JP2009228472A - 内燃機関の点火時期制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】点火時期モデルの学習の速さを変更することにより点火時期モデルを適切に学習し、以って、過大なノッキングの発生を回避し得る点火時期制御装置を提供すること。
【解決手段】フィードフォワード制御器A2は点火時期モデルθ^に負荷KL及び機関回転速度NEにより定まる運転状態量を表す関数ベクトルφを適用して点火時期SA(k)を決定する。補正量算出部A4は、8°燃焼割合MFB8を目標燃焼割合MFB8tgtと一致させるための補正量ΔSA(k)を算出する。点火時期モデル学習部A5は、補正量ΔSA(k)、共分散R及び共分散Q等を用い、カルマンフィルタ理論に基づく更新則(θ^(k+1)=θ^(k)+K(k)ΔSA(k))に基づいて点火時期モデルθ^を更新(学習)する。第2共分散計算部A8は、ノッキングが発生していると判定されているとき共分散Qを増大させ、点火時期モデルθ^の更新(学習)を迅速化させる。
【選択図】図3

Description

本発明は、点火時期モデルを修正(学習)する点火時期モデル学習手段を備え、修正(学習)された点火時期モデルを用いて点火時期を制御する内燃機関の点火時期制御装置に関する。
従来より、筒内圧検出手段により検出される筒内圧(燃焼室内の圧力)に基づいて燃焼割合MFB(Mass Fraction Burnt)を算出し、所定のクランク角度(例えば、圧縮上死点後のクランク角度8°)における燃焼割合MFBが目標燃焼割合(例えば、60%)と一致するように点火時期を制御すれば、内燃機関の発生するトルクを最大にすることができることが知られている。このように点火時期を制御すれば、製造される同一機種の内燃機関の間に個体差がある場合でも、各機関に対して適切な点火時期が設定され得る。従って、燃焼効率が改善され、機関の出力トルクを増大させることができる。
燃焼割合MFBは燃焼室内で発生する燃焼の状態を示す燃焼状態指標値である。燃焼割合MFBは図示熱量の割合と実質的に等価な値である。図示熱量の割合は、一回の燃焼行程に関して、「燃焼室において燃焼した総ての燃料によって発生した熱のうちピストンに対する仕事に変換された熱の総量Qtotalに対する、所定のタイミングまでに同燃焼室において燃焼した燃料によって発生した熱のうちピストンに対する仕事に変換された熱の積算量Qsumの割合Qsum/Qtotal」と定義される。燃焼割合MFBは、「燃焼室において燃焼した総ての燃料のうちピストンに対する仕事に寄与した燃料の総量に対する、所定のタイミングまでに同燃焼室において燃焼した燃料のうちピストンに対する仕事に寄与した燃料の積算量の割合」と定義される。
かかる点火時期制御装置の一つは、所定のクランク角度における実際の燃焼割合を取得するとともに、その取得した燃焼割合と目標燃焼割合との差が小さくなるように点火時期をフィードバック制御するようになっている(例えば、特許文献1を参照)。
特開平9−317522号公報
ところで、点火時期をフィードバック制御する場合、点火時期は、所定のクランク角度における実際の燃焼割合を取得するとともに、その取得した実際の燃焼割合と目標燃焼割合との間に差が生じた後でなければ修正されない。即ち、フィードバック制御は不可避的な制御遅れを伴う。そこで、内燃機関の運転状態を表す運転状態量(例えば、機関の負荷及び機関回転速度)と点火時期との関係を記述した関数である点火時期モデルを用いて点火時期を決定する手法が開発されて来ている。点火時期モデルは、種々の運転状態量に対して所定のクランク角度における燃焼割合が目標燃焼割合と一致するように予め適合される。これによれば、運転状態が急激に変化した場合であっても、点火時期は運転状態に応じて適切な点火時期へと迅速に変更され得る。
一方、個々の内燃機関の間には機体差(個体差)が存在する。更に、内燃機関の使用に伴って機関の特性は経時変化する。従って、予め適合された点火時期モデルにより、常に最適な点火時期を求めることはできない。そこで、所定のクランク角度における実際の燃焼割合が目標燃焼割合と一致するように(実際の燃焼状態指標値が目標燃焼状態指標値と一致するように)、点火時期モデルにより算出された点火時期を補正する補正量を求め、その補正量に基づいて点火時期モデルを学習によって修正する学習制御を実行することが考えられる。
このような学習制御を検討している本発明者は、上記補正量により補正された点火時期には正規分布に精度良く一致するバラツキが内在するとの知見を得た。そこで、本発明者は、上記補正量による補正後の点火時期に内在する上記バラツキを「カルマンフィルタ理論」に基く手法によりフィルタリングしながら点火時期モデルの修正(即ち、学習制御)を行うことを提案した。
しかしながら、本発明者は、点火時期モデルが理想的な点火時期モデルと乖離していて且つ学習制御による点火時期モデルの修正速度が十分に速くない場合、機関が急加速されるとき等の過渡運転状態において点火時期モデルに基づいて求められる点火時期が不適切な値となる場合があることを見いだした。このような場合、例えば、ノッキング又はトルク変動が発生する等の問題が生じる。これに対し、本発明者は、点火時期モデルの修正速度を必要以上に早く設定しておくと、学習制御により修正される点火時期モデルの変動が大きくなりすぎ、その結果、点火時期モデルに基づいて求められる点火時期が不適切な値となる場合があることも見いだした。
以上から、本発明の目的の一つは、点火時期モデルの学習制御による修正を適切な速度にて行うことにより、ノッキング等が発生し難い点火時期を設定できる点火時期制御装置を提供することにある。
上記目的を達成する本発明による内燃機関の点火時期制御装置は、
機関の運転状態量を実運転状態量φとして取得する運転状態量取得手段と、
点火時期モデルθ^に前記運転状態量取得手段により取得された実運転状態量φを適用することによりフィードフォワード点火時期SA(k)を決定するフィードフォワード制御手段と、を備える。点火時期モデルθ^は、前記機関の運転状態量を変数として同機関の点火時期を算出する関数により表されるモデルである。
更に、この点火時期制御装置は、指標値取得手段と、補正量取得手段と、点火時期モデル学習手段と、点火実行手段と、を備える。
前記指標値取得手段は、前記機関の燃焼室内で発生した燃焼の状態を表す燃焼状態指標値を取得する。
前記補正量取得手段は、前記指標値取得手段により取得された燃焼状態指標値と所定の目標燃焼状態を示す目標燃焼状態指標値との差に基いて同燃焼状態指標値を同目標燃焼状態指標値に近づけるための前記フィードフォワード点火時期SA(k)の補正量ΔSA(k)を取得する。
前記点火時期モデル学習手段は、前記フィードフォワード制御手段により決定されるフィードフォワード点火時期SA(k)が、「前記燃焼状態指標値を前記目標燃焼状態指標値に一致させる点火時期」である「理想点火時期」に近づくように、前記点火時期モデルθ^を前記補正量ΔSA(k)とカルマンフィルタ理論に基く更新則とによって修正する。
前記点火実行手段は、前記フィードフォワード制御手段により決定されるフィードフォワード点火時期SA(k)に応じた点火時期にて前記機関に供給される混合気を点火する。
加えて、この点火時期制御装置は、ノッキング判定手段と、共分散設定手段と、を備える。
前記ノッキング判定手段は、前記機関にノッキングが発生しているか否かを判定する。ノッキング判定手段は、前記機関の振動を検出する周知のノックセンサを含み、そのノックセンサからの出力に基づいてノッキングが発生しているか否かを判定するように構成され得る。代替として、ノッキング判定手段は、前記機関の燃焼室内の圧力である筒内圧を検出する筒内圧センサを含み、その筒内圧センサからの出力に基づいてノッキングが発生しているか否かを判定するように構成され得る。
