JP2009241595A - 成形型及び成形体の製造方法 - Google Patents

成形型及び成形体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】自己硬化性を有する成形用原料を成形する際に、処理時間をより短縮すると共に、より確実に成形体を成形する。
【解決手段】成形型20によれば、液体と粒子とを含み自己硬化性を有する成形用原料を注入すると、成形用原料が開気孔32に導入されてしまうのを、成形面23,25から深さLまで形成された樹脂層33により防止しつつ、成形用原料及び成形体に含まれる分散媒から揮発する気体は、開気孔32から外部空間へ通過させる。この開気孔32は、粒子の平均粒径以下である、1.0×10-7〜1.0×10-6mの平均気孔径を有している。この樹脂層33は、毛管現象による液体の浸透モデルを元に深さLまで形成されている。このように、成形型内で十分に硬化反応の進行と、分散媒の揮発とを同時に実行可能であり、熱処理などを行うことにより硬化反応、分散媒の揮発のどちらか一方を主として実行可能でもある。
【選択図】図1

Description

本発明は、成形型及び成形体の製造方法、より詳しくは、自己硬化性を有する成形用原料を注入して所定形状の成形体を成形する成形型及びその成形体の製造方法に関する。
従来、成形型としては、セラミック原料粉末と水を含むスラリーの中に水硬性ウレタンをゲル化剤として添加したものや、セラミック原料粉末、分散媒、ゲル化剤、分散剤を含むスラリーの成形用原料を用意し、これを成形型に注入し複雑形状の成形体を安全且つ簡単に成形するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開平11−171651号公報
ところで、この特許文献1に記載された成形型では、成形用原料が水硬性ウレタンなどゲル化剤の硬化反応により成形体を得るため、吸水性のない金属、プラスチック、ガラスなどにより形成することにより、成形用原料に含まれているゲル化剤を成形型が吸収してしまうのを防止し、ゲル化剤の流出により硬化反応を妨げるのを抑制していた。しかしながら、成形用原料に含まれている分散媒が存在しても硬化反応は進行するが、結局はこの分散媒を成形体から排除する必要があるから、成形型内で硬化反応を十分行ったあとに成形体に含まれる分散媒を揮発させる必要があり、処理時間が長くなる問題があった。一方、成形用原料に含まれているゲル化剤の硬化反応の途中で成形型の一部を離型し、硬化反応が不十分な状態の成形体を外気にさらすことにより成形体に含まれる分散媒を揮発させることも可能であるが、このような場合には、成形体が十分な強度を有していないことがあり、離型後に成形体が収縮し成形体寸法が維持されない、離型時に成形体が破損してしまうなどの不都合があった。また、このような成形方法において、閉じた成形型に成形用原料を流し込むことから、成形後に成形体と成形型の間に空気が入り込めない真空状態となることがあり、成形体を離型する際に離型応力が大きくなり成形体が破損してしまうことがあった。また、成形体が複雑形状の場合、成形型を工夫するなどしなければ任意方向に成形体を離型するのが困難である場合があった。
本発明は、このような課題に鑑みなされたものであり、自己硬化性を有する成形用原料を用いて成形体を成形する際に、処理時間をより短縮すると共に、より確実に成形体を成形することができる成形型及び成形体の製造方法を提供することを目的とする。また、自己硬化性を有する成形用原料を用いて成形体を成形する際に、より容易に離型することができる成形型及び成形体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、上述の目的を達成するために以下の手段を採った。
即ち、本発明の成形型は、
液体と粒子とを含み流動性のある自己硬化性を有する成形用原料を注入して所定形状の成形体を成形する成形型であって、
前記成形用原料と接触し該成形用原料を前記成形体の形状とする成形面と外部空間とを連通する開気孔と、
前記成形面から前記開気孔の深さ方向に所定範囲で該開気孔を塞がずに形成される樹脂層と、
を備えたものである。
この成形型では、液体と粒子とを含み流動性のある自己硬化性を有する成形用原料を注入すると、成形用原料が開気孔に導入されてしまうのを、成形面から所定範囲の深さに形成された樹脂層により防止しつつ、成形用原料及び成形体に含まれる分散媒から揮発する気体は、開気孔から外部空間へ通過させる。このように、成形型内で十分に硬化反応の進行と成形用原料及び成形体に含まれる分散媒の揮発とを同時に実行可能であるため、処理時間をより短縮することができる。また、成形体の硬化反応が不十分な状態で成形型の一部を離型し成形体を外気にさらすことにより成形体に含まれる分散媒の揮発を早めるようなことを抑制可能であるため、成形体に十分な強度を持たせ、その破損や成形体寸法の変化などを抑制し、より確実に成形体を成形することができる。
本発明の成形型において、前記樹脂層は、樹脂を溶媒に溶解させた樹脂溶解液を浸漬することにより形成されており、前記開気孔の平均気孔径D(m)、前記樹脂溶解液が揮発する時間td(s)、前記成形用原料が流動性を失うまでの時間ts(s)、外気中の前記樹脂溶解液の液体の表面張力γd(N/m)、外気中の前記成形用原料の液体の表面張力γs(N/m)、前記成形面と前記樹脂溶解液との接触角θd(°)、前記成形面と前記成形用原料との接触角θs(°)、前記樹脂溶解液の粘度ηd(Pa・s)、前記成形用原料の粘度ηs(Pa・s)、前記成形用原料を前記成形型に注入する際の圧力P(Pa)、被覆される前記樹脂層の厚さh(m)としたとき、該樹脂層が前記成形用原料との間で次式(1)を満たすよう形成されているものとしてもよい。ここで、式(1)の左辺は樹脂溶解液が開気孔へ浸漬される浸漬距離に関する値を表し、右辺は成形用原料が樹脂層の形成されている開気孔へ浸漬される浸漬距離に関する値を表し、式(1)は樹脂溶解液と成形用原料との浸漬距離の大小関係を表す。こうすれば、成形用原料が開気孔へ浸漬する距離よりも長い範囲の樹脂層を開気孔へ設けることができるため、より確実に成形体を成形することができる。
Figure 2009241595
本発明の成形型において、前記樹脂層は、部材粒子の表面を前記樹脂で被覆することにより形成されており、前記成形型は、前記成形体の形状とする成形面を形成するように部材粒子を成形して形成されており、前記開気孔の曲路率f、前記開気孔の平均気孔径D(m)、前記成形用原料が流動性を失うまでの時間t(s)、外気中の前記成形用原料の液体の表面張力γ(N/m)、前記成形面と前記成形用原料との接触角θ(°)、前記成形用原料の粘度η(Pa・s)、前記成形用原料を前記成形型に注入する際の圧力P(Pa)とし、接触角θが0°以上90°未満のとき、前記所定範囲として、前記成形面から次式(2)で表される深さまで前記部材粒子により構成されているものとしてもよい。こうすれば、接触角θが0°以上90°未満のときに、開気孔内への液体の浸透現象を管路における毛管現象にモデル化した後述するOlsson Pihlの式(4)に対して曲路率fを含むパラメータを乗じて得られる式(2)を利用して、成形用原料が開気孔へ浸透する距離以上の樹脂層を設けることができるから、より確実に成形体を成形することができる。ここで、曲路率fは、所定の単位長さの試験片の外周をシールし、既知の流体(例えば水など)を浸透させ、深さLを浸透するのに必要な理論時間Tcと、実測時間Tmの比であるTm/Tcを求め、この値とするものとした。
