JP2009235843A - ドア位置規制装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 ドアを閉じる時の力を利用して、制動機構を制動モードから解除モードに切換えることができるドア位置規制装置を提供する。
【解決手段】 制動機構47は、ロータ111と、クラッチばね120と、チェンジギヤ170と、チェンジリング180を含んでいる。ドアを開方向の途中で止めたのち、閉方向に少し動かすとスイッチ230が作動し、アクチュエータ200が作動することにより、チェンジギヤ170とチェンジリング180が第1の方向に回転する。チェンジリング180のばね支持部181がクラッチばね120の可動側腕部123から離れることにより、クラッチばね120が制動モードとなる。ドアを全閉方向に移動させると、ロータ111と解除アーム150が第2の方向に回転することにより、チェンジギヤ170とチェンジリング180が第2の方向に回転し、クラッチばね120の可動側腕部123がばね支持部181によって巻戻し方向に押され、解除モードに切換わる。
【選択図】 図4

Description

本発明は、自動車等の乗り物に設けられたドアの開位置を規制するためのドア位置規制装置に関する。
自動車に設けるヒンジ式のドア装置は、ドアの開放位置を規制するためにドアチェッカを備えている。一般的なドアチェッカは、車体に揺動可能に取付けられたアーム部と、ドアに設けられた抑止機構とを備えている。前記アーム部が前記抑止機構に挿入され、ドアが開閉される際に前記アーム部が前記抑止機構に対して相対的に移動する。そしてドアが開いた状態において前記アーム部が前記抑止機構によって拘束されることにより、ドアを全開位置で止めたり、全開位置と全閉位置の間で止めたりすることができる。しかし一般的なドアチェッカは、ドアを所望の開き角度の位置で無段階的に止めることができない。
そこで、ドアを所望の開き角度で止めることができるようにするために、ドア位置規制装置が提案されている。例えば下記特許文献1に開示されているように、プーリと、該プーリに巻回された帯状部材と、該プーリの回転をロックするためのロック機構とを備えたドア装置が提案されている。このドア装置は、ドアが開く方向に移動するときに、帯状部材を介してプーリが回転するため、前記ロック機構によってプーリの回転を阻止することにより、ドアがそれ以上開くことが阻止される。
また下記特許文献2に開示されているように、ドアチェッカのアーム部に接続されたワイヤと、ワイヤを巻取るプーリと、プーリの回転を抑制するための電磁クラッチを用いたドアの開動作規制装置も提案されている。この開動作規制装置は、ドアが開くときにドアチェッカのアーム部によって前記ワイヤが引っ張られることにより、プーリが回転する。そしてこのプーリの回転運動を前記電磁クラッチによって抑制することにより、ドアの開方向の動きが規制される。
実開昭63−185723号公報 特開2007−321365号公報
例えばドアを開ける際に、ドアの外側に障害物が存在するときには、ドアが障害物にぶつかることを防ぐために、ドアを障害物の手前で止めることが望まれる。ドアを閉める際には、ドアが前記障害物にぶつかる可能性はない。しかし状況によってはドアを閉じる方向に加わる力に対して、ある程度の制動力が必要なことがある。例えばドアが開方向に移動する際に大きな制動力を生じさせ、ドアが閉方向に移動する際に小さな制動力を生じさせることが望まれている。
前記特許文献1,2のドア位置規制装置は、ドアが開方向に移動するときに、帯状部材あるいはワイヤが引っ張られるため、回転体を回転させることができる。しかしドアが閉方向に移動する際には、帯状部材やワイヤロープが圧縮方向の荷重を伝達することができないため、回転体を回転させることができない。
そこで、ドアの開動作と閉動作の両方向の力を伝達することができる機構を用いることにより、ドアの開動作と閉動作のいずれの方向にも回転体を回転させることができるドア位置規制装置が考えられた。その装置では、ドアが開くときに回転体が第1の方向に回転し、ドアが閉じるときに回転体が第2の方向に回転する。そして回転体の回転(第1の方向と第2の方向の回転)を電磁クラッチによって抑制することにより、ドアの開動作と閉動作のいずれの方向にも制動力を発生させることが可能である。
しかし、一般に電磁クラッチ等の電装品は、ドア等に配置された手動のスイッチによって乗降者自身が操作することになるため、スイッチ操作が煩わしいという問題がある。また、ドアの外側に障害物が存在するときに、ドアを障害物のすぐ近くまで移動させた状態でスイッチを操作してドアを固定すると、車体が揺れたり、ドアが開方向に強く押されたりしたときに、ドアが障害物に触れることがある。
制動機構に電磁クラッチを用いる代りに、ねじりコイルばねからなるクラッチばねを用いることも考えられた。クラッチばねのコイル部は、固定側部材の外周面とロータの外周面にわたって密接した状態で巻付けられている。ドアが開方向に移動するときに、ロータがクラッチばねのコイル部の巻締め方向に回転することにより、ロータの回転が阻止される。ドアが閉方向に移動するときに、ロータが前記コイル部の巻戻し方向に回転することにより、ロータの回転が許容される。
このようなクラッチばねを用いた制動機構は、解除モードにするときに、アクチュエータによって、クラッチばねを巻戻し方向に強制的に撓ませる必要がある。このためアクチュエータは、クラッチばねの反発弾性に打ち勝つことのできる出力が必要である。クラッチばねのばね定数が大きい場合には、出力の大きなアクチュエータを用いる必要があり、その分、アクチュエータが大形化し、価格も高くなるという問題がある。
従って本発明の目的は、ドアを開位置から閉方向に動かす際に、手動によってドアを動かす力を利用して、制動機構を制動モードから解除モードに切換えることができるドア位置規制装置を提供することにある。