前記共分散設定手段は、前記カルマンフィルタ理論に基づく更新則において前記点火時期モデルθ^の修正速度を変化させ得る値Qを、前記ノッキングが発生していると判定されている期間において増大させる。この値Qは、「前記フィードフォワード制御手段により決定されるフィードフォワード点火時期SA(k)が前記理想点火時期と一致する」ような「最適な点火時期モデル(点火時期モデルの真値θ)」が、一つの燃焼サイクルが経過する毎に所定変化分だけ変動すると仮定した場合の同所定変化分の共分散に対応する値である。
これによれば、カルマンフィルタ理論に基く更新則により点火時期モデルθ^を修正する際の速度(学習速度)を決定する因子である「共分散に対応する値Q」が、ノッキングが発生している場合に増大させられる。即ち、この制御装置は、ノッキングが発生している場合には、ノッキングが発生していない場合より、前記補正量ΔSA(k)がより短時間のうちに「0」に近づくように、点火時期モデルθ^を修正(学習)する。その結果、ノッキングを回避するように点火時期を設定することができる。
上記目的を達成する本発明による他の内燃機関の点火時期制御装置は、前記運転状態量取得手段と、前記フィードフォワード制御手段と、前記指標値取得手段と、前記補正量取得手段と、前記点火時期モデル学習手段と、前記点火実行手段と、を備える。
更に、この点火時期制御装置は、過渡運転状態判定手段と、共分散設定手段と、を備える。
この過渡運転状態判定手段は、前記機関の運転状態が過渡運転状態にあるか否かを判定する。例えば、機関の運転状態が、「アクセルペダル操作量、スロットル弁開度及び吸入空気量等」により表される機関の負荷が急増するような加速運転状態にある場合、過渡運転状態判定手段は、前記機関の運転状態が過渡運転状態にあると判定する。
また、共分散設定手段は、前述した値Qを、前記機関の運転状態が過渡運転状態にあると判定されている場合と過渡運転状態にないと判定されている場合とで異なる値に設定する。
このように構成された本発明による他の点火時期制御装置によれば、カルマンフィルタ理論に基く更新則により点火時期モデルθ^を修正する際の速度(学習速度)を決定する因子である「共分散に対応する値Q」が、過渡運転状態にある場合と定常運転状態(過渡運転状態以外の運転状態)にある場合とで異なる値に設定される。従って、この点火時期制御装置は、過渡運転状態において前記補正量ΔSA(k)がより短時間のうちに「0」に近づくように点火時期モデルθ^を修正(学習)することができる。更に、この点火時期制御装置は、定常運転状態において点火時期モデルθ^が振動的に修正(学習)されてしまうことを回避することができる。従って、各運転状態に応じて、点火時期モデルθ^を適切に修正することができる。なお、共分散に対応する値Qは、過渡運転状態にあると判定された場合に過渡運転状態にないと判定されている場合よりも大きい値に設定されることが望ましい。
上述した何れかの点火時期制御装置が用いる前記点火時期モデルθ^は、複数の係数を要素として有するベクトルによって表されるモデルであってもよい。以下、k回目のサイクルにおける値(行列、ベクトル、スカラー)を「変数の後ろに付される(k)」により表し、転置を上付き添え字Tにより表す。
この表現方法によると、前記フィードフォワード制御手段は、前記フィードフォワード点火時期SA(k)を次式により求めるように構成されている。φ(k)は取得された実運転状態量(機関回転速度及び機関負荷等)を変数とする関数ベクトルである。
SA(k)=φ(k)θ^(k)
前記点火時期モデル学習手段は、Kをカルマンゲインとするとき、前記カルマンフィルタ理論に基く更新則として次式を用いることにより、点火時期モデルθ^を更新するように構成されている。
θ^(k+1)=θ^(k)+K(k)ΔSA(k)
更に、前記共分散に対応する値Qは、
前記点火時期モデルθ^と同次元のベクトルをDとし、w(k)をスカラーの変数とするとき、次式により前記点火時期モデルの真値θが変動すると仮定し、
θ(k+1)=θ(k)+Dw(k)
且つ、前記変数w(k)がその平均値が0である正規分布を有すると仮定した場合の同変数w(k)の共分散である。
本発明による点火時期制御装置は、このようなカルマンフィルタ理論を用いた更新則の下で、共分散に対応する値Qをノッキングの有無又は過渡運転状態であるか否かに応じて変更する。その結果、ノッキング及びトルク変動等の発生を抑制することができる。
一方、前記指標値取得手段は、
前記機関の燃焼室内の圧力である筒内圧を取得する筒内圧取得手段と、
前記機関の燃焼室内で発生した燃焼の状態を表す燃焼状態指標値を前記取得された筒内圧に基いて取得する実指標値取得手段と、を含むことができる。
更に、
前記実指標値取得手段は、
前記燃焼状態指標値として圧縮上死点後の所定クランク角度A度の燃焼割合MFBであるA°燃焼割合MFBを前記取得された筒内圧に基いて取得するように構成され、
前記補正量取得手段は、
前記取得されたA°燃焼割合MFBと前記目標燃焼状態指標値として定められた目標燃焼割合MFBtgtの差ΔMFBに基づいて前記補正量ΔSA(k)を取得するように構成されることができる。
以下、本発明の実施形態に係る内燃機関の点火時期制御装置について図面を参照しつつ説明する。
(構成)
図1は、本発明の実施形態に係る点火時期制御装置(以下、単に「制御装置」と称呼することもある。)をピストン往復動型の火花点火式多気筒(4気筒)4サイクル内燃機関10に適用したシステムの概略構成を示している。なお、図1は、特定の気筒の断面のみを図示しているが、他の気筒も同様な構成を備えている。
この内燃機関10は、シリンダブロック、シリンダブロックロワーケース及びオイルパン等を含むシリンダブロック部20と、シリンダブロック部20の上に固定されるシリンダヘッド部30と、シリンダブロック部20にガソリン混合気を供給するための吸気系統40と、シリンダブロック部20からの排ガスを外部に放出するための排気系統50とを含んでいる。
シリンダブロック部20は、シリンダ21、ピストン22、コンロッド23及びクランク軸24を含んでいる。ピストン22はシリンダ21内を往復動し、ピストン22の往復動がコンロッド23を介してクランク軸24に伝達され、これによりクランク軸24が回転するようになっている。シリンダ21とピストン22の上面は、シリンダヘッド部30とともに燃焼室25を形成している。
シリンダヘッド部30は、燃焼室25に連通した吸気ポート31、吸気ポート31を開閉する吸気弁32、吸気弁32を開閉駆動する吸気弁制御装置33、燃焼室25に連通した排気ポート34、排気ポート34を開閉する排気弁35、排気弁35を駆動するエキゾーストカムシャフト36、点火プラグ37、点火プラグ37に与える高電圧を発生するイグニッションコイルを含むイグナイタ38及び燃料を吸気ポート31内に噴射するインジェクタ(燃料噴射手段)39を備えている。
吸気弁制御装置33は、インテークカムシャフトとインテークカム(図示せず)との相対回転角度(位相角度)を油圧により調整・制御する周知の構成を備え、吸気弁32の開弁時期(吸気弁開弁時期)を変更することができるようになっている。
吸気系統40は、吸気ポート31に連通し吸気ポート31とともに吸気通路を形成するインテークマニホールドを含む吸気管41、吸気管41の端部に設けられたエアフィルタ42、吸気管41内にあって吸気通路の開口断面積を可変とするスロットル弁43及びスロットル弁駆動手段を構成するDCモータからなるスロットル弁アクチュエータ43aを備えている。
排気系統50は、排気ポート34に連通したエキゾーストマニホールド51、エキゾーストマニホールド51に接続されたエキゾーストパイプ(排気管)52、上流側の三元触媒53及び下流側の三元触媒54を備えている。上流側の三元触媒53は、エキゾーストパイプ52に配設されている。下流側の三元触媒54は、上流側の三元触媒53の下流においてエキゾーストパイプ52に配設されている。排気ポート34、エキゾーストマニホールド51及びエキゾーストパイプ52は、排気通路を構成している。