Figure 2009241595
本発明の成形型において、前記樹脂層は、前記開気孔の平均気孔径D(m)、前記成形用原料が流動性を失うまでの時間t(s)、外気中の前記成形用原料の液体の表面張力γ(N/m)、前記成形面と前記成形用原料との接触角θ(°)、前記成形用原料の粘度η(Pa・s)、前記成形用原料を前記成形型に注入する際の圧力P(Pa)とし、接触角θが0°以上90°未満のとき、前記所定範囲としての深さL(m)が次式(3)を満たすよう形成されているものとしてもよい。こうすれば、接触角θが0°以上90°未満のときに、開気孔内への液体の浸透現象を管路における毛管現象にモデル化したOlsson Pihlの式(4)を利用して、余剰の樹脂層を成形型に設けずに済む。
Figure 2009241595
Figure 2009241595
接触角θ(°)を用いる態様の本発明の成形型において、前記樹脂層は、前記接触角θが65°以上85°以下であることが好ましく、80°以上であることがより好ましい。接触角が65°以上85°以下の範囲では、成形用原料の液体が開気孔内へ浸透するのを抑制しやすいため、より均一且つ十分な強度を成形体に持たせやすく、離型する際の離型応力も小さくすることができる。65°以下では、成形用原料が開気孔に浸透しやすく、85°以上では、成形用原料が高粘度である場合や成形型が複雑な形状である場合、成形型内を成形用原料が流動し難く、成形用原料が気泡を巻き込み不良が発生しやすい。80°以上では離型応力がより小さく安全に成形体を得ることができる。なお、離型応力とは、直径3.0×10-2mの円柱状をした成形体サンプルを金属(ジュラルミン)上に成形し、その成形体サンプルを金属の成形面から垂直方向に離型する際に発生する引張荷重の最大値を、成形面の面積で除したものである。引張試験の条件はJIS−K6849に従い行った。ここで、接触角θは、金属板(ジュラルミン、表面粗さRa=5.0×10-1μm)の表面に樹脂層を形成し、成形用原料の液滴10μLを垂らし、接触角測定機により計測した値をいう。なお、表面粗さRaは、中心線平均粗さともいい、JIS−B0601に基づいて求めた表面粗さをいう。
本発明の成形型において、前記開気孔は、平均気孔径D(m)が1.0×10-7m以上1.0×10-6m以下に形成されていることが好ましく、2.0×10-7m以上5.0×10-7m以下に形成されていることがより好ましい。平均気孔径Dが1.0×10-7m以上では、樹脂層などにより開気孔が閉塞されてしまうのを抑制しやすく、平均気孔径Dが1.0×10-6m以下では、成形用原料に含まれる一般に用いられる粒子(例えば、アルミナ、ジルコニア、窒化珪素、チタン酸バリウム、フェライトなど)の開気孔への導入が抑制されやすく、毛管現象による液体の浸透モデルを元に液体の浸透を考察しやすいから、比較的容易に成形用原料の液体が開気孔内へ浸透するのを抑制することができる。ここで、平均気孔径Dは、樹脂層を形成したサンプルを水銀圧入法で測定した結果を用いるものとする。
本発明の成形型において、前記開気孔は、前記平均気孔径D(m)が前記成形用原料に含まれる粒子の平均粒径φ(m)に対してφ≧Dを満たすよう形成されているものとしてもよい。こうすれば、開気孔に粒子が入り込み開気孔を閉塞してしまうのをより抑制することができる。この成形用原料に含まれる粒子の平均粒径φ(m)は、レーザ光回折法を用いて測定されたメディアン径(D50)をいうものとする。
本発明の成形型において、前記樹脂層は、フッ素樹脂、フッ素樹脂の変性物、シリコン樹脂及びシリコン樹脂の変性物から成る群より選ばれた1種又は2種以上により形成されているものとしてもよい。このように、濡れ性の悪い樹脂を利用すれば、液体が開気孔に導入されてしまうのをこれらの樹脂を利用して比較的容易に防止することができる。また、離型時に発生する離型応力も小さくすることができる。
本発明の成形体の製造方法は、
所定形状の成形体の製造方法であって、
液体と粒子とを含み流動性のある自己硬化性を有する成形用原料を調製する調製工程と、
上述したいずれか1つに記載の成形型へ前記調製した成形用原料を注入し前記所定形状の成形体を成形する成形工程と、
硬化した成形体を前記成形型から離型する離型工程と
を含むものである。
この成形体の製造方法では、液体と粒子とを含み流動性のある自己硬化性を有する成形用原料を調製し、上述したいずれか1つの成形型へ調製した成形用原料を注入し所定形状の成形体を成形し、硬化した成形体を成形型から離型する。このとき、成形用原料を注入すると、成形用原料の液体が開気孔に導入されてしまうのを樹脂層により防止しつつ、成形用原料及び成形体に含まれる分散媒から揮発する気体は、開気孔から外部空間へ通過させる。このように、成形型内で十分に硬化反応の進行と成形用原料及び成形体に含まれる分散媒の揮発とを同時に実行可能であり、熱処理などを行うことにより硬化反応、分散媒の揮発のどちらか一方を主として実行可能でもある。また、成形体の硬化反応が不十分な状態で成形型の一部を離型し成形体を外気にさらすことにより成形体に含まれる分散媒の揮発を早めるようなことを抑制可能であるため、成形体に十分な強度を持たせ、成形体寸法の変化を抑制し、更に樹脂層の存在により離型応力を小さくして離型することにより、その破損などを抑制し、より確実に成形体を成形することができる。また、開気孔から空気が導入されるため、成形後に成形体と成形型の間に空気が入り込み、成形体と成形型の間が真空状態となりにくく、成形体を離型する際の離型応力を小さくすることにより、離型時の成形体の破損を抑制することができる。なお、外部に連通する開気孔から強制的に気体を供給することにより、成形体と成形型との離型をより容易にすることができる。
本発明の成形体の製造方法において、前記離型工程では、前記開気孔から流体を圧入し強制的に所定方向から離型させるものとしてもよい。こうすれば、流体の圧入により成形体をより容易に離型することができる。ここで、「流体」は、例えば水や有機溶媒などの液体としてもよいし、空気や窒素ガスなどの気体としてもよく、このうち気体がより好ましい。
本発明の成形体の製造方法において、前記成形工程では、前記成形面における前記開気孔面積の異なる2以上の部材からなる前記成形型を用いて前記所定形状の成形体を成形し、前記離型工程では、前記2以上の部材の成形面における開気孔面積の違いを利用して所定の順序で前記2以上の部材と前記成形体とを離型するものとしてもよい。こうすれば、開気孔の面積を利用して比較的容易に離型する順序を定めることができ、例えば成形体の離型時の破損などをより低減して、より確実に成形体を成形することができる。
本発明の成形体の製造方法は、前記成形工程の前に前記成形型の開気孔へ樹脂を含む液体を供給して前記開気孔へ前記樹脂層を形成させる樹脂層形成工程、を含むものとしてもよい。こうすれば、樹脂層を確実に形成することにより、より確実に成形用原料の液体が開気孔内へ浸透するのを抑制し、より十分な強度を成形体に持たせて離型することができる。また、開気孔に微量に残留する成形体の残渣も、気体の供給などにより簡単に除去することができる。また、成形型の使用により樹脂層が剥離などした場合に容易にそれを修復することができる。
