JP2009236866A - 果実の水分ストレス解析方法、および解析装置 - Google Patents

果実の水分ストレス解析方法、および解析装置 Download PDF

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Abstract

【課題】高品質果実生産のために適切な樹体水分ストレス管理が求められる果樹において、簡易かつ迅速で正確に水分管理の指標となる水分ストレスの測定が可能な装置の提供。
【解決手段】本発明は、果実大きさの増減を、撮像手段と通信手段と画像解析手段を用いて、対象とする果実の大きさの変化を精密に測定することによって、樹体の水分ストレス情報を出力するように構成した。
【選択図】図1

Description

本発明は、果樹の果実の水分ストレス状態を、果実の画像の変化を解析することによって把握する技術に関するものである。
温州みかんにおける高品質果実生産は、8月以降の水分ストレスが大きく関与することが知られている。そのため、現在では透湿マルチなどを地表に敷設し、雨水を遮断して果実糖度を上げる技術が普及している。また、さらに精密な水分コントロールを行うために透湿マルチの下にドリップかん水チューブを設置した、マルチドリップ方式による栽培も普及が始まっている。こうした、水分管理が重要な果樹においてもかん水時期とかん水量は、生産者の経験に基づいて行われていたり、過乾燥になり著しく樹勢が低下してからかん水が行われていることが多い。和歌山県では温州みかんのかん水技術指針(表1)を策定し、時期別のかん水点として、表1のように、土壌pF値を示しているが、根量や着果量等により樹体の水分ストレスが変わってくるため、正確に生産者が判断できるかん水指標とはなっていない。
Figure 2009236866
一般的に、温州みかんにおいて樹体の水分ストレスを正確に測定する方法としては、図2に示したような、プレッシャーチャンバー装置100を用いて葉110に窒素ガスで圧力をかけ、葉柄部分からの水の噴出する時の圧力を測定するプレッシャーチャンバー法が用いられている。
図2に示したようなプレッシャーチャンバー装置100を用いる方法は、測定自体は慣れれば簡便であるが、葉の蒸散が激しいと正確に測定できないため、夜明け前か日没前後に葉をサンプリングする必要がある。また、時間の経過とともに数値が変化するので定時に測定する必要がある。こうした点から、多くの園で継続的に測定するのは労力的に困難である。
非特許文献1には、果樹の葉内水分不足に関する研究(第7報)として、夏季の葉の水ポテンシャルが温州みかんの収穫時の果実形質に及ぼす影響について記載されている。
また、非特許文献2には、夕方の葉水ポテンシャルによる温州みかん樹の水ストレス診断について記載されている。
プレッシャーチャンバーに替わる植物の水ストレス測定装置としては、反射光のレッドエッジシフトを測定する方法や、土壌と幹に電極を設置し電位差を測定する方法や、葉に含まれる12Cと13Cを測定する方法などがあるが、測定精度が低いことや装置が大がかりで現地では使えないこともあり、かん水などの栽培管理には実用的でない。
果樹の葉内水分不足に関する研究(第7報)夏季の葉の水ポテンシャルが温州みかんの収穫時の果実形質に及ぼす影響について 間芋谷・町田裕・山津憲治、1977園学雑46(2),145-152 夕方の葉水ポテンシャルによる温州みかん樹の水ストレス診断、宮本久美ら、2006、園芸学会誌75別1,41
特開2005-308733(植物の受けるストレスの測定法及び装置の開発、長崎県) 特開2001-272373(植物体の水ストレス診断方法,農林水産省四国農業試験場) 特開平9-28191 (植物の水ストレス判定方法、トヨタ自動車株式会社)
