JP2009239052A - 磁気抵抗素子および磁気メモリ - Google Patents

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Abstract

【課題】Pdを含む層を設けた場合でも高いMR比を有する磁気抵抗素子および磁気メモリを提供することを可能にする。
【解決手段】膜面に対して垂直方向の磁化を有し、膜面に対して(001)面に配向したfct型の結晶構造を備えかつPdと、Fe、Co、Ni、Mnのうち1つ以上の元素とを含む金属から形成される第1の磁性層11cと、第1の磁性層上に設けられ、膜面に対して垂直方向の磁化を有し、Feと、N、C、O、Y、Beのうち1つ以上の元素と、を含む金属から形成される第2の磁性層11bと、第2の磁性層上に設けられ、膜面に対して垂直方向の磁化を有し、Fe、Co、Niのうち1つ以上の元素を含む金属から形成される第3の磁性層11aと、第3の磁性層上に設けられた非磁性層13と、非磁性層上に設けられ、膜面に対して垂直方向の磁化を有する第4の磁性層12と、を備えている。
【選択図】図4

Description

本発明は、磁気抵抗素子および磁気メモリに関する。
トンネル磁気抵抗(TMR(Tunneling Magnetoresistance))効果を利用した磁気メモリ(MRAM(Magnetic Random Access Memory))、以下、磁気メモリともいう)は、不揮発性、高速動作、大容量、低消費電力を備えた不揮発性メモリとして期待されている。
しかし、大容量化ため、メモリセルのサイズを小さくしていくと、熱擾乱の影響により、磁化の向きがランダムに向きを変えるようになるため、記憶した情報が時間の経過とともに消失してしまうことが問題となってくる。
記憶した情報を保持し続けるためには、熱擾乱エネルギーより大きな磁気異方性エネルギーをMTJ(Magneto Tunnel Junction)素子の記録層に与えなければならない。磁気異方性エネルギーを確保する方法としては、形状磁気異方性エネルギー若しくは結晶磁気異方性エネルギーを利用する2通りの方法が検討されている。
例えば、40nm以下の素子サイズを仮定した場合、形状磁気異方性エネルギーを用いて、磁気異方性エネルギーを確保するためには、膜厚を3nmに固定しかつ平面形状のみで磁気異方性エネルギーを確保しようとするとアスペクト比が3以上必要となり、大容量化が困難になる。また、平面形状をアスペクト比が2の楕円に固定し、膜厚を厚くすることによって磁気異方性エネルギーを確保しようとすると膜厚は4nm以上必要となる。膜厚の増大はスピン注入電流の増大を引き起こすため、数十nm以下の微細な強磁性体における磁気異方性エネルギーを形状磁気異方性で補うことは困難である。
一方、磁気異方性エネルギーを結晶磁気異方性エネルギーで確保するケースを考える。高い結晶磁気異方性を持つ材料としては、fct(face-centered tetragonal)構造を持つL1型のCoPt、FePt、FePd規則合金があげられる(例えば、特許文献1参照)。FePd規則合金の結晶磁気異方性エネルギー密度は2×10erg/cmになることが見出されている。結晶磁気異方性エネルギー密度が2×10erg/cmで飽和磁化が1000emu/cm、膜厚が2nmのMTJ素子を仮定すると10nm程度まで微細化が可能となる。また、FePd規則合金を膜面内方向に対して垂直方向に対して(001)面に配向させると、結晶磁気異方性は膜面内方向に対して垂直方向に異方性を持つようになるため、記録層の平面形状をアスペクト1で形成することが可能となり、大容量化が容易になる。
特開2007−142364号公報
しかし、後述する本発明者達の検討結果によれば、トンネルバリア層の下にPdを含む層を設けた場合には、MR(Magneto resistance)比が減少することが分かった。
本発明は、上記事情を考慮してなされたものであって、Pdを含む層を設けた場合でも高いMR比を有する磁気抵抗素子および磁気メモリを提供することを目的とする。
本発明の第1の態様による磁気抵抗素子は、膜面に対して垂直方向の磁化を有し、膜面に対して(001)面に配向したfct型の結晶構造を備えかつPdと、Fe、Co、Ni、Mnのうち1つ以上の元素とを含む金属から形成される第1の磁性層と、前記第1の磁性層上に設けられ、膜面に対して垂直方向の磁化を有し、Feと、N、C、O、Y、Beのうち1つ以上の元素と、を含む金属から形成される第2の磁性層と、前記第2の磁性層上に設けられ、膜面に対して垂直方向の磁化を有し、Fe、Co、Niのうち1つ以上の元素を含む金属から形成される第3の磁性層と、前記第3の磁性層上に設けられた非磁性層と、前記非磁性層上に設けられ、膜面に対して垂直方向の磁化を有する第4の磁性層と、を備えていることを特徴とする。
また、本発明の第2の態様による磁気抵抗素子は、Pdを含み膜面に対して(001)面に配向した立方晶或いは正方晶の金属を有する下地層と、前記下地層上に設けられ、膜面に対して垂直方向の磁化を有し、膜面に対して(001)面に配向したfct型の結晶構造を備えかつPtと、Fe、Co、Ni、Mnのうち1つ以上の元素とを含む金属から形成される第1の磁性層と、前記第1の磁性層上に設けられ、膜面に対して垂直方向の磁化を有し、Feと、N、C、O、Y、Beのうち1つ以上の元素と、を含む金属から形成される第2の磁性層と、前記第2の磁性層上に設けられ、膜面に対して垂直方向の磁化を有し、Fe、Co、Niのうち1つ以上の元素を含む金属から形成される第3の磁性層と、前記第3の磁性層上に設けられた非磁性層と、前記非磁性層上に設けられ、膜面に対して垂直方向の磁化を有する第4の磁性層と、を備えていることを特徴とする。
また、本発明の第3の態様による磁気抵抗素子は、膜面に対して垂直方向の磁化を有し、膜面に対して(001)面に配向したfct型の結晶構造を備えかつPdと、Fe、Co、Ni、Mnのうち1つ以上の元素とを含む金属から形成される第1の磁性層と、前記第1の磁性層上に設けられ、膜面に対して垂直方向の磁化を有し、Fe、Co、Niのうち1つ以上の元素と、N、C、O、Y、Beのうち1つ以上の元素とを含む金属から形成される第2の磁性層と、前記第2の磁性層上に設けられた非磁性層と、前記非磁性層上に設けられ、膜面に対して垂直方向の磁化を有する第3の磁性層と、を備えていることを特徴とする。
また、本発明の第4の態様による磁気抵抗素子は、Pdを含み膜面に対して(001)面に配向した立方晶或いは正方晶の金属を有する下地層と、前記下地層上に設けられ、膜面に対して垂直方向の磁化を有し、膜面に対して(001)面に配向したfct型の結晶構造を備えかつPtと、Fe、Co、Ni、Mnのうち1つ以上の元素とを含む金属から形成される第1の磁性層と、前記第1の磁性層上に設けられ、膜面に対して垂直方向の磁化を有し、Feと、N、C、O、Y、Beのうち1つ以上の元素と、を含む金属から形成される第2の磁性層と、前記第2の磁性層上に設けられた非磁性層と、前記非磁性層上に設けられ、膜面に対して垂直方向の磁化を有する第3の磁性層と、を備えていることを特徴とする。
また、本発明の第5の態様による磁気メモリは、第1乃至第4の態様のいずれかに記載の磁気抵抗素子と、この磁気抵抗素子に対して通電を行なう第1および第2の電極と、を含むメモリセルを備えていることを特徴とする。
本発明によれば、Pdを含む層を設けた場合でも高いMR比を有する磁気抵抗素子および磁気メモリを提供することができる。
本発明の実施形態を説明する前に、本発明に至った経緯について説明する。
