JP2009244420A - 平版印刷版の作製方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】非画像部に感光層の残存がない良好な現像性を示し、しかも、非画像部に汚れがなく画像部にムラのない良好な印刷物を供することができ、さらに、現像かすの発生が少なく処理性に優れ、耐刷性に優れた平版印刷版の作製方法を提供する。
【解決手段】親水性支持体上に、(A)350〜450nmに吸収極大を有する特定の増感色素、(B)重合開始剤、(C)重合性化合物、(D)バインダーポリマーを含有する感光層と、保護層とをこの順に有する平版印刷版原版を、350〜450nmのレーザー露光した後、自動処理機により、炭酸イオン、炭酸水素イオン、界面活性剤及び水溶性高分子化合物を含有するpHが9〜11の現像液の存在下、保護層および非露光部の感光層を除去することを特徴とする平版印刷版の作製方法。
【選択図】なし

Description

本発明は平版印刷版の作製方法に関する。
一般に、平版印刷版は、印刷過程でインキを受容する親油性の画像部と、湿し水を受容する親水性の非画像部とからなる。平版印刷は、水と印刷インキが互いに反発する性質を利用して、平版印刷版の親油性の画像部をインキ受容部、親水性の非画像部を湿し水受容部(インキ非受容部)として、平版印刷版の表面にインキの付着性の差異を生じさせ、画像部のみにインキを着肉させた後、紙などの被印刷体にインキを転写して印刷する方法である。
この平版印刷版を作製するため、従来、親水性の支持体上に親油性の感光性樹脂層(感光層、画像記録層)を設けてなる平版印刷版原版(PS版)が広く用いられている。通常は、平版印刷版原版を、リスフィルムなどの原画を通した露光を行った後、画像記録層の画像部となる部分を残存させ、それ以外の不要な画像記録層をアルカリ性現像液または有機溶剤によって溶解除去し、親水性の支持体表面を露出させて非画像部を形成する方法により製版を行って、平版印刷版を得ている。
このように従来の平版印刷版原版の製版工程においては、露光の後、不要な画像記録層を現像液などによって溶解除去する工程が必要であるが、環境および安全上、より中性域に近い現像液での処理や少ない廃液が課題として挙げられている。特に、近年、地球環境への配慮から湿式処理に伴って排出される廃液の処分が産業界全体の大きな関心事となっており、上記課題の解決の要請は一層強くなってきている。
一方、近年、画像情報をコンピュータで電子的に処理し、蓄積し、出力する、デジタル化技術が広く普及してきており、このようなデジタル化技術に対応した新しい画像出力方式が種々実用されるようになってきている。これに伴い、レーザー光のような高収斂性の輻射線にデジタル化された画像情報を担持させて、その光で平版印刷版原版を走査露光し、リスフィルムを介することなく、直接平版印刷版を製造するコンピュータ・トゥ・プレート(CTP)技術が注目されてきている。従って、このような技術に適応した平版印刷版原版を得ることが重要な技術課題の一つとなっている。
上述のように、現像液の低アルカリ化、処理工程の簡素化は、地球環境への配慮と省スペース、低ランニングコストへの適合化との両面から、従来にも増して強く望まれるようになってきている。しかし前述のように、従来の現像処理工程はpH11以上のアルカリ水溶液で現像した後、水洗浴にてアルカリ剤を流し、その後、親水性樹脂を主とするガム液で処理するという3つの工程からなっており、そのため自動現像機自体も大きくスペースを取ってしまい、さらに現像廃液、水洗廃液、ガム廃液処理の問題等、環境およびランニングコスト面での課題を残している。
これに対して、例えば、特許文献1には、アルカリ金属の炭酸塩及び炭酸水素塩を有するpH8.5〜11.5、導電率3〜30mS/cmの現像液で処理する現像方法が提案されているが、水洗及びガム液処理工程を必要としており、環境およびランニングコスト面の課題解決には至らない。
また、特許文献2の実施例にはpH11.9〜12.1の水溶性高分子化合物を含有する処理液による処理が記載されている。しかしながら、この処理により得られた印刷版は、pH12のアルカリが版面に付着したままの状態であり、作業者に対して安全面で問題がある上に、印刷版作成後に印刷までの経時が長くなると画像部が次第に溶解して耐刷性
や着肉性の低下を招く。特許文献3にはpH3〜9の水溶性高分子化合物を含有する処理液による処理が記載されている。しかし、この処理液は塩基成分を含まないため、感光層のポリマーを親水性にして現像可能とする必要があり、耐刷性が著しく低下するという問題がある。
なお、従来の現像処理では、強アルカリ水溶液で現像した後、水洗浴にてアルカリ剤を流し、その後、親水性樹脂を主とするガム液で処理するという3つの工程を有し、自動現像機のサイズが大きく、廃液が多い、ランニングコスト高いものとなっていた。
特開平11−65126号公報 欧州特許出願公開第1868036号明細書 特表2007−538279号公報
本発明の目的は、非画像部に感光層の残存がない良好な現像性を示し、しかも、非画像部に汚れがなく画像部にムラのない良好な印刷物を供することができ、さらに、現像かすの発生が少なく処理性に優れ、耐刷性に優れた平版印刷版の作製方法を提供することである。
上記課題は下記の構成により解決された。
<1> 親水性支持体上に、(A)下記一般式(I)で表される350〜450nmに吸収極大を有する増感色素、(B)重合開始剤、(C)重合性化合物、(D)バインダーポリマーを含有する感光層と、保護層とをこの順に有する平版印刷版原版を、350〜450nmのレーザー露光した後、自動処理機により、炭酸イオン、炭酸水素イオン、界面活性剤及び水溶性高分子化合物を含有するpHが9〜11の現像液の存在下、保護層および非露光部の感光層を除去することを特徴とする平版印刷版の作製方法。
ここで、R1、R2およびR3は、各々独立に、ハロゲン原子、置換基を有してもよいア
ルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアラルキル基、−NR45基または−OR6基を表し、R4、R5およびR6は、各々独立に、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基または置換基を有してもよいアラルキル基を表し、k、mおよびnは、0または1〜5の整数を表す。
<2> 前記感光層に含有される(D)バインダーポリマーが、酸価10〜250mg−KOH/gであることを特徴とする上記<1>に記載の平版印刷版の作製方法。
<3> 前記感光層に含有される(D)バインダーポリマーの質量に対する(C)重合性化合物の質量の比が、2〜4であることを特徴とする上記<1>または<2>に記載の平
版印刷版の作製方法。
<4> 前記保護層が、1種もしくはそれ以上のポリビニルアルコールを含有し、含有される全てのポリビニルアルコールの平均鹸化度が70モル%〜93モル%の範囲であることを特徴とする上記<1>〜<3>のいずれか1項に記載の平版印刷版の作製方法。
<5> 前記保護層が、少なくとも1種の酸変性ポリビニルアルコールを含有することを特徴とする上記<1>〜<4>のいずれか1項に記載の平版印刷版の作製方法。
<6> 前記平版印刷版原版が、支持体と感光層の間に、さらに、下塗り層を有する平版印刷版原版であって、前記下塗り層が、エチレン性不飽和結合基、支持体表面に相互作用する官能基および親水性基を有する化合物を含有することを特徴とする上記<1>〜<5>のいずれか1項に記載の平版印刷版の作製方法。
<7> 前記平版印刷版原版をレーザー露光した後、水洗工程を経ることなく、前記現像液存在下、非露光部の感光層の除去とガム引き処理を1液で行うことを特徴とする上記<1>〜<6>のいずれか1項に記載の平版印刷版の作製方法。
<8> 前記平版印刷版原版をレーザー露光した後、水洗工程を経ることなく、前記現像液存在下、保護層及び非露光部の感光層の除去とガム引き処理を1液で行うことを特徴とする上記<1>〜<7>のいずれか1項に記載の平版印刷版の作製方法。
<9> 前記現像液のpHが、9.3〜10.5であることを特徴とする上記<1>〜<8>のいずれか一項に記載の平版印刷版の作製方法。
本発明の平版印刷版の作製方法は、良好な現像性とともに、現像かすの発生が少なく処理性に優れた方法であり、さらにこの方法により、非画像部に汚れがなく画像部にムラのない良好な印刷物を供することができ、耐刷性に優れる平版印刷版を提供することができる。
〔平版印刷版原版〕
本発明に用いる、支持体上に感光層を有する平版印刷版原版について説明する。
<感光層>
本発明の感光層は、(A)一般式(I)で表される350〜450nmの波長域に極大吸収を有する増感色素、(B)重合開始剤、(C)重合性化合物、(D)バインダーポリマーを含有する。感光層は、必要に応じて、さらにその他の成分を含有することができる。
以下、感光層の構成成分について詳細に説明する。
(A)増感色素
本発明の感光層が含有する350〜450nmの波長域に極大吸収を有する増感色素は、以下の一般式(I)で表される化合物である。
ここで、R1、R2およびR3は、各々独立に、ハロゲン原子、置換基を有してもよいア
ルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアラルキル基、−NR45基または−OR6基を表し、R4、R5およびR6は、各々独立に、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基または置換基を有してもよいアラルキル基を表し、k、mおよびnは、0または1〜5の整数を表す。
1、R2およびR3の少なくとも一つが置換基を有してもよいアルキル基である場合の
置換基としては、CN、NO2、NR’2、COOR’およびOR’が挙げられる。R’は水素原子またはアルキル基を表す。
好ましくは、R1、R2およびR3は、各々独立に、ハロゲン原子、C1〜C8のアルキル
基および−NR45基から選ばれるものであり、R4およびR5は、好ましくは水素原子およびC1〜C6のアルキル基から各々独立に選ばれるものである。k、mおよびnは、好ましくは、各々独立に0または1である。
なかでも、一般式(I)の、R1、R2およびR3の少なくとも一つが−NR45基であ
り、R4およびR5が、好ましくは水素原子およびC1〜C6のアルキル基から各々独立に選ばれるものであり、最も好ましいのは、R4=R5=C1〜C6のアルキル基であるオキサゾール化合物が、特に好ましい。
本発明で用いられるオキサゾール化合物は、公知の方法で合成できる。例えば、独国特許出願公開第1120875号明細書、欧州特許出願公開第129059号明細書に記載の方法で、出発物質を変更して合成できる。
これらの増感色素のどの構造を用いるか、単独で使用するか2種以上併用するか、添加量はどうか、といった使用法の詳細は、最終的な感材の性能設計にあわせて適宜設定できる。
例えば、増感色素を2種以上併用することで、感光層を構成する組成物中での相溶性を高めることができる。増感色素の選択は、感光性の他、使用する光源の発光波長でのモル吸光係数が重要な因子である。モル吸光係数の大きな色素を使用する事により、色素の添加量は比較的少なくできるので、経済的であり、かつ平版印刷版原版に用いた場合、その感光層の膜物性の点からも有利である。該感光層の感光性、解像度や、露光膜の物性は光源波長での吸光度に大きな影響を受けるので、これらを考慮して増感色素の添加量を適宜選択する。
但し、例えば5μm以上の厚い膜を硬化せしめる目的に対しては、低い吸光度の方がかえって硬化度をあげられる場合もある。比較的薄い膜厚で使用する平版印刷版としての使用に際しては、増感色素の添加量は、本発明の感光層の吸光度が0.1から1.5の範囲、好ましくは0.25から1の範囲となるように設定するのが好ましい。通常、感光層の全固形分100質量部に対し、好ましくは0.05〜30質量部、更に好ましくは0.1
〜20質量部、最も好ましくは0.2〜10質量部の範囲である。
(B)重合開始剤
本発明に使用される重合開始剤としては、トリハロメチル化合物、カルボニル化合物、有機過酸化物、アゾ化合物、アジド化合物、メタロセン化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、有機ホウ素化合物、ジスルホン化合物、オキシムエステル化合物、オニウム塩化合物が挙げられる。なかでも、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、オニウム塩化合物、トリハロメチル化合物およびメタロセン化合物からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、特にヘキサアリールビイミダゾール化合物が好ましい。
ヘキサアリールビイミダゾール化合物としては、特公昭45−37377号、特公昭44−86516号の各公報記載のロフィンダイマー類、例えば2,2′−ビス(o−クロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(o−ブロモフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(o,p−ジクロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(o−クロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラ(m−メトキシフェニル)ビイミダゾール、2,2′−ビス(o,o′−ジクロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(o−ニトロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(o−メチルフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(o−トリフルオロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール等が挙げられる。
トリハロメチル化合物としてはトリハロメチル-s-トリアジンが好ましく、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−メトキシ−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−アミノ−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(P−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン等の特開昭58−29803号記載のトリハロゲン置換メチル基を有するs−トリアジン誘導体等が挙げられる。
オニウム塩化合物としては、下記一般式(III)で表されるオニウム塩が挙げられる。
一般式(III)中、R11、R12およびR13は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、
置換基を有していてもよい炭素原子数20個以下の炭化水素基を示す。好ましい置換基としては、ハロゲン原子、ニトロ基、炭素原子数12個以下のアルキル基、炭素原子数12個以下のアルコキシ基、または炭素原子数12個以下のアリールオキシ基が挙げられる。
-はハロゲンイオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフル
オロホスフェートイオン、カルボキシレートイオン、およびスルホン酸イオンからなる群より選択される対イオンを表し、好ましくは、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、カルボキシレートイオン、またはアリールスルホン酸イオンである。
メタロセン化合物としては、例えば、特開昭59−152396号、特開昭61−151197号各公報に記載されている公知の化合物を適宜に選択して用いることができる。
具体的には、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ジ−クロライド、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−フェニル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4,6−トリフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,6−ジフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4−ジフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4−ジフルオロフェニ−1−イル、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス[2,6−ジフルオロ−3−(ピリ−1−イル)フェニル]チタニウム等を挙げることができる。
カルボニル化合物としては、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、2−メチルベンゾフェノン、3−メチルベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、4−ブロモベンゾフェノン、2−カルボキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン誘導体、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、α−ヒドトキシ−2−メチルフェニルプロパノン、1−ヒドロキシ−1−メチルエチル−(p−イソプロピルフェニル)ケトン、1−ヒドロキシ−1−(p−ドデシルフェニル)ケトン、2−メチルー(4'−(
メチルチオ)フェニル)−2−モルホリノ−1−プロパノン、1,1,1−トリクロロメチル−(p−ブチルフェニル)ケトン等のアセトフェノン誘導体、チオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン誘導体、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジエチルアミノ安息香酸エチル等の安息香酸エステル誘導体等を挙げることができる。
オキシムエステル化合物としては、J.C.S. Perkin II (1979 )1653-1660)、J.C.S.Perkin II (1979)156-162、Journal of Photopolymer Science and Technology(1995)202-232、特開2000−66385号公報記載の化合物、特開2000−80068号公報記載の化合物が挙げられる。
本発明における重合開始剤は単独もしくは2種以上の併用によって好適に用いられる。
本発明における感光層中の重合開始剤の使用量は感光層全固形分に対し、好ましくは0.01〜20質量%、より好ましくは0.1〜15質量%である。さらに好ましくは1.0質量%〜10質量%である。
(C)重合性化合物
本発明における感光層に用いる重合性化合物(以下、単に重合性化合物とも称する)は、少なくとも一個のエチレン性不飽和二重結合を有する付加重合性化合物であり、末端エチレン性不飽和結合基を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物から選ばれる。このような化合物群は当該産業分野において広く知られるものであり、本発明においてはこれらを特に限定無く用いることができる。これらは、例えばモノマー、プレポリマー、すなわち2量体、3量体およびオリゴマー、またはそれらの共重合体ならびにそれらの混合物などの化学的形態をもつ。モノマーの例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)や、そのエステル類、アミド類が挙げられ、好ましくは、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド類が用いられる。また、ヒドロキシル基やアミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と単官能もしくは多官能イソシアネート類或いはエポキシ類との付加反応物、および単官能もしくは、多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。また、イソシアネート基や、エポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と単官能もしくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との付加反応物、更にハロゲン基や、トシルオキシ基等の脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と単官能もしくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との置換反応物も好適である。また、別の例として、上記の不飽和カルボン酸の代わりに、不飽和ホスホン酸、スチレン、ビニルエーテル等に置き換えた化合物群を使用することも可能である。
脂肪族多価アルコール化合物と不飽和カルボン酸とのエステルのモノマーの具体例としては、アクリル酸エステルとして、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、テトラメチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリメチロールエタントリアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ソルビトールトリアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、ソルビトールペンタアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、イソシアヌール酸エチレンオキシド(EO)変性トリアクリレート、ポリエステルアクリレートオリゴマー等がある。
メタクリル酸エステルとしては、テトラメチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ソルビトールトリメタクリレート、ソルビトールテトラメタクリレート、ビス〔p−(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕ジメチルメタン、ビス−〔p−(メタクリルオキシエトキシ)フェニル〕ジメチルメタン等がある。
イタコン酸エステルとしては、エチレングリコールジイタコネート、プロピレングリコールジイタコネート、1,3−ブタンジオールジイタコネート、1,4−ブタンジオールジイタコネート、テトラメチレングリコールジイタコネート、ペンタエリスリトールジイタコネート、ソルビトールテトライタコネート等がある。クロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジクロトネート、テトラメチレングリコールジクロトネート、ペンタエリスリトールジクロトネート、ソルビトールテトラジクロトネート等がある。イソクロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジイソクロトネート、ペンタエリスリトールジイソクロトネート、ソルビトールテトライソクロトネート等がある。マレイン酸エステルとしては、エチレングリコールジマレート、トリエチレングリコールジマレート、ペンタエリスリトールジマレート、ソルビトールテトラマレート等がある。
