JP2009244243A - 信号到来方位測定装置及び信号到来方位測定装置における信号到来方位の測定方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】インターフェロメータ方式を用いた電波到来方位の探知処理時に、電波の到来方位を正確に探知できる信号到来方位測定装置を提供する。
【解決手段】受信面を有する基台2及び面上一方向に配置された複数のアンテナ素子3を有するアレイアンテナ4と、各アンテナ素子3への入射方位角が変わるよう受信面の受信角度を変化させる駆動手段7と、受信面の受信角度で各受信信号の間の位相差を測定する位相差測定部9と、位相差に基づき到来波の入射方位毎の相関値を算出する相関処理部10と、第1の受信角度及び第2の受信角度で算出された入射方位毎の第1及び第2の相関値を記憶する記憶部11と、第2相関値に対し信号到来方位の角度変化量を補正して第1及び第2の相関値間に共通する角度値を受信信号の到来方位の真の到来方位として探知する到来方位探知部12とを備えて構成する。
【選択図】図1
【解決手段】受信面を有する基台2及び面上一方向に配置された複数のアンテナ素子3を有するアレイアンテナ4と、各アンテナ素子3への入射方位角が変わるよう受信面の受信角度を変化させる駆動手段7と、受信面の受信角度で各受信信号の間の位相差を測定する位相差測定部9と、位相差に基づき到来波の入射方位毎の相関値を算出する相関処理部10と、第1の受信角度及び第2の受信角度で算出された入射方位毎の第1及び第2の相関値を記憶する記憶部11と、第2相関値に対し信号到来方位の角度変化量を補正して第1及び第2の相関値間に共通する角度値を受信信号の到来方位の真の到来方位として探知する到来方位探知部12とを備えて構成する。
【選択図】図1
Description
本発明は、相関処理方式を用いて受信信号の到来方位を探知する方位探知処理に用いて好適な信号到来方位測定装置及び信号到来方位測定装置における信号到来方位の測定方法に関する。
電波の到来方位を測定するための技術として、インターフェロメータ方式が知られている。この方式は、複数のアンテナ素子で受信された受信信号の間の位相差をもとに信号の到来方位を測定する方探方式である。従来、位相差をもとに信号の到来方位を決定する方法として、予め算出された方位毎の理論上の位相差と、実測された位相差との相関処理を行うことにより、信号到来方位を決定する方法が知られており、この方法では相関値の高い方位が信号の到来方位とされている。
電磁波の到来方位を測定する技術に関しては、方探信号波形が緩やかな場合でも、電磁波の到来方位をより正確に、また短時間に測定可能な方位測定装置及び方位測定方法が提案されている(特許文献1参照)。
特開2001−59861号公報
しかし、実環境で信号の到来方位を測定する際には、測定環境などの様々な要因で位相誤差が発生する。従来の技術では、一番相関係数の高い方位を真方位としているが、相関係数の一番高い方位が決して実際の信号到来方位(以降、真方位と呼ぶ)であるとは限らない。実環境では真方位において相関係数のピークが現れないことが生じる。位相誤差が大きい場合でも、到来方位を測定できる処理方法が必要である。
このように、インターフェロメータ方式を用いた相関処理による到来方位の測定方式には、様々な要因の位相誤差により真方位を算出することが困難であるという課題がある。理論上、到来波の波面と大地面とが成す角度は−90度から+90度までの間の値をとり、この範囲の角度値を持つ到来方位に対して相関係数は1つのピーク値を有する。真方位は−90度から+90度までの間の一つの値に決まる。横軸を到来方位とし縦軸を相関係数とするグラフを生成した場合、グラフには複数のピーク値が出現する。位相差は−180度から+180度までの値をとるが、この位相差は2πの整数倍の不定性を有するため、実測された位相差を用いて相関演算が行われると、相関処理により得られた相関値にはピークが1箇所だけ現れるとは限らない。相関値中で本来ピークが現れる真方位においてピークが現れないことも生じる。
