JP2009232865A - Dna識別のためのプローブアレイ及びプローブアレイの使用方法 - Google Patents

Dna識別のためのプローブアレイ及びプローブアレイの使用方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2009232865A
JP2009232865A JP2009167204A JP2009167204A JP2009232865A JP 2009232865 A JP2009232865 A JP 2009232865A JP 2009167204 A JP2009167204 A JP 2009167204A JP 2009167204 A JP2009167204 A JP 2009167204A JP 2009232865 A JP2009232865 A JP 2009232865A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
dna
array
probe
genome
restriction endonuclease
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2009167204A
Other languages
English (en)
Inventor
Michael Wigler
ウィグラー、マイケル
Robert Lucito
ルシト、ロバート
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Cold Spring Harbor Laboratory
Original Assignee
Cold Spring Harbor Laboratory
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Cold Spring Harbor Laboratory filed Critical Cold Spring Harbor Laboratory
Publication of JP2009232865A publication Critical patent/JP2009232865A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12QMEASURING OR TESTING PROCESSES INVOLVING ENZYMES, NUCLEIC ACIDS OR MICROORGANISMS; COMPOSITIONS OR TEST PAPERS THEREFOR; PROCESSES OF PREPARING SUCH COMPOSITIONS; CONDITION-RESPONSIVE CONTROL IN MICROBIOLOGICAL OR ENZYMOLOGICAL PROCESSES
    • C12Q1/00Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions
    • C12Q1/68Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions involving nucleic acids
    • C12Q1/6809Methods for determination or identification of nucleic acids involving differential detection
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12QMEASURING OR TESTING PROCESSES INVOLVING ENZYMES, NUCLEIC ACIDS OR MICROORGANISMS; COMPOSITIONS OR TEST PAPERS THEREFOR; PROCESSES OF PREPARING SUCH COMPOSITIONS; CONDITION-RESPONSIVE CONTROL IN MICROBIOLOGICAL OR ENZYMOLOGICAL PROCESSES
    • C12Q1/00Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions
    • C12Q1/68Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions involving nucleic acids
    • C12Q1/6813Hybridisation assays
    • C12Q1/6834Enzymatic or biochemical coupling of nucleic acids to a solid phase
    • C12Q1/6837Enzymatic or biochemical coupling of nucleic acids to a solid phase using probe arrays or probe chips
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12QMEASURING OR TESTING PROCESSES INVOLVING ENZYMES, NUCLEIC ACIDS OR MICROORGANISMS; COMPOSITIONS OR TEST PAPERS THEREFOR; PROCESSES OF PREPARING SUCH COMPOSITIONS; CONDITION-RESPONSIVE CONTROL IN MICROBIOLOGICAL OR ENZYMOLOGICAL PROCESSES
    • C12Q1/00Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions
    • C12Q1/68Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions involving nucleic acids
    • C12Q1/6844Nucleic acid amplification reactions
    • C12Q1/6853Nucleic acid amplification reactions using modified primers or templates
    • C12Q1/6855Ligating adaptors

Abstract

【課題】DNA解析のためのマイクロアレイ技術の使用に関連した問題に対する解決法を提供すること。
【解決手段】本発明は、マイクロアレイ技術におけるDNAの単純及び複合提示物の使用のための組成物及び方法を提供する。本発明はまた、細胞由来のDNAの高コンプレキシティー提示物(HCR)の製造方法に関する。
【選択図】なし

