JP2009224827A - データ送受信装置およびデータ送受信システム - Google Patents

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Abstract

【課題】物理フレームへの送信データの連結処理を適用した場合に、連結処理を含む送信データ作成に要するプロセス遅延の発生を低減し、通信帯域の損失を低減することで、通信の実質的なスループットを向上できるデータ送受信装置およびデータ送受信システムを提供する。
【解決手段】スレーブ装置は、フレームF1においてACH信号に含まれる割り当て最大値を取得し、帯域割り当て要求を作成するとともに、連結情報を作成し、フレームF2で送信する。そして、フレームF3で連結データを作成する。マスタ装置では、フレームF3で帯域割り当てスケジュール処理が実施され、スケジュール結果はフレームF4で送信される。フレームF4でスケジュール情報を取得したスレーブ装置は、スケジュール情報に含まれる帯域割り当ての送信開始時間のタイミングに基づいて連結データを送信する。
【選択図】図13

Description

本発明はデータ送受信装置およびデータ送受信システムに関し、特に、無線通信あるいは高速PLC(Power Line Communication)などのネットワークシステムにおけるデータ送受信装置およびデータ送受信システムに関する。
無線通信あるいは高速PLCなど、同一の媒体を共有して複数の通信装置がデータ送信を行う場合、2個以上の通信装置が同一タイミングで同一媒体に対してデータ送信を行わないように制御する必要がある。これは、2個以上の通信装置が同一タイミングで共有媒体にデータ送信をした場合、データの衝突が発生し、受信側装置でデータの分離が不可能となるためである。これとは逆に、送信データを有し、共有の媒体へのアクセスを希望する通信装置があるにもかかわらず、何れ通信装置も共有の媒体へのアクセス権を得られない状態も、伝送効率の面から好ましくない。
このような通信装置の共有媒体へのアクセスを制御する技術として、媒体アクセス制御(MAC:Medium Access Control)がある。また、こうした媒体アクセス制御方法を含む無線通信規格として、ARIB(社団法人電波産業会)にて標準規格化された「小電力データ通信システム/広帯域移動通信アクセスシステム(HiSWANa規格:High Speed Wireless Access Networking Type a:ARIB STD-T70)が挙げられる。
以下、HiSWANa規格に採用された媒体アクセス制御に関して簡単に説明する。
HiSWANaのシステム構成は、アクセスポイント(以下、APと呼称)と移動装置(以下、MTと呼称)とを備える無線通信システムを前提としており、APによる集中制御によるTDMA(Time Division Multiple Access)方式を採用している。
TDMA方式は、1つの周波数を短時間ずつ交代で複数の発信者(APおよびMT)が共有する方式である。HiSWANa規格では、APからネットワーク管理用のパケットデータであるBCH(Broadcast CHannel)、FCH(Frame CHannel)、ACH(Access Feedback CHannel)が各MTに送信される。
BCHはAP、MT間での時刻同期を取るために使用され、新規MTがネットワークへ参入する場合、BCHの受信、検出を行い、時刻同期を取った後、APに対してネットワーク参入依頼を行う。
ネットワーク参入後、各MTはデータ送信タイミング(以下、「送信帯域割り当て」と呼称)および受信タイミング(以下、「受信帯域割り当て」と呼称)のスケジュール情報が記載されたFCHを受信し、その送信帯域割り当て、受信帯域割り当てに従ってデータの送受信を行うことで、共有媒体である無線通信路でのデータ衝突を回避し、媒体アクセス制御を実現している。
HiSWANa規格で採用されたTDMA方式では、APは送信データを持つ装置(AP自身も含む)に対して送信帯域の割り当てをスケジュールする。従って、送信したいデータを持つMTはAPに対して送信帯域の割り当てを要求する必要がある。このための要求を、帯域要求メッセージと言い、APはこのメッセージを受信することで、各MTのバッファ状態を知り、スケジュール情報に反映する。各MTは帯域要求メッセージをAPに送信するため、RCH(Random access CHannel)と呼称されるパケットデータを使用する。