本発明の成形体の製造方法において、前記成形型は、複数の部材からなり、前記成形工程では、前記成形型へ前記成形用原料を注入し前記成形型の複数の部材を組み付けた状態で該成形型を所定の硬化温度として硬化反応を促進させるものとしてもよい。例えば、通気性がない成形型において複数の部材を組み付けた状態で硬化温度とする場合には成形用原料及び成形体に含まれる分散媒から生じる気体は成形型から排出されないから、成形体の硬化反応が不十分で成形体が破損してしまう場合があるが、ここでは開気孔から気体として排出可能であるから、成形型の複数の部材を組み付けた状態で硬化反応を促進可能であるから、一層処理時間を短縮することができる。
本発明の成形体の製造方法において、前記調製工程では、ウレタン反応により前記自己硬化する前記成形用原料を調製するものとしてもよい。こうすれば、ウレタン反応する成形用原料を用いて、処理時間をより短縮すると共に、より確実に成形体を成形することができる。
本発明の一実施形態である成形型20の構成の概略を示す構成図である。 成形用原料の粘度ηと毛管浸透のモデルにおける樹脂層33の深さLとの関係を表すプロット図である。 樹脂層33の平均気孔径Dと毛管浸透のモデルにおける樹脂層33の深さLとの関係を表すプロット図である。 樹脂層33を開気孔32に形成する説明図である。 成形型50を作製する説明図である。
次に、本発明を実施するための形態を図面を用いて説明する。図1は、本発明の一実施形態である成形型20の構成の概略を示す構成図である。この成形型20は、図1に示すように、成形体を成形するものであり、成形型部材としての下型22と、下型22上に固定される上型24と、上型24上に固定されるプレート26と、下型22と上型24とにより形成され成形体の形状に対応する空間である成形体形成部30と、によって構成されている。なお、図1では、1つの成形体を成形するものを示したが、複数の成形体を成形可能なものとしてもよい。この成形型20は、成形用原料で形成された焼結前の部材である卵形状の成形体を成形するよう形成されている。この成形体は、粒子(例えばアルミナなど)、ウレタン反応により自己硬化するゲル化剤(例えばイソシアネートとポリオールなど)、分散媒を含む成形用原料を用いて作製される。なお、成形体の形状は、特に限定されず、例えば、中空状、ドーム状、半球状、シート状の成形体など、任意の形状とすることができる。また、成形体内部に異なる物質を内包する場合もある。
成形型20の下型22は、図1に示すように、成形型20の下部に配置される外形が矩形状の部材である。この下型22の上面には、卵形の成形体を形成する窪み状の成形面23が形成されている。上型24は、下型22の上方に組み付けられる外形が矩形状の部材である。この上型24は、その下面側に、卵形の成形体を形成する窪み状の成形面25が形成されている。この上型24には、成形面25の端部へ連通する注入路24aと、成形面25の上部から上方に形成された排出路24bとが形成されている。プレート26は、上型24の上方に組み付けられる外形が矩形状の部材である。このプレート26には、上型24の上方に組み付けられると、注入路24aに接続し成形体形成部30へ連通する注入口27と、排出路24bに接続し成形体形成部30から外部へ連通する排出口28とが形成されている。
この成形型20では、下型22、上型24、プレート26が組み付けられると、上型24の成形面25と、下型22の成形面23とにより、卵状の空間である成形体形成部30が形成される。また、注入路24aと注入口27とが接続して成形用原料を成形体形成部30へ注入可能となり、排出路24bと排出口28とが接続して余剰の成形用原料を成形体形成部30から排出可能となる。
また、下型22及び上型24は、金属と同等の機械的強度及び加工性を有する多孔質金属により形成されている。なお、上型24は、形状以外の構成について下型22と同様であるので、下型22について説明するものとし、その説明を省略する。この下型22には、成形面23と外部空間とが連通する開気孔32が形成されている。この開気孔32には、成形面23から浸透深さLまでの領域に樹脂層33が形成されている。
開気孔32は、平均気孔径D(m)が1.0×10-7m以上1.0×10-6m以下に形成されていることが好ましく、2.0×10-7m以上5.0×10-7m以下に形成されていることがより好ましい。ここでは、3.0×10-7(m)で形成されている。例えば樹脂層の厚さを考慮すると、平均気孔径Dが1.0×10-7m以上とすると、開気孔32の内壁に樹脂層33が形成されても、開気孔32が閉塞されにくく、成形時に発生する成形用原料及び成形体に含まれる分散媒から生じる気体をこの開気孔32から放出可能である。また、1.0×10-6m以下とすると、成形用原料として用いる粒子の開気孔への導入が抑制されやすい。また、成形用原料の密度ρは103(kg/m3)程度であり、成形用原料の分散媒の表面張力γは10-2〜10-1(N/m)程度である。1辺1mの立方体において、スラリー自重により立方体に作用する力Fは、表面張力γによって作用する力と比して105〜106倍である。すなわち、成形用原料の運動において、力Fが支配的である。ここで、力Fは、長さの3乗に比例して減少するのに対して、表面張力γは1乗に比例して減少するから、一辺の長さが1.0×10-6mのときなど、力Fは表面張力γの10-7〜10-6倍となり、両者の関係は逆転し、成形用原料の運動において表面張力γが支配的になる。すなわち、毛管浸透のモデルが浸透の進行・抑制を主として司ることになると考えられる。このため、毛管浸透のモデルを利用して、開気孔32への分散媒の浸透をより容易に考察することができる。この平均気孔径Dは、水銀圧入法で測定した結果を用いるものとする。水銀圧入法による測定条件は、対象となるサンプルを直径8.0×10-3m、厚さ2.0×10-2mの形状に加工し、大気圧から60000psiまで20psi刻みで測定したメディアン径(D50)をいう。また、開気孔32は、平均気孔径D(m)が成形用原料に含まれる粒子の平均粒径φ(m)に対してφ≧Dを満たすように設計されている。この成形用原料に含まれる粒子の平均粒径φ(m)は、レーザ光回折法を用いて測定されたメディアン径(D50)をいうものとする。