一方、このシステムは、熱線式エアフローメータ61、スロットルポジションセンサ62、カムポジションセンサ63、クランクポジションセンサ64、各気筒に設けられた筒内圧センサ65、シリンダブロックの壁面であって各気筒に隣接した位置に設けられたノックセンサ66、第1触媒53の上流の排気通路に配設された空燃比センサ67、第1触媒53の下流であって第2触媒54の上流の排気通路に配設された空燃比センサ68及びアクセル開度センサ69を備えている。
熱線式エアフローメータ61は、吸気管41内を流れる吸入空気の単位時間あたりの質量流量を検出し、質量流量Gaを表す信号を出力するようになっている。スロットルポジションセンサ62は、スロットル弁43の開度を検出し、スロットル弁開度TAを表す信号を出力するようになっている。カムポジションセンサ63は、インテークカムシャフトが所定角度から90度、次いで90度、更に180度回転する毎に一つのパルスを出力するようになっている。この信号はG2信号とも称呼される。クランクポジションセンサ64は、クランク軸24が10度回転する毎に幅狭のパルスを出力するとともに、クランク軸24が360度回転する毎に幅広のパルスを出力するようになっている。クランクポジションセンサ64から出力されるパルスはエンジン回転速度NEを表す信号に変換されるようになっている。更に、カムポジションセンサ63及びクランクポジションセンサ64からの信号に基いて、機関10のクランク角度(所定気筒の圧縮上死点からのクランク角度、即ち、絶対クランク角度)が求められるようになっている。
筒内圧センサ65は、それが取り付けられた燃焼室25内の圧力を検出し、筒内圧Pcを表す信号を出力するようになっている。ノックセンサ66は、その取り付け位置に対応する燃焼室25内の燃焼によって発生するノッキングに基く振動Kcを表す信号を出力するようになっている。
上流側空燃比センサ67及び下流側空燃比センサ68は、触媒53の上下流の空燃比をそれぞれ検出し、その上下流の空燃比を表す信号をそれぞれ出力するようになっている。アクセル開度センサ69は、運転者によって操作されるアクセルペダル81の操作量を検出し、アクセルペダル81の操作量Accpを表す信号を出力するようになっている。
電気制御装置70は、互いにバスで接続された「CPU71、CPU71が実行するルーチン(プログラム)、テーブル(ルックアップテーブル、マップ)及び定数等を予め記憶したROM72、CPU71が必要に応じてデータを一時的に格納するRAM73、電源が投入された状態でデータを格納するとともに格納したデータを電源が遮断されている間も保持するバックアップRAM74、並びに、ADコンバータを含むインターフェース75等」からなるマイクロコンピュータである。インターフェース75は、前記センサ61〜69と接続され、CPU71にセンサ61〜69からの信号を供給するようになっている。インターフェース75は、CPU71の指示に応じて吸気弁制御装置33、インジェクタ39及びスロットル弁アクチュエータ43aに駆動信号を送出するとともに、イグナイタ38に点火信号を送出するようになっている。なお、CPU71は、アクセルペダル81の操作量Accpが大きいほどスロットル弁43の開度が大きくなるようにスロットル弁アクチュエータ43aに駆動信号を送出するようになっている。
(制御の概要)
次に、上記のように構成された内燃機関10の点火時期制御装置(制御装置)により行われる点火時期制御の概要について説明する。この制御装置は、取得した燃焼割合MFBを用いて点火時期モデルを変更する。まず、燃焼割合MFB及びその取得方法について述べ、次に、点火時期制御の内容について述べる。
<実際の燃焼割合MFBの推定(取得)>
上述のように定義された燃焼割合MFBは上述のように定義された図示熱量の割合Qsum/Qtotalを表す値として推定(取得)される。燃焼割合MFB及び図示熱量の割合は、何れも機関10の燃焼状態を示す燃焼状態指標値である。燃焼割合MFBを筒内圧センサ65によって検出された筒内圧Pcから求める手法の詳細は、例えば、特開2006−144645号公報に開示されているので、以下、その概略について述べる。
本例において、燃焼割合MFBは所定のタイミングを表すクランク角度A°に対応して求められる。クランク角度A°における燃焼割合MFBをA°燃焼割合MFBAと表す。このクランク角度A°は圧縮上死点において0となり、圧縮上死点から吸気下死点点前(即ち、吸気下死点)に向って進角するほど絶対値が大きくなる負の値をとり、圧縮上死点から圧縮上死点後(即ち、膨張下死点)に向って遅角するほど絶対値が大きくなる正の値をとるように定義される。例えば、A°=−A1°(A1>0)であることは、クランク角度がBTDC A1°であることを示す。A=A2°(A2>0)であることは、クランク角度がATDC A2°であることを示す。なお、本明細書において、BTDC X°(X>0)とは圧縮上死点前X°クランク角を意味し、ATDC X°(X>0)とは圧縮上死点後X°クランク角を意味する。
クランク角度A°における燃焼割合A°MFBAは、下記の(1)式により推定される。(1)式において、クランク角度As(As<0)は、対象とする燃焼行程(膨張行程)に向う圧縮行程において吸気弁32及び排気弁35の両方が閉じた状態にあり且つ点火時期よりも十分に進角した時期(例えば、As=−60°、即ち、BTDC 60°)である。クランク角度Ae(Ae>0)は、対象とする燃焼行程における燃焼が実質的に終了する最も遅い時期よりも遅い所定の時期且つ排気弁開弁時期よりも進角した時期(例えば、Ae=60°、即ち、ATDC 60°)である。
Figure 2009228472
この(1)式は、発生した熱のうちピストンに対する仕事に寄与した熱の積算量の変化パターンがPc(A)V(A)κの変化パターンと概ね一致するという知見に基いている。Pc(A)はクランク角度A°における筒内圧、V(A)はクランク角度A°における燃焼室25の容積、κは混合ガスの比熱比(例えば、1.32)である。なお、(1)式の分母はMFBの100%に相当する値である。
<点火時期制御の基本的内容>
次に、本制御装置による点火時期制御の基本的内容について説明する。
図2は、点火時期SAと、8°燃焼割合MFB8と、機関10の発生トルクTRQと、の関係を示したグラフである。8°燃焼割合MFB8とは、クランク角度θが圧縮上死点後8°(=ATDC 8°)にあるときの燃焼割合MFBである。図2から明らかなように、発生トルクTRQが最大となる8°燃焼割合MFB8は約60%(図2の領域Aを参照。)である。従って、制御装置は、8°燃焼割合MFB8(燃焼状態指標値)が所定の目標値MFB8tgt(例えば、60%近傍の値、目標燃焼状態指標値)となるように、点火時期モデルを使用しながら点火時期を制御する。これにより、製造された機関10の間に個体差が存在している場合でも、各機関10に対して適切な点火時期が設定され得る。従って、燃焼効率が改善され、機関10の出力トルクを増大させることができる。なお、燃焼状態指標値は、8°燃焼割合MFB8に限定されず、例えば、6°燃焼割合MFB6、或いは、10°燃焼割合MFB10等であってもよい。即ち、点火時期制御の指標となる燃焼状態指標値は、燃焼の途中(燃焼の中期〜後期)の所定クランク角度(通常、圧縮上死後所定クランク角)における燃焼割合MFBであればよい。また、目標値は60%とは限らず、例えば、50%〜70%の中の値であってもよい。
<点火時期制御の具体的内容>
