JP2009224217A - 封着パネルの製造方法及びそれを用いたプラズマディスプレイパネルの製造方法、紫外線硬化性樹脂 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】背面基板における前面基板との対向面に、紫外線硬化性樹脂からなる封着材を塗布する塗布工程を有し、塗布工程に先立って、封着材を35℃以上85℃以下で加熱しつつ、0.1Pa以下の減圧雰囲気下で20時間以上120時間以下保持する第2脱ガス工程を有することを特徴とする。
【選択図】図3
Description
一般にPDPは、前面基板と背面基板とが封着材を介して貼り合わされ、内部に放電ガスが封入されたものである。PDPとして、前面基板に維持電極および走査電極が形成され、背面基板にアドレス電極が形成された3電極面放電型が主流となっている。走査電極とアドレス電極との間に電圧を印加して放電を発生させると、封入された放電ガスがプラズマ化して紫外線が放出される。この紫外線により、背面基板に形成された蛍光体が励起されて、可視光が放出されるようになっている。
一方、封着材として熱硬化性樹脂材料を採用すると、パネル封着時の加熱により、樹脂材料自体の蒸発しやすい成分または樹脂材料に含まれるCO2や、C6H6、その他炭化物等の不純物ガスや水分が、アウトガスとしてパネル内部に放出される虞がある。
その結果、パネル内部に水分が侵入することで、パネル内部に封入されている放電ガスの純度が次第に低下していき、放電電圧が上昇するため、消費電力が増加するという問題がある。また、PDPの清浄化やエージングに時間を要することになるという問題がある。
この構成によれば、長時間脱ガス工程において、封着材となる紫外線硬化性樹脂を減圧雰囲気下で長時間加熱することで、封着材を第2基板に塗布する前に、封着材に含まれる低蒸気圧成分(主に水分)を放出しておくことができる。これにより、封着材の塗布後に封着材中に含まれる水分が放出されるのを防止することが可能になり、室内や両基板が汚染されることを防ぐことができる。
そして、このような封着材を硬化させることで、封着材の硬化時に水分による重合阻害が低減され、硬化重合反応が効率良く行われるため、膜特性に優れ、ガス透過の少ない封着材を形成することができる。これにより、両基板の封着後に、室内に存在する水分が封着材を透過し、パネル内部まで侵入することを防ぐことができる。また、封着材中に含まれる水分を除去しておくことで、封着後に封着材に含まれる水分がパネル内部に向けて放出されるのを防止することが可能になる。
ここで、長時間脱ガス工程の際に、減圧雰囲気下で35℃以上85℃以下の範囲で封着材を加熱しつつ、20時間以上120時間以下保持することで、封着材の硬化不良を防いだ上で、封着材中に含まれる水分を効率良く除去することができる。したがって、封着材の塗布後に封着材から放出される水分を低減することができる。
この構成によれば、長時間脱ガス工程に先立って、封着材を140℃以上で加熱するとともに、100Pa以上10kPa以下の減圧雰囲気下で10分以上保持する高温脱ガス工程を有することで、封着材に含まれる高蒸気圧成分(主に樹脂材料自体)を効率良く放出させることができる。一方、圧力を100Pa以上に設定することで、減圧により生じる封着材の硬化を防止することができる。
この構成によれば、露点が−40℃以下に設定された乾燥雰囲気下において、封着材を塗布することで、上述した長時間脱ガス工程を経た封着材に再び水分等が吸着することがない。したがって、水分等が除去された封着材を第2基板に対して確実に塗布することができるため、ガス透過の少ない封着材を形成することができる。したがって、両基板の封着後にパネル内部に向けて水分が放出されるのを確実に防止することができる。
この構成によれば、長時間脱ガス工程と塗布工程との間において、封着材を減圧雰囲気下または露点が−40℃以下の乾燥雰囲気下に保持することで、上述した長時間脱ガス工程を経た封着材に水分等が再び吸着することがない。したがって、ガス透過の少ない封着材を形成することができ、封着後に封着材から水分が放出されるのを確実に防止することができる。
この構成によれば、上述した封着パネルの製造方法を用いることで、ガス透過の少ない封着材により封着されるため、封着後においてパネル内部に水分等が侵入することを防止することができる。したがって、放電ガスの純度を良好な状態で維持することが可能になり、放電電圧の増加を防ぐことができるため、スループット向上および省エネルギーを実現した低コストなプラズマディスプレイパネルを製造することができる。
この構成によれば、封着材となる紫外線硬化性樹脂に予め長時間脱ガス処理を施すことで、紫外線硬化性樹脂に含まれる水分等を放出しておくことができる。これにより、紫外線硬化性樹脂中に含まれる水分が放出されるのを防止することが可能になり、紫外線硬化性樹脂を封着材として塗布した後に室内や両基板が汚染されることを防ぐことができる。