樹脂層33は、フッ素樹脂、フッ素樹脂の変性物、シリコン樹脂及びシリコン樹脂の変性物から成る群より選ばれた1種又は2種以上により形成されているのが好ましく、ここでは、フッ素樹脂により形成されている。フッ素樹脂としては、例えば、フルオロアルキルアクリレートポリマー、ポリテトラフルオロエチレン、パーフルオロアルコキシアルカン、パーフルオロエチレンプロペンコポリマー、フルオロエチレンビニルエーテル、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレンコポリマー等を好適に利用することができる。この樹脂層33は、樹脂を溶媒に溶解させた樹脂溶解液を浸漬することにより形成されており、開気孔32の平均気孔径D(m)、樹脂溶解液が揮発する時間td(s)、成形用原料が流動性を失うまでの時間ts(s)、外気中の樹脂溶解液の液体の表面張力γd(N/m)、外気中の成形用原料の液体の表面張力γs(N/m)、成形面23,25と樹脂溶解液との接触角θd(°)、成形面23,25と成形用原料との接触角θs(°)、樹脂溶解液の粘度ηd(Pa・s)、成形用原料の粘度ηs(Pa・s)、成形用原料を成形型20に注入する際の圧力P(Pa)、被覆される樹脂層33の厚さh(m)としたとき、この樹脂層33が成形用原料との間で次式(1)を満たすよう形成されていることが好ましい。ここで、式(1)の左辺は樹脂溶解液が開気孔へ浸漬される浸漬距離に関する値を表し、右辺は成形用原料が樹脂層の形成されている開気孔へ浸漬される浸漬距離に関する値を表し、式(1)は樹脂溶解液と成形用原料との浸漬距離の大小関係を表す。こうすれば、成形用原料が開気孔へ浸漬する距離よりも長い範囲の樹脂層を開気孔へ設けることができるため、より確実に成形体を成形することができる。
Figure 2009241595
また、樹脂層33は、開気孔32の屈曲度や断面積の不均一さを表す曲路率f、開気孔32の平均気孔径D(m)、成形用原料が流動性を失うまでの時間t(s)、外気中の成形用原料の液体の表面張力γ(N/m)、成形面23,25と成形用原料との接触角θ(°)、成形用原料の粘度η(Pa・s)、成形用原料を成形型に注入する際の圧力P(Pa)とし、接触角θが0°以上90°未満のとき、樹脂層33を形成すべき深さL(m)が次式(3)を満たすよう形成されていることが好ましい。即ち、接触角θが0°以上90°未満のときに、開気孔32内への液体の浸透現象について管路における毛管浸透をモデル化したOlsson Pihlの式(4)を利用することができる。このOlsson Pihlの式では、直線の管路での毛管浸透のモデルであり、実際の成形型20の開気孔32は曲路率fを有しているから、この曲路率fを考慮すると、樹脂層33を形成すべき最大深さLmaxは、次式(5)で与えられる。また、樹脂層33を最低限形成すべき最小深さLminは、最大深さLmaxの所定割合とするよう見積もられるから、次式(6)を用いることができる。したがって、この最大深さLmaxと最小深さLminによって規定される式(3)を用いて浸透深さLを設定するのである。このようにして、成形用原料の液体が開気孔内へ浸透するのを抑制し、十分な強度を成形体に持たせつつ、例えば成形型20の全体の開気孔32へ樹脂層33を設けるなどする場合に比して、余剰の樹脂層32を成形型20に設けずに済む。なお、曲路率fは、所定の単位長さの試験片の外周をシールし、既知の流体(例えば水など)を浸透させ、深さLを浸透するのに必要な理論時間Tcと、実測時間Tmの比である、Tm/Tcを求め、この値とするものとした。また、上記式(3)を満たすときには、樹脂層32は、接触角θが65°以上85°以下であることが好ましく、80°以上であることがより好ましい。接触角が65°以上85°以下の範囲では、成形用原料の液体が開気孔内へ過度に浸透するのを抑制しやすく濡れ性も悪いため、より確実に成形体を得ることができる。ここで、接触角θは、金属板(ジュラルミン、表面粗さRa=5.0×10-1μm)の表面に樹脂層33を形成し、成形用原料の液体10μLの液滴を垂らし、接触角測定機により計測した値をいう。なお、表面粗さRaは、中心線平均粗さともいい、JIS−B0601に基づいて求めた表面粗さをいう。したがって、上述したように、成形用原料の自重による力Fの影響が毛細管力と比較して略無視できる場合などには、この接触角θと開気孔32の平均気孔径Dとにより、開気孔32内への液体の浸透を防止する構造を設計することができる。
Figure 2009241595
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ここで、樹脂層33の深さLの設定方法について、式(3)を用いて説明する。図2は、成形用原料の粘度ηと毛管浸透のモデルにおける樹脂層33の深さLとの関係を表すプロット図であり、図3は、樹脂層33の平均気孔径Dと毛管浸透のモデルにおける樹脂層33の深さLとの関係を表すプロット図である。ここでは、接触角θが85°(0°以上90°未満)の場合をモデルとして、図2では、平均気孔径Dを2.0×10-7m、時間tを300s、表面張力γを2.0×10-2N/m、成形用原料を成形型に注入する際の圧力Pを1.0×104Pa、曲路率fを3とし、図3では、時間tを300s、表面張力γを2.0×10-2N/m、粘度ηを1Pa・s、成形用原料を成形型に注入する際の圧力Pを1.0×104Pa、曲路率fを3とした場合の式(3)を用いた計算結果を示した。図2に示すように成形用原料の粘度ηに対し、接触角θが85°の樹脂層33を形成する際には、一点鎖線と二点鎖線とに囲まれた範囲に樹脂層33の深さLを設定すればよいことがわかる。同様に、図3に示すように、平均気孔径Dに対し、接触角θが85°の樹脂層33を形成する際には、一点鎖線と二点鎖線とに囲まれた範囲に樹脂層33の深さLを設定すればよい。
成形型20は、気孔率が10%以上50%以下で形成するのが好ましく、15%以上25%以下で形成するのがより好ましい。気孔率が10%以上では、開気孔32の容積を十分確保可能であり、気孔率50%以下では、成形型20の強度を確保しやすい。気孔率は成形型の材質と気孔径、成形用原料に含まれる分散媒の揮発性によって最適値が変化する。ここで、成形型20の気孔率は全体が必ずしも均一である必要はなく、例えば気孔率が成形型20の外側に行くにつれて大きくなるといった気孔率の勾配があっても問題はない。気孔率はかさ密度から計算によって求めた。また、成形面23の面積S0(m2)に対する開気孔32の面積S1(m2)の比率であるS1/S0は、5%以上25%以下であることが好ましく、10%以上15%以下であることがより好ましい。5%以上では、成形用原料及び成形体からの分散媒が揮発し気体として外部に抜けやすく好ましく、20%以下では、成形体の表面の粗さを抑制することができ、好ましい。この面積S0,S1は、SEMにより倍率10000倍で対象の領域の画像を取得し縦7.5×10-6m、横1.0×10-5mのサイズの画像を対象にして観察し、対象領域の異なる10ヶ所で画像を測定し、その平均値から求めるものとした。
次に、この成形型20の作製方法について説明する。まず、開気孔32を有する塊状の部材を用意する。この部材としては、多孔質金属、樹脂材料、スポンジや等方性特殊炭素材料などが挙げられ、このうち加工性及び機械的強度が高いものが好ましく、多孔質金属、等方性特殊炭素材料などが好適である。開気孔の有無の確認は、例えば、型部材の側面をシールし、シールしていない一方の面に空気や水などの流体を加圧して供給し、他方の面から排出されるか否かを確認することにより行うことができる。この部材を、図1に示すように、成形体を成形する空間に相当する成形体形成部30となるように、任意形状に加工して成形面23,25を形成する。この加工は、切削、レーザ加工など、加工する部材に合わせて適宜選択することができる。次に、開気孔32へ樹脂層33を形成する。図4は、樹脂層33を開気孔32に形成する説明図である。図4(a)に示すように、成形面23を形成したあと、接触角θの大きな樹脂を溶剤に溶解した樹脂溶液33aを成形面23から上記設定した深さLまで含浸させる(図4(b))。この樹脂溶液33aの含浸方法としては、樹脂溶液33a中への成形型20のディッピング、樹脂溶液33aの成形型へのスプレー、成形面23への塗布などの方法によって行うことができる。このとき、真空引きを行い、開気孔32内部へ強制的に樹脂溶液33aを引き込んでもよい。その後、樹脂溶液33aの溶剤を揮発させると、開気孔32の内壁が樹脂層33により被覆される(図4(c))。なお、樹脂溶液33aに含まれる樹脂分は、例えば0.3体積%〜10体積%程度(又は例えば3重量%程度)と少ないことから、開気孔32の内壁を被覆する樹脂層33は、薄膜として形成され、開気孔32が埋められにくい。こうして、成形用原料に含まれる液体は開気孔32へ導入されずに成形用原料及び成形体に含まれる分散媒から揮発する気体は開気孔32から排出可能な成形型20を作製することができる。
