JP2009242502A - ポリオレフィン樹脂分散体 - Google Patents

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Abstract

【課題】ポリオレフィン樹脂の特性を損なうことがなく、水および各種有機溶剤の両者との混合安定性に優れ、しかも、低粘度化が可能であることにより取り扱い性が改良されたポリオレフィン樹脂分散体を提供する。
【解決手段】不飽和カルボン酸単位の含有量が0.01〜25質量%であるポリオレフィン樹脂(A)と、塩基性化合物(B)と、ラクタム化合物(C)と、水(D)とを含有し、ラクタム化合物(C)と水(D)との質量比(C)/(D)が99.5/0.5〜50/50である。
【選択図】なし

Description

本発明はポリオレフィン樹脂分散体に関するものである。
有機溶剤中にポリオレフィン樹脂が分散化されている非水分散体は、溶剤系の塗料、インキ、接着剤用のバインダとして非常に重要である。
このようなポリオレフィン樹脂の有機溶剤分散体の製法として、加熱等の操作によりポリオレフィン樹脂を良溶媒と呼ばれる有機溶剤に一度溶解させた後、貧溶媒と呼ばれる有機溶剤を添加したり、冷却条件を工夫したりして、ポリオレフィン樹脂粒子を析出させる方法(析出法)が提案されている(特許文献1〜5)。また、本発明者らは、特定量の不飽和カルボン酸単位を含有するポリオレフィン樹脂を特定比率の両親媒性有機溶剤に分散する方法について提案している(特許文献6)。
特開平05−086203号公報 特開平06−065387号公報 特開平06−057006号公報 特開平07−258423号公報 特開2001−207013号公報 特開2005−008813号公報
しかしながら、特許文献1〜3に記載されている方法では、乳化剤や分散剤などの分散化助剤を用いるため、これら不揮発性の化合物が乾燥後も樹脂中に残存して、樹脂が有する本来の特性を悪化させてしまうおそれがある。特に、塗膜の耐水性が著しく低下してしまうという問題がある。また、分散化助剤がブリードアウトする場合があり、物性的に経時変化してしまうばかりでなく、環境的、衛生的にも好ましくない。さらに、分散化助剤を使用する製法で得られるポリマー微粒子の粒子径は、1μm以上と大きくなるため、分散安定性や混合安定性に課題がある。
特許文献4および5には、分散化助剤を用いずに非水溶媒中にてポリオレフィン樹脂粒子を製造する方法が記載されているが、前者はポリマー微粒子の析出条件が非常に複雑であり、また後者はポリオレフィン樹脂の物性が大きく限定されている。さらに、これらの方法で得られるポリマー微粒子の平均粒子径も1μm以上と大きいものになるという課題がある。
本発明者らが提案した特許文献6の方法で得られた分散体は、これらの問題を解決するものであったが、媒体中の水の割合をより下げた組成が求められている。また、水の割合が低い分散体の粘度が高くなってしまい、さらなる改良が求められている。
本発明は、これらの問題点に鑑み、ポリオレフィン樹脂の特性を損なうことがなく、水および各種有機溶剤の両者との混合安定性に優れ、しかも、低粘度化が可能であることにより取り扱い性が改良されたポリオレフィン樹脂分散体を提供しようとするものである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、媒体にラクタム化合物と水を用いることで、特定量の不飽和カルボン酸単位を含有するポリオレフィン樹脂を微細かつ安定に分散でき、しかも、ラクタム化合物を含むことで、水の含有率を少なくすることができ、しかも、低粘度化できることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明ポリオレフィン樹脂分散体は、不飽和カルボン酸単位の含有量が0.01〜25質量%であるポリオレフィン樹脂(A)と、塩基性化合物(B)と、ラクタム化合物(C)と、水(D)とを含有し、ラクタム化合物(C)と水(D)との質量比(C)/(D)が99.5/0.5〜50/50であることを特徴とする。
本発明のポリオレフィン樹脂分散体は、媒体にラクタム化合物と水を用いたものであることで、分散体中に不揮発性分散化助剤を含ませる必要がなく、このためポリオレフィン樹脂の性能を全く損なうことのない塗膜を形成することができる。しかも水および各種有機溶剤の両者との混合安定性に優れ、さらに低粘度であるため粉体材料の混合安定性に優れているので、バインダ、インキ、塗料、接着剤などの用途に好適である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のポリオレフィン樹脂分散体は、不飽和カルボン酸単位を特定量含むポリオレフィン樹脂(A)が、塩基性化合物(B)と、ラクタム化合物(C)と、水(D)とを含有する媒体中に分散されたものである。
本発明で用いられるポリオレフィン樹脂(A)は、不飽和カルボン酸単位を0.01〜25質量%含有している必要がある。不飽和カルボン酸単位の含有量が0.01質量%未満では、樹脂の分散化(液状化)が困難になり、反対に25質量%を超えると、耐水性、耐アルカリ性が低下したり、分散体の安定性が悪化したりする場合がある。これらの点から、不飽和カルボン酸単位の含有量は、0.05〜22質量%が好ましく、0.1〜15質量%がより好ましく、0.5〜10質量%がさらに好ましく、1〜8質量%が特に好ましく、1〜7質量%が最も好ましい。