その他のエステルの例として、例えば、特公昭51−47334号、特開昭57−196231号の各公報に記載の脂肪族アルコール系エステル類や、特開昭59−5240号、特開昭59−5241号、特開平2−226149号の各公報に記載の芳香族系骨格を有するもの、特開平1−165613号公報記載のアミノ基を含有するもの等も好適に用いられる。更に、前述のエステルモノマーは混合物としても使用することができる。
また、脂肪族多価アミン化合物と不飽和カルボン酸とのアミドのモノマーの具体例としては、メチレンビス−アクリルアミド、メチレンビス−メタクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−アクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−メタクリルアミド、ジエチレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレンビスアクリルアミド、キシリレンビスメタクリルアミド等がある。その他の好ましいアミド系モノマーの例としては、特公昭54−21726号公報記載のシクロへキシレン構造を有すものを挙げることができる。
また、イソシアネートと水酸基の付加反応を用いて製造されるウレタン系付加重合性化合物も好適であり、そのような具体例としては、例えば、特公昭48−41708号公報に記載されている1分子に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物に、下記一般式(A)で示される水酸基を含有するビニルモノマーを付加させた1分子中に2個以上の重合性ビニル基を含有するビニルウレタン化合物等が挙げられる。
CH2=C(R4)COOCH2CH(R5)OH (A)
(ただし、R4およびR5は、HまたはCH3を示す。)
また、特開昭51−37193号公報、特公平2−32293号公報、特公平2−16765号公報に記載されているようなウレタンアクリレート類や、特公昭58−49860号公報、特公昭56−17654号公報、特公昭62−39417号公報、特公昭62−39418号公報記載のエチレンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物類も好適である。更に、特開昭63−277653号公報、特開昭63−260909号公報、特開平1−105238号公報に記載される、分子内にアミノ構造やスルフィド構造を有する付加重合性化合物類を用いることによっては、非常に感光スピードに優れた光重合性組成物を得ることができる。
その他の例としては、特開昭48−64183号、特公昭49−43191号、特公昭52−30490号、各公報に記載されているようなポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸を反応させたエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレートやメタクリレートを挙げることができる。また、特公昭46−43946号、特公平1−40337号、特公平1−40336号各公報に記載の特定の不飽和化合物や、特開平2−25493号公報記載のビニルホスホン酸系化合物等も挙げることができる。また、ある場合には、特開昭61−22048号公報記載のペルフルオロアルキル基を含有する構造が好適に使用される。更に日本接着協会誌vol.20、No.7、300〜308ページ(1984年)に光硬化性モノマーおよびオリゴマーとして紹介されているものも使用することができる。
これらの重合性化合物について、その構造、単独使用か併用か、添加量等の使用方法の詳細は、最終的な平版印刷版原版の性能設計にあわせて任意に設定できる。例えば、次のような観点から選択される。
感度の点では1分子あたりの不飽和基含量が多い構造が好ましく、多くの場合、2官能以上が好ましい。また、画像部すなわち硬化膜の強度を高くするためには、3官能以上のものがよく、更に、異なる官能数・異なる重合性基(例えばアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン系化合物、ビニルエーテル系化合物)のものを併用することで
、感度と強度の両方を調節する方法も有効である。
また、感光層中の他の成分(例えばバインダーポリマー、重合開始剤、着色剤等)との相溶性、分散性に対しても、重合性化合物の選択・使用法は重要な要因であり、例えば、低純度化合物の使用や、2種以上の併用により相溶性を向上させうることがある。また、支持体や後述の保護層等との密着性を向上せしめる目的で特定の構造を選択することもあり得る。
重合性化合物は、感光層の全固形分に対して、好ましくは5〜80質量%、更に好ましくは25〜75質量%の範囲で使用される。また、重合性化合物は単独で用いても2種以上併用してもよい。そのほか、重合性化合物の使用法は、酸素に対する重合阻害の大小、解像度、かぶり性、屈折率変化、表面粘着性等の観点から適切な構造、配合、添加量を任意に選択でき、更に場合によっては下塗り、上塗りといった層構成・塗布方法も実施しうる。
(D)バインダーポリマー
本発明の感光層に用いられるバインダーポリマーは、後で詳しく説明する式(1)又は(2)で表される界面活性剤を含有し、pHが9〜11の現像液により、非画像部において除去されるポリマーである。具体的には、酸価10〜250mg−KOH/gを有するポリマー(態様1)、脂肪族水酸基又は芳香族水酸基を有するポリマー(態様2)、あるいは、ビニルカプロラクタム、ビニルピロリドン及びアルキル化ビニルピロリドンの群から選ばれる少なくともひとつのモノマー単位を含有するポリマー(態様3)が用いられる。
本発明においては、酸価10〜250mg−KOH/gを有するポリマー(態様1)が最も好ましい態様である。
有用なバインダーの例を挙げれば、以下のようなものがある:塩素化ポリアルキレン(特に、塩素化ポリエチレンおよび塩素化ポリプロピレン)、ポリ(メタ)クリル酸アルキルエステルまたはアルケニルエステル(特にポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチル(メタ)アクリレート、ポリブチル(メタ)アクリレート、ポリイソブチル(メタ)アクリレート、ポリヘキシル(メタ)アクリレート、ポリ(2−エチルヘキシル)(メタ)アクリレートおよび(メタ)アクリル酸アルキルエステルまたはアルケニルエステルと、他の共重合性モノマー(特に(メタ)アクリロニトリル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、スチレンおよび/またはブタジエン)との間のアルキル(メタ)アクリレートコポリマー、ポリ塩化ビニル(PVC、塩化ビニル/(メタ)アクリロニトリルコポリマー)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、塩化ビニリデン/(メタ)アクリロニトリルコポリマー、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドンまたはアルキル化ビニルピロリドンのコポリマー、ポリビニルカプロラクタム、ビニルカプロラクタムのコポリマー、ポリ(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリロニトリル/スチレンコポリマー、(メタ)アクリルアミド/アルキル(メタ)アクリレートコポリマー、(メタ)アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン(ABS)ターポリマー、ポリスチレン、ポリ(α−メチルスチレン)、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエステル、メチルセルロース、エチルセルロース、アセチルセルロース、ヒドロキシ−(C〜C−アルキル)セルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルホルマールならびにポリビニルブチラール。
特に好ましいバインダーは、モノマー単位としてビニルカプロラクタム、ビニルピロリドンまたはアルキル化ビニルピロリドンを有するポリマーである。アルキル化ビニルピロリドンポリマーは、ビニルピロリドンポリマー骨格にアルファ−オレフィンをグラフトさせることにより得ることができる。そのような反応生成物の典型的な例が、アイ・エス・ピー(ISP)から市販されている、アグリマー・AL・グラフト(Agrimer A
L Graft)ポリマーである。アルキル化基の長さは、C〜C30の範囲で変化させることができる。
その他の有用なバインダーとしては、カルボキシル基を含むバインダー、特にα,β−不飽和カルボン酸モノマー単位、またはα,β−不飽和ジカルボン酸モノマー単位(好ましくは、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ビニル酢酸、マレイン酸またはイタコン酸)を含むコポリマーが挙げられる。
本発明においては、「コポリマー」という用語は、少なくとも2種の異なったモノマーの単位を含むもので、従ってターポリマーおよびさらに高次の混合ポリマーも含んでいる。
有用なコポリマーの具体例としては、(メタ)アクリル酸の単位およびアルキル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレートおよび/または(メタ)アクリロニトリルの単位を含むコポリマー、さらにはクロトン酸の単位およびアルキル(メタ)アクリレートおよび/または(メタ)アクリロニトリルの単位を含むコポリマー、ならびにビニル酢酸/アルキル(メタ)アクリレートコポリマーなどが挙げられる。無水マレイン酸またはマレイン酸モノアルキルエステルの単位を含むコポリマーもまた適している。それらの中には、たとえば、無水マレイン酸およびスチレン、不飽和エーテルもしくエステル、または不飽和脂肪族炭化水素の単位を含むコポリマー、ならびにそのようなコポリマーから得られるエステル化反応生成物も含まれる。
さらに、ヒドロキシル含有ポリマーを分子内ジカルボン酸無水物を用いて転化させることにより得られる反応生成物もまた、好適なバインダーである。さらに、酸の水素原子を有する基が存在していて、その一部または全部が、活性化されたイソシアネートにより転化されているようなポリマーもまた、バインダーとして有用である。そのようなポリマーには、脂肪族もしくは芳香族スルホニルイソシアネートまたはホスフィン酸イソシアネートを用いてヒドロキシル含有ポリマーを転化させることにより得られる反応生成物もまた含まれる。
脂肪族もしくは芳香族ヒドロキシル基を有するポリマー、たとえば、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アリルアルコール、ヒドロキシスチレンまたはビニルアルコール単位を含むコポリマー、さらにはエポキシ樹脂(充分な数の遊離のOH基を有していなければならない)もまた、好適である。特に有用なバインダーおよび特に有用な反応性バインダーは、欧州特許第1,369,232号明細書、欧州特許第1,369,231号明細書、欧州特許第1,341,040号明細書、米国特許出願公開第2003/0124460号明細書、欧州特許第1,241,002号明細書、欧州特許第1,288,720号明細書、米国特許第6,027,857号明細書、米国特許第6,171,735号明細書および米国特許第6,420,089号明細書に開示されている。
さらに具体的に好適なバインダーとして、好ましくは10〜98モル%、より好ましくは35〜95モル%の間、最も好ましくは40〜75モル%の間の量のビニルアルコールを含む、酢酸ビニルとビニルアルコールとのコポリマーが挙げられ、50〜65モル%のビニルアルコールを用いたときに、最適な結果が得られる。DIN 53 401に定義された方法により測定した、酢酸ビニルとビニルアルコールとのコポリマーのエステル価は、好ましくは25〜700mgKOH/gの間、より好ましくは50〜500mgKOH/gの間、最も好ましくは100〜300mgKOH/gの間である。酢酸ビニルとビニルアルコールとのコポリマーの粘度は、DIN 53 015の定義に従って20℃で4質量%水溶液について測定し、その粘度範囲は、好ましくは3〜60mPa・sの間、より好ましくは4〜30mPa・sの間、最も好ましくは5〜25mPa・sの間である。酢酸ビニルとビニルアルコールとのコポリマーの平均分子量Mは、好ましくは5,0
00〜500,000g/モルの間、より好ましくは10,000〜400,000g/モルの間、最も好ましくは15,000〜250,000g/モルの間である。
さらに、バインダーポリマーは、画像部の皮膜強度を向上するために、架橋性をもたせることができる。
バインダーポリマーに架橋性を持たせるためには、エチレン性不飽和結合等の架橋性官能基を高分子の主鎖中または側鎖中に導入すればよい。架橋性官能基は、共重合により導入してもよいし、高分子反応によって導入してもよい。
ここで架橋性基とは、平版印刷版原版を露光した際に感光層中で起こるラジカル重合反応の過程で高分子バインダーを架橋させる基のことである。このような機能の基であれば特に限定されないが、例えば、付加重合反応し得る官能基としてエチレン性不飽和結合基、アミノ基、エポキシ基等が挙げられる。また光照射によりラジカルになり得る官能基であってもよく、そのような架橋性基としては、例えば、チオール基、ハロゲン基、オニウム塩構造等が挙げられる。なかでも、エチレン性不飽和結合基が好ましく、下記一般式(1)〜(3)で表される官能基が特に好ましい。
上記一般式(1)において、Rl〜R3はそれぞれ独立に、1価の有機基を表すが、R1としては、好ましくは、水素原子または置換基を有してもよいアルキル基などが挙げられ、なかでも、水素原子、メチル基がラジカル反応性が高いことから好ましい。また、R2、R3は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、カルボキシル基、アル
コキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルアミノ基、置換基を有してもよいアリールアミノ基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基、置換基を有してもよいアリールスルホニル基などが挙げられ、なかでも、水素原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基がラジカル反応性が高いことから好ましい。
Xは、酸素原子、硫黄原子、またはN(R12)−を表し、R12は、水素原子、または1価の有機基を表す。ここで、R12は、置換基を有してもよいアルキル基などが挙げられ、なかでも、水素原子、メチル基、エチル基、イソプロピル基がラジカル反応性が高いことから好ましい。
ここで、導入し得る置換基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルコキシ基、アリーロキシ基、ハロゲン原子、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、アミド基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基などが挙げられる。
上記一般式(2)において、R4〜R8は、それぞれ独立に1価の有機基を表すが、R4
〜R8は、好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、ジアルキルアミノ基、カル
ボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルアミノ基、置換基を有してもよいアリールアミノ基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基、置換基を有してもよいアリールスルホニル基などが挙げられ、なかでも、水素原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基が好ましい。
導入し得る置換基としては、一般式(1)と同様のものが例示される。また、Yは、酸素原子、硫黄原子、またはN(R12)−を表す。R12は、一般式(1)のR12の場合と同義であり、好ましい例も同様である。
上記一般式(3)において、R9としては、好ましくは、水素原子または置換基を有し
てもよいアルキル基などが挙げられ、なかでも、水素原子、メチル基がラジカル反応性が高いことから好ましい。R10、R11は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、ジアルキルアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルアミノ基、置換基を有してもよいアリールアミノ基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基、置換基を有してもよいアリールスルホニル基などが挙げられ、なかでも、水素原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基がラジカル反応性が高いことから好ましい。
ここで、導入し得る置換基としては、一般式(1)と同様のものが例示される。また、Zは、酸素原子、硫黄原子、−N(R13)−、または置換基を有してもよいフェニレン基を表す。R13としては、置換基を有してもよいアルキル基などが挙げられ、なかでも、メチル基、エチル基、イソプロピル基がラジカル反応性が高いことから好ましい。
上記の中でも、側鎖に架橋性基を有する(メタ)アクリル酸共重合体およびポリウレタンがより好ましい。
架橋性を有するバインダーポリマーは、例えば、その架橋性官能基にフリーラジカル(重合開始ラジカルまたは重合性化合物の重合過程の生長ラジカル)が付加し、ポリマー間で直接にまたは重合性化合物の重合連鎖を介して付加重合して、ポリマー分子間に架橋が形成されて硬化する。または、ポリマー中の原子(例えば、官能性架橋基に隣接する炭素原子上の水素原子)がフリーラジカルにより引き抜かれてポリマーラジカルが生成し、それが互いに結合することによって、ポリマー分子間に架橋が形成されて硬化する。
バインダーポリマー中の架橋性基の含有量(ヨウ素滴定によるラジカル重合可能な不飽和二重結合の含有量)は、バインダーポリマー1g当たり、好ましくは0.1〜10.0mmol、より好ましくは1.0〜7.0mmol、最も好ましくは2.0〜5.5mmolである。
バインダーとして使用する有機ポリマーは、典型的には平均分子量Mが600〜200,000の間であるが、好ましくは1,000〜100,000の間である。10〜250の間、好ましくは20〜200の間の酸価を有するか、または50〜750の間、好ましくは100〜500の間のヒドロキシル価を有するポリマーが、さらに好ましい。(単一または複数の)バインダーの量は一般に、組成物の非揮発成分の全質量に対して、10〜90質量%の範囲、好ましくは20〜80質量%の範囲である。
本発明においては、平版印刷版原版の感光層中のラジカル重合性化合物とバインダーポリマーの割合を調節することにより、本発明の効果が更に発揮される。即ち、感光層中のラジカル重合性化合物/バインダーポリマーの質量比は、1.2以上が好ましく、より好ましくは1.25〜4.5、最も好ましくは、2〜4である。これにより、現像液の感光層への浸透性がより向上し、現像性が更に向上する。
(E)連鎖移動剤
本発明の感光層には、連鎖移動剤を含有させることが好ましい。連鎖移動剤は感度および保存安定性向上に寄与する。連鎖移動剤として作用する化合物としては、例えば、分子内にSH、PH、SiH、GeHを有する化合物群が用いられる。これらは、低活性のラジカル種に水素供与して、ラジカルを生成するか、もしくは、酸化された後、脱プロトンすることによりラジカルを生成しうる。
本発明の感光層には、特に、チオール化合物(例えば、2−メルカプトベンズイミダゾール類等)を連鎖移動剤として好ましく用いることができる。
なかでも、下記一般式(T)で表されるチオール化合物が特に好適に使用される。連鎖移動剤としてこのチオール化合物を用いることによって、臭気の問題、および感光層から蒸発や他の層への拡散による感度減少を回避し、保存安定性に優れ、さらには高感度で高耐刷の平版印刷版原版が得られる。
一般式(T)中、Rは置換基を有してもよいアルキル基、または置換基を有してもよいアリール基を表し、AはN=C−N部分と共に炭素原子を有する5員環または6員環のヘテロ環を形成する原子団を表し、Aはさらに置換基を有してもよい。
さらに好ましくは下記一般式(T−1)または一般式(T−2)で表されるものが使用される。
一般式(T−1)および式(T−2)中、Rは置換基を有してもよいアルキル基、または置換基を有してもよいアリール基を表し、Xはハロゲン原子、置換基を有してもよいアルコキシル基、置換基を有してもよいアルキル基、または置換基を有してもよいアリール基を表す。
以下に、一般式(T)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
これら連鎖移動剤(例えば、チオール化合物)の使用量は感光層の全固形分に対し、好ましくは0.01〜20質量%、より好ましくは0.1〜15質量%である。さらに好ましくは1.0〜10質量%である。
(F)共増感剤
本発明においては、共増感剤を用いることができる。共増感剤とは、感光層に添加したときに、感光層の感度をさらに向上させることができる添加剤である。その作用機構は、明確ではないが、多くは次のような化学プロセスに基づくものと考えられる。すなわち、先述の重合開始剤の光吸収により開始される光反応と、それに引き続く付加重合反応の過程で生じる様々な中間活性種(ラジカル、過酸化物、酸化剤、還元剤等)と、共増感剤が反応し、新たな活性ラジカルを生成するものと推定される。共増感剤は、大きくは、(a)還元されて活性ラジカルを生成しうるもの、(b)酸化されて活性ラジカルを生成しうるもの、(c)活性の低いラジカルと反応し、より活性の高いラジカルに変換するか、もしくは連鎖移動剤として作用するもの、に分類できるが、個々の化合物がこれらのどれに属するかに関しては、通説がない場合も多い。
(a)還元されて活性ラジカルを生成する化合物
炭素−ハロゲン結合を有する化合物:還元的に炭素−ハロゲン結合が解裂し、活性ラジカルを発生すると考えられる。具体的には、例えば、トリハロメチル−s−トリアジン類や、トリハロメチルオキサジアゾール類等が好適に使用できる。
窒素−窒素結合を有する化合物:還元的に窒素−窒素結合が解裂し、活性ラジカルを発生すると考えられる。具体的にはヘキサアリールビイミダゾール類等が好適に使用される。
酸素−酸素結合を有する化合物:還元的に酸素−酸素結合が解裂し、活性ラジカルを発生すると考えられる。具体的には、例えば、有機過酸化物類等が好適に使用される。
オニウム化合物:還元的に炭素−ヘテロ結合や、酸素−窒素結合が解裂し、活性ラジカルを発生すると考えられる。具体的には例えば、ジアリールヨードニウム塩類、トリアリールスルホニウム塩類、N−アルコキシピリジニウム(アジニウム)塩類等が好適に使用される。