RCHの送信期間はFCHのスケジュールによらず、MTからAPへ帯域要求メッセージを送信することができる。RCHの送信期間は前述の通りマスタによるアクセス制御の対象外であるため、他のMTが送信したRCHと同時送信による衝突が発生し、APでのデータ受信に失敗することがある。このため、RCHを送信したMTは、次周期のACHを受信することにより、RCHによるAPへの送信の成否結果を知るという仕組みを利用する。
上述したHiSWANa規格などの媒体アクセス制御方法に加え、割り当てられた帯域の有効利用とスループット向上の観点から、新たな提案もなされている。
例えば、特許文献1には物理層プロトコルに対しする提案が開示されている。これによると、割り当てられた帯域で送信する物理フレームの、個々に付与される物理(PHY)ヘッダ、MACヘッダによるオーバーヘッドを解消するために、1つの物理フレーム内に複数の送信データを送信装置側で連結し、この連結データに対して1つのPHYヘッダ、1つのMACヘッダを付与することで、通信路を流れるPHYヘッダ、MACヘッダの個数を削減し、結果として有効データの送信量を増加し、伝送効率の向上を果たすとされている。こうした技術はアグリゲーション技術と呼ばれる。
このようなアグリゲーション技術をHiSWANa規格による媒体アクセス制御に適用した場合、APによるスケジュールでMTに対して割り当てられた送信帯域に、MTで複数の送信データを連結して1個の物理フレームを作成し、PHYヘッダ、MACヘッダを付与して送信することになる。
特開2006−352897公報
伝送効率向上の観点から上記アグリゲーション技術を適用するには、APから送信されたFCHに記載されたスケジュール情報を受信したMTが、割り当てられた送信帯域で送信する物理フレーム内に連結すべき送信データを選択し、連結処理を行い、送信用物理フレームを作成して送信する必要がある。
こうしたアグリゲーション技術を適用した場合でも、FCH受信後にデータ送信を行うための処理に際しては大きな遅延時間が発生し、通信のスループット向上の点で問題となる。
本発明は上記のような問題点を解消するためになされたものであり、物理フレームへの送信データの連結処理を適用した場合に、連結処理を含む送信データ作成に要するプロセス遅延の発生を低減し、通信帯域の損失を低減することで、通信の実質的なスループットを向上できるデータ送受信装置およびデータ送受信システムを提供することを目的とする。
本発明に係るデータ送受信装置は、ネットワークの複数の端末を構成するデータ送受信装置であって、前記複数の端末は、前記ネットワーク上でのデータ送受信を管理するマスタ装置と、前記マスタ装置が定期的に出力するスケジュール情報に基づいて、データ送信あるいはデータ受信を行うスレーブ装置を複数含み、前記マスタ装置と前記スレーブ装置との間では、複数のデータを1つの物理フレーム内に連結して送受信し、前記マスタ装置は、1回の割り当てで割り当てることができる最大帯域サイズを前記スレーブ装置の全てに対して送信し、前記スレーブ装置は、送信データを有する場合に前記マスタ装置に対して、データ送信に必要な帯域サイズの割り当てを前記最大帯域サイズ以下となるように要求するとともに、前記マスタ装置が、前記スレーブ装置が要求する前記帯域サイズに基づいて前記スケジュール情報を作成して送信するのに先だって、前記帯域サイズ内で連結する送信データの連結情報、および前記連結情報に基づいて前記送信データを連結した連結データを作成し、前記マスタ装置が前記スケジュール情報を送信するフレームの周期で、前記連結データを送信する。
本発明に係るデータ送受信装置によれば、スレーブ装置が、送信データを有する場合にマスタ装置に対して、データ送信に必要な帯域サイズの割り当てを最大帯域サイズ以下となるように要求するとともに、マスタ装置が、スレーブ装置が要求する帯域サイズに基づいてスケジュール情報を作成して送信するのに先だって、帯域サイズ内で連結する送信データの連結情報、および連結情報に基づいて送信データを連結した連結データを作成し、マスタ装置がスケジュール情報を送信するフレームの周期で連結データを送信するので、スケジュール情報受信後に連結処理を行う必要がなく、柔軟な帯域割り当てスケジュールが可能となって、通信の実質的なスループットを向上することが可能となる。
<アグリゲーション技術について>
本発明に係る実施の形態の説明に先だって、アグリゲーション技術についてさらに説明する。
図1の(a)部および(b)部には、それぞれ、1つの物理フレーム内に1つの送信データを有した単一データおよびアグリゲーション技術により1つの物理フレーム内に複数の送信データを連結した連結データを示す。