本発明者達は、参照層/トンネルバリア層/記録層/下地層からなる積層構造を有するMTJ膜として、例えば、記録層に2nmのFePdを用い、トンネルバリア層に1nm程度のMgOを用い、参照層にはTbCoFe(30nm)/CoFeB(1nm)を用いたMTJ膜を作製した。なお、積層構造の表記において、“/”の左側が上層、右側が下層を表し、括弧内の数値は膜厚を示している。次に素子化を行い10mVの定電圧下でMR比を測定したところ、MR比は5%程度(RA(面積抵抗)は10Ωμm程度)と極めて低いことが判明した。対策として、0.5nm程度のCoFeBをMgOとFePdの間に挟んだMTJ膜を作成し、MR比の測定を行ったところ、MR比は14%程度に向上した。しかし、0.5nmのCoFeBを挟んだMTJ膜のMR比(14%程度)は記録層にCoFeBを用い、トンネルバリア層にMgOを用い、参照層にCoFeB/Ru/CoFe/PtMnを用いた面内方向に磁化が向いたMTJ膜のMR比に比べ1桁程度低い。
本発明者達は、記録層にFePdを用い0.5nmのCoFeBをMgOとFePdとの間に挟んだMTJ膜においてMR比が14%程度と面内方向に磁化が向いたMTJ膜のMR比に比べ低い原因について以下のように考えた。FePd記録層の上にCoFeBを成膜すると成膜中にCoFeB上にPdが表面偏析する。PdがCoFeB上に表面偏析するとCoFeBの最表層に必ずPdが存在する。CoFeBの最表層にPdが存在すると、MgOとCoFeBとの界面の他に、MgOとPdとの界面が形成される。MgOとPdとの界面が存在することにより界面の平均的な分極率が低下するためMR比が低下した。
そこでCoFeBに対するPdの表面偏析を確かめるため、以下の実験を行った。
まず、CoFeB(2nm)/FePd(3nm)/Pd(3nm)/TiN(20nm)/MgO(0.5nm)/CoFeB(3nm)/Ta(5nm)の積層膜を形成した。この積層膜の成膜直後の元素の状態をTOF−SIMS(Time of Flight Secondary Ion Mass Spectrometry)よって分析した結果を図1に示す。なお、上層のCoFeB(2nm)/FePd(3nm)が記録層となる。実際のMTJ膜は、この記録層上にトンネルバリア層となるMgOが形成され、このトンネルバリア層上に参照層が形成される。TOF−SIMS分析はCoFeB(2nm)/FePd(3nm)/Pd(3nm)/TiN(20nm)/MgO(0.5nm)/CoFeB(3nm)/Ta(5nm)の積層膜を酸素でエッチングした後、Bi(ビスマス)イオンを用いて分析を行っている。横軸は酸素でエッチングした回数を示している。例えばX軸のサイクルが「0」の時は酸素エッチングを行わない時で成膜直後のCoFeB表面のPdの状態を表している。
図1からわかるように、サイクル0でもPdが検出されているので、FePdの上に成膜したCoFeBの表面にPdが存在している。したがって、上記CoFeBの上にMgOを形成しても、すなわち、MgOとFePdとの間にCoFeBを成膜しても、成膜中にPdがCoFeBの表面に偏析し、MgO/Pdとなる部分が残ることを示している。換言するとL1構造をもつFePdを記録層として用いる場合、MR比の向上のためCoFeBをFePdとMgOの間に挟んでも、MgO/Pdとなる部分を無くす事ができないことを示唆している。PdのCoFeBへの表面偏析を抑制するにはPdをCoFeBに対して固溶しにくくすることが重要と考えられる。そこで、Pdに対して固溶し難い材料の1つであるNを用いて、PdのCoFeBへの表面偏析を抑制することを考えた。
図2は図1に示す実験で用いた積層膜と同じ構成の積層膜に対して、FePdを成膜した後、窒素雰囲気中で400℃と500℃でそれぞれ熱処理を施した場合と、窒素雰囲気中熱処理を行わない場合に、さらにCoFeBを成膜した後のCoFeB表面のPdの濃度についてTOF−SIMSを用いて分析した結果である。なお、図2は図1におけるサイクルが「0」の時におけるPdの検出量を示している。すなわち、窒素雰囲気中熱処理を行わない場合は図1に示すサイクルが「0」の時と同じものとなっている。図2からわかるように、窒素雰囲気中熱処理を行うことによってPdの表面拡散が抑制されている。
図3は400℃の窒素雰囲気中で熱処理を行った第1MTJ膜と、熱処理を行っていない第2MTJ膜についてのMR特性(単位面積あたりの抵抗値とMR比の関係)を示している。第1および第2MTJ膜の構成はTbCoFe(30nm)/CoFeB(1nm)/MgO(1.5nm)/CoFeB(0.5m)/FePd(3nm)/Pd(3nm)/TiN(20nm)/MgO(0.5nm)/CoFeB(3nm)/Ta(5nm)である。なお、400℃の窒素雰囲気中熱処理は、CoFeBを形成する直前、すなわちFePd(3nm)/Pd(3nm)/TiN(20nm)/MgO(0.5nm)/CoFeB(3nm)/Ta(5nm)までを成膜した直後に行っている。図3からわかるように、窒素雰囲気中で熱処理を行った方が、MR比が大きくなっている。つまり、窒素雰囲気中での熱処理によってPdのCoFeBへの表面偏析が抑制され、その結果、MR比が向上したものと考えられる。このようにPdと固溶し難い元素(上記の例では窒素)をCoFeBとFePdの間に挟むことでPdの拡散を抑制し、MR比を向上させることができることを本発明者達は見出した。
以下に、このような知見に基づいて構成された本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明において、同一の機能および構成を有する要素については、同一符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行なう。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態による磁気記憶素子(磁気抵抗素子)を図4に示す。本実施形態の磁気記憶素子10はMTJ素子であって、その断面を図4に示す。図中の矢印は、磁化の方向を示している。本実施形態では、シングルピン層構造(1つの記録層と1つの参照層とが非磁性層を介して配置される構造)を有するMTJ素子10について説明する。
MTJ素子10は、結晶配向用下地層15、記録層(或いは、磁化可変層ともいう)11、トンネルバリア層(非磁性層)13、参照層(或いは、磁化不変層ともいう)12がこの順に積層された積層構造を有する。そして、結晶配向用下地層15の底面に下部電極16が設けられ、参照層12の上面に上部電極17が設けられている。なお、結晶配向用下地層15が下部電極16を兼ねて1つの層となっても構わない。
参照層12は、通電の前後で磁化(或いはスピン)の方向が不変となっている。記録層11は、通電されると、磁化の方向が変化可能(反転可能)である。また、参照層12および記録層11の容易磁化方向は膜面(或いは積層面)に対して垂直である(以下、この容易磁化方向の磁化を単に垂直磁化と称する)。すなわち、MTJ素子10は、参照層12の磁化の方向および記録層11の磁化の方向が膜面に対して垂直方向を向く、いわゆる垂直磁化型のMTJ素子である。
なお、容易磁化方向とは、あるマクロなサイズの強磁性体を想定して、外部磁界のない状態で自発磁化がその方向を向くと最も内部エネルギーが低くなる方向である。困難磁化方向とは、あるマクロなサイズの強磁性体を想定して、外部磁界のない状態で自発磁化がその方向を向くと最も内部エネルギーが大きくなる方向である。
MTJ素子10において、参照層12として反転電流(すなわち、磁化を反転するのに必要な電流)の大きな磁性層を用い、記録層11として参照層12よりも反転電流の小さい磁性層を用いることによって、高性能なMTJ素子10を実現することができる。スピン偏極した電子により磁化反転を起こす場合、その反転電流は減衰定数、異方性磁界、体積に比例するため、これらを適切に調整して、記録層11と参照層12との反転電流に差をつけることができる。