次に、この成形型20を用いて成形体を製造する方法について説明する。この成形体の製造方法は、液体と粒子とを含み流動性のある自己硬化性を有する成形用原料を調製する調製工程と、上述したいずれか1つに記載の成形型へ調製した成形用原料を注入し所定形状の成形体を成形する成形工程と、成形型から成形体を離型する離型工程とを含むものである。まず、調整工程では、成形用原料を調製する。成形用原料は、粒子と硬化成分としての有機化合物とを含み、有機化合物相互の化学反応により硬化する周知の自己硬化性の成形用原料を用いることができる。このような成形用原料は、粒子のほか、分散媒、ゲル化剤を含み、粘性や硬化反応調整のため分散剤、触媒などを含んでいてもよい。ここでは、粒子を例えばアルミナなどとし、分散媒を水とし、ゲル化剤としてウレタン系の有機化合物とする自己硬化性の成形用原料を用いるものとした。こうすれば、ウレタン反応する成形用原料を用いて、処理時間をより短縮すると共に、より確実に成形体を成形することができる。なお、成形用原料としては、上記の成形用原料にかかわらず、種々のものを用いることができる。
次に、成形工程では、この成形型20へ成形用原料を注入して成形体を成形する。まず、下型22と上型24とプレート26とを組み付けて成形型20とし、調製した成形用原料を注入口27から注入する。すると、注入路24aを介して成形体形成部30へ成形用原料が流入する。なお、成形用原料の注入であるが、成形用原料を加圧して注入口27から成形体形成部30へ供給することが、より十分な充填や複雑な形状のものを成形することを考慮する上では好ましい。成形用原料を成形体形成部30へ注入したときに、成形型20の成形面23,25に形成されている開気孔32への成形用原料の浸透が樹脂層33により抑制される。ここで、成形用原料が開気孔32へ浸透してしまうと、例えば、十分に硬化反応が進行しないうちに、成形用原料に含まれるゲル化剤が成形型20側へ移動してしまうから、成形体に十分な強度を付与することができないことがある。ここでは、樹脂層33により成形用原料が開気孔32へ過度に浸透するのを抑制可能であるため、これらのような問題の発生を抑制可能である。続いて、成形用原料を注入していくと、成形体形成部30を満たしたあと成形用原料の余剰分が、排出路24bを介して排出口28から排出される。成形用原料を成形体形成部30へ充填したあと、例えば室温で所定の化学反応により、成形用原料を硬化させ成形体を得る。このとき、成形用原料及び成形体に含まれる分散媒から揮発する気体などが、開気孔32を通過して外部空間へ放出される。なお、室温での硬化反応で十分な強度が得られない場合には、下型22,上型24,プレート26を組み付けた状態で、成形型20を加熱、又は冷却して硬化反応を進行させてもよい。ここで、通気性がない成形型において複数の部材を組み付けた状態で硬化温度とする場合には、成形用原料及び成形体に含まれる分散媒から揮発する気体は成形型から排出されにくいことがあり、成形体の硬化反応が不十分で破損してしまったり、一定量以上に揮発し難く乾燥に多くの時間を要するなどの場合がある。ここでは、開気孔32から気体として排出可能であるから、成形型20の複数の部材を組み付けた状態で硬化反応を促進可能であるから、一層処理時間を短縮することができる。成形用原料の硬化反応が終了すると、プレート26を離型し、下型22、上型24から成形体を離型する離型工程を経て、成形体形成部30に形成された成形体を得る。この際、濡れ性の悪い樹脂層33が表面に存在することから成形体を成形型から離型する際の離型応力を小さくすることが可能である。また開気孔の存在により空気が侵入しにくい形状の場合でも、真空の効果を受けることなく離型することができる。この離型工程では、開気孔32から流体を圧入し強制的に所定方向から離型させるものとしてもよい。こうすれば、流体の圧入により成形体をより容易に離型することができる。ここで、「流体」は、例えば水や有機溶媒などの液体としてもよいし、空気や窒素ガスなどの気体としてもよく、このうち気体がより好ましい。この成形体は、必要に応じて残留分散媒の揮発を乾燥温度(例えば130℃)で所定時間行ってもよい。得られた成形体は、必要であれば仮焼して脱脂し、構成される材料や用途などに応じた焼成温度で焼成する。このように、硬化反応中の成形体を成形型20内に納めたままで、成形体の硬化反応の進行と、成形体に含まれている分散媒の揮発とを並列的に進行させ、より確実に成形体が得られる方法で成形工程を実行するのである。
ここで、成形工程の前に、成形型20の繰り返し使用により樹脂層33が剥離や劣化した際には、図4に示すように、成形型20の開気孔32へ樹脂溶液33aを供給して開気孔32へ樹脂層33を形成させる樹脂層形成工程を実行してもよい。こうすれば、樹脂層33を確実に形成することにより、より確実に成形用原料の液体が開気孔内へ浸透するのを抑制し、より十分な強度を成形体に持たせることができる。また、成形型の使用により樹脂層33が剥離などした場合に容易にそれを修復することができる。ここで、開気孔32が形成されていない成形型では、離型剤などを表面に塗布することがあるが、均一に離型剤層を形成することが困難である。成形型20では、樹脂溶液33aが開気孔32へ浸透するため、成形面23,25がより容易に平滑な面となる。なお、樹脂層形成工程は、調製工程の前に行うことが好ましい。
以上詳述した本実施形態の成形型20によれば、液体と粒子とを含み自己硬化性を有する成形用原料を注入すると、成形用原料が開気孔32に導入されてしまうのを、成形面23,25から深さLまで形成された樹脂層33により抑制しつつ、成形用原料及び成形体に含まれる分散媒から揮発する気体は、開気孔32から外部空間へ通過させる。このように、成形型内で十分に硬化反応の進行と成形体に含まれる分散媒の揮発とを同時に実行可能であるため、処理時間をより短縮することができる。また、十分な強度を有してしない状態で成形型20の一部を離型し硬化反応が不十分な成形体を外気にさらすことにより成形体に含まれる分散媒の揮発を早めるようなことを抑制可能であるため、成形体に十分な強度を持たせてから離型することが可能である。また、外部に連通する開気孔を有しているため成形体と成形型の間に空気が入り難く成形体を成形型から離型する際に離型応力が大きくなることを抑制可能である。さらに、被覆されている樹脂は濡れ性が悪いため、成形体を成形型から離型する際に離型応力を小さくすることが可能である。以上から、その破損などを抑制し、より確実に成形体を成形することができる。