不飽和カルボン酸単位は、不飽和カルボン酸や、その無水物により導入される。これらの具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、フマル酸、クロトン酸等のほか、不飽和ジカルボン酸のハーフエステル、ハーフアミド等が挙げられる。中でもアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸が好ましく、特にアクリル酸、無水マレイン酸が好ましい。また不飽和カルボン酸単位は、ポリオレフィン樹脂(A)中に共重合されていればよい。その形態は、限定されず、例えばランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合等が挙げられる。
ポリオレフィン樹脂の主成分であるオレフィン成分としては、エチレン、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン等の炭素数2〜6のエチレン系炭化水素を挙げることができる。
上記の不飽和カルボン酸単位およびオレフィン成分を含有するポリオレフィン樹脂の好ましい例として、上記した不飽和カルボン酸単位に加えて、さらに、アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルを含有するものを挙げることができる。樹脂の分散化のし易さ、各種基材との密着性、塗膜の耐水性や耐アルカリ性などの点から、特に、オレフィン成分(L)とアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステル(M)との質量比が、(L)/(M)=65/35〜99/1の範囲であることが、性能のバランス上好ましく、70/30〜97/3であることがさらに好ましく、75/25〜97/3であることが特に好ましい。[(L)+(M)]に対する(M)の比率が1質量%未満では、ポリオレフィン樹脂の分散化が困難になり、良好な分散体を得ることが難しい。一方、[(L)+(M)]に対する(M)の比率が35質量%を超えると、オレフィン成分(L)によるポリオレフィン樹脂としての性質が失われて、各種基材との密着性、ヒートシール性、耐水性等の性能が低下する。
アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステル(M)の具体例としては、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、メタクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル等のアクリル酸またはメタクリル酸と、アルコールとのエステル化物を挙げることができる。この中でも、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチルが好ましい。
上記のポリオレフィン樹脂(A)の例としては、エチレン−アクリル酸エステル−無水マレイン酸三元共重合体や、エチレン−メタクリル酸エステル−無水マレイン酸三元共重合体が挙げられる。このうち、エチレン−アクリル酸エステル−無水マレイン酸がより好ましい。ここで、アクリル酸エステル単位は、後述する樹脂の分散化の際に、エステル結合のごく一部が加水分解してアクリル酸単位に変化することがあるが、そのような場合には、それらの変化を加味した各構成成分の比率が上述の範囲内にあればよい。
また、好ましいポリオレフィン樹脂(A)として、オレフィン成分がプロピレンおよび/またはブテンを含有する樹脂が挙げられる。プロピレンおよび/またはブテンの含有量は50〜98質量%であることが好ましく、より好ましくは60〜98質量%、さらに好ましくは70〜98質量%、特に好ましくは80〜98質量%である。ブテン成分としては、1−ブテン、イソブテンが挙げられる。プロピレンおよび/またはブテンを含有するポリオレフィン樹脂は、さらにエチレン成分を2〜50質量%含有していることが好ましい。特に好ましい構成は、オレフィン成分として、プロピレン成分、ブテン成分、エチレン成分の3成分を含有するものであり、その構成比率は、この3成分の総和を100質量部としたとき、プロピレン成分8〜90質量部、ブテン成分8〜90質量部、エチレン成分2〜50質量部である。このようにエチレン成分を含有することで、樹脂の分散性や塗膜性能が向上する。このポリオレフィン樹脂においては、各成分の共重合形態は限定されず、ランダム共重合、ブロック共重合等が挙げられる。中でも、重合のし易さの点から、ランダム共重合されていることが好ましい。
また、ポリオレフィン樹脂(A)には、さらに他の成分を、ポリオレフィン樹脂全体の10質量%以下程度含有していてもよい。このような成分としては、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、ノルボルネン類等のアルケン類やジエン類;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル等の(メタ)アクリル酸エステル類;マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル等のマレイン酸エステル類;(メタ)アクリル酸アミド類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテルなどのアルキルビニルエーテル類;ぎ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサチック酸ビニル等のビニルエステル類;ならびにビニルエステル類を塩基性化合物等でケン化して得られるビニルアルコール、2−ヒドロキシエチルアクリレート、グリシジル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらの混合物を用いることもできる。