本発明は、以上の問題に鑑みてなされたものであって、高品質果実生産のために適切な樹体水分ストレス管理が求められる果樹において、簡易かつ迅速で正確に水分管理の指標となる水分ストレスの測定が可能な装置を提供することを目的としている。
本発明の請求項1にかかる果実の水分ストレス測定方法においては、
計測対象の果樹を選定し、
当該果樹の果実のうちの1つ以上の果実を測定対象の果実として選定し、
選定した果実を固定手段を用いて固定し、
前記果実の画像を、所定位置に設置した撮像手段を用いて、少なくとも1日に1回同時刻に撮影し、
撮影した画像を、通信手段を用いて通信媒体を介して後述する画像蓄積手段に送出して、該画像蓄積手段に蓄積し、
画像蓄積手段に蓄積された果実画像を、画像処理技術によって解析して、日数の経過に応じた果実の大きさの変化情報を得て、
得られた変化情報と予め設定した水分ストレス判断基準とに基づいて、水分ストレス情報を出力するようにした。
請求項2では、
前記果実の表面に少なくとも2点の測定ポイントをマークし、
画像処理技術によって、これらの測定ポイント間の距離の変化を解析して、当該果実の大きさの変化情報を得るようにした。
なお、前記変化情報を得るに際しては、測定ポイント間の距離の3乗の差に基づいて正規化してもよい。
請求項3では、
水分ストレス情報に基づいて、かん水の要否を判断して、その判断結果を出力するようにした。
請求項4では、
変化情報によって得られる果実の肥大量が、予め設定した想定肥大量よりも小さい場合は、かん水を行う必要があると判断し、
これよりも大きい場合はかん水を行う必要はないと判断する。
請求項5では、
前記通信媒体としては、携帯電話によってアクセス可能なインターネット通信網を使用する。
請求項6の果実の水分ストレス測定装置は、
測定対象の果実の画像を撮影するデジタル画像撮影手段2と、
該デジタル画像撮影手段2にて撮影した果実画像を、通信媒体Nを介して後述する画像保存手段6に送出する通信手段3と、
上記デジタル画像撮影手段2と通信手段3に電源を供給する電源供給手段4と、
前記測定対象の果実を固定する果実固定手段5と、
前記通信手段3から送出された果実画像を、前記通信媒体Nを介して受信して保存する画像保存手段6と、
該画像保存手段6に保存された果実画像を、画像解析して、水分ストレス情報を得る画像解析手段7と、
該画像解析手段7にて得られた水分ストレス情報を画面表示もしくは
印刷出力する出力手段8と
を備えている。
請求項7では、
前記通信媒体としては、携帯電話によってアクセス可能なインターネット通信網を使用する。
請求項8では、
前記電源供給手段は、ソーラーパネルとした。
[作用]
本発明は、樹体の水分ストレスを果実大きさの増減を精密に測定することによって、樹体の水分ストレスの推測を可能とするものである。併せて、適切なかん水方法(時期、頻度等)の指標を得ることができる。
本発明にかかる果実の水分ストレス測定方法および装置によれば、
簡易に正確に早くみかんのかん水時期を判断し、適切な水分ストレス管理を行うことによって、篤農家だけでなく誰もが高品質みかんの生産率を向上することが可能となる。また、樹体に過度な水分ストレスをかけることがなくなるので、樹勢が維持でき連年安定生産にも寄与する。
以下に、本発明にかかる果実の水分ストレス測定方法に用いる装置を、その実施の形態を示した図面に基づいて詳細に説明する。
本発明の果実の水分ストレス測定装置の全体構成を示した図1において、
1は本発明に係る果実の水分ストレス測定装置1であり、測定対象の果樹園などに設置された撮像システム10と、コンピュータセンターなどの遠隔地に設置された画像サーバー6と、前記画像サーバー6に保存された画像をダウンロードできるように構成されたパソコンなどで構成される解析システム7とから構成されている。
前記撮像システム10は、複数の測定対象の果樹園毎に配置することができ、前記画像サーバー6は、複数の撮像システム10からの果実画像データを受け取って蓄積し分析することができる。
