JP2009227207A - 車両の電動パワーステアリング装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】車両の変速機の操作位置や切換操作時間に応じて、操舵応答性を変更することができ、車速によらず、運転者が車両を通常走行させる場合とスポーツ走行させる場合の運転者意思を判断して操舵応答性の変更に反映させるように構成できる、車両の電動パワーステアリング装置を提供する。
【解決手段】電動機制御部20は、目標駆動値設定部21で電動機11の目標駆動値Iaを設定し、制御駆動値設定部25で検出駆動値Ibが目標駆動値Iaとなるように電動機11の制御駆動値Icを設定する。制御駆動値設定部25において、検出駆動値Ibが目標駆動値Icに収束する応答性を変更するために、ゲイン係数設定部25aで、目標駆動値Iaと検出駆動値Ibとの偏差ΔIに乗じるゲイン係数Kgを、変速機操作検センサ14で検出された変速機11の操作位置とに応じて可変に設定する。
【選択図】 図2
【解決手段】電動機制御部20は、目標駆動値設定部21で電動機11の目標駆動値Iaを設定し、制御駆動値設定部25で検出駆動値Ibが目標駆動値Iaとなるように電動機11の制御駆動値Icを設定する。制御駆動値設定部25において、検出駆動値Ibが目標駆動値Icに収束する応答性を変更するために、ゲイン係数設定部25aで、目標駆動値Iaと検出駆動値Ibとの偏差ΔIに乗じるゲイン係数Kgを、変速機操作検センサ14で検出された変速機11の操作位置とに応じて可変に設定する。
【選択図】 図2
Description
本発明は車両の電動パワーステアリング装置に関し、特に、操舵応答性を変速機の操作位置や切換操作時間に応じて可変に構成したものである。
一般に、自動車等の車両に装備される電動パワーステアリング装置は、ステアリング機構を駆動して操舵補助力を発生させる電動機、車速を検出する車速検出部、ステアリング機構の操舵トルクを検出する操舵トルク検出部、電動機の駆動値(駆動電流値)を検出する駆動値検出部、これらの検出部で検出された検出車速と検出操舵トルクと検出駆動値とに基づいて電動機を駆動制御する電動機制御部とを備えている。
電動機制御部では、検出車速と検出操舵トルクとに基づいて、電動機の目標駆動値(目標駆動電流値)が設定されるとともに、検出駆動値が目標駆動値となる(目標駆動値に収束する)ように、電動機の制御駆動値(制御駆動電流値)が設定され、この制御駆動値に基づいて電動機が駆動制御される。一般に、制御駆動値については、目標駆動値と検出駆動値との偏差に所定ゲインを乗じたものが設定される。
特許文献1の車両の電動パワーステアリング装置では、電動機制御部が、目標駆動値と検出駆動値との偏差に所定ゲインを乗じた制御駆動ベース値に、更に、車速に応じて可変のゲイン係数を乗じて制御駆動値を可変に設定し、具体的には、車速の増減に伴ってゲイン係数(制御駆動値)を増減させ、低速走行時には、ゲイン係数を小さくして操舵応答性を低く抑えて、電動パワーステアリング装置から発生する音や振動を低減し、高速走行時には、ゲイン係数を大きくして操舵応答性を良くしている。
運転者が通常に車両を操舵して走行(通常走行)させる一方、状況に応じて、例えば、運転者が車両を山路等のカーブが多い道路を走行させる場合等、通常よりも操舵応答性を良くして車両を機敏に操舵して走行(スポーツ走行)させたい場合がある。しかし、従来の車両の電動パワーステアリング装置において、電動機制御部が、電動機を駆動制御する制御駆動値として、目標駆動値と検出駆動値との偏差に固定値である所定ゲインを乗じたものを設定すると、上記要望に応えることはできない。
特許文献1の車両の電動パワーステアリング装置では、電動機制御部が、目標駆動値と検出駆動値との偏差から算出した制御駆動ベース値に、車速に応じて可変のゲイン係数を乗じて制御駆動値を可変に設定して、操舵応答性を変更するものであり、低速走行時にはゲイン係数を小さくして操舵応答性を低く抑え、高速走行時にはゲイン係数を大きくして操舵応答性を良くするが、車速によらず、車両を通常走行させる場合に操舵応答性を低く抑え、車両をスポーツ走行させる場合に操舵応答性を良くすることはできない。
本発明の目的は、車両の変速機の操作位置や切換操作時間、更にはエンジンの回転数に応じて、操舵応答性を変更することができ、車速によらず、運転者が車両を通常走行させる場合とスポーツ走行させる場合の運転者意思を判断して操舵応答性の変更に反映させるように構成できる、車両の電動パワーステアリング装置を提供することである。