そこで、本発明は、上記の課題に鑑み、インターフェロメータ方式を用いて信号電波の到来方位を測定する場合、位相誤差が生じる環境下においても、電波の到来方位を正確に探知することが可能な信号到来方位測定装置及び信号到来方位測定装置における信号到来方位の測定方法を提供することを目的とする。
このような課題を解決するため、本発明の一態様によれば、受信面を有する基台、及びこの受信面上で一方向に配置された複数のアンテナ素子を有するアレイアンテナと、この基台を駆動することによって、各アンテナ素子へ到来する到来波の波面及び大地面が成す入射方位角が変わるようにこの到来波の到来方位に対する前記受信面の受信角度を変化させる駆動手段と、この駆動手段により変えられた前記受信面の受信角度において、これらのアンテナ素子で受信された受信信号の間の位相差を測定する位相差測定部と、この位相差に基づき到来波の入射方位毎の相関値を算出する相関処理部と、前記受信面が第1の受信角度であるときに算出された到来波の入射方位毎の第1相関値と、前記受信面が第2の受信角度であるときに算出された到来波の入射方位毎の第2相関値とを記憶する記憶部と、この第2相関値に対し、前記受信面がこの第1の受信角度からこの第2の受信角度へ変化した際の信号到来方位の角度変化量を補正することにより、前記第1相関値と前記第2相関値とに共通する角度値を、受信信号の到来方位の真の到来方位として探知する到来方位探知部と、を備えたことを特徴とする信号到来方位測定装置が提供される。
また、本発明の別の一態様によれば、受信面を有する基台と、それぞれこの受信面上で一方向に配置された複数のアンテナ素子とを有し、この基台が、各アンテナ素子へ到来する到来波の波面及び大地面が成す入射方位角が変わるように駆動されるアレイアンテナを用いて、前記受信面が第1の受信角度であるときのこれらのアンテナ素子で受信された受信信号の間の位相差を測定するステップと、この位相差に基づき到来波の入射方位毎の第1相関値を算出するステップと、前記アレイアンテナを用いて、前記受信面が第2の受信角度であるときの前記複数のアンテナ素子で受信された受信信号の間の位相差に基づいて、到来波の入射方位毎の第2相関値を算出するステップと、この第2相関値に対し、前記受信面が前記第1の受信角度から前記第2の受信角度へ変化した際の信号到来方位の角度変化量を補正することにより補正相関値を算出するステップと、前記第1相関値及びこの補正相関値の間に共通する角度値を、受信信号の到来方位の真の到来方位として出力するステップと、を備えたことを特徴とする信号到来方位測定装置における信号到来方位の測定方法が提供される。
本発明によれば、インターフェロメータ方式を用いて電波の到来方位を探知する処理において、位相誤差が生じる環境下で信号電波を受信する場合でも、電波の到来方位を正確に探知することができるようになる。
以下、本発明の実施の形態に係る信号到来方位測定装置及び信号到来方位測定装置における信号到来方位の測定方法について、図1乃至図5を参照しながら説明する。尚、各図において同一箇所については同一の符号を付すとともに、重複した説明は省略する。
本発明の一実施形態に係る信号到来方位測定装置は、アレイ状に配置した複数のアンテナ素子を有するアレイアンテナで得られる受信信号に基づき位相差方探処理を行って、信号の到来方位の推定値を算出するものである。本実施形態に係る信号到来方位測定装置における信号到来方位の測定方法は、この信号到来方位測定装置がこの位相差方探処理を行う際に、受信信号の真の到来方位を探知する方法である。
(構成)
図1は本実施形態に係る信号到来方位測定装置の構成図である。左右方向はアンテナ素子の配列方向である。信号到来方位測定装置1は、基台2を有し、複数のアンテナ素子3をこの基台2上に一方向に配置してなるアレイアンテナ4と、基台2の下面に取り付けられ、その長手方向中央部に設けた支点軸5を中心にシーソー状に回動可能にされた支持体6を有する駆動手段7と、アレイアンテナ4を介して受信された受信信号に基づき相関演算処理を行う相関演算処理部8とを備えている。