垂直磁化を実現する記録層11は、上から順に3種類の磁性層11a、磁性層11b、および磁性層11cが積層された積層構造を有している。磁性層11aはCo(コバルト)、Fe(鉄)、Ni(ニッケル)のうち1つ以上の元素を含む金属であって、例えば膜厚が0.5nm程度のCoFeB、Fe、CoFeが用いられる。磁性層11cはPd(パラジウム)とFe(鉄)、Co(コバルト)、Ni(ニッケル)、Mn(マンガン)のうち1つ以上の元素とを含む金属から形成される。例えば、膜厚が1.5nm程度のFePdを主成分とする膜面内方向に対して(001)面に配向したfct構造を有するL1型の規則合金が用いられる。飽和磁化Msを調整するために磁性層11cにB(ボロン)、Ti(チタン)、Cr(クロム)、Mn(マンガン)、Cu(銅)を20原子%以下の濃度で微量に添加することも可能である。また、磁性層11bは磁性層11cに対してN(窒素)が結合した層で、膜厚は0.2nm程度(原子1層程度)のFePdN化合物が用いられる。磁性層11bはFePdの表面を300℃〜500℃の窒素中で熱処理することによって形成することが可能である。また、磁性層11bの形成方法として成膜後、窒素プラズマに曝す事でも形成可能である。磁性層11bの材料としてはFePdC、FePdOが考えられるが、FePdCは磁性層11cを成膜後にC(炭素)層を0.2nm程度成膜することで作成できる。またFePdOはFePdNと同様の作成方法、すなわち酸素中での熱処理または酸素プラズマ中での熱処理を行うことで形成可能である。また、Cの代わりにYまたはBeを用いることができる。この場合、YまたはBeはスパッタ等により添加することができる。
磁性層11bとなるFePdNのFePdに対するNの濃度について説明する。磁性層11aとしてFeを用いる場合、磁性層11aのFeを成膜する際にPdの表面偏析を防止するためには、FeがPd上に付着したNと隣接する必要がる。例えば、図5に示すように、磁性層11cの最表層がPdだったと仮定すると、その上にNが付着することで磁性層11bが形成される。さらに、図5に示すAのサイトにあるFe元素51が付着すると、FeはNと結合することで安定化するため、FeとPdの原子交換が妨げられ、Pdの表面偏析が抑制される。一方、BのサイトにあるFe元素52の場合は周りにNが無いため、付着したFeはある確率でPdと原子交換を行い、Pdが表面拡散される。つまり、Pdの表面偏析を防止するためには、磁性層11bの上に堆積するFeの周辺にNがあることが重要となる。磁性層11cとなるFePdの最表層において、Pdが存在する確率とFeが存在する確率は50%であり、さらに、Nが1つに対してPdの表面偏析を抑制できるサイトは5個(Aのサイト4個とNが付着したサイト1個の計5個)が形成されるため、NはFePdに対して10%程度存在すれば良いと考えられる。
一方、磁性層11aとして膜厚が0.5nmのFeを用いた場合、PdがNで完全に抑制できなくとも、Feの表面に存在するPdの濃度はFeの膜厚に対して減衰するため、5%程度のNの量でもPdの表面偏析を抑制することができる。しかし、磁性層11cのFePdの最表層において、局所的にPdが多く存在する部分が形成されると、Pdの存在する確率が100%となるため、NによってすべてのPdを抑制するには、Pdが存在する確率とFeが存在する確率が50%のときの値(=10原子%)の倍の20原子%程度のNが必要となる。さらに、Nの付着量にも分布があると考えると、20原子%以上のNが必要となり、30%原子程度のNが必要となる。つまり、Nの量は、磁性層11aの膜厚や磁性層11cの最表層のFeとPdの濃度分布に依存するため、膜の形成条件や膜構造によって異なり、5原子%〜30原子%の範囲で最適な濃度となる。したがって、磁性層11bのFePdNのFePdに対するNの濃度は、5原子%〜30原子%程度存在すれば磁性層11a中にPdが表面偏析するように抑制でき、高いMR比を有するMTJ膜を形成することが可能となる。
また、記録層11は図6に示すように、磁性層11cと、この磁性層11c上に形成された磁性層11dとの2層構造であっても良い。図6に示す磁性層11cはPdとFe、Co、Ni、Mnのうち1つ以上の元素とを含む金属から形成される。例えば、1.5nm程度のFePdを主成分とする膜面内方向に対して(001)面に配向したfct構造を有するL1型の規則合金が用いられる。飽和磁化Msを調整するために磁性層11cにB、Ti、Cr、Mn、Cuを20原子%以下の濃度で微量に添加することも可能である。図6に示す磁性層11dはCo、Fe、Niのうち1つ以上の元素と、N、O、C、Y、Beのうち1つ以上の元素を含む膜厚が0.5nm程度の金属層或いは化合物層から形成される。
参照層12の磁性材料の具体例としては、Fe(鉄)、Co(コバルト)、Ni(ニッケル)、Mn(マンガン)、Cr(クロム)のうち1つ以上の元素と、Pt(白金)、Pd(パラジウム)のうち1つ以上の元素とを含む合金からなり、かつ結晶構造がL1型の膜面内方向に対して(001)面に配向した10nm程度の規則合金があげられる。
例えば、Fe50Pt50、Co50Pt50、Fe30Ni20Pt50、Co30Fe20Pt50、Co30Ni20Pt50等の規則合金があげられる。これらの規則合金の組成比は一例であり、上記組成比に限定されない。なお、これらの規則合金に、Cu(銅)、Zn(亜鉛)、Ag(銀)、Ni(ニッケル)、Co(コバルト)、Fe(鉄)、Mn(マンガン)、Cr、(クロム)、V(バナジウム)、Ti(チタン)、Os(オスミウム)等の不純物元素或いはその合金、絶縁物を加えて飽和磁化を低く調整することができる。
また、図7に示すように参照層12は磁性層12aと、磁性層12aの下に形成された磁性層12bとの積層構造を有していてもよい。磁性層12aとして、Fe(鉄)、Co(コバルト)、Ni(ニッケル)、Mn(マンガン)、Cr(クロム)のうち1つ以上の元素と、Pt(白金)、Pd(パラジウム)のうち1つ以上の元素とを含む合金からなり、かつ結晶構造がL1型の膜面内方向に対して(001)面に配向した膜厚が10nm程度の規則合金を用い、磁性層12bとして、Co(コバルト)、Fe(鉄)、Ni(ニッケル)うち1つ以上の元素を含む膜厚が2nm程度の金属を用いることが望ましい。磁性層12bはMTJ素子を高いMR比にする効果を奏する。また、参照層12aの磁性材料としては下記(1)〜(3)の材料を用いることも可能である。
(1)不規則合金
Co(コバルト)を主成分とし、Cr(クロム)、Ta(タンタル)、Nb(ニオブ)、V(バナジウム)、W(タングステン)、Hf(ハフニウム)、Ti(チタン)、Zr(ジルコニウム)、Pt(白金)、Pd(パラジウム)、Fe(鉄)、Ni(ニッケル)のうち1つ以上の元素を含む合金があげられる。例えば、CoCr合金、CoPt合金、CoCrTa合金、CoCrPt合金、CoCrPtTa合金、CoCrNb合金等があげられる。これらの合金は、非磁性元素の割合を増加させて磁気異方性エネルギー密度を調整することができる。
(2)人工格子
Fe(鉄)、Co(コバルト)、Ni(ニッケル)のうちいずれか1つの元素或いは1つ以上の元素を含む合金と、Cr(クロム)、Pt(白金)、Pd(パラジウム)、Ir(イリジウム)、Rh(ロジウム)、Ru(ルテニウム)、Os(オスミウム)、Re(レニウム)、Au(金)、Cu(銅)のうちいずれか1つの元素或いは1つ以上の元素を含む合金とが交互に積層された積層膜があげられる。例えば、Co/Pt人工格子、Co/Pd人工格子、CoCr/Pt人工格子、Co/Ru人工格子、Co/Os人工格子、Co/Au、Ni/Cu人工格子等があげられる。これらの人工格子は、磁性層への元素の添加、磁性層と非磁性層との膜厚比を調整することで、磁気異方性エネルギー密度を調整することができる。
