JP2009227816A - 熱硬化性フェノール樹脂組成物およびフェノール樹脂硬化物 - Google Patents

熱硬化性フェノール樹脂組成物およびフェノール樹脂硬化物 Download PDF

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Abstract

【課題】
硬化時にアンモニアガス発生の無い熱硬化性フェノール樹脂組成物および、それによって得られるフェノール樹脂硬化物を提供する。
【解決手段】
本発明は、熱硬化性フェノール樹脂組成物であって、硬化反応として酸化カップリング反応を利用し、遷移金属系酸化カップリング触媒を0.01〜10重量%含有することを特徴とする。また、酸素源の存在下、前記熱硬化性フェノール樹脂組成物によってフェノール樹脂硬化物を得る事ができる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、熱硬化性フェノール樹脂組成物およびフェノール樹脂硬化物に関するものである。
フェノール樹脂には、ノボラック型フェノール樹脂と、レゾール型フェノール樹脂とがあり、ノボラック型フェノール樹脂には硬化剤(主にヘキサメチレンテトラミンが硬化剤として使用される)が配合されて熱硬化性フェノール樹脂組成物として用いられる。これらはいずれも、耐熱性、機械的強度、電気特性、等、種々の優れた特性を有しており、成形材料、積層板、接着剤、等、種々の用途に使用されている。
硬化剤として用いられるヘキサメチレンテトラミンは固形であるため、製品形態として粉末状であることを要求される用途においては、特に好んで使用される。一方で、ヘキサメチレンテトラミンは硬化時にアンモニアガスが発生するため、銅や亜鉛、錫やそれらの合金などを腐蝕させるのみならず、作業環境を汚染するという問題がある。
これまでも、ヘキサメチレンテトラミンに代わるノボラック型フェノール樹脂の硬化剤として、エポキシ樹脂や、イソシアネート、固形のレゾール型フェノール樹脂などが検討されてきている。一方で、作業環境の改善という点においては、エポキシ樹脂や、イソシアネート自身に有害性があり、またレゾール型フェノール樹脂では硬化時にホルムアルデヒドが発生するという問題がある。これらの硬化系では環境面においては十分な効果が得られておらず、別の新しい硬化系が望まれている。
近年、新しい硬化剤として、ジビニルベンゼン(例えば特許文献1)、ポリアセタール(例えば特許文献2)などが提案されている。しかし、いずれの硬化系も触媒が酸であり、金型等の金属腐食の問題から、使用範囲は限定的であった。
特開平5−51516号公報 特開2004−269856号公報
本発明は、フェノール樹脂の硬化反応として酸化カップリング反応を利用し、硬化時にアンモニアガス発生のない、熱硬化性フェノール樹脂組成物および、それによって得られるフェノール樹脂硬化物を提供するものである。
このような目的は、下記の本発明(1)〜(5)により達成される
(1)フェノール樹脂組成物であって、遷移金属系酸化カップリング触媒(a)とフェノール樹脂(b)とを含有することを特徴とする、熱硬化性フェノール樹脂組成物。
(2)前記遷移金属系酸化カップリング触媒(a)は、銅、鉄、マンガン、コバルト及びニッケルからなる群より選ばれる1種以上の金属の化合物を含むものである、(1)項に記載の熱硬化性フェノール樹脂組成物。
(3)前記遷移金属系酸化カップリング触媒(a)の含有量は、前記フェノール樹脂(b)に対して0.01〜10重量%であることを特徴とする、(1)または(2)項に記載の熱硬化性フェノール樹脂組成物。
(4)前記フェノール樹脂(b)が、分子中に少なくとも1つ以上のフェノール性水酸基を有するものである、(1)〜(3)項のいずれか1項に記載のフェノール樹脂組成物。
(5)酸素源(c)の存在下、(1)〜(4)項のいずれか1項に記載の熱硬化性フェノール樹脂組成物より得られるフェノール樹脂硬化物。
本発明によれば、硬化時にアンモニアガス発生の無い、熱硬化性フェノール樹脂組成物および、それによって得られるフェノール樹脂硬化物を得る事ができる。