上述した点火時期制御を実行するための制御装置は、図3に示した複数の機能ブロック(機能達成部)を有する。各機能ブロックの機能は実際にはCPU71が所定のプログラムを実行することにより達成される。以下、各機能ブロックの作動を順に説明する。本明細書において、変数の後に付与される(k)又は下付き添え字kは、その変数がある特定の気筒において次に発生する燃焼行程(即ち、今回の燃焼行程)に対する変数(k回目のサイクルにおける変数)であることを示す。従って、(k−1)又は下付き添え字k−1が付与された変数は、その特定の気筒における前回の燃焼行程(既に終了した直前の燃焼行程、即ち、前回のサイクルであるk−1回目のサイクル)に対する変数である。(k+1)又は下付き添え字k+1が付与された変数は、その特定の気筒における次回の燃焼行程(今回の燃焼行程の次の燃焼行程、即ち、k+1回目のサイクル)に対する変数である。また、点火時期SA(SA>0)とは、点火がBTDC SA°(圧縮上死点前のクランク角度SA°)において行われることを意味する。以下に説明する制御は特定気筒に対して実行されるが、他の気筒に対しても同様な制御が実行される。
運転状態量取得部A1は、機関10の運転状態を表す量(運転状態量)を取得するようになっている。運転状態量は、燃焼状態に影響を及ぼす運転パラメータであり、本例において、機関10の負荷KL(k)及び機関回転速度NE(k)である。負荷KL(k)は燃焼室25に吸入された空気の重量(筒内空気重量)に比例する値(充填効率)であり、エアフローメータ61の検出する質量流量Ga及び機関回転速度NEにより求められる。具体的には、充填効率は、例えば、現時点において吸気行程の直前にある気筒に吸入される筒内吸入空気量(単位は(g))を、空気密度ρ(単位は(g/l))及び機関の一気筒あたりの排気量L(単位は(l))により除すことによって求められる。また、機関回転速度NE(k)は現時点において検出される機関回転速度NEである。ここでは、現時点から後述する点火時期SA(k)までの間に、負荷KL(k)及び機関回転速度NE(k)は大きく変化しないものとして扱われている。運転状態量取得部A1は、遅延部A1aを通して負荷KL(k−1)及び機関回転速度NE(k−1)を点火時期モデル学習部A5に送出するようになっている。
なお、運転状態量取得部A1は、負荷KLを求めるための筒内吸入空気量を、空気の挙動を記述した周知の空気モデルにより取得するように構成されていてもよい。また、運転状態量取得部A1は、負荷KLを、アクセルペダル81の操作量Accp及びスロットル弁開度TA等と機関回転速度NEとに基いて取得するように構成されていてもよい。更に、運転状態量取得部A1は、VVT進角量VVT(k)等の他の運転状態量を取得するように構成されてもよい。
フィードフォワード制御器A2は、機関10の運転状態量(負荷KL(k)及び機関回転速度NE(k))に基き、点火時期モデルを用いて点火時期SA(k)を算出するようになっている。本制御装置においては、フィードフォワード制御器A2により算出された点火時期SA(k)が今回のサイクルにおける実際の点火時期として使用される。即ち、本制御装置は、フィードフォワード制御器A2により算出された点火時期SA(k)に応じた点火時期にて機関10に供給される混合気を点火する点火実行手段を備えている。
より具体的に述べると、フィードフォワード制御器A2は機関10のサイクル毎(即ち、720°クランク角が経過する毎であって、例えば、クランク角が特定気筒の圧縮上死点前 180°クランク角となったとき)に下記(2)式に従って点火時期SAを算出するようになっている。
Figure 2009228472
但し、上記(2)式中、φは負荷KL及び機関回転速度NEにより定まる関数ベクトル(関数行列)である。即ち、φは、運転状態量取得部A1によりもたらされる機関の運転状態量を表す実運転状態量φである。θ^は点火時期モデルに相当する係数ベクトル(関数行列)である。以下、この係数ベクトルθ^を点火時期モデルθ^と称呼する。また、本明細書において上付き添え字「
」は、転置を意味する。
上記(2)式は、より詳細には下記(3)式のように表される。この(3)式において、値a、b、c及びdは、それぞれ所定の定数である。
Figure 2009228472
この(3)式に示した例において、点火時期モデルθ^は、θ0123の4つの要素(係数)からなる4次元ベクトルである。後述するように、点火時期モデルθ^は、点火時期モデル学習部A5によって機関10のサイクル(一燃焼サイクル、720度クランク角)毎に更新される。
実燃焼割合計算部A3は、筒内圧センサ65により検出された筒内圧Pcと、カムポジションセンサ63及びクランクポジションセンサ64から得られるクランク角と、を入力するとともに、上記(1)式に対応する下記(4)式に従って「前回の燃焼行程中のATDC8°における8°燃焼割合MFB8(k−1)」を算出するようになっている。(4)式における右辺の各値は、総て前回のサイクルにおいて得られた値である。なお、前述したように、8°とはATDC 8°、−60°とはBTDC 60°、60°とはATDC 60°をそれぞれ意味する。以下、このようにして取得される8°燃焼割合MFB8(k−1)を実燃焼割合MFB8(k−1)とも称呼する。なお、実燃焼割合計算部A3は、機関10の燃焼室25内で発生した燃焼の状態を表す燃焼状態指標値(8°燃焼割合MFB8(k−1))を取得された筒内圧Pcに基いて取得する実指標値取得手段を構成している。
Figure 2009228472
補正量算出部A4は、実燃焼割合計算部A3により計算された実燃焼割合MFB8(k−1)と目標燃焼割合MFB8tgt(本例では60%=MFBtgt)との差d(k)(=ΔMFB)を求めるようになっている。更に、補正量算出部A4は、その求めた差d(k)に基づいてPI制御(又はPID制御)を実行し、補正量ΔSA(k)を算出するようになっている。補正量ΔSA(k)は、「フィードフォワード制御器A2によって算出された点火時期SA(k)」を「どれだけ補正するべきであるかを表す量」である。即ち、補正量ΔSA(k)は「点火時期モデルによって算出(予測)された点火時期」と「理想的な点火時期(即ち、8°燃焼割合MFB8を目標燃焼割合MFB8tgtに一致させることができるような点火時期)」との誤差を表している。従って、補正量ΔSAは「予測誤差」と考えることができる。
より具体的に述べると、補正量算出部A4は、下記(5)式及び下記(6)式に基いて補正量ΔSA(k)を算出する。(5)式のKpは比例定数であり、Kiは積分定数である。Sd(k)は差d(k)の積分値であり、下記(6)式に基いて求められる。
Figure 2009228472
Figure 2009228472
ところで、フィードフォワード制御器A2によって算出された点火時期SA(k)を補正量ΔSA(k)によって補正することにより得られる点火時期を、今回の点火時期として使用することが考えられる。しかしながら、そのような場合、補正量ΔSA(k)は前回の点火時期SA(k−1)に基づく燃焼の結果(即ち、8°燃焼割合MFB8(k−1))をフィードバックした値であるから、補正量ΔSA(k)自体は真の補正量ΔSAtとは相違する。ここで、真の補正量ΔSAtとは、点火時期SA(k)を上記理想的な点火時期に補正するための補正量を意味する。
そこで、本制御装置は、点火時期モデル学習部A5を備える。点火時期モデル学習部A5は、補正量ΔSA(k)が小さくなるようにフィードフォワード制御器A2の「点火時期モデルθ^」を修正する「学習制御」を実行するようになっている。これにより、フィードフォワード制御器A2から出力される点火時期SA(k)が上述した「理想的な点火時期」に近づく。この結果、機関10が過渡運転状態にあるような場合でも、点火時期を応答性良く適切に変化させることができる。
このような学習制御を行う場合、補正量ΔSA(k)に含まれるバラツキ(ノイズ、誤差)を考慮しなければならない。即ち、サイクル毎に得られる補正量ΔSA(k)が誤差を含んでいない正しい値であるとの前提に立って点火時期モデルθ^を修正することは適切ではない。