Description

本発明は、国立衛生研究所によって与えられた契約第5R35 CA 39829-13及び5P50 CA 68425-03に基づく政府の援助によってなされたものである。政府は本発明に一定の権利を有する。
本出願は、1997年10月30日に出願された米国仮出願第60/064,358号の利益を主張する。
本発明の分野は遺伝子解析である。
2.1.マイクロアレイ技術
カリオタイピング(karyotyping)、プロイディー(ploidy)の決定、そして更に近年では比較ゲノムハイブリダイゼーション(CGH)等の、ゲノム解析のためのグローバルな方法(Federら, 1998, Cancer Genet. Cytogenet., 102:25-31; Gebhartら, 1998, Int. J. Oncol. 12:1151-1155; Larramendyら,1997, Am. J. Pathol., 151:1153-1161; Luら, 1997, Genes Chromosomes Cancer, 20:275-281,これらの文献は参照によってその全てを本明細書中に組み入れる)は、癌及び他の疾患または遺伝子成分が関連する状態の病理生理学に有用な知見を提供し、場合によっては診断、予後及び治療の選択に役立ってきたが、現在使用されている方法は標準的な顕微鏡によって達成し得る解析レベル、すなわち約5-10メガベース以上の解析レベルを提供するものではない。更に、突然変異しやすい多くの特定遺伝子を、非常に特異的な方法でゲノムを調べるためのプローブとして使用することができるが(Fordら, 1998, Am. J. Hum. Genet., 62:676-689; Gebhartら, 1998, Int. J. Oncol., 12:1151-1155; Haciaら, 1996, Nat. Genet., 14:441-447,これらの文献は参照によってその全てを本明細書中に組み入れる)、この1対1のクエリ(query)は、遺伝的に細胞をタイプ分けするのには非効率的であり、不完全な方法である。
マイクロアレイ、または「チップ」技術の出現によって、今や、細胞における遺伝的変化のグローバルなイメージを高解析度で得ることが期待できる。2通りの一般的アプローチを考えることができる。一方は、cDNAプローブのマイクロアレイを使用して、細胞の発現パターンをプロファイリングすることである(DeRisiら, 1996, Nat. Genet., 14:457-460)。この方法は癌についての有用な情報を得ることができると思われるが、限界がある。まず、得られたデータの解釈及びその疾患過程との相関性が複雑であり、また、目的の疾患に関連しない遺伝子発現における複数の変化が観察されるという困難な問題を有する。第2に、現在のcDNAコレクションが完全でなく、いずれのチップも近い将来には時代遅れになるだろう。第3に、細胞のその時点の状態像は得られるかもしれないが、その細胞がいかにしてその状態に到達したかについての直接の情報はほとんど得られないだろう。最後に、RNAは非常に不安定であり、遍在するRNAseの存在のために速やかに分解されるため、生検から信頼できるmRNAを得ることは困難な問題である。
第2のアプローチは、癌のゲノムそのものにおける変化を調べることである。DNAはRNAよりも安定であり、あまり処理されていない組織から、また固定され、保存された生検からさえも得ることができる。癌細胞において生じる遺伝的変化は、その細胞遺伝学的な位置を十分解析することができれば、位置をマッピングされたcDNAのデータベースとしての既知の遺伝子と相関させることができる。従って、このような解析から得られる情報は時代遅れになることはないだろう。遺伝的変化の性質及び数によって、癌細胞の履歴に対する鍵が提供され得る。最後に、高解析度のゲノム解析は、目的の疾患または障害の原因に関与する新規遺伝子の発見につながる可能性がある。
マイクロアレイは、典型的には、多くの異なるDNA分子(プローブとして呼ばれることが多い)が、平板の、通常ガラス製の支持体上の規定された座標点、あるいはアドレスに固定されている。それぞれのアドレスは単一のDNAプローブの多コピー、または異なるDNAプローブの混合物を含有しており、各DNA分子は通常2000ヌクレオチド長以下である。DNAは、ゲノムDNAまたはcDNAを含む多くの起源由来のものであっても良く、あるいは合成したオリゴヌクレオチドであっても良い。明瞭かつ簡潔にするために、以下、ゲノムまたはcDNA由来のプローブを有するチップをDNAチップ、合成オリゴヌクレオチドプローブを有するチップをオリゴチップとそれぞれ言う。典型的には、チップは、一本鎖核酸溶液として適用されるサンプルとハイブリダイズする。
所与のアドレスにおけるサンプルとのハイブリダイゼーションは、相補的配列の濃度、プローブ濃度、及びそれぞれのアドレスからハイブリダイゼーションによって相補的配列を捕捉することができる体積(volume)を含む、多くの因子によって決定される。この体積を拡散体積と言う。拡散体積、従ってハイブリダイゼーションシグナル検出の可能性はハイブリダイゼーションチャンバー内のアドレスによって変わるため、プローブアレイは、完全に混合され、従って同じ拡散体積を含む、同一のハイブリダイゼーション条件を共有する2種の異なって標識された標本間のハイブリダイゼーション比率を測定する比較測定に用いた場合、より正確である。典型的には、2種の標本は疾患細胞由来及び疾患のない細胞由来のものであろう。
本発明者等は、各アドレスにおけるプローブのヌクレオチドのコンプレキシティーに基づき、複合DNAプローブアレイ及び単純DNAプローブアレイを区別する。このヌクレオチドコンプレキシティーがアドレスあたり約1.2kb以下である場合、単純DNAプローブアレイと言う。アドレスあたり1.2kbを超える場合には、複合プローブアレイと言う。単純プローブアレイは、現時点において、総濃度が1mg/mlのcDNAを含有する溶液と接触させた場合に、細胞あたり2から10コピーのmRNAが存在するcDNA種を検出することができる。所与の種の検出閾値は、4から20ng/mlの範囲であると概算されている。単純プローブアレイは一般にサンプルから単一種のDNAのみを捕捉できるため、この検出閾値はゲノムDNA解析のための単純DNAプローブアレイ使用に対する問題を提起する。ヒトゲノムDNA(全体のコンプレキシティーは約3000mbである)を、全ゲノムDNAを最大濃度8mg/mlで溶解させた溶液中の独特な700bp断片の濃度は、この概算された検出閾値の下限よりやや低い約2ng/mlであると考えられる。従って、そのままのフォーマットでは、単純DNAプローブチップはゲノム配列の確実な検出には十分ではない。
複合チップは、所与のアドレスにおける異なるプローブヌクレオチドコンプレキシティーを増加させることによってこの問題に部分的に対処し、単一のアドレスにおける複数種のDNA断片の捕捉を可能とする。異なる捕捉種のシグナルを組み合わせて、ゲノムDNAからのハイブリダイゼーションの検出可能レベルに到達する。複合プローブアレイの現在の形態は、BAC等のメガクローニングベクターの単一クローンに見られるインサートを各アドレスに置く。それぞれのアドレスは全BACクローン由来の断片を含有するため、いくつかの問題が生じる。ゲノムインサート中におけるリピートエレメントの存在のために、標識されていないDNAによるクエンチングが必要とされる。また、メガクローニングベクターインサートのサイズが大きいために、位置的解析が制限される。例えば、BAC由来の複合プローブアレイの場合、特定のアドレスに対するハイブリダイゼーションによって、どのBACに対してハイブリダイズする配列が相補的であるかを明らかにするのみであり、そのBAC内の特定の相補的遺伝子または配列を明らかにはしない。もう一つの欠点は、メガクローニングベクター由来のDNA及び宿主配列の存在である。ゲノムDNAインサートをベクター及び宿主配列から切り出し、精製する段階は、マイクロアレイの迅速な組み立てを複雑にし、かつ妨げる。
2.2.遺伝子解析に関連する問題
ヒトの腫瘍における遺伝的変化の解析は、正常な間質の存在のために、しばしば問題がある。腫瘍組織サンプルは非癌細胞が混在する場合が多く、腫瘍細胞DNAの単離及び研究を困難なものとしている。微小切開(microdissection)またはフローサイトメトリーによって、腫瘍細胞または核に非常に富む小サンプルを得ることができるが、このような富化サンプルから回収できる抽出DNAの量は、ほとんどの使用に不十分なものである。
小サンプルで使用することができる技術の一つは、提示差解析(representational difference analysis;RDA)である(米国特許第5,346,142号、Lisitsynら, 1993, Science, 259:946-951)。RDAは、例えば対になる正常及び腫瘍ゲノム間の差異を発見するために有用な、サブトラクティブDNAハイブリダイゼーション技術である。RDAの第1段階は、非常に再現性のあるDNA集団の単純化及び増幅である、「アンプリコン(amplicon)提示物」の製造を必要とする。典型的には、アンプリコン提示物は、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)によって生成した限定されたサイズ範囲の制限的エンドヌクレアーゼ断片のセットである。PCRによって、せいぜい3ngのDNA(約1000個の細胞から単離し得るDNAの量)から出発して、100μgのオーダーの、以降のプロセシングに十分な量のDNAが生成する。
RDAに有用なアンプリコンの制限の一つは、サブトラクティブハイブリダイゼーションの効果的な進行を可能とするためには、アンプリコン提示物が、そのアンプリコンが由来するゲノムのコンプレキシティーよりもずっと低いコンプレキシティーを有するものであることが必要とされることである。このようなコンプレキシティーの低い提示物(LCR)では、他の用途に一般的に有用なゲノムの十分量(典型的には7%以下)を「捕捉」できない。提示物のコンプレキシティーは、例えばPCR等の増幅反応段階と組み合わせるゲノム断片を生成させるために使用する制限酵素による切断の頻度に関連し、より小さい断片が優勢となりがちである。
全ゲノム増幅(WGA)は、微少サンプル由来のDNAのより複雑な増幅を生成させる方法である(Sun, F.ら, 1995, Nucleic Acids Res. 23(15):3034-3040, Barrett, M.T.ら, 1995, Nucleic Acids Res. 23(17):3488-3492)。WGAにおいては、PCRはランダムプライマーを用い、少量のサンプルから単離されたDNAに対して実施する。
WGA法には、少なくとも3つの欠点がある。
1.増幅されたDNAはサザン解析に使用できない。単一の遺伝子に1プライマーより多くが結合できるため、単一の遺伝子からサイズの異なる断片の不均質な混合物が生成し得る。このために、サザンハイブリダイゼーションによって、バンドではなくしみ(smear)が検出されることになる。
2.増幅のランダムな性質のために、それぞれの増幅によって異なる断片混合物が生じる。従って増幅で信頼できる程度の再現性が得られない。このことから、サンプル間比較の目的のためのこうした全ゲノム増幅の使用が困難になる。
3.ゲノム増幅は元のサンプルに存在する遺伝子のコピー数を定量化するためには有用でない。プライマーがランダムであるため、各遺伝子の提示物は他の遺伝子と大きく異なることがある。従って、元のサンプルにおける他の遺伝子に対する各遺伝子の存在量は増幅の過程で保存されず、コピー数の定量化は不可能になる。
従って、わずかなゲノムサンプルから単離し得るDNAの量が制限されるために従来は応用できなかった技術を用いて、このようなゲノムサンプルから少量のサンプルの遺伝子解析を可能とする量の遺伝子物質を得る方法は依然として必要とされている。また、わずかな、再生できない起源からDNAを増幅し、保存する方法も長く必要とされている。
米国特許第5,346,142号
Federら, 1998, Cancer Genet. Cytogenet., 102:25-31 Gebhartら, 1998, Int. J. Oncol. 12:1151-1155 Larramendyら,1997, Am. J. Pathol., 151:1153-1161 Luら, 1997, Genes Chromosomes Cancer, 20:275-281 Fordら, 1998, Am. J. Hum. Genet., 62:676-689 Haciaら, 1996, Nat. Genet., 14:441-447 DeRisiら, 1996, Nat. Genet., 14:457-460 Lisitsynら, 1993, Science, 259:946-951 Sun, F.ら, 1995, Nucleic Acids Res. 23(15):3034-3040 Barrett, M.T.ら, 1995, Nucleic Acids Res. 23(17):3488-3492
本発明の目的は、DNA解析のためのマイクロアレイ技術の使用に関連した問題に対する解決法を提供することである。
本発明は、マイクロアレイ技術におけるDNAの単純及び複合提示物の使用のための組成物及び方法を提供する。DNAの提示物は、ゲノムまたは他のDNAの制限的エンドヌクレアーゼ分解によって生成したDNAをサンプリングしたものに、それに続いてアダプターを結合し、及びアダプターに相補的なプライマーを使用した増幅を行ったものである。DNAはいかなる起源のものであっても良い。提示物を生成することができる起源としては、乳癌及び前立腺癌生検を含む、腫瘍生検サンプル由来のゲノムまたはcDNA、正常組織サンプル、腫瘍細胞系、正常細胞系、固定標本として保存された細胞、検死サンプル、法医学(forensic)サンプル、古生物(paleo-)DNAサンプル、微小切開組織サンプル、単離された核、及び分画した細胞または組織サンプルが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
ゲノムの提示によって、そのコンプレキシティーの単純化が生じる。提示物のゲノムコンプレキシティーは全ゲノムの1%以下から95%にまでわたることがある。この単純化によって、望ましいハイブリダイゼーション速度論が可能となる。ゲノムDNAの提示物由来のプローブをマイクロアレイのプローブとして、またいずれかのマイクロアレイにハイブリダイズする標識サンプルとして使用することができる。提示物の形成には、ポリメラーゼ連鎖反応、リガーゼ連鎖反応等の増幅反応を介したDNAの増幅段階が関与するため、非常に少量のDNAを出発物質として使用することができる。提示物の提示物として定義される、複合提示物の使用もまた、本発明によって提供される。以下に詳細に記載するように、複合提示物は、例えば多型のスクリーニングに使用することができる。
更に、提示差解析(RDA)は、メガクローニングベクターからマイクロアレイを構築する場合に、ベクター及び宿主配列の効果的な除去のために使用することができる。RDAはまた、反復配列を含む、既知の望ましくない配列を提示物から除くためにも使用することができる。
本明細書で使用する場合、用語「単純提示物」は、ゲノムまたは他のDNAの制限的エンドヌクレアーゼ分解によって生成したDNAのサンプリング物に、それに続いてアダプターの結合、及びアダプターに相補的なプライマーを使用した増幅を行ったものを意味する。
本明細書で使用する場合、用語「複合提示物」は、提示物の提示物を意味する。
本発明はまた、細胞からのDNAの高コンプレキシティー提示物(HCR)の製造方法に関する。一つの実施形態において、HCRは、いずれかの起源からの少量のDNAを比較的切断頻度の高い制限的エンドヌクレアーゼによる完全消化、得られた断片の末端へのアダプターオリゴヌクレオチドの連結、及び該アダプターオリゴヌクレオチドに対するプライマーを使用した、例えばPCRによる断片の増幅によって製造される。
別の実施形態において、HCRは、いずれかの起源からの少量のDNAを少なくとも2種の制限的エンドヌクレアーゼによる完全消化、得られた断片の末端へのアダプターオリゴヌクレオチドの連結、及び該アダプターオリゴヌクレオチドに対するプライマーを使用した、例えばPCRによる断片の増幅によって製造される。
HCRによって、使用した1種または複数種の制限酵素、及びPCR増幅の条件に依存して、ゲノムの20%から95%を提示することができる。
HCRを製造できる起源としては、乳癌及び前立腺癌生検を含む、腫瘍生検サンプル、正常組織サンプル、腫瘍細胞系、正常細胞系、固定標本として保存された細胞、検死サンプル、法医学(forensic)サンプル、古生物(paleo-)DNAサンプル、微小切開組織サンプル、単離された核、及び分画した細胞または組織サンプルが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
HCRは、遺伝子のコピー数の決定、欠失マッピング、異型接合性喪失の決定、比較ゲノムハイブリダイゼーション、及びDNAの保存のために有用であるが、有用性はこれらに限定されるものではない。
本発明は、要約すると、以下の通りである。
〔1〕1またはそれ以上のDNA提示物(representations)由来のプローブを含むDNAアレイ。
〔2〕DNAがゲノムDNAである、〔1〕に記載のアレイ。
〔3〕DNAがメガクローニングベクターからのものである、〔1〕に記載のアレイ。
〔4〕DNAがcDNAからのものである、〔1〕に記載のアレイ。
〔5〕メガクローニングベクター特異的配列、及び宿主特異的配列が、提示差解析(representational difference analysis)によって実質的に除かれる、〔3〕に記載のアレイ。
〔6〕提示物がゲノムDNAのコンプレキシティーの70%以下に等しいコンプレキシティーを有する、〔2〕に記載のアレイ。
〔7〕提示物がゲノムDNAのコンプレキシティーの20%以下に等しいコンプレキシティーを有する、〔2〕に記載のアレイ。
〔8〕提示物がゲノムDNAのコンプレキシティーの5%以下に等しいコンプレキシティーを有する、〔2〕に記載のアレイ。
〔9〕予め定められた第2の制限的エンドヌクレアーゼ切断部位を有さない第1の提示物の断片から本質的になるDNAの複合提示物であって、該第2の制限的エンドヌクレアーゼ切断部位が第1の提示物を作成するために使用される第1の制限的エンドヌクレアーゼによって認識される切断部位と異なることを特徴とする、上記複合提示物。
〔10〕予め定められた第2の制限的エンドヌクレアーゼ切断部位を有する第1の提示物の断片の部分から本質的になるDNAの複合提示物であって、該第2の制限的エンドヌクレアーゼ切断部位が第1の提示物を作成するために使用される第1の制限的エンドヌクレアーゼによって認識される切断部位と異なることを特徴とする、上記複合提示物。
〔11〕1またはそれ以上のDNAの提示物にハイブリダイズするマイクロアレイ。
〔12〕2つの提示物がマイクロアレイにハイブリダイズしている、〔11〕に記載のマイクロアレイ。
〔13〕2つの提示物が複合提示物である、〔12〕に記載のマイクロアレイ。
〔14〕提示物が異なって標識されている、〔12〕に記載のマイクロアレイ。
〔15〕DNAの複合提示物の製造方法であって、
(a)DNAのサンプルを第1の制限的エンドヌクレアーゼで消化して消化DNA断片を提供し、
(b)該消化DNA断片にアダプターを連結し、
(c)該アダプターに相補的なプライマーを使用して該DNA断片を増幅して該DNAの第1の提示物を提供し、
(d)第1の提示物を第2の制限的エンドヌクレーゼで消化して消化DNA断片を提供し、
(e)該アダプターに相補的なプライマーを使用して段階(d)の該DNA断片を増幅して該DNAの複合提示物を提供する、
ことを含む、上記方法。
〔16〕DNAの複合提示物の製造方法であって、
(a)DNAのサンプルを第1の制限的エンドヌクレアーゼで消化して消化DNA断片を提供し、
(b)該消化DNA断片に第1のアダプターを連結し、
(c)該アダプターに相補的なプライマーを使用して該DNA断片を増幅して該DNAの第1の提示物を提供し、
(d)第1の提示物を第2の制限的エンドヌクレーゼで消化して消化DNA断片を提供し、
(e)第2の制限的エンドヌクレアーゼによって生成した段階(d)の該断片の末端に第2のアダプターを連結し、
(f)段階(d)の該断片の5’末端に第3のアダプターを連結し、
(g)該第2及び第3のアダプターに相補的なプライマーを使用して段階(f)の該DNA断片を増幅して該DNAの複合提示物を提供する、
ことを含む、上記方法。
〔17〕固相表面上に固定化されたプローブDNAのアレイに1またはそれ以上のサンプル由来の核酸をハイブリダイズさせる方法であって、
核酸及びプローブDNA間のハイブリダイゼーションが生じ得るような条件下で、1またはそれ以上のサンプル由来の核酸に相補的な配列を含有するか、または含有すると予想される該アレイを1またはそれ以上のサンプル由来の核酸と接触させることを含み、1またはそれ以上のサンプル核酸が1または複数の提示物であるか、またはそれ由来のものであることを特徴とする、上記方法。
〔18〕固相表面上に固定化されたプローブDNAのアレイに1またはそれ以上のサンプル由来の核酸をハイブリダイズさせる方法であって、
核酸及びプローブDNA間のハイブリダイゼーションが生じ得るような条件下で、1またはそれ以上のサンプル由来の核酸に相補的な配列を含有するか、または含有すると予想される該アレイを1またはそれ以上のサンプル由来の核酸と接触させることを含み、プローブDNAが1またはそれ以上の提示物であるか、またはそれ由来のものであることを特徴とする、上記方法。
〔19〕固相表面上に固定化されたプローブDNAのアレイに1またはそれ以上のサンプル由来の核酸をハイブリダイズさせる方法であって、
核酸及びプローブDNA間のハイブリダイゼーションが生じ得るような条件下で、1またはそれ以上のサンプル由来の核酸に相補的な配列を含有するか、または含有すると予想されるアレイを1またはそれ以上のサンプル由来の核酸と接触させることを含み、1またはそれ以上のサンプル核酸が提示物であるか、またはそれ由来のものであり、かつプローブDNAが1またはそれ以上の提示物であるか、またはそれ由来のものである、上記方法。
〔20〕DNAの高コンプレキシティー提示物の製造方法であって、
(a)DNAのサンプルを相対切断頻度の高い制限的エンドヌクレアーゼで消化して消化DNA断片を提供し、
(b)該消化DNA断片にアダプターを連結し、
(c)該アダプターに相補的なプライマーを使用して該DNA断片を増幅して該DNAの高コンプレキシティー提示物を提供する、
ことを含む、上記方法。
〔21〕DNAのサンプルが生検標本、細胞系、検死標本、法医学(forensic)標本または古生物学的(paleoentological)標本から得られるものである、〔20〕に記載の方法。
〔22〕生検標本が分画した生検標本または微小切開した生検標本である、〔21〕に記載の方法。
〔23〕DNAのサンプルが固定した細胞または組織標本から得られるものである、〔20〕に記載の方法。
〔24〕制限的エンドヌクレアーゼが、DpnII、Tsp509I、MboI、Sau3A1、MaeII、MspI、HpaII、BfaI、HinPI、Csp61、TaqI、MseI、AluI、BstUI、DpnI、HaeIII、RsaI、HnaI、及びNlaIIIからなる群から選択されるものである、〔20〕に記載の方法。
〔25〕増幅段階(c)がポリメラーゼ連鎖反応による増幅を伴うものである、〔20〕に記載の方法。
〔26〕DNAサンプルがゲノムDNAサンプルであり、高コンプレキシティー提示物がゲノムの約20-90%を提示する、〔20〕に記載の方法。
〔27〕DNAの高コンプレキシティー提示物の製造方法であって、
(a)DNAのサンプルを少なくとも2種の制限的エンドヌクレアーゼで消化して、少なくとも約50%が100から1000kbの間にある消化DNA断片を提供し、
(b)該消化DNA断片にアダプターを連結し、
(c)該アダプターに相補的なプライマーを使用して該DNA断片を増幅して該DNAの高コンプレキシティー提示物を提供する、
ことを含む、上記方法。
〔28〕DNAサンプルがゲノムDNAサンプルであり、高コンプレキシティー提示物がゲノムの約20-90%を提示する、〔27〕に記載の方法。
〔29〕サザンブロッティングによる配列コピー数の測定、定量的PCRによる配列コピー数の測定、異型接合性喪失のモニタリング及び染色体スプレッドまたはDNAプローブのパネルへのハイブリダイゼーションを介するゲノム変化のモニタリングからなる群から選択される方法における遺伝子解析のための、高コンプレキシティー提示物の使用。
〔30〕DNAサンプルの保存のために〔20〕から〔27〕のいずれか1項に記載の方法に従って得られる高コンプレキシティー提示物の使用。
〔31〕遺伝子コピー数の変異、遺伝子発現レベルの変異、または提示物の再現性を検出するための、〔17〕7に記載の方法の使用。
〔32〕遺伝子コピー数の変異、遺伝子発現レベルの変異、または提示物の再現性を検出するための、〔17〕に記載の方法の使用。
〔33〕遺伝子コピー数の変異、遺伝子発現レベルの変異、または提示物の再現性を検出するための、〔18〕に記載の方法の使用。
〔34〕遺伝子コピー数の変異、遺伝子発現レベルの変異、異型接合性の喪失、遺伝子多型の検出、または起源の決定もしくはサンプルヌクレオチドのメガクローニングベクターライブラリーの特定のメンバーへのマッピングのための、〔19〕に記載の方法の使用。
さらに、本発明を特定すると、以下の通りである。
〔1〕(a)固相支持体であって、その上に規定された座標点のアドレスを有する支持体、及び
(b)1000個の予め定められたユニークな核酸プローブであって、各プローブが、
i)異なるものであり、
ii)固相支持体上に規定された座標点のアドレスに固定され、
iii)ゲノムの同一提示物のメンバーの配列と完全に相補的な配列中に2000個以下のヌクレオチドを有し、かつゲノムにマッピングされている、上記プローブ
を含み、
規定された座標点のアドレスにおけるプローブの同一性が既知である、DNAアレイ。
〔2〕(a)固相支持体であって、その上に規定された座標点のアドレスを有する支持体、及び
(b)1000個の予め定められたユニークな核酸プローブであって、各プローブが、
i)異なるものであり、
ii)固相支持体上に規定された座標点のアドレスに固定され、
iii)ゲノムの提示物を得るためにゲノムDNAを制限的エンドヌクレアーゼで消化し、消化DNA断片にアダプターを連結し、アダプターに相補的なプライマーを用いてDNA断片をポリメラーゼ連鎖反応(PCR)で増幅することによって得られ得る、ゲノムの同一提示物のメンバーのヌクレオチド配列を有し、および
iii)ゲノムにマッピングされた核酸配列を有する、上記プローブ
を含み、
規定された座標点のアドレスにおけるプローブの同一性が既知である、DNAアレイ。
〔3〕以下の工程:
(a)ゲノムDNAの提示物を得る工程、ここで、提示物は、ゲノムDNAを制限的エンドヌクレアーゼで消化して消化DNA断片を得ること、消化DNA断片にアダプターを連結すること、アダプターに相補的なプライマーを用いて、連結されたDNA断片を増幅することにより得られ得るものであり、
(b)ゲノムDNAの提示物由来の核酸を請求項1または2に記載のマイクロアレイに接触させる工程、
(c)工程(b)でのマイクロアレイの規定された座標点のアドレスにおけるハイブリダイゼーションを検出する工程
を含み、それにより、ゲノムDNAのゲノムコピー数の情報を得る、方法。
〔4〕異なる制限的エンドヌクレアーゼでそれぞれ得られた2以上の連続した提示物を含むDNAの複合提示物を製造する方法。
〔5〕(a)DNAのサンプルを第1の制限的エンドヌクレアーゼで消化し、消化DNA断片を得る工程、
(b)消化DNA断片にアダプターを連結する工程、
(c)アダプターに相補的なプライマーを用いて、工程b)で作製されたDNA断片を増幅し、DNAの第1の提示物を得る工程、
(d)第1の提示物を第2の制限的エンドヌクレアーゼで消化し、消化DNA断片を得る工程であって、第2の制限的エンドヌクレアーゼが第1の制限的エンドヌクレアーゼと異なる、上記工程、および
(e)工程(c)で用いたプライマーと同じプライマーを用いて、工程(d)のDNA断片を増幅し、DNAの複合提示物を得る工程、
を含む、〔4〕に記載の方法。
〔6〕(a)DNAのサンプルを第1の制限的エンドヌクレアーゼで消化し、消化DNA断片を得る工程、
(b)消化DNA断片に第1のアダプターを連結する工程、
(c)第1のアダプターに相補的なプライマーを用いて、工程(b)で作製されたDNA断片を増幅し、DNAの第1の提示物を得る工程、
(d)第1の提示物を第2の制限的エンドヌクレアーゼで消化し、消化DNA断片を得る工程であって、第2の制限的エンドヌクレアーゼが第1の制限的エンドヌクレアーゼと異なる、上記工程、
(e)工程(d)で第2の制限的エンドヌクレアーゼにより作製された消化DNA断片の末端に、第2のアダプターを連結する工程、
(f)工程(c)で作製され、かつ工程(d)で第2の制限的エンドヌクレアーゼにより切断されなかったDNA断片の5’末端に第3のアダプターを連結する工程、および
(g)第2及び第3のアダプターに相補的なプライマーを用いて、工程(e)および(f)のDNA断片を増幅し、DNAの複合提示物を得る工程、
を含む、〔5〕に記載の方法。
〔7〕(a)DNAのサンプルを第1の制限的エンドヌクレアーゼで消化し、消化DNA断片を得る工程、
(b)消化DNA断片にアダプターを連結する工程、
(c)工程(b)で作製されたDNA断片を第2の制限的エンドヌクレアーゼで消化し、2重消化DNA断片を得る工程であって、第2の制限的エンドヌクレアーゼが第1の制限的エンドヌクレアーゼと異なる、上記工程、
(d)アダプターと相補的なプライマーを用いて、2重消化DNA断片を増幅し、DNAの複合提示物を得る工程、
を含む、〔5〕に記載の方法。
〔8〕核酸プローブがオリゴヌクレオチドである、〔1〕または〔2〕に記載のDNAアレイ。
〔9〕ゲノムDNAがメガクローニングベクター由来である、〔1〕または〔2〕に記載のDNAアレイ。
〔10〕DNAが、生検標本、細胞系、検死標本、法医学(forensic)標本または古生物学的(paleoentological)標本から得られるものである、〔1〕または〔2〕に記載のDNAアレイ。
〔11〕核酸プローブが2000ヌクレオチド以下の長さである、〔2〕に記載のDNAアレイ。
〔12〕核酸プローブが、100〜1000ヌクレオチドの長さである、〔1〕または〔2〕に記載のDNAアレイ。
〔13〕プローブが、同じプローブの複数のコピーからなり、1つのアドレスに固定されている、〔1〕または〔2〕に記載のDNAアレイ。
〔14〕プローブが、異なる核酸プローブの混合物からなり、1つのアドレスに固定されている、〔1〕または〔2〕に記載のDNAアレイ。
〔15〕アレイのヌクレオチドのコンプレキシティーが、アドレスあたり1.2kb以下である、〔1〕または〔2〕に記載のDNAアレイ。
〔16〕アレイのヌクレオチドのコンプレキシティーが、アドレスあたり1.2kbを越える、〔1〕または〔2〕に記載のDNAアレイ。
〔17〕アレイが、ゲノムのコンプレキシティーの70%以下のコンプレキシティーを有するゲノムの同一提示物のすべての非反復要素に相補的なプローブを含む、〔1〕または〔2〕に記載のDNAアレイ。
〔18〕アレイが、ゲノムのコンプレキシティーの約2%以下のコンプレキシティーを有するゲノムの同一提示物のすべての非反復要素に相補的なプローブを含む、〔1〕または〔2〕に記載のDNAアレイ。
〔19〕相補的な配列が25塩基よりも長い、〔1〕に記載のDNAアレイ。
〔20〕ゲノムDNAが生物の腫瘍細胞由来である、〔1〕または〔2〕に記載のDNAアレイ。
〔21〕ゲノムDNAが生物の非腫瘍細胞由来である、〔1〕または〔2〕に記載のDNAアレイ。
〔22〕参照するゲノムDNAが同じ生物の非腫瘍細胞由来である、〔1〕または〔2〕に記載のDNAアレイ。
〔23〕提示物が蛍光標識されている、〔3〕または〔4〕に記載の方法。
〔24〕核酸プローブがオリゴヌクレオチドである、〔3〕に記載の方法。
〔25〕ゲノムDNAがメガクローニングベクター由来である、〔3〕〜〔8〕のいずれかに記載の方法。
〔26〕DNAが、生検標本、細胞系、検死標本、法医学(forensic)標本または古生物学的(paleoentological)標本から得られるものである、〔3〕〜〔8〕のいずれかに記載の方法。