本発明は、熱硬化性フェノール樹脂組成物であって、遷移金属系酸化カップリング触媒とフェノール樹脂を含有する。遷移金属系酸化カップリング触媒をフェノール樹脂に対して0.01〜10重量%含有することが好ましい。また、酸素源の存在下、前記熱硬化性フェノール樹脂組成物によって得られたことを特徴とするフェノール樹脂硬化物である。
まず本発明の熱硬化性フェノール樹脂組成物について説明する。本発明に用いるフェノール樹脂(b)としては、芳香族環に少なくとも1つ以上のフェノール性水酸基を有するフェノール樹脂であり、例えば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、レゾルシンノボラック樹脂、キシレノールノボラック樹脂、ナフトールノボラック樹脂、ビスフェノールA型ノボラック樹脂、アラルキルノボラック樹脂、ビフェニルアラルキルノボラック樹脂、及びフェノール性水酸基を有するカシューナッツ油等による変性ノボラック樹脂などが挙げられる。また、フェノール性水酸基を有する物質を含む、キシレンフェノールノボラック樹脂、及びフェノール類とロジン、テルペン油等で変性したの油変性ノボラック型フェノール樹脂、ゴムで変性したゴム変性ノボラック型フェノール樹脂等のノボラック型フェノール樹脂等も使用する事ができる。また、本発明において、レゾール型フェノール樹脂を用いてもかまわないが、硬化時にホルムアルデヒドを発生するため、ノボラック型フェノール樹脂である事が好ましい。
前記フェノール樹脂(b)を得るために用いるフェノール類としては特に限定されないが、芳香族環にフェノール性水酸基を有するものが好ましく、さらにはフェノール性水酸基以外の置換基を有していてもかまわない。例えば、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール等のクレゾール、混合クレゾール、2,3−キシレノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、2,6−キシレノール、3,4−キシレノール、3,5−キシレノール等のキシレノール、o−エチルフェノール、m−エチルフェノール、p−エチルフェノール等のエチルフェノール、イソプロピルフェノール、ブチルフェノール、p−tert−ブチルフェノール等のブチルフェノール、p−tert−アミルフェノール、p−オクチルフェノール、p−ノニルフェノール、p−クミルフェノール等のアルキルフェノール、フルオロフェノール、クロロフェノール、ブロモフェノール、ヨードフェノール等のハロゲン化フェノール、p−フェニルフェノール、アミノフェノール、ニトロフェノール、ジニトロフェノール、トリニトロフェノール等の1価フェノール置換体、および1−ナフトール、2−ナフトール等の1価のフェノール類、レゾルシン、アルキルレゾルシン、ピロガロール、カテコール、アルキルカテコール、ハイドロキノン、アルキルハイドロキノン、フロログルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールE、ビスフェノールS、ジヒドロキシナフタリン等の多価フェノール類、フェノール性水酸基を有する物質より構成されるカシューナット油、等が挙げられる。これらを単独または2種類以上組み合わせて使用することができる。また、これらフェノール性水酸基を有するフェノール類と他のフェノール性水酸基を含有しない物質との共重合体を使用してもかまわない。これにより、分子中に少なくとも1つ以上のフェノール性水酸基を有するフェノール樹脂を得る事ができる。
また、用いるアルデヒド類としては、特に限定されず、例えば、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、トリオキサン、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ポリオキシメチレン、クロラール、ヘキサメチレンテトラミン、フルフラール、グリオキザール、n−ブチルアルデヒド、カプロアルデヒド、アリルアルデヒド、ベンズアルデヒド、クロトンアルデヒド、アクロレイン、テトラオキシメチレン、フェニルアセトアルデヒド、o−トルアルデヒド、サリチルアルデヒド、パラキシレンジメチルエーテル等が挙げられる。これらを単独または2種類以上組み合わせて使用することもできる。