(b)酸化されて活性ラジカルを生成する化合物
アルキルアート錯体:酸化的に炭素−ヘテロ結合が解裂し、活性ラジカルを生成すると考えられる。具体的には例えば、トリアリールアルキルボレート類が好適に使用される。
アルキルアミン化合物:酸化により窒素に隣接した炭素上のC−X結合が解裂し、活性ラジカルを生成するものと考えられる。Xとしては、水素原子、カルボキシル基、トリメチルシリル基、ベンジル基等が好適である。具体的には、例えば、エタノールアミン類、N−フェニルグリシン類、N−トリメチルシリルメチルアニリン類等が挙げられる。
含硫黄、含錫化合物:上述のアミン類の窒素原子を硫黄原子、錫原子に置き換えたものが、同様の作用により活性ラジカルを生成しうる。また、S−S結合を有する化合物もS−S解裂による増感が知られる。
α−置換メチルカルボニル化合物:酸化により、カルボニル−α炭素間の結合解裂により、活性ラジカルを生成しうる。また、カルボニルをオキシムエーテルに変換したものも同様の作用を示す。具体的には、2−アルキル−1−[4−(アルキルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパノン−1類、並びに、これらと、ヒドロキシアミン類とを反応したのち、N−OHをエーテル化したオキシムエーテル類、およびN−OHをエステル化したオキシムエステル類をあげることができる。
スルフィン酸塩類:還元的に活性ラジカルを生成しうる。具体的は、アリールスルフィン酸ナトリウム等を挙げることができる。
(c)ラジカルと反応し高活性ラジカルに変換、もしくは連鎖移動剤として作用する化合物ラジカルと反応し高活性ラジカルに変換、もしくは連鎖移動剤として作用する化合物としては、例えば、分子内にSH、PH、SiH、GeHを有する化合物群が用いられる。これらは、低活性のラジカル種に水素供与して、ラジカルを生成するか、もしくは、酸化された後、脱プロトンする事によりラジカルを生成しうる。具体的には、例えば、2−メ
ルカプトベンズイミダゾール類等が挙げられる。
これらの共増感剤のより具体的な例としては、特開平9−236913号公報中に感度向上を目的とした添加剤として記載されている化合物を挙げることができる。
以下に、その一部を例示するが、本発明はこれらに限定されるものはない。
これらの共増感剤に関しても、先の増感色素と同様、さらに、平版印刷版原版の感光層の特性を改良するための様々な化学修飾を行うことも可能である。例えば、増感色素や重合開始剤、重合性合物、その他のラジカル発生パートとの結合、親水性部位の導入、相溶性向上、結晶析出抑制のための置換基導入、密着性を向上させる置換基導入、ポリマー化等の方法が利用できる。これらの共増感剤は、単独でまたは2種以上併用して用いることができる。使用量は重合性化合物100質量部に対し0.05〜100質量部、好ましくは1〜80質量部、さらに好ましくは3〜50質量部の範囲が適当である。
<マイクロカプセル>
本発明においては、上記の感光層構成成分および後述のその他の構成成分を感光層に含有させる方法として、例えば、特開2001−277740号公報、特開2001−277742号公報に記載のごとく該構成成分の一部、あるいは全部をマイクロカプセルに内包させて感光層に添加することができる。その場合、各構成成分はマイクロカプセル内および外に、任意の比率で含有させることが可能である。
感光層構成成分をマイクロカプセル化する方法としては、公知の方法が適用できる。例えばマイクロカプセルの製造方法としては、米国特許第2800457号、同第2800458号明細書にみられるコアセルベーションを利用した方法、米国特許第3287154号の各明細書、特公昭38−19574号、同42−446号の各公報にみられる界面重合法による方法、米国特許第3418250号、同第3660304号明細書にみられるポリマーの析出による方法、米国特許第3796669号明細書に見られるイソシアナートポリオール壁材料を用いる方法、米国特許第3914511号明細書に見られるイソシアナート壁材料を用いる方法、米国特許第4001140号、同第4087376号、同第4089802号の各明細書にみられる尿素―ホルムアルデヒド系または尿素ホルムアルデヒド−レゾルシノール系壁形成材料を用いる方法、米国特許第4025445号明細書にみられるメラミン−ホルムアルデヒド樹脂、ヒドロキシセルロース等の壁材を用いる方法、特公昭36−9163号、同51−9079号の各公報にみられるモノマー重合によるin situ法、英国特許第930422号、米国特許第3111407号明細
書にみられるスプレードライング法、英国特許第952807号、同第967074号の各明細書にみられる電解分散冷却法などがあるが、これらに限定されるものではない。
本発明に用いられる好ましいマイクロカプセル壁は、3次元架橋を有し、溶剤によって膨潤する性質を有するものである。このような観点から、マイクロカプセルの壁材は、ポリウレア、ポリウレタン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、およびこれらの混合物が好ましく、特に、ポリウレアおよびポリウレタンが好ましい。また、マイクロカプセル壁に、上記の非水溶性高分子に導入可能なエチレン性不飽和結合基等の架橋性官能基を有する化合物を導入してもよい。
上記のマイクロカプセルの平均粒径は、0.01〜3.0μmが好ましい。0.05〜2.0μmがさらに好ましく、0.10〜1.0μmが特に好ましい。この範囲内で良好な解像度と経時安定性が得られる。
<その他の感光層成分>
本発明の感光層には、さらに、必要に応じて種々の添加剤を含有させることができる。
以下、それらについて説明する。
<界面活性剤>
本発明において、感光層には、現像性の促進および塗布面状を向上させるために界面活性剤を用いるのが好ましい。界面活性剤としては、ノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、フッ素系界面活性剤等が挙げられる。
本発明に用いられるノニオン界面活性剤は、特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリスチリルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル類、グリセリン脂肪酸部分エステル類、ソルビタン脂肪酸部分エステル類、ペンタエリスリトール脂肪酸部分エステル類、プロピレングリコールモノ脂肪酸エステル類、ショ糖脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸部分エステル類、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル類、ポリグリセリン脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレン化ひまし油類、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸部分エステル類、脂肪酸ジエタノールアミド類、N,N−ビス−2−ヒドロキシアルキルアミン類、ポリオキシエチレンアルキルアミン、トリエタノールアミン脂肪酸エステル、トリアルキルアミンオキシド、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールの共重合体が挙げられる。
本発明に用いられるアニオン界面活性剤は、特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。例えば、脂肪酸塩類、アビエチン酸塩類、ヒドロキシアルカンスルホン酸塩類、アルカンスルホン酸塩類、ジアルキルスルホ琥珀酸エステル塩類、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、分岐鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキルフェノキシポリオキシエチレンプロピルスルホン酸塩類、ポリオキシエチレンアルキルスルホフェニルエーテル塩類、N−メチル−N−オレイルタウリンナトリウム塩、N−アルキルスルホコハク酸モノアミド二ナトリウム塩、石油スルホン酸塩類、硫酸化牛脂油、脂肪酸アルキルエステルの硫酸エステル塩類、アルキル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩類、脂肪酸モノグリセリド硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、アルキルリン酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸エステル塩類、スチレン/無水マレイン酸共重合物の部分
けん化物類、オレフィン/無水マレイン酸共重合物の部分けん化物類、ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物類が挙げられる。
本発明に用いられるカチオン界面活性剤は、特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。例えば、アルキルアミン塩類、第四級アンモニウム塩類、ポリオキシエチレンアルキルアミン塩類、ポリエチレンポリアミン誘導体が挙げられる。
本発明に用いられる両性界面活性剤は、特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。例えば、カルボキシベタイン類、アミノカルボン酸類、スルホベタイン類、アミノ硫酸エステル類、イミタゾリン類が挙げられる。
なお、上記界面活性剤の中で、「ポリオキシエチレン」とあるものは、ポリオキシメチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレン等の「ポリオキシアルキレン」に読み替えることもでき、本発明においては、それらの界面活性剤も用いることができる。
更に好ましい界面活性剤としては、分子内にパーフルオロアルキル基を含有するフッ素系界面活性剤が挙げられる。このようなフッ素系界面活性剤としては、例えば、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキルリン酸エステル等のアニオン型;パーフルオロアルキルベタイン等の両性型;パーフルオロアルキルトリメチルアンモニウム塩等のカチオン型;パーフルオロアルキルアミンオキサイド、パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物、パーフルオロアルキル基および親水性基を含有するオリゴマー、パーフルオロアルキル基および親油性基を含有するオリゴマー、パーフルオロアルキル基、親水性基および親油性基を含有するオリゴマー、パーフルオロアルキル基および親油性基を含有するウレタン等のノニオン型が挙げられる。また、特開昭62−170950号、同62−226143号および同60−168144号の公報に記載されているフッ素系界面活性剤も好適に挙げられる。
界面活性剤は、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
界面活性剤の含有量は、感光層の全固形分に対して、0.001〜10質量%であるのが好ましく、0.01〜7質量%であるのがより好ましい。
<親水性ポリマー>
本発明においては、現像性の向上、マイクロカプセルの分散安定性向上などのため、親水性ポリマーを含有させることができる。
親水性ポリマーとしては、例えば、ヒドロキシ基、カルボキシル基、カルボキシレート基、ヒドロキシエチル基、ポリオキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ポリオキシプロピル基、アミノ基、アミノエチル基、アミノプロピル基、アンモニウム基、アミド基、カルボキシメチル基、スルホン酸基、リン酸基等の親水性基を有するものが好適に挙げられる。
具体例として、アラビアゴム、カゼイン、ゼラチン、デンプン誘導体、カルボキシメチルセルロースおよびそのナトリウム塩、セルロースアセテート、アルギン酸ナトリウム、酢酸ビニル−マレイン酸コポリマー類、スチレン−マレイン酸コポリマー類、ポリアクリル酸類およびそれらの塩、ポリメタクリル酸類およびそれらの塩、ヒドロキシエチルメタクリレートのホモポリマーおよびコポリマー、ヒドロキシエチルアクリレートのホモポリマーおよびコポリマー、ヒドロキシピロピルメタクリレートのホモポリマーおよびコポリマー、ヒドロキシプロピルアクリレートのホモポリマーおよびコポリマー、ヒドロキシブチルメタクリレートのホモポリマーおよびコポリマー、ヒドロキシブチルアクリレートのホモポリマーおよびコポリマー、ポリエチレングリコール類、ヒドロキシプロピレンポリマー類、ポリビニルアルコール類、加水分解度が60モル%以上、好ましくは80モル%以上である加水分解ポリビニルアセテート、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラー
ル、ポリビニルピロリドン、アクリルアミドのホモポリマーおよびコポリマー、メタクリルアミドのホモポリマーおよびポリマー、N−メチロールアクリルアミドのホモポリマーおよびコポリマー、ポリビニルピロリドン、アルコール可溶性ナイロン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−プロパンとエピクロロヒドリンとのポリエーテル等が挙げられる。
親水性ポリマーは、質量平均分子量が5000以上であるのが好ましく、1万〜30万であるのがより好ましい。親水性ポリマーは、ランダムポリマー、ブロックポリマー、グラフトポリマー等のいずれでもよい。
親水性ポリマーの感光層への含有量は、感光層全固形分の20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましい。
<着色剤>
本発明では、可視光域に大きな吸収を持つ染料を画像の着色剤として使用することができる。具体的には、オイルイエロー#101、オイルイエロー#103、オイルピンク#312、オイルグリーンBG、オイルブルーBOS、オイルブルー#603、オイルブラックBY、オイルブラックBS、オイルブラックT−505(以上オリエント化学工業(株)製)、ビクトリアピュアブルー、クリスタルバイオレット(CI42555)、メチルバイオレット(CI42535)、エチルバイオレット、ローダミンB(CI451
70B)、マラカイトグリーン(CI42000)、メチレンブルー(CI52015)等、および特開昭62−293247号公報に記載されている染料を挙げることができる。また、フタロシアニン系顔料、アゾ系顔料、カーボンブラック、酸化チタン等の顔料も好適に用いることができる。
これらの着色剤は、画像形成後、画像部と非画像部の区別がつきやすいので、添加する方が好ましい。なお、添加量は、感光層全固形分に対し、0.01〜10質量%の割合が好ましい。
<焼き出し剤>
本発明の感光層には、焼き出し画像生成のため、酸またはラジカルによって変色する化合物を添加することができる。このような化合物としては、例えばジフェニルメタン系、トリフェニルメタン系、チアジン系、オキサジン系、キサンテン系、アンスラキノン系、イミノキノン系、アゾ系、アゾメチン系等の各種色素が有効に用いられる。
具体例としては、ブリリアントグリーン、エチルバイオレット、メチルグリーン、クリスタルバイオレット、ベイシックフクシン、メチルバイオレット2B、キナルジンレッド、ローズベンガル、メタニルイエロー、チモールスルホフタレイン、キシレノールブルー、メチルオレンジ、パラメチルレッド、コンゴーフレッド、ベンゾプルプリン4B、α−ナフチルレッド、ナイルブルー2B、ナイルブルーA、メチルバイオレット、マラカイドグリーン、パラフクシン、ビクトリアピュアブルーBOH[保土ケ谷化学(株)製]、オイルブルー#603[オリエント化学工業(株)製]、オイルピンク#312[オリエント化学工業(株)製]、オイルレッド5B[オリエント化学工業(株)製]、オイルスカーレット#308[オリエント化学工業(株)製]、オイルレッドOG[オリエント化学工業(株)製]、オイルレッドRR[オリエント化学工業(株)製]、オイルグリーン#502[オリエント化学工業(株)製]、スピロンレッドBEHスペシャル[保土ケ谷化学工業(株)製]、m−クレゾールパープル、クレゾールレッド、ローダミンB、ローダミン6G、スルホローダミンB、オーラミン、4−p−ジエチルアミノフェニルイミノナフトキノン、2−カルボキシアニリノ−4−p−ジエチルアミノフェニルイミノナフトキノン、2−カルボキシステアリルアミノ−4−p−N,N−ビス(ヒドロキシエチル)アミノ−フェニルイミノナフトキノン、1−フェニル−3−メチル−4−p−ジエチルアミ
ノフェニルイミノ−5−ピラゾロン、1−β−ナフチル−4−p−ジエチルアミノフェニルイミノ−5−ピラゾロン等の染料やp,p',p"−ヘキサメチルトリアミノトリフェニルメタン(ロイコクリスタルバイオレット)、Pergascript Blue SRB(チバガイギー社製)等のロイコ染料が挙げられる。
上記の他に、感熱紙や感圧紙用の素材として知られているロイコ染料も好適なものとして挙げられる。具体例としては、クリスタルバイオレットラクトン、マラカイトグリーンラクトン、ベンゾイルロイコメチレンブルー、2−(N−フェニル−N−メチルアミノ)−6−(N−p−トリル−N−エチル)アミノ−フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、3,6−ジメトキシフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−5−メチル−7−(N,N−ジベンジルアミノ)−フルオラン、3−(N−シクロヘキシル−N−メチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−6−メチル−7−キシリジノフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−6−メチルー7−クロロフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−6−メトキシ−7−アミノフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−7−(4−クロロアニリノ)フルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−7−クロロフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−7−ベンジルアミノフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−7,8−ベンゾフルオラン、3−(N,N−ジブチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N,N−ジブチルアミノ)−6−メチル−7−キシリジノフルオラン、3−ピペリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピロリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3,3−ビス(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(1−n−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−ザフタリド、3−(4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、などが挙げられる。
酸またはラジカルによって変色する染料の好適な添加量は、それぞれ、感光層固形分に対して0.01〜15質量%の割合である。
<熱重合禁止剤>
本発明の感光層には、感光層の製造中または保存中において、ラジカル重合性化合物の不要な熱重合を防止するために、少量の熱重合防止剤を添加するのが好ましい。
熱重合防止剤としては、例えば、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4′−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2′−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N−ニトロソ−N−フェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩が好適に挙げられる。
熱重合防止剤の添加量は、感光層の全固形分に対して、約0.01〜約5質量%であるのが好ましい。
<高級脂肪酸誘導体>
本発明の感光層には、酸素による重合阻害を防止するために、ベヘン酸やベヘン酸アミドのような高級脂肪酸誘導体等を添加して、塗布後の乾燥の過程で感光層の表面に偏在させてもよい。高級脂肪酸誘導体の添加量は、感光層の全固形分に対して、約0.1〜約10質量%であるのが好ましい。
<可塑剤>
本発明の感光層は可塑剤を含有してもよい。可塑剤としては、例えば、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジイソブチルフタレート、ジオクチルフタレート、オクチルカプリルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート、ジトリデシルフタレート、ブチルベンジルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジアリルフタレート等のフタル酸エステル類;ジメチルグリコールフタレート、エチルフタリルエチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、トリエチレングリコールジカプリル酸エステル等のグリコールエステル類;トリクレジルホスフェート、トリフェニルホスフェート等のリン酸エステル類;ジイソブチルアジペート、ジオクチルアジペート、ジメチルセバケート、ジブチルセバケート、ジオクチルアゼレート、ジブチルマレエート等の脂肪族二塩基酸エステル類;ポリグリシジルメタクリレート、クエン酸トリエチル、グリセリントリアセチルエステル、ラウリン酸ブチル等が好適に挙げられる。可塑剤の含有量は、感光層の全固形分に対して、約30質量%以下であるのが好ましい。
<無機微粒子>
本発明の感光層は、画像部の硬化皮膜強度向上のために、無機微粒子を含有してもよい。無機微粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化チタン、炭酸マグネシウム、アルギン酸カルシウムまたはこれらの混合物が好適に挙げられる。これらは光熱変換性でなくても、皮膜の強化、表面粗面化による界面接着性の強化等に用いることができる。無機微粒子は、平均粒径が5nm〜10μmであるのが好ましく、0.5〜3μmであるのがより好ましい。上記範囲内であると、感光層中に安定に分散して、感光層の膜強度を十分に保持し、印刷時の汚れを生じにくい親水性に優れる非画像部を形成することができる。
上述したような無機微粒子は、コロイダルシリカ分散物等の市販品として容易に入手することができる。
無機微粒子の含有量は、感光層の全固形分に対して、20質量%以下であるのが好ましく、10質量%以下であるのがより好ましい。
<低分子親水性化合物>