撮像システム10は、
測定対象の果実の画像を撮影するデジタル画像撮影手段2と、
該デジタル画像撮影手段2にて撮影した果実画像を、通信媒体Nを介して後述する画像サーバー6に送出する通信手段3と、
上記デジタル画像撮影手段2と通信手段3に電源を供給する電源供給手段4と、
前記測定対象の果実を固定する果実固定手段5と、
から構成され、フレーム9に、前記デジタル画像撮像手段2、通信手段3、及び電源供給手段4が組み込まれている。
前記画像サーバー6は、
前記撮像システム10の通信手段3から送出された果実画像を、携帯電話回線などの前記通信媒体Nを介して受信して保存する画像保存手段を構成している。
前記解析システム7は、
該画像保サーバー6に保存された果実画像を、インターネットなどの通信回線を介してダウンロードする通信手段71と、
ダウンロードした画像データを保存するハードディスク装置などの記憶手段72と、
画像データを画像解析して、水分ストレス情報を得る画像解析ソフト73と、
該画像解析手段7にて得られた水分ストレス情報を画面表示もしくは印刷出力する出力手段8とを備えている。前記解析システム7は、汎用のパソコンに前記解析ソフト73をインストールしたものを使用できる。
つぎに、前記撮像システム10をより詳細に説明する。
前記デジタル画像撮影手段2は、前記フレーム9に設置されて、CCD撮像素子を用いたデジタルカメラであり、例えば、東電環境エンジニアリング社製ポイントスコープ本体を用いることができる。
前記通信手段3は、前記デジタル画像撮影手段2にて撮影した果実画像のデジタルデータを伝送ケーブルを介して受け取り、携帯電話回線などの無線通信のための通信媒体Nを介して後述する画像サーバー6に送出する機能を備えており、前記フレーム9に配置されている。これは、例えば、東電環境エンジニアリング社製ポイントスコープ本体に内蔵された通信機能を用いることができる。
前記デジタル画像撮影手段2は、携帯電話等の無線端末コントローラ11を用いて遠隔地から制御することができる。
前記電源供給手段4は、ソーラーパネル41と、充電可能なバッテリー42とから構成されており、前記ソーラーパネル41は前記フレーム9の最上段に配置されている。前記バッテリー42は、前記フレーム9の下段に配置されている。
前記果実固定手段5は、測定対象の果実を撮像に適した状態で保持して固定するためのものであり、地面に固定した台から伸びた腕で測定対象の少なくとも1つの果実を保持・固定し、前記デジタル画像撮影手段2の撮像視野内に配置するように構成されている。1つの果実固定手段5で、同時に複数の果実を保持・固定することができる。
つぎに、前記画像サーバー6をより詳細に説明する。
前記画像サーバー6は、前記通信媒体Nを介して撮像データを受信する通信手段61と、前記通信手段61で受信した撮像データをハードディスク装置等の記憶手段62に保存するように構成されている。また、解析システム7からのアクセスがあったとき、所定の認証手続を行って所定の画像データを送出す機能を備えている。
前記解析システム7にインストールされた解析ソフト73は、
保存された果実の撮像データを解析して、その果実に関する水分ストレス情報を得るための画像解析ソフト(例えば、株式会社イノテック社のPixs2000 Pro使用)である。
前記解析システム7の出力手段8としては、水分ストレス情報などを画面表示するためのディスプレイ装置や、水分ストレス情報などを印刷出力するためのプリンタが用いられている。
つぎに、以上の構成の果実の水分ストレス測定装置1を用いて温州みかんの水分ストレスを測定した具体例を説明する。
なお、今回測定対象とした温州みかんは、これまで果実品質と樹体の水分ストレス及び果実肥大の相互の相関について、図8に示したような知見が得られているものである。