(3)フェリ磁性体
希土類金属と遷移金属との合金からなるフェリ磁性体があげられる。例えば、Tb(テルビウム)、Dy(ジスプロシウム)、Gd(ガドリニウム)と、遷移金属のうち1つ以上の元素とからなるアモルファス合金があげられる。例えば、TbFe、TbCo、TbFeCo、DyTbFeCo、GdTbCo等があげられる。これらの合金は、組成比を調整することで磁気異方性エネルギー密度を調整することができる。
トンネルバリア層13としては、膜厚が1nm程度の膜面内方向に対して(001)面に配向したNaCl型の結晶構造を持つMgOが用いられる。従って、本実施形態のMTJ素子10は、TMR(Tunneling Magnetoresistive)効果を有することになる。
下地層15は、この下地層15の上層の結晶配向性或いは結晶性を制御するために設けられている。記録層11が垂直磁気異方性を発現するためには、記録層11は(001)面配向したfct構造を有する必要がある。そのため、下地層15として膜面に対して(001)面配向した正方晶、或いは立方晶を有する膜面に対して水平方向の格子定数が2.5Å〜3.0Å、或いは3.5Å〜4.3Å、或いは5Å〜6Åでかつ、膜厚が5nm〜30nm程度の金属、或いは化合物が用いられる。例えば、LaN、BaO、CeO、GdS、TbS、DyS、HoS、ErS、TmS、CdSe、MgSe、MnSe、ErSe等の格子定数が5Å〜6Å程度の化合物が用いられる。或いは、TiN、VN、CrN、SrRuO、SrTiO、BaRuO、BaTiO、(CaBa)RuO等の格子定数が3.5Å〜4.3Å程度の化合物が用いられる。
また、下地層15にTiN、VN、NbNを主成分とする窒化物を用い、下地層15と記録層11の間にPd/Crの積層膜、あるいはPd/Feの積層膜、またはPd層を挟むことで格子緩和させ、記録層11を形成することも可能である。このとき、Pd層と、TiN、VN、またはNbNからなる下地層15との間に挟む材料としてはCr、Fe等の格子定数が2.5Å〜3.0Åの材料を用いることで転位の発生を抑制することができる。
また、下部電極16および上部電極17としては、例えばTa(タンタル)が用いられる。
本実施形態のMTJ素子の構成の一例を以下に示す。
参照層12 FePt10nm/CoFe1nm
トンネルバリア層13 MgO1nm
記録層11 CoFeB(0.5m)/400℃の窒素中熱処理/Fe
Pd(1.5nm)
下地層15 Pd(3nm)/TiN(20nm)/MgO(0.5n
m)/CoFeB(3nm)
下部電極16 Ta(5nm)
を用いることで高いMR比を有するMTJ膜を形成することが可能となる。なお、下地層15のMgO(0.5nm)/CoFeB(3nm)はTiNを膜面内方向に対して(001)面に配向させるために用いている。
このように構成されたMTJ素子10において、情報の書き込みは、以下のように行われる。先ず、MTJ素子10は、膜面(或いは積層面)に垂直な方向において、双方向に電流通電される。
参照層12側から電子(すなわち、参照層12から記録層11へ向かう電子)を供給した場合、参照層12の容易磁化方向と同じ方向にスピン偏極された電子が記録層11に注入される。この場合、記録層11の磁化の方向は、参照層12の容易磁化方向と同じ方向に揃えられる。これにより、参照層12と記録層11との磁化の方向が平行配列となる。この平行配列のときはMTJ素子10の抵抗値は最も小さくなり、この場合を本明細書では、例えばデータ“0”と規定する。
一方、記録層11側から電子(すなわち、記録層11から参照層12へ向かう電子)を供給した場合、参照層12により反射されることで参照層12の容易磁化方向と反対方向にスピン偏極された電子が記録層11に注入される。この場合、記録層11の磁化の方向は、参照層12の容易磁化方向と反対方向に揃えられる。これにより、参照層12と記録層11との磁化の方向が反平行配列となる。この反平行配列のときはMTJ素子10の抵抗値は最も大きくなり、この場合を本明細書では例えばデータ“1”と規定する。なお、MTJ素子10の抵抗値が最も大きい場合をデータ“0”と規定し、MTJ素子10の抵抗値が最も小さい場合をデータ“1”と規定してもよい。
また、データの読み出しは、MTJ素子10に読み出し電流を供給することで行われる。この読み出し電流は、書き込み電流よりも小さい値に設定される。MTJ素子10は、磁気抵抗効果により、参照層12と記録層11との磁化の方向が平行配列か反平行配列かで異なる抵抗値を有する。この抵抗値の変化を読み出し電流に基づいて検出する。
本実施形態によれば、記録層11のPdの表面偏析を低減することが可能となり、MTJ膜のMR比を向上させることができる。また、MR比の向上はスピン注入磁化反転効率の向上を促すため、スピン注入磁化反転電流を低減することが可能である。したがって、本実施形態においては、MTJ素子10を微細化しても反転電流密度が増加しないため、従来の磁気ランダムアクセスメモリでは実現できなかった90nm以下の微細なMTJ素子10を有する大容量(例えば256Mビット以上)の磁気ランダムアクセスメモリを具現化することができる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態による磁気記憶素子を図8に示す。本実施形態の磁気記憶素子10は、MTJ素子であって、その断面を図8に示す。図中の矢印は、磁化の方向を示している。本実施形態では、シングルピン層構造(1つの記録層と1つの参照層とが非磁性層を介して配置される構造)を有するMTJ素子10について説明する。
本実施形態のMTJ素子は、結晶配向用下地層15、参照層(或いは、磁化不変層ともいう)12、トンネルバリア層(非磁性層)13、記録層(或いは、磁化可変層ともいう)11がこの順に積層された積層構造を有する。そして、結晶配向用下地層15の底面に下部電極16が設けられ、記録層11の上面に上部電極17が設けられている。なお、結晶配向用下地層15が下部電極16を兼ねて1つの層となっても構わない。
記録層11はFe、Co、Ni、Mn、Crのうち1つ以上の元素と、Pt、Pdのうち1つ以上の元素とを含む合金から形成される。例えば、膜厚が2nm程度のFePdを主成分とする膜面内方向に対して(001)面に配向したfct構造を有するL1型の規則合金が用いられる。記録層11となるFePdはトンネルバリア層13の上にFeを1nm、Pdを1nm、Mgを0.4nm、MgOを0.5nmの順で成膜を行い、さらに真空中で400℃の熱処理を行なうことで形成することが可能である。飽和磁化Msを調整するために磁性層11にCu(銅)、Zn(亜鉛)、Ag(銀)、Mn(マンガン)、Cr、(クロム)、V(バナジウム)、Ti(チタン)、Os(オスミウム)等を20%以下の濃度で微量に添加することも可能である。
また、図9に示すように記録層11は磁性層11aと、この磁性層11a上に形成された磁性層11cとの積層構造を有していてもよい。磁性層11cは、Fe、Co、Ni、Mn、Crのうち1つ以上の元素と、Pt、Pdのうち1つ以上の元素とを含む合金を用いることが望ましい。例えば、FePdを主成分とする膜面内方向に対して(001)面に配向したfct構造を有する膜厚が2nmのL1型の規則合金を用い、磁性層11aとして、Co(コバルト)、Fe(鉄)、Ni(ニッケル)うち1つ以上の元素を含む膜厚が0.5nm程度の金属を用いることが望ましい。磁性層11aはMTJ素子を高いMR比にする効果を奏する。飽和磁化Msを調整するために磁性層11cにCu(銅)、Zn(亜鉛)、Ag(銀)、Mn(マンガン)、Cr、(クロム)、V(バナジウム)、Ti(チタン)、Os(オスミウム)等を20%以下の濃度で微量に添加することも可能である。また、記録層11cの磁性材料としては下記(1)〜(2)の材料を用いることも可能である。