図1は本実施形態に係る信号到来方位測定装置の構成図である。左右方向はアンテナ素子の配列方向である。信号到来方位測定装置1は、基台2を有し、複数のアンテナ素子3をこの基台2上に一方向に配置してなるアレイアンテナ4と、基台2の下面に取り付けられ、その長手方向中央部に設けた支点軸5を中心にシーソー状に回動可能にされた支持体6を有する駆動手段7と、アレイアンテナ4を介して受信された受信信号に基づき相関演算処理を行う相関演算処理部8とを備えている。
各アンテナ素子3はベースライン長を隔てて基台2の水平面上に一方向に配列されている。アレイアンテナ4の出力側には図示しない受信機が接続されており、この受信機からの受信データが相関演算処理部8に入力されている。
一例として、支持体6は固定基台に立設された2つの壁部の間に軸架されており、支点軸5にはモータ軸が挿通されている。モータなどの駆動手段がこのモータ軸を回転させることにより、基台2は、支点軸5の周りを時計回り及び反時計回りに回転可能にされている。これらの固定基台、支持体6及び駆動手段が協働することによって駆動手段7の機能は実現されている。
駆動手段7が基台2の基板面を水平に保持している状態では、アレイアンテナ4は、各アンテナ素子3の形状や種別によって決まる方向にアンテナパターンを有する。電波は、アンテナ素子配列方向に直交する平面に対し、この電波の波面が所定の受信方位θをもって交差するように、各アンテナ素子3へ入射する。駆動手段7が基台2を支点軸5の周りに回転することによって、各アンテナ素子3へ到来する電波の受信方位θが変えられるようになっている。アンテナ素子3の配列方向と電波到来方向のアジマス角とが一致するように各アンテナ素子3が配置されているため、電波の入射方位角からこの電波の到来方向を探知可能にされている。電波の到来方位とは、電波の入射方位角を指す。
相関演算処理部8は、大地面に対する基台2の素子取り付け面の回転角が駆動手段7により決められた状態において、各アンテナ素子3で受信された受信信号の間の位相差を測定する位相差測定部9と、この位相差に基づき到来波の受信方位θ毎の相関値を算出する相関処理部10と、この相関処理部10により算出された受信方位θ毎の相関値を記憶する記憶部11と、基台2面の大地面に対する回転角が変化した際の信号到来方位の角度変化量を補正する演算を行うことにより、複数の相関値の間で共通する角度値を、受信信号の到来方位の真の到来方位として探知する到来方位探知部(到来方向探知部)12と、駆動手段7の駆動を制御する駆動制御部13とを備えている。
相関処理部10は、ピーク値及び予め保持する閾値を比較することによって相関係数の高低を判定しており、最も相関係数が高い方位を方探結果として出力する。到来方位探知部12は信号の到来方位を推定する。この到来方位探知部12が行う到来方位の推定アルゴリズムは、MUSIC(Multiple Signal Classification)法、ESPRIT(Estimation of Signal Parameters via Rotational Invariance Techniques)法といった固有値を分解する手法あるいはこれらの変形であるルートMUSICやユニタリESPRIT法や、FFT(高速フーリエ変換)を用いたビームフォーマ法や、相関行列の逆行列演算を含むCapon法などを用いることができる。
(作用)
このような構成の信号到来方位測定装置1へ電波が到来した場合の信号到来方位の測定方法の処理手順について図2を参照して説明する。図2は信号到来方位の測定処理の手順を説明するためのフローチャートである。任意の方位θから到来する信号は、間隔D1〜Dn-1でアレイ状に配列された複数のアンテナ素子A1〜Anにより受信される。位相差測定部9は、それぞれの素子を介して受信された受信信号の間の位相差を測定し(S1)、相関処理部10が相関処理をすることで(S2)、到来波の到来方位が算出される。相関処理では、受信データから各アンテナ素子A1〜An間の位相差のデータを算出して得た位相差の実測値と、理論値及び予測される位相誤差より求めた位相差の期待値とを相関処理部10が相関処理を行う。結果、図3に示す各方位の相関値ないしは相関係数が得られる。