〔27〕核酸プローブが2000ヌクレオチド以下の長さである、〔3〕に記載の方法。
〔28〕核酸プローブが、100〜1000ヌクレオチドの長さである、〔25〕に記載の方法。
〔29〕プローブが、同じプローブの複数のコピーからなり、1つのアドレスに固定されている、〔3〕に記載の方法。
〔30〕プローブが、異なる核酸プローブの混合物からなり、1つのアドレスに固定されている、〔3〕に記載の方法。
〔31〕アレイのヌクレオチドのコンプレキシティーが、アドレスあたり1.2kb以下である、〔3〕に記載の方法。
〔32〕アレイのヌクレオチドのコンプレキシティーが、アドレスあたり1.2kbを越える、〔3〕に記載の方法。
〔33〕アレイが、ゲノムのコンプレキシティーの70%以下のコンプレキシティーを有するゲノムの同一提示物のすべての非反復要素に相補的なプローブを含む、〔3〕に記載の方法。
〔34〕アレイが、ゲノムのコンプレキシティーの約2%以下のコンプレキシティーを有するゲノムの同一提示物のすべての非反復要素に相補的なプローブを含む、〔3〕に記載の方法。
〔35〕相補的な配列が25塩基よりも長い、〔3〕または〔4〕に記載の方法。
〔36〕ゲノムDNAが生物の腫瘍細胞由来である、〔3〕または〔4〕に記載の方法。
〔37〕ゲノムDNAが生物の非腫瘍細胞由来である、〔3〕または〔4〕に記載の方法。
本発明は、マイクロアレイ技術における、単純および複合DNA提示物(representation)の使用を提供する。提示物は、コンプレキシティーがより少なくされた、再生産可能なゲノムのサンプリング(sampling)を得るために用いられる。代表的な手順は、制限的エンドヌクレアーゼ分解から開始され、続いて分解されたDNAへのオリゴヌクレオチドのライゲーションを行う。最終的には、これらのオリゴヌクレオチドはPCR等の遺伝子増幅手順のために用いられる。その結果得られる提示物は、アレイプローブおよびハイブリダイズしたサンプルの両方としてマイクロアレイ技術において有用に応用できる。
この他にもコンプレキシティーがより少なくされたゲノムのサンプリングを作成する手順は存在するが、マイクロアレイ技術へは容易には応用できない。2つの最も一般的な方法は全ゲノム増幅(Teleniusら、1992, Genomics, 13, 718-25; Xu, K.,ら、1993, Hum Reprod, 8, 2206-10; Kristjansson, K.,ら、1994, Nat Genet, 6, 19-23; Sun, F.,ら、1995, Nucleic Acid Res, 23, 3034-40; Xiao, Y.,ら、1996, Cytogenet Cell Genet, 75, 57-62)およびInter ALU PCR(Cotter F. E.,ら、1991, Genomics, 9(3):473-80; Cotter F.E., ら、Genomics(1990), 7(2):257-63)である。これらの両方には、著しい不利益がある。
全ゲノム増幅においてはPCR増幅のためのランダムプライマーを使用する。ランダムプライマーを用いるため、ゲノムのランダムなサンプリングという結果となる。より深刻なことには、ランダムプライミングにより、PCR反応ごとに莫大な可変性が生じるが、これはプライマーのテンプレートに対する温度安定性が変化し得るためであり、その結果、制御または標準化することが困難なサンプリングにおける可変性が生じる。
Inter ALU PCRにおいては、aluコンセンサスプライマーを用いて、alu配列間の固有の配列を増幅する。alu配列間にあり、PCRによって増幅が可能である小ささの断片のみがInter ALUサンプリングに存在する。先に記載された方法と同じように、この方法の不利益とはサンプリングがPCR条件(特に温度)に非常に影響されやすいことである。増幅のためのプライマーは内因性の配列にハイブリダイズするという事実により、alu配列内のプライマーと認識サイトとの間のいずれのミスマッチも、提示物の変化を引き起こし得る。増幅中に温度が変動した場合も、別の機会に生成されたときには同じサンプルから著しく異なった提示物が生成され得る。このタイプの提示物がマイクロアレイ実験に用いられた場合は、実験と実験との比較は難しいであろう。ミスマッチによる不十分な増幅に起因するこれらの変化のために、この技術に基づくマイクロアレイの作成は、不可能ではないにしろ困難となっている。
本発明は、以下の発明の詳細な説明、本発明の特定の実施態様の実施例および添付された図面を参照することによってより完全に理解されるであろう。
図1(A-B)は、HCRsのコンプレキシティーを定量するために設計されたPCR反応の結果を示している。パネルAは、PCR反応生成物を分離し可視化されたゲルを示す。PCR反応は、ヒトゲノム中に存在することが知られている配列を示す一揃いの配列タグから無作為に選択されたプローブを用いて実行した。この配列タグは、分類によって得られた(1-14とナンバリングされた)14の腫瘍生検正常(normal)から生成されたHCRsの全てにおいて存在する。Mは、HaeIII消化Φx174マーカーを示す。Gは、陽性対照として使用した、2つの異なったゲノムDNAを示し、-はDNAを含まない反応を示す。パネルBは、ヒトゲノム中に存在することが知られている配列を示す一揃いの配列タグから無作為に選択された6種類のプローブを用いてHCRについて行った反応の生成物を示す。ゲノムDNA(G)、HCR(H)およびDNA非存在条件でこれらの配列タグの存在を試験した。HCRはアッセイされた6種類の配列タグのうち、2種類を含んでいなかったが、それはHCRレーン番号2および5の下の部分にバンドが存在しないことから見て取れる。MはマーカーΦx174 HaeIIIを示している。 図2(A-B)は、数種類の増幅された遺伝子座(各cycD1, c-erB2, c-mycがそれぞれの遺伝子座を表示)に関する、低(LCR)および高(HCR)コンプレキシティー提示物およびゲノムDNA(ゲノム)を用いたコピー数の分析を示す。パネルaは腫瘍細胞系(T)と正常細胞(N)とを比較したサザンブロットである。DpnIIはHCRsを示し、BglIIはLCRsを示す。プローブと印がつけられたレーンは、マーカーとして用いられたフリープローブを示している。ハイブリダイゼーションに用いられたプローブは、それぞれの遺伝子座に特異的であるP1クローンから単離された小BglII断片から誘導させた。図2Bは、高および低コンプレキシティー提示物の増幅量を、そのような提示物をもたらすために用いられたものと同じ制限酵素で切断されたゲノムDNAと比較した上記のサザンブロットの定量を示す。 図3は、欠失マッピングのためのHCRsの使用を示す。7種類の腫瘍細胞系(1-7と命名;ヒトゲノム領域20p11に由来する数種類のプローブに対する欠失パターンが既に公知である)の欠失マッピングが示されている。DpnII HCRs(HCRと表示)の欠失パターンが、DpnII消化したゲノムDNA(ゲノムと表示)と比較されている。 図4は、原発性(primary)腫瘍生検のHCRサザンブロット分析による比較を示している。マッチした2倍体(Dpl)および異数体(Anu)に由来する原発性腫瘍生検HCRs(BBR、CHTN、NSBRに続く番号で表示)を、サザンブロット分析で比較した。ハイブリダイズしたc-mycプローブは、図2において用いられたものと同じであった。 図5はHCRsの定量的PCR分析の結果を示す。分類した原発性腫瘍生検由来の2倍体(Dpl)および異数体(Anu)HCRsをQPCR分析のテンプレートとして用いた。数種類のゲノム領域由来のプローブ(FHIT、p16およびc-erB2)を、数種類のHCRsにおいてコピー数を決定するために用いた。ABI 7700配列検出器から得られたデータはMS Excelで分析し、表示のグラフを作成した。X軸は反応中のサイクル数、Y軸は生成された蛍光を示す。 図6はLOH分析におけるHCRsの使用を示す。表示してあるのは、分類された原発性腫瘍生検由来のHCRsについて行われたLOH分析であり、Dplは2倍体、Anuは異数体を示す。反応において用いられたプライマーは、テトラヌクレオチド反復を含むp53遺伝子座の断片を増幅する。+Genは陽性対照として用いられた正常ゲノムDNAの混合集団を示し、+HCRとはこの混合正常ゲノムDNAから生成されたHCRを示す。-レーンはテンプレートを添加しない反応を示している。 図7は比較ゲノムハイブリダイゼーションにおけるHCRsの使用を示す。表示してあるのは、2種類の異なった細胞系BT474およびMCF7についての、ゲノム(Gen)をHCRと比較した、2つの代表的な染色体拡散(spreads)(Ch1およびCh17)である。拡散の下の線は、標準偏差を越えた差異を示し、異常コピー数を示唆している。
5.1 提示物
本発明のひとつの目的は、マイクロアレイ技術においてDNA提示物の使用を提供することである。かかる使用は、本発明の範囲に該当し、範囲を制限するためのものではないいくつかの実施例を以下に記述する。
DNAの提示物とはDNAのサンプリングであり、例えば、ゲノムもしくは他のDNAを制限的エンドヌクレアーゼで消化して、続いてアダプターを連結させ、アダプターに相補的なプライマーを用いて増幅させて調製したゲノム等である(Lucitoら、1998, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 95:4487-4492,参照により本明細書に組み込むものとする)。一般に200-1200bpの範囲の大きさにある断片のみが良好に増幅され、そのような提示物はゲノムの部分集合である。
提示物は、非常に少量の出発物質(5ngのDNA等)から調製でき、非常に再現性が高い。提示物の再現性はいくつかの文献において示されている(Lisitsynら、1995, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 92:151;およびLucitoら、1998, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 95:4487-4492,どちらも参照により本明細書に組み込むものとする)。
単純または複合提示物を、チップに取り付けるプローブの供給源として、またはチップにハイブリダイズさせる試料として、あるいはアレイにハイブリダイズするプローブが由来するDNAとして使用することは、本発明の範囲内に含まれる。提示物から任意の方法によって、例えば提示物を核酸合成(ニックトランスレーション、ランダムプライマー反応、提示されたDNAからのRNAの転写、オリゴヌクレオチド合成等)のテンプレートとして用いることによって、または提示物を操作すること(提示物のサイズ分画、アレイへの提示物からのゲル精製断片等)によって誘導されたプローブを含むアレイはまた、本発明の範囲内にある。DNAマイクロアレイ技術への、提示物のいくつかの応用を、以下に記述する。
1種以上の代表的生物学的サンプル、およびマイクロアレイを含む少なくとも1つのDNA画分は、同じ種に由来することが好ましい。特定の実施態様においては、1種以上のサンプルがヒト由来であり、マイクロアレイ上のDNAの少なくとも一部がヒト起源である。本発明に従って、任意の種に由来するDNAが使用可能であるが、その種には哺乳類種(ブタ、マウス、ラット、霊長類(ヒト等)、イヌおよびネコが含まれるがこれに限定されない)、魚類種、爬虫類種、植物種および微生物種が含まれる。
5.2 非提示単純または複合プローブアレイにハイブリダイズする提示物
1つの実施態様において、1種以上の生物学的サンプルに由来するDNA提示物は、提示物に由来するものではない要素から構成されるマイクロアレイにハイブリダイズする。マイクロアレイは、単純または複合アレイであっても良い。特定の実施態様においては、1種以上の生物学的サンプルに由来するDNA提示物は、例えば、BAC、YAC、PAC、P1またはコスミド等のメガクローニング(megacloning)ベクターに由来するDNAを含む複合プローブアレイにハイブリダイズする。別の実施態様においては、アレイ中のDNAは、例えばcDNAまたは発現配列タグ(ESTs)から得られ得る発現配列由来のものであっても良い。これらの実施態様においては、アレイ中のDNAは提示物に由来していない。特定の実施態様においては、マイクロアレイにハイブリダイズした1種以上のサンプルはヒトに由来し、マイクロアレイはヒトDNAインサートを含む1種以上のメガクローニングベクターに由来するDNAから構成されている。提示されるサンプルは、いずれのDNA(cDNAまたはゲノムDNA等)に由来するものであっても良く、高もしくは低コンプレキシティー提示物であってもよい。さらなる実施態様においては、2種類の提示用サンプルが用いられ、サンプルは区別して標識され、各々のサンプルのハイブリダイゼーションを独立して定量し、他方のサンプルと比較することを可能としている。区別した標識は、2つの異なった蛍光指示体(Cy5-dCTP、フルオレセイン-dCTP、またはリサミン-5-dCTP等)でなされても良い。区別した標識およびそのように標識されたDNAのマイクロアレイへのハイブリダイゼーションは当業者には公知である(Schenaら、1995, Science, 270:467-470; Schenaら、1996, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 93:10614-19; Schenaら、1996, BioEssays, 18(5):427-31; Shalonら、1996, Genome Research, 6:639-645, 各々は参照により本明細書に組み込むものとする)。
この実施態様は遺伝子コピー数の変化を検出するために有用である。例えば、正常サンプルから採取されたゲノムDNAの提示物、およびヒト腫瘍生検サンプルから採取されたゲノムDNA提示物を、区別して標識し、ヒトゲノムの重要な部分にわたっているBACライブラリーから作成されたマイクロアレイにハイブリダイズさせることができる。マイクロアレイの各々のアドレスに固定されているのは、BACライブラリーの、単一の異なるメンバーのDNAである。腫瘍サンプル由来のハイブリダイゼーションシグナルは検出可能であり、正常サンプル由来のものと比較することができる。ほとんどのアドレスのシグナルは同じであろうが、例えば、腫瘍サンプルがより強い蛍光を有しているアドレスは、そのアドレスのBACインサートDNAに相当する配列が、腫瘍細胞ゲノム中で増幅されていることを示唆するものである。この実施態様はまた、提示されるサンプルがcDNAから誘導された場合には遺伝子発現の度合いの変化を検出するために有用である。この実施態様はまた、同じサンプルに由来する異なった提示物のハイブリダイゼーションパターンを比較することにより、提示物の再現性を評価するために用いられ得る。ハイブリダイゼーションのパターンが類似もしくは同一であることは、提示物に再現性があることを意味する。
5.3 提示された複合プローブアレイへハイブリダイズする試料
第2の実施態様においては、複合プローブアレイDNAおよびハイブリダイズするサンプルDNAの両方が提示物に由来する。5.2節に記載された実施態様との違いは、マイクロアレイが提示物由来の複合プローブで作成されていることである。提示される複合アレイは、各々のアドレスにおいて1種以上の提示物断片に由来するDNA配列を有する。アレイのDNAおよびサンプルDNAのコンプレキシティーが共に減少していることにより、好ましいハイブリダイゼーション動力学および検出の改善が可能となる。好ましくは、サンプルDNAおよびマイクロアレイDNAは、同じように提示される(すなわち、同じ制限酵素で切断され、同じアダプターを連結され、例えばポリメラーゼ連鎖反応により増幅されている)。この実施態様は、同じサンプルに由来する異なった提示物のハイブリダイゼーションパターンを比較することにより、提示物の再現性を評価するために使用できる。ハイブリダイゼーションのパターンが類似もしくは同一であることは、提示物に再現性があることを示唆するものである。
マイクロアレイに固定されるべきDNAがメガクローニングベクター由来である場合に、いつでも用いることができる技術の1つは、提示差解析(representational difference analysis, RDA)である(米国特許第5,436,142号、Lisitsynら、1993, Science, 259:946-951)。RDAは、サブトラクティブDNAハイブリダイゼーション技術で、ベクター特異的配列を除去するために用いられ、実質的にインサートDNAのみが残される。RDAはまた、他の所望ではないいずれかのDNA配列を、アレイに固定されるDNAまたはサンプルDNAから除去するためにも用いられ得る。かかる配列は、反復DNA配列を含んでも良い。
別の実施態様においては、複合プローブアレイDNAは提示物に由来し、ハイブリダイズするサンプルDNAは、提示物に由来するかまたは由来しないいずれかのDNAである。
5.4 提示された単純プローブアレイへハイブリダイズする試料
別の実施態様においては、提示物から作成された単純プローブアレイが、提示物に由来するかまたは由来しないDNAを含むサンプルとハイブリダイズする。
さらに別の実施態様においては、マイクロアレイにハイブリダイズするサンプルDNAは、DNA提示物(ゲノムDNA等)であり、マイクロアレイは、DNA提示物で作成された単純プローブアレイである。提示される単純プローブアレイは、1種の提示物断片に由来するDNAのみを各々のアドレスに有している。このように、各々のアレイの要素は、ゲノムDNAの提示物から誘導された単一のDNA分子の、多数のコピーを含んでいる。
任意のアレイに並べられるプローブは、必要に応じて、いずれの公知のゲノムDNAライブラリーに対してマッピングされていても良い。例えば、直交分割(orthogonal partition)ハイブリダイゼーション法を用いて、ゲノムDNAから誘導されたDNAライブラリーまたはゲノムDNAの提示物を、メガクローニングベクターライブラリーのインサートに対してマッピングすることが可能である。全ゲノムの提示物に由来するプローブのライブラリーは、後にアレイ化(arraying)に使用できるものであるが、これをマッピングすることが可能である。プローブのライブラリーは96ウェルのディッシュの中に移し、PCRによってコレクションを維持し、ロボットにより操作できる。ほとんどのプローブのマップ位置をアレイ化後に決定でき、記録を電子的に保存することができる。ゲノムDNAライブラリーに対してマッピングできないプローブは、必要に応じて、または新規マッピングツールが利用可能になってから、後でマッピングできる。
単純DNAプローブのアレイは、例えば、メガクローニングベクターライブラリーの直交分割ハイブリダイゼーションによってマッピングできる。このことは、以下の非制限的実施例:約1万の要素の、位置的にマッピングされたメガYACライブラリーに対するアレイ化プローブの割り当て、において説明される。この実施例はYACsに対して方向づけられているが、その理由は、秩序あるコレクションが存在するからであり、同じ理論を応用して単純プローブのアレイを他の秩序あるベクターコレクションに対してマッピングすることが可能である。
分割(partition)とは、集合の部分集合への分割であり、集合の全ての要素が1つの部分集合内にあり、かつただ1つの部分集合内にあるようなものである。2つの分割は、任意の2つの部分集合であって、それぞれが各々の分割に由来するものの交差点(intersection)(すなわち共通要素)が、元の集団の一要素のみを含んでいる場合、直交していると称される。元の集団のメンバーが、任意に正方形として配置されると、少なくとも2つの、互いに直交し、この場合は等しい分割が常に存在することが容易に理解される。これらは、列(row)の分割および行(column)の分割として考えることが出来る。互いに直交し等しい第3の分割が存在し、この分割は「梱包(wrapped)」対角線(diagonals)であるが、本実施例においては用いられない。これらの分割は、1つの分割に由来する部分集合の各々が、別の分割に由来する部分集合と、正確に1つの要素において交差するという付加的な性質を有する。ある分割の部分集合の各々が、別の分割の部分集合と単一の要素で交差し、全ての要素は3つの部分集合の交差点である。これらの概念を1万のメンバーのYACライブラリーに当てはめてみると、2つの等しく直交したこのライブラリーの分割を作ることが可能で、各々の分割は、約100のメンバーを夫々有する約100の部分集合を有することが理解されるであろう。他にも多数の、直交する分割の組、特に、より小さな部分集合を多数有する分割を想像することが可能である。
次いで2つの直交する分割に由来する部分集合の提示物とのハイブリダイゼーションを行うことが可能である。プローブが2つの部分集合(各々の分割に由来するもの)とハイブリダイズした場合は、プローブはそれらの交差点に共通に存在する配列を有し、その配列はYACsが重複していなければ、固有のYACであろう。
この実施例中で想定されているもの等の、大きなライブラリー中のYACsは重複しており、また供与されたプローブは2以上のライブラリーのメンバー中に存在し得るので、プローブは、分割の1種以上の部分集合とハイブリダイズし得る。例えば、プローブが2つの重複するYACsにおいて含まれていて、それ故に各々の分割において2つの部分集合とハイブリダイズする場合には、2つの直交する分割を有するハイブリダイゼーションパターンについての2つのあり得る解決、そこにおいて4つの候補YACsがあり得るであろう。YACのマッピング割当の知識は、この曖昧さを解消するために十分である。1対のYACsのみが隣接しているであろう。
3つの重複するYACsに含まれているプローブの場合は、もう少し複雑である。2つの直交分割を有するハイブリダイゼーションパターンに対する、より可能な解法があるからである:6の三つ組(triad)候補が、9のYACs候補から抜き出される。これらの曖昧な場合であっても、YACsの染色体上の配置に関する知識により解決することができる。ランダムに抽出された3つのYACsが全て同じ染色体に由来している確率は、おおよそ、染色体数の逆数(1/23)のほぼ二乗、すなわちおよそ1/500である。プローブを含んでいる可能性のあるYACの、6つの三つ組候補が存在する場合には、真の三つ組のみが同じ染色体に由来するという事態は非常に生じ易い(99%近い確率)。我々がYACsのより詳細なマップ割り当てを考えた場合、解法の正解率は増し、完璧に近づく。ランダムに取り上げられた3つのYACsがすべて近傍にある確率は、ほとんど考えられないくらいに小さい。
この実施態様は、5.2節に記載されているとおり、例えば、癌生検サンプルと正常生検サンプルとの間にある遺伝子コピー数の変化を検出するために有用である。要素がマッピングされた場合には、上記の通り、遺伝子コピー数の変化についての位置情報が集積される。この実施態様は、同じサンプルに由来する異なった提示物のハイブリダイゼーションパターンを比較することによって、提示物の再現性を評価するために使用できる。類似または同一のハイブリダイゼーションパターンが得られたら、提示物は再現性があることを示唆する。
5.5 提示された単純プローブアレイへハイブリダイズした複合提示物
本発明は別の面においては、マイクロアレイにハイブリダイズするサンプルDNAは、DNAの複合提示物またはDNAの複合提示物から誘導されたサンプルDNAであり、マイクロアレイは、5.4節に記述されたような提示される単純プローブアレイである。複合提示物は、2種以上の連続した提示物から得られるものである。その最も単純な型においては、複合提示物は、例えばゲノムDNAの第1の提示物を作成し、続いて第1の提示物から第2の提示物を作成することによって作成される。好ましくは、異なった制限酵素を、各々のサンプル提示物について用いるが、第1のサンプル提示物を調製するために用いた酵素とマイクロアレイ上に固定化された提示物を調製するために用いた酵素は同じである。
以下の非制限的実施例により、AcBおよびAsBと名づけられた2つの実施可能な複合提示物が説明されるが、ここにおいてAおよびBは任意の2種類の制限的エンドヌクレアーゼである。それらは、制限的エンドヌクレアーゼAを用いて作成された第1の提示物から誘導される。第1の提示物は各々の末端にA制限的エンドヌクレアーゼサイトを有する断片からなるが、そのような断片をAA断片と称する。各々の末端にB制限的エンドヌクレアーゼサイトを有する断片をBB断片と称し、また一方の末端にA制限的ヌクレアーゼサイトを有し、他方の末端にB制限的ヌクレアーゼサイトを有する断片をAB断片と称する。AcB提示物とは、B制限的ヌクレアーゼサイトを有する単純A提示物のAA断片から誘導されたAB断片及びBB断片からなる。AcB提示物は、B制限的エンドヌクレアーゼサイトを含まない単純A提示物のAA断片からなる。
AsBは、第1の提示物を制限的エンドヌクレアーゼAにより作成し、その結果得られたAA断片を、続いて制限的エンドヌクレアーゼBにより分解し、第1の提示物において用いられたものと同じプライマーで増幅して第2の提示物を作成することによって作成される。第1の提示物由来のAA断片であって内部Bサイトを有するものはB制限的エンドヌクレアーゼによって切断されて増幅されないだろうが、内部Bサイトを有していないAA断片は増幅されるであろう。そして、最終的な提示物はAA断片であって内部Bサイトを有さないもののみからなる。
AcBと名づけられた第2の提示物はまた、第1の単純A提示物、すなわち制限的エンドヌクレアーゼAにより作成された提示物から作成される。AcBは、AsBのように、第1の提示物を制限的エンドヌクレアーゼAにより作成し、その結果得られたAA断片を、続いて制限的エンドヌクレアーゼBにより分解することにより第2の提示物を作成することによって作成される。この分解により、3つの型の断片が生じる:1)AA断片、すなわち内部BサイトのないAA断片、2)AB断片、すなわち一方の末端にAサイトを、他方の末端にBサイトを有し、1以上の内部Bサイトを有するAA断片から誘導した断片、3)BB断片、すなわち1より多くの内部Bサイトを有するAA断片から誘導したもの。AcBとAsB提示物との間の違いは、第2の提示物の増幅段階にある。AcB提示物においては、オリゴヌクレオチドアダプター(「Bアダプター」)を、5'末端および3'末端の両方のBサイトに連結する。次に、Aアダプターを5'末端のみに連結させる。このアダプターは第1の単純提示物に用いられたアダプターとは異なった配列を有しており、遥かに長く、40ヌクレオチドのオーダーにある。連結させ、そして連結しなかったアダプターを取り除いた後、これらの分子の3'末端から伸長する能力をジデオキシ伸長法により除去する。最後に、AおよびBアダプターに対するプライマーを添加し、3'エキソヌクレアーゼ活性のないポリメラーゼを用いたPCRによって指数的に生産物を増幅させる。AB及びBB断片のみが増幅に非常に好適となっている。
AcBのための手順は必要以上に複雑であるように見えるかもしれない。Aアダプターを5'末端のみに添加する理由は、Aを両端に持つ鎖からの指数的増幅能力を除去するためである。この段階を含めて、いくらかのAA断片はPCR 段階において再度アニーリングし、それらの3'末端を鎖伸長段階において充填し、続いてAオリゴヌクレオチドプライマーから増幅され、それによって提示物を害するであろう。従って、さらに2つの特徴を追加する。新規Aアダプターは長い(40以上のヌクレオチド)。形成し、それらの5'末端および3'末端において自己プライミングによってアダプター付けされたAA分子は、僅かに増殖されるのみとなるであろう。なぜなら、アダプターの長さによって、熱安定性である上記の「フライパンの柄(pan handles)」を形成しうるからである。最後に、全てのAサイトの3’末端は、ジデオキシ伸長によってブロックされ、再アニーリング後の自己プライミング、およびそれに続く増幅可能なAA断片の形成の可能性が減少されている。
AcBおよびAsB提示物は、内部多型性制限的エンドヌクレアーゼサイトの検出および、これらの多型性サイトの異型接合状態および同型接合状態を検出するために有用である。単純A提示物(すなわち、AcBまたはAsB複合提示物の第1の提示物)から作成された単純DNAプローブチップが、区別して標識したAcB(この例では赤色で標識)提示物、及びAsB(この例では緑色で標識)提示物とハイブリダイズさせると、同型接合状態、異型接合状態の両方が容易に検出できる:赤色の比率が高いと、両方の対立遺伝子がBサイトを有する;緑色の比率が高いと、両方の対立遺伝子がBサイトを有していない;ほとんど同じ比率(黄色)では、異型接合状態であることを示す。好ましい実施態様においては、第2の制限的エンドヌクレアーゼ、すなわちB制限的ヌクレアーゼは、CpGを認識するTaqI等のものである。かかる制限的エンドヌクレアーゼは特に有用であるが、それは配列CpGが特に多型性であるからである。
5.6 提示物の調製
簡潔にいうと、提示物はDNAを制限的エンドヌクレアーゼで消化し、次いでアダプターを連結し、続いてアダプターに相補的なプライマーを用いて増幅することによって生成される。DNAはいずれの供給源に由来するものであっても良い。この方法はいかなるゲノムに対しても応用できる。正常細胞および疾患性細胞(例えば正常組織と癌組織、好ましくは同じ個体から)の両方から、DNAを同時に単離することが望ましいことがよくある。サンプルの並列処理により、2つの異なった細胞供給源から生成された提示物をより厳密に比較することが可能となる。
DNAは従来の手段により単離され、続いて、制限酵素エンドヌクレアーゼを使用する等の任意の手段により、実質的に完全分解され、所定の配列で切断されるという結果が得られる。
提示物のコンプレキシティーはいくつかの方法で調整できる。高コンプレキシティー提示物(HCRs)は、対象のDNAをDpnII等の比較的高頻度で切断する制限酵素で分解することにより得られる。この結果、断片の大部分は200-1200bpのものとなり、それ故に増幅可能である。DpnII消化物から誘導された提示物は、全ゲノムの約70%のコンプレキシティーを有する、すなわちこのような提示物にはゲノムの約70%が存在している。
低コンプレキシティー提示物(LCRs)は、対象のDNAをBamHIやBglII等の比較的低頻度で切断する制限酵素で分解することにより得られる。この結果断片の少数のみが200-1200bpとなる。BamHIやBglII消化物から誘導された提示物は、全ゲノムの約2%のコンプレキシティーを有する。
DNAのメチル化によって阻害される制限酵素を、消化段階において選択しても良い。かかる酵素を使用することにより、比較されたサンプル間にあるメチル化の差を明らかにすることができる。このことは、例えば、正常細胞といくつかの癌細胞との間には、メチル化に差があることが示唆されているため、有用であり得る。
提示物のコンプレキシティーはまた、増幅に用いるアダプターによっても調整され得る。同じアダプターが分解された断片の両端で用いられているため、1本鎖がフライパンの柄(panhandles)を形成する(Lukyanov, G. A. ら、1995, Anal. Biochem. 229:198-202、参照により本明細書に組み込むものとする)。フライパンの柄の形成は、増幅に必要な段階であるPCRプライマーのアニーリングと競合するため、PCRによる増幅は阻害される。より短い断片は、より長い断片と比較して、アダプターの近接によって、断片の末端に連結された5'および3'アダプターの局所濃度がより高くなるために、優先的に阻害される。29ヌクレオチドのフライパンの柄を形成するアダプターでは、200-1200bpの大きさの範囲にある断片を増幅することが可能である。24ヌクレオチドのフライパンの柄を形成するより短いアダプターは、いくつかのより小さい断片に対する阻害をなくし(release)、その結果より小さなPCR増幅産物にとって好適なものとなり、それ故にコンプレキシティーが変化した提示物が得られる。
DNAはいずれの供給源に由来するものであっても良い。提示物が作成され得る供給源には、乳癌生検および前立腺癌生検を含む腫瘍生検サンプル、正常組織サンプル、腫瘍細胞系、正常細胞系、固定標本として貯蔵された細胞、検死サンプル、法医学サンプル、古生物(paleo)DNAサンプル、微小切開組織サンプル、単離核、および分画細胞または組織サンプルが含まれるが、これらに限定されるわけではない。