(1)不規則合金
Co(コバルト)を主成分とし、Cr(クロム)、Ta(タンタル)、Nb(ニオブ)、V(バナジウム)、W(タングステン)、Hf(ハフニウム)、Ti(チタン)、Zr(ジルコニウム)、Pt(白金)、Pd(パラジウム)、Fe(鉄)、Ni(ニッケル)のうち1つ以上の元素を含む合金があげられる。例えば、CoCr合金、CoPt合金、CoCrTa合金、CoCrPt合金、CoCrPtTa合金、CoCrNb合金等があげられる。これらの合金は、非磁性元素の割合を増加させて磁気異方性エネルギー密度を調整することができる。
(2)人工格子
Fe(鉄)、Co(コバルト)、Ni(ニッケル)のうちいずれか1つの元素或いは1つ以上の元素を含む合金と、Cr(クロム)、Pt(白金)、Pd(パラジウム)、Ir(イリジウム)、Rh(ロジウム)、Ru(ルテニウム)、Os(オスミウム)、Re(レニウム)、Au(金)、Cu(銅)のうちいずれか1つの元素或いは1つ以上の元素を含む合金とが交互に積層された積層膜があげられる。例えば、Co/Pt人工格子、Co/Pd人工格子、CoCr/Pt人工格子、Co/Ru人工格子、Co/Os人工格子、Co/Au、Ni/Cu人工格子等があげられる。これらの人工格子は、磁性層への元素の添加、磁性層と非磁性層との膜厚比を調整することで、磁気異方性エネルギー密度を調整することができる。
トンネルバリア層13としては、膜厚が1nm程度の膜面内方向に対して(001)面に配向したNaCl型の結晶構造を持つMgOが用いられる。従って、本実施形態のMTJ素子10は、TMR効果を有することになる。
図8に示す参照層12は、3種類の磁性層12a、磁性層12c、磁性層12bがこの順序で積層された積層構造を有している。磁性層12bはCo、Fe、Niのうち1つ以上の元素を含む金属からなり、例えば膜厚が2nm程度のCoFeB、Fe、CoFeが用いられる。磁性層12aはFe、Co、Ni、Mn、Crのうち1つ以上の元素と、Pdを含む合金を主成分とする金属から形成される。例えばFePdPtを主成分とする、膜面内方向に対して(001)面に配向したfct構造を有する膜厚が10nm程度のL1型の規則合金が用いられる。飽和磁化Msを調整するために磁性層12aにB(ボロン)、Cu(銅)、Zn(亜鉛)、Ag(銀)、Mn(マンガン)、Cr、(クロム)、V(バナジウム)、Ti(チタン)、Os(オスミウム)等を20%以下の濃度で微量に添加することも可能である。磁性層12cは磁性層12aに対してNが結合した膜で、膜厚は0.2nm程度(原子1層程度)のFePdPtN化合物が用いられる。磁性層12cはFePdPtの表面を300℃〜500℃の窒素中で熱処理することで形成することが可能である。また、磁性層12cの形成方法としては、磁性層12aを成膜後、窒素プラズマに曝す事でも形成可能である。磁性層12cの材料としてはFePdPtC、FePdPtOが考えられるが、磁性層12cのFePdPtCは磁性層12aを成膜後にCを0.2nm程度成膜することで作成できる。また磁性層12cのFePdPtOはFePdPtNと同様の作成方法、すなわち酸素中での熱処理または酸素プラズマ中での熱処理を行うことで形成することが可能である。また、Cの代わりにYまたはBeを用いることができる。この場合、YまたはBeはスパッタ等により添加することができる。
また、参照層12は図10に示すように2層構造であっても良い。図10に示す磁性層12aはFe、Co、Ni、Mn、Crのうち1つ以上の元素と、Pdを含む合金を主成分とする金属から形成される。例えばFePdPtを主成分とする膜面内方向に対して(001)面に配向したfct構造を有する膜厚が10nm程度のL1型の規則合金が用いられる。飽和磁化Msを調整するために磁性層12aにB(ボロン)、Cu(銅)、Zn(亜鉛)、Ag(銀)、Mn(マンガン)、Cr、(クロム)、V(バナジウム)、Ti(チタン)、Os(オスミウム)等を20原子%以下の濃度で微量に添加することも可能である。図10に示す磁性層12dは、膜厚が2nm程度の、Co、Fe、Niのうち1つ以上の元素と、N、O、C、Y、Beのうち1つ以上の元素とを含む金属、或いは化合物から形成される。
下地層15は、この下地層15の上層の結晶配向性或いは結晶性を制御するために設けられている。参照層12が垂直磁気異方性を発現するには、この参照層12は(001)面配向したfct構造を有する必要がある。そのためには、下地層15として膜面に対して(001)面配向した正方晶、或いは立方晶を有する膜面に対して水平方向の格子定数が2.5Å〜3.0Å、或いは3.5Å〜4.3Å、或いは5Å〜6Åで、かつ膜厚が5nm〜30nm程度の金属、或いは化合物が用いられる。例えば、LaN、BaO、CeO3、GdS、TbS、DyS、HoS、ErS、TmS、CdSe、MgSe、MnSe、ErSe等の格子定数が5Å〜6Å程度の化合物が用いられる。或いは、TiN、VN、CrN、SrRuO、SrTiO、BaRuO、BaTiO、(CaBa)RuO等の格子定数が3.5Å〜4.3Å程度の化合物が用いられる。また、下地層15と参照層12との間には3nm程度のPtを挿入してもよい。また、下部電極16および上部電極17としては、例えばTa(タンタル)が用いられる。
本実施形態のMTJ素子の構成の一例を以下に示す。
記録層11 MgO(0.5nm)/Mg(0.4nm)/FePd(
2nm)
トンネルバリア層13 MgO(1nm)
参照層12 CoFeB(2nm)/400℃での窒素中熱処理/Fe
PdPt(10nm)
下地層15 Pt(3nm)/TiN(20nm)/MgO(0.5n
m)/CoFeB(3nm)
下部電極16 Ta(5nm)
このような構成とすることで高いMR比を有するMTJ膜を得ることが可能となる。
なお、このように構成されたMTJ素子10において、情報の書き込みおよび読み出しは、第1実施形態で説明したと同じように行われる。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態による磁気記憶素子を図11に示す。本実施形態の磁気記憶素子10は、MTJ素子であって、その断面を図11に示す。図中の矢印は、磁化の方向を示している。本実施形態では、シングルピン層構造(1つの記録層と1つの参照層とが非磁性層を介して配置される構造)を有するMTJ素子10について説明する。
なお、参照層12と下地層15以外の層については第2実施形態と同じ構成を用いる。
図11に示す参照層12は、3種類の磁性層12a、磁性層12c、磁性層12bがこの順序で積層された積層構造を有している。磁性層12bはCo、Fe、Niのうち1つ以上の元素を含む金属からなり、例えば膜厚が2nm程度のCoFeB、Fe、CoFeが用いられる。図11に示す磁性層12aは、Fe、Co、Ni、Mn、Crのうち1つ以上の元素と、Ptを含む合金を主成分とする金属から形成される。例えばFePtを主成分とする、膜面内方向に対して(001)面に配向したfct構造を有する膜厚が10nm程度のL1型の規則合金が用いられる。飽和磁化Msを調整するために磁性層12aにB(ボロン)、Cu(銅)、Zn(亜鉛)、Ag(銀)、Mn(マンガン)、Cr、(クロム)、V(バナジウム)、Ti(チタン)、Os(オスミウム)等を20%以下の濃度で微量に添加することも可能である。磁性層12cは磁性層12aに対してNが結合した膜で、膜厚は0.2nm程度(原子1層程度)のFePtN化合物が用いられる。磁性層12cはFePtの表面を300℃〜500℃の窒素中で熱処理することで形成することが可能である。また、磁性層12cの形成方法としては、磁性層12aを成膜後、窒素プラズマに曝す事でも形成可能である。磁性層12cの材料としてはFePtC、FePtOが考えられるが、磁性層12cのFePtCは磁性層12aを成膜後にCを0.2nm程度成膜することで作成できる。また磁性層12cのFePtOはFePtNと同様の作成方法、すなわち酸素中での熱処理または酸素プラズマ中での熱処理を行うことで形成することが可能である。また、Cの代わりにYまたはBeを用いることができる。この場合、YまたはBeはスパッタ等により添加することができる。