このような構成の信号到来方位測定装置1へ電波が到来した場合の信号到来方位の測定方法の処理手順について図2を参照して説明する。図2は信号到来方位の測定処理の手順を説明するためのフローチャートである。任意の方位θから到来する信号は、間隔D1〜Dn-1でアレイ状に配列された複数のアンテナ素子A1〜Anにより受信される。位相差測定部9は、それぞれの素子を介して受信された受信信号の間の位相差を測定し(S1)、相関処理部10が相関処理をすることで(S2)、到来波の到来方位が算出される。相関処理では、受信データから各アンテナ素子A1〜An間の位相差のデータを算出して得た位相差の実測値と、理論値及び予測される位相誤差より求めた位相差の期待値とを相関処理部10が相関処理を行う。結果、図3に示す各方位の相関値ないしは相関係数が得られる。
図3は各方位と各方位に対する相関値との関係をグラフ化して示す図である。横軸は方位θ、縦軸は相関値をそれぞれ表す。横軸は180度を全範囲とし、この方位θを−90[deg.]から+90[deg.]に亘って表したものである。ここで、相関処理部10は、相関値の高いピークを導き出す(図2のS3)。相関処理部10は予め閾値を決めておき、複数の箇所に現れているこれらのピークのうち、この閾値よりも大きいピーク値を有するピークを抽出し、抽出したピークについての相関値を記憶部11へ書き込む。抽出する個数は1つ又は2つ以上である。閾値及び抽出個数はいずれも種々変更可能である。この相関値は基台2が受信方位θに対応する回転角であるときに算出された到来波の受信方位毎の相関値(第1の相関値)である。駆動制御部13は駆動手段7に対して駆動指令を行う。
また、到来する信号に対し、図1に示すように受信方位角がθからθ+αに変化するよう駆動手段7は基台2を回転する(S4)。位相差測定部9は、各アンテナ素子3の受信信号の間の位相差を測定する(S5)。相関処理部10は再び相関処理を行い(S6)、相関値の高いピークを算出する(S7)。相関処理部10はこのピークの相関値を記憶部11へ書き込む。この相関値は基台2が受信方位θ+αに対応する位置であるときに算出された到来波の受信方位毎の相関値(第2の相関値)である。
到来方位探知部12は、到来する信号に対して、変化させた分の角度αを補正することで(S8)、変化させる前の相関値と、変化させた後の相関値との間で、ピークのある方位を確認する(S9)。到来方位探知部12は、数回、受信方位を変化させて測定を行い、ピーク方位を確認することによって、これらの測定によって得られた相関値の間で共通な方位を到来信号の到来方位とする(S10)。
図4は複数の相関値の間で共通な方位を特定する方法を説明するための図である。図4(a)は1回目の測定によって得られた相関値を示す図であり、θ=θ0及びα=0である場合の例である。−30[deg.]及び45[deg.]の2方位に、相関値のピークが現れている。図4(b)は2回目の測定によって得られた相関値を示す図であり、図4(a)の状態から基台2の受信面の受信角度を回転させた場合の例(θ=θ0+15及びα=15)である。図4(c)は3回目の測定によって得られた相関値を示す図であり、図4(b)の状態からこの受信角度を更に回転させた場合の例(θ=θ0+30及びα=30)である。図4(a)から図4(c)までの3つの相関値を示す各図中でそれぞれ値のピークが現れている2つの方位を比べると、図4(a)において方位45[deg.]に出ているピークは図4(b)では方位60[deg.]に出ており、このピークは図4(c)では方位75[deg.]に出ている。このピークが現れる方位の値は15[deg.]ずつ変化している。一方、図4(a)において方位−30[deg.]に出ている値のピークは、図4(b)では方位−15[deg.]