また、式(3),(4)を満たすような深さLまで樹脂層33が開気孔32の内壁に形成されているため、開気孔内への液体の浸透現象を管路における毛管現象にモデル化したOlsson Pihlの式を利用して、より確実に成形用原料の液体が開気孔内へ浸透するのを抑制し、より十分な強度を成形体に持たせることができるし、余剰の樹脂層33を成形型20に設けずに済む。更に、開気孔32は、平均気孔径Dが3.0×10-7mに形成されているため、樹脂層33などにより開気孔が閉塞されてしまうのを抑制しやすく、毛細管力による液体の浸透モデルを元に液体の浸透を考察でき、成形用原料の液体が開気孔内へ浸透する距離を算出し、それを抑制することができる。更にまた、開気孔32は、平均気孔径D(m)が粒子の平均粒径φ(m)以下に形成されているため、開気孔32に粒子が入り込み開気孔32を閉塞してしまうのをより抑制することができる。そしてまた、成形用原料に含まれる液体が開気孔32に浸透してしまうのを、接触角θの大きなフッ素樹脂を利用して比較的容易に防止することができる。
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
例えば、上述した実施形態では、式(5),(6)を用いて樹脂層33を形成する深さLの範囲などを求めるものとしたが、式(6)を省略してもよいし、式(5),(6)を省略して深さLを設定するものとしてもよい。開気孔32へ成形用原料が浸透しない所定領域まで樹脂層33が形成されていればよい。
上述した実施形態では、図4に示すように、成形面23を形成したあとの部材が有する開気孔32へ樹脂溶液33aを用いて樹脂層33を形成する成形型20を作製するものとしたが、図5に示すように、表面を樹脂層43で被覆した部材粒子41を用意し、この部材粒子41を例えばプレス成形や鋳込み成形などにより成形することにより開気孔42に樹脂層43を形成し任意の形状の成形面44を有する成形型50を作製するものとしてもよい。即ち、成形型50は、成形体の形状とする成形面44を形成するように部材粒子41を成形して形成されており、樹脂層43は、部材粒子41の表面を樹脂で被覆することにより形成されている。こうしても、成形・乾燥の処理時間をより短縮すると共に、より確実に成形体を成形することができる。この部材粒子41は、金属粉末(例えば鉄やチタンなど水銀圧入法を用いて測定するためアマルガムを作らないものが好ましい。)、樹脂粉末(ポリエチレンやポリイミド、アクリル系樹脂、メラミン系樹脂など)、セラミックス粉末(アルミナやジルコニアなど)などを用いることができる。樹脂層43は、上述した樹脂層33と同様の材質を用いることができる。また、部材粒子41を成形型50に成形するとき、樹脂層43で被覆した部材粒子41を深さLまでとし、それより深い部分を樹脂層43で被覆しない部材粒子41を用いて行ってもよい。こうすれば、余剰の樹脂層43を形成するのを抑制可能である。このとき、樹脂層43で被覆した部材粒子41と樹脂層43で被覆しない部材粒子41との配合比を変化させ、成形面44へ近づくほど樹脂層43がより多く存在するように成形型50を作製してもよい。
このとき、成形型50では、開気孔42の屈曲度や断面積の不均一さを表す曲路率f、開気孔42の平均気孔径D(m)、成形用原料が流動性を失うまでの時間t(s)、外気中の成形用原料の液体の表面張力γ(N/m)、前記成形面と前記成形用原料との接触角θ(°)、前記成形用原料の粘度η(Pa・s)、前記成形用原料を前記成形型に注入する際の圧力P(Pa)とし、接触角θが0°以上90°未満のとき、樹脂層43の形成される深さL(所定範囲)として、成形面44から次式(2)で表される深さまで部材粒子41により構成されているものとしてもよい。こうすれば、接触角θが0°以上90°未満のときに、開気孔内への液体の浸透現象を管路における毛管現象にモデル化したOlsson Pihlの式(4)に対して曲路率fを含むパラメータを乗じて得られる式(2)を利用して、成形用原料が開気孔42へ浸透する距離以上の樹脂層43を設けることができるから、より確実に成形体を成形することができる。
Figure 2009241595
上述した実施形態では、成形面23及び成形面25における開気孔32の面積について説明しなかったが、例えば、成形工程では、成形面における開気孔面積の異なる2以上の成形型部材を有する成形型(上型24や下型22)を用いて所定形状の成形体を成形し、離型工程では、各成形面における開気孔面積の違いを利用して所定の順序で2以上の成形型と成形体とを離型するものとしてもよい。例えば、図1において、下型22から離型した方が成形体の破損が少ないことが経験的にわかっている場合などには、下型22の開気孔32の面積を上型24に比して大きくし、下型22側を離型しやすくすることができる。こうすれば、開気孔32の面積を利用して比較的容易に離型する順序を定めることができ、例えば成形体の破損などをより低減してより確実に成形体を成形することができる。このとき、例えば、下型22の成形面23の面積と、上型24の成形面25の面積を考慮して各成形型部材の開気孔32の面積を設定するものとする。なお、下型22の成形面23の面積と上型24の成形面25の面積とを同じ面積とすると、各下型22,上型24の開気孔32の面積の設定がしやすい。また、開気孔面積を調整する手段としては、開気孔32を有する多孔質体を利用して成形型を作製する場合には、この多孔質体の気孔率を調整することなどが考えられる。また、樹脂で被覆した部材粒子を使用して成形型を作製する場合には、元となる部材粒子の粒径を変えることなどが考えられる。
以下には、成形型20を具体的に作製した例を、実験例として説明する。
[実験例1]
開気孔のない金属(ジュラルミン)を加工して成形面を設け、図1に示すような成形体形成部を形成した成形型を作製し、この成形面の表面に接触角θが85°のフッ素樹脂を塗布し、乾燥させ深さLが0mの樹脂層(表面のみのコート)を形成した。接触角θは、ジュラルミンA7075(表面粗さRa=5.0×10-1μm)の表面に樹脂層を形成し、成形用原料を10μL滴下し、接触角測定機を用いて計測を行いこの計測を3回行った平均値として求めた。これを実験例1の成形型とした。なお、表面粗さRaは、中心線平均粗さともいい、JIS−B0601に基づいて求めた。成形用原料は、粒子をアルミナ粒子(平均粒径が5.0×10-7m)、分散媒として有機2塩基酸エステルを用い、ゲル化剤としてイソシアネート、ポリオールを用い、更に、分散剤、触媒を添加することで、その粘度を1Pa・sに調整した。粒子の平均粒径は、粒子(屈折率1.7)を分散媒(屈折率1.4)に分散させ、レーザー回折/散乱式粒度分布測定器を用いて測定した。測定はバッチセル方式で行い、透過率は約80%となるように粒子量を調整した。測定結果は5.00×10-8〜2.62×10-4mを64分割(分割幅は1.00×10-8〜3.33×10-5m)した頻度分布、累積分布、メディアン径(D50)、90%粒径を出力した。平均粒径の測定は、同様の粒子に対して3回行い、メディアン径の平均値として求めた。この成形用原料の表面張力γは、2.0×10-2(N/m)であった。粒子の平均粒径は、メディアン径(D50)として求めた。この調製した成形用原料を実験例1の成形型に、注入する際の圧力Pを1.0×104Paで注入し、50℃で、硬化時間60分、120分、180分の3パターンについて各12個のサンプルを作製した。各々の硬化時間の経過後に離型し、各成形体の状態を実体顕微鏡により観察した。その結果を表1に示す。この表1には、基材と、樹脂層の接触角(°)、樹脂深さL(m)、各硬化時間における、サンプル数に対する良品の評価値を示し、後述する実験例2〜15についての実験結果も示した。なお、良品の評価値は、離型後の成形体の歩留まりが90%以上を「○」、90%未満を「×」として評価した。