また、参照層12は図10に示すように磁性層12a、磁性層12dの2層構造であっても良い。この場合、磁性層12aはFe、Co、Ni、Mn、Crのうち1つ以上の元素と、Ptを含む合金を主成分とする金属から形成される。例えばFePtを主成分とする、膜面内方向に対して(001)面に配向したfct構造を有する膜厚が10nm程度のL1型の規則合金が用いられる。飽和磁化Msを調整するために磁性層12aにB(ボロン)、Cu(銅)、Zn(亜鉛)、Ag(銀)、Mn(マンガン)、Cr、(クロム)、V(バナジウム)、Ti(チタン)、Os(オスミウム)等を20原子%以下の濃度で微量に添加することも可能である。図10に示す磁性層12dは、膜厚が2nm程度の、Co、Fe、Niのうち1つ以上の元素と、N、O、C、Y、Beのうち1つ以上の元素とを含む金属、或いは化合物から形成される。
下地層15は、この下地層15の上層の結晶配向性或いは結晶性を制御するために設けられており、下地層15b、下地層15aがこの順序で積層された積層構造を有している。参照層12が垂直磁気異方性を発現するには、この参照層12は(001)面配向したfct構造を有する必要がある。そのためには、下地層15bとして膜面に対して(001)面配向した正方晶、或いは立方晶を有する膜面に対して水平方向の格子定数が2.5Å〜3.0Å、或いは3.5Å〜4.3Å、或いは5Å〜6Åで、かつ膜厚が5nm〜30nm程度の金属、或いは化合物が用いられる。例えば、LaN、BaO、CeO、GdS、TbS、DyS、HoS、ErS、TmS、CdSe、MgSe、MnSe、ErSe等の格子定数が5Å〜6Å程度の化合物が用いられる。或いは、TiN、VN、CrN、SrRuO、SrTiO、BaRuO、BaTiO、(CaBa)RuO等の格子定数が3.5Å〜4.3Å程度の化合物が用いられる。下地層15aは、Pdを含み膜面に対して(001)面に配向した立方晶或いは正方晶の金属が用いられる。また、下地層15aは参照層12aの結晶配向性を向上させる機能を有する。なお、Cr、Fe等の格子定数が2.5Å〜3.0Åの材料を下地層15bと下地層15aの間に挟むことで参照層12aの結晶配向性を向上させることが可能である。
本実施形態においては、参照層12はPdを含んでいないが、下地層15bと参照層12の間に3nm程度のPdを挟んでいる。すなわち、下地層15aとして、Pdを含む構成となっている。従来の構成の参照層または記録層にPdが含まれていなくとも、下地層にPdが含まれている場合には、Pdの拡散によってMR比が減少するという問題がある。しかし、参照層を本実施形態のような構成とすることにより、第1実施形態または第2実施形態と同様に、Pdが拡散してMR比が減少するという問題を解決することができる。なお、下地層15aがPdを含むことで参照層12aの結晶配向性を向上させることが可能である。
また、下部電極16および上部電極17としては、例えばTa(タンタル)が用いられる。
本実施形態のMTJ素子の構成の一例を以下に示す。
記録層11 MgO(0.5nm)/Mg(0.4nm)/FePt(
2nm)
トンネルバリア層13 MgO(1nm)
参照層12 CoFeB(2nm)/400℃での窒素中熱処理/Fe
Pt(10nm)
下地層15 Pd(3nm)/TiN(20nm)/MgO(0.5n
m)/CoFeB(3nm)
下部電極16 Ta(5nm)
このような構成とすることで高いMR比を有するMTJ膜を得ることが可能となる。
なお、このように構成されたMTJ素子10において、情報の書き込みおよび読み出しは、第1実施形態で説明したと同じように行われる。
なお、本実施形態においては、磁性層12aには、Pdが含まれていなかったが、Pdを含んでいてもよい。
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態による磁気メモリ(MRAM)を図12に示す。図12は、本実施形態による磁気メモリの構成を示す回路図である。磁気メモリは、マトリクス状に配列された複数のメモリセルMCを有するメモリセルアレイ30を備えている。メモリセルアレイ30には、それぞれが列(カラム)方向に延在するように、複数のビット線対BL,/BLが配置されている。また、メモリセルアレイ30には、それぞれが行(ロウ)方向に延在するように、複数のワード線WLが配置されている。
ビット線BLとワード線WLとの交差部分には、前述したメモリセルMCが配置されている。各メモリセルMCは、MTJ素子10と選択トランジスタ31とを備えている。このMTJ素子10として、第1、第2実施形態または第3実施形態のMTJ素子が用いられる。MTJ素子10の一端は、ビット線BLに接続されている。MTJ素子10の他端は、選択トランジスタ31のドレイン端子に接続されている。選択トランジスタ31のゲート端子は、ワード線WLに接続されている。選択トランジスタ31のソース端子は、ビット線/BLに接続されている。
ワード線WLには、ロウデコーダ32が接続されている。ビット線対BL,/BLには、書き込み回路34および読み出し回路35が接続されている。書き込み回路34および読み出し回路35には、カラムデコーダ33が接続されている。各メモリセルMCは、ロウデコーダ32およびカラムデコーダにより選択される。
メモリセルMCへのデータ書き込みは、以下のように行われる。先ず、データ書き込みを行なうメモリセルMCを選択するために、このメモリセルMCに接続されたワード線WLが活性化される。これにより、選択トランジスタ31がターンオンする。
ここで、MTJ素子10には、双方向の書き込み電流Iwが供給される。具体的には、MTJ素子10に左から右へ書き込み電流Iwを供給する場合、書き込み回路34は、ビット線BLに正の電位を印加し、ビット線/BLに接地電位を印加する。また、MTJ素子10に右から左へ書き込み電流Iwを供給する場合、書き込み回路34は、ビット線/BLに正の電位を印加し、ビット線BLに接地電位を印加する。このようにして、メモリセルMCにデータ“0”或いはデータ“1”を書き込むことができる。
メモリセルMCからのデータ読み出しは、以下のように行われる。先ず、メモリセルMCが選択される。読み出し回路35は、MTJ素子10に、例えば右から左へ流れる読み出し電流Irを供給する。そして、読み出し回路35は、この読み出し電流Irに基づいて、MTJ素子10の抵抗値を検出する。このようにして、MTJ素子10に記憶された情報を読み出すことができる。
以上説明したように本実施形態によれば、第1または第2実施形態で示したMTJ素子10を用いて磁気メモリが構成されているので、微細化が可能でかつ反転電流密度を低減することができる。
なお、第1乃至第3実施形態によるMTJ素子10或いは第4実施形態による磁気メモリは、様々な装置に適用することが可能である。これらのいくつかの適用例を図13乃至図19を参照して説明する。
(適用例1)