本発明のドア位置規制装置は、車体のドア取付部に開閉自在に取付けられたドアと、前記ドアの開閉動作を制動する制動機構とを有するドア位置規制装置であって、前記制動機構は、前記ドアに設けられたベース部材と、前記ベース部材に保持され、外周面を有する固定側部材と、前記固定側部材の軸線方向に隣り合って設けられ、前記固定側部材の外周面に対応する外周面を有し、前記ドアが開方向に動くときに第1の方向に回転し、前記ドアが閉方向に動くときに第2の方向に回転するロータと、前記固定側部材の外周面と前記ロータの外周面とにわたって巻付くコイル部を有し、一端側の固定側腕部が前記固定側部材に固定され、他端側の可動側腕部が前記ロータの外方に突出するクラッチばねと、前記ベース部材に対し前記第1の方向と前記第2の方向とに回転可能に設けられ、前記第1の方向に回転したときに前記クラッチばねの前記可動側腕部に当接し、前記第2の方向に回転したときに前記可動側腕部から離れる当接部を有するチェンジギヤと、前記チェンジギヤに対して前記第1の方向と第2の方向に回転可能に設けられ、前記第1の方向に回転した状態において前記クラッチばねの前記可動側腕部から離れ、前記第2の方向に回転した状態において前記可動側腕部に当接することにより前記クラッチばねを巻戻し方向に押すばね支持部を有するチェンジリングと、前記ベース部材に巻付けられ、前記チェンジギヤ側から前記第1および第2の方向のトルクが入力したときに巻戻し方向にねじられることにより前記チェンジギヤが回転することを許容し、前記チェンジリング側から前記第1および第2の方向のトルクが入力したときに巻締め方向にねじられることにより前記チェンジリングが回転することを阻止するキープばねと、前記ロータが前記第1の方向に回転したのち前記ロータが第2の方向に回転したときに作動することにより前記チェンジギヤと前記チェンジリングを前記第1の方向に回転させる電動式のアクチュエータと、前記ロータに前記第1および第2の方向に回転可能に設けられ、前記ロータが前記第1の方向に回転したときに所定位置に保持され、前記ロータが前記第2の方向に回転したときに前記ロータと共に前記第2の方向に回転し、前記ロータが前記第2の方向に所定量以上回転したときに前記チェンジギヤのアーム受け部に当接することにより、前記チェンジギヤと前記チェンジリングを前記第2の方向に回転させる解除アームとを具備している。
本発明の1つの形態では、前記チェンジギヤが前記第1および第2の方向に回転するときに前記チェンジリングが前記キープばねを介して前記チェンジギヤと同方向に同角度だけ回転することができ、前記チェンジギヤが前記第1の方向に回転したときに、前記チェンジギヤの前記当接部が前記クラッチばねの前記可動側腕部に当接して前記チェンジギヤと前記チェンジリングが停止することにより、前記チェンジギヤの前記当接部から前記チェンジリングの前記ばね支持部までの距離が一定に保たれるようにしている。
前記クラッチばねの前記コイル部は、前記固定側部材の外周面に密接した状態で巻付く第1の部分と、前記ロータの外周面に密接した状態で巻付く第2の部分とを有し、前記ロータが前記第1の方向に回転するときに前記ロータによって前記コイル部が巻締め方向にねじられることにより前記ロータと前記コイル部との間に第1の摩擦力を生じ、前記ロータが前記第2の方向に回転するときに前記ロータによって前記コイル部が巻戻し方向にねじられることにより前記ロータと前記コイル部との間に前記第1の摩擦力よりも小さな第2の摩擦力を生じるようにしている。
さらに好ましい形態では、前記チェンジリングの外周に補助ばねが配置され、該補助ばねは、前記チェンジリングが前記第1の方向に回転した状態において前記クラッチばねの前記可動側腕部に当接することによって前記クラッチばねを巻戻し方向に付勢する。
前記制動機構の一例は、前記解除アームに設けられたワンウェイばねを備え、該ワンウェイばねは、前記ロータの円柱部に密接した状態で巻付けられたコイル部と、該コイル部の一端に形成され前記解除アームに固定された固定端と、前記コイル部の他端に形成された自由端とを有し、前記コイル部は、前記ロータが前記第1の方向に回転するときに巻戻し方向にねじられることにより前記解除アームを前記所定位置に停止させ、前記ロータが前記第2の方向に回転するときに巻締め方向にねじられることにより、前記ロータの回転運動を前記解除アームに伝えて前記解除アームを前記所定位置から前記第2の方向に回転させる。
前記制動機構は、前記チェンジリングが前記第2の方向に回転したときに前記ワンウェイばねの前記自由端を該ワンウェイばねの巻戻し方向に叩く回動アーム部材を備えていてもよい。
本発明によれば、ドアを開方向の途中で止めたのち、ドアを閉方向に少し動かすと、アクチュエータが作動することにより、チェンジギヤとチェンジリングが第1の方向に回転する。これにより、制動機構が制動モードに切換わる。この制動モードへの切換え時に、前記アクチュエータはクラッチばねの反発弾性を受けずにすむため、出力の小さな小形のアクチュエータであってもチェンジギヤとチェンジリングを前記第1の方向に容易に回転させることができる。
ドアを全閉方向に移動させるときには、ドアの閉動作に伴ってロータと解除アームが第2の方向に回転することにより、解除アームによってチェンジギヤとチェンジリングが第2の方向に駆動される。これにより、制動機構が解除モードに切換わるため、ドアを小さな力で全閉位置まで移動させることができる。この解除モードへの切換え時にはアクチュエータの動力が不要である。すなわち手動によるドアの閉動作を利用して、チェンジギヤを制動モードの位置から解除モードの位置へ移動させることができる。
以下に本発明の1つの実施形態について、図1から図15を参照して説明する。
図1は自動車10の一部を示している。この自動車10の車体11の側部に、ヒンジ式のドア12を備えたドア装置13が設けられている。ドア12は、車体11のドア取付部14に設けられたヒンジ15,16によって車体11に支持され、全開位置と全閉位置とにわたって開閉することができる。
ドア装置13は、ドアチェッカ20を備えている。図2に示すようにドアチェッカ20は、ベース部材21と、アーム部材22と、ストッパユニット23とを備えている。ベース部材21は車体11のフロントピラーに固定されている。アーム部材22は、ベース部材21に設けられた軸24を中心として、水平方向に旋回することができる。ベース部材21に取付けられたアーム部材22は、車体側の部材の一例である。ストッパユニット23は、ドア12の前側のフレームに固定されたロックケース25と、ロックケース25に内蔵された係合部材26などを備えている。ロックケース25に形成された孔27に、アーム部材22が概ね水平方向に移動可能に挿入されている。
ドア12が開方向に移動するときに、ドアチェッカ20のアーム部材22は、ドア12の内部から出てゆく方向(図2に矢印A1で示す方向)に移動する。ドア12が閉方向に移動するとき、アーム部材22はドア12の内部に入ってゆく方向(図2に矢印A2で示す方向)に移動する。