生成された提示物のコンプレキシティーの度合いは、切断頻度に関連しており、特に、より切断頻度が高い酵素ではより高いコンプレキシティーの提示物という結果となる。このように、所望のコンプレキシティーの提示物を、好適な酵素を選択することにより生成することができる。選択は、当分野での手引き(様々な酵素の切断頻度、および、それらの酵素によって生成された平均断片長に関する容易に入手できる情報を含む)によってなされ得る(Bishopら、1983, A Model For Restriction Fragment Length Distributions, Am. J. Hum. Genet. 35:795-815)。高度に分解されたDNAから提示物を調製するには、例えばDpnII等の制限酵素より相対分解頻度の高い制限的エンドヌクレアーゼを使用することが好ましい。
DNAを分解した後、オリゴヌクレオチドアダプターをDNA鎖のそれぞれの末端に連結する。アダプターは通常、両端において非平滑(staggered)であり、一方の鎖が他方の鎖よりも長いので、それ故に消化断片に連結されていない端部の小さな領域が一本鎖である。制限酵素による分解によって非平滑末端が残された場合は、アダプターは断片の非平滑末端に相補的な末端を有している。
DNAは続いて、増幅反応(例えば、プライマーを添加し、通常少なくとも15サイクルで一般に約35サイクルを越えないポリメラーゼ連鎖反応を使用する)によって増幅される。プライマーはアダプターに対して相補的である。アダプターは続いて、任意の従来の手段を用いて、制限的エンドヌクレアーゼ分解および分離により取り除かれる。
2つの異なった供給源からの提示物を比較するためには、HCRsは同じ量の出発物質から調製され、ゲノムDNAは同じ方法で抽出され、PCRは同時に、同じサーマルサイクラーの中で、同じ条件下でなされることが好ましい。
5.7 マイクロアレイの調製
本発明において使用するためのマイクロアレイは、この分野で公知であり、プローブが特異的に(好ましくは既知の位置に)ハイブリダイズまたは結合することが可能な表面からなる。それぞれのプローブは、好ましくは異なった核酸配列を有する。固相表面上における各々のプローブの位置は、好ましくは既知である。1つの実施態様においては、マイクロアレイは高密度アレイであり、好ましくは1cm2あたり約60種以上の異なったプローブの密度を有するものである。
マイクロアレイを製造するために、DNAプローブを固相支持体に取り付けるが、この固相支持体はガラス、プラスチック(ポリプロピレン、ナイロン等)、ポリアクリルアミド、ニトロセルロース、またはその他の材料であっても良く、多孔性であっても非多孔性であっても良い。核酸を表面に取り付けるための好ましい方法は、ガラス表面上に印刷することによるものであり、Schena ら、1995, Science 270:467-470において概説されている。DeRisi ら、1996, Nature Genetics 14:457-460;Shalon ら、1996, Genome Res. 6:639-645;およびSchena ら、1995, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93:10539-11286もまた参照されたい。
第2の好ましいマイクロアレイの製造方法は、高密度オリゴヌクレオチドアレイを作成することによるものである。表面上の規定された位置に、規定された配列に相補的である数千ものオリゴヌクレオチドを含有するアレイを、in situ合成のためのフォトリソグラフ技術(Fodor ら、1991, Light-directed spatially addressable parallel chemical synthesis, Science 251:767-773; Pease ら、1994, Light-directed oligonucleotide arrays for rapid DNA sequence analysis, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91:5022-5026; Lockhart ら、1996, Expression monitoring by hybridization to high-density oligonucleotide arrays, Nature Biotech 14:1675; 米国特許第5,578,832号、同第5,556,752号、同第5,510,270号を参照されたい。参照によりこれらは全体として全ての目的のために本明細書に組み入れられている。)、または規定されたオリゴヌクレオチドを高速合成および堆積させる他の方法(Blanchard ら、1996, High-Density Oligonucleotide arrays, Biosensors & Bioelectronics 11:687-90)を用いて作成するための技術は公知である。これらの方法が用いられた場合、既知の配列のオリゴヌクレオチド(例えば20塩基)が、誘導体化されたガラススライド等の表面上に直接合成される。
マイクロアレイを作成するための他の方法、例えばマスキング(Maskos およびSouthern, 1992, Nuc. Acids. Res. 20:1679-1684)による方法を用いても良い。原則としていかなる種類のアレイ、例えば、ナイロンハイブリダイゼーション膜上のドットブロット(Sambrookら、Molecular Cloning ? A Laboratory Manual(2nd Ed.), Vol. 1-3, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, New York, 1989を参照されたい。参照によりこれらは全体として全ての目的のために本明細書に組み入れられている。)が用いられても良いが、当業者には、ハイブリダイゼーション容積が少なくなるので非常に小さいアレイが好ましいということが認識されている。予め合成したプローブを、この分野で公知の方法により固相に取り付けることもできる。
5.8 サンプルヌクレオチドの調製
マイクロアレイへハイブリダイズさせるべきサンプルは、当業者に公知の任意の方法で標識化され得る。サンプルは任意の供給源に由来しても良く、供給源には提示物、cDNA、RNAまたはゲノムDNAが含まれる。特定の実施態様においては、サンプルは、例えばランダムプライマー標識またはニックトランスレーション等により、蛍光プローブで標識される。サンプルが提示物の場合は、提示物を作成する際のPCR段階の間に、標識化ヌクレオチドを反応中に取り込むことにより標識されても良い。蛍光標識は、例えば、リサミン(lissamine)コンジュゲートヌクレオチドまたはフルオレセインコンジュゲートヌクレオチドアナログであっても良い。サンプルヌクレオチドは、好ましくは、標識後に限外濾過により濃縮されている。
特定の実施態様においては、2つの異なって標識したサンプル(一方がリサミン、他方がフルオレセインで標識された等)が用いられる。
5.9 マイクロアレイへのハイブリダイゼーション
サンプル提示物のアレイへのハイブリダイゼーションには、提示物、または提示物から任意の方法、例えば提示物を核酸合成の鋳型として用いること(ニックトランスレーション、ランダムプライマー反応、提示されたDNAからのRNAの転写等)によって、または提示物を操作すること(提示物のサイズ分画、アレイへの提示物からのゲル精製断片等)によって誘導されたヌクレオチドのハイブリダイゼーションが含まれる。
核酸ハイブリダイゼーションおよび洗浄条件は、サンプルDNAがアレイの相補的なDNA、好ましくはその相補的なDNAが位置している特定のアレイの部位に特異的に結合するかまたは特異的にハイブリダイズするように選択される。すなわち、サンプルDNAが相補的DNAプローブ配列を有する配列アレイの部位とハイブリダイズし、2本鎖になり、または結合するが、非相補的なDNA配列を有する部位には実質的にハイブリダイズしないように選択される。本明細書においては、一方のポリヌクレオチド配列は、短いほうが25塩基以下の場合は、標準的塩基対規則を用いてミスマッチがない場合、またポリヌクレオチドの短いほうが25塩基より長い場合には、5%以下のミスマッチがある場合、他方に相補的であると考えられる。好ましくは、ポリヌクレオチドは完全に相補的である(ミスマッチが存在しない)。特定のハイブリダイゼーション条件においては特異的ハイブリダイゼーションという結果がえられることは、陰性対照を含むハイブリダイゼーションアッセイを行うことにより容易に実証可能である(Shalonら、前出、およびCheeら、1996, Science 274:610-614等を参照されたい)。
取り付けられた2本鎖プローブDNAを含むアレイは、好ましくは、サンプルDNAと接触させる前に1本鎖DNAとするために変性条件にかけられる。1本鎖プローブDNA(例えば合成オリゴデオキシリボ核酸)を含むアレイは、サンプルDNAと接触させる前に変性させる必要がない。
最適のハイブリダイゼーション条件はプローブおよびサンプル核酸の長さ(オリゴマー対200塩基以上のポリヌクレオチド等)やタイプ(RNAやDNA等)によって決まる。核酸の特定の(すなわちストリンジェント)ハイブリダイゼーション条件のための一般的パラメーターは、前出のSambrookら、およびAusubelら、1987, Current Protocols in Molecular Biology, Greene Publishing and Wiley-Interscience, New Yorkにおいて記述されている。Schena らのcDNAマイクロアレイを用いる場合は、典型的なハイブリダイゼーション条件としては、5xSSCプラス0.2% SDS中で、65℃で4時間ハイブリダイゼーションを行った後、続いて25℃で低ストリンジェンシー洗浄バッファー(1xSSCプラス0.2% SDS)中での洗浄を行い、続いて高ストリンジェンシー洗浄バッファー(0.1xSSC プラス0.2% SDS)中で25℃で10分間処理するというものである(Shenaら、1996, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 93:10614)。有用なハイブリダイゼーション条件はまた、Tijessen, 1993, Hybridization With Nucleic Acid Probes, Elsevier Science Publishers B. V. およびKricka, 1992, Nonisotopic DNA Probe Techniques, Academic Press San Diego, CA等においても供されている。
5.10. ハイブリダイゼーションの検出
アレイへのハイブリダイゼーションは当業者に公知であるいずれの方法によって検出しても良い。特定の実施態様においては、蛍光によって標識されたサンプルヌクレオチドのハイブリダイゼーションをレーザースキャナーによって検出する。2種類の異なった蛍光標識を用いた場合には、スキャナーは、好ましくは1種以上の波長(それぞれの蛍光標識に相当するもの)を(好ましくは同時もしくはほぼ同時に)検出可能であるものである。
5.11. 高コンプレキシティー提示物の製造
簡潔に述べると、高コンプレキシティー提示物(HCR)を、DNAの制限エンドヌクレアーゼ消化、それに続くアダプターの連結、次いでアダプターに相補的なプライマーを用いた増幅を行うことによって、製造する。DNAは、いずれの供給源に由来するものであってもよい。この方法は、任意のゲノムに適用可能である。多くの場合、例えば、正常組織と癌性組織の両方、好ましくは同じ個体に由来する正常細胞と疾患細胞の両方からDNAを同時に単離することが有利である。サンプルの並列処理を行えば、細胞の2つの異なる供給源から製造した2つのHCRをより正確に比較することができる。
DNAは、任意の簡便な方法により単離し、次に、所定の配列での切断頻度が高くなるような任意の手段により、例えば、制限酵素エンドヌクレアーゼを使用して、実質的に完全に消化させる。
1実施形態では、「相対切断頻度の高い制限エンドヌクレアーゼ」を使用する。本明細書中で使用する場合、「相対切断頻度の高い制限エンドヌクレアーゼ」という用語は、4個以下のヌクレオチドのコンセンサス配列を有し平滑末端または付着末端を提供しうる制限エンドヌクレアーゼを意味するものとする。「相対切断頻度の高い制限エンドヌクレアーゼ」としては、例えば、DpnII、Tsp509I、MboI、Sau3A1、MaeII、MspI、HpaII、BfaI、HinPI、Csp61、TaqI、MseI、AluI、BstUI、DpnI、HaeIII、RsaI、HnaI、およびNlaIIIが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
他の実施形態では、少なくとも2個の制限酵素を同時にまたは連続して使用して所望の頻度でDNAを切断する。使用する酵素の組合せは、消化により産生される断片の少なくとも約50%が100〜1000個の長さのヌクレオチドとなるように選択しなければならない。当業者の技量をもってすれば、このような組合せを選択することは可能である。(Bishop,ら, 1983, Am. J. Hum. Genet. 35:795-815、参照により本明細書に組み入れる)。
DNAのメチル化によって阻害される制限酵素を消化工程用に選択することができる。このような酵素を使用すると、比較されるサンプル間のメチル化の差異を明らかにすることができる。これが有用であると考えられるのは、例えば、正常細胞といくつかの癌性細胞との間にはメチル化に差異があるとの提案がなされているからである。
先に詳述したように、提示物のコンプレキシティーの程度は、切断の頻度に関連付けられ、特に、切断頻度の高い酵素ほど、コンプレキシティーの高い提示物を生成するであろう。従って、適切な酵素を選択することにより、所望のコンプレキシティーの提示物を製造することができる。かなり分解されたDNAからHCRを調製するためには、例えばDpnIIのような制限酵素よりも比較的高頻度で開裂を起こす制限エンドヌクレアーゼを使用することが好ましいと考えられる。
DNAを消化させた後、オリゴヌクレオチドアダプターをDNAの各鎖の末端に連結させる。アダプターは、通常、両端がずれており、一方の鎖が他方の鎖よりも長い。従って、消化断片に連結されていない末端の小領域は、1本鎖である。制限酵素による消化で付着末端が残る場合、アダプターは、断片の付着末端に相補的な末端を有することになるだろう。
次に、増幅反応により、DNAの増幅を行う。例えば、プライマーを添加してポリメラーゼ連鎖反応を行う。この連鎖反応は、通常、少なくとも15サイクル、一般に、約35サイクル以下で行われる。プライマーは、アダプターと相補的なものであろう。次に、任意の簡便な方法を用いて制限エンドヌクレアーゼ消化および分離を行うことにより、アダプターを除去する。
2つの異なる供給源に由来するHCRを比較するために、同量の出発物質からHCRを調製し、同じ方法でゲノムDNAを抽出し、同じ熱サイクラー中で同じ条件下でかつ同時にPCRを行うことが好ましい。
5.12. 高コンプレキシティー提示物の使用
HCRは、特に、遺伝子コピー数の決定、欠失地図作成、異型接合性の喪失(LOH)、および比較ゲノムハイブリダイゼーション(CGH)に有用である。また、先に記載したように、HCRは、マイクロアレイに有用である。HCRはまた、後で分析を行うためにDNAを「不死化」および保管する手段として一般に有用である。
5.12.1. DNAの保管
再入手不可能な供給源のDNAに由来するHCRを産生し保存することにより、もとの供給源に由来するDNAの保管可能な提示物を作成することができる。次に、量の限定されたもとの材料の代わりにHCRに対して更なる分析を行うことができる。
5.12.2.保存されたサンプルに由来するHCR
固定されパラフィン包埋されて保管された生検材料である正常および腫瘍組織からHCRを調製することができる。こうすることにより、これらのサンプルの有用性は大幅に増大するであろう。役立つ量のDNAを得るには、新しいサンプルの場合と比較して、PCRのラウンド数は、通常、より多く必要となる。保存サンプルから増幅されるDNAは、新しい供給源から抽出されたDNAから調製されるHCRよりも、通常、サイズ分布は小さい。対で保存されたサンプルから調製されるHCRは互いに類似しているため、この方法は有用であることが示唆される。
5.12.3.遺伝子コピー数の測定による遺伝子増幅または欠損の決定
ゲノムには、しばしば、遺伝子増幅により配列の余分のコピーが含まれるか、または遺伝子が欠失した場合の欠失配列が含まれる。これは、遺伝子の一方の対立遺伝子が失われた場合の異型接合性の喪失もしくは両方の対立遺伝子が失われた場合の同型接合性の喪失として知られている。疾患細胞と正常細胞に由来するHCRのサザンブロットを比較することにより、正常細胞中と比例して疾患細胞中でプローブ(例えば、癌遺伝子の腫瘍サプレッサーに対するプローブ)に対応する遺伝子が増幅されているかまたは喪失しているかを明らかにすることができる。
多型性が原因で、HCRの内容にいくらかの変動を生じるであろう。例えば、個体中の所定の配列が、大きな断片と小さな断片に生じる2対立遺伝子性DpnII断片に含まれ、異型接合性の喪失により小さな断片が腫瘍中で失われている場合、腫瘍に由来するHCRは、対象の配列が欠失した形で現れるであろう。なぜなら、1) 大きな断片はPCRによって効率的に増幅されず、ライブラリー中に現れないと考えられるため、および2) 小さな断片は、LOHが原因で出発物質中に存在しないからである。これはそのような多型性の配列の十分数が公知である場合、異型接合性の喪失の分析は高感度の方法として用いることができる。
5.12.4. HCRを用いた比較ゲノムハイブリダイゼーション
比較ゲノムハイブリダイゼーション(CGH)は、腫瘍における全体的なゲノム変化を分析するための強力なツールである。(Thomspon, C.T. および Gray, J.W., 1993, J. Cell. Biochem. Suppl. 17G:139-143, Kallioniemi, O.P.ら, 1993, Semin. Cancer Biol. 4(1):41-46) CGHでは、試験サンプルに由来するDNAを標識し、異なる蛍光体で標識された正常なDNAと混合する。このプローブ混合物を、正常中期スプレッドまたは他の比較標準にハイブリダイズさせる。試験サンプルの蛍光標識されたゲノム全部を使用して正常中期染色体を染色させるので、正常染色体に沿った各位置の蛍光の強度は、そこに結合する遺伝子配列のコピー数に比例する。その結果として、ハイブリダイズされた試験DNA対正常DNAとの蛍光比を測定する。染色体全体の増加および減少、または特定の染色体上の挿入および欠失を調べることができる。
HCRを蛍光標識し、それをCGHプロトコルで使用することにより、HCRを用いてCGHを行うことができる。
6.1. 提示物の製造
材料
制限エンドヌクレアーゼおよびT4リガーゼは、New England Biolabs, Inc.から入手したものであった。Ampli Tagは、Perkin Elmer Inc.から入手したものであった。オリゴアダプターRBgl24 (5'-AGCACTCTCCAGCCTCTCACCGCA-3')およびRBgl12 (5'-GATCTGCGGTGA-3')は、BioSynthesisで合成されたものであった。DNTPは、Pharmaciaから入手した。使用した細胞系は、ATCCを介して入手し、これを培養して増殖させ、そこからDNAを単離した。
提示物の産生
供給業者の指示に従って、所望の制限エンドヌクレアーゼ(高コンプレキシティー提示物を産生するためにDpnIIを、低コンプレキシティー提示物を産生するためにBglIIを用いた)によって5〜10ngのゲノムDNAを消化させた。フェノール抽出および沈殿により消化物を精製した。消化させたDNAをアダプターRBgl24およびRBgll2に連結させた。連結混合物は、消化されたゲノムDNA、1×反応バッファー(供給業者から入手したもの)、444pmolの各アダプターに水を加えて体積30ulにしたものであった。反応液を55℃にし、次いで温度を15℃まで徐々に低下させた。反応混合物が15℃に達した後、400単位のT4 DNAリガーゼを添加し、15℃で12〜18時間にわたり反応混合物をインキュベートした。連結された物質を2つのPCR管に分け、PCRにより増幅した。PCR反応液には、連結された物質、1×PCRバッファー(335 MM Tris-HCl, pH8.8, 20mM MgCl2, 80 mM(NH4)2SO4, 50 mM β-メルカプトエタノール、0.5mg/mlウシ血清アルブミン)、0.32mM dNTP、0.6mMのRBg124アダプターが含まれていた。また、鉱油を上層に配置した。72℃に予備加熱された熱サイクラー中に反応液を入れ、次いで、15単位のAmpliTaqを管に添加した。72℃で5分間保持するように熱サイクラーを設定し、次に、95℃で1分間、72℃で3分間を20サイクル繰り返した。この後、72℃で10分間の処理を行った。フェノール-クロロホルム処理およびそれに続く沈殿処理により反応液を精製した。
6.2. HCRのコンプレキシティーの分析
本発明者らは最初に、DpnII HCRの再現性およびコンプレキシティーを試験した。本発明者らは、14種の異なるHCRを分析した。これらのHCRはそれぞれ、フローサイトメトリーによって腫瘍生検標本から分離された2倍体核より調製された5ngのDNAから得られ、25ラウンドの増幅処理にかけられたものであった。最初のサンプリングでは、配列のタグ部位(STS)を検出するようにPCRプライマーの対をデザインした。STSはゲノム中に存在することが知られている配列であるが、その特定の機能についてはまったく明らかにされていない。本発明者らは、DpnIIによって開裂されないSTSを選び、全ゲノムDNA対照から単一のバンドを増幅させるプライマー対を使用した。これらの25対のうちの18対(72%)では、各HCRから同じ分子量断片を増幅することができたが、7対では、いずれのHCRからの増幅も概してうまく行かなかった(代表的データとして図1を参照されたい)。本発明者らの得た結果から、DpnTI HCRには、同じエレメント、またゲノムの約70%が再現性よく含まれることが示唆された。
本発明者らは、PTEN腫瘍抑制遺伝子をコードする遺伝子座から誘導されたプライマー対を用いて同様の試験を行った。われわれは、この遺伝子座に対する完全なヌクレオチド配列を取得済みであった。こうして、本発明者らは、既知のサイズのDpnII断片から誘導されたプライマーを使用することができた。DpnII断片をランダムに選び、それぞれに対してPCRプライマー対をデザインした。22対は、対照ゲノムDNAからPCRにより単一の断片を増幅した。14個のHCRのパネルに対して、これらの対の試験を行った。表1には、プローブの誘導に使用したDpnII断片のサイズが列挙されている。
Figure 2009232865
HCR中のPTEN断片。断片サイズと記された列の値の最も小さなものから始めてサイズの順に断片を配置した。また、断片と記された列に、参照用として断片の番号を示した。有無と記された列には、PTEN領域に由来する各断片に関してそれがHCR中に存在するかを示す結果の詳細が示されている。記号+は存在することを示し、-は存在しないことを示す。
20対では、すべてのHCRから予想通りの断片が増幅されたが、2対では、いずれからの増幅もうまく行かなかった。HCR中に存在しなかった断片は、最大のものが3916bpであり、最小のものが97bpであった。16,039 bpはHCP中に含まれ、4013bpは含まれなかった。従って、断片をランダムに選択したと仮定すれば、HCPにはこの領域の約75%が含まれていたことになる。
HCPの調製時、DpnII開裂がほぼ完全に行われたとすれば、増幅される配列がDpnII部位をもつときには、PCRプライマー対は、HCRからの増幅を容易に行えないはずである。この点を調べるために、単一の内部DpII部位を含有する単一の断片を増幅するPTEN遺伝子座に由来する5つのプライマー対を選んだ。5つの対は、ゲノムDNA対照に由来する断片を増幅したが、14個のHCRに由来する断片を検出できる程度に増幅しなかった。
同じように処理されたサンプルから並列的に調製されたHCRは、かなり再現性がよく、しかもヒトゲノムの約70%を表すと結論付けられる。
6.3. HCR中の遺伝子コピー数の測定
多くの場合、腫瘍ゲノムには、遺伝子増幅により配列の余分のコピーが含まれるか、または遺伝子が欠失する場合、欠失配列が含まれる。遺伝子コピー数の測定に提示物を利用することが有効であるかを調べるために、最初に、ゲノムDNAのサザンブロットとHCRおよびLCRのブロットとの比較を行った。この目的のために、本発明者らは、サイクリンD1 (MDA-MB-415)もしくはc-erB2 (BT474)もしくはc-myc (SKBr3)で増幅させた腫瘍細胞系由来のまたはヒト胎盤由来のゲノムDNAを調製した。DpnIIおよびBg1IIを用いて、それぞれ、細胞系または胎盤のDNAからHCRおよびLCRを作製した。プローブとして、本発明者らは、所定の遺伝子座に由来するインサートを含有するP1からクローン化した小さなBg1II断片を使用した。図2のパネルAに示されているブロットは、リン光イメージングにより定量化したものである。充填量の差異を規格化するために、ブロットを切り取って、単一コピー配列プローブを用いて、再度、ハイブリダイゼーションを行った。腫瘍体および正常体から得られたシグナルの規格化した比は、図2のパネルBに列挙されている。ゲノムDNAのブロットから決定した場合と同様に、提示物のブロットから同じ相対的コピー数(腫瘍体対正常体)が求められた。このことは、類似の出発物質から並列的に調製した場合、高コンプレキシティーまたは低コンプレキシティー提示物の調製時、これらのプローブに関して、相対的コピー数に有意な変動はなかったことを示唆するものである。すなわち、腫瘍体中対正常標準体中の遺伝子「X」の比と、腫瘍体中対同じ正常標準体中の遺伝子「Y」の比との割合は、ゲノム、LCR、およびHCRのDNAについて一定である。
欠失地図作成に対するHCRの有効性を探るために、本発明者らは、20p11遺伝子座における欠失を調べるべく、腫瘍細胞系に由来するゲノムおよびHCRのDNAの両方のブロットをプローブした。この遺伝子座は、最初、RDAを用いて発見されたもので、その後、胃腸癌で頻繁に欠失することが判明した。図3は、それぞれのゲノムDNA中の配列にハイブリダイズした場合、かつその場合にだけ、プローブはHCR中の配列にハイブリダイズしたことを示している。
6.4. 少量サンプルからのHCRの産生および使用
本発明者らは、限定量のDNAから作製されたHCRの価値を調べた。いくつかの乳癌生検標本から選別した異数体および2倍体核からHCRを調製し、c-mycに対してブロットを行った。図4は、いくつかの生検サンプルの異数体核から作製したHCRの場合にc-mycが増幅されることを示している。c-mycプローブに近接し、しかし離れているプローブもまた同じサンプル中で増幅されることを示すことにより、c-myc増幅の有効性の確証を得た。
6.5. 定量的PCRによるHCR中の遺伝子コピー数の測定
定量的PCRによりサンプルの試験を行った。この目的のために、蛍光エネルギー共鳴移動ハイブリダイゼーションプローブおよびABI7700配列検出器を使用して、異数体および2倍体核から調製したHCR DNAの対を比較した。図5に示されている結果から分かるように、染色体3上の非関連領域に由来するプローブによってコピー数の差異は検出されなかった。c-erB2に対して増幅された異数体HCRの曲線の立ち上がりは、対をなす2倍体HCRの曲線の立ち上がりよりも4サイクル早かった。このことは、このサンプルでは、c-erB2に対するコピー数の方が約2の4乗(16)倍多いことを示唆する。P16に対する欠失異数体HCRの曲線の立ち上がりは、対をなす2倍体HCRの曲線の立ち上がりよりも4サイクル遅れた。この場合も16倍の差異があるが、これは、恐らく、異数体核が2倍体核に約6%混入したことを反映するものであろう。1つの腫瘍体/正常体対は、p16遺伝子を検出するプライマー対に対して1サイクルのずれを呈した。これは、腫瘍中で1つの対立遺伝子が喪失したことの現れであろう。
6.6 HCRでの異型接合性の喪失の検出
異型接合性の喪失(LOH)は、癌細胞に見られる共通の疾患であり、ゲノムの不安定性または特異的腫瘍抑制遺伝子の機能の喪失を示すものと考えられる。LOHの検出は、正常ストローマの存在により妨害されることが多く、従って、腫瘍核が非常に富化された微量のサンプルから調製されたHCRがLOH分析に使用可能であるかを調べた。マイクロサテライトを増幅し断片長の多型性を検出するPCRプライマーがLOHマッピングによく使用されるため、本発明者らは、p53遺伝子座付近の多型性の高いテトラヌクレオチドリピートを増幅するプライマー対を調べることにした。
予備実験を行ったところ、これらのPCRプライマーは、細胞系から調製したゲノムおよびHCRの両方のDNAにおいて同じ対立遺伝子パターンを検出した。異数体および2倍体核から調製したHCRの12個の対について次に調べた。この遺伝子座のLOHは、明らかに、10個の情報対のうち9個が欠失している(代表的な場合として図6を参照されたい)。これは、乳癌においてこの遺伝子座について報告されたLOHの割合(60%)よりも大きいが、選別しうる異数性の高い腫瘍では異なる結果となるであろう。
6.7. HCRを用いた比較ゲノムハイブリダイゼーション
比較ゲノムハイブリダイゼーション(CGH)は、腫瘍中の全体的なゲノムの変化を分析するための強力なツールである。(Thomspon, C.T.および Gray, J.W., 1993, J. Cell. Biochem. Suppl. 17G:139-143, Kallioniemi, O.P.ら, 1993, Semin. Cancer Biol. 4(l):41-46)。CGHに対するHCRの適用性について調べた。この実験のために、ゲノムおよびHCRのDNAを用いて行うCGHの直接比較ができるように、腫瘍細胞系を選択した。調べた2種の細胞系、すなわち、BT474およびMCF7に関して、パターンの差異はほとんど識別できなかった。図7は、各DNA供給源の2つの代表的な染色体に対して得られた染色体走査プロフィルを示している。
6.8. マイクロアレイの調製
特定の典型的な実施形態では、マイクロアレイの調製には、ガラス表面を調製する工程、プローブを調製する工程、および表面上にプローブを堆積する工程が含まれる。これらの工程に対する模範的なプロトコルをこの節で提示する。
ポリ-l-リシンスライドの調製
350mLガラスシャーレ中の30スライドラックを使用する。
1. 50gのNaOHを150ml ddH2O中に溶解する。
2. 200mlの95% EtOHを添加し、完全に混合するまで攪拌する。
3. 溶液が濁ったままの場合、清澄になるまでddH2Oを添加する。
4. 溶液をガラススライドボックス中に注ぐ。
5. 金属ラック中の30個のスライド中に滴下する。(Gold Sealスライド、Cat. 3010)
6. 少なくとも2時間にわたりオービタルシェイカー上で浸漬させる。
7. ddH2Oで満たされたスライドシャーレにラックを移動することによりスライドをすすぐ。
8. ddH2Oによるすすぎを3回繰り返す。痕跡量のNaOH-エタノールをすべて除去することが重要である。
9. ポリ-l-リシン溶液を調製する。Sigmaポリ-l-リシン溶液Cat. No. 8920を使用する。
10. 70mLポリ-l-リシンを280mlの水に添加する。
11. スライドをリシン溶液に移し、1時間浸漬させる。
12. ミクロタイタプレートキャリヤ上でスライドのラックを500rpmで回転させることにより、スライドから過剰の液体を除去する。
13. 減圧オーブン中において40℃で5分間にわたりスライドを乾燥させる。
14. 使用前に少なくとも2週間にわたり密閉ボックス中でスライドを保存する。
15. アレイをプリントする前に、サンプルスライドが疎水性であり(水がビーズ状にはじかれる状態でなければならない)リシン皮膜が不透明にならないことを確認する。
アレイの形成
1. PCR反応液を96ウェルV型底組織培養プレート(Costar)に移す。1/10volの3M酢酸ナトリウム(pH5.2)および同容量のイソプロパノールを添加する。-20℃で数時間保存する。
2. Sorvall中において3500RPMで45分間遠心分離する。70%エタノールですすぐ。再び遠心分離し、乾燥させる。