本発明の車両の電動パワーステアリング装置は、車両のステアリング機構を駆動して操舵補助力を発生させる電動機と、ステアリング機構の操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段と、電動機の駆動値を検出する駆動値検出手段と、操舵トルク検出手段で検出された検出操舵トルクと駆動値検出手段で検出された検出駆動値とに基づいて電動機を駆動制御する電動機制御手段とを備えたものである。
請求項1の発明は、前記電動機制御手段は、少なくとも前記検出操舵トルクに基づいて電動機の目標駆動値を設定する目標駆動値設定手段と、前記検出駆動値が前記目標駆動値となるように電動機の制御駆動値を設定する制御駆動値設定手段とを有し、前記車両の変速機の操作位置と切換操作時間の少なくとも一方を検出する変速機操作検出手段を備え、前記制御駆動値設定手段は、前記検出駆動値が前記目標駆動値に収束する応答性を変更するために、前記目標駆動値と前記検出駆動値との偏差に乗じるゲイン係数を、変速機操作検出手段で検出された変速機の操作位置と切換操作時間の少なくとも一方に応じて可変に設定するゲイン係数設定手段を有する、ことを特徴とする。
この発明では、電動機制御手段において、目標駆動値設定手段により、少なくとも検出操舵トルクに基づいて電動機の目標駆動値が設定されるとともに、制御駆動値設定手段により、検出駆動値が目標駆動値となるように電動機の制御駆動値が設定され、この制御駆動値に基づいて電動機が駆動制御される。制御駆動値設定手段において、検出駆動値が目標駆動値に収束する応答性を変更するために、ゲイン係数設定手段により、目標駆動値と検出駆動値との偏差に乗じるゲイン係数が、変速機操作検出手段で検出された変速機の操作位置と切換操作時間の少なくとも一方に応じて可変に設定され、このゲイン係数を目標駆動値と検出駆動値との偏差に乗じて制御駆動値が可変に設定される。
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記変速機は変速段を手動で切換え操作可能に構成され、前記変速機操作検出手段は、前記変速機の操作位置として、複数の変速段に夫々切換える複数の変速段位置を検出可能に構成され、前記ゲイン係数設定手段は、変速機操作検出手段で検出された変速段位置が所定変速段未満の変速段位置の場合に所定変速段以上の変速段位置の場合よりも小さなゲイン係数を設定することを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において、前記変速機は変速段を手動で切換え操作可能に構成され、前記変速機操作検出手段は、変速段を所定変速段から他の変速段へ手動で切換える切換操作時間を検出可能に構成され、前記ゲイン係数設定手段は、変速機操作検出手段で検出された切換操作時間が設定時間未満の場合に設定時間以上の場合よりも大きなゲイン係数を設定することを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項1の発明において、前記変速機は変速段を自動で切換えるATモードと手動で切換えるMTモードとに択一的に切換え操作可能に構成され、前記変速機操作検出手段は、前記変速機の操作位置として、変速機をATモードに切換えるATモード位置とMTモードに切換えるMTモード位置とを検出可能に構成され、前記ゲイン係数設定手段は、変速機操作検出手段でATモード位置が検出された場合にMTモード位置が検出された場合よりも小さなゲイン係数を設定することを特徴とする。
請求項5の発明は、請求項1〜4の何れかの発明において、車両のエンジンの回転数を検出するエンジン回転数検出手段を備え、前記ゲイン係数設定手段は、エンジン回転数検出手段で検出されたエンジン回転数を加味してゲイン係数を設定することを特徴し、請求項6の発明は、請求項5の発明において、前記ゲイン係数設定手段は、エンジン回転数手段で検出されたエンジン回転数が設定回転数未満の場合に設定回転数以上の場合よりも小さなゲイン係数を設定することを特徴とする。
請求項1の車両の電動パワーステアリング装置によれば、電動機制御手段は、少なくとも検出操舵トルクに基づいて電動機の目標駆動値を設定する目標駆動値設定手段と、検出駆動値が目標駆動値となるように電動機の制御駆動値を設定する制御駆動値設定手段とを有し、車両の変速機の操作位置と切換操作時間の少なくとも一方を検出する変速機操作検出手段を備え、制御駆動値設定手段は、検出駆動値が目標駆動値に収束する応答性を変更するために、目標駆動値と検出駆動値との偏差に乗じるゲイン係数を、変速機操作検出手段で検出された変速機の操作位置と切換操作時間の少なくとも一方に応じて可変に設定するゲイン係数設定手段を有する。