アーム部材22の長さ方向の途中に、第1の凹部31と第2の凹部32が形成されている。アーム部材22の先端にストッパ33が設けられている。ドア12が全開位置まで移動したとき、アーム部材22のストッパ33がロックケース25に突き当たるとともに、係合部材26が第1の凹部31に入ることにより、ドア12が全開位置に保持される。ドア12が中間位置まで開いたときに、係合部材26が第2の凹部32に入ることにより、ドア12が中間位置に保持される。
ドア12の内部にドア位置規制装置40が設けられている。ドア位置規制装置40は、ドアチェッカ20のアーム部材22に対して直列に配置されている。以下にこのドア位置規制装置40について説明する。
図2に示すようにドア位置規制装置40は、前記ドア12に固定されるケース41と、プーリの形態をとる回転体42と、第1の索体43と、第2の索体44と、往復移動体45と、ロッド部材46と、制動機構47などを備えている。第1の索体43と第2の索体44は、引っ張りの荷重を伝達可能な張力伝達部材である。ロッド部材46は、圧縮の荷重を伝達可能な圧縮力伝達部材である。すなわち第1の索体43と、第2の索体44と、往復移動体45と、ロッド部材46は、それぞれ力伝達手段として機能する。
回転体42は、軸50を中心として、第1の方向R1と、第2の方向R2とに回転することができる。回転体42にギヤ51が設けられている。ギヤ51は回転体42と一体に回転する。
回転体42の外周に形成された周方向に沿う第1の溝55に、第1の索体43が巻付けられている。第1の索体43の一端43a(図2に示す)に接続部材60が設けられている。接続部材60は、ドアチェッカ20のアーム部材22の先端部61に揺動可能に接続されている。第1の索体43の他端(図示せず)は回転体42に固定されている。
回転体42の外周に形成された周方向に沿う第2の溝56に、第2の索体44が、第1の索体43とは反対方向に巻付けられている。第2の索体44の一端44a(図2に示す)は、往復移動体45に接続されている。第2の索体44の他端(図示せず)は回転体42に固定されている。
第1の索体43と第2の索体44は、例えばワイヤロープからなる。これらの索体43,44は、回転体42に巻付くことができる可撓性を有し、かつ、ドア12を開閉する際に加わる引っ張りの荷重に耐える強度を有している。第2の索体44の径は、第1の索体43の径よりも小さい。第1の索体43と第2の索体44は、回転体42を挟んで互いに反対方向に延び、それぞれ、弛みがない状態で回転体42から繰り出されている。なお、第1の索体43と第2の索体44は帯状部材でもよい。
往復移動体45は、ケース41に設けられたガイド部(図示せず)に沿って、回転体42に近付く方向(図2に矢印B1で示す方向)と、回転体42から離れる方向(図2に矢印B2で示す方向)に直線的に往復移動することができるようになっている。
往復移動体45と接続部材60とが互いにロッド部材46によってつながれている。ロッド部材46は、回転体42の脇を通って第1の索体43と第2の索体44に沿って延びている。つまり第1の索体43と第2の索体44は、それぞれロッド部材46に沿って延びている。ロッド部材46の一端46aが接続部材60に固定されている。ロッド部材46の他端46bは往復移動体45に固定されている。ロッド部材46は鉄系金属のように剛性の大きい材料からなり、ロッド部材46の長さ方向に加わる圧縮荷重に対して座屈を生じない強度を有している。
図3から図6に制動機構47の一例が示されている。以下に制動機構47について説明する。
制動機構47はベース部材100を備えている。図4と図5に示されるようにベース部材100は、円筒部101と、円筒部101の端面に形成された切欠き部102と、凸部からなるアームストッパ103とを備えている。ベース部材100は、ボルト等の固定用部材(図示せず)によって、ケース41(図2に2点鎖線で示す)に固定されている。ベース部材100の円筒部101の中心に回転軸105が設けられている。回転軸105は円筒部101の軸線X上に配置されている。
ベース部材100の円筒部101の内側に、固定側部材110とロータ(回転側部材)111が収容されている。固定側部材110とロータ111は、それぞれ、回転軸105を中心として回転することができる。固定側部材110とロータ111は、それぞれ円柱形の外周面110a,111aを有している。外周面110a,111aの径は互いに等しい。固定側部材110とロータ111とは、互いに軸線X方向に隣り合って配置されている。ロータ111は、固定側部材110に対し、軸線Xを中心に相対的に回転することができる。ロータ111は、外周面111aよりも径が小さい円柱部111bを有している。
固定側部材110の外周面110aとロータ111の外周面111aとにわたって、ねじりコイルばねからなるクラッチばね120が巻付けられている。クラッチばね120は、断面が四角形の素線をコイル形に巻回してなるコイル部121と、コイル部121の一端に設けられた固定側腕部122と、コイル部121の他端に設けられた可動側腕部123とを有している。コイル部121は、軸線X方向に関して第1の部分121aと第2の部分121bとを有している。
固定側腕部122は、コイル部121の第1の部分121aの端に形成されている。固定側腕部122は、固定側部材110に固定されている。可動側腕部123は、コイル部121の第2の部分121bの端に形成されている。可動側腕部123は、コイル部121の径方向に延出し、ベース部材100の切欠き部102から外側に突き出ている。
クラッチばね120に外力を与えない自由状態において、コイル部121の内径は、固定側部材110とロータ111のそれぞれの外周面110a,111aの径よりも小さい。このためコイル部121の内側に固定側部材110とロータ111が挿入された状態では、コイル部121が縮もうとすることによって生じる弾性力(巻締め力)により、コイル部121の内周面が固定側部材110の外周面110aとロータ111の外周面111aに密接する。
クラッチばね120のコイル部121は、ロータ111が第1の方向(開扉方向)D1に回転する際に、巻締め方向にねじられ、ロータ111が第2の方向(閉扉方向)D2に回転する際に、巻戻し方向にねじられるように巻かれている。コイル部121の第1の部分121aの内周面が、固定側部材110の外周面110aに密接した状態で巻付いている。コイル部121の第2の部分121bの内周面が、ロータ111の外周面111aに密接した状態で巻付いている。クラッチばね120の素線の断面が四角形であるため、円形断面の素線と比較して、固定側部材110およびロータ111に対する素線の接触面積を大きくすることができる。
