活性低下が抑制され、NOx吸蔵反応、HC酸化反応を促進させたものと考えられる。したがって、上流側触媒層21では、外Pt担持層31と内Rh担持層32とを分離して配置するとよいことがわかる。
リッチ雰囲気では、実施例1の触媒が、比較例1〜3に比べて、NOx排出量及びHC排出量ともに最も少なかった。比較例1〜3の触媒を比較すると、NOx排出については、PtとRhを表層及び内層に分離させた触媒構成(比較例2)がリッチ雰囲気で最もNOx排出量が多かった。触媒の一部又はすべてにおいてPtとRhとを同一層に担持させた触媒構成(比較例1,3)は、PtとRhとを分離配置した比較例2に比べて、リッチ雰囲気でのNOx浄化に有効であった。一般に、Ptは、リッチ雰囲気でのNOx浄化活性が低い。このため、表層にPtが存在し且つRhが存在していない触媒(比較例2)では、放出されたNOxを十分に浄化できなかったと考えられる。従って、比較例2では、リーン/リッチ雰囲気変動中に放出されるNOx及びリッチ雰囲気で浄化されないNOxが増加したものと考えられる。よって、リッチ雰囲気でのNOx排出に対しては、表層にRhを担持させる方がよいといえる。比較例1では、PtとRhとが同一層に存在しているため、表層にRhが担持されていることになる。ゆえに、比較例1は、他の比較例2,3に比べて、リッチ時のNOx排出量が低くなったものと考えられる。
これに対して、リッチ雰囲気でのHC浄化活性は、NOx浄化活性の序列とは、異なった。即ち、リッチ雰囲気でのHC排出量は、比較例1、比較例2、比較例3、実施例1の順に減少し、この順にHC浄化活性が高くなった。比較例1と比較例2,3及び実施例1とを比較すると、PtとRhとを分離担持している比較例2,3及び実施例1のHC浄化活性が、PtとRhを混在させている比較例1のHC浄化活性よりも高かった。これは、PtとRhとを分離担持することにより、Ptの活性が向上し、リッチ雰囲気でのHC浄化活性が向上したものと考えられる。また、比較例3が比較例2よりもHC浄化活性が高いのは、Pt活性の向上に加えて、下流側触媒層22のPt/Rh混合担持層5のRhによって、HC浄化活性が向上したためである。実施例1が、比較例3に比べてリッチ雰囲気でのHC浄化活性が高いのは、下流側触媒層22のPtとRhとを分離し、リッチ雰囲気でのHC浄化に有効な外Rh担持層41を表層に配置したため、比較例1〜3に比べて、更にHC浄化活性が向上したものと考えられる。
図8には、リーン雰囲気及びリッチ雰囲気を含む時間経過全体での、実施例1及び比較例1〜3の触媒のNOx浄化率及びHC浄化率を示した。図9には、リッチスパイク導入時(リッチ雰囲気)の、実施例1及び比較例1〜3の触媒のNOx浄化率及びHC浄化率を示した。両図より知られるように、実施例1の触媒では、NOx及びHCの浄化活性に優れ、リッチスパイク導入時のNOx及びHCの浄化活性も優れていることがわかる。
(実験結果2)
表2には、実施例1〜3及び比較例2,4の触媒のNOx吸蔵量、リッチ雰囲気でのNOx浄化率及びHC浄化率、並びにリーン及びリッチ雰囲気を含む時間経過全体でのNOx浄化率及びHC浄化率を示した。また、図10には前記触媒のNOx吸蔵量を示し、図11には前記触媒のリッチ雰囲気でのNOx浄化率を示し、図12には前記触媒のリッチ雰囲気でのHC浄化率を示し、図13にはリーン雰囲気からリッチ雰囲気までの間の前記触媒のNOx浄化率を示し、図14にはリーン雰囲気からリッチ雰囲気までの間の前記触媒のHC浄化率を示した。これらの図は、前記触媒の上流側触媒層の長さL2の比率(L2/L1)の短い順に並べて、X軸にはその比率(L2/L1)を示し、縦軸には、各成分の浄化率(%)を示した。
Figure 2009248057
表2及び図10より、上流側触媒層21の表層の外Pt担持層31の長さの比率(L2/L1)が20%を超えると増加し始めて、40%更には50%以上である場合には、NOx吸蔵量が、上昇することがわかる。リーン雰囲気で上流側触媒層21の表層の外Pt担持層31では、排ガス中のNOが酸化されてNOxが生成する。このNOxは、上流側触媒層21に担持されているNOx吸蔵材によってNOxが吸蔵される。このため、NOx吸蔵には、上流側触媒層21の容量が大きい方が有利であると考えられる。
表2及び図11より、リッチ雰囲気でのNOx浄化活性については、上流側触媒層21の長さL2の前記比率(L2/L1)が10〜80%の場合に、前記比率(L2/L1)が10%未満又は80%を超える場合に比べて、若干高くなった。このことは、上流側触媒層21のPtの活性は重要ではなく、下流側触媒層22の表層にRhが存在することで、リッチ雰囲気でのNOx浄化活性は十分発揮できたものと考えられる。また、表層の外Rh担持層41は、触媒層2の全長L1の一部に存在すればよく、その長さL3に応じてリッチ雰囲気NOx浄化率が増加するものでもない。従って、リッチ雰囲気下でのNOx浄化活性はRh量感度は小さいと考える。ゆえに、下流側触媒層22の外Rh担持層41の長さL3の比率(L3/L1)は、60%以下、即ち上流側触媒層22の長さL2の比率(L2/L1)が40%以上であれば、十分にリッチ雰囲気NOx浄化率を維持することができる。
