JP2009235902A - プールの防振構造 - Google Patents

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Takashi Yamakawa
高史 山川
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Abstract

【課題】簡単な構造によりプールから建物への振動伝播を抑制できるようにすること。
【解決手段】プール10は、底面部11と、この底面部11の外周側から起立する側面部12とを備えて貯水可能な内部空間を形成している。底面部11の内面側及び側面部12の内面側には、外周面を保護板22により覆われた弾性を有する防振材17が取り付けられている。保護板22の裏面部22Aと表面部22Bとの間には振動絶縁部23が設けられる。防振材17によりプールPの利用時の振動を減衰することができ、支持部材15やスラブS等に伝わる振動を抑制して階下や隣室に対する防振効果を得る。
【選択図】図3

Description

本発明は、プールの防振構造に係り、更に詳しくは、建物に設置したプールから当該建物に伝播する振動を低減することができるプールの防振構造に関する。
従来、建物にプールを設置するための種々の構造が知られている(例えば、特許文献1)。かかる構造では、プールでの水泳や飛び込み等によって建物に伝わる固体音を低減し、プール外部での騒音の発生を抑制することが要求される。この要求に対応すべく、建物のスラブとプールの底面部との間に防振ゴムを設けてプールを支持する防振構造や、スラブ上に敷設されたグラスウール等の上にプールの底面部を載置するいわゆる浮床構造が採られている。また、防振ゴム等を使用しない一般の構造においても、発泡スチレン等をプールの底面に敷設することで、ある程度防振効果は得られるが、プールの横方向のずれを抑制するため、スラブ上に配置されてプールの側面部に当接する支持部材が設置される。
特開平7−62907号公報
しかしながら、前者の防振構造にあっては、支持構造が複雑となったり、施工に要する労力が大きくなる傾向が強く、プール設置に要するコスト的な負担が増大するという不都合がある。また、前者の浮床構造にあっては、プールの周辺に配管スペースが必要となり、躯体構造が複雑となって施工上の手間が増大する。
更に、後者の一般の構造は、支持部材がサウンドブリッジとなってプール内での振動が当該プールの側面部から支持部材を介してスラブに伝播し、プール外部に対する十分な防振性能が得られなくなる、という不都合を招来する。
[発明の目的]
本発明は、このような不都合に着目して案出されたものであり、その目的は、簡単な構造により、プールの利用による建物への振動伝播を抑制することができるプールの防振構造を提供することにある。
前記目的を達成するため、本発明は、底面部と当該底面部の外周側で起立する側面部とを備えて貯水可能な内部空間を形成するプールの防振構造において、
前記底面部内面側と側面部内面側とに、外周面を保護板により覆われた弾性を有する防振材を取り付け、
前記保護板の裏面部と表面部との間には振動絶縁部が設けられる、という構成が採用されている。
本発明によれば、プールの内側に防振材を取り付ける簡単な構造により、プールの底面部側だけでなく側面部側においても防振効果を得られるようになり、前述のような支持部材を用いてもサウンドブリッジとなることを回避することができる。これにより、構造の簡略化や施工労力の軽減化を達成しつつ、水泳等のプール利用時に、プール外部に騒音が発生することを抑制することが可能となる。また、保護板を設けることにより、防振材を保護することができる他、防振材の形状の安定化を図ることが可能となる。
第1参考実施形態に係るプールを建物に設置した構造を模式化した概略断面図。 第2参考実施形態に係る構造の図1と同様の断面図。 実施形態に係る構造の図1と同様の断面図。
以下、本発明の好ましい実施の形態について図面を参照しながら、第1及び第2参考実施形態を説明した後で説明する。
[第1参考実施形態]
図1には、第1参考実施形態に係るプールを建物に設置した構造を模式化した概略断面図が示されている。この図において、プール10は、スラブS上に設置されており、このスラブSは、略水平方向に向けられて所定のビルやスポーツ施設等の建物を構成している。プール10は、底面部11と、この底面部11の外周側から起立する側面部12とを備えて貯水可能な内部空間を形成している。
前記スラブSの上面には、砂14が敷設されており、この砂14の上にプール10の底面11が載置されている。また、スラブS上には、前記側面部12の外周面に添設する支持部材15が設けられ、この支持部材15によってプール10の横方向のずれが抑制されるようになっている。なお、スラブS上において、支持部材15の外側には、コンクリート等からなる躯体部Cが立設されている。
前記底面部11の内面側及び側面部12の内面側には、弾性を有する防振材17が略全域に亘って取り付けられている。この防振材17は、所定の厚みを有するボード状若しくはシート状に形成され、その材質として、発泡弾性体や合成樹脂フォームの他、ポリスチレンフォーム、ウレタンフォーム、ポリエチレンフォーム、フェノールフォーム等の発泡プラスチック保温材(JIS A 9511)、或いは、半硬質、独立気泡のシート状発泡体からなるポリオレフィンフォーム(含むポリエチレンフォーム)が例示できる。発泡弾性体や合成樹脂フォームとした場合、独立気泡及び連続気泡の何れでもよいが、好ましくは連続気泡が採用される。これは、連続気泡の方が、変形時に内部の水が流通する粘性抵抗により減衰する振動エネルギーが大きくなることが期待できるからである。
