JP2009227964A - 硬化性組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】反応性ケイ素基を有する化合物を含有する硬化性組成物において、硬化物の弾性率および伸びの低下を抑えつつ、硬化物表面の膨れ発生を改善できるようにする。
【解決手段】油脂または油脂誘導体に、反応性ケイ基を導入してなる化合物(A)と、硬化促進剤(X)を含むことを特徴とする硬化性組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、硬化性組成物に関する。
反応性ケイ素基を有する化合物は、湿分存在下でシロキサン結合を形成することにより架橋し、ゴム弾性を有する硬化物を形成し得る。該硬化物は建築用などのシーリング材、接着剤、コーティング材などの用途として使用されている。
下記特許文献1には、反応性ケイ素基を有する有機重合体の100重量部に対して、ヒマシ油重合体および/またはヒマシ油誘導体の重合体を、0.01〜30質量部添加することによって耐候性が改善された硬化性組成物が記載されている。
特開2005−120138号公報
1液型シーリング材は様々な用途で使用されるが、特に戸建住宅の外壁へのシーリング等に使用される場合は、経時による目地幅拡大等の変形にシーリング材が追従できるよう、シーリング材は弾性率が低く、伸びが大きいことが望ましい。
例えば、開始剤の官能基数が2であるポリオキシアルキレン重合体に反応性ケイ素基を導入した重合体を主成分として用いると、硬化物の弾性率を低く、かつ伸びを大きくしやすいが、経時的に硬化物の表面に膨れが生じやすいという問題がある。
本発明は前記事情に鑑みてなされたもので、反応性ケイ素基を有する化合物を含有する硬化性組成物において、硬化物の弾性率および伸びの低下を抑えつつ、硬化物表面の膨れ発生を改善できるようにすることを目的とする。
前記課題を解決するために、本発明の硬化性組成物は、油脂または油脂誘導体に、反応性ケイ基を導入してなる化合物(A)と、硬化促進剤(X)を含むことを特徴とする。
前記化合物(A)が、ヒマシ油またはヒマシ油誘導体に反応性ケイ素基を導入してなる化合物(A1)を含むことが好ましい。
前記反応性ケイ素基が下式(1)で表されることが好ましい。
−Q−SiX 3−a・・・(1)
[式中、Qは、炭素数1〜10の2価の有機基を示し、Rは置換基を有していてもよい炭素数1〜20の1価の有機基(加水分解性基を除く。)を示し、Xは水酸基又は加水分解性基を示し、aは1〜3の整数を示す。ただし、Rが複数存在するとき複数のRは互いに同一でも異なっていてもよく、Xが複数存在するとき複数のXは互いに同一でも異なっていてもよい。]
ポリオキシアルキレン鎖と反応性ケイ基を有する重合体(B)をさらに含むことが好ましい。
本発明によれば、反応性ケイ素基を有する化合物を含有する硬化性組成物であって、硬化物の弾性率および伸びの低下を抑えつつ、硬化物表面の膨れ発生を抑制できる硬化性組成物が得られる。
<化合物(A)>
化合物(A)は、油脂または油脂誘導体に、反応性ケイ基を導入してなる化合物である。
[油脂または油脂誘導体]
本発明における油脂または油脂誘導体は、油脂を構成している脂肪酸に由来する炭素鎖を有するとともに、公知の反応性ケイ素基を導入する方法で、反応性ケイ素基を導入可能なものである。具体的には、油脂を構成する飽和脂肪酸または不飽和脂肪酸に由来する炭素鎖を有するとともに、水酸基を有するものであればよい。本発明における油脂または油脂誘導体としては、動植物油由来の油脂またはそれらに水酸基を導入したものが好ましい。
油脂としてはヒマシ油が好ましい。動植物油由来で水酸基を有する油脂は実質的にヒマシ油だけである。ヒマシ油は、市販の各種精製度のヒマシ油を用いることができる。
水酸基を有する油脂誘導体は、動植物油を原料として公知の方法により製造可能であり、市販品からも入手可能である。油脂または油脂誘導体は1種を用いてもよく2種以上を併用してもよい。
油脂誘導体としては、例えば以下の化合物を用いることができる。
(1)天然油脂の二重結合に、酸素および/または空気の吹込みにより水酸基を付与変成した水酸基含有化合物およびその誘導体。製造方法は、例えば特表2002−524627号公報に記載の方法を用いることができる。
(2)エポキシ化大豆油を過剰のアルコールの存在下で開環することで水酸基が付与された水酸基付加エポキシ大豆油。および該水酸基付加エポキシ大豆油を開始剤として、プロピレンオキシド、エチレンオキシド等のアルキレンオキシドを開環重合させた化合物。製造方法は、例えば特開2005−320431号公報に記載の方法を用いることができる。
(3)植物油脂(Vegetable Oil)に金属触媒存在下で一酸化炭素および水素を反応させることによって水酸基を付与した変性植物油脂。製造方法は、例えば国際公開第2005/033167号パンフレットに記載の方法を用いることができる。
(4)ヒマシ油から得られる脂肪酸のアルキルエステル、ヒマシ油から得られる脂肪酸のジオールエステル、ヒマシ油のアシル化物、ヒマシ油と天然油脂とのエステル交換反応物等のヒマシ油変性物。
(5)ヒマシ油の水酸基の一部を脱水処理した部分脱水ヒマシ油。例えばヒマシ油を硫酸、燐酸、またはp−トルエンスルホン酸などの酸性触媒の存在下に加熱する方法で製造できる。
(6)ヒマシ油、ヒマシ油変成物、および/または部分脱水ヒマシ油の重合体。
(7)ヒマシ油、ヒマシ油変成物、および/または部分脱水ヒマシ油を開始剤として、モノエポキシドを開環重合させて得られるポリエーテル類。製造方法は、例えば特開平5−163342号公報に記載の方法を用いることができる。
上記(4)のヒマシ油変成物の具体例としては、以下のものが挙げられる。
ヒマシ油由来の脂肪酸のアルキルエステル;ヒマシ油の加水分解により得られる脂肪酸のメチルエステル、該脂肪酸のエチルエステル等。
ヒマシ油由来の脂肪酸のジオールエステル;ヒマシ油とエチレングリコールまたはプロピレングリコール等のジオールとのエステル交換反応物。
ヒマシ油のアシル化物;ヒマシ油のアセチル化物が好ましい。特に無水酢酸によるアセチル化物が好ましい。
ヒマシ油と天然油脂とのエステル交換反応物;ここでの天然油脂は、水酸基を含まない天然油脂が好ましく、アマニ油、キリ油、ナタネ油、大豆油、ヤシ油、パーム油、えの油、くるみ油、米ぬか油、綿実油、つばき油、オリーブ油、落花生油などの植物油、牛脂、豚脂、魚油、肝油などの動物油が好ましい。エステル交換反応は公知の方法で行うことができる。