3. 12ulの3×SSC中に数時間にわたりDNAを再懸濁させ、可撓性U型底プリンティングプレートに移す。
4. アレイヤーを用いてポリ-l-リシンスライド上にDNAをスポットする。
後処理
1. 温かい2回蒸留した水の入ったシャーレ上にスライドを吊すことにより、アレイを再び水和させる。(〜1分間)
2. 100Cホットプレート上で3秒間にわたり各アレイ(DNA側を上にして)をスナップ乾燥させる。
3. 60ミリジュールでStratalinkerセットを使用し、DNAをガラスにUV X連結させる。
4. 5gの無水コハク酸(Aldrich)を315mLのn-メチル-ピロリジノン中に溶解する。
5. これに35mLの0.2M ホウ酸Na pH8.0 (ホウ酸を水に溶解してからNaOHでpH調節することによって作製する)を添加し、溶解するまで攪拌する。
6. この溶液中に振盪しながらアレイを15分間浸漬させる。
7. アレイを95℃水浴に移し2分間置く。
8. すばやくアレイを95% EtOHに移し1分間置く。
9. ミクロタイタプレートキャリヤ上でスライドのラックを500rpmで回転させることにより、スライドから過剰の液体を除去する。
10.アレイは直ちに使用可能である。
6.9. サンプルの標識化およびマイクロアレイへのハイブリダイゼーション
マイクロアレイにハイブリダイズさせる2つの各サンプル2.5μgは、Klenowポリメラーゼ(Amersham)を用いて標識化されたランダムプライマーである。一方は、リサミンコンジュゲートヌクレオチド類似体(DuPone NEN)であり、他方は、フルオレセインコンジュゲートヌクレオチド類似体(BMB)である。2つの標識化サンプルを一緒にし、限外濾過装置(Amicon)を使用してハイブリダイゼーション用に濃縮した。
5μgのサンプルDNA組合せ物を7.5μLのTEバッファー中に濃縮化し、熱湯中で変性し、氷上でスナップ冷却する。濃縮化ハイブリダイゼーション溶液を、最終濃度5×SSC/.01% SDSとなるように添加する。全部で10μlの標識化サンプルDNAをマイクロアレイ表面に移し、カバースライドで被覆し、湿潤チャンバー中に入れ、60℃水浴中で12時間インキュベートする。チャンバーの隅に2μlの水を添加することにより、湿度を100%に保つ。次に、5×SSC/.1%SDSでスライドを5分間すすぎ、次いで.2×SSC/.1%SDSでスライドを5分間すすぐ。すすぎはすべて、室温で行う。アレイを乾燥させ、カバースライド下のアレイに退色防止剤(Molecular Probes) 1滴を加える。
6.10. ハイブリダイゼーションの検出
レーザースキャナーを使用して、1.8-cm×1.8-cmアレイからの2色の蛍光ハイブリダイゼーションシグナルを20-μmの解像度で検出する。コンピューター制御された2軸移動ステージ(PM-500, Newport, Irvine, CA)上にガラス基材スライドを配置する。このステージは、上向きの顕微鏡対物レンズ(20X, 0.75NA Fluor, Nikon, Melville, NY)上のアレイを2方向へラスターパターン状にスキャンする。マルチラインモードで作動する水冷式アルゴン/クリプトンレーザー(Innova 70 Spectrum, Coherent, Palo Alto, CA)を用いることにより、488.0nmおよび568.2nmで同時に標本に照射することができる。これらの2本の線は、488/568デュアルバンド励起フィルター(Chroma Technology, Brattleboro, VT)により分離される。デュアルバンド488/568一次ビームスプリッター(Chroma)を備えたエピ蛍光機器構成により、両方の蛍光体を同時に励起し、直接の蛍光発光を2チャネル検出器に送ることができる。発光は、565遷移波長の二次2色性ミラーにより分離され、2つのマルチアルカリカソード光電子増倍管(PMT; R928, Hamamatsu, Bridgewater, NJ)に送られる。一方は、HQ535/50帯域バリヤーフィルターであり、他方は、D630/60帯域バリヤーフィルターである(Chroma)。予備増幅されたPMTシグナルを読み取って12ビットアナログ-ディジタル変換ボード(RTI-834, Analog Devices, Norwood, MA)を用いてパーソナルコンピューターに送り、グラフィクスウィンドウで表示し、更なる吟味および分析を行うべくディスクに保存する。照射レーザービームが20×対物レンズの後方開口を意図的に抑えることにより、試料に直径の大きな照射スポットを形成する (半値幅5-μm〜10-μm)。ステージスキャン速度は、100mm/secであり、PMTシグナルは100μsec間隔でディジタル化する。連続する2つの読みを各ピクセルごとに合計する。ピクセルの間隔は最終画像で20μmである。試料上でのビームパワーは、2本の線のそれぞれについて-5mWである。
グラフィックスプログラム(Hijaak Graphics Suite)を用いてスキャン画像のスペックルを除去し、次に、通常の画像グリッディングプログラムを用いて解析することにより、各スポットに対して赤色および緑色の平均のハイブリダイゼーション強度のスプレッドシートを形成する。実験的に求めた係数を用いて、赤色および緑色のハイブリダイゼーション強度に対して、フルオレセインチャネルとリサミンチャネル間の光学的クロストークの補正を加える。
6.11. ヒトゲノムDNAの提示サンプルとのランダムプローブ
本実施例の実験では、ヒトゲノムから取ったランダムプローブ(平均1kbpの長さ)でアレイが作成される。この実施例では我々は、100,000要素のチップを作成することができると仮定する。我々は、例示目的にこの数を選ぶ。
これらのチップは、同じ患者の腫瘍および正常細胞の両方から調製した2つのヒトのサンプルから得られたDNAとハイブリダイズされる。
アレイは、文献に記載の条件下でハイブリダイズされる(Schenaら、1995, Science, 270, 467-70; Schenaら、1996, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 93, 10614-9;Schena M、1996, Bioessays, 18, 427-31;Shalon, D.ら、1996, Genome Res, 6, 639-45)。以下に詳述するように、これらの条件の変化を試験して、ハイブリダイゼーションのシグナル対ノイズ比を最適化することができる。
この第1の実験では、サンプルとして総ヒトゲノムDNAを使用する。1つのサンプル(腫瘍)を、ある発光波長を有する蛍光色素で標識し、他のサンプルを顕著な発光スペクトルを有する蛍光色素で標識する。これらの色素を、それぞれ「緑」および「赤」チャネルで読むものとする。標識は文献で入手できる方法に従う(Schenaら、1995, Science, 270, 467-70; Schenaら、1996, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 93, 10614-9;Schena M、1996, Bioessays, 18, 427-31;Shalon, D.ら、1996, Genome Res, 6, 639-45)。
チップの多くのプローブ(約3分の2)は、赤または緑チャネルで大きなハイブリダイゼーションシグナルを示さない。これは、ヒトゲノムが非常に複雑であるため、チップ上でシングルコピーへのハイブリダイゼーションがほとんど起きないためである。(ヒトゲノムの約3分の2は、シングルコピー配列である。)約3分の1のプローブは、両方のチャネルで非常に明るく輝く。これらの明るい「黄色」プローブ(強い緑と赤の蛍光)のサンプルを同定し配列決定すると、これらは繰り返し配列を含有することがわかる。(ヒトゲノムの約3分の1は繰り返し配列である。)強い緑と赤のシグナルは、ゲノム中のたくさんの繰り返し配列によるものであり、従ってシングルコピーDNAと異なり、ハイブリダイゼーションが容易に観察される。いずれのプローブでも緑−赤の比の大きな変化が観察されず、実験は情報価値がない。
第2の実験では、ゲノムDNAのBgl II提示物を使用し、既に記載されているように調製した(Lisitsynら、1993, Science, 259, 946-51)。Bgl II提示物は、全ヒトゲノムのコンプレキシティーの約2%のコンプレキシティーを有する。この提示物を前述のように区別可能な蛍光色素(生検の腫瘍DNAでは「緑」および同じ患者の正常DNAでは「赤」)で標識する。同じアレイを、2つの標識提示物でハイブリダイズさせる。
ハイブリダイズしたチップを、次に赤と緑のチャネルをスキャンして解析して、腫瘍および正常DNAの遺伝子コピーの相対濃度についての情報を得る。チップの多くのプローブ(約3分の2)は、赤または緑チャネルで有意なハイブリダイゼーションシグナルを示さない。我々は、これらをクラスAプローブと呼ぶ。ほとんどのプローブは、繰り返し配列ではなく、Bgl II提示物と配列を共有もしないため、ほとんどのプローブはこの範疇にはいる。従ってバックグランド蛍光のみが観察される。
約3分の1のプローブは、両方のチャネルで非常に明るく輝く。我々は、これらをクラスBプローブと呼ぶ。これらの明るい「黄色」プローブ(強い緑と赤の蛍光)のサンプルを同定し配列決定すると、これらは繰り返し配列を含有することがわかる。強い緑と赤のシグナルは、ゲノムおよびゲノムのBgl II提示物中のたくさんの繰り返し配列によるものである。
より少数のプローブ(おそらく約2%)は、緑と赤のチャネルの両方でバックグランド蛍光とほぼ等しいかまたは多少強い蛍光を有する。我々はこれらをクラスCプローブと呼ぶ。(クラスBプローブとクラスCプローブの区別は、以下の実施例でより明瞭にされる。)これらのプローブのサンプルを配列決定して、我々は、ほとんどすべてが少なくとも1つのBgl II部位を含有し、多くは2つ含有することを見いだす。これらは、Bgl II提示物に共通の配列を共有するため、検出可能なハイブリダイゼーションを示す。全部で約2,000(100,000の2%)のそのようなプローブがあるであろう。
より少ないプローブ(おそらく2%の0.1%のみ、すなわち全部で約2)は、赤チャネルより緑のチャネルで有意に強いハイブリダイゼーションを示す。これらのクラスDプローブは、サザンブロッティングによる腫瘍および正常DNAの遡及的ハイブリダイゼーション解析により、腫瘍で大幅に増幅されていることがわかり、これは腫瘍内の特異的遺伝的病変を示している。2%の0.1%という推定値は、以下に基づく。平均的腫瘍で増幅されるゲノムの量は、約3メガ塩基であり、すなわちゲノムの0.1%であって、ゲノムの提示されるサンプルと配列を共有するアレイ中のプローブの総数は、既に記載したように約2%である。
これらの実験は、2つの大きな点を例示する。第1の点は、これはサンプルのヌクレオチドのコンプレキシティーを低下させて、シングルコピーゲノム配列からハイブリダイゼーションシグナルを観察するのに有効であることである。本発明の本実施例では、サンプルの提示物を作成することによりこれを達成する。このコンプレキシティーが低減される程度は、一部はハイブリダイゼーション条件とバックグランドノイズの関数であるが、少なくともおよそ10倍、最適には約50倍の低下が有効である。第2の点は、提示サンプルを使用するとき、最もランダムに選択されるプローブはあまり有用ではないことである。提示サンプルと配列を共有するもののみが価値があり、これらは非常に少ない。これは、次の実施例に示すように修正することができる。
コンプレキシティーの低いDNA集団(たとえばハイブリダイゼーション反応がより完成しやすい微生物、昆虫および一部の植物のような単純な生物のcDNAコレクションまたはゲノムDNA)を解析する時に、これらの2つの主要な点は必ずしも必須ではない。cDNA集団の解析について、実施例6.19に記載のように、サンプルまたはプローブあるいはその両方の提示を好む他の理由がある。
6.12. ランダムプローブを選別して、より有用なアレイを得る
上記の実施例において、アレーのほとんどのプローブは、提示サンプル(クラスA)由来のシングルコピーDNAへのハイブリダイゼーションを検出するのに使用することができないため、またはこれらは繰り返し配列(クラスB)を認識したため、有益ではなかった。わずかに約2000プローブ(クラスCおよびD)のみが真に有用であり、腫瘍内に増幅無し(クラスC)または一部の増幅(クラスD)があったことを示している。
クラスAまたはBとクラスCまたはDのプローブを区別し、かつこれらのプローブを「選別」して、提示サンプル間の遺伝的差異を検出するのにより効率的な新しいアレイを組み立てることが可能である。バックグランドからあまり高くないハイブリダイゼーションレベルを示すクラスAプローブを、明確に廃棄することができる。クラスBとクラスCプローブの間を明確に区別することはより困難である。いずれも、赤と緑のチャネルでバックグランドより高くかつほぼ同じハイブリダイゼーションシグナルを示す。しかし、文献に記載のように、過剰の非標識繰り返しヒトDNA(「Cot 1」DNAとも呼ばれる)をハイブリダイゼーションミックスに加え、繰り返し配列を含有するプローブに対するハイブリダイゼーションシグナルを消すことができる(DeVries, Sら、1995, Current Protocols in Human Genetics中、Boyle, A.L.編(John Wiley and Sons, Inc., New York)、sup 6, unit 4.6, pp1-18)。この非標識DNAは、標識サンプルに対するハイブリダイゼーションの競合的インヒビターとして作用する。すなわち、過剰の非標識繰り返しヒトDNAが使用される時、シグナルの低下を示すプローブは、クラスBに入れることができる。
6.13. 提示的プローブおよび提示サンプル:増幅の検出
より有益な、従ってより効率的で経済的なアレイを作成するために、選別はプローブのコレクションを成形するのに有用であるが、前述の実施例に記載のプロトコールは、有用なプローブのコレクションを組み立てるのに最適の方法ではない。平均して、試験したプローブ100個につき、2つだけがBgl II提示サンプルに有用であるとして選択される。
提示サンプルを測定するのに有用なプローブのコレクションを組み立てるのにより効率的な方法は、同様に提示されるDNAからプローブを選択することである。このDNAは、組織または培養細胞由来の総ゲノムDNA、またはクローニングベクター(例えば、BACまたはYAC)にインサートとしてクローン化されているゲノムDNA、またはcDNAでもよい。こうして、コレクションのプローブの大多数は、提示サンプルと配列を共有し、各プローブは、有用である可能性がより高い。すなわち、フィールド試験後のこれらのプローブの選別は、より効率的なプロセスとなる。
以下の実施例において、正常細胞の任意の供給源から総ヒトDNAのBgl II提示物を作成し、かつ個別に提示物をクローン化する。[異なる制限エンドヌクレアーゼまたはより複合的な提示物またはYACのようなメガクローニングベクター(例えば、YAC(Schutte M.ら、1995, Nucleic Acids Res. 23(20):4127-33)からのRNA産物、または体細胞ハイブリッドを使用することができる。]次に、これらのプローブは整理され、2つの大きなクラスに分類される:繰り返し配列とのハイブリダイゼーションを検出するもの(クラスB)とシングルコピー配列のみとのハイブリダイゼーションを検出するもの(クラスC)。従って選別操作は、非常に効率的である。クラスBプローブは、全プローブの半分以下おそらく約30%であるので、クラスBプローブを除去することなく、そのようなプローブを用いて、有用なアレイを作成することができ、そのようなプローブのアドレスを、決定し後に記録することができる。
ここで、10,000プローブのアレイを作成するが、これは非常に現実的な数である。実施例6.11におけるように、アレイは腫瘍(緑)および正常(赤)DNAの標識Bgl II提示物にハイブリダイズされる。実施例6.12におけるように、過剰の非標識繰り返しDNAを加えて、繰り返し配列からのハイブリダイゼーションを消す。
腫瘍内の遺伝的遺伝子増幅を検出する2つのプローブ(統計的に異常に高い緑対赤の比が示されるような)の代わりに、増幅を検出する10個程度のプローブ(10,000の0.1%)を観察する。従って提示プローブを有するアレイは、実施例6.11で使用したアレイの10分の1のアドレスを有し、作成し分析することも相応に安価であっても、情報は5倍多い。
6.14. 腫瘍内の遺伝子喪失の検出
前実施例で我々は、腫瘍内の遺伝子増幅を検出するための、提示物にハイブリダイズするアレイの使用を例示した。腫瘍内の遺伝的情報の喪失を検出するために、非常によく似たプロトコールを使用することができる。そのような喪失はしばしば、腫瘍の進行を証明しており、通常遺伝的不安定性と腫瘍抑制遺伝子の喪失を示しており、癌の診断と予知に使用することができる。腫瘍生検は、正常な基質(すなわち、繊維芽細胞、毛細管内皮、および血液細胞のような正常細胞)を必ず含有するため、プロトコールの変更は必要である。これらの正常細胞からのDNAは、通常分析手段、例えばヘテロ接合性が喪失するサザンブロッティングとPCR解析(Kerangueven F.ら、1995, Genes Chromosomes Cancer 13(4):291-4;Habuchi T.ら、1995, Oncogene 19;11(8):1671-4)により、腫瘍内の遺伝子喪失をわからなくする。従って腫瘍および正常細胞の核を分離することが必要である。
多くの腫瘍は、ほとんどは異数性(核あたりのDNAの量の差)または表面マーカーにより、正常細胞から区別することができる。従って多くの例で、生検の腫瘍細胞の腫瘍核は、蛍光活性化細胞ソーター解析(Del Bino G.ら、1989, Anal Cell Pathol 1(4):215-23;Maesawa C.ら、1992, Jpn J Cancer Res 83(12);1253-6)により、正常基質から、正常核を90%含まない集団に、分離することができる。あるいは腫瘍生検試料の正常基質は、微量切開することができ、腫瘍細胞の比較的純粋な集団が得られる。DNAは、これらの手段により得られた、5000ほどの腫瘍細胞または核から調製され、提示物が調製される。例えば前実施例のように、アレイフォーマットで腫瘍を正常提示物と比較して、腫瘍中の遺伝的喪失を検出することができる。
この遺伝的喪失は、2つの基本的な変化がある。第1に、遺伝子の両方のコピーが腫瘍中で失われているホモ接合性喪失は、これらの配列の絶対的喪失を引き起こす。これらの配列が、正常DNAの提示物中に両方が存在し、アレイのプローブと配列を共有する要素を包含する時、これらの配列の欠如は、そのプローブに対する高い赤対緑比により検出される。すなわち、アレイは、正常サンプル中には存在するが腫瘍サンプル中には存在しない配列を検出する。我々は、ホモ接合性喪失により、1つの腫瘍は平均して約3メガ塩基(すなわち、ゲノムの約0.1%)を失うと推定した。すなわち我々は、10,000のメンバーアレイのうち約10プローブが喪失を検出すると推測する。
第2に、ヘテロ接合性喪失(すなわちLOH)はしばしば、提示的分析に基づきアレイにより検出することができる。LOHでは腫瘍の2つの対立遺伝子のうち1つのみが喪失し、検出の解釈は、ホモ接合性喪失のものとは異なる。個体は、しばしば制限断片長多型として現れる遺伝的多型を有する。従って1つの対立遺伝子由来の配列は、低分子量制限エンドヌクレアーゼ断片上にあるため提示物中に存在し、他方の対立遺伝子由来の配列は存在しない。提示物中の対立遺伝子が、腫瘍で喪失される対立遺伝子であっても、その喪失は、アレイにより検出することができる(配列が、アレイのプローブの1つと共有される場合)。以前の推定は、癌はこの機序によりそのゲノムの約15%を失うというものである。制限エンドヌクレアーゼ多型の密度の推定値に基づくと、提示物の0.6%以上、すなわち10,000メンバーアレイあたり約60のプローブが腫瘍では失われるであろう。
6.15. ハイブリダイゼーション条件の最適化
RNAであってもDNAであっても、アレイ上のDNA断片への核酸のハイブリダイゼーションは、いくつかの要因(コンプレキシティー、濃度、イオン強度、時間、温度および粘度を含む)により影響を受ける(Wetmur J.G.ら、1968, Mol Biol 31(3):349-70;Wetmur J.G., 1976, Annu Rev Biophys Bioeng 5:337-61)。これらの要因を変化させることで、ハイブリダイゼーション条件を最適化して、可能な限り低いバックグランドを有する最も高いシグナルを可能にする。
DNAサンプルの提示物を作成することにより、我々はすでにコンプレキシティーの問題に取り組んだ。我々が使用している提示物が複雑すぎて好ましいハイブリダイゼーション速度が得られない場合、提示物を変えてコンプレキシティーを低下させるという選択がある。これを行う1つの選択は、提示物の産生のために使用される制限酵素を、現在使用している酵素より切断の少ない酵素に変えることである。第2の選択は、第2の制限酵素で提示物を切断することである。しかし、これを行う場合の欠点は、コンプレキシティーが低下する毎に情報が失われることである。最適化の一部は、好適なハイブリダイゼーション速度を与えるが、またできるだけ多くの情報を与える提示物を選択することを必要とする。
サンプルの濃度はまた、ハイブリダイゼーション速度に影響を与える重要な要因である。我々がハイブリダイゼーションのための提示物を作成しているという事実は、多くの他のチップ技術に対して我々を優位に置く。我々は、ハイブリダイゼーションための事実上無限量の提示物を作成することができる。こうして必要であれば最大のDNA濃度に近づけることができる。例えば、必要であれば1μg/μl〜8μg/μlまでのサンプル濃度が使用できる。
ハイブリダイゼーション速度は、3.2Mまでの範囲のNaイオンの濃度に強く依存することが測定されている。例えば、0.5M Naイオン濃度で出発し、この濃度を0.25Mから1Mまで変化させてNaイオン濃度を最適化することができる。インキュベーション時間もまた、ハイブリダイゼーション反応の完遂に影響を与える。24時間までまたは必要であればそれ以上、時間を変化させることができる。好ましくは、最適のシグナル対ノイズ比を与える最も短い時間を使用する。
ハイブリダイゼーションの温度もまた変化させてもよい。断片のハイブリダイゼーションの最適温度は、その融点より25℃低い。我々は、同じインキュベーションの間にマイクロアレイの相補的プローブにハイブリダイズする、提示物からのサイズと中身が異なる多くの断片を必要とする。ハイブリダイゼーションの現在のプロトコールは、65℃の温度を使用する。この温度を、例えば55℃〜75℃に変化させて、我々の目的に応じたハイブリダイゼーションの最適温度を決定することができる。
溶液に中性ポリマーを加えて、ハイブリダイゼーション速度を上昇させることができる。ポリマーは溶液から水を排除して、核酸の局所的濃度を増加させると考えられている。フィコールのような中性ポリマーを加えて、ハイブリダイゼーション速度を上昇させることができる。
6.16. より信頼性の高いかつ解釈可能なアレイデータを与えるさらなる選別
当業者には理解されるように、アレイのルーチン最適化は、以下を考慮することができる。我々は、アレイ中の少量のプローブは、同じサンプルから並行して調製される提示物からでさえ異なるハイブリダイゼーションシグナルを示す点で、信頼できないことを認めている。我々は、我々が記載したように作成した提示物においてさえ、いくつかの要素の増幅に変動があると推定している。従って、同じサンプルから作成した複数の独立した並列な提示物によって一定のプローブのコレクションから作成されるアレイを試験し、この挙動を示すプローブをマークし記録することが有用である。これらは次に、コレクションから選別することができる。
我々は、すでに選別プローブについて記載(実施例6.12)し、ここでは有用なプローブをコレクション中に保持し、無用なプローブを廃棄した。このプローブの分離は物理的であり、より高濃度の有用なプローブを有するアレイを作成した。しかしこの実施例のように、少数のプローブが無用であることがわかり、電子的「ブラックリスト」(ここで、プローブの読み値に「無視される」と記入する)を作成することにより、より経済的なアプローチが行われる。
6.17. 多型解析
実施例6.14に記載のように、生物は遺伝的に多型である。これは、提示物に基づくアレイを、個体のシグネチャーを提供するために用いることができ、これは、法医学的同定で有用であり、または例えば父親を決定するための個体間の遺伝的交配を追跡するのに使用することができる。
例えば1000プローブを含有するBgl II提示アレイを使用して、緑で標識した1個体のDNA由来の例えばBgl II提示物を調製し、赤で標識した「標準的」ヒトBgl II提示物と比較した。60プローブのうちほぼ1つについて、多型的差異が観察され、1000のうち約15アドレスで差異(高い緑対赤比または高い赤対緑比)が観察されると予測される。これは、約15の非黄色の桁を有する、基本の3つ(緑、黄色のおよび赤の桁)で1000の桁数と同等にユニークな、個体についての「桁シグネチャー」を提供する。そのような可能なシグネチャーの数は、10の35乗を超える。以下の実施例に示すように大きいアレイまたはサンプルの複合提示物を使用して、より天文学的にユニークなシグネチャーを提供することができる。この遺伝的タイピングから、DNAサンプルから個体を同定することができる。
この方法の応用は、子供および子供の推定される生物学的父親に応用して、親であることが正しいかどうかを決定することができる。メンデルの遺伝法則に従って、もし親であることが正しいなら、子供の桁シグネチャーのすべての「緑」の桁は、少なくとも1つの親で緑の値を有する。より古典的な言葉では、あるアドレスに「緑の対立遺伝子」を有する子供(すなわち、小断片対立遺伝子の存在)は、母親または父親のいずれまたは両方から、同じものを遺伝していなければならない。同様に、子供があるアドレスに「黄色の」桁を示すなら、母親または父親のいずれかは、そのアドレスに黄色の桁を有さなければならない。
異なる個体の各比較は、異なるシグネチャーを与えるため、異なる「標準的」ヒトに比較して、この解析法はさらに増強される。
6.18. LOHおよび多型解析を拡張し、点突然変異荷重の決定を可能にする複合提示物
第1の制限エンドヌクレアーゼで切断し、これらの切断部位にリンカーを添加し、第2の制限エンドヌクレアーゼで切断し、次にPCR増幅を行うことにより、最も簡単な複合提示物が作成される。この提示物は、第2の酵素の制限エンドヌクレアーゼ部位を含有しない第1の切断により作成される、ゲノム中のすべての小断片からなる。第1の酵素に基づく提示アレイを使用して、複合提示物により作成されるサンプルを比較することにより、第2の酵素のサンプルの間の多型的差異についてスコアをつけることができる。第2の酵素の選択は実質的に無限であるため、同じアレイを使用して、複合提示物を使用せずに検出するよりも2つのサンプルの間のより多くの多型的差異を検出することができる。
すなわち、複合提示物の使用は、癌のアイデンティティ(多型解析)と遺伝的喪失(LOH解析)の測定におけるアレイの有用性を拡張する。
しかし複合提示物の使用は、癌診断における提示アレイの新しい使用を可能にする。癌は点突然変異を蓄積する。これらの点突然変異は、しばしば制限エンドヌクレアーゼ部位を破壊する。破壊される部位が第2の酵素の部位であるなら、腫瘍の複合提示物は、その親の正常DNA由来の同じ複合提示物中に存在しない配列を含有するであろう。腫瘍提示物が緑で標識され正常提示物が赤で標識されるなら、「緑」のアドレスは、腫瘍中の点突然変異を反映している可能性が高い(単独の提示物を比較することによって決定することができる遺伝子増幅についての補正を行った後)。これは、癌に緑の桁シグネチャーを与える。緑の桁数は、腫瘍中の点突然変異荷重を反映し、これは予測値と予後値を与える。さらに、生検腫瘍のシグネチャーは、同じ患者中で発生する第2の腫瘍が、独立の原発性腫瘍であるかまたは第1の腫瘍の転移であるかを決定するのに使用することができる。
6.19. 発現アレイに対する提示的アプローチの応用
発現レベルを測定するためのcDNAプローブおよびcDNAオリゴヌクレオチドプローブのアレイの使用は、充分確立されている(Schenaら、1995, Science, 270, 467-70; Schenaら、1996, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 93, 10614-9;Schena M.、1996, Bioessays, 18, 427-31)。これらの使用において、サンプル由来のcDNAまたはcRNAが調製され分析される。サンプルからの出発物質は典型的にはmRNAであり、サンプルが少量しか得られない時は、発現アッセイを実施することは問題である。
このため、サンプルの限定量から調製されるcDNAはコンプレキシティーの高い提示物を調製することがしばしば好ましい。少量の出発物質からでもほとんど無限量の提示物が作成され、従って高濃度でチップとハイブリダイズし、従って発現アッセイの感度と信頼性が上昇する。
サンプルのコンプレキシティーの高い提示物を使用することによって、ほとんどのプローブがサンプルの提示物において増幅される配列と配列を共有することが保証されるので、本実施例で、提示物からアレイのプローブを得る必要は全くない。しかし、プローブが、発現遺伝子から作成される提示物と配列を共有するように選択されるなら、cDNAプローブアレイはより効率的に機能するであろう。
6.20. 提示物にハイブリダイズした複雑なDNAプローブまたはオリゴヌクレオチドプローブを有するアレイ
上記実施例は、単純なDNAプローブのアレイについて記載される。上記実施例の各プローブは、ほぼ100〜1000bp(この範囲は、用語「単純なDNAプローブ」を規定するものではなく、単に1つの例である)の長さのDNAの単一クローン化配列を含む。複雑なプローブ(例えば、YACまたはBACのインサートを提示することにより得られるプローブ)のアレイの応用は、あまり異ならないであろう。単純なプローブと複雑なプローブのアレイの間の大きな差は、後者ではLOHと多型解析が容易に行なわれなかったことである。複雑なプローブのアレイでも、基本的に実施例6.13と6.14に記載のように、遺伝子増幅とホモ接合性喪失が検出される。
別のタイプのアレイを、オリゴヌクレオチドプローブで作成することができる(Cho R.J.ら、1998, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 31;95(7):3752-7;Pease A.C.ら、1994, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91(11):5022-6;Lipshutz R.J.ら、1995, Biotechniques 19(3):442-7)。そのようなプローブを作成することは、再現性、プローブ密度、繰り返し配列の回避およびコスト(大規模生産が好ましい時)の点で、利点がある。サンプルを調製するのに使用される提示物の配列中にアレイのオリゴヌクレオチド配列が含有されるなら、上記実施例に記載のすべての応用は、オリゴヌクレオチドフォーマットに容易に変換することができる。従ってこれらは、ハイブリダイゼーションにより提示物中の要素を検出することができる。
これは以下の方法で実施することができる。提示物からクローン化されたDNAプローブが集められ、配列決定される。配列決定は完全である必要はなく、クローニング部位の末端から一度の読み分だけを伸長すればよい。次にこの配列情報を使用して、アレイ上で使用されるオリゴヌクレオチドが合成される。
ある応用においては、まず単純なDNAプローブのアレイを設計し、次にプローブアレイの特性を解析することが好ましい。次にDNAプローブの採取物を配列決定し、その情報を使用して、合成オリゴヌクレオチドアレイをフォーマット化する。
同等物
明細書の前記説明は、当業者が本発明を広く実施するのに充分であると考えられる。生化学、有機化学、医学または関連分野の上記方法の種々の修飾は、以下の請求の範囲内にあると考えられる。本明細書で引用したすべての特許、特許出願、および刊行物は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。