前記ノボラック型フェノール樹脂を得る場合、フェノール類(P)とアルデヒド類(F)とのモル比(F/P)は、特に限定されないが、0.1〜0.95が好ましく、ノボラック型フェノール樹脂を収率良く、経済的に得る観点から、特に0.2〜0.9が好ましい。
前記ノボラック型フェノール樹脂を得る場合の触媒としては特に限定されず、酸触媒、塩基触媒、遷移金属塩触媒などが挙げられる。酸触媒としては、例えば、塩酸、硫酸、リン酸類などの無機酸、蓚酸、p−トルエンスルホン酸、有機ホスホン酸等の有機酸を用いることができる。また、塩基触媒としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属水酸化物、水酸化カルシウム、水酸化バリウム等のアルカリ土類金属水酸化物、アンモニア、アルキルアミン等のアミン類などを用いることができる。さらに遷移金属塩触媒としては、たとえばシュウ酸亜鉛、酢酸亜鉛等が挙げられる。
本発明の熱硬化性樹脂組成物で用いる遷移金属系酸化カップリング触媒(a)としては、遷移金属系化合物を含有する物である事が好ましい。遷移金属系化合物としては、例えばチタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、ロジウム、パラジウム、銀、カドミウム、タンタル、タングステン、オスミウム、イットリウム、プラチナ、金、水銀などが挙げられ、いかなるイオン価の状態でも使用する事ができる。好ましくはマンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅化合物である。マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅の化合物としては、それらの金属塩や、金属錯体を使用する事ができる。金属塩としては、特に限定されないが、たとえば無機酸塩としてハロゲン酸塩であるフッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物や、硫酸塩、亜硫酸塩、硝酸塩、亜硝酸塩、炭酸塩、リン酸塩等が挙げられ、有機酸塩として酢酸塩、シュウ酸塩、スルホン酸塩等が挙げられる。金属錯体としては、特に限定されないが、水酸基やカルボニル基、エーテル基、アミン基、イミン基、アミド基を有する有機化合物との錯体や、シクロペンタジエニルアニオンとの錯体などがあり、たとえばナフテン酸錯体、アセチルアセトン錯体、サレン錯体、クラウンエーテル錯体、メタロセン錯体等が挙げられる。さらに好ましくは鉄、銅化合物であり、たとえば鉄サレン錯体、銅サレン錯体や、塩化鉄、臭化鉄、酢酸鉄、塩化銅、臭化銅、酢酸銅などが挙げられる。これらは酸化カップリング反応における活性が高く、架橋密度の高いフェノール樹脂硬化物を得る事ができる。
遷移金属系酸化カップリング触媒(a)の含有量としては、0.01〜10重量%であり、好ましくは0.03〜7重量%、さらに好ましくは0.05〜5重量%である。含有量が下限値未満である場合には、実質的に硬化触媒としての効果が得られないことがあり、また、含有量が上限値よりも多量である場合、前記熱硬化性フェノール樹脂組成物より得られるフェノール樹脂硬化物中に多量に金属が残存することになり、硬化物の耐熱性が低下する事がある。
また、酸化カップリング反応は、前記遷移金属系化合物によってのみでも促進されるが、さらに助触媒として、アミン系化合物を添加してもかまわない。アミン系化合物としては、特に限定されないが、置換アルキルアミン類、アルカノールアミン類、および環式アミン類いずれも使用する事ができ、例えば、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、プロピルアミン、ジプロピルアミン、トリプロピルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、トリブチルアミン、イソブチルアミン、ジイソブチルアミン、トリイソブチルアミン、ターシャリーブチルアミン、ペンチルアミン、ネオペンチルアミン、ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、メチルエチルアミン、メチルジエチルアミン、テトラメチルメタンジアミン、テトラメチルエタンジアミン、テトラメチルプロパンジアミン、ベンジルジメチルアミンなどがある。