特に、制御駆動値設定手段において、検出駆動値が目標駆動値に収束する応答性を変更するために、ゲイン係数設定手段により、目標駆動値と検出駆動値との偏差に乗じるゲイン係数を、変速機操作検出手段で検出された変速機の操作位置と切換操作時間の少なくとも一方に応じて可変に設定するので、このゲイン係数を目標駆動値と検出駆動値との偏差に乗じて制御駆動値を可変に設定することができ、つまり、車両の変速機の操作位置や切換操作時間に応じて、操舵応答性を変更することができる。従って、運転者が通常に車両を操舵して走行(通常走行)させる場合と、状況に応じて、例えば、運転者が車両を山路等のカーブが多い道路を走行させる場合等、通常よりも操舵応答性を良くして車両を機敏に操舵して走行(スポーツ走行)させる場合の運転者意思を、変速機の操作位置や切換操作時間に応じて判断して操舵応答性の変更に反映させるように構成できる。
請求項2の車両の電動パワーステアリング装置によれば、変速機は変速段を手動で切換え操作可能に構成され、変速機操作検出手段は、変速機の操作位置として、複数の変速段に夫々切換える複数の変速段位置を検出可能に構成され、ゲイン係数設定手段は、変速機操作検出手段で検出された変速段位置が所定変速段未満の変速段位置の場合に所定変速段以上の変速段位置の場合よりも小さなゲイン係数を設定するので、変速機の変速段が所定変速段未満の場合には、車両が低速走行している場合が多く、この場合、ゲイン係数(制御駆動値)を大きくして操舵応答性を良くすると、電動パワーステアリング装置から発生する音や振動が大きくなり、その音や振動が車両のロードノイズも小さいことから車内(乗員)に伝わり易くなるが、これを防止することができる。
請求項3の車両の電動パワーステアリング装置によれば、変速機は変速段を手動で切換え操作可能に構成され、変速機操作検出手段は、変速段を所定変速段から他の変速段へ手動で切換える切換操作時間を検出可能に構成され、ゲイン係数設定手段は、変速機操作検出手段で検出された切換操作時間が設定時間未満の場合に設定時間以上の場合よりも大きなゲイン係数を設定するので、運転者が車両をスポーツ走行させる場合、変速段を所定変速段から他の変速段へ手動で切換える切換操作時間が早くなるものとして、この変速段の切換操作時間が設定時間未満か設定時間以上かを判定することで、スポーツ走行させる場合と通常走行させる場合の運転者意思を判断して、切換操作時間が設定時間未満の(スポーツ走行させる)場合、操舵応答性を良くし、切換操作時間が設定時間以上の(通常走行させる)場合、操舵応答性を低く抑えることができる。
請求項4の車両の電動パワーステアリング装置によれば、変速機は変速段を自動で切換えるATモードと手動で切換えるMTモードとに択一的に切換え操作可能に構成され、変速機操作検出手段は、変速機の操作位置として、変速機をATモードに切換えるATモード位置とMTモードに切換えるMTモード位置とを検出可能に構成され、ゲイン係数設定手段は、変速機操作検出手段でATモード位置が検出された場合にMTモード位置が検出された場合よりも小さなゲイン係数を設定するので、運転者が車両をスポーツ走行させる場合、変速機をMTモードに切換えるものとして、この変速機のモードがMTモードかATモードかを判定することで、スポーツ走行させる場合と通常走行させる場合の運転者意思を判断して、MTモードの(スポーツ走行させる)場合、操舵応答性を良くし、ATモードの(通常走行させる)場合、操舵応答性を低く抑えることができる。
請求項5の車両の電動パワーステアリング装置によれば、車両のエンジンの回転数を検出するエンジン回転数検出手段を備え、ゲイン係数設定手段は、エンジン回転数検出手段で検出されたエンジン回転数を加味してゲイン係数を設定するので、運転者が車両を通常走行させる場合とスポーツ走行させる場合の運転者意思をより精度良く判断して、操舵応答性の変更に反映させることができる。
請求項6の車両の電動パワーステアリング装置によれば、ゲイン係数設定手段は、エンジン回転数手段で検出されたエンジン回転数が設定回転数未満の場合に設定回転数以上の場合よりも小さなゲイン係数を設定するので、運転者が車両をスポーツ走行させる場合、エンジン回転数が高くなるものとして、このエンジン回転数が設定回転数未満か設定回転数以上かを判定することで、スポーツ走行させる場合と通常走行させる場合の運転者意思を判断して、エンジン回転数が設定回転数以上の(スポーツ走行させる)場合、操舵応答性を良くし、エンジン回転数が設定回転数未満の(通常走行させる)場合、操舵応答性を低く抑えることができる。