なお、ポリオレフィン樹脂(A)を構成する不飽和カルボン酸単位が無水マレイン酸単位等の不飽和カルボン酸無水物単位である場合は、樹脂の乾燥状態では隣接カルボキシル基が脱水環化した酸無水物構造を形成しているが、特に塩基性化合物を含有する媒体中では、その一部、または全部が開環して、カルボン酸、あるいはその塩の構造を取りやすくなる。
ポリオレフィン樹脂(A)には、その他のモノマーが、少量、共重合されていても良い。ここにいうその他のモノマーとしては、例えば、ジエン類、(メタ)アクリロニトリル、スチレン、ハロゲン化ビニル類、ハロゲン化ビリニデン類、一酸化炭素、二酸化硫黄等が挙げられる。
ポリオレフィン樹脂(A)の分子量は特に限定されないが、分子量の目安となる190℃、20.2N(2160g)荷重におけるメルトフローレートが0.01〜10000g/10分であることが好ましい。より好ましくは0.5〜1000g/10分、さらに好ましくは1〜500g/10分、最も好ましくは1〜300g/10分である。ポリオレフィン樹脂(A)のメルトフローレートが0.01g/10分未満では、樹脂の分散化が困難になる。一方、ポリオレフィン樹脂(A)のメルトフローレートが10000g/10分を超えると、得られる塗膜がもろくなり、その機械的強度が低下する。
なお、ポリオレフィン樹脂(A)の合成法は、特に限定されない。一般的には、ポリオレフィン樹脂を構成するモノマーを、ラジカル発生剤の存在下において、高圧ラジカル共重合して得られる。また、不飽和カルボン酸単位は、グラフト共重合(グラフト変性)されていてもよい。
本発明の分散体中に分散しているポリオレフィン樹脂粒子の数平均粒子径(以下、「mn」と称する)は、分散体の保存安定性が向上するという観点から、0.8μm以下であることが好ましく、0.005〜0.5μmがより好ましく、0.005〜0.3μmがさらに好ましく、0.005〜0.2μmが最も好ましい。
本発明の分散体は、塩基性化合物(B)を含有することを必要とする。塩基性化合物(B)としては、塗膜形成時に揮発するアンモニアまたは有機アミン化合物が、塗膜の耐水性、耐アルカリ性などの面から好ましい。中でも、アンモニアまたは沸点が300℃以下の有機アミン化合物がより好ましい。沸点が300℃を超えると、樹脂塗膜から乾燥によって有機アミン化合物を飛散させることが困難になり、このため塗膜の耐水性、耐アルカリ性などが悪化する場合がある。
有機アミン化合物の具体例としては、トリエチルアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、アミノエタノールアミン、N−メチル−N,N−ジエタノールアミン、イソプロピルアミン、イミノビスプロピルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、3−エトキシプロピルアミン、3−ジエチルアミノプロピルアミン、sec−ブチルアミン、プロピルアミン、メチルアミノプロピルアミン、3−メトキシプロピルアミン、モノエタノールアミン、モルホリン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン等を挙げることができる。
塩基性化合物(B)の添加量は、ポリオレフィン樹脂(A)中のカルボキシル基に対して0.6〜3.0倍当量であることが好ましく、0.8〜2.5倍当量がより好ましく、1.0〜2.0倍当量が特に好ましい。0.6倍当量未満では、塩基性化合物(B)の添加効果が認められず、3.0倍当量を超えると分散体の粘度が高くなる場合がある。
本発明において、上述の特定組成のポリオレフィン樹脂(A)を、媒体に占める水の割合が50質量%以下である条件で安定に分散し、かつ低粘度の分散体とするためには、ラクタム化合物(C)を媒体として使用することが必要である。ラクタム化合物(C)の具体例としては、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン(以下、「NMP」と略称する)、N−ビニル−2−ピロリドンなどが挙げられる。中でも、取り扱い性、価格などの理由から、NMPが最も好ましい。
本発明に用いられる水(D)は、どのようなものであっても差し支えなく、例えば、純水、蒸留水、イオン交換水、水道水、軟水、硬水などが挙げられる。