図1の(a)部に示すように、単一データは、送信データのデータ長の情報と、Ethernet(登録商標)データを含むEthernetフレームとを有し、Ethernetフレームの後に、CRC(誤り検出)符号が付与されている。
図1の(b)部に示すように、連結データでは、データ長情報、EthernetフレームおよびCRC符号で構成される送信データがM個連結され、1つのPHYヘッダおよび1つのMACヘッダを複数の送信データで共用し、送信データの連結数に関する情報がMACヘッダの後に付与されている。
連結データでは、複数の送信データでPHYヘッダおよびMACヘッダを共用するため、単一データを複数作成する場合に比べて、PHYヘッダおよびMACヘッダの個数を削減できることが判る。
図2は、アグリゲーション技術を媒体アクセス制御に適用した場合のMTでの処理手順を示すフローチャートである。
まず、ステップS21においてFCHを受信し、スケジュール情報を取得したMTは、当該スケジュール情報から自身に割り当てられた帯域サイズと送信タイミングを取得する。
そして、ステップS22において、割り当てられた帯域サイズで送信することが可能なデータサイズを算出する。
その後、送信すべきデータの有無を確認し(ステップS23)、送信データがある場合には、当該データのサイズとステップS22で算出した送信可能データサイズとを比較し、連結データとして連結可能なサイズであるか否かの判定を行う(ステップS24)。
ステップS24で、連結可能なサイズであると判定された場合は、ステップS25において当該送信データのサイズを連結予定のデータサイズに加算し、ステップS23に戻る。
ステップS23では、さらに送信すべきデータの有無を確認し、送信データがある場合には、ステップS22で算出した送信可能データサイズから連結予定のデータサイズから差し引いた値を送信可能データサイズとし、ステップS24およびS25の動作を繰り返す。
ステップS23〜S25の動作を繰り返した結果、連結すべき送信データがないと判断された場合(ステップS23)、もしくは連結予定のデータサイズが、割り当てられた帯域サイズで連結可能なデータサイズに達した場合(ステップS24)には、送信データの選択動作を終了する。
送信データの選択動作が終了すると、ステップS26に進んで、選択した送信データの情報をアグリゲート情報として作成し、図1に示したような連結データを作成し、ステップS27で連結データの送信を実施する。
このようなアグリゲーション技術の適用の如何に関わらず、FCH受信後、データ送信を行うまでには、処理に伴うプロセス遅延が発生する。
すなわち、HiSWANa規格では図3に示すように、ACHの最終スロットとFCHを受信したMTが最初にアップリンクプリアンブルを送信するまでの時間間隔を、プロセス遅延として最小時間512μsを標準値とし、一定期間の空き時間を設けるよう規定されている。
しかし、こうしたプロセス遅延時間を設けた場合でも、図4に示すように、APからMTへ送信するダウンリンクフェーズ(ダウンリンクプリアンブルおよびダウンリンク(DL)データで構成)が存在するフレームの場合、ACHの最終スロットから最初のアップリンク送信までの間にAPによるダウンリンク送信の期間が存在するため、プロセス遅延による通信帯域の損失は発生しない。
ところが、図5に示すように、APからMTへ送信するデータがなく、ダウンリンクフェーズの割り当てがないフレーム周期の場合で、他のMTからAPへのアップリンク送信もない場合、プロセス遅延の期間は通信に使用できないアイドル期間となる。こうしたアイドル期間は通信帯域の損失となる。
<実施の形態>
<1.ネットワークシステムの構成>
図6は、本発明の実施の形態に係るデータ送受信装置を備えた高速PLCネットワークシステムの構成を概略的に示す図である。なお、以下においては、データ送受信装置を端末と呼称する。
図1に示すように、当該高速PLCネットワークシステムは、PLCモデム501、502、503および504が、共有媒体である電力線505に、何れも電源コンセントを兼用するPLCインターフェース(I/F)510を介して接続された構成となっている。
PLCモデム501は、ネットワーク全体を管理するマスタ装置(HiSWANa規格のAPに相当)であり、PLCモデム502〜504はスレーブ装置(HiSWANa規格のMTに相当)である。
そして、PLCモデム501〜507は、何れもEthernetI/F511を介して、パーソナルコンピュータ等の外部機器506〜509にそれぞれ接続されている。