本発明の車両の電動パワーステアリング装置は、車両のステアリング機構を駆動して操舵補助力を発生させる電動機と、ステアリング機構の操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段と、電動機の駆動値を検出する駆動値検出手段と、操舵トルク検出手段で検出された検出操舵トルクと駆動値検出手段で検出された検出駆動値とに基づいて電動機を駆動制御する電動機制御手段とを備えたものである。
図1に示すように、自動車等の車両の電動パワーステアリング装置1は、左右1対の前輪2を操舵する為のステアリング機構3を備え、そのステアリング機構3では、ハンドル4(ステアリングホイール4)がステアリングシャフト5の上端部に連結され、ステアリングシャフト5の下端部に自在継手を介して中間シャフト6の上端部が連結され、中間シャフト6の下端部に車両応答可変機構7が連結されている。尚、車両応答可変機構7によりハンドル4の舵角に対する前輪2の操舵の伝達比を変化させることができる。
車両応答可変機構7に中間シャフト8の上端部が連結され、中間シャフト8の下端部にステアリングギヤボックス9が設けられている。ステアリングギヤボックス9の車幅方向両端部側に左右1対のタイロッド10が連結され、この1対のタイロッド10に左右1対の前輪2が夫々連結されている。ステアリングギヤボックス9の内部には、ラック・ピニオン機構(図示略)が設けられ、そのピニオンが中間シャフト8の下端部に連結され、そのラックに1対のタイロッド10を介して1対の前輪2が連結されている。
ステアリングギヤボックス9には、そのピニオンに減速ギヤ(図示略)を介して力を付与することで、ステアリング機構3を駆動して操舵補助力を発生させる電動機11(電動モータ11)が設けられ、その減速ギヤと中間シャフト8との間に、中間シャフト10に作用する操舵トルクTであってステアリング機構3の操舵トルクTを検出する操舵トルクセンサ13(操舵トルク検出手段13)が設けられている。
図1、図2に示すように、電動パワーステアリング装置1は、電動機11と操舵トルクセンサ13の他に、車速Vを検出する車速センサ12、変速機18の操作位置Snを検出する変速機操作位置センサ14、エンジン19の回転数Nを検出するエンジン回転数センサ15(エンジン回転数検出手段15)、電動機11の駆動値Ib(駆動電流値Ib)を検出する駆動値検出部16(駆動値検出回路16)、このセンサ12〜14と検出部16とで検出され検出値(検出車速V、検出操舵トルクT、検出変速操作位置Sn、検出駆動値Ib)に基づいて電動機11を駆動制御する電動機制御部20を備えている。
尚、電動機制御部20は、コンピュータを備え、このコンピュータとコンピュータROM等に格納されているプログラム及び各種処理・制御に必要なマップ等の処理・制御用数値によって、以下説明する処理が実行される。
ここで、変速機18は、変速段をシフトレバー(図示略)を介して手動で、N(ニュートラル)、1速〜5速、R(後退速)の何れかに択一的に切換え操作可能に構成され、変速機操作位置センサ14は、変速機18の操作位置Snとして、複数の変速段(1速〜5速)に夫々切換える複数の変速段位置(1速位置〜5速位置)を検出可能に構成され、この変速機操作位置センサ14が変速機操作検出手段に相当する。
図2に示すように、変速機制御部20は、電動機11の目標駆動値Ia(目標駆動電流値Ia)を設定する目標駆動値設定部21、目標駆動値Iaと検出駆動値Ibとの偏差ΔIを算出する偏差算出部22、操舵速度f(操舵操作による操舵周波数f)を算出する操舵速度算出部23、変速機18の切換操作時間t2を算出する切換操作時間算出部24、電動機11の制御駆動値Ic(制御駆動電流値Ic)を設定する制御駆動値設定部25、電動機11を駆動する電動機駆動部26を有する。
目標駆動値設定部21では、車速センサ12から検出車速Vの信号と、操舵トルクセンサ13から検出操舵トルクTの信号とが読込まれ、それらの信号に基づいて、図3に示す操舵トルク−目標駆動値マップから、目標駆動値Iaが設定され、その目標駆動値Iaの信号が偏差算出部22に供給される。尚、車速Vを低速Vl、中速Vm、高速Vhに分類した場合、操舵トルクTが同じ場合に、目標駆動値Iaつまり操舵補助力が、高速Vh→中速Vm→低速Vlの順で高くなる。尚、目標駆動値Iaが、車速Vによらずに操舵トルクTのみから決まるようにしてもよい。つまり、車速センサ12を省略してもよい。
偏差算出部22では、目標駆動値設定部21から目標駆動値Iaの信号と、駆動値検出部16から検出駆動値Ibの信号とが読込まれ、それらの検出信号に基づいて偏差ΔIが算出され、その偏差ΔIの信号が制御駆動値設定部25に供給される。操舵速度算出部23では、駆動値検出部16から検出駆動値Ibの信号が読込まれ、その信号に基づいて操舵速度fが算出され、その操舵速度fの信号が制御駆動値設定部25に供給される。