ベース部材100と固定側部材110との間に、ぜんまい、あるいはねじりコイルばねなどからなる解除ばね130が設けられている。解除ばね130は、固定側部材110に第1の方向D1のトルクが入力したときに、第1の方向D1にねじられることによって、固定側部材110を第2の方向D2に戻そうとする弾性エネルギーを蓄えるようになっている。
ロータ111の円柱部111bにギヤ140(図5に示す)が設けられている。ギヤ140は、ドア12の開閉動作に連動する前記回転体42のギヤ51に噛合っている。ドア12を開けるときに回転体42が第1の方向R1に回転するため、ギヤ51,140を介して、ロータ111が第1の方向D1(開扉方向)に回転する。ドア12を閉めるときには、回転体42が第2の方向R2に回転するため、ギヤ51,140を介して、ロータ111が第2の方向D2(閉扉方向)に回転する。ギヤ140の歯数は、回転体42のギヤ51の歯数よりも少ない。
ロータ111の円柱部111bに解除アーム150が設けられている。解除アーム150は、ロータ111の円柱部111bに対して軸線X回りに相対的に回転することができる。解除アーム150は、ばね取付部151と凸部152とを有している。凸部152はロータ111の径方向に突出している。解除アーム150が第1の方向D1に回転するときに凸部152が描く軌跡上に、ベース部材100の前記アームストッパ103が設けられている。
ロータ111の円柱部111bに、ねじりコイルばねからなるワンウェイばね160が巻付けられている。ワンウェイばね160の一端(固定端)161は、解除アーム150のばね取付部151に取付けられている。ワンウェイばね160の他端(自由端162)は、ロータ111の円柱部111bの径方向に突出している。ワンウェイばね160のコイル部163の内周面は、ロータ111の円柱部111bの外周面に密接している。コイル部163は、ロータ111が第1の方向D1に回転するときに巻戻し方向にねじられ、ロータ111が第2の方向D2に回転するときに巻締め方向にねじられるように、円柱部111bに巻かれている。
ベース部材100の円筒部101の外周側にチェンジギヤ170が設けられている。チェンジギヤ170は、ベース部材100の円筒部101に回転自在に嵌合する筒部171と、筒部171と一体に回転するギヤ部172と、筒部171の端面に形成された凸部からなる当接部173と、アーム受け部174とを備えている。
チェンジギヤ170は、ベース部材100に対して、軸線Xを中心に回転することが可能である。アーム受け部174は、解除アーム150が第2の方向D2に回転するときに凸部152が描く軌跡上に形成されている。筒部171の下端には、周方向に互いに概ね180°離れた位置に、一対のばね押し壁175,176が形成されている。
チェンジギヤ170の外周側に、チェンジリング180が設けられている。チェンジリング180は、チェンジギヤ170の筒部171に嵌合し、軸線Xを中心に回転することができる。チェンジリング180の上端に、凸部からなるばね支持部181が設けられている。チェンジリング180の下端には、周方向に互いに概ね180°離れた位置に、一対の当接壁182,183が形成されている。当接壁182,183は、後述するキープばね190の腕部192,193を挟んだ状態で、チェンジギヤ170の前記ばね押し壁175,176と対向している。チェンジリング180の外周に突起部184が設けられている。
ベース部材100の円筒部101に、ねじりコイルばねからなるキープばね190が巻付けられている。キープばね190は、ベース部材100の円筒部101に密接するコイル部191と、コイル部191の両端に突出する一対の腕部192,193とを有している。腕部192,193はコイル部191の径方向に突出している。
図6に示すように、キープばね190の一方の腕部192は、チェンジギヤ170の一方のばね押し壁175と、チェンジリング180の一方の当接壁182との間に挟まれている。キープばね190の他方の腕部193は、チェンジギヤ170の他方のばね押し壁176と、チェンジリング180の他方の当接壁183との間に挟まれている。従ってチェンジギヤ170とチェンジリング180は、キープばね190の腕部192,193を介して、互いに一体となって第1および第2の方向D1,D2に回転することができる。
チェンジギヤ170に第1の方向D1のトルクが入力すると、キープばね190の一方の腕部192が、チェンジギヤ170のばね押し壁175によって巻戻し方向に押されるため、コイル部191が広がる。このためキープばね190は、ベース部材100に対して、第1の方向D1に回転することができる。すなわちチェンジギヤ170に第1の方向D1のトルクが入力したときには、チェンジギヤ170とチェンジリング180とキープばね190が、それぞれ第1の方向D1に回転することができる。
チェンジギヤ170に第2の方向D2のトルクが入力したときには、キープばね190の他方の腕部193が、チェンジギヤ170のばね押し壁176によって巻戻し方向に押されるため、コイル部191が広がる。このため、キープばね190がベース部材100に対して第2の方向D2に回転することができる。すなわちチェンジギヤ170に第2の方向D2のトルクが入力したときには、チェンジギヤ170とチェンジリング180とキープばね190が、それぞれ第2の方向D2に回転することができる。
これに対し、チェンジリング180に第1の方向D1のトルクが入力すると、キープばね190の腕部193がチェンジリング180の当接壁183によって巻締め方向に押されるため、コイル部191が縮まる。このため、キープばね190がベース部材100の円筒部101に強く巻付く。すなわちチェンジリング180に第1の方向D1のトルクが入力したときには、チェンジギヤ170とチェンジリング180とキープばね190が、それぞれベース部材100に固定される。
チェンジリング180に第2の方向D2のトルクが入力したときには、キープばね190の腕部192がチェンジリング180の当接壁182によって巻締め方向に押されるため、コイル部191が縮まる。このため、キープばね190がベース部材100の円筒部101に強く巻付く。すなわちチェンジリング180に第2の方向D2のトルクが入力したときには、チェンジギヤ170とチェンジリング180とキープばね190が、それぞれベース部材100に固定される。