Claims (37)

  1. (a)固相支持体であって、その上に規定された座標点のアドレスを有する支持体、及び
    (b)1000個の予め定められたユニークな核酸プローブであって、各プローブが、
    i)異なるものであり、
    ii)固相支持体上に規定された座標点のアドレスに固定され、
    iii)ゲノムの同一提示物のメンバーの配列と完全に相補的な配列中に2000個以下のヌクレオチドを有し、かつゲノムにマッピングされている、上記プローブ
    を含み、
    規定された座標点のアドレスにおけるプローブの同一性が既知である、DNAアレイ。
  2. (a)固相支持体であって、その上に規定された座標点のアドレスを有する支持体、及び
    (b)1000個の予め定められたユニークな核酸プローブであって、各プローブが、
    i)異なるものであり、
    ii)固相支持体上に規定された座標点のアドレスに固定され、
    iii)ゲノムの提示物を得るためにゲノムDNAを制限的エンドヌクレアーゼで消化し、消化DNA断片にアダプターを連結し、アダプターに相補的なプライマーを用いてDNA断片をポリメラーゼ連鎖反応(PCR)で増幅することによって得られ得る、ゲノムの同一提示物のメンバーのヌクレオチド配列を有し、および
    iii)ゲノムにマッピングされた核酸配列を有する、上記プローブ
    を含み、
    規定された座標点のアドレスにおけるプローブの同一性が既知である、DNAアレイ。
  3. 以下の工程:
    (a)ゲノムDNAの提示物を得る工程、ここで、提示物は、ゲノムDNAを制限的エンドヌクレアーゼで消化して消化DNA断片を得ること、消化DNA断片にアダプターを連結すること、アダプターに相補的なプライマーを用いて、連結されたDNA断片を増幅することにより得られ得るものであり、
    (b)ゲノムDNAの提示物由来の核酸を請求項1または2に記載のマイクロアレイに接触させる工程、
    (c)工程(b)でのマイクロアレイの規定された座標点のアドレスにおけるハイブリダイゼーションを検出する工程
    を含み、それにより、ゲノムDNAのゲノムコピー数の情報を得る、方法。
  4. 異なる制限的エンドヌクレアーゼでそれぞれ得られた2以上の連続した提示物を含むDNAの複合提示物を製造する方法。
  5. (a)DNAのサンプルを第1の制限的エンドヌクレアーゼで消化し、消化DNA断片を得る工程、
    (b)消化DNA断片にアダプターを連結する工程、
    (c)アダプターに相補的なプライマーを用いて、工程b)で作製されたDNA断片を増幅し、DNAの第1の提示物を得る工程、
    (d)第1の提示物を第2の制限的エンドヌクレアーゼで消化し、消化DNA断片を得る工程であって、第2の制限的エンドヌクレアーゼが第1の制限的エンドヌクレアーゼと異なる、上記工程、および
    (e)工程(c)で用いたプライマーと同じプライマーを用いて、工程(d)のDNA断片を増幅し、DNAの複合提示物を得る工程、
    を含む、請求項4に記載の方法。
  6. (a)DNAのサンプルを第1の制限的エンドヌクレアーゼで消化し、消化DNA断片を得る工程、
    (b)消化DNA断片に第1のアダプターを連結する工程、
    (c)第1のアダプターに相補的なプライマーを用いて、工程(b)で作製されたDNA断片を増幅し、DNAの第1の提示物を得る工程、
    (d)第1の提示物を第2の制限的エンドヌクレアーゼで消化し、消化DNA断片を得る工程であって、第2の制限的エンドヌクレアーゼが第1の制限的エンドヌクレアーゼと異なる、上記工程、
    (e)工程(d)で第2の制限的エンドヌクレアーゼにより作製された消化DNA断片の末端に、第2のアダプターを連結する工程、
    (f)工程(c)で作製され、かつ工程(d)で第2の制限的エンドヌクレアーゼにより切断されなかったDNA断片の5’末端に第3のアダプターを連結する工程、および
    (g)第2及び第3のアダプターに相補的なプライマーを用いて、工程(e)および(f)のDNA断片を増幅し、DNAの複合提示物を得る工程、
    を含む、請求項5に記載の方法。
  7. (a)DNAのサンプルを第1の制限的エンドヌクレアーゼで消化し、消化DNA断片を得る工程、
    (b)消化DNA断片にアダプターを連結する工程、
    (c)工程(b)で作製されたDNA断片を第2の制限的エンドヌクレアーゼで消化し、2重消化DNA断片を得る工程であって、第2の制限的エンドヌクレアーゼが第1の制限的エンドヌクレアーゼと異なる、上記工程、
    (d)アダプターと相補的なプライマーを用いて、2重消化DNA断片を増幅し、DNAの複合提示物を得る工程、
    を含む、請求項5に記載の方法。
  8. 核酸プローブがオリゴヌクレオチドである、請求項1または2に記載のDNAアレイ。
  9. ゲノムDNAがメガクローニングベクター由来である、請求項1または2に記載のDNAアレイ。
  10. DNAが、生検標本、細胞系、検死標本、法医学(forensic)標本または古生物学的(paleoentological)標本から得られるものである、請求項1または2に記載のDNAアレイ。
  11. 核酸プローブが2000ヌクレオチド以下の長さである、請求項2に記載のDNAアレイ。
  12. 核酸プローブが、100〜1000ヌクレオチドの長さである、請求項1または2に記載のDNAアレイ。
  13. プローブが、同じプローブの複数のコピーからなり、1つのアドレスに固定されている、請求項1または2に記載のDNAアレイ。
  14. プローブが、異なる核酸プローブの混合物からなり、1つのアドレスに固定されている、請求項1または2に記載のDNAアレイ。
  15. アレイのヌクレオチドのコンプレキシティーが、アドレスあたり1.2kb以下である、請求項1または2に記載のDNAアレイ。
  16. アレイのヌクレオチドのコンプレキシティーが、アドレスあたり1.2kbを越える、請求項1または2に記載のDNAアレイ。
  17. アレイが、ゲノムのコンプレキシティーの70%以下のコンプレキシティーを有するゲノムの同一提示物のすべての非反復要素に相補的なプローブを含む、請求項1または2に記載のDNAアレイ。
  18. アレイが、ゲノムのコンプレキシティーの約2%以下のコンプレキシティーを有するゲノムの同一提示物のすべての非反復要素に相補的なプローブを含む、請求項1または2に記載のDNAアレイ。
  19. 相補的な配列が25塩基よりも長い、請求項1に記載のDNAアレイ。
  20. ゲノムDNAが生物の腫瘍細胞由来である、請求項1または2に記載のDNAアレイ。
  21. ゲノムDNAが生物の非腫瘍細胞由来である、請求項1または2に記載のDNAアレイ。
  22. 参照するゲノムDNAが同じ生物の非腫瘍細胞由来である、請求項1または2に記載のDNAアレイ。
  23. 提示物が蛍光標識されている、請求項3または4に記載の方法。
  24. 核酸プローブがオリゴヌクレオチドである、請求項3に記載の方法。
  25. ゲノムDNAがメガクローニングベクター由来である、請求項3〜8のいずれか1項に記載の方法。
  26. DNAが、生検標本、細胞系、検死標本、法医学(forensic)標本または古生物学的(paleoentological)標本から得られるものである、請求項3〜8のいずれか1項に記載の方法。
  27. 核酸プローブが2000ヌクレオチド以下の長さである、請求項3に記載の方法。
  28. 核酸プローブが、100〜1000ヌクレオチドの長さである、請求項25に記載の方法。
  29. プローブが、同じプローブの複数のコピーからなり、1つのアドレスに固定されている、請求項3に記載の方法。
  30. プローブが、異なる核酸プローブの混合物からなり、1つのアドレスに固定されている、請求項3に記載の方法。
  31. アレイのヌクレオチドのコンプレキシティーが、アドレスあたり1.2kb以下である、請求項3に記載の方法。
  32. アレイのヌクレオチドのコンプレキシティーが、アドレスあたり1.2kbを越える、請求項3に記載の方法。
  33. アレイが、ゲノムのコンプレキシティーの70%以下のコンプレキシティーを有するゲノムの同一提示物のすべての非反復要素に相補的なプローブを含む、請求項3に記載の方法。
  34. アレイが、ゲノムのコンプレキシティーの約2%以下のコンプレキシティーを有するゲノムの同一提示物のすべての非反復要素に相補的なプローブを含む、請求項3に記載の方法。
  35. 相補的な配列が25塩基よりも長い、請求項3または4に記載の方法。
  36. ゲノムDNAが生物の腫瘍細胞由来である、請求項3または4に記載の方法。
  37. ゲノムDNAが生物の非腫瘍細胞由来である、請求項3または4に記載の方法。
JP2009167204A 1997-10-30 2009-07-15 Dna識別のためのプローブアレイ及びプローブアレイの使用方法 Pending JP2009232865A (ja)