上記(6)の重合体は、ヒマシ油、ヒマシ油変成物、および/または部分脱水ヒマシ油を、有機過酸化物とともに、不活性ガス雰囲気下に温度110〜180℃で加熱反応させる方法等により得ることができる。有機過酸化物としては、ジ−t−ブチルパーオキサイドが好ましい。重合体の重合度は、耐膨れ性の効果の点から高い程好ましい。
該重合体は、ヒマシ油を重合させた重合体でもよい。または、部分脱水ヒマシ油および/または部分アシル化ヒマシ油等のヒマシ油変成物と、ヒマシ油との混合物を重合反応させて得られる重合体でもよい。該混合物におけるヒマシ油の含有割合は、30〜97質量%が好ましい。
また、上記(6)の重合体として、ヒマシ油の重合体を得た後、該重合体をさらに一部脱水処理して得られる脱水反応物を用いることもできる。またはヒマシ油の重合体を得た後、該重合体中の水酸基の一部をアシル化した化合物も使用できる。貯蔵安定性の面からは、アシル化や脱水反応により、水酸基の一部が変性されたものが好ましい。
上記(6)の重合体として、特公平7−49564号公報、特許第2592622号公報、特許第2608764号公報、特開2005−120138号公報に記載の公知の重合体が使用できる。
また、市販の製品を用いてもよく、例えば伊藤製油社製の商品名:POLYCASTOR#10、POLYCASTOR#30などが使用できる。POLYCASTOR#10とPOLYCASTOR#30とでは、後者の方が重合度が高いため、本発明においてより効果的である。
本発明における油脂または油脂誘導体は、入手しやすい点で、ヒマシ油またはヒマシ油誘導体が好ましい。該ヒマシ油誘導体には重合反応を経たものも含まれる。
[反応性ケイ素基]
反応性ケイ素基は、−SiX 3−a(R、X、aは式(1)と同じである。)で表わされる1価基を有する基であり、上式(1)で表される反応性ケイ素基が好ましい。上式(1)においてaは1〜3の整数を示す。
上式(1)において、Qは炭素数1〜10の2価の有機基である。エーテル結合、ウレタン結合、エステル結合又はカーボネート結合を有していてもよい炭素数1〜10のアルキレン基が好ましく、該アルキレン基の炭素数は1〜5がより好ましい。
は置換基を有していてもよい炭素数1〜20の1価の有機基である。Rには後述の加水分解性基は含まれないものとする。Rは、炭素数8以下のアルキル基、フルオロアルキル基またはフェニル基が好ましく、メチル基またはエチル基がより好ましい。同一分子中にRが複数存在するとき、それら複数のRは互いに同一でも異なっていてもよい。
は水酸基又は加水分解性基である。ここで、加水分解性基とは、ケイ素原子に直結し、加水分解反応及び/又は縮合反応によってシロキサン結合を生じ得る置換基をいう。該加水分解性基としては、例えば、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、アルケニルオキシ基が挙げられる。加水分解性基が炭素原子を有する場合、その炭素数は6以下であることが好ましく、4以下であることがより好ましい。Xとしては、特に、炭素数4以下のアルコキシ基又は炭素数4以下のアルケニルオキシ基が好ましい。より具体的には、Xはメトキシ基又はエトキシ基であることが特に好ましい。なお、同一分子中にXが複数存在するときは、それら複数のXは互いに同一でも異なっていてもよい。
油脂または油脂誘導体に反応性ケイ基を導入する方法は、公知の方法を適宜用いることができる。
本発明における化合物(A)は、ヒマシ油またはヒマシ油誘導体に反応性ケイ素基を導入してなる化合物(A1)を含むことが好ましい。ヒマシ油またはヒマシ油誘導体に反応性ケイ素基を導入する方法は、公知の方法を適宜用いることができる。例えば下記の方法を用いることができるが、これらに限定されない。
ヒマシ油またはヒマシ油誘導体に反応性ケイ素基を導入する反応において、ヒマシ油とヒマシ油誘導体の混合物を用いてもよい。
(a)ヒマシ油および/またはヒマシ油誘導体中の水酸基に対して、イソシアネート基と反応性珪素基を有する化合物を反応させる方法。
(b)ヒマシ油および/またはヒマシ油誘導体中の水酸基に対して、ポリイソシアネート化合物を、水酸基の総数に対するイソシアネート基の総数のモル比(イソシアネート基/水酸基)が1.0以上となるように反応させて、イソシアネート基含有化合物を得、予め反応性ケイ素基及びアミノ基を有する化合物とアクリレートとを反応させた反応生成物を、前記イソシアネート基含有化合物と反応させる方法。例えば特開平11−100427号公報、特許3030020号公報に記載されている方法を用いることができる。
(c)ヒマシ油および/またはヒマシ油誘導体中の水酸基に対して、ポリイソシアネート化合物を、前記イソシアネート基/水酸基のモル比が1.0未満となるように反応させ、その後、残った水酸基に対して、イソシアネート基と反応性珪素基を有する化合物を反応させる方法。
(d)ヒマシ油および/またはヒマシ油誘導体中の水酸基に対して、モノイソシアネート化合物を反応させて該水酸基の一部をキャップした後、残った水酸基に対して、イソシアネート基と反応性珪素基を有する化合物を反応させる方法。
(e)ヒマシ油および/またはヒマシ油誘導体中の水酸基に対して、モノイソシアネート化合物を反応させて該水酸基の一部をキャップした後、残った水酸基に対して、ポリイソシアネート化合物を一定量反応させ、最後にイソシアネート基と反応性珪素基を有する化合物を反応させる方法。
(f)ヒマシ油および/またはヒマシ油誘導体中の水酸基に対して、ポリイソシアネート化合物を前記イソシアネート基/水酸基のモル比が1.0以上となるように反応させて、イソシアネート基含有化合物を得た後、メルカプトアルコキシシランを反応させて、反応性ケイ素基を導入する方法。例えば、特開平2001−240844号公報に記載の方法を用いることができる。
油脂または油脂誘導体に、反応性ケイ基を導入してなる化合物(A)の数平均分子量(Mn)は大きいほど、化合物(A)が硬化物中に取り込まれやすく、かつ硬化物外へ溶出し難く、伸びなどの機械物性も良好となる。
化合物(A)の数平均分子量は、原料として用いる油脂または油脂誘導体の分子量で調整できるほか、例えば上記(b)〜(f)の方法のように、反応性ケイ素基を導入する反応を行う前に、ヒマシ油および/またはヒマシ油誘導体中の水酸基に対して、ポリ(モノ)イソシアネート化合物を反応させて分子量を増大させる等の方法により調整することができる。