このように、チェンジギヤ170側からキープばね190に軸線X回りのトルクが入力したときには、チェンジギヤ170とチェンジリング180とキープばね190が、ベース部材100に対して、第1および第2の方向D1,D2に回転することができる。これに対し、チェンジリング180側からキープばね190に軸線X回りのトルクが入力したときには、チェンジギヤ170とチェンジリング180とキープばね190が、ベース部材100に対して、第1および第2の方向D1,D2に回転することが阻止される。
チェンジギヤ170の外側の近傍にアクチュエータ200が配置されている。アクチュエータ200の一例は、直流電流によって一方向(図3に矢印M1で示す方向)に回転する電動形のモータ(DCモータ)である。アクチュエータ200に出力ギヤ201が設けられている。出力ギヤ201はチェンジギヤ170のギヤ部172に噛合っている。このためアクチュエータ200が回転すると、チェンジギヤ170が第1の方向D1に回転する。チェンジギヤ170側から第2の方向D2のトルクが入力したときには、このトルクによって、アクチュエータ200が従動回転するようになっている。
チェンジリング180の外周面に、ねじりコイルばねからなる補助ばね210が巻回されている。補助ばね210の自由端211は、チェンジリング180が第1の方向D1に回転したときに、クラッチばね120の可動側腕部123に当たることにより、クラッチばね120を巻締め方向に付勢するようになっている。
チェンジリング180の側方に、回動アーム部材220が配置されている。回動アーム部材220は、第1アーム221と、第2アーム222と、ばね223と、軸224とを有している。回動アーム部材220は、軸224を中心に旋回することができ、ばね223によって、図3に矢印M2で示す方向に付勢されている。
第1アーム221の先端部は、ワンウェイばね160が第2の方向に回転した状態において、ワンウェイばね160の自由端162を叩くことができる位置に設けられている。すなわち、ワンウェイばね160の自由端162が第1アーム221の近傍まで移動した状態において、第1アーム221がばね223の弾力によってM2方向に回転すると、第1アーム221の先端部がワンウェイばね160の自由端162を叩くことにより、コイル部163が巻戻し方向にねじられるようになっている。第2アーム222は、チェンジリング180が第2の方向D2に回転したときに、チェンジリング180の突起部184が当たることにより、ばね223の弾力に抗して、回動アーム部材220を矢印M2とは反対方向に回動させる。
回動アーム部材220の近傍に、マイクロスイッチ等のスイッチ230が配置されている。スイッチ230のレバー231は、解除アーム150が第2の方向D2に回転する際に、解除アーム150の凸部152によって作動する位置に設けられている。スイッチ230が作動したときにアクチュエータ200が動き、出力ギヤ201が図3中の矢印M1方向に回転することにより、チェンジギヤ170が第1の方向D1に回転する。
次に、本実施形態の制動機構47を備えたドア位置規制装置40の動作について説明する。
ドア12が開方向に移動するとき、ドアチェッカ20のアーム部材22がドア12の内部から出てゆく方向(図2に矢印A1で示す方向)に移動する。このため第1の索体43がアーム部材22によって引っ張られることにより、回転体42が第1の方向R1に回転する。すなわちドア12が開方向に移動するときには、第1の力伝達部材である第1の索体43が引かれるため、ドア12の開動作に伴って、回転体42が第1の方向R1に回転する。
ドア12が閉方向に移動するときには、ドアチェッカ20がドア12の内部に向って突き出る方向(図2に矢印A2で示す方向)に移動する。このためロッド部材46が図2に矢印Cで示す方向に移動し、往復移動体45が回転体42から離れる方向B2に移動する。よって第2の索体44が引っ張られることにより、回転体42が第2の方向R2に回転する。回転体42が第2の方向R2に回転すると、ギヤ51,140を介してロータ111が第2の方向D2に回転する。
すなわち、ドア12が開方向に移動するとロータ111が第1の方向D1に回転し、ドア12が閉方向に移動すると、ロータ111が第2の方向D2に回転する。
図7は、ドア12を開閉したときの制動機構47の動作の一例を示している。以下に制動機構47の動作の一例について、図7中のステップS1〜S9と、図8〜図15を参照して説明する。
[ステップS1]
図7に示すステップS1において、ドア12を閉位置から開方向に移動させる。このとき制動機構47は解除モードにある。まず解除モードについて説明する。
図8は、制動機構47が解除モードの状態を示している。解除モードでは、チェンジリング180のばね支持部181がクラッチばね120の可動側腕部123に当接し、第2の方向D2に押していることにより、クラッチばね120のコイル部121が巻戻し方向にねじられている。このときクラッチばね120の弾性復元力により、チェンジリング180に第1の方向D1のトルクが入力する。
このため解除モードでは、図6に示すように、クラッチばね120の弾性復元力によって生じる第1の方向D1のトルクにより、キープばね190の腕部193がチェンジリング180の当接壁183によって第2の方向D2に押される。このためキープばね190のコイル部191が、ベース部材100の円筒部101に巻付く方向(巻締め方向)にねじられるため、チェンジリング180はキープばね190を介してベース部材100に固定される。よって、チェンジギヤ170とチェンジリング180の回転が阻止され、チェンジギヤ170とチェンジリング180が解除モードの位置に保持される。
この解除モードでは、チェンジリング180のばね支持部181が、クラッチばね120の可動側腕部123をコイル部121の巻戻し方向に押している。このため、コイル部121の径が少し広がり、コイル部121の内周面が固定側部材110の外周面110aとロータ111の外周面111aから離れている。つまりロータ111とコイル部121との間の摩擦が実質的に解消された状態になるため、ロータ111は固定側部材110に対して第1の方向D1と第2の方向D2のいずれの方向にも制動力が発生せず、小さな力でドア12を開閉させることができる。
