JP2009244133A - 可動テーブル装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 環状の固定ベース1と、この固定ベースの内側に設けた可動テーブル2と、この可動テーブ2と上記固定ベース1との間に介在させたバネ部3a〜3dと、上記固定ベース1または可動テーブル2のいずれか一方に固定し、上記可動テーブルまたは固定ベースのいずれか他方に対して伸長力または収縮力を作用させて可動テーブルを固定ベースに対して移動させるための軸方向に伸縮可能なピエゾ素子4とを備えた可動テーブル装置を前提とする。そして、上記可動テーブル2の移動に伴って歪みが発生する歪発生部位7に歪ゲージ8を取り付け、この歪ゲージ8の検出値に基づいて上記可動テーブルの移動量を検出する構成にした。
【選択図】 図1
Description
このような装置では、ピエゾ素子への印加電圧を変えれば、ピエゾ素子の伸縮量が変化し、結果として可動テーブルの移動量も変化するので、印加電圧を制御して可動テーブルの移動量を制御することが可能である。
しかし、実際には、ピエゾ素子の印加電圧とピエゾ素子の伸縮量との関係にはヒステリシスがあり、電圧の制御だけで、可動テーブルの移動量を正確に制御することは難しい。そのため、ピエゾ素子に歪ゲージを取り付け、ピエゾ素子の歪量を検出して、これに基づいて可動テーブルの移動量を算出していた。
例えば、ピエゾ素子に取り付けた歪ゲージで検出された歪量と実際の可動テーブルの移動量である変位量との関係を表わしたグラフは、図9に示すようになる。
なお、従来の可動テーブル装置は、ピエゾ素子に歪ゲージを取り付けたものであるが、その他の構造についての詳細な説明は省略する。
特に、ピエゾ素子を利用した可動テーブル装置としては、数十[nm]の分解能を要求される用途もあり、そのような場合には、上記のような従来の可動テーブル装置では、要求に応えられない。
この発明の目的は、単純な構造で製造コストを抑えながら、可動テーブルの変位量の検出精度を高めることができる可動テーブル装置を提供することである。
第3の発明は、第2の発明を前提とし、上記梁が、平等強さ梁である点に特徴を有する。
特に、第3の発明は平等強さ梁に歪ゲージを取り付けているが、平等強さ梁は、先端に外力を作用させたとき、梁の全体にわたって均一に応力が発生するので、歪ゲージを取り付ける位置が多少ずれても同じ検出値を得ることができる。そのため、歪ゲージの取り付け位置をラフにすることができ、装置の組立作業の作業性が向上する。
なお、この第1実施形態では、上記固定ベース1、可動テーブル2およびバネ部3a〜3dを一体的に形成している。ただし、上記固定ベース1及び可動テーブル2は、バネ部3a〜3dと比べて、圧倒的に剛性が高く、ほとんど剛体とみなせるものである。
また、実際には、初期状態でピエゾ素子4が固定ベース1に対して与圧を作用させ、各バネ部3a〜3dを僅かに撓ませた状態に設定している。このように、初期状態で与圧を作用させるようにしたのは、上記可動テーブル2のがたつきを無くすためである。
例えば、図示の初期状態で、ピエゾ素子4に電圧を印加して伸長させると、ピエゾ素子4の先端は矢印a方向の押圧力を固定ベース1に作用させ、この押圧力の反作用で可動テーブル2は各バネ部3a〜3dを撓ませながら、矢印b方向へ移動する。
言い換えれば、この第1実施形態の可動テーブル装置では、上記ピエゾ素子4の軸線の両側であって、可動テーブル2の移動方向前後に4個のバネ部3a〜3dを対向配置させている。このように、可動テーブル2を固定ベース1に連結する4個のバネ部3a〜3dを配置したのは、上記ピエゾ素子4の伸縮によって移動する可動テーブルが、ピエゾ素子4の軸線に対してヨーイングし難くするためである。ピエゾ素子4の軸線方向に移動する可動テーブル2を、上記軸線の両側であって可動テーブル2の移動方向前後に設けたバネ部3a〜3dが、可動テーブル2の直線的な移動を保持する機能を発揮する。
また、図2は図1の部分Aの拡大図であるが、この図2に示すように、上記梁7は、固定ベース1から可動テーブル2に向かって突出した連結用突部1aに形成した梁であり、先端7aに向かって幅を狭くした平等強さ梁である。
そして、可動テーブル2には、上記連結用突部1aの近傍に連結用突部2aを形成し、この連結用突部2aに細い連結片9の一端を設けてその先端を、上記梁7の先端7a付近に連結している。つまり、上記梁7は、その一方側である先端7a側を上記連結片9及び上記連結用突部2aを介して可動テーブル2に固定し、他方の側を上記連結用突部1aによって固定ベース1に固定している。
このように梁7が撓んだとき、その歪量を上記歪ゲージ8が検出する。なお、可動テーブル2が、上記矢印bとは反対方向に移動した場合には、梁7に作用するb方向の力が小さくさり、梁7の歪量が変化する。
なお、上記実験では、従来装置として、図1に示す第1実施形態の可動テーブル装置の歪ゲージ8をピエゾ素子4に貼り付け、その他の構成は、この第1実施形態の装置を同じにしたものを用いている。
上記したように、可動テーブル2の変位量を直接計測するのではなく、他の部分に取り付けた歪ゲージ8の検出値を用いて検出するようにした場合、歪ゲージ8の歪量と可動テーブル2の変位量との関係にヒステリシスが発生したり、非直線関係となってしまったりするのは、ピエゾ素子4の駆動力が可動テーブル2に伝達される過程で、中間に位置する部材の弾性や寸法誤差のほか、その部材の機械的性質の影響があると予想される。