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US6435897P 1997-10-30 1997-10-30

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000519111A Division JP2001521754A (ja) 1997-10-30 1998-10-30 Dna識別のためのプローブアレイ及びプローブアレイの使用方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2009232865A true JP2009232865A (ja) 2009-10-15

Family

ID=22055393

Family Applications (2)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000519111A Pending JP2001521754A (ja) 1997-10-30 1998-10-30 Dna識別のためのプローブアレイ及びプローブアレイの使用方法
JP2009167204A Pending JP2009232865A (ja) 1997-10-30 2009-07-15 Dna識別のためのプローブアレイ及びプローブアレイの使用方法

Family Applications Before (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000519111A Pending JP2001521754A (ja) 1997-10-30 1998-10-30 Dna識別のためのプローブアレイ及びプローブアレイの使用方法

Country Status (8)

Country Link
US (3) US20040137473A1 (ja)
EP (1) EP1032705B1 (ja)
JP (2) JP2001521754A (ja)
AT (1) ATE537270T1 (ja)
AU (1) AU753505B2 (ja)
CA (1) CA2307674C (ja)
DK (1) DK1032705T3 (ja)
WO (1) WO1999023256A1 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013509198A (ja) * 2009-10-30 2013-03-14 ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア 細菌メタ構造および使用方法