図13は、デジタル加入者線(DSL)用モデムのDSLデータパス部を抽出して示している。このモデムは、プログラマブルデジタルシグナルプロセッサ(DSP(Digital Signal Processor))100、アナログ−デジタル(A/D)コンバータ110、デジタル−アナログ(D/A)コンバータ120、送信ドライバ130、および受信機増幅器140などを含んでいる。
図13では、バンドパスフィルタを省略しており、その代わりに回線コードプログラム(DSPで実行される、コード化された加入者回線情報、伝送条件等(回線コード;QAM、CAP、RSK、FM、AM、PAM、DWMT等)に応じてモデムを選択、動作させるためのプログラム)を保持するための種々のタイプのオプションのメモリとして、第3実施形態のMRAM170とEEPROM180とを示している。
なお、本適用例では、回線コードプログラムを保持するためのメモリとしてMRAM170とEEPROM180との2種類のメモリを用いているが、EEPROM180をMRAMに置き換えてもよい。すなわち、2種類のメモリを用いず、MRAMのみを用いるように構成してもよい。
(適用例2)
図14は、別の適用例として、携帯電話端末300を示している。通信機能を実現する通信部200は、送受信アンテナ201、アンテナ共用器202、受信部203、ベースバンド処理部204、音声コーデックとし用いられるDSP205、スピーカ(受話器)206、マイクロホン(送話器)207、送信部208、および周波数シンセサイザ209等を備えている。
また、この携帯電話端末300には、当該携帯電話端末の各部を制御する制御部220が設けられている。制御部220は、CPU221、ROM222、第3実施形態のMRAM223、およびフラッシュメモリ224がCPUバス225を介して接続されて形成されたマイクロコンピュータである。上記ROM222には、CPU221において実行されるプログラムや表示用のフォント等の必要となるデータが予め記憶されている。MRAM223は、主に作業領域として用いられるものであり、CPU221がプログラムの実行中において計算途中のデータなどを必要に応じて記憶したり、制御部220と各部との間でやり取りするデータを一時記憶したりする場合などに用いられる。また、フラッシュメモリ224は、携帯電話端末300の電源がオフされても、例えば直前の設定条件などを記憶しておき、次の電源オン時に同じ設定にするような使用方法をする場合に、それらの設定パラメータを記憶しておくものである。これによって、携帯電話端末の電源がオフにされても、記憶されている設定パラメータを消失してしまうことがない。
さらに、この携帯電話端末300には、オーディオ再生処理部211、外部出力端子212、LCDコントローラ213、表示用のLCD(液晶ディスプレイ)214、および呼び出し音を発生するリンガ215等が設けられている。上記オーディオ再生処理部211は、携帯電話端末300に入力されたオーディオ情報(あるいは後述する外部メモリ240に記憶されたオーディオ情報)を再生する。再生されたオーディオ情報は、外部出力端子212を介してヘッドフォンや携帯型スピーカ等に伝えることにより、外部に取り出すことが可能である。このように、オーディオ再生処理部211を設けることにより、オーディオ情報の再生が可能となる。LCDコントローラ213は、例えばCPU221からの表示情報を、CPUバス225を介して受け取り、LCD214を制御するためのLCD制御情報に変換し、LCD214を駆動して表示を行わせる。
上記携帯電話端末300には、インターフェース回路(I/F)231,233,235、外部メモリ240、外部メモリスロット232、キー操作部234、および外部入出力端子236等が設けられている。上記外部メモリスロット232にはメモリカード等の外部メモリ240が挿入される。この外部メモリスロット232は、インターフェース回路(I/F)231を介してCPUバス225に接続される。このように、携帯電話端末300にスロット232を設けることにより、帯電話端末300の内部の情報を外部メモリ240に書き込んだり、あるいは外部メモリ240に記憶された情報(例えばオーディオ情報)を携帯電話端末300に入力したりすることが可能となる。上記キー操作部234は、インターフェース回路(I/F)233を介してCPUバス225に接続される。キー操作部234から入力されたキー入力情報は、例えばCPU221に伝えられる。上記外部入出力端子236は、インターフェース回路(I/F)233を介してCPUバス225に接続され、携帯電話端末300に外部から種々の情報を入力したり、あるいは携帯電話端末300から外部へ情報を出力したりする際の端子として機能する。
なお、本適用例では、ROM222、MRAM223およびフラッシュメモリ224を用いているが、フラッシュメモリ224をMRAMに置き換えてもよいし、さらにROM222もMRAMに置き換えることも可能である。
(適用例3)
図15乃至図19は、MRAMをスマートメディア等のメディアコンテンツを収納するカード(MRAMカード)に適用した例をそれぞれ示す。
図15に示すように、MRAMカード本体400には、MRAMチップ401が内蔵されている。このカード本体400には、MRAMチップ401に対応する位置に開口部402が形成され、MRAMチップ401が露出されている。この開口部402にはシャッター403が設けられており、上記MRAMカードの携帯時にMRAMチップ401がシャッター403で保護されるようになっている。このシャッター403は、外部磁場を遮蔽する効果のある材料、例えばセラミックからなっている。データを転写する場合には、シャッター403を開放してMRAMチップ401を露出させて行なう。外部端子404はMRAMカードに記憶されたコンテンツデータを外部に取り出すためのものである。
図16および図17は、上記MRAMカードにデータを転写するための、カード挿入型の転写装置の上面図および断面図を示している。エンドユーザの使用するMRAMカード450を、矢印で示すように転写装置500の挿入部510より挿入し、ストッパ520で止まるまで押し込む。このストッパ520はMRAM550とMRAMカード450を位置合わせするための部材としても働く。MRAMカード450が所定位置に配置されると、MRAMデータ書き換え制御部から外部端子530に制御信号が供給され、MRAM550に記憶されたデータがMRAMカード450に転写される。
図18には、はめ込み型の転写装置を示す。この転写装置は、矢印で示すように、ストッパ520を目標に、MRAM550上にMRAMカード450をはめ込むように載置するタイプである。転写方法についてはカード挿入型と同一であるので、説明を省略する。
図19には、スライド型の転写装置を示す。この転写装置は、CD−ROMドライブやDVDドライブと同様に、転写装置500に受け皿スライド560が設けられており、この受け皿スライド560が矢印で示すように移動する。受け皿スライド560が破線の位置に移動したときにMRAMカード450を受け皿スライド560に載置し、MRAMカード450を転写装置500の内部へ搬送する。ストッパ520にMRAMカード450の先端部が当接するように搬送される点、および転写方法についてはカード挿入型と同一であるので、説明を省略する。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で、構成要素を変形して具体化できる。また、実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を構成することができる。例えば、実施形態に開示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよいし、異なる実施形態の構成要素を適宜組み合わせてもよい。