本発明の感光層は、現像性向上のため、親水性低分子化合物を含有することができる。親水性低分子化合物としては、例えば、水溶性有機化合物としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等のグリコール類およびそのエーテルまたはエステル誘導体類、グリセリン、ペンタエリスリトール等のポリヒドロキシ類、トリエタノールアミン、ジエタノールアミンモノエタノールアミン等の有機アミン類およびその塩、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸等の有機スルホン酸類およびその塩、フェニルホスホン酸等の有機ホスホン酸類およびその塩、酒石酸、シュウ酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、グルコン酸、アミノ酸類等の有機カルボン酸類およびその塩や、テトラエチルアミン塩酸塩等の有機4級アンモニウム塩等が挙げられる。
<感光層の形成>
本発明の感光層は、必要な上記各成分を溶剤に分散または溶解して塗布液を調製し、塗布して形成される。ここで使用する溶剤としては、エチレンジクロリド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジメトキシエタン、乳酸メチル、乳酸エチル、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラメチルウレア、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチルラクトン、トルエン、水等を挙げることができるが、これに限定されるものではない。これらの溶剤は、単独または混合して使用される。塗布液の固形分濃度は、好ましくは1〜50質量%で
ある。
本発明の感光層は、同一または異なる上記各成分を同一または異なる溶剤に分散、または溶かした塗布液を複数調製し、複数回の塗布、乾燥を繰り返して形成することも可能である。
また塗布、乾燥後に得られる支持体上の感光層塗布量(固形分)は、用途によって異なるが、一般的に0.3〜3.0g/m2が好ましい。この範囲内で、良好な感度と感光層
の良好な皮膜特性が得られる。
塗布する方法としては、種々の方法を用いることができる。例えば、バーコーター塗布、回転塗布、スプレー塗布、カーテン塗布、ディップ塗布、エアナイフ塗布、ブレード塗布、ロール塗布等を挙げられる。
(保護層)
本発明の平版印刷版原版には、露光時の重合反応を妨害する酸素の拡散侵入を遮断するため、感光層上に保護層(酸素遮断層)を設けることが好ましい。本発明に用いられる保護層は25℃、1気圧下における酸素透過性Aが1.0≦A≦20(mL/m2・day
)であることが好ましい。酸素透過性Aが1.0(mL/m2・day)未満で極端に低
い場合は、製造時・生保存時に不要な重合反応が生じたり、また画像露光時に、不要なカブリ、画線の太りが生じたりという問題を生じる。逆に、酸素透過性Aが20(mL/m2・day)を超えて高すぎる場合は感度の低下を招く。酸素透過性Aは、より好ましく
は1.5≦A≦12 (mL/m2・day)、更に好ましくは2.0≦A≦10.0(
mL/m2・day)の範囲である。また、保護層に望まれる特性としては、上記酸素透
過性以外に、さらに、露光に用いる光の透過は実質阻害せず、感光層との密着性に優れ、かつ、露光後の現像工程で容易に除去できる事である。この様な保護層に関する工夫が従来なされており、米国特許第3,458,311号明細書、特公昭55−49729号公報に詳しく記載されている。
保護層の材料としては例えば、比較的結晶性に優れた水溶性高分子化合物を用いることが好ましく、具体的には、ポリビニルアルコール、ビニルアルコール/フタル酸ビニル共重合体、酢酸ビニル/ビニルアルコール/フタル酸ビニル共重合体、酢酸ビニル/クロトン酸共重合体、ポリビニルピロリドン、欧州特許第352630B1号明細書等に記載の脂肪族アミン基を有する酸素結合性重合体、メチルビニルエーテル/無水マレイン酸共重合体、ポリ(エチレンオキシド)、エチレンオキシドおよびポリ(ビニルアルコール)の共重合体、炭水化物、炭水化物誘導体(例えば、ヒドロキシエチルセルロース、酸性セルロース類等)、ゼラチン、アラビアゴム、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミドなどのような水溶性ポリマーが挙げられ、これらは単独または混合して使用できる。これらの内、ポリビニルアルコールを主成分として用いる事が、酸素遮断性、現像除去性といった基本特性的にもっとも良好な結果を与える。
保護層に使用するポリビニルアルコールは、必要な酸素遮断性と水溶性を有するための、未置換ビニルアルコール単位を含有する限り、一部がエステル、エーテル、およびアセタールで置換されていても良い。また、同様に一部が他の共重合成分を有していても良い。ポリビニルアルコールの具体例としては鹸化度(加水分解度)が71〜100モル%、重合繰り返し単位数が300から2400の範囲のものをあげる事ができる。ここで、ポリビニルアルコールの鹸化度とは、ビニルアルコール単位とそれ以外の加水分解可能なビニルアルコール誘導体単位(エステル、エーテル、アセタール等)との和に対するビニルアルコール単位の割合を意味する。
本発明では、保護層中に含有される全てのポリビニルアルコールの平均鹸化度が70モル%〜93モル%の範囲であることが好ましく、80〜92モル%がより好ましい。本発明において、平均鹸化度とは、鹸化度の異なるPVAを数種類使ったときの、トータルに
対する鹸化度のことであり、保護層に用いられる試料のDMSO溶液から得られる75MHz13C−NMRスペクトルから計算して得られるものを意味する。平均鹸化度が上記の範囲のポリビニルアルコールとしては、ビニルアルコール単位と酢酸ビニル単位とからなるものが好ましい。なお、上記平均鹸化度が達成される限り、混合物中で使用されるポリビニルアルコールとして鹸化度が70モル%〜93モル%の範囲外のものを用いる
ことができる。
また、当該ポリビニルアルコールは、20℃における4質量%水溶液の粘度が4〜60mPa・sであることが好ましく、4〜20mPa・sであることが更に好ましく、4〜10mPa・sであることが特に好ましい。
本発明に用いられるポリビニルアルコールとしては、具体的には、株式会社クラレ製のPVA−105、PVA−110、PVA−117、PVA−117H、PVA−120、PVA−124、PVA−124H、PVA−CS、PVA−CST、PVA−HC、PVA−203、PVA−204、PVA−205、PVA−210、PVA−217、PVA−220、PVA−224、PVA−217EE、PVA−217E、PVA−220E、PVA−224E、PVA−405、PVA−420、PVA−613、L−8等が挙げられ、これらは単独または混合して使用できる。好ましい態様としてはポリビニルアルコールの保護層中の含有率が20〜95質量%、より好ましくは、30〜90質量%である。
また、公知の変性ポリビニルアルコールも好ましく用いることができる。例えば、カルボキシル基、スルホ基等のアニオンで変性されたアニオン変性部位、アミノ基、アンモニウム基等のカチオンで変性されたカチオン変性部位、シラノール変性部位、チオール変性部位等種々の親水性変性部位をランダムに有す各種重合度のポリビニルアルコール、前記のアニオン変性部位、前記のカチオン変性部位、シラノール変性部位、チオール変性部位、更にはアルコキシル変性部位、スルフィド変性部位、ビニルアルコールと各種有機酸とのエステル変性部位、前記アニオン変性部位とアルコール類等とのエステル変性部位、エポキシ変性部位等種々の変性部位をポリマー鎖末端に有す各種重合度のポリビニルアルコール等が挙げられる。
特に、酸変性ポリビニルアルコールが、好ましく用いられる。酸変性ポリビニルアルコールとは、酸基を所定量含有するビニルアルコール系重合体であれば特に制限は無い。特にスルホン酸基及びカルボキシル基を所定量含有するビニルアルコール系重合体が好ましく用いられ、前者をスルホン酸変性ポリビニルアルコール、後者をカルボン酸変性ポリビニルアルコール(カルボキシ変性ポリビニルアルコール)という。
酸変性ポリビニルアルコールの合成方法としては、酸基を有する単量体を酢酸ビニルと共に重合した後、酢酸ビニルの一部又は全てをケン化してビニルアルコールとする方法により合成されることが好ましいが、ポリビニルアルコールのヒドロキシル基に酸基を有する化合物を結合させて合成することも可能である。
スルホン酸基を有する単量体としては、エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸及びそれらの塩等があげられる。スルホン酸基を有する化合物としては、P−スルホン酸ベンズアルデヒド及びそれら塩等のスルホン酸基を有するアルデヒド誘導体があげられ、従来公知のアセタール化反応による導入が可能である。
カルボキシル基を有する単量体としては、フマール酸、マレイン酸、イタコン酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水トリメット酸、アクリル酸及びそれらの塩、並びにアクリル酸メチル等のアクリル酸エステル類、メタクリル酸メチル等のメタクリル酸エステル類等があげられる。カルボキシル基を有する化合物としては、アクリル酸等の単量体があ
げられ、従来公知のマイケル付加反応による導入が可能である。
酸変性ポリビニルアルコールとしては適宜合成したものであっても良く、市販品であっても良い。酸変性ポリビニルアルコールは、感光層の現像除去性の低下を抑制する効果を有する。なかでも、ケン化度が91モル%以上のものが好ましい。
このような高ケン化度の酸変性ポリビニルアルコールの具体例としては、カルボキシ変性ポリビニルアルコールとして、例えば、株式会社クラレ製KL−118(ケン化度97モル%、平均重合度1800)、KM−618(ケン化度94モル%、平均重合度1800)、KM−118(ケン化度97モル%、平均重合度1800)、KM−106(ケン化度98.5モル%、平均重合度600)、日本合成化学工業株式会社製の、ゴーセナールT−330H(ケン化度99モル%、平均重合度1700)、ゴーセナールT−330(ケン化度96.5モル%、平均重合度1700)、ゴーセナールT−350(ケン化度94モル%、平均重合度1700)、ゴーセナールT−230(ケン化度96.5モル%、平均重合度1500)、ゴーセナールT−215(ケン化度96.5モル%、平均重合度1300)、ゴーセナールT−HS−1(ケン化度99モル%、平均重合度1300)、日本酢ビ・ポバール株式会社製の、AF−17(ケン化度96.5モル%、平均重合度1700)、AT−17(ケン化度93.5モル%、平均重合度1700)が挙げられる。
また、スルホン酸変性ポリビニルアルコールとして、例えば、株式会社クラレ製の、SK−5102(ケン化度98モル%、平均重合度200)、日本合成化学工業株式会社製の、ゴーセランCKS−50(ケン化度99モル%、平均重合度300)が挙げられる。
また、感光層の現像除去性の低下をより効果的に抑制するという観点から、ビニルアルコール単位の平均重合度が100〜800の酸変性ポリビニアルコールを使用することが特に好ましい。このような低重合度、且つ、高ケン化度の酸変性ポリビニルアルコールを用いることで、酸素遮断性の優れた特徴を保持しつつ、感光層の現像除去性の低下を効果的に抑制し得る保護層を得ることができる。
上記のような低重合度、且つ、高ケン化度の酸変性ポリビニルアルコールとしては、ケン化度が91モル%以上、且つ、ビニルアルコール単位の平均重合度が100〜800の、イタコン酸やマレイン酸により変性されたカルボキシ変性ポリビニルアルコールや、スルホン酸変性ポリビニルアルコールが好ましい。
また、酸変性ポリビニルアルコールの変性度は、0.1〜20モル%が好ましく、0.2〜5モル%であることがより好ましい。酸変性ポリビニルアルコールの変性度とは、酸変性ポリビニルアルコールの共重合体中に含まれる酸基を有するユニットのモル比である。
酸変性ポリビニルアルコールは、保護層中の全固形分量に対して、20質量%以上含有されることが好ましく、50質量%以上含有されることがより好ましく、50〜97質量%の範囲で含有されることが更に好ましく、60〜95質量%の範囲で含有されることが特に好ましい。
また、酸変性ポリビニルアルコールは、少なくとも1種を用いればよく、複数種を併用してもよい。複数種の酸変性ポリビニルアルコールを併用した場合でも、その合計の量が上記の質量範囲であることが好ましい。
ポリビニルアルコールと混合して使用する成分としてはポリビニルピロリドンまたはその変性物が酸素遮断性、現像除去性といった観点から好ましく、保護層中の含有率が3.5〜80質量%、好ましくは10〜60質量%、さらに好ましくは15〜30質量%である。
保護層の成分(PVAの選択、添加剤の使用)、塗布量等は、酸素遮断性・現像除去性の他、カブリ防止性や密着性・耐傷性を考慮して選択される。一般には使用するPVAの加水分解率が高い程(保護層中の未置換ビニルアルコール単位含率が高い程)、膜厚が厚い程酸素遮断性が高くなり、感度の点で有利である。上記ポリビニルアルコール(PVA)等の高分子化合物の分子量は、2000〜1000万の範囲のものが使用でき、好ましくは2万〜300万範囲のものが適当である。
保護層への他の添加剤として、グリセリン、ジプロピレングリコール等を高分子化合物に対して数質量%相当量添加して可撓性を付与することができ、また、アルキル硫酸ナトリウム、アルキルスルホン酸ナトリウム等のアニオン界面活性剤;アルキルアミノカルボン酸塩、アルキルアミノジカルボン酸塩等の両性界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等の非イオン界面活性剤を高分子化合物に対して数質量%添加することができる。また、保護層への他の添加剤として、表面湿潤剤、着色剤、錯化剤、殺菌剤等が挙げられる。例えば、ポリオキシエチレン化されたポリアミン化合物を錯化剤として用いることができる。
保護層はレーザー光に対して透過性でなければならず、好ましくは、それは均質であり、酸素に対して実質的に不透過性であり、水透過性であり、そして、保護層は、好ましくは感光層の像様のレーザー露光後に平版印刷版を形成するために使用される現像剤溶液を用いて除去されうる。該感光層は像様に除去されるが、保護層は作成されたものの全領域にわたり除去可能である。
保護層は感光層の上に既知の技術で塗布することができ、そして保護層塗布液は好ましくは水または水および有機溶媒の混合物を含有する。より良好な湿潤化を可能にするために、保護層塗布液は好ましくは固体含有量に対して好ましくは10質量%以下、特に好ましくは5質量%以下の界面活性剤を含有する。界面活性剤の適する代表例は、炭素数12〜18のアルキル硫酸およびスルホン酸ナトリウム、例えば、ドデシル硫酸ナトリウム、N−セチル−およびC−セチルベタイン、アルキルアミノカルボン酸エステルおよび−ジカルボン酸エステル、並びに400までの平均モル質量を有するポリエチレングリコール類のようなアニオン性、カチオン性および非イオン性界面活性剤である。
また、画像部との密着性や、耐傷性も版の取り扱い上極めて重要である。すなわち、水溶性ポリマーからなる親水性の層を親油性の感光層に積層すると、接着力不足による膜剥離が発生しやすく、剥離部分が酸素の重合阻害により膜硬化不良などの欠陥を引き起こす。これに対し、これら2層間の接着性を改良すべく種々の提案がなされている。例えば米国特許出願番号第292,501号、米国特許出願番号第44,563号には、主にポリビニルアルコールからなる親水性ポリマー中に、アクリル系エマルジョンまたは水不溶性ビニルピロリドン−ビニルアセテート共重合体などを20〜60質量%混合し、感光層の上に積層することにより、十分な接着性が得られることが記載されている。本発明における保護層に対しては、これらの公知の技術をいずれも適用することができる。このような保護層の塗布方法については、例えば米国特許第3,458,311号明細書、特公昭55−49729号公報に詳しく記載されている。
さらに、本発明の平版印刷版原版における保護層には、酸素遮断性や感光層表面保護性を向上させる目的で、無機質の層状化合物を含有させることも好ましい。
ここで無機質の層状化合物とは、薄い平板状の形状を有する粒子であり、例えば、下記一般式
A(B,C)2-5410(OH,F,O)2
〔ただし、AはK,Na,Caの何れか、BおよびCはFe(II),Fe(III),
Mn,Al,Mg,Vの何れかであり、DはSiまたはAlである。〕で表される天然雲母、合成雲母等の雲母群、式3MgO・4SiO・H2Oで表されるタルク、テニオライ
ト、モンモリロナイト、サポナイト、ヘクトライト、りん酸ジルコニウムなどが挙げられる。
上記雲母群においては、天然雲母としては白雲母、ソーダ雲母、金雲母、黒雲母および鱗雲母が挙げられる。また、合成雲母としては、フッ素金雲母KMg3 (AlSi310
)F2、カリ四ケイ素雲母KMg2.5 Si410)F2等の非膨潤性雲母、およびNaテトラシリリックマイカNaMg2.5 (Si410)F2、NaまたはLiテニオライト(N
a,Li)Mg2 Li(Si4 10)F2、モンモリロナイト系のNaまたはLiヘクト
ライト(Na,Li)1/8 Mg2 /5Li1/8 (Si410)F2等の膨潤性雲母等が挙げられる。更に合成スメクタイトも有用である。
本発明においては、上記の無機質の層状化合物の中でも、合成の無機質の層状化合物であるフッ素系の膨潤性雲母が特に有用である。すなわち、この膨潤性合成雲母や、モンモリロナイト、サポナイト、ヘクトライト、ベントナイト等の膨潤性粘度鉱物類等は、10〜15Å程度の厚さの単位結晶格子層からなる積層構造を有し、格子内金属原子置換が他の粘度鉱物より著しく大きい。その結果、格子層は正電荷不足を生じ、それを補償するために層間にNa+、Ca2+、Mg2+等の陽イオンを吸着している。これらの層間に介在し
ている陽イオンは交換性陽イオンと呼ばれ、いろいろな陽イオンと交換する。特に層間の陽イオンがLi+ 、Na+ の場合、イオン半径が小さいため層状結晶格子間の結合が弱く、水により大きく膨潤する。その状態でシェアーをかけると容易に劈開し、水中で安定したゾルを形成する。ベントナイトおよび膨潤性合成雲母はこの傾向が強く、本発明において有用であり、特に膨潤性合成雲母が好ましく用いられる。
本発明で使用する無機質の層状化合物の形状としては、拡散制御の観点からは、厚さは薄ければ薄いほどよく、平面サイズは塗布面の平滑性や活性光線の透過性を阻害しない限りにおいて大きいほどよい。従って、アスペクト比は20以上であり、好ましくは100以上、特に好ましくは200以上である。なお、アスペクト比は粒子の長径に対する厚さの比であり、たとえば、粒子の顕微鏡写真による投影図から測定することができる。アスペクト比が大きい程、得られる効果が大きい。
本発明で使用する無機質の層状化合物の粒子径は、その平均長径が0.3〜20μm、好ましくは0.5〜10μm、特に好ましくは1〜5μmである。また、該粒子の平均の厚さは、0.1μm以下、好ましくは、0.05μm以下、特に好ましくは、0.01μm以下である。例えば、無機質の層状化合物のうち、代表的化合物である膨潤性合成雲母のサイズは厚さが1〜50nm、面サイズが1〜20μm程度である。
このようにアスペクト比が大きい無機質の層状化合物の粒子を保護層に含有させると、塗膜強度が向上し、また、酸素や水分の透過を効果的に防止しうるため、変形などによる保護層の劣化を防止し、高湿条件下において長期間保存しても、湿度の変化による平版印刷版原版における画像形成性の低下もなく保存安定性に優れる。
保護層中の無機質層状化合物の含有量は、保護層に使用されるバインダーの量に対し、質量比で5/1〜1/100であることが好ましい。複数種の無機質の層状化合物を併用した場合でも、これら無機質の層状化合物の合計量が上記の質量比であることが好ましい。
次に、保護層に用いる無機質層状化合物の一般的な分散方法の例について述べる。まず、水100質量部に先に無機質層状化合物の好ましいものとして挙げた膨潤性の層状化合
物を5〜10質量部添加し、充分水になじませ、膨潤させた後、分散機にかけて分散する。ここで用いる分散機としては、機械的に直接力を加えて分散する各種ミル、大きな剪断力を有する高速攪拌型分散機、高強度の超音波エネルギーを与える分散機等が挙げられる。具体的には、ボールミル、サンドグラインダーミル、ビスコミル、コロイドミル、ホモジナイザー、ティゾルバー、ポリトロン、ホモミキサー、ホモブレンダー、ケディミル、ジェットアジター、毛細管式乳化装置、液体サイレン、電磁歪式超音波発生機、ポールマン笛を有する乳化装置等が挙げられる。上記の方法で分散した無機質層状化合物の5〜10質量%の分散物は高粘度あるいはゲル状であり、保存安定性は極めて良好である。この分散物を用いて保護層塗布液を調製する際には、水で希釈し、充分攪拌した後、バインダー溶液と配合して調製するのが好ましい。
この保護層塗布液には、上記無機質層状化合物の他に、塗布性を向上させための界面活性剤や皮膜の物性改良のための水溶性可塑剤など公知の添加剤を加えることができる。水溶性の可塑剤としては、例えば、プロピオンアミド、シクロヘキサンジオール、グリセリン、ソルビトール等が挙げられる。また、水溶性の(メタ)アクリル系ポリマーを加えることもできる。さらに、この塗布液には、感光層との密着性、塗布液の経時安定性を向上するための公知の添加剤を加えてもよい。
このように調製された保護層塗布液を、支持体上に備えられた感光層の上に塗布し、乾燥して保護層を形成する。塗布溶剤はバインダーとの関連において適宜選択することができるが、水溶性ポリマーを用いる場合には、蒸留水、精製水を用いることが好ましい。保護層の塗布方法は、特に制限されるものではなく、米国特許第3,458,311号明細書または特公昭55−49729号公報に記載されている方法など公知の方法を適用することができる。具体的には、例えば、保護層は、ブレード塗布法、エアナイフ塗布法、グラビア塗布法、ロールコーティング塗布法、スプレー塗布法、ディップ塗布法、バー塗布法等が挙げられる。
保護層の塗布量としては、乾燥後の塗布量で、0.05〜10g/m2 の範囲であることが好ましく、無機質の層状化合物を含有する場合には、0.1〜0.5g/m2の範囲
であることがさらに好ましく、無機質の層状化合物を含有しない場合には、0.5〜5g/m2の範囲であることがさらに好ましい。
(支持体)
本発明の平版印刷版原版に用いられる支持体は、特に限定されず、寸度的に安定な板状の親水性支持体であればよい。例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等)、上述した金属がラミネートされまたは蒸着された紙またはプラスチックフィルム等が挙げられる。好ましい支持体としては、ポリエステルフィルムおよびアルミニウム板が挙げられる。中でも、寸法安定性がよく、比較的安価であるアルミニウム板が好ましい。
アルミニウム板は、純アルミニウム板、アルミニウムを主成分とし、微量の異元素を含む合金板、または、アルミニウムもしくはアルミニウム合金の薄膜にプラスチックがラミネートされているものである。アルミニウム合金に含まれる異元素には、ケイ素、鉄、マンガン、銅、マグネシウム、クロム、亜鉛、ビスマス、ニッケル、チタン等がある。合金中の異元素の含有量は10質量%以下であるのが好ましい。本発明においては、純アルミニウム板が好ましいが、完全に純粋なアルミニウムは精錬技術上製造が困難であるので、