そこで、点火時期モデル学習部A5は、カルマンフィルタ理論を応用して点火時期モデルθ^を修正(学習・更新)する。カルマンフィルタ理論は、一般に、システムの状態推定を行うために用いられるフィルタリング理論である。カルマンフィルタ理論によれば、システムや観測に加わる雑音(白色雑音)を適切にフィルタリングすることができるので、最適な状態推定を行うことができる。
本発明者は、このようなカルマンフィルタ理論を点火時期制御に応用することを検討した結果、補正量ΔSA(k)に生じるバラツキ(雑音)はカルマンフィルタ理論によってフィルタリングすることができる雑音と同種の雑音であるとの知見を得た。そこで、点火時期モデル学習部A5は、補正量ΔSA(k)、前回の運転状態量(負荷KL(k−1)及び機関回転速度NE(k−1))、共分散R、並びに、共分散Q等と、カルマンフィルタ理論と、に基づいて点火時期モデルθ^を修正する。
より具体的に述べると、機関10の運転状態が変化していない場合であっても、燃焼室25内における混合気の燃焼状態はサイクル毎に変動する。このような燃焼状態の変動は、混合気の空燃比の変動、筒内に残留しているガスの量及び温度の変動、及び、燃焼室内の混合気の攪拌状態の変化等がサイクル毎に発生するためであると推定される。即ち、補正量ΔSA(k)のバラツキは、このような燃焼状態の変動に起因して発生すると考えられる。従って、補正量ΔSA(k)のバラツキは正規分布に略一致すると考えられる。このことから、カルマンフィルタ理論に従って構築された点火時期モデル学習部A5は、補正量ΔSA(k)に含まれるバラツキを適切にフィルタリングしながら点火時期モデルを修正することができる。その結果、フィードフォワード制御器(点火時期モデル)A2により算出される点火時期SA(k)が最適な点火時期(理想的な点火時期)に近づく。
以下、点火時期モデル学習部A5が採用している学習制御について説明を加える。
点火時期モデル学習部A5は、下記の(7)式により表された「カルマンフィルタ理論を応用した点火時期モデルの更新則」に従って点火時期モデルθ^を修正(更新・学習)する。この(7)式の値K(=K(k))は「カルマンゲイン」と称呼される。前述したように補正量ΔSA(k)は「予測誤差」と考えることができるので、(7)式は予測誤差ΔSA(k)にカルマンゲインK(k)を乗じた値を今回のサイクルにおける点火時期モデルθ^(k)に加算することにより、今回の次のサイクル(次回のサイクル)における点火時期モデルθ^(k+1)が算出されることを表している。
Figure 2009228472
ここで、上記(7)式中のカルマンゲインK(k)の導出過程について説明する。
いま、点火時期モデルθ^の真値をθとする。点火時期モデルの真値θは、実際には知り得ない最適(理想的)な点火時期モデルである。点火時期モデルθ^を点火時期モデルの真値θに一致させることができれば、フィードフォワード制御器A2により決定されるフィードフォワード点火時期SA(k)が前記理想点火時期と一致する。
この点火時期モデルの真値θは、内燃機関10の経時変化及び運転環境の変化等に応じてサイクル毎に変化すると考えることができる。いま、Dw(k)を、内燃機関10の経時変化及び運転環境の変化等に起因して変化する「点火時期モデルの真値θのサイクル毎の変化」に相当する値であるとすると、下記の(8)式が成立する。なお、この変化Dw(k)における「D」は点火時期モデルθ^と同次元のベクトルであり(Dについては後述する(19)式を参照。)、「w(k)」はスカラー(変数)である。
Figure 2009228472
ところで、補正量ΔSA(k)は「実燃焼割合MFB8を目標燃焼割合MFB8tgtに一致させるためのフィードバック量であると言うこともできる。従って、下記の(9)式に従って定められる点火時期S(k)を仮想フィードバック点火時期S(k)と称呼する。
Figure 2009228472
一方、点火時期モデルの真値θによって算出されるべき点火時期(実際には知り得ない最適な点火時期)φ(k)θ(k)と、仮想フィードバック点火時期S(k)と、の間に存在する誤差をn(k)とすると、下記の(10)式が成立する。
Figure 2009228472
以上から、点火時期モデルの真値θと実際の点火時期モデルθ^との誤差、即ち、「モデル誤差θ」は、下記の(11)式のように表される。なお、(11)式を導くにあたり、上記(7)〜(10)式を使用した。
Figure 2009228472
本発明者は、種々の検討により、点火時期モデルの真値θの変化Dw(k)は、ランダムウォーク(酔歩)であるとの知見を得た。更に、上記(10)式における誤差n(k)は測定雑音等に起因するランダムな外乱であると考えられる。そこで、発明者は、w(k)は平均値が0で共分散Qの「正規分布」を有すると扱えるとの判断に至った。更に、発明者は、n(k)は平均値が0で共分散Rを有し、かつ、「w(k)とは独立した正規分布」を有するものとして扱えるとの判断に至った。即ち、発明者は、w(k)及びn(k)を、下記の(12)式及び(13)式のように定義した。
Figure 2009228472
Figure 2009228472
なお、上記(12)式及び(13)式を含め、本明細書において記号「E[ ]」は、平均値(期待値)を表す。
カルマンフィルタ理論においては、モデル誤差θの共分散行列(以下、「モデル誤差共分散行列」と称呼する。)P(k)が最小となるようにカルマンゲインK(k)を求める。モデル誤差共分散行列P(k)は下記の(14)式により表される。
Figure 2009228472
従って、上記(11)式乃至(14)式から、モデル誤差共分散行列P(k+1)は下記の(15)式に示したように計算される。
Figure 2009228472
上記(15)式より、モデル誤差共分散行列P(k+1)を最小とするには、カルマンゲインK(k)を下記(16)のように定めれば良いことが解る。
Figure 2009228472
カルマンゲインK(k)を(16)式のように定めた場合、モデル誤差共分散行列P(k+1)は、下記(17)式により表される。
Figure 2009228472
いま、w(k)の共分散Q及びn(k)の共分散Rが定められれば、上記(17)式からP(k)を求めることができる。但し、P(k)を求める際、(17)式の左辺の(k+1)を(k)に置換し、右辺の(k)を(k−1)に置換する。この結果、上記(16)式からカルマンゲインK(k)を求めることができる。そこで、以下において共分散Q及び共分散Rについて述べる。
w(k)の共分散Qは、カルマンフィルタ理論を応用した上述の点火時期モデルの更新(学習)において、言わばフィードバック制御のゲインに相当する役割を担う。即ち、カルマンフィルタ理論を応用した上述の点火時期モデルの更新において、共分散Qを大きくすると点火時期モデルの一回の更新における変化量は大きくなり、共分散Qを小さくすると点火時期モデルの一回の更新における変化量は小さくなる。
このw(k)の共分散Qは、上記(8)式から理解されるように、点火時期モデルの真値θのバラツキ度合いと相関関係を有する値である。カルマンフィルタ理論を応用した上述の点火時期モデルの更新の際、共分散Qを比較的小さい値に設定することは、点火時期モデルの真値θのバラツキ度合い(変動の程度)が比較的小さいと想定することに相当する。従って、共分散Qが比較的小さい値に設定された場合、点火時期モデルθ^は変動が小さいと想定された点火時期モデルの真値θに追従する。その結果、点火時期モデルθ^の一回の更新量は小さくなるが、点火時期モデルθ^は複数回の学習を経て点火時期モデルの真値θに速やかに近づき且つ収束するように修正される。
これに対し、カルマンフィルタ理論を応用した上述の点火時期モデルの更新の際、共分散Qを比較的大きい値に設定することは、点火時期モデルの真値θのバラツキ度合い(変動の程度)が比較的大きいと想定することに相当する。従って、共分散Qが比較的大きい値に設定された場合、点火時期モデルθ^は変動が大きいと想定された点火時期モデルの真値θに追従する。その結果、点火時期モデルθ^の一回の更新量は大きくなるが、点火時期モデルθ^は振動(変動)し易くなる。従って、点火時期モデルθ^が収束するまでの時間は長くなる。