本発明においては、ポリオレフィン樹脂(A)をラクタム化合物(C)中に分散する際に水(D)を添加することが非常に重要であり、この際、ラクタム化合物(C)と水(D)との質量比(C)/(D)を、99.5/0.5〜50/50の範囲とする必要がある。ラクタム化合物(C)と水(D)との混合媒体中における水の含有量が0.5質量%未満の場合は、ポリオレフィン樹脂を分散化することは可能であるが、分散体の安定性(保存安定性)が著しく低下してしまう。また、水の含有量が50質量%を超えると、各種の有機溶剤との混合安定性が悪化してしまうため、溶剤系の用途には使用できない。両者のバランスをとる上で、(C)/(D)は99/1〜60/40であることが好ましく、99/1〜65/35であることがより好ましく、99/1〜70/30であることがさらに好ましく、99/1〜80/20であることが特に好ましい。
本発明のポリオレフィン樹脂分散体には、ラクタム化合物(C)以外の有機溶剤を添加してもよい。具体的には、ジエチルケトン(3−ペンタノン)、メチルプロピルケトン(2−ペンタノン)、メチルイソブチルケトン(4−メチル−2−ペンタノン)、2−ヘキサノン、5−メチル−2−ヘキサノン、2−へプタノン、3−へプタノン、4−へプタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;トルエン、キシレン、ベンゼン、ソルベッソ100、ソルベッソ150等の芳香族炭化水素類;ブタン、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン等の脂肪族炭化水素類;塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、p−ジクロロベンゼン等の含ハロゲン類;酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸−sec−ブチル、酢酸−3−メトキシブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、炭酸ジエチル、γ―ブチロラクトン、イソホロン等のエステル類;メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、n−アミルアルコール、イソアミルアルコール、sec−アミルアルコール、tert−アミルアルコール、1−エチル−1−プロパノール、n−ヘキサノール、シクロヘキサノール等のアルコール類;ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート等のグリコール誘導体;さらには、3−メトキシ−3−メチルブタノール、3−メトキシブタノール、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジアセトンアルコール、アセト酢酸エチル等が挙げられる。中でも沸点が30〜300℃であるものが好ましく、50〜250℃であるものが特に好ましい。これらの有機溶剤は、2種以上を混合して使用しても良い。なお、有機溶剤の沸点が30℃未満である場合は、樹脂の分散化時に揮発する割合が多くなり、樹脂の分散化が困難になることがある。沸点が300℃を超える有機溶剤は、樹脂塗膜から乾燥によって飛散させることが困難であり、塗膜の耐水性などが悪化する場合がある。
有機溶剤の添加量の規制は特にないが、ラクタム化合物の効果を維持するために、ラクタム化合物の等量未満であることが好ましい。
本発明の分散体は、不揮発性分散化助剤を添加しても安定な分散体とすることはできる。しかし、本発明の分散体は、これを用いなくても、ポリオレフィン樹脂を数平均粒子径0.8μm以下で媒体中に安定に維持することができる。一方、不揮発性分散化助剤は、もし添加した場合、塗膜形成後にもポリオレフィン樹脂中に残存し、塗膜を可塑化することにより、ポリオレフィン樹脂の特性、例えば耐水性や基材との密着性などを悪化させることがある。このため、不揮発性分散化助剤を実質的に含有しないことが好ましい。しかしながら、耐水性などの性能を必要としない用途にはポリオレフィン樹脂に対して0.01〜20質量%程度含まれていても差し支えない。
ここで、「分散化助剤」とは、分散体の製造において、分散化促進や分散体の安定化の目的で添加される薬剤や化合物のことであり、「不揮発性」とは、常圧での沸点を有さないか、もしくは、常圧で高沸点(例えば300℃以上)であることを指す。
ここにいう不揮発性分散化助剤としては、乳化剤、保護コロイド作用を有する化合物、高酸価の酸変性化合物、水溶性高分子などが挙げられる。
乳化剤としては、カチオン性乳化剤、アニオン性乳化剤、ノニオン性乳化剤、あるいは両性乳化剤が挙げられ、一般に乳化重合に用いられるもののほか、界面活性剤類も含まれる。例えば、アニオン性乳化剤としては、高級アルコールの硫酸エステル塩、高級アルキルスルホン酸塩、高級カルボン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルサルフェート塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルサルフェート塩、ビニルスルホサクシネート等が挙げられる。ノニオン性乳化剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、エチレンオキサイドプロピレンオキサイドブロック共重合体、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合体などのポリオキシエチレン構造を有する化合物や、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルなどのソルビタン誘導体等が挙げられる。両性乳化剤としては、ラウリルベタイン、ラウリルジメチルアミンオキサイド等が挙げられる。