なお、図6に示された高速PLCネットワークシステムの構成は、本発明のデータ送受信装置が適用できるシステム構成の一例であり、本発明のデータ送受信装置は、他の構成を持つ高速PLCネットワークシステム、無線LANを用いたネットワークシステム、Ethernetを用いたネットワークシステムなどの他のシステムにも適用可能である。
<2.PLCモデムの構成>
次に、図7を用いて、PLCモデムの構成を説明する。
図7に示すように、各PLCモデムには、装置全体の動作制御を行うCPU101、送受信データや連結情報、スケジュール情報を一時的に保存する汎用メモリ102、データバス103、ブリッジ部104、MAC部105および相互変換部106を備えている。
ブリッジ部104は、ネットワーク間でデータを中継する機能ブロックであり、転送先のMACアドレスに基づいて、適切なポートのみにデータを中継する機能を有している。また、相互変換部106は、データと電気信号の相互変換を行う機能ブロックであり、高速PLCネットワークの場合、電力線での電気信号送受信機能を有している。
また、MAC部105内には、データ送信時にデータの連結処理を行うデータ連結処理部1051と、データ受信時にデータの分離処理を行うデータ分離処理部1052を有している。さらに、相互変換部106に接続されるPLCI/F107、ブリッジ部104に接続されるEthernetI/F108を備えている。EthernetI/F108の先にはPC等の外部機器が接続される。なお、PLCI/F107およびEthernetI/F108は、それぞれ図6に示した、PLCI/F510およびEthernetI/F511に対応する。
<3.マスタ装置の動作>
次に、図8および図9を用いて高速PLCネットワーク内におけるマスタ装置の動作を説明する。
図8は、マスタ装置から送信される連続したフレーム周期を示す図であり、フレームF1〜F4の各フレーム周期において、各種データの送信タイミングを示している。図8に示すように、1フレーム周期においては、BCH、FCHおよびACHの順にネットワーク管理情報を送信した後、データ送受信期間にデータを送信し、最後にRCHを送信することとなる。
また、図9は、本発明に係るデータ送受信装置で使用するACH信号のフォーマットを示しており、ACH信号には、ACH識別子、ランダムアクセス結果情報および割り当て最大値の情報が含まれている。
マスタ装置は起動後、ネットワークの時刻同期の基準となるBCH信号と、スケジュール情報を含むFCH信号、およびACH信号を自機の内部クロックに従って一定周期(フレーム周期)で同報送信する。
スレーブ装置の参入前、マスタ装置単独でネットワークを構成している場合は、データの送受信が発生しないため、FCH信号のスケジュール情報には帯域割り当ては存在しない。またスレーブ装置からRCHによるランダムアクセス送信もないため、図9に示したACH信号フォーマットのうち、ランダムアクセス結果が“成功”となることもない。
ただし、マスタ装置はあらかじめACH信号内に、1フレーム周期内でスレーブ装置(複数の場合あり)に対して割り当てることができる最大帯域サイズ(割り当て最大値)の情報を含ませている。
ここで、1フレーム周期内の各種データの送信タイミングを示す図10を用いて割り当て最大値の定義を説明する。
割り当て最大値とは、図10に示すように、BCH、FCH、ACHおよびRCHの各信号を除く、データの送受信に割り当て可能な期間の大きさ(長さ)を指している。
スレーブ装置の参入後は、マスタ装置では、このデータ送受信期間を必要なサイズに分割する。その一例を図11に示す。
図11は、データ送受信期間をN個の通信帯域に分割した状態を示しており、FCH信号内には受信時に受信データの先頭位置、およびクロック位相を検出するためのプリアンブル情報と、プリアンブル情報に続いて送信されるスケジュール情報とが含まれている。そして、スケジュール情報には、データ送受信期間に設けられた通信帯域1〜Nにそれぞれ対応させて、送信開始時間、帯域サイズ(送信時間)、送信装置番号、受信装置番号および付加情報として帯域要求IDが含まれている。
<4.スレーブ装置の動作>
次にスレーブ装置の動作について、図8を参照して説明する。
マスタ装置が管理するネットワークに参入するスレーブ装置は、まず第1にBCH信号を探索し、受信することによりマスタ装置との時刻同期を確立する。すなわち、図8に示すフレームF1においてマスタ装置から送信されたBCH信号を受信したスレーブ装置は、フレームF1のRCH信号の送信期間に、マスタ装置に対して参入依頼を行う。より具体的にはアソシエーション要求をRCH信号により送信することにより行う。