このように、共分散Qを変更することにより点火時期モデルθ^の修正速度(変化速度)を変更することができる。そこで、後述するように、本制御装置は共分散Qをノッキングの有無(又は、ノッキングの程度)に応じて変更することにより、急加速時等のノッキングが発生している期間において点火時期モデルθ^を言わば強制的に(点火時期モデルθ^の学習による収束性は多少悪化しても一時的にノッキングを回避できるように)且つ迅速に変化させ、それにより点火時期SA(k)を過大なノッキングが発生しない適切な点火時期に近づける。
n(k)の共分散Rは、上記(10)式から理解されるように、仮想フィードバック点火時期S(k)のバラツキを表す。本制御装置は、図3に示した第1共分散計算部A6により、共分散Rを機関10のサイクル毎に逐次計算する。なお、共分散Rは予め定められた一定値に設定されてもよい。
第1共分散計算部A6は過去Nサイクル分の「仮想フィードバック点火時期S(k)」の共分散Rを機関10のサイクル毎に逐次算出し、その値(共分散R)を点火時期モデル学習部A5に出力するようになっている。値Nは仮想フィードバック点火時期S(k)の共分散Rを十分な精度にて算出することができるようなサイクル数となるように予め設定されている。以下、第1共分散計算部A6の作動についてより具体的に説明する。
一般に、変数xiの過去N個分についての共分散Vkは、下記の(18)式により算出することができる。
Figure 2009228472
従って、第1共分散計算部A6は、上記(18)式の変数xiに「仮想フィードバック点火時期S(i)」を代入し、得られた共分散Vkを上記共分散Rとして使用する。
ノッキング判定部A7は特定気筒に対して設けられているノックセンサ66から振動Kcを入力し、その振動Kcの振幅が所定の閾値(ノック判定閾値)を超えたか否かを判定するようになっている。そして、ノッキング判定部A7は、その振動Kcの振幅が所定の閾値を超えたと判定した場合、特定気筒においてノッキングが発生している旨を表す信号を出力するようになっている。一方、ノッキング判定部A7は、その振動Kcの振幅が所定の閾値を超えないと判定した場合、特定気筒においてノッキングが発生していない旨を表す信号を出力するようになっている。
第2共分散計算部A8は、ノッキング判定部A7から「特定気筒においてノッキングが発生しているか否か」を示す信号と、スロットル弁開度TA(k)を表す信号と、を入力するようになっている。そして、第2共分散計算部A8は、図4に示したフローチャートに従って、上述した共分散Qを算出し、算出した共分散Qを点火時期モデル学習部A5に出力するようになっている。
ここで、第2共分散計算部A8の具体的作動について、図4を参照しながら説明する。第2共分散計算部A8(実際には、電気制御装置70のCPU71)は、サイクル毎(720°クランク角が経過する毎)にステップ400から処理を開始し、ステップ405に進んで現時点のスロットル弁開度TAの単位時間あたりの変化量ΔTAが閾値(過渡判定閾値、加速判定閾値)ΔTAthより大きいか否かを判定する。この変化量ΔTAは図示しないルーチンにより現時点のスロットル弁開度TAから単位時間前のスロットル弁開度TAoldを減じることにより求められている(ΔTA=TA−TAold)。
このとき、変化量ΔTAが閾値ΔTAth以下であると、第2共分散計算部A8はステップ405にて「No」と判定してステップ410に進み、共分散Qに定常時共分散Qtjを格納する。この定常時共分散Qtjは、定常時において点火時期モデルθ^が安定的に修正(学習)される値に予め設定されている。この結果、変化量ΔTAが閾値ΔTAth以下である定常運転時において、点火時期モデルθ^は穏やかに更新されて行く。その後、第2共分散計算部A8はステップ495に進み、本ルーチンを一旦終了する。
一方、加速運転が行われることにより変化量ΔTAが閾値ΔTAthより大きくなると、第2共分散計算部A8はステップ405にて「Yes」と判定してステップ415に進み、所定時間前におけるスロットル弁開度の変化量ΔTAoldが閾値ΔTAth以下であるか否かを判定する。変化量ΔTAoldは、前述した単位時間あたりのスロットル弁開度の変化量ΔTAを算出するルーチンにおいてRAM73内に格納されている。このステップ415の判定が「Yes」であることは、機関10の運転状態が定常運転状態から過渡(加速)運転状態へと移行した直後であることを意味する。
いま、所定時間前におけるスロットル弁開度の変化量ΔTAoldが閾値ΔTAth以下であるとすると、第2共分散計算部A8はステップ415にて「Yes」と判定してステップ420に進み、共分散Qに過渡時(加速時)共分散の初期値Qktを格納する。この過渡時共分散Qktは定常時共分散Qtjよりも大きい値に予め設定されている。この結果、過渡運転状態になると、点火時期モデルθ^は定常運転時よりも素早く更新されて行く。
次に、第2共分散計算部A8はステップ425に進み、ノッキング判定部A7からの「特定気筒においてノッキングが発生しているか否か」を示す信号に基づいて、特定気筒にノッキングが発生しているか否かを判定する。
このとき、特定気筒にノッキングが発生していると、第2共分散計算部A8はステップ425にて「Yes」と判定してステップ430に進み、現時点の共分散Qに正の所定値αを加えた値を新たな共分散Qとして設定する。即ち、第2共分散計算部A8は、共分散Qを増大させる。次いで、第2共分散計算部A8はステップ435に進み、ステップ430にて更新した共分散Qが所定の上限値γ以上とならないように共分散Qを上限値γにて制限する。その後、第2共分散計算部A8はステップ495に進んで本ルーチンを一旦終了する。上限値γは過渡時(加速時)共分散の初期値Qktより大きい値に設定されている。
このように、特定気筒にノッキングが発生していると共分散Qは増大させられる。従って、点火時期モデルθ^は比較的速く変更される(即ち、点火時期モデルθ^の感度が高くなる。)。
一方、第2共分散計算部A8がステップ425に進んだとき、特定気筒にノッキングが発生していないと、第2共分散計算部A8はステップ425にて「No」と判定してステップ445に進み、現時点の共分散Qから正の所定値βを減じた値を新たな共分散Qとして設定する。即ち、第2共分散計算部A8は、共分散Qを減少させる。次いで、第2共分散計算部A8はステップ450に進み、ステップ445にて更新した共分散Qが下限値ε以下とならないように共分散Qを下限値εにて制限する。下限値εは0以上の値である。その後、第2共分散計算部A8はステップ495に進んで本ルーチンを一旦終了する。
このように、特定気筒にノッキングが発生していないとき共分散Qは減少されられる。従って、点火時期モデルθ^は比較的穏やかに変更される(即ち、点火時期モデルθ^の感度が鈍くなる。)。
<点火時期モデルの学習・更新>
次に、上述した点火時期モデル学習部A5が点火時期モデルθ^を学習・更新する際に行う実際の作動について図5にフローチャートにより示したルーチンを参照しながら説明する。
点火時期モデル学習部A5(実際にはCPU71)は、機関10のサイクル毎(即ち、720°クランク角が経過する毎であって、例えば、クランク角が特定気筒のBTDC180°に一致する毎)に、ステップ500から処理を開始し、以下に述べるステップ510乃至ステップ540の処理を順に行い、ステップ595に進んで本ルーチンを一旦終了する。
ステップ510:点火時期モデル学習部A5は、負荷KL(k−1)及び機関回転速度NE(k−1)に基づいて関数ベクトルφ(k−1)を算出する。関数ベクトルφ(k−1)の各要素は、上記(3)式に例示したとおりである。負荷KL(k−1)及び機関回転速度NE(k−1)は、それぞれ前回のサイクルの点火時期SA(k−1)を求める最際に使用された負荷KL及び機関回転速度NEである。