わずかに異元素を含有するものでもよい。アルミニウム板は、その組成が特定されるものではなく、公知公用の素材のものを適宜利用することができる。
支持体の厚さは0.1〜0.6mmであるのが好ましく、0.15〜0.4mmであるのがより好ましく、0.2〜0.3mmであるのが更に好ましい。
アルミニウム板を使用するに先立ち、粗面化処理、陽極酸化処理等の表面処理を施すのが好ましい。表面処理により、親水性の向上および感光層と支持体との密着性の確保が容易になる。アルミニウム板を粗面化処理するに先立ち、所望により、表面の圧延油を除去するための界面活性剤、有機溶剤、アルカリ性水溶液等による脱脂処理が行われる。
アルミニウム板表面の粗面化処理は、種々の方法により行われるが、例えば、機械的粗面化処理、電気化学的粗面化処理(電気化学的に表面を溶解させる粗面化処理)、化学的粗面化処理(化学的に表面を選択溶解させる粗面化処理)が挙げられる。
機械的粗面化処理の方法としては、ボール研磨法、ブラシ研磨法、ブラスト研磨法、バフ研磨法等の公知の方法を用いることができる。
電気化学的粗面化処理の方法としては、例えば、塩酸、硝酸等の酸を含有する電解液中で交流または直流により行う方法が挙げられる。また、特開昭54−63902号公報に記載されているような混合酸を用いる方法も挙げられる。
粗面化処理されたアルミニウム板は、必要に応じて、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等の水溶液を用いてアルカリエッチング処理を施され、更に、中和処理された後、所望により、耐摩耗性を高めるために陽極酸化処理を施される。
アルミニウム板の陽極酸化処理に用いられる電解質としては、多孔質酸化皮膜を形成させる種々の電解質の使用が可能である。一般的には、硫酸、塩酸、シュウ酸、クロム酸またはそれらの混酸が用いられる。それらの電解質の濃度は電解質の種類によって適宜決められる。
陽極酸化処理の条件は、用いられる電解質により種々変わるので一概に特定することはできないが、一般的には、電解質濃度1〜80質量%溶液、液温度5〜70℃、電流密度5〜60A/d m2 、電圧1〜100V、電解時間10秒〜5分であるのが好ましい。形成される陽極酸化皮膜の量は、1.0〜5.0g/m2 であるのが好ましく、1.5〜4.0g/m2 であるのがより好ましい。この範囲内で、良好な耐刷性と平版印刷版の非画像部の良好な耐傷性が得られる。
本発明で用いられる支持体としては、上記のような表面処理をされ陽極酸化皮膜を有する基板そのままでもよいが、上層との接着性、親水性、汚れ難さ、断熱性などの一層改良のため、必要に応じて、特開2001−253181号や特開2001−322365号の公報に記載されている陽極酸化皮膜のマイクロポアの拡大処理、マイクロポアの封孔処理、および親水性化合物を含有する水溶液に浸漬する表面親水化処理などを適宜選択して行うことができる。もちろんこれら拡大処理、封孔処理は、これらに記載のものに限られたものではなく従来公知の何れも方法も行うことができる。
封孔処理としては、蒸気封孔のほかフッ化ジルコン酸の単独処理、フッ化ナトリウムによる処理など無機フッ素化合物を含有する水溶液による封孔処理、塩化リチウムを添加した蒸気封孔、熱水による封孔処理でも可能である。
なかでも、無機フッ素化合物を含有する水溶液による封孔処理、水蒸気による封孔処理および熱水による封孔処理が好ましい。
親水化処理としては、米国特許第2,714,066号、同第3,181,461号、
同第3,280,734号および同第3,902,734号の明細書に記載されているようなアルカリ金属シリケート法がある。この方法においては、支持体をケイ酸ナトリウム等の水溶液で浸漬処理し、または電解処理する。そのほかに、特公昭36−22063号公報に記載されているフッ化ジルコン酸カリウムで処理する方法、米国特許第3,276,868号、同第4,153,461号および同第4,689,272号の明細書に記載されているようなポリビニルホスホン酸で処理する方法等が挙げられる。
本発明の支持体としてポリエステルフィルムなど表面の親水性が不十分な支持体を用いる場合は、親水層を塗布して表面を親水性にすることが望ましい。親水層としては、特開2001−199175号公報に記載の、ベリリウム、マグネシウム、アルミニウム、珪素、チタン、硼素、ゲルマニウム、スズ、ジルコニウム、鉄、バナジウム、アンチモンおよび遷移金属から選択される少なくとも一つの元素の酸化物または水酸化物のコロイドを含有する塗布液を塗布してなる親水層や、特開2002−79772号公報に記載の、有機親水性ポリマーを架橋あるいは疑似架橋することにより得られる有機親水性マトリックスを有する親水層や、ポリアルコキシシラン、チタネート、ジルコネートまたはアルミネートの加水分解、縮合反応からなるゾル−ゲル変換により得られる無機親水性マトリックスを有する親水層、あるいは、金属酸化物を含有する表面を有する無機薄膜からなる親水層が好ましい。中でも、珪素の酸化物または水酸化物のコロイドを含有する塗布液を塗布してなる親水層が好ましい。
また、本発明の支持体としてポリエステルフィルム等を用いる場合には、支持体の親水性層側または反対側、あるいは両側に、帯電防止層を設けるのが好ましい。帯電防止層を支持体と親水性層との間に設けた場合には、親水性層との密着性向上にも寄与する。帯電防止層としては、特開2002−79772号公報に記載の、金属酸化物微粒子やマット剤を分散したポリマー層等が使用できる。
支持体は、中心線平均粗さが0.10〜1.2μmであるのが好ましい。この範囲内で、感光層との良好な密着性、良好な耐刷性と良好な汚れ難さが得られる。
また、支持体の色濃度としては、反射濃度値として0.15〜0.65であるのが好ましい。この範囲内で、画像露光時のハレーション防止による良好な画像形成性と現像後の良好な検版性が得られる。
(下塗り層)
本発明の平版印刷版の作製方法に用いられる本発明の平版印刷版原版においては、必要に応じて、感光層と支持体との間に下塗り層を設けることができる。
下塗り層としては、具体的には、特開平10−282679号公報に記載されている付加重合可能なエチレン性二重結合反応基を有しているシランカップリング剤、特開平2−304441号公報記載のエチレン性二重結合反応基を有しているリン化合物等が好適に挙げられる。
最も好ましい下塗り層としては、架橋性基(好ましくは、エチレン性不飽和結合基)、支持体表面に相互作用する官能基および親水性基を有する高分子化合物を含有するものである。
該高分子化合物としては、エチレン性不飽和結合基を有するモノマー/支持体表面に相互作用する官能基を有するモノマー/親水性基を有するモノマーを共重合した高分子樹脂が挙げられる。
下塗り層に含有される高分子化合物が、支持体表面に相互作用する官能基および架橋あるいは重合反応するエチレン性不飽和結合基を有すると、露光部において、支持体および感光層の間の強い密着性を発現し、高分子化合物がさらに、親水性基を有することから感光層の現像除去後の非露光部においては、高い親水性を発現する。これにより、露光部の耐刷性と非露光部の耐汚れ性を両立することができる。
支持体表面に相互作用する官能基としては、支持体上に存在する金属、金属酸化物、水酸基などと共有結合、イオン結合、水素結合、極性相互作用、ファンデルワールズ相互作用などの相互作用が可能な基が挙げられる。中でも、支持体に吸着する官能基(吸着性基)が好ましい。
支持体表面への吸着性の有無に関しては、例えば以下のような方法で判断できる。
試験化合物を易溶性の溶媒に溶解させた塗布液を作成し、その塗布液を乾燥後の塗布量が30mg/m2となるように支持体上に塗布・乾燥させる。試験化合物を塗布した支持
体を、易溶性溶媒を用いて十分に洗浄した後、洗浄除去されなかった試験化合物の残存量を測定して支持体吸着量を算出する。ここで残存量の測定は、残存化合物量を直接定量してもよいし、洗浄液中に溶解した試験化合物量を定量して算出してもよい。化合物の定量法としては、例えば蛍光X線測定、反射分光吸光度測定、液体クロマトグラフィー測定で実施できる。支持体吸着性がある化合物は、上記のような洗浄処理を行っても0.1mg/m2以上残存する化合物である。
支持体表面への吸着性基は、支持体表面に存在する物質(例、金属、金属酸化物)あるいは官能基(例、水酸基)と、化学結合(例、イオン結合、水素結合、配位結合、分子間力による結合)を引き起こすことができる官能基である。吸着性基は、酸基またはカチオン性基が好ましい。
酸基は、酸解離定数(pKa)が7以下であることが好ましい。酸基の例としては、フェノール性水酸基、カルボキシル基、−SO3H、−OSO3H、−PO32、−OPO3
2、−CONHSO2−、−SO2NHSO2−および−COCH2COCH3が挙げられる。なかでもリン酸基(−OPO32、−PO32)が特に好ましい。またこれら酸基は、金属塩であっても構わない。
カチオン性基は、オニウム基であることが好ましい。オニウム基の例としては、アンモニウム基、ホスホニウム基、アルソニウム基、スチボニウム基、オキソニウム基、スルホニウム基、セレノニウム基、スタンノニウム基、ヨードニウム基等が挙げられる。なかでもアンモニウム基、ホスホニウム基およびスルホニウム基が好ましく、アンモニウム基およびホスホニウム基がさらに好ましく、アンモニウム基が最も好ましい。
以下に、支持体表面に吸着する官能基の例を示す。
上記式中、R11〜R13は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、アルキニル基またはアルケニル基である。M1およびM2はそれぞれ独立に、水素原子、金属原子またはアンモニウム基である。X-はカウンターアニオンである。
吸着性基としては、オニウム基(例、アンモニウム基、ピリジニウム基)、リン酸エステル基、ホウ酸基、β−ジケトン基(例、アセチルアセトン基)が特に好ましい。
吸着性基を有するモノマーの特に好ましい例としては、下記式(VII)または(VIII)
で表される化合物が挙げられる。
式(VII)または(VIII)において、R、RおよびRは、それぞれ独立に、水素
原子、ハロゲン原子または炭素原子数が1乃至6のアルキル基である。R、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子または炭素原子数が1乃至6のアルキル基であること
が好ましく、水素原子または炭素原子数が1乃至3のアルキル基であることがさらに好ま
しく、水素原子またはメチル基であることが最も好ましい。RおよびRは、水素原子であることが特に好ましい。
式(VII)において、Xは、酸素原子(−O−)またはイミノ(−NH−)である。X
は、酸素原子であることがさらに好ましい。式(VII)または(VIII)において、Lは、
2価の連結基である。Lは、2価の脂肪族基(アルキレン基、置換アルキレン基、アルケ
ニレン基、置換アルケニレン基、アルキニレン基、置換アルキニレン基)、2価の芳香族
基(アリレン基、置換アリレン基)または2価の複素環基であるか、あるいはそれらと、酸素原子(−O−)、硫黄原子(−S−)、イミノ(−NH−)、置換イミノ(−NR−、Rは脂肪族基、芳香族基または複素環基)またはカルボニル(−CO−)との組み合わせであることが好ましい。
脂肪族基は、環状構造または分岐構造を有していてもよい。脂肪族基の炭素原子数は、1乃至20が好ましく、1乃至15がさらに好ましく、1乃至10が最も好ましい。脂肪族基は、不飽和脂肪族基よりも飽和脂肪族基の方が好ましい。脂肪族基は、置換基を有していてもよい。置換基の例は、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、芳香族基および複素環基を含む。
芳香族基の炭素原子数は、6乃至20が好ましく、6乃至15がさらに好ましく、6乃至10が最も好ましい。芳香族基は、置換基を有していてもよい。置換基の例は、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、脂肪族基、芳香族基および複素環基を含む。
複素環基は、複素環として5員環または6員環を有することが好ましい。複素環に他の複素環、脂肪族環または芳香族環が縮合していてもよい。複素環基は、置換基を有していてもよい。置換基の例は、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、オキソ基(=O)、チオキソ基(=S)、イミノ基(=NH)、置換イミノ基(=N−R、Rは脂肪族基、芳香族基または複素環基)、脂肪族基、芳香族基および複素環基を含む。
Lは、複数のポリオキシアルキレン構造を含む二価の連結基であることが好ましい。ポリオキシアルキレン構造は、ポリオキシエチレン構造であることがさらに好ましい。言い換えると、Lは、−(OCHCH)−(nは2以上の整数)を含むことが好ましい。
式(VII)または(VIII)において、Zは、親水性支持体表面に吸着する官能基である
。また、Yは、
炭素原子または窒素原子である。Y=窒素原子でY上にLが連結し四級ピリジニウム基になった場合、それ自体が吸着性を示すことからZは必須ではない。吸着性の官能基については、前述した通りである。
以下に、式(VII)または(VIII)で表される代表的なモノマーの例を示す。
本発明に用いることができる下塗り層用高分子樹脂の親水性基としては、例えば、ヒドロキシ基、カルボキシル基、カルボキシレート基、ヒドロキシエチル基、ポリオキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ポリオキシプロピル基、アミノ基、アミノエチル基、アミノプロピル基、アンモニウム基、アミド基、カルボキシメチル基、スルホン酸基、リン酸基等が好適に挙げられる。これらの親水性基と重合性基を有するモノマーが上記高分子樹脂の共重合成分として用いられる。
本発明において、前記支持体表面に相互作用する官能基は、支持体表面と相互作用し、下塗り層用高分子樹脂と支持体との密着性に寄与するものであるが、感光層の現像除去後の非露光部において当該官能基が高い親水性をも併有し非露光部の耐汚れ性に寄与するのであれば、親水性基としての機能を併有することになり、この場合は、下塗り層用高分子樹脂として、支持体表面に相互作用する官能基のみを用いてこれとは異なる構造の親水性基を省くことが可能である。また、親水性基が上記機能に加え、上記支持体表面に相互作用する官能基としての機能を併有する場合は、親水性基のみを用いてこれとは異なる構造の該官能基を省くことが可能である。
本発明で用いられる下塗り層用高分子樹脂は、架橋性基を有すことが好ましい。架橋性基によって画像部との密着の向上が得られる。下塗り層用高分子樹脂に架橋性を持たせるためには、エチレン性不飽和結合基等の架橋性官能基を高分子の側鎖中に導入したり、高分子樹脂の極性置換基と対荷電を有する置換基とエチレン性不飽和結合基を有する化合物で塩構造を形成させたりして導入することができる。
分子の側鎖中にエチレン性不飽和結合基を有するポリマーの例としては、アクリル酸またはメタクリル酸のエステルまたはアミドのポリマーであって、エステルまたはアミドの残基(−COORまたは−CONHRのR)がエチレン性不飽和結合基を有するポリマーを挙げることができる。
エチレン性不飽和結合基を有する残基(上記R)の例としては、−(CH)CR=CR、−(CHO)CHCR=CR、−(CHCHO)CHCR=CR、−(CH)NH−CO−O−CHCR=CR、−(CH)−O−CO−CR=CR、および−(CHCHO)−X(式中、R〜Rはそれぞれ、水素原子、ハロゲン原子または炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、アルコキシ基もしくはアリールオキシ基を表し、RとRまたはRとは互いに結合して環を形成してもよい。nは、1〜10の整数を表す。Xは、ジシクロペンタジエニル
残基を表す。)を挙げることができる。
エステル残基の具体例としては、−CHCH=CH(特公平7−21633号公報に記載されている。)、−CHCHO−CHCH=CH、−CHC(CH)=CH、−CHCH=CH−C、−CHCHOCOCH=CH−C、−CHCHNHCOO−CHCH=CH、および−CHCHO−X(式中、Xはジシクロペンタジエニル残基を表す。)が挙げられる。
アミド残基の具体例としては、−CHCH=CH、−CHCHO−Y(式中、Yはシクロヘキセン残基を表す。)、−CHCHOCO−CH=CHが挙げられる。
下塗り層用高分子樹脂の架橋性基を有するモノマーとしては、上記架橋性基を有するアクリル酸またはメタクリル酸のエステルまたはアミドが好適である。
下塗り層用高分子樹脂中の架橋性基の含有量(ヨウ素滴定によるラジカル重合可能な不飽和二重結合の含有量)は、高分子樹脂1g当たり、好ましくは0.1〜10.0mmol、より好ましくは1.0〜7.0mmol、最も好ましくは2.0〜5.5mmolである。この範囲で、良好な感度と汚れ性の両立、および良好な保存安定性が得られる。
下塗り用の高分子樹脂は、質量平均分子量が5000以上であるのが好ましく、1万〜
30万であるのがより好ましく、また、数平均分子量が1000以上であるのが好ましく、2000〜25万であるのがより好ましい。多分散度(質量平均分子量/数平均分子量)は、1.1〜10であるのが好ましい。
下塗り用の高分子樹脂は、ランダムポリマー、ブロックポリマー、グラフトポリマー等のいずれでもよいが、ランダムポリマーであるのが好ましい。
下塗り用の高分子樹脂としては、下記式(I)で表される繰り返し単位を含有するものが好ましい。以下、この下塗り層用高分子樹脂を特定共重合体ともいう。
式(I)中、Aはエチレン性不飽和結合基を少なくとも1つ含有する繰り返し単位を表し、Aは支持体表面と相互作用する官能基を少なくとも1つ含有する繰り返し単位を表す。x、yは共重合比を表す。
式(I)において、A1で表される繰り返し単位は、好ましくは下記式(A1)で表さ
れる。
式中、R1〜R3はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、またはハロゲン原子を表す。R4〜R6はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、ハロゲン原子、アシル基、またはアシルオキシ基を表す。またR4とR5、またはR5とR6で環を形成してもよい。Lは−CO−、−O−、−NH−、二価の脂肪族基、二価の芳香族基およびそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基を表す。
組み合わせからなるLの具体例を以下に挙げる。なお、下記例において左側が主鎖に結合し、右側がエチレン性不飽和結合基に結合する。
L1:−CO−NH−二価の脂肪族基−O−CO−
L2:−CO−二価の脂肪族基−O−CO−
L3:−CO−O−二価の脂肪族基−O−CO−
L4:−二価の脂肪族基−O−CO−
L5:−CO−NH−二価の芳香族基−O−CO−
L6:−CO−二価の芳香族基−O−CO−
L7:−二価の芳香族基−O−CO−
L8:−CO−O−二価の脂肪族基−CO−O−二価の脂肪族基−O−CO−
L9:−CO−O−二価の脂肪族基−O−CO−二価の脂肪族基−O−CO−
L10:−CO−O−二価の芳香族基−CO−O−二価の脂肪族基−O−CO−
L11:−CO−O−二価の芳香族基−O−CO−二価の脂肪族基−O−CO−
L12:−CO−O−二価の脂肪族基−CO−O−二価の芳香族基−O−CO−
L13:−CO−O−二価の脂肪族基−O−CO−二価の芳香族基−O−CO−
L14:−CO−O−二価の芳香族基−CO−O−二価の芳香族基−O−CO−
L15:−CO−O−二価の芳香族基−O−CO−二価の芳香族基−O−CO−
L16:−CO−O−二価の芳香族基−O−CO−NH−二価の脂肪族基−O−CO−
L17:−CO−O−二価の脂肪族基−O−CO−NH−二価の脂肪族基−O−CO−
二価の脂肪族基とは、アルキレン基、置換アルキレン基、アルケニレン基、置換アルケニレン基、アルキニレン基、置換アルキニレン基またはポリアルキレンオキシ基を意味する。なかでもアルキレン基、置換アルキレン基、アルケニレン基、および置換アルケニレン基が好ましく、アルキレン基および置換アルキレン基がさらに好ましい。
二価の脂肪族基は、環状構造よりも鎖状構造の方が好ましく、さらに分岐を有する鎖状構造よりも直鎖状構造の方が好ましい。
二価の脂肪族基の炭素原子数は、1乃至20であることが好ましく、1乃至15であることがより好ましく、1乃至12であることがさらに好ましく、1乃至10であることがさらにまた好ましく、1乃至8であることが最も好ましい。
二価の脂肪族基の置換基の例としては、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、シアノ基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、モノアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、モノアリールアミノ基およびジアリールアミノ基等が挙げられる。
二価の芳香族基とは、アリレン基または置換アリレン基を意味する。好ましくは、フェニレン、置換フェニレン基、ナフチレンおよび置換ナフチレン基である。
二価の芳香族基の置換基の例としては、上記二価の脂肪族基の置換基の例に加えて、アルキル基が挙げられる。
前記L1からL17の中では、L1、L3、L5、L7、L17が好ましい。
式(I)において、A2で表される繰り返し単位は、具体的には下記式(A2)で表さ
れる。
式中、R1〜R3およびLは前記式(A1)で表されるものと同義である。Qは支持体表面と相互作用する官能基(以下、「特定官能基」と略記する場合がある。)を表す。
特定官能基としては、例えば、支持体上に存在する金属、金属酸化物、水酸基などと共有結合、イオン結合、水素結合、極性相互作用、ファンデルワールズ相互作用などの相互作用が可能な基が挙げられる。
特定官能基の具体例を以下に挙げる。
(上記式中、R11〜R13はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、アルキニル基、またはアルケニル基を表し、M1およびM2はそれぞれ独立に、水素原子、金属原子、またはアンモニウム基を表し、X-はカウンターアニオンを表す。)
これらのなかでも特定官能基としては、アンモニウム基、ピリジニウム基等のオニウム塩基、リン酸エステル基、ホスホン酸基、ホウ酸基、アセチルアセトン基などのβ−ジケトン基などが好適である。
式(A2)において、Lは−CO−、−O−、−NH−、二価の脂肪族基、二価の芳香族基およびそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基を表す。
組み合わせからなるLの具体例としては、前記式(A1)におけるLの具体例に加えて以下のものを挙げることができる。なお、下記例において左側が主鎖に結合する。
L18: −CO−NH−
L19: −CO−O−
L20: −二価の芳香族基−
式(A2)で表される繰り返し単位中には親水性基を有していてもよい。式(A2)に親水性基が含まれない場合、あるいは支持体表面に相互作用する官能基が親水性基としての機能を併有しない場合には、本発明で用いられる前記共重合体には共重合成分としてさらに下記式(A3)で表される繰り返し単位を含有することが好ましい。
式中、R〜RおよびLは前記式(A1)で表されるものと同義である。Wは下記基を表す。