ドア12を開けると、ロータ111が第1の方向D1に回転するため、ロータ111と解除アーム150とワンウェイばね160とが一体となって第1の方向D1に回転する。このため、図9に示されるように、解除アーム150の凸部152の背面が、ベース部材100のアームストッパ103に当接することにより、解除アーム150が所定位置に停止し、その位置に保持される。この状態でドア12がさらに開方向に動き、ロータ111が第1の方向D1に回転すると、ロータ111がワンウェイばね160の巻戻し方向に回転するため、解除アーム150とワンウェイばね160が前記所定位置に保持された状態のもとで、ロータ111が第1の方向D1に回転することが許容される。
ドア12を開ける際に、ドア12の外側に障害物などが存在した場合には、ドア12を障害物の手前で止める必要がある。ドア12の外側に障害物が存在しない場合でも、状況によってはドア12を開方向の途中で止めたいこともある。
[ステップS2]
図7のステップS2において、ドア12を開方向の途中で止める。
[ステップS3]
図7のステップS3において、ドア12を閉方向に少し動かす。
[ステップS4]
ドア12を閉方向に少し移動させると、ロータ111が第2の方向(閉扉方向)D2に回転するため、解除アーム150の凸部152がアームストッパ103から離れるとともに、解除アーム150の凸部152によってスイッチ230が作動する。
[ステップS5]
スイッチ230によってアクチュエータ200が作動すると、チェンジギヤ170が第1の方向D1に回転する。チェンジギヤ170が第1の方向D1に回転するときには、チェンジギヤ170のばね押し壁175が、キープばね190の一方の腕部192を第1の方向D1に押す。このため、キープばね190のコイル部191が巻戻し方向にねじられる。よって、チェンジギヤ170が第1の方向D1に回転することが許容されるとともに、チェンジリング180も第1の方向D1に回転する。
[ステップS6]
図10に示されるように、チェンジギヤ170とチェンジリング180が前記第1の方向D1に回転し、チェンジギヤ170の当接部173がクラッチばね120の可動側腕部123に当接することにより、チェンジギヤ170とチェンジリング180の回転が止まるとともに、制動機構47が制動モードに切換わる。制動モードでは、チェンジリング180のばね支持部181がクラッチばね120の可動側腕部123から離れるため、クラッチばね120のコイル部121が、固定側部材110の外周面110aとロータ111の外周面111aに密接することにより、クラッチばね120のコイル部121とロータ111との間に制動力が生じる。
上記したように、ドア12を開ける際に障害物の手前でドア12を一旦止めてから、閉方向に少し戻した位置で制動モードに切換わるため、ドア12から障害物までの距離を確保することができる。このため車体11が揺れたり、ドア12が開方向に押されたりしても、ドア12が障害物に触れることを回避できる。
制動モードのもとで、ドア12に開方向に大きな力が加わると、ロータ111がクラッチばね120の巻締め方向(第1の方向D1)に回転するため、図11に示す状態となる。すなわち第1の方向D1に加わるトルクによって、可動側腕部123がクラッチばね120の巻締め方向に移動するため、クラッチばね120がロータ111にさらに強く巻付く。このためクラッチばね120とロータ111との間に、きわめて大きな第1の摩擦力が生じる。この第1の摩擦力により、ロータ111が第1の方向D1に回転することが拘束される。よって、ドア12がそれ以上開方向に移動することが抑制される。
固定側部材110とベース部材100との間に、解除ばね130(図4,図5に示す)が設けられている。このため、固定側部材110とロータ111に第1の方向D1のトルクが入力すると、固定側部材110が解除ばね130の弾力に抗して第1の方向D1に回転しようとする。このことにより、解除ばね130が撓みつつ、固定側部材110とロータ111が第1の方向D1に回転する。このため、図11に示すように、クラッチばね120の可動側腕部123がクラッチばね120の巻締め方向(第1の方向D1)に移動する。つまり可動側腕部123が矢印P1方向に移動する。そして第1の方向D1のトルクが大きくなると、可動側腕部123がばね支持部181に突き当たるため、可動側腕部123が矢印P1方向に移動できる量が制限される。
このため、ロータ111に加わる第1の方向D1のトルクが、ある一定の大きさを越えたときに、クラッチばね120のコイル部121の内周面に対し、ロータ111の外周面110aが周方向に滑り始める。このためドア12の開方向に大きな制動力を生じさせた状態で、この制動力に抗してドア12を押し開けることができる。
本実施形態の制動機構47によれば、チェンジリング180のばね支持部181からチェンジギヤ170の当接部173までの距離を常に一定に保つことができる。すなわち、前記したようにチェンジギヤ170とチェンジリング180は、互いにキープばね190を介して同方向に同角度だけ回転することができ、しかも、チェンジギヤ170が第1の方向D1に回転したときに、当接部173がクラッチ120ばねの可動側腕部123に突き当たることによって、チェンジギヤ170とチェンジリング180が同時に停止するように構成されている。このため、チェンジギヤ170の当接部173からチェンジリング180のばね支持部181までの距離、すなわち図11に示される角度θに相当する距離が一定に保たれる。
このため、クラッチばね120の製造上のばらつきや、経年変化による特性の変化が生じても、ばね支持部181から当接部173までの距離が一定に保たれることにより、制動モードのときにドア12を開方向に動かすことができるトルクをほぼ一定に保つことができる。
以上説明した制動モードのときには、比較的小さな力でドア12を閉方向に移動させることができる。その理由について以下に説明する。
図10に示すように、制動モードのもとでは、ばね支持部181が可動側腕部123から離れている。このため、ロータ111に第2の方向D2の力が加わると、クラッチばね120のコイル部121の内周面がロータ111の外周面111aに接したまま、ロータ111がクラッチばね120の巻戻し方向(第2の方向D2)に滑りながら回転することができる。
そしてこのときには、ロータ111とコイル部121との間に、コイル部121の初期巻締め力に基いて、前記第1の摩擦力よりも小さな第2の摩擦力が生じる。このため、ロータ111が適度の抵抗(動摩擦力)を受けながら、第2の方向D2に回転することができる。このため制動モードであってもドア12を開方向よりも小さな力で閉方向に移動させることができ、しかもドア12の閉動作に適度な抵抗を与えることができる。
このように本実施形態の制動機構47は、制動モードのときに、ドア12を開方向に移動させると大きな第1の摩擦力が生じ、ドア12を閉方向に移動させると、第1の摩擦力よりも小さな第2の摩擦力が生じるものである。