RCH信号によるアソシエーション要求がマスタ装置で受領された場合、マスタ装置は、フレームF2のACH信号の送信期間に、ACH信号によりランダムアクセス結果“成功”を同報送信する。これを受信したスレーブ装置(参入を希望する装置)は、ネットワークへの参入が許可されたことを知る。そして、フレームF3からFCH信号の受信および解析を開始する。
なお、ランダムアクセス結果“失敗”が通知された場合、スレーブ装置はアソシエーション要求の再送信を実施し、ネットワークへの参入が許可されるまでこれを続ける。
こうしてネットワーク参入が完了したスレーブ装置は、FCH信号を受信することで、スケジュール情報である各装置のデータ送信タイミングおよびデータ受信タイミングを取得し、スケジュール情報に基づいてデータの送受信を行うことができる。
<4−1.データ送信>
次にスレーブ装置によるデータ送信について説明する。
アソシエーションが完了したスレーブ装置は外部機器からEthernetI/F108を経由してEthernetデータを受信する。受信したEthernetデータはブリッジ部104により宛先ごとに管理され、一旦、汎用メモリ102に保存される。
汎用メモリ102に保存されたEthernetデータは、PLCI/F107を介してPLCネットワークに送信され、PLCネットワーク、宛先装置を経由して宛先装置に接続された外部機器に伝達されることにより通信が成立する。
スレーブ装置からPLCネットワークへのデータ送信は、マスタ装置による同報送信で受信するFCH信号内のスケジュール情報に記録された、アップリンクフェーズの帯域割り当てに従って行う。
ここで、「帯域割り当て」には、帯域サイズと、その帯域で送信する装置、受信する装置、フレーム内のどの時間にその帯域を配置するか(送信開始時間)についての情報を含んでいる。例えば、図11において、スケジュール情報の通信帯域#1が、帯域サイズ10、装置A送信、装置B受信、送信開始時刻0となっているような場合、装置Aに該当するスレーブ装置は、この情報に従って送信を行うことになる。
ただし、スケジュール情報にアップリンク送信用の帯域割り当てがない場合は、マスタ装置に対して帯域割り当て要求メッセージを送信し、アップリンク送信用の帯域の割り当てを待つことになる。例えば、参入直後のスレーブ装置の場合、FCH信号によるスケジュール情報に自身のアップリンク送信用の帯域は割り当てられていない。そのため、マスタ装置に対して送信帯域割り当て要求をRCH信号により送信する。
なお、事前に送信帯域割り当て要求を何らかの手段でマスタ装置に送信したスレーブ装置の場合、FCH信号によるアップリンク送信用の帯域の割り当てがあれば、参入と同時にデータを送信することができるが、データの送信には不十分な帯域サイズの割り当てである場合は、データ送信の代わりに新規の帯域割り当て要求を送信する。
<4−2.帯域割り当て要求>
ここで、帯域割り当て要求を送信するスレーブ装置は、フレーム周期ごとに、受信したACH信号に含まれる割り当て最大値に対して、CPU101(図7)において自機が要求する送信データサイズ、送信データ数に基づいて、要求する帯域サイズを決定する。このときの処理フローを図12を用いて説明する。
ACH信号を受信したスレーブ装置は、図9を用いて説明したようにACH信号に含まれる割り当て最大値(割り当て最大帯域)を取得する(ステップS1)。割り当て最大値は1フレーム周期でスレーブ装置(複数のスレーブ装置の場合もある)に割り当てることができる最大帯域サイズをマスタ装置で演算した値である。
スレーブ装置では、取得した割り当て最大値に基づいて、最大帯域サイズで送信可能なデータサイズを算出するとともに、送信データサイズの初期化を行う(ステップS2)。
そして、送信可能データサイズと、個々の送信データのサイズを比較し、連結データを送信する場合には、最大帯域サイズに対して、その連結データ内に連結するデータの選択を行う(ステップS3〜S5)。
データの選択においては、送信すべきデータの有無を確認し(ステップS3)、送信データがある場合には、当該データのサイズとステップS2で算出した送信可能データサイズとを比較し、連結データとして連結可能なサイズであるか否かの判定を行う(ステップS4)。
ステップS4で、連結可能なサイズであると判定された場合は、ステップS5において当該送信データのサイズを連結予定のデータサイズに加算し、ステップS3に戻る。
ステップS3では、さらに送信すべきデータの有無を確認し、送信データがある場合には、ステップS2で算出した送信可能データサイズから連結予定のデータサイズから差し引いた値を送信可能データサイズとし、ステップS4およびS5の動作を繰り返す。