ただし、M1は前記式(A2)の説明で表されるものと同義である。
7およびR8はそれぞれ独立に、水素原子、あるいは炭素数1〜6の直鎖または分岐のアルキル基を表す。R9は炭素数1〜6の直鎖または分岐のアルキレン基を表し、エチレ
ン基が好ましい。R10は水素原子または炭素数1〜12のアルキル基を表す。nは1〜100の整数を表し、1〜30が好ましい。
前記(A3)で表される親水性基を少なくとも1つ含有する繰り返し単位は、そのlogPが、−3〜3であるのが好ましく、−1〜2であるのがより好ましい。この範囲で、良好な現像性が得られる。
ここでlogPとは、Medicinal Chemistry Project.Pomona College,Claremont.Californiaで開発され、Daylight Chemical Information System Inc.より入手できるソフトウェアPCModelsを用いて算出した化合物のオクタノール/水分配係数(P)の値の対数である。
前記Wとしては、アルキレンオキシ基を含むものが好ましい。
前記特定共重合体の分子量としては、質量平均分子量で10000〜300,000の範囲が好ましく、50000〜200000の範囲がより好ましい。また(A1)は全共重合モノマーに対して5〜80モル%が好ましく、10〜50モル%がより好ましい。(A2)は全共重合モノマーに対して5〜80モル%が好ましく、10〜50モル%がより好ましい。さらに、(A3)は全共重合モノマーに対して5〜80モル%が好ましく、10〜50モル%がより好ましい。
本発明において用いられる前記特定共重合体の具体例を以下に示すが、これらに限定されるものではない。
本発明の下塗り層用高分子樹脂としては、親水性基を有する公知の樹脂を用いることもできる。そのような樹脂の具体例として、アラビアゴム、カゼイン、ゼラチン、デンプン誘導体、カルボキシメチルセルロースおよびそのナトリウム塩、セルロースアセテート、アルギン酸ナトリウム、酢酸ビニルマレイン酸コポリマー類、スチレンーマレイン酸コポリマー類、ポリアクリル酸類およびそれらの塩、ポリメタクリル酸類およびそれらの塩、ヒドロキシエチルメタクリレートのホモポリマーおよびコポリマー、ヒドロキシエチルアクリレートのホモポリマーおよびコポリマー、ヒドロキシプロピルメタクリレートのホモポリマーおよびコポリマー、ヒドロキシプロピルアクリレートのホモポリマーおよびコポリマー、ヒドロキシブチルメタクリレートのホモポリマーおよびコポリマー、ヒドロキシブチルアクリレートのホモポリマーおよびコポリマー、ポリエチレングリコール類、ヒドロキシプロピレンポリマー類、ポリビニルアルコール類、加水分解度が60モル%以上、好ましくは80モル%以上である加水分解ポリビニルアセテート、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドン、アクリルアミドのホモポリマーおよびコポリマー、メタクリルアミドのホモポリマーおよびポリマー、N−メチロールアクリルアミドのホモポリマーおよびコポリマー、ポリビニルピロリドン、アルコール可溶性ナイロン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−プロパンとエピクロロヒドリンとのポリエーテル等が挙げられる。
下塗り層用高分子樹脂は単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。
本発明の下塗り層においては、上記下塗り層用高分子樹脂は、エチレン性不飽和結合基と支持体表面に相互作用する官能基とを有する、質量平均分子量100〜10000の範囲の化合物と併用されることが好ましい。この場合、下塗り層用高分子樹脂の質量平均分子量は、当該化合物より大きいことが必要である。当該併用される化合物を化合物(A)ともいう。
化合物(A)は、下記式(I)または(II)で表されることが好ましい。
[式中、R、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子または炭素原子数が1から6のアルキル基であり;Xは酸素原子、硫黄原子、またはイミノであり;Lはn+1価の連結基であり;nは1、2または3であり、YおよびYは支持体に吸着する官能基である。]
式(I)および(II)において、Xは、酸素原子であることが好ましい。
式(I)および(II)において、Lが2価の連結基である場合、Lは、2価の脂肪族基(アルキレン基、置換アルキレン基、アルケニレン基、置換アルケニレン基、アルキニレン基、置換アルキニレン基)、2価の芳香族基(アリーレン基、置換アリーレン基)または2価の複素環基であるか、あるいはそれらと、酸素原子(−O−)、硫黄原子(−S−)、イミノ(−NH−)、置換イミノ(−NR−、Rは脂肪族基、芳香族基または複素環基)またはカルボニル(−CO−)との組み合わせであることが好ましい。
Lが3価または4価の連結基である場合は、3〜4価の脂肪族基、3〜4価の芳香族基、3〜4価の複素環基が例示される。
脂肪族基は、環状構造または分岐構造を有していてもよい。脂肪族基の炭素原子数は、1乃至20が好ましく、1乃至15がさらに好ましく、1乃至10が最も好ましい。脂肪族基は、不飽和脂肪族基よりも飽和脂肪族基の方が好ましい。脂肪族基は、置換基を有していてもよい。置換基の例としては、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、芳香族基および複素環基が挙げられる。
芳香族基の炭素原子数は、6乃至20が好ましく、6乃至15がさらに好ましく、6乃至10が最も好ましい。芳香族基は、置換基を有していてもよい。置換基の例は、ハロゲ
ン原子、ヒドロキシル基、脂肪族基、芳香族基および複素環基を含む。
複素環基は、複素環として5員環または6員環を有することが好ましい。複素環には他の複素環、脂肪族環または芳香族環が縮合していてもよい。複素環基は、置換基を有していてもよい。置換基の例としては、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、オキソ(=O)、チオキソ(=S)、イミノ(=NH)、置換イミノ基(=N−R、Rは脂肪族基、芳香族基または複素環基)、脂肪族基、芳香族基および複素環基が挙げられる。
Lは、複数のポリオキシアルキレン構造を含む二価の連結基であることが好ましい。ポリオキシアルキレン構造は、ポリオキシエチレン構造であることがさらに好ましい。即ち、Lは、−(OCH2CH2n−を含むことが好ましい。ここで
、nは1〜50が好ましく、より好ましくは1〜20である。
式(I)および(II)において、YおよびYは、吸着性基である。吸着性基については、前述した通りである。
式(I)の化合物の具体例としては、下記の市販品が挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[A]CH2 =C(CH3 )COO(C2 4 O)n P=O(OH)2
n=1;ユニケミカル(株);ホスマーM、日本化薬(株);カヤマーPM−1、共栄社油脂(株);ライトエステルP−M、新中村化学(株);NKエステルSA、n=2;ユニケミカル(株);ホスマーPE2、n=4〜5;ユニケミカル(株);ホスマーPE、n=8;ユニケミカル(株);ホスマーPE8、
[B][CH2 =C(CH3 )COO(C2 4 O)n m P=O(OH)3-m
n=1、m=1と2の混合物;大八化学(株);MR−200、
[C]CH2 =CHCOO(C2 4 O)n P=O(OH)2
n=1;ユニケミカル(株);ホスマーA、共栄社油脂(株);ライトエステルP−A、
[D][CH2 =CHCOO(C2 4 O)n m P=O(OH)3-m
n=1、m=1と2の混合物;大八化学(株);AR−200
[E]CH2 =C(CH3 )COO(C2 4 O)n P=O(OC4 9 2
n=1;大八化学(株);MR−204、
[F]CH2 =CHCOO(C2 4 O)n P=O(OC4 9 2
n=1;大八化学(株);AR−204、
[G]CH2 =C(CH3 )COO(C2 4 O)n P=O(OC8 172
n=1;大八化学(株);MR−208、
[H]CH2 =CHCOO(C2 4 O)n P=O(OC8 172
n=1;大八化学(株);AR−208、
[I]CH2=C(CH3)COO(C24O)n P=O(OH)(ONH3 2 4 OH) n=1;ユニケミカル(株);ホスマーMH、
[J]CH2 =C(CH3 )COO(C2 4 O)n P=O(OH)(ONH(CH3 2 2 4 OCOC(CH3 )=CH2
n=1;ユニケミカル(株);ホスマーDM、
[K]CH2 =C(CH3 )COO(C2 4 O)n P=O(OH)(ONH(C252 2 4 OCOC(CH3 )=CH2
n=1;ユニケミカル(株);ホスマーDE、
[L]CH2 =CHCOO(C2 4 O)n P=O(O−ph)2(ph:ベンゼン環
を示す)
n=1;大八化学(株);AR−260、
[M]CH2 =C(CH3 )COO(C2 4 O)n P=O(O−ph)2
n=1;大八化学(株);MR−260、
[N][CH2 =CHCOO(C2 4 O)n 2 P=O(OC4 9
n=1;大八化学(株);PS−A4、
[O][CH2 =C(CH3 )COO(C2 4 O)n 2 P=O(OH)
n=1;大八化学(株);MR−200、日本化薬(株);カヤマーPM−2、日本化薬(株);カヤマーPM−21、
[P][CH2 =CHCOO(C2 4 O)n 3 P=O
n=1;大阪有機(株);ビスコート3PA。
これらの化合物は、「実験化学講座」や「紫外線硬化システム」加藤清視著等に記載
されるように、一般のアクリル系モノマーと同様に、アクリル酸又はメタクリル酸とリン酸化合物とによる脱水反応又はエステル交換により合成することができる。また、リン化合物はいくつかの化合物を任意の比で混合して用いてもよい。式中エチレンオキサイドの鎖長nの数は、n数が大きくなるにつれて純品を合成する事が困難であり、前後の混合物となる。具体的な数としては、n=0、1、2、約4〜5、約5〜6、約7〜9、約14、約23、約40、約50であるが、これらに限定されるものではない。
以下に、式(II)で表される化合物の例を示す。
式(II)で表される化合物は二種類以上併用してもよい。
また、以下に示す化合物例も支持体表面に吸着する官能基を有する化合物として好ましく挙げられる。
化合物(A)の質量平均分子量は100〜10000が好ましく、200〜2000がさらに好ましい。
前記下塗り層用高分子樹脂(以下、(B)とも記す)と化合物(A)の混合比は、耐刷性と現像性両立の観点から、質量比として、(A)/(B)=0.1〜10の範囲が好ましく、0.1〜5.0の範囲がさらに好ましく、0.3〜3.0の範囲がとくに好ましい。また、化合物(A)と下塗り層用高分子樹脂(B)の塗布量の和が1〜100mg/m2の範囲であることが好ましく、1.0〜50mg/m2 であるのがさらに好ましく、5
.0〜20mg/m2 であるのがとくに好ましい。
また、本発明においては、下塗り層に重合開始剤を添加する形態が好ましい。この形態によれば、下塗り層と感光層との界面付近での重合反応の頻度を高くして、化合物(A)によって増強された架橋性基を有効に機能させることができる。重合開始剤としては、感光層に用いる重合開始剤が例示される。また下塗り層中の重合開始剤の添加量は、下塗り層の固形分中、5〜80質量%が好ましく、10〜50質量%がさらに好ましい。
この下塗り層は、水又はメタノール、エタノール、メチルエチルケトンなどの有機溶剤もしくはそれらの混合溶剤に上記化合物を溶解させた溶液を支持体上に塗布、乾燥する方法、又は水又はメタノール、エタノール、メチルエチルケトンなどの有機溶剤もしくはそれらの混合溶剤に上記化合物を溶解させた溶液に、支持体を浸漬して上記化合物を吸着させ、しかる後、水などによって洗浄、乾燥する方法によって設けることができる。前者の方法では、上記化合物の濃度0.005〜10質量%の溶液を種々の方法で塗布できる。例えば、バーコーター塗布、回転塗布、スプレー塗布、カーテン塗布などいずれの方法を用いてもよい。また、後者の方法では、溶液の濃度は0.01〜20質量%、好ましくは0.05〜5質量%であり、浸漬温度は20〜90℃、好ましくは25〜50℃であり、浸漬時間は0.1秒〜20分、好ましくは2秒〜1分である。
下塗り層の塗布量(固形分)は、0.1〜100mg/m2 であるのが好ましく、3〜30mg/m2 であるのがより好ましい。
(バックコート層)
支持体に表面処理を施した後または下塗り層を形成させた後、必要に応じて、支持体の裏面にバックコートを設けることができる。
バックコートとしては、例えば、特開平5−45885号公報に記載されている有機高分子化合物、特開平6−35174号公報に記載されている有機金属化合物または無機金属化合物を加水分解および重縮合させて得られる金属酸化物からなる被覆層が好適に挙げられる。中でも、Si(OCH3 4 、Si(OC2 5 4 、Si(OC3 7 4
Si(OC4 9 4 等のケイ素のアルコキシ化合物を用いるのが、原料が安価で入手しやすい点で好ましい。
〔平版印刷版の作製方法〕
次に、本発明に係る平版印刷版の作製方法について説明する。
本発明によれば、本発明に用いられる平版印刷版原版を、レーザー露光した後、pHが9〜11の現像液で現像処理することにより、非画像部の感光層を除去して平版印刷版を作製することができる。平版印刷版原版が保護層を有する場合には、この現像処理により、保護層も除去される。
次に、現像工程について詳述する。通常の処理工程においては、前水洗工程により保護層を除去し、次いでアルカリ現像を行い、後水洗工程でアルカリを除去し、ガム引き工程でガム処理を行い、乾燥工程で乾燥するのに対して、本発明においては、炭酸イオン、炭酸水素イオン及び水溶性高分子化合物を含有する水溶液を用いることにより、現像とガム引きを同時に行うことを特徴としている。よって後水洗工程は特に必要とせず、一液で現像とガム引きを行ったのち、乾燥工程を行うことができる。さらに、保護層の除去も現像及びガム引きと同時に行うことができるので、前水洗工程も必要としない。現像及びガム引きの後、スクイズローラー等を用いて余剰の処理液を除去してから乾燥を行うことが好ましい。
(現像液)
本発明の平版印刷版原版の製版方法に使用される現像液は、炭酸イオン、炭酸水素イオン、界面活性剤及び水溶性高分子化合物を含有する水溶液であり、pHが9〜11の範囲である以外は、特に限定されない。pHがこの範囲にあることで、良好な現像性、処理安定性、耐刷性等の印刷性能が得られる。好ましいpHは、9.3〜10.5、更に好ましくは、9.4〜10.2である。
本発明の現像液は、炭酸イオンと炭酸水素イオンを含有する水溶液である。炭酸イオンと炭酸水素イオンが存在することで緩衝作用を発揮し、現像液を長期間使用してもpHの変動を抑制でき、pHの変動による現像性低下、現像カス発生等を抑制できる。炭酸イオン、炭酸水素イオンを現像液中に含有させるには、炭酸塩と炭酸水素塩を現像液に加えてもよいが、炭酸塩又は炭酸水素塩を加えた後にpHを調整することで、炭酸イオンと炭酸水素イオンを発生させてもよい。炭酸塩や炭酸水素塩を使用する場合、特に限定されないが、アルカリ金属塩であることが好ましい。アルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウムが挙げられ、ナトリウムが特に好ましい。これらは単独でも、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
好適な現像液中における炭酸イオン/炭酸水素イオンのモル比率は、10/90〜90/10であり、より好ましくは、20/80〜80/20であり、更に好ましくは、30/70〜70/30である。
前記炭酸塩、炭酸水素塩の総量は、現像液の質量に対して1〜20質量%が好ましく、3〜15質量%がより好ましく、4〜12質量%が最も好ましい。この濃度が1質量%以上であると現像性、処理能力が低下せず、20質量%以下であると沈殿や結晶を生成し難くなり、さらに廃液時の中和の際にゲル化し難くなり、廃液処理に支障をきたさない。
また、アルカリ濃度の微少な調整、感光性層の溶解を補助する目的で、補足的に他のアルカリ剤、例えば有機アルカリ剤を併用してもよい。有機アルカリ剤としては、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、n−ブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノール
アミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、エチレンイミン、エチレンジアミン、ピリジン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド等を挙げることができる。これらのアルカリ剤は、単独もしくは2種以上を組み合わせて用いられる。
なかでも、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンが好適に使用可能である。これらの有機アミン化合物は、現像液の質量に対して0.5〜15質量%が好ましく、1〜10質量%がより好ましい。
<水溶性高分子化合物>
本発明に用いられる水溶性高分子化合物としては、大豆多糖類、変性澱粉、アラビアガム、デキストリン、繊維素誘導体(例えばカルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、メチルセルロース等)およびその変性体、プルラン、ポリビニルアルコールおよびその誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミドおよびアクリルアミド共重合体、ビニルメチルエーテル/無水マレイン酸共重合体、酢酸ビニル/無水マレイン酸共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体などが挙げられる。水溶性高分子化合物の好ましい酸価は、0〜3.0meq/gである。
大豆多糖類としては、従来知られているものが使用でき、例えば市販品としてソヤファイブ(不二製油(株)製)があり、各種グレードのものを使用することができる。好ましく使用できるものは、10質量%水溶液の粘度が10〜100mPa/secの範囲にあるものである。
変性澱粉としては、下記一般式(III)で示されるものが好ましい。一般式(III)で示される澱粉としては、トウモロコシ、じゃがいも、タピオカ、米、小麦等のいずれの澱粉も使用できる。これらの澱粉の変性は、酸または酵素等で1分子当たりグルコース残基数5〜30の範囲で分解し、更にアルカリ中でオキシプロピレンを付加する方法等で作ることができる。
式(III)中、エーテル化度(置換度)はグルコース単位当たり0.05〜1.2の範囲で、nは3〜30の整数を示し、mは1〜3の整数を示す。
水溶性高分子化合物の中でも特に好ましいものとして、大豆多糖類、変性澱粉、アラビアガム、デキストリン、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコールなどが挙げられる。
水溶性高分子化合物は2種以上を併用することもできる。水溶性高分子化合物の処理液中における含有量は、0.1〜20質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜10質量
%である。
<界面活性剤>
処理液は界面活性剤(アニオン系、ノニオン系、カチオン系等)を含有してもよい。
アニオン系界面活性剤としては、脂肪酸塩類、アビエチン酸塩類、ヒドロキシアルカンスルホン酸塩類、アルカンスルホン酸塩類、ジアルキルスルホコハク酸塩類、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、分岐鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキルフェノキシポリオキシエチレンプロピルスルホン酸塩類、ポリオキシエチレンアルキルスルホフェニルエーテル塩類、N−メチル−N−オレイルタウリンナトリウム類、N−アルキルスルホコハク酸モノアミド二ナトリウム塩類、石油スルホン酸塩類、硫酸化ヒマシ油、硫酸化牛脂油、脂肪酸アルキルエステルの硫酸エステル塩類、アルキル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩類、脂肪酸モノグリセリド硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、アルキル燐酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル燐酸エステル塩類、スチレン−無水マレイン酸共重合物の部分けん化物類、オレフィン−無水マレイン酸共重合物の部分けん化物類、ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物類等が挙げられる。これらの中でもジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキル硫酸エステル塩類およびアルキルナフタレンスルホン酸塩類が特に好ましく用いられる。
カチオン系界面活性剤としては、特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。例えば、アルキルアミン塩類、第四級アンモニウム塩類、ポリオキシエチレンアルキルアミン塩類、ポリエチレンポリアミン誘導体が挙げられる。
ノニオン系界面活性剤としては、ポリエチレングリコール型の高級アルコールエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物、脂肪酸エチレンオキサイド付加物、多価アルコール脂肪酸エステルエチレンオキサイド付加物、高級アルキルアミンエチレンオキサイド付加物、脂肪酸アミドエチレンオキサイド付加物、油脂のエチレンオキサイド付加物、ポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物、ジメチルシロキサン−エチレンオキサイドブロックコポリマー、ジメチルシロキサン−(プロピレンオキサイド−エチレンオキサイド)ブロックコポリマー等や、多価アルコール型のグリセロールの脂肪酸エステル、ペンタエリスリトールの脂肪酸エステル、ソルビトールおよびソルビタンの脂肪酸エステル、ショ糖の脂肪酸エステル、多価アルコールのアルキルエーテル、アルカノールアミン類の脂肪酸アミド等が挙げられる。
本発明においては、ソルビトールおよび/またはソルビタン脂肪酸エステルのエチレンオキサイド付加物、ポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物、ジメチルシロキサン−エチレンオキサイドブロックコポリマー、ジメチルシロキサン−(プロピレンオキサイド−エチレンオキサイド)ブロックコポリマー、多価アルコールの脂肪酸エステルがより好ましい。
また、水に対する安定な溶解性あるいは混濁性の観点から、ノニオン系界面活性剤としては、HLB(Hydorophile−Lipophile Balance)値が、6以上であることが好ましく、8以上であることがより好ましい。また、アセチレングリコール系とアセチレンアルコール系のオキシエチレン付加物、フッ素系、シリコン系等の界面活性剤も同様に使用することができる。