そして、このような紫外線硬化性樹脂を硬化させることで、紫外線硬化性樹脂の硬化時に水分による重合阻害が低減され、硬化重合反応が効率良く行われるため、膜特性に優れ、ガス透過の少ない膜を形成することができる。
したがって、放電ガスの純度を良好な状態で維持することが可能になり、放電電圧の増加を防ぐことができるため、スループット向上および省エネルギーを実現した低コストなプラズマディスプレイパネルを製造することができる。
なお、本明細書において基板の「内面」とは、当該基板の両表面のうち、当該基板と対をなす基板との対向面をいうものとする。
図1は、3電極AC型プラズマディスプレイパネルの分解斜視図である。このプラズマディスプレイパネル(以下「PDP」という。)100は、対向配置された背面基板2および前面基板1と、両基板1,2の間に形成された複数の放電室16とを備えている。
そのアドレス電極11を覆うように、誘電体層19が形成されている。また、隣接するアドレス電極11の間における誘電体層19の上面には、アドレス電極11と平行に隔壁(リブ)15が形成されている。さらに、隣接する隔壁15の間における誘電体層19の上面および隔壁15の側面に、蛍光体17が配設されている。この蛍光体17は、赤、緑、青の何れかの蛍光を発光するものである。
図2(b)は、図2(a)のA−A線における側面断面図である。図2(b)に示すように、前面基板1と背面基板2とが貼り合わされることにより、隣接する隔壁15の間に放電室16が形成されている。この放電室16の内部には、NeおよびXeの混合ガス等の放電ガスが封入されている。
上述した封着材20の材料として、蒸発しやすい成分や水分、不純物ガスの放出が少なく、パネル貼り合わせ強度を確保することが可能な材料を採用する必要がある。このような材料として、本実施形態では封着時に加熱を必要とせず、常温下で紫外線を照射することにより粘度が上昇して硬化する紫外線硬化性エポキシ樹脂(カチオン系)を用いている。また、カチオン系の他に、ラジカル系等を用いることも可能であり、紫外線硬化性樹脂全般を適用することが可能である。
次に、本発明の封着パネルの製造方法として、PDPの製造方法について説明する。図3は、本実施形態に係るPDPの製造方法のフローチャートである。
図3に示すように、PDPの製造工程は、脱ガス工程(S40)と、パネル工程(S50)と、モジュール・セット工程(S52)との3つに大きく分けられる。そのパネル工程(S50)は、前面基板工程(S60)と、背面基板工程(S70)と、パネル化工程(S80)との3つに分けられる。
図4に示すように、PDPの製造装置50は、前面基板ライン60の後端、背面基板ライン70の後端およびパネル化ライン80の前端が、それぞれ搬送室55,56を介して接続されたものである。背面基板ライン70の塗布室79には、UV硬化樹脂セット室90が接続されている。また、製造装置50に設けられた各室は、それぞれゲートバルブ(不図示)を介して接続されている。このPDPの製造装置50は、図3に示すPDPの製造プロセスのうち二点鎖線で囲われた範囲50を、真空中または制御された雰囲気中で連続して実施する真空一貫装置である。
図5に示すように、脱ガス処理装置110は、第1脱ガス処理室101と、第2脱ガス処理室102と、第1脱ガス処理室101および第2脱ガス処理室102において、脱ガス処理が施された封着材20を取り出すための取出室103とを備えている。各室101〜103は、それぞれゲートバルブを介して接続されている。
ここで、本願の発明者は、上述した第2脱ガス工程における最適な脱ガス条件を求めるために、様々な条件下で第2脱ガス処理を施した封着材を用いて作製したPDPの放置変動の値を測定する試験を行った。
試験1における第2脱ガス処理は、1.0×10−3Paの高真空雰囲気下において、温度35℃に一定に設定し、第2脱ガス処理の脱ガス時間を変動させた。そして、この時の放電開始電圧および放電維持電圧、放置変動を測定する試験を行った。なお、放置変動とは、初期状態のPDPと温度70℃の雰囲気下に72時間放置した後のPDPとにおける第1セルの放電開始電圧(Vf1)の変動を示している。なお放置変動測定では、VfnやVsmn等に比べて、Vf1の電圧変化がもっとも大きくなる。
次に、試験条件を圧力1.0×10−3Pa、時間48(hr)として一定に設定し、脱ガス温度を35℃〜85℃まで変動させた場合において、上述した測定方法と同様の方法で試験を行った。
試験3では、上述した封着材塗布(S77)工程の塗布雰囲気と、封着材塗布(S77)工程の終了後からパネル化工程(S80)の真空排気(S81)工程に移るまでの時間(以下、暴露時間という)とを変動させて作製されたPDPにおいて、上述した測定方法と同様の方法で試験を行った。なお、試験2における第2脱ガス処理の条件は、圧力1.0×10−3(Pa)、時間48(hr)、温度65(℃)として一定に設定した。また、本試験における塗布雰囲気とは、塗布雰囲気中の露点を示している。