保護コロイド作用を有する化合物、高酸価の酸変性化合物、水溶性高分子としては、ポリビニルアルコール、カルボキシル基変性ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、変性デンプン、ポリビニル2−ピロリドン、ポリアクリル酸およびその塩、アクリル酸−無水マレイン酸共重合体およびその塩、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸交互共重合体、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体等の不飽和カルボン酸単位の含有量が26質量%以上のカルボキシル基含有ポリマーおよびその塩、ポリイタコン酸およびその塩、アミノ基を有する水溶性アクリル系共重合体、ゼラチン、アラビアゴム、カゼイン等、一般に微粒子の分散安定剤として用いられている化合物が挙げられる。
本発明の分散体における樹脂含有率は、成膜条件、目的とする樹脂塗膜の厚さや性能等により適宜選択でき、特に限定されるものではない。しかし、コーティング組成物の粘性を適度に保ち、かつ良好な塗膜形成能を発現させる点で、1〜60質量%であることが好ましく、3〜50質量%がより好ましく、5〜40質量%がさらに好ましく、7〜35質量%が特に好ましい。
本発明の分散体の粘度は、各種添加剤との混合安定性が向上するという観点から、ポリオレフィン樹脂(A)の含有量が20質量%のときの、温度25℃、剪断速度20.40s−1において、500mPa・s未満であることが好ましい。5〜300mPa・sがより好ましく、10〜200mPa・sがさらに好ましく、10〜100mPa・sが最も好ましい。500mPa・sを超えると、粉体材料を安定に分散または混合するのが困難になる場合がある。
次に、本発明のポリオレフィン樹脂分散体の製造方法について説明する。
本発明のポリオレフィン樹脂分散体を得るための製造方法は特に限定されないが、たとえば、既述の各成分、すなわち、特定組成のポリオレフィン樹脂(A)と、塩基性化合物(B)と、ラクタム化合物(C)および水(D)が特定割合で混合された媒体とを、好ましくは密閉可能な容器中で加熱、撹拌する方法を採用することができる。この方法が最も好ましい。この際、水(D)を添加することが非常に重要であり、上記のようにラクタム化合物(C)と水(D)との質量比(C)/(D)を99.5/0.5〜50/50とする必要がある。この方法によれば、不揮発性分散化助剤を実質的に添加しなくとも、特定組成のポリオレフィン樹脂(A)を良好に分散体とすることができる。
また、本発明では、分散体を得た後に、ラクタム化合物(C)/水(D)が質比で99.5/0.5〜50/50の範囲内になるように、有機溶媒および/または水を添加しても差し支えない。
原料を加熱、撹拌するための容器は、液体を投入できる槽を備え、槽内に投入された媒体と樹脂粉末ないしは粒状物との混合物を適度に撹拌できるものであればよい。そのような装置としては、固/液撹拌装置や乳化機として広く当業者に知られている装置を使用することができる。中でも、0.1MPa以上の加圧が可能な装置を使用することが好ましい。撹拌の方法、撹拌の回転速度は、特に限定されないが、樹脂が媒体中で浮遊状態となる程度の低速の撹拌でも十分分散化が達成されるため、高速撹拌(例えば1000rpm以上)は必須ではない。このため、簡便な装置によっても分散体の製造が可能である。
この装置の槽内に上記原料を投入し、好ましくは40℃以下の温度で撹拌混合する。次いで、槽内の温度を60〜200℃、好ましくは80〜200℃、さらに好ましくは100〜180℃の範囲に保ちつつ、好ましくは5〜120分間撹拌を続けることにより、ポリオレフィン樹脂を十分に分散化させ、その後、好ましくは撹拌下で40℃以下に冷却することにより、分散体を得ることができる。このとき、槽内の温度が60℃未満である場合は、ポリオレフィン樹脂の分散化が困難になる。反対に槽内の温度が200℃を超える場合は、ポリオレフィン樹脂の分子量が低下する恐れがある。槽内の加熱方法としては槽外部からの加熱が好ましく、例えば、オイルや水を用いて槽を加熱する、あるいはヒーターを槽に取り付けて加熱を行うことができる。槽内の冷却方法としては、例えば、室温で自然放冷する方法や、0〜40℃のオイルまたは水を使用して冷却する方法を挙げることができる。
なお、この後、必要に応じてさらにジェット粉砕処理を行ってもよい。ここでいうジェット粉砕処理とは、ポリオレフィン樹脂分散体のような流体を、高圧下でノズルやスリットのような細孔より噴出させ、樹脂粒子同士を衝突させたり、樹脂粒子と衝突板等とを衝突させたりすることで、機械的なエネルギーによって樹脂粒子をさらに細粒化することを意味する。そのための装置の具体例としては、A.P.V.GAULIN社製のホモジナイザー、みずほ工業社製のマイクロフルイタイザーM−110E/H等が挙げられる。
上記のようにして、本発明の分散体は、ポリオレフィン樹脂(A)が媒体中に分散または溶解されて、均一な液状に調製されたものとなる。ここで、均一な液状であるとは、外観上、分散体中に、沈殿、相分離、皮張りといった固形分濃度が局部的に他の部分と相違する部分が、見いだされない状態にあることをいう。