ステップ520:点火時期モデル学習部A5は、上記(17)式に従ってモデル誤差共分散行列P(k−1)を更新することによりモデル誤差共分散行列P(k)を算出する。このとき、点火時期モデル学習部A5は、(17)式の左辺の(k+1)を(k)に、(17)式の右辺の(k)を(k−1)に置換した式を用いる。関数ベクトルφ(k−1)には上記ステップ510にて算出されたベクトルが代入される。共分散Rには上述した第1共分散計算部A6が算出した値が代入される。共分散Qには前述した第2共分散計算部A8が算出した値が代入される。
更に、(17)式のベクトルDには、下記(19)式により定められるベクトルが代入される。
Figure 2009228472
上記(19)式中、maxθ^(k)は、点火時期モデルとしてのベクトルθ^の各要素のうちの最大値(スカラー)を表す。例えば、θ^が上記(3)式に例示するようなθ0123の4つの要素からなる4次元ベクトルである場合、θ012及びθ3のうちの最大値がmaxθ^(k)に相当する。
ステップ530:点火時期モデル学習部A5は、カルマンゲインK(k)を算出する。より具体的には、点火時期モデル学習部A5は、上記(16)式のφ(k)に上記ステップ510にて求めたφ(k−1)を代入し、共分散Rに第1共分散計算部A6が算出した共分散Rを代入し、モデル誤差共分散行列P(k)に上記ステップ520にて求めたモデル誤差共分散行列P(k)を代入する。
ステップ540:点火時期モデル学習部A5は、上記(7)式に示された更新則に従って現時点の点火時期モデルθ^(k)を更新することにより次回の点火時期モデルθ^(k+1)を求める。この(7)式の補正量ΔSA(k)には補正量算出部A4が算出している値が代入され、カルマンゲインK(k)には上記ステップ530にて求められたカルマンゲインK(k)が代入される。
以上、説明したように、本発明の実施形態に係る点火時期制御装置は、カルマンフィルタ理論を応用して点火時期モデルを学習・更新する。この際、共分散Qを「ノッキングの有無」に応じて変更する。
図6は、上記本発明による効果を確認するためのグラフである。このグラフは、共分散Qが種々の値に設定された場合における、過渡運転状態(加速時)中の点火時期SAの変化の様子を示している。図6から理解されるように、点火時期は、共分散Qを大きくするほど、初期値(点火時期モデルθ^が学習される前の点火時期)から理想値(点火時期モデルθ^が完全に学習させた後の点火時期)へと近づくことが理解される。
この結果、本実施形態は、ノッキングやトルク変動の発生を回避するように点火時期モデルθ^(従って、点火時期SA)を変更することができる。
以上、説明したように、本発明の実施形態に係る点火時期制御装置は、
前記機関の運転状態量を実運転状態量φとして取得する運転状態量取得手段(運転状態量取得部A1)と、
前記機関の運転状態量を変数として前記機関の点火時期を算出する関数により表された点火時期モデルθ^に前記運転状態量取得手段により取得された実運転状態量φを適用することによりフィードフォワード点火時期SA(k)を決定するフィードフォワード制御手段(フィードフォワード制御器A2)と、
前記機関の燃焼室内で発生した燃焼の状態を表す燃焼状態指標値を取得する指標値取得手段(実燃焼割合計算部A3)と、
前記指標値取得手段により取得された燃焼状態指標値(実燃焼割合MFB8(k−1))と所定の目標燃焼状態を示す目標燃焼状態指標値(MFB8tgt)との差ΔMFB(=d(k))に基いて同燃焼状態指標値を同目標燃焼状態指標値に近づけるための前記フィードフォワード点火時期SA(k)の補正量ΔSA(k)を取得する補正量取得手段(補正量算出部A4)と、
前記フィードフォワード制御手段により決定されるフィードフォワード点火時期SA(k)が、前記燃焼状態指標値を前記目標燃焼状態指標値に一致させる点火時期である理想点火時期に近づくように、前記点火時期モデルθ^を前記補正量ΔSA(k)とカルマンフィルタ理論に基く更新則とによって修正する点火時期モデル学習手段(点火時期モデル学習部A5)と、
前記フィードフォワード制御手段により決定されるフィードフォワード点火時期SA(k)に応じた点火時期にて前記機関に供給される混合気を点火する点火実行手段(CPU71、点火プラグ37及びイグナイタ38)と、
前記機関にノッキングが発生しているか否かを判定するノッキング判定手段(ノッキング判定部A7)と、
前記フィードフォワード制御手段により決定されるフィードフォワード点火時期SA(k)が前記理想点火時期と一致する最適な点火時期モデルである点火時期モデルの真値θが一つの燃焼サイクルが経過する毎に所定変化分だけ変動すると仮定した場合の同所定変化分の共分散に対応する値Qであって前記カルマンフィルタ理論に基づく更新則において前記点火時期モデルθ^の修正速度を変化させ得る値Qを、前記ノッキングが発生していると判定されている期間において増大させる共分散設定手段(第2共分散計算部A8)と、
を備える。
これによれば、カルマンフィルタ理論に基く更新則により点火時期モデルθ^を修正する際の速度(学習速度)を決定する因子である「共分散Q」が、ノッキングが発生している場合に増大させられる。即ち、この制御装置は、ノッキングが発生している場合には、ノッキングが発生していない場合より、前記補正量ΔSA(k)がより短時間のうちに「0」に近づくように、点火時期モデルθ^を修正(学習)する。その結果、ノッキングを回避するように点火時期を設定することができる。
また、この点火時期制御装置は、
前記機関の運転状態が過渡運転状態にあるか否かを判定する過渡運転状態判定手段(図4のステップ405を参照。)と、
前記フィードフォワード制御手段により決定されるフィードフォワード点火時期SA(k)が前記理想点火時期と一致する最適な点火時期モデルである点火時期モデルの真値θが一つの燃焼サイクルが経過する毎に所定変化分だけ変動すると仮定した場合の同所定変化分の共分散に対応する値Qであって前記カルマンフィルタ理論に基づく更新則において前記点火時期モデルθ^の修正速度を変化させ得る値Qを、前記機関の運転状態が過渡運転状態にあると判定されている場合と過渡運転状態にないと判定されている場合とで異なる値に設定する共分散設定手段(図4のステップ410、ステップ430及びステップ445を参照。)と、
を備えると表現することもできる。
従って、カルマンフィルタ理論に基く更新則により点火時期モデルθ^を修正する際の速度(学習速度)を決定する因子である「共分散Q」が、過渡運転状態にある場合と定常運転状態(過渡運転状態以外の運転状態)にある場合とで異なる値に設定される(例えば、過渡運転状態にある場合には共分散Qがノッキングが発生しないように変更される)。その結果、この点火時期制御装置は、過渡運転状態において前記補正量ΔSA(k)がより短時間のうちに「0」に近づくように点火時期モデルθ^を修正(学習)することができ、定常運転状態において点火時期モデルθ^が振動的に修正(学習)されてしまうことを回避することができる。従って、各運転状態に応じて、点火時期モデルθ^を適切に修正することができる。
本発明は上記実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。上記実施形態は、燃焼状態指標値である燃焼割合MFBを筒内圧に基いて取得していたが、燃焼割合MFBをWiebe関数と呼ばれる燃焼モデル(例えば、特開2006−9720号公報を参照。)により求めるように構成することもできる。このWiebe関数は、A°燃焼割合MFBAを、
A°MFBA=1−exp{−e・((A+αi)/αb)}
により近似する関数である。ここで、パラメータe及びパラメータfは一定値であり、パラメータαiは点火時期に基いて変化し、パラメータαbは吸気弁と排気弁とが同時に開弁するオーバーラップ期間(VVT(k))に基いて変化するように構成されているとよい。更に、燃焼状態指標値は、所定のクランク角度における筒内圧、及び/又は、筒内圧の変化速度等であってもよい。