制御駆動値設定部25では、変速機操作位置センサ14から変速機18の操作位置Sn(1速位置〜5速位置の何れか)の信号と、偏差算出部22から偏差ΔIの信号と、操舵速度算出部23から操舵速度fの信号とが読込まれ、それらの信号に基づいて、検出駆動値Ibが目標駆動値Iaとなる(目標駆動値Iaに収束する)ように電動機11の制御駆動値Icが設定さ、その制御駆動値Icの信号が電動機駆動部26に供給される。電動機駆動部26では、制御駆動値設定部25から制御駆動値Ic(=ΔI×Kg)の信号を受け、その信号に基づいて電動機11が駆動される。尚、実施例1では、エンジン回転数センサ15と切換操作時間算出部24とを省略してもよい。
制御駆動値設定部25は、検出駆動値Ibが目標駆動値Iaに収束する応答性(操舵応答性)を変更するために、目標駆動値Iaと検出駆動値Ibとの偏差ΔIに乗じるゲイン係数Kgを、この場合、例えば、偏差ΔIに比例、微分、積分の少なくとも1つの所定演算を行った数値に乗じるゲイン係数Kgを、変速機操作位置センサ14で検出された変速機18の変速段位置(1速位置〜5速位置)に応じて可変に設定するゲイン係数設定部25aを有する。ここで、制御駆動値設定部25では、制御駆動値IcがΔI×Kgとして算出されるが、更に、操舵速度fに基づいて、図4に示す操舵速度−制御駆動値マップから、制御駆動値Icが設定される。尚、制御駆動値Icが、操舵速度fによらずに決まるようにしてもよい。つまり、操舵速度算出部23を省略してもよい。
ここで、図5に示すように、ゲイン係数設定部25aは、変速機操作位置センサ14で検出された変速段位置が所定変速段(2速)未満の変速段位置(1速位置)の場合に所定変速段(2速)以上の変速段位置(2〜5速位置)の場合よりも小さなゲイン係数Kgを設定するように構成されている。尚、変速段位置がP(パーキング)、N、Rの位置の場合には、変速段位置が所定変速段(2速)未満の変速段位置(1速位置)の場合と同じゲイン係数Kgが設定される。ゲイン係数Kgを切換える場合、図6に示すように、変速段位置の切換え後の車両走行時の滞在時間t1を計時し、その滞在時間t1が設定時間T1(例えば、3秒)以上になった場合、ゲイン係数Kgを切換えるようにしてもよい。
この電動パワーステアリング装置1によれば、ゲイン係数設定部25aが、変速機操作位置センサ14で検出された変速段位置が所定変速段未満の変速段位置の場合に所定変速段以上の変速段位置の場合よりも小さなゲイン係数Kgを設定するので、変速機18の変速段が所定変速段未満の場合には、車両が低速走行している場合が多く、この場合、ゲイン係数Kg(制御駆動値Ic)を大きくして操舵応答性を良くすると、電動パワーステアリング装置1から発生する音や振動が大きくなり、その音や振動が車両のロードノイズも小さいことから車内(乗員)に伝わり易くなるが、これを防止することができる。
実施例2の電動パワーステアリング装置1は、実施例1のゲイン係数設定部25aを変更したものである。ここで、切換操作時間算出部24では、変速機操作位置センサ14から変速段位置の信号が読込まれ、その信号に基づいて、変速段を所定変速段から他の変速段(2速⇔3速又は3速⇔4速)へ手動で切換えた切換操作時間t2が算出される。尚、実施例2では、この切換操作時間t2を検出可能な変速機操作検出手段が、変速機操作位置センサ14と切換操作時間算出部24に相当する。
図7に示すように、実施例2のゲイン係数設定部25aは、切換操作時間算出部24から(変速機操作検出手段で検出された)切換操作時間t2の信号を読込み、その信号に基づいて、切換操作時間t2が設定時間T2(例えば、500ms)未満の場合に設定時間T2以上の場合よりも大きなゲイン係数Kgを設定するように構成されている。
この電動パワーステアリング装置1によれば、変速機18の切換操作時間t2に応じて、ゲイン係数Kgを可変に設定して、操舵応答性を変更することができ、運転者が通常に車両を操舵して走行(通常走行)させる場合と、状況に応じて、例えば、運転者が車両を山路等のカーブが多い道路を走行させる場合等、通常よりも操舵応答性を良くして車両を機敏に操舵して走行(スポーツ走行)させる場合の運転者意思を、変速機18の切換操作時間t2に応じて判断して操舵応答性の変更に反映させるように構成できる。
即ち、運転者が車両をスポーツ走行させる場合、変速段を所定変速段から他の変速段へ手動で切換える切換操作時間t2が早くなるものとして、この変速段の切換操作時間t2が設定時間T2未満か設定時間T2以上かを判定することで、スポーツ走行させる場合と通常走行させる場合の運転者意思を判断して、切換操作時間t2が設定時間T2未満の(スポーツ走行させる)場合、操舵応答性を良くし、切換操作時間t2が設定時間T2以上の(通常走行させる)場合、操舵応答性を低く抑えることができる。