表2及び図12より、リッチ雰囲気でのHC浄化活性については、上流側触媒層21の長さL2の比率(L2/L1)が10〜90%、更には20〜80%である場合に、前記比率(L2/L1)が10%未満又は90%を超える場合よりも、高くなった。特に、前記比率が100%である場合には、格段にHC浄化活性が低下した。このことから、リッチ雰囲気下では、上流側触媒層21の表層のPtの活性が高いこと、及び下流側触媒層22の表層のRhがコート層の一部に存在することが重要であることがわかる。また、Rhは、触媒層2の表層の一部に存在すればよく、Rh量のHC浄化活性への影響は小さいと考える。
表2及び図13より、リーン雰囲気からリッチ雰囲気までの間のNOx浄化活性については、上流側触媒層の前記比率(L2/L1)が40〜90%、更には50〜80%である場合に、40%未満又は90%を超える場合に比べて、高くなった。NOx浄化率は、NOx吸蔵性能とリッチ雰囲気でのNOx浄化活性との双方がよいときに高くなる。このため、吸蔵性能に優れる上流側触媒層21の前記比率(L2/L1)が50%以上の領域と、リッチ雰囲気でのNOx浄化活性が高い上流側触媒層21の前記比率(L2/L1)が10〜90%の領域との重複する領域部分の触媒が好ましいことがわかる。即ち、この重複部分である前記比率(L2/L1)が10〜90%、更に好ましくは20〜80%である場合には、NOx浄化活性が向上することがわかる。
表2及び図14より、リーン雰囲気からリッチ雰囲気までの間のHC浄化活性については、上流側触媒層の前記比率(L2/L1)が10〜90%である場合に、10%未満又は90%を超える場合に比べて、高くなった。リーン雰囲気からリッチ雰囲気までの間のHC浄化率は、リッチ雰囲気のHC浄化活性がほぼ100%占めるため、リッチ雰囲気のHC浄化活性と同じ傾向になった。
以上のように、上流側触媒層の長さL2の全長L1に対する比率(L2/L1)が、40〜90%である場合、さらには好ましくは50〜80%である場合に、リッチスパイク時におけるHC浄化活性が高いとともに、NOxの浄化活性にも優れることがわかった。
本発明の実施例1〜3に係る排ガス浄化用触媒の上流部分の長手方向断面図である。 実施例1に係る排ガス浄化用触媒の径方向断面図である。 比較例1に係る排ガス浄化用触媒の長手方向断面図である。 比較例2に係る排ガス浄化用触媒の長手方向断面図である。 比較例3に係る排ガス浄化用触媒の長手方向断面図である。 実施例1及び比較例1〜3の触媒のNOx排出量(NOx)の経時変化を示す線グラフである。 実施例1及び比較例1〜3の触媒のHC排出量(THC)の経時変化を示す線グラフである。 リーン雰囲気からリッチ雰囲気までの間の、実施例1及び比較例1〜3の触媒のNOx浄化率及びHC浄化率を示す棒グラフである。 リッチスパイク導入時(リッチ雰囲気)の、実施例1及び比較例1〜3の触媒のNOx浄化率及びHC浄化率を示す棒グラフである。 実施例1〜3及び比較例2,4の触媒のNOx吸蔵量を示す線グラフである。 実施例1〜3及び比較例2,4の触媒のリッチ雰囲気でのNOx浄化率を示す線グラフである。 実施例1〜3及び比較例2,4の触媒のリッチ雰囲気でのHC浄化率を示す線グラフである。 リーン雰囲気からリッチ雰囲気までの間の、実施例1〜3及び比較例2,4の触媒のNOx浄化率を示す線グラフである。 リーン雰囲気からリッチ雰囲気までの間の、実施例1〜3及び比較例2,4の触媒のHC浄化率を示す線グラフである。
符号の説明
1:ハニカム基材、2:触媒層、5:Pt/Rh混合担持層、10:ガス流路、15:流路壁、21:上流側触媒層、22:下流側触媒層、31:外Pt担持層、32:内Rh担持層、41:外Rh担持層、42:内Pt担持層(内触媒担持層)。

Claims (6)

  1. 排ガスが流通するガス流路を形成する流路壁の上流側に形成された上流側触媒層と、前記流路壁の前記上流側触媒層よりも下流側に形成された下流側触媒層と、をもつ排ガス浄化用触媒であって、
    前記上流側触媒層及び前記下流側触媒層の少なくとも一方は、NOx吸蔵材を担持しているとともに、
    前記上流側触媒層は、表層部にPtを担持する外Pt担持層と、該外Pt担持層よりも内部側に配置されRhを担持する内Rh担持層とからなり、
    前記下流側触媒層は、表層部にRhを担持してなる外Rh担持層をもつことを特徴とする排ガス浄化用触媒。
  2. 前記上流側触媒層及び前記下流側触媒層の全体は、前記NOx吸蔵材を含むことを特徴とする請求項1記載の排ガス浄化用触媒。
  3. 前記下流側触媒層は、前記外Rh担持層よりも内部側に、貴金属触媒及び前記NOx吸蔵材を担持してなる内触媒担持層を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の排ガス浄化用触媒。
  4. 前記上流側触媒層の長さ及び前記下流側触媒層の長さを合わせた合計長さに対する前記上流側触媒層の長さの比率は、40〜90%であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の排ガス浄化用触媒。
  5. 前記流路壁は、表面に前記上流側触媒層及び前記下流側触媒層が形成された基材であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の排ガス浄化用触媒。
  6. 前記流路壁は、表面に前記上流側触媒層が形成された上流側基材と、表面に前記下流側触媒層が形成された下流側基材とから構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の排ガス浄化用触媒。
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