Figure 2009241595
[実験例2]
開気孔を有する多孔質金属を加工して成形面を設け成形型を作製し、この成形面の表面に接触角θが85°のフッ素樹脂をスプレーにより塗布し、乾燥させ樹脂層の深さLが5.0×10-5mまで形成した以外は、実験例1と同様の処理を行い、実験例2の成形型を作製し、これを用いて実験例1と同様に成形体を作製した。開気孔の平均気孔径Dは、樹脂層を形成する前の成形型について、水銀ポロシメータにより水銀圧入法で測定した。対象とするサンプルを直径8.0×10-3m、厚さ2.0×10-2m形状のサンプルに加工し、前処理(5分間の真空引き)を行う。前処理の終わったサンプルを測定器にセットし常温で大気圧から60000psiまで20psi刻みで測定し、メディアン径(D50)を得た。同様の測定を5サンプルに対して行い、その平均値を求めた。その結果、平均気孔径Dは、2.0×10-7m(平均気孔半径rが1.0×10-7m)であった。また、樹脂層の深さLは、SEMにより倍率100倍で画像を取得し縦7.5×10-4m、横1.0×10-3mのサイズの画像を対象にして行った。対象領域の異なる5ヶ所で画像を取得し各画像から無作為に2点を測定し計10点に対して測定しその平均値を平均気孔径Dとした。また、実験例2は、曲路率fが3であった。この曲路率fは、所定の単位長さの試験片の外周をシールし水を浸透させ深さLを浸透するのに必要な理論時間Tcと、実測時間Tmとの比である、Tm/Tcを求め、これを曲路率fとした。
[実験例3〜5]
樹脂溶液を塗布することにより、樹脂層をそれぞれ深さ1.5×10-4m、1.8×10-4m、2.1×10-4mまで形成した以外は、実験例2と同様の処理を行い、それぞれを実験例3〜5とする成形型を作製した。実験例3〜5は、平均気孔径Dが2.0×10-7m(平均気孔半径rが1.0×10-7m)、曲路率fが3であった。これらを用いて実験例1と同様に成形体を作製した。
[実験例6]
成形面の表面に接触角θが75°のフッ素樹脂をスプレーにより塗布し、乾燥させ樹脂層を形成した以外は実験例1と同様の工程を行い実験例6の成形型を作製した。これを用いて実験例1と同様に成形体を作製した。
[実験例7〜10]
開気孔を有する部材を加工して成形面を設け成形型を作製し、この成形面の表面に接触角θが75°のフッ素樹脂をスプレーにより塗布し、乾燥させ樹脂層の深さLが1.0×10-4mまで形成した以外は、実験例1と同様の処理を行い、実験例7の成形型を作製した。また、樹脂層をそれぞれ深さ2.0×10-4m、2.5×10-4m、3.0×10-4mまで形成した以外は、実験例7と同様の処理を行い、それぞれを実験例8〜10とする成形型を作製した。実験例7〜10は、平均気孔径Dが2.0×10-7m(平均気孔半径rが1.0×10-7m)、曲路率fが3であった。これらを用いて実験例1と同様に成形体を作製した。
[実験例11]
成形面の表面に接触角θが65°のフッ素樹脂をスプレーにより塗布し、乾燥させ樹脂層を形成した以外は実験例1と同様の工程を行い実験例6の成形型を作製した。これを用いて実験例1と同様に成形体を作製した。
[実験例12〜15]
開気孔を有する多孔質金属を加工して成形面を設け成形型を作製し、この成形面の表面に接触角θが65°のフッ素樹脂をスプレーにより塗布し、乾燥させ樹脂層の深さLが1.5×10-4mまで形成した以外は、実験例1と同様の処理を行い、実験例12の成形型を作製した。また、樹脂層をそれぞれ深さ3.0×10-4m、3.5×10-4m、4.0×10-4mまで形成した以外は、実験例12と同様の処理を行い、それぞれを実験例13〜15とする成形型を作製した。実験例12〜15は、平均気孔径Dが2.0×10-7m(平均気孔半径rが1.0×10-7m)、曲路率fが3であった。これらを用いて実験例1と同様に成形体を作製した。
[実験例16]
気孔率が0%である、開気孔のない金属(ジュラルミン)を加工して成形面を設け成形型を作製し、この成形面の表面に接触角θが85°のフッ素樹脂をスプレーにより塗布し、乾燥させ樹脂層を形成した実験例16の成形型を作製した。これを用いて硬化時間90分で実験例1と同様に成形体を作製し、成形体を成形型から離型し、成形用原料重量S(g)、成形用原料中の分散媒重量Sa(g)、離型後の成形体重量M(g)として、式(5)を用いて分散媒の揮発量R(重量%)を求めた。この実験結果を表2に示す。この表2には、基材と、樹脂層の接触角(°)、樹脂深さL(m)、気孔率(%)、硬化90分時の分散媒の揮発量R(重量%)、サンプル数に対する良品の評価値、及び不良要因を示し、後述する実験例17〜28についての実験結果も示した。なお、良品の評価値は、離型後の成形体の歩留まりが90%以上を「○」、30%以上90%未満を「△」、30%未満を「×」として評価した。
揮発量R(重量%)=(S−M)/Sa×100…式(5)
Figure 2009241595
[実験例17〜22]
気孔率が3.0%、10%、15%、25%、35%、50%である開気孔を有する多孔質金属を加工して成形面を設け成形型を作製し、この成形面の表面に接触角θが85°のフッ素樹脂をスプレーにより塗布し、乾燥させ樹脂層の深さLを2.0×10-4mまで形成し、それぞれを実験例17〜22とする成形型を作製した。実験例17〜22は、平均気孔径Dが4.0×10-7m(平均気孔半径rが2.0×10-7m)、曲路率fが3であった。これらを用いて実験例16と同様に成形体を作製して分散媒の揮発量Rなどを評価した。
[実験例23〜28]
気孔率が3.0%、10%、15%、25%、35%、50%である開気孔を有する多孔質金属を加工して成形面を設け成形型を作製し、この成形面の表面に接触角θが85°のフッ素樹脂をスプレーにより塗布し、乾燥させ樹脂層の深さLを4.0×10-4mまで形成し、それぞれを実験例23〜28とする成形型を作製した。実験例23〜28は、平均気孔径Dが4.0×10-7m(平均気孔半径rが2.0×10-7m)、曲路率fが3であった。これらを用いて実験例16と同様に成形体を作製して分散媒の揮発量Rなどを評価した。
[実験結果]