化合物(A)において、1分子中に存在する反応性ケイ素基の平均数は、1分子当たり1〜3個が好ましく、1〜2個がより好ましい。
該1分子中の反応性ケイ素基の平均数は上記ヒマシ油および/またはヒマシ油誘導体中の水酸基に対して反応させる、イソシアネート基と反応性珪素基を有する化合物の量によって調整することができる。化合物(A)において油脂または油脂誘導体由来の水酸基が残存していてもよい。
また貯蔵安定性の点からは、化合物(A)中に残存する水酸基が少ない方が好ましく、上記(c)〜(e)の方法のように、イソシアネート基と反応性珪素基を有する化合物を反応させる前に、ヒマシ油および/またはヒマシ油誘導体中の水酸基の一部を不活性化させてもよい。
本発明において、化合物(A)は1種でもよく、2種以上を併用してもよい。互いに異なる反応性ケイ素基を有する2種以上の化合物(A)を併用してもよい。
本発明における化合物(A)が、ヒマシ油またはヒマシ油誘導体に反応性ケイ素基を導入してなる化合物(A1)を含む場合、該化合物(A1)の他に、ヒマシ油以外の油脂の誘導体に反応性ケイ素基を導入してなる化合物を含んでいてもよい。
<重合体(B)>
本発明の硬化性組成物は、ポリオキシアルキレン鎖と反応性ケイ基を有する重合体(B)をさらに含むことが好ましい。重合体(B)を含有させることにより、機械物性や耐候性を向上させることができる。
重合体(B)の反応性ケイ素基は、好ましい態様も含めて化合物(A)の反応性ケイ素基と同様である。硬化性組成物中に共存する化合物(A)の反応性ケイ素基と、重合体(B)の反応性ケイ素基とは同じであってもよく、異なっていてもよい。また互いに異なる反応性ケイ素基を有する2種以上の重合体(B)を併用してもよい。
重合体(B)において、反応性ケイ素基は分子内の末端の位置にあることが好ましい。1分子中に存在する反応性ケイ素基の平均数は、硬化性の点から1個以上あることが好ましい。また高弾性、高耐候性などが要求される場合には、2〜8個あることが好ましい。また、油脂または油脂誘導体の1分子に結合している反応性ケイ素基の量が3個以上である場合は、反応性ケイ素基を1分子中に1個有する重合体(B)を使用することで、機械物性を調節することができる。
重合体(B)としては、従来公知のものが広く使用できる。ポリオキシアルキレン鎖の例としては、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリテトラメチレンオキシド、これらのブロック共重合体、またはランダム共重合体が挙げられる。
ポリオキシアルキレン鎖には、オキシアルキレン以外の分子鎖をつなげるための構造、たとえばウレタン結合、エステル結合、チオエーテル結合、シロキサン結合などを含んでいてもよい。
重合体(B)は、分子量が大きい方が硬化性および破断時の伸びなどの特性において優れている点で好ましい。しかし、高分子量の重合体(B)を直接製造することは困難であるため、例えば比較的入手しやすい分子量3000〜4000程度のオキシアルキレンポリオールを原料とし、これに多価ハロゲン化合物を反応させることで分子量を増大し、その後、分子末端に不飽和基を導入してから、白金などの触媒の存在下で該不飽和基に、加水分解性基を有する水素化ケイ素化合物を反応させて、反応性ケイ素基を導入する方法が採用できる。
また、高分子量の重合体(B)を得る方法として、開始剤と、複合金属シアン化物錯体などの触媒の存在下に、アルキレンオキシドを重合して得られる高分子量でかつ分子量分布の狭いオキシアルキレンポリオールを使用することによって、分子間の架橋反応を抑えつつ反応性ケイ素基を有する高分子量のオキシアルキレン重合体を製造する方法があり、本発明ではかかる方法で得られる重合体(B)も使用できる。
重合体(B)の数平均分子量(Mn)は、5000以上30000以下が好ましく、10000以上25000以下がより好ましい。数平均分子量が5000を下回ると重合体の硬化反応時の硬化性が悪くなり、数平均分子量が30000を上回ると重合体の粘度が高くなり作業性が悪くなる。
また重合体(B)の、質量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が1.7以下であると、分子量分布が狭く、比較的低分子量の重合体が少ない重合体(B)となり、分子量分布が広いものと比較して同粘度のときには、低分子量の重合体成分が少なくて、硬化性の低下を招きにくいという優れた点がある。
かかる分子量分布が狭い重合体(B)を得るには、原料として分子量分布の狭いオキシアルキレンポリオールを用いることが好ましい。分子量分布の狭いオキシアルキレンポリオールは、複合金属シアン化物錯体、水酸化セシウムなどの触媒を使用し、開始剤にアルキレンオキシドを重合させることによって容易に得ることができる。
本発明の硬化性組成物において、化合物(A)と重合体(B)の合計量を100質量部とするとき、そのうちの重合体(B)の含有量は0〜98質量部が好ましく、1〜95がより好ましい。98質量部を超えると機械物性が良好になるものの、膨れ欠点が発生しやすくなる。
<その他の重合体>
本発明の硬化性組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、さらにその他の重合体を含んでもよい。
例えば、反応性ケイ素基を有し、かつ(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体単位を含む重合体(C)を含有させることにより、硬化物の機械強度を向上させ、硬化性組成物及び硬化物の耐候性を向上させることができる。重合体(C)は、反応性ケイ素基を末端に有することが好ましい。これにより、硬化性組成物の硬化後の伸び特性をより一層向上させることが可能になる。
重合体(C)の反応性ケイ素基は、好ましい態様も含めて化合物(A)の反応性ケイ素基と同様である。硬化性組成物中に共存する化合物(A)の反応性ケイ素基と、重合体(C)の反応性ケイ素基とは同じであってもよく、異なっていてもよい。また互いに異なる反応性ケイ素基を有する2種以上の重合体(C)を併用してもよい。