前記果実の水分ストレス測定装置1の撮像システム10の設置は、供試園において平均的な樹勢及び着果量の樹を選び、しっかりと果実を固定できるフレーム9を組み、デジタル画像撮影手段2としてのデジタルカメラと測定対象の果実との間を110mm程度の距離を空けて固定する。なお、取り付けるデジタルカメラの方位は、撮影した画像が逆光にならないよう気をつける。
ソーラーパネル41は、南向きの太陽光がよく当たる場所に設置する。
測定する果実の画像上の外周部近くにテープなどで少なくとも2点の測定ポイントPをマークする(図6、以下、測定ポイントと標記する)。
測定時期は、温州みかんの高品質果実生産において水分ストレスを必要とする7月下旬から9月下旬までとする。
測定時間は、毎日4時に露出を変えて複数枚撮影し、果実の画像データを,携帯電話通信網とインターネットから構成された前記通信手段3を用いて通信媒体Nを経由し、画像サーバー6に蓄積する。
水分ストレスの測定者は、コンピュータで構成した解析システム7にインストールされたインターネットブラウザーソフトを用いて、前記画像サーバー6にアクセスし、測定対象の果実の複数の画像データをダウンロードして、自分のコンピュータの記憶手段71に保存する。そして、解析ソフト73を起動して、保存した複数の画像データを順次画像処理してそれぞれの測定ポイントP間の距離を算出して、算出した距離データの推移を前記記憶手段73に記憶する。
そして、解析ソフト73によって、算出した距離データの推移を分析して、果実肥大日変化(計測肥大量)を算出する。
このようにして算出した果実肥大日変化が、表2に示した理想肥大量(想定肥大量)よりも小さい場合は、「かん水が必要」という判断結果を出力し、基本的に生産者はかん水を行う必要があることを示し、これよりも大きい場合は「かん水が不要」という判断結果を出力し、かん水を行う必要はないことを示す(詳細は後述)。
なお、表2は、温州みかんにおける果実肥大の理想パターンを示したものである。原図は、宮本久美 「有田まるどりみかん」栽培のポイントを参照した。
早生みかんにおいて、糖度13度以上、M果(65mm)の果実を目標にした果実横径の推移を示したものである。
Figure 2009236866
本発明装置を用いた温州みかん(興津早生)での果実肥大変化の測定結果を以下に示す。
画像の撮影は、4時から18時まで2時間間隔で毎時2枚撮影し、果実と同時に撮影したものさしから画像中における長さのキャリブレーションを行い、果実の画像上の測定ポイント間の距離を算出するとともに、果実の画像から果実径を求めた。
プレッシャーチャンバー法による葉水ポテンシャルの測定は日没前後の18時に採葉を行い、同時にノギスにより測定ポイントと果実横径の値を測定した(図9)。(測定期間:2007年8月14日〜9月14日)
ほとんどの測定日において、果実肥大量の日変化(4時から18時まで2時間間隔で測定した場合の果実径の増減量)は8時で最も大きく、その後夕方に向かうにつれ小さくなった。果実径の縮小率(4時から18時まで2時間間隔で測定した場合の果実径の最大値と最小値との差の、最大値に対する比率)は、葉水ポテンシャルが低い(乾燥している)ほど大きい傾向がある。過乾燥時の果実径の日変化は2mm程度であった(図10〜図13)。
図10は、過乾燥時の果実肥大の日変化を示す図表であり、葉水ポテンシャルが−2.0MPa以下で、4時の時点を基準として、測定ポイントで測定したものである。
図11は、適正ストレス時の果実径の日変化を示す図表であり、葉水ポテンシャルが−1.5〜-−2.0MPaで、4時の時点を基準として、測定ポイントで測定したものである。
図12は、低ストレス時の果実肥大の日変化を示す図表であり、葉水ポテンシャルが−1.0〜-−1.5MPaで、4時の時点を基準として、測定ポイントで測定したものである。