よりもやや小さい値をとる方位に出ており、このピークは図4(c)では方位0[deg.]よりもやや小さい値をとる方位に出ている。このピークが現れる方位の値は15[deg.]ずつ変化していない。信号の到来方位を15[deg.]又は30[deg.]変化させた場合、一方のピークの方位は、変化分15[deg.]や30[deg.]に対応して変化しているが、他方のピークの方位は、変化分15[deg.]又は30[deg.]に対応して変化していない。到来方位探知部12は45[deg.]を、3つの相関値の間で共通な方位と特定する。到来方位探知部12は、基台2が角度θの位置から角度θ+αの位置へ変化した際の信号到来方位の角度変化量αを、この角度θ+αの位置での相関値から差し引く補正演算を行うことにより、2つあるいは3つ以上の相関値の間で共通する角度値45を、受信信号の到来方位の真の到来方位として探知するようにしている。補正した結果のデータの一例を図5に示す。
図5は到来方位探知部12が受信方位を変化させて補正した後のデータである。横軸は角度変化量αである方位αを表し、縦軸は補正演算された後の相関値を表す。補正された結果のデータは、受信方位を1[deg.]ステップずつ0[deg.]から45[deg.]まで変化させた場合の例である。到来方位探知部12が相関係数を、そのピーク値が高い方から3つ取得してプロットした結果である。プロットの◆は1回目の測定によって得られた相関値そのものを表す。プロットの□(図中では黒色の四角形で表されている)は2回目の測定によって得られた相関値に対し15度差し引く補正演算が行われた後の相関値を表す。プロットの▲は3回目の測定によって得られた相関値に対し30度差し引く補正演算が行われた後の相関値を表す。3つのプロット列について縦軸の値が45[deg.]であるラインをそれぞれ着目すると、1回目の測定によって得られた相関値そのものと、2回目に測定された相関値について15度分の補正が行われた後の補正相関値と、3回目に測定された相関値について30度分の補正が行われた後の補正相関値とがともにほぼ同一直線上にのっている。本実施形態に係る信号到来方位測定装置1では、到来方位探知部12がこの同一直線上にのっている45[deg.]を真の方位と推定する。
一方、縦軸の値が−30[deg.]であるラインを着目すると、2回目に測定された相関値について15度分の補正が行われた後の補正相関値と、3回目に測定された相関値について30度分の補正が行われた後の補正相関値とについてプロットされている。これらの2本のプロット列の補正相関値は方位αが15度を超えた付近から小さくなる。アンテナ素子3間の経路差が到来波の波長の整数倍と等しくなると、位相折り返しが発生する。15度から30度の間の位相折り返し点を挟んで、補正相関値は90[deg.]のラインに連なる。この90[deg.]のライン上でも、補正相関値は方位αの増加に対し漸減する。−30[deg.]のライン及び90[deg.]のラインはいずれも偽の方位であるため、方位αを変えて測定をした後にプロットされた場合、補正相関値は、同じレベルを保つことができずあるいは到来波を観測することができない。従って直線状の結果が得られない。この場合、到来方位探知部12は−30[deg.]を偽の方位と推定する。
図5の例の場合、補正後のデータは45[deg.]で常にピークを有し、到来方位探知部12は信号到来方位を45[deg.]と推定する。プロット列◆は一番大きい相関係数が得られた時の方位、プロット列□は二番目に大きい相関係数が得られた時の方位、▲は三番目に大きい相関係数が得られた時の方位を示している。