また、アルカノールアミンとしては、例えばモノ、ジ又はトリエタノールアミン等のアルカノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール等のβ−アミノアルカノールなどが挙げられる。環式アミン類としては、ピリジン、モルホリン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、やピペリジン、N−メチルピペリジン、N−エチルピペリジンなどがある。これらのアミン系化合物は1種のみを使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。前記アミン系助触媒を添加することにより、酸化カップリング反応を促進し、硬化速度を増大させ、さらに硬化物の架橋密度を高める事ができる。
フェノール樹脂(b)と遷移金属系酸化カップリング触媒(a)の混合方法は特に限定されず、フェノール樹脂(b)を釜等で加熱溶融させたところへ遷移金属系酸化カップリング触媒(a)を溶融混合してもかまわないし、加圧ニーダー、ロール、コニーダー、2軸押出し機等で混練混合、あるいは粉砕機にて粉砕混合してもかまわない。
次に本発明の熱硬化性フェノール樹脂組成物よりフェノール樹脂硬化物を得る方法を説明する。前記熱硬化性フェノール樹脂組成物よりフェノール樹脂硬化物を得る方法としては特に限定されないが、酸素源(c)存在下、前記熱硬化性フェノール樹脂組成物を加熱硬化させる方法などが挙げられる。通常酸化カップリング反応は酸素源存在下にて進行し、本硬化系では酸素源、および遷移金属系酸化カップリング触媒存在下フェノール性水酸基とベンゼン環、フェノール性水酸基同士のカップリングにより、架橋構造が生じ、硬化が進行する。
前記フェノール樹脂硬化物を得るための酸素源(c)としては、例えば酸素、酸化剤、過酸化物が挙げられる。酸素としては、酸素ガスそのまま使用しても良いし、酸素混合ガス、あるいは空気中の酸素を使用してもかまわない。酸素源としてオゾンを使用することもできるが、オゾンはフェノール類の芳香族環を分解するため、酸素の方がより好ましい。酸化剤としては特に限定されないが、例えば過酸化ナトリウム、過酸化カリウムム、過酸化リチウム、過酸化カルシウム、過酸化マグネシウム、過酸化バリウム等の無機過酸化物、塩素酸ナトリウム、塩素酸カリウムム、塩素酸カルシウム、塩素酸マグネシウム、塩素酸バリウム等の塩素酸塩類、過塩素酸カリウム、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸アンモニウム等の過塩素酸塩類、臭素酸カリウム、臭素酸ナトリウム 、臭素酸マグネシウム等の臭素酸塩類、ヨウ素酸塩類、硝酸カリウム、硝酸ナトリウム、硝酸バリウム、硝酸アンモニウム、硝酸銀等の硝酸塩類、過マンガン酸ナトリウム、過マンガン酸カリウム、過マンガン酸アンモニウム等の過マンガン酸塩類、重クロム酸カリウム、重クロム酸アンモニウム等の重クロム酸塩類、過よう素酸塩類、過よう素酸、亜硝酸塩類、次亜塩素酸塩類、など用いることができる。過酸化物としては特に限定されないが、例えば、ハイドロパーオキサイド類として過酸化水素、クメンハイドロパーオキサイド、ターシャリーブチルハイドロパーオキサイド、メンタンハイドロパーオキサイド、ケトンパーオキサイド類としてメチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、パーオキシケタール類として1,1−ジターシャリーブチルパーオキシシクロヘキサン、2,2−ジターシャリーブチルパーオキシブタン、ジアルキルパーオキサイド類としてジクミルパーオキサイド、ジイソブチルパーオキサイド、ジターシャリーブチルパーオキサイド、ジベンゾイルパーオキサイド、パーオキシカーボネート類としてジプロピルパーオキシジカーボネート、パーオキシエステル類としてターシャリーブチルパーオキシジアセテート、クミルパーオキシネオデカネート、ターシャリーブチルペルオキシネオヘプタネート、などが挙げられる。好ましくは、酸素、酸素混合ガス、空気、過酸化水素、特に好ましくは酸素、酸素混合ガス、空気である。これらは単独、又は併用して使用してもかまわない。酸素、酸素混合ガス、空気は、特に薄膜状や多孔質の硬化物を得る際には、樹脂組成物に対して実質的に無限に酸素を供給できるため、効率よく硬化を行う事ができる。