図13は、過湿時の果実肥大の日変化を示す図表であり、葉水ポテンシャルが−1.0MPa以上で、4時の時点を基準として、測定ポイントで測定したものである。
葉水ポテンシャルとの相関
1)測定時刻と測定部分の検討
本発明の果実の水分ストレス測定装置を用いて図14に示す撮影タイミングで果実を撮影し、得られた画像上の測定ポイント間の距離に基づいて算出した果実肥大量、および、画像から求めた果実径に関して、葉水ポテンシャルの測定値との相関について検討した結果、最も相関が高かったのは、4時の時点で撮影した画像上の測定ポイント間距離から算出した果実肥大量であった(表3、図15)。
Figure 2009236866
なお、図14において、4時時点で測定した場合、18時時点のみ葉水ポテンシャルは、果実径(2)測定時との相関を取った
表3は、24時間果実肥大量と葉水ポテンシャルとの相関関係を示したものであり、18時時点のデータは、果実径(2)(図14参照)測定時の葉水ポテンシャルとの相関を示している。
図15において、果実肥大量は4時時点で、測定ポイントで測定した。
なお、4時に撮影した果実の画像に基づいた24時間果実肥大量の算出は、果実の画像が暗いため画像処理ソフトで正確に果実横径を測定することが難しく、相関が認められなかった。
なお、図16においては、18時時点で、測定ポイントをノギスで測定して得られた果実肥大量と葉中水分ポテンシャルの相関関係を示しているが、ノギスによる測定では精度が低く、相関は認められなかった。
以上のことから、本発明の果実の水分ストレス測定装置1を用いて、毎日4時の時点で撮影した画像上の測定ポイント間距離から算出した果実肥大量を計測肥大量として用いることが最適であることが判明した。
2)計測データの正規化
果実は測定期間中に肥大するため、一日のうちでは測定開始時と測定終了時期では同じ果実肥大量でも果実体積に対する割合は変化してくる。
果実肥大の推移は3次元方向に伸縮する。例えば、直径10mmの果実で日肥大が0.2mm増加するのと20mmの大きさの果実で0.2mm増加するのとでは、同じ24時間肥大量でも後者の方が増加体積が大きいことからより湿っている状態であるといえる。
したがって、計測データの正規化方法として、果実径の計測データを3乗して処理する正規化方法を採用した。
すなわち、測定データを補正して正規化するために、図14における果実径(2)および(1)を3乗し、差を求め、それを果実径(2)の3乗で割り、100倍したものを果実肥大指数とした。すなわち、ある日の4時時点の果径をA、24時間前4時時点の果径をBとすると、
正規化された計測肥大量としての果実肥大指数は〔(A3−B3)/A3〕×100とするというデータ正規化方法を用いた。
果実肥大量と葉水ポテンシャルとの相関がr=-0.634と最も高かった4時時点での果実肥大指数と葉水ポテンシャルとの相関を検討した結果、相関係数はr=-0.750(図17)で、上述したデータ正規化方法によりさらに高い相関が得られることがわかった。
なお、図17では、降雨時の葉水ポテンシャルに与える影響をさけるため、降雨日及びかん水日のデータを除いた。
図17においては、
相関係数r=-0.750、危険率:p=0.001 y=-3.014x+4.864
という相関関係が得られた。
果実肥大量から求めたかん水の指標
24時間果実肥大量(4時測定)と葉水ポテンシャル(18時測定)、理想肥大量を図18に示した。
なお、図18は果実肥大の増減と葉水ポテンシャルとの推移を示したものであり、
24時間果実肥大量(計測肥大量)は、毎日4時測定し、前日の4時測定値との差から求めた肥大量、
葉水ポテンシャルは、前日18時測定した測定値、
理想肥大量(想定肥大量)は、高品質連年生産のための適正な水分ストレスに基づいた理想的な果実肥大量であり、生育段階ごとに求められている。(表2参照)
1)24時間果実肥大量が理想肥大量よりも大きい場合