以上のように、複数のアンテナ素子2間の位相差を測定した結果と、期待値との相関処理を行うことで、信号到来方位測定装置1は、信号到来方位を求めることができる。位相誤差が大きい場合には、相関処理をした結果、真方位の位置だけに相関係数のピークが発生するのみならず、他の方位(以降、偽方位と呼ぶ)の位置でもピークが発生する。真方位でのピーク値よりも偽方位でのピーク値が大きい場合が生じることがあり、従来の技術では、この場合、相関処理された結果、信号到来方位を推定する装置によって偽方位が真方位と推定されてしまう。真方位と異なる偽方位を真の方位として検出されることが発生することを防ぐ方法として、本実施形態に係る信号到来方位測定装置1は、アンテナ素子2が受信する信号の方位を変化させる方法を用いている。真方位のピークはアンテナ素子2が受信する方位を変化させた角度変化量に応じて、ピーク位置がその変化量だけ変化する。偽方位に関しては、受信方位が変化すると、ピークがその角度変化量と等しい角度だけずれて現れない場合が生じ、あるいはピークの大きさが弱まる。この特性を用いることにより、信号到来方位測定装置1は、偽方位が出る場合でも真方位の検出を精度よく行えるようになる。
以上述べたようにこの信号到来方位測定装置1によれば、信号到来方位を測定する際に複数回の相関処理を行って、各相関処理で得た相関値の間で共通する相関値を検出するようにした結果、偽方位を減らすことができ、正確な方位を算出することができるようになる。
このようにして、本実施形態に係る信号到来方位測定装置1及び信号到来方位の測定方法によれば、位相誤差が生じる環境下においても、電波の到来方位を正確に探知することができるようになる。
受信角度を変化させることによって、相関結果のピークはその角度分、移動する。偽方位に関しては、常に相関値が高いとは限らないので、複数の角度で受信し、受信して得た結果に補正処理を行うことによって、どの方位から信号が到来しているかを求めることができるようになる。信号の到来方位θが変化するように基台2が駆動された場合、真方位のピークが現れる方位は、その変化させた角度分変化する。しかし、偽方位のピークについての方位の変化量は、信号到来方位θの変化分に対応しないため、信号到来方位測定装置1は、図4の左側のピークなど、角度変化量に対応してその方位が変化しないピークが偽方位であると判別することができる。信号到来方位測定装置1は、信号の到来方位の変化分を補正し、真方位と偽方位とを判別することで、真方位を算出することができるようになる。図4の例では1つの相関値にピークが2つ現れていたが、1つの相関値にピークが3つ以上現れる場合も信号到来方位測定装置1は2つの場合の例と同じ補正演算を行う。信号到来方位測定装置1は、方位の変化分が信号到来方位θの変化分に対応しているピークを補正処理により求めることによって真方位のピークを特定する。
(変形例)
上記実施形態では、信号到来方位測定装置1は、駆動手段7が基台2を回転駆動していたが、本発明の実施の形態に係る信号到来方位測定装置は、基台2を水平方向に左右移動させることができる駆動機構を用いてもよい。この変形例に係る信号到来方位測定装置では、基台2が右方向に移動した場合、各アンテナ素子3へ到来する電波の受信方位θは移動方向に対して大きくなり、基台2が左方向に移動すると、受信方位θは移動方向に対して小さくなる。このような構成により、信号到来方位測定装置は上記実施形態の例と同じように動作し、上述した効果と同じ効果を得られる。この変形例に係る信号到来方位測定装置によれば、水平方向の移動だけを可能とする簡単な構成の駆動手段を用いることができる。
上記実施形態では、信号到来方位測定装置1は、駆動手段7が基台2を回転駆動していたが、本発明の実施の形態に係る信号到来方位測定装置は、基台2を水平方向に左右移動させることができる駆動機構を用いてもよい。この変形例に係る信号到来方位測定装置では、基台2が右方向に移動した場合、各アンテナ素子3へ到来する電波の受信方位θは移動方向に対して大きくなり、基台2が左方向に移動すると、受信方位θは移動方向に対して小さくなる。このような構成により、信号到来方位測定装置は上記実施形態の例と同じように動作し、上述した効果と同じ効果を得られる。この変形例に係る信号到来方位測定装置によれば、水平方向の移動だけを可能とする簡単な構成の駆動手段を用いることができる。