重合体(C)は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体単位を必須成分として含んでいる。(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体単位のみを単量体単位として含む重合体であってもよいし、これ以外の不飽和基含有単量体を更に含む重合体であってもよい。ここで、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体単位を含む重合体とは、(メタ)アクリル酸アルキルエステルから誘導される繰り返し単位を有する重合体を意味する。該重合体は、通常、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体を必須成分とて含む不飽和基含有単量体を重合反応させることにより得られる。
なお、本発明において、不飽和基含有単量体とは、不飽和結合(好ましくは、炭素−炭素二重結合)を有する化合物であって重合体を形成し得る化合物のことを意味し、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとは、アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステルまたは両者の混合物を意味する。
重合体(C)に含まれる(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体単位の種類や数は制限されない。
重合体(C)の数平均分子量Mnは、500〜100000であることが好ましく、1000〜100000であることがより好ましい。重合体(C)のMnが100000を超えると、作業性が低下する傾向にあり、Mnが500未満であると、硬化後の物性が低下する傾向にある。
本発明の硬化性組成物に重合体(C)を含有させる場合、その含有量は、重合体(B)及び重合体(C)の合計量100質量部に対して5〜70質量部含有することが好ましく、20〜60質量部含有することがより好ましい。該重合体(C)の含有量の比率が5質量部以上であると、重合体(C)の添加効果が充分に得られ、70質量部以下であると、硬化性組成物の適度な粘度が得られ作業性が良い。
本発明の硬化性組成物は、重合体(C)以外のその他の重合体として、反応性ケイ素基を有するオキシアルキレン重合体(B)と(メタ)アクリル酸アルキルエステル重合体のグラフト重合体を含有してもよく、この場合にも機械強度および耐候性を向上させることができる。
重合体(B)と(メタ)アクリル酸アルキルエステル重合体のグラフト重合体は、例えば、重合体(B)の存在下、アクリル酸アルキルエステルおよび/またはメタクリル酸アルキルエステル、ならびに任意に他の共重合可能なモノマーを重合することなどによって得ることができる。
また、その他の重合体として反応性ケイ素基を有するイソブチレン重合体などの炭化水素系重合体を含有させてもよい。
<硬化促進剤(X)>
本発明の硬化性組成物は硬化促進剤(X)を含有する。硬化促進剤(X)は反応性ケイ素基の硬化反応を促進するもので、シラノール触媒として公知の化合物を使用できる。具体的には下記の化合物が挙げられる。
2−エチルヘキサン酸スズ、ナフテン酸スズ、ステアリン酸スズなどの2価スズ化合物。
ジアルキルスズジカルボキシレート(ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズモノアセテート、ジブチルスズマレエート等)、ジアルコキシスズモノカルボキシレート等の有機スズカルボン酸塩;ジブチルスズビスアセチルアセトナート、ジブチルスズビスエチルアセトアセテート、ジブチルスズモノアセチルアセトナートモノアルコキシドなどのスズキレート化合物;ジアルキルスズオキシドとエステル化合物の反応物、および該反応物にさらにアルコキシシラン化合物を反応させて得られる反応物;ジアルキルスズオキシドとアルコキシシラン化合物の反応物;ジアルキルスズジアルキルスルフィド;等の4価スズ化合物。
上記エステル化合物としては、フタル酸ビス−2−エチルヘキシル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジオクチル等のフタル酸エステル;その他脂肪族、芳香族カルボン酸のエステル;テトラエチルシリケートおよびその部分加水分解縮合物;等が挙げられる。
有機カルボン酸ビスマス塩等の2価ビスマス化合物。
ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ラウリルアミン、N,N−ジメチルオクチルアミン等の脂肪族モノアミン化合物;エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン等の脂肪族ポリアミン化合物;芳香族アミン化合物;アルカノールアミン;N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノシランカップリング剤;等のアミン化合物、またはこれらアミン化合物とカルボン酸などとの塩。
酢酸、プロピオン酸、2−エチルヘキサン酸、ステアリン酸、アジピン酸、シュウ酸、クエン酸、アクリル酸、メタクリル酸、安息香酸等の炭素数1〜20の有機カルボン酸;リン酸;等の酸。
硬化促進剤(X)は1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
従来の硬化性組成物にあっては4価スズ化合物を用いると膨れが発生し易いが、本発明によれば、4価スズ化合物を用いた場合にも膨れの発生を良好に抑えることができるため、4価スズ化合物を好適に用いることができる。
また、2価スズ化合物または2価ビスマス化合物と、4価スズ化合物とを併用すると応力緩和性と低温硬化性のバランスの取れた組成物が得られる点で好ましい。
2価スズ化合物または2価ビスマス化合物は、アミンおよび/または酸との併用により硬化促進効果が向上するので、併用が好ましい。なかでも1級アミンとの併用が好ましい。
硬化促進剤(X)の使用量は、化合物(A)、重合体(B)、およびその他の重合体の合計量100 質量部に対して、0.01〜10質量部が好ましく、0.5〜3質量部がより好ましい。
<空気硬化性化合物/光硬化性化合物>
本発明の硬化性組成物には、耐候性や砂埃の付着を長期にわたり改善するための、硬化物の表面改質剤として、公知の空気硬化性化合物や光硬化性化合物を含有させてもよい。
空気硬化性化合物としては、桐油、アマニ油などに代表される乾性油;該乾性油を変性して得られる各種アルキッド樹脂;乾性油により変性されたアクリル系重合体;シリコーン樹脂;ポリブタジエン、炭素数5〜8のジエンの重合体または共重合体などのジエン系重合体;さらには該重合体または共重合体の各種変性物(マレイン化変性、ボイル油変性など);空気硬化性ポリエステル化合物;などが挙げられる。