尚、ゲイン係数設定部25aは、実施例1の判定機能も備えて、変速段位置が所定変速段以上か否かの判断と、変速段を所定変速段から他の変速段へ手動で切換えた切換操作時間が設定時間未満か否かの判断とを行い、これらの少なくとも一方が肯定判断した場合に、そうでない場合よりも大きなゲイン係数Kgを設定してもよい。
実施例3では、変速機18は、変速段を車速やスロットル開度等に基づいて自動で切換える5速の自動変速機であり、シフトレバー(図示略)を介して手動で、Pレンジ、Nレンジ、Rレンジの他、変速段が1速キープの1速レンジ、変速段が2速キープの2レンジ、変速段が1速〜3速の間で自動で切換えられる3レンジ、変速段が1速〜5速の間で自動で切換えられるDレンジの何れかに択一的に切換え操作可能に構成されている。
実施例3の電動パワーステアリング装置1は、実施例1のゲイン係数設定部25aを変更したものであり、変速機操作位置センサ14は、変速機18の操作位置Snとして、複数のレンジ(1〜3レンジ、Dレンジ)に夫々切換える複数のレンジ位置(1〜3レンジ位置、Dレンジ位置)を検出可能に構成されている。
実施例3のゲイン係数設定部25aは、目標駆動値Iaと検出駆動値Ibとの偏差ΔIに乗じるゲイン係数Kgを、変速機操作位置センサ14で検出された変速機18のレンジ位置(1〜3レンジ位置、Dレンジ位置)に応じて可変に設定する。この場合、図8に示すように、ゲイン係数設定部25aは、変速機操作位置センサ14で検出されたレンジ位置が所定レンジ位置(Dレンジ位置)の場合にそれ以外のレンジ位置(1〜3レンジ位置)の場合よりも小さなゲイン係数Kgを設定するように構成されている。尚、レンジ位置がP、N、Rのレンジ位置の場合には、変速段位置が所定レンジ位置(Dレンジ位置)の場合と同じゲイン係数Kgが設定される。
即ち、運転者が車両をスポーツ走行させる場合、レンジを所定レンジ以外のレンジ(1〜3レンジ)に切換えるものとして、このレンジ位置を判定することで、スポーツ走行させる場合と通常走行させる場合の運転者意思を判断して、レンジ位置が所定レンジ位置以外のレンジ位置の(スポーツ走行させる)場合、操舵応答性を良くし、レンジ位置が所定レンジ位置の(通常走行させる)場合、操舵応答性を低く抑えることができる。
実施例4では、変速機18は、変速段を車速やスロットル開度等に基づいて自動で切換えるATモードと手動で切換えるMTモードとに、シフトレバー等によって択一的に切換え操作可能に構成され、MTモードでは、シフトレバーやステアリングホイール4に設けられたボタン等によって変速段を択一的に切換え操作可能に構成されている。
実施例4の電動パワーステアリング装置1は、実施例1のゲイン係数設定部25aを変更したものであり、変速機操作位置センサ14は、変速機18の操作位置Snとして、変速機18をATモードに切換えるATモード位置とMTモードに切換えるMTモード位置とを検出可能に構成されている。
実施例4のゲイン係数設定部25aは、目標駆動値Iaと検出駆動値Ibとの偏差ΔIに乗じるゲイン係数Kgを、変速機操作位置センサ14で検出された変速機18のモード(ATモード、MTモード)に応じて可変に設定する。この場合、図9に示すように、ゲイン係数設定部25aは、変速機操作位置センサ14でATモード位置が検出された場合にMTモード位置が検出された場合よりも小さなゲイン係数Kgを設定する。
運転者が車両をスポーツ走行させる場合、変速機18をMTモードに切換えるものとして、この変速機18のモードがMTモードかATモードかを判定することで、スポーツ走行させる場合と通常走行させる場合の運転者意思を判断して、MTモードの(スポーツ走行させる)場合、操舵応答性を良くし、ATモードの(通常走行させる)場合、操舵応答性を低く抑えることができる。
尚、ゲイン係数設定部25aは、実施例1,2の判定機能も備えて、MTモードの場合に、変速段位置が所定変速段以上か否かの判断と、変速段を所定変速段から他の変速段へ手動で切換えた切換操作時間が設定時間未満か否かの判断とを行い、これらの両方が肯定判断した場合に、ATモードの場合よりも大きなゲイン係数Kgを設定してもよい。
実施例5の電動パワーステアリング装置1は、実施例1のゲイン係数設定部25aを変更したものである。このゲイン係数設定手段25aは、エンジン回転数センサ15で検出されたエンジン回転数Nを加味してゲイン係数Kgを設定し、具体的には、10に示すように、エンジン回転数センサ15で検出されたエンジン回転数Nが設定回転数N1(例えば3000rpm)未満の場合に設定回転数N1以上の場合よりも小さなゲイン係数Kgを設定する。