界面活性剤は単独もしくは組み合わせて使用することができる。界面活性剤の現像液中における含有量は0.01〜10質量%が好ましく、0.01〜5質量%がより好ましい。
<その他の添加剤>
本発明の処理液には上記の他に、湿潤剤、防腐剤、キレート化合物、消泡剤、有機酸、有機溶剤、無機酸、無機塩などを含有することができる。
湿潤剤としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ジグリセリン等が好適に用いられる。湿潤剤は単独で用いてもよいが、2種以上併用してもよい。一般に、湿潤剤は処理液の全質量に基づいて0.1〜5質量%の量で使用される。
防腐剤としては、フェノールまたはその誘導体、ホルマリン、イミダゾール誘導体、デヒドロ酢酸ナトリウム、4−イソチアゾリン−3−オン誘導体、ベンゾイソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン 、ベンズトリアゾール誘導体、アミジングアニジン誘導体、四級アンモニウム塩類、ピリジン、キノリン、グアニジン等の誘導体、ダイアジン、トリアゾール誘導体、オキサゾール、オキサジン誘導体、ニトロブロモアルコール系の2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3ジオール、1,1−ジブロモ−1−ニトロ−2−エタノール、1,1−ジブロモ−1−ニトロ−2−プロパノール等が好ましく使用できる。種々のカビ、殺菌に対して効力のあるように2種以上の防腐剤を併用することが好ましい。防腐剤の添加量は、細菌、カビ、酵母等に対して、安定に効力を発揮する量であって、細菌、カビ、酵母の種類によっても異なるが、処理液に対して0.01〜4質量%の範囲が好ましい。
キレート化合物としては、例えば、エチレンジアミンテトラ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;ジエチレントリアミンペンタ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;トリエチレンテトラミンヘキサ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩、ヒドロキシエチルエチレンジアミントリ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;ニトリロトリ酢酸、そのナトリウム塩;1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;アミノトリ(メチレンホスホン酸)、そのカリウム塩、そのナトリウム塩などのような有機ホスホン酸類あるいはホスホノアルカントリカルボン酸類を挙げることができる。上記キレート剤のナトリウム塩、カリウム塩の代りに有機アミンの塩も有効である。キレート剤は処理液組成中に安定に存在し、印刷性を阻害しないものが選ばれる。添加量は処理液に対して0.001〜1.0質量%が好適である。
消泡剤としては一般的なシリコン系の自己乳化タイプ、乳化タイプ、ノニオン系のHLBの5以下等の化合物を使用することができる。シリコン消泡剤が好ましい。その中で乳化分散型および可溶化等がいずれも使用できる。消泡剤の含有量は、処理液に対して0.001〜1.0質量%の範囲が好適である。
有機酸としては、クエン酸、酢酸、蓚酸、マロン酸、サリチル酸、カプリル酸、酒石酸、リンゴ酸、乳酸、レブリン酸、p−トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、フィチン酸、有機ホスホン酸などが挙げられる。有機酸は、そのアルカリ金属塩またはアンモニウム塩の形で用いることもできる。有機酸の含有量は処理液に対して0.01〜0.5質量%が好ましい。
有機溶剤としては、例えば、脂肪族炭化水素類(ヘキサン、ヘプタン、”アイソパーE、H、G”(エッソ化学(株)製)あるいはガソリン、灯油等)、芳香族炭化水素類(トルエン、キシレン等)、あるいはハロゲン化炭化水素(メチレンジクロライド、エチレンジクロライド、トリクレン、モノクロルベンゼン等)や、極性溶剤が挙げられる。
極性溶剤としては、アルコール類(メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ベンジルアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、2−エトキシエタノール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、メチルフェニルカルビノール、n−アミルアルコール、メチルアミルアルコール等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、エチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等)、エステル類(酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸アミル、酢酸ベンジル、乳酸メチル、乳酸ブチル、エチレングリコールモノブチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールアセテート、ジエチルフタレート、レブリン酸ブチル等)、その他(トリエチルフォスフェート、トリクレジルフォスフェート、N−フェニルエタノールアミン、N−フェニルジエタノールアミン等)等が挙げられる。
また、上記有機溶剤が水に不溶な場合は、界面活性剤等を用いて水に可溶化して使用することも可能である。現像液が有機溶剤を含有する場合は、安全性、引火性の観点から、溶剤の濃度は40質量%未満が望ましい。
無機酸および無機塩としては、リン酸、メタリン酸、第一リン酸アンモニウム、第二リン酸アンモニウム、第一リン酸ナトリウム、第二リン酸ナトリウム、第一リン酸カリウム、第二リン酸カリウム、トリポリリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、硝酸マグネシウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸アンモニウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸アンモニウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸アンモニウム、硫酸水素ナトリウム、硫酸ニッケルなどが挙げられる。無機塩の含有量は処理液の全質量に基づいて0.01〜0.5質量%の量が好ましい。
現像の温度は、通常60℃以下、好ましくは10℃〜50℃、より好ましくは15〜40℃程度である。自動現像機を用いる現像処理においては、処理量に応じて現像液が疲労してくることがあるので、補充液または新鮮な現像液を用いて処理能力を回復させてもよい。
上記の現像液は、露光された平版印刷版原版の現像液および現像補充液として用いることができ、後述の自動処理機に適用することが好ましい。自動処理機を用いて現像する場合、処理量に応じて現像液が疲労してくるので、補充液または新鮮な現像液を用いて処理能力を回復させてもよい。本発明の平版印刷版の作製方法においてもこの補充方式が好ましく適用される。
本発明におけるpH9〜11の現像液による現像処理は、現像液の供給手段および擦り部材を備えた自動処理機により好適に実施することができる。
特に、前記ポリビニルアルコールを含有する保護層を感光層上に設けると、平版印刷版原版を、レーザー露光した後、水洗工程を経ることなく、pHが9〜11の現像液で、保護層及び非露光部の感光層を除去して現像処理することができる。
一般に、水洗処理による保護層の除去をあらかじめすることなく、現像液にて、保護層と未露光部の感光層を除去する場合、保護層の水溶性が低いと、未露光部の感光層の除去性が悪くなる(保護層を除去するための時間を要し、現像性が低下する)。
ポリビニルアルコールは、鹸化度が70モル%〜100モル%の範囲において、鹸化度が低いほど、水溶性が高い。また、前述の酸変性ポリビニルアルコールも水溶性が高い。このため、前述したように、保護層中含有するポリビニルアルコールの平均鹸化度が70
モル%〜93モル%の範囲にあるか、及び/または、保護層中に酸変性ポリビニルアルコールを含有すると保護層の水溶性が向上し、水洗処理による保護層の除去をあらかじめすることなく、現像液にて、保護層と未露光部の感光層を除去する場合、現像性が向上し、保護層起因の現像かすの発生も少なくるため、特に、好ましい態様である。
このような現像処理に用いられる自動処理機としては、例えば、画像記録後の平版印刷版原版を搬送しながら擦り処理を行う、特開平2−220061号、特開昭60−59351号各公報に記載の自動処理機や、シリンダー上にセットされた画像記録後の平版印刷版原版をシリンダーを回転させながら擦り処理を行う、米国特許5148746号、同5568768号、英国特許2297719号に記載の自動処理機等が挙げられる。なかでも、擦り部材として、回転ブラシロールを用いる自動処理機が特に好ましい。
本発明に好ましく使用できる回転ブラシロールは、画像部の傷つき難さ、さらには、平版印刷版原版の支持体の腰の強さ等を考慮して適宜選択することができる。上記回転ブラシロールとしては、ブラシ素材をプラスチックまたは金属のロールに植え付けて形成された公知のものが使用できる。例えば、特開昭58−159533号公報や、特開平3−100554号公報記載のものや、実公昭62−167253号公報に記載されているような、ブラシ素材を列状に植え込んだ金属またはプラスチックの溝型材を芯となるプラスチックまたは金属のロールに隙間なく放射状に巻き付けたブラシロールが使用できる。
また、ブラシ素材としては、プラスチック繊維(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系、ナイロン6.6、ナイロン6.10等のポリアミド系、ポリアクリロニトリル、ポリ(メタ)アクリル酸アルキル等のポリアクリル系、および、ポリプロピレン、ポリスチレン等のポリオレフィン系の合成繊維)を使用することができ、例えば、繊維の毛の直径は、20〜400μm、毛の長さは、5〜30mmのものが好適に使用できる。
さらに、回転ブラシロールの外径は、30〜200mmが好ましく、版面を擦るブラシの先端の周速は、0.1〜5m/secが好ましい。
また、回転ブラシロールは、2本以上の複数本用いることが好ましい。
本発明に用いる回転ブラシロールの回転方向は、本発明の平版印刷版原版の搬送方向に対し、同一方向であっても、逆方向であってもよいが、図1に例示した自動処理機のように、2本以上の回転ブラシロールを使用する場合は、少なくとも1本の回転ブラシロールが、同一方向に回転し、少なくとも1本の回転ブラシロールが、逆方向に回転することが好ましい。これにより、非画像部の感光層の除去が、さらに確実となる。さらに、回転ブラシロールを、ブラシロールの回転軸方向に揺動させることも効果的である。
現像工程のあと、連続的又は不連続的に乾燥工程を設けることが好ましい。乾燥は熱風、赤外線、遠赤外線等によって行う。
本発明の平版印刷版の作製方法において好適に用いられる自動処理機の構造の1例を図1に模式的に示す。図1の自動処理機は、基本的に現像部6と乾燥部10からなり、平版印刷版原版4は現像槽20で、現像とガム引きを行い、乾燥部10で乾燥される。
なお、本発明において、擦り処理後の平版印刷版原版を、引き続いて、水洗、乾燥処理、不感脂化処理することも任意に可能である。不感脂化処理では、公知の不感脂化液を用いることができる。また、現像処理に先立ち、あらかじめ、水洗処理を施し、保護層を除去しておくことも任意に可能である。
その他、本発明の平版印刷版原版から平版印刷版を作製する製版プロセスとしては、必要に応じ、露光前、露光中、露光から現像までの間に、全面を加熱してもよい。この様な加熱により、該感光層中の画像形成反応が促進され、感度や耐刷性の向上や感度の安定化
といった利点が生じ得る。さらに、画像強度・耐刷性の向上を目的として、現像後の画像に対し、全面後加熱もしくは全面露光を行う事も有効である。通常現像前の加熱は150℃以下の穏和な条件で行う事が好ましい。温度が高すぎると、非画像部迄がかぶってしまう等の問題を生じる。現像後の加熱には非常に強い条件を利用する。通常は200〜500℃の範囲である。温度が低いと十分な画像強化作用が得られず、高すぎる場合には支持体の劣化、画像部の熱分解といった問題を生じる。
上記製版プロセスについて、さらに詳述する。
本発明においては、上記の通り、露光工程の後、直ちに現像処理を行ってもよいが、露光工程と現像工程との間に加熱処理工程を設けることもできる。この加熱処理は、耐刷性を向上させ、さらに画像硬化度の版面内での均一性を高める効果があり、その条件はそれら効果のある範囲で適宜設定することができる。加熱手段としては、慣用の対流オーブン、IR照射装置、IRレーザー、マイクロ波装置、ウィスコンシンオーブン等を挙げることができる。例えば、版面到達温度が70〜150℃の範囲で、1秒〜5分間の間で保持することにより行なうことができる。好ましくは80℃〜140℃で5秒〜1分間、より好ましくは90℃〜130℃で10〜30秒間である。この範囲であると上記の効果を効率よく得られ、また熱による印刷版の変形などの悪影響が無い点で好ましい。
また、本発明においては上述の露光工程および、好ましくは加熱処理工程の後に、現像工程が施され、平版印刷版を得る。露光工程に用いられるプレートセッタ、加熱処理に用いられる加熱処理手段および現像工程に使用される現像装置はお互いに接続されて、自動的に連続処理されることが好ましい。具体的にはプレートセッタと、現像装置がコンベアなどの運搬手段によって結合されている製版ラインである。プレートセッタと現像装置の間に加熱処理手段が入っていても良く、加熱手段と現像装置は一体の装置となっていても良い。
使用する印刷版が作業環境における周囲の光の影響を受け易い場合は、上記の製版ラインがフィルタまたはカバーなどで遮光されていることが好ましい。
上記のように画像形成した後、紫外線光などの活性光線で全面露光を行い、画像部の硬化促進を行っても良い。該全面露光時の光源としては、例えば、カーボンアーク灯、水銀灯、ガリウム灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、タングステンランプ、各種レーザー光などが挙げられる。さらに、十分な耐刷性を得るためには全面露光量としては少なくとも10mJ/cm2以上が好ましく、より好ましくは100mJ/cm2以上である。
上記全面露光時に同時に加熱を行ってもよく、加熱を行うことによりさらに耐刷性の向上が認められる。加熱装置としては、慣用の対流オーブン、IR照射装置、IRレーザー、マイクロ波装置、ウィスコンシンオーブン等を挙げることができる。このとき版面温度は30℃〜150℃であることが好ましく、より好ましくは、35〜130℃であり、更に好ましくは、40〜120℃である。具体的には、特開2000-89478号公報に記載の方法を利用することができる。
また、耐刷性等の向上を目的として、現像後の印刷版を非常に強い条件で加熱することもできる。加熱温度は、通常200〜500℃の範囲である。温度が低いと十分な画像強化作用が得られず、高すぎる場合には支持体の劣化、画像部の熱分解といった問題を生じる恐れがある。
このようにして得られた平版印刷版はオフセット印刷機に掛けられ、多数枚の印刷に用いられる。
上記の現像処理に先立って、平版印刷版原版は、線画像、網点画像等を有する透明原画を通して露光するかデジタルデータによるレーザー光走査等で画像様に露光される。
望ましい光源の波長は350nmから450nmであり、具体的にはInGaN系半導体レーザーが好適である。露光機構は、内面ドラム方式、外面ドラム方式、フラットベッ
ド方式等の何れでもよい。
350nm〜450nmの入手可能なレーザー光源としては以下のものを利用することができる。
ガスレーザとして、Arイオンレーザ(364nm、351nm、10mW〜1W)、Krイオンレーザ(356nm、351nm、10mW〜1W)、He−Cdレーザー(441nm、325nm、1mW〜100mW)、固体レーザーとして、Nd:YAG(YVO4)とSHG結晶×2回の組み合わせ(355nm、5mW〜1W)、Cr:LiSAFとSHG結晶の組み合わせ(430nm、10mW)、半導体レーザー系として、KNbO3リング共振器(430nm、30mW)、導波型波長変換素子とAlGaAs、InGaAs半導体の組み合わせ(380nm〜450nm、5mW〜100mW)、導波型波長変換素子とAlGaInP、AlGaAs半導体の組み合わせ(300nm〜350nm、5mW〜100mW)、AlGaInN(350nm〜450nm、5mW〜30mW)、その他、パルスレーザとしてN2レーザ(337nm、パルス0.1〜10mJ)、XeF(351nm、パルス10〜250mJ)。特にこの中でAlGaInN半導体レーザー(市販InGaN系半導体レーザー400〜410nm、5〜30mW)が波長特性、コストの面で好適である。
また走査露光方式の平版印刷版露光装置としては、露光機構として内面ドラム方式、外面ドラム方式、フラットベッド方式があり、光源としては上記光源の中で連続発振可能なものが好ましく利用することができる。現実的には平版印刷版原版の感度と製版時間の関係で、以下の露光装置が特に好ましい。
・内面ドラム方式で総出力20mW以上の半導体レーザーとなる様に、ガスレーザあるいは固体レーザー光源を1個以上使用するシングルビーム〜トリプルビームの露光装置
・フラットベッド方式で総出力20mW以上となる様に、半導体レーザー、ガスレーザあるいは固体レーザーを1個以上使用したマルチビーム(1〜10本)の露光装置
・外面ドラム方式で総出力20mW以上となる様に、半導体レーザー、ガスレーザあるいは固体レーザーを1個以上使用したマルチビーム(1〜9本)の露光装置
・外面ドラム方式で総出力20mW以上となる様に、半導体レーザーあるいは固体レーザーを1個以上使用したマルチビーム(10本以上)の露光装置
以上のようなレーザー直描型の平版印刷版原版においては、一般に感材感度X(J/cm2)、感材の露光面積S(cm2)、レーザー光源1個のパワーq(W)、レーザー本数n、全露光時間t(s)との間に式(eq1)が成立する。
X・S=n・q・t (eq 1)
i)内面ドラム(シングルビーム)方式の場合
レーザー回転数f(ラジアン/s)、感材の副走査長Lx(cm)、解像度Z(ドット/cm)、全露光時間t(s)の間には一般的に式(eq 2)が成立する。
f・Z・t=Lx (eq 2)
ii)外面ドラム(マルチビーム)方式の場合
ドラム回転数F(ラジアン/s)、感材の副走査長Lx(cm)、解像度Z(ドット/cm)、全露光時間t(s)、ビーム数(n)の間には一般的に式(eq 3)が成立する。
F・Z・n・t=Lx (eq 3)
iii)フラットヘッド(マルチビーム)方式の場合
ポリゴンミラーの回転数H(ラジアン/s)、感材の副走査長Lx(cm)、解像度Z(ドット/cm)、全露光時間t(s)、ビーム数(n)の間には一般的に式(eq 4)が成立する。
H・Z・n・t=Lx (eq 4)
実際の印刷版に要求される解像度(2560dpi)、版サイズ(A1/B1、副走査長42inch)、20枚/1時間程度の露光条件と本発明の平版印刷版原版の感光特性(感光波長、感度:約0.1mJ/cm2)を上記式に代入することで、本発明の平版印
刷版原版においては総出力20mW以上のレーザーを用いたマルチビーム露光方式との組み合わせが特に好ましいことが理解できる。さらに操作性、コスト等を掛け合わせることにより外面ドラム方式の半導体レーザーマルチビーム(10本以上)露光装置との組み合わせが最も好ましいことになる。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<支持体1の作製>
厚さ0.24mmのアルミニウム板(材質1050,調質H16)を65℃に保たれた5%水酸化ナトリウム水溶液に浸漬し、1分間の脱脂処理を行った後、水洗した。この脱脂アルミニウム板を、25℃に保たれた10%塩酸水溶液中に1分間浸漬して中和した後、水洗した。次いで、このアルミニウム板を、0.3質量%の塩酸水溶液中で、25℃、電流密度100A/dmの条件下に交流電流により60秒間、電解粗面化を行った後、60℃に保たれた5%水酸化ナトリウム水溶液中で10秒間のデスマット処理を行った。デスマット処理を行った粗面化アルミニウム板を、15%硫酸水溶液溶液中で、25℃、電流密度10A/dm、電圧15Vの条件下に1分間陽極酸化処理を行い、更に1%ポリビニルホスホン酸水溶液を用いて75℃で親水化処理を行って支持体を作製した。その表面粗さを測定したところ、0.44μm(JIS B0601によるRa表示)であった。
<支持体2の作製>
厚さ0.3mmのアルミニウム板を10質量%水酸化ナトリウム水溶液に60℃で25秒間浸漬してエッチングし、流水で水洗後、20質量%硝酸水溶液で中和洗浄し、次いで水洗した。これを正弦波の交番波形電流を用いて1質量%硝酸水溶液中で300クーロン/dm2の陽極時電気量で電解粗面化処理を行った。引き続いて1質量%水酸化ナトリウム水溶液中に40℃で5秒間浸漬後30質量%の硫酸水溶液中に浸漬し、60℃で40秒間デスマット処理した後、20質量%硫酸水溶液中、電流密度2A/dm2の条件で陽極酸化皮膜の厚さが2.7g/m2になるように、2分間陽極酸化処理した。その表面粗さを測定したところ、0.28μm(JIS B0601によるRa表示)であった。
このように処理されたアルミニウム板に、バーコーターを用いて次の下塗り層液(1)を塗布したあと80℃で20秒間乾燥した。乾燥後の下塗り層塗布質量は20mg/m2であった。
下塗り層液(1)
・下記ゾル液 100g
・メタノール 900g
ゾル液
・ホスマーPE(ユニケミカル(株)製、下記構造) 5g
・メタノール 45g
・水 10g
・85質量%リン酸 5g
・テトラエトキシシラン 20g
・3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン 15g
<支持体3の作製>
厚み0.3mmのアルミニウム板(材質JIS A1050)の表面の圧延油を除去するため、10質量%アルミン酸ソーダ水溶液を用いて50℃で30秒間、脱脂処理を施した後、毛径0.3mmの束植ナイロンブラシ3本とメジアン径25μmのパミス−水懸濁液(比重1.1g/cm3)を用いアルミニウム表面を砂目立てして、水でよく洗浄した。この板を45℃の25質量%水酸化ナトリウム水溶液に9秒間浸漬してエッチングを行い、水洗後、さらに60℃で20質量%硝酸に20秒間浸漬し、水洗した。この時の砂目立て表面のエッチング量は約3g/m2であった。
次に、60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。このときの電解液は、硝酸1質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む)、液温50℃であった。交流電源波形は、電流値がゼロからピークに達するまでの時間TPが0.8msec、duty比1:1、台形の矩形波交流を用いて、カーボン電極を対極として電気化学的な粗面化処理を行った。補助アノードにはフェライトを用いた。電流密度は電流のピーク値で30A/dm2、補助陽極には電源から流れる電流の5%を分流させた。
硝酸電解における電気量はアルミニウム板が陽極時の電気量175C/dm2であった。