光硬化性化合物としては、(メタ)アクリロイル基含有化合物、ポリケイ皮酸ビニルなどが挙げられ、アクリロイル基含有化合物が特に好ましい。具体的にはトリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルポリオールポリアクリレートなどが挙げられる。
空気硬化性化合物および/または光硬化性化合物を使用する場合は、化合物(A)、重合体(B)、およびその他の重合体の合計量100 質量部に対して、それぞれ0.1〜50質量部が好ましい。
空気硬化性化合物と光硬化性化合物を併用すると、特に、硬化物の厚みのある部分における耐候性が向上する効果がある。
<その他の添加剤>
本発明の硬化性組成物は、さらに、公知の各種添加剤を任意に添加、配合することができる。例えば下記の公知の添加剤が例示できる。
重質炭酸カルシウム、膠質炭酸カルシウムなどの各種炭酸カルシウム;樹脂バルーン、ガラスバルーンなどの中空体;などの充填材。フタル酸エステル類、ポリエーテル類などの可塑剤。溶剤。ビニルトリメトキシシラン、テトラエトキシシランなどの脱水剤。水添ヒマシ油、脂肪酸アミドなどのチキソ性付与剤。ヒンダードフェノール系化合物などの酸化防止剤。ベンゾトリアゾール系化合物などの紫外線吸収剤。ヒンダードアミン系化合物などの光安定剤。フェノキシトリメチルシランなど加水分解によりトリメチルシラノールを発生する化合物などのモジュラス調整剤。(メタ)アクリロイル基含有シラン類、アミノ基含有シラン類、メルカプト基含有シラン類、エポキシ基含有シラン類、カルボキシル基含有シラン類などのシランカップリング剤;エポキシ樹脂とエポキシ樹脂の硬化剤の組合せ;などの接着性付与剤。酸化鉄、酸化クロム、酸化チタンなどの無機顔料。フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーンなどの有機顔料。
さらに、硬化物の、特にシーリング材としての意匠性を持たせる目的で、組成物に対して、その組成物の色と異なる色の微小体を添加することで、花崗岩や御影石のような表面外観をもった硬化物を得ることもできる。また、公知の難燃剤や防かび剤などの添加を行うことも任意である。また、塗料用途に使用されている艶消し剤を添加することもできる。
本発明の硬化性組成物によれば、反応性ケイ素基の反応により硬化してなる硬化物において、弾性率および伸びの優れた特性を損なうことなく、硬化物の外観欠点である膨れ発生を改善できる。得られる硬化物は、建築用、自動車用をはじめとして、各種分野のシーリング材、防水材、接着剤、コーティング剤などの用途において、高性能かつ外観に優れる材料として使用することができる。
本発明において、化合物(A)を含有させることにより硬化物の膨れ性を改善できるメカニズムは明らかではないが、次のように推定している。
膨れ欠点の発生は、まず硬化物中への水分の浸漬が生じ、引続いて、該水分の硬化物中での揮発、及び該水分揮発による硬化物内での気泡の発生および拡大化が生じることに起因していると考えられる。化合物(A)は油脂を構成する脂肪酸由来のアルキル骨格を有しており、該アルキル骨格が疎水性の発現に寄与するため、硬化物内への水の浸漬が抑えられ、その結果膨れが抑制されると考えられる。また、化合物(A)の分子量が大きいほど、化合物(A)が硬化物中に取り込まれやすくかつ硬化物外へ溶出しにくいため、長期にわたり効果を維持すると考えられる。
また本発明によれば、後述の実施例に示されるように、耐候性と耐表面汚染性を同時に向上させることができる。したがって、耐候性が求められる用途に好適に使用できる。例えば、屋外に施工されるシーリング材、防水材、接着剤、コーティング剤等に好適である。
かかる耐候性の向上には、化合物(A)のアルキル骨格が寄与していると考えられる。また、耐表面汚染性の向上には、化合物(A)の反応性ケイ素基が寄与していると考えられる。
すなわち、本発明者等の知見によれば、化合物(A)と同様にアルキル骨格を有し、反応性ケイ素基を有しない油脂または油脂誘導体を可塑剤として配合すると、耐候性は向上するものの表面に汚れが付着しやすくなる。これは、可塑剤として使用した油脂または油脂誘導体の可塑剤が硬化物表面にブリードアウトし汚れを付着させるためと考えられる。これに対して化合物(A)は、その反応性ケイ素基が硬化時にシロキサン結合を形成するため、化合物(A)が硬化物外へ溶出しにくい。したがって、硬化物の表面に汚れが付着し難いと考えられる。
また、反応性ケイ素基を有するアクリル重合物を用いた場合も、耐候性は改善されるが、硬化物の表面に汚れが付き難い。これは、アクリル重合物自体が汚れを付着させやすいためと考えられる。
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(合成例1:重合体(B−1)の合成)
ジプロピレングリコールを開始剤として亜鉛ヘキサシアノコバルテート−グライム錯体触媒の存在下、プロピレンオキシドを反応させて、Mnが16000でMw/Mnが1.4のポリオキシプロピレンジオールを得た。このポリオキシプロピレンジオールの水酸基のモル数に対して1.05倍モルのナトリウムメトキシドをメタノール溶液として添加し、加熱減圧下でメタノールを留去して、水酸基をナトリウムアルコキシドとした。続いて、過剰量の塩化アリルを添加して反応させた。未反応の塩化アリルを除去後、副生した無機塩を除去精製して、アリル基末端のオキシアルキレン重合体を得た。
得られたアリル基末端のオキシアルキレン重合体500gを窒素置換された反応容器に仕込み、1,1,3,3−テトラメチルジビニルシロキサン白金錯体(以下VTS錯体と表す)を白金が2ppmになるように添加して、さらに30分攪拌した。次に、ジメトキシメチルシランをアリル基の68モル%反応分となるように加え、70℃で5時間反応させた。反応終了後、減圧にして揮発性物質を除去すると、23℃における粘度が15000mPa・s、分子量分布(Mw/Mn)=1.5の淡黄色透明である、反応性ケイ素基含有オキシアルキレン重合体(B−1)500gを得た。
(合成例2:重合体(B−2)の合成)