24時間果実肥大量が理想肥大量を上回ったのは8月16日、20日、24日、30日、31日、9月12日で、葉水ポテンシャルは-1.0MPa前後であった。こうした場合、果実横径が極端に小さくなければ、かん水の必要はない。
2)24時間果実肥大量が理想肥大量よりも小さいがプラスの場合
24時間果実肥大量が理想肥大量よりも小さいが、前日に比べて肥大していたのは、8月19日、21日、9月1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、9日、14日で、葉水ポテンシャルは-1.0MPa〜-1.5MPaであった。この場合は、ドリップかん水装置が設置されている園地では2mm程度のかん水を2日間間隔で行う。また、果実が小玉果の場合は通常のかん水を行う。
3)24時間果実肥大量がマイナスの場合
24時間果実肥大量が前日に比べてマイナスとなったのは8月17日、18日、22日、23日、25日、26日、29日、9月8日、11日、13日で、葉水ポテンシャルは-1.5MPa〜-2.5MPaであった。この場合は、果実品質や樹勢に配慮し、速やかに10〜20mm程度のかん水を行う必要がある。かん水を行った後も果実肥大がマイナスの場合は、再度かん水を行う。
実施例の効果
1)測定精度
温州みかんでは、高品質連年生産のための適正な水分ストレスに基づいた理想的な果実肥大量が生育段階ごとに求められており(表2)、10日間の理想的な肥大量は、8月上旬では5mm、8月中旬では2mm、8月下旬では3mmとされている。
デジタル画像撮像手段2として用いたデジタルカメラの画素数は236万画素で、カメラレンズ部と果実表面の距離が113mmであった場合、JPEG形式に圧縮された果実画像の1ピクセルは約0.15mmに相当する。この程度の測定精度であれば、果実肥大の増減から樹体の水分ストレス状態を推測し、かん水時期の判断に用いることが可能である。
また、果実肥大量を基にした水分ストレス診断法は、樹の生体情報を直接測定しているため、樹の形態や土壌条件、降水量、気温等の要因を考慮する必要がなく、園地条件、樹体の条件、年次間差異に関係なく使用することができる。
2)可搬性
本発明にかかる果実の水分ストレス測定装置1は、例えば携帯電話の通信網を利用してデータをインターネット経由で画像サーバーに転送できることと、例えば太陽電池を利用してバッテリー充電を行うことでAC電源がない園地でも測定が可能で、設置場所の自由度が非常に高い。なお、上記実施例では、無日照条件でも付属バッテリーで約100時間連続運転が可能である。
3)信頼性
デジタルカメラ及びソーラー電源を含む果実の水分ストレス測定装置は降雨や温度変化等の耐候性に優れ、信頼性が非常に高い。
なお、サーバーに蓄積された画像の確認やポイントスコープの撮影条件(撮影時刻、しぼり値等)の設定は、携帯電話等の端末機から操作することが可能である。
本発明は、傾斜畑や水田転換園など代表的な園地条件の果実を調査し、インターネット上でかん水情報を共有することで広く産地で利用することが可能である。
また、24時間果実肥大量から回帰式により求めた葉水ポテンシャルのデータを使い、広域かん水組合のかん水時期判断に活用できる。
本発明にかかる果実の水分ストレス測定装置の全体構成図である。 プレッシャーチャンバー法の説明図である。 図1の水分ストレス測定装置の一部を示す図である。 図1の水分ストレス測定装置を用いた測定画像の転送方法を説明する図である。 図1の水分ストレス測定装置の設置状態の一例を示す図である。 測定する果実への測定ポイントの設定を説明する図である。 果実画像からの果実肥大測定を説明する図である。 温州みかんにおけるかん水の指標を説明する図表である。 本発明装置による温州みかん(興津早生)の果実肥大の推移を示す図表である。 (測定期間:2007年8月14日〜9月14日) 過乾燥時の果実肥大の日変化を示す図表である。 適正ストレス時の果実径の日変化を示す図表である。 低ストレス時の果実肥大の日変化を示す図表である。 過湿時の果実肥大の日変化を示す図表である。 本装置による24時間肥大量と葉水ポテンシャル測定手順を説明する図である。 果実肥大量と葉水ポテンシャルの相関を示す図表である。 果実肥大量(ノギス)と葉中水分ポテンシャルの相関を示す図表である。 果実肥大指数(4時、測定ポイント)と葉水ポテンシャルの相関を示す図表である。 果実肥大の増減と葉水ポテンシャルとの推移を示す図表である。