次に、本願の発明者は、温度70℃、湿度85%の恒温恒湿の雰囲気下で加速試験を行い、PDPの放電電圧の変動を測定した。なお、本試験で用いたPDPは、第1脱ガス処理後に1.0×10−3Paの高真空雰囲気下において、65℃、48時間の第2脱ガス処理を施した封着材を用いて封着したものである。
図9は、加速試験時間(hr)に対する放電電圧(V)の変動を示すグラフである。なお、Vf1(図9中菱形プロット)は第1セルの放電開始電圧であり、Vfn(図9中白抜き菱形プロット)は最終セルの放電開始電圧である。また、Vsm1(図9中正方形プロット)は第1セルの放電維持電圧であり、Vsmn(図9中白抜き正方形プロット)は最終セルの放電維持電圧である。
なお、図示しないが、第2脱ガス処理を行っていない封着材を用いて作製したPDPを、同様の雰囲気下に曝すと約72時間後には点灯しなくなってしまった。これは、恒温恒湿雰囲気下に存在する水分が封着材を透過してPDPのパネル内部に侵入し、放電ガスの純度が低下したからであると考えられる。
この構成によれば、第2脱ガス工程において、封着材20となる紫外線硬化性樹脂を減圧雰囲気下で長時間加熱することで、封着材20を背面基板2に塗布する前に、封着材20に含まれる低蒸気圧成分(主に水分)を放出しておくことができる。これにより、封着材20の塗布後に封着材20中に含まれる水分が放出されるのを防止することが可能になり、封着室82内や両基板1,2が汚染されることを防ぐことができる。
そして、このような封着材20を硬化させることで、封着材20の硬化時に水分による重合阻害が低減され、硬化重合反応が効率良く行われるため、膜特性に優れ、ガス透過の少ない封着材20を形成することができる。これにより、両基板1,2の封着後に、封着室82内に存在する水分が封着材20を透過し、パネル内部まで侵入することを防ぐことができる。また、封着材20中に含まれる水分を除去しておくことで、封着後に封着材20に含まれる水分が、パネル内部に向けて放出されるのを防止することが可能になる。
また、電界放出ディスプレイパネルは、画素ごとに配置された電子放出源(エミッター)から真空中に電子を放ち、蛍光体にぶつけて発光させるものである。電界放出ディスプレイパネルとして、突起状の電子放出素子を備えたFED(Field Emission Display)や、表面伝導型の電子放出素子を備えたSED(Surface−Conduction Electron−Emitter Display)等が挙げられる。
また、本実施形態においては、脱ガス処理装置と真空一貫装置とを別体として設けた場合について説明したが、例えば真空一貫装置のUV硬化樹脂セット室に脱ガス処理装置を連結するような構成も可能である。この場合、脱ガス処理された封着材を自動でディスペンサーに充填するような構成を採用することが可能である。
また、本実施形態では、脱ガス処理として、第1脱ガス処理と第2脱ガス処理とを施す場合について説明したが、第2脱ガス処理(長時間脱ガス処理)のみを行うような構成にしてもよい。
Claims (6)
- 第1基板および第2基板が、封着材を介して貼り合わされた封着パネルの製造方法であって、
前記第2基板における前記第1基板との対向面に、紫外線硬化性樹脂からなる前記封着材を塗布する塗布工程を有し、
前記塗布工程に先立って、前記封着材を35℃以上85℃以下で加熱しつつ、0.1Pa以下の減圧雰囲気下で20時間以上120時間以下保持する長時間脱ガス工程を有することを特徴とする封着パネルの製造方法。 - 前記長時間脱ガス工程に先立って、前記封着材を140℃以上で加熱しつつ、100Pa以上10kPa以下の減圧雰囲気下で10分以上保持する高温脱ガス工程を有することを特徴とする請求項1記載の封着パネルの製造方法。
- 前記塗布工程では、露点が−40℃以下の乾燥雰囲気下で前記封着材を塗布することを特徴とする請求項1または請求項2記載の封着パネルの製造方法。
- 前記長時間脱ガス工程と前記塗布工程との間は、減圧雰囲気下または露点が−40℃以下の乾燥雰囲気下で前記封着材を保持することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の封着パネルの製造方法。
- 請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の封着パネルの製造方法を用いたことを特徴とするプラズマディスプレイパネルの製造方法。
- 第1基板と第2基板とを貼り合わせる封着材として用いられる紫外線硬化性樹脂であって、
前記封着材として塗布される前に、35℃以上85℃以下で加熱しつつ、0.1Pa以下の減圧雰囲気下で20時間以上120時間以下保持する長時間脱ガス処理が施されていることを特徴とする紫外線硬化性樹脂。
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