グリセリンを開始剤として亜鉛ヘキサシアノコバルテート−グライム錯体触媒の存在下、プロピレンオキシドを反応させて、Mnが20000でMw/Mnが1.4のポリオキシプロピレントリオールを得た。以下、合成例1と同様にしてアリル基末端のオキシアルキレン重合体を得た。
得られたアリル基末端のオキシアルキレン重合体500gに対して、反応させるジメトキシメチルシランの量をアリル基の76モル%反応分とした他は合成例1と同様にして、23℃における粘度が19000mPa・s、分子量分布(Mw/Mn)=1.5の淡黄色透明である、反応性ケイ素基含有オキシアルキレン重合体(B−2)500gを得た。
(合成例3:化合物(A−1)の合成)
上記(a)の方法を用いて化合物(A)を合成した。
ヒマシ油重合体であるPOLYCASTOR#30(伊藤製油社製、水酸基価160mgKOH/g)の3000gをフラスコに入れ、105℃で2時間脱水した。カールフィッシャー水分測定装置で水分を測定したところ10ppmであった。次いでフラスコの内温を50℃に下げて、γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン(製品名:Y−5187、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアル社製)の175gを滴下した。ヒマシ油重合体の水酸基の総数に対する、γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシランのイソシアネート基の総数のモル比(イソシアネート基/水酸基)の値は、0.10である。
その後、温度を80℃に上げて6時間反応を行い、イソシアネート基の有無をIR測定で確認したところ、イソシアネート基が消滅していることを確認した。その後、80℃のまま、酸化防止剤としてイルガノックス1010(製品名、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)を15g入れて、2時間攪拌し、化合物(A−1)を得た。
(合成例4:化合物(A−2)の合成)
上記合成例3において、γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシランの使用量を350gに変更した。上記イソシアネート基/水酸基の値は、0.20である。その他は合成例3と同様にして化合物(A−2)を得た。
(合成例5:化合物(A−3)の合成)
上記合成例3において、γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシランの使用量を1700gに変更した。上記イソシアネート基/水酸基の値は、1.00である。その他は合成例3と同様にして化合物(A−3)を得た。
(合成例6:化合物(A−4)の合成)
上記(c)の方法を用いて化合物(A)を合成した。
ヒマシ油であるユーリックH−30(伊藤製油社製、水酸基価160mgKOH/g)の3000gをフラスコに入れ、105℃で2時間脱水した。カールフィッシャー水分測定装置で水分を測定したところ、15ppmであった。次いで、ウレタン化触媒としてジブチルスズジラウレートを10ppm添加し、30分攪拌した後、50℃でイソホロンジイソシアネートを474g添加した。ヒマシ油の水酸基の総数に対する、イソホロンジイソシアネートのイソシアネート基の総数のモル比(イソシアネート基/水酸基)の値は、0.50である。
その後、90℃で15時間反応を行い、イソシアネート基の有無をIR測定で確認したところ、イソシアネート基が消滅していることを確認した。次いで、温度を80℃に降温し、γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン(上記Y−5187)を858g添加した。Y−5187と反応させる直前のヒマシ油の水酸基の総数に対する、γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシランのイソシアネート基の総数のモル比(イソシアネート基/水酸基)の値は、1.00である。
続いて、8時間反応を行い、イソシアネート基の有無をIR測定で確認したところ、イソシアネート基が消滅していることを確認した。その後、80℃のまま、酸化防止剤として上記イルガノックス1010を15g入れて、2時間攪拌し、化合物(A−4)を得た。
(合成例7:化合物(A−5)の合成)
上記(e)の方法を用いて化合物(A)を合成した。
ヒマシ油である上記ユーリックH−30の3000gをフラスコに入れ、105℃で2時間で脱水をした。カールフィッシャー水分測定装置で水分を測定したところ15ppmであった。次いで、ウレタン化触媒としてジブチルスズジラウレートを10ppm添加し、30分攪拌した後、50℃で予め溶解させたオクタデシルイソシアネートを841g添加した。ヒマシ油の水酸基の総数に対する、オクタデシルイソシアネートのイソシアネート基の総数のモル比(イソシアネート基/水酸基)の値は、0.33である。
その後、90℃で8時間反応を行い、続けて、イソホロンジイソシアネートを350g添加した。イソホロンジイソシアネートを反応させる直前のヒマシ油の水酸基の総数に対する、イソホロンジイソシアネートのイソシアネート基の総数のモル比(イソシアネート基/水酸基)の値は、0.56である。
その後、10時間反応させた後、イソシアネート基の有無をIR測定で確認したところ、イソシアネート基が消滅していることを確認した。続いて、温度を80℃に降温し、γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン(上記Y−5187)を380g添加した。Y−5187を反応させる直前のヒマシ油の水酸基の総数に対する、γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシランのイソシアネート基の総数のモル比(イソシアネート基/水酸基)の値は、0.72である。
その後、8時間反応を行い、イソシアネート基の有無をIR測定で確認したところ、イソシアネート基が消滅していることを確認した。さらに、80℃のまま、酸化防止剤のイルガノックス1010を15g入れて、2時間攪拌し、化合物(A−5)を得た。
(実施例1〜7および比較例1〜4)
上記合成例で得た各成分および下記の市販の成分を用い、表1に示す配合で硬化性組成物を調製し、特性を評価した。表に示す配合割合の単位は「質量部」である。
すなわち、表に示す配合成分のうち、硬化促進剤を除く全成分を3本ペイントロールで混練した後、硬化促進剤を添加して混練して硬化性組成物を得た。