本実施形態の制動機構47は、チェンジリング180の外周に補助ばね210が配置されている。チェンジリング180が第1の方向D1に回転して制動モードに切換わったときに、補助ばね210の自由端211がクラッチばね120の可動側腕部123に当接し、補助ばね210がねじられることにより、クラッチばね120が巻締め方向に付勢される。このためクラッチばね120のロータ111に対する初期巻締め力を増大させることができる。
また、ロータ111が第2の方向D2に回転する際に、クラッチばね120が巻戻し方向に撓もうとする動きを補助ばね210によって抑えることができる。このため、ロータ111とクラッチばね120との間に生じる摩擦力を、補助ばね210を設けない場合と比較して大きくすることができる。すなわち、補助ばね210を併用したことにより、クラッチばね120のばね定数を大きくすることなく、ドア12が閉方向に移動する際の制動力を増大させることができる。また、補助ばね210の仕様(例えばばね定数)を変えることにより、ロータ111が第2の方向D2に回転する際に発生する前記第2の摩擦力の大きさを容易に変更(調整)することが可能である。
[ステップS7]
ドア12を前記開位置の途中から全閉させたいとき、あるいは全開位置から全閉させたいときには、なるべく小さな力でドア12を動かせるようにする必要がある。このため本実施形態の制動機構47は、以下に説明するように、ドア12を閉方向にある程度移動させたときに、ドア12の動きを利用して、制動モードから解除モードに自動的に切換える機能を備えている。従ってステップS7では、ドア12を閉方向に移動させる。
[ステップS8]
ドア12が閉方向に動くと、図12に示すようにロータ111が第2の方向D2に回転するとともに、ワンウェイばね160が巻締め方向にねじられるため、ワンウェイばね160が第2の方向D2に回転する。このため解除アーム150も第2の方向D2に回転する。さらにドア12が閉方向に移動すると、図13に示すように、解除アーム150の凸部152がチェンジギヤ170のアーム受け部174に当接する。このためチェンジギヤ170が解除アーム150と共に第2の方向D2に回転する。
チェンジギヤ170が第2の方向D2に回転するとき、チェンジギヤ170のばね押し壁176がキープばね190(図6に示す)の腕部193を第2の方向D2に押すため、キープばね190のコイル部191が巻戻し方向にねじられる。よって、チェンジギヤ170とチェンジリング180は、第2の方向D2に回転することができる。
[ステップS9]
図14は制動機構47が解除モードに切換わる途中の状態を示している。この状態のとき、チェンジリング180のばね支持部181が、クラッチばね120の可動側腕部123を第2の方向(クラッチばね120の巻戻し方向)に押す。よって、クラッチばね120のコイル部121が少し広がる方向にねじられる。
ロータ111が第2の方向D2に回転し続けることにより、解除アーム150とチェンジギヤ170が第2の方向D2に回転し続ける。チェンジリング180の外周に設けられている突起部184が、回動アーム部材220の第2アーム222を図14中の矢印M3方向に回動させる。
チェンジリング180がさらに第2の方向D2に回転すると、図15に示すように、突起部184が第2アーム222を通過した瞬間に、ばね223の弾力によって、回動アーム部材220がM2方向に回転することにより、第1アーム221の先端部がワンウェイばね160の自由端162をワンウェイばね160の巻戻し方向に叩く。ことにより、ワンウェイばね160のコイル部163が強制的に広げられ、ワンウェイばね160とロータ111との間の摩擦が瞬時に解除される。
こうして解除モードに切換わることができる。前記したように解除モードでは、コイル部121とロータ111との間の摩擦が実質的に解消され、ロータ111を小さな力で第2の方向D2に回転させることが可能となる。すなわちドア12の閉動作の抵抗が最小となるため、小さな力でドア12を全閉位置まで移動させることができる。
以上説明したように、本実施形態のドア装置13によれば、ドア12を開ける際に、ドア12の外側に障害物があるとき、ドア12を障害物の直前の位置で止めたのち、ドア12を閉方向に少し動かすと、アクチュエータ200が作動することにより、制動機構47が制動モードに切換わる。このため、ドア12を障害物から少し離した位置において、開方向に加わる力に対して大きな制動力を発揮させてドアを拘束できる。そして閉方向に加わる力に対しては、小さな制動力を生じさせた状態で、ドア12を開方向に移動させることが可能となる。
またドア12を全閉位置に向って移動させると、前記したようにドア12の閉動作に伴ってチェンジギヤ170が第2の方向に移動し、制動機構47が解除モードに切換わる。この解除モードへの切換え時に、アクチュエータ200は従動回転するだけである。すなわち手動でドア12を閉める力を利用して、制動機構47を制動モードから解除モードに切換えることができる。そして解除モードに切換わった以降は、小さな力でドア12を全閉位置まで容易に移動させることができる。
本実施形態のドア位置規制装置40によれば、ドア12を全閉方向に移動させるときに、ドア12の閉動作を利用して制動機構47を制動モードから解除モードに切換えることができる。解除モードから制動モードに切換えるために使用されるアクチュエータ200は、チェンジギヤ170とチェンジリング180を第1の方向に回転させることができるトルクを生じればよく、クラッチばね120の弾力に対抗する必要がないため、出力の小さな小形のアクチュエータ200で十分である。このためアクチュエータ200の小形化とコストの低減が可能である。
なお、第1の索体43の一端43aとロッド部材46の一端46aを、それぞれドアチェッカ20以外の車体側の部材に接続してもよい。要するにドアを開けるときにロータが第1の方向に回転し、ドアを閉じるときにロータが第2の方向に回転するように構成されていればよい。ドアの開閉動作に伴って前記ロータを第1および第2の方向に回転させるための力伝達手段は、ワイヤロープやロッド以外の部材であってもよい。