また、得られた分散体中に未分散の樹脂が残存した場合でも、製造工程中でフィルター等のろ過を行ってこうした樹脂を除去すれば、以降の工程で分散体としての使用することが可能である。
本発明によれば、ポリオレフィン樹脂(A)の分散化は、条件によってやや低下する場合もあるが、概ねきわめて良好である。すなわち、樹脂はほとんど残存することなく、分散化が良好に達成される。
本発明の分散体には、耐水性、耐溶剤性などの各種の塗膜性能をさらに向上させるために、架橋剤を、分散体中の樹脂100質量部に対して0.01〜100質量部、好ましくは0.1〜60質量部添加することができる。架橋剤の添加量が0.01質量部未満の場合は、塗膜性能の向上の程度が小さく、100質量部を超える場合は、加工性等の性能が低下してしまう。架橋剤としては、自己架橋性を有する架橋剤、カルボキシル基と反応する官能基を分子内に複数個有する化合物、多価の配位座を有する金属錯体等を用いることができる。たとえば、イソシアネート化合物、メラミン化合物、尿素化合物、エポキシ化合物、カルボジイミド化合物、オキサゾリン基含有化合物、ジルコニウム塩化合物、シランカップリング剤等が好ましい。また、これらの架橋剤を組み合わせて使用してもよい。
本発明の分散体は、混合安定性に優れ、また含まれるポリオレフィン樹脂(A)は様々な基材との接着性、結着性に優れているので、接着剤、塗料用バインダ、電極用バインダとして好適に使用できる。
接着剤として使用できる基材としては、金属、ガラス、プラスチック、紙等が挙げられ、その形状は限定されない。
本発明の分散体は、顔料あるいは染料、また必要に応じて顔料分散剤などを添加することで、塗料とすることができる。さらには、市販の塗料(水性、油性を問わず)に添加することもでき、それによって、塗料にダイレクトラミネート適性を付与することができる。
電極用バインダとしては、二次電池用電極バインダやキャパシタ用電極バインダなどが挙げられる。
さらに、本発明の分散体に必要に応じて無機粒子、レベリング剤、消泡剤、ワキ防止剤、紫外線吸収剤等の各種薬剤を添加することで、本発明の分散体をコーティング剤や塗料として使用することができる。この際、乾燥条件の調整のために一般に使用されている高沸点溶剤を添加することもできる。また、分散体の安定性を損なわない範囲で上記以外の有機もしくは無機の化合物を分散体に添加することも可能である。
次に、本発明の分散体の使用方法について説明する。
本発明の分散体は、塗膜形成能に優れているので、公知の成膜方法、例えばグラビアロールコーティング、リバースロールコーティング、ワイヤーバーコーティング、リップコーティング、エアナイフコーティング、カーテンフローコーティング、スプレーコーティング、浸漬コーティング、はけ塗り法等により各種基材表面に均一にコーティングし、必要に応じて室温付近でセッティングした後、乾燥または乾燥と焼き付けのための加熱処理に供することにより、均一な樹脂塗膜を各種基材表面に密着させて形成することができる。このときの加熱装置としては、通常の熱風循環型のオーブンや赤外線ヒーター等を使用すればよい。また、加熱温度や加熱時間は、被コーティング物である基材の特性や後述する硬化剤の種類、配合量等により適宜選択されるものであるが、経済性を考慮した場合、加熱温度は、50〜250℃であることが好ましく、90〜230℃がより好ましく、100〜200℃が特に好ましい。加熱時間としては、1秒〜120分が好ましく、10秒〜60分がより好ましく、15秒〜30分が特に好ましい。なお、架橋剤を添加した場合は、ポリオレフィン樹脂(A)中のカルボキシル基と架橋剤との反応あるいは架橋剤の自己反応を十分進行させるために、加熱温度および時間は架橋剤の種類によって適宜選定することが望ましい。
本発明の分散体を用いて形成される樹脂塗膜の厚さは、その用途によって適宜選択されるものであるが、0.01〜100μmであることが好ましく、0.01〜50μmがより好ましく、0.01〜30μmが特に好ましい。樹脂塗膜の厚さが上記範囲となるように成膜すれば、均一性に優れた樹脂塗膜が得られる。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、以下の実施例・比較例における各種の特性は、以下の方法によって測定または評価した。
(1)ポリオレフィン樹脂の組成
オルトジクロロベンゼン(d)中、120℃にてH−NMR、13C−NMR分析(バリアン社製の分析装置、300MHz)を行い、求めた。13C−NMR分析では、定量性を考慮したゲート付きデカップリング法を用いて測定した。また、不飽和カルボン酸単位の含有量は、下記に示す方法(1−A)または方法(1−B)〕を用いて求めた。
(1−A)
ポリオレフィン樹脂の酸価をJIS K5407に準じて測定し、その値から、不飽和カルボン酸の含有量(グラフト率)を、次式によって求めた。
含有量(質量%)
=(グラフトした不飽和カルボン酸の質量)/(原料ポリオレフィン樹脂の質量)
×100
(1−B)
Perkin Elmer社製、System−2000 フーリエ変換赤外分光光度計、分解能4cm−1)を用いて、赤外吸収スペクトル分析を行うことにより求めた。
(2)ポリオレフィン樹脂のメルトフローレート
JIS K6730記載の方法(190℃、20.2N(2160g)荷重)で測定した。
(3)ポリオレフィン樹脂の融点