ステップS3〜S5の動作を繰り返した結果、連結すべき送信データがないと判断された場合(ステップS3)、もしくは連結予定のデータサイズが、最大帯域サイズで連結可能なデータサイズに達した場合(ステップS4)には、送信データの選択動作を終了する。
送信データの選択動作が終了すると、連結後の送信データサイズに基づいて帯域割り当て要求を作成(ステップS6)すると共に、連結する送信データの情報を連結情報(アグリゲート情報)として作成し、汎用メモリ102に保存する。
作成した帯域割り当て要求および連結情報は、その対応を識別するための識別子すなわち帯域要求IDを付与し(ステップS7)、帯域割り当て要求はRCH信号もしくはTCH信号に含めてマスタ装置へ送信し、連結情報は要求した帯域の割り当てがスケジュール情報で通知されるまで保持する(ステップS8)。
ただし、帯域割り当て要求をRCH信号により送信した場合、次フレーム周期のACH信号によるランダムアクセス結果(図9)を確認し、ランダムアクセス結果“失敗”であれば、帯域割り当て要求はマスタ装置に受領されなかったものと判断し、帯域割り当て要求を再送するか、対応する連結情報を廃棄し、新たに帯域割り当て要求と連結情報の作成を行うことになる。
<4−3.マスタ装置での割り当て処理>
帯域割り当て要求がマスタ装置に受領された後、マスタ装置では帯域割り当てスケジュール処理を実施する。例えば、1台のマスタ装置に対し複数のスレーブ装置が接続している場合(図6の場合は3台が接続)、マスタ装置は各スレーブ装置から個別に帯域割り当て要求を受信している。
また、マスタ装置内には各スレーブ装置宛のダウンリンク送信データも存在することがあるので、帯域割り当てスケジュール処理では、受信した割り当て要求帯域サイズを増減させることはせず、例えば複数のスレーブ装置からの割り当てがあった場合は、要求された各々のサイズに割り当て最大帯域を分割し、割り当てを決定することで、1フレームの割り当て最大帯域を維持する。
受信した割り当て要求帯域サイズを増減させる処理をしないので、処理が単純化され、処理時間を短縮できる。
なお、複数のスレーブ装置からの割り当てがあった場合で、そのうちの1つのスレーブ装置が、割り当て最大帯域に一致する要求をしていた場合は、当該スレーブ装置に1フレーム全ての帯域を割り当てる。その際、割り当てることができなかった他のスレーブ装置からの要求は、次以降のフレームでの割り当てに回される。
割り当ての規則の一例としては、古い割り当て要求が新しい割り当て要求より優先して割り当てられ、さらに、同時期に受信した割り当て要求はスレーブ番号等により優先度を決め、1列の待ち行列としてマスタ装置に記憶し、この待ち行列の先頭から1フレームで同時割り当てができる帯域要求までを割り当てるなどの処理を行う。
なお、同時期に受信した場合の割り当ての優先度は、前フレームでスレーブ装置1を行列の先頭に並べた場合には、次のフレームではスレーブ装置2を先頭とし、スレーブ装置1を最後尾にするなどで、スレーブ間の公平性を維持する。
<4−4.各処理の時系列的関係>
次に、図13を用いて各処理の時系列的関係について説明する。
図13は、フレーム周期ごとのマスタ装置およびスレーブ装置での処理を時系列に示した図であり、図に向かって上側にマスタ装置での処理を、下側にスレーブ装置での処理を示す。なお、図13においては、スレーブ装置がマスタ装置との時刻同期を確立し、アソシエーション要求がマスタ装置で受領され、マスタ装置がACH信号によりランダムアクセス結果“成功”を同報送信した後の処理を示している。
フレームF1の周期のACH信号に含まれる割り当て最大値を取得したスレーブ装置は、図12を用いて説明した処理を経て帯域割り当て要求を作成するとともに、連結情報(アグリゲート情報)を作成する。そして、フレームF2の周期にて帯域割り当て要求をマスタ装置に送信する。
マスタ装置での帯域割り当てスケジュール処理は、フレームF2の周期で帯域割り当て要求を受領した後、次のフレームF3の周期で実施される。そして、スケジュール結果は、フレームF4の周期のFCH信号で同報送信する。
一方、スレーブ装置ではフレームF3の周期で、アグリゲート情報に基づいて送信データの連結処理を実施して、連結データを作成する。そして、フレームF4の周期のFCH信号からスケジュール情報を取得したスレーブ装置は、当該スケジュール情報に含まれる帯域割り当ての送信開始時間のタイミングに基づいて連結データの送信を行う。
図14には、フレームF4におけるスケジュール情報取得後の処理フローを示す。