その後、スプレーによる水洗を行った。
次に、塩酸0.5質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む)、液温50℃の電解液にて、アルミニウム板が陽極時の電気量50C/dm2の条件で、硝酸電解と同様の方法で、電気化学的な粗面化処理を行い、その後、スプレーによる水洗を行った。この板を15質量%硫酸(アルミニウムイオンを0.5質量%含む)を電解液として電流密度15A/dm2で2.5g/m2の直流陽極酸化皮膜を設けた後、水洗、乾燥した。その後、珪酸ナトリウム1質量%水溶液にて20℃で10秒処理した。
その表面粗さを測定したところ、0.54μm(JIS B0601によるRa表示)であった。
このように処理されたアルミニウム板に、バーコーターを用いて次の下塗り層液(2)を塗布したあと80℃で20秒間乾燥した。乾燥後の下塗り層塗布質量は12mg/m2であった。
<下塗り液(2)>
・下塗り化合物(1) 0.017g
・メタノール 9.00g
・水 1.00g
<感光層1の形成>
支持体上に、下記組成の感光層塗布液(1)をバー塗布した後、90℃、60秒でオーブン乾燥し、乾燥塗布量1.3g/m2の感光層を形成した。
<感光層塗布液(1)>
・下記バインダーポリマー(1)(質量平均分子量:8万) 0.34g
・重合性化合物(1) 0.68g
(PLEX6661−O、デグサジャパン製)
・下記増感色素(1) 0.06g
・下記重合開始剤(1) 0.18g
・下記連鎖移動剤(1) 0.02g
・ε―フタロシアニン顔料の分散物 0.40g
(顔料:15質量部、分散剤(アリルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(共重合
モル比83/17)):10質量部、シクロヘキサノン:15質量部)
・熱重合禁止剤 0.01g
N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩
・下記水溶性フッ素系界面活性剤(1) 0.001g
・ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン縮合物 0.02g
(旭電化工業(株)製、プルロニックL44)
・黄色顔料の分散物 0.04g (黄色顔料Novoperm Yellow H2G(クラリアント製):15質量部、分散剤(アリルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(共重合モル比83/17)):10質量部、シクロヘキサノン:15質量部)
・1−メトキシ−2−プロパノール 3.5g
・メチルエチルケトン 8.0g
<感光層2及び3の形成>
感光層塗布液(1)の連鎖移動剤(1)を各々連鎖移動剤(2)、連鎖移動剤(3)に替えて、感光層塗布液(2)、(3)を各々作製し、各々感光層塗布液(2)、(3)をバー塗布した後、90℃、60秒でオーブン乾燥し、乾燥塗布量1.3g/m2の感光層を各々形成した。
<感光層4の形成>
感光層塗布液(1)のバインダーポリマー(1)をメタクリル酸メチル/メタクリル酸−コポリマー(メタクリル酸メチル/メタクリル酸のモル比=90:5、酸価=28mgKOH/g、質量平均分子量=8万)に替えて、感光層塗布液(4)を作製し、感光層塗布液(4)をバー塗布した後、90℃、60秒でオーブン乾燥し、乾燥塗布量1.3g/m2の感光層を形成した。
<感光層5の形成>
感光層塗布液(1)のバインダーポリマー(1)をメタクリル酸メチル/メタクリル酸−コポリマー(メタクリル酸メチル/メタクリル酸のモル比=90:10、酸価=50mgKOH/g、質量平均分子量=8万)に替えて、感光層塗布液(5)を作製し、感光層塗布液(5)をバー塗布した後、90℃、60秒でオーブン乾燥し、乾燥塗布量1.3g/m2の感光層を形成した。
<感光層6の形成>
感光層塗布液(1)のバインダーポリマー(1)をメタクリル酸メチル/メタクリル酸−コポリマー(メタクリル酸メチル/メタクリル酸のモル比=70:30、酸価=195mgKOH/g、質量平均分子量=8万)に替えて、感光層塗布液(6)を作製し、感光層塗布液(6)をバー塗布した後、90℃、60秒でオーブン乾燥し、乾燥塗布量1.3g/m2の感光層を形成した。
<感光層7の形成>
感光層塗布液(1)のバインダーポリマー(1)をメタクリル酸メチル/メタクリル酸−コポリマー(メタクリル酸メチル/メタクリル酸のモル比=52:48、酸価=300mgKOH/g、質量平均分子量=8万)に替えて、感光層塗布液(7)を作製し、感光層塗布液(7)をバー塗布した後、90℃、60秒でオーブン乾燥し、乾燥塗布量1.3g/m2の感光層を形成した。
<感光層8の形成>
感光層塗布液(1)の重合性化合物(1)とバインダーポリマー(1)の添加量(重合性化合物/バインダーポリマー質量比=2)を各々0.612gと0.408g(重合性化合物/バインダーポリマー質量比=1.5)に替えて、感光層塗布液(8)を作製し、感光層塗布液(8)をバー塗布した後、90℃、60秒でオーブン乾燥し、乾燥塗布量1.3g/m2の感光層を形成した。
<感光層9の形成>
感光層塗布液(1)の重合性化合物(1)とバインダーポリマー(1)の添加量(重合性化合物/バインダーポリマー質量比=2)を各々0.793gと0.227g(重合性化合物/バインダーポリマー質量比=3.5)に替えて、感光層塗布液(9)を作製し、感光層塗布液(9)をバー塗布した後、90℃、60秒でオーブン乾燥し、乾燥塗布量1.3g/m2の感光層を形成した。
<感光層10、11の形成>
感光層塗布液(1)のバインダーポリマー(1)を下記バインダーポリマー(2)(質量平均分子量:10万)、バインダーポリマー(3)(質量平均分子量:15万)に替えて、各々感光層塗布液(10)、(11)を作製し、各々感光層塗布液(10)、(11)をバー塗布した後、90℃、60秒でオーブン乾燥し、乾燥塗布量1.3g/m2の感光層を各々形成した。
<感光層12の形成>
感光層塗布液(1)の増感色素(1)を各々増感色素(2)に替えて、感光層塗布液(12)を作製し、感光層塗布液(12)をバー塗布した後、90℃、60秒でオーブン乾燥し、乾燥塗布量1.3g/m2の感光層を各々形成した。
<保護層1の形成>
感光層上に、下記組成よりなる保護層塗布液(1)を、乾燥塗布量が1.0g/m2となるようにバーを用いて塗布した後、125℃、70秒で間乾燥して保護層を形成し、平版印刷版原版を得た。
保護層塗布液(1)
・下記雲母分散液(1) 0.6g
・スルホン酸変性ポリビニルアルコール 0.8g
(ゴーセランCKS−50、日本合成化学(株)製
[ケン化度:99モル%、平均重合度:300、変性度:約0.4モル%])
・ポリ(ビニルピロリドン/酢酸ビニル(1/1))(分子量7万) 0.001g
・界面活性剤(エマレックス710、日本エマルジョン(株)製) 0.002g
・水 13g
(雲母分散液(1)の調製)
水368gに合成雲母(ソマシフME−100、コープケミカル社製、アスペクト比:1000以上)の32gを添加し、ホモジナイザーを用いて平均粒径(レーザー散乱法)0.5μmになる迄分散し、雲母分散液(1)を得た。
<保護層2〜4の形成>
感光層上に、下記組成よりなる保護層塗布液(2)〜(4)を、乾燥塗布量が1.5g/m2となるようにバーを用いて塗布した後、125℃、70秒で間乾燥して保護層を各々形成し、平版印刷版原版を各々得た。
保護層塗布液(2)〜(4)
・スルホン酸変性ポリビニルアルコール 表1記載
(ゴーセランCKS−50、日本合成化学(株)製、
[ケン化度:99モル%、平均重合度:300、変性度:約0.4モル%])
・未変性ポリビニルアルコール 表1記載
(PVA105、クラレ(株)製、
[ケン化度:98モル%、平均重合度:500])
・ポリ(ビニルピロリドン/酢酸ビニル(1/1))(分子量7万) 0.001g
・界面活性剤(エマレックス710、日本エマルジョン(株)製) 0.002g
・水 13g
<保護層5の形成>
保護層塗布液(2)のスルホン酸変性ポリビニルアルコールをカルボキシ変性ポリビニルアルコール(SK−5102、クラレ(株)製[ケン化度98モル%、平均重合度200、変性度3モル%])に替えて保護層塗布液(5)を作製し、保護層塗布液(5)を、乾燥塗布量が1.5g/m2となるようにバーを用いて塗布した後、125℃、70秒で間乾燥して保護層を形成し、平版印刷版原版を得た。
<保護層6〜13の形成>
感光層上に、下記組成よりなる保護層塗布液(6)〜(13)を、乾燥塗布量が1.5g/m2となるようにバーを用いて塗布した後、125℃、70秒で間乾燥して保護層を各々形成し、平版印刷版原版を各々得た。
保護層塗布液(6)〜(13)
・PVA−205 表2記載
(部分加水分解ポリビニルアルコール、クラレ(株)製、鹸化度=86.5−89.5モル%、粘度=4.6−5.4Pa・s(20℃、4質量%水溶液中))
・PVA−105 表2記載
(完全加水分解ポリビニルアルコール、クラレ(株)製、鹸化度=98.0−99.0モル%、粘度=5.2−6.0mPa・s(20℃、4質量%水溶液中))
・PVA−405 表2記載
(部分加水分解ポリビニルアルコール、クラレ(株)製、鹸化度=88.0−83.0モル%、粘度=4.4−5.2mPa・s(20℃、4質量%水溶液中))
・ポリ(ビニルピロリドン/酢酸ビニル(1/1))(分子量7万) 0.001g
・界面活性剤(エマレックス710、日本エマルジョン(株)製) 0.002g
・水 13g
〔実施例1〜32及び比較例1〜3〕
(1)露光、現像および印刷
表3に示した上記の支持体、感光層、保護層を有する各々の平版印刷版原版を、FUJIFILM Electronic Imaging Ltd 製Violet半導体レーザープレートセッターVx9600(InGaN系半導体レーザー405nm±10nm発光/出力30mWを搭載)により画像露光を実施した。画像描画は、解像度2438dpiで、富士フイルム(株)製FMスクリーン(TAFFETA 20)を用い、50%の平網を、版面露光量0.05mJ/cm2で実施した。
次いで、100℃、30秒間のプレヒートを実施し、その後、下記組成の現像液1〜11を表3に示す通りに各々用い、図1に示す構造の自動現像処理機にて、現像液中への浸漬時間(現像時間)が、20秒となる搬送速度にて現像処理を実施した。
(以下単位は、g)
現像液 1 (pH9.7)
・水 8329.8
・炭酸ナトリウム 130
・炭酸水素ナトリウム 70
・ポリオキシエチレンナフチルエーテル 500
(日本乳化剤製、ニューコールB13)
・アラビアガム 250
・ヒドロキシアルキル化澱粉 700
(日澱化学製:ぺノンJE66)
・燐酸第一アンモニウム 20
・2-ブロモ-2-ニトロプロパン-1,3ジオール 0.1
・2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン 0.1
現像液2 (pH9.7)
・水 8619.8
・炭酸ナトリウム 200
・炭酸水素ナトリウム 100
・ポリオキシエチレンナフチルエーテル硫酸エステル塩 400(固形分換算)
(日本乳化剤製、ニューコールB4SN)
・アラビアガム 400
・燐酸変成澱粉 200
(日澱化学:ペトロコートHN25)
・EDTA 4Na 80
・2-ブロモ-2-ニトロプロパン-1,3ジオール 0.1
・2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン 0.1
現像液3 (pH9.7)
・水 8260
・炭酸カリウム 150
・炭酸水素カリウム 80
・アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩 350(固形分換算)
(三洋化成製、エレミノールMON)
・黄色デキストリン 800
(日澱化学:赤玉デキストリン102)
・第1燐酸アンモン 180
・ヘキサメタリン酸ソーダ 180
現像液4 (pH9.5)
・水 9109.8
・炭酸ナトリウム 200
・炭酸水素ナトリウム 140
・ポリオキシエチレンラウリルアミノエーテル 450
(竹本油脂製、pioninD3110)
・メチルセルロース 150
(ヘキストジャパン製、TYLOSE MH200K)
・酵素分解デキストリン 600
(日澱化学:アミコール)
・クエン酸 40
・燐酸第一アンモニウム 20
・プロピレングリコール 80
・2-ブロモ-2-ニトロプロパン-1,3ジオール 0.1
・2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン 0.1
現像液5 (pH9.8)
・水 8959.8
・炭酸水素ナトリウム 200
・炭酸水素ナトリウム 80
・アルキルナフタレンスルホン酸Na 500(固形分換算)
(花王製、ペレックスNBL)
・オクテニルコハク酸エステル化澱粉 900
(日澱化学:ナチュラルニスク)
・クエン酸 40
・燐酸第一アンモニウム 20
・プロピレングリコール 80
・2-ブロモ-2-ニトロプロパン-1,3ジオール 0.1
・2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン 0.1
現像液6 (pH9.5)
・水 8150
・炭酸ナトリウム 160
・炭酸水素ナトリウム 160
・N−ラウリルジメチルベタイン 500(固形分換算)
(竹本油脂製、pioninC157K)
・ポリビニルピロリドン 850
(日本触媒:ポリビニルピロリドン)
・ヘキサメタリン酸ソーダ 180
現像液7 (pH9.4)
・水 8349.8
・炭酸ナトリウム 60
・炭酸水素ナトリウム 240
・ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド 400(固形分換算)
(竹本油脂製、pioninB111)
・メチルセルロース 950
(信越化学:メトローズSM)
・2-ブロモ-2-ニトロプロパン-1,3ジオール 0.1
・2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン 0.1
現像液 8 (pH9.6)
・水 8429.8
・炭酸ナトリウム 50
・炭酸水素ナトリウム 150
・トリエタノールアミン 55
・ジエタノールアミン 55
・ポリオキシエチレンナフチルエーテル 500
(日本乳化剤製、ニューコールB13)
・アラビアガム 250
・ヒドロキシアルキル化澱粉 700
(日澱化学製:ペノンJE66)
・2-ブロモ-2-ニトロプロパン-1,3ジオール 0.1
・2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン 0.1
現像液9 (pH9.9)
・水 9379.8
・炭酸ナトリウム 130
・炭酸水素ナトリウム 70
・ポリオキシエチレンナフチルエーテル 500
(日本乳化剤製、ニューコールB13)
・燐酸第一アンモニウム 20
・2-ブロモ-2-ニトロプロパン-1,3ジオール 0.1
・2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン 0.1
現像液10 (pH11.9)
・水 8498.8
・炭酸カリウム 17
・KOH(48%) 14
・ポリオキシエチレンナフチルエーテル 500
(日本乳化剤製、ニューコールB13)
・アラビアガム 250
・ヒドロキシアルキル化澱粉 700
(日澱化学:ペノンJE66)
・燐酸第一アンモニウム 20
・2-ブロモ-2-ニトロプロパン-1,3ジオール 0.1
・2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン 0.1
現像液 11 (pH4.5)
・水 8529.8
・ポリオキシエチレンナフチルエーテル 500
(日本乳化剤製、ニューコールB13)
・アラビアガム 250
・ヒドロキシアルキル化澱粉 700
(日澱化学製:ペノンJE66)
・燐酸第一アンモニウム 20
・2-ブロモ-2-ニトロプロパン-1,3ジオール 0.1
・2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン 0.1
次いで、現像後の平版印刷版を、ハイデルベルグ社製印刷機SOR−Mに取り付け、湿し水(EU−3(富士フイルム(株)製エッチ液)/水/イソプロピルアルコール=1/89/10(容量比))とTRANS−G(N)墨インキ(大日本インキ化学工業(株)製)とを用い、毎時6000枚の印刷速度で印刷を行った。
(2)評価
<現像性>
平版印刷版原版を上記の通り露光、現像を行った。現像処理後に、平版印刷版の非画像部を目視確認し、感光層の残存を評価した。評価は、以下の基準で実施した。
感光層の残存なく良好な現像性:○、わずかな感光層の残存あるが現像性に問題なし:△、感光層が残存し、現像不良:×
<印刷画像形成性>
平版印刷版を上記の通り印刷を行い、1000枚目の印刷物において、非画像部の汚れ性、平網画像のムラ(インキ濃度のムラ)を評価した。非画像部の汚れ性は、非画像部にインキ汚れがある場合:×、非画像部にインキ汚れがない場合:○、平網画像のムラは、平網画像にインキ濃度ムラがある場合:×、わずかに平網画像にインキ濃度ムラがあるが問題ない範囲の場合:△、平網画像にインキ濃度ムラがなく、良好な画像が得られた場合:○として評価した。
<処理性>
上記の通り、自動現像処理機で、各々の平版印刷版原版を500m現像処理した際に、自動現像機の漕壁に付着したカスの発生状況を観察した。発生したカスは、主として、保護層のバインダーに起因するものである。評価は、カスの発生がない場合○、許容レベルの場合△、カス発生が顕著な場合×とした。
<耐刷性>
印刷枚数を増やしていくと徐々に平版印刷版上に形成された感光層の画像が磨耗しインキ受容性が低下するため、これに伴い、印刷用紙における画像のインキ濃度が低下する。そこで、インキ濃度(反射濃度)が印刷開始時よりも0.1低下したときの印刷枚数により、耐刷性を評価した。
以上の結果を表3に示す。
〔実施例33〕
FUJIFILM Electronic Imaging Ltd 製Violet半導体レーザープレートセッターVx9600(InGaN系半導体レーザー405nm±10nm発光/出力30mWを搭載)の半導体レーザーを出力100mWの半導体レーザーに載せ変え、実施例1の平版印刷版原版を版面露光量0.25mJ/cm2で画像露光した。次いで、プレヒートを実施することなく、現像液1用い、図1に示す構造の自動現像処理機にて、現像処理を実施した。これら以外は、実施例1と同様にして、現像性、印刷画像形成性、処理性、耐刷性の評価を実施し、実施例1と同様の良好な評価結果を得た。
〔実施例34〕
実施例1と同様にして、実施例1の平版印刷版原版を画像露光後、30秒以内に、富士フイルム(株)製自動現像機LP1250PLX(構成を図2に示した)を用いて、現像
処理を実施した。前記自動現像機は、プレヒートユニット/プレ水洗ユニット/現像ユニット/水洗ユニット/フィニッシングユニットの順番に構成されており、プレヒートユニットの加熱条件は、100℃、10秒間で行った。現像浴には、現像液1を仕込んだ。プレ水洗ユニット、水洗ユニット、フィニッシングユニットでは、液を供給せず、搬送の機能のみを使用した。現像処理以外は、実施例1と同様にして、現像性、印刷画像形成性、処理性、耐刷性の評価を実施し、実施例1と同様の良好な評価結果を得た。
自動現像処理機の構造を示す説明図である。 更なる自動現像処理機の構造を示す説明図である。
符号の説明
4 平版印刷版原版
6 現像部
10 乾燥部
16 搬送ローラ
20 現像槽
22 搬送ローラ
24 ブラシローラ
26 スクイズローラ
28 バックアップローラ
36 ガイドローラ
38 串ローラ
101:搬送ローラ対
102:搬送ローラ対
103:回転ブラシローラ
104:搬送ローラ対
105:搬送ローラ対
106:回転ブラシローラ
107:回転ブラシローラ
108:搬送ローラ対
109:搬送ローラ対
110:受けローラ
111:搬送ローラ対
112:搬送ローラ対
113:搬送ローラ対

Claims (9)

  1. 親水性支持体上に、(A)下記一般式(I)で表される350〜450nmに吸収極大を有する増感色素、(B)重合開始剤、(C)重合性化合物、(D)バインダーポリマーを含有する感光層と、保護層とをこの順に有する平版印刷版原版を、350〜450nmのレーザー露光した後、自動処理機により、炭酸イオン、炭酸水素イオン、界面活性剤及び水溶性高分子化合物を含有するpHが9〜11の現像液の存在下、保護層および非露光部の感光層を除去することを特徴とする平版印刷版の作製方法。
    ここで、R1、R2およびR3は、各々独立に、ハロゲン原子、置換基を有してもよいア
    ルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアラルキル基、−NR45基または−OR6基を表し、R4、R5およびR6は、各々独立に、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基または置換基を有してもよいアラルキル基を表し、k、mおよびnは、0または1〜5の整数を表す。
  2. 前記感光層に含有される(D)バインダーポリマーが、酸価10〜250mg−KOH/gであることを特徴とする請求項1に記載の平版印刷版の作製方法。
  3. 前記感光層に含有される(D)バインダーポリマーの質量に対する(C)重合性化合物の質量の比が、2〜4であることを特徴とする請求項1または2に記載の平版印刷版の作製方法。
  4. 前記保護層が、1種もしくはそれ以上のポリビニルアルコールを含有し、含有される全てのポリビニルアルコールの平均鹸化度が70モル%〜93モル%の範囲であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の平版印刷版の作製方法。
  5. 前記保護層が、少なくとも1種の酸変性ポリビニルアルコールを含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の平版印刷版の作製方法。
  6. 前記平版印刷版原版が、支持体と感光層の間に、さらに、下塗り層を有する平版印刷版原版であって、前記下塗り層が、エチレン性不飽和結合基、支持体表面に相互作用する官能基および親水性基を有する化合物を含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の平版印刷版の作製方法。
  7. 前記平版印刷版原版をレーザー露光した後、水洗工程を経ることなく、前記現像液存在下、非露光部の感光層の除去とガム引き処理を1液で行うことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の平版印刷版の作製方法。
  8. 前記平版印刷版原版をレーザー露光した後、水洗工程を経ることなく、前記現像液存在
    下、保護層及び非露光部の感光層の除去とガム引き処理を1液で行うことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の平版印刷版の作製方法。
  9. 前記現像液のpHが、9.3〜10.5であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の平版印刷版の作製方法。
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