DSC(Perkin Elmer社製、DSC−7)を用いて、昇温速度10℃/分で測定した。
(4)ポリオレフィン樹脂分散体の固形分濃度
ポリオレフィン分散体を適量秤量し、これを150℃で残存物(固形分)の質量が恒量に達するまで加熱し、その質量からポリオレフィン樹脂固形分濃度を求めた。
(5)ポリオレフィン樹脂粒子の平均粒径
日機装社製、マイクロトラック粒度分布計UPA150(MODEL No.9340)を用い、数平均粒子径(mn)を求めた。粒子径算出に用いる樹脂の屈折率は1.50とした。
(6)分散体の外観
分散体の色調を目視観察することにより、評価した。
(7)粘度および剪断速度
BROOKFIELD ENGINEERING LABORATORIES,INC.製の、B型粘度計 BROOKFIELD DIAL VISCOMETER Model LVT(Spindle 18)を用いて、温度25℃にて測定した。
剪断速度は、ロータ回転数(60rpm)に1.34を掛けて換算した。
(8)ポリオレフィン樹脂分散体と水および有機溶剤との混合安定性
水、イソプロパノール、メチルエチルケトン、トルエン各5gを、それぞれ個別にポリオレフィン樹脂分散体10gに添加した後、室温で1日放置した後の混合液の外観から、次の2段階で評価した。
○:外観に変化なし。
×:固化、または、大量の凝集や沈殿物の発生が見られる。
(9)塗膜の密着性評価
分散体をガラス板(大西硝子製作所社製、並板ガラス板、厚み3mm)上に乾燥後の塗膜厚みが1μmになるようにメイヤーバーでコートし、150℃で30分間乾燥した。次に、塗膜面に粘着テープ(ニチバン社製、TF−12)を貼り付けた後、勢いよくテープを剥離した。そして、塗膜面の状態を目視で観察して、以下のように評価した。
○:全く剥がれがなかった。
×:一部に剥がれが生じた。
以下の実施例・比較例で使用したポリオレフィン樹脂の組成と特性とを、表1に示す。詳細には、
ポリオレフィン樹脂(ア)は、アルケマ社製のボンダインHX−8290であり、
ポリオレフィン樹脂(イ)は、アルケマ社製のボンダインHX−8210あり、
ポリオレフィン樹脂(ウ)は、ダウ・ケミカル社製のプリマコール5980Iである。
Figure 2009242502
実施例1
ヒーター付きの密閉できる耐圧1L容ガラス容器を備えた撹拌機を用いて、ポリオレフィン樹脂(A)としての、100.0gの表1に示す(ア)(アルケマ社製、ボンダインHX−8290、エチレン−無水マレイン酸共重合体樹脂、無水マレイン酸2質量%共重合)と、ラクタム化合物(C)としての355.5gのNMPと、塩基性化合物(B)としての5g(樹脂(A)中の無水マレイン酸のカルボキシル基に対して1.0倍当量)のトリエチルアミン(以下、「TEA」と略称する)と、水(D)としての39.5gの蒸留水とをガラス容器内に仕込み、撹拌翼の回転速度を300rpmとして撹拌した。そうしたところ、容器底部には樹脂粒状物の沈澱は認められず、浮遊状態となっていることが確認された。
そこで、この状態を保ちつつ、10分後にヒーターの電源を入れて加熱を開始した。そして、系内温度を120℃に保って、さらに20分間撹拌した。その後、空冷して、回転速度300rpmのまま撹拌しつつ、室温(約25℃)まで冷却した。次いで、300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧ろ過(空気圧0.2MPa)し、淡褐色の均一なポリオレフィン樹脂分散体を得た。この分散体およびこれから得られた塗膜の各種特性を、表2に示す。
Figure 2009242502
実施例2〜4
実施例1に比べ、ラクタム化合物(C)としてのNMPと水(D)としての蒸留水との混合比を、表2に記載のように変更した。それ以外は実施例1と同様の方法で分散体を得た。この分散体およびこれから得られた塗膜の各種特性を、表2に示す。
実施例5
実施例1に比べて、添加する塩基性化合物(B)としてのアミンの種類をN,N−ジメチルエタノールアミン(以下、「DMEA」と略称する)に変更し、その仕込み組成を表2のようにした。それ以外は実施例1と同様の方法で分散体を得た。この分散体およびこれから得られた塗膜の各種特性を、表2に示す。
実施例6
実施例2と比べて、ラクタム化合物(C)を2−ピロリドンに変更し、添加するアミンの種類をDMEAに変更した。また、仕込み組成を、表2に示すようにした。それ以外は実施例2と同様の方法で、分散体を得た。この分散体およびこれから得られた塗膜の各種特性を、表2に示す。
実施例7
実施例5に比べ、ポリオレフィン樹脂(A)として表1に示す(イ)(ボンダインHX−8210、アルケマ社製、エチレン−無水マレイン酸共重合体樹脂、無水マレイン酸3質量%共重合)を用いた。それ以外は実施例5と同様の方法で、分散体を得た。この分散体およびこれから得られた塗膜の各種特性を、表2に示す。
実施例8
実施例6に比べ、ポリオレフィン樹脂(A)として表1に示す(ウ)(ダウ・ケミカル社製、プリマコール5980I、エチレン−アクリル酸共重合体樹脂、アクリル酸20質量%共重合)を用い、仕込み組成を表2のようにした。それ以外は実施例6と同様の方法で、分散体を得た。この分散体およびこれから得られた塗膜の各種特性を、表2に示す。
比較例1、2
実施例1に比べ、ラクタム化合物(C)と水(D)との混合比を、表3に記載のように変更した。それ以外は実施例1と同様の方法で、検討を行った。その結果を表3に示す。