図14に示すステップS11において、FCH信号のスケジュール情報に含まれる帯域要求IDを取得したスレーブ装置は、それが自機が帯域割り当て要求に際して付与した帯域要求IDと一致することを確認した場合、例えば汎用メモリ102に保存した連結データを読み出す(ステップS12)。そして、上述した送信開始時間のタイミングに基づいて連結データの送信を行う(ステップS13)。
<5.効果>
以上説明したように本実施の形態のデータ送受信装置においては、マスタ装置から送信されるACH信号には割り当て最大値情報が含まれているので、ACH信号を受信したスレーブ装置は、割り当て最大値情報に基づいて、帯域割り当て要求の作成と同時に、アグリゲート情報も作成することができる。従って、帯域割り当て要求を送信した後、マスタ装置からスケジュール情報が送信される前にアグリゲート情報に基づいて連結データを作成することができる。
そして、マスタ装置からFCH信号により送信される帯域割り当てを受けると、既に作成済みの連結データを送信するので、FCH受信後に連結処理を行う必要がなく、プロセス遅延が不要となり、ダウンリンクフェーズが存在しないフレーム周期であっても、ACH信号とアップリンクフェーズ間にアイドル時間を必要とせず、柔軟な帯域割り当てスケジュールが可能となって、通信の実質的なスループットを向上することが可能となる。
<6.変形例>
以下、実施の形態の変形例に係るデータ送受信装置の動作について図15を用いて説明する。なお、基本的な動作については、実施の形態と同様であるので重複する説明は省略する。
図15は、図13と同様に各処理の時系列的関係を示す図である。
図15に示すように、フレームF1の周期において異なる3台のスレーブ装置が、各々、帯域割り当て要求(1)、(2)および(3)を送信し、マスタ装置では帯域割り当て要求(1)〜(3)を受信している。なお、図15においては、各スレーブ装置がマスタ装置との時刻同期を確立し、アソシエーション要求がマスタ装置で受領され、マスタ装置がACH信号によりランダムアクセス結果“成功”を同報送信し、ACH信号に含まれる割り当て最大値を取得した各スレーブ装置が、帯域割り当て要求および連結情報(アグリゲート情報)を作成した後の処理を示している。
マスタ装置では、フレームF1の周期において受信した帯域割り当て要求に基づき、フレームF2の周期でスケジュール処理を実施する。ここで、スケジュール処理の結果、割り当て要求(1)および(2)に対しては、フレームF3の周期でスケジュール情報を送信し、割り当て要求(3)に対してはスケジュール情報を作成したものの、帯域不足により割り当てが実施されなかったものとする。
この場合も、割り当て要求(3)を送信したスレーブ装置では、割り当て要求(1)および(2)をそれぞれ送信したスレーブ装置と同様にフレームF2で連結データの作成を実施するが、フレームF3の周期で受信したFCH信号により、自機に対する帯域割り当てがないことを認識すると、フレームF3の周期において、アグリゲート情報を破棄し、アグリゲート情報および連結データ(3)の再作成を実施する。
ここで、アグリゲート情報および連結データ(3)の再作成は、フレームF1で送信した帯域割り当て要求で要求した帯域サイズに従って行われる。このため各スレーブ装置では、既に要求した帯域サイズの値を記憶しておく動作が必要となる。
なお、割り当て要求(1)および(2)をそれぞれ送信したスレーブ装置は、スケジュール情報に基づいて、フレームF3の周期において、それぞれ連結データ(1)および(2)を送信する。
マスタ装置では、フレームF3の周期において帯域割り当てを行わなかった割り当て要求(3)を送信したスレーブ装置に対して、フレーム4の周期においてスケジュール情報を送信する。
当該スケジュール情報を受けた割り当て要求(3)を送信したスレーブ装置では、フレームF3の周期で再作成した連結データ(3)をフレームF4の周期で送信する。マスタ装置は、当該連結データ(3)をフレームF4の周期で受信する。
以上説明した実施の形態の変形例に係るデータ送受信装置においては、実施の形態と同様に、プロセス遅延が不要となり、ダウンリンクフェーズが存在しないフレーム周期であっても、ACH信号とアップリンクフェーズ間にアイドル時間を必要とせず、柔軟な帯域割り当てスケジュールが可能となって、通信の実質的なスループットを向上することが可能となる。
また、割り当て要求が受け入れられなかったスレーブ装置は、連結データを再作成することになるので、連結データ内に連結する送信データの入れ替えを行うことができ、送信データが滞留等により破棄されたような場合に、次に帯域割り当てがあった場合にデータ送信が行えず、無効なデータの送信を行うことによるスループットの低下を防止することができる。また、何らかの理由でマスタ装置からの帯域割り当てが遅延した場合に、新規に発生した送信データを、遅延した帯域割り当てを使用して送信することもできる。