本発明の一実施形態に係るドア位置規制装置を備えた自動車の一部の斜視図。 図1に示された自動車のドア位置規制装置とドアチェッカの斜視図。 図2に示されたドア位置規制装置の制動機構の斜視図。 図3に示された制動機構の分解斜視図。 図3中のF5−F5線に沿う制動機構の断面図。 図5中のF6−F6線に沿う制動機構の断面図。 図3に示された制動機構の動作の一例を動作順に表した図。 図3に示された制動機構が解除モードのときの斜視図。 図3に示された制動機構のロータが第1の方向に回転したときの斜視図。 図3に示された制動機構が制動モードに切換わったときの斜視図。 図3に示された制動機構が制動モードでロータが第1の方向に回転したときの斜視図。 図3に示された制動機構が制動モードでロータが第2の方向に少し回転したときの斜視図。 図3に示された制動機構が制動モードでロータが第2の方向にさらに回転したときの斜視図。 図3に示された制動機構が制動モードから解除モードに切換わる途中の状態の斜視図。 図3に示された制動機構が制動モードから解除モードに切換わる直前の状態の斜視図。
符号の説明
10…自動車
11…車体
12…ドア
40…ドア位置規制装置
47…制動機構
100…ベース部材
110…固定側部材
111…ロータ
120…クラッチばね
121…コイル部
122…固定側腕部
123…可動側腕部
150…解除アーム
160…ワンウェイばね
170…チェンジギヤ
173…当接部
174…アーム受け部
180…チェンジリング
181…ばね支持部
190…キープばね
210…補助ばね
220…回動アーム部材
230…スイッチ

Claims (6)

  1. 車体のドア取付部に開閉自在に取付けられたドアと、
    前記ドアの開閉動作を制動する制動機構とを有するドア位置規制装置であって、
    前記制動機構は、
    前記ドアに設けられたベース部材と、
    前記ベース部材に保持され、外周面を有する固定側部材と、
    前記固定側部材の軸線方向に隣り合って設けられ、前記固定側部材の外周面に対応する外周面を有し、前記ドアが開方向に動くときに第1の方向に回転し、前記ドアが閉方向に動くときに第2の方向に回転するロータと、
    前記固定側部材の外周面と前記ロータの外周面とにわたって巻付くコイル部を有し、一端側の固定側腕部が前記固定側部材に固定され、他端側の可動側腕部が前記ロータの外方に突出するクラッチばねと、
    前記ベース部材に対し前記第1の方向と前記第2の方向とに回転可能に設けられ、前記第1の方向に回転したときに前記クラッチばねの前記可動側腕部に当接し、前記第2の方向に回転したときに前記可動側腕部から離れる当接部を有するチェンジギヤと、
    前記チェンジギヤに対して前記第1の方向と第2の方向に回転可能に設けられ、前記第1の方向に回転した状態において前記クラッチばねの前記可動側腕部から離れ、前記第2の方向に回転した状態において前記可動側腕部に当接することにより前記クラッチばねを巻戻し方向に押すばね支持部を有するチェンジリングと、
    前記ベース部材に巻付けられ、前記チェンジギヤ側から前記第1および第2の方向のトルクが入力したときに巻戻し方向にねじられることにより前記チェンジギヤが回転することを許容し、前記チェンジリング側から前記第1および第2の方向のトルクが入力したときに巻締め方向にねじられることにより前記チェンジリングが回転することを阻止するキープばねと、
    前記ロータが前記第1の方向に回転したのち前記ロータが第2の方向に回転したときに作動することにより前記チェンジギヤと前記チェンジリングを前記第1の方向に回転させる電動式のアクチュエータと
    前記ロータに前記第1および第2の方向に回転可能に設けられ、前記ロータが前記第1の方向に回転したときに所定位置に保持され、前記ロータが前記第2の方向に回転したときに前記ロータと共に前記第2の方向に回転し、前記ロータが前記第2の方向に所定量以上回転したときに前記チェンジギヤのアーム受け部に当接することにより、前記チェンジギヤと前記チェンジリングを前記第2の方向に回転させる解除アームと、
    を具備したことを特徴とするドア位置規制装置。
  2. 前記チェンジギヤが前記第1および第2の方向に回転するときに前記チェンジリングが前記キープばねを介して前記チェンジギヤと同方向に同角度だけ回転することができ、前記チェンジギヤが前記第1の方向に回転したときに、前記チェンジギヤの前記当接部が前記クラッチばねの前記可動側腕部に当接して前記チェンジギヤと前記チェンジリングが停止することにより、前記チェンジギヤの前記当接部から前記チェンジリングの前記ばね支持部までの距離が一定に保たれることを特徴とする請求項1に記載のドア位置規制装置。
  3. 前記クラッチばねの前記コイル部は、
    前記固定側部材の外周面に密接した状態で巻付く第1の部分と、
    前記ロータの外周面に密接した状態で巻付く第2の部分とを有し、
    前記ロータが前記第1の方向に回転するときに前記ロータによって前記コイル部が巻締め方向にねじられることにより前記ロータと前記コイル部との間に第1の摩擦力を生じ、
    前記ロータが前記第2の方向に回転するときに前記ロータによって前記コイル部が巻戻し方向にねじられることにより前記ロータと前記コイル部との間に前記第1の摩擦力よりも小さな第2の摩擦力を生じることを特徴とする請求項1または2に記載のドア位置規制装置。
  4. 前記チェンジリングの外周に補助ばねが配置され、該補助ばねは、前記チェンジリングが前記第1の方向に回転した状態において前記クラッチばねの前記可動側腕部に当接することによって前記クラッチばねを巻締め方向に付勢することを特徴とする請求項3に記載のドア位置規制装置。
  5. 前記制動機構は、前記解除アームに設けられたワンウェイばねを備え、該ワンウェイばねは、前記ロータの円柱部に密接した状態で巻付けられたコイル部と、該コイル部の一端に形成され前記解除アームに固定された固定端と、前記コイル部の他端に形成された自由端とを有し、前記コイル部は、前記ロータが前記第1の方向に回転するときに巻戻し方向にねじられることにより前記解除アームを前記所定位置に停止させ、前記ロータが前記第2の方向に回転するときに巻締め方向にねじられることにより、前記ロータの回転運動を前記解除アームに伝えて前記解除アームを前記所定位置から前記第2の方向に回転させることを特徴とする請求項1に記載のドア位置規制装置。
  6. 前記制動機構は、前記チェンジリングが前記第2の方向に回転したときに前記ワンウェイばねの前記自由端を該ワンウェイばねの巻戻し方向に叩く回動アーム部材を備えていることを特徴とする請求項5に記載のドア位置規制装置。
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