Families Citing this family (108)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001521754A (ja) 1997-10-30 2001-11-13 コールド スプリング ハーバー ラボラトリー Dna識別のためのプローブアレイ及びプローブアレイの使用方法
US20020090639A1 (en) * 1998-02-26 2002-07-11 Mcginnis Ralph Evan Two dimensional linkage study methods and related inventions
EP1124990B1 (en) * 1998-10-27 2006-01-18 Affymetrix, Inc. Complexity management and analysis of genomic dna
EP1135524A1 (en) * 1998-12-04 2001-09-26 Keygene N.V. Array and method for analysing nucleic acid sequences
US8367322B2 (en) 1999-01-06 2013-02-05 Cornell Research Foundation, Inc. Accelerating identification of single nucleotide polymorphisms and alignment of clones in genomic sequencing
WO2000040755A2 (en) 1999-01-06 2000-07-13 Cornell Research Foundation, Inc. Method for accelerating identification of single nucleotide polymorphisms and alignment of clones in genomic sequencing
AU779231B2 (en) * 1999-02-22 2005-01-13 Lynx Therapeutics, Inc. Polymorphic DNA fragments and uses thereof
US20030207295A1 (en) * 1999-04-20 2003-11-06 Kevin Gunderson Detection of nucleic acid reactions on bead arrays
US20060275782A1 (en) 1999-04-20 2006-12-07 Illumina, Inc. Detection of nucleic acid reactions on bead arrays
MXPA01011915A (es) * 1999-05-19 2003-09-04 Advanced Array Technologies S Metodo para la identificacion y/o la cuantificacion de un compuesto diana.
US6638717B2 (en) * 1999-05-19 2003-10-28 Aventis Pharmaceuticals, Inc. Microarray-based subtractive hybridzation
AU6387000A (en) * 1999-07-29 2001-02-19 Genzyme Corporation Serial analysis of genetic alterations
US8076063B2 (en) 2000-02-07 2011-12-13 Illumina, Inc. Multiplexed methylation detection methods
US7582420B2 (en) 2001-07-12 2009-09-01 Illumina, Inc. Multiplex nucleic acid reactions
US7955794B2 (en) 2000-09-21 2011-06-07 Illumina, Inc. Multiplex nucleic acid reactions
MXPA02009431A (es) * 2000-03-29 2005-08-26 Cambia Metodos para la genotipificacion mediante analisis de hibridacion.
US6571005B1 (en) * 2000-04-21 2003-05-27 The Regents Of The University Of California Feature extraction and normalization algorithms for high-density oligonucleotide gene expression array data
AU2001257448A1 (en) * 2000-05-01 2001-11-12 Cold Spring Harbor Laboratory Use of representations of dna for genetic analysis
US20030087231A1 (en) * 2000-05-19 2003-05-08 Albertson Donna G. Methods and compositions for preparation of a polynucleotide array
US7846733B2 (en) 2000-06-26 2010-12-07 Nugen Technologies, Inc. Methods and compositions for transcription-based nucleic acid amplification
US6455255B1 (en) * 2000-08-02 2002-09-24 Abbott Laboratories Method of performing subtractive hybridization using RDA
US20030032020A1 (en) * 2000-08-21 2003-02-13 Sydney Brenner Polymorphic DNA fragments and uses thereof
US7807447B1 (en) 2000-08-25 2010-10-05 Merck Sharp & Dohme Corp. Compositions and methods for exon profiling
US6713257B2 (en) * 2000-08-25 2004-03-30 Rosetta Inpharmatics Llc Gene discovery using microarrays
US20030148273A1 (en) * 2000-08-26 2003-08-07 Shoulian Dong Target enrichment and amplification
AR031640A1 (es) * 2000-12-08 2003-09-24 Applied Research Systems Amplificacion isotermica de acidos nucleicos en un soporte solido
DE60142709D1 (de) 2000-12-13 2010-09-09 Nugen Technologies Inc Methoden und zusammensetzungen zur generierung einer vielzahl von kopien von nukleinsäuresequenzen und methoden zur detektion derselben
ZA200210369B (en) 2001-03-09 2004-07-08 Nugen Technologies Inc Methods and compositions for amplification or RNA sequences.
WO2002086163A1 (en) * 2001-04-20 2002-10-31 Karolinska Innovations Ab Methods for high throughput genome analysis using restriction site tagged microarrays
US9388459B2 (en) 2002-06-17 2016-07-12 Affymetrix, Inc. Methods for genotyping
US7424368B2 (en) 2002-11-11 2008-09-09 Affymetix, Inc. Methods for identifying DNA copy number changes
US10229244B2 (en) 2002-11-11 2019-03-12 Affymetrix, Inc. Methods for identifying DNA copy number changes using hidden markov model based estimations
US7822555B2 (en) 2002-11-11 2010-10-26 Affymetrix, Inc. Methods for identifying DNA copy number changes
US8232055B2 (en) 2002-12-23 2012-07-31 Agilent Technologies, Inc. Comparative genomic hybridization assays using immobilized oligonucleotide features and compositions for practicing the same
CA2512110A1 (en) 2002-12-31 2004-07-22 Mmi Genomics, Inc. Compositions, methods, and systems for inferring bovine breed
US20060183132A1 (en) * 2005-02-14 2006-08-17 Perlegen Sciences, Inc. Selection probe amplification
US20090124514A1 (en) * 2003-02-26 2009-05-14 Perlegen Sciences, Inc. Selection probe amplification
WO2004092418A2 (en) * 2003-04-14 2004-10-28 Nugen Technologies, Inc. Global amplification using a randomly primed composite primer
US20050026183A1 (en) * 2003-05-15 2005-02-03 Jian-Bing Fan Methods and compositions for diagnosing conditions associated with specific DNA methylation patterns
US8150627B2 (en) 2003-05-15 2012-04-03 Illumina, Inc. Methods and compositions for diagnosing lung cancer with specific DNA methylation patterns
US8150626B2 (en) * 2003-05-15 2012-04-03 Illumina, Inc. Methods and compositions for diagnosing lung cancer with specific DNA methylation patterns
JP2006525814A (ja) 2003-05-23 2006-11-16 コールド スプリング ハーバー ラボラトリー ヌクレオチド配列の実質的表示
US7211384B2 (en) 2003-05-28 2007-05-01 Agilent Technologies, Inc. Comparative genomic hybridization assays using immobilized oligonucleotide targets with initially small sample sizes and compositions for practicing the same
US20050053980A1 (en) * 2003-06-20 2005-03-10 Illumina, Inc. Methods and compositions for whole genome amplification and genotyping
US20050181394A1 (en) * 2003-06-20 2005-08-18 Illumina, Inc. Methods and compositions for whole genome amplification and genotyping
US20040259100A1 (en) * 2003-06-20 2004-12-23 Illumina, Inc. Methods and compositions for whole genome amplification and genotyping
US8321138B2 (en) 2005-07-29 2012-11-27 Agilent Technologies, Inc. Method of characterizing quality of hybridized CGH arrays
US20070031883A1 (en) * 2004-03-04 2007-02-08 Kincaid Robert H Analyzing CGH data to identify aberrations
CA2572450A1 (en) 2004-05-28 2005-12-15 Ambion, Inc. Methods and compositions involving microrna
EP2302055B1 (en) 2004-11-12 2014-08-27 Asuragen, Inc. Methods and compositions involving miRNA and miRNA inhibitor molecules
US20060110744A1 (en) 2004-11-23 2006-05-25 Sampas Nicolas M Probe design methods and microarrays for comparative genomic hybridization and location analysis
US20060134650A1 (en) * 2004-12-21 2006-06-22 Illumina, Inc. Methylation-sensitive restriction enzyme endonuclease method of whole genome methylation analysis
NZ564095A (en) 2005-05-10 2009-06-26 Oregon State Methods of mapping polymorphisms and polymorphism microarrays
WO2007030759A2 (en) 2005-09-07 2007-03-15 Nugen Technologies, Inc. Improved nucleic acid amplification procedure
GB0522310D0 (en) * 2005-11-01 2005-12-07 Solexa Ltd Methods of preparing libraries of template polynucleotides
GB0524069D0 (en) * 2005-11-25 2006-01-04 Solexa Ltd Preparation of templates for solid phase amplification
US8554488B2 (en) 2005-12-14 2013-10-08 Cold Spring Harbor Laboratory Determining a probabilistic diagnosis of autism by analysis of genomic copy number variations
WO2007070640A2 (en) * 2005-12-14 2007-06-21 Wigler Michael H Use of roma for characterizing genomic rearrangements
US11306351B2 (en) 2005-12-21 2022-04-19 Affymetrix, Inc. Methods for genotyping
EP2021503A1 (en) * 2006-03-17 2009-02-11 Solexa Ltd. Isothermal methods for creating clonal single molecule arrays
US7702468B2 (en) * 2006-05-03 2010-04-20 Population Diagnostics, Inc. Evaluating genetic disorders
US10522240B2 (en) 2006-05-03 2019-12-31 Population Bio, Inc. Evaluating genetic disorders
EP1857559A1 (en) * 2006-05-16 2007-11-21 INSERM (Institut National de la Santé et de la Recherche Médicale) A method for predicting responsiveness to TNF alpha blocking agents
EP2145001A2 (en) 2006-09-19 2010-01-20 Asuragen, Inc. Mir-15, mir-26, mir -31,mir -145, mir-147, mir-188, mir-215, mir-216 mir-331, mmu-mir-292-3p regulated genes and pathways as targets for therapeutic intervention
WO2008036765A2 (en) 2006-09-19 2008-03-27 Asuragen, Inc. Micrornas differentially expressed in pancreatic diseases and uses thereof
US8568979B2 (en) 2006-10-10 2013-10-29 Illumina, Inc. Compositions and methods for representational selection of nucleic acids from complex mixtures using hybridization
US20080102453A1 (en) * 2006-10-31 2008-05-01 Jayati Ghosh Methods and systems and analysis of CGH data
WO2008093098A2 (en) 2007-02-02 2008-08-07 Illumina Cambridge Limited Methods for indexing samples and sequencing multiple nucleotide templates
ES2374194T3 (es) * 2007-03-30 2012-02-14 Oryzon Genomics, S.A. Método de análisis de ácido nucleico para analizar el patrón de metilación de islas cpg en diferentes muestras.
US8200440B2 (en) 2007-05-18 2012-06-12 Affymetrix, Inc. System, method, and computer software product for genotype determination using probe array data
US20080293589A1 (en) * 2007-05-24 2008-11-27 Affymetrix, Inc. Multiplex locus specific amplification
US9388457B2 (en) 2007-09-14 2016-07-12 Affymetrix, Inc. Locus specific amplification using array probes
US8361714B2 (en) 2007-09-14 2013-01-29 Asuragen, Inc. Micrornas differentially expressed in cervical cancer and uses thereof
EP2053132A1 (en) 2007-10-23 2009-04-29 Roche Diagnostics GmbH Enrichment and sequence analysis of geomic regions
WO2009055708A1 (en) * 2007-10-26 2009-04-30 Perlegen Sciences, Inc. Selection probe amplification
WO2009070805A2 (en) * 2007-12-01 2009-06-04 Asuragen, Inc. Mir-124 regulated genes and pathways as targets for therapeutic intervention
US20090203531A1 (en) 2008-02-12 2009-08-13 Nurith Kurn Method for Archiving and Clonal Expansion
US9074244B2 (en) 2008-03-11 2015-07-07 Affymetrix, Inc. Array-based translocation and rearrangement assays
GB2470672B (en) 2008-03-21 2012-09-12 Nugen Technologies Inc Methods of RNA amplification in the presence of DNA
EP2990487A1 (en) 2008-05-08 2016-03-02 Asuragen, INC. Compositions and methods related to mirna modulation of neovascularization or angiogenesis
JP5575239B2 (ja) 2009-07-21 2014-08-20 ジェン−プローブ・インコーポレーテッド 拡張されたダイナミックレンジにわたる核酸配列の定量的検出のための方法および組成物
US9677139B2 (en) 2009-12-11 2017-06-13 Cold Spring Harbor Laboratory Genetic markers indicative of a cancer patient response to trastuzumab (herceptin)
EP3214174B1 (en) 2010-03-04 2019-10-16 InteRNA Technologies B.V. A mirna molecule defined by its source and its diagnostic and therapeutic uses in diseases or conditions associated with emt
CA2795815C (en) 2010-04-23 2018-06-26 Cold Spring Harbor Laboratory Novel structurally designed shrnas
NZ704322A (en) 2010-07-06 2016-07-29 Interna Technologies Bv Mirna and its diagnostic and therapeutic uses in diseases or conditions associated with melanoma, or in diseases or conditions associated with activated braf pathway
CN103392182B (zh) 2010-08-02 2017-07-04 众有生物有限公司 用于发现遗传疾病中致病突变的系统和方法
HUE039766T2 (hu) 2010-10-22 2019-02-28 Cold Spring Harbor Laboratory Nukleinsavak változatainak megszámlálása genom kópiaszám információ megszerzésére
CA2817882C (en) 2010-11-17 2022-08-23 Asuragen, Inc. Mirnas as biomarkers for distinguishing benign from malignant thyroid neoplasms
EP2474617A1 (en) 2011-01-11 2012-07-11 InteRNA Technologies BV Mir for treating neo-angiogenesis
US9222085B2 (en) 2011-02-03 2015-12-29 Mirna Therapeutics, Inc. Synthetic mimics of MIR-124
WO2012158238A2 (en) 2011-02-28 2012-11-22 University Of Iowa Research Foundation Anti-müllerian hormone changes in pregnancy and prediction ofadverse pregnancy outcomes and gender
US9644241B2 (en) 2011-09-13 2017-05-09 Interpace Diagnostics, Llc Methods and compositions involving miR-135B for distinguishing pancreatic cancer from benign pancreatic disease
US10221454B2 (en) 2011-10-10 2019-03-05 The Hospital For Sick Children Methods and compositions for screening and treating developmental disorders
WO2013063519A1 (en) 2011-10-26 2013-05-02 Asuragen, Inc. Methods and compositions involving mirna expression levels for distinguishing pancreatic cysts
WO2013063544A1 (en) 2011-10-27 2013-05-02 Asuragen, Inc. Mirnas as diagnostic biomarkers to distinguish benign from malignant thyroid tumors
EP2773779B1 (en) 2011-11-04 2020-10-14 Population Bio, Inc. Methods and compositions for diagnosing, prognosing, and treating neurological conditions
DK2812452T3 (da) 2012-02-09 2020-06-29 Population Bio Inc Fremgangsmåder og sammensætninger til screening og behandling af udviklingsforstyrrelser
WO2014007623A1 (en) 2012-07-03 2014-01-09 Interna Technologies B.V. Diagnostic portfolio and its uses
DK2895621T3 (da) 2012-09-14 2020-11-30 Population Bio Inc Fremgangsmåder og sammensætning til diagnosticering, prognose og behandling af neurologiske tilstande
CA2922005A1 (en) 2012-09-27 2014-04-03 Population Diagnostics, Inc. Methods and compositions for screening and treating developmental disorders
WO2014055117A1 (en) 2012-10-04 2014-04-10 Asuragen, Inc. Diagnostic mirnas for differential diagnosis of incidental pancreatic cystic lesions
WO2014151551A1 (en) 2013-03-15 2014-09-25 Baylor Research Institute Ulcerative colitis (uc)-associated colorectal neoplasia markers
US9868992B2 (en) 2013-03-15 2018-01-16 Baylor Research Institute Tissue and blood-based miRNA biomarkers for the diagnosis, prognosis and metastasis-predictive potential in colorectal cancer
CA2996445A1 (en) 2014-09-05 2016-03-10 Eli Hatchwell Methods and compositions for inhibiting and treating neurological conditions
US20180291460A1 (en) * 2015-10-07 2018-10-11 Mayo Foundation For Medical Education And Research Homologus Recombination Deficiency-Interstitial Aberration (HRD-IA) Assay
US10240205B2 (en) 2017-02-03 2019-03-26 Population Bio, Inc. Methods for assessing risk of developing a viral disease using a genetic test
CA3079524A1 (en) 2017-11-03 2019-05-09 Interna Technologies B.V. Mirna molecule, equivalent, antagomir, or source thereof for treating and/or diagnosing a condition and/or a disease associated with neuronal deficiency or for neuronal (re)generation
EP4177356A1 (en) 2018-08-08 2023-05-10 PML Screening, LLC Methods for assessing risk of developing a viral disease using a genetic test

Family Cites Families (39)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5721098A (en) * 1986-01-16 1998-02-24 The Regents Of The University Of California Comparative genomic hybridization
US5573933A (en) * 1987-04-14 1996-11-12 Luminis Pty, Ltd. Transgenic pigs
GB8810400D0 (en) * 1988-05-03 1988-06-08 Southern E Analysing polynucleotide sequences
US5143854A (en) * 1989-06-07 1992-09-01 Affymax Technologies N.V. Large scale photolithographic solid phase synthesis of polypeptides and receptor binding screening thereof
US6040138A (en) * 1995-09-15 2000-03-21 Affymetrix, Inc. Expression monitoring by hybridization to high density oligonucleotide arrays
JP2802125B2 (ja) 1989-06-23 1998-09-24 キヤノン株式会社 核酸の検出方法
US6013431A (en) * 1990-02-16 2000-01-11 Molecular Tool, Inc. Method for determining specific nucleotide variations by primer extension in the presence of mixture of labeled nucleotides and terminators
US5474796A (en) 1991-09-04 1995-12-12 Protogene Laboratories, Inc. Method and apparatus for conducting an array of chemical reactions on a support surface
IL103267A (en) * 1991-09-24 2004-07-25 Keygene Nv Process and kit for amplification of restriction fragment obtained from starting dna
US5632957A (en) * 1993-11-01 1997-05-27 Nanogen Molecular biological diagnostic systems including electrodes
ES2161715T3 (es) * 1992-03-04 2001-12-16 Univ California Hibridacion genomica comparativa (hgc).
US5436142A (en) 1992-11-12 1995-07-25 Cold Spring Harbor Laboratory Methods for producing probes capable of distingushing variant genomic sequences
US6277606B1 (en) 1993-11-09 2001-08-21 Cold Spring Harbor Laboratory Representational approach to DNA analysis
US20040197774A1 (en) 1992-11-12 2004-10-07 Michael Wigler Representational approach to DNA analysis
US6153379A (en) * 1993-06-22 2000-11-28 Baylor College Of Medicine Parallel primer extension approach to nucleic acid sequence analysis
US5710000A (en) * 1994-09-16 1998-01-20 Affymetrix, Inc. Capturing sequences adjacent to Type-IIs restriction sites for genomic library mapping
US5830645A (en) * 1994-12-09 1998-11-03 The Regents Of The University Of California Comparative fluorescence hybridization to nucleic acid arrays
US5569753A (en) * 1994-12-20 1996-10-29 Cold Spring Harbor Laboratory Cancer detection probes
US6350576B1 (en) 1994-12-20 2002-02-26 Cold Spring Harbor Laboratory Cancer detection probes
EP0721987A1 (en) * 1995-01-16 1996-07-17 Keygene N.V. Amplification of simple sequence repeats
US5871917A (en) * 1996-05-31 1999-02-16 North Shore University Hospital Research Corp. Identification of differentially methylated and mutated nucleic acids
US6119120A (en) 1996-06-28 2000-09-12 Microsoft Corporation Computer implemented methods for constructing a compressed data structure from a data string and for using the data structure to find data patterns in the data string
AU4174397A (en) * 1996-08-30 1998-03-19 Life Technologies, Inc. Methods for identification and isolation of specific nucleotide sequences in cdna and genomic dna
US5858671A (en) * 1996-11-01 1999-01-12 The University Of Iowa Research Foundation Iterative and regenerative DNA sequencing method
AUPO427996A0 (en) 1996-12-20 1997-01-23 Co-Operative Research Centre For Diagnostic Technologies Method for detecting a nucleotide at a specific location within a polynucleotide sequence and apparatus therefor
WO1998030721A1 (en) * 1997-01-10 1998-07-16 Pioneer Hi-Bred International, Inc. Hybridization-based genetic amplification and analysis
AU729134B2 (en) 1997-07-22 2001-01-25 Qiagen Genomics, Inc. Amplification and other enzymatic reactions performed on nucleic acid arrays
JP2001521754A (ja) 1997-10-30 2001-11-13 コールド スプリング ハーバー ラボラトリー Dna識別のためのプローブアレイ及びプローブアレイの使用方法
AU1603199A (en) 1997-12-03 1999-06-16 Curagen Corporation Methods and devices for measuring differential gene expression
JP2002501760A (ja) 1998-02-02 2002-01-22 アマーシャム・ファルマシア・バイオテック・アクチボラグ 核酸解析方法
US6287825B1 (en) * 1998-09-18 2001-09-11 Molecular Staging Inc. Methods for reducing the complexity of DNA sequences
EP1124990B1 (en) * 1998-10-27 2006-01-18 Affymetrix, Inc. Complexity management and analysis of genomic dna
US6465182B1 (en) * 1999-04-29 2002-10-15 The Regents Of The University Of California Comparative fluorescence hybridization to oligonucleotide microarrays
US6556549B1 (en) * 1999-07-02 2003-04-29 Qualcomm Incorporated Method and apparatus for signal combining in a high data rate communication system
AU2001257448A1 (en) 2000-05-01 2001-11-12 Cold Spring Harbor Laboratory Use of representations of dna for genetic analysis
US6455182B1 (en) * 2001-05-09 2002-09-24 Utc Fuel Cells, Llc Shift converter having an improved catalyst composition, and method for its use
JP2006525814A (ja) 2003-05-23 2006-11-16 コールド スプリング ハーバー ラボラトリー ヌクレオチド配列の実質的表示
US8554488B2 (en) 2005-12-14 2013-10-08 Cold Spring Harbor Laboratory Determining a probabilistic diagnosis of autism by analysis of genomic copy number variations
WO2007070640A2 (en) 2005-12-14 2007-06-21 Wigler Michael H Use of roma for characterizing genomic rearrangements

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013509198A (ja) * 2009-10-30 2013-03-14 ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア 細菌メタ構造および使用方法

Also Published As

Publication number Publication date
DK1032705T3 (da) 2012-03-26
AU753505B2 (en) 2002-10-17
EP1032705B1 (en) 2011-12-14
AU1449799A (en) 1999-05-24
US20050196799A1 (en) 2005-09-08
JP2001521754A (ja) 2001-11-13
CA2307674A1 (en) 1999-05-14
US20040137473A1 (en) 2004-07-15
WO1999023256A1 (en) 1999-05-14
CA2307674C (en) 2013-02-05
ATE537270T1 (de) 2011-12-15
US7531307B2 (en) 2009-05-12
US20050266444A1 (en) 2005-12-01
US8663917B2 (en) 2014-03-04
EP1032705A1 (en) 2000-09-06
EP1032705A4 (en) 2004-09-15

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CA2307674C (en) Probe arrays and methods of using probe arrays for distinguishing dna
US20220090058A1 (en) Methods of Detecting Analytes
US20230183788A1 (en) Oligonucleotide Paints
US7011949B2 (en) Methods and compositions for producing labeled probe nucleic acids for use in array based comparative genomic hybridization applications
EP3511423B1 (en) Methods and product for optimising localised or spatial detection of gene expression in a tissue sample
JP5957039B2 (ja) 全ゲノム増幅および遺伝型決定のための方法および組成物
US7247428B2 (en) Methods for rapid screening of polymorphisms, mutations and methylation
JP2006525814A (ja) ヌクレオチド配列の実質的表示
WO1996017958A1 (en) Comparative fluorescence hybridization to nucleic acid arrays
JP2004524044A (ja) 制限部位タグ付きマイクロアレイを用いたハイスループットゲノム解析方法
US6692915B1 (en) Sequencing a polynucleotide on a generic chip
EP1647602A1 (en) Array-based comparative genome hybridization assays
WO2001073134A2 (en) Gene profiling arrays
US20030049663A1 (en) Use of reflections of DNA for genetic analysis
US20060172314A1 (en) Quantification of amplified nucleic acids
US20070148636A1 (en) Method, compositions and kits for preparation of nucleic acids
WO2001083822A2 (en) Use of representations of dna for genetic analysis
JP2002532070A (ja) 核酸配列を解析するためのアレイおよび方法
US20080153094A1 (en) Reduction of nonspecific binding in nucleic acid assays and nucleic acid synthesis reactions
EP1647601A1 (en) Array-based comparative genome hybridization assays
US20060094022A1 (en) Array hybridization method including determination of completeness of restriction digest
Class et al. Inventors: Chao-Ting Wu (Brookline, MA, US) Chao-Ting Wu (Brookline, MA, US) George M. Church (Brookline, MA, US) Benjamin Richard Williams (Seattle, WA, US) Assignees: President and Fellows of Havard College
US20090149342A1 (en) Method for reduction of nonspecific binding in nucleic acid assays, nucleic acid synthesis and multiplex amplification reactions

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20090715

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100119

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20100413

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20100416

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100720

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20110419