前記フェノール樹脂硬化物を得るための温度は特に限定されないが、50℃〜350℃である事が好ましく、さらに好ましくは80℃〜300℃である。硬化温度が下限値未満である場合には、経済的な硬化速度が得られないことがあり、また、上限値よりも高い場合、フェノール樹脂の主鎖が酸化反応を受けることによる分解が発生し、架橋密度が低下する事がある。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら制約されるものではない。また、実施例、比較例で示される「部」および「%」は全て「重量部」および「重量%」である。
(樹脂合成例1)
フェノール1000部、37%ホルマリン500部、蓚酸10部の混合物を、100℃で3時間反応後、反応混合物の温度が140℃になるまで、常圧蒸留で脱水し、更に、0.9kPaまで、徐々に減圧しながら、反応混合物の温度が220℃になるまで減圧蒸留で脱水、脱モノマーし、ノボラック型フェノール樹脂A840部を得た。得られたノボラック型フェノール樹脂AのGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)による重量平均分子量は1100であった。
(樹脂合成例2)
フェノール1000部、37%ホルマリン720部、蓚酸10部の混合物を、100℃で3時間反応後、反応混合物の温度が140℃になるまで、常圧蒸留で脱水し、更に、0.9kPaまで、徐々に減圧しながら、反応混合物の温度が240℃になるまで減圧蒸留で脱水、脱モノマーし、ノボラック型フェノール樹脂B1022部を得た。得られたノボラック型フェノール樹脂BのGPCによる重量平均分子量は21000であった。
表1に実施例、比較例に用いた原料の配合量を示す。数字は全て重量部である。
Figure 2009227816
(実施例1)
フェノール樹脂A、遷移金属系酸化カップリング触媒として塩化銅(II)を表1に示す割合で
配合し、150℃熱板上にて3分間、溶融混合を行い、熱硬化性フェノール樹脂組成物Aを得た。
(実施例2)
実施例1の配合に加え、助触媒としてn−ジブチルアミン、テトラメチルプロパンジアミンを表1に示す割合で配合した他は、実施例1と同様にして熱硬化性フェノール樹脂組成物Bを得た。
(実施例3)
遷移金属系酸化カップリング触媒として塩化銅(II)の代わりに酢酸銅(II)を用いた他は、
実施例2と同様にして熱硬化性フェノール樹脂組成物Cを得た。
(実施例4)
遷移金属系酸化カップリング触媒として塩化銅(II)の代わりに鉄サレン錯体を用いた他は、
実施例1と同様にして熱硬化性フェノール樹脂組成物Dを得た。
(実施例5)
フェノール樹脂としてノボラック型フェノール樹脂Aの代わりにノボラック型フェノール樹脂Bを用いた他は、実施例2と同様にして熱硬化性フェノール樹脂組成物Eを得た。
(比較例1)
ノボラック型フェノール樹脂Aを単独で使用した。
(比較例2)
ノボラック型フェノール樹脂Aに一般的なフェノール樹脂の硬化剤であるヘキサメチレンテトラミンを表1に示す割合にて配合し、卓上粉砕機にて粉砕混合を行い、フェノール樹脂組成物Aを得た。
(比較例3)
ヘキサメチレンテトラミンを表1に示す割合にて配合した他は、比較例1と同様にしてフェノール樹脂組成物Bを得た。
(比較例4)
ノボラック型フェノール樹脂Bを単独で使用した。
(比較例5)
フェノール樹脂としてノボラック型フェノール樹脂Aの代わりにノボラック型フェノール樹脂Bを用いた他は、比較例2と同様にしてフェノール樹脂組成物Cを得た。
(評価方法)
(1)溶剤抽出率:硬化物の架橋密度の目安として溶剤抽出率を測定し、評価を行った。分子量の低いノボラック型フェノール樹脂Bを使用した実施例1〜4、比較例1〜3について、得られた熱硬化性フェノール樹脂組成物、フェノール樹脂、フェノール樹脂組成物を卓上粉砕機にて各々粉砕した。得られた粉末を各10g、縦20cm×横10cm×深さ5cmのステンレス製容器に樹脂および組成物を広げ、150℃にて4時間、温風強制対流式乾燥炉にて加熱硬化処理を行った。溶剤による抽出は、得られた硬化物を卓上粉砕機にて粉砕し、ソックスレー抽出器を用いて8時間、アセトン溶媒にて粉砕物より抽出をおこなった。抽出液を80℃にて8時間、真空度20mmHgにて乾燥させ、得られた固形分の重量を測定し、下記の式より溶剤抽出率を算出した。評価結果を表2に示す。