従って、このような第1参考実施形態によれば、プールPの利用によって生じる水の振動を防振材17によって減衰することができる。従って、プールPだけでなく支持部材15にも振動が伝播し難くなり、ひいては、スラブS等に伝わる振動も抑制して階下や隣室に対する防振性能を向上させることができる。また、既存のプールPに対して防振材17をいわゆる後付けすることが可能となり、安価で簡単な施工により防振性を高めることが可能となる。
次に、本発明の第2参考実施形態及び実施形態について説明する。なお、以下の説明において、前記第1参考実施形態と同一若しくは同等の構成部分については必要に応じて同一符号を用いるものとし、説明を省略若しくは簡略にする。
[第2参考実施形態]
図2には、本発明の第2参考実施形態が示されている。この第2参考実施形態は、防振材17にFRP等からなる保護板20を設けたものである。すなわち、防振材17は、底面部11又は側面部12に対する相対面17Aを備え、この相対面17Aと反対面(反相対面17B)側に保護板20が接着等を介して取り付けられている。保護板20の取り付けは、底面部11や側面部12に防振材17を取り付ける前であってもよいし、取り付ける後でもよい。すなわち、防振材17と保護板20とを一体として底面部11等に取り付けたり、底面部17等に既設された防振材17に保護板20を後付けしたりしてもよい。
従って、このような第2参考実施形態では、保護板20により防振材17の形状安定性を高めてプール10の使い勝手を向上させることが可能となる。また、プール10において実質的に利用される内周面が保護板20で形成されることとなり、防振材17の損傷等を回避しつつ清掃の容易化を図ることができる。
[実施形態]
図3には、本発明の実施形態が示されている。この実施形態では、防振材17の外周面に、FRP等からなる保護板22を覆うように設けている。すなわち、保護板22は、防振材17の前記相対面17A側に位置する裏面部22Aと、反相対面17B側に位置する表面部22Bとを備えている。裏面部22A及び表面部22Bの間には、シール材等からなる振動絶縁部23が設けられ、この振動絶縁部23により、裏面部22A及び表面部22Bが非接触に保たれる。また、振動絶縁部23は、保護板22が相対する底面部11及び側面部12と振動が絶縁される位置に配設される。これにより、振動するプール10内の水に直接接触する表面部22Bの振動が裏面部22Aへ伝播することが絶縁され、建物への良好な防振効果が得られるようになる。なお、防振材17及び保護板22のみでプール10を形成可能な構造、施工であれば、外側の底面部11及び側面部12を除いたプール防振構造としてもよい。
従って、このような実施形態によれば、保護板22によって、防振材17をより良く保護することができる他、防振材17の形状安定性をより一層向上させることが可能となる。
本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。
すなわち、本発明は、特定の実施の形態に関して特に図示し、且つ、説明されているが、本発明の技術的思想及び目的の範囲から逸脱することなく、以上に述べた実施形態に対し、形状、位置若しくは方向、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
従って、上記に開示した形状などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状などの限定の一部若しくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
例えば、防振材17は、底面部11及び各側面部12にそれぞれ一枚ずつとしたり、それらの面方向に沿う所定間隔毎に分割して複数枚を組み合わせる構造としてもよい。
また、防振材17は、底面部11及び各側面部12の略全領域に取り付けることが好ましいが、支持部材15がサウンドブリッジとならず、建物への振動伝播が抑制できる限りにおいて、防振材17を部分的に省略して、建物への接触面を少なくした構造としてもよい。
更に、実施形態の振動絶縁部23は、種々の設計変更が可能であり、例えば、裏面部22A及び表面部22Bの間や、保護板22とこれに相対する底面部11及び側面部12或いは隣り合う保護板22との間が非接触となるように隙間を形成する構造としてもよい。
10・・・プール、11・・・底面部、12・・・側面部、17・・・防振材、20,22・・・保護板

Claims (1)

  1. 底面部と当該底面部の外周側で起立する側面部とを備えて貯水可能な内部空間を形成するプールの防振構造において、
    前記底面部内面側と側面部内面側とに、外周面を保護板により覆われた弾性を有する防振材を取り付け、
    前記保護板の裏面部と表面部との間には振動絶縁部が設けられることを特徴とするプールの防振構造。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2021092101A (ja) * 2019-12-12 2021-06-17 株式会社 林物産発明研究所 貯水プールを有する建物

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