Figure 2009242502
比較例3
実施例1に比べ、各原料の混合比を表3に記載のように変更した。それ以外は実施例1と同様の方法で、検討を行った。その結果を表3に示す。
比較例4
実施例4に比べ、ラクタム化合物(C)の代わりに無水エタノール(以下、「EA」と略称する)をもちいた。それ以外は実施例4と同様の方法で、検討を行った。その結果を表3に示す。
比較例5
実施例1に比べ、ラクタム化合物(C)の代わりに2−エチル−1−ブタノール(以下、「E−BA」と略称する)を用いた。それ以外は実施例1と同様の方法で、検討を行った。その結果を表3に示す。
比較例6
実施例1に比べ、ラクタム化合物(C)の代わりに酢酸イソブチル(以下、「IBAc」と略称する)を用いた。それ以外は実施例1と同様の方法で、検討を行った。その結果を表3に示す。
比較例7
実施例1に比べ、ポリオレフィン樹脂として、不飽和カルボン酸単位を含有しない樹脂を用いた。すなわち、樹脂として、ポリエチレン(住友化学社製、スミカセンL211、メルトフローレート12g/10分、以下「L211」と略称する)を用いた。それ以外は実施例1と同様の方法で、検討を行った。その結果を表3に示す。
比較例8
塩基性化合物(B)であるTEAを添加しなかった。それ以外は実施例1と同様の方法で、検討を行った。その結果を表3に示す。
比較例9
実施例1に比べ、ラクタム化合物(C)の代わりにEAを用い、EAと水(D)との混合比を表3に記載とおりとした。それ以外は実施例1と同様の方法で、検討を行った。その結果を表3に示す。
比較例10
実施例2に比べ、ラクタム化合物(C)の代わりにイソプロピルアルコール(以下、「IPA」と略称する)を用いた。それ以外は実施例2と同様の方法で、検討を行った。その結果を表3に示す。
実施例1〜8のように、ラクタム化合物(C)を用いるとともに、ラクタム化合物(C)と水(D)との混合比(C)/(D)[質量比]を本発明の範囲とすることで、微細かつ良好なポリオレフィン樹脂分散体を得ることができた。分散体は水および各種有機溶剤との混合安定性も良好であった。これらの分散体の、温度25℃、剪断速度20.40s−1における粘度は500mPa・s未満であった。
一方、比較例1の水(D)を添加しなかった場合は、120℃での分散化の状態は問題なかったが、冷却していく過程で著しく増粘し、室温では固化した。比較例2のラクタム化合物(C)を添加しなかった場合は、多量の樹脂が残存してしまい、実質的に樹脂の分散体は得られなかった。比較例3の、ラクタム化合物(C)と水(D)との混合比が本発明の範囲外(水の比率が高い)の場合は、樹脂が残存したうえに、冷却していく過程で著しく増粘し、室温では固化した。比較例4〜6の、ラクタム化合物(C)以外の有機溶剤を用いた場合は、実用的な分散体は得られなかった。すなわち、比較例4では、多量の樹脂の残存が目視で観察され、実質的に樹脂の分散体は得られなかった。比較例5、6では、120℃での分散化の状態は問題なかったが、冷却していく過程で著しく増粘し、室温では固化した。さらに、比較例7の、不飽和カルボン酸単位を含有しないポリオレフィン樹脂を用いた場合は、多量の樹脂が残存してしまい実質的に樹脂の分散体は得られなかった。比較例8の、塩基性化合物(B)を添加しなかった場合は、多量の樹脂が残存してしまい、実質的に樹脂の分散体は得られなかった。比較例9で得られた分散体は、保存安定性、密着性に優れるものであったが、ラクタム化合物(C)の代わりにEAを用いたものであり、しかも媒体中の水の含有量が本発明の範囲外であったため、メチルエチルケトンやトルエンと混合すると即座に増粘、固化してしまい、溶剤系の用途には不適であった。比較例10で得られた分散体は、ラクタム化合物(C)の代わりにIPAを用いたものであったため、保存安定性、密着性、各種媒体との混合安定性に優れるものであったが、実施例1から8に比べて粘度が高いものとなった。

Claims (6)

  1. 不飽和カルボン酸単位の含有量が0.01〜25質量%であるポリオレフィン樹脂(A)と、塩基性化合物(B)と、ラクタム化合物(C)と、水(D)とを含有し、ラクタム化合物(C)と水(D)との質量比(C)/(D)が99.5/0.5〜50/50であることを特徴とするポリオレフィン樹脂分散体。
  2. ポリオレフィン樹脂(A)の含有量が20質量%のときの、温度25℃、剪断速度20.40s−1における粘度が500mPa・s未満であることを特徴とする請求項1記載のポリオレフィン樹脂分散体。
  3. ラクタム化合物(C)が、N−メチル−2−ピロリドンであることを特徴とする請求項1または2記載のポリオレフィン樹脂分散体。
  4. ポリオレフィン樹脂(A)が、エチレン−アクリル酸エステル−無水マレイン酸三元共重合体であることを特徴とする請求項1から3までのいずれか1項記載のポリオレフィン樹脂分散体。
  5. ポリオレフィン樹脂(A)の数平均粒子径が0.8μm以下であることを特徴とする請求項1から4までのいずれか1項記載のポリオレフィン樹脂分散体。
  6. 不揮発性分散化助剤を実質的に含まないことを特徴とする請求項1から5までのいずれか1項記載のポリオレフィン樹脂分散体。
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