膜厚深さ方向に対するPdの状態を示す図。 窒素中熱処理の有無によるCoFeB表面におけるPdの状態を示す図。 窒素中熱処理の有無によるMTJ膜のMR特性を示す図。 第1実施形態による磁気記憶素子を示す断面図。 第1実施形態に用いられるFePdNのFePdに対するNの最適濃度を説明する図。 第1実施形態による磁気記憶素子の記録層の一具体例を示す断面図。 第1実施形態による磁気記憶素子の参照層の一具体例を示す断面図。 第2実施形態による磁気記憶素子を示す断面図。 第2実施形態による磁気記憶素子の記録層の一具体例を示す断面図。 第2実施形態による磁気記憶素子の参照層の一具体例を示す断面図。 第3実施形態による磁気記憶素子を示す断面図。 第4実施形態による磁気メモリを示す回路図。 適用例1によるDSL用モデムのDSLデータパス部を示すブロック図。 適用例2による携帯端末を示すブロック図。 適用例3によるMRAMカードを示す平面図。 適用例3によるMRAMカードを説明する図。 適用例3によるMRAMカードを説明する断面図。 適用例3によるMRAMカードを説明する断面図。 適用例3によるMRAMカードを説明する断面図。
符号の説明
10 MTJ素子(磁気抵抗素子)
11 記録層
11a 磁性層
11b 磁性層
11c 磁性層
11d 磁性層
12 参照層
12a 磁性層
12b 磁性層
13 トンネルバリア層
15 結晶配向用下地層
16 下部電極
17 上部電極

Claims (12)

  1. 膜面に対して垂直方向の磁化を有し、膜面に対して(001)面に配向したfct型の結晶構造を備えかつPdと、Fe、Co、Ni、Mnのうち1つ以上の元素とを含む金属から形成される第1の磁性層と、
    前記第1の磁性層上に設けられ、膜面に対して垂直方向の磁化を有し、Feと、N、C、O、Y、Beのうち1つ以上の元素と、を含む金属から形成される第2の磁性層と、
    前記第2の磁性層上に設けられ、膜面に対して垂直方向の磁化を有し、Fe、Co、Niのうち1つ以上の元素を含む金属から形成される第3の磁性層と、
    前記第3の磁性層上に設けられた非磁性層と、
    前記非磁性層上に設けられ、膜面に対して垂直方向の磁化を有する第4の磁性層と、
    を備えていることを特徴とする磁気抵抗素子。
  2. 前記第1の磁性層に対して前記非磁性層と反対側に設けられた下地層を備え、前記下地層は、膜面に対して(001)面に配向した正方晶或いは立方晶の化合物或いは金属から形成されかつ前記下地層の膜面に対して水平方向の格子定数が
    2.5Å〜3.0Å、3.5Å〜4.3Å、および5Å〜6Å
    のいずれかの範囲にあることを特徴とする請求項1記載の磁気抵抗素子。
  3. Pdを含み膜面に対して(001)面に配向した立方晶或いは正方晶の金属を有する下地層と、
    前記下地層上に設けられ、膜面に対して垂直方向の磁化を有し、膜面に対して(001)面に配向したfct型の結晶構造を備えかつPtと、Fe、Co、Ni、Mnのうち1つ以上の元素とを含む金属から形成される第1の磁性層と、
    前記第1の磁性層上に設けられ、膜面に対して垂直方向の磁化を有し、Feと、N、C、O、Y、Beのうち1つ以上の元素と、を含む金属から形成される第2の磁性層と、
    前記第2の磁性層上に設けられ、膜面に対して垂直方向の磁化を有し、Fe、Co、Niのうち1つ以上の元素を含む金属から形成される第3の磁性層と、
    前記第3の磁性層上に設けられた非磁性層と、
    前記非磁性層上に設けられ、膜面に対して垂直方向の磁化を有する第4の磁性層と、
    を備えていることを特徴とする磁気抵抗素子。
  4. 前記第4の磁性層は、
    Fe、Co、Niのうち1つ以上の元素を含む金属から形成された第5の磁性層と、
    この第5の磁性層上に設けられ、Fe、Co、Ni、Mn、Crのうち1つ以上の元素と、Pt、Pdのうち1つ以上の元素とを含む合金からなりかつ結晶構造がL1型の膜面内方向に対して(001)面に配向した規則合金から形成された第6の磁性層と、
    を備えていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の磁気抵抗素子。
  5. 膜面に対して垂直方向の磁化を有し、膜面に対して(001)面に配向したfct型の結晶構造を備えかつPdと、Fe、Co、Ni、Mnのうち1つ以上の元素とを含む金属から形成される第1の磁性層と、
    前記第1の磁性層上に設けられ、膜面に対して垂直方向の磁化を有し、Fe、Co、Niのうち1つ以上の元素と、N、C、O、Y、Beのうち1つ以上の元素とを含む金属から形成される第2の磁性層と、
    前記第2の磁性層上に設けられた非磁性層と、
    前記非磁性層上に設けられ、膜面に対して垂直方向の磁化を有する第3の磁性層と、
    を備えていることを特徴とする磁気抵抗素子。
  6. 前記第1の磁性層に対して前記非磁性層と反対側に設けられた下地層を備え、前記下地層は、膜面に対して(001)面に配向した正方晶或いは立方晶の化合物或いは金属から形成されかつ前記下地層の膜面に対して水平方向の格子定数が
    2.5Å〜3.0Å、3.5Å〜4.3Å、および5Å〜6Å
    のいずれかの範囲にあることを特徴とする請求項5記載の磁気抵抗素子。
  7. Pdを含み膜面に対して(001)面に配向した立方晶或いは正方晶の金属を有する下地層と、
    前記下地層上に設けられ、膜面に対して垂直方向の磁化を有し、膜面に対して(001)面に配向したfct型の結晶構造を備えかつPtと、Fe、Co、Ni、Mnのうち1つ以上の元素とを含む金属から形成される第1の磁性層と、
    前記第1の磁性層上に設けられ、膜面に対して垂直方向の磁化を有し、Feと、N、C、O、Y、Beのうち1つ以上の元素と、を含む金属から形成される第2の磁性層と、
    前記第2の磁性層上に設けられた非磁性層と、
    前記非磁性層上に設けられ、膜面に対して垂直方向の磁化を有する第3の磁性層と、
    を備えていることを特徴とする磁気抵抗素子。
  8. 前記第3の磁性層は、
    Fe、Co、Niのうち1つ以上の元素を含む金属から形成された第4の磁性層と、
    この第5の磁性層上に設けられ、Fe、Co、Ni、Mn、Crのうち1つ以上の元素と、Pt、Pdのうち1つ以上の元素とを含む合金からなりかつ結晶構造がL1型の膜面内方向に対して(001)面に配向した規則合金から形成された第5の磁性層と、
    を備えていることを特徴とする請求項5乃至7のいずれかに記載の磁気抵抗素子。
  9. 前記第2の磁性層は、濃度が5原子%〜30原子%の範囲のN、C、O、Y、Beのうち1つ以上の元素を含むことを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の磁気抵抗素子。
  10. 請求項1乃至9のいずれかに記載の磁気抵抗素子と、この磁気抵抗素子に対して通電を行なう第1および第2の電極と、を含むメモリセルを備えていることを特徴とする磁気メモリ。
  11. 前記第1の電極に電気的に接続された第1の配線と、
    前記第2の電極に電気的に接続された第2の配線と、
    前記第1および第2の配線に電気的に接続され、かつ前記磁気抵抗素子に双方向に電流を供給する書き込み回路と、
    をさらに備えていることを特徴とする請求項10記載の磁気メモリ。
  12. 前記磁気抵抗素子の前記第2の電極と前記第2の配線との間に直列に接続された選択トランジスタと、
    前記選択トランジスタのオン/オフを制御する第3の配線と、をさらに備えていることを特徴とする請求項11記載の磁気メモリ。
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