溶剤抽出率(%) = 抽出液固形分重量 / 硬化物重量 × 100
(2)アンモニアガス濃度:作業環境への影響評価として、実施例1〜4、比較例1〜3について、樹脂組成物を1g、容積1Lのステンレス製容器に入れ密封し、温風強制対流式乾燥炉にて150℃で1時間加熱処理した。加熱処理後、容器中のガスを採取し、北川式ガス検知管を用いてアンモニアガス濃度について測定し、評価した。評価結果を表2に示す。
Figure 2009227816
(3)曲げ強度:機械的物性の評価のため、フィラーを配合し、機械的強度の測定を行った。分子量の高いノボラック型フェノール樹脂Bを使用した実施例5、比較例4〜5について樹脂及び樹脂組成物を各々卓上粉砕機で粉砕し、得られた樹脂及び樹脂組成物各5gをアルミナフイラーとしてアランダムA#36(日本カーリット製)100部と乾式混合した。そこへメタノール2部添加し、配合物全体をメタノールで湿らせた後、得られた配合物55gを長さ80mm×幅55mm×厚さ5mmの金型に入れ、30秒間加圧して成形し、これを120℃で24時間、さらに200℃で24時間、温風強制対流式乾燥炉にて加熱硬化させた。得られた試験片を長さ55mm×幅10mm×厚さ5mmにダイアモンドカッターを使用して試験片を切り出した。これをJIS K 7203に準拠して、室温にて3点曲げ試験(スパン40mm、ヘッドスピード2mm/分)を行い、曲げ強度を測定した。n=5の平均値を曲げ強度とした。評価結果を表3に示す。
Figure 2009227816
前記表2の結果から明らかなように、遷移金属系酸化カップリング重合触媒を配合した実施例1〜4は、一般的なフェノール樹脂の硬化剤であるヘキサメチレンテトラミンを使用していないにもかかわらず、樹脂のみの比較例1に対して、溶剤抽出率の大幅な低下が見られ、樹脂の架橋が進行していた事がわかる。アンモニアガス濃度については硬化剤にヘキサメチレンテトラミンを使用した比較例2、3ではアンモニアガスが検出されたが、実施例1〜4ではいずれも検出されなかった。また、比較例3のようにヘキサメチレンテトラミンの配合量を減らして使用しても、アンモニアガスは依然として検出され、アンモニアガス発生に対しては十分な効果が得られないばかりか、、溶剤抽出率が大きいことから、樹脂の架橋がほとんど進行していない事が示唆される。また、前記表3の結果から、遷移金属系酸化カップリング重合触媒、およびヘキサメチレンテトラミンを用いない比較例4では成形体が得られなかった一方で、遷移金属系酸化カップリング重合触媒を配合した実施例4では、ヘキサメチレンテトラミンを用いないにもかかわらず成形体を得る事ができ、曲げ強度も実用に耐えうる強度を有していた。すなわち、遷移金属系酸化カップリング重合触媒を配合した本発明による熱硬化性フェノール樹脂組成物は、アンモニアガスの発生が無いにもかかわらず、それにより得られる硬化物の物性も十分実用に耐えうるものである事がわかる。

Claims (5)

  1. フェノール樹脂組成物であって、遷移金属系酸化カップリング触媒(a)とフェノール樹脂(b)とを含有することを特徴とする、熱硬化性フェノール樹脂組成物。
  2. 前記遷移金属系酸化カップリング触媒(a)は、銅、鉄、マンガン、コバルト及びニッケルからなる群より選ばれる1種以上の金属の化合物を含むものである、請求項1に記載の熱硬化性フェノール樹脂組成物。
  3. 前記遷移金属系酸化カップリング触媒(a)の含有量は、前記フェノール樹脂(b)に対して0.01〜10重量%であることを特徴とする、請求項1または2に記載の熱硬化性フェノール樹脂組成物。
  4. 前記フェノール樹脂(b)が、分子中に少なくとも1つ以上のフェノール性水酸基を有するものである、請求項1〜3のいずれか1項に記載のフェノール樹脂組成物。
  5. 酸素源(c)の存在下、請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱硬化性フェノール樹脂組成物より得られるフェノール樹脂硬化物。
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