(引張試験)
得られた硬化性組成物を用いて、JIS A1439に準じるH型引張試験片を作成した。その試験片を温度23℃、湿度50%の条件で、2週間養生し、引き続いて、温度30℃、湿度50%の条件で2週間養生した。こうして硬化した試験片について引張試験を実施し、50%弾性率(単位:N/mm)および伸度(単位:%)を測定した。その結果を表1に示す。
(膨れ試験)
一辺が10cmであるサイディングボード2枚を目地幅10mmになるよう並べ、その目地に得られた硬化性組成物を充填し、上記引張り試験と同様の条件で養生をして硬化させた。
得られた硬化物を50℃温水中に8時間浸漬した後、90℃オーブン中に16時間入れて、水分を除去した。これを1サイクルとして、9サイクル行い、硬化物表面の膨れを目視で確認した。評価として、膨れが大きいものを×、膨れてないものを○、若干膨れているものを△とした。その結果を表1に示す。
また表1中の(1)〜(13)は、下記のものを使用した。
(1)反応性ケイ素基を有しないヒマシ油重合体、商品名:POLYCAS TOR#30(伊藤製油社製、水酸基価160mgKOH/g)。
(2)商品名:白艶華CCR(白石工業社製)。
(3)商品名:ホワイトンSB(白石カルシウム工業社製)。
(4)商品名:R820(石原産業社製)。
(5)分子量3000のポリオキシプロピレンジオール。
(6)水添ヒマシ油、商品名:ディスパロン#6500(楠本化成社製)。
(7)化合物名:2−[2H−クロロ(2H)−ベンゾトリアゾール−2−イル]−4−メチル−6−(tert−ブチル)フェノール、商品名:チヌビン326(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)。
(8)ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、商品名:イルガノックス1010(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)。
(9)化合物名:ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート及びメチル1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルセバケート(混合物)、商品名:チヌビン765(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)。
(10)3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン。
(11)3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン。
(12)ビニルトリメトキシシラン。
(13)ジブチルスズオキシド/フタル酸ジオクチルの反応物(三共有機合成社製)。
Figure 2009227964
表1の結果に示されるように、本発明にかかる実施例1〜7の硬化性組成物は、弾性率および伸びが良好であるとともに、硬化物表面の膨れ発生が防止されている。
これに対して、重合体(B−1)を用い、化合物(A)を含有させなかった比較例1は、弾性率および伸びは良好であるが、硬化物表面における膨れの発生が顕著であった。
重合体(B−2)を用い、化合物(A)を含有させなかった比較例2は、膨れは発生しなかったが、硬化物が比較的硬く、弾性率および伸びが劣っていた。
重合体(B−1)と重合体(B−2)を混合して用い、化合物(A)を含有させなかった比較例3は、弾性率および伸びは良好であるが、膨れが発生しやすかった。
実施例1、2において、化合物(A)に代えて反応性ケイ素基を有しないヒマシ油重合体を含有させた比較例4は、弾性率および伸びは良好であるが、膨れが発生しやすかった。
(合成例8:重合体(B−3)の合成)
ジプロピレングリコールを開始剤として亜鉛ヘキサシアノコバルテート−グライム錯体触媒の存在下、プロピレンオキシドを反応させて、Mnが16000でMw/Mnが1.4のポリオキシプロピレンジオールを得た。得られたポリオキシプロピレンジオール1000gをフラスコに入れ105℃で2時間脱水した。カールフィッシャー水分測定装置で水分を測定したところ10ppmであった。次いでフラスコの内温を50℃に下げて、γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン(製品名:Y−5187、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアル社製)の23.8gを滴下した。ポリオキシプロピレンジオールの水酸基の総数に対する、γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシランのイソシアネート基の総数のモル比(イソシアネート基/水酸基)の値は、0.08である。
その後、温度を80℃に上げて6時間反応を行い、イソシアネート基の有無をIR測定で確認したところ、イソシアネート基が消滅していることを確認した。その後、80℃のまま、酸化防止剤としてイルガノックス1076(製品名、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)を5g入れて、2時間攪拌し、反応性ケイ素基含有オキシアルキレン重合体(B−3)を得た。
(合成例9:重合体混合物(C)の合成)
本例では、合成例1で得た重合体(B−1)の存在下で、アクリル重合体を構成する不飽和基含有単量体を重合させる方法で、重合体(B−1)とアクリル重合体を含む重合体混合物(C)した。
攪拌機付きの耐圧反応器に重合体(B−1)を140g入れて、約67℃に昇温した。反応容器内温を約67℃に保ち、窒素雰囲気下、攪拌しながら、メタクリル酸メチル12.5g、アクリル酸−n−ブチル18g、メタクリル酸−n−ブチル15g、アクリル酸イソオクチル14.5g、3−(メチルジメトキシシリル)プロピルメタクリレート0.3g、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン0.2g、ならびに2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(製品名:V65、和光純薬社製)0.75gの混合溶液を前記重合体(B−1)中に8時間かけて滴下して重合を行った。こうして、重合体(B−1)の存在下で、反応性ケイ素機基としてメチルジメトキシシリル基を有する(メタ)アクリレート共重合体を合成した。得られた「重合体(B−1)とアクリル重合体を含む重合体混合物(C)」を、ヘキサン中で溶解させた後、遠心分離を行い、抽出し、アクリル重合体の数平均分子量(Mn)を測定したところ、19000であった。