実験例1〜15の実験結果を表1に示し、実験例16〜29の実験結果を表2に示す。表1に示すように、実験例1,6,11では、いずれの硬化時間でも離型時の歩留まりが悪かった。また、実験例2,7,12では、樹脂層が浅く、成形体の表面が粗かったり、成形型の開気孔に詰まった残渣が取れにくかった。これに対し、実験例3〜5,8〜10,13〜15は、短時間で成形体が硬化し、且つ離型しやすい良好な結果が得られた。実験例4の180分、実験例10の60分及び120分、実験例14の60分、実験例15の180分では、ハンドリングミスによる不良品が発生した。なお、上述した式(4)〜(6)でt=300sとして算出した深さL、Lmax、Lmin、の値は、それぞれ接触角85°では、1.8×10-4,2.4×10-4,1.2×10-4mであり、接触角75°では、2.9×10-4,3.9×10-4,1.9×10-4mであり、接触角65°では、3.7×10-4,4.9×10-4,2.4×10-4mであった。また、表2に示すように、樹脂層の深さLが2.0×10-4m及び4.0×10-4mでは、気孔率10%〜25%の成形型が成形体に含まれる分散媒の揮発性が良好で、且つ良品率が高かった。気孔率、即ち、開気孔の面積割合が10〜25%では、成形体の表面が良好であり、25%を超えると成形体の表面が粗くなることがわかった。なお、樹脂層の深さLが4.0×10-4mであるものについては、成形体が脆弱であったため、成形型の裏側からエアを供給して成形体を離型した。この際、実験例25〜27では、ハンドリングミスにより不良品が発生した。実験例24〜28では、気孔率25%までは大きく分散媒揮発量が増加しないが、これは、部分的に樹脂層が開気孔を閉塞していることなどが考えられる。また、実験例24では、エアの供給による離型を試みたが、成形型の気孔率が低く十分に加圧できず、失敗した。樹脂層の深さLが浅いと樹脂層に被覆されていない領域と成形体のスラリーとが接触して密着してしまい、それによって局所的な離型性が低下し、表面が粗くなると共に、密着した残渣を除去できず、成形型の寿命が短くなることがわかった。このように、開気孔があり、樹脂層が所定深さまで形成されているものでは、成形体に含まれる分散媒の揮発が促進され、かつ離型性が高く、良好な成形体が得られることがわかった。
本発明は、自己硬化性を有する成形体原料を用いた成形体の製造分野に利用可能である。
20,50 成形型、22 下型、23,44 成形面、24 上型、24a 注入路、24b 排出路、25 成形面、26 プレート、27 注入口、28 排出口、30 成形体形成部、32,42 開気孔、33,43 樹脂層、33a 樹脂溶液、41 部材粒子。

Claims (14)

  1. 液体と粒子とを含み流動性のある自己硬化性を有する成形用原料を注入して所定形状の成形体を成形する成形型であって、
    前記成形用原料と接触し該成形用原料を前記成形体の形状とする成形面と外部空間とを連通する開気孔と、
    前記成形面から前記開気孔の深さ方向に所定範囲で該開気孔を塞がずに形成される樹脂層と、
    を備えた成形型。
  2. 前記樹脂層は、樹脂を溶媒に溶解させた樹脂溶解液を浸漬することにより形成されており、前記開気孔の平均気孔径D(m)、前記樹脂溶解液が揮発する時間td(s)、前記成形用原料が流動性を失うまでの時間ts(s)、外気中の前記樹脂溶解液の液体の表面張力γd(N/m)、外気中の前記成形用原料の液体の表面張力γs(N/m)、前記成形面と前記樹脂溶解液との接触角θd(°)、前記成形面と前記成形用原料との接触角θs(°)、前記樹脂溶解液の粘度ηd(Pa・s)、前記成形用原料の粘度ηs(Pa・s)、前記成形用原料を前記成形型に注入する際の圧力P(Pa)、被覆される前記樹脂層の厚さh(m)としたとき、該樹脂層が前記成形用原料との間で次式(1)を満たすよう形成されている、請求項1に記載の成形型。
    Figure 2009241595
  3. 前記樹脂層は、部材粒子の表面を前記樹脂で被覆することにより形成されており、
    前記成形型は、前記成形体の形状とする成形面を形成するように部材粒子を成形して形成されており、前記開気孔の曲路率f、前記開気孔の平均気孔径D(m)、前記成形用原料が流動性を失うまでの時間t(s)、外気中の前記成形用原料の液体の表面張力γ(N/m)、前記成形面と前記成形用原料との接触角θ(°)、前記成形用原料の粘度η(Pa・s)、前記成形用原料を前記成形型に注入する際の圧力P(Pa)とし、接触角θが0°以上90°未満のとき、前記所定範囲として、前記成形面から次式(2)で表される深さまで前記部材粒子により構成されている、請求項1に記載の成形型。
    Figure 2009241595
  4. 前記樹脂層は、前記開気孔の曲路率f、前記開気孔の平均気孔径D(m)、前記成形用原料が流動性を失うまでの時間t(s)、外気中の前記成形用原料の液体の表面張力γ(N/m)、前記成形面と前記成形用原料との接触角θ(°)、前記成形用原料の粘度η(Pa・s)、前記成形用原料を前記成形型に注入する際の圧力P(Pa)としたとき、前記所定範囲としての深さL(m)が次式(3)を満たすよう形成されている、請求項1に記載の成形型。
    Figure 2009241595
  5. 前記樹脂層は、前記接触角θが65°以上85°以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の成形型。
  6. 前記開気孔は、平均気孔径D(m)が1.0×10-7m以上1.0×10-6m以下に形成されている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の成形型。
  7. 前記開気孔は、前記平均気孔径D(m)が前記成形用原料に含まれる粒子の平均粒径φ(m)に対してφ≧Dを満たすよう形成されている、請求項1〜6のいずれか1項に記載の成形型。
  8. 前記樹脂層は、フッ素樹脂、フッ素樹脂の変性物、シリコン樹脂及びシリコン樹脂の変性物から成る群より選ばれた1種又は2種以上により形成されている、請求項1〜7のいずれか1項に記載の成形型。
  9. 所定形状の成形体の製造方法であって、
    液体と粒子とを含み流動性のある自己硬化性を有する成形用原料を調製する調製工程と、
    請求項1〜8のいずれか1項に記載の成形型へ前記調製した成形用原料を注入し前記所定形状の成形体を成形する成形工程と、
    硬化した成形体を前記成形型から離型する離型工程と
    を含む成形体の製造方法。
  10. 前記離型工程では、前記開気孔から流体を圧入し強制的に所定方向から離型させる、請求項9に記載の成形体の製造方法。
  11. 前記成形工程では、前記成形面における前記開気孔面積の異なる2以上の部材からなる前記成形型を用いて前記所定形状の成形体を成形し、
    前記離型工程では、前記2以上の部材の成形面における開気孔面積の違いを利用して所定の順序で前記2以上の部材と前記成形体とを離型する、請求項9又は10に記載の成形体の製造方法。
  12. 請求項9〜11のいずれか1項に記載の成形体の製造方法であって、
    前記成形工程の前に前記成形型の開気孔へ樹脂を含む液体を供給して前記開気孔へ前記樹脂層を形成させる樹脂層形成工程、を含む、成形体の製造方法。
  13. 前記成形型は、複数の部材からなり、
    前記成形工程では、前記成形型へ前記成形用原料を注入し前記成形型の複数の部材を組み付けた状態で該成形型を所定の硬化温度として硬化反応を促進させる、請求項9〜12のいずれか1項に記載の成形体の製造方法。
  14. 前記調製工程では、ウレタン反応により前記自己硬化する前記成形用原料を調製する、請求項9〜13のいずれか1項に記載の成形体の製造方法。
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