また、上記実施形態において、ノックセンサ66を廃止し、筒内圧センサ65の出力(筒内圧Pc)の波形に基づいてノッキングが発生しているか否かを判定するように構成することもできる。
本発明の実施形態に係る点火時期制御装置を適用した内燃機関の概略図である。 点火時期と8°燃焼割合と機関の発生トルクとの関係を示したグラフである。 図1に示した点火時期制御装置の機能ブロック図である。 図1に示したCPUが実行するルーチンを示したフローチャートである。 図1に示したCPUが実行するルーチンを示したフローチャートである。 図1に示した点火時期制御装置の効果を説明するためのタイムチャートである。
符号の説明
10…内燃機関、20…シリンダブロック部、25…燃焼室、37…点火プラグ、38…イグナイタ、39…インジェクタ、65…筒内圧センサ、66…ノックセンサ、70…電気制御装置、71…CPU、A1…運転状態量取得部、A2…フィードフォワード制御器、A3…実燃焼割合計算部、A4…補正量算出部、A5…点火時期モデル学習部、A6…第1共分散計算部、A7…ノッキング判定部、A8…第2共分散計算部。

Claims (5)

  1. 内燃機関の点火時期制御装置であって、
    前記機関の運転状態量を実運転状態量φとして取得する運転状態量取得手段と、
    前記機関の運転状態量を変数として前記機関の点火時期を算出する関数により表された点火時期モデルθ^に前記運転状態量取得手段により取得された実運転状態量φを適用することによりフィードフォワード点火時期SA(k)を決定するフィードフォワード制御手段と、
    前記機関の燃焼室内で発生した燃焼の状態を表す燃焼状態指標値を取得する指標値取得手段と、
    前記指標値取得手段により取得された燃焼状態指標値と所定の目標燃焼状態を示す目標燃焼状態指標値との差に基いて同燃焼状態指標値を同目標燃焼状態指標値に近づけるための前記フィードフォワード点火時期SA(k)の補正量ΔSA(k)を取得する補正量取得手段と、
    前記フィードフォワード制御手段により決定されるフィードフォワード点火時期SA(k)が、前記燃焼状態指標値を前記目標燃焼状態指標値に一致させる点火時期である理想点火時期に近づくように、前記点火時期モデルθ^を前記補正量ΔSA(k)とカルマンフィルタ理論に基く更新則とによって修正する点火時期モデル学習手段と、
    前記フィードフォワード制御手段により決定されるフィードフォワード点火時期SA(k)に応じた点火時期にて前記機関に供給される混合気を点火する点火実行手段と、
    前記機関にノッキングが発生しているか否かを判定するノッキング判定手段と、
    前記フィードフォワード制御手段により決定されるフィードフォワード点火時期SA(k)が前記理想点火時期と一致する最適な点火時期モデルである点火時期モデルの真値θが一つの燃焼サイクルが経過する毎に所定変化分だけ変動すると仮定した場合の同所定変化分の共分散に対応する値Qであって前記カルマンフィルタ理論に基づく更新則において前記点火時期モデルθ^の修正速度を変化させ得る値Qを、前記ノッキングが発生していると判定されている期間において増大させる共分散設定手段と、
    を備える点火時期制御装置。
  2. 内燃機関の点火時期制御装置であって、
    前記機関の運転状態量を実運転状態量φとして取得する運転状態量取得手段と、
    前記機関の運転状態量を変数として前記機関の点火時期を算出する関数により表された点火時期モデルθ^に前記運転状態量取得手段により取得された実運転状態量φを適用することによりフィードフォワード点火時期SA(k)を決定するフィードフォワード制御手段と、
    前記機関の燃焼室内で発生した燃焼の状態を表す燃焼状態指標値を取得する指標値取得手段と、
    前記指標値取得手段により取得された燃焼状態指標値と所定の目標燃焼状態を示す目標燃焼状態指標値との差に基いて同燃焼状態指標値を同目標燃焼状態指標値に近づけるための前記フィードフォワード点火時期SA(k)の補正量ΔSA(k)を取得する補正量取得手段と、
    前記フィードフォワード制御手段により決定されるフィードフォワード点火時期SA(k)が、前記燃焼状態指標値を前記目標燃焼状態指標値に一致させる点火時期である理想点火時期に近づくように、前記点火時期モデルθ^を前記補正量ΔSA(k)とカルマンフィルタ理論に基く更新則とによって修正する点火時期モデル学習手段と、
    前記フィードフォワード制御手段により決定されるフィードフォワード点火時期SA(k)に応じた点火時期にて前記機関に供給される混合気を点火する点火実行手段と、
    前記機関の運転状態が過渡運転状態にあるか否かを判定する過渡運転状態判定手段と、
    前記フィードフォワード制御手段により決定されるフィードフォワード点火時期SA(k)が前記理想点火時期と一致する最適な点火時期モデルである点火時期モデルの真値θが一つの燃焼サイクルが経過する毎に所定変化分だけ変動すると仮定した場合の同所定変化分の共分散に対応する値Qであって前記カルマンフィルタ理論に基づく更新則において前記点火時期モデルθ^の修正速度を変化させ得る値Qを、前記機関の運転状態が過渡運転状態にあると判定されている場合と過渡運転状態にないと判定されている場合とで異なる値に設定する共分散設定手段と、
    を備える点火時期制御装置。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の内燃機関の点火時期制御装置において、前記点火時期モデルθ^は複数の係数を要素として有するベクトルによって表されるモデルであり、k回目のサイクルにおける値を変数の後に付される(k)により表し、転置を上付き添え字Tにより表すとき、
    前記フィードフォワード制御手段は、前記フィードフォワード点火時期SA(k)を次式により求めるように構成され、
    SA(k)=φ(k)θ^(k)
    前記点火時期モデル学習手段は、Kをカルマンゲインとするとき、前記カルマンフィルタ理論に基く更新則として次式を用いて点火時期モデルθ^を更新するように構成され、
    θ^(k+1)=θ^(k)+K(k)ΔSA(k)
    前記共分散に対応する値Qは、前記点火時期モデルθ^と同次元のベクトルをDとし、w(k)をスカラーの変数とするとき、次式により前記点火時期モデルの真値θが変動すると仮定し、
    θ(k+1)=θ(k)+Dw(k)
    且つ、前記変数w(k)がその平均値が0である正規分布を有すると仮定した場合の同変数w(k)の共分散である、
    点火時期制御装置。
  4. 請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載の内燃機関の点火時期制御装置において、
    前記指標値取得手段は、
    前記機関の燃焼室内の圧力である筒内圧を取得する筒内圧取得手段と、
    前記機関の燃焼室内で発生した燃焼の状態を表す燃焼状態指標値を前記取得された筒内圧に基いて取得する実指標値取得手段と、
    を含む点火時期制御装置。
  5. 請求項4に記載の点火時期制御装置において、
    前記実指標値取得手段は、
    前記燃焼状態指標値として圧縮上死点後の所定クランク角度A度の燃焼割合MFBであるA°燃焼割合MFBを前記取得された筒内圧に基いて取得するように構成され、
    前記補正量取得手段は、
    前記取得されたA°燃焼割合MFBと前記目標燃焼状態指標値として定められた目標燃焼割合MFBtgtの差ΔMFBに基づいて前記補正量ΔSA(k)を取得するように構成された、
    点火時期制御装置。
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