この場合、エンジン回転数Nが設定回転数N1未満から設定回転数N1以上に切換わった後の時間、又は、エンジン回転数Nが設定回転数N1以上から設定回転数N1未満に切換わった後の時間を計時し、その時間が設定時間(例えば、3秒)以上になった場合、ゲイン係数Kgを切換えるようにしてもよい。
運転者が車両をスポーツ走行させる場合、エンジン回転数Nが高くなるものとして、このエンジン回転数Nが設定回転数N1未満か設定回転数N1以上かを判定することで、スポーツ走行させる場合と通常走行させる場合の運転者意思を判断して、エンジン回転数Nが設定回転数N1以上の(スポーツ走行させる)場合、操舵応答性を良くし、エンジン回転数Nが設定回転数N1未満の(通常走行させる)場合、操舵応答性を低く抑えることができる。
尚、この実施例5のゲイン係数設定部25aの技術を、実施例1〜4の何れかのゲイン係数設定部25aの技術に追加的に設けることが好ましい。この場合、ゲイン係数Kgを高くする実施例5の条件とゲイン係数Kgを高くする実施例1〜4の何れかの条件の少なくとも一方の条件が成立した場合に、ゲイン係数Kgを高くしてもよい。また、ゲイン係数Kgを低くする実施例5の条件とゲイン係数Kgを低くする実施例1〜4の何れかの条件の少なくとも一方の条件が成立した場合に、ゲイン係数Kgを低くしてもよい。
実施例6のゲイン係数設定部25aは、実施例1,2,5のゲイン係数設定部25aの機能を合わせたものであり、以下、このゲイン係数設定部25aを含む変速機制御部20が実行する処理について、図11のフローチャートに基づいて説明する。
この処理はイグニションスイッチがオンされると開始され、先ず、変速機18の変速段位置とエンジン回転数Nが読み込まれる(S1)。次に、変速段位置が2速〜5速の何れかの位置か否か判定される(S2)。S2;Yes の場合、S6へ移行し、S2;Noの場合、変速段が2速〜4速の何れかから切換開始か否か判定される(S3)。S3;Noの場合、S10へ移行し、S3;Yes の場合、操作切換時間t2が計時される(S4)。
S4の後、変速段が2速⇔3速又は3速⇔4速の切換完了か判定される(S5)。S5;Noの場合、S4へリターンし、S5;Yes の場合、S6へ移行する。但し、切換完了でも、2速⇔3速又は3速⇔4速の切換えでないとき(例えば、2速⇔5速の切換えのとき)には、S10へ移行する。S6では、操作切換時間t2が設定時間T2(500ms)未満か否か判定され、S6の場合、S10へ移行し、S6;Yes の場合、エンジン回転数Nが設定時間T(3000rpm)以上か否か判定される(S7)。S7;Yes の場合S8へ移行し、S7;Noの場合S10へ移行する。
S8では、ゲイン係数Kgに低いゲイン係数KgLが設定されているか否か判定され、S8;Noの場合、リターンし、S8;Yes の場合、ゲイン係数Kgに高いゲイン係数KgHが設定され(S9)、リターンし、S10では、ゲイン係数Kgに高いゲイン係数KgHが設定されているか否か判定され、S10;Noの場合、リターンし、S10;Yes の場合、ゲイン係数Kgに低いゲイン係数KgLが設定され(S11)、リターンする。
尚、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、前記開示事項以外の種々の変更を付加して実施可能である。また、本発明の電動パワーステアリング装置については、種々の自動車等の車両に搭載される電動パワーステアリング装置に適用可能である。
1 電動パワーステアリング装置
3 ステアリング機構
11 電動機
13 操舵トルクセンサ
14 変速機操作位置センサ
16 駆動値検出部
18 変速機
19 エンジン
20 電動機制御部
21 目標駆動値設定部
24 切換操作時間算出部
25 制御駆動値設定部
25a ゲイン係数設定部
3 ステアリング機構
11 電動機
13 操舵トルクセンサ
14 変速機操作位置センサ
16 駆動値検出部
18 変速機
19 エンジン
20 電動機制御部
21 目標駆動値設定部
24 切換操作時間算出部
25 制御駆動値設定部
25a ゲイン係数設定部
Claims (6)
- 車両のステアリング機構を駆動して操舵補助力を発生させる電動機と、ステアリング機構の操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段と、電動機の駆動値を検出する駆動値検出手段と、操舵トルク検出手段で検出された検出操舵トルクと駆動値検出手段で検出された検出駆動値とに基づいて電動機を駆動制御する電動機制御手段とを備えた電動パワーステアリング装置において、