このように、マスタ装置に送信した帯域要求に基づく割り当てが行われる直前のデータの保有状況に従い、接続情報の再作成と送信データの再連結処理を行うことで、データの伝送遅延の回避と、通信の実質的なスループットを向上することが可能となる。
アグリゲーション技術を説明する物理フレームの構成図である。 一般的なアグリゲーション技術を説明するフローチャートである。 HiSWANa規格で規定されたプロセス遅延を説明するフレーム周期図である。 ダウンリンクフェーズが割り当てられた場合のフレーム周期図である。 ダウンリンクフェーズが割り当てられない場合のフレーム周期図である。 本発明に係る実施の形態のデータ送受信装置のシステム構成を示すブロック図である。 PLCモデムの構成を説明するブロック図である。 連続フレーム周期のチャネル構成を示す図である。 本発明に係るデータ送受信装置で使用するACH信号のフォーマットを表す図である。 ACH信号内の割り当て最大値とフレーム周期の関連を示す図である。 スケジュール情報の一例を示す図である。 本発明に係る実施の形態のデータ送受信装置における帯域割り当て要求の作成手順を説明するフローチャートである。 本発明に係る実施の形態におけるフレーム周期ごとのマスタ装置およびスレーブ装置での処理を時系列に示した図である。 スケジュール情報受信後の処理を説明するフローチャートである。 本発明に係る実施の形態の変形例におけるフレーム周期ごとのマスタ装置およびスレーブ装置での処理を時系列に示した図である。

Claims (6)

  1. ネットワークの複数の端末を構成するデータ送受信装置であって、
    前記複数の端末は、前記ネットワーク上でのデータ送受信を管理するマスタ装置と、
    前記マスタ装置が定期的に出力するスケジュール情報に基づいて、データ送信あるいはデータ受信を行うスレーブ装置を複数含み、
    前記マスタ装置と前記スレーブ装置との間では、複数のデータを1つの物理フレーム内に連結して送受信し、
    前記マスタ装置は、
    1回の割り当てで割り当てることができる最大帯域サイズを前記スレーブ装置の全てに対して送信し、
    前記スレーブ装置は、
    送信データを有する場合に前記マスタ装置に対して、データ送信に必要な帯域サイズの割り当てを前記最大帯域サイズ以下となるように要求するとともに、前記マスタ装置が、前記スレーブ装置が要求する前記帯域サイズに基づいて前記スケジュール情報を作成して送信するのに先だって、前記帯域サイズ内で連結する送信データの連結情報、および前記連結情報に基づいて前記送信データを連結した連結データを作成し、前記マスタ装置が前記スケジュール情報を送信するフレームの周期で、前記連結データを送信する、データ送受信装置。
  2. 前記ネットワークは、媒体アクセス制御としてTDMA(Time Division Multiple Access)方式を採用し、
    前記マスタ装置は、前記最大帯域サイズの情報をアクセスチャネル信号に含めて送信する、請求項1記載のデータ送受信装置。
  3. 前記スレーブ装置は、
    第1のフレーム周期の前記アクセスチャネル信号に含まれる前記最大帯域サイズの情報に基づいて前記帯域サイズの割り当て要求および前記連結情報を作成し、続く第2のフレーム周期で前記割り当て要求を前記マスタ装置に送信し、続く第3のフレーム周期で前記連結データを作成し、続く第4のフレーム周期で前記マスタ装置から送られる前記スケジュール情報に、自機への帯域の割り当てがあった場合に、前記第4のフレーム周期で、前記連結データを送信する、請求項2記載のデータ送受信装置。
  4. 前記スレーブ装置は、
    前記マスタ装置から送信される前記スケジュール情報に、自機への帯域の割り当てがないことを検知した場合、前記連結情報を破棄し、前記マスタ装置に要求した前記帯域サイズに基づいて、新たな連結情報を再作成する、請求項1または請求項3記載のデータ送受信装置。
  5. 前記マスタ装置は、前記スレーブ装置から要求された前記帯域サイズを増減させることなく帯域割り当てを決定し、前記スケジュール情報を作成する、請求項1記載のデータ送受信装置。
  6. 請求項1記載のデータ送受信装置を用いて構成されるデータ送受信システム。
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