符号の説明
1 果実の水分ストレス測定装置
10 撮像システム
2 デジタル画像撮影手段、デジタルカメラ
3 通信手段
4 電源供給手段、太陽電池、ソーラーパネル、バッテリー
5 果実固定手段
6 画像保存手段、画像サーバー
7 画像解析手段、解析システム
8 出力手段
9 フレーム
N 通信媒体、インターネットなどの通信回線

Claims (8)

  1. 計測対象の果樹を選定し、
    当該果樹の果実のうちの1つの以上の果実を測定対象の果実として選定し、
    選定した果実を固定手段を用いて固定し、
    前記果実の画像を、所定位置に設置した撮像手段を用いて、少なくとも1日に1回同時刻に撮影し、
    撮影した画像を、通信手段を用いて通信媒体を介して後述する画像蓄積手段に送出して、該画像蓄積手段に蓄積し、
    画像蓄積手段に蓄積された果実画像を、画像処理技術によって解析して、日数の経過に応じた果実の大きさの変化情報を得て、
    得られた変化情報と予め設定した水分ストレス判断基準とに基づいて、水分ストレス情報を出力することを特徴とする果実の水分ストレス解析方法。
  2. 前記果実の表面に少なくとも2点の測定ポイントをマークし、
    画像処理技術によって、これらの測定ポイント間の距離の変化を解析して、当該果実の大きさの変化情報を得ることを特徴とする請求項1に記載の果実の水分ストレス解析方法。
  3. 前記水分ストレス情報に基づいて、かん水の要否を判断して、その判断結果を出力することを特徴とする請求項1、2の何れか1項に記載の果実の水分ストレス解析方法。
  4. 前記変化情報に基づいて得られる果実の計測肥大量が、予め設定した想定肥大量よりも小さい場合は、かん水を行う必要があると判断し、これよりも大きい場合はかん水を行う必要はないと判断することを特徴とする請求項1、2、3の何れか1項に記載の果実の水分ストレス解析方法。
  5. 前記通信媒体としては、携帯電話によってアクセス可能なインターネット通信網を使用することを特徴とする請求項1、2、3、4の何れか1項に記載の果実の水分ストレス解析方法。
  6. 測定対象の果実の画像を撮影するデジタル画像撮影手段と、
    該デジタル画像撮影手段にて撮影した果実画像を、通信媒体を介して後述する画像保存手段に送出する通信手段と、
    上記デジタル画像撮影手段と通信手段に電源を供給する電源供給手段と、
    前記測定対象の果実を固定する果実固定手段と、
    前記通信手段から送出された果実画像を、前記通信媒体を介して受信して保存する画像保存手段と、
    該画像保存手段に保存された果実画像を、画像解析して、水分ストレス情報を得る画像解析手段と、
    該画像解析手段にて得られた水分ストレス情報を画面表示もしくは印刷出力する出力手段と
    を備えていることを特徴とする果実の水分ストレス解析装置。
  7. 前記通信媒体は、携帯電話によってアクセス可能なインターネット通信網としたことを特徴とする請求項6に記載の果実の水分ストレス解析装置。
  8. 前記電源供給手段は、ソーラーパネルとしたことを特徴とする請求項6、7の何れか1項に記載の果実の水分ストレス解析装置。
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