また、上記実施形態では、駆動手段7が、基台2に装着された支持体6をシーソー状に回動していたが、本発明の実施の形態に係る信号到来方位測定装置は、支持体6の一端部を固定基台に回動支点として軸止めし、この支持体6の他端部をこの支点の周りに回動させるようにした駆動手段を用いてもよい。このような構成が用いられた場合、駆動手段を簡素化することができる。
尚、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。
また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
1…信号到来方位測定装置、2…基台、3…アンテナ素子、4…アレイアンテナ、5…支点軸、6…支持体、7…アンテナ駆動機構、8…相関演算処理部、9…位相差測定部、10…相関処理部、11…記憶部、12…到来方位探知部、13…駆動制御部。
Claims (4)
- 受信面を有する基台、及びこの受信面上で一方向に配置された複数のアンテナ素子を有するアレイアンテナと、
この基台を駆動することによって、各アンテナ素子へ到来する到来波の波面及び大地面が成す入射方位角が変わるようにこの到来波の到来方位に対する前記受信面の受信角度を変化させる駆動手段と、
この駆動手段により変えられた前記受信面の受信角度において、これらのアンテナ素子で受信された受信信号の間の位相差を測定する位相差測定部と、
この位相差に基づき到来波の入射方位毎の相関値を算出する相関処理部と、
前記受信面が第1の受信角度であるときに算出された到来波の入射方位毎の第1相関値と、前記受信面が第2の受信角度であるときに算出された到来波の入射方位毎の第2相関値とを記憶する記憶部と、
この第2相関値に対し、前記受信面がこの第1の受信角度からこの第2の受信角度へ変化した際の信号到来方位の角度変化量を補正することにより、前記第1相関値と前記第2相関値とに共通する角度値を、受信信号の到来方位の真の到来方位として探知する到来方位探知部と、を備えたことを特徴とする信号到来方位測定装置。 - 前記基台は、前記大地面と、アンテナ素子配列方向に直交する面とに直交する平面上でこの平面に直交する軸の周りに回転可能に支持されており、前記駆動機構が、この基台をこの軸の周りに回転させることを特徴とする請求項1記載の信号到来方位測定装置。
- 前記基台はアンテナ素子配列方向に沿って移動可能に支持されており、前記駆動機構が、このアンテナ素子配列方向に沿ってこの基台を変位させることを特徴とする請求項1記載の信号到来方位測定装置。
- 受信面を有する基台と、それぞれこの受信面上で一方向に配置された複数のアンテナ素子とを有し、この基台が、各アンテナ素子へ到来する到来波の波面及び大地面が成す入射方位角が変わるように駆動されるアレイアンテナを用いて、前記受信面が第1の受信角度であるときのこれらのアンテナ素子で受信された受信信号の間の位相差を測定するステップと、
この位相差に基づき到来波の入射方位毎の第1相関値を算出するステップと、
前記アレイアンテナを用いて、前記受信面が第2の受信角度であるときの前記複数のアンテナ素子で受信された受信信号の間の位相差に基づいて、到来波の入射方位毎の第2相関値を算出するステップと、
この第2相関値に対し、前記受信面が前記第1の受信角度から前記第2の受信角度へ変化した際の信号到来方位の角度変化量を補正することにより補正相関値を算出するステップと、
前記第1相関値及びこの補正相関値の間に共通する角度値を、受信信号の到来方位の真の到来方位として出力するステップと、
を備えたことを特徴とする信号到来方位測定装置における信号到来方位の測定方法。
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JP2008095174A JP2009244243A (ja) | 2008-03-11 | 2008-04-01 | 信号到来方位測定装置及び信号到来方位測定装置における信号到来方位の測定方法 |
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