例えば、バネ部材に対して外力を作用させた場合にも、伸び過程と収縮過程とで、同じ外力に対して全く同じ変位量とならないことがある。つまり、バネ部材にもヒステリシスがある。
また、繰り返しの駆動によって、ピエゾ素子4の先端4aと固定ベース1の当接部における当接状態に変化が生じることもある。例えば、先端部4aが磨耗したり、固定ベース側が凹んだりした場合にも、検出値に誤差を生じる。
そこで、他の構成部材の影響を受け難く、可動テーブル2の変位量をより忠実に反映する歪発生部位として、固定ベース1と可動テーブル2との間に歪ゲージ8を設けることにした。これにより、歪ゲージ8が検出する歪量と可動テーブル2の変位量との関係のヒステリシスを小さくすることができた。
なお、この第1実施形態の梁7は、先端7aに向かって細くなる平等強さ梁であるが、平等強さ梁は先端7a側に外力が作用したとき、梁7に発生する応力が、梁の長さ方向において均一になるという性質を持っている。そのため、上記梁7上において歪ゲージ8を貼り付ける位置が多少ずれても、作用する外力が同じならば、同じ歪量を検出できることになり、平等強さ梁7を用いれば、歪ゲージ8の取り付け精度をラフにできるというメリットがある。上記歪ゲージ8の取り付け精度をラフにできれば、装置の組立作業性が向上し、コスト低減にもつながる。
図5に示す第2実施形態の可動テーブル装置は、この発明の歪発生部位として、第1実施形態の梁7に替えて均一厚さ梁10を用い、この梁10に歪ゲージ8を貼り付けた装置である。梁10の形状以外は上記第1実施形態と同様の構成なので、上記第1実施形態と同様の構成要素には、第1実施形態と同じ符号を用い、以下の説明には、図5とともに図1も用いる。
図6は、上記歪ゲージ8で検出したピエゾ素4の歪量[με]に対して可動テーブル2の移動量である変位量[μm]を対応付けたグラフであり、図7は、縦軸を直線誤差とした直線誤差グラフである。そして、この第2実施形態の可動テーブル装置では、直線誤差s1は0.043[μm]であり、往復差s2は0.030[μm]であった。
ただし、この第2実施形態の均一厚さ梁10では、梁の応力がその長さ位置によって異なるので、歪ゲージ8を貼り付ける位置を第1実施形態の装置ほどラフに決めることはできない。
一方、通常の均一厚さ梁の場合には、発生する応力が均一でないので、応力が集中する箇所で、応力が降伏点を超えないように設計する必要がある。
ただし、この発明の歪発生部位に対応する部分Aやその他の構成は、図1の第1実施形態と同様である。第1実施形態と同じ構成要素には同じ符号を付けるとともに、第1実施形態と同じ構成要素については詳細な説明は省略し、以下には第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。
なお、この第3実施形態の可動テーブル2は、上記切込線12で形成される外周より内側に他の部分よりも表面側に突出した平坦面2bを形成している。
また、図中、符号13は、可動テーブル2にワークを取り付けるための固定ネジ孔であり、符号14は、上記固定ベース1を架台などに取り付けるためのボルトを挿入するための貫通孔である。
また、この第3実施形態の可動テーブル装置は、金属製のブロックに上記切込線12を形成するワイヤーカット加工によって固定ベース1、可動テーブル2及び平行バネ11a〜11dを形成できる形状である。このように、この第3実施形態の装置は、上記構成要素をワイヤーカット加工で形成できるので、例えば、個別の部材を組み立てたり、取り付けたりする場合と比べて、その形成が簡単である。
また、上記歪ゲージ8を取り付ける、この発明の歪発生部位は梁に限らない。
いずれにしても、歪発生部位は、固定ベース1と可動テーブル2との相対移動に基づく歪が発生する箇所であればよい。例えば、バネ部に歪ゲージ8を取り付けるようにしてもよい。
2 可動テーブル
3a〜3d バネ部
4 ピエゾ素子
7 梁
10 梁
11a〜11d 平行バネ
Claims (4)
- 環状の固定ベースと、この固定ベースの内側に設けた可動テーブルと、この可動テーブルと上記固定ベースとの間に介在させたバネ部と、上記固定ベースまたは可動テーブルのいずれか一方に固定し、上記可動テーブルまたは固定ベースのいずれか他方に対して伸長力または収縮力を作用させて可動テーブルを固定ベースに対して移動させるための軸方向に伸縮可能なピエゾ素子とを備えた可動テーブル装置において、上記可動テーブルの移動に伴って歪みが発生する歪発生部位に歪ゲージを取り付け、この歪ゲージの検出値に基づいて上記可動テーブルの移動量を検出する構成にした可動テーブル装置。
- 上記歪発生部位に梁を設け、この梁の一方側を上記固定ベースあるいは上記可動テーブルに固定し、上記梁の他方の側を上記可動テーブルあるいは上記固定ベースに固定するとともに、上記梁に歪ゲージを取り付けてなる請求項1に記載の可動テーブル装置。
- 上記梁が、平等強さ梁である請求項2に記載の可動テーブル装置。
- 上記ピエゾ素子の軸線の両側であって、可動テーブルの移動方向前後に少なくとも4個のバネ部を対向配置させた請求項1〜3のいずれか1に記載の可動テーブル装置。
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