(合成例10:化合物(A−6)の合成)
ヒマシ油変性体であるユーリックH−1824(伊藤製油社製、水酸基価68mgKOH/g)の1000gをフラスコに入れ、105℃で2時間脱水した。カールフィッシャー水分測定装置で水分を測定したところ10ppmであった。次いでフラスコの内温を50℃に下げて、ジ−n−オクチル錫ビス(メルカプト酢酸イソオクチルエステル)(製品名:ネオスタンU−860、日東化成社製)を0.05gを滴下し1時間攪拌した後、γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン(製品名:Y−5187、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアル社製)の185gを滴下した。ヒマシ油変性対の水酸基の総数に対する、γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシランのイソシアネート基の総数のモル比(イソシアネート基/水酸基)の値は、0.70である。
その後、温度を80℃に上げて6時間反応を行い、イソシアネート基の有無をIR測定で確認したところ、イソシアネート基が消滅していることを確認した。その後、80℃のまま、酸化防止剤としてイルガノックス1076(製品名、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)を5g入れて、2時間攪拌し、化合物(A−6)得た。
(実施例8〜11および比較例5〜8)
上記合成例で得た各成分および市販の成分を用い、表2に示す配合で硬化性組成物を調製し、特性を評価した。表に示す配合割合の単位は「質量部」である。
すなわち、表に示す配合成分のうち、硬化促進剤を除く全成分を3本ペイントロールで混練した後、硬化促進剤を添加して混練して硬化性組成物を得た。
表2における重合体(B−1)、(B−2)、化合物(A−1)、(A−3)、(A−5)、および各添加剤(2)〜(13)は表1と同じである。
トナー(HAMATITE スーパーII(製品名)、横浜ゴム社製、ダークグレー)は、耐候性試験の時のみ配合した。
引張試験および膨れ試験は表1と同様である。
なお、比較例5,6の配合は、トナー以外は比較例1,2とそれぞれ同じである。
(耐表面汚染性)
アルミ板に幅2.5cm、長さ10cm、厚み5mmの枠を作成し、その枠の中に得られた硬化性組成物を充填した。その試験片を温度23℃、湿度65%の条件で1週間養生し、引き続いて、温度50℃、湿度65%の条件で1週間養生した。
こうして硬化した試験片(白色)を旭硝子株式会社京浜工場内に設置し、設置直後および4週間後の硬化物表面の色を、それぞれ測定器を用いて数値化(L、a、b)した。測定器は分光測色計(MINOLTA社製、製品名:SPECTROPHOTOMETER CM-508d)使用した。こうして得られた、設置直後の硬化物表面の色の数値と、4週間後の硬化物表面の色の数値との差から ΔE=(Δa+Δb+ΔL1/2 の式を用いて計算し、色差(△E)を求めた。色差(△E)の値が1以上、20未満である場合は○、20以上である場合は×として評価した。その結果を表2に示す。
(耐候性)
アルミ板上に、得られた硬化性組成物を幅2.5cm、長さ10cm、厚み0.2mmの大きさに塗布した。その試験片を温度23℃、湿度65%の条件で1週間養生し、引き続いて、温度50℃、湿度65%の条件で1週間養生した。
こうして硬化した試験片(黒色)に対して、サンシャインウェザーメーター(スガ試験機社製)を用いて耐候性試験を行った。試験開始から200時間経過した時点から50時間毎に表面を観察し、表面が黒色から白化した時間を測定した。白化したかどうかは耐候性試験を実施している試験体を、耐候性試験を実施していない基準品と並べて屋内の蛍光灯光源の下に設置し、耐候性試験を実施している試験体の表面が、基準品と比べて白くなったかどうかを目視により判定した。
試験開始から白化までの時間が500時間未満の場合を×、500時間以上、1000時間未満の場合を○、1000時間以上の場合を◎として評価した。その結果を表2に示す。
Figure 2009227964
表2の結果に示されるように、本発明にかかる実施例8〜11の硬化性組成物は、弾性率および伸びが良好であり、硬化物表面の膨れ発生が防止されており、かつ耐候性と耐表面汚染性を同時に向上している。
これに対して、実施例8〜10において化合物(A)を含有させず、その分だけ重合体(B)の配合量を増加させた比較例5〜7は、耐表面汚染性は良好であったが、耐候性は不充分であった。
また、化合物(A)および重合体(B)を用いず、その代わりに、重合体(B−1)とアクリル重合体を含む重合体混合物(C)を用いた比較例8は、耐候性は良好であったが、表面に汚れが付着しやすかった。

Claims (4)

  1. 油脂または油脂誘導体に、反応性ケイ基を導入してなる化合物(A)と、硬化促進剤(X)を含むことを特徴とする硬化性組成物。
  2. 前記化合物(A)が、ヒマシ油またはヒマシ油誘導体に反応性ケイ素基を導入してなる化合物(A1)を含む、請求項1記載の硬化性組成物。
  3. 前記反応性ケイ素基が下式(1)で表される、請求項1または2に記載の硬化性組成物。
    −Q−SiX 3−a・・・(1)
    [式中、Qは、炭素数1〜10の2価の有機基を示し、Rは置換基を有していてもよい炭素数1〜20の1価の有機基(加水分解性基を除く。)を示し、Xは水酸基又は加水分解性基を示し、aは1〜3の整数を示す。ただし、Rが複数存在するとき複数のRは互いに同一でも異なっていてもよく、Xが複数存在するとき複数のXは互いに同一でも異なっていてもよい。]
  4. ポリオキシアルキレン鎖と反応性ケイ基を有する重合体(B)をさらに含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
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