前記電動機制御手段は、少なくとも前記検出操舵トルクに基づいて電動機の目標駆動値を設定する目標駆動値設定手段と、前記検出駆動値が前記目標駆動値となるように電動機の制御駆動値を設定する制御駆動値設定手段とを有し、
前記車両の変速機の操作位置と切換操作時間の少なくとも一方を検出する変速機操作検出手段を備え、
前記制御駆動値設定手段は、前記検出駆動値が前記目標駆動値に収束する応答性を変更するために、前記目標駆動値と前記検出駆動値との偏差に乗じるゲイン係数を、変速機操作検出手段で検出された変速機の操作位置と切換操作時間の少なくとも一方に応じて可変に設定するゲイン係数設定手段を有する、
ことを特徴とする車両の電動パワーステアリング装置。 - 前記変速機は変速段を手動で切換え操作可能に構成され、
前記変速機操作検出手段は、前記変速機の操作位置として、複数の変速段に夫々切換える複数の変速段位置を検出可能に構成され、
前記ゲイン係数設定手段は、変速機操作検出手段で検出された変速段位置が所定変速段未満の変速段位置の場合に所定変速段以上の変速段位置の場合よりも小さなゲイン係数を設定することを特徴とする請求項1に記載の車両の電動パワーステアリング装置。 - 前記変速機は変速段を手動で切換え操作可能に構成され、
前記変速機操作検出手段は、変速段を所定変速段から他の変速段へ手動で切換える切換操作時間を検出可能に構成され、
前記ゲイン係数設定手段は、変速機操作検出手段で検出された切換操作時間が設定時間未満の場合に設定時間以上の場合よりも大きなゲイン係数を設定することを特徴とする請求項1又は2に記載の車両の電動パワーステアリング装置。 - 前記変速機は変速段を自動で切換えるATモードと手動で切換えるMTモードとに択一的に切換え操作可能に構成され、
前記変速機操作検出手段は、前記変速機の操作位置として、変速機をATモードに切換えるATモード位置とMTモードに切換えるMTモード位置とを検出可能に構成され、
前記ゲイン係数設定手段は、変速機操作検出手段でATモード位置が検出された場合にMTモード位置が検出された場合よりも小さなゲイン係数を設定することを特徴とする請求項1に記載の車両の電動パワーステアリング装置。 - 車両のエンジンの回転数を検出するエンジン回転数検出手段を備え、
前記ゲイン係数設定手段は、エンジン回転数検出手段で検出されたエンジン回転数を加味してゲイン係数を設定することを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の車両の電動パワーステアリング装置。 - 前記ゲイン係数設定手段は、エンジン回転数手段で検出されたエンジン回転数が設定回転数未満の場合に設定回転数以上の場合よりも小さなゲイン係数を設定することを特徴とする請求項5に記載の車両の電動パワーステアリング装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2008077731A JP2009227207A (ja) | 2008-03-25 | 2008-03-25 | 車両の電動パワーステアリング装置 |
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JP (1) | JP2009227207A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2012056541A (ja) * | 2010-09-13 | 2012-03-22 | Toyota Motor Corp | 車両の制御装置 |
-
2008
- 2008-03-25 JP JP2008077731A patent/JP2009227207A/ja active Pending
Cited By (2)
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JP2012056541A (ja) * | 2010-09-13 | 2012-03-22 | Toyota Motor Corp | 車両の制御装置 |
US9074544B2 (en) | 2010-09-13 | 2015-07-07 